説明

建設機械

【課題】 夜間作業時において作業装置の周囲を作業灯によって適正に照らすことができるようにする。
【解決手段】 作業装置9を支持するスイングポスト11の下側取付部13に、作業灯支持具20を介して作業灯19を取付けることにより、スイングポスト11が連結ピン17を中心として左,右方向に揺動したときに、作業灯19もスイングポスト11と一緒に左,右方向に揺動する構成とする。これにより、作業灯19をスイングポスト11の揺動動作に確実に追従させることができるので、作業灯19から照射される光によって、側溝掘り作業を行う作業装置9の周囲や掘削場所を確実に照らすことができ、夜間に側溝掘り作業等を行うときの作業性や安全性を高めることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば油圧ショベル等の建設機械に関し、特に作業装置を上部旋回体に対して左,右方向に揺動可能に支持するスイングポストを備えた建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、建設機械としての油圧ショベルは、自走可能な下部走行体と、該下部走行体上に旋回可能に搭載された上部旋回体と、該上部旋回体の前部側に俯仰動可能に設けられた作業装置とにより大略構成され、この作業装置によって土砂等の掘削作業を行うものである。
【0003】
ここで、この種の油圧ショベルには、通常、夜間作業時において作業装置による掘削場所や作業装置の周囲を明るく照らすための作業灯が装備されている。この場合、油圧ショベルに装備される作業灯は、掘削作業時に飛散してくる土砂等が衝突しない部位に設ける必要がある。
【0004】
これに対し、運転室を画成するキャブの前部下面側にプロテクタを設け、該プロテクタ内に作業灯を収容することにより、掘削時の土砂等から作業灯を保護する構成となった油圧ショベルが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】実開平7−20351号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、例えば側溝等の掘削作業に好適に用いられる油圧ショベルとして、作業装置が上部旋回体に対して左,右方向に揺動可能となったスイング式の油圧ショベルがあり、このスイング式の油圧ショベルは、上部旋回体のベースとなる旋回フレームの前端側に、スイングシリンダによって左,右方向に揺動するスイングポストが設けられ、作業装置はこのスイングポストに支持されることにより、上部旋回体に対して左,右方向に揺動する構成となっている。
【0007】
しかし、上述した特許文献1による油圧ショベルは、作業灯がキャブの前部下面側に取付けられているため、仮にスイング式の油圧ショベルに特許文献1の作業灯を適用した場合には、上部旋回体に対して作業装置を左,右方向に揺動させると、作業灯からの光が照射される範囲から作業装置が外れてしまう。これにより、掘削場所や作業装置の周囲を作業灯からの光によって適正に照らすことができず、夜間時に側溝掘り作業を行うときの作業性が低下してしまうという問題がある。
【0008】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、夜間作業時において作業装置の周囲を常に適正に照らすことができるようにした建設機械を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するため本発明は、自走可能な下部走行体と、該下部走行体上に旋回可能に搭載された上部旋回体と、該上部旋回体の前部側に左,右方向に揺動可能に設けられたスイングポストと、該スイングポストに俯仰動可能に設けられた作業装置とを備えてなる建設機械に適用される。
【0010】
そして、請求項1の発明が採用する構成の特徴は、スイングポストに作業装置の周囲を照らす作業灯を取付けたことにある。
【0011】
請求項2の発明は、作業灯はスイングポストに対して上,下方向に揺動可能に取付ける構成としたことにある。
【0012】
請求項3の発明は、スイングポストは、上部旋回体の前部側に連結ピンを介して揺動可能に取付けられる取付部と、該取付部の左,右両側から前方に突出し作業装置の基端側が取付けられる左,右の側板部とにより構成し、作業灯は左,右の側板部間に位置して取付ける構成としたことにある。
【0013】
請求項4の発明は、スイングポストは、上部旋回体の前部側に連結ピンを介して揺動可能に取付けられる取付部と、該取付部の左,右両側から前方に突出し作業装置の基端側が取付けられる左,右の側板部とにより構成し、作業灯は左,右の側板部にそれぞれ取付ける構成としたことにある。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明によれば、上部旋回体に対して左,右方向に揺動可能に設けられたスイングポストに作業灯を取付けたので、作業装置をスイングポストによって左,右方向に揺動させたときに、この作業装置の揺動動作に作業灯を追従させることができる。従って、例えば側溝掘り作業等を行うために作業装置を左,右方向に揺動させた場合でも、スイングポストに取付けた作業灯から照射される光によって作業装置の周囲や掘削場所を確実に照らすことができ、夜間に側溝掘り作業等を行うときの作業性や安全性を高めることができる。しかも、作業灯は、掘削される地面に近接したスイングポストに取付けられているので、作業灯の光を無駄なく掘削場所に向けて照射することができ、掘削場所の周囲を十分な光量をもって明るく照らすことができる。
【0015】
請求項2の発明によれば、作業灯をスイングポストに対して上,下方向に揺動可能に取付けることにより、作業灯からの光の照射方向を上,下方向で任意に調整することができるので、例えば作業装置を用いて掘削作業を行う場合に、掘削場所を的確に照らすことができる。
【0016】
請求項3の発明によれば、スイングポストを構成する左,右の側板部間に作業灯を配置する構成としたので、例えば作業装置を用いて掘削作業を行う場合に、作業装置から落下した土砂等が作業灯に衝突するのをスイングポストの左,右の側板部によって阻止することができ、これら土砂等から作業灯を保護することができる。
【0017】
請求項4の発明によれば、スイングポストを構成する左,右の側板部にそれぞれ作業灯を取付ける構成としたので、これら複数の作業灯から照射される光によって、作業装置の周囲や掘削場所等を広範囲に亘って照らすことができ、夜間に側溝掘り作業等を行うときの作業性や安全性を一層高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明に係る建設機械の実施の形態をスイング式の油圧ショベルを例に挙げ、図1ないし図9を参照しつつ詳細に説明する。
【0019】
まず、図1ないし図6は本発明の第1の実施の形態を示している。そして、図中の1はスイング式の油圧ショベルで、該油圧ショベル1は、自走可能なクローラ式の下部走行体2と、該下部走行体2上に旋回可能に搭載された上部旋回体3とにより大略構成され、上部旋回体3の前部側には後述の作業装置9が設けられている。
【0020】
そして、上部旋回体3は、下部走行体2の車幅とほぼ等しい左,右方向の幅寸法を有し、上方からみてほぼ円形状に形成されている。これにより、油圧ショベル1は、上部旋回体3が下部走行体2上で旋回したときに、後述するカウンタウエイト7の後面がほぼ下部走行体2の車幅内に収まる後方小旋回型の油圧ショベルとして構成されている。
【0021】
ここで、上部旋回体3は、ベースとなる旋回フレーム4を有し、該旋回フレーム4は図3に示すように、厚肉な鋼板等により形成された平板状の底板4A、該底板4A上に立設され前,後方向に延びた左,右の縦板4B(左側のみ図示)、これら左,右の縦板4Bの前部上端側に固着され底板4Aと上,下方向で対面した上板4C等により強固な支持構造体を構成している。
【0022】
そして、上板4Cの前端側下面には、後述する連結ピン17の上端側が挿嵌される円筒状の上側ボス部4Dが設けられ、底板4Aの前端側上面には、連結ピン17の下端側が挿嵌される円筒状の下側ボス部4Eが設けられている。
【0023】
5は旋回フレーム4上に設けられた運転席で、該運転席5は運転者が着席するものである。そして、運転席5の上方はキャノピ6によって覆われている。また、旋回フレーム4の後部側にはカウンタウエイト7が設けられ、該カウンタウエイト7は、後述する作業装置9との重量バランスをとるものである。さらに、運転席5の周囲には外装カバー8が設けられ、該外装カバー8は、旋回フレーム4に搭載されたエンジン、油圧ポンプ等の機器類(いずれも図示せず)を覆うものである。
【0024】
9は後述するスイングポスト11を介して旋回フレーム4の前端側に設けられた作業装置で、該作業装置9は、図1に示すように、スイングポスト11に俯仰動可能に取付けられたブーム9Aと、該ブーム9Aの先端部に俯仰動可能に取付けられたアーム9Bと、該アーム9Bの先端部に回動可能に取付けられたバケット9Cとによって大略構成されている。
【0025】
また、スイングポスト11とブーム9Aとの間にはブームシリンダ9Dが設けられ、ブーム9Aとアーム9Bとの間にはアームシリンダ9Eが設けられ、アーム9Bとバケット9Cとの間にはバケットシリンダ9Fが設けられている。そして、作業装置9は、ブームシリンダ9D、アームシリンダ9Eによってブーム9A、アーム9Bを俯仰動させつつ、バケットシリンダ9Fによってバケット9Cをアーム9Bの先端部で回動させることにより、土砂等の掘削作業を行うものである。
【0026】
11は旋回フレーム4の前端側に左,右方向に揺動可能に設けられたスイングポストで、該スイングポスト11は、作業装置9のブーム9Aを旋回フレーム4に対して左,右方向に揺動可能に支持するものである。ここで、スイングポスト11は、図3ないし図5に示すように、後述する上,下の取付部12,13、左,右の側板部14,15、シリンダブラケット16等により構成されている。そして、このように構成されるスイングポスト11は、例えば鋳造等の手段を用いて一体形成されている。
【0027】
12,13は旋回フレーム4の前端側に後述の連結ピン17を介して揺動可能に取付けられる上,下の取付部で、図3に示すように、上側取付部12は旋回フレーム4の上側ボス部4Dに取付けられ、下側取付部13は旋回フレーム4の下側ボス部4Eに取付けられるものである。
【0028】
ここで、上側取付部12は、略U字状に折曲げられた湾曲部12Aと、該湾曲部12Aから後方に延びて旋回フレーム4の上側ボス部4Dを上,下方向から挟込む上,下のフランジ部12B,12Cとにより構成されている。また、各フランジ部12B,12Cには、連結ピン17が挿嵌されるピン挿嵌孔12Dが穿設されている。
【0029】
一方、下側取付部13も、略U字状に折曲げられた湾曲部13Aと、該湾曲部13Aから後方に延びて旋回フレーム4の下側ボス部4Eを上,下方向から挟込む上,下のフランジ部13B,13Cとにより構成されている。また、各フランジ部13B,13Cには、連結ピン17が挿嵌されるピン挿嵌孔13Dが穿設され、湾曲部13Aには、後述のボルト21が挿通されるボルト挿通孔13Eが穿設されている。
【0030】
14は上,下の取付部12,13の左端側から前方に突出した左側板部で、該左側板部14は、略三角形の板状に形成され、後述の右側板部15と左,右方向で対面している。そして、左側板部14の上端側には、作業装置9を構成するブーム9Aの基端側がピン結合されるブーム用ボス部14Aが設けられ、左側板部14の前端側には、ブームシリンダ9Dの基端側がピン結合されるブームシリンダ用ボス部14Bが設けられている。
【0031】
15は上,下の取付部12,13の右端側から前方に突出した右側板部で、該右側板部15は、略三角形の板状に形成され、左側板部14と左,右方向で対面している。そして、左側板部14と同様に、右側板部15の上端側にはブーム用ボス部15Aが設けられ、右側板部15の前端側にはブームシリンダ用ボス部15Bが設けられている。
【0032】
このように、左,右の側板部14,15は、上,下の取付部12,13を挟んで左,右方向で対面しつつ前方に突出しているため、下側取付部13(湾曲部13A)の前側には左,右の側板部14,15によって囲まれた収容空間Aが形成され、この収容空間A内には後述の作業灯19が収容される構成となっている。
【0033】
16,16は左側板部14の上,下方向の中間部位から左側方に突出した二又状のシリンダブラケットで、該各シリンダブラケット16は、後述するスイングシリンダ18のロッド18Bがピン結合されるものである。
【0034】
17は旋回フレーム4の前端側にスイングポスト11を取付ける連結ピンで、図3に示すように、連結ピン17は、上側取付部12のピン挿嵌孔12D、旋回フレーム4の上側ボス部4D、下側取付部13のピン挿嵌孔13D、旋回フレーム4の下側ボス部4Eに挿嵌されるものである。これにより、スイングポスト11は、旋回フレーム4の前端側に連結ピン17を介して左,右方向に揺動可能に取付けられている。
【0035】
18は旋回フレーム4とスイングポスト11との間に設けられたスイングシリンダで、該スイングシリンダ18は、図1および図2に示すように、チューブ18Aのボトム側が旋回フレーム4の左縦板4B等に取付けられ、図3に示すように、ロッド18Bの先端側がスイングポスト11のシリンダブラケット16にピン結合されている。そして、スイングシリンダ18は、チューブ18Aに対してロッド18Bを伸縮させることにより、スイングポスト11を連結ピン17を中心として左,右方向に揺動させるものである。
【0036】
19はスイングポスト11の左,右の側板部14,15間に設けられた作業灯で、該作業灯19は、図3および図6に示すように、内部に電球(図示せず)を収容した箱状に形成されている。そして、作業灯19は、後述の作業灯支持具20を用いて下側取付部13の湾曲部13Aに取付けられることにより、左,右の側板部14,15によって囲まれた収容空間A内に配置され、例えば夜間作業時に作業装置9の周囲や掘削場所に向けて光を照射することにより、作業装置9の周囲を明るく照らすものである。
【0037】
20はスイングポスト11の左,右の側板部14,15間に位置して下側取付部13の湾曲部13Aに取付けられた作業灯支持具で、該作業灯支持具20は、作業灯19をスイングポスト11に対して上,下方向に揺動可能に支持するものである。ここで、作業灯支持具20は、図6に示すように、細長い帯状の板材を略コ字状に折曲げることにより形成され、作業灯19の左,右の側面部を支持する左,右のアーム部20Aと、該各アーム20A間を連結し左,右方向に延びる連結部20Bとにより構成されている。
【0038】
そして、連結部20Bの左,右方向の中央部には、ナット20Cが溶接等の手段を用いて固着され、図3に示すように、下側取付部13のボルト挿通孔13Eに挿通したボルト21をナット20Cに螺着することにより、作業灯支持具20が下側取付部13の湾曲部13Aに固定されている。
【0039】
また、左,右のアーム部20Aの先端部には、作業灯19の左,右の側面部に螺入されるねじ20Dが設けられ、該ねじ20Dを弛めることにより、図3中に実線および二点鎖線で示すように、作業灯19をスイングポスト11に対して上,下方向に揺動させることができる。これにより、作業灯19からの光の照射方向を上,下方向に移動することができ、作業装置9の周囲や掘削場所等に照射される光の方向を任意に調整できる構成となっている。
【0040】
本実施の形態による油圧ショベル1は上述の如き構成を有するもので、この油圧ショベル1は、下部走行体2によって作業場所まで自走した後、上部旋回体3を旋回させつつ作業装置9を俯仰動させることにより、土砂の掘削作業等を行う。
【0041】
そして、この油圧ショベル1を用いて側溝掘り作業を行うときには、スイングシリンダ18のロッド18Bを伸縮させることにより、スイングポスト11を連結ピン17を中心として左,右方向に揺動させると共に、上部旋回体3をスイングポスト11の揺動方向とは反対方向に旋回させる。これにより、スイングポスト11によって支持された作業装置9が左,右方向に平行移動し、この作業装置9を用いて側溝掘り作業を行うことができる。
【0042】
ここで、上述の如き側溝掘り作業を夜間に行うときには、作業灯支持具20を介してスイングポスト11に取付けた作業灯19を点灯する。この場合、作業灯19はスイングポスト11の下側取付部13に取付けられているので、スイングポスト11を連結ピン17を中心として左,右方向に揺動させたときには、作業灯19もスイングポスト11と一緒に左,右方向に揺動するようになる。
【0043】
このように、本実施の形態によれば、作業灯19をスイングポスト11の揺動動作に確実に追従させることができるので、作業灯19から照射される光によって、側溝掘り作業を行う作業装置9の周囲や掘削場所を確実に照らすことができ、夜間に側溝掘り作業等を行うときの作業性や安全性を高めることができる。
【0044】
この場合、作業灯19は、掘削される地面に近接したスイングポスト11の下側取付部13に取付けられているので、作業灯19の光を無駄なく掘削場所に向けて照射することができる。従って、掘削場所の周囲を十分な光量をもって明るく照らすことができ、夜間作業の作業性や安全性を一層高めることができる。
【0045】
しかも、スイングポスト11の下側取付部13に固定された作業灯支持具20の左,右のアーム部20Aには、作業灯19の左,右の側面部に螺入されるねじ20Dが設けられ、このねじ20Dを弛めることにより、図3に示す如く作業灯19をスイングポスト11に対して上,下方向に揺動させることができる。これにより、作業灯19からの光の照射方向を上,下方向に任意に調整することができるので、例えば作業装置9によって掘削される掘削場所を的確に照らすことができる。
【0046】
さらに、本実施の形態によれば、スイングポスト11を構成する左,右の側板部14,15によって囲まれた収容空間A内に作業灯19を配置する構成としている。これにより、作業装置9のバケット9C等から落下した土砂等が作業灯19に衝突するのを、左,右の側板部14,15によって阻止することができ、これら土砂等から作業灯19を保護することができる。
【0047】
次に、図7および図8は本発明の第2の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、スイングポストを構成する左,右の側板部にそれぞれ作業灯を取付けたことにある。なお、本実施の形態では上述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0048】
図中、31はスイングポスト11の左側板部14に固定して設けられた左側面ブラケットで、該左側面ブラケット31は略四角形の枠状に形成され、その内部に作業灯19が取付けられるものである。
【0049】
ここで、左側面ブラケット31は、例えば帯状の板材を折曲げることにより形成され、上,下方向で対面しつつ左,右方向に延びる上板31A,下板31Bと、左,右方向で対面しつつ上,下方向に延びる左側板31C,右側板31Dとを有している。そして、下板31Bの右端側は、右側板31Dから右方に突出して上方へと立上がる取付座31Eとなり、該取付座31Eに挿通したボルト32をスイングポスト11の左側板部14に螺着することにより、左側面ブラケット31が左側板部14に固定されている。
【0050】
そして、作業灯支持具20によって支持された作業灯19を左側面ブラケット31の内側に配置した状態で、左側面ブラケット31の下板31Bにその下面側から上向きにボルト33を挿通し、このボルト33を作業灯支持具20のナット20Cに螺着することにより、作業灯19が左側面ブラケット31内に取付けられている。
【0051】
このように、左側の作業灯19は、その外側を左側面ブラケット31によって取囲まれた状態でスイングポスト11の左側板部14に取付けられている。このため、掘削作業時の土砂等が作業灯19に衝突するのを左側面ブラケット31によって阻止することができ、該作業灯19を保護することができる。
【0052】
また、作業灯支持具20を構成する左,右のアーム部20Aの先端部には、作業灯19の左,右の側面部に螺入されるねじ20Dが設けられている。従って、ねじ20Dを弛めることにより、作業灯19をスイングポスト11に対して上,下方向(図8中の矢示X方向)に揺動させることができ、作業灯19からの光の照射方向を上,下方向に調整することができる。
【0053】
さらに、作業灯支持具20は、ナット20Cに螺着される1本のボルト33によって左側面ブラケット31の下板31Bに固定されているので、このボルト33を弛めることにより、作業灯19をスイングポスト11に対して左,右方向(図8中の矢示Y方向)に揺動させることができ、作業灯19からの光の照射方向を左,右方向にも調整することができる構成となっている。
【0054】
34はスイングポスト11の右側板部15に固定して設けられた右側面ブラケットで、該右側面ブラケット34は、左側面ブラケット31と同様に、上板34A、下板34B、左,右の側板34C,34Dを有する略四角形の枠状に形成され、その内部に作業灯19が配置されるものである。また、下板34Bの左端側は、左側板34Cから左方に突出して上方へと立上がる取付座34Eとなり、該取付座34Eに挿通したボルト32をスイングポスト11の右側板部15に螺着することにより、右側面ブラケット34が右側板部15に固定されている。
【0055】
そして、作業灯支持具20によって支持された作業灯19を右側面ブラケット34の内側に配置した状態で、右側面ブラケット34の下板34Bにその下面側から上向きにボルト33を挿通し、このボルト33を作業灯支持具20のナット20Cに螺着することにより、作業灯19が右側面ブラケット34内に取付けられている。
【0056】
このように、右側の作業灯19は、その外側を右側面ブラケット34によって取囲まれた状態でスイングポスト11の右側板部15に取付けられている。このため、掘削作業時の土砂等が作業灯19に衝突するのを右側面ブラケット34によって阻止することができ、該作業灯19を保護することができる。
【0057】
また、作業灯支持具20を構成する左,右のアーム部20Aの先端部に設けられたねじ20Dを弛めることにより、作業灯19をスイングポスト11に対して上,下方向(図8中の矢示X方向)に揺動させることができ、作業灯19からの光の照射方向を上,下方向に調整することができる。
【0058】
一方、作業灯支持具20を右側面ブラケット34に固定しているボルト33を弛めることにより、作業灯19をスイングポスト11に対して左,右方向(図8中の矢示Y方向)に揺動させることができ、作業灯19からの光の照射方向を左,右方向に調整することができる構成となっている。
【0059】
本実施の形態による油圧ショベルは、スイングポスト11の左,右の側板部14,15にそれぞれ作業灯19を取付ける構成としたもので、これら左,右の作業灯19がスイングポスト11の揺動に追従しつつ掘削場所に光を照射するという基本的作動については、上述した第1の実施の形態と格別差異はない。
【0060】
然るに、本実施の形態によれば、スイングポスト11の左,右の側板部14,15にそれぞれ作業灯19を設ける構成としたので、これら左,右の作業灯19からの光の照射範囲を拡大することができる。このため、各作業灯19により充分な光量をもって掘削場所を広範囲に照らすことができ、夜間に側溝掘り等を行うときの作業性や安全性を大幅に高めることができる。
【0061】
また、左側の作業灯19は、左側面ブラケット31によって外側から取囲まれた状態でスイングポスト11の左側板部14に取付けられ、右側の作業灯19は、右側面ブラケット34によって外側から取囲まれた状態でスイングポスト11の右側板部15に取付けられているので、掘削作業時の土砂等が各作業灯19に衝突するのを左,右の側面ブラケット31,34によって阻止することができ、各作業灯19を保護することができる。
【0062】
なお、上述した第1の実施の形態では、上側取付部12と下側取付部13とを備えたスイングポスト11を用い、このスイングポスト11の下側取付部13に作業灯19を取付けた場合を例示している。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば図9に示す変形例のようなスイングポスト41に作業灯19を取付ける構成としてもよい。
【0063】
この場合、スイングポスト41は、旋回フレーム4の前端側に連結ピン17を介して揺動可能に取付けられる取付部42と、左,右の側板部14,15とを備え、取付部42は、上,下方向に延びる縦板部42Aと、該縦板部42Aの上,下方向の両端側から後方に延びた上,下のフランジ部42B,42Cとにより構成されている。そして、取付部42を構成する縦板部42Aの下端側に、作業灯19を取付ける構成としてもよい。
【0064】
また、上述した第1の実施の形態では、スイングポスト11の左,右の側板部14,15間に配置した作業灯19を、下側取付部13の湾曲部13Aに取付けた場合を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えば左側板部14のうち右側板部15と対面する内側面に作業灯19を取付けてもよく、これとは逆に右側板部15の内側面に作業灯19を取付けてもよい。
【0065】
さらに、上述した実施の形態では、建設機械としてクローラ式の油圧ショベル1を例示したが、本発明はこれに限らず、例えばホイール式の油圧ショベル、油圧クレーン等の他の建設機械に広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の第1の実施の形態が適用された油圧ショベルを示す正面図である。
【図2】作業装置等を取外した油圧ショベルを左側方から拡大してみた左側面図である。
【図3】図1中のスイングポスト、作業灯等の要部を拡大して示す一部破断の正面図である。
【図4】スイングポスト、作業灯を図3中の矢示IV−IV方向からみた左側面図である。
【図5】スイングポストを単体で示す斜視図である。
【図6】作業灯、作業灯支持具を拡大して示す斜視図である。
【図7】第2の実施の形態によるスイングポスト、左,右の側面ブラケット、作業灯を示す斜視図である。
【図8】スイングポスト、左,右の側面ブラケット、作業灯を図4と同様位置からみた左側面図である。
【図9】第1の実施の形態によるスイングポストの変形例を示す図3と同様位置からみた一部破断の正面図である。
【符号の説明】
【0067】
2 下部走行体
3 上部旋回体
4 旋回フレーム
9 作業装置
11,41 スイングポスト
12 上側取付部(取付部)
13 下側取付部(取付部)
14 左側板部
15 右側板部
17 連結ピン
18 スイングシリンダ
19 作業灯
20 作業灯支持具
31 左側面ブラケット
34 右側面ブラケット
42 取付部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自走可能な下部走行体と、該下部走行体上に旋回可能に搭載された上部旋回体と、該上部旋回体の前部側に左,右方向に揺動可能に設けられたスイングポストと、該スイングポストに俯仰動可能に設けられた作業装置とを備えてなる建設機械において、
前記スイングポストに前記作業装置の周囲を照らす作業灯を取付ける構成としたことを特徴とする建設機械。
【請求項2】
前記作業灯は前記スイングポストに対して上,下方向に揺動可能に取付ける構成としてなる請求項1に記載の建設機械。
【請求項3】
前記スイングポストは、前記上部旋回体の前部側に連結ピンを介して揺動可能に取付けられる取付部と、該取付部の左,右両側から前方に突出し前記作業装置の基端側が取付けられる左,右の側板部とにより構成し、
前記作業灯は前記左,右の側板部間に位置して取付ける構成としてなる請求項1または2に記載の建設機械。
【請求項4】
前記スイングポストは、前記上部旋回体の前部側に連結ピンを介して揺動可能に取付けられる取付部と、該取付部の左,右両側から前方に突出し前記作業装置の基端側が取付けられる左,右の側板部とにより構成し、
前記作業灯は前記左,右の側板部にそれぞれ取付ける構成としてなる請求項1または2に記載の建設機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−37362(P2006−37362A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−214630(P2004−214630)
【出願日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)