説明

建設機械

【課題】 熱交換ユニットの外枠を形成する支持枠体の強度を高めることにより、熱交換ユニットを車体に取付けるときの位置ずれを小さくして配管作業を容易にする。
【解決手段】 支持枠体12を形成する一対の側面板13,14の上,下方向の中間位置で、冷却風の流れ方向で内面板17と反対側には、各側面板13,14間を連結する補強用の中間連結部材19を設ける構成としている。従って、各側面板13,14は、中間連結部材19により曲げ変形や捩れ変形を生じないように強度を高めることができるから、ラジエータ20、オイルクーラ21、コンデンサ22、燃料クーラ23等の冷却器を支持枠体12の正確な位置に設けることができる。これにより、熱交換ユニット11を旋回フレーム5側に取付けたときに、この旋回フレーム5側の配管類と冷却器とを容易に接続することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば支持枠体内に冷却器が収められた熱交換ユニットを備えた油圧ショベル等の建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、建設機械の代表例としての油圧ショベルは、自走可能な下部走行体と、該下部走行体上に旋回可能に搭載された上部旋回体と、該上部旋回体の前側に俯仰動可能に設けられた作業装置とにより大略構成されている。
【0003】
上部旋回体は、支持構造体をなす旋回フレームと、該旋回フレームの前側に設けられオペレータが搭乗するキャブと、前記旋回フレームの後側に搭載されたエンジンと、該エンジンによって回転することにより外気を冷却風として吸込む冷却ファンと、前記エンジンによって駆動されることにより作動油を圧油として供給する油圧ポンプと、前記冷却風の上流側に位置して前記冷却ファンに対面して設けられた熱交換ユニットとにより大略構成されている。
【0004】
熱交換ユニットは、旋回フレームに取付けられた支持枠体と、該支持枠体に設けられ前記冷却ファンによって発生する冷却風を通過させることにより流体を冷却する冷却器とを備えている。この冷却器の一例としては、エンジンの冷却水を冷却するラジエータ、作動油を冷却するオイルクーラ、キャブ内に調和空気を供給する空調装置に用いられる冷媒を冷却するコンデンサ等が知られている。
【0005】
ここで、熱交換ユニットの外枠を形成する支持枠体は、前記冷却ファンによる冷却風の流れ方向と直交する方向で前記冷却器を挟む状態で設けられた一対の側面板と、該一対の側面板の上側位置で該各側面板間を連結する上連結部材と、前記一対の側面板の下側位置で該各側面板間を連結する下連結部材と、前記冷却風の流れ方向で前記エンジン側に位置して前記一対の側面板間に設けられた内面板とにより構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−335329号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1によれば、熱交換ユニットの支持枠体は、一対の側面板の上側部位を上連結部材によって接続し、下側部位を下連結部材によって接続しているだけである。このために、側面板を軽量で加工が容易な薄板材によって形成した場合には、側面板が曲がり、捩れ等の変形を生じる虞がある。側面板が変形すると、支持枠体に設けられる冷却器は、所定位置からずれて配置されることになる。この状態で熱交換ユニットを旋回フレームに取付けると、冷却器に設けられた接続口の位置と旋回フレーム側に設けた配管の位置とがずれてしまい、この接続口と配管との位置合せ作業に手間を要してしまうという問題がある。
【0008】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、支持枠体の強度を高めることにより、熱交換ユニットを車体に取付けるときの配管作業を容易に行うことができるようにした建設機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による建設機械は、自走可能な車体と、該車体に設けられ油圧ポンプを駆動すると共に冷却ファンを駆動する原動機と、支持枠体と該支持枠体に設けられ前記冷却ファンによって発生する冷却風を通過させることにより流体を冷却する冷却器とにより構成され前記支持枠体を介して前記車体に取付けられる熱交換ユニットとを備え、前記熱交換ユニットの支持枠体は、前記冷却ファンによる冷却風の流れ方向と直交する方向で前記冷却器を挟む状態で設けられた一対の側面板と、該一対の側面板の上側位置で該各側面板間を連結する上連結部材と、前記一対の側面板の下側位置で該各側面板間を連結する下連結部材と、前記冷却風の流れ方向で前記原動機側に位置して前記一対の側面板間に設けられた内面板とにより構成してなる。
【0010】
そして、上述した課題を解決するために、請求項1の発明が採用する構成の特徴は、前記一対の側面板の上,下方向の中間位置であって、かつ前記冷却風の流れ方向で前記内面板と反対側には、前記各側面板間を連結する補強用の中間連結部材を設ける構成としたことにある。
【0011】
請求項2の発明は、前記冷却風の流れ方向で前記内面板と反対側には、前記上連結部材と中間連結部材との間に位置して冷却風中の塵埃を捕捉する上側防塵ネットを設けると共に、前記下連結部材と中間連結部材との間に位置して冷却風中の塵埃を捕捉する下側防塵ネットを設ける構成としたことにある。
【0012】
請求項3の発明は、前記中間連結部材には、前記上側防塵ネットを前記上連結部材との間で取付ける上側ネット取付部と、前記下側防塵ネットを前記下連結部材との間で取付ける下側ネット取付部とを設ける構成としたことにある。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明によれば、一対の側面板の上,下方向の中間位置に設けた補強用の中間連結部材は、上連結部材と下連結部材との間の中間位置で、各側面板間を連結することができ、該各側面板が曲げ変形や捩れ変形を生じないように強度を高めることができる。従って、支持枠体に冷却器を設けた場合には、各側面板の変形を防止することができ、冷却器を所定の位置に正しく配置することができる。
【0014】
この結果、熱交換ユニットを車体に取付けるときには、冷却器に設けられた接続口を、車体側の配管に対して正確に配置することができるから、このときの配管の接続作業を容易に行うことができる。
【0015】
請求項2の発明によれば、冷却風の流れ方向で内面板と反対側に設けた中間連結部材は、支持枠体の開口部分を上,下で2つの区画に分けることができるから、上連結部材と中間連結部材との間の上側の区画に上側防塵ネットを設け、下連結部材と中間連結部材との間の下側の区画に下側防塵ネットを設けることができる。これにより、1つの防塵ネットを小さく形成することができるから、狭い場所でも防塵ネットを容易に着脱することができる。
【0016】
請求項3の発明によれば、上側防塵ネットと下側防塵ネットとの間に配置した中間連結部材には、上側ネット取付部と下側ネット取付部とを設けているから、中間連結部材は、上側ネット取付部に上側防塵ネットの下側部位を取付けることができ、下側ネット取付部に下側防塵ネットの上側部位を取付けることができる。防塵ネットの取付部を別途設ける場合に比較して、組立工数、部品点数等を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態に係る油圧ショベルを示す正面図である。
【図2】旋回フレームにエンジン、熱交換ユニット等を搭載した状態を示す平面図である。
【図3】旋回フレームに熱交換ユニットを搭載した状態を示す要部拡大の斜視図である。
【図4】旋回フレームに熱交換ユニットを搭載した状態を図3中の矢示IV−IV方向から見た拡大断面図である。
【図5】熱交換ユニットを示す斜視図である。
【図6】各防塵ネットを取外した熱交換ユニットを示す正面図である。
【図7】熱交換ユニットを分解した状態で示す分解斜視図である。
【図8】熱交換ユニットの支持枠体を示す斜視図である。
【図9】支持枠体から上側防塵ネットをずらした状態を示す分解斜視図である。
【図10】支持枠体から下側防塵ネットを取外した状態を示す分解斜視図である。
【図11】第1の側面板を単体で示す斜視図である。
【図12】第2の側面板を単体で示す斜視図である。
【図13】上連結部材を単体で示す斜視図である。
【図14】下連結部材を単体で示す斜視図である。
【図15】中間結部材を単体で示す斜視図である。
【図16】中間結部材を図15中の矢示XVI−XVI方向から見た拡大断面図である。
【図17】上連結部材に対する上側防塵ネットの取付状態を図5中の矢示XVII−XVII方向から見た拡大断面図である。
【図18】中間連結部材に対する上側防塵ネットと下側防塵ネットの取付状態を図5中の矢示XVIII−XVIII方向から見た拡大断面図である。
【図19】第1の側面板に対する上側防塵ネットの取付状態を図5中の矢示XIX−XIX方向から見た拡大断面図である。
【図20】第1の側面板に対する下側防塵ネットの取付状態を図5中の矢示XX−XX方向から見た拡大断面図である。
【図21】第1の変形例による中間連結部材を図16と同様位置から見ら拡大断面図である。
【図22】第2の変形例による中間連結部材を図16と同様位置から見ら拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態に係る建設機械の代表例として、ラジエータ、オイルクーラ、空調装置のコンデンサ、燃料クーラを備えた熱交換ユニットを搭載した小型の油圧ショベルを例に挙げ、図1ないし図20に従って詳細に説明する。
【0019】
図1において、1は建設機械としてのクローラ式の油圧ショベルを示している。この油圧ショベル1は、自走可能な下部走行体2と、該下部走行体2上に旋回可能に搭載され該下部走行体2と共に車体を構成する上部旋回体3と、該上部旋回体3の前,後方向の前側に俯仰動可能に設けられ土砂の掘削作業等を行う作業装置4とにより大略構成されている。
【0020】
作業装置4は、後述する旋回フレーム5の支持ブラケット5Dに揺動可能に設けられたスイングポスト4Aと、該スイングポスト4Aに俯仰動可能に取付けられたブーム4Bと、該ブーム4Bの先端部に俯仰動可能に取付けられたアーム4Cと、該アーム4Cの先端部に回動可能に取付けられたバケット4Dと、前記ブーム4Bを俯仰動するブームシリンダ4Eと、前記アーム4Cを俯仰動するアームシリンダ4Fと、前記バケット4Dを回動するバケットシリンダ4Gとにより構成されている。
【0021】
5は上部旋回体3の支持構造体を構成する旋回フレームである。この旋回フレーム5は、図2、図3に示す如く、左,右方向の中間部を前,後方向に延びた平板状の底板5Aと、該底板5Aの上面側に左,右方向に離間して略V字状に立設された左縦板5B,右縦板5Cと、該各縦板5B,5Cの前端部に設けられ、作業装置5を支持する支持ブラケット5Dと、左,右方向の外側に位置して前,後方向に延びた左サイドフレーム5E,右サイドフレーム5Fと、前記底板5Aと各縦板5B,5Cから左,右方向に延びて各サイドフレーム5E,5Fに接続された張出しビーム5Gとにより大略構成されている。また、後側であって左,右方向の一側には、隣合う張出しビーム5G間を前,後方向に延びて補助ビーム5Hが設けられ、該補助ビーム5H上には後述の熱交換ユニット11が搭載されている。
【0022】
6は旋回フレーム5の左前側に搭載されたキャブである(図1参照)。このキャブ6は、オペレータが搭乗するもので、内部にはオペレータが着座する運転席、走行用の操作レバー、作業用の操作レバー等が配設されている。さらに、キャブ6には、空調装置の室内機(いずれも図示せず)が設けられている。ここで、空調装置は、キャブ6内に冷気、暖気等の調和空気を供給するもので、室外機をなす後述のコンデンサ22を含んで構成されている。
【0023】
7は旋回フレーム5の後端部に取付けられたカウンタウエイトである。このカウンタウエイト7は、作業装置4との重量バランスをとるもので、図2に示すように、略円弧状をした重量物として形成されている。
【0024】
8は旋回フレーム5の後側に設けられた原動機としてのエンジンで、該エンジン8は、左,右方向に延在する横置き状態に搭載されている。エンジン8の左,右方向の一側には、冷却ファン8Aが設けられ、該冷却ファン8Aは、エンジン8によって回転駆動されることにより、外気を冷却風として後述の外装カバー10内に吸込み、熱交換ユニット11に供給するものである。一方、エンジン8の他側には、後述の作動油タンク28から供給される作動油を昇圧(加圧)して吐出する油圧ポンプ9が取付けられている。各種アクチュエータを駆動して戻される作動油は、後述の流入側配管29を介してオイルクーラ21に供給され、該オイルクーラ21によって冷却された後に流出側配管30を介して作動油タンク28に戻される。
【0025】
10はキャブ6の後側から側方に亘って旋回フレーム5に設けられた外装カバーを示し、該外装カバー10は、旋回フレーム5上に搭載されたエンジン8、油圧ポンプ9、熱交換ユニット11等を覆うものである。また、外装カバー10は、エンジン8の冷却ファン8Aが回転駆動されたときに、上流側に位置する側面ドア10Aから外気を冷却風として流入させ、各部を冷却して暖まった冷却風を下流側の側面ドア(図示せず)から外部に流出させるものである。
【0026】
次に、エンジンの冷却水、作動油、冷媒、燃料を冷却風により冷却する本実施の形態による熱交換ユニット11について、図2ないし図20を参照しつつ説明する。
【0027】
図2において、11はエンジン8の冷却ファン8Aの前面側に対面するように旋回フレーム5の後側に設けられた熱交換ユニットを示している。この熱交換ユニット11は、温度上昇した各種の流体を冷却風により冷却するものである。そして、熱交換ユニット11は、図4ないし図7等に示す如く、後述の支持枠体12、ラジエータ20、オイルクーラ21、コンデンサ22、燃料クーラ23、上側防塵ネット24、下側防塵ネット26等により大略構成されている。
【0028】
12は熱交換ユニット11の外枠をなす支持枠体で、該支持枠体12は、冷却ファン8Aによる冷却風の流れ方向と直交する方向、即ち、本実施の形態のように左,右方向に延在する横置き状態に搭載されたエンジン8では、上部旋回体3の前,後方向が横幅方向となるように配置されている。この支持枠体12は、ラジエータ20、オイルクーラ21、コンデンサ22および燃料クーラ23を取囲んで支持する枠構造体として形成されている。
【0029】
支持枠体12は、エンジン8の冷却ファン8Aによる冷却風の流れ方向と直交する方向でラジエータ20、オイルクーラ21等を挟む状態で設けられた第1の側面板13、第2の側面板14と、該一対の側面板13,14の上側位置で該各側面板13,14間を連結する上連結部材15と、前記一対の側面板13,14の下側位置で該各側面板13,14間を連結する下連結部材16と、前記冷却風の流れ方向で前記エンジン8側に位置して前記一対の側面板13,14間に設けられた内面板17と、前記一対の側面板13,14の上,下方向の中間位置であって、かつ前記冷却風の流れ方向で前記内面板17と反対側で前記各側面板13,14間を連結する補強用の中間連結部材19とにより構成されている。そして、支持枠体12は、図4に示すように、例えば各側面板13,14の下部および下連結部材16が旋回フレーム5の補助ビーム5H上にボルト18を用いて取付けられている。
【0030】
13は幅方向のキャブ6側に配置された第1の側面板で、該第1の側面板13は、冷却風の流れ方向に沿うように左,右方向に延びつつ上,下方向に延びた板材(パネル材)により形成されている。第1の側面板13は、図11等に示すように、上,下方向に長尺な長方形状の側面部13Aと、該側面部13Aの上端縁に屈曲して設けられた上面部13Bと、前記側面部13Aの下端縁に屈曲して設けられた下面部13Cと、前記側面部13Aの中間部から上側に亘りエンジン8と反対側の外側端縁に屈曲して設けられた上側外面部13Dと、前記側面部13Aの下側であって該上側外面部13Dの下側の段差部13Eを介してエンジン8側(内側)に後退し、側面部13Aの外側端縁に屈曲して設けられた下側外面部13Fと、前記側面部13Aのエンジン8側となる内側端縁に屈曲して設けられた内面部13Gとにより大略構成されている。
【0031】
上面部13B、下側外面部13Fには、ボルト挿通孔13Hが設けられ、側面部13Aの上部、下面部13C、上側外面部13Dの下部、内面部13Gには、例えば溶接ナットを用いた雌ねじ孔13Jが設けられている。
【0032】
第1の側面板13には、側面部13Aの上側寄りに位置してコンデンサ取付ブラケット13Kが設けられ、該コンデンサ取付ブラケット13Kには、後述のコンデンサ22が取付けられる。また、上側外面部13Dの上,下方向に中間位置には、上側ネット取付部13Lが設けられ、この上側ネット取付部13Lは、図19に示すように、板材をL字状に折り曲げることで、上側外面部13Dとの間に隙間を形成し、この隙間に後述する上側防塵ネット24の奥枠24Cに当接するものである。さらに、下側外面部13Fの上側寄りには、下側ネット取付部13Mが設けられ、この下側ネット取付部13Mは、下側外面部13Fから突出して延びた平板からなり、後述する下連結部材16の取付部16Cとの間に隙間を形成し、この隙間に後述する下側防塵ネット26の横枠26Cを挟んで取付けるものである。
【0033】
14は第1の側面板13と対面するように幅方向のカウンタウエイト7側に配置された第2の側面板で、該第2の側面板14は、冷却風の流れ方向に沿うように左,右方向に延びつつ上,下方向に延びた薄板材(パネル材)により形成されている。第2の側面板14は、図7、図12等に示す如く、前述した第1の側面板13とほぼ同様に、側面部14A、上面部14B、下面部14C、上側外面部14D、段差部14E、下側外面部14F、内面部14Gにより大略構成されている。また、側面部14Aの上部、上面部14B、下側外面部14Fには、ボルト挿通孔14Hが設けられ、側面部14Aの段差部14E近傍、下面部14C、内面部14Gには、例えば溶接ナットを用いた雌ねじ孔14Jが設けられている。
【0034】
第2の側面板14には、第1の側面板13のコンデンサ取付ブラケット13Kとほぼ同様のコンデンサ取付ブラケット14Kが設けられている。また、側面部14Aの中間部外側には、後述の上側防塵ネット24を固定するための蝶ボルト25が螺着される雌ねじ孔14Lが設けられている。さらに、下側外面部14Fの上側寄りには、第1の側面板13の下側ネット取付部13Mとほぼ同様の下側ネット取付部14Mが設けられている。
【0035】
15は一対の側面板13,14の上側位置に設けられた上連結部材を示している。この上連結部材15は、各側面板13,14の上部を連結するもので、複数枚の板材を組合わせることにより、各側面板13,14に比較して高強度に形成されている。ここで、上連結部材15は、キャブ6側の上部にエアクリーナ用の配管(図示せず)を通すために、キャブ6側が低くなるようにステップ状に形成されている。
【0036】
上連結部材15は、図13等に示すように、キャブ6側に位置して横幅方向に延びた低所上面部15Aと、該低所上面部15Aのカウンタウエイト7側から上方向に延びた段差部15Bと、該段差部15Bの上部からカウンタウエイト7側に延びた高所上面部15Cと、前記低所上面部15Aのキャブ6側から下方向に延びた低所側取付部15Dと、前記高所上面部15Cのカウンタウエイト7側から下方向に延びた高所側取付部15Eと、該各取付部15D,15E間で各上面部15A,15Cの下側に取付けられたクランク状の縦板部15Fとにより大略構成されている。
【0037】
低所側取付部15Dには、ボルト挿通孔15Gが設けられ、低所上面部15Aのキャブ6側部位、高所上面部15Cのカウンタウエイト7側部位、高所側取付部15Eには、例えば溶接ナットを用いた雌ねじ孔15Hが設けられている。上連結部材15には、縦板部15Fのカウンタウエイト7側に後述するラジエータ20の上部が取付けられ、縦板部15Fのキャブ6側に後述するオイルクーラ21の上部が取付けられるようになっている。
【0038】
低所上面部15A、段差部15B、高所上面部15Cの外側位置には、板材をL字状に折り曲げることにより上側ネット取付部15Jが設けられている。また、低所上面部15A、高所上面部15Cの裏面には、図17に示すように、上側ネット取付部15Jとの間に後述する上側防塵ネット24の上枠24Aを挟んで取付けるための挟持部15K(高所上面部15C側のみ図示)が設けられている。
【0039】
16は一対の側面板13,14の下側位置に設けられた下連結部材を示している。この下連結部材16は、各側面板13,14の下部を連結すると共に、熱交換ユニット11を旋回フレーム5側に取付ける取付ベースとなるものである。下連結部材16は、複数枚の板材を組合わせることにより、各側面板13,14に比較して高強度に形成されている。
【0040】
下連結部材16は、図14等に示すように、支持枠体12の底面をなすように幅方向に延びた底面部16Aと、該底面部16Aの外側から立上がり幅方向の両端部が外側に屈曲した縦板部16Bと、該縦板部16Bのキャブ6側の端部に折り曲げて形成された取付部16Cと、前記縦板部16Bのカウンタウエイト7側の端部に折り曲げて形成された取付部16Dとにより大略構成されている。縦板部16Bには、キャブ6側寄りに位置して燃料クーラ取付ブラケット16Eが設けられ、該燃料クーラ取付ブラケット16Eには、後述の燃料クーラ23が取付けられる。
【0041】
底面部16Aの両端部の内側位置(エンジン8側位置)には、ボルト挿通孔16Fが設けられ、底面部16Aの両端部の外側位置(エンジン8と反対側位置)、各取付部16C,16Dには、例えば溶接ナットを用いた雌ねじ孔16Gが設けられている。下連結部材16には、縦板部16Bのカウンタウエイト7側に後述するラジエータ20の下部が取付けられ、縦板部16Bのキャブ6側に後述するオイルクーラ21の下部が取付けられるようになっている。
【0042】
各取付部16C,16Dは、図20等に示すように、各側面板13,14の下側ネット取付部13M,14Mとの間に隙間を形成し、この隙間に後述する下側防塵ネット26の各横枠26C,26Dを挟んで取付けるものである。即ち、各取付部16C,16Dは、ネット取付部の一部を構成している。
【0043】
17は各側面板13,14に設けられた内面板で、該内面板17は、各側面板13,14のうち冷却風の流れ方向でエンジン8側(内側)に位置して前記各側面板13,14間に設けられている。この内面板17は、支持枠体12のエンジン8側を覆うように略長方形状に形成された平板部17Aと、該平板部17Aに円筒状に形成されたファンカバー部17Bとにより構成されている。ファンカバー部17Bは、エンジン8の冷却ファン8Aを取囲むことにより、後述のラジエータ20、オイルクーラ21等に冷却風を効率よく供給できるようにしている。
【0044】
ここで、支持枠体12の組立構造と旋回フレーム5に対する取付構造について、図7を参照しつつ述べる。第1の側面板13の上部に上連結部材15を配置し、第1の側面板13の下部に下連結部材16を配置する。この状態で、ボルト18を上連結部材15のボルト挿通孔15Gに挿通し、第1の側面板13の雌ねじ孔13Jと下連結部材16の雌ねじ孔16Gに螺着する。同様に、第2の側面板14の上部と下部に上連結部材15と下連結部材16を配置してボルト18を螺着する。これにより、第1の側面板13、第2の側面板14、上連結部材15および下連結部材16によって角枠構造体を形成することができる。さらに、第1の側面板13、第2の側面板14、上連結部材15および下連結部材16によって角枠構造体を形成したら、内面板17の平板部17Aの周囲をボルト18を用いて各側面板13,14の内面部13G,14Gに螺着して取付ける。このように形成した支持枠体12は、ラジエータ20、オイルクーラ21等を取付けた後に、旋回フレーム5の補助ビーム5H上に載せ、下側からボルト18によって固定することができる。
【0045】
支持枠体12は、第1の側面板13、第2の側面板14の上部と下部とを上連結部材15と下連結部材16によって連結しており、内面板17が取付けられたエンジン8側は、変形に対する強度を有している。一方で、内面板17と冷却風の流れ方向で反対側となる支持枠体12の外側では、内面板17が無いからエンジン8側よりも弱く、下部と上部との相対的な横方向の変形、捩れ変形等を生じる虞がある。そこで、支持枠体12には、これらの変形に対する強度を高めるために後述の中間連結部材19を設けている。
【0046】
19は一対の側面板13,14間に連結して設けられた補強用の中間連結部材を示している。この中間連結部材19は、各側面板13,14の上,下方向の中間位置であって、かつ冷却風の流れ方向で内面板17と反対側、即ち、各側面板13,14の外側位置に横幅方向に延びて設けられている。中間連結部材19は、支持枠体12の変形に対する強度を高めるための補強部材を構成している。また、中間連結部材19には、後述する上側防塵ネット24の下部と下側防塵ネット26の上部とを取付けることができる。
【0047】
中間連結部材19は、図15に示すように、横幅方向に延びる長尺な平板状の横板部19Aと、該横板部19Aのキャブ6側に位置し、該横板部19Aの外側の端縁から屈曲して上側に延びたキャブ側取付部19Bと、前記横板部19Aのカウンタウエイト7側の端縁部から屈曲して上側に延びたウエイト側取付部19Cと、前記各取付部19B,19C間に位置して外側の端縁から屈曲して上側に延びた長尺な上側ネット取付部19Dとにより大略構成されている。
【0048】
中間連結部材19の横板部19Aには、図16に示すように、上側ネット取付部19Dとの間に隙間をもって挟持部19Eが設けられ、中間連結部材19は、図18に示すように、上側ネット取付部19Dと挟持部19Eとの間の隙間に、後述する上側防塵ネット24の下枠24Bを挟んで取付けることができる。横板部19Aの長さ方向のほぼ中間部には、上側に突出するように下側ネット取付部としての下側ネット取付ボルト19Fが設けられている。この下側ネット取付ボルト19Fには、後述する下側防塵ネット26のボルト挿通孔26Fを挿通することができ、この状態で該下側ネット取付ボルト19Fに後述の蝶ナット27を螺着することにより、下側防塵ネット26の上部を取付けることができる。
【0049】
中間連結部材19に設けた上側ネット取付部19Dと挟持部19Eは、各取付部19B,19C間のほぼ全長に設けているから、中間連結部材19の長さ方向の大部分をL字状の横断面形状に形成することができる。これにより、中間連結部材19は、曲げ変形や捩れ変形に対する強度を有している。さらに、キャブ側取付部19Bには、ボルト挿通孔19Gが設けられ、ウエイト側取付部19Cには、例えば溶接ナットを用いた雌ねじ孔19Hが設けられている。
【0050】
中間連結部材19は、横板部19Aのキャブ6側の端部を第1の側面板13の段差部13Eに近接して配置し、キャブ側取付部19Bを第1の側面板13の上側外面部13Dに当接させ、ボルト挿通孔19Gに挿通したボルト18を第1の側面板13の雌ねじ孔13Jに螺着することにより、キャブ側取付部19Bを第1の側面板13に取付けることができる。一方、横板部19Aのカウンタウエイト7側の端部を第2の側面板14の段差部14Eに近接して配置し、ウエイト側取付部19Cを第2の側面板14の側面部14Aに当接させ、ボルト挿通孔14Hに挿通したボルト18をウエイト側取付部19Cの雌ねじ孔19Hに螺着することにより、ウエイト側取付部19Cを第2の側面板14に取付けることができる。
【0051】
このように、中間連結部材19によって各側面板13,14間を連結することにより、該各側面板13,14が曲げ変形や捩れ変形を生じないように支持枠体12全体を補強し、強度を高めることができる。
【0052】
20は支持枠体12内に設けられた冷却器としてのラジエータである。このラジエータ20は、支持枠体12内のカウンタウエイト7側寄りに位置し、エンジン8の冷却ファン8Aによる冷却風の流れ方向に対し直交するように、旋回フレーム5の前,後方向を横幅方向として配置されている。
【0053】
ラジエータ20は、エンジン8を冷却して温度上昇したエンジン冷却水を冷却するもので、上部タンク20A、下部タンク20Bおよび放熱部20Cにより大略構成され、各タンク20A,20Bがエンジン8のウォータジャケット(図示せず)に接続される。ラジエータ20は、上部タンク20Aが支持枠体12の上連結部材15にボルト止めされ、下部タンク20Bが下連結部材16にボルト止めされている。
【0054】
21は支持枠体12内にラジエータ20と並列に設けられた冷却器としてのオイルクーラである。このオイルクーラ21は、ラジエータ20とほぼ同一の平面をなすように配置されている。オイルクーラ21は、ラジエータ20とほぼ同様に、上部タンク21A、下部タンク21Bおよび放熱部21Cにより大略構成されている。オイルクーラ21は、上部タンク21Aが支持枠体12の上連結部材15にボルト止めされ、下部タンク21Bが下連結部材16にボルト止めされている。
【0055】
上部タンク21Aには、流入側の接続口21Dが突出して設けられている。また、下部タンク21Bには、流出側の接続口21Eが突出して設けられている。ここで、オイルクーラ21の各接続口21D,21Eは、熱交換ユニット11を旋回フレーム5上に取付けたときに、この旋回フレーム5側に設けられた配管29,30の端部と対向して配置され、継手31を介して接続されるものである。
【0056】
22はラジエータ20、オイルクーラ21の上流側に対面するように支持枠体12内に設けられた冷却器としてのコンデンサを示している。このコンデンサ22は、キャブ6内の室内機から供給される気化した冷媒の熱を放出(冷却)して液体に戻すもので、室内機、エンジン8によって駆動されるコンプレッサ(図示せず)等と共に空調装置を構成している。コンデンサ22は、幅方向の両側部分が各側面板13,14のコンデンサ取付ブラケット13K,14Kにボルト止めされている。
【0057】
23はラジエータ20、オイルクーラ21の上流側に対面するようにコンデンサ22の下側に配置された冷却器としての燃料クーラを示している。この燃料クーラ23は、下連結部材16の燃料クーラ取付ブラケット16Eにボルト止めされている。燃料クーラ23は、エンジン8に供給する燃料を冷やすことにより、燃料の膨張を抑制して燃料消費率を向上することができる。
【0058】
24は支持枠体12の冷却風の流れ方向で内面板17と反対側に設けられた上側防塵ネットである。この上側防塵ネット24は、上連結部材15と中間連結部材19との間に配置され、冷却風中の塵埃を捕捉するものである。上側防塵ネット24は、図7、図9に示すように、上側部分を形成する上枠24Aと、下側部分を形成する下枠24Bと、横方向に抜き差しするときの奥部に位置して上枠24A,下枠24B間に設けられた奥枠24Cと、奥枠24Cと反対側に位置して上枠24A,下枠24B間に設けられた手前枠24Dとにより角枠体として形成され、角枠体の内部は金属、樹脂等のメッシュ材からなるネット部24Eとなっている。また、手前枠24Dには、第2の側面部14の雌ねじ孔14Lに対応する上,下方向の中間部に位置して抜止め用ブラケット24Fと把手24Gとが設けられている。
【0059】
上側防塵ネット24を支持枠体12に取付ける場合には、第2の側面板14側を抜き差し側とし、図9に示すように、上枠24Aを上連結部材15の上側ネット取付部15Jと挟持部15Kとの隙間に差し入れ、下枠24Bを中間連結部材19の上側ネット取付部19Dと挟持部19Eとの隙間に差し入れる。奥枠24Cが第1の側面板13の上側ネット取付部13Lに当接するまで上側防塵ネット24を差し込んだら、図5に示すように、抜止め用ブラケット24Fに挿通した蝶ボルト25を、第2の側面部14の雌ねじ孔14Lに螺着する。これにより、支持枠体12の上流側で上連結部材15と中間連結部材19との間に上側防塵ネット24を取付けることができる。この上側防塵ネット24の差込み作業または抜取り作業では、中間連結部材19によって支持枠体12の強度を高めて変形を抑制したことにより、上側防塵ネット24を円滑に抜き差しできるようになっている。
【0060】
26は上側防塵ネット24の下側に設けられた下側防塵ネットである。この下側防塵ネット26は、下連結部材16と中間連結部材19との間に配置され、冷却風中の塵埃を捕捉するものである。下側防塵ネット26は、図7、図10に示すように、上側部分を形成する上枠26Aと、下側部分を形成する下枠26Bと、上,下方向に延びて上枠26A,下枠26Bの両端部を連結した一対の横枠26C,26Dとにより角枠体として形成され、角枠体の内部は金属、樹脂等のメッシュ材からなるネット部26Eとなっている。また、差込み側となる上枠26Aは、各横枠26C,26Dに対し上流側にほぼ直角に屈曲し、中間連結部材19の下側ネット取付ボルト19Fに対応する位置にはボルト挿通孔26Fが形成されている。
【0061】
下側防塵ネット26を支持枠体12に取付ける場合には、中間連結部材19側を抜き差し側とし、図10に示すように、各横枠26C,26Dを各側面板13,14の下側ネット取付部13M,14Mと下連結部材16の各取付部16C,16Dとの隙間に差し入れ、上枠26Aを中間連結部材19の横板部19A上に当接させる。このときには、上枠26Aのボルト挿通孔26Fに中間連結部材19の下側ネット取付ボルト19Fが挿通するから、該下側ネット取付ボルト19Fに蝶ナット27を螺着することにより、支持枠体12の上流側で下連結部材16と中間連結部材19との間に下側防塵ネット26を取付けることができる。この下側防塵ネット26の差込み作業または抜取り作業では、上側防塵ネット24の抜き差し作業と同様に、中間連結部材19によって支持枠体12の強度を高めて変形を抑制したことにより、下側防塵ネット26を円滑に抜き差しできるようになっている。
【0062】
28は油圧ポンプ9の前側に位置して旋回フレーム5上に設けられた作動油タンク(図2参照)で、該作動油タンク28は、油圧ポンプ9に供給する作動油を貯えるものである。作業装置4の各シリンダ4E,4F,4G等のアクチュエータから戻される作動油は、温度上昇するから、作動油が高温の場合にはオイルクーラ21で冷却した後に作動油タンク28に戻されるようになっている。
【0063】
従って、旋回フレーム5上には、コントロールバルブ(図示せず)からオイルクーラ21に向けて延びる流入側配管29と、オイルクーラ21で冷却した作動油を作動油タンク28に戻す流出側配管30とが設けられている。この流入側配管29と流出側配管30は、図3に示すように、熱交換ユニット11を旋回フレーム5上に搭載したときに、オイルクーラ21の流入側の接続口21Dと流出側の接続口21Eと対向するように旋回フレーム5に固定されている。即ち、流入側配管29は、オイルクーラ21の流入側の接続口21Dと継手31を介して接続され、流出側配管30は、オイルクーラ21の流出側の接続口21Eと継手31を介して接続されている。なお、32は作動油タンク28の側方に設けられた燃料タンクである。
【0064】
本実施の形態による熱交換ユニット11は、上述の如き構成を有するものである。次に、熱交換ユニット11を組立てるときの組立動作、旋回フレーム5への取付動作の一例について説明する。
【0065】
熱交換ユニット11の支持枠体12を組立てる場合には、第1の側面板13の上部と第2の側面板14の上部との間に上連結部材15を配置し、これらをボルト18を用いて取付ける。また、第1の側面板13の下部と第2の側面板14の下部との間に下連結部材16を配置し、これらをボルト18を用いて取付けることで角枠状に形成する。内面板17の平板部17Aを各側面板13,14の内面部13G,14Gにあてがい、ボルト18を用いて取付ける。
【0066】
中間連結部材19を冷却風の流れ方向で内面板17と反対側で、各側面板13,14の上,下方向の中間位置に配置し、その両側を該各側面板13,14にボルト18を用いて取付ける。これにより、各側面板13,14は、上,下方向の中間位置が中間連結部材19によって連結されることにより、支持枠体12の強度を高めて曲げ変形や捩れ変形を抑制することができる。
【0067】
このように支持枠体12を形成したら、冷却器の取付作業を行う。上連結部材15と下連結部材16との間にラジエータ20とオイルクーラ21とを並列に取付け、該ラジエータ20、オイルクーラ21の上流側にコンデンサ22を直列に配置し、該コンデンサ22の両端部を各側面板13,14に取付ける。さらに、コンデンサ22の下側に燃料クーラ23を配置し、この燃料クーラ23を下連結部材16に取付ける。
【0068】
支持枠体12に対してラジエータ20、オイルクーラ21等を取付けたら、旋回フレーム5に取付ける。この場合には、ラジエータ20、オイルクーラ21等が設けられた支持枠体12を、図4に示すように、旋回フレーム5の補助ビーム5H上に載せ、該補助ビーム5Hに下側から挿通したボルト18を支持枠体12の上連結部材15、各側面板13,14に螺着することにより、熱交換ユニット11を旋回フレーム5上の所定位置に取付けることができる。
【0069】
熱交換ユニット11を旋回フレーム5上の所定位置に取付けたら、ラジエータ20、オイルクーラ21、コンデンサ22、燃料クーラ23に対する配管作業を行う。例えばオイルクーラ21に対する配管作業について述べると、熱交換ユニット11を旋回フレーム5上の取付けたら、オイルクーラ21の流入側の接続口21Dを旋回フレーム5側に取付けられている流入側配管29に接続し、流出側の接続口21Eを流出側配管30に接続する。
【0070】
このオイルクーラ21の配管作業では、中間連結部材19によって支持枠体12の強度を高めて変形を抑制したことにより、支持枠体12に対してオイルクーラ21等を正確な位置に取付けることができる。従って、熱交換ユニット11を旋回フレーム5上に取付けたときには、オイルクーラ21の流入側の接続口21Dを流入側配管29に対向させることができ、位置合わせ作業を省略して、接続口21Dと流入側配管29とを継手31によって容易に接続することができる。同様に、流出側の接続口21Eと流出側配管30とを継手31によって容易に接続することができる。ラジエータ20、コンデンサ22、燃料クーラ23についても、それぞれの配管作業を容易に行うことができる。
【0071】
旋回フレーム5上に熱交換ユニット11を組付けたら、各防塵ネット24,26を熱交換ユニット11の支持枠体12に取付ける。まず、下側防塵ネット26の各横枠26C,26Dを各側面板13,14の下側ネット取付部13M,14Mと下連結部材16の各取付部16C,16Dとの隙間に差し入れ、上枠26Aを中間連結部材19に対して蝶ナット27で取付ける。これにより、支持枠体12の上流側で下連結部材16と中間連結部材19との間に下側防塵ネット26を取付けることができる。
【0072】
次に、上側防塵ネット24の上枠24Aを上連結部材15の上側ネット取付部15Jと挟持部15Kとの隙間に差し入れ、下枠24Bを中間連結部材19の上側ネット取付部19Dと挟持部19Eとの隙間に差し入れて、奥枠24Cを第1の側面板13の上側ネット取付部13Lに当接させる。この状態で、上側防塵ネット24を蝶ボルト25を用いて第2の側面部14に取付ける。これにより、支持枠体12の上流側で上連結部材15と中間連結部材19との間に上側防塵ネット24を取付けることができる。
【0073】
この上側防塵ネット24、下側防塵ネット26の差込み作業では、中間連結部材19によって支持枠体12の強度を高めて変形を抑制したことにより、円滑に差し込むことができる。同様に、抜取り作業も円滑に行うことができる。
【0074】
かくして、本実施の形態によれば、支持枠体12を形成する一対の側面板13,14の上,下方向の中間位置であって、かつエンジン8の冷却ファン8Aによる冷却風の流れ方向でエンジン8側の内面板17と反対側には、ラジエータ20、オイルクーラ21等の横幅方向に延びて前記各側面板13,14間を連結する補強用の中間連結部材19を設ける構成としている。
【0075】
従って、各側面板13,14の上,下方向の中間位置に設けた中間連結部材19は、上連結部材15と下連結部材16との間の中間位置で、各側面板13,14間を連結することができ、該各側面板13,14が曲げ変形や捩れ変形を生じないように強度を高めることができる。これにより、支持枠体12にラジエータ20、オイルクーラ21、コンデンサ22、燃料クーラ23等の冷却器を設けた場合には、各側面板13,14の変形を防止することで、これらの冷却器を所定の位置に正しく配置することができる。
【0076】
この結果、熱交換ユニット11を旋回フレーム5に取付けるときには、例えばオイルクーラ21に設けられた接続口21D,21Eを、旋回フレーム5側の配管29,30に対して正確に配置することができるから、このときの接続作業を容易に行うことができる。ラジエータ20、コンデンサ22、燃料クーラ23についても、オイルクーラ21と同様に容易に接続することができる。
【0077】
また、冷却風の流れ方向で内面板17と反対側には、上連結部材15と中間連結部材19との間に位置して冷却風中の塵埃を捕捉する上側防塵ネット24を設けると共に、下連結部材16と中間連結部材19との間に位置して下側防塵ネット26を設ける構成としている。従って、中間連結部材19によって支持枠体12の開口部分を上,下で2つの区画に分けることにより、それぞれの区画に防塵ネット24,26を設けることができる。これにより、各防塵ネット24,26を小さく形成することができるから、狭い場所でも防塵ネット24,26を容易に着脱することができる。
【0078】
さらに、中間連結部材19には、上側防塵ネット24を上連結部材15との間で取付けるための上側ネット取付部19D、挟持部19Eと、下側防塵ネット26を下連結部材16との間で取付ける下側ネット取付ボルト19Fとを設ける構成としている。従って、中間連結部材19は、上側ネット取付部19Dと挟持部19Eとの隙間に上側防塵ネット24の下枠24Bを取付けることができ、下側ネット取付ボルト19Fに下側防塵ネット26の上枠26Aを取付けることができる。これにより、各防塵ネット24,26の取付部を別途設ける場合に比較して、組立工数、部品点数等を削減することができる。
【0079】
なお、実施の形態では、中間連結部材19に横板部19Aから屈曲するように上側ネット取付部19Dを設けることにより、該中間連結部材19の長さ方向の大部分をL字状の横断面形状に形成した場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば図21に示す第1の変形例のように構成してもよい。この第1の変形例による中間連結部材41は、横板部41Aと、該横板部41Aの一方側から上側に屈曲して延びた上側ネット取付部41Bと、前記横板部41Aの他方側から下側に屈曲して延びた垂下部41CとによりS字状ないしクランク状の横断面形状に形成し、両端に取付部(図示せず)を設け、横板部41Aに挟持部41Dと下側ネット取付ボルト41Eを設ける構成としてもよい。この第1の変形例では、中間連結部材41をS字状ないしクランク状の横断面形状とすることで、より一層高い強度を得ることができる。
【0080】
また、図22に示す第2の変形例のように構成してもよい。この第2の変形例による中間連結部材51は、幅方向に延びたパイプ部51Aに上側ネット取付部51B、挟持部51C、下側ネット取付ボルト51Dおよび各取付部(図示せず)を設ける構成としている。この第2の変形例では、中間連結部材51を中空構造体とすることで、軽量で高い強度を得ることができる。
【0081】
また、実施の形態では、ラジエータ20、オイルクーラ21の上流側に重ねるように空調装置のコンデンサ22を直列に配置する構成とした場合を例示している。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えばコンデンサに代えてインタクーラ等の冷却器を配置する構成としてもよい。また、ラジエータとオイルクーラとを直列に重ねて配置する構成としてもよい。
【0082】
一方、実施の形態では、上連結部材15と下連結部材16との間に1本の中間連結部材19を設け、該中間連結部材19を挟んで2つの防塵ネット24,26を設ける構成とした場合を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えば上連結部材15と下連結部材16との間に2本以上の中間連結部材19を設け、該各中間連結部材19の本数に応じて防塵ネットを3つ以上設ける構成としてもよい。
【0083】
さらに、実施の形態では、建設機械としてクローラ式の油圧ショベル1を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えばホイール式の下部走行体を備えた油圧ショベルに適用してもよい。さらに、例えば油圧クレーン、ホイールローダ、トラクタ等の他の建設機械にも広く適用できるものである。
【符号の説明】
【0084】
1 油圧ショベル(建設機械)
2 下部走行体(車体)
3 上部旋回体(車体)
5 旋回フレーム
8 エンジン(原動機)
9 油圧ポンプ
11 熱交換ユニット
12 支持枠体
13 第1の側面板
14 第2の側面板
15 上連結部材
16 下連結部材
17 内面板
18 ボルト
19,41,51 中間連結部材
19D,41B,51B 上側ネット取付部
19E,41D,51C 挟持部(上側ネット取付部)
19F,41E,51D 下側ネット取付ボルト(下側ネット取付部)
20 ラジエータ(冷却器)
21 オイルクーラ(冷却器)
21D 流入側の接続口
21E 流出側の接続口
22 コンデンサ(冷却器)
23 燃料クーラ(冷却器)
24 上側防塵ネット
26 下側防塵ネット
29 流入側配管
30 流出側配管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自走可能な車体と、該車体に設けられ油圧ポンプを駆動すると共に冷却ファンを駆動する原動機と、支持枠体と該支持枠体に設けられ前記冷却ファンによって発生する冷却風を通過させることにより流体を冷却する冷却器とにより構成され前記支持枠体を介して前記車体に取付けられる熱交換ユニットとを備え、
前記熱交換ユニットの支持枠体は、前記冷却ファンによる冷却風の流れ方向と直交する方向で前記冷却器を挟む状態で設けられた一対の側面板と、該一対の側面板の上側位置で該各側面板間を連結する上連結部材と、前記一対の側面板の下側位置で該各側面板間を連結する下連結部材と、前記冷却風の流れ方向で前記原動機側に位置して前記一対の側面板間に設けられた内面板とにより構成してなる建設機械において、
前記一対の側面板の上,下方向の中間位置であって、かつ前記冷却風の流れ方向で前記内面板と反対側には、前記各側面板間を連結する補強用の中間連結部材を設ける構成としたことを特徴とする建設機械。
【請求項2】
前記冷却風の流れ方向で前記内面板と反対側には、前記上連結部材と中間連結部材との間に位置して冷却風中の塵埃を捕捉する上側防塵ネットを設けると共に、前記下連結部材と中間連結部材との間に位置して冷却風中の塵埃を捕捉する下側防塵ネットを設ける構成としてなる請求項1に記載の建設機械。
【請求項3】
前記中間連結部材には、前記上側防塵ネットを前記上連結部材との間で取付ける上側ネット取付部と、前記下側防塵ネットを前記下連結部材との間で取付ける下側ネット取付部とを設ける構成としてなる請求項2に記載の建設機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2012−255280(P2012−255280A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−128336(P2011−128336)
【出願日】平成23年6月8日(2011.6.8)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】