説明

建設機械

【課題】 空調装置の室内機の点検、整備を行う場所に合わせて作業スペースを形成することにより、室内機を点検、整備するときの作業性を向上する。
【解決手段】 キャブ8内には、空調装置の室内機17の上側位置に電気部品取付台20を水平状態で配置し、この電気部品取付台20の上側にリレーボックス25、空調装置コントローラ26、通信端末27等を取付ける。また、電気部品取付台20は、点検、整備を行う送風ファン19が設けられた室内機17の左側部分を覆う左台座部材21を、右台座部材23、脚部材24と別個に単体で取外せるようにしている。従って、送風ファン19の点検、整備作業を行う場合には、左台座部材21を取外すだけで作業スペースを形成することができるから、分割された小さな左台座部材21を脱着すればよく、点検、整備の作業性を向上することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャブ内に空調装置の室内機や各種の電気部品を備えた油圧ショベル等の建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、建設機械の代表例である油圧ショベルは、自走可能な下部走行体と、該下部走行体上に旋回可能に搭載された上部旋回体と、該上部旋回体の前側に俯仰動可能に設けられた作業装置とによって構成されている。
【0003】
また、上部旋回体は、支持構造部材を形成する旋回フレームと、該支持フレーム上に取付けられ床面、前,後と左,右の側面および天面によって居住空間を画成するキャブと、前記床面上に位置して該キャブ内に設けられオペレータが着座する運転席と、該運転席の後側に位置して前記床面上に設けられ前記キャブ内の居住空間に調和空気を供給する空調装置の室内機とを備えている。また、キャブ内には制御等に関する各種の電気部品も配設されている。
【0004】
ここで、キャブ内には、運転席、各種レバー、ペダル、室内機等の多くの部材を配置しているから、電気部品を配置するためのスペースを確保するのが難しい。そこで、例えば室内機の上側のスペースを利用し、この位置に各電気部品を配設している。即ち、キャブ内の後側に配設された室内機を覆う支持台を設け、この支持台上のスペースに電気部品を搭載する構成としている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−170209号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述した特許文献1によるものでは、室内機を覆うように支持台を設けているから、この室内機を点検したり、整備したりするときには、障害となる支持台を取外さなくてはならない。この場合、キャブ内は狭いために、室内機を覆う大きな支持台の脱着作業に多大な手間を要してしまう。しかも、支持台を取外す場合には、当該支持台上に搭載された多くの電気部品を取外したり、電気配線を切り離したりしなくてはならず、この取外し作業、切り離し作業、その後の取付作業、接続作業にも手間を要してしまうという問題がある。
【0007】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、室内機の点検、整備を行う場所に合わせて作業スペースを形成でき、室内機を点検、整備するときの作業性を向上できるようにした建設機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による建設機械は、走行体の支持構造部材を形成する支持フレームと、該支持フレーム上に取付けられ床面、前,後と左,右の側面および天面によって居住空間を画成するキャブと、前記床面上に位置して該キャブ内に設けられオペレータが着座する運転席と、該運転席の後側に位置して前記床面上に設けられ前記キャブ内の居住空間に調和空気を供給する空調装置の室内機と、前記キャブ内に設けられた各種の電気部品とを備えている。
【0009】
そして、上述した課題を解決するために、請求項1の発明が採用する構成の特徴は、前記キャブ内には、前記室内機の上側位置に水平状態で配置され前記各電気部品が取付けられる電気部品取付台を設け、該電気部品取付台は、前記室内機の上側に位置して常時は互いに接続され、前記室内機の点検、整備作業を行う場合に互いに分離することができる複数個の台座部材と、上端が該各台座部材のうち少なくとも1個の台座部材に設けられ、下端が前記キャブの床面に着脱可能に取付けられる脚部材とによって構成したことにある。
【0010】
請求項2の発明は、前記キャブには、左,右の側面の内側面に位置して前記電気部品取付台の台座部材を取付けるための左,右のブラケットを設け、前記台座部材は、ねじ部材を用いて前記左,右のブラケット間に取付ける構成としたことにある。
【0011】
請求項3の発明は、前記電気部品は、各種センサ、ライト、制御弁を含む電気部品を作動させるためのリレー群、空調装置を制御するための空調装置コントローラ、機体の情報をネットワークを介して伝えるための通信端末のうちの少なくとも1つとしたことにある。
【0012】
請求項4の発明は、前記走行体は、自走可能な下部走行体と、該下部走行体上に旋回可能に搭載された上部旋回体とからなり、前記支持フレームは前記上部旋回体の旋回フレームとしたことにある。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明によれば、キャブ内には、空調装置の室内機の上側位置に水平状態で電気部品取付台を設けているから、この電気部品取付台に各種の電気部品を取付けることができる。また、電気部品取付台は、室内機の上側に位置して常時は互いに接続され、室内機の点検、整備作業を行う場合に互いに分離することができる複数個の台座部材と、上端が該各台座部材のうち少なくとも1個の台座部材に設けられ、下端がキャブの床面に着脱可能に取付けられる脚部材とによって構成している。これにより、室内機の点検、整備作業を行う場合には、電気部品取付台の全体を取外すのではなく、室内機の点検、整備場所に合わせ、この部分を覆っている台座部材だけを単独で取外すことができる。
【0014】
従って、複数個の台座部材のうちの1個の台座部材を取外すだけで、室内機の点検、整備作業を行うための作業スペースを形成することができる。また、1個の台座部材を取外すだけなので、搭載している電気部品も少なくなっている。
【0015】
この結果、個別に取付け、取外しができる複数個の台座部材は、空調装置の室内機の点検、整備を行う場所に合わせ、必要な部分だけを取外すことができる。これにより、分割された小さな台座部材を脱着すればよいから、狭いキャブ内での脱着作業を容易に行うことができ、点検、整備作業の作業性を向上することができる。また、1個の台座部材を取外すだけなので、搭載している電気部品の数も少なく、電気部品の取外し、取付け、電気配線の切り離し、接続等の作業に要する手間も軽減することができ、この点においても作業性を向上できる。
【0016】
また、電気部品取付台を構成する各台座部材のうち、少なくとも1個の台座部材には脚部材を設けているから、この脚部材によって各台座部材を安定的に支持することができる。また、電気部品として、重量の大きなものも搭載することができる。
【0017】
請求項2の発明によれば、キャブには、左,右の側面の内側面に位置して電気部品取付台の台座部材を取付けるための左,右のブラケットを設けている。これにより、各台座部材は、ねじ部材を用いて前記各ブラケット間に取付けることができ、剛性をもったキャブに確実に取付けることができる。また、ねじ部材を緩めることで、台座部材を取外すこともできる。
【0018】
請求項3の発明によれば、電気部品として、各種センサ、ライト、制御弁を含む電気部品を作動させるためのリレー群、空調装置を制御するための空調装置コントローラ、機体の情報をネットワークを介して伝えるための通信端末等を電気部品取付台に取付けることができる。
【0019】
請求項4の発明によれば、走行体は、自走可能な下部走行体と、該下部走行体上に旋回可能に搭載された上部旋回体とにより構成することができ、支持フレームは上部旋回体の旋回フレームとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態に適用される油圧ショベルを示す正面図である。
【図2】図1中のキャブを拡大して示す正面図である。
【図3】キャブ内の構造を図2中の矢示III−III方向からみた横断面図である。
【図4】キャブの後側に配置した空調装置の室内機と電気部品取付台と各種電気部品を示す要部拡大の斜視図である。
【図5】図4中の室内機を単体で示す正面図である。
【図6】室内機を単体で示す平面図である。
【図7】電気部品取付台からキャブボックスを分離した状態を図4と同様位置からみた斜視図である。
【図8】室内機の左側部分を点検、整備するために電気部品取付台の左台座部材等を取外した状態を図4と同様位置からみた斜視図である。
【図9】電気部品取付台をキャブボックスの各ブラケットに取付けた状態で示す外観斜視図である。
【図10】左台座部材を取外した状態の電気部品取付台を示す外観斜視図である。
【図11】電気部品取付台を左,右の台座部材と脚部材とに分解した状態で示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態に係る建設機械として、クローラ式の油圧ショベルを例に挙げ、図1ないし図11に従って詳細に説明する。
【0022】
図1において、1は土砂の掘削作業等に用いられる建設機械としての油圧ショベルである。この油圧ショベル1は、自走可能なクローラ式の下部走行体2と、該下部走行体2上に旋回可能に搭載され、該下部走行体2と共に走行体を構成する上部旋回体3と、該上部旋回体3の前側に俯仰動可能に設けられた作業装置4とにより大略構成されている。
【0023】
また、上部旋回体3は、支持構造部材を形成する旋回フレーム5と、該旋回フレーム5の左前側に搭載された後述のキャブ8と、該キャブ8の後側に位置して旋回フレーム5に搭載されたエンジン、油圧ポンプ、制御弁等(いずれも図示せず)を覆う建屋カバー6と、前記旋回フレーム5の後部に取付けられたカウンタウエイト7とによって大略構成されている。
【0024】
8は旋回フレーム5の左前側に搭載されたキャブで、該キャブ8は、オペレータが搭乗して各種操作を行う居住空間を画成するものである。また、キャブ8は、図2、図3に示す如く、後述するフロア部材9とキャブボックス10とにより構成されている。
【0025】
9はキャブ8の床面を構成するフロア部材で(図3参照)、該フロア部材9は、前,後方向に長尺な長方形状の板体として形成されている。また、フロア部材9は、その四隅等が防振マウント(図示せず)を介して旋回フレーム5に支持されている。さらに、フロア部材9のほぼ中央位置には運転席台座(図示せず)が設けられ、該運転席台座上には後述の運転席14が設けられている。
【0026】
10はフロア部材9と共にキャブ8を構成するキャブボックスで、該キャブボックス10は、フロア部材9上に居住空間を画成するものである。また、キャブボックス10は、図2、図3等に示すように、前面部10A、後面部10B、左側面部10C、右側面部10Dおよび天面部10Eによりボックス状に形成され、周面となる前面部10A、後面部10B、左側面部10C、右側面部10Dの下部がフロア部材9の周囲に取付けられている。
【0027】
また、左,右方向の外側に位置する左側面部10Cには、前,後方向の中間部に位置して上,下方向に延びるセンタピラー10Fが設けられ、該センタピラー10Fの前側にはオペレータが出入りする乗降口10Gが設けられている。この乗降口10Gは、図2に示すように、センタピラー10Fに回動可能に取付けられたドア10Hによって開閉することができる。
【0028】
ここで、キャブボックス10には、図4、図7、図8等に示すように、後述する電気部品取付台20を取付けるための3個のブラケット11,12,13が設けられている。まず、左ブラケット11は、キャブボックス10を形成する左側面部10C内側面の後側寄りに、右側に向けて突出するように設けられている。また、左ブラケット11と左,右方向で対向して位置する右ブラケット12は、右側面部10D内側面の後側寄りに、左側に向けて突出するように設けられている。さらに、後ブラケット13は、後面部10B内側面の左,右方向のほぼ中央部に、前側に向けて突出するように設けられている。これらのブラケット11,12,13は、キャブボックス10に対して一体的に固着してもよく、また、着脱可能にねじ止めする構成としてもよい。
【0029】
14はフロア部材9の運転席台座上に設けられた運転席で、該運転席14はオペレータが着座するものである。また、運転席14の左,右両側には、図3に示すように、作業装置4等を操作する左,右の作業レバー15が設けられている。一方、運転席14の前側となるフロア部材9の前部には下部走行体2を走行させるための左,右の走行レバー(ペダル)16が配設されている。さらに、運転席14の周囲には、作業情報を表示するモニタ、各種切換スイッチ、エンジンのスタータスイッチ等(いずれも図示せず)が配設されている。
【0030】
17はキャブ8内に位置してフロア部材9上に設けられた空調装置の室内機を示している。この室内機17は、所望の温度に調整した冷風または温風を調和空気としてキャブ8内の居住空間に吹き出すことにより、キャブ8内をオペレータが望む温度環境に調整するものである。また、室内機17は、左,右方向に延びる横置き状態でフロア部材9の後部に設けられている。そして、室内機17は、図5、図6、図7に示す如く、左,右方向に延びる箱体状に形成されたハウジング18と、例えば該ハウジング18の左側に内蔵された電動式の送風ファン19と、冷風を発生するエバポレータと、温風を発生するヒータコア、風向を切換える切換板(いずれも図示せず)とにより大略構成され、室内機17はエンジン側に設けられるコンデンサ、コンプレッサ等からなる室外機(図示せず)と接続されている。
【0031】
また、室内機17の外形をなすハウジング18には、送風ファン19が設けられた左側位置に、前方に開口する内気流入口18Aと左方に開口する外気流入口18Bとが設けられている。一方、ハウジング18の右側には、前方に開口する足元吹出口18C、上方に開口する後方吹出口18D、右方に開口する前方吹出口18E等が設けられ、それぞれにダクト(図示せず)が接続されている。
【0032】
さらに、送風ファン19は、電動モータと該電動モータによって回転駆動される回転翼とにより構成されている。ここで、送風ファン19の電動モータと回転翼は、高速で回転するものであるから、定期的に点検、整備等を行うことが望ましい。
【0033】
20はキャブ8内に設けられた本実施の形態による電気部品取付台を示している。この電気部品取付台20は、図4に示す如く、室内機17の上側のスペースを利用して後述のリレーボックス25、空調装置コントローラ26、通信端末27を配設するために、キャブ8内に取付け、取外し可能に設けられている。この電気部品取付台20は、図3、図4、図7〜図11に示すように、室内機17の上側位置に水平状態をなすように左,右方向に延びて設けられ互いに接続、分離可能な後述する左,右の台座部材21,23と、右台座部材23の前部に設けられた脚部材24とにより構成されている。
【0034】
21は電気部品取付台20の左側部分を構成する左台座部材で、該左台座部材21は、図11等に示すように、例えば平板状の鋼板を折り曲げることにより強度を有した載置台として形成されている。また、左台座部材21は、左,右方向の左側部分を上側に向けクランク状に屈曲することにより形成された左取付部21Aと、右側の前部分を右方向に延びて設けた右取付部21Bと、後側の右部分を後方向に延びて設けた後取付部21Cとを有している。
【0035】
そして、左台座部材21は、図7等に示すように、その左取付部21Aを例えばねじ部材としての2本のボルト22を用いてキャブボックス10の左ブラケット11に取付け、後取付部21Cを1本のボルト22を用いてキャブボックス10の後ブラケット13に取付け、右取付部21Bを後述する右台座部材23の左取付部23Aに2本のボルト22を用いて取付ける構成としている。
【0036】
これにより、左台座部材21は、室内機17の左側部分の上側に取付け、取外し可能に配置されている。即ち、左台座部材21は、定期的な点検、整備等を必要とする送風ファン19を上側から覆っており、この左台座部材21を取外した状態では、図8に示すように、送風ファン19の点検、整備等を行うための作業スペースを形成することができる。また、左台座部材21の上側には、後述するリレーボックス25、空調装置コントローラ26が取付けられている。
【0037】
23は電気部品取付台20の右側部分を構成する右台座部材である。この右台座部材23は、図11等に示すように、例えば左,右方向に長尺な短冊状の鋼板を折り曲げることにより、強度を有した横長な載置台として形成されている。また、右台座部材23は、左,右方向の左側部分が左取付部23Aとなり、右側部分が右取付部23Bとなっている。さらに、右台座部材23の前部左側には、下側に延びるようにして脚取付部23Cが設けられている。
【0038】
そして、右台座部材23は、右取付部23Bをボルト22を用いてキャブボックス10の右ブラケット12に取付ける構成としている。一方、右台座部材23の左取付部23Aには、ボルト22を用いて左台座部材21の左取付部21Aが着脱可能に取付けられる。さらに、右台座部材23の脚取付部23Cには、ボルト22を用いて後述の脚部材24の台座取付部24Bが着脱可能に取付けられる。
【0039】
24はフロア部材9と右台座部材23との間に設けられた脚部材で、該脚部材24は、フロア部材9の上方となる所定の高さ位置で水平状態を維持するように右台座部材23の左側部分を支えるものである。また、脚部材24は、上,下方向に延びた下端部分がフロア取付部24Aとなり、上端部分が台座取付部24Bとなっている。そして、脚部材24は、室内機17よりも前側に配置され、下端のフロア取付部24Aをフロア部材9にボルト22を用いて取付け、上端の台座取付部24Bを右台座部材23の脚取付部23Cにボルト22を用いて取付ける構成としている。
【0040】
これにより、右台座部材23は、左側部分を脚部材24によって支持した状態で、室内機17の右側部分の上側に取付け、取外し可能に配置することができる。この場合、室内機17の右側部分は、ハウジング18の各吹出口18C,18D,18Eとなっているから、点検や整備を行うことも少なく、脚部材24を取外すことは稀である。また、脚部材24は、各台座部材21,23を安定的に支持することができ、該各台座部材21,23上には重量の大きなものを搭載することができる。
【0041】
このように構成した電気部品取付台20は、その左台座部材21と右台座部材23とを分離して別個に取外すことができ、点検や整備を行う頻度が高い室内機17の左側部分(送風ファン19)を覆っている左台座部材21を容易に脱着できるようにしている。具体的には、右台座部材23の左取付部23Aの上側に左台座部材21の右取付部21Bを取付けると共に、この右台座部材23に脚部材24を取付ける構成としている。これにより、左台座部材21は、その左取付部21Aをキャブボックス10の左ブラケット11に取付けている2本のボルト22と、後取付部21Cを後ブラケット13に取付けている1本のボルト22と、右取付部21Bを右台座部材23の左取付部23Aに取付けている2本のボルト22とを緩めることにより、右台座部材23と別個に取外すことができる。
【0042】
25はキャブ8内に位置して電気部品取付台20の左台座部材21上に設けられた電気部品としてのリレーボックスである。このリレーボックス25は、レバー15,16の動作、作動油の温度、流量等を検出する各種センサ、エンジンのスタータモータ、ライト、ラジオ、ワイパ、電磁制御式の制御弁等の電気部品を作動させるための多くのリレー(図示せず)を内蔵したリレー群を構成している。また、リレーボックス25内の各リレーには、それぞれに電気配線(図示せず)が接続されている。
【0043】
26は電気部品としての空調装置コントローラで、該空調装置コントローラ26は、リレーボックス25の右側に位置して左台座部材21上に設けられている。また、空調装置コントローラ26は、室内機17と室外機とからなる空調装置を、オペレータが設定した条件、外気温等の作業環境に応じて制御するものである。また、空調装置コントローラ26は、電気配線を介して室内機17、室外機と接続されている。
【0044】
27は右台座部材23上に設けられた電気部品としての通信端末である。この通信端末27は、人工衛星を用いた衛星通信等のネットワークを利用し、油圧ショベル1の情報(稼働時間、メンテナンス情報、位置情報等)を伝えるものである。また、通信端末27は、電気配線を介して電源、各種センサ等に接続されている。
【0045】
本実施の形態による油圧ショベル1は上述の如き構成を有するもので、次に、その動作について説明する。
【0046】
まず、オペレータは、キャブ8に搭乗し、走行レバー16を操作することにより、下部走行体2を前進または後退させることができる。一方、キャブ8内のオペレータは、作業レバー15を操作することにより、作業装置4を俯仰動させて土砂の掘削作業等を行うことができる。
【0047】
次に、空調装置を構成する室内機17の送風ファン19を点検、整備する場合について述べる。
【0048】
キャブ8内に乗込んだ作業者は、左台座部材21上に設けられたリレーボックス25と空調装置コントローラ26を取外す。その後に、左台座部材21の左取付部21Aをキャブボックス10の左ブラケット11に取付けている2本のボルト22と、後取付部21Cを後ブラケット13に取付けている1本のボルト22と、右取付部21Bを右台座部材23の左取付部23Aに取付けている2本のボルト22とを緩める。これにより、図10に示すように、左台座部材21を単独で取外すことができる。
【0049】
このように、右台座部材23をキャブ8側に残した状態で、左台座部材21だけを取外すことにより、電気部品取付台20の全体ではなく、比較的に小さな左台座部材21を取外すことになるから、狭いキャブ8内でも容易に取外すことができ、取付けることもできる。
【0050】
そして、左台座部材21を取外すことにより、図8に示す如く、室内機17の左側を露出させ、送風ファン19の周囲に作業用のスペースを形成することができる。これにより、作業者は、送風ファン19を構成する電動モータ、回転翼等を点検、整備することができる。また、交換作業を行うことができる。
【0051】
かくして、本実施の形態によれば、キャブ8内には、空調装置の室内機17の上側位置に電気部品取付台20を水平状態で配置しているから、この電気部品取付台20の上側にリレーボックス25、空調装置コントローラ26、通信端末27等の電気部品を取付けることができる。
【0052】
しかも、電気部品取付台20は、室内機17のうち、例えば点検、整備を行う送風ファン19が設けられた左側部分を覆う左台座部材21を、右台座部材23、脚部材24と別個に単体で取外せるようにしている。
【0053】
従って、電気部品取付台20は、左,右の台座部材21,23のうち、左台座部材21を取外すだけで、室内機17の送風ファン19の点検、整備作業を行うための作業スペースを確保することができる。また、1個の左台座部材21を取外すだけなので、搭載している電気部品もリレーボックス25と空調装置コントローラ26の2個だけである。
【0054】
この結果、互いに接続、分離可能な左,右の台座部材21,23は、室内機17の送風ファン19の点検、整備を行う場所に合わせ、必要な部分だけ、即ち、左台座部材21だけを取外すことができる。これにより、分割された小さな左台座部材21を脱着すればよいから、狭いキャブ8内での脱着作業を容易に行うことができ、点検、整備作業の作業性を向上することができる。
【0055】
また、1個の左台座部材21を取外すだけなので、このときに取外す電気部品もリレーボックス25と空調装置コントローラ26だけであるから、電気部品の取外し、取付け、電気配線の切り離し、接続等の作業に要する手間も軽減することができ、この点においても作業性を向上できる。
【0056】
一方、電気部品取付台20は、上端が右台座部材23に設けられ、下端がキャブ8のフロア部材9に着脱可能に取付けられる脚部材24を備えている。従って、脚部材24は、各台座部材21,23を安定的に支持することができる。また、電気部品として、重量の大きなものも搭載することができる。
【0057】
さらに、キャブ8のキャブボックス10の内側面には、電気部品取付台20の各台座部材21,23を取付けるための左ブラケット11、右ブラケット12、後ブラケット13を設ける構成としている。これにより、各台座部材21,23は、ボルト22を用いて各ブラケット11,12,13に取付けることができ、剛性をもったキャブ8に確実に取付けることができる。また、ボルト22を緩めることで、各台座部材21,23を簡単に取外すこともできる。
【0058】
なお、実施の形態では、電気部品取付台20を、分離して別個に取外すことができる左,右で2個の台座部材21,23と、右台座部材23とフロア部材9との間に設けられた脚部材24とにより構成した場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば電気部品取付台を、左台座部材、右台座部材および中央台座部材の3個に分離可能とし、いずれかの台座部材に脚部材を設ける構成としてもよい。
【0059】
また、実施の形態では、右台座部材23に脚部材24を設け、左台座部材21を簡単に脱着できるように構成した場合を例示している。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば点検、整備する場所が室内機の右側部分である場合には、左台座部材に脚部材を設け、右台座部材を簡単に脱着できるように構成してもよい。
【0060】
また、実施の形態では、右台座部材23に対しボルト22を用いて脚部材24を着脱可能に取付けた場合を例に挙げて説明している。しかし、本発明はこれに限らず、例えば、右台座部材と脚部材とを1枚の鋼板を折り曲げることによって形成してもよい。また、右台座部材と脚部材とを溶接手段等を用いて一体的に固着する構成としてもよい。
【0061】
さらに、実施の形態では、建設機械として、クローラ式の油圧ショベル1を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、ホイール式の油圧ショベルに適用してもよい。それ以外にも、ホイールローダ、油圧クレーン等の他の建設機械にも広く適用することができる。
【符号の説明】
【0062】
1 油圧ショベル(建設機械)
2 下部走行体(走行体)
3 上部旋回体(走行体)
5 旋回フレーム(支持フレーム)
8 キャブ
9 フロア部材
10 キャブボックス
10A 前面部
10B 後面部
10C 左側面部
10D 右側面部
10E 天面部
11 左ブラケット
12 右ブラケット
13 後ブラケット
14 運転席
17 室内機
19 送風ファン
20 電気部品取付台
21 左台座部材
22 ボルト(ねじ部材)
23 右台座部材
24 脚部材
25 リレーボックス(電気部品)
26 空調装置コントローラ(電気部品)
27 通信端末(電気部品)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行体の支持構造部材を形成する支持フレームと、該支持フレーム上に取付けられ床面、前,後と左,右の側面および天面によって居住空間を画成するキャブと、前記床面上に位置して該キャブ内に設けられオペレータが着座する運転席と、該運転席の後側に位置して前記床面上に設けられ前記キャブ内の居住空間に調和空気を供給する空調装置の室内機と、前記キャブ内に設けられた各種の電気部品とを備えてなる建設機械において、
前記キャブ内には、前記室内機の上側位置に水平状態で配置され前記各電気部品が取付けられる電気部品取付台を設け、
該電気部品取付台は、前記室内機の上側に位置して常時は互いに接続され、前記室内機の点検、整備作業を行う場合に互いに分離することができる複数個の台座部材と、上端が該各台座部材のうち少なくとも1個の台座部材に設けられ、下端が前記キャブの床面に着脱可能に取付けられる脚部材とによって構成したことを特徴とする建設機械。
【請求項2】
前記キャブには、左,右の側面の内側面に位置して前記電気部品取付台の台座部材を取付けるための左,右のブラケットを設け、
前記台座部材は、ねじ部材を用いて前記左,右のブラケット間に取付ける構成としてなる請求項1に記載の建設機械。
【請求項3】
前記電気部品は、各種センサ、ライト、制御弁を含む電気部品を作動させるためのリレー群、空調装置を制御するための空調装置コントローラ、機体の情報をネットワークを介して伝えるための通信端末のうちの少なくとも1つである請求項1または2に記載の建設機械。
【請求項4】
前記走行体は、自走可能な下部走行体と、該下部走行体上に旋回可能に搭載された上部旋回体とからなり、前記支持フレームは前記上部旋回体の旋回フレームである請求項1,2または3に記載の建設機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−57439(P2012−57439A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−204333(P2010−204333)
【出願日】平成22年9月13日(2010.9.13)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】