説明

建設機械

【課題】オペレータ室内の各種機器とオペレータ室外の各種機器とを接続する電装ハーネスや油圧ホースを通す挿通口がオペレータ室の後面に設けられ、熱交換装置がオペレータ室の後面側に近接して搭載される場合には、配策のスペースが制限されるため、電装ハーネスまたは油圧ホースの接続や配策等の作業が非常に困難になる。
【解決手段】旋回フレーム6に搭載されたオペレータ室20と、オペレータ室20に隣接して旋回フレーム6に搭載されオイルクーラ27とオイルクーラ27を冷却する冷却ファン29と前面板26Aを含む箱体26で構成される第2の熱交換装置25と、オペレータ室20の後面に設けられた挿通口に固定された集合中継コネクタ32と、集合中継コネクタ32からオペレータ室20外の電気機器に接続する電装ハーネス31と、集合中継コネクタ32の接続作業のために前面板26Aに設けられた作業窓33‐1から構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オペレータ室内の各種スイッチやレバー等の操作装置とオペレータ室外の各種電気機器と油圧制御弁等とを電装ハーネスまたは油圧ホースで接続した油圧ショベル、ブルドーザ、ホィールローダ等の建設機械における電装ハーネスまたは油圧ホースの接続や配策等の作業を容易にする構造を備えた建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
建設機械について油圧ショベルを例にとって説明する。一般に油圧ショベルは、自走可能な下部走行体と、下部走行体に旋回可能に搭載された上部旋回体と、上部旋回体前側に上下動可能に設けられた作業装置により構成されている。
【0003】
また、この上部旋回体は、支持構造体を形成する旋回フレームと、旋回フレームの前側に設けられたオペレータ室および作業装置と、旋回フレームの後側に搭載されたカウンタウエイトと、オペレータ室とカウンタウエイトの間に搭載され、作業装置などの駆動源となる油圧ポンプを駆動するエンジンと、エンジンを挟んで油圧ポンプの反対側に配置された熱交換装置とを備えている。
【0004】
そして、熱交換装置は、例えばエンジンによって回転駆動される冷却ファンと、この冷却ファンに対面して設けられたエンジン冷却水を冷却するラジエータ、作動油を冷却するオイルクーラ、過給機によって温度上昇(膨張)した吸気を冷却(収縮)するインタクーラ等の熱交換器とにより構成されている。
【0005】
また、油圧ショベルは、高温な環境で作業する場合や、過酷な条件で使用した場合に、1つの冷却ファンだけでは、ラジエータとインタクーラとオイルクーラとの3つの熱交換器を流れる流体を効率よく冷却できなくなる虞がある。
【0006】
そこで、油圧ショベルには、ラジエータとインタクーラとこれらに冷却風を供給するエンジンの冷却ファンにより構成される第1の熱交換装置と、オイルクーラとこのオイルクーラに冷却風を供給するためにモータに駆動される冷却ファンにより構成される第2の熱交換装置とを備え、これらの熱交換装置を旋回フレーム上に設ける構成としたものが知られている。(特許文献1参照)。
【0007】
この特許文献1に記載の油圧ショベルの場合、エンジンは、旋回フレームの後側に横置き状態で搭載され、第1の熱交換装置は、エンジンの左側に配設され、第2の熱交換装置は、第1の熱交換装置と並列にオペレータ室の後面側に隣接して配設されるようになっている。また、第2の熱交換装置とオペレータ室の間には、第2の熱交換装置を通過した冷却風がオペレータ室に廻り込み、冷却風の熱の影響がオペレータ室へ及ぶことを防ぐための隔壁を備えている。
【0008】
一方で、オペレータ室内には各種スイッチやレバー等の操作装置が備えられており、これらの操作装置は、オペレータ室外の各種電気機器または油圧制御弁等に電装ハーネスまたは油圧ホースによって接続されるようになっている。(特許文献2参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2000−130161号公報
【特許文献2】実開平7−33755号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、電装ハーネスまたは油圧ホースは、オペレータ室内の各種スイッチやレバー等の操作装置とオペレータ室外の各種電気機器または油圧制御弁等とを接続するようになっているので、オペレータ室にはその電装ハーネスや油圧ホースを通す挿通口が設けられている。そしてその挿通口は、電装ハーネスや油圧ホースの配策の長さを短くするためにオペレータ室の後面からオペレータ室外の各種電気機器または油圧制御弁等に接続されるようになっている。特許文献1のように、第2の熱交換装置がオペレータ室の後面側に近接して搭載される場合には、配策のスペースが制限されるため、オペレータ室の後面から各種電気機器または油圧制御弁等に向かう電装ハーネスまたは油圧ホースの接続や配策等の作業は非常に困難である。本発明の建設機械は、上記のような課題を解決することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明による建設機械は、車体の支持構造体を形成するフレームと、前記フレームに搭載されるエンジンと、前記エンジンによって駆動される油圧ポンプと、前記油圧ポンプから吐出される作動油により駆動される油圧アクチュエータと、前記フレームに搭載されオペレータが搭乗して前記油圧アクチュエータを操作するオペレータ室と、前記オペレータ室内に設けられる電気機器と前記オペレータ室外の前記フレーム上に設けられる電気機器とを接続する電装ハーネスまたは前記オペレータ室内に設けられる前記油圧アクチュエータの操作装置と前記オペレータ室外の前記油圧アクチュエータを制御する油圧制御弁とを接続する油圧ホースと、前記フレームに設けられ冷却ファンによって熱交換器に冷却風を供給して加熱された前記エンジンの冷却水または作動油を冷却する熱交換装置とを備え、前記熱交換装置が前記オペレータ室の後方に隣接して設けられている。
【0012】
そして、上述した課題を解決するために、請求項1の発明が採用する構成の特徴は、前記熱交換装置と前記オペレータ室との間に隔壁が設けられ、前記隔壁には前記オペレータ室内からオペレータ室外に配策される前記電装ハーネスまたは油圧ホースの配策経路に対応する位置に開口する作業窓を備えたことにある。
【0013】
また、請求項2の発明の特徴は、前記隔壁が、前記熱交換装置の一部を形成することにある。
【0014】
請求項3の発明の特徴は、前記電装ハーネスまたは油圧ホースの配策経路に対応する位置に開口する前記作業窓が、前記熱交換器に供給される冷却風の熱交換器に対して吐出し側に設置されることにある。
【0015】
請求項4の発明の特徴は、前記電装ハーネスまたは油圧ホースの配策経路に対応する位置に開口する前記作業窓が、前記熱交換器に供給される冷却風の熱交換器に対して吸込み側に設置されることにある。
【0016】
請求項5の発明は、前記電装ハーネスまたは油圧ホースの配策経路に対応する位置に開口する前記作業窓が、前記熱交換器に供給する冷却風の熱交換器に対して吐出し側に設置されるとともに、前記作業窓を閉塞する蓋を備えていることにある。
【発明の効果】
【0017】
本発明の建設機械における請求項1の発明によれば、熱交換装置とオペレータ室との間に隔壁が設けられ、隔壁にはオペレータ室内からオペレータ室外に配策される電装ハーネスまたは油圧ホースの配策経路に対応する位置に開口する作業窓を備えていることから、その電装ハーネスまたは油圧ホースの接続や配策等の作業のスペースが確保でき、作業が容易に行なうことができる。
【0018】
また、請求項2の発明によれば、隔壁が前記熱交換装置の一部を形成することから、部品の増大を抑えて組立作業性を向上するこができる。
【0019】
また、請求項3の発明によれば、電装ハーネスまたは油圧ホースの配策経路に対応する位置に開口する作業窓が、熱交換器に供給する冷却風の熱交換器に対して吐出し側に設置されることから、請求項1と同様の効果が得られる。
【0020】
また、請求項4の発明によれば、電装ハーネスまたは油圧ホースの配策経路に対応する位置に開口する作業窓が、熱交換器に供給する冷却風の熱交換器に対して吸込み側に設置されることから、冷却風を効率よく吸込むことができる。
【0021】
また、請求項5の発明によれば、電装ハーネスまたは油圧ホースの配策経路に対応する位置に開口する作業窓が、熱交換器に供給する冷却風の熱交換器に対して吐出し側に設置されるとともに、作業窓を閉塞する蓋を備えていることから、熱交換装置を通過した冷却風がオペレータ室に廻り込んで、冷却風の熱の影響がオペレータ室に及ぶことを防ぐことができる
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施の形態に適用される油圧ショベルの側面図である。
【図2】図1における上部旋回体のエンジンカバーを省略した平面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態を示し、オペレータ室の後面(右寄り)に集合中継コネクタを取付けた状態を示す斜視図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態を示し、作業窓を示す斜視図である。(上部旋回体のオペレータ室は省略)
【図5】本発明の第1の実施の形態を示し、第2の熱交換装置を左側から拡大して示す斜視図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態を示し、オペレータ室の後面(左寄り)に集合中継コネクタを取付けた状態を示す斜視図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態を示し、作業窓を示す斜視図である。(上部旋回体のオペレータ室は省略)
【図8】本発明の第2の実施の形態を示し、第2の熱交換装置を右側から拡大して示す斜視図である。
【図9】本発明の第3の実施の形態を示し、第2の熱交換装置を右側から拡大して示す斜視図である。((a)閉口時、(b)開口時)
【図10】本発明の第3の実施の形態を示し、図9における塞ぎ板の他の例を示す斜視図である。((a)閉口時、(b)開口時)
【図11】作業窓の塞ぎ板の他の例を示す正面図である。((a)閉口時、(b)開口時)
【図12】作業窓の塞ぎ板の他の例を示す正面図である。((a)閉口時、(b)開口時)
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図1〜5を用いて、本発明の建設機械の第1の実施の形態についてクローラ式の油圧ショベルを例に挙げて説明する。図1は本発明の実施の形態に適用される油圧ショベルの側面図、図2は上部旋回体のエンジンカバーを省略した平面図、図3はオペレータ室後面(左寄り)に集合中継コネクタを取付けた斜視図であり、旋回フレームにオペレータ室を搭載した状態で示した図、図4は上部旋回体のオペレータ室を省略して右寄りに配置された作業窓を示す斜視図、図5は第2の熱交換装置を左側から拡大して右寄りに配置された作業窓を示す斜視図である。
【0024】
図1において1は建設機械としてのクローラ式の油圧ショベルで、この油圧ショベル1は、自走可能な下部走行体2と、この下部走行体2の上に旋回装置3を介して旋回可能に搭載される上部旋回体4と、この上部旋回体4の前側に上下動可能に設けられ、土砂の掘削作業等を行なう作業装置5とにより大略構成されている。
【0025】
6は上部旋回体4の旋回フレームである。この旋回フレーム6は、支持構造体からなる車体フレームとして構成されている。そして、旋回フレーム6は、図2、図3等に示す如く、前、後方向に延びる厚肉な平板からなり旋回装置3が取付けられる底板7と、左右方向に所定の間隔をもって底板7上に立設され前、後方向に延びた右縦板8、左縦板9と、右縦板8から右側方に張出して設けられた複数の右張出しビーム10と、前記左縦板9から左側方に張出して設けられた複数の左張出しビーム11と、前記各右張出しビーム10の突出端側に固着されて前、後方向に延びた断面D型の右サイドフレーム12と、前記各左張出しビーム11の突出端側に固着されて前、後方向に延びた断面D型の左サイドフレーム13と、左縦板9の左側に位置し底板7と左サイドフレーム13の左前部側に設けられたオペレータ室支持部14(図4参照)とにより強固な支持構造体として構成されている。
【0026】
ここで、右張出しビーム10は、前側から後側に亘り所望の間隔をもって配置された5本の左張出しビーム10A〜10Eにより構成されている。また、左張出しビーム11は、前側から後側に亘り所望の間隔をもって配置された5本の左張出しビーム11A〜11E(11Aは図4参照)により構成されている。
【0027】
そしてこの旋回フレーム6には、左右の縦板8、9の前側位置には作業装置5が取付けられ、後側位置には作業装置5との重量バランスをとるためのカウンタウエイト15、左右の縦板8、9を跨ぐように横置き状態で配置された過給機付きのエンジン16が搭載されている。また、右張出しビーム10上には、後から順にエンジンに直列に配置された油圧ポンプ17と、作動油タンク18、燃料タンク19が隣接して搭載されている。さらに、オペレータ室支持部14および前側から1、2番目の左張出しビーム11A、11B上にはオペレータ室20が搭載されている。なお、エンジン16には、その右側に後述する第1の熱交換装置21へ冷却風を導く冷却ファン16Aが設けられ、油圧ポンプ17は作業装置5の駆動源として利用されるものである。
【0028】
また、旋回フレーム6には、前側から2番目の左張出しビーム11Bと3番目の左張出しビーム11Cとの間に前、後方向に延びる梁部材11Fが設けられ、前側から4番目の左張出しビーム11Dと最後部の左張出しビーム11Eとの間に前、後方向に延びる梁部材11Gが設けられている。そして、前、後方向の中間部に位置する梁部材11Fには、後述する第2の熱交換装置25が取付けられ、後側の梁部材11Gには、後述する第1の熱交換装置21が取付けられる。
【0029】
30はオペレータ室20とカウンタウエイト16との間に位置して旋回フレーム6上に設けられた建屋カバーである(図1、図4参照)。この建屋カバー30は、エンジン16、油圧ポンプ17、第1の熱交換装置21、第2の熱交換装置25等を覆うものである。また、建屋カバー30は、各熱交換装置21、25等の上側を覆う上面カバー30Aと、上部旋回体4の左側面部を形成する前、後の左側面ドア30B、30Cと、上部旋回体4の右側面部を形成する右側面ドア(図示せず)と、上面カバー30A上に開、閉可能に設けられ、エンジン17の上部を覆うエンジンカバー30Dとにより大略構成されている。
【0030】
ここで、前、後の左側面ドア30B、30Cは、第1の熱交換装置21、第2の熱交換装置25の清掃、点検、修理等のメンテナンス作業を行うときに開かれるものである。
【0031】
オペレータ室20は、オペレータが搭乗するもので、その内部にはオペレータが着座する運転席、各種スイッチやレバー等の操作装置や、エンジン16、油圧ポンプ17等の機器を制御するコントローラ等(いずれも図示せず)が配設されている。これらの操作装置やコントローラは、オペレータ室20の外部の車体本体に備えられたエンジン16、油圧ポンプ17および不図示の油圧制御弁または各種電気機器に油圧ホースまたは電装ハーネス等で接続されている。そして、この電装ハーネスは、オペレータ室20の旋回フレーム6への組み付け作業性などを考慮してオペレータ室20内部の電装ハーネス(不図示)とオペレータ室20外部の電装ハーネス31とに分離して形成し、図3に示すようにオペレータ室20の後面側で集合中継コネクタ32によってこれらを接続するようになっている。
【0032】
ここで、集合中継コネクタ32は、雄雌のコネクタにより構成されており、一方がオペレータ室20の後面に設けられた挿通口に固定されるようになっている。この挿通口は、旋回フレーム6上で左右の縦板8、9に挟まれた空間からアクセスする場合に、左縦板9が邪魔にならないようなオペレータ室20後面の右寄りに位置している。
【0033】
次に、前述の第1の熱交換装置21、第2の熱交換装置25について説明する。
【0034】
21は旋回フレーム6上に位置してエンジン16の左側に直列に並べて設けられた第1の熱交換装置を示している(図2参照)。この第1の熱交換装置21は、エンジン16によって加熱されたエンジン冷却水、過給機16Bによって加熱された吸気(吸入空気)を冷却する流体とし、熱交換を行ってこれらを冷却するラジエータ23、インタクーラ24を備え、これらが後述の箱体22に収容されて一体に形成されている。
【0035】
22は第1の熱交換装置21の外形を構成する箱体で、箱体22は、前述のラジエータ23とインタクーラ24とを冷却風の流れ方向が車体の左、右方向となるように取囲むものである。より具体的には、箱体22は、旋回フレーム6の左右方向に延びつつ立ち上がった前面板22Aと、前面板22Aから後側に所定寸法離間した位置で前面板22Aとほぼ平行に設けられた後面板22Bと、冷却風の流れ方向のラジエータ23とインタクーラ24の上流位置(車体左側)で、前面板22Aの上部と後面板22Bの上部との間を前後方向に延びて連結する上面板22Cと、前面板22A、後面板22B、上面板22Cのエンジン16側となる右側に設けられた右面板22Dとにより箱体状に形成されている。また、右面板22Dには、エンジン16の冷却ファン16Aを収めるためのファンシュラウド22Eが開口して形成されている。そして、箱体22は、後側に位置する左張出しビーム11D、11E、梁部材11Gに対してボルト止めされている。
【0036】
23は箱体22内に冷却ファン16Aと対面するように設けられた熱交換器としてのラジエータで、ラジエータ23は、箱体22内の前側寄りに配置されている。また、ラジエータ23は、加熱されたエンジン冷却水を冷却するもので、エンジン16のウォータジャケットに接続されている。
【0037】
24は箱体22内に位置してラジエータ23の後側に並列に配設された熱交換器としてのインタクーラである。このインタクーラ24は、過給機16Bを通って温度上昇(膨張)した吸気を冷却(収縮)してエンジン16に戻すものである。このインタクーラ24は、過給機16Bとエンジン16の吸気側に接続されている。
【0038】
ここで、第1の熱交換装置21は、旋回フレーム6に対して左右方向の一側となる左側に片寄せることにより、左縦板9と左サイドフレーム13との間にエンジン16と直列に並べて配置されている。そして、第1の熱交換装置21は、エンジン16の冷却ファン16Aを回転駆動することにより、建屋カバー30の外部から冷却風を吸込んで箱体22内のラジエータ23、インタクーラ24に供給し、それぞれを流れる流体を冷却することができる。
【0039】
25は第1の熱交換装置21とは別個に旋回フレーム6上に設けられた第2の熱交換装置を示している。この第2の熱交換装置25は、左縦板9と左サイドフレーム13との間で、かつ第1の熱交換装置21の前側でオペレータ室20の後面側に隣接して配置されている。第2の熱交換装置25は、加熱された作動油の熱交換を行って冷却するオイルクーラ27を備え、このオイルクーラ27が後述の箱体26内に収容されて一体に形成されている。
【0040】
26は第2の熱交換装置25の外形を構成する箱体である。この箱体26は、第1の熱交換装置21の箱体22とほぼ同様に、後述のオイルクーラ27を冷却風の流れ方向が左右方向となるように取囲むもので、後述の前面板26A、後面板26B、上面板26C、右面板26Dとにより箱体状に形成され、その右面板26Dにはファンシュラウド26Eが開口して形成されている。一方で、箱体26には、右面板26Dの外側(右側)に位置して前面板26Aと後面板26Bにモータ取付枠体26Fが設けられている。そして、箱体26は、中間部に位置する左張出しビーム11B、11C、梁部材11Fに対してボルト止めされている。
【0041】
26Aは第2の熱交換装置25の外形を構成する箱体を構成している前面板である。この前面板26Aはオペレータ室20の後面側に隣接し、その右端部が左縦板9に接する形状となっている。また、この前面板26Aに作業窓33‐1を設けて、その作業窓33‐1上に塞ぎ板34‐1を前面板26Aに対してボルト止めすることで塞ぐ構造をとっている。ここで、作業窓33‐1は、オペレータ室20に固定した集合中継コネクタ32の取付位置に対応していて前面板26Aの右寄りに配置されている。また、作業窓33‐1の大きさは、片手を突っ込んで作業するのに十分な大きさで、かつ集合中継コネクタ32の外径よりも大きく設定されている。
【0042】
27は箱体26内に前後方向に延びて設けられた熱交換器としてのオイルクーラで、オイルクーラ27は、箱体26内の左寄りに配置されている。また、オイルクーラ27は、下部走行体2、旋回装置3、作業装置5等のアクチュエータから作動油タンク18に戻される高温な作動油を冷却するものである。
【0043】
28はモータ取付枠体26Fに取付けられた電動モータまたは油圧モータ等の駆動モータである。また、29は駆動モータの回転軸に設けられた冷却ファンを示している。この冷却ファン29は、ファンシュラウド26E内で回転駆動されることにより、オイルクーラ27に冷却風を供給するものである。
【0044】
ここで、第2の熱交換装置25は、駆動モータ28によって冷却ファン29を回転駆動することにより、建屋カバー30の外部から冷却風を吸込んで箱体26内のオイルクーラ27に供給し、このオイルクーラ27を流れる作動油を冷却することができる。
【0045】
そして、前面板26Aは、左縦板9に接する形状により、第2の熱交換装置25を通過した冷却風がオペレータ室20に廻り込み、冷却風の熱の影響がオペレータ室20へ及ぶことを防ぐことができる。
【0046】
ここで、以上のように構成された第1の実施の形態における集合中継コネクタ32の接続作業について説明する。
【0047】
まず、旋回フレーム6上で左右の縦板8、9に挟まれた空間に登る。次に、工具を使って塞ぎ板34‐1のボルトを外して塞ぎ板34‐1を取去る。そして、工具を使って集合中継コネクタ32の取外しまたは接続を行う。この際、コネクタ32またはコネクタ32を把持した作業者の手は、作業の過程で作業窓26A内に適宜進入することで、オペレータ室20の後面と前面板26Aとの間の前後方向の作業スペースが確保される。コネクタ32の接続、取り外しがなされた後、作業窓33−1に塞ぎ板34‐1を再度工具でボルト止めにて固定し、車体から降りたら接続作業は終了である。
【0048】
次に、第1の実施の形態の効果について説明する。
【0049】
作業窓33‐1は、オペレータ室20後面の右寄りのアクセス可能な位置に組付けられた集合中継コネクタ32に対応して配置されており、片手作業に十分なスペースや集合中継コネクタ32の抜き代を確保しているため、作業窓33‐1を使って集合中継コネクタ32の接続作業が容易にできるので作業効率が向上する。また、オペレータ室外の電機機器に作業窓33‐1が近づくため接続する電装ハーネス31の配策の長さが短くなりコスト面で有益であるとともに、電装ハーネス31の配策も容易で作業効率が向上する。
【0050】
塞ぎ板34‐1によって作業窓33‐1を塞ぐことで、第2の熱交換装置25を通過した冷却風がオペレータ室20に廻り込み、冷却風の熱の影響がオペレータ室20へ及ぶことを防ぐため、オペレータ室の快適さを保つことができる。
【0051】
次に本発明の建設機械の第2の実施の形態について図6〜8を用いて説明する。上記の第1の実施の形態では、オペレータ室20後面の右寄りに集合中継コネクタ32を取付ける挿通口を設けているが、第2の実施の形態では地上から集合中継コネクタ32の接続作業を行うためにこの挿通口をオペレータ室20後面の左寄りに設けている。図6はオペレータ室後面(右寄り)に集合中継コネクタを取付けた斜視図であり、旋回フレームにオペレータ室を搭載した状態で示した図、図7は上部旋回体のオペレータ室を省略して左寄りに配置された作業窓を示す斜視図、図8は第2の熱交換装置を右側から拡大して左寄りに配置された作業窓を示す斜視図である。
【0052】
図6に示すように地上からアクセス可能なオペレータ室20後面の左寄りかつ左側面ドア30Bの近傍に挿通口を配置して集合中継コネクタ32を固定している。
【0053】
また、箱体26の前面板26Aには、集合中継コネクタ32の位置に対応して前面板26Aの左寄りに作業窓33−2が設けられている。なお、作業窓33−2の位置は、オイルクーラ27に対し冷却風流れ方向の上流位置となっている。(図7、8参照)。なお、本実施の形態では、第1の実施の形態における塞ぎ板34‐1に対応する塞ぎ板はなく、常時開口した状態となっている。
【0054】
本実施の形態においても、集合中継コネクタ32の接続作業については左側ドア30B開閉を伴うものの、上述した第1の実施の形態と同様である。
【0055】
次に、第2の実施の形態の効果を説明する。
【0056】
地上から集合中継コネクタ32の接続作業が可能であるため安全性が確保できる。
【0057】
オイルクーラ27の冷却風流れの上流側(オイルクーラ27を通過する前の冷却風が流れる位置)に作業窓33−2を設けることから、オイルクーラ27を通過した高温の冷却風が作業窓33−2からオペレータ室20の後面に向けて吹き出すことがないために塞ぎ板は不要となり、そのため部品点数が少なく、コスト面で有益である。また、組立時またはメンテナンス時に塞ぎ板の脱着作業がなくなり作業効率が向上する。さらに、作業窓33‐2が常に開いた状態であることから、効率良く冷却風を吸込むことができる。
【0058】
次に第3の実施の形態を図9(a)(b)により説明する。図9(a)は、作業窓が閉じた状態を示す状態図、図9(b)は作業窓が開いた状態を示す状態図である。本実施の形態は、第1の実施の形態における作業窓および塞ぎ板の構成を変更するものであり、その他の構成は同様である。
【0059】
本実施の形態では、作業窓33−3を、前面板26Aの集合中継コネクタ32に対向する部分から左縦板9側に向けて切り欠いて大きく形成し、この作業窓33−3を閉塞する塞ぎ板を図9(b)に示すように蛇腹のように折りたためる扉33A−3とするものである。
【0060】
また、扉33A‐3には、開閉時に把持する取手33B‐3が設けられる。そして本実施の形態では、扉33A−3をスライドさせて作業スペースを確保する。
【0061】
この構成では、集合中継コネクタ32の接続作業時に塞ぎ板の脱着が不要となり、さらに取手33B‐3を利用して開閉することで作業効率を向上させることができる。
【0062】
なお、蛇腹構造による扉33A−3に代えて図10(a)(b)に示すような引戸構造の扉33A‐4と取手33B‐4で構成するようにしても良く、この構成では、扉33A‐3の開閉時に扉を折りたたむためのスペースが不要となり、作業窓33‐4を狭いスペースでも構成可能である。
【0063】
また、塞ぎ板は、図11(a)(b)および図12(a)(b)のようにすることも可能である。
【0064】
図11(a)(b)は、ヒンジ34Cで塞ぎ板34‐5の1辺を前面板26Aに固定して、この固定した辺の対辺側が取付けられる部分に油圧ショベル稼動時に発生する振動によって塞ぎ板が開閉しないためのストッパとしてマグネット34D‐5を設けている。また、塞ぎ板34‐5の開閉用に取手34B‐5を備えている。この構成では、取手34B‐5を掴んで塞ぎ板を開閉することで集合中継コネクタ32の接続作業を行えばよく、塞ぎ板の脱着が不要となり作業効率が向上する。またこの構成は、左右方向のスペースが狭い場合にも構成可能である。
【0065】
図12(a)(b)は、塞ぎ板を回転させて開閉するもので塞ぎ板34‐6の1辺の中央を回転可能に取付けて、非作業時には蝶ボルトまたはナット34Eで前面板26Aに固定する構成とし、この固定した辺以外の1辺に油圧ショベル稼動時に発生する振動によって塞ぎ板が開閉しないためのストッパとしてマグネット34D‐6を設けている。また、塞ぎ板34‐6の開閉用に取手34B‐6を備えている。この構成では、蝶ナット34Eを弛めて取手34B‐6を掴んで塞ぎ板34‐6をスライドさせて開閉することで集合中継コネクタ32‐1の接続作業を行えばよく、塞ぎ板の脱着作業が不要となり作業効率が向上する。またこの構成は、前後方向のスペースが狭い場合にも構成可能である。
【0066】
なお、上述した実施の形態では、以下のような変更が可能である。
(1)第1の実施の形態における塞ぎ板33‐1の固定用ボルトは、蝶ボルトまたは蝶ナットを採用して固定する構成としてもよい。
(2)第2の実施の形態に、第1の実施の形態と同様の塞ぎ板や、第3の実施の形態の作業窓33‐3、33‐4等を適用してもよい。
(3)図11、図12に示す変形例における塞ぎ板34‐6を固定する蝶ナットは、蝶ボルトを採用して固定する構成としてもよい。
(4)図11、図12に示す変形例におけるストッパとしてのマグネット34D‐5、34D‐6は、開閉時に施錠、開錠作業が不要なストッパであればマグネットに限るものではない。
(5)第3の実施の形態および変形例における作業窓33‐3、33‐4、塞ぎ板34‐5、34‐6の開閉方向は図に示した方向に限るものではない。また、作業窓33‐3、33‐4について振動で開閉する虞がある場合には、マグネット等の開閉時に施錠、開錠作業が不要なストッパを設けるものとする。
(6)上述の実施の形態では、オペレータ室と熱交換装置との間で、集合中継コネクタの脱着作業が発生する構成について説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、電装ハーネスまたは油圧ホースの配策作業がオペレータ室と熱交換装置との間で発生する場合についても適用できる。
(7)上述の実施の形態では、熱交換装置の前面板が、冷却風のオペレータ室への廻り込みを防ぐ隔壁を一体に構成している形態について説明したが、熱交換装置と別体とした場合についても適用できる。
(8)上述の実施の形態では、熱交換装置がオペレータ室に隣接している構成について説明したが、オペレータ室に油圧ショベルの構成要素が隣接している場合についても作業窓を設置できれば適用できる。
(9)上述の実施の形態では、建設機械として、クローラ式の下部走行体2を備えた油圧ショベル1を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えばホイール式の下部走行体を備えた油圧ショベルに適応してもよい、それ以外にも、油圧クレーン、ホイールローダ等の他の建設機械にも広く適応することができる。
【符号の説明】
【0067】
1 油圧ショベル(建設機械)
2 下部走行体(車体)
3 旋回装置
4 上部旋回体(車体)
5 作業装置
6 旋回フレーム
7 底板
8 右縦板
9 左縦板
10 右張出しビーム
11 左張出しビーム
12 右サイドフレーム
13 左サイドフレーム
15 カウンタウエイト
16 エンジン
16A、29 冷却ファン
16B 過給機
17 油圧ポンプ
18 オイルタンク
19 作動油タンク
20 オペレータ室
21 第1の熱交換装置
22、26 箱体
22A、26A 前面板
22B、26B 後面板
22C、26C 上面板
23 ラジエータ(熱交換器)
24 インタクーラ(熱交換器)
25 第2の熱交換装置
27 オイルクーラ(熱交換器)
28 駆動モータ
30 建屋カバー
30A 上面カバー
30B、30C 左側面ドア
30D エンジンカバー
31 電装ハーネス
32 集合中継コネクタ
33‐1、33‐2、33‐3、33‐4 作業窓
33A‐3 蛇腹式の作業窓
33A‐4 引戸式の作業窓
33B‐3、33B‐4、34B‐5、34B‐6 取手
34‐1、34‐5、34‐6 作業窓の塞ぎ板
34C ヒンジ
34D‐5、34D‐6 ストッパとしてのマグネット
34E 蝶ナット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体の支持構造体を形成するフレームと、前記フレームに搭載されるエンジンと、前記エンジンによって駆動される油圧ポンプと、前記油圧ポンプから吐出される作動油により駆動される油圧アクチュエータと、前記フレームに搭載されオペレータが搭乗して前記油圧アクチュエータを操作するオペレータ室と、前記オペレータ室内に設けられる電気機器と前記オペレータ室外の前記フレーム上に設けられる電気機器とを接続する電装ハーネスまたは前記オペレータ室内に設けられる前記油圧アクチュエータの操作装置と前記オペレータ室外の前記油圧アクチュエータを制御する油圧制御弁とを接続する油圧ホースと、前記フレームに設けられ冷却ファンによって熱交換器に冷却風を供給して加熱された前記エンジンの冷却水または作動油を冷却する熱交換装置とを備え、前記熱交換装置が前記オペレータ室の後方に隣接して設けられた建設機械において、
前記熱交換装置と前記オペレータ室との間に隔壁が設けられ、前記隔壁には前記オペレータ室内からオペレータ室外に配策される前記電装ハーネスまたは油圧ホースの配策経路に対応する位置に開口する作業窓を備えたことを特徴とする建設機械。
【請求項2】
前記隔壁が、前記熱交換装置の一部を形成することを特徴とする請求項1に記載の建設機械。
【請求項3】
前記電装ハーネスまたは油圧ホースの配策経路および配策経路に対応する位置に開口する前記作業窓が、前記熱交換器に供給する冷却風の熱交換器に対して吐出し側に設置されることを特徴とする請求項1または請求項2の建設機械。
【請求項4】
前記電装ハーネスまたは油圧ホースの配策経路および配策経路に対応する位置に開口する前記作業窓が、前記熱交換器に供給する冷却風の熱交換器に対して吸込み側に設置されることを特徴とする請求項1または請求項2の建設機械。
【請求項5】
前記作業窓を閉塞する蓋を備えていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の建設機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−92616(P2012−92616A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−242567(P2010−242567)
【出願日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】