建設農業機械用空調装置
【課題】送風機の仕事量を増加させずに乗員の冷房フィーリングを向上させることができる建設農業機械用空調装置を提供する。
【解決手段】フロントフェイス開口部33に、右方または左方に向かって延びた後に屈曲して前方に向かって延び、送風空気を乗員の前方側から乗員の上半身に向けて吹き出すフロントフェイスダクト51が接続されるようになっており、リアフェイス開口部34に、上方に向かって延び、送風空気を乗員の後方側または上方側の少なくとも一方から上半身に向けて吹き出すリアフェイスダクト52が接続されるようになっている建設農業機械用空調装置において、冷却用熱交換器24とチャンバ31を下方から上方へ順に配置されており、フロントフェイス開口部33をケース11の右方および左方の少なくとも一方に設け、リアフェイス開口部34をケース11の上方および前方の少なくとも一方に設ける。
【解決手段】フロントフェイス開口部33に、右方または左方に向かって延びた後に屈曲して前方に向かって延び、送風空気を乗員の前方側から乗員の上半身に向けて吹き出すフロントフェイスダクト51が接続されるようになっており、リアフェイス開口部34に、上方に向かって延び、送風空気を乗員の後方側または上方側の少なくとも一方から上半身に向けて吹き出すリアフェイスダクト52が接続されるようになっている建設農業機械用空調装置において、冷却用熱交換器24とチャンバ31を下方から上方へ順に配置されており、フロントフェイス開口部33をケース11の右方および左方の少なくとも一方に設け、リアフェイス開口部34をケース11の上方および前方の少なくとも一方に設ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設農業機械用空調装置に関するもので、油圧ショベル等の建設機械(建機)およびトラクタ等の農業機械(農機)といった建設農業機械に適用して有効である。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用空調装置は、車室内に向けて送風される空気と熱交換する熱交換器が内蔵された空調ケースを備えている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1に記載の車両用空調装置では、空調ケースに、空調風を前席乗員の上半身に向けて流出させるフロントフェイス開口部、および空調風を後席乗員の上半身に向けて流出させるリアフェイス開口部が設けられている。
【特許文献1】特開平11−11135号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記特許文献1に記載の空調装置を油圧ショベル等の建設機械に適用した場合、空調ケースをキャビンの後方に配置しなくてはならないので、空調ケースの車両前後方向の大きさが特に制限される。このため、空調ケースにおいて、送風機が搭載される送風機部と、熱交換器が搭載される熱交換器部とを車両左右方向に並べて配置している。したがって、熱交換器を通過する送風空気の流れは車両左右方向となっている。
【0004】
例えば、空調ケースにおいて、熱交換器部を送風機部の右側に配置した場合、図13(a)、(b)に示すように、熱交換器J24を通過しエアミックスチャンバJ31に流入する送風空気は、左側から右側に向かって(矢印x方向)流れる。このとき、空調ケースJ11において、空調風を乗員の下半身に向けて流出させるフット開口部J36を前方側に開口し、フロントフェイス開口部J33を右側に開口させ、リアフェイス開口部J34を上方側に開口させている。
【0005】
ところで、建設機械は作業性向上のため、キャビンのガラス面積をできるたけ大きくとり、視界を広げている。そのため、夏場等は日射の影響により乗員は全身に暑さを感じることになるが、それを打ち消すために、乗員の上半身の冷房フィーリングを向上させることが考えられている。
【0006】
そして、本発明者がフロントフェイス開口部J33吹出空気とリアフェイス開口部J34吹出空気の風量割合について検討した結果、リアフェイス開口部J34吹出空気の流量をフロントフェイス開口部J33吹出空気の流量以上とすると、乗員の冷房フィーリングが向上することがわかった。
【0007】
上述の空調ユニットでは、エアミックスチャンバJ31に流入する送風空気の流れ方向(図13(b)の矢印x方向)が、フロントフェイス開口J33部から吹き出す送風空気の流れ方向(図13(b)の矢印y方向)と一致しているので、リアフェイス開口部J34吹出空気の流量をフロントフェイス開口部J33吹出空気の流量より多くするためには、フロントフェイス開口部J33の開口面積を減少させる必要がある。
【0008】
また、フット開口部J36から吹き出す送風空気の流れ方向が、エアミックスチャンバJ31に流入する送風空気の流れ方向に対して車両前方側に傾斜しているため、フット開口部J36の開口面積を大きくとることができない。このことから、フェイス側風量およびフット側風量を確保したまま、フェイスモードにおいてリアフェイス開口部J34吹出空気の流量をフロントフェイス開口部J33吹出空気の流量より多くするためには、送風機の仕事量を大きくする必要がある。送風機の仕事量を大きくすると、送風機の消費電力増大、送風機のモータの寿命低下および送風騒音増加という問題が生じる。
【0009】
さらに、この空調ユニットでは、車両幅方向の大きさの制限により、熱交換器部において送風機からの送風空気が流入する空気流入部J200と、熱交換器J24の空気流れ上流側の面との距離が大きくとれない。このため、送風騒音増加の問題は深刻である。
【0010】
本発明は、上記点に鑑み、送風機の仕事量を増加させずに乗員の冷房フィーリングを向上させることができる建設農業機械用空調装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明は、ケース(11)には、冷却用熱交換器(24)通過後の送風空気が流入するチャンバ(31)、チャンバ(31)に流入した送風空気を流出させる第1開口部(33)および第2開口部(34)が設けられ、第1開口部(33)には、右方または左方に向かって延びた後に屈曲して前方に向かって延び、送風空気を乗員の前方側から乗員の上半身に向けて吹き出す第1ダクト(51)が接続されるようになっており、第2開口部(34)には、上方に向かって延び、送風空気を乗員の後方側または上方側の少なくとも一方から上半身に向けて吹き出す第2ダクト(52)が接続されるようになっている建設農業機械用空調装置において、冷却用熱交換器(24)とチャンバ(31)が、下方から上方へ順に配置されており、第1開口部(33)は、ケース(11)の右方および左方の少なくとも一方に設けられており、第2開口部(34)は、ケース(11)の上方および前方の少なくとも一方に設けられていることを第1の特徴としている。
【0012】
このように、右方または左方に向かって延びた後に屈曲して前方に向かって延びる第1ダクト(51)が接続される第1開口部(33)をケース(11)の右方および左方の少なくとも一方に設けると、第1ダクト(51)内で少なくとも一回空気流れを曲げる必要がある。一方、上方に向かって延びる第2ダクト(52)が接続される第2開口部(34)をケース(11)の上方および前方の少なくとも一方に設けると、第2ダクト(52)内で空気流れを大きく曲げる必要がない。
【0013】
このため、第2ダクト(52)の通風抵抗が第1ダクト(51)の通風抵抗より小さくなるので、乗員の後方側または上方側の少なくとも一方から吹き出す空気の流量を、乗員の前方側から吹き出す空気の流量より多く確保することが容易になる。したがって、送風機(19)の仕事量を増加させずに乗員の冷房フィーリングを向上させることが可能となる。
【0014】
また、本発明は、ケース(11)には、冷却用熱交換器(24)通過後の送風空気が流入するチャンバ(31)、チャンバ(31)に流入した送風空気を流出させる第1開口部(33)および第2開口部(34)が設けられ、第1開口部(33)には、右方または左方に向かって延びた後に屈曲して前方に向かって延び、送風空気を乗員の前方側から乗員の上半身に向けて吹き出す第1ダクト(51)が接続されるようになっており、第2開口部(34)には、上方に向かって延び、送風空気を乗員の後方側または上方側の少なくとも一方から上半身に向けて吹き出す第2ダクト(52)が接続されるようになっている建設農業機械用空調装置において、冷却用熱交換器(24)とチャンバ(31)が、下方から上方へ順に配置されており、第1開口部(33)は、ケース(11)の右方および左方の少なくとも一方に設けられており、第2開口部(34)は、ケース(11)の上方および前方の少なくとも一方に設けられていることを第2の特徴としている。
【0015】
これによれば、上記第1の特徴と同様、第2ダクト(52)の通風抵抗が第1ダクト(51)の通風抵抗より小さくなるので、乗員の後方側または上方側の少なくとも一方から吹き出す空気の流量を、乗員の前方側から吹き出す空気の流量より多く確保することが容易になる。したがって、送風機(19)の仕事量を増加させずに乗員の冷房フィーリングを向上させることが可能となる。
【0016】
また、上記各特徴の建設農業機械用空調装置において、ケース(11)には、第1開口部(33)から流出する送風空気と、第2開口部(34)から流出する送風空気との風量割合を調整する風量割合調整手段(38)が設けられていてもよい。
【0017】
これによれば、第1開口部(33)から流出する送風空気と、第2開口部(34)から流出する送風空気との風量割合を容易に調整することができる。すなわち、必要に応じて、第1開口部(33)から流出する送風空気の流量を、第2開口部(34)から流出する送風空気の流量より多くすることもできる。
【0018】
また、上記各特徴の建設農業機械用空調装置において、ケース(11)には、冷却用熱交換器(24)通過後の送風空気を加熱する加熱用熱交換器(25)と、加熱用熱交換器(25)をバイパスして冷風が流れる冷風バイパス通路(27)とが設けられており、チャンバは、冷風バイパス通路(27)を通過する冷風と加熱用熱交換器(25)を通過する温風とを混合させるエアミックスチャンバ(31)であってもよい。
【0019】
また、上記各特徴の建設農業機械用空調装置において、ケース(11)には、前方に向かって延び、送風空気をキャビン(1)の前面ガラス(4a)に向けて吹き出す第3ダクト(54)が接続される第3開口部(39)が設けられており、第3開口部(39)は、ケース(11)の右方、左方、上方および前方の少なくとも一方に設けられていてもよい。これによれば、前面ガラス(4a)の曇りを防止することができる。
【0020】
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
(第1実施形態)
図1〜6により、本発明の建設農業機械用空調装置を、油圧ショベルに適用した例を説明する。図1は本実施形態による油圧ショベルのキャビン1の模式的な透過斜視図で、図2は本実施形態による油圧ショベルのキャビン1の模式的な断面図である。図2において、後述する各種ダクトは図示を省略している。
【0022】
なお、図1の二点鎖線はキャビン1の床部2略中央に設置されたシート3を示しており、図示される前後、上下、左右の各矢印はシート3に着座した乗員(図2の二点鎖線参照)から見たキャビン1の前後、上下、左右の各方向を示している。さらに、以下の説明における各方向についても、この乗員から見た各方向を基準としている。
【0023】
油圧ショベルのキャビン1は、前方に前面壁部4、左右両側に側面壁部5、後方に後面壁部6、天井部7および床部2を有し、これらによって囲まれた車室内空間を形成する。本実施形態では、前面壁部4の上部は前面ガラス4aによって構成され、後面壁部6の上部6aは後面ガラス5aによって構成されている。また、左右の側面壁部5の少なくとも一方には、乗員乗降用ドア(図示せず)が配置されている。
【0024】
シート3の後方下側部位、すなわち、シート3の後方の床部2には空調ユニット10が搭載されている。このため、空調ユニット10は、前後方向の厚みを薄くした薄型の箱形状になっている。なお、図2では、図示の都合上、空調ユニット10の形状を簡略化して図示している。
【0025】
つぎに、空調ユニット10の具体的構成を説明する。図3は本実施形態による空調ユニット10の全体正面図であり、図4は図3のA矢視図、図5は図3のB−B断面図、図6は図3のC−C断面図である。
【0026】
空調ユニット10は上述した薄型の箱形状をなすケース11を有し、このケース11内にキャビン1内に送風される空気が流れる空気通路が形成され、ケース11内に送風機部12と熱交換器部13が設けられている。
【0027】
送風機部12はケース11内部の左側部に構成されており、ケース11の左上側には空気通路の最上流部となる内外気切替箱14が配置される。内外気切替箱14の前面にはケース内に内気を導入する内気導入口15が設けられ、後面にはケース内に外気を導入する外気導入口16が設けられている。
【0028】
従って、内気はシート3の左下側から導入されることとなり、一方、外気は外気導入口16とキャビン1室外と接続するダクト部(図示せず)を介してキャビン1の後方外部から導入される。
【0029】
また、内外気切替箱14内には、内気導入口15および外気導入口16を切替開閉する内外気切替ドア17が配置される。本実施形態では、内外気切替ドア17はロータリードアにて構成されている。内外気切替ドア17は左右方向に延びる回転軸17aを中心として電動アクチュエータ(図示せず)によって駆動される。
【0030】
具体的には、内外気切替ドア17の回転位置によって、内気導入口15より内気を導入する内気モード、外気導入口16より外気を導入する外気モード、および、内気と外気を同時に導入する内気/外気モードに切り替えることができる。図5において、内外気切替ドア17の実線位置は内気モードの状態を示しており、内外気切替ドア17の二点鎖線位置は外気モードの状態を示している。
【0031】
内外気切替箱14の下方にはキャビン内に空気を送風する電動式の送風機19が配置される。送風機19は、モータ20により回転駆動される遠心式の送風ファン21と、送風ファン21を収容するスクロールケーシング22により構成される。
【0032】
送風ファン21は、円弧状の断面形状を有する羽(ブレード)を円環状に配置した遠心ファンであり、送風ファン21の回転軸21aは上下方向に向いており、送風ファン21は上方の内外気切替箱14側から空気を吸入する。
【0033】
本実施形態では、内外器切替箱14と送風機19との間にフィルタ23が設けられている。このフィルタ23により送風機19に流入する空気中の塵埃等を除去することができる。
【0034】
そして、スクロールケーシング22は下方側に広がるように設けられ、送風ファン21によって送風された空気が送風機部12の空気出口部12aから熱交換器部13の冷房用熱交換器24の車両後方側の空間(図6のD部)へ導かれるように配置されている。従って、送風ファン21によって送風された空気は送風機部12から熱交換器部13へ向かう方向(左から右方向)に流れる。
【0035】
次に、熱交換器部13について説明する。熱交換器部13はケース11内部の送風機部12の右側に構成されている。熱交換器部13内部の後側、すなわち熱交換器部13の空気流れ上流側には冷房用熱交換器(冷却用熱交換器)24が配置される。
【0036】
冷房用熱交換器24は冷凍サイクルの蒸発器であって、周知の如く冷媒が通過するチューブとこのチューブの外表面に接合されたフィンとからなる熱交換コア部24aを有している。送風機部12から送風された空気は熱交換コア部の空隙部を後方から前方(図6の矢印a方向)へ通過し、この通過空気から冷凍サイクルの低温低圧冷媒が吸熱して蒸発することにより送風機部12から送風された空気が冷却される。
【0037】
本実施形態における冷房用熱交換器24は、複数本のチューブに対する冷媒の分配または集合を行うタンク部24bをその上下端部に有している。
【0038】
なお、冷凍サイクルの冷媒を循環する圧縮機(図示せず)は電磁クラッチを介して油圧ショベルのエンジン(図示せず)により駆動される。また、冷房用熱交換器24は、冷房用熱交換器24の後方空間(図6のD部)へ流入した空気の全てが冷房用熱交換器24を通過できるように、熱交換器部13内部後面側のほぼ全域にわたる形状に相当する略矩形形状になっている。
【0039】
次に、ケース11の内部において、冷房用熱交換器24の空気流れ下流側(車両前方側)かつ下方側に略矩形形状の暖房用熱交換器(加熱用熱交換器)25が配置されている。暖房用熱交換器25はケース11の全幅にわたって配置される。
【0040】
暖房用熱交換器25は油圧ショベルのエンジン(図示せず)の冷却水(温水)を熱源として空気を加熱する温水式熱交換器であって、周知のごとく温水が通過する複数本のチューブとこのチューブの外表面に接合されたフィンとからなる熱交換コア部25aを有している。この熱交換コア部25aの空隙部を冷房用熱交換器24下流側空気が通過して加熱される。
【0041】
本例における暖房用熱交換器25は、複数本のチューブに対する温水の分配または集合を行うタンク部25bをその上下端部に有する、いわゆる全パスタイプのものであり、下側タンク部が温水入口タンク部を構成している。
【0042】
また、暖房用熱交換器25の上方には板状のエアミックスドア26が配置され、エアミックスドア26の回転軸26aが暖房用熱交換器25の上方端部付近に配置される。
【0043】
エアミックスドア26の回転軸26aは図6の紙面垂直方向(車両幅方向)に延びるように配置され、回転軸26aの両端部はケース11の左右両側の側壁面の軸受孔(図示せず)により回転可能に保持される。回転軸26aの一端部はケース11の外部に突出して、電動アクチュエータ(図示せず)に連結されている。
【0044】
ケース11内において、冷房用熱交換器24の空気流れ下流側であって暖房用熱交換器25の上方側に、暖房用熱交換器25をバイパスして冷風を矢印bのように流す冷風バイパス通路27が形成されている。一方、ケース11内において、暖房用熱交換器25の空気流れ下流側(車両前方側)には、暖房用熱交換器25で加熱された温風が矢印cのように流れる温風通路28が形成されている。
【0045】
また、ケース11の下面11aのうち暖房用熱交換器25の車両前方側部位には、上方側へ突き出す温風ガイド壁29がケース11と一体に形成されている。この温風ガイド壁29は温風通路28の車両前方側を区画するものであって、温風通路28の温風流れを矢印cのように冷風バイパス通路27側へガイドする。
【0046】
これにより、温風通路28の上方側であって、温風ガイド壁29の先端部周辺に、温風と冷風を良好に混合できるエアミックスチャンバ31を形成している。なお、エアミックスチャンバ31が本発明のチャンバに相当している。
【0047】
図6において、エアミックスドア26の実線位置は暖房用熱交換器25の通風路を全閉して、冷風バイパス通路27を全開する最大冷房位置であり、二点鎖線位置は冷風バイパス通路27を全閉して、暖房用熱交換器25の通風路を全開する最大暖房位置である。
【0048】
エアミックスドア26は周知のごとく暖房用熱交換器25を通過する温風(矢印c)と暖房用熱交換器25をバイパスして冷風バイパス通路27を通過する冷風(矢印b)との風量割合を調整して車室内への吹出空気温度を調整する温度調整手段である。そして、エアミックスチャンバ31において上記温風(矢印c)と上記冷風(矢印b)が混合されて所望温度の空気が得られる。
【0049】
ケース11内において冷風バイパス通路27の上方側に、エアミックスチャンバ31と連通するフェイス通路32が形成されている。このフェイス通路32は、車両前方から車両後方へ延びるように形成されている。フェイス通路32のうち車両前方側の右側面壁部にフロントフェイス開口部33が開口している。また、フェイス通路32のうち車両後方側の上面部にリアフェイス開口部34が開口している。本実施形態では、リアフェイス開口部34は車両幅方向に拡がっている。なお、フロントフェイス開口部33が本発明の第1開口部に相当し、リアフェイス開口部34が第2開口部に相当している。
【0050】
フロントフェイス開口部33には車両前方側に向かって延びるフロントフェイスダクト51(図1参照)が接続され、このフロントフェイスダクト51の下流側端部から乗員前方側から乗員の顔部に向けて空気を吹出すようになっている。また、フロントフェイスダクト51の途中部にはデフダクト(図示せず)が接続され、このデフダクトの下流側端部のデフ吹出口(図示せず)から前面ガラス4aに向けて空気を吹き出すようになっている。なお、フロントフェイスダクト51が本発明の第1ダクトに相当し、デフダクトが本発明の第3ダクトに相当している。
【0051】
フロントフェイス吹出口510およびデフ吹出口にはそれぞれ図示しないシャット機構が設けられ、このシャット機構によりフロントフェイス吹出口510およびデフ吹出口をそれぞれ開閉できるようにしてある。このシャット機構は乗員の手動操作により開閉操作される。
【0052】
リアフェイス開口部34には上方に向かって延びるリアフェイスダクト52(図1参照)が接続され、このリアフェイスダクト52の下流側端部のリアフェイス吹出口520から乗員後方側から乗員の後方周辺に向けて空気を吹き出すようになっている。なお、リアフェイスダクト52が、本発明の第2ダクトに相当している。
【0053】
また、ケース11内において温風通路28の車両前方側に、エアミックスチャンバ31と連通するフット通路35が形成されている。このフット通路35は、上方から下方へ垂下するように形成されている。
【0054】
フット通路35の下方側の前面壁部にフット開口部36が開口している。本実施形態では、フット開口部36は車両幅方向に拡がっている。フット開口部36には車両前方側に向かって延びるフットダクト53(図1参照)が接続され、このフットダクト53の下流側端部のフット吹出口530から乗員の足元部に空気を吹き出すようになっている。
【0055】
エアミックスチャンバ31の車両前方側には、フェイス通路32とフット通路35を切替開閉する板状の吹出モード切換ドア37が配置されている。吹出モード切換ドア37の回転軸37aは図6の紙面垂直方向(車両幅方向)に延びるように配置され、回転軸37aの両端部はケース11の左右両側の側壁面の軸受孔(図示せず)により回転可能に保持される。回転軸37aの一端部はケース11の外部に突出して、電動アクチュエータ(図示せず)に連結されている。
【0056】
図6において、吹出モード切換ドア37の実線位置はフット通路35を全閉し、フェイス通路32を全開するフェイスモード時の位置を示す。これに対し、吹出モード切換ドア37の二点鎖線位置は、フェイス通路32を全閉し、フット通路35を全開するフットモード位置を示す。
【0057】
また、リアフェイス開口部34開閉する板状のリアフェイスドア38は、フロントフェイス吹出口510およびデフ吹出口(図示せず)からの吹出風量と、リアフェイス吹出口520からの吹出風量との風量割合を調整するものである。
【0058】
リアフェイスドア38の回転軸38aは図6の紙面垂直方向(車両幅方向)に延びるように配置され、回転軸38aの両端部はケース11の左右両側の側壁面の軸受孔(図示せず)により回転可能に保持される。回転軸38aの一端部はケース11の外部に突出して、電動アクチュエータ(図示せず)に連結されている。
【0059】
図6において、リアフェイスドア38の実線位置はリアフェイス開口部34を全開する位置を示す。これに対し、リアフェイスドア38の二点鎖線位置は、リアフェイス開口部34を全閉する位置を示す。
【0060】
図示を省略しているが、空調操作パネルは、車室内空間の前方側部位に配置された計器盤に設けられ、冷凍サイクルの圧縮機作動スイッチ、風量スイッチの他、温度設定スイッチ、吹出モード切替スイッチ、前後風量調整スイッチ、内外気モード切替スイッチ等を有している。
【0061】
次に、本実施形態の作動を説明する。空調操作パネルの圧縮機作動スイッチを投入すると、冷凍サイクルの圧縮機の電磁クラッチに通電され、電磁クラッチが接続状態となるので、圧縮機がエンジンにより駆動される。これにより、冷房用熱交換器24では冷凍サイクルの低温の低圧冷媒が空気から吸熱して蒸発することにより空気を冷却する。
【0062】
オートスイッチを投入すると、温度設定スイッチで設定される設定温度に応じて、空調風の温度の調整と吹出モードの切替とが自動的に行われる。なお、空調風の温度の調整と吹出モードの切替は、マニュアル操作によっても行うことができる。
【0063】
空調風の温度の調整は、上述したとおり、エアミックス26を操作して、冷風バイパス通路27を流れる冷風と、温風通路28を流れる温風との混合割合を調整することにより行う。
【0064】
吹出モードには、主に夏期の冷房時に選択されるフェイスモード、および主に冬期の暖房時に選択されるフットモード等がある。
【0065】
通常夏期の冷房時に使用されるフェイスモードでは、吹出モード切換ドア37がフェイス通路32全開位置(実線位置)になり、リアフェイスドア38がリアフェイス開口部34全開位置(実線位置)になるように操作される。
【0066】
これにより、空調風(冷風)はリアフェイス開口部34、リアフェイスダクト52を介して、リアフェイス吹出口520から乗員の後方周辺へ向けて吹き出されるとともに、フロントフェイス開口部33、フロントフェイスダクト51を介して、フロントフェイス吹出口510から乗員の顔部へ向けて吹き出される。
【0067】
なお、例えば窓を開けたときのように、乗員の顔部への送風量を増大させたい場合は、リアフェイスドア38がリアフェイス開口部34を閉塞する方向に移動した位置になるように操作されることもある。
【0068】
次に、通常冬期の暖房時に使用されるフットモードでは、吹出モード切換ドア37がフット通路35全開位置(二点鎖線位置)になるように操作される。
【0069】
これにより、空調風(温風)はフット開口部36、フットダクト53を介して、フット吹出口530から吹出される。
【0070】
以上説明したように、前方に向かって延びるフロントフェイスダクト51が接続されるフロントフェイス開口部33をケース11の右側面に設けると、ケース11の右方から流出した空気を乗員の前方まで導くために、フロントフェイス51内で少なくとも一回空気流れを曲げる必要がある。一方、上方に向かって延びるリアフェイスダクト52が接続されるリアフェイス開口部34をケース11の上面部に設けると、リアフェイスダクト52内で空気流れを曲げる必要がない。
【0071】
このため、リアフェイスダクト52の通風抵抗がフロントフェイスダクト51の通風抵抗より小さくなるので、リアフェイス吹出口から吹き出す空気の流量を、フロントフェイス吹出口から吹き出す空気の流量より多く確保することが容易になる。したがって、送風機19の仕事量を増加させずに乗員の冷房フィーリングを向上させることが可能となる。
【0072】
ところで、本実施形態によると、図4の矢印Lに示すように、送風機部12より流入した空気は、熱交換器部13における冷房用熱交換器24の車両後方側で90°向きを変える。すなわち、送風空気は車両左側から車両右側に向かって流れた後、車両後方から車両前方に向かって流れる。
【0073】
このため、図6の矢印aに示すように、冷房用熱交換器24を通過する空気は車両後方から車両前方に向かって流れる。そして、図6の矢印bに示すように、エアミックスチャンバ31に流入する空気は車両後方から車両前方に向かって流れる。
【0074】
一方、図6の矢印eに示すように、リアフェイス開口部34を流れる空気は下方から上方に向かって流れる。また、図4の矢印fに示すように、フロントフェイス開口部33を流れる空気は車両左方から車両右方に向かって流れる。
【0075】
したがって、フロントフェイス開口部33から流出する空気の第1流出方向(矢印f)と、エアミックスチャンバ31に流入する空気の流入方向(矢印b)とのなす第1角度θ1が90°となっている。さらに、リアフェイス開口部34から流出する空気の第2流出方向(矢印e)と、エアミックスチャンバ31に流入する空気の流入方向(矢印b)とのなす第2角度θ2が90°となっている。すなわち、第1角度θ1および第2角度θ2がともに90°となっている。
【0076】
ところで、エアミックスチャンバ31へ流入する送風空気の流入方向と、開口部から流出する送風空気の流れ方向とのなす角の角度が小さい程、その開口部から流出する送風空気の流量が増大する。
【0077】
このため、本実施形態のように、第1角度θ1と第2角度θ2を等しくすることにより、リアフェイス開口部34から流出する送風空気の流量を、フロントフェイス開口部33から流出する送風空気の流量と同量確保することが容易になる。すなわち、乗員の後方側から吹き出す空気の流量を、乗員の前方側から吹き出す空気の流量と同量確保することが容易になる。したがって、送風機19の仕事量を増加させることなく乗員の冷房フィーリングを向上させることが可能となる。
【0078】
また、ケース11内にリアフェイスドア38を設けることで、フロントフェイス開口部33から流出する送風空気と、リアフェイス開口部34から流出する送風空気との風量割合を容易に調整することができる。すなわち、必要に応じて、フロントフェイス開口部33から流出する送風空気の流量を、リアフェイス開口部34から流出する送風空気の流量より多くすることもできる。
【0079】
また、本実施形態によると、図4、6の矢印dに示すように、フット開口部36を流れる空気も車両後方から車両前方に向かって流れる。すなわち、フット開口部36における空気の流れ方向が、エアミックスチャンバ31に流入する空気の流れ方向と一致する。このため、フット開口部36を流れる空気の風量の確保が容易であり、ひいては、フット吹出口530から吹き出す空気の風量の確保が容易である。
【0080】
また、本実施形態によると、図4からわかるように、送風機部12の空気出口部12aを空調ユニット10の最後部に配置できるので、送風機部12の空気出口部12aを乗員から遠ざけることができる。このため、乗員の耳に届く送風騒音を低減することができる。
【0081】
また、本実施形態によると、略矩形形状の冷房用熱交換器24をケース11の内部に略鉛直に配置しているので、空調ユニット10の車両前後方向の体格を小型化できる。この結果、車室内空間において、乗員が利用可能なスペースを拡大することができる。
【0082】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図7(a)、(b)に基づいて説明する。上記第1実施形態と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。
【0083】
図7(a)は本第2実施形態における空調ユニット10の熱交換器部13を示す正面図で、(b)は(a)のE−E断面図である。図7(a)、(b)に示すように、本実施形態の空調ユニット10は、送風ファン(図示せず)によって送風された空気が送風機部(図示せず)の空気出口部12aから熱交換器部13の冷房用熱交換器24の下方側の空間(図7(b)のF部)へ導かれるように配置されている。従って、送風ファンによって送風された空気は送風機部から熱交換器部13へ向かう方向(左から右方向)に流れる。
【0084】
熱交換器部13はケース11内部の送風機部の右側に構成されている。熱交換器部13内部の下側、すなわち熱交換器部13の空気流れ上流側には冷房用熱交換器24が配置される。送風機部から送風された空気は熱交換コア部の空隙部を下方から上方(図7(b)の矢印k方向)へ通過するようになっている。
【0085】
次に、ケース11の内部において、冷房用熱交換器24の空気流れ下流側(上方側)かつ車両前方側に暖房用熱交換器25が配置されている。また、暖房用熱交換器25の車両後方側には板状のエアミックスドア26が配置され、エアミックスドア26の回転軸26aが暖房用熱交換器25の車両後方側端部付近に配置される。
【0086】
ケース11内において、冷房用熱交換器24の空気流れ下流側であって暖房用熱交換器25の車両後方側に、暖房用熱交換器25をバイパスして冷風を矢印lのように流す冷風バイパス通路27が形成されている。一方、ケース11内において、暖房用熱交換器25の空気流れ下流側(上方側)には、暖房用熱交換器25で加熱された温風が矢印mのように流れる温風通路28が形成されている。
【0087】
また、ケース11の下面11aのうち冷房用熱交換器24および暖房用熱交換器25の車両前方側部位には、上方側へ突き出した後、車両後方側に屈曲するガイド壁30がケース11と一体に形成されている。すなわちガイド壁30は、略上下方向に延びる第1の部位30aと、略車両前後方向に延びる第2の部位30bとから構成されている。
【0088】
第2の部位30bは温風通路28の上方側を区画するものであって、温風通路28の温風流れを矢印mのように冷風バイパス通路27側へガイドする。これにより、温風通路28の車両後方側であって、第2の部位30bの先端部周辺に、温風と冷風を良好に混合できるエアミックスチャンバ31を形成している。
【0089】
図7(b)において、エアミックスドア26の実線位置は暖房用熱交換器25の通風路を全閉して、冷風バイパス通路27を全開する最大冷房位置であり、二点鎖線位置は冷風バイパス通路27を全閉して、暖房用熱交換器25の通風路を全開する最大暖房位置である。
【0090】
ケース11内において冷風バイパス通路27の上方側に、エアミックスチャンバ31と連通するフェイス通路32が形成されている。フェイス通路32の右側面壁部にフロントフェイス開口部33が開口している。また、フェイス通路32の上面部にリアフェイス開口部34が開口している。
【0091】
また、ケース11内において温風通路28の上方側および車両前方側、すなわちガイド壁30を挟んで温風通路28、暖房用熱交換器25および冷房用熱交換器24と反対側に、エアミックスチャンバ31と連通するフット通路35が形成されている。このフット通路35は、車両後方から前方へ延びた後、上方から下方へ垂下するように形成されている。フット通路35の下方側の前面壁部にフット開口部36が開口している。
【0092】
エアミックスチャンバ31の上方側には、フェイス通路32とフット通路35を切替開閉する板状の吹出モード切換ドア37が配置されている。吹出モード切換ドア37の回転軸37aは図7(b)の紙面垂直方向(車両幅方向)に延びるように配置されている。
【0093】
図7(b)において、吹出モード切換ドア37の実線位置はフット通路35を全閉し、フェイス通路32を全開するフェイスモード時の位置を示す。これに対し、吹出モード切換ドア37の二点鎖線位置は、フェイス通路32を全閉し、フット通路35を全開するフットモード位置を示す。
【0094】
また、リアフェイス開口部34開閉する板状のリアフェイスドア38は、フロントフェイス吹出口(図示せず)およびデフ吹出口(図示せず)からの吹出風量と、リアフェイス吹出口(図示せず)からの吹出風量の風量割合を調整するものである。リアフェイスドア38の回転軸38aは図7(b)の紙面垂直方向(車両幅方向)に延びるように配置されている。
【0095】
図7(b)において、リアフェイスドア38の実線位置はリアフェイス開口部34を全開する位置を示す。これに対し、リアフェイスドア38の二点鎖線位置は、リアフェイス開口部34を全閉する位置を示す。
【0096】
以上説明したように、前方に向かって延びるフロントフェイスダクト51が接続されるフロントフェイス開口部33をケース11の右側面に設けると、ケース11の右方から流出した空気を乗員の前方まで導くために、フロントフェイス51内で少なくとも一回空気流れを曲げる必要がある。一方、上方に向かって延びるリアフェイスダクト52が接続されるリアフェイス開口部34をケース11の上面部に設けると、リアフェイスダクト52内で空気流れを曲げる必要がない。
【0097】
このため、リアフェイスダクト52の通風抵抗がフロントフェイスダクト51の通風抵抗より小さくなるので、リアフェイス吹出口から吹き出す空気の流量を、フロントフェイス吹出口から吹き出す空気の流量より多く確保することが容易になる。したがって、送風機19の仕事量を増加させずに乗員の冷房フィーリングを向上させることが可能となる。
【0098】
ところで、本実施形態によると、送風機部より流入した空気は、熱交換器部13における冷房用熱交換器24の下方側で90°向きを変える。すなわち、送風空気は車両左側から車両右側に向かって流れた後、下方から上方に向かって流れる。
【0099】
このため、図7(b)の矢印kに示すように、冷房用熱交換器24を通過する空気は下方から上方に向かって流れる。そして、図7(b)の矢印lに示すように、エアミックスチャンバ31に流入する空気は下方から上方に向かって流れる。
【0100】
一方、図7(b)の矢印oに示すように、リアフェイス開口部34を流れる空気は下方から上方に向かって流れる。また、図7(a)の矢印pに示すように、フロントフェイス開口部33を流れる空気は車両左方から車両右方に向かって流れる。
【0101】
したがって、フロントフェイス開口部33から流出する空気の第1流出方向(矢印p)と、エアミックスチャンバ31に流入する空気の流入方向(矢印l)とのなす第1角度θ1が90°となっている。一方、リアフェイス開口部34から流出する空気の第2流出方向(矢印o)と、エアミックスチャンバ31に流入する空気の流入方向(矢印l)とが一致している。すなわち、リアフェイス開口部34から流出する空気の第2流出方向と、エアミックスチャンバ31に流入する空気の流入方向とのなす第2角度θ2が0°となっている。このため、第1角度θ1が第2角度θ2より大きくなっている。
【0102】
これにより、リアフェイス開口部34から流出する送風空気の流量を、フロントフェイス開口部33から流出する送風空気の流量より多く確保することが容易になる。すなわち、乗員の後方側から吹き出す空気の流量を、乗員の前方側から吹き出す空気の流量より多くすることが容易になる。したがって、送風機19の仕事量を増加させることなく乗員の冷房フィーリングを向上させることが可能となる。
【0103】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について図8〜図12に基づいて説明する。上記第1実施形態と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。
【0104】
図8は、本第3実施形態による油圧ショベルのキャビン1の模式的な透過斜視図である。図8に示すように、油圧ショベルのキャビン1には、デフ吹出口540から前面ガラス4aに向けて空気を吹き出すためのデフダクト54が設けられている。
【0105】
図9は本第3実施形態による空調ユニット10の全体正面図であり、図10は図9のG矢視図、図11は図9のH−H断面図、図12は図9のI−I断面図である。図9〜図12に示すように、本実施形態の外気導入口16は、内外気切替箱14の左面に設けられている。従って、外気は外気導入口16とキャビン1室外とを接続するダクト部(図示せず)を介してキャビン1の左方外部から導入される。
【0106】
また、内外気切替箱14内には、板状の内外気切替ドア17が配置されている。内外気切替ドア17は、左右方向に延びる回転軸17aを中心としてサーボモータ17bによって駆動される。本実施形態では、サーボモータ17bは、内外気切替箱14の右側面の外側に組み付けられている。なお、図11において、内外気切替ドア17の実線位置は外気モードの状態を示しており、内外気切替ドア17の二点鎖線位置は内気モードの状態を示している。
【0107】
また、本実施形態では、フィルタ23は、内気導入口15のすぐ下流側に配置されている。
【0108】
本実施形態の空調ユニット10は、送風ファン21によって送風された空気が送風機部12の空気出口部12aから熱交換器部13の冷房用熱交換器24の後側の空間(図12のJ部)へ導かれるように配置されている。従って、送風ファン21によって送風された空気は送風機部12から熱交換器部13へ向かう方向(左から右方向)に流れる。
【0109】
エアミックスドア26の回転軸26aは図12の紙面垂直方向(車両幅方向)に延びるように配置され、回転軸26aの両端部はケース11の左右両側の側壁面の軸受孔(図示せず)により回転可能に保持される。本実施形態では、回転軸26aの左端部はケース11の外部に突出して、サーボモータ26b(図9および図10参照)に連結されている。このサーボモータ26bは、ケース11の左側面の外側に組み付けられている。
【0110】
図12に示すように、ケース11内において冷風バイパス通路27の上方側に、エアミックスチャンバ31と連通するフェイス・デフ通路320が形成されている。このフェイス・デフ通路320は、車両前方から車両後方へ延びるように形成されている。フェイス・デフ通路320のうち車両前方側の上面部にデフ開口部39が開口している。また、フェイス・デフ通路320のうち車両後方側の右側面壁部にフロントフェイス開口部33が開口している。また、フェイス・デフ通路320のうち車両後方側の上面部にリアフェイス開口部34が開口している。
【0111】
デフ開口部39には車両前方側に向かって延びるデフダクト54(図8参照)が接続され、このデフダクトの下流側端部のデフ吹出口540から前面ガラス4aに向けて空気を吹き出すようになっている。これにより、前面ガラス4aの曇りを防止することができる。なお、デフ開口部39が、本発明の第3開口部に相当している。
【0112】
吹出モード切換ドア37の回転軸37aは図12の紙面垂直方向(車両幅方向)に延びるように配置され、回転軸37aの両端部はケース11の左右両側の側壁面の軸受孔(図示せず)により回転可能に保持される。本実施形態では、回転軸37aの左端部はケース11の外部に突出して、サーボモータ37b(図9および図10参照)に連結されている。このサーボモータ37bは、ケース11の左側面の外側に組み付けられている。
【0113】
また、リアフェイス開口部34を開閉する板状のリアフェイスドア38は、フロントフェイス吹出口510からの吹出風量と、リアフェイス吹出口520からの吹出風量との風量割合を調整するものである。
【0114】
リアフェイスドア38の回転軸38aは図12の紙面垂直方向(車両幅方向)に延びるように配置され、回転軸38aの両端部はケース11の左右両側の側壁面の軸受孔(図示せず)により回転可能に保持される。回転軸38aの左端部はケース11の外部に突出してサーボモータ(図示せず)に連結されている。このサーボモータは、ケース11の左側面の外側に組み付けられている。
【0115】
図12において、リアフェイスドア38の実線位置はリアフェイス開口部34を全開する位置を示す。これに対し、リアフェイスドア38の二点鎖線位置は、リアフェイス開口部34を全閉する位置を示す。
【0116】
また、デフ開口部39を開閉する板状のデフドア40は、デフ吹出口540(図8参照)からの吹出風量を調整するものである。また、デフドア40の回転軸40aは図12の紙面垂直方向(車両幅方向)に延びるように配置され、回転軸40aの両端部はケース11の左右両側の側壁面の軸受孔(図示せず)により回転可能に保持される。本実施形態では、回転軸40aの左端部はケース11の外部に突出してサーボモータ(図示せず)に連結されている。このサーボモータは、ケース11の左側面の外側に組み付けられている。
【0117】
図12において、デフドア40の実線位置はデフ開口部39を全閉する位置を示す。これに対し、デフドア40の二点鎖線位置は、デフ開口部39を全開する位置を示す。
【0118】
また、図9および図10に示すように、ケース11の左側面の外側には、冷房用熱交換器24に冷媒を循環させる経路を構成する冷媒配管24cと、暖房用熱交換器25に温水を循環させる経路を構成する温水配管25cとが接続されている。また、図示を省略しているが、ケース11の左側面の外側には、冷房用熱交換器24を通過した直後の空気の温度を検出する吹出温度センサ等の各種センサが組み付けられている。
【0119】
以上説明したように、前方に向かって延びるフロントフェイスダクト51が接続されるフロントフェイス開口部33をケース11の右側面に設けると、ケース11の右方から流出した空気を乗員の前方まで導くために、フロントフェイス51内で少なくとも一回空気流れを曲げる必要がある。一方、上方に向かって延びるリアフェイスダクト52が接続されるリアフェイス開口部34をケース11の上面部に設けると、リアフェイスダクト52内で空気流れを曲げる必要がない。
【0120】
このため、リアフェイスダクト52の通風抵抗がフロントフェイスダクト51の通風抵抗より小さくなるので、リアフェイス吹出口から吹き出す空気の流量を、フロントフェイス吹出口から吹き出す空気の流量より多く確保することが容易になる。したがって、送風機19の仕事量を増加させずに乗員の冷房フィーリングを向上させることが可能となる。
【0121】
また、本実施形態によると、冷媒配管24c、温水配管25c、サーボモータ17b、26b、37b、および各種センサを、送風機部12と熱交換器部13との間に配置することができるので、組付け方向の一方向化が可能となり、組付け工数を低減することができる。また、電気部品(サーボモータ17b、26b、37b、および各種センサ)を、送風機部12と熱交換器部13との間に集中して配置することができるので、各電気部品に接続されるハーネスの長さを短くすることが可能となる。また、メンテナンス時においても、各種センサ等の部品が送風機部12と熱交換器部13との間に集中して配置されているため、容易にメンテナンスを行うことが可能となる。
【0122】
(他の実施形態)
なお、上記各実施形態では、内外気切替ドア17、エアミックスドア26、吹出モード切換ドア37およびリアフェイスドア38を回転駆動する駆動機構として、サーボモータからなる電気的アクチュエータ(図示せず)を使用している。また、これら各ドア17、26、37、38の駆動機構として、空調操作パネル(図示せず)に設けられた操作部材(例えば、手動操作レバー)の手動操作力をケーブル、リンク機構等を介して各回転軸17a、26a、37a、38aに伝達する手動操作機構を使用してもよい。
【0123】
また、上記各実施形態では、リアフェイス吹出口520を乗員後方側から乗員の後方周辺に向けて空気を吹き出すようにした例について説明したが、これに限らず、乗員上方側から乗員の後方周辺に向けて空気を吹き出すようにしてもよいし、乗員の後方側および上方側の両方から乗員の後方周辺に向けて空気を吹き出すようにしてもよい。
【0124】
また、上記各実施形態では、フロントフェイス開口部33をフェイス通路32の右側面壁部に開口させた例について説明したが、これに限らず、左側面壁部に開口させてもよいし、左右両側の側面壁部に開口させてもよい。
【0125】
同様に、上記各実施形態では、リアフェイス開口部34をフェイス通路32の上面部に開口させた例について説明したが、これに限らず、前面部に開口させてもよいし、上面部および前面部の両方に開口させてもよい。
【0126】
また、上記各実施形態では、空調ユニット10を車室内空間の最後部かつ最下部に搭載しているが、空調ユニット10の搭載位置はこれに限定されるものではない。例えば、空調ユニット10を車室内空間の中央部かつ最下部、すなわち、シート3の下方に搭載してもよい。
【0127】
また、上記各実施形態では、外気をキャビン1の後方外部から導入した例について説明したが、これに限らず、左側面外部から導入してもよい。
【0128】
また、上記各実施形態では、空調操作パネルを車室内空間の前方側部位に配置した例について説明したが、これに限らず、右側面に配置してもよい。
【0129】
また、上記各実施形態では、空気と熱交換する熱交換器として冷房用熱交換器24および暖房用熱交換器25を有しているが、暖房用熱交換器25を廃止して冷房用熱交換器24のみを有するようにしてもよい。
【0130】
また、上記各実施形態では、本発明による車両用空調装置を油圧ショベル等の建設機械に適用した例を示しているが、本発明の適用対象は油圧ショベル等の建設機械に限定されるものではなく、他の種々の車両にも適用が可能である。例えば、農機用トラクタ等に適用が可能である。
【0131】
また、上記第3実施形態では、デフ開口部39をフェイス・デフ通路320の上面部に開口させた例について説明したが、これに限らず、右側面壁部、左側面壁部および前面部のいずれか1つに開口させてもよいし、上面部、右側面壁部、左側面壁部および前面部のうち2つ以上に開口させてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0132】
【図1】第1実施形態による油圧ショベルのキャビン1の模式的な透過斜視図である。
【図2】第1実施形態による油圧ショベルのキャビン1の模式的な断面図である。
【図3】第1実施形態による空調ユニット10の全体正面図である。
【図4】図3のA矢視図である。
【図5】図3のB−B断面図である。
【図6】図3のC−C断面図である。
【図7】(a)は第2実施形態における空調ユニット10の熱交換器部13を示す正面図で、(b)は(a)のE−E断面図である。
【図8】第3実施形態による油圧ショベルのキャビン1の模式的な透過斜視図である。
【図9】第3実施形態による空調ユニット10の全体正面図である。
【図10】図9のG矢視図である。
【図11】図9のH−H断面図である。
【図12】図9のI−I断面図である。
【図13】(a)は従来の空調ユニットの熱交換器部を示す平面図で、(b)は(a)のX−X断面図である。
【符号の説明】
【0133】
11…ケース、19…送風機、24…冷房用熱交換器(冷却用熱交換器)、25…暖房用熱交換器(加熱用熱交換器)、27…冷風バイパス通路、31…エアミックスチャンバ(チャンバ)、33…フロントフェイス開口部(第1開口部)、34…リアフェイス開口部(第2開口部)、38…リアフェイスドア(風量割合調整手段)、39…デフ開口部(第3開口部)、51…フロントフェイスダクト(第1ダクト)、52…リアフェイスダクト(第2ダクト)、54…デフダクト(第3ダクト)。
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設農業機械用空調装置に関するもので、油圧ショベル等の建設機械(建機)およびトラクタ等の農業機械(農機)といった建設農業機械に適用して有効である。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用空調装置は、車室内に向けて送風される空気と熱交換する熱交換器が内蔵された空調ケースを備えている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1に記載の車両用空調装置では、空調ケースに、空調風を前席乗員の上半身に向けて流出させるフロントフェイス開口部、および空調風を後席乗員の上半身に向けて流出させるリアフェイス開口部が設けられている。
【特許文献1】特開平11−11135号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記特許文献1に記載の空調装置を油圧ショベル等の建設機械に適用した場合、空調ケースをキャビンの後方に配置しなくてはならないので、空調ケースの車両前後方向の大きさが特に制限される。このため、空調ケースにおいて、送風機が搭載される送風機部と、熱交換器が搭載される熱交換器部とを車両左右方向に並べて配置している。したがって、熱交換器を通過する送風空気の流れは車両左右方向となっている。
【0004】
例えば、空調ケースにおいて、熱交換器部を送風機部の右側に配置した場合、図13(a)、(b)に示すように、熱交換器J24を通過しエアミックスチャンバJ31に流入する送風空気は、左側から右側に向かって(矢印x方向)流れる。このとき、空調ケースJ11において、空調風を乗員の下半身に向けて流出させるフット開口部J36を前方側に開口し、フロントフェイス開口部J33を右側に開口させ、リアフェイス開口部J34を上方側に開口させている。
【0005】
ところで、建設機械は作業性向上のため、キャビンのガラス面積をできるたけ大きくとり、視界を広げている。そのため、夏場等は日射の影響により乗員は全身に暑さを感じることになるが、それを打ち消すために、乗員の上半身の冷房フィーリングを向上させることが考えられている。
【0006】
そして、本発明者がフロントフェイス開口部J33吹出空気とリアフェイス開口部J34吹出空気の風量割合について検討した結果、リアフェイス開口部J34吹出空気の流量をフロントフェイス開口部J33吹出空気の流量以上とすると、乗員の冷房フィーリングが向上することがわかった。
【0007】
上述の空調ユニットでは、エアミックスチャンバJ31に流入する送風空気の流れ方向(図13(b)の矢印x方向)が、フロントフェイス開口J33部から吹き出す送風空気の流れ方向(図13(b)の矢印y方向)と一致しているので、リアフェイス開口部J34吹出空気の流量をフロントフェイス開口部J33吹出空気の流量より多くするためには、フロントフェイス開口部J33の開口面積を減少させる必要がある。
【0008】
また、フット開口部J36から吹き出す送風空気の流れ方向が、エアミックスチャンバJ31に流入する送風空気の流れ方向に対して車両前方側に傾斜しているため、フット開口部J36の開口面積を大きくとることができない。このことから、フェイス側風量およびフット側風量を確保したまま、フェイスモードにおいてリアフェイス開口部J34吹出空気の流量をフロントフェイス開口部J33吹出空気の流量より多くするためには、送風機の仕事量を大きくする必要がある。送風機の仕事量を大きくすると、送風機の消費電力増大、送風機のモータの寿命低下および送風騒音増加という問題が生じる。
【0009】
さらに、この空調ユニットでは、車両幅方向の大きさの制限により、熱交換器部において送風機からの送風空気が流入する空気流入部J200と、熱交換器J24の空気流れ上流側の面との距離が大きくとれない。このため、送風騒音増加の問題は深刻である。
【0010】
本発明は、上記点に鑑み、送風機の仕事量を増加させずに乗員の冷房フィーリングを向上させることができる建設農業機械用空調装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明は、ケース(11)には、冷却用熱交換器(24)通過後の送風空気が流入するチャンバ(31)、チャンバ(31)に流入した送風空気を流出させる第1開口部(33)および第2開口部(34)が設けられ、第1開口部(33)には、右方または左方に向かって延びた後に屈曲して前方に向かって延び、送風空気を乗員の前方側から乗員の上半身に向けて吹き出す第1ダクト(51)が接続されるようになっており、第2開口部(34)には、上方に向かって延び、送風空気を乗員の後方側または上方側の少なくとも一方から上半身に向けて吹き出す第2ダクト(52)が接続されるようになっている建設農業機械用空調装置において、冷却用熱交換器(24)とチャンバ(31)が、下方から上方へ順に配置されており、第1開口部(33)は、ケース(11)の右方および左方の少なくとも一方に設けられており、第2開口部(34)は、ケース(11)の上方および前方の少なくとも一方に設けられていることを第1の特徴としている。
【0012】
このように、右方または左方に向かって延びた後に屈曲して前方に向かって延びる第1ダクト(51)が接続される第1開口部(33)をケース(11)の右方および左方の少なくとも一方に設けると、第1ダクト(51)内で少なくとも一回空気流れを曲げる必要がある。一方、上方に向かって延びる第2ダクト(52)が接続される第2開口部(34)をケース(11)の上方および前方の少なくとも一方に設けると、第2ダクト(52)内で空気流れを大きく曲げる必要がない。
【0013】
このため、第2ダクト(52)の通風抵抗が第1ダクト(51)の通風抵抗より小さくなるので、乗員の後方側または上方側の少なくとも一方から吹き出す空気の流量を、乗員の前方側から吹き出す空気の流量より多く確保することが容易になる。したがって、送風機(19)の仕事量を増加させずに乗員の冷房フィーリングを向上させることが可能となる。
【0014】
また、本発明は、ケース(11)には、冷却用熱交換器(24)通過後の送風空気が流入するチャンバ(31)、チャンバ(31)に流入した送風空気を流出させる第1開口部(33)および第2開口部(34)が設けられ、第1開口部(33)には、右方または左方に向かって延びた後に屈曲して前方に向かって延び、送風空気を乗員の前方側から乗員の上半身に向けて吹き出す第1ダクト(51)が接続されるようになっており、第2開口部(34)には、上方に向かって延び、送風空気を乗員の後方側または上方側の少なくとも一方から上半身に向けて吹き出す第2ダクト(52)が接続されるようになっている建設農業機械用空調装置において、冷却用熱交換器(24)とチャンバ(31)が、下方から上方へ順に配置されており、第1開口部(33)は、ケース(11)の右方および左方の少なくとも一方に設けられており、第2開口部(34)は、ケース(11)の上方および前方の少なくとも一方に設けられていることを第2の特徴としている。
【0015】
これによれば、上記第1の特徴と同様、第2ダクト(52)の通風抵抗が第1ダクト(51)の通風抵抗より小さくなるので、乗員の後方側または上方側の少なくとも一方から吹き出す空気の流量を、乗員の前方側から吹き出す空気の流量より多く確保することが容易になる。したがって、送風機(19)の仕事量を増加させずに乗員の冷房フィーリングを向上させることが可能となる。
【0016】
また、上記各特徴の建設農業機械用空調装置において、ケース(11)には、第1開口部(33)から流出する送風空気と、第2開口部(34)から流出する送風空気との風量割合を調整する風量割合調整手段(38)が設けられていてもよい。
【0017】
これによれば、第1開口部(33)から流出する送風空気と、第2開口部(34)から流出する送風空気との風量割合を容易に調整することができる。すなわち、必要に応じて、第1開口部(33)から流出する送風空気の流量を、第2開口部(34)から流出する送風空気の流量より多くすることもできる。
【0018】
また、上記各特徴の建設農業機械用空調装置において、ケース(11)には、冷却用熱交換器(24)通過後の送風空気を加熱する加熱用熱交換器(25)と、加熱用熱交換器(25)をバイパスして冷風が流れる冷風バイパス通路(27)とが設けられており、チャンバは、冷風バイパス通路(27)を通過する冷風と加熱用熱交換器(25)を通過する温風とを混合させるエアミックスチャンバ(31)であってもよい。
【0019】
また、上記各特徴の建設農業機械用空調装置において、ケース(11)には、前方に向かって延び、送風空気をキャビン(1)の前面ガラス(4a)に向けて吹き出す第3ダクト(54)が接続される第3開口部(39)が設けられており、第3開口部(39)は、ケース(11)の右方、左方、上方および前方の少なくとも一方に設けられていてもよい。これによれば、前面ガラス(4a)の曇りを防止することができる。
【0020】
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
(第1実施形態)
図1〜6により、本発明の建設農業機械用空調装置を、油圧ショベルに適用した例を説明する。図1は本実施形態による油圧ショベルのキャビン1の模式的な透過斜視図で、図2は本実施形態による油圧ショベルのキャビン1の模式的な断面図である。図2において、後述する各種ダクトは図示を省略している。
【0022】
なお、図1の二点鎖線はキャビン1の床部2略中央に設置されたシート3を示しており、図示される前後、上下、左右の各矢印はシート3に着座した乗員(図2の二点鎖線参照)から見たキャビン1の前後、上下、左右の各方向を示している。さらに、以下の説明における各方向についても、この乗員から見た各方向を基準としている。
【0023】
油圧ショベルのキャビン1は、前方に前面壁部4、左右両側に側面壁部5、後方に後面壁部6、天井部7および床部2を有し、これらによって囲まれた車室内空間を形成する。本実施形態では、前面壁部4の上部は前面ガラス4aによって構成され、後面壁部6の上部6aは後面ガラス5aによって構成されている。また、左右の側面壁部5の少なくとも一方には、乗員乗降用ドア(図示せず)が配置されている。
【0024】
シート3の後方下側部位、すなわち、シート3の後方の床部2には空調ユニット10が搭載されている。このため、空調ユニット10は、前後方向の厚みを薄くした薄型の箱形状になっている。なお、図2では、図示の都合上、空調ユニット10の形状を簡略化して図示している。
【0025】
つぎに、空調ユニット10の具体的構成を説明する。図3は本実施形態による空調ユニット10の全体正面図であり、図4は図3のA矢視図、図5は図3のB−B断面図、図6は図3のC−C断面図である。
【0026】
空調ユニット10は上述した薄型の箱形状をなすケース11を有し、このケース11内にキャビン1内に送風される空気が流れる空気通路が形成され、ケース11内に送風機部12と熱交換器部13が設けられている。
【0027】
送風機部12はケース11内部の左側部に構成されており、ケース11の左上側には空気通路の最上流部となる内外気切替箱14が配置される。内外気切替箱14の前面にはケース内に内気を導入する内気導入口15が設けられ、後面にはケース内に外気を導入する外気導入口16が設けられている。
【0028】
従って、内気はシート3の左下側から導入されることとなり、一方、外気は外気導入口16とキャビン1室外と接続するダクト部(図示せず)を介してキャビン1の後方外部から導入される。
【0029】
また、内外気切替箱14内には、内気導入口15および外気導入口16を切替開閉する内外気切替ドア17が配置される。本実施形態では、内外気切替ドア17はロータリードアにて構成されている。内外気切替ドア17は左右方向に延びる回転軸17aを中心として電動アクチュエータ(図示せず)によって駆動される。
【0030】
具体的には、内外気切替ドア17の回転位置によって、内気導入口15より内気を導入する内気モード、外気導入口16より外気を導入する外気モード、および、内気と外気を同時に導入する内気/外気モードに切り替えることができる。図5において、内外気切替ドア17の実線位置は内気モードの状態を示しており、内外気切替ドア17の二点鎖線位置は外気モードの状態を示している。
【0031】
内外気切替箱14の下方にはキャビン内に空気を送風する電動式の送風機19が配置される。送風機19は、モータ20により回転駆動される遠心式の送風ファン21と、送風ファン21を収容するスクロールケーシング22により構成される。
【0032】
送風ファン21は、円弧状の断面形状を有する羽(ブレード)を円環状に配置した遠心ファンであり、送風ファン21の回転軸21aは上下方向に向いており、送風ファン21は上方の内外気切替箱14側から空気を吸入する。
【0033】
本実施形態では、内外器切替箱14と送風機19との間にフィルタ23が設けられている。このフィルタ23により送風機19に流入する空気中の塵埃等を除去することができる。
【0034】
そして、スクロールケーシング22は下方側に広がるように設けられ、送風ファン21によって送風された空気が送風機部12の空気出口部12aから熱交換器部13の冷房用熱交換器24の車両後方側の空間(図6のD部)へ導かれるように配置されている。従って、送風ファン21によって送風された空気は送風機部12から熱交換器部13へ向かう方向(左から右方向)に流れる。
【0035】
次に、熱交換器部13について説明する。熱交換器部13はケース11内部の送風機部12の右側に構成されている。熱交換器部13内部の後側、すなわち熱交換器部13の空気流れ上流側には冷房用熱交換器(冷却用熱交換器)24が配置される。
【0036】
冷房用熱交換器24は冷凍サイクルの蒸発器であって、周知の如く冷媒が通過するチューブとこのチューブの外表面に接合されたフィンとからなる熱交換コア部24aを有している。送風機部12から送風された空気は熱交換コア部の空隙部を後方から前方(図6の矢印a方向)へ通過し、この通過空気から冷凍サイクルの低温低圧冷媒が吸熱して蒸発することにより送風機部12から送風された空気が冷却される。
【0037】
本実施形態における冷房用熱交換器24は、複数本のチューブに対する冷媒の分配または集合を行うタンク部24bをその上下端部に有している。
【0038】
なお、冷凍サイクルの冷媒を循環する圧縮機(図示せず)は電磁クラッチを介して油圧ショベルのエンジン(図示せず)により駆動される。また、冷房用熱交換器24は、冷房用熱交換器24の後方空間(図6のD部)へ流入した空気の全てが冷房用熱交換器24を通過できるように、熱交換器部13内部後面側のほぼ全域にわたる形状に相当する略矩形形状になっている。
【0039】
次に、ケース11の内部において、冷房用熱交換器24の空気流れ下流側(車両前方側)かつ下方側に略矩形形状の暖房用熱交換器(加熱用熱交換器)25が配置されている。暖房用熱交換器25はケース11の全幅にわたって配置される。
【0040】
暖房用熱交換器25は油圧ショベルのエンジン(図示せず)の冷却水(温水)を熱源として空気を加熱する温水式熱交換器であって、周知のごとく温水が通過する複数本のチューブとこのチューブの外表面に接合されたフィンとからなる熱交換コア部25aを有している。この熱交換コア部25aの空隙部を冷房用熱交換器24下流側空気が通過して加熱される。
【0041】
本例における暖房用熱交換器25は、複数本のチューブに対する温水の分配または集合を行うタンク部25bをその上下端部に有する、いわゆる全パスタイプのものであり、下側タンク部が温水入口タンク部を構成している。
【0042】
また、暖房用熱交換器25の上方には板状のエアミックスドア26が配置され、エアミックスドア26の回転軸26aが暖房用熱交換器25の上方端部付近に配置される。
【0043】
エアミックスドア26の回転軸26aは図6の紙面垂直方向(車両幅方向)に延びるように配置され、回転軸26aの両端部はケース11の左右両側の側壁面の軸受孔(図示せず)により回転可能に保持される。回転軸26aの一端部はケース11の外部に突出して、電動アクチュエータ(図示せず)に連結されている。
【0044】
ケース11内において、冷房用熱交換器24の空気流れ下流側であって暖房用熱交換器25の上方側に、暖房用熱交換器25をバイパスして冷風を矢印bのように流す冷風バイパス通路27が形成されている。一方、ケース11内において、暖房用熱交換器25の空気流れ下流側(車両前方側)には、暖房用熱交換器25で加熱された温風が矢印cのように流れる温風通路28が形成されている。
【0045】
また、ケース11の下面11aのうち暖房用熱交換器25の車両前方側部位には、上方側へ突き出す温風ガイド壁29がケース11と一体に形成されている。この温風ガイド壁29は温風通路28の車両前方側を区画するものであって、温風通路28の温風流れを矢印cのように冷風バイパス通路27側へガイドする。
【0046】
これにより、温風通路28の上方側であって、温風ガイド壁29の先端部周辺に、温風と冷風を良好に混合できるエアミックスチャンバ31を形成している。なお、エアミックスチャンバ31が本発明のチャンバに相当している。
【0047】
図6において、エアミックスドア26の実線位置は暖房用熱交換器25の通風路を全閉して、冷風バイパス通路27を全開する最大冷房位置であり、二点鎖線位置は冷風バイパス通路27を全閉して、暖房用熱交換器25の通風路を全開する最大暖房位置である。
【0048】
エアミックスドア26は周知のごとく暖房用熱交換器25を通過する温風(矢印c)と暖房用熱交換器25をバイパスして冷風バイパス通路27を通過する冷風(矢印b)との風量割合を調整して車室内への吹出空気温度を調整する温度調整手段である。そして、エアミックスチャンバ31において上記温風(矢印c)と上記冷風(矢印b)が混合されて所望温度の空気が得られる。
【0049】
ケース11内において冷風バイパス通路27の上方側に、エアミックスチャンバ31と連通するフェイス通路32が形成されている。このフェイス通路32は、車両前方から車両後方へ延びるように形成されている。フェイス通路32のうち車両前方側の右側面壁部にフロントフェイス開口部33が開口している。また、フェイス通路32のうち車両後方側の上面部にリアフェイス開口部34が開口している。本実施形態では、リアフェイス開口部34は車両幅方向に拡がっている。なお、フロントフェイス開口部33が本発明の第1開口部に相当し、リアフェイス開口部34が第2開口部に相当している。
【0050】
フロントフェイス開口部33には車両前方側に向かって延びるフロントフェイスダクト51(図1参照)が接続され、このフロントフェイスダクト51の下流側端部から乗員前方側から乗員の顔部に向けて空気を吹出すようになっている。また、フロントフェイスダクト51の途中部にはデフダクト(図示せず)が接続され、このデフダクトの下流側端部のデフ吹出口(図示せず)から前面ガラス4aに向けて空気を吹き出すようになっている。なお、フロントフェイスダクト51が本発明の第1ダクトに相当し、デフダクトが本発明の第3ダクトに相当している。
【0051】
フロントフェイス吹出口510およびデフ吹出口にはそれぞれ図示しないシャット機構が設けられ、このシャット機構によりフロントフェイス吹出口510およびデフ吹出口をそれぞれ開閉できるようにしてある。このシャット機構は乗員の手動操作により開閉操作される。
【0052】
リアフェイス開口部34には上方に向かって延びるリアフェイスダクト52(図1参照)が接続され、このリアフェイスダクト52の下流側端部のリアフェイス吹出口520から乗員後方側から乗員の後方周辺に向けて空気を吹き出すようになっている。なお、リアフェイスダクト52が、本発明の第2ダクトに相当している。
【0053】
また、ケース11内において温風通路28の車両前方側に、エアミックスチャンバ31と連通するフット通路35が形成されている。このフット通路35は、上方から下方へ垂下するように形成されている。
【0054】
フット通路35の下方側の前面壁部にフット開口部36が開口している。本実施形態では、フット開口部36は車両幅方向に拡がっている。フット開口部36には車両前方側に向かって延びるフットダクト53(図1参照)が接続され、このフットダクト53の下流側端部のフット吹出口530から乗員の足元部に空気を吹き出すようになっている。
【0055】
エアミックスチャンバ31の車両前方側には、フェイス通路32とフット通路35を切替開閉する板状の吹出モード切換ドア37が配置されている。吹出モード切換ドア37の回転軸37aは図6の紙面垂直方向(車両幅方向)に延びるように配置され、回転軸37aの両端部はケース11の左右両側の側壁面の軸受孔(図示せず)により回転可能に保持される。回転軸37aの一端部はケース11の外部に突出して、電動アクチュエータ(図示せず)に連結されている。
【0056】
図6において、吹出モード切換ドア37の実線位置はフット通路35を全閉し、フェイス通路32を全開するフェイスモード時の位置を示す。これに対し、吹出モード切換ドア37の二点鎖線位置は、フェイス通路32を全閉し、フット通路35を全開するフットモード位置を示す。
【0057】
また、リアフェイス開口部34開閉する板状のリアフェイスドア38は、フロントフェイス吹出口510およびデフ吹出口(図示せず)からの吹出風量と、リアフェイス吹出口520からの吹出風量との風量割合を調整するものである。
【0058】
リアフェイスドア38の回転軸38aは図6の紙面垂直方向(車両幅方向)に延びるように配置され、回転軸38aの両端部はケース11の左右両側の側壁面の軸受孔(図示せず)により回転可能に保持される。回転軸38aの一端部はケース11の外部に突出して、電動アクチュエータ(図示せず)に連結されている。
【0059】
図6において、リアフェイスドア38の実線位置はリアフェイス開口部34を全開する位置を示す。これに対し、リアフェイスドア38の二点鎖線位置は、リアフェイス開口部34を全閉する位置を示す。
【0060】
図示を省略しているが、空調操作パネルは、車室内空間の前方側部位に配置された計器盤に設けられ、冷凍サイクルの圧縮機作動スイッチ、風量スイッチの他、温度設定スイッチ、吹出モード切替スイッチ、前後風量調整スイッチ、内外気モード切替スイッチ等を有している。
【0061】
次に、本実施形態の作動を説明する。空調操作パネルの圧縮機作動スイッチを投入すると、冷凍サイクルの圧縮機の電磁クラッチに通電され、電磁クラッチが接続状態となるので、圧縮機がエンジンにより駆動される。これにより、冷房用熱交換器24では冷凍サイクルの低温の低圧冷媒が空気から吸熱して蒸発することにより空気を冷却する。
【0062】
オートスイッチを投入すると、温度設定スイッチで設定される設定温度に応じて、空調風の温度の調整と吹出モードの切替とが自動的に行われる。なお、空調風の温度の調整と吹出モードの切替は、マニュアル操作によっても行うことができる。
【0063】
空調風の温度の調整は、上述したとおり、エアミックス26を操作して、冷風バイパス通路27を流れる冷風と、温風通路28を流れる温風との混合割合を調整することにより行う。
【0064】
吹出モードには、主に夏期の冷房時に選択されるフェイスモード、および主に冬期の暖房時に選択されるフットモード等がある。
【0065】
通常夏期の冷房時に使用されるフェイスモードでは、吹出モード切換ドア37がフェイス通路32全開位置(実線位置)になり、リアフェイスドア38がリアフェイス開口部34全開位置(実線位置)になるように操作される。
【0066】
これにより、空調風(冷風)はリアフェイス開口部34、リアフェイスダクト52を介して、リアフェイス吹出口520から乗員の後方周辺へ向けて吹き出されるとともに、フロントフェイス開口部33、フロントフェイスダクト51を介して、フロントフェイス吹出口510から乗員の顔部へ向けて吹き出される。
【0067】
なお、例えば窓を開けたときのように、乗員の顔部への送風量を増大させたい場合は、リアフェイスドア38がリアフェイス開口部34を閉塞する方向に移動した位置になるように操作されることもある。
【0068】
次に、通常冬期の暖房時に使用されるフットモードでは、吹出モード切換ドア37がフット通路35全開位置(二点鎖線位置)になるように操作される。
【0069】
これにより、空調風(温風)はフット開口部36、フットダクト53を介して、フット吹出口530から吹出される。
【0070】
以上説明したように、前方に向かって延びるフロントフェイスダクト51が接続されるフロントフェイス開口部33をケース11の右側面に設けると、ケース11の右方から流出した空気を乗員の前方まで導くために、フロントフェイス51内で少なくとも一回空気流れを曲げる必要がある。一方、上方に向かって延びるリアフェイスダクト52が接続されるリアフェイス開口部34をケース11の上面部に設けると、リアフェイスダクト52内で空気流れを曲げる必要がない。
【0071】
このため、リアフェイスダクト52の通風抵抗がフロントフェイスダクト51の通風抵抗より小さくなるので、リアフェイス吹出口から吹き出す空気の流量を、フロントフェイス吹出口から吹き出す空気の流量より多く確保することが容易になる。したがって、送風機19の仕事量を増加させずに乗員の冷房フィーリングを向上させることが可能となる。
【0072】
ところで、本実施形態によると、図4の矢印Lに示すように、送風機部12より流入した空気は、熱交換器部13における冷房用熱交換器24の車両後方側で90°向きを変える。すなわち、送風空気は車両左側から車両右側に向かって流れた後、車両後方から車両前方に向かって流れる。
【0073】
このため、図6の矢印aに示すように、冷房用熱交換器24を通過する空気は車両後方から車両前方に向かって流れる。そして、図6の矢印bに示すように、エアミックスチャンバ31に流入する空気は車両後方から車両前方に向かって流れる。
【0074】
一方、図6の矢印eに示すように、リアフェイス開口部34を流れる空気は下方から上方に向かって流れる。また、図4の矢印fに示すように、フロントフェイス開口部33を流れる空気は車両左方から車両右方に向かって流れる。
【0075】
したがって、フロントフェイス開口部33から流出する空気の第1流出方向(矢印f)と、エアミックスチャンバ31に流入する空気の流入方向(矢印b)とのなす第1角度θ1が90°となっている。さらに、リアフェイス開口部34から流出する空気の第2流出方向(矢印e)と、エアミックスチャンバ31に流入する空気の流入方向(矢印b)とのなす第2角度θ2が90°となっている。すなわち、第1角度θ1および第2角度θ2がともに90°となっている。
【0076】
ところで、エアミックスチャンバ31へ流入する送風空気の流入方向と、開口部から流出する送風空気の流れ方向とのなす角の角度が小さい程、その開口部から流出する送風空気の流量が増大する。
【0077】
このため、本実施形態のように、第1角度θ1と第2角度θ2を等しくすることにより、リアフェイス開口部34から流出する送風空気の流量を、フロントフェイス開口部33から流出する送風空気の流量と同量確保することが容易になる。すなわち、乗員の後方側から吹き出す空気の流量を、乗員の前方側から吹き出す空気の流量と同量確保することが容易になる。したがって、送風機19の仕事量を増加させることなく乗員の冷房フィーリングを向上させることが可能となる。
【0078】
また、ケース11内にリアフェイスドア38を設けることで、フロントフェイス開口部33から流出する送風空気と、リアフェイス開口部34から流出する送風空気との風量割合を容易に調整することができる。すなわち、必要に応じて、フロントフェイス開口部33から流出する送風空気の流量を、リアフェイス開口部34から流出する送風空気の流量より多くすることもできる。
【0079】
また、本実施形態によると、図4、6の矢印dに示すように、フット開口部36を流れる空気も車両後方から車両前方に向かって流れる。すなわち、フット開口部36における空気の流れ方向が、エアミックスチャンバ31に流入する空気の流れ方向と一致する。このため、フット開口部36を流れる空気の風量の確保が容易であり、ひいては、フット吹出口530から吹き出す空気の風量の確保が容易である。
【0080】
また、本実施形態によると、図4からわかるように、送風機部12の空気出口部12aを空調ユニット10の最後部に配置できるので、送風機部12の空気出口部12aを乗員から遠ざけることができる。このため、乗員の耳に届く送風騒音を低減することができる。
【0081】
また、本実施形態によると、略矩形形状の冷房用熱交換器24をケース11の内部に略鉛直に配置しているので、空調ユニット10の車両前後方向の体格を小型化できる。この結果、車室内空間において、乗員が利用可能なスペースを拡大することができる。
【0082】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図7(a)、(b)に基づいて説明する。上記第1実施形態と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。
【0083】
図7(a)は本第2実施形態における空調ユニット10の熱交換器部13を示す正面図で、(b)は(a)のE−E断面図である。図7(a)、(b)に示すように、本実施形態の空調ユニット10は、送風ファン(図示せず)によって送風された空気が送風機部(図示せず)の空気出口部12aから熱交換器部13の冷房用熱交換器24の下方側の空間(図7(b)のF部)へ導かれるように配置されている。従って、送風ファンによって送風された空気は送風機部から熱交換器部13へ向かう方向(左から右方向)に流れる。
【0084】
熱交換器部13はケース11内部の送風機部の右側に構成されている。熱交換器部13内部の下側、すなわち熱交換器部13の空気流れ上流側には冷房用熱交換器24が配置される。送風機部から送風された空気は熱交換コア部の空隙部を下方から上方(図7(b)の矢印k方向)へ通過するようになっている。
【0085】
次に、ケース11の内部において、冷房用熱交換器24の空気流れ下流側(上方側)かつ車両前方側に暖房用熱交換器25が配置されている。また、暖房用熱交換器25の車両後方側には板状のエアミックスドア26が配置され、エアミックスドア26の回転軸26aが暖房用熱交換器25の車両後方側端部付近に配置される。
【0086】
ケース11内において、冷房用熱交換器24の空気流れ下流側であって暖房用熱交換器25の車両後方側に、暖房用熱交換器25をバイパスして冷風を矢印lのように流す冷風バイパス通路27が形成されている。一方、ケース11内において、暖房用熱交換器25の空気流れ下流側(上方側)には、暖房用熱交換器25で加熱された温風が矢印mのように流れる温風通路28が形成されている。
【0087】
また、ケース11の下面11aのうち冷房用熱交換器24および暖房用熱交換器25の車両前方側部位には、上方側へ突き出した後、車両後方側に屈曲するガイド壁30がケース11と一体に形成されている。すなわちガイド壁30は、略上下方向に延びる第1の部位30aと、略車両前後方向に延びる第2の部位30bとから構成されている。
【0088】
第2の部位30bは温風通路28の上方側を区画するものであって、温風通路28の温風流れを矢印mのように冷風バイパス通路27側へガイドする。これにより、温風通路28の車両後方側であって、第2の部位30bの先端部周辺に、温風と冷風を良好に混合できるエアミックスチャンバ31を形成している。
【0089】
図7(b)において、エアミックスドア26の実線位置は暖房用熱交換器25の通風路を全閉して、冷風バイパス通路27を全開する最大冷房位置であり、二点鎖線位置は冷風バイパス通路27を全閉して、暖房用熱交換器25の通風路を全開する最大暖房位置である。
【0090】
ケース11内において冷風バイパス通路27の上方側に、エアミックスチャンバ31と連通するフェイス通路32が形成されている。フェイス通路32の右側面壁部にフロントフェイス開口部33が開口している。また、フェイス通路32の上面部にリアフェイス開口部34が開口している。
【0091】
また、ケース11内において温風通路28の上方側および車両前方側、すなわちガイド壁30を挟んで温風通路28、暖房用熱交換器25および冷房用熱交換器24と反対側に、エアミックスチャンバ31と連通するフット通路35が形成されている。このフット通路35は、車両後方から前方へ延びた後、上方から下方へ垂下するように形成されている。フット通路35の下方側の前面壁部にフット開口部36が開口している。
【0092】
エアミックスチャンバ31の上方側には、フェイス通路32とフット通路35を切替開閉する板状の吹出モード切換ドア37が配置されている。吹出モード切換ドア37の回転軸37aは図7(b)の紙面垂直方向(車両幅方向)に延びるように配置されている。
【0093】
図7(b)において、吹出モード切換ドア37の実線位置はフット通路35を全閉し、フェイス通路32を全開するフェイスモード時の位置を示す。これに対し、吹出モード切換ドア37の二点鎖線位置は、フェイス通路32を全閉し、フット通路35を全開するフットモード位置を示す。
【0094】
また、リアフェイス開口部34開閉する板状のリアフェイスドア38は、フロントフェイス吹出口(図示せず)およびデフ吹出口(図示せず)からの吹出風量と、リアフェイス吹出口(図示せず)からの吹出風量の風量割合を調整するものである。リアフェイスドア38の回転軸38aは図7(b)の紙面垂直方向(車両幅方向)に延びるように配置されている。
【0095】
図7(b)において、リアフェイスドア38の実線位置はリアフェイス開口部34を全開する位置を示す。これに対し、リアフェイスドア38の二点鎖線位置は、リアフェイス開口部34を全閉する位置を示す。
【0096】
以上説明したように、前方に向かって延びるフロントフェイスダクト51が接続されるフロントフェイス開口部33をケース11の右側面に設けると、ケース11の右方から流出した空気を乗員の前方まで導くために、フロントフェイス51内で少なくとも一回空気流れを曲げる必要がある。一方、上方に向かって延びるリアフェイスダクト52が接続されるリアフェイス開口部34をケース11の上面部に設けると、リアフェイスダクト52内で空気流れを曲げる必要がない。
【0097】
このため、リアフェイスダクト52の通風抵抗がフロントフェイスダクト51の通風抵抗より小さくなるので、リアフェイス吹出口から吹き出す空気の流量を、フロントフェイス吹出口から吹き出す空気の流量より多く確保することが容易になる。したがって、送風機19の仕事量を増加させずに乗員の冷房フィーリングを向上させることが可能となる。
【0098】
ところで、本実施形態によると、送風機部より流入した空気は、熱交換器部13における冷房用熱交換器24の下方側で90°向きを変える。すなわち、送風空気は車両左側から車両右側に向かって流れた後、下方から上方に向かって流れる。
【0099】
このため、図7(b)の矢印kに示すように、冷房用熱交換器24を通過する空気は下方から上方に向かって流れる。そして、図7(b)の矢印lに示すように、エアミックスチャンバ31に流入する空気は下方から上方に向かって流れる。
【0100】
一方、図7(b)の矢印oに示すように、リアフェイス開口部34を流れる空気は下方から上方に向かって流れる。また、図7(a)の矢印pに示すように、フロントフェイス開口部33を流れる空気は車両左方から車両右方に向かって流れる。
【0101】
したがって、フロントフェイス開口部33から流出する空気の第1流出方向(矢印p)と、エアミックスチャンバ31に流入する空気の流入方向(矢印l)とのなす第1角度θ1が90°となっている。一方、リアフェイス開口部34から流出する空気の第2流出方向(矢印o)と、エアミックスチャンバ31に流入する空気の流入方向(矢印l)とが一致している。すなわち、リアフェイス開口部34から流出する空気の第2流出方向と、エアミックスチャンバ31に流入する空気の流入方向とのなす第2角度θ2が0°となっている。このため、第1角度θ1が第2角度θ2より大きくなっている。
【0102】
これにより、リアフェイス開口部34から流出する送風空気の流量を、フロントフェイス開口部33から流出する送風空気の流量より多く確保することが容易になる。すなわち、乗員の後方側から吹き出す空気の流量を、乗員の前方側から吹き出す空気の流量より多くすることが容易になる。したがって、送風機19の仕事量を増加させることなく乗員の冷房フィーリングを向上させることが可能となる。
【0103】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について図8〜図12に基づいて説明する。上記第1実施形態と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。
【0104】
図8は、本第3実施形態による油圧ショベルのキャビン1の模式的な透過斜視図である。図8に示すように、油圧ショベルのキャビン1には、デフ吹出口540から前面ガラス4aに向けて空気を吹き出すためのデフダクト54が設けられている。
【0105】
図9は本第3実施形態による空調ユニット10の全体正面図であり、図10は図9のG矢視図、図11は図9のH−H断面図、図12は図9のI−I断面図である。図9〜図12に示すように、本実施形態の外気導入口16は、内外気切替箱14の左面に設けられている。従って、外気は外気導入口16とキャビン1室外とを接続するダクト部(図示せず)を介してキャビン1の左方外部から導入される。
【0106】
また、内外気切替箱14内には、板状の内外気切替ドア17が配置されている。内外気切替ドア17は、左右方向に延びる回転軸17aを中心としてサーボモータ17bによって駆動される。本実施形態では、サーボモータ17bは、内外気切替箱14の右側面の外側に組み付けられている。なお、図11において、内外気切替ドア17の実線位置は外気モードの状態を示しており、内外気切替ドア17の二点鎖線位置は内気モードの状態を示している。
【0107】
また、本実施形態では、フィルタ23は、内気導入口15のすぐ下流側に配置されている。
【0108】
本実施形態の空調ユニット10は、送風ファン21によって送風された空気が送風機部12の空気出口部12aから熱交換器部13の冷房用熱交換器24の後側の空間(図12のJ部)へ導かれるように配置されている。従って、送風ファン21によって送風された空気は送風機部12から熱交換器部13へ向かう方向(左から右方向)に流れる。
【0109】
エアミックスドア26の回転軸26aは図12の紙面垂直方向(車両幅方向)に延びるように配置され、回転軸26aの両端部はケース11の左右両側の側壁面の軸受孔(図示せず)により回転可能に保持される。本実施形態では、回転軸26aの左端部はケース11の外部に突出して、サーボモータ26b(図9および図10参照)に連結されている。このサーボモータ26bは、ケース11の左側面の外側に組み付けられている。
【0110】
図12に示すように、ケース11内において冷風バイパス通路27の上方側に、エアミックスチャンバ31と連通するフェイス・デフ通路320が形成されている。このフェイス・デフ通路320は、車両前方から車両後方へ延びるように形成されている。フェイス・デフ通路320のうち車両前方側の上面部にデフ開口部39が開口している。また、フェイス・デフ通路320のうち車両後方側の右側面壁部にフロントフェイス開口部33が開口している。また、フェイス・デフ通路320のうち車両後方側の上面部にリアフェイス開口部34が開口している。
【0111】
デフ開口部39には車両前方側に向かって延びるデフダクト54(図8参照)が接続され、このデフダクトの下流側端部のデフ吹出口540から前面ガラス4aに向けて空気を吹き出すようになっている。これにより、前面ガラス4aの曇りを防止することができる。なお、デフ開口部39が、本発明の第3開口部に相当している。
【0112】
吹出モード切換ドア37の回転軸37aは図12の紙面垂直方向(車両幅方向)に延びるように配置され、回転軸37aの両端部はケース11の左右両側の側壁面の軸受孔(図示せず)により回転可能に保持される。本実施形態では、回転軸37aの左端部はケース11の外部に突出して、サーボモータ37b(図9および図10参照)に連結されている。このサーボモータ37bは、ケース11の左側面の外側に組み付けられている。
【0113】
また、リアフェイス開口部34を開閉する板状のリアフェイスドア38は、フロントフェイス吹出口510からの吹出風量と、リアフェイス吹出口520からの吹出風量との風量割合を調整するものである。
【0114】
リアフェイスドア38の回転軸38aは図12の紙面垂直方向(車両幅方向)に延びるように配置され、回転軸38aの両端部はケース11の左右両側の側壁面の軸受孔(図示せず)により回転可能に保持される。回転軸38aの左端部はケース11の外部に突出してサーボモータ(図示せず)に連結されている。このサーボモータは、ケース11の左側面の外側に組み付けられている。
【0115】
図12において、リアフェイスドア38の実線位置はリアフェイス開口部34を全開する位置を示す。これに対し、リアフェイスドア38の二点鎖線位置は、リアフェイス開口部34を全閉する位置を示す。
【0116】
また、デフ開口部39を開閉する板状のデフドア40は、デフ吹出口540(図8参照)からの吹出風量を調整するものである。また、デフドア40の回転軸40aは図12の紙面垂直方向(車両幅方向)に延びるように配置され、回転軸40aの両端部はケース11の左右両側の側壁面の軸受孔(図示せず)により回転可能に保持される。本実施形態では、回転軸40aの左端部はケース11の外部に突出してサーボモータ(図示せず)に連結されている。このサーボモータは、ケース11の左側面の外側に組み付けられている。
【0117】
図12において、デフドア40の実線位置はデフ開口部39を全閉する位置を示す。これに対し、デフドア40の二点鎖線位置は、デフ開口部39を全開する位置を示す。
【0118】
また、図9および図10に示すように、ケース11の左側面の外側には、冷房用熱交換器24に冷媒を循環させる経路を構成する冷媒配管24cと、暖房用熱交換器25に温水を循環させる経路を構成する温水配管25cとが接続されている。また、図示を省略しているが、ケース11の左側面の外側には、冷房用熱交換器24を通過した直後の空気の温度を検出する吹出温度センサ等の各種センサが組み付けられている。
【0119】
以上説明したように、前方に向かって延びるフロントフェイスダクト51が接続されるフロントフェイス開口部33をケース11の右側面に設けると、ケース11の右方から流出した空気を乗員の前方まで導くために、フロントフェイス51内で少なくとも一回空気流れを曲げる必要がある。一方、上方に向かって延びるリアフェイスダクト52が接続されるリアフェイス開口部34をケース11の上面部に設けると、リアフェイスダクト52内で空気流れを曲げる必要がない。
【0120】
このため、リアフェイスダクト52の通風抵抗がフロントフェイスダクト51の通風抵抗より小さくなるので、リアフェイス吹出口から吹き出す空気の流量を、フロントフェイス吹出口から吹き出す空気の流量より多く確保することが容易になる。したがって、送風機19の仕事量を増加させずに乗員の冷房フィーリングを向上させることが可能となる。
【0121】
また、本実施形態によると、冷媒配管24c、温水配管25c、サーボモータ17b、26b、37b、および各種センサを、送風機部12と熱交換器部13との間に配置することができるので、組付け方向の一方向化が可能となり、組付け工数を低減することができる。また、電気部品(サーボモータ17b、26b、37b、および各種センサ)を、送風機部12と熱交換器部13との間に集中して配置することができるので、各電気部品に接続されるハーネスの長さを短くすることが可能となる。また、メンテナンス時においても、各種センサ等の部品が送風機部12と熱交換器部13との間に集中して配置されているため、容易にメンテナンスを行うことが可能となる。
【0122】
(他の実施形態)
なお、上記各実施形態では、内外気切替ドア17、エアミックスドア26、吹出モード切換ドア37およびリアフェイスドア38を回転駆動する駆動機構として、サーボモータからなる電気的アクチュエータ(図示せず)を使用している。また、これら各ドア17、26、37、38の駆動機構として、空調操作パネル(図示せず)に設けられた操作部材(例えば、手動操作レバー)の手動操作力をケーブル、リンク機構等を介して各回転軸17a、26a、37a、38aに伝達する手動操作機構を使用してもよい。
【0123】
また、上記各実施形態では、リアフェイス吹出口520を乗員後方側から乗員の後方周辺に向けて空気を吹き出すようにした例について説明したが、これに限らず、乗員上方側から乗員の後方周辺に向けて空気を吹き出すようにしてもよいし、乗員の後方側および上方側の両方から乗員の後方周辺に向けて空気を吹き出すようにしてもよい。
【0124】
また、上記各実施形態では、フロントフェイス開口部33をフェイス通路32の右側面壁部に開口させた例について説明したが、これに限らず、左側面壁部に開口させてもよいし、左右両側の側面壁部に開口させてもよい。
【0125】
同様に、上記各実施形態では、リアフェイス開口部34をフェイス通路32の上面部に開口させた例について説明したが、これに限らず、前面部に開口させてもよいし、上面部および前面部の両方に開口させてもよい。
【0126】
また、上記各実施形態では、空調ユニット10を車室内空間の最後部かつ最下部に搭載しているが、空調ユニット10の搭載位置はこれに限定されるものではない。例えば、空調ユニット10を車室内空間の中央部かつ最下部、すなわち、シート3の下方に搭載してもよい。
【0127】
また、上記各実施形態では、外気をキャビン1の後方外部から導入した例について説明したが、これに限らず、左側面外部から導入してもよい。
【0128】
また、上記各実施形態では、空調操作パネルを車室内空間の前方側部位に配置した例について説明したが、これに限らず、右側面に配置してもよい。
【0129】
また、上記各実施形態では、空気と熱交換する熱交換器として冷房用熱交換器24および暖房用熱交換器25を有しているが、暖房用熱交換器25を廃止して冷房用熱交換器24のみを有するようにしてもよい。
【0130】
また、上記各実施形態では、本発明による車両用空調装置を油圧ショベル等の建設機械に適用した例を示しているが、本発明の適用対象は油圧ショベル等の建設機械に限定されるものではなく、他の種々の車両にも適用が可能である。例えば、農機用トラクタ等に適用が可能である。
【0131】
また、上記第3実施形態では、デフ開口部39をフェイス・デフ通路320の上面部に開口させた例について説明したが、これに限らず、右側面壁部、左側面壁部および前面部のいずれか1つに開口させてもよいし、上面部、右側面壁部、左側面壁部および前面部のうち2つ以上に開口させてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0132】
【図1】第1実施形態による油圧ショベルのキャビン1の模式的な透過斜視図である。
【図2】第1実施形態による油圧ショベルのキャビン1の模式的な断面図である。
【図3】第1実施形態による空調ユニット10の全体正面図である。
【図4】図3のA矢視図である。
【図5】図3のB−B断面図である。
【図6】図3のC−C断面図である。
【図7】(a)は第2実施形態における空調ユニット10の熱交換器部13を示す正面図で、(b)は(a)のE−E断面図である。
【図8】第3実施形態による油圧ショベルのキャビン1の模式的な透過斜視図である。
【図9】第3実施形態による空調ユニット10の全体正面図である。
【図10】図9のG矢視図である。
【図11】図9のH−H断面図である。
【図12】図9のI−I断面図である。
【図13】(a)は従来の空調ユニットの熱交換器部を示す平面図で、(b)は(a)のX−X断面図である。
【符号の説明】
【0133】
11…ケース、19…送風機、24…冷房用熱交換器(冷却用熱交換器)、25…暖房用熱交換器(加熱用熱交換器)、27…冷風バイパス通路、31…エアミックスチャンバ(チャンバ)、33…フロントフェイス開口部(第1開口部)、34…リアフェイス開口部(第2開口部)、38…リアフェイスドア(風量割合調整手段)、39…デフ開口部(第3開口部)、51…フロントフェイスダクト(第1ダクト)、52…リアフェイスダクト(第2ダクト)、54…デフダクト(第3ダクト)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内に向かって空気を送風する送風機(19)と、
前記送風機(19)によって送風された送風空気が流れるケース(11)と、
前記送風空気を冷却する冷却用熱交換器(24)とを備え、
前記ケース(11)には、前記冷却用熱交換器(24)通過後の前記送風空気が流入するチャンバ(31)、前記チャンバ(31)に流入した前記送風空気を流出させる第1開口部(33)および第2開口部(34)が設けられ、
前記第1開口部(33)には、右方または左方に向かって延びた後に屈曲して前方に向かって延び、前記送風空気を乗員の前方側から乗員の上半身に向けて吹き出す第1ダクト(51)が接続されるようになっており、
前記第2開口部(34)には、上方に向かって延び、前記送風空気を乗員の後方側または上方側の少なくとも一方から前記上半身に向けて吹き出す第2ダクト(52)が接続されるようになっている建設農業機械用空調装置であって、
前記冷却用熱交換器(24)と前記チャンバ(31)が、後方から前方へ順に配置されており、
前記第1開口部(33)は、前記ケース(11)の右方および左方の少なくとも一方に設けられており、
前記第2開口部(34)は、前記ケース(11)の上方および前方の少なくとも一方に設けられていることを特徴とする建設農業機械用空調装置。
【請求項2】
室内に向かって空気を送風する送風機(19)と、
前記送風機(19)によって送風された送風空気が流れるケース(11)と、
前記送風空気を冷却する冷却用熱交換器(24)とを備え、
前記ケース(11)には、前記冷却用熱交換器(24)通過後の前記送風空気が流入するチャンバ(31)、前記チャンバ(31)に流入した前記送風空気を流出させる第1開口部(33)および第2開口部(34)が設けられ、
前記第1開口部(33)には、右方または左方に向かって延びた後に屈曲して前方に向かって延び、前記送風空気を乗員の前方側から乗員の上半身に向けて吹き出す第1ダクト(51)が接続されるようになっており、
前記第2開口部(34)には、上方に向かって延び、前記送風空気を乗員の後方側または上方側の少なくとも一方から前記上半身に向けて吹き出す第2ダクト(52)が接続されるようになっている建設農業機械用空調装置であって、
前記冷却用熱交換器(24)と前記チャンバ(31)が、下方から上方へ順に配置されており、
前記第1開口部(33)は、前記ケース(11)の右方および左方の少なくとも一方に設けられており、
前記第2開口部(34)は、前記ケース(11)の上方および前方の少なくとも一方に設けられていることを特徴とする建設農業機械用空調装置。
【請求項3】
前記ケース(11)には、前記第1開口部(33)から流出する前記送風空気と、前記第2開口部(34)から流出する前記送風空気との風量割合を調整する風量割合調整手段(38)が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の建設農業用空調装置。
【請求項4】
前記ケース(11)には、前記冷却用熱交換器(24)通過後の前記送風空気を加熱する加熱用熱交換器(25)と、前記加熱用熱交換器(25)をバイパスして冷風が流れる冷風バイパス通路(27)とが設けられており、
前記チャンバは、前記冷風バイパス通路(27)を通過する冷風と前記加熱用熱交換器(25)を通過する温風とを混合させるエアミックスチャンバ(31)であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の建設農業機械用空調装置。
【請求項5】
前記ケース(11)には、前方に向かって延び、前記送風空気を前記キャビン(1)の前面ガラス(4a)に向けて吹き出す第3ダクト(54)が接続される第3開口部(39)が設けられており、
前記第3開口部(39)は、前記ケース(11)の右方、左方、上方および前方の少なくとも一方に設けられていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の建設農業機械用空調装置。
【請求項1】
室内に向かって空気を送風する送風機(19)と、
前記送風機(19)によって送風された送風空気が流れるケース(11)と、
前記送風空気を冷却する冷却用熱交換器(24)とを備え、
前記ケース(11)には、前記冷却用熱交換器(24)通過後の前記送風空気が流入するチャンバ(31)、前記チャンバ(31)に流入した前記送風空気を流出させる第1開口部(33)および第2開口部(34)が設けられ、
前記第1開口部(33)には、右方または左方に向かって延びた後に屈曲して前方に向かって延び、前記送風空気を乗員の前方側から乗員の上半身に向けて吹き出す第1ダクト(51)が接続されるようになっており、
前記第2開口部(34)には、上方に向かって延び、前記送風空気を乗員の後方側または上方側の少なくとも一方から前記上半身に向けて吹き出す第2ダクト(52)が接続されるようになっている建設農業機械用空調装置であって、
前記冷却用熱交換器(24)と前記チャンバ(31)が、後方から前方へ順に配置されており、
前記第1開口部(33)は、前記ケース(11)の右方および左方の少なくとも一方に設けられており、
前記第2開口部(34)は、前記ケース(11)の上方および前方の少なくとも一方に設けられていることを特徴とする建設農業機械用空調装置。
【請求項2】
室内に向かって空気を送風する送風機(19)と、
前記送風機(19)によって送風された送風空気が流れるケース(11)と、
前記送風空気を冷却する冷却用熱交換器(24)とを備え、
前記ケース(11)には、前記冷却用熱交換器(24)通過後の前記送風空気が流入するチャンバ(31)、前記チャンバ(31)に流入した前記送風空気を流出させる第1開口部(33)および第2開口部(34)が設けられ、
前記第1開口部(33)には、右方または左方に向かって延びた後に屈曲して前方に向かって延び、前記送風空気を乗員の前方側から乗員の上半身に向けて吹き出す第1ダクト(51)が接続されるようになっており、
前記第2開口部(34)には、上方に向かって延び、前記送風空気を乗員の後方側または上方側の少なくとも一方から前記上半身に向けて吹き出す第2ダクト(52)が接続されるようになっている建設農業機械用空調装置であって、
前記冷却用熱交換器(24)と前記チャンバ(31)が、下方から上方へ順に配置されており、
前記第1開口部(33)は、前記ケース(11)の右方および左方の少なくとも一方に設けられており、
前記第2開口部(34)は、前記ケース(11)の上方および前方の少なくとも一方に設けられていることを特徴とする建設農業機械用空調装置。
【請求項3】
前記ケース(11)には、前記第1開口部(33)から流出する前記送風空気と、前記第2開口部(34)から流出する前記送風空気との風量割合を調整する風量割合調整手段(38)が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の建設農業用空調装置。
【請求項4】
前記ケース(11)には、前記冷却用熱交換器(24)通過後の前記送風空気を加熱する加熱用熱交換器(25)と、前記加熱用熱交換器(25)をバイパスして冷風が流れる冷風バイパス通路(27)とが設けられており、
前記チャンバは、前記冷風バイパス通路(27)を通過する冷風と前記加熱用熱交換器(25)を通過する温風とを混合させるエアミックスチャンバ(31)であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の建設農業機械用空調装置。
【請求項5】
前記ケース(11)には、前方に向かって延び、前記送風空気を前記キャビン(1)の前面ガラス(4a)に向けて吹き出す第3ダクト(54)が接続される第3開口部(39)が設けられており、
前記第3開口部(39)は、前記ケース(11)の右方、左方、上方および前方の少なくとも一方に設けられていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の建設農業機械用空調装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2008−189294(P2008−189294A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−284951(P2007−284951)
【出願日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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