説明

建造物内ナビゲーションシステム

【課題】現在の位置を認識した上で、建造物内の目的地を択一的に選択し、移動方法についても建造物内に備わった移動方法を択一的に選択することができるナビゲーションシステムを提供する
【解決手段】マイクロコンピュータ14がメモリ6に格納された建造物内地図データ21に基地局2により特定した現在位置30を当てはめる。そして、携帯電話機3が現在位置30を当てはめた建造物内地図データ21を取得して表示装置13に表示する。そして、現在位置30と指定された移動方法を踏まえた移動目的地までの経路を検索しその結果である最適ルート50を表示装置13に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建造物内の経路及び移動方法を案内するためのナビゲーションシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、広い面積を有し、且つ、多層階からなる複合施設、公共施設、駅、百貨店等の多人数が利用する建造物内では、自らの位置を把握できなくなる場合が少なくない。このような場合、利用者は、建造物内に設置されているフロアマップを見る等して自らの現在位置を把握することとなるが、フロアマップを簡単に見つけることができないことも多く、また、フロアマップを見つけたとしても、目的場所までの経路を覚えることができない場合や、エスカレータやエレベータ等を利用した移動方法を把握できない場合があり、結局遠回りをしてしまうことがあった。
【0003】
この点、複合施設等の階毎の案内図画像と店舗等に関する情報とを表示する案内情報提供装置が存在する。例えば、特許文献1には、GPSを用いずに、地下街、ビル内においても高さを含めた3次元位置を高精度で識別可能にし、3次元のナビゲーションが記載されている。そして、この技術で、自らの位置データを得るのは、建物の中に設けられたバーコードであり、このコードを携帯で読み取って現在の位置情報を得るものである。また、特許文献2には、外部から受信した信号によって現在位置データを得る一方、高さ位置の検出装置から高さデータを得て、両データに基づいて3次元的な位置を得てナビゲーションするシステムが記載されている。また、特許文献3には、位置情報を示す電波を発信する装置を建造物に設けて、GPS以外の方法で位置情報を得ることが記載されている。
【0004】
【特許文献1】特開2005−241265号公報
【特許文献2】特開2001−330465号公報
【特許文献3】特開2000−20588号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記文献に記載されている案内情報提供装置は、複合施設や公共施設では様々な人々が利用するにも関わらず、エレベータ、エスカレータ又は階段だけを利用したい人々のニーズを考慮した移動方法を踏まえた経路検索機能がない。
【0006】
そこで、本発明の目的は、現在の位置を認識した上で、建造物内の目的地を択一的に選択し、移動方法についても建造物内に備わった移動方法を択一的に選択することができるナビゲーションシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0007】
本発明のナビゲーションシステムは、移動目的地のレイアウト情報を含む建造物内地図データを格納する記憶手段と、経度方向、緯度方向及び高さ情報を含んだ現在位置を検出する位置検出手段と、前記位置検出手段によりユーザの現在位置を検出した後に、現在位置を含む前記建造物内地図データを前記記憶手段から読み出すための処理を行う位置情報処理手段と、前記位置情報処理手段で得られた現在位置を含む前記建造物内地図データを用いて、現在位置と指定された移動目的地との間の経路を探索する経路検索手段と、前記記憶手段から読み出された前記建造物内地図データ、前記位置情報処理手段により求められた現在位置、及び前記経路検索手段が探索した経路を表示する出力手段とを備えている。
【0008】
上記の構成によれば、位置情報処理手段が記憶手段に格納された建造物内地図データに位置検出手段により特定した現在位置を当てはめる。そして、出力手段が現在位置を当てはめた建造物内地図データを取得し表示し、更に、現在位置と指定された移動目的地までの経路を検索しその結果を出力手段に表示することができる。これにより、ユーザは現在位置を認識し、移動目的地までの最適な経路を知ることができる場合がある。
【0009】
また、本発明において、前記位置検出手段は、前記緯度方向、経度方向及び高さ情報を発信する位置情報提供装置を建造物内に複数設置し、現在位置に最も近い前記位置情報提供装置からの前記緯度方向、経度方向及び高さ情報を受信することにより現在位置を検出するナビゲーションシステムといてもよい。
【0010】
上記の構成によれば、建造物内に位置情報提供装置を複数設置しているため、現在位置に最も近い位置情報提供装置から現在位置を検出することができる。これにより、階層を持つビルや地下街等、高さを持つ建造物においても、緯度・経度及び高さ情報を容易に取得することができ、ユーザは現在位置を性格に認識し、移動目的地までの最適な経路を知ることができる場合がある。
【0011】
また、本発明のナビゲーションシステムは、地磁気センサを備えていてもよい。
【0012】
上記の構成によれば、地磁気センサを備えていることにより、方位を示す方位データを取得することができる。これにより、ユーザは、現在位置においてどの方向を向いているかを知ることができる場合がある。
【0013】
また、本発明のナビゲーションシステムにおいて、前記出力手段が携帯電話であってもよい。
【0014】
上記の構成によれば、出力手段が携帯電話であることにより、ユーザは、手軽に本ナビゲーションシステムを利用することができる場合がある。
【0015】
また、本発明において、前記経路検索手段は、前記移動目的地を前記建造物内地図データに予め格納されている複数の移動目的地の中から択一的に選択できると供に、前記移動目的地までの移動方法を択一的に選択できるナビゲーションシステムとしてもよい。
【0016】
上記の構成によれば、建造物ごとの移動目的地及び移動方法の選択肢のデータを記憶手段に予め詳細に用意しておき、ユーザはその選択肢の中から択一的に移動目的地及び移動方法を選択することができる。これにより、ユーザは、移動目的地及び移動方法等の情報を直接入力する手間を省くことができ、短時間で移動目的地までの経路検索をすることができる場合がある。また、現在位置に基づいた建造物内地図データを取得しているため、全国などの広い範囲の地図情報を得ることに比べて、建造物内地図データとともに格納された移動目的地・移動方法・レイアウト情報等のデータをダウンロードする場合、情報量を少なくすることができ、建造物ごとの移動目的地及び移動方法の選択肢のデータを増やすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
(実施の形態)
本発明の実施の形態を図1ないし図6に基づいて以下に説明する。
【0018】
(ナビゲーションシステム1の構成)
図1は、本実施形態に係るナビゲーションシステムを示すネットワーク構成図である。図1のナビゲーションシステム1は、緯度方向、経度方向及び高さ情報を送信する位置検出手段としての基地局2と、基地局2からの緯度方向、経度方向及び高さ情報を受信可能な受信機10及び地磁気センサ11を備えた出力手段としての携帯電話機3と、携帯電話機3とインターネット4を介して無線によりデータの送受信を行うことが可能なサーバー5とを備えている。
【0019】
サーバー5内の記憶手段としてのメモリ6には、建造物内地図データ21が建造物毎に複数記憶されている。利用者は、携帯電話機3を操作することにより、サーバー5からインターネット4を介して建造物内地図データ21を取得することができる。建造物内地図データ21は、各階毎に複数のレイアウト情報(店舗A・出口35・エスカレータ32・エレベータ31等の位置情報)が配置された、建造物内を表現した地図情報である(図3参照)。
【0020】
尚、本実施形態では、建造物内地図データ21が駅構内を表現した場合について説明するが、本発明において建造物内地図データ21は、特に限定されるものではなく、例えば、オフィスビル、ホテル、多層階からなる遊戯施設、ショッピングモール等を表現したものであってもよい。また、建造物内地図データ21は、地階を有する建造物であってもよい。
【0021】
携帯電話機3では、利用者から案内開始の指示入力があると、基地局2から受信した緯度方向、経度方向及び高さ情報、地磁気センサ11(図2参照)により取得した方位を示す方位データ、操作部12(図2参照)を介して入力された各種のデータ等に基づいて、現在位置30を特定し、駅構内の案内に係る画像を表示装置13に表示する。具体的には、店舗・出口・エスカレータ・エレベータ等の位置等のレイアウト情報が、現在位置からの実際の配置となっている画像を取得することができる(図3参照)。
【0022】
このように、ナビゲーションシステム1によれば、サーバー5内のメモリ6に格納された建造物内地図データ21に基地局2により特定した現在位置を当てはめる。そして、携帯電話機3の表示装置13に現在位置を当てはめた建造物内地図データ21を表示することかできる(図3参照)。
【0023】
尚、携帯電話機3は、本発明の出力手段に相当するものである。本発明の携帯電話機3は、特に限定されるものではなく、例えば、パーソナル・ディジタル・アシスタンツ、上記ナビゲーションシステムの専用の携帯端末機等を挙げることができる。
【0024】
上記のように出力手段が携帯電話機3であることにより、ユーザは、手軽に本ナビゲーションシステム1を利用することができる場合がある。
【0025】
(ナビゲーションシステム1の内部構成)
図2は、本実施形態に係るナビゲーションシステムの内部構成を示すブロック図である。サーバー5は、図示しないが基板に設けられた制御部で動作が制御されている。制御部は回路基板上に配置されたCPUを主たる構成要素としており、CPUは、予め設定されたプログラムに従って制御動作を行う。また、サーバー5は、建造物内地図データ21が建造物毎に複数記憶されているメモリ6を備えている。更にサーバー5は、インターネット4との送受信を行う送受信装置を備えている。
【0026】
位置情報提供装置としての基地局2は、携帯電話機3に緯度方向、経度方向及び高さ情報を送信し、現在地に関する情報を提供するように構成されている。
【0027】
上記の構成によれば、建造物内に基地局2を複数設置しているため、現在位置に最も近い基地局2から現在位置を検出することができる。これにより、階層を持つビルや地下街等、高さを持つ建造物においても、緯度・経度及び高さ情報を容易に取得することができ、ユーザは現在位置を性格に認識し、移動目的地までの最適な経路を知ることができる場合がある。
【0028】
携帯電話機3は、操作部12、表示装置13、無線部17、音声回路16、スピーカ18、マイク19、送受信アンテナ20、メモリ15、マイクロコンピュータ14、受信機10及び地磁気センサ11を備えている。
【0029】
無線部17は、マイクロコンピュータ14により制御されて、送受信アンテナ20を通じて電波を媒体として基地局に対して送受信する。音声回路16は、無線部17からマイクロコンピュータ14を通じて出力された受信信号をスピーカ18に出力するとともに、マイク19から出力された音声信号を送信信号としてマイクロコンピュータ14を通じて無線部17に出力する。
【0030】
スピーカ18は、音声回路16から出力された受信信号を受信音声に変換して出力し、マイク19は、操作者から発せられた送信音声を音声信号に変換して音声回路16に出力する。
【0031】
地磁気センサ11は、方位の算出に用いる地磁気を検出する。地磁気センサ11は、例えば、携帯電話機3内に設けられている基板(図示せず)上の固定された位置において、互いに直交する3つの方向の地磁気を検出する。すなわち、基板上に設定された所定の3軸の座標系を基準として、その各軸方向の地磁気を検出する。地磁気の検出には、例えばコイルの励磁を利用する方法や、ホール効果を利用する方法、磁気抵抗素子を利用する方法など、種々の方法が用いられる。
【0032】
上記携帯電話3が地磁気センサ11を備えていることにより、方位を示す方位データを取得することができる。これにより、ユーザは、現在位置においてどの方向を向いているかを知ることができ、より現在位置の把握に役立つ場合がある。
【0033】
メモリ15は、携帯電話機3の機能に係る各種プログラムや経路検索処理に関するプログラムを格納している。また、メモリ15は、例えば、操作部12を介して入力されたデータ等の各種データを不揮発的に記憶する。更に、メモリ15は、送受信アンテナ20を介して受信した建造物内地図データ21、基地局2から受信機10を介して受信した緯度方向、経度方向及び高さ情報、地磁気センサ11から受信した方位データ、現在位置を含む前記建造物内地図データ21等を不揮発的に記憶する。
【0034】
マイクロコンピュータ14は、特に、送受信アンテナ20を介して受信した建造物内地図データ21と、基地局2から受信機10を介して受信した緯度方向、経度方向及び高さ情報とに基づいて現在位置を含む建造物内地図データ21を生成する。このとき、マイクロコンピュータ14は、現在位置を示す現在位置データを取得する位置情報処理手段として機能する。また、このとき、基地局2及び受信機10は、位置検出手段として機能する。
【0035】
表示装置13は、例えば、送受信アンテナ20を介して受信したメモリ6から読み出された建造物内地図データ21、マイクロコンピュータ14により求められた現在位置、後述する移動目的地選択画面・移動方法選択画面及び後述するマイクロコンピュータ14が経路検索処理により探索した経路結果画像等を表示する。
【0036】
マイクロコンピュータ14は、CPU、ROM及びRAMから構成されたもので、上記の各種プログラムを実行することにより、携帯電話機としての機能に係る処理やナビゲーションシステムに係る処理を行う。
【0037】
(ナビゲーションシステム1の動作)
上記の構成において、本実施形態に係るナビゲーションシステム1の動作について図3に示す現在位置を表示した建造物内地図データ21の表示画面、図4に示す移動目的地選択画面・移動方法選択画面、図5に示す経路検索結果画面及び図6に示す経路検索処理を示すフローチャートに基づいて説明する。
【0038】
図6は、携帯電話機において行われる経路検索処理を示すフローチャートである。まず、携帯電話機3が経路検索モードとして機能している場合に、マイクロコンピュータ14は、基地局2から受信機10を介して受信した緯度方向、経度方向及び高さ情報に基づいて現在位置を検出したか否かの判定を行う(A1)。そして、現在位置を検出していなければ(A1、NO)、A1を繰り返すことで、現在位置の検出待ちとなる。
【0039】
一方、現在位置を検出すれば(A1、YES)、インターネットに接続して、所定のURL(Uniform Resource Locater)を指定してサーバー5にアクセスし、緯度方向、経度方向及び高さ情報等の現在位置に関する情報を提供することで、サーバー5内のメモリ6に格納されている建造物内地図データ21と照合して現在ユーザが居る建造物と一致する建造物内地図データ21を取得しメモリ15に格納する(A2)。そして、マイクロコンピュータ14は、取得した建造物内地図データ21に緯度方向、経度方向及び高さ情報等の現在位置に関する情報と地磁気センサ11で検出した方位を示す方位データとを当てはめることにより、図3に示すように建造物内地図データ21の表示画面に現在位置と向いている方位をポインタ30で表示する(A3)。
【0040】
現在位置と向いている方位をポインタ30により表示した後、図3に示す目的地選択ボタンが選択されれば、図4に示す移動目的地選択画面が表示され、「移動目的地を選択してください」との指示画面に従い、移動目的地を選択肢の中から択一的に選択されたか否かの判断を行う(A4)。そして、移動目的地を選択肢の中から択一的に選択されなければ(A4、NO)、A4を繰り返すことで、移動目的地の選択待ちとなる。
【0041】
一方、移動目的地が選択肢の中から択一的に選択されたら(A4、YES:実施例では、2出口34、バス停38、1番ホーム36、2番ホーム37の選択画面の中から2出口34を選択)、続いて、図4に示す移動方法選択画面が表示され、「移動方法を選択してください」との指示画面に従い、移動方法を選択肢の中から択一的に選択されたか否かの判断を行う(A5)。そして、移動方法を選択肢の中から択一的に選択されなければ(A5、NO)、A5を繰り返すことで、移動方法の選択待ちとなる。
【0042】
一方、移動方法が選択肢の中から択一的に選択されたら(A5、YES:実施例では、最短ルート、エスカレータルート、エレベータルート、車椅子ルートの選択画面の中から最短ルートを選択)、マイクロコンピュータ14は、選択された移動方法に基づいて現在位置と移動目的地の2地点間の最適な経路検索を行う(A6)。そして、経路検索結果を図5に示すように、現在位置30から移動目的地2出口35までの道筋である最適ルート50を建造物内地図データ21の表示画面に表示する(A7)。これで、経路検索処理が一旦終了しA1に戻る。
【0043】
ここで、図3の建造物内地図データ21の表示画面に表示される各種の記号について補足説明をする。ポインタ30は現在位置と向いている方位示す記号である。また、31は、駅構内に設置されたエレベータを示す記号であり、32は、エスカレータを示す記号であり、33は階段を示す記号である。34は駅構内から駅の外に出る1出口であり、35は2出口である。また、36は1番ホームであり、37は2番ホームを示す記号である。また38はバス停を示し、39、40、41、42はそれぞれ、店舗A、店舗B、店舗C、コンビニを表す。43はトイレであり、47は車椅子用トイレであり、44は公衆電話の設置場所であり、45はインフォメーションセンターを示す記号である。また、46は、経路検索の目的地を選択するときに選択するボタンであり、選択すれば、図4に示す移動目的地選択画面に移行する。
【0044】
図4の移動目的地選択画面と移動方法選択画面について補足説明をする。図4に示す移動目的地選択画面には、「移動目的地を選択してください」との指示画面と共に2出口34、バス停38、1番ホーム36、2番ホーム37の選択肢が表示される。そして、移動目的地を選択肢の中から択一的に選択すれば(例えば、2出口を選択)、続いて、図4に示す移動方法選択画面が表示され、「移動方法を選択してください」との指示画面と共に、最短ルート、エスカレータルート、エレベータルート、車椅子ルートの選択肢が表示される。そして、移動方法を選択肢の中から択一的に選択すれば(例えば、最短ルート)、図5に示す検索結果画面が表示される。
【0045】
上記の動作によれば、建造物ごとの移動目的地及び移動方法の選択肢のデータをメモリ6に予め詳細に用意しておき、ユーザはその選択肢の中から択一的に移動目的地及び移動方法を選択することができる。これにより、ユーザは、移動目的地及び移動方法等の情報を直接入力する手間を省くことができ、短時間で移動目的地までの経路検索をすることができる場合がある。また、現在位置に基づいた建造物内地図データ21を取得しているため、全国などの広い範囲の地図情報を得ることに比べて、建造物内地図データ21とともに格納された移動目的地・移動方法・レイアウト情報等のデータをダウンロードする場合、情報量を少なくすることができ、建造物ごとの移動目的地及び移動方法の選択肢のデータを増やすことができる。
【0046】
(本実施の形態の概要)
以上のように、本実施形態のナビゲーションシステム1においては、移動目的地のレイアウト情報(店舗A39・2出口34・エスカレータ32・エレベータ31等の位置情報)を含む建造物内地図データ21を格納する記憶手段(メモリ6)と、経度方向、緯度方向及び高さ情報を含んだ現在位置を検出する位置検出手段(位置情報提供装置、基地局2等)と、位置検出手段によりユーザの現在位置を検出した後に、現在位置を含む建造物内地図データ21を記憶手段から読み出すための処理を行う位置情報処理手段(マイクロコンピュータ14等)と、位置情報処理手段で得られた現在位置を含む建造物内地図データ21を用いて、現在位置と指定された移動目的地との間の経路を探索する経路検索手段(マイクロコンピュータ14等)と、記憶手段から読み出された建造物内地図データ21、位置情報処理手段により求められた現在位置30、及び経路検索手段が探索した経路(最適ルート50)を表示する出力手段(携帯電話機3)とを備えた構成とされている。
【0047】
上記の構成によれば、位置情報処理手段が記憶手段に格納された建造物内地図データ21に位置検出手段により特定した現在位置を当てはめる。そして、出力手段が現在位置30を当てはめた建造物内地図データ21を取得し表示し、更に、現在位置と指定された移動目的地までの経路を検索しその結果を出力手段に表示することができる。これにより、ユーザは現在位置30を認識し、移動目的地までの最適な経路を知ることができる場合がある。
【0048】
また、本実施形態のナビゲーションシステム1において、位置検出手段は、緯度方向、経度方向及び高さ情報を発信する位置情報提供装置(基地局2)を建造物内に複数設置し、現在位置に最も近い位置情報提供装置からの緯度方向、経度方向及び高さ情報を受信することにより現在位置を検出する。
【0049】
上記の構成によれば、建造物内に位置情報提供装置を複数設置しているため、現在位置に最も近い位置情報提供装置から現在位置を検出することができる。これにより、階層を持つビルや地下街等、高さを持つ建造物においても、緯度・経度及び高さ情報を容易に取得することができ、ユーザは現在位置を性格に認識し、移動目的地までの最適な経路を知ることができる場合がある。
【0050】
また、本実施形態のナビゲーションシステム1においては、地磁気センサ11を備えている。
【0051】
上記の構成によれば、地磁気センサ11を備えていることにより、方位を示す方位データを取得することができる。これにより、ユーザは、現在位置においてどの方向を向いているかを知ることができる場合がある。
【0052】
また、本実施形態のナビゲーションシステム1においては、出力手段が携帯電話(携帯電話機3)である。
【0053】
上記の構成によれば、出力手段が携帯電話機3であることにより、ユーザは、手軽に本ナビゲーションシステム1を利用することができる場合がある。
【0054】
また、本実施形態のナビゲーションシステム1において、経路検索手段は、移動目的地を建造物内地図データ21に予め格納されている複数の移動目的地の中から択一的に選択できると供に、移動目的地までの移動方法(最短ルート、階段ルート、エレベータルート、エスカレータルート、車椅子ルート等)を択一的に選択できる。
【0055】
上記の構成によれば、建造物ごとの移動目的地及び移動方法の選択肢のデータを記憶手段に予め詳細に用意しておき、ユーザはその選択肢の中から択一的に移動目的地及び移動方法を選択することができる。これにより、ユーザは、移動目的地及び移動方法等の情報を直接入力する手間を省くことができ、短時間で移動目的地までの経路検索をすることができる場合がある。また、現在位置に基づいた建造物内地図データ21を取得しているため、全国などの広い範囲の地図情報を得ることに比べて、建造物内地図データ21とともに格納された移動目的地・移動方法・レイアウト情報等のデータをダウンロードする場合、情報量を少なくすることができ、建造物ごとの移動目的地及び移動方法の選択肢のデータを増やすことができる。
【0056】
(本実施形態の変形例)
以上、本発明を好適な実施の形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、出力手段及びサーバーは、以下の構成を上述の実施の形態における構成に加えて、或いは重複、置き換えて備えていてもよい。
【0057】
例えば、出力手段は、PDA(personal digital assistants)などの種々の情報通信端末にも本発明は適用可能である。また、情報通信端末に限らず、種々の通信装置にも本発明は適用可能である。
【0058】
また、本実施形態のナビゲーションシステム1では、建造物内地図データを、インターネット4を介して受信する場合について説明したが、本発明においては、この例に限定されず、例えば、携帯電話機3にインターフェイスを設け、このインターフェイスを介して受信することとしてもよい。インターフェイスを介して受信することとした場合、大容量のデータ通信を短時間で行うことができるからである。インターフェイスとしては、例えば、USB(Universal Serial Bus)ポートやRS−232Cポート等、有線による接続に係るものであってもよく、例えば、赤外線通信ポート等、無線による接続に係るものであってもよい。
【0059】
尚、建造物内地図データを、インターフェイスを介して受信することとした場合、実際の建築物の出入り口に、データ配信装置を設置し、データ配信装置に携帯電話機3のインターフェイスを接続して建造物内地図データを取得することとしてもよい。
【0060】
また、建造物内地図データが記憶された外部メモリを貸出する等して利用することとしてもよい。
【0061】
また、本実施形態に係るナビゲーションシステム1では、携帯電話機3が建造物内地図データ21と現在位置の情報と方向データとに基づいて現在位置を含む建造物内地図データ21を生成する場合について説明したが、本発明に係るナビゲーションシステム1において携帯電話機3は、現在位置を含む建造物内地図データ21を生成しなくともよい。携帯電話機3が現在位置を含む建造物内地図データ21を生成しない場合としては、例えば、現在位置データを携帯電話機3からサーバー5に送信し、サーバー5において当該現在位置データに基づいて現在位置を含む建造物内地図データ21を生成し、現在位置を含む建造物内地図データ21を携帯電話機3に送信する場合を挙げることができる。
【0062】
以上、本発明の実施例を説明したが、具体例を例示したに過ぎず、特に本発明を限定するものではなく、具体的構成などは、適宜設計変更可能である。尚、発明の実施の形態に記載された、作用及び効果は、本発明から生じる最も好適な作用及び効果を列挙したに過ぎず、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。また、特許請求の範囲に規定される本発明の技術的範囲を逸脱しないで、上述の実施例に種々の変更・修整を施しうることは、本発明の属する分野の技術者にとって自明であり、このような変更・修整も本発明の技術的範囲に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本実施形態に係るナビゲーションシステムを示すネットワーク構成図である。
【図2】本実施形態に係るナビゲーションシステムを示すブロック図である。
【図3】本実施形態に係る現在位置を表示した建造物内地図データの表示画面である。
【図4】本実施形態に係る移動目的地選択画面・移動方法選択画面である。
【図5】本実施形態に係る経路検索結果画面である。
【図6】本実施形態に係る経路検索処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0064】
1 ナビゲーションシステム
2 基地局
3 携帯電話機
4 インターネット
5 サーバー
6 メモリ
13 表示装置
14 マイクロコンピュータ
21 建造物内地図データ
30 現在位置
50 最適ルート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動目的地のレイアウト情報を含む建造物内地図データを格納する記憶手段と、
経度方向、緯度方向及び高さ情報を含んだ現在位置を検出する位置検出手段と、
前記位置検出手段によりユーザの現在位置を検出した後に、現在位置を含む前記建造物内地図データを前記記憶手段から読み出すための処理を行う位置情報処理手段と、
前記位置情報処理手段で得られた現在位置を含む前記建造物内地図データを用いて、現在位置と指定された移動目的地との間の経路を探索する経路検索手段と、
前記記憶手段から読み出された前記建造物内地図データ、前記位置情報処理手段により求められた現在位置、及び前記経路検索手段が探索した経路を表示する出力手段と
を有するナビゲーションシステム。
【請求項2】
前記位置検出手段は、前記緯度方向、経度方向及び高さ情報を発信する位置情報提供装置を建造物内に複数設置し、現在位置に最も近い前記位置情報提供装置からの前記緯度方向、経度方向及び高さ情報を受信することにより現在位置を検出することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーションシステム。
【請求項3】
地磁気センサを備えていることを特徴とする請求項1及び請求項2に記載のナビゲーションシステム。
【請求項4】
前記出力手段が携帯電話であることを特徴とする請求項1、請求項2及び請求項3に記載のナビゲーションシステム。
【請求項5】
前記経路検索手段は、前記移動目的地を前記建造物内地図データに予め格納されている複数の移動目的地の中から択一的に選択できると供に、前記移動目的地までの移動方法を択一的に選択できることを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3及び請求項4に記載のナビゲーションシステム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−304333(P2008−304333A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−151970(P2007−151970)
【出願日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【出願人】(598098526)アルゼ株式会社 (7,628)
【Fターム(参考)】