建造物診断システム
【課題】外部データを利用することで、閾値等の判定基準値によることなく建造物の異常検知が可能な建造物診断システムを提供する。
【解決手段】診断手段150では、現在値データを所定の閾値あるいは履歴データと比較して正常範囲にあるか否かを判定するのに加えて、前記現在値データが前記正常範囲内にあると判定された場合に、さらに外部データを用いた異常判定を行う。外部データを用いた異常判定では、現在正常範囲にある前記現在値データが今後どのように変化するかを外部データを用いて推定する。この推定では、必要に応じて前記履歴データも使用するようにすることもできる。
【解決手段】診断手段150では、現在値データを所定の閾値あるいは履歴データと比較して正常範囲にあるか否かを判定するのに加えて、前記現在値データが前記正常範囲内にあると判定された場合に、さらに外部データを用いた異常判定を行う。外部データを用いた異常判定では、現在正常範囲にある前記現在値データが今後どのように変化するかを外部データを用いて推定する。この推定では、必要に応じて前記履歴データも使用するようにすることもできる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅等の建造物の状態を監視して経年劣化や異常の判定を行う建造物診断システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年は、住宅の安全や生活の向上等に資するために、住宅等の建造物にセンサ等を設置して建造物内外の情報を取得し、これによって建造物の健全性を監視するシステム等の開発が進められている(特許文献1,2,3)。また、建造物内外の情報は、建造物の査定や改築、建替え等の判断にも利用される。
【0003】
建造物を監視する従来のシステム(例えば、特許文献1,2,3に記載のシステム)では、センサ等から取得したデータを事前に設定した閾値、あるいは事前に決められた方法で設定される閾値と比較し、取得データが該閾値を超えると建造物に不具合が生じたと判断させるようにしていた。
【0004】
例えば、特許文献1では、住宅内に設置されたセンサ機能を持つ光ファイバを用いて、住宅内各部の歪みや水漏れ、結露、火災等の状態情報を取得するようにしている。取得したデータを基に、特許文献1では前記取得データの経時変化を調べることで、住宅の不具合を検知するようにしている。具体的には、過去の取得データと比較して変化が所定の閾値を超えたときに、何らかの不具合が発生したと判断して住宅の所有者等に通知するようにしている。
【特許文献1】特開2002−140774号公報
【特許文献2】特開2005−107797号公報
【特許文献3】特開2000−76354号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の建造物診断システムでは、以下のような問題があった。すなわち、建造物の不具合を判断するために、従来はセンサで取得したデータを事前に設定した所定の閾値と比較していた。そのため、該閾値を超えるまでは建造物の不具合を検知することができなかった。
【0006】
また、前記所定の閾値は、建造物ごとに設定する必要があるだけでなく、建造物を取り巻く環境の変化等によっても閾値の値を見直す必要がある。しかし、建造物ごとに閾値の見直しを行うことは極めて困難であり、コストもかかる作業となるため、閾値の見直しが行われないのが一般的である。そのため、環境の変化等によって閾値が適切でなくなった場合には、建造物の不具合を正常に判断できなくなってしまうといった問題があった。
【0007】
そこで、本発明はこれらの問題を解決するためになされたものであり、外部データを利用することで、建造物の異常検知が可能な建造物診断システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の建造物診断システムの第1の態様は、建造物の状態量を測定するための検出装置と、前記検出装置で測定された測定データを保存する第一の保存手段と、外部から所定の外部データを受信する通信手段と、前記通信手段で受信した前記外部データを保存する第二の保存手段と、前記測定データと前記外部データとから前記建造物の異常判定を行う診断手段と前記診断手段による判定結果を表示するための表示手段と、を備えることを特徴とする建造物診断システムである。
【0009】
第2の態様は、前記診断手段が、前記外部データに基づいて前記測定データの変化を推定して前記異常判定を行うことを特徴とする建造物診断システムである。
【0010】
第3の態様は、前記診断手段が、前記外部データと前記測定データとを統計処理して算出した建造物固有情報を保存する建造物固有情報データベースを備え、新たに入力された前記外部データと前記建造物固有情報データベースに保存されている前記建造物固有情報とから前記外部データに対応する前記状態量の変化量を算出し、前記変化量の算出値と前記測定データの現在値とを統計処理して前記建造物の状態量の変化量を算出して前記建造物固有情報データベースに保存するとともに、前記建造物の状態量の変化量と所定の閾値との差から許容変化量を推定している、ことを特徴とする建造物診断システムである。
【0011】
第4の態様は、前記診断手段が、前記構造物固有情報データベースに保存されている前記建造物固有情報から前記外部データに対応する歪変化量を算出し、前記歪変化量の算出値と前記測定データの現在値とから統計処理により現在の歪変化量を算出して構造物固有情報データベースに保存していることを特徴とする建造物診断システムである。
【0012】
第5の態様は、前記外部データは、地震及び/または天候に係わるデータであって、前記構造物の所在地を含む広域情報、中域情報、及び狭域情報に係わるデータであることを特徴とする建造物診断システムである。
【0013】
第6の態様は、前記測定データと前記外部データと前記診断手段の判定結果とから表示用データを生成する表示データ処理部をさらに備えることを特徴とする建造物診断システムである。
【0014】
第7の態様は、前記診断手段から判定結果を入力し、該判定結果に基づいて前記建造物に備えられた制御設備に所定の制御信号を送出する制御手段をさらに備えることを特徴とする建造物診断システムである。
【0015】
第8の態様は、前記検出装置が2以上の自律型センサを備え、前記自律型センサ間で送受信したデータを用いて前記各自律型センサの異常検知を行うことを特徴とする建造物診断システムである。
【0016】
第9の態様は、前記検出装置が、異常検知された前記自律型センサを修復するための自動修復手段を備えることを特徴とする建造物診断システムである。
【0017】
第10の態様は、前記表示データ処理部で生成された前記表示用データの一部または全部からなる通知データを事前に決定された通知先に通知する外部通知手段を備えることを特徴とする建造物診断システムである。
【0018】
第11の態様は、前記外部通知手段が、前記通信手段を用いて前記通知先に前記通知データを通知することを特徴とする建造物診断システムである。
【0019】
第12の態様は、前記通知先と通信するための別の通知手段をさらに備え、前記外部通知手段が、前記別の通信手段を用いて前記通知先に前記通知データを通知することを特徴とする建造物診断システムである。
【0020】
第13の態様は、前記外部通知手段が、前記診断手段による判定結果に基づいて、前記通知先に所定のアラーム情報を自動通知する自動通知手段を有することを特徴とする建造物診断システムである。
【0021】
第14の態様は、前記自動通知手段が、前記アラーム情報に加えて前記建造物の地図(GIS)情報を前記通知先に通知することを特徴とする建造物診断システムである。
【0022】
第15の態様は、前記外部通知手段が、前記通知先から要求信号を受信したときに前記通知データを通知することを特徴とする建造物診断システムである。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように本発明によれば、外部データを利用することで、閾値等の判定基準値によることなく建造物の異常検知が可能な建造物診断システムを提供する。
本発明によれば、建造物の状態量である現在値データ及び履歴データに加えて、外部から入力した外部データを用いて異常判定を行わせるようにしていることから、閾値等を超えない正常範囲にあると判定される場合であっても、前記外部データを用いて前記現在値データ等の建造物に係る状態量の変化を推定して異常判定を早期に行うことが可能となっている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
図面を参照して本発明の好ましい実施の形態における建造物診断システムの構成について詳細に説明する。なお、同一機能を有する各構成部については、図示及び説明簡略化のため、同一符号を付して示す。
【0025】
図1は、本発明の第一の実施の形態に係る建造物診断システムの構成を示すブロック図である。本実施形態の建造物診断システム100は、建造物に設置された各種のセンサを備えた検出装置110と、該検出装置110で測定した測定データを保存する第一の保存手段120と、外部の公的機関等から外部データを受信するための通信手段130と、該通信手段130で受信した前記外部データを保存する第二の保存手段140と、前記測定データと前記外部データとから前記建造物の異常判定を行う診断手段150、前記診断手段150による判定結果を表示する表示手段160とから構成される。
検出装置110は、測定したいデータの種類に応じて選択された各種センサを備えており、前記建造物内の適切な場所に設置されている。検出装置110で取得された測定データは第一の保存手段120に送られ、そこで下記のように適切に分別されて保存される。
【0026】
第一の保存手段120では、検出装置110から送られてきた前記測定データを、データ分別/格納モジュール121においてデータの種類や測定タイミング等に従って分類し、これを現在値データとして現在値データベース122に保存する。また、データ分別/格納モジュール121は、すでに現在値データベース122に格納されている現在値データを履歴データとして履歴データベース123に移動させたり、現在値データベース122及び履歴データベース123に格納されている各データを平均処理して長期履歴データとして履歴データベース123に保存する、等の処理も行っている。
【0027】
一方、第二の保存手段140は、通信手段130を経由して外部の公的機関等から外部データを入力し、これを広・中・狭域情報データベース141に保存する。前記外部の公的機関としては、気象庁、上下水道局等があり、各機関のデータベースから必要なデータを事前に選択して入力できるようにしている。また、公的機関に限らず本システムに有効なデータを提供する機関から、通信手段130を経由して外部データ入力するようにすることができる。
【0028】
前記外部データとして、例えば気象庁から入力される地震情報または天候情報等がある。第二の保存手段140は、前記地震情報または天候情報から前記構造物の所在地に係るデータを抽出して保存している。あるいは、前記構造物と同地域にある消防署等からより詳細な地域情報を入力して保存することも可能である。
【0029】
診断手段150は、第一の保存手段120から現在値データと履歴データを、また、第二の保存手段140から外部データをそれぞれ入力し、これらのデータをもとに前記建造物に異常が発生したか否かを判定している。本実施形態の建造物診断システム100では,前記建造物の状態量である前記現在値データ及び前記履歴データだけでなく、外部から入力した前記外部データを用いて診断手段150で異常判定を行うのを特徴としている。
【0030】
すなわち、診断手段150では、前記現在値データを所定の閾値あるいは前記履歴データと比較して正常範囲にあるか否かを判定するのに加えて、さらに外部データを用いた異常判定を行う。診断手段150は、対象となる建造物固有情報データベース152を備えており、この建造物固有情報データベース152には、過去の外部データとこれに対応する過去の測定データとから、両者の関係が統計量としてあらかじめその建造物固有の情報として保存されている。
【0031】
診断手段150では、新たに外部データが入力されると前記建造物固有情報データベース152に保存されているデータを用いて前記外部データに対応する状態量の変化量を算出し、この算出値と現在の状態量の変化量の測定値とから統計計算を行い(例えば平均値、あるいは標準偏差を求める)前記建造物の状態量の変化量を求め、この変化量が対象となる建造物固有の情報として前記外部データに対応させて前記建造物固有情報データベース152に新たに保存される。
【0032】
そして、この変化量の値と前記所定の閾値との差から、たとえば、前記建造物の状態量が今後どの程度変化すると所定の閾値を越えるのかを推定できるようになっている。また、外部データを用いた異常判定では、現在正常範囲にある前記現在値データが今後どのように変化するかを外部データも用いて推定することもできる。
【0033】
例えば、外部データを地震の震度、前記建造物の状態量を歪量とした場合、所定の震度以上の地震が発生するたびにその震度が外部データとして入力され、この外部データが入力されるたびに前記建造物固有の歪変化量が統計計算により求められ、この統計計算により求められた建造物固有の歪変化量が前記外部データとなる震度の値と対応させて建造物固有情報データベースに保存されるので、この建造物固有情報データベースに保存されている前記建造物の固有の情報データを用いることにより、ある震度Aに対する前記建造物の歪量αを推定することができる。
【0034】
よって、本実施形態によれば、前記建造物に関して、統計計算により求められた歪量の値と前記所定の閾値との差から所定の閾値に到達する歪量β(許容変化量)を推定することができ、また、その歪量βが発生する震度の値も推定することもできる。この推定では、必要に応じて前記履歴データも使用するようにすることもできる。
【0035】
診断手段150による異常判定の結果は、表示手段160を用いて前記建造物の所有者等に表示される。表示手段160は、例えばモニタ161を備えるように構成され、該モニタ161に前記異常判定結果を所定の形式で表示させるようにするのが好ましい。また、診断手段150が異常関連データベース151を備えるようにして前記異常判定結果を保存し、必要に応じて前記異常判定結果をモニタ161に表示できるようにするのがよい。
【0036】
上記構成に加えて、本実施形態の建造物診断システム100では、表示データ処理部162を追加している。表示データ処理部162は、前記現在値データ、前記履歴データ、前記外部データ、及び診断手段150による異常判定結果から表示用データを生成し、これをモニタ161に表示させるものである。前記表示データは、事前に設定された処理手順に従って作成させるようにすることができるが、さらに表示手段160に図示しない入力部を設け、該入力部からの要求に基づいて前記表示データを作成してモニタ161に表示させるようにすることもできる。
【0037】
上記の通り構成された本実施形態の建造物診断システム100によれば、前記建造物の状態量である前記現在値データ及び前記履歴データに加えて、外部から入力した前記外部データを用いて診断手段150で異常判定を行わせるようにしていることから、閾値等を超えない正常範囲にあると判定される場合であっても、前記外部データを用いて前記現在値データ等の建造物に係る状態量の変化を推定して異常判定を早期に行うことが可能となっている。
【0038】
上記本実施形態において、異常な測定データを用いないようにするために、検出装置110に備えられたセンサの異常を早期に検出するための機能を、検出装置110に持たせるようにすることができる。検出装置110の実施例を図2に示す。
【0039】
図2に示す実施例の検出装置110は、複数のセンサ111a〜111eと、各センサ111a〜111eに備えられたCPU(中央演算装置)を制御するためのセンサCPUコントロール部112と、センサ状態判別部113と、自動修復手段114とを備えている。センサ111a〜111eは、それぞれ温度、湿度、傾き(建造物の柱等の傾き)、照度、雨量を測定するためのセンサである。このような各種センサを、必要に応じて検出装置110に持たせるようにすることができる。
【0040】
センサCPUコントロール部112は、各センサ111a〜111eに備えられたCPUの動作情報を入力してセンサ状態判別部113に出力する。そして、センサ状態判別部113において、前記CPUの動作情報をもとに正常に動作していないセンサを判別する。正常に動作していないセンサが判別されると、異常センサ情報として表示データ処理部162に出力され、ここで所定の表示形式に処理されてモニタ161に表示される。また、前記異常センサ情報は、さらに異常関連データベース151にも保存させるようにし、必要に応じてモニタ161に表示できるようにすることも可能である。
【0041】
前記異常センサ情報は、センサCPUコントロール部112にも出力され、センサCPUコントロール部112により異常と判定されたセンサを以降は使用させないようにすることができる。図2に示す実施例の検出装置110では、さらに自動修復手段114を備えるように構成しており、センサ状態判別部113で異常センサが検知されると前記異常センサ情報を入力するようにしている。
【0042】
自動修復手段114は、検出装置110に備えられたセンサ111a〜111e毎に、それぞれの修復手順を事前に備えており、センサ状態判別部113で異常と判定されたセンサの前記修復手順をセンサCPUコントロール部112に出力する。センサCPUコントロール部112は、入力した前記修復手順をもとに異常センサの修復を行う。
検出装置110に2以上の複数のセンサが備えられる場合には、前記各センサを自律型センサとすることができる。前記各センサを自律型センサとした場合、前記各センサ間で各々のデータを送受信させるようにし、前記各センサで他のセンサから入力したデータを用いて自身の異常、あるいは他のセンサの異常を検知させるようにすることが可能となる。
【0043】
すなわち、センサ111a〜111eを自律型センサとした場合、それぞれで測定したデータと他の自律型センサから入力したデータとを比較し、各データ間で異常な変化がないかをチェックさせるようにすることができる。異常と判定されるデータが検知されると、該データを測定した自律型センサを異常と判定し、その情報をセンサCPUコントロール部112に送るようにする。
【0044】
センサCPUコントロール部112は、前記各自律型センサから入力した異常センサ情報をもとに、異常センサを以降は使用させないようにすることができる。また、センサCPUコントロール部112から自動修復手段114に前記異常センサ情報を出力し、上記と同様にして自動修復手段114から前記異常センサの修復手順を入力し、該手順に基づいて前記異常センサの修復を行うようにすることも可能である。
【0045】
本発明の建造物診断システムの第二の実施形態を図3を用いて以下に説明する。本実施形態の建造物診断システム200は、上記第一の実施形態にさらに制御手段210を備えるようにしている。制御手段210は、診断手段150で異常判定が行われた場合に、前記建造物の異常状態を修復または緩和するために、前記建造物内に備えられた制御装置を制御するものである。
【0046】
制御手段210が制御する前記制御装置としては、前記建造物内の空調装置、電源ブレーカ、防火扉等がある。診断手段150における異常判定結果の内容に従って、制御手段210が動作させる前記制御装置を選択して起動制御を行わせるようにすることができる。制御手段210が動作させる前記制御装置は、ON/OFF制御を行うものであってもよく、またアナログ制御を行うものであってもよい。
【0047】
本発明の建造物診断システムの第三の実施形態を図4を用いて以下に説明する。本実施形態の建造物診断システム300は、上記第一の実施形態にさらに外部通知手段310を備える構成としている。外部通知手段310は、表示データ処理部162で生成された前記表示用データの一部または全部を外部の所定の通知先に通知する機能を有している。
【0048】
外部通知手段310による前記通知先への通知は、前記通知先または前記建造物の所有者等からの要求信号を入力するようにし、外部通知手段310が前記要求信号を入力したときに前記通知データを通知させるようにすることができる。また、前記通知先への通知データとして、診断手段150で行われた異常判定の結果を含み、さらには必要に応じて前記現在値データや履歴データも含むようにしてもよい。
【0049】
前記通知先として、例えば市町村役場や消防署等の公的機関があり、前記建造物の異常を緊急に通知して適切な対応を要求するようにすることができる。この場合、前記通知データにさらに前記建造物の地図(GIS)情報を加えるようにするのが好ましい。前記建造物の地図(GIS)情報を前記通知先に通知することにより、前記通知先が早急に適切な対応を取ることが可能となる。
【0050】
外部通知手段310が前記通知先に通知する通信手段として、通信手段130を用いることができる。あるいは、別の通信手段320を設け、該別の通信手段320を経由して前記通知先に通知させるようにすることもできる。外部通知手段310は、前記通知先に応じて、通信手段130または別の通信手段320を適切に選択するようにすることができる。
【0051】
上記説明の外部通知手段310では、前記通知先または前記建造物の所有者等からの要求信号を入力してから前記通知データを通知させるようにしていたが、診断手段150による判定結果に基づいて、前記通知先に所定のアラーム情報を自動通知する自動通知手段330を備えるようにしてもよい。外部通知手段310が自動通知手段330を備えるようにすることにより、診断手段150で異常が判定された場合に、その結果を直ちに前記通知先に通知させるようにすることが可能となる。
【0052】
本発明の建造物診断システムを用いて建造物の異常診断を行う一実施例を、図5を用いて以下に説明する。本実施例では、検出装置110が備えるセンサとして歪センサを複数建造物に設置するとともに、外部の公的機関である気象庁から狭・中・広域情報を入力するようにしている。図5は、診断手段150による診断アルゴリズムを示す流れ図である。下記説明においては、特に指定されている場合を除いて、診断システム160で行われる処理の内容である。
【0053】
図5において、ステップS1では、検出装置110に備えられた前記歪センサから一定の時間間隔で歪データを取得し、該歪データを第一の保存手段120で現在値データベース122に保存する。また、ステップS2では、前記歪データの1日分、1週間分、1か月分、1年分といった母集団ごとに、統計計算(例えば平均値、標準偏差等を算出)してこれらを履歴データベース123に保存する。
ステップS3では、検出装置110で測定された前記歪データの現在値と履歴データベース123に保存されている過去のデータとを比較し、ステップS4で両者に変化があるか否かを判定する。そして、変化が無い場合にはステップS1に戻って前記一定の時間間隔が経過するのを待つ。
【0054】
一方、ステップ4において前記歪データの現在値が過去のデータより所定の範囲を超えて変化していると判定した場合には、ステップS5において前記歪データの現在値が所定の許容範囲にあるか否かを判定し、前記許容範囲を超える場合には、ステップS10において表示手段160により前記建造物の所有者等に歪データの異常を通知する。また、前記歪データの現在値が前記許容範囲にある場合には、次にステップS6に進む。
【0055】
所定の情報として、気象庁から最近発生した地震の震度や発生地域の情報、あるいは前記建造物の所在地周辺の降水量などがある。第二の保存手段140で外部から取得した前記情報をもとに、ステップS7において地震あるいは大雨の情報があるか否かを判定する。その結果、地震あるいは大雨の情報が無い場合にはステップS8で前記地震情報や大雨情報等を保存し、ステップS1に戻る。
【0056】
一方、ステップS7で前記地震や大雨があったと判定された場合には、次にステップS9で前記地震や大雨による歪変化量を推定し、前記建造物の将来の耐震性を予測し、その予測結果を表示手段160により前記建造物の所有者等に通知する。
上記説明の通り、本発明の建造物診断システムによれば、前記建造物の測定データが所定の許容範囲にある場合に、さらに外部データを用いて前記測定データへの影響を推定し、その結果をもって異常判定を行わせるようにしていることから、前記建造物の異常判定をより正確に行うことができ、異常の早期発見が可能となる。
【0057】
ステップS9における処理の内容を、図6に示す流れ図を用いてさらに詳細に説明する。例えば地震が発生して外部データが診断手段150に入力されると、まず、ステップS11において、この外部データに対応する前記建造物の歪変化量(dn)を計算して、これを構造物固有情報データベース152に新たに保存する。
【0058】
歪変化量(dn)の計算は、前記構造物固有情報データベース152にあらかじめ保存されているデータを用いて前記外部データとこれに対応する歪変化量を算出し、これと前記建造物の現在の測定データ(この場合歪変化量)とから統計計算(例えば平均値や標準偏差を計算)を行って求める。前記推定された歪変化量(dn)の例を図7に示す。次に、ステップS12において、所定の許容範囲(閾値)と前記歪変化量(dn)の差から所定の許容範囲までの歪量(D)を推定する。
【0059】
次にステップS13では、ステップS12で推定された前記歪量(D)を所定の基準値d1、d2、・・・dnとそれぞれ比較する。ここで、前記を所定の基準値d1、d2、・・・dnは、例えば震度毎に地震で発生する歪量とすることができる。これにより、ステップS13では次にどの程度の震度の地震が発生すると前記許容範囲を超えるかを推定することができる。推定した結果、異常がなしと判定された場合は終了し、異常と判定された場合は、ステップS14において異常関連データベースに保存され、例えば表示手段160を用いて前記所有者等に通知させるようにする。
【0060】
本発明の建造物診断システムを用いて建造物の異常診断を行う別の実施例を、図8を用いて以下に説明する。本実施例では、建造物に検出装置110として温度センサと湿度センサを複数設置するとともに、外部の公的機関である気象庁から狭・中・広域情報の温度と湿度を入力するようにしている。以下では、図8に示す診断手段150による診断アルゴリズムについて、特徴的な点を中心に説明する。
【0061】
ステップS22では、外部データとして気象庁から狭・中・広域の各領域ごとの温度と湿度の情報を取得して広・中・狭域情報データベース141に保存している。そして、ステップS23で、前記外部データを広・中・狭域の各領域ごとの温度と湿度に振り分け、それぞれの領域ごとに、検出装置110のセンサで測定された温度及び湿度の差を求めて、これら各領域ごとに求められたと温度と湿度の差を統計計算して温度Tr、湿度Hrを求め、これらを構造物固有のデータとして広・中・狭域情報データベース141に保存する。そして、ステップS24において前記温度Tr及び湿度Hrの値が所定の規定値を超えているか否かを判定する。
【0062】
ステップS24において前記温度Tr及び湿度Hrの値が所定の規定値を超えていると判定された場合には、ステップS25でタイマを起動させ、ステップS27で前記タイマの時間が所定値を超えると判断された場合には、異常と判定してステップS28に進む。図9に、本実施例における測定データの温度及び湿度の変化の例を示す。同図において、前記規定値を超えてからの時間tを前記タイマで計数している。
【0063】
例えば大雨が降ると、建造物における湿度等は異常の有無にかかわらず変化して高くなるが、雨がやんだ後、異常がない場合は一定時間が経過すると湿度Hrは下がるのに対して、床下浸水等の異常があった場合は一定時間経過しても湿度Hrは下がらないので、タイマを用いて温度Trあるいは湿度Hrの値が前記規定値を超えてからの時間tを計数することにより、建造物における異常の有無を判断することができる。
【0064】
ステップS28では、異常判定結果として温度及び湿度の現在値データ、外部から取得した温度及び湿度、さらには異常期間を示す前記タイマの時間等を異常関連データベース151に保存する。
【0065】
上記説明の通り、本実施形態においても外部データの気温及び湿度の情報を用いて前記建造物の異常を早期に検知することが可能となっている。本実施例によれば、例えば床下の浸水、配管の亀裂、屋根の破損による雨漏り等の可能性を早期に通知することが可能となる。
【0066】
なお、本実施の形態における記述は、本発明に係る建造物診断システムの一例を示すものであり、これに限定されるものではない。本実施の形態における建造物診断システムの細部構成及び詳細な動作等に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】図1は、本発明の第一の実施の形態に係る建造物診断システムの構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、検出装置の実施例を示すブロック図である。
【図3】図3は、本発明の第二の実施形態に係る建造物診断システムの構成を示すブロック図である。
【図4】図4は、本発明の第三の実施形態に係る建造物診断システムの構成を示すブロック図である。
【図5】図5は、本発明の実施例の診断手段による診断アルゴリズムを示す流れ図である。
【図6】図6は、本発明の実施例の診断手段による予測アルゴリズムを示す流れ図である。
【図7】図7は、本発明の実施例の診断手段で推定された歪変化量(dn)の例を示す図である。
【図8】図8は、本発明の別の実施例の診断手段による診断アルゴリズムを示す流れ図である。
【図9】図9は、本発明の別の実施例における測定データの温度及び湿度の変化を示す図である。
【符号の説明】
【0068】
100,200・・・建造物診断システム
110・・・検出装置
111a〜111e・・・センサ
112・・・センサCPUコントロール部
113・・・センサ状態判別部
114・・・自動修復手段
120・・・第一の保存手段
121・・・データ分別/格納モジュール
122・・・現在値データベース
123・・・履歴データベース
130・・・通信手段
140・・・第二の保存手段
141・・・広・中域情報データベース
150・・・診断手段
151・・・異常関連データベース
152・・・構造物固有情報データベース
160・・・表示手段
161・・・モニタ
162・・・表示データ処理部
210・・・制御手段
310・・・外部通知手段
320・・・別の通信手段
330・・・自動通知手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅等の建造物の状態を監視して経年劣化や異常の判定を行う建造物診断システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年は、住宅の安全や生活の向上等に資するために、住宅等の建造物にセンサ等を設置して建造物内外の情報を取得し、これによって建造物の健全性を監視するシステム等の開発が進められている(特許文献1,2,3)。また、建造物内外の情報は、建造物の査定や改築、建替え等の判断にも利用される。
【0003】
建造物を監視する従来のシステム(例えば、特許文献1,2,3に記載のシステム)では、センサ等から取得したデータを事前に設定した閾値、あるいは事前に決められた方法で設定される閾値と比較し、取得データが該閾値を超えると建造物に不具合が生じたと判断させるようにしていた。
【0004】
例えば、特許文献1では、住宅内に設置されたセンサ機能を持つ光ファイバを用いて、住宅内各部の歪みや水漏れ、結露、火災等の状態情報を取得するようにしている。取得したデータを基に、特許文献1では前記取得データの経時変化を調べることで、住宅の不具合を検知するようにしている。具体的には、過去の取得データと比較して変化が所定の閾値を超えたときに、何らかの不具合が発生したと判断して住宅の所有者等に通知するようにしている。
【特許文献1】特開2002−140774号公報
【特許文献2】特開2005−107797号公報
【特許文献3】特開2000−76354号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の建造物診断システムでは、以下のような問題があった。すなわち、建造物の不具合を判断するために、従来はセンサで取得したデータを事前に設定した所定の閾値と比較していた。そのため、該閾値を超えるまでは建造物の不具合を検知することができなかった。
【0006】
また、前記所定の閾値は、建造物ごとに設定する必要があるだけでなく、建造物を取り巻く環境の変化等によっても閾値の値を見直す必要がある。しかし、建造物ごとに閾値の見直しを行うことは極めて困難であり、コストもかかる作業となるため、閾値の見直しが行われないのが一般的である。そのため、環境の変化等によって閾値が適切でなくなった場合には、建造物の不具合を正常に判断できなくなってしまうといった問題があった。
【0007】
そこで、本発明はこれらの問題を解決するためになされたものであり、外部データを利用することで、建造物の異常検知が可能な建造物診断システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の建造物診断システムの第1の態様は、建造物の状態量を測定するための検出装置と、前記検出装置で測定された測定データを保存する第一の保存手段と、外部から所定の外部データを受信する通信手段と、前記通信手段で受信した前記外部データを保存する第二の保存手段と、前記測定データと前記外部データとから前記建造物の異常判定を行う診断手段と前記診断手段による判定結果を表示するための表示手段と、を備えることを特徴とする建造物診断システムである。
【0009】
第2の態様は、前記診断手段が、前記外部データに基づいて前記測定データの変化を推定して前記異常判定を行うことを特徴とする建造物診断システムである。
【0010】
第3の態様は、前記診断手段が、前記外部データと前記測定データとを統計処理して算出した建造物固有情報を保存する建造物固有情報データベースを備え、新たに入力された前記外部データと前記建造物固有情報データベースに保存されている前記建造物固有情報とから前記外部データに対応する前記状態量の変化量を算出し、前記変化量の算出値と前記測定データの現在値とを統計処理して前記建造物の状態量の変化量を算出して前記建造物固有情報データベースに保存するとともに、前記建造物の状態量の変化量と所定の閾値との差から許容変化量を推定している、ことを特徴とする建造物診断システムである。
【0011】
第4の態様は、前記診断手段が、前記構造物固有情報データベースに保存されている前記建造物固有情報から前記外部データに対応する歪変化量を算出し、前記歪変化量の算出値と前記測定データの現在値とから統計処理により現在の歪変化量を算出して構造物固有情報データベースに保存していることを特徴とする建造物診断システムである。
【0012】
第5の態様は、前記外部データは、地震及び/または天候に係わるデータであって、前記構造物の所在地を含む広域情報、中域情報、及び狭域情報に係わるデータであることを特徴とする建造物診断システムである。
【0013】
第6の態様は、前記測定データと前記外部データと前記診断手段の判定結果とから表示用データを生成する表示データ処理部をさらに備えることを特徴とする建造物診断システムである。
【0014】
第7の態様は、前記診断手段から判定結果を入力し、該判定結果に基づいて前記建造物に備えられた制御設備に所定の制御信号を送出する制御手段をさらに備えることを特徴とする建造物診断システムである。
【0015】
第8の態様は、前記検出装置が2以上の自律型センサを備え、前記自律型センサ間で送受信したデータを用いて前記各自律型センサの異常検知を行うことを特徴とする建造物診断システムである。
【0016】
第9の態様は、前記検出装置が、異常検知された前記自律型センサを修復するための自動修復手段を備えることを特徴とする建造物診断システムである。
【0017】
第10の態様は、前記表示データ処理部で生成された前記表示用データの一部または全部からなる通知データを事前に決定された通知先に通知する外部通知手段を備えることを特徴とする建造物診断システムである。
【0018】
第11の態様は、前記外部通知手段が、前記通信手段を用いて前記通知先に前記通知データを通知することを特徴とする建造物診断システムである。
【0019】
第12の態様は、前記通知先と通信するための別の通知手段をさらに備え、前記外部通知手段が、前記別の通信手段を用いて前記通知先に前記通知データを通知することを特徴とする建造物診断システムである。
【0020】
第13の態様は、前記外部通知手段が、前記診断手段による判定結果に基づいて、前記通知先に所定のアラーム情報を自動通知する自動通知手段を有することを特徴とする建造物診断システムである。
【0021】
第14の態様は、前記自動通知手段が、前記アラーム情報に加えて前記建造物の地図(GIS)情報を前記通知先に通知することを特徴とする建造物診断システムである。
【0022】
第15の態様は、前記外部通知手段が、前記通知先から要求信号を受信したときに前記通知データを通知することを特徴とする建造物診断システムである。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように本発明によれば、外部データを利用することで、閾値等の判定基準値によることなく建造物の異常検知が可能な建造物診断システムを提供する。
本発明によれば、建造物の状態量である現在値データ及び履歴データに加えて、外部から入力した外部データを用いて異常判定を行わせるようにしていることから、閾値等を超えない正常範囲にあると判定される場合であっても、前記外部データを用いて前記現在値データ等の建造物に係る状態量の変化を推定して異常判定を早期に行うことが可能となっている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
図面を参照して本発明の好ましい実施の形態における建造物診断システムの構成について詳細に説明する。なお、同一機能を有する各構成部については、図示及び説明簡略化のため、同一符号を付して示す。
【0025】
図1は、本発明の第一の実施の形態に係る建造物診断システムの構成を示すブロック図である。本実施形態の建造物診断システム100は、建造物に設置された各種のセンサを備えた検出装置110と、該検出装置110で測定した測定データを保存する第一の保存手段120と、外部の公的機関等から外部データを受信するための通信手段130と、該通信手段130で受信した前記外部データを保存する第二の保存手段140と、前記測定データと前記外部データとから前記建造物の異常判定を行う診断手段150、前記診断手段150による判定結果を表示する表示手段160とから構成される。
検出装置110は、測定したいデータの種類に応じて選択された各種センサを備えており、前記建造物内の適切な場所に設置されている。検出装置110で取得された測定データは第一の保存手段120に送られ、そこで下記のように適切に分別されて保存される。
【0026】
第一の保存手段120では、検出装置110から送られてきた前記測定データを、データ分別/格納モジュール121においてデータの種類や測定タイミング等に従って分類し、これを現在値データとして現在値データベース122に保存する。また、データ分別/格納モジュール121は、すでに現在値データベース122に格納されている現在値データを履歴データとして履歴データベース123に移動させたり、現在値データベース122及び履歴データベース123に格納されている各データを平均処理して長期履歴データとして履歴データベース123に保存する、等の処理も行っている。
【0027】
一方、第二の保存手段140は、通信手段130を経由して外部の公的機関等から外部データを入力し、これを広・中・狭域情報データベース141に保存する。前記外部の公的機関としては、気象庁、上下水道局等があり、各機関のデータベースから必要なデータを事前に選択して入力できるようにしている。また、公的機関に限らず本システムに有効なデータを提供する機関から、通信手段130を経由して外部データ入力するようにすることができる。
【0028】
前記外部データとして、例えば気象庁から入力される地震情報または天候情報等がある。第二の保存手段140は、前記地震情報または天候情報から前記構造物の所在地に係るデータを抽出して保存している。あるいは、前記構造物と同地域にある消防署等からより詳細な地域情報を入力して保存することも可能である。
【0029】
診断手段150は、第一の保存手段120から現在値データと履歴データを、また、第二の保存手段140から外部データをそれぞれ入力し、これらのデータをもとに前記建造物に異常が発生したか否かを判定している。本実施形態の建造物診断システム100では,前記建造物の状態量である前記現在値データ及び前記履歴データだけでなく、外部から入力した前記外部データを用いて診断手段150で異常判定を行うのを特徴としている。
【0030】
すなわち、診断手段150では、前記現在値データを所定の閾値あるいは前記履歴データと比較して正常範囲にあるか否かを判定するのに加えて、さらに外部データを用いた異常判定を行う。診断手段150は、対象となる建造物固有情報データベース152を備えており、この建造物固有情報データベース152には、過去の外部データとこれに対応する過去の測定データとから、両者の関係が統計量としてあらかじめその建造物固有の情報として保存されている。
【0031】
診断手段150では、新たに外部データが入力されると前記建造物固有情報データベース152に保存されているデータを用いて前記外部データに対応する状態量の変化量を算出し、この算出値と現在の状態量の変化量の測定値とから統計計算を行い(例えば平均値、あるいは標準偏差を求める)前記建造物の状態量の変化量を求め、この変化量が対象となる建造物固有の情報として前記外部データに対応させて前記建造物固有情報データベース152に新たに保存される。
【0032】
そして、この変化量の値と前記所定の閾値との差から、たとえば、前記建造物の状態量が今後どの程度変化すると所定の閾値を越えるのかを推定できるようになっている。また、外部データを用いた異常判定では、現在正常範囲にある前記現在値データが今後どのように変化するかを外部データも用いて推定することもできる。
【0033】
例えば、外部データを地震の震度、前記建造物の状態量を歪量とした場合、所定の震度以上の地震が発生するたびにその震度が外部データとして入力され、この外部データが入力されるたびに前記建造物固有の歪変化量が統計計算により求められ、この統計計算により求められた建造物固有の歪変化量が前記外部データとなる震度の値と対応させて建造物固有情報データベースに保存されるので、この建造物固有情報データベースに保存されている前記建造物の固有の情報データを用いることにより、ある震度Aに対する前記建造物の歪量αを推定することができる。
【0034】
よって、本実施形態によれば、前記建造物に関して、統計計算により求められた歪量の値と前記所定の閾値との差から所定の閾値に到達する歪量β(許容変化量)を推定することができ、また、その歪量βが発生する震度の値も推定することもできる。この推定では、必要に応じて前記履歴データも使用するようにすることもできる。
【0035】
診断手段150による異常判定の結果は、表示手段160を用いて前記建造物の所有者等に表示される。表示手段160は、例えばモニタ161を備えるように構成され、該モニタ161に前記異常判定結果を所定の形式で表示させるようにするのが好ましい。また、診断手段150が異常関連データベース151を備えるようにして前記異常判定結果を保存し、必要に応じて前記異常判定結果をモニタ161に表示できるようにするのがよい。
【0036】
上記構成に加えて、本実施形態の建造物診断システム100では、表示データ処理部162を追加している。表示データ処理部162は、前記現在値データ、前記履歴データ、前記外部データ、及び診断手段150による異常判定結果から表示用データを生成し、これをモニタ161に表示させるものである。前記表示データは、事前に設定された処理手順に従って作成させるようにすることができるが、さらに表示手段160に図示しない入力部を設け、該入力部からの要求に基づいて前記表示データを作成してモニタ161に表示させるようにすることもできる。
【0037】
上記の通り構成された本実施形態の建造物診断システム100によれば、前記建造物の状態量である前記現在値データ及び前記履歴データに加えて、外部から入力した前記外部データを用いて診断手段150で異常判定を行わせるようにしていることから、閾値等を超えない正常範囲にあると判定される場合であっても、前記外部データを用いて前記現在値データ等の建造物に係る状態量の変化を推定して異常判定を早期に行うことが可能となっている。
【0038】
上記本実施形態において、異常な測定データを用いないようにするために、検出装置110に備えられたセンサの異常を早期に検出するための機能を、検出装置110に持たせるようにすることができる。検出装置110の実施例を図2に示す。
【0039】
図2に示す実施例の検出装置110は、複数のセンサ111a〜111eと、各センサ111a〜111eに備えられたCPU(中央演算装置)を制御するためのセンサCPUコントロール部112と、センサ状態判別部113と、自動修復手段114とを備えている。センサ111a〜111eは、それぞれ温度、湿度、傾き(建造物の柱等の傾き)、照度、雨量を測定するためのセンサである。このような各種センサを、必要に応じて検出装置110に持たせるようにすることができる。
【0040】
センサCPUコントロール部112は、各センサ111a〜111eに備えられたCPUの動作情報を入力してセンサ状態判別部113に出力する。そして、センサ状態判別部113において、前記CPUの動作情報をもとに正常に動作していないセンサを判別する。正常に動作していないセンサが判別されると、異常センサ情報として表示データ処理部162に出力され、ここで所定の表示形式に処理されてモニタ161に表示される。また、前記異常センサ情報は、さらに異常関連データベース151にも保存させるようにし、必要に応じてモニタ161に表示できるようにすることも可能である。
【0041】
前記異常センサ情報は、センサCPUコントロール部112にも出力され、センサCPUコントロール部112により異常と判定されたセンサを以降は使用させないようにすることができる。図2に示す実施例の検出装置110では、さらに自動修復手段114を備えるように構成しており、センサ状態判別部113で異常センサが検知されると前記異常センサ情報を入力するようにしている。
【0042】
自動修復手段114は、検出装置110に備えられたセンサ111a〜111e毎に、それぞれの修復手順を事前に備えており、センサ状態判別部113で異常と判定されたセンサの前記修復手順をセンサCPUコントロール部112に出力する。センサCPUコントロール部112は、入力した前記修復手順をもとに異常センサの修復を行う。
検出装置110に2以上の複数のセンサが備えられる場合には、前記各センサを自律型センサとすることができる。前記各センサを自律型センサとした場合、前記各センサ間で各々のデータを送受信させるようにし、前記各センサで他のセンサから入力したデータを用いて自身の異常、あるいは他のセンサの異常を検知させるようにすることが可能となる。
【0043】
すなわち、センサ111a〜111eを自律型センサとした場合、それぞれで測定したデータと他の自律型センサから入力したデータとを比較し、各データ間で異常な変化がないかをチェックさせるようにすることができる。異常と判定されるデータが検知されると、該データを測定した自律型センサを異常と判定し、その情報をセンサCPUコントロール部112に送るようにする。
【0044】
センサCPUコントロール部112は、前記各自律型センサから入力した異常センサ情報をもとに、異常センサを以降は使用させないようにすることができる。また、センサCPUコントロール部112から自動修復手段114に前記異常センサ情報を出力し、上記と同様にして自動修復手段114から前記異常センサの修復手順を入力し、該手順に基づいて前記異常センサの修復を行うようにすることも可能である。
【0045】
本発明の建造物診断システムの第二の実施形態を図3を用いて以下に説明する。本実施形態の建造物診断システム200は、上記第一の実施形態にさらに制御手段210を備えるようにしている。制御手段210は、診断手段150で異常判定が行われた場合に、前記建造物の異常状態を修復または緩和するために、前記建造物内に備えられた制御装置を制御するものである。
【0046】
制御手段210が制御する前記制御装置としては、前記建造物内の空調装置、電源ブレーカ、防火扉等がある。診断手段150における異常判定結果の内容に従って、制御手段210が動作させる前記制御装置を選択して起動制御を行わせるようにすることができる。制御手段210が動作させる前記制御装置は、ON/OFF制御を行うものであってもよく、またアナログ制御を行うものであってもよい。
【0047】
本発明の建造物診断システムの第三の実施形態を図4を用いて以下に説明する。本実施形態の建造物診断システム300は、上記第一の実施形態にさらに外部通知手段310を備える構成としている。外部通知手段310は、表示データ処理部162で生成された前記表示用データの一部または全部を外部の所定の通知先に通知する機能を有している。
【0048】
外部通知手段310による前記通知先への通知は、前記通知先または前記建造物の所有者等からの要求信号を入力するようにし、外部通知手段310が前記要求信号を入力したときに前記通知データを通知させるようにすることができる。また、前記通知先への通知データとして、診断手段150で行われた異常判定の結果を含み、さらには必要に応じて前記現在値データや履歴データも含むようにしてもよい。
【0049】
前記通知先として、例えば市町村役場や消防署等の公的機関があり、前記建造物の異常を緊急に通知して適切な対応を要求するようにすることができる。この場合、前記通知データにさらに前記建造物の地図(GIS)情報を加えるようにするのが好ましい。前記建造物の地図(GIS)情報を前記通知先に通知することにより、前記通知先が早急に適切な対応を取ることが可能となる。
【0050】
外部通知手段310が前記通知先に通知する通信手段として、通信手段130を用いることができる。あるいは、別の通信手段320を設け、該別の通信手段320を経由して前記通知先に通知させるようにすることもできる。外部通知手段310は、前記通知先に応じて、通信手段130または別の通信手段320を適切に選択するようにすることができる。
【0051】
上記説明の外部通知手段310では、前記通知先または前記建造物の所有者等からの要求信号を入力してから前記通知データを通知させるようにしていたが、診断手段150による判定結果に基づいて、前記通知先に所定のアラーム情報を自動通知する自動通知手段330を備えるようにしてもよい。外部通知手段310が自動通知手段330を備えるようにすることにより、診断手段150で異常が判定された場合に、その結果を直ちに前記通知先に通知させるようにすることが可能となる。
【0052】
本発明の建造物診断システムを用いて建造物の異常診断を行う一実施例を、図5を用いて以下に説明する。本実施例では、検出装置110が備えるセンサとして歪センサを複数建造物に設置するとともに、外部の公的機関である気象庁から狭・中・広域情報を入力するようにしている。図5は、診断手段150による診断アルゴリズムを示す流れ図である。下記説明においては、特に指定されている場合を除いて、診断システム160で行われる処理の内容である。
【0053】
図5において、ステップS1では、検出装置110に備えられた前記歪センサから一定の時間間隔で歪データを取得し、該歪データを第一の保存手段120で現在値データベース122に保存する。また、ステップS2では、前記歪データの1日分、1週間分、1か月分、1年分といった母集団ごとに、統計計算(例えば平均値、標準偏差等を算出)してこれらを履歴データベース123に保存する。
ステップS3では、検出装置110で測定された前記歪データの現在値と履歴データベース123に保存されている過去のデータとを比較し、ステップS4で両者に変化があるか否かを判定する。そして、変化が無い場合にはステップS1に戻って前記一定の時間間隔が経過するのを待つ。
【0054】
一方、ステップ4において前記歪データの現在値が過去のデータより所定の範囲を超えて変化していると判定した場合には、ステップS5において前記歪データの現在値が所定の許容範囲にあるか否かを判定し、前記許容範囲を超える場合には、ステップS10において表示手段160により前記建造物の所有者等に歪データの異常を通知する。また、前記歪データの現在値が前記許容範囲にある場合には、次にステップS6に進む。
【0055】
所定の情報として、気象庁から最近発生した地震の震度や発生地域の情報、あるいは前記建造物の所在地周辺の降水量などがある。第二の保存手段140で外部から取得した前記情報をもとに、ステップS7において地震あるいは大雨の情報があるか否かを判定する。その結果、地震あるいは大雨の情報が無い場合にはステップS8で前記地震情報や大雨情報等を保存し、ステップS1に戻る。
【0056】
一方、ステップS7で前記地震や大雨があったと判定された場合には、次にステップS9で前記地震や大雨による歪変化量を推定し、前記建造物の将来の耐震性を予測し、その予測結果を表示手段160により前記建造物の所有者等に通知する。
上記説明の通り、本発明の建造物診断システムによれば、前記建造物の測定データが所定の許容範囲にある場合に、さらに外部データを用いて前記測定データへの影響を推定し、その結果をもって異常判定を行わせるようにしていることから、前記建造物の異常判定をより正確に行うことができ、異常の早期発見が可能となる。
【0057】
ステップS9における処理の内容を、図6に示す流れ図を用いてさらに詳細に説明する。例えば地震が発生して外部データが診断手段150に入力されると、まず、ステップS11において、この外部データに対応する前記建造物の歪変化量(dn)を計算して、これを構造物固有情報データベース152に新たに保存する。
【0058】
歪変化量(dn)の計算は、前記構造物固有情報データベース152にあらかじめ保存されているデータを用いて前記外部データとこれに対応する歪変化量を算出し、これと前記建造物の現在の測定データ(この場合歪変化量)とから統計計算(例えば平均値や標準偏差を計算)を行って求める。前記推定された歪変化量(dn)の例を図7に示す。次に、ステップS12において、所定の許容範囲(閾値)と前記歪変化量(dn)の差から所定の許容範囲までの歪量(D)を推定する。
【0059】
次にステップS13では、ステップS12で推定された前記歪量(D)を所定の基準値d1、d2、・・・dnとそれぞれ比較する。ここで、前記を所定の基準値d1、d2、・・・dnは、例えば震度毎に地震で発生する歪量とすることができる。これにより、ステップS13では次にどの程度の震度の地震が発生すると前記許容範囲を超えるかを推定することができる。推定した結果、異常がなしと判定された場合は終了し、異常と判定された場合は、ステップS14において異常関連データベースに保存され、例えば表示手段160を用いて前記所有者等に通知させるようにする。
【0060】
本発明の建造物診断システムを用いて建造物の異常診断を行う別の実施例を、図8を用いて以下に説明する。本実施例では、建造物に検出装置110として温度センサと湿度センサを複数設置するとともに、外部の公的機関である気象庁から狭・中・広域情報の温度と湿度を入力するようにしている。以下では、図8に示す診断手段150による診断アルゴリズムについて、特徴的な点を中心に説明する。
【0061】
ステップS22では、外部データとして気象庁から狭・中・広域の各領域ごとの温度と湿度の情報を取得して広・中・狭域情報データベース141に保存している。そして、ステップS23で、前記外部データを広・中・狭域の各領域ごとの温度と湿度に振り分け、それぞれの領域ごとに、検出装置110のセンサで測定された温度及び湿度の差を求めて、これら各領域ごとに求められたと温度と湿度の差を統計計算して温度Tr、湿度Hrを求め、これらを構造物固有のデータとして広・中・狭域情報データベース141に保存する。そして、ステップS24において前記温度Tr及び湿度Hrの値が所定の規定値を超えているか否かを判定する。
【0062】
ステップS24において前記温度Tr及び湿度Hrの値が所定の規定値を超えていると判定された場合には、ステップS25でタイマを起動させ、ステップS27で前記タイマの時間が所定値を超えると判断された場合には、異常と判定してステップS28に進む。図9に、本実施例における測定データの温度及び湿度の変化の例を示す。同図において、前記規定値を超えてからの時間tを前記タイマで計数している。
【0063】
例えば大雨が降ると、建造物における湿度等は異常の有無にかかわらず変化して高くなるが、雨がやんだ後、異常がない場合は一定時間が経過すると湿度Hrは下がるのに対して、床下浸水等の異常があった場合は一定時間経過しても湿度Hrは下がらないので、タイマを用いて温度Trあるいは湿度Hrの値が前記規定値を超えてからの時間tを計数することにより、建造物における異常の有無を判断することができる。
【0064】
ステップS28では、異常判定結果として温度及び湿度の現在値データ、外部から取得した温度及び湿度、さらには異常期間を示す前記タイマの時間等を異常関連データベース151に保存する。
【0065】
上記説明の通り、本実施形態においても外部データの気温及び湿度の情報を用いて前記建造物の異常を早期に検知することが可能となっている。本実施例によれば、例えば床下の浸水、配管の亀裂、屋根の破損による雨漏り等の可能性を早期に通知することが可能となる。
【0066】
なお、本実施の形態における記述は、本発明に係る建造物診断システムの一例を示すものであり、これに限定されるものではない。本実施の形態における建造物診断システムの細部構成及び詳細な動作等に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】図1は、本発明の第一の実施の形態に係る建造物診断システムの構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、検出装置の実施例を示すブロック図である。
【図3】図3は、本発明の第二の実施形態に係る建造物診断システムの構成を示すブロック図である。
【図4】図4は、本発明の第三の実施形態に係る建造物診断システムの構成を示すブロック図である。
【図5】図5は、本発明の実施例の診断手段による診断アルゴリズムを示す流れ図である。
【図6】図6は、本発明の実施例の診断手段による予測アルゴリズムを示す流れ図である。
【図7】図7は、本発明の実施例の診断手段で推定された歪変化量(dn)の例を示す図である。
【図8】図8は、本発明の別の実施例の診断手段による診断アルゴリズムを示す流れ図である。
【図9】図9は、本発明の別の実施例における測定データの温度及び湿度の変化を示す図である。
【符号の説明】
【0068】
100,200・・・建造物診断システム
110・・・検出装置
111a〜111e・・・センサ
112・・・センサCPUコントロール部
113・・・センサ状態判別部
114・・・自動修復手段
120・・・第一の保存手段
121・・・データ分別/格納モジュール
122・・・現在値データベース
123・・・履歴データベース
130・・・通信手段
140・・・第二の保存手段
141・・・広・中域情報データベース
150・・・診断手段
151・・・異常関連データベース
152・・・構造物固有情報データベース
160・・・表示手段
161・・・モニタ
162・・・表示データ処理部
210・・・制御手段
310・・・外部通知手段
320・・・別の通信手段
330・・・自動通知手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建造物の状態量を測定するための検出装置と、
前記検出装置で測定された測定データを保存する第一の保存手段と、
外部から所定の外部データを受信する通信手段と、
前記通信手段で受信した前記外部データを保存する第二の保存手段と、
前記測定データと前記外部データとから前記建造物の異常判定を行う診断手段と
前記診断手段による判定結果を表示するための表示手段と、
を備えることを特徴とする建造物診断システム。
【請求項2】
前記診断手段は、前記外部データに基づいて前記測定データの変化を推定して前記異常判定を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の建造物診断システム。
【請求項3】
前記診断手段は、前記外部データと前記測定データとを統計処理して算出した建造物固有情報を保存する建造物固有情報データベースを備え、
新たに入力された前記外部データと前記建造物固有情報データベースに保存されている前記建造物固有情報とから前記外部データに対応する前記状態量の変化量を算出し、前記変化量の算出値と前記測定データの現在値とを統計処理して前記建造物の状態量の変化量を算出して前記建造物固有情報データベースに保存するとともに、
前記建造物の状態量の変化量と所定の閾値との差から許容変化量を推定している、
ことを特徴とする請求項2に記載の建造物診断システム。
【請求項4】
前記診断手段は、前記構造物固有情報データベースに保存されている前記建造物固有情報から前記外部データに対応する歪変化量を算出し、前記歪変化量の算出値と前記測定データの現在値とから統計処理により現在の歪変化量を算出して構造物固有情報データベースに保存している
ことを特徴とする請求項3に記載の建造物診断システム。
【請求項5】
前記外部データは、地震及び/または天候に係わるデータであって、
前記構造物の所在地を含む広域情報、中域情報、及び狭域情報に係わるデータである
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の建造物診断システム。
【請求項6】
前記測定データと前記外部データと前記診断手段の判定結果とから表示用データを生成する表示データ処理部をさらに備える
ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の建造物診断システム。
【請求項7】
前記診断手段から判定結果を入力し、該判定結果に基づいて前記建造物に備えられた制御設備に所定の制御信号を送出する制御手段をさらに備える
ことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の建造物診断システム。
【請求項8】
前記検出装置は2以上の自律型センサを備え、前記自律型センサ間で送受信したデータを用いて前記各自律型センサの異常検知を行う
ことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の建造物診断システム。
【請求項9】
前記検出装置は、異常検知された前記自律型センサを修復するための自動修復手段を備える
ことを特徴とする請求項8に記載の建造物診断システム。
【請求項10】
前記表示データ処理部で生成された前記表示用データの一部または全部からなる通知データを事前に決定された通知先に通知する外部通知手段を備える
ことを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の建造物診断システム。
【請求項11】
前記外部通知手段は、前記通信手段を用いて前記通知先に前記通知データを通知する
ことを特徴とする請求項10に記載の建造物診断システム。
【請求項12】
前記通知先と通信するための別の通知手段をさらに備え、
前記外部通知手段は、前記別の通信手段を用いて前記通知先に前記通知データを通知する
ことを特徴とする請求項10に記載の建造物診断システム。
【請求項13】
前記外部通知手段は、前記診断手段による判定結果に基づいて、前記通知先に所定のアラーム情報を自動通知する自動通知手段を有する
ことを特徴とする請求項10から請求項12のいずれか1項に記載の建造物診断システム。
【請求項14】
前記自動通知手段は、前記アラーム情報に加えて前記建造物の地図(GIS)情報を前記通知先に通知する
ことを特徴とする請求項13に記載の建造物診断システム。
【請求項15】
前記外部通知手段は、前記通知先から要求信号を受信したときに前記通知データを通知する、
ことを特徴とする請求項10から請求項14のいずれか1項に記載の建造物診断システム。
【請求項1】
建造物の状態量を測定するための検出装置と、
前記検出装置で測定された測定データを保存する第一の保存手段と、
外部から所定の外部データを受信する通信手段と、
前記通信手段で受信した前記外部データを保存する第二の保存手段と、
前記測定データと前記外部データとから前記建造物の異常判定を行う診断手段と
前記診断手段による判定結果を表示するための表示手段と、
を備えることを特徴とする建造物診断システム。
【請求項2】
前記診断手段は、前記外部データに基づいて前記測定データの変化を推定して前記異常判定を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の建造物診断システム。
【請求項3】
前記診断手段は、前記外部データと前記測定データとを統計処理して算出した建造物固有情報を保存する建造物固有情報データベースを備え、
新たに入力された前記外部データと前記建造物固有情報データベースに保存されている前記建造物固有情報とから前記外部データに対応する前記状態量の変化量を算出し、前記変化量の算出値と前記測定データの現在値とを統計処理して前記建造物の状態量の変化量を算出して前記建造物固有情報データベースに保存するとともに、
前記建造物の状態量の変化量と所定の閾値との差から許容変化量を推定している、
ことを特徴とする請求項2に記載の建造物診断システム。
【請求項4】
前記診断手段は、前記構造物固有情報データベースに保存されている前記建造物固有情報から前記外部データに対応する歪変化量を算出し、前記歪変化量の算出値と前記測定データの現在値とから統計処理により現在の歪変化量を算出して構造物固有情報データベースに保存している
ことを特徴とする請求項3に記載の建造物診断システム。
【請求項5】
前記外部データは、地震及び/または天候に係わるデータであって、
前記構造物の所在地を含む広域情報、中域情報、及び狭域情報に係わるデータである
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の建造物診断システム。
【請求項6】
前記測定データと前記外部データと前記診断手段の判定結果とから表示用データを生成する表示データ処理部をさらに備える
ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の建造物診断システム。
【請求項7】
前記診断手段から判定結果を入力し、該判定結果に基づいて前記建造物に備えられた制御設備に所定の制御信号を送出する制御手段をさらに備える
ことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の建造物診断システム。
【請求項8】
前記検出装置は2以上の自律型センサを備え、前記自律型センサ間で送受信したデータを用いて前記各自律型センサの異常検知を行う
ことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の建造物診断システム。
【請求項9】
前記検出装置は、異常検知された前記自律型センサを修復するための自動修復手段を備える
ことを特徴とする請求項8に記載の建造物診断システム。
【請求項10】
前記表示データ処理部で生成された前記表示用データの一部または全部からなる通知データを事前に決定された通知先に通知する外部通知手段を備える
ことを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の建造物診断システム。
【請求項11】
前記外部通知手段は、前記通信手段を用いて前記通知先に前記通知データを通知する
ことを特徴とする請求項10に記載の建造物診断システム。
【請求項12】
前記通知先と通信するための別の通知手段をさらに備え、
前記外部通知手段は、前記別の通信手段を用いて前記通知先に前記通知データを通知する
ことを特徴とする請求項10に記載の建造物診断システム。
【請求項13】
前記外部通知手段は、前記診断手段による判定結果に基づいて、前記通知先に所定のアラーム情報を自動通知する自動通知手段を有する
ことを特徴とする請求項10から請求項12のいずれか1項に記載の建造物診断システム。
【請求項14】
前記自動通知手段は、前記アラーム情報に加えて前記建造物の地図(GIS)情報を前記通知先に通知する
ことを特徴とする請求項13に記載の建造物診断システム。
【請求項15】
前記外部通知手段は、前記通知先から要求信号を受信したときに前記通知データを通知する、
ことを特徴とする請求項10から請求項14のいずれか1項に記載の建造物診断システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2007−263888(P2007−263888A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−92215(P2006−92215)
【出願日】平成18年3月29日(2006.3.29)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年3月29日(2006.3.29)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】
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