説明

弁付き継手及び継手装置

【課題】大掛かりな設備を要することなく継手同士の接続及び切り離しを行う。
【解決手段】第1継手本体22に設けられたスライドブッシュ26を相手方継手J2と接続される接続位置と相手方継手J2から離間する離間位置とで進退動可能とするとともに、このスライドブッシュ26を接続位置側に付勢するようにし、このスライドブッシュ26の中心孔に挿通された第1弁軸34を駆動手段を用いて後退させることにより第1弁軸34の弁部36をスライドブッシュ26の座部に着座させて内部流路を塞ぐとともに該スライドブッシュ26を圧縮コイルばね30の付勢力に抗して前記離間位置まで後退させる一方、第1弁軸34を駆動手段を用いて前進させることにより前記付勢力でスライドブッシュ26を前記接続位置まで前進させるとともにスライドブッシュ26の座部から弁部36を離座させるようにした。また、第1弁軸34の駆動を補助するアシスト流路52を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種油圧機器への油圧配管の接続や、配管同士の接続/切り離しを行うのに用いられる弁付き継手及びこの弁付き継手を備えた継手装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、前記のような継手装置として、例えば特許文献1に記載されたものが知られている。
【0003】
この継手装置は、下向きに吊設された第1継手と、この第1継手の下方の位置に上向きに設けられた第2継手とを備えている。前記第1継手には、この第1継手の内部流路を塞ぐ閉弁位置と該内部流路を開放する開弁位置との間で切換可能な弁が設けられている。
【0004】
そして、両継手が離間した状態ではスプリング等によって前記第1継手の弁が前記閉弁位置に保持される一方、前記第2継手が油圧シリンダ等で持ち上げられることにより、該第2継手が前記第1継手の弁と当接して該弁を前記スプリングの弾発力に抗して開弁させるとともに両継手が接続されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−238680号公報(第3〜5頁、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記従来の継手装置では、継手同士の接続及び切り離しと弁の開閉を行うために一方の継手(第2継手)全体を油圧シリンダ等で昇降させなければならず、大きな駆動力が必要になるとともに、第2継手を第1継手との接続位置へ正確に導くためにガイドピン等を含む複雑な案内機構が必要になる。
【0007】
したがって、前記従来の継手装置では、装置全体が総じて複雑化及び大型化してしまうという問題があった。
【0008】
なお、前記従来の継手装置の第1継手と第2継手とが水平方向に対向して設けられていたとしても、第2継手の全体を油圧シリンダ等で水平移動させなければならない以上、同様の問題が起こりうる。
【0009】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、大掛かりな設備を要することなく継手同士の接続及び切り離しを行えるようにすることを解決すべき技術課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決する本発明の弁付き継手は、内部流路と、該内部流路を塞ぐ状態と該内部流路を相手方継手に設けられた開口に接続する状態とに切換可能な弁機構とを有する弁付き継手であって、少なくとも継手軸方向に延びて前記内部流路の少なくとも一部を形成する軸孔を有し、該軸孔が前記相手方継手の開口と対向する位置に設けられる継手本体と、前記継手本体の前記軸孔内に摺動可能に配設されるとともに、前記内部流路の一部を形成する中心孔、座部及びシール端面を有し、該シール端面が前記相手方継手の開口の周縁部に当接して該開口の周囲を塞ぎながら該開口と該中心孔とを連通させうる接続位置と該シール端面が該相手側継手から離間する離間位置との間で進退動可能となるように前記継手本体に支持されたスライドブッシュと、前記継手本体と前記スライドブッシュとの間に介装されて該スライドブッシュを前記接続位置側に付勢する付勢手段と、前記軸孔及び前記中心孔内に挿通されるとともに、前記座部に着座可能な弁部を先端に有し、該弁部が前記開口を通過して前記相手方継手内へ進入する前進位置と該弁部が該相手方継手から後退する後退位置との間で進退動可能となるように前記継手本体に支持された弁体部材と、前記弁体部材を前記前進位置と前記後退位置との間で進退動させるための駆動手段とを備え、前記弁体部材は前記弁部よりも後方の基端側にピストン部を有し、前記継手本体は、前記ピストン部を格納して該ピストン部により前側室と後側室とに区画されるシリンダ室と、前記内部流路に供給された流体圧力を前記シリンダ室の後側室に導くためのアシスト流路とを有しており、前記弁体部材が前記後退位置まで後退することにより該弁体部材の弁部が前記スライドブッシュの座部に着座して前記内部流路を塞ぐとともに該スライドブッシュを前記付勢手段の付勢力に抗して前記離間位置まで後退させる一方、前記弁体部材が前記前進位置まで前進することにより該弁体部材の弁部が前記スライドブッシュの座部から離座して前記内部流路を前記開口に接続するとともに該スライドブッシュを前記付勢手段の付勢力で前記接続位置まで前進させるように構成されていることを特徴とするものである。
【0011】
また、前記課題を解決する本発明の継手装置は、前記弁付き継手と、前記開口に通じる相手側内部通路を有する前記相手方継手とを備えた継手装置であって、該相手方継手は前記開口と該開口に通じるとともに少なくとも継手軸方向に延びて前記相手側内部流路の少なくとも一部を形成する相手側軸孔とを有する相手方継手本体を備え、前記相手方継手の開口と前記継手本体の前記軸孔とが対向する位置に該継手本体が固定された状態で前記弁体部材が前記前進位置まで前進することにより、前記付勢手段の付勢力で前記スライドブッシュが前記接続位置まで前進するとともに、該スライドブッシュの前記座部から離座した前記弁部が前記開口を通過して前記相手方継手内へ進入することにより前記相手方内部流路と前記弁付き継手の内部流路とが連通されるように構成されていることを特徴とするものである。
【0012】
以上の構成において、弁付き継手の弁体部材を前記後退位置まで後退させると、該弁体部材の弁部がスライドブッシュの座部に着座して弁付き継手の内部流路を塞ぐとともに該スライドブッシュを付勢手段の付勢力に抗して前記離間位置まで後退させるため、これにより継手同士が切り離されるとともに弁付き継手が閉弁される。これに対し、弁付き継手の弁体部材を前記前進位置まで前進させると、付勢手段の付勢力でスライドブッシュが前記接続位置まで前進するとともに該スライドブッシュの座部から前記弁部が離座するため、これにより弁付き継手が開弁されるとともに両継手が接続されて流体が流通可能となる。
【0013】
このように、弁付き継手のうちの弁体部材のみを前進及び後退させるだけで継手同士の接続及び切り離しと弁付き継手の開弁及び閉弁とを同時に行うことが可能であるため、従来のように継手全体を移動させなければならない装置に比べ、必要駆動力が大幅に軽減され、簡単な設備で継手の接続及び切り離しができる。このため、故障等の発生を抑制できるとともに、継手の接続状態において流体漏れ等を抑制して信頼性を向上させることが可能になる。
【0014】
また、前記弁付き継手の前記弁体部材は、前記弁部よりも後方の基端側にピストン部を有し、前記継手本体は、前記ピストン部を格納して該ピストン部により前側室と後側室とに区画されるシリンダ室と、前記内部流路に供給された流体圧力を前記シリンダ室の後側室に導くためのアシスト流路とを有している。このため、弁付き継手の内部流路に供給された流体圧力を利用して前記前進位置への弁体部材の駆動を補助することができ、その分だけ駆動手段の必要駆動力を軽減させることが可能となる。特に、前記相手方継手から弁付き継手に流体が流入する場合において、その流体圧力が高い場合、すなわち、弁体部材を後退させようとする力が大きい場合であっても、これに比較的小さな駆動力で対抗でき、弁体部材を前進位置に保持しておくことが可能となる。
【0015】
また、前記継手装置において、前記相手方継手は、前記相手方継手本体の相手方軸孔内に挿通されるとともに、前記開口を塞ぐ閉弁位置と該閉弁位置から前記相手方軸孔の内方へ後退して前記開口を開く開弁位置との間で進退動可能となるように前記相手方継手本体に支持された相手方弁部材と、該相手方弁部材を前記閉弁位置側に付勢する相手方付勢手段とを備え、前記弁付き継手の弁体部材が前記前進位置まで前進することにより該弁体部材が前記相手方付勢手段の付勢力に抗して前記相手方弁部材を前記開弁位置まで押し込むように構成されていることが好ましい。この態様によれば、継手同士が切り離されたときに、相手方継手においても、自己の弁機構により前記開口を塞いで該開口からの流体漏れを防ぐことが可能となる。また、相手方継手の弁機構の開閉動作を前記弁体部材の進退動を利用して単一操作で簡単に行わせることが可能になる。
【0016】
さらに、前記継手装置は、好適な態様において、前記弁付き継手及び前記相手方継手のうちの一方は、受給設備に流体を供給するための流体供給手段及び複数個の第1配管よりなる第1配管群をもつ供給設備側に複数個配設されるとともに各該第1配管にそれぞれが接続される一方、前記弁付き継手及び前記相手方継手のうちの他方は、該供給設備側に設けられた各該継手とそれぞれが対応して連結可能となるように該受給設備側に複数個配設されるとともに該受給設備側に設けられた複数個の第2配管よりなる第2配管群の各該第2配管にそれぞれが接続される。この態様によれば、対となる弁付き継手及び相手方継手毎に接続及び切り離しの操作が可能なる。このため、各配管毎に流体を供給するか否かの制御が可能になる。また、例えば複数の相手方継手が配設された固定プレートに対して複数の弁付き継手が配設された可動プレートを移動させることにより複数の弁付き継手及び相手方継手を一括して接続及び切り離しを行う場合と比較して、必要駆動力が大幅に軽減され、極めて簡単な設備で継手の接続及び切り離しができる。
【発明の効果】
【0017】
以上のように本発明は、継手本体に設けられたスライドブッシュを相手方継手と接続される接続位置と相手方継手から離間する離間位置との間で進退動可能とするとともに、このスライドブッシュを接続位置側に付勢するようにし、このスライドブッシュの中心孔に挿通された弁体部材を駆動手段を用いて後退させることにより該弁体部材の弁部をスライドブッシュの座部に着座させて内部流路を塞ぐとともに該スライドブッシュを付勢手段の付勢力に抗して前記離間位置まで後退させる一方、前記弁体部材を駆動手段を用いて前進させることにより前記付勢力でスライドブッシュを前記接続位置まで前進させるとともに該スライドブッシュの座部から前記弁部を離座させるようにしたものであるから、継手全体を移動させることなく、前記弁体部材を操作するだけの簡単な構成で継手同士の接続及び切り離しを行うことが可能となる。
【0018】
また、アシスト流路を有していることにより、弁付き継手の内部流路に供給された流体圧力を利用して前記前進位置への弁体部材の駆動を補助することができ、その分だけ駆動手段の必要駆動力を軽減させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態1に係る継手装置において継手同士が切り離されている状態を示す断面正面図である。
【図2】図1に示す継手装置において継手同士が接続された状態を示す断面正面図である。
【図3】(a)は図1の要部を拡大した図、(b)は図2の要部を拡大した図である。
【図4】本発明の実施形態2に係る継手装置において継手同士が切り離されている状態を示す断面正面図である。
【図5】図4に示す継手装置において継手同士が接続された状態を示す断面正面図である。
【図6】本発明の実施形態3に係る継手装置において継手同士が切り離されている状態を示す断面正面図である。
【図7】図6に示す継手装置において継手同士が接続された状態を示す断面正面図である。
【図8】図6に示す継手装置を複数個用いる場合の適用例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しつつ具体的に説明する。
【0021】
(実施形態1)
図1〜図3は、本発明に係る弁付き継手に相当する第1継手J1と、その相手方継手である第2継手J2とを備えた油圧配管用の継手装置を示し、図1及び図3(a)は継手同士が切り離された状態、図2及び図3(b)は継手同士が接続された状態を、それぞれ示す。
【0022】
まず、第2継手J2について説明する。この第2継手J2は、第2内部流路形成ブロック12と背壁ブロック14とから構成された第2継手本体(相手方継手本体)10を備えている。第2内部流路形成ブロック12は、同ブロック12をその中心軸(継手軸)に沿って貫通する貫通孔(相手方軸孔)12aと、この貫通孔12aの中間部につながる配管接続口12bと、前記貫通孔12aの前端(図1及び図2では右端)の開口12cとを有している。そして、前記貫通孔12aの後端の開口を塞ぐように前記背壁ブロック14が前記第2内部流路形成ブロック12の後端面に固定されている。したがって、この第2継手本体10には、前記配管接続口12bから前記貫通孔12aを経由して前記開口12cに至る第2内部流路(相手方内部流路)が形成されている。
【0023】
前記貫通孔12a内には、本発明に係る相手方弁部材に相当する第2弁軸16が装填されている。この第2弁軸16は、前端側に大径の第2弁部16aを有するとともに、後端側に被支持軸部16bを有している。そして、第2弁軸16の全体が前記貫通孔12aの中心軸上に位置する状態で、前記被支持軸部16bが軸方向に進退動可能となるように軸受け18を介して前記背壁ブロック14に支持されている。この軸方向の進退動により、第2弁軸16は、第2弁部16aの外周面が前記貫通孔12aの開口12cの内周縁部(第2座部)に当接、着座して該開口12cを塞ぐ閉弁位置と、該開口12cの内周縁部から第2弁部16aが離れて第2継手本体12の貫通孔12aの内方に後退し該開口12cを開く開弁位置とに切替可能となっている。
【0024】
さらに、前記第2弁部16aと前記軸受け18との間には第2圧縮コイルばね(相手方付勢手段)17が介装され、この第2圧縮コイルばね17の弾発力によって第2弁軸16が前記閉弁位置側に付勢されている。すなわち、第2圧縮コイルばね17の弾発力によって前記第2弁部16aが前記開口12cの内周縁部に当接して着座する状態が保持されるようになっている。
【0025】
なお、前記背壁ブロック14の前側面中央部には、前記開弁位置まで後退した第2弁軸16の被支持軸部16bとの干渉を避けるための逃げ凹部14aが形成されている。
【0026】
一方、第1継手J1の第1継手本体20は、第1内部流路形成ブロック22と、シリンダブロック24とで構成されている。
【0027】
第1内部流路形成ブロック22は、同ブロック22を継手軸方向に貫通する貫通孔(軸孔)22aと、この貫通孔22aの中間部につながる配管接続口22bとを有している。そして、第1継手本体20は、図1に示されるように前記第2継手J2に対して、前記貫通孔12aの開口12cと貫通孔22aとが対向し、かつ、両継手が近接する位置に固定される。
【0028】
また、前記シリンダブロック24は、前記貫通孔22a内に該貫通孔22aの後端側(図1及び図2では右側)から嵌入可能な外径をもつ嵌入部24aを有している。そして、前記貫通孔22a内に嵌入部24aが嵌入した状態で両ブロック22、24が連結、固定され、前記貫通孔22aの後端開口が塞がれている。したがって、第1継手本体20の第1内部流路形成ブロック22では、前記貫通孔22a、前記配管接続口22b及び後述するスライドブッシュ26の中心孔により第1内部流路が構成されている。
【0029】
前記貫通孔22aの前側部分には、軸方向に沿って移動可能となるようにスライドブッシュ26が装填されている。このスライドブッシュ26は、その前端面(図1〜図3では左側面で、第1シール端面)に弾性材からなるシールリング27を有している。また、スライドブッシュ26は、前記第2継手J2の第2内部流路形成ブロック12の前側面において、スライドブッシュ26に設けられたシールリング27が開口12cの周縁部(第2シール端面)に当接する接続位置(図2及び図3(b)参照)と、該第2継手J2の第2内部流路形成ブロック12の前側面から後方に離間する離間位置(図1及び図3(a)参照)とに切替可能とされている。そして、前記接続位置では、スライドブッシュ26に設けられたシールリング27が前記開口12cの周囲を塞ぎながら該開口12cと前記第1内部流路とを連通するように構成されている。
【0030】
なお、前記貫通孔22aの前側部分の内周面には2個のシールリング32が設けられており、これらのシールリング32と前記スライドブッシュ26の外周面との摺接によって前記第1内部流路からの油漏れが阻止されるようになっている。
【0031】
さらに、前記貫通孔22a内には、前記スライドブッシュ26を前記接続位置側に付勢するための第1圧縮コイルばね(第1付勢手段)30が設けられている。具体的には、前記スライドブッシュ26の内周面の中間位置に段部26bが形成される一方、該スライドブッシュ26のさらに後方の位置で貫通孔22a内にばね座部材28が固定されており、このばね座部材28と前記段部26bとの間に前記第1圧縮コイルばね30が介装されている。この第1圧縮コイルばね30の弾発力により、前記スライドブッシュ26のシールリング27が前記第2継手J2の前記開口12cの周縁部に圧接される状態(図2及び図3(b)の状態)が保持される。
【0032】
そして、前記スライドブッシュ26の内側には、このスライドブッシュ26から前記貫通孔22aさらには前記シリンダブロック24の中心部をほぼ貫く長尺の第1弁軸(弁体部材)34の前側部分が挿通されている。
【0033】
この第1弁軸34は、前記シリンダブロック24によって軸方向に移動可能となるように支持されており、該第1弁軸34の前端には大径の第1弁部36が形成されている。図3(a)及び(b)に示されるように、前記第1弁部36の外周部には第1弁軸34の後端側(同図右側)に向かうに従って縮径する向きのテーパをもったテーパシール面36aが形成される一方、前記スライドブッシュ26の内周面前端部には前記テーパシール面36aが第1弁軸34の先端側(同図左側)から接触して着座可能な座部26a(図3(a)参照)が形成されており、第1弁部36のテーパシール面36aが座部26aに接触して着座することによって前記第1内部流路が前方から塞がれるようになっている(閉弁状態)。
【0034】
前記第1弁軸34の後端にはリング状の駆動用ピストン部材38が固定される一方、前記シリンダブロック24の後端部にはこの駆動用ピストン部材38を格納する駆動用シリンダ室40が形成され、この駆動用シリンダ室40内が駆動用ピストン部材38によって前側室40aと後側室40bとに区画されている。
【0035】
さらに、前記シリンダブロック24には前記前側室40a及び後側室40bにそれぞれ通ずるポート42、44が設けられており、各ポート42、44が共通の油圧回路46に接続されている。この油圧回路46は、図略の油圧源及び切換弁を含み、該切換弁の作動によって、前記前側室40aに圧油を供給して後側室40b内の油を図略のタンクに逃がすことにより第1弁軸34を図1に示す後退位置まで後退させる後退駆動状態と、前記後側室40bに圧油を供給して前側室40a内の油をタンクに逃がすことにより第1弁軸34を図2に示す前進位置まで前進させる前進駆動状態とに切換可能となっている。
【0036】
ここで、前記第1弁軸の後退位置は、図1及び図3(a)に示されるように、第1弁軸34の第1弁部36が第2継手J2の前記開口12cから後方に離脱してテーパシール面36aがスライドブッシュ26の第1座部26aに接触して着座し、かつ、その接触状態のままスライドブッシュ26を前記離間位置まで後退させるように設定されている。これに対して前記第1弁軸の前進位置は、図2及び図3(b)に示されるように、前記第1弁部36が第2継手J2の第2弁軸16に当接してこの第2弁軸16を前記第2圧縮コイルばね17の弾発力に抗して開弁位置まで押し込みながら該第1弁部36が前記開口12cを通過して前記貫通孔12aの内方まで進入するように設定されている。
【0037】
すなわち、この継手装置では、前記駆動用ピストン部材38及び駆動用シリンダ室40により構成された油圧シリンダと、前記油圧回路46とにより、第1弁軸34を前記前進位置と前記後退位置との間で進退動させるための駆動手段が構成されている。
【0038】
さらに、この実施の形態では、前記第1弁軸34の中間部にリング状の補助ピストン部材48が固定されるとともに、前記シリンダブロック24にこの補助ピストン部材48を格納するアシスト用シリンダ室50が形成されており、このアシスト用シリンダ室50内が補助ピストン部材48によって前側室50aと後側室50bとに区画されている。さらに、前記第1内部流路形成ブロック22及びシリンダブロック24には、前記配管接続口22b内の油を前記後側室50bに導くためのアシスト流路52が両ブロック22及び24にまたがって形成されている。
【0039】
なお、シリンダブロック24には、前記補助ピストン部材48の前進時に前記前側室50a内の空気を図略のタンクに逃がすための排出路54が形成されている。
【0040】
次に、この継手装置の使用要領及び作用を説明する。
【0041】
まず、両継手J1及びJ2を図示のように互いに近接する位置に固定するとともに、両継手J1、J2の配管接続口12b、22bに適当な配管を接続しておく。その際、油圧回路は後退駆動状態にして第1弁軸34を図1及び図3(a)に示す後退位置まで後退させておく。
【0042】
この状態では、第1弁軸34の先端部に設けられた第1弁部36のテーパシール面36aがスライドブッシュ26の第1座部26aに接触、着座して第1内部流路を前方から塞ぐ(すなわち閉弁する)するとともに、スライドブッシュ26が第1圧縮コイルばね30の弾発力に抗して離間位置まで後退することにより該スライドブッシュ26のシールリング27が第2継手J2の第2内部流路形成ブロック12の前側面から離間している。また、第2継手J2においても、圧縮コイルばね16の弾発力によって第2弁軸16が前記開口12cを塞ぐ閉弁位置に保持されている。
【0043】
この状態から両前記配管を接続したいときには、前記油圧回路46を前進駆動状態に切り換えて第1弁軸34を前進位置まで前進させる。この第1弁軸34の前進に伴い、該第1弁軸34における第1弁部36のテーパシール面36aと第1座部26aとの接触状態を保ちながらスライドブッシュ26が第1圧縮コイルばね30の弾発力により前進し、ついには該スライドブッシュ26のシールリング27が第2継手J2側の第2内部流路形成ブロック12の前端面における前記開口12cの周縁部に当接して該開口12cの周囲を塞ぐ接続位置で止まる。
【0044】
この後、第1弁軸34はさらに前進を続け、第1弁軸34の第1弁部36が第2継手J2の第2弁軸16に当接してこれを前記第2圧縮コイルばね17の弾発力に抗して後退させながら該第1弁部36が前記開口12cを通って前記貫通孔12aの内方まで進入する位置、すなわち図2及び図3(b)に示す前進位置に到達する。この状態では、第1弁部36が第1座部26aから離座するとともに、第2弁軸16が前記開口12cから離間する開弁位置まで押し込まれているため、例えば配管接続口12b側から貫通孔12a内に流入する油は、前記開口12c、スライドブッシュ26の中心孔及び貫通孔22aを順次経由して配管接続口22bに接続された配管内へ送り込まれる。すなわち、第1及び第2継手J1及びJ2が完全に接続された状態となる。
【0045】
このように、第1弁軸34及びスライドブッシュ26を動かすだけで継手J1、J2同士の接続及び切り離しができるため、従来のように継手全体を移送しなければならない装置に比べ、必要駆動力が大幅に軽減されるので、駆動手段を小型化できる。また、継手全体を接続位置へ導くための大掛かりな案内機構が不要になる。さらに、継手全体を移送する従来の装置では継手だけでなくこれに接続された配管も継手に連動して移動できるようにしなければならないが、この実施形態の装置では継手J1、J2に接続される配管を動かすための設備を省略できる。そして、第1弁軸34を駆動手段により操作すればこれに連動してスライドブッシュ26が自動的に接続位置と離間位置とに切り換えられることもあり、総じて装置全体が大幅に小型化及び簡素化される。
【0046】
さらに、この継手装置では、第2継手J2から第1継手J1へ流れる油の圧力がアシスト流路52を通ってアシスト用シリンダ室50の後側室50bに導かれることにより駆動アシスト力として作用するため、その分だけ油圧回路46の負担が軽減される。したがって、前記油の圧力が高い場合でも、油圧回路46による比較的小さな駆動力で、高圧に抗して第1弁軸34を図2及び図3(b)に示す前進位置に保っておくことが可能である。
【0047】
ただし、本発明において、相手方継手(図示の第2継手J2)から弁付き継手(図示の第1継手J1)へ流体が流されるものには限られないことは勿論である。
【0048】
また、本発明では取り扱う流体の種類も問わず、前記油の他、水その他の種々の流体を取り扱うための継手として本発明を適用することが可能である。駆動手段の種類も、取扱い流体の圧力その他の仕様に応じて適宜設定すればよい。
【0049】
(実施形態2)
図4及び図5は、比較的低い圧力で第2継手J2から第1継手J1へ水を流すための継手装置の設計例を示したものである。
【0050】
この継手装置では、前記実施形態1におけるアシスト手段(補助用ピストン部材48、アシスト用シリンダ室50及びアシスト流路52等)が省略されるとともに、シリンダブロック24に代えて筒状のエアシリンダ接続ブロック25が第1内部流路形成ブロック22の後端部に連結されている。具体的には、エアシリンダ接続ブロック25の嵌入部25aが第1内部流路形成ブロック22の貫通孔22a内に嵌入されている。そして、このエアシリンダ接続ブロック25に駆動手段としてエアシリンダ60が連結されており、このエアシリンダ60の伸縮ロッド62と第1弁軸34の後端とが前記エアシリンダ接続ブロック25内で接続されている。
【0051】
さらに、必要駆動力が小さい場合には、前記第1弁軸34の位置切換が例えば手動によるレバー操作によって行われるようにすることも可能である。
【0052】
その他の構成及び作用効果は基本的には前記実施形態1と同様である。
【0053】
(実施形態3)
図6〜図8に示す継手装置は、第1継手J1及び第2継手J2自体の構成は、第2継手J2において、背壁ブロック14に継手軸方向に貫通する貫通孔を設け、この貫通孔を配管接続口12bとするとともに、軸受18に貫通孔12aと配管接続口12bとを連通する複数の通孔18aを設けたこと以外は、基本的には前記実施形態2における第1継手J1及び第2継手J2と同様である。
【0054】
この実施形態では、図8に示されるように、複数個の第1継手J1が流体供給設備70A側に設けられ、各第1継手J1にそれぞれ対応する複数個の第2継手J2が流体受給設備(例えば、射出成形用金型)70B側に設けられている。流体供給設備70Aは、流体受給設備70Bに油や水を供給するための油供給手段及び水供給手段(図示せず)と、各油供給手段及び水供給手段にそれぞれ接続された複数個の第1配管71Aよりなる第1配管群をもっている。そして、この流体供給設備70Aに配設された複数個の第1継手J1は各第1配管71Aにそれぞれが接続されている。一方、複数個の第2継手J2は、流体供給設備70A側に設けられた各第1継手J1とそれぞれが対向して接続可能となるように流体受給設備70Bに配設されるとともに、流体受給設備70B側に設けられた複数個の第2配管71Bよりなる第2配管群の各該第2配管71Bにそれぞれが接続されている。
【0055】
この実施形態によれば、対となる第1継手J1及び第2継手J2毎に接続及び切り離しの操作が可能なる。このため、対となる第1配管71A及び第2配管71B毎に流体を供給するか否かの制御が可能になる。
【0056】
また、例えば、流体受給設備70B側に固定プレートを設けるとともにこの固定プレートに一方の継手を複数個配設する一方、流体供給設備70A側に該固定プレートに対して移動可能な可動プレートを設けるとともにこの可動プレートに他方の継手を複数個配設し、固定プレートに対して可動プレートを移動させることにより複数の継手対を一括して接続及び切り離しを行う場合には、可動プレートを駆動させるために極めて大きな駆動力を要するとともに、各継手対で良好な接続状態を得ることが困難である。これに対し、本実施形態によれば、対となる第1継手J1及び第2継手J2毎に接続及び切り離しの操作が可能なるため、必要駆動力が大幅に軽減されるとともに、極めて簡単な設備で継手の接続及び切り離しを行うことができ、各継手対で良好な接続状態を得ることも容易となる。
【0057】
(その他の実施形態)
その他、本発明は例えば次のような実施の形態を採用してもよい。
【0058】
前述の実施形態では、いずれも第2継手J2が第2弁軸16を有するものを示したが、この第2弁軸16の有無については仕様に応じて適宜選定すればよい。
【0059】
また、第2弁軸16を用いる場合でも、該第2弁軸16の第2弁部16aが第2継手本体10側に接触して着座する箇所、すなわち第2座部としては必ずしも開口12cの内周縁部に限らず、それよりも奥側(内方側)で第2弁部16aと第2内部流路形成ブロック12の貫通孔12aの内周面とが接触することにより第2内部流路が塞がれるようにしてもよい。同様に、スライドブッシュ26についても、その第1座部26aの形成位置は適宜設定可能であり、例えばスライドブッシュ26の内周面ではなく前端面に前記第1弁部36の裏面が当接するようにしてもよい。
【0060】
さらに、本発明に係る弁体部材や相手方弁部材は前記第1弁軸34や第2弁軸16のような軸状のものに限らず、その具体的な形状を適宜設定することができる。
【0061】
加えて、前述の実施形態では、スライドブッシュ26とは別に第1付勢手段である第1圧縮コイルばね30を組み込むようにしたが、例えばスライドブッシュ26自体に弾性変形部分をもたせて当該弾性変形によりスライドブッシュ26が接続位置と離間位置とに切り替わるようにしてもよい。すなわち、スライドブッシュ26と第1付勢手段とを一体化するようにしてもよい。同様に、相手方弁部材と第2付勢手段との一体化も可能である。
【0062】
また、前述の実施形態では、スライドブッシュ26の前端面(第1シール端面)にシールリング27を設ける例について説明したが、相手方の第2内部流路形成ブロック12の前端面(第2シーツ端面)にシールリング27を設けてもよいし、第1シール端面及び第2シール端面の双方にシールリング27を設けてもよい。
【符号の説明】
【0063】
J1…第1継手(弁付き継手)
J2…第2継手(相手方継手)
10…第2継手本体(相手方継手本体)
12a…貫通孔(相手方軸孔であり相手方内部流路を構成)
12b…配管接続口(相手方内部流路を構成)
16…第2弁軸(相手方弁部材)
16a…第2弁部
17…第2圧縮コイルばね(相手方付勢手段)
20…第1継手本体(弁付き継手の継手本体)
22a…貫通孔(軸孔であり弁付き継手の内部流路を構成)
22b…配管接続口(弁付き継手の内部流路を構成)
26…スライドブッシュ
27…シールリング
30…第1圧縮コイルばね(付勢手段)
34…第1弁軸(弁体部材)
36…第1弁部
38…駆動用ピストン部材(駆動手段を構成)
40…シリンダ室(駆動手段を構成)
46…油圧回路(駆動手段を構成)
48…補助ピストン部材(ピストン部)
50…アシスト用シリンダ室
52…アシスト流路
60…エアシリンダ(駆動手段)
70A…流体供給設備
70B…流体受給設備
71A…第1配管
71B…第2配管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部流路と、該内部流路を塞ぐ状態と該内部流路を相手方継手に設けられた開口に接続する状態とに切換可能な弁機構とを有する弁付き継手であって、
少なくとも継手軸方向に延びて前記内部流路の少なくとも一部を形成する軸孔を有し、該軸孔が前記相手方継手の開口と対向する位置に設けられる継手本体と、
前記継手本体の前記軸孔内に摺動可能に配設されるとともに、前記内部流路の一部を形成する中心孔、座部及びシール端面を有し、該シール端面が前記相手方継手の開口の周縁部に当接して該開口の周囲を塞ぎながら該開口と該中心孔とを連通させうる接続位置と該シール端面が該相手側継手から離間する離間位置との間で進退動可能となるように前記継手本体に支持されたスライドブッシュと、
前記継手本体と前記スライドブッシュとの間に介装されて該スライドブッシュを前記接続位置側に付勢する付勢手段と、
前記軸孔及び前記中心孔内に挿通されるとともに、前記座部に着座可能な弁部を先端に有し、該弁部が前記開口を通過して前記相手方継手内へ進入する前進位置と該弁部が該相手方継手から後退する後退位置との間で進退動可能となるように前記継手本体に支持された弁体部材と、
前記弁体部材を前記前進位置と前記後退位置との間で進退動させるための駆動手段とを備え、
前記弁体部材は前記弁部よりも後方の基端側にピストン部を有し、前記継手本体は、前記ピストン部を格納して該ピストン部により前側室と後側室とに区画されるシリンダ室と、前記内部流路に供給された流体圧力を前記シリンダ室の後側室に導くためのアシスト流路とを有しており、
前記弁体部材が前記後退位置まで後退することにより該弁体部材の弁部が前記スライドブッシュの座部に着座して前記内部流路を塞ぐとともに該スライドブッシュを前記付勢手段の付勢力に抗して前記離間位置まで後退させる一方、前記弁体部材が前記前進位置まで前進することにより該弁体部材の弁部が前記スライドブッシュの座部から離座して前記内部流路を前記開口に接続するとともに該スライドブッシュを前記付勢手段の付勢力で前記接続位置まで前進させるように構成されていることを特徴とする弁付き継手。
【請求項2】
請求項1に記載の弁付き継手と、前記開口に通じる相手側内部通路を有する前記相手方継手とを備えた継手装置であって、該相手方継手は前記開口と該開口に通じるとともに少なくとも継手軸方向に延びて前記相手側内部流路の少なくとも一部を形成する相手側軸孔とを有する相手方継手本体を備え、
前記相手方継手の開口と前記継手本体の前記軸孔とが対向する位置に該継手本体が固定された状態で前記弁体部材が前記前進位置まで前進することにより、前記付勢手段の付勢力で前記スライドブッシュが前記接続位置まで前進するとともに、該スライドブッシュの前記座部から離座した前記弁部が前記開口を通過して前記相手方継手内へ進入することにより前記相手方内部流路と前記弁付き継手の内部流路とが連通されるように構成されていることを特徴とする継手装置。
【請求項3】
前記相手方継手は、前記相手方継手本体の相手方軸孔内に挿通されるとともに、前記開口を塞ぐ閉弁位置と該閉弁位置から前記相手方軸孔の内方へ後退して前記開口を開く開弁位置との間で進退動可能となるように前記相手方継手本体に支持された相手方弁部材と、該相手方弁部材を前記閉弁位置側に付勢する相手方付勢手段とを備え、
前記弁付き継手の弁体部材が前記前進位置まで前進することにより該弁体部材が前記相手方付勢手段の付勢力に抗して前記相手方弁部材を前記開弁位置まで押し込むように構成されていることを特徴とする請求項2記載の継手装置。
【請求項4】
前記弁付き継手及び前記相手方継手のうちの一方は、受給設備に流体を供給するための流体供給手段及び複数個の第1配管よりなる第1配管群をもつ供給設備側に複数個配設されるとともに各該第1配管にそれぞれが接続される一方、前記弁付き継手及び前記相手方継手のうちの他方は、該供給設備側に設けられた各該継手とそれぞれが対応して連結可能となるように該受給設備側に複数個配設されるとともに該受給設備側に設けられた複数個の第2配管よりなる第2配管群の各該第2配管にそれぞれが接続されることを特徴とする請求項2又は3記載の継手装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−266071(P2010−266071A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−153651(P2010−153651)
【出願日】平成22年7月6日(2010.7.6)
【分割の表示】特願2003−385477(P2003−385477)の分割
【原出願日】平成15年11月14日(2003.11.14)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(503405689)ナブテスコ株式会社 (737)
【Fターム(参考)】