説明

弁駆動装置におけるステムナットの摩耗量測定方法と装置

【課題】保守点検を要する電動弁駆動装置の設置状態のまま、ステムナットの摩耗量を容易に測定する測定方法と装置。
【解決手段】ステムを弁開閉いずれかの方向に一旦駆動した後、ステムの駆動方向を逆方向に反転して、ステムを駆動するに際し、ステムナットと協動するドライブスリーブ16の回転に伴い、距離検出センサ43に対して検出距離を漸次に変化させる部位と、ステムナットと協動するドライブスリーブ16の軸線方向の先端に、ドライブスリーブ16のガタ成分を検出する部位を備えた治具34を、ドライブスリーブ16の先端部に装着し、かつステムが動き出すのを検出する手段を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動式弁駆動装置及び手動式弁駆動装置におけるステムナットの摩耗量を、保守点検時に、容易にかつ正確に検出するようにしたステムナットの摩耗量測定方法と装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電動式又は手動式の弁駆動装置を備えた弁装置は、通常、弁体に連結した鋼製のステムに切設した雄ねじに、雌ねじを切設した黄銅製のステムナットを螺合し、そのステムナットを、適宜の回転伝達機構を途中に介在させて、電動モータもしくは手動ハンドルにより回転して、ステムを昇降させるようになっている。
ステムナットは、長期間使用すると、軟質のステムナットの雌ねじが次第に摩耗するので、雌ねじが摩耗限界に達する以前に、ステムナットを交換する必要がある。そのため、電動式及び手動式いずれの弁駆動装置においても、保守点検に際しては、ステムナットの摩耗量を測定しなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平1−158861号公報
【特許文献2】特開平4−296268号公報
【特許文献3】特開平9−5064号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1には、ステムナットの全長を長くして、その一部に設けた切欠部を外部に露出させ、摩耗の程度を目視しするものが開示されている。
これは、使用可能な限度を超えて摩耗したたステムナットであっても、その摩耗量は微少であるため、目視により正確に判定することは困難であり、また大型プラントにおいては、しばしば、弁装置を大型機器の上方や下方あるいは裏側に設けることがあり、このような場合、目視が困難である。
【0005】
上記特許文献2には、ウオームの回転数を、アブソリュート型ロータリーエンコーダによって検出し、ステムが所定の基準位置を通過する際のエンコーダの出力を監視して、経時的に変化するエンコーダの出力値により、ステムナットの摩耗量を検出する手段が開示されている。
この手段は、電動弁駆動装置を新設する場合には効果的に実施しうるが、既設の電動弁駆動装置に組み込むことは困難であり、電動弁駆動装置全体を交換しなければならず、さらにステムが所定の基準位置を通過した際でなければ摩耗量を検知できない。また、手動式の弁駆動装置には適用できない。
【0006】
特許文献3には、ステムナットの駆動開始時期を、ドライブスリーブと駆動ウオーム部が継合するハンマーブロー時の音響信号をもって取得して、その時点からステムが駆動開始するまでの時間をタイマーで計測して、その時間の長さを、摩耗する前の新規設定時の時間と比較して、ステムナットが空転している時間を求めて、ステムナットの摩耗量を計測する手段が開示されている。
この手段は、電動弁駆動装置を新設したときの計測時間、またはステムナット交換時の計測時間を履歴値として必要とし、かつハンマーブロー時の音響信号の取得に動弁駆動装置毎に個体差があって、未知の電動弁駆動装置の保守に適しないとともに、ドラブスリーブを手動ハンドルで回転させる手動式の弁駆動装置においては、ステムナットの空転時間が安定しないので適用できない。
【0007】
また、従来からの慣用技術として、摩耗したステムナットを一旦取外して、その歯形を、印象材(型取り材)や、接着テープなどに写し取り、その型取りした歯形の寸法を実測して摩耗量を計っているが、ステムナットには多量のグリスが付着していて、型取りしにくく、しかも正確な計測もし難く、そのため、保守点検データとして信頼性に欠けると共に、型取りしたサンプルを保存するとすれば、データの保存性も悪く、特に、ステムナットを装着したまま、計測できない欠点がある。
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、既設の電動又は手動式の弁駆動装置の保守点検において、予め保守点検対象の弁駆動装置の履歴データを保有することなく、対象弁駆動装置の設置状態のまま、ステムナットの摩耗量を容易に測定する測定方法と装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によると、上記課題は、次の各項のようにして解決される。
(1)
弁体を開閉駆動するステムに螺合し、ステムの軸線方向両側でスラストラジアル軸受されて回転するステムナットを備えた電動式又は手動式の弁駆動装置におけるステムナットの摩耗量測定方法であって、
ステムを弁開閉いずれかの方向に一旦駆動するステップと、
前記ステップにおけるステムの移動方向とは逆方向にステムを駆動し、そのステムの逆方向駆動時に、ステムナットと協動するドライブスリーブの逆回り回転角度を検出するステップと、
同じく、ステムの逆方向駆動時に、ステムナットと協動するドライブスリーブの軸線方向のガタ成分を検出するステップと
同じく、ステムの逆方向駆動時に、ステムの動きだしを検出するステップと、
前記回転角度の検出値と、前記ガタ成分の検出値と、前記動きだしの検出値から、ステムナットの摩耗量を検出するステップとを備える。
【0010】
このような構成とすると、既設の電動弁駆動装置の保守点検に際して、点検を要する電動弁駆動装置の履歴データを要することなく、検査に特殊な技能や熟練をようすることなく、容易に摩耗量の検出を行うことができる。
【0011】
(2)上記(1)項において、ステムを弁開閉いずれかの方向に一旦駆動するステップが、手動ハンドル操作によって、次のステップの開始点を微調整される。
【0012】
このような構成とすると、保守点検に際して、安全性のために、動力電源を遮断された状態であっても、安全に摩耗量の検出ができる。
【0013】
(3)上記(1)または(2)項において、ステムの駆動方向とは逆方向に、ステムを駆動するステップが、手動ハンドル操作によって、緩やかな速度で調整される。
【0014】
このような構成とすると、駆動方向の逆転操作を、ステムに衝撃を与えることなく、穏やかに進めることができ、計測値にバラツキが少なくなり、安定した計測が行える。
【0015】
(4)上記(1)〜(3)項のいずれかにおいて、ドライブスリーブの回転角度を検出するステップが、ドライブスリーブの先端に止着された治具の傾斜面と光学距離測定センサの間の距離測定による。
【0016】
このような構成とすると、検査に特殊な技能や熟練を要することなく、容易に摩耗量の検出を行うことができる。
【0017】
(5)上記(1)〜(4)項のいずれかにおいて、ドライブスリーブの回転角度を検出するステップが、ドライブスリーブを回転させる手動ハンドルに止着されたジャイロセンサによる回転角度検出である。
【0018】
このような構成とすると、グランドパッキン部付近に露出しているステムに、比較的容易に接近できるので、保守点検の作業性がよくなる。
【0019】
(6)上記(1)〜(5)項のいずれかにおいて、ステムの動きだしを検出するステップが、ステムが露出した部分に止着した反射体と光学距離測定センサの間の距離測定による
【0020】
このような構成とすると、信号処理手段として、汎用的なリニアアンプと、汎用的なデータロガーと、汎用的な波形プロッターなどで簡便に構成でき、特殊なプログラムや高度処理を行う高価なシステムを必要としなく、安易な処理システムで安価に摩耗量の検出ができる。
【0021】
(7)上記(1)〜(6)項のいずれかにおいて、回転角度の検出値と、ガタ成分の検出値と、動きだしの検出値から、ステムナットの摩耗量を検出するステップが、各検出値の値を、それぞれが共通する経過時間軸上にプロットして、何れかの値が特徴的変化を示す部所を基点にして、歯面の切り替わり、ドライブスリーブの軸線方向のガタ吸収、ドライブスリーブの空転区間から、求めるようにする。
【0022】
このような構成とすると、各検出値をデジタルメモリに記録しておいてから、共通する経過時間を示すタイムスタンプから、ステップ5の計算が容易に行える。
【0023】
(8)上記(7)項において、ドライブスリーブの回転角度に対応したガタ成分を含む値を、共通する経過時間軸に合わせて予め検出し、ガタ成分に回転角度を含まない値と時間軸上で合成して、歯面の切り替わり、ドライブスリーブの軸線方向のガタ吸収、ドライブスリーブの空転区間の各検出値を求める。
【0024】
このような構成とすると、ドライブスリーブの回転角度を検出する作業と、型成分を検出する作業を別々に、異なる時間帯で作業でき、検出センサを共通して使用できるので、作業用具の種類や数を少なくするとともに、高価な検出センサの数を少なくすることができる。
【0025】
(9)弁体を開閉駆動するステムに螺合し、ステムの軸線方向両側でスラストラジアル軸受されて回転するステムナットを備えた弁駆動装置において、
ステムを弁開閉いずれかの方向に一旦駆動した後、ステムの駆動方向を逆方向に反転して、ステムを駆動するに際し、ステムナットと協動するドライブスリーブの空転区間を検出するステムの移動検出センサと、
ドライブスリーブの空転区間において、ドライブスリーブの軸線方向の移動量を検出するドライブスリーブ移動量検出手段と、
同じくドライブスリーブの空転区間において、ドライブスリーブの回転方向の回転量を検出するドライブスリーブ回転量検出手段と、
を具備し、ドライブスリーブの空転区間におけるドライブスリーブの軸線方向移動量と回転量からステムナットの摩耗量を検出する。
【0026】
このような構成とすると、既設の電動弁駆動装置の保守点検に際して、点検を要する電動弁駆動装置の履歴データを要することなく、検査に特殊な技能や熟練をようすることなく、容易に摩耗量の検出を行うことができる。また検査に必要な機材を特殊なものとすることなく、汎用の機材で安価に構成することができる。
【0027】
(10)上記(9)項において、距離検出センサに対して検出距離を漸次に変化させる部位が、ドライブスリーブの軸線方向に延びる円筒状の上面を斜めに裁断した斜面である。
【0028】
このような構成とすると、比較的空きスペースの大きな、ステム直上の空間を利用することができる。
【0029】
(11)上記(9)項において、距離検出センサに対して検出距離を漸次に変化させる部位が、ドライブスリーブの軸線方向と直交する径方向に、角度当りの径の増加率を一定にして、周方向の径を螺旋状にした面である。
【0030】
このような構成とすると、ステムの軸線方向上方に、検査機材を設置する空間が無い場合に、ステムの軸線と直交する側方に光学距離検出センサを設置することができる。
【0031】
(12)上記(9)項において、ガタ成分を検出する部位が、ステムナットの軸線と直交する平面をなしている。
【0032】
このような構成とすると、ドライブスリーブの微少なガタ成分を、ガタ成分のベクトルと直交する平面を、ガタ成分を検出する部位として使用するため、対雑音比を大きくして、高感度にガタ成分を検出できる。
【0033】
(13)上記(11)および(12)項において、距離検出センサに対して検出距離を漸次変化させる傾斜面部位と、ガタ成分を検出する平面部位を、ドライブスリーブの上端に着脱自在の摩耗量測定治具とした。
【0034】
このような構成とすると、測定準備が簡単になるとともに、検出結果に、測定誤差や作業者の個人差が現れにくくなり、信頼性の高い安定した検査が行える。
【0035】
(14)上記(13)項において、摩耗量測定治具における検出距離を漸次変化させる傾斜面部位と、ガタ成分を検出する平面部位を、互いに係合離脱自在にして、ドライブスリーブの上端に着脱自在の摩耗量測定治具とした。
【0036】
このような構成とすると、測定対象となる弁駆動装置の仕様や形状に柔軟に対応でき、現場の状況に合わせた幾通りかの測定状況の中から、速やかに最適の検査夫行うことができる。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、既設の電動弁駆動装置の保守点検において、予め保守点検対象の電動弁駆動装置の履歴データを保有することなく、対象電動弁駆動装置の設置状態のまま、ステムナットの摩耗量を容易に測定することができるとともに、検査に特殊な技能や熟練を要することなく、容易に摩耗量の検出を行うことができる。
また、信号処理手段として、汎用的なリニアアンプと、汎用的なデータロガーと、汎用的な波形プロッターなどで簡便に構成でき、特殊なプログラムや高度処理を行う高価なシステムを必要としなく、安易な処理システムで安価に摩耗量の検出ができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の要部構成を説明するための、電動弁駆動装置の上部におけるステム上端の駆動部周辺を切欠して示す外観斜視図である。
【図2】本発明の実施要領の一例を示すもので、図1に示す電動弁駆動装置の上方に、本発明を実施するのに専ら使用する摩耗量計測治具を装着した状態における、ステムを駆動するステム駆動ユニットの縦断面図である。
【図3】本発明の実施に専ら使用する摩耗量測定治具の一例を示す外観斜視図である。
【図4】図3に示す摩耗量測定治具を使用し、ステムの摩耗量を検出する実施要領の一例を示す、ステム上端要部破断図である。
【図5】本発明の実施要領の一例を示す、ステムの移動を検出する要領を示すグランドパッキン部の斜視図である。
【図6】図2〜図5に示す実施要領に基づいて、一旦ドライブスリーブを開弁方向に回転操作した後に、ドライブスリーブを逆転して閉弁操作した時の、各光学距離測定センサの測定データを時間軸上に表したグラフである。
【図7】同じく、一旦ドライブスリーブを閉弁方向に回転操作した後に、ドライブスリーブを逆転して開弁操作した時の、各光学距離測定センサの測定データを時間軸上に表したグラフである。
【図8】別な実施要領を示す、図4と同様のステム上端要部破断図である。
【図9】本発明の実施に専ら使用する摩耗測定治具の別な実施形態を示す、外観斜視図である。
【図10】本発明の別な実施に使用される、摩耗測定治具の外観分解斜視図である。
【図11】本発明の実施に使用される手動式弁駆動装置の一部を切欠して示す斜視図である。
【図12】図10に示す摩耗測定治具を、図11の手動式弁駆動装置に適用して、本発明の実施要領を示す、手動式弁駆動装置の上部縦断面図である。
【図13】同じく、図10に示す摩耗測定治具を、図11の手動式弁駆動装置に適用して、本発明の実施要領を示す、手動式弁駆動装置の上部縦断面図である
【図14】図12の状態で測定された、各光学距離測定センサの測定データを時間軸上に表したグラフである。
【図15】図13の状態で測定された、各光学距離測定センサの測定データを時間軸上に表したグラフである。
【図16】図12の状態で測定された、各光学距離測定センサの測定データと、図11において仮想線で示す手動ハンドルに設けた光学ジャイロ式回転角度検出センサの測定データを、時間軸上に重ねて表したグラフである。
【図17】本発明の別な実施要領を示す、別な手動式弁駆動装置の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。
図1は、電動式の電動弁駆動装置1の上部におけるステム2上端の駆動部周辺を切欠して示す外観斜視図である。
【0040】
電動弁駆動装置1は、下方に設けた弁装置3における弁体4を、上下に駆動して、弁装置3を開閉制御する。
【0041】
弁体4の上方には、弁体4を上下に駆動するためのステム2が連結され、そのステム2の上端は、弁装置3の弁室5と外部を密に遮断するグランドパッキン部6を通過して、弁装置3の上方に延びている。
【0042】
弁装置3の上方グランドパッキン部6には、グランドパッキン押え7が設けられて、弁室5から延びてきているステム2の周囲に、グランドパッキン(図示略)を圧接している。
【0043】
弁体4の開閉に際して、上下に移動してグランドパッキンと摺接するステム2の部分は、軸径を等径にしてあり、かつ弁体4が下方に下がって弁装置3を閉じた際に、グランドパッキン押え7より若干上位の所から上方のステム2の部分は、ステム2を上下に駆動する雄ねじ8が螺設されている。
【0044】
ステム2が上方に延びる弁装置3の上部には、ステム2を上下に駆動する電動駆動ユニット9が設けられている。
【0045】
弁装置3と電動駆動ユニット9は、連結支持体10を間に挾んで強固に連結されている。
【0046】
電動駆動ユニット9は、ステム2の軸線と直交して、電動モータ11により正逆両方向に駆動される駆動軸12を備えている。
【0047】
駆動軸12とステム2が直交する部分には、駆動軸12にウオーム13を、ステム2の軸線周りに、ウオーム13と歯合するウオームホイール14を設けてある。
【0048】
ウオームホイール14は、ステム2の軸線周りに形成したステム駆動ユニット15におけるドライブスリーブ16に、回転自在に遊嵌するとともに、所用の自由回転角度をもって、正逆両方の回転方向に係合しうるように軸着されている。
【0049】
ステム駆動ユニット15は、ドライブスリーブ16の下端を、下向に加重を受けるように規制されたスラストラジアル軸受17により、またドライブスリーブ16の上端を、上向に加重を受けるように規制されたスラストラジアル軸受18により、それぞれ電動駆動ユニット9のケーシング19に、枢着されている。
【0050】
なお、上方のスラストラジアル軸受18は、ステム駆動ユニット15の各部品を軸装した後、上方からケーシング19の開口20に嵌合されるエンドキャップ21に装着されて、ケーシング19に固定される。
【0051】
ドライブスリーブ16の内腔16aには、その内腔16aの内径より小径のステム2が挿通されており、その内腔16aとステム2の間に、ステムナット22が設けられている。
【0052】
ドライブスリーブ16の内腔16aには、下端から上方へ向けて、全長の略1/3程度の所から、スプライン23を上方に向けて刻設し、また上方の開口端部には、内腔16aを若干拡径して雌ねじ24を螺設してある。
【0053】
ステムナット22における下端外周には、ドライブスリーブ16の内腔16aに設けた雌型のスプライン23に継合する雄型のスプライン25を設けて、ドライブスリーブ16と回転不能に係合されている。
【0054】
ステムナット22の上端は、ドライブスリーブ16の上端より若干短くしてあり、その段差の部分に、ドライブスリーブ16の上端内腔16aに設けた雌ねじ24に螺合するロックナット26を螺合して、ステムナット22の上方への移動を規制し、これにより、ドライブスリーブ16とステムナット22は、強固に一体化して固定されている。
【0055】
ステムナット22の下方半分の内腔には、ステム2の雄ねじ8と螺合する雌ねじ27を刻設してある。
【0056】
ドライブスリーブ16のほぼ中央には、ドライブスリーブ16の外周にウオームホイール14を回転自在に遊嵌し、そのウオームホイール14の上端を、ドライブスリーブ16の外周に突設したハンマーブロウ用係合突起16cに当接して、ウオームホイール14の上方移動を規制すると共に、ウオームホイール14の下面29に合わせて、ドライブスリーブ16の下端外周を縮径して、その縮径段部16dにスリーブ31を嵌合し、そのスリーブ31の下端をスラストラジアル軸受17のインナー30の上端に当接して、ドライブスリーブ16の下方への移動を規制している。
【0057】
ドライブスリーブ16に突設した係合突起16cは、ウオームホイール14の上面に、前記係合突起16cを挟むように1対設けた係合突起14aと、モータ11の正逆転転換時に、間欠的にハンマーブロウ当接して、ウオームホイール14とドライブスリーブ16との回転を伝達する。
【0058】
スリーブ31の上端は、ドライブスリーブ16の縮径段部16dに当接するとともに、ウオームホイール14の下面を支持して、下方への移動を規制している。
【0059】
ドライブスリーブ16の外側上端部は、上方のラジアルスラスト軸受18のインナー32に、下方から拡径段部33を当接して、ドライブスリーブ16の上方への移動を規制している。
【0060】
これにより、ドライブスリーブ16は、上下のラジアル軸受17、18の両インナー30、32の間に挟装されて、上下両方への移動が規制されることになり、このドライブスリーブ16の上下移動を厳密に規制すると、ステム駆動ユニット15の駆動動作に不具合を生じたり、不測の部分が摩耗したり、不整音を発生したりする。
【0061】
よって、ドライブスリーブ16は、上下方向への適度の移動を許容して装着され、この移動量を、通称ガタと称している。
【0062】
このドライブスリーブのガタは、電動駆動ユニット9の新規装着時と長期使用した後とでは、各部品の摩耗などにより大きく異なり、その程度は、電動駆動ユニット9に固有の値をもち、推測や予測の不可能な値となっている。
【0063】
本発明は、このドライブスリーブのガタの値を補正して正確に計測し、ステムナット22における雌ねじ27の眞の摩耗量を計測する方法と装置を提供するものである。
【0064】
本発明を実施するに当り、ドライブスリーブ16の上端16bに、ステムナット22の摩耗量計測用治具34を装着する。
【0065】
摩耗量計測治具34は、図2及び図3に示す如く、上端周方向に傾斜面35を設けた円筒部36と、円筒部36の下端に、上向水平面37を設けたフランジ38と、円筒部36と軸芯を同じくし、フランジ38の下面に設けた円筒部39と、その円筒部39の内腔周辺に突設した位置決め係合突起40と、円筒部39の下面に埋設した治具固定用永久磁石41からなる。
【0066】
摩耗量計測治具34は、下面の位置決め突起40を、電動駆動ユニット9の上端におけるロックナット26の内径に、ガタつかない程度に緩く嵌合する径とし、ロックナット26の内腔に嵌合して、ドライブスリーブ16の上端16aまたはロックナット26の上面に載置され、円筒部39の下面の永久磁石41が、ロックナット26またはドライブスリーブ16の上端に吸着して、当該治具34は、ドライブスリーブ16またはロックナットの上端に止着して使用する。
【0067】
この、設置に際して、ロックナット26の上端には、ロックナット26を回転螺合する為の工具掛け溝が設けられているが、その溝の周辺は、凸凹に歪んでいるため、その歪み部を跨ぐ切欠き42を、治具34の下面に設けてある。
【0068】
図4は、ドライブスリーブ16の上端に治具34を装着して、ステムナット22の摩耗量を計測する状況を示すものである。
治具34における円筒部36の軸線に沿って上を向き、傾斜勾配(螺旋ピッチ)を一定とした傾斜面35の上方に、光学距離測定センサ43を、マグネットスタンド44の支持アーム45に固定して設ける。
【0069】
また、同様に、治具34におけるフランジ38の上向水平面37の垂直線上に、光学距離測定センサ46を、マグネットスタンド47の支持アーム48に固定して設ける。
【0070】
一方、グランドパッキン押え7の上方において、ステム2が露出するところに、ステム2の上下軸線方向の移動を検出するため、ステム2に一端をクランプしたクランパー49の延出ロッド50に、反射体51の反射面52を上向に固定し、この反射面52の上方に、適宜の個処に止着されたマグネットスタンド53の支持アーム54へ、光学距離測定センサ55を固定してある。
【0071】
光学距離測定センサ43、46、55は、測定用光源をレザー光線とし、受光センサをCCD受光素子とした、高精度で高分解能のものが適する。
【0072】
摩耗検出測定は、次の手順で行われる。
ステップ1
ステム駆動ユニット15における駆動軸12を、弁体4を開弁する方向、または閉弁する方向のいずれかに回転して、ステム2を一旦駆動する。
なお、この駆動軸12の駆動は、電動モータ11によって駆動しても、図1に示す手動ハンドル56を手動回転して駆動しても、いずれの手段によって駆動してもよいが、実施例においては、手動ハンドル56による緩やかな駆動速度の方が好ましい。
このステップ1において、ドライブスリーブ16の回転位置を、次の手順でドライブスリーブ16を回転する方向に合わせる。すなわち、傾斜面35の距離を測る光学距離測定センサ43の計測スポットが、傾斜面35の最上端斜面35aまたは最下端斜面35bを通るように合わせ、かつ回転開始位置を、これから開弁操作するのか、もしくは閉弁操作するのかに応じて、最上端35aまたは最下端斜面35bに合致させて、ドライブスリーブ16を停止する。
このような微調整を含む作業には、上述の如く、手動ハンドル56を操作して、ドライブスリーブ16を回転させた方がよい。
ただし、このステップ1の調整作業においては、ドライブスリーブ16の逆転操作を含ませないようにすることが重要である。
【0073】
ステップ2
ステム2を前回とは逆方向に駆動し、ドライブスリーブ16の回転に伴う、傾斜面35と光学距離測定センサ43の距離Aと、水平面37と光学距離測定センサ46の距離Bを計測する。
【0074】
ステップ3
前回のステップ2の継続中に、ステム2の上下移動を検出する反射体51と光学距離測定センサ55の距離を測定する。
【0075】
ステップ4
光学距離測定センサ55に、顕著な変化が現れたら、ステム2の駆動を停止して測定を終了する。
【0076】
図6は、上記ステップ1において一旦開弁操作した後、ステップ2において逆方向の閉弁操作して、ステップ3、4において得られた各光学距離測定センサ43、46、55測定データをグラフにしたものである。
【0077】
図7は、上記ステップ1において一旦閉弁操作した後、ステップ2において逆方向の開弁操作して、ステップ3、4において得られた各光学距離測定センサ43、46、55測定データをグラフにしたものである。
【0078】
ステップ5
上記各ステツプを経て求められた光学距離測定センサ43、46、55測定データから、ステムナット22の摩耗量W(mm)は、以下の式1によって、計算される。
W(mm)={C(A−B)/360(度)}×n×p ……式1
ここで
C(度/mm):螺旋リング(傾斜面35)の傾き
n :ステムネジ条数
P(mm):ステムネジピッチ
A(mm):計測値
B(mm):計測値
ステムナット摩耗率R(%)
R(%)=W÷(P/2)
判定:歯幅の30%以下の摩耗ならば良とする。
:30%を超えたならば交換する。
【0079】
図6、図7において、斜面の35の高さを測る光学距離センサ43の出力は、逆転開始点a1、歯面の切換え点a2、ドライブスリーブ空転終了点a3を通るグラフとなり、フランジ39の高さを測る光学距離センサ46の出力は、逆転開始位置b1,歯面切換え点b2、ドライブスリーブ空転終了点b3を通るグラフとなり、ステム2の動きを検出する光学距離測定センサ55の出力は、ドライブスリーブ16の逆転開始位置(ステップ1において設定した回転開始位置で、初期状態では停止した状態にあり、前記センサ43、46、のa1、b1、に相当し、この両センサ43、46の各出力は、この逆転開始位置において、ゼロ値にプリセットされている。)c1と、ステム2の移動開始位置c3を通るグラフになっている。
【0080】
なお、図6と図7においては、ステム2の駆動方向が逆になるので、ドライブスリーブ16の自重により、歯面の切換えと、ドライブスリーブのガタ吸収区間の出現順序を逆にするが、本発明においては、この変動を無視して測定することができる。そして、この歯面切換え区間とガタ吸収区間が、ステム位置を検出するセンサ55の検出点c1とc3の区間を、ドライブスリーブ空転区間として検出される。
【0081】
本発明においては、ドライブスリーブ16の空転区間c1〜c3を正確に検出することにより、ガタ吸収区間と歯面切換え区間の合計を計測することができ、しかも、その空転区間のドライブスリーブ16のガタの大きさをフランジ38の高さ変動値=Bとして計測し、かつ、ドライブスリーブ16の空転区間の回転量を傾斜面35の変動量=Aとして計測することにより、式1を適用してステムナットの摩耗量を測定することができる。
【0082】
図6,7のグラフは、時間軸上に表されているが、この時間軸は一定の間隔で進むものではなく、ドライブスリーブ16を、手動で回転させると、時間の進みは不均一になる。よってグラフの時間軸は測定した時刻を、各出力データで一致させたグラフであり、そのため、各センサの出力データを、データロガー等で測定して、同時にメモリーに記録しておき、ステップ5において式1を計算するとき、メモリーから読み出してステップ5を行うようにしてもよい。
【0083】
図8は、別な実施要領を示すもので、治具34における軸線に沿って上を向く傾斜面35の上方に、複数の測定ポイントを設定できる光学距離測定センサ57を設けて、に水平面37の距離も同時に計測できるようにしたもので、測定データは、図6,図7と同一になる。
【0084】
図9は、摩耗量計測治具34とは異なる形状を示す摩耗量計測治具58の例を示すものである。
摩耗量計測治具58は、角度当りの径の増加率を一定にした螺旋状の拡径部59を有し、その拡径部59の周面60を、回転角度を測る光学距離測定センサ61に向けて、軸線と直交する横方向の距離を測定するようにして使用する。
【0085】
図10は、本発明に専ら使用される摩耗量計測治具62の別な実施形態を示すものである。
【0086】
図3の治具34に比べて、実際に測定されるドライブスリーブの空転区間が、1/2回転以下であるので、回転角度を測る傾斜面63を、治具35の傾斜面35の半分にして、全体の形状を円筒体を半割状にしたようになっている。
【0087】
上部の傾斜面63を形成する斜面部64は、ドライブスリーブ16との止着部65と分離しうるようになっている。
【0088】
止着部65の上部には、拡径フランジ66が設けられ、その拡径フランジ66の外径と斜面部64の外径を等しくしてあり、フランジ66の上面66aには、縮径した凹み67を、斜面部64の下面には、凹み67と緩く嵌合する縮径突起68が設けられて、傾斜部64と止着部65とは、互いに係脱自在に填め合わさるようになっている。
【0089】
フランジ66の上面66aは、半円筒状の止着部65の軸線と直交する平滑な平面になっており、前記治具34のフランジ38の水平部37と同様の働きをする。
【0090】
分割式の治具62は、合成樹脂の成型物で、フランジ66の凹み67には、傾斜部64の突起68の先端と突き合わされる周辺部に、突起68の先端に埋め込まれた適数の永久磁石69と、互いに対応して吸着する適数の永久磁石70が、埋め込まれている。
【0091】
また、止着部65の下端にも、ロックナット26またはドライブスリーブの上端に吸着する適数の永久磁石71が埋め込まれている。
【0092】
図11は、本発明を適用してステムナットの摩耗量を測定する対象となる手動式の弁駆動装置の一例を示すものである。
なお、弁装置3とステム駆動ユニット15のケーシング19を連結する連結支持体10の部分は、図1、図2と同一なので、同一番号を付して詳細な説明は省略する。
【0093】
また、ステム2の動きを検出する検出センサ55の取付け状態も図5と同一なので詳細な説明は省略する。
【0094】
図11に示す使用状態においては、弁装置2の上部において、グランドパッキン押さえ7から突出するステム2は、連結支持体10に止着された手動式弁駆動装置72の中央を貫通して、上端のステムカバー73まで延びている。
【0095】
図12と図13は、ステムカバー73を取外して、図10の摩耗量計測治具62を装着したステムナットの摩耗量測定状態における動式弁駆動装置72の中央縦断面図を示している。
【0096】
図12は、図10に示す摩耗量計測治具62における、止着部65と斜面部64と合体させて、ドライブスリーブ16の上端に止着している状態である。
【0097】
図13は、止着部65のみをドライブスリーブ16の上端に止着している状態である。
【0098】
動式弁駆動装置72は、対のラジアルスラスト軸受17、18で枢支されたドライブスリーブ16に止着したベベルギアー74と、そのベベルギアー74と軸線を直交して歯合し、手動ハンドル75によって回転駆動される小径のベベルギアー76によって、ステム2を上下方向に駆動するようになっている。
【0099】
ドライブスリーブ16の軸受構造は、前記図2に示す電動式のステム駆動ユニット15とほぼ同様であるので、それの詳細な説明は省略する。
図13は、図12の状態に対して、摩耗量計測治具62における傾斜部64を止着部65から取外して、2度目の計測を行う状態を示している。
【0100】
図14は、図12の状態の各センサ43、55の各測定値を、測定作業の経過時間に沿ってグラフ化したものである。
【0101】
図15は、図13の状態の各センサ43、55の各測定値を、測定作業の経過時間に沿ってグラフ化したものである。
【0102】
図14におけるステップ1の逆転を行わせるために定めた停止点a1、c1、および、図15におけるステップ1の逆転を行わせるために定めた停止点b1、c1においては、センサ43の出力信号は、ゼロ値にプリセットしてある。
【0103】
その後、図14、図15のいずれにおいても、ハンドル75を手動で回転して、ドライブスリーブ16を逆転方向に回転させて、センサ55に特徴的な変化が得られるまで逆転を進め、ステム2の動き出しの確認が得られるような変化が、センサ55に出力されると、回転を停止してもよい。
【0104】
以上の如く、図14に示す傾斜部64を用いた測定作業では、センサ43の出力に、ドライブスリーブの空転区間において、歯面の切換区間とガタ吸収区間にドライブスリーブ16が移動した値=Aを計測することができる。
【0105】
同様に、図15に示す傾斜部64を外した測定作業では、同じセンサ43の出力に、ドライブスリーブの空転区間において、ドライブスリーブ16のガタ成分に相当する値=Bを計測することができる。
【0106】
この測定された値=Aと値Bは、その値のみをステップ5において、式1に当てはめて、ステムナット22の雌ねじの摩耗量を算出したり、使用限界を判定したりする。
【0107】
図16は、図14におけるドライブスリーブ16の空転区間の回転角度を、傾斜部64を用いずに、別な手段で計測するようにした、別な実施要領を示すものである。
【0108】
傾斜部64を用いないため、摩耗量計測治具62の設定は、図12と同じく、傾斜部64を外した状態で設置する。
【0109】
この場合、手動ハンドル75とドライブスリーブ16は、ベベルギア−74、76を介して、直結的に転結され、両ベベルギア−74、76の歯数比を考慮すれば、手動ハンドル75の回転角度を測ることにより、ドライブスリーブの空転区間の回転角度を測ることができる。
【0110】
図11には、手動ハンドル75に、仮想線で示す光学式ジャイロセンサ77を、手動ハンドル75の回転軸線回りの回転角度を計測できるように、ジャイロセンサ77の角度検出方向を合致させて、手動ハンドル75上に固定してある。
【0111】
ジャイロセンサ77は、角度検出用のプローブと、制御ユニット(図示略)からなり、図示のジャイロセンサ77は、角度検出プローブを示している。
【0112】
また、ジャイロセンサ77の制御ユニットにおいては、角度検出開始点をプリセットでき、図16の逆転開始点a1において、ゼロ値にプリセットしている。
【0113】
さらに、両ベベルギア−74、76の歯数比によっては、空転区間内に手動ハンドルが複数回転することもあるが、ジャイロセンサ77は、多回転の計測もできる。
【0114】
図16は、手動ハンドル75にジャイロセンサ77を取り付けるとともに、摩耗量計測治具62の斜面部64を外し、1回の検出作業で、ドライブスリーブ空転区間のドライブスリーブ16の回転角度値=Aと、ドライブスリーブ16のガタ値=Bを、一緒に検出できるグラフを示している。
【0115】
図17は、手動ハンドル78が、ステム2の軸線と同軸に設けられた電動式弁駆動装置79に、本発明を適用する例を示す図である。
【0116】
この手動回転可能な状態で、手動ハンドル78にジャイロセンサ77を取付けて、図16と同様な測定を行う。なお、この際には、ステムケース73を外し、摩耗量計測治具62を、図13と同様に、斜面部64を外して、ドライブスリーブの上端に連結して、光学距離測定センサ43をセットする。
【符号の説明】
【0117】
1 電動弁駆動装置
2 ステム
3 弁装置
4 弁体
5 弁室
6 グランドパッキン部
7 グランドパッキン押え
8 雄ねじ
9 電動駆動ユニット
10 連結支持体
11 電動モータ
12 駆動軸
13 ウオーム
14 ウオームホイール
15 ステム駆動ユニット
16 ドライブスリーブ
16a 内腔
16b 上端
17 スラストラジアル軸受
18 スラストラジアル軸受
19 ケーシング
20 開口
21 エンドキャップ
22 ステムナット
23 スプライン
24 雌ねじ
25 スプライン
26 ロックナット
27 雌ねじ
28 段部
29 下面
30 インナー
31 スリーブ
32 インナー
33 拡径段部
34 摩耗量計測用治具
35 傾斜面
36 円筒部
37 水平面
38 フランジ
39 円筒部
40 係合突起
41 永久磁石
42 切欠き
43 光学距離測定センサ
44 マグネットスタンド
45 支持アーム
46 光学距離測定センサ
47 マグネットスタンド
48 アーム
49 クランパー
50 延出ロッド
51 反射体
52 反射面
53 マグネットスタンド
54 支持アーム
55 光学距離測定センサ
56 手動ハンドル
57 光学距離測定センサ
58 摩耗量計測治具
59 拡径部
60 周面
61 光学距離測定センサ
62 摩耗量計測治具
63 傾斜面
64 斜面部
65 止着部
66 拡径フランジ
67 凹み
68 縮径突起
69 永久磁石
70 永久磁石
71 永久磁石
72 手動式弁駆動装置
73 ステムカバー
74 ベベルギアー
75 手動ハンドル
76 ベベルギアー
77 ジャイロセンサ
78 手動ハンドル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁体を開閉駆動するステムに螺合し、ステムの軸線方向両側でスラストラジアル軸受されて回転するステムナットを備えた電動式又は手動式の弁駆動装置におけるステムナットの摩耗量測定方法であって、
ステムを弁開閉いずれかの方向に一旦駆動するステップと、
前記ステップにおけるステムの移動方向とは逆方向にステムを駆動し、そのステムの逆方向駆動時に、ステムナットと協動するドライブスリーブの逆回り回転角度を検出するステップと、
同じく、ステムの逆方向駆動時に、ステムナットと協動するドライブスリーブの軸線方向のガタ成分を検出するステップと
同じく、ステムの逆方向駆動時に、ステムの動きだしを検出するステップと、
前記回転角度の検出値と、前記ガタ成分の検出値と、前記動きだしの検出値から、ステムナットの摩耗量を検出するステップ
とを備えることを特徴とする弁駆動装置におけるステムナットの摩耗量測定方法。
【請求項2】
ステムを弁開閉いずれかの方向に一旦駆動するステップが、手動ハンドル操作によって、次のステップの開始点を微調整される請求項1記載の弁駆動装置におけるステムナットの摩耗量測定方法。
【請求項3】
ステムの駆動方向とは逆方向に、ステムを駆動するステップが、手動ハンドル操作によって、緩やかな速度で調整される請求項1または2記載の弁駆動装置におけるステムナットの摩耗量測定方法。
【請求項4】
ドライブスリーブの回転角度を検出するステップが、ドライブスリーブの先端に止着された治具の傾斜面と光学距離測定センサの間の距離測定による請求項1〜3いづれかに記載の弁駆動装置におけるステムナットの摩耗量測定方法。
【請求項5】
ドライブスリーブの回転角度を検出するステップが、ドライブスリーブを回転させる手動ハンドルに止着されたジャイロセンサによる回転角度検出である請求項1〜3いずれかに記載の弁駆動装置におけるステムナットの摩耗量測定方法。
【請求項6】
ステムの動きだしを検出するステップが、ステムが露出した部分に止着した反射体と光学距離測定センサの間の距離測定による請求項1〜5いづれかに記載の弁駆動装置におけるステムナットの摩耗量測定方法
【請求項7】
回転角度の検出値と、ガタ成分の検出値と、動きだしの検出値から、ステムナットの摩耗量を検出するステップが、各検出値の値を、それぞれが共通する経過時間軸上にプロットして、何れかの値が特徴的変化を示す部所を基点にして、歯面の切り替わり、ドライブスリーブの軸線方向のガタ吸収、ドライブスリーブの空転区間から、求めるようにしてなる請求項1〜6いづれかに記載の電動弁駆動装置におけるステムナットの摩耗量測定方法
【請求項8】
ドライブスリーブの回転角度に対応したガタ成分を含む値を、共通する経過時間軸に合わせて予め検出し、ガタ成分に回転角度を含まない値と時間軸上で合成して、歯面の切り替わり、ドライブスリーブの軸線方向のガタ吸収、ドライブスリーブの空転区間の各検出値を求めるようにした請求項7記載の弁駆動装置におけるステムナットの摩耗測定装置。
【請求項9】
弁体を開閉駆動するステムに螺合し、ステムの軸線方向両側でスラストラジアル軸受されて回転するステムナットを備えた弁駆動装置において、
ステムを弁開閉いずれかの方向に一旦駆動した後、ステムの駆動方向を逆方向に反転して、ステムを駆動するに際し、ステムナットと協動するドライブスリーブの空転区間を検出するステムの移動検出センサと、
ドライブスリーブの空転区間において、ドライブスリーブの軸線方向の移動量を検出するドライブスリーブ移動量検出手段と、
同じくドライブスリーブの空転区間において、ドライブスリーブの回転方向の回転量を検出するドライブスリーブ回転量検出手段と、
を具備し、ドライブスリーブの空転区間におけるドライブスリーブの軸線方向移動量と回転量からステムナットの摩耗量を検出するようにしたことを特徴とする弁駆動装置におけるステムナットの摩耗量測定装置。
【請求項10】
距離検出センサに対して検出距離を漸次に変化させる部位が、ドライブスリーブの軸線方向に延びる円筒状の上面を斜めに裁断した斜面である請求項9記載の弁駆動装置におけるステムナットの摩耗量測定装置。
【請求項11】
距離検出センサに対して検出距離を漸次に変化させる部位が、ドライブスリーブの軸線方向と直交する径方向に、角度当りの径の増加率を一定にして、周方向の径を螺旋状にした面である請求項10記載の弁駆動装置におけるステムナットの摩耗量測定装置。
【請求項12】
ガタ成分を検出する部位が、ステムナットの軸線と直交する平面をなしている請求項9記載の弁駆動装置におけるステムナットの摩耗量測定装置。
【請求項13】
距離検出センサに対して検出距離を漸次変化させる傾斜面部位と、ガタ成分を検出する平面部位を、ドライブスリーブの上端に着脱自在の摩耗量測定治具とした、請求項11及び12記載の弁駆動装置におけるステムナットの摩耗量測定装置。
【請求項14】
摩耗量測定治具における検出距離を漸次変化させる傾斜面部位と、ガタ成分を検出する平面部位を、互いに係合離脱自在にして、ドライブスリーブの上端に着脱自在の摩耗量測定治具とした、請求項13記載の弁駆動装置におけるステムナットの摩耗量測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2010−261587(P2010−261587A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−89073(P2010−89073)
【出願日】平成22年4月7日(2010.4.7)
【出願人】(000228419)日本ギア工業株式会社 (16)
【Fターム(参考)】