説明

引きダンパー装置

【課題】低コストの引きダンパー装置を得る。
【解決手段】圧縮することで抗力を発生するショックアブソーバ3と、ショックアブソーバ3に沿って配置されこのショックアブソーバ3の一端であるシリンダ9の端面にベース・アダプタ当接端15が突き当るベース・アダプタ5及び同他端であるロッド11先端に可動アダプタ当接端25が突き当る可動アダプタと、ベース・アダプタ5の他側に備えられ可動アダプタ当接端25より突出するベース・アダプタ結合部17と、可動アダプタの他側に備えられベース・アダプタ当接端15より突出する可動アダプタ結合部27とを備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本発明は、自動車のグローブ・ボックス等の動作をダンピングする引きダンパー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、引きダンパー装置としては、特許文献1に記載のものがある。
【0003】
この引きダンパー装置は、ロッドを引っ張る方向で抗力を作用させるものであり、例えば、自動車のグローブ・ボックス等の動作をダンピングすることができる。
【0004】
しかし、ロッドを引っ張るため、各締結部が外れやすく、締結部の強度を高める必要があった。
【0005】
このため、低コストの引きダンパー装置を得ることが困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−250403号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
解決しようとする問題点は、低コストの引きダンパー装置を得ることが困難であった点である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、低コストの引きダンパー装置を得ることを可能とするため、圧縮することで抗力を発生するショックアブソーバと、前記ショックアブソーバに沿って配置されこのショックアブソーバの一端に一側のベース・アダプタ当接端が突き当るベース・アダプタ及び同他端に一側の可動アダプタ当接端が突き当る可動アダプタと、前記ベース・アダプタの他側に備えられ前記可動アダプタ当接端より突出するベース・アダプタ結合部と、前記可動アダプタの他側に備えられ前記ベース・アダプタ当接端より突出する可動アダプタ結合部とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、上記構成であるから、ベース・アダプタ及び可動アダプタにより圧縮で抗力を発生するショックアブソーバを用いて引きダンパー装置を得ることができ、引きダンパー装置を安価に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】引きダンパー装置の側面図である。(実施例1)
【図2】引きダンパー装置の断面図である。(実施例1)
【図3】(A)は、引きダンパー装置の一側端面図、(B)は、引きダンパー装置の他側端面図である。(実施例1)
【図4】ベース・アダプタの斜視図である。(実施例1)
【図5】引き状態を示す引きダンパー装置の側面図である。(実施例1)
【図6】引き状態を示す引きダンパー装置の断面図である。(実施例1)
【図7】引きダンパー装置の断面図である。(実施例2)
【図8】(A)は、引きダンパー装置の一側端面図、(B)は、引きダンパー装置の他側端面図である。(実施例2)
【図9】引き状態を示す引きダンパー装置の断面図である。(実施例2)
【図10】(A)は、引きダンパー装置の一側端面図、(B)は、引きダンパー装置の他側端面図である。(実施例2)
【発明を実施するための形態】
【0011】
低コストの引きダンパー装置を得ることを可能にするという目的を、ベース・アダプタ及び可動アダプタと圧縮で抗力を発生するショックアブソーバとにより実現した。
【実施例1】
【0012】
[引きダンパー装置の全体構成]
図1は、引きダンパー装置の側面図、図2は、引きダンパー装置の断面図、図3(A)は、引きダンパー装置の一側端面図、(B)は、引きダンパー装置の他側端面図、図4は、ベース・アダプタの斜視図である。
【0013】
図1〜図3のように、この引きダンパー装置1は、ショックアブソーバ3とベース・アダプタ5及び可動アダプタ7とを備えている。なお、ベース及び可動の関係は任意であり、適宜変更ができる。
【0014】
ショックアブソーバ3は、シリンダ9内に配置されたピストンにロッド11が結合され、ピストンには、還流路が形成され、このピストンは、還流路を開閉可能な弁を備えている。
【0015】
ショックアブソーバ3の両端が圧縮され、ロッド11がシリンダ9内へ進入してピストンが同方向へ移動するとき、ピストンの還流路がシリンダ9内に収容された作動液体の圧力を受けて弁で閉止され、抗力を発生する。
【0016】
ロッド11がシリンダ9外へ伸びるときは、作動液体が還流路を通り、抗力は働かない。
【0017】
ベース・アダプタ5及び可動アダプタ7は、ショックアブソーバ3に沿って配置されている。
【0018】
ベース・アダプタ5は、図1〜図4のように、本体部13が方形断面筒状に形成され、この本体部13の一側にショックアブソーバ3の一端であるシリンダ9の端部に当たって固定されるベース・アダプタ当接端15を有し、同他側にベース・アダプタ結合部17を有している。ベース・アダプタ5には、ベース・アダプタ当接端15の両側に貫通孔19a、19bが形成されている。ベース・アダプタ結合部17は、一対17a、17bが対向して形成され、結合穴21a、21bが形成されている。
【0019】
可動アダプタ7は、全体として断面略U字状に形成され、ベース・アダプタ5に嵌合配置されている。この可動アダプタ7は、本体部23を備え、この本体部23が、対向する一対の板部23a、23bで構成されている。一対の板部23a、23bの外面相互幅は、ベース・アダプタ5内の幅に対応し、一対の板部23a、23bの対向幅は、シリンダ9の外径に対応している。
【0020】
この本体部23の一側にショックアブソーバ3の他端であるロッド11先端に当って固定される可動アダプタ当接端25を有し、同他側に可動アダプタ結合部27を有している。可動アダプタ結合部27は、一対の板部23a、23bから突出して一対27a、27bが対向して形成され、ベース・アダプタ5の貫通孔19a、19bからベース・アダプタ5外へ臨み、ベース・アダプタ当接端15よりも突出している。可動アダプタ結合部27には、結合穴29a、29bが形成されている。
【0021】
なお、ショックアブソーバ3の両端は、ベース・アダプタ当接端15及び可動アダプタ当接端25に固定されなくてもよい。この場合、ショックアブソーバ3内にピストンのリターンスプリングを配置する。
[ダンピング]
本実施例の引きダンパー装置1は、例えば、ベース・アダプタ5が自動車のグローブ・ボックス本体側に取り付けられ、可動アダプタ7がグローブ・ボックスの蓋体側に取り付けて用いられる。
【0022】
ベース・アダプタ5のベース・アダプタ結合部17は、グローブ・ボックス本体側の結合部に合わせられ、ベース・アダプタ結合部17の結合穴21a、21bとグローブ・ボックス本体側の結合部の結合穴とにピンを差し込んで回転自在な結合が行われる。
【0023】
可動アダプタ7の可動アダプタ結合部27は、グローブ・ボックスの蓋体側の結合部に合わせられ、可動アダプタ結合部27の結合穴29a、29bと蓋体側の結合部側の結合部の結合穴とにピンを差し込んで回転自在な結合が行われる。
【0024】
この引きダンパー装置1は、可動アダプタ7がグローブ・ボックスの蓋体の開動作等で力を受けると、ベース・アダプタ5に対して貫通孔19a、19bから図5、図6のように引き出される。このとき、ロッド11がシリンダ9内へ進入して前記のように、抗力を発生する。
【0025】
したがって、グローブ・ボックスの蓋体を静かに開けることができる。
【0026】
グローブ・ボックスの蓋体を閉めるときは、可動アダプタ7がベース・アダプタ5内に戻り、この戻りに伴ってロッド11がシリンダ9から引き出され、ピストンが抗力を受けることなく同方向へ移動する。
【0027】
したがって、グローブ・ボックスの蓋体を無理なく閉じることができる。
【0028】
[実施例1の効果]
本発明実施例1は、圧縮することで抗力を発生するショックアブソーバ3と、ショックアブソーバ3に沿って配置されこのショックアブソーバ3の一端であるシリンダ9の端面にベース・アダプタ当接端15が突き当るベース・アダプタ5及び同他端であるロッド11先端に可動アダプタ当接端25が突き当る可動アダプタ7と、ベース・アダプタ5の他側に備えられ可動アダプタ当接端25より突出するベース・アダプタ結合部17と、可動アダプタ7の他側に備えられベース・アダプタ当接端15より突出する可動アダプタ結合部27とを備えた。
【0029】
このため、ベース・アダプタ5及び可動アダプタ7により圧縮で抗力を発生するショックアブソーバ3を用いて引きダンパー装置1を得ることができる。
【0030】
ショックアブソーバ3は、押し方向で効力を発生させる汎用のものを採用することができ、市場実績も数多くあるため、高い信頼性を維持させることができる。
【0031】
押し方向で効力を発生させるショックアブソーバ3を用いるため、ショックアブソーバ3の締結部の強度を従来の引きダンパ程に高める必要がなく、小型で高抗力のダンパを得ることができる。
【0032】
押し方向のダンパであるショックアブソーバ3は、大量に生産されているから価格が安価であり、ローコスト化が可能である。
【0033】
ベース・アダプタ当接端15を図2の位置16に形成してストッパとすることもできる。この場合、アダプタ側でストッパ機能を設けることができるため、ダンパ単体でストッパを設けるよりも強度的に有利となる。
【実施例2】
【0034】
図7、図8は、実施例2に係り、図7は、引きダンパー装置の断面図、図8(A)は、引きダンパー装置の一側端面図、(B)は、引きダンパー装置の他側端面図、図9は、引き状態を示す引きダンパー装置の断面図である。なお、基本的な構成は、実施例1と同様であり、対応する構成部分には同符号を付し、重複した説明は省略する。
【0035】
本実施例2の引きダンパー装置1Aは、ベース・アダプタ5A及び可動アダプタ7Aの方形の断面積を拡大し、四本のショックアブソーバ3を配列した。
【0036】
可動アダプタ7Aがグローブ・ボックスの蓋体の開動作等で力を受けると、ベース・アダプタ5Aに対して貫通孔19a、19bから図9のように引き出される。このとき、四本のロッド11が四本の各シリンダ9内へそれぞれ進入して、抗力を発生する。
【0037】
したがって、本実施例2では、より大きな効力を得ることができる。
【0038】
しかも、四本のショックアブソーバ3を立体的に重ねてコンパクトに収納し、大型化の抑制もできる。
【0039】
図10(A)は、引きダンパー装置の一側端面図、(B)は、引きダンパー装置の他側端面図である。
【0040】
この例では、ベース・アダプタ5B及び可動アダプタ7Bを矩形の断面とし、二本のショックアブソーバ3を配列した。
【0041】
この引きダンパー装置1Bでも、二本のショックアブソーバ3により実施例1よりも大きな効力を得ることができる。
[その他]
ベース・アダプタ5、5A、5B及び可動アダプタ7、7A、7Bの形態は限定されず、ベース・アダプタ当接端、可動アダプタ当接端を備えたものであれば、閉断面形状に限らず、開放形状に形成することもできる。
【0042】
ベース・アダプタ5、5A、5B及び可動アダプタ7、7A、7Bの断面形状は、正方形断面、矩形断面に限らず、円形断面、楕円形断面、その他各種断面形状に形成することができる。
【符号の説明】
【0043】
1、1A、1B 引きダンパー装置
3 ショックアブソーバ
5、5A、5B ベース・アダプタ
7、7A、7B 可動アダプタ
15 ベース・アダプタ当接端
17 ベース・アダプタ結合部
25 可動アダプタ当接端
27 可動アダプタ結合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮することで抗力を発生するショックアブソーバと、
前記ショックアブソーバに沿って配置されこのショックアブソーバの一端にベース・アダプタ当接端が突き当るベース・アダプタ及び同他端に可動アダプタ当接端が突き当る可動アダプタと、
前記ベース・アダプタの他側に備えられ前記可動アダプタ当接端より突出するベース・アダプタ結合部と、
前記可動アダプタの他側に備えられ前記ベース・アダプタ当接端より突出する可動アダプタ結合部と、
を備えたことを特徴とする引きダンパー装置。
【請求項2】
請求項1記載の引きダンパー装置であって、
前記ベース・アダプタ内に前記可動アダプタが嵌合配置され、
前記可動アダプタ結合部は、前記ベース・アダプタの一端に形成された貫通孔からベース・アダプタ外へ臨んでいる、
ことを特徴とする引きダンパー装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の引きダンパー装置であって、
前記ショックアブソーバは、複数本併設された、
ことを特徴とする引きダンパー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−53694(P2013−53694A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−192863(P2011−192863)
【出願日】平成23年9月5日(2011.9.5)
【出願人】(000236665)不二ラテックス株式会社 (82)
【Fターム(参考)】