説明

引き上げ式カーテン用の整形アシストテープ及びそれを用いた引き上げ式カーテン並びに引き上げ式カーテン用の整形アシストテープの製造方法

【課題】ひだ状折り返し部の形態を整えることができてカーテンの引き上げ状態の見栄えを向上させ得る引き上げ式カーテン用の整形アシストテープを提供する。
【解決手段】ひだ状折り返し部2が積み重なる状態で引き上げられる引き上げ式カーテン5を構成するに際して、カーテン基布6の裏側面7に上下方向に延長する如く止着されて、ひだ状折り返し部2の折り返しの形態を整える整形アシストテープである。熱可塑性樹脂製の糸を用いて形成された織物製のテープであり、ひだ状折り返し部2の折り返しに沿って屈曲されるバネ性屈曲テープ部30が設けられている。バネ性屈曲テープ部30は、ひだ状折り返し部2に、その表側31に向けて弾性反発力を付与できるように、熱セットで屈曲形態が保持されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、引き上げ式カーテン用の整形アシストテープ及びそれを用いた引き上げ式カーテン並びに引き上げ式カーテン用の整形アシストテープの製造方法に関するものである。より詳しくは、折り返し部が積み重なる状態で引き上げられる引き上げ式カーテンを構成するに際して、カーテン基布の裏側面に上下方向に延長する如く止着されて該折り返し部の形態を整えることのできる引き上げ式カーテン用の整形アシストテープに関するものであり、又、該折り返し部の形態が整えられて見栄えよく引き上げられる引き上げ式カーテンに関するものである。更に、引き上げ式カーテン用の整形アシストテープを精度良く能率的に製造可能とする引き上げ式カーテン用の整形アシストテープの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ひだ状折り返し部が積み重なる状態で引き上げ可能となされた引き上げ式カーテン装置が好評を博している。本発明者も、この種の引き上げ式カーテン装置を特開2003−259962号公報や特開2002−153376号公報で開示している。この種の引き上げ式カーテン装置の一般的なものとしては、例えば図20〜21に示すように、窓開口部の上縁に沿って付設された支持バーaの室内側の面部に、カーテンbの上縁部分cを面状ファスナーを介して固定し、該カーテンbを吊下状態にすると共に、該支持バーaの一端にロック具dを固定してなるものであった。そして、該カーテンの下部eにウエイトをもたせるために、該下部eに設けた収容部fにその略全幅に亘ってウエイトバーgが納められ、該ウエイトバーgが該下部eのウエイトとされていた。又図20に示すように、該ロック具dの固定側から支持バーaの反対側に向けて所要間隔でコード案内部hを設けると共に、該コード案内部hの数に相当する本数の昇降コードjの束kを前記ロック具dに通し、その束kを構成する昇降コードjを、前記コード案内部h毎に垂らし、該垂らした昇降コードjを、カーテンbの裏側面において上下方向に所要間隔で設けられたコード挿通部mに順次挿通せしめ、該昇降コードjの下端部nをカーテンの下端側pに固定状態としてなるものであった。
【0003】
そして、前記ロック具dを挿通した昇降コードjの束kを下方に引くことにより、前記カーテンbを、図22に示すように、ひだ状折り返し部qが積み重なる状態で引き上げ可能となされており、所要の引き上げ状態で、昇降コードjが前記ロック具dの係止作用によってロックされ、カーテンbがその引き上げ状態で保持されるように構成されていた。
【0004】
かかる構成を有する引き上げ式カーテン装置は、前記のように、前記昇降コードjの束kを下方に引くことによって、ひだ状折り返し部qが積み重なる状態でカーテンbを引き上げ可能となされてはいたが、実際には、該昇降コードjを引き上げる際の勢いで、例えば図22に示すように、該ひだ状折り返し部qの形態が、その両側部分やその中間部分で崩れ易かった。ひだ状折り返し部qの一部で、例えば図22、図23(A)に示すように形態の崩れsが生ずると、図23(B)に示すように、その上に積み重なるひだ状折り返し部の形態も崩れ易く、かかることからカーテンの引き上げ状態の見栄えが悪くなる問題があったのである。
【0005】
ひだ状折り返し部qのかかる形態の崩れを防止せんとして、例えば図24(A)に示すように、カーテンbに、前記昇降コードjの上げ下げ操作によってひだ状折り返し部qが形成される部分に、該ひだ状折り返し部qの形態に合わせて、熱セットで屈曲形態tを付与することが行われていた。この熱セットに先立ち、例えば図24(B)に示す屈曲装置uを用いてカーテン基布vをジグザグ状に屈曲させていた。該屈曲装置uは、図24(B)に示すように、上下のガイド筒w,yを用いてカーテン基布vをジグザグ状に屈曲させることとしていた。上のガイド筒wは固定状態とされると共に、下のガイド筒yはフリーとされ、該上下のガイド筒w,yにカーテン基布vをジグザグ状に案内し、隣り合う上のガイド筒w,wに支持されてU字状に垂れた屈曲部分zで前記下のガイド筒yを下方から支持させ、該下のガイド筒yの自重によって、カーテン基布vをジグザグ状に屈曲させて保持する構成であった。
【0006】
熱セットで屈曲形態が付与された前記カーテンによるときは、カーテン引き上げによって形成されたひだ状折り返し部の形態の崩れを防止できる利点があった。しかしながら、カーテン幅やカーテン丈が異なり、又、素材や厚さの異なる個々のカーテンに、個別的に所要の屈曲形態を熱セットで付与することは、多大の手間を要して製造能率が悪く、カーテンの製造コストを大幅に上昇させる問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−259962号公報
【特許文献2】特開2002−153376号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、前記従来の問題点に鑑みて開発されたものであり、ひだ状折り返し部の形態を整えることができてカーテン引き上げ状態の見栄えを向上させることができると共に、引き上げ式カーテンの製造能率の向上と製造コストの低減を期し得る引き上げ式カーテン用の整形アシストテープの提供を課題とするものである。又本発明は、見栄えよく引き上げられる引き上げ式カーテンの提供を課題とするものである。更に本発明は、引き上げ式カーテン用の整形アシストテープを精度良く能率的に製造可能とする引き上げ式カーテン用の整形アシストテープの製造方法の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため本発明は以下の手段を採用する。
即ち、本発明に係る引き上げ式カーテン用の整形アシストテープ(以下整形アシストテープという)は、ひだ状折り返し部が積み重なる状態で引き上げられる引き上げ式カーテンを構成するに際してカーテン基布の裏側面に上下方向に延長する如く止着されて該ひだ状折り返し部の折り返しの形態を整える引き上げ式カーテン用の整形アシストテープであって、熱可塑性樹脂製の素材を用いて形成されたテープ状物からなり、前記ひだ状折り返し部の折り返しに沿って屈曲されるバネ性屈曲テープ部が設けられており、該バネ性屈曲テープ部は、前記ひだ状折り返し部に、その表側に向けて弾性反発力を付与できるように、前記熱可塑性樹脂の融点以下の温度の熱セットで屈曲形態が保持されていることを特徴とするものである。
【0010】
本発明に係る整形アシストテープの他の態様は、ひだ状折り返し部が積み重なる状態で引き上げられる引き上げ式カーテンを構成するに際してカーテン基布の裏側面に上下方向に延長する如く止着されて該ひだ状折り返し部の折り返しの形態を整える引き上げ式カーテン用の整形アシストテープであって、熱可塑性樹脂製の糸を用いて形成された織物又は編物としてのテープ基材の一面部に、長さ方向に所要間隔で、コード挿通部が設けられており、乃至、コード挿通部を付設可能となされており、該コード挿通部は、前記引き上げ式カーテンの上げ下げを操作する昇降コードを挿通させるために利用されるものである。そして、隣り合う前記コード挿通部間に、前記ひだ状折り返し部の折り返しに沿って屈曲されるバネ性屈曲テープ部が設けられており、該バネ性屈曲テープ部は、前記ひだ状折り返し部に、その表側に向けて弾性反発力を付与できるように、前記熱可塑性樹脂の融点以下の温度の熱セットで屈曲形態が保持されていることを特徴とするものである。
【0011】
本発明に係る整形アシストテープのその他の態様は、ひだ状折り返し部が積み重なる状態で引き上げられる引き上げ式カーテンを構成するに際してカーテン基布の裏側面に上下方向に延長する如く止着されて該ひだ状折り返し部の折り返しの形態を整える引き上げ式カーテン用の整形アシストテープであって、熱可塑性樹脂製の糸を用いて形成された織物としてのテープ基材の一面部に、長さ方向に所要間隔でループ部を形成するに際し、経糸として、ループ部形成に関与する第1の経糸とループ部形成に関与しない第2の経糸の2種類を用い、ループ部形成部分以外の部分においては該2種類の経糸と緯糸とを交錯させるものとし、ループ部形成部分においては、第2の経糸の進行を停止させて第1の経糸のみを進行させ、緯糸と該第1の経糸のみを交錯させることによって織物組織としてのループ部が設けられており、該ループ部は、前記引き上げ式カーテンの上げ下げを操作する昇降コードを挿通させるために、或いは該昇降コードを挿通させ得るコード挿通部材を取り付けるために利用されるものである。そして、隣り合う前記ループ部間に、前記ひだ状折り返し部の折り返しに沿って屈曲されるバネ性屈曲テープ部が設けられており、該バネ性屈曲テープ部は、前記ひだ状折り返し部に、その表側に向けて弾性反発力を付与できるように、前記熱可塑性樹脂の融点以下の温度の熱セットで屈曲形態が保持されていることを特徴とするものである。
【0012】
前記の各整形アシストテープは、前記バネ性屈曲テープ部の先端部分を円弧状に形成するのがよい。
【0013】
本発明に係る引き上げ式カーテンは、ひだ状折り返し部が積み重なる状態で引き上げられる引き上げ式カーテンであって、カーテン基布の裏側面に、請求項1〜4の何れかに記載の整形アシストテープが上下方向に延長する如く止着されてなり、該整形アシストテープの前記バネ性屈曲テープ部が、その突の屈曲の向きを前記ひだ状折り返し部の突の折り返しの向きに合わせて止着されていることを特徴とするものである。
【0014】
本発明に係る引き上げ式カーテン用の整形アシストテープの製造方法は、織物としてのテープ基材の一面部に長さ方向に所要間隔でループ部が形成されてなる前記引き上げ式カーテン用の整形アシストテープを製造する製造方法であって、該テープ基材の一面部に、長さ方向に所要間隔でループ部が設けられてなる原テープを、上下に平行して配設された上の圧接部材と下の圧接部材とに蛇行状態で架け渡した状態とするに際し、前記ループ部を蛇行部の上端に位置させた状態で前記原テープを前記上の圧接部材で下方から支持させると共に、各ループ部に、水平な位置規制杆を挿通させて前記原テープを固定状態とし、隣り合うループ部間をなす屈曲テープ部分によって、前記下の圧接部材を宙ぶらりん状態で下方から支持し、この状態で、該原テープに、前記熱可塑性樹脂の融点以下の温度で熱セットを施して、隣り合う前記ループ部間に前記バネ性屈曲テープ部を形成することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明は以下の如き優れた効果を奏する。
(1) 本発明に係る整形アシストテープは、熱セットで屈曲形態が保持されてなるバネ性屈曲テープ部を具えるため、該整形アシストテープを、カーテン基布の裏側面に上下方向に延長する如く止着するに際し、該バネ性屈曲テープ部が、その突の屈曲の向きを該ひだ状折り返し部の突の折り返しの向きに合わせて止着すれば、該バネ性屈曲テープ部が、該ひだ状折り返し部の表側に向けて弾性反発力を付与できる。かかることから、引き上げ式カーテンの引き上げによって形成される各ひだ状折り返し部の折り返し形態を所要に整えることができる。これによって、引き上げ式カーテンの引き上げ状態の見栄えを向上させることができる。
【0016】
前記したように、カーテン基布のひだ状折り返し部が形成される部分に、該カーテン基布そのものに、その折り返しの形態に合わせた熱セットを施す場合は、多くの手間を要すると共に熱セットのための装置も大掛りとなる等によって製造コストの上昇を招き、又、製造能率が悪い問題点があったのであるが、本発明に係る整形アシストテープを用いる場合は、かかる問題点を解決できることになる。
【0017】
又、熱セットによってひだ状折り返し部の折り返し形態を整える従来手段は、カーテン基布の素材が、熱セットに適したものでなければならず、天然繊維製のカーテン基布に対しては、かかる熱セットを施すことができなかった。本発明に係る整形アシストテープは、所要に屈曲されたバネ性屈曲テープ部が設けられていることから、カーテン基布の素材を問わずに応用でき、そのひだ状折り返し部の折り返し形態を所要に整えることができる利点がある。
【0018】
更に、整形アシストテープを作り置きできるため、カーテン基布に熱セットを施す場合に比し、引き上げ式カーテンを短納期でしかも製造コストの低減を図って提供できる利点もある。
【0019】
(2) 特に整形アシストテープとして、引き上げ式カーテンの引き上げ操作をする昇降コードを挿通させるための、或いは該昇降コードを挿通させ得るコード挿通部材を取り付けるためのループ部を具えるものとして構成する場合は、該整形アシストテープは、引き上げ式カーテンを引き上げ操作するための昇降コードを取り付けるという従来と同様の目的で使用できるだけでなく、ひだ状折り返し部の折り返しの形態を整えるためにも活用できることとなる。更には、該整形アシストテープの製造工程で原テープにバネ性屈曲テープ部を形成する際に、該ループ部を前記位置規制杆を取り付けるためにも利用でき、該ループ部の利用によってバネ性屈曲テープ部の屈曲形態を確実に設定できることになる。このように、1本の整形アシストテープを多様に活用できる利点が大きい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る整形アシストテープを用いて構成された引き上げ式カーテン装置を示す斜視図である。
【図2】カーテンの引き上げ状態を示す斜視図である。
【図3】カーテンの引き上げ状態を示す断面図である。
【図4】引き上げ式カーテン装置の上側部分の構成を示す斜視図である。
【図5】その部分拡大図である。
【図6】引き上げ式カーテン装置の下側部分の構成を示す斜視図である。
【図7】その部分拡大図と、コード挿通部に昇降コードが挿通された状態の拡大図と、引き上げ式カーテンにおける最下端のループ部を示す斜視図である。
【図8】本発明に係る整形アシストテープを示す正面図と斜視図である。
【図9】整形アシストテープを示す斜視図とその部分拡大図である。
【図10】テープ屈曲支持台に原テープを蛇行状態に架け渡した状態を示す斜視図である。
【図11】原テープの架け渡し状態を示す正面図である。
【図12】所要長さに切断された整形アシストテープをカーテン基布の裏側面に止着した状態を示す斜視図である。
【図13】カーテン基布に対する整形アシストテープの縫製による止着状態を示す斜視図と、カーテン基布の両側に形成された収容袋部に整形アシストテープが収容された状態を示す斜視図である。
【図14】引き上げ式カーテンを示す部分斜視図と、収容袋部における整形アシストテープの収容状態を示す断面図である。
【図15】コード挿通部の他の態様を示す斜視図である。
【図16】整形アシストテープのその他の実施例を、コード挿通部に昇降コードが挿通された状態で示す部分斜視図である。
【図17】整形アシストテープを一列の縫製でカーテン基布に止着した状態を示す部分斜視図である。
【図18】ループ部に位置規制杆を挿通させる他の態様を示す斜視図である。
【図19】整形アシストテープを製造する他の製造方法を説明する断面図である。
【図20】従来の引き上げ式カーテン装置を示す斜視図である。
【図21】その上側部分を示す正面図である。
【図22】従来の引き上げ式カーテン装置におけるカーテンの引き上げ状態を示す斜視図である。
【図23】その引き上げ時の問題点を説明する斜視図である。
【図24】従来の引き上げ式カーテン装置に用いる屈曲形態のカーテンを示す正面図と、その製造工程を説明する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0021】
図1〜3において本発明に係る整形アシストテープ1は、ひだ状折り返し部2が積み重なる状態で引き上げ可能となされた引き上げ式カーテン装置3用の引き上げ式カーテン(以下カーテンともいう)5を構成するに際して、カーテン基布6の裏側面7に上下方向に延長する如く止着されて該ひだ状折り返し部2の形態を正しく整えることができるものである。該整形アシストテープ1は本実施例においては長尺に形成されており、カーテン基布6の上下長さに合わせて所要長さに切断されることにより、設定寸法の整形アシストテープ1aとして使用される。なお図3においては、説明の便宜上、カーテン基布6の断面のハッチングを省略している。
【0022】
ここで該引き上げ式カーテン装置3の全体構成を説明すれば、図1〜2に示すように、窓開口部の上縁に沿って付設された支持バー10の室内側の面部11に、面状ファスナ12を介して引き上げ式カーテン5の上縁部分15が固定され、該引き上げ式カーテン5が吊下状態とされている。そして該引き上げ式カーテン5の下部には、図1、図3、図6〜7に示すように、カーテンの下部16にウエイトをもたせるためにウエイトバー収容筒部17が形成され、その内部にウエイトバー19が収容されている。又、図4〜5に示すように、前記支持バー10の一端側にロック具20が固定されると共に、該支持バー10の、該ロック具20の固定側10aからその反対側10bに向けて所要間隔で(本実施例においては、該支持バー10の両側部位21,21と中央部位22において)コード案内部23,23,23が設けられている。そして、該コード案内部23の数に相当する本数の昇降コード25の束26が該ロック具20に通され、その束26を構成する各昇降コード25は、前記コード案内部23毎に垂らされる。このように垂らされた昇降コード25は、図1、図4〜5、図6〜7に示すように、前記整形アシストテープ1aの止着によって上下方向に所要間隔で設けられたコード挿通部27に順次挿通せしめられ、図6〜7に示すように、該昇降コード25の下端28が、例えば、止着部材29を介して、引き上げ式カーテン5の下端側44に固定状態とされる。そして、前記ロック具20に挿通した昇降コード25の束26を下方に引くことにより、前記引き上げ式カーテン5を、図2〜3に示すように、ひだ状折り返し部2が積み重なる状態で引き上げ可能となされており、所要の引き上げ状態で、昇降コード25が前記ロック具20の係止作用によってロックされ、これによって、カーテン5がその引き上げ状態で保持されるようになされている。
【0023】
前記整形アシストテープ1は、図1、図5、図7に示すように、熱可塑性樹脂製の糸を用いて形成された織物としてのテープ基材(テープ幅は例えば18mm)33の一面部33aに、長さ方向に所要間隔でコード挿通部27が設けられており、乃至、コード挿通部27を付設可能となされており、該コード挿通部27は、前記引き上げ式カーテン5の上げ下げを操作する昇降コード25を挿通させるために利用されるものである。そして図3に示すように、隣り合う前記コード挿通部27,27間に、前記ひだ状折り返し部2の折り返しに沿って屈曲される、先端部分が円弧状に形成されたバネ性屈曲テープ部30が設けられており、該バネ性屈曲テープ部30は、前記ひだ状折り返し部2に、その表側31に向けて弾性反発力を付与できるように熱セットで屈曲形態が保持されている。
【0024】
該整形アシストテープ1をより具体的に説明すれば、例えば図8に示すように、熱可塑性樹脂製の糸を用いた織物製の透明な長尺テープとして形成されており、隣り合うループ部32,32間に、前記バネ性屈曲テープ部30が形成されている。
【0025】
より具体的には図9に示すように、例えばポリエステル製のモノフィラメント糸を用いて形成された織物製のテープ基材(テープ幅は例えば18mm)33の一面部33aの、例えば長手中央線に沿って、長さ方向に所要間隔で(例えば15cmや20cmの間隔で、本実施例においては20cmの間隔で)、該テープ基材33を形成する経糸34を用い、織物組織を有するループ部32が設けられている。
【0026】
本実施例においては、図9(B)に示すように、経糸34として、ループ部形成に関与する第1の経糸34aとループ部形成に関与しない第2の経糸34bの2種類を用い、ループ部形成部分35以外の部分36においては該2種類の経糸34a,34bと緯糸37を交錯させるものとし、ループ部形成部分35においては、第2の経糸34bの進行を停止させて第1の経糸34aのみを進行させ、緯糸37と該第1の経糸34aのみを交錯させることによって、例えば袋組織を有する丸紐状のループ部32を形成する如くなされている。このようにしてループ部32を形成する場合は、整形アシストテープ1の長手中央線に沿う部分38の経糸密度が増大することになり、該整形アシストテープ1の長手中央線に沿う部分での弾性反発力を増大させ得ることとなる。本実施例においては該ループ部32に、図7(B)に示す如く、前記コード挿通部27と取付け孔39を有するリング状のコード挿通部材40が取り付けられる。
【0027】
該バネ性屈曲テープ部30は、前記ひだ状折り返し部2の表側31(図3)に向けて弾性反発力を付与できるように熱セットで屈曲形態が保持されている。該バネ性屈曲テープ部30が前記ひだ状折り返し部2に対して所要の弾性反発力を付与できるように、前記経糸34を構成するモノフィラメント糸の太さや該経糸34の密度が所要に設定されている。
【0028】
図10は、前記整形アシストテープ1に前記バネ性屈曲テープ部30を形成するためのテープ屈曲支持台42を例示するものである。該テープ屈曲支持台42は、平面視で正方形の四隅位置で立設された円柱状の支柱43,43,43,43の同高さ位置に、該支柱43の上端側部分を挿通状態として円筒状のコーナ筒体46,46,46,46が固定されている。そして、隣り合うコーナ筒体46,46相互は、同一高さ位置において、連結杆47で連結されている。又、対向する連結杆47,47、47,47の内の一方47a,47aの下面部51,51相互は、その両側部位と中央部位において、中間連結杆52,52,52で連結されている。又、該中間連結杆52,52,52で下方から支持された状態で、該中間連結杆52の長さ方向に小間隔を置いて上の圧接部材54が平行状態で配設され、該上の圧接部材54の夫々は、対向する連結杆47,47,47,47の内の他方47b,47bの内面部53,53と前記中間連結杆52,52,52の上面部56に、スポット溶接されている。本実施例において該上の圧接部材54は、円形パイプからなる細径の案内杆54aとして構成されている。
【0029】
これにより、4本の支柱43,43,43,43の上端側に、平面視で正方形状を呈する格子状ネット板57が取り付けられた状態とされている。そして図10〜11に示すように、該格子状ネット板57の隣り合う細径の案内杆54a,54a間55の下方位置に、下の圧接部材59(本実施例においては、例えば円形パイプからなる太径の案内杆59a)が配置されるように構成されている。
【0030】
該上の圧接部材54と下の圧接部材59は同径でもよいが、前記ひだ状折り返し部2の基端側部分2a(図3(A))の弾性反発力を小さくして該基端側部分2aの見栄えを向上させる上からは、前記のように、下の圧接部材59は、前記バネ性屈曲テープ部30の弾性反発力を増大させるために太径とするが、上の圧接部材54は細径とするのがよい。
【0031】
図10〜11は、製織により形成された、ループ部32が設けられた原テープ60に、前記バネ性屈曲テープ部30を熱セットにより形成する前工程を示すものである。この工程では該原テープ60を、前記ループ部32を蛇行部58の上端に位置させた状態で前記上の圧接部材54と前記下の圧接部材59に蛇行状態に順次架け渡すと共に、上端に位置する各ループ部32,32,32・・・に、例えば円形パイプ状の位置規制杆61を、前記細径の案内杆54aと直交する方向で挿通せしめ、該位置規制杆61を、並設状態の細径案内杆54上に載せる。これにより該原テープ60は、図11に示すように、隣り合うループ部32,32間に存する屈曲テープ部分48が、前記下の圧接部材59の自重によって、U字状に屈曲して前記下の圧接部材59を宙ぶらりん状態で下方から支持した状態となる。
【0032】
該下の圧接部材59の太さ及び、隣り合う上の圧接部材54,54間55の幅は、図8に示すように形成されたバネ性屈曲テープ部30(図8)が、前記ひだ状折り返し部2の裏面24にその折り返しに沿って屈曲されて該ひだ状折り返し部2の表側31に向けて弾性反発力を付与できるように設定される。
【0033】
このようにして複数本の原テープ60を蛇行状態に取り付けて後、前記テープ屈曲支持台42を、図示しない加熱室に収容し、前記熱可塑性樹脂の融点以下の温度で熱セットを施す。本実施例においては、ポリエステル糸を用いて原テープ60を構成しているため、例えば120℃〜130℃程度の高温で、所要時間の熱セットを施す。熱セットが完了した後、前記位置規制杆61を取り外すと共に前記太径案内杆59を除去することにより、図8に示すような、隣り合うループ部32,32間に前記バネ性屈曲テープ部30が形成されてなる整形アシストテープ1を製造できることになる。
【0034】
図12は、このようにして得られた長尺の整形アシストテープ1を所要長さに切断してなる設定寸法の整形アシストテープ1aをカーテン基布6の裏側面7に、上下方向に延長する如く例えば縫製によって止着した状態を示している。この止着状態をより具体的に説明する。該整形アシストテープ1は、前記コード案内部23に案内されて下方に垂れた状態となされる3本の昇降コード25,25,25の配置に合わせて位置決めされた、カーテン基布6の両側寄り部位63,63と中央部位65において、本実施例においては更に両側部分(カーテン基布6の側縁66,66の稍内方に控えた部分)67,67においても、前記整形アシストテープ1aを直線状に伸ばした状態で、例えば図13(A)に拡大して示すように、該整形アシストテープ1の両側部位68,68が、縫製69によって止着されている。
【0035】
カーテン基布6の裏側面7に止着される該5本の整形アシストテープ1a,1a,1a,1a,1aは同様の構成を有しており、図12に示すように、最下段のループ部32aの下方に所要長さのテープ基材延長部分70が延長形成されるように該整形アシストテープ1aの下端71の位置が設定されている。該テープ基材延長部分70の長さをどの程度に設定するかは、前記引き上げ式カーテン5の前記ウエイトバー収容筒部17(図7(A))の上下幅を考慮して設定されるものである。即ち該ウエイトバー収容筒部17は、本実施例においては図14(A)に示すように、カーテン基布6の下側部分72(図12)をその後側で上方向に折り曲げると共にその上端側部分で下側に折り曲げ、該折り曲げ部73の上縁部75をカーテン基布6の表側部分76に、幅方向に縫製69することによって形成されることから、前記テープ基材延長部分70の長さは、該ウエイトバー収容筒部17の形成に必要な折り曲げ幅に等しく設定されるものである。
【0036】
かかる5本の整形アシストテープ1a,1a,1a,1a,1aを前記カーテン基布6に縫着するに際しては、図3に示すように、前記バネ性屈曲テープ部30がカーテン基布6の表側に向けて突の屈曲形態を呈し得るように、該整形アシストテープ1aの他面部33b(ループ部32が設けられていない側の面部)を該カーテン基布6の前記裏側面7に当接させる。そして図12、図13(A)に示すように、該整形アシストテープ1aの下端71を前記カーテン基布6の下端77に位置合わせして該整形アシストテープ1aをその下から上に向けて縫製69(図13(A))する。これにより、図12に示すように、該5本の整形アシストテープ1a,1a,1a,1a,1aに関して、最下段のループ部32aが該下端77の稍上側に位置し、各段のループ部32の高さは同一となる。その結果、各段のバネ性屈曲テープ部30の高さは同一となる。そして、この状態で、該バネ性屈曲テープ部30の突の屈曲の向きが、前記ひだ状折り返し部2の突の折り返しの向きに合致することになる。なお、前記両側部分67,67に配置される前記整形アシストテープ1a,1aは、図14に示すように、カーテン基布6の両側で形成された収容袋部80,80に収容されるため、図13(B)に示すように、前記下端部分78のみを前記カーテン基布6に縫製69することとしてもよい。
【0037】
該収容袋部80を形成するに際しては、例えば図12、図13(B)に示すように、前記カーテン基布6の側縁66,66から稍内方に位置する前記両側部分67,67に整形アシストテープ1a,1aを上下方向に延長状態で配設する。その後、例えば図14(B)に示すように、該両側部分67,67の夫々を、該整形アシストテープ1aを包むように1回折り返し、更にもう1回折り返し、その後、図13(C)に示すように、このように折り返した部分83の内縁部分85をカーテン基布6の表側部分76に縫製69する。これによって、図13(C)に示すように、該整形アシストテープ1aが該収容袋部80内に上下方向に延長して収容されることとなる。
【0038】
その後、図14(A)に示すように、カーテン基布6の前記下側部分72(図12、図13(C))をその後側で上方向に折り曲げると共にその上端側部分で下側に折り曲げ、該折り曲げ部73の上縁部75をカーテン基布6の表側部分76にその幅方向に縫製69することによって前記ウエイトバー収容筒部17を形成でき、該ウエイトバー収容筒部17に前記ウエイトバー19が収容され、カーテンの下部16にウエイトが掛かるようになされている。又、図14(A)に示すように、カーテン基布6の上側部分74(図12、図13(C))をその後側で下方向に折り曲げると共に該折り曲げ部84の下縁部88をカーテン基布6の表側部分76にその幅方向に縫製69し、且つ、該折り曲げ部84の後面に面状ファスナ12が縫着されている。
【0039】
このようにして構成された引き上げ式カーテン5には、図1に示すように、前記両側寄り部位63,63と中央部位65に配設された3本の整形アシストテープ1a,1a,1aの、上下方向に並設された(本実施例においては20cm間隔で並設された)各ループ部32に、その最下段のもの32a(図7(C))を除いて、図7(B)に拡大して示すように、コード挿通部材40が前記ループ部32に取り付けられている。そして前記コード案内部23(図4、図5)に案内させて垂らした前記昇降コード25が該コード挿通部材40の前記コード挿通部27(図7(B))に順次挿通せしめられ、該昇降コード25の下端28が、図3(A)、図7(A)に示すように、最下段に位置する前記ループ部32a(図7(C))に取り付けられた前記止着部材29に連結され、該昇降コード25の下端28が、引き上げ式カーテン5の下端側44(図1、図6、図7(A))に固定状態とされている。これによって、図1に示す引き上げ式カーテン装置3が構成されることとなる。
【0040】
かかる構成を有する引き上げ式カーテン5は、その降ろされた状態では図1に示すように略平面状態を呈している。前記ロック具20に挿通された昇降コード25の束26を下方に引くことにより、該引き上げ式カーテン5は、図2〜3に示すように、ひだ状折り返し部2が積み重なる状態で引き上げられ、所要の引き上げ状態で、該昇降コード25,25,25が該ロック具20の係止作用によってロックされ、これによって、引き上げ式カーテン5がその引き上げ状態で保持される。かかる引き上げによって形成された各ひだ状折り返し部2においては、図3(B)に示すように、その裏面24に、その折り返しに沿って屈曲するように前記バネ性屈曲テープ部30が配設されているため、該バネ性屈曲テープ部30の発揮する弾性反発力によって、前記ひだ状折り返し部2は、その表側31に向けて弾性反発力を付与される。
【0041】
その結果、ひだ状折り返し部2は、図2に示すように、整形アシストテープ1が取り付けられている部分2a、及び、隣り合う整形アシストテープ1a,1a間の部分2bの所要の折り返し形態が、前記バネ性屈曲テープ部30の弾性反発力によって所要に整えられることとなる(図2〜3)。特に本実施例においては、引き上げ式カーテン5の両側部分87,87(図1、図14)にも整形アシストテープ1a,1aが配設されているため、ひだ状折り返し部2の形態がより一層良好に整えられることとなる。従って引き上げ式カーテン5は、ひだ状折り返し部2がその形態が整えられて順次積み重なる状態で引き上げられることとなり、引き上げ式カーテン5の引き上げ状態の見栄えを向上できることとなる。
【実施例2】
【0042】
本発明は、前記実施例で示したものに限定されるものでは決してなく、「特許請求の範囲」の記載内で種々の設計変更が可能であることはいうまでもない。その一例を挙げれば次のようである。
【0043】
(1) 本発明に係る整形アシストテープ1は、引き上げ式カーテン5の引き上げによって形成されるひだ状折り返し部2の裏面24にその折り返しに沿って屈曲されるバネ性屈曲テープ部30が該ひだ状折り返し部2の表側31に向けて弾性反発力を付与でき、これによって該ひだ状折り返し部2の形態を整える機能を有するものであって、該バネ性屈曲テープ部30の屈曲形態が熱セットで保持されてなるものであるならば、前記した熱可塑性のポリエステル製モノフィラメント糸を用いてなる織物製として構成されることの他、その他の熱可塑性樹脂製の糸を用いてなる編物製や、熱可塑性樹脂製の樹脂テープ等として構成することもできる。熱可塑性樹脂のその他のものを例示すれば、ポリオレフィン系、ポリスチレン系、ポリアミド系の樹脂を挙げることができる。
【0044】
(2) 該整形アシストテープ1は、長尺に形成し、これを、カーテン基布6の上下長さに合わせて所要長さに切断して設定寸法の整形アシストテープとして使用できるように構成されることの他、カーテン基布6の上下長さに合わせた所要長さのものとして製造されることもある。
【0045】
(3) ひだ状折り返し部2の裏面24にその折り返しに沿って屈曲されるバネ性屈曲テープ部30の、該ひだ状折り返し部2の表側31に向けての弾性反発力の強さは、引き上げ式カーテン5を構成するカーテン基布6の目付やカーテン基布6の厚さに応じて、前記ひだ状折り返し部2の折り返しの形態を整えることができる程度に所要に設定されるものである。該弾性反発力をより大きく設定する必要がある場合は、整形アシストテープ1を構成する糸を太くしたり、テープを構成する糸の密度を高くしたり、或いは、テープ幅を大きくする等によって所要に設定できる。
【0046】
(4) 前記整形アシストテープ1のバネ性屈曲テープ部30の形態は、バネ性屈曲テープ部30の弾性反発力を増大させるために、先端部分を円弧状に形成するのが好ましいが、所要の弾性反発力を発揮できる限り、先端部が鋭角的に屈曲されたバネ性屈曲テープ部30として構成されることもある。
【0047】
(5) そして前記整形アシストテープ1は、前記昇降コード25を挿通させるコード挿通部27を形成するコード挿通部材40を取り付けるためのループ部32を具えるものとして構成されることの他、それ自体がコード挿通部27となるループ部32を具えるものとして構成することもできる。該ループ部32は、前記のように、テープ基材33の長手中央線に沿って設けられることの他、長手中央線から稍位置ずれして設けられることもある。
【0048】
(6) 図15は、前記コード挿通部27を形成する円形リング状のコード挿通部材40を示すものであり、これを前記ループ部32に取り付けた状態を示している。
【0049】
(7) 図16は、整形アシストテープ1の他の実施例を示すものであり、前記昇降コード25を挿通させるためのコード挿通部27を有するコード挿通部材40を取り付けるための取付け孔部89が、テープ基材33の一面部33aの例えば長手中央線に沿って、上下方向に多段に並設されている。該取付け孔89は、例えば、遊離片部90の上下端部分91,92が該テープ基材33に固定されることによって構成されている。図16は、該取付け孔89にコード挿通部材40が取り付けられた状態を、そのコード挿通部27に昇降コード25が挿通された状態で示している。
【0050】
(8) 前記整形アシストテープ1は、前記バネ性屈曲テープ部30の弾性反発力を増大させるために、テープ基材33の表面に樹脂被覆を施したり、弾力性を有する金属線材等をテープ基材33の長さ方向に配置して構成することもできる。又、弾力性を有する金属繊維等を経糸として用いて整形アシストテープ1を構成することもできる。
【0051】
(9) カーテン基布6の両側に設けた前記収容袋部80,80内に収容する整形アシストテープ1は、前記したようなループ部32を有さない織物テープや編物テープ、樹脂テープ等の、弾性反発力を付与できるバネ性屈曲テープ部30を具備するものとして構成することもできる。整形アシストテープ1を樹脂テープを以て構成する場合は、所要幅のものとして形成することの他、幅広の樹脂シートを細幅にカットして構成することもできる。
【0052】
(10)前記整形アシストテープ1は、前記実施例においては透明に形成されているが、カーテン基布6のデザイン性等を考慮して着色テープとして構成されることもある。
【0053】
(11)本発明に係る引き上げ式カーテン5を構成するに際し、整形アシストテープ1をカーテン基布6の裏側面に止着する手段は、前記のように、整形アシストテープ1の両側部位68,68をカーテン基布6に縫製69して行なうことができる他、例えば図17に示すように、整形アシストテープ1の長手中央線に沿って或いは長手中央線寄り部位を、テープ長さ方向にカーテン基布6に一列でのみ縫製69して行うこともできる。整形アシストテープ1をカーテン基布6に縫製69する場合は、引き上げ式カーテン5の表面に、該縫製に伴う縫い目が表れることになる。この縫い目がカーテン表面の外観を損なう恐れのある場合は、整形アシストテープ1をこのように一列でのみ縫製することとすれば、カーテン表面に表れる縫い目を目立ちにくくなし得て好ましい。
【0054】
特に整形アシストテープ1が、前記したように、テープ基材33の長手中央線に沿ってループ部32が設けられてなるときは、該ループ部32の際を縫製すればよい。前記実施例におけるように、該ループ部32を形成するための経糸34をテープ基材33の長手中央線に沿う部分38に配置し、緯糸37を該経糸34と交錯させてループ部32を形成する場合は、該整形アシストテープ1の長手中央線に沿う部分の経糸密度が増大することになる。これによって、整形アシストテープ1の弾性反発力をより有効に活用できることとなる。
【0055】
(12) 前記バネ性屈曲テープ部30の弾性反発力をより増大させるために、織物としての前記テープ基材33において、これを構成する前記経糸34を前記緯糸37よりも太く形成することがある。弾性反発力の向上に寄与するのは、緯糸ではなく主として経糸だからである。
【0056】
(13)前記カーテン基布6が天然繊維製ではなく合成繊維製である場合は、前記整形アシストテープ1を熱融着によりカーテン基布6に止着することもできる。
【0057】
(14)引き上げ式カーテン5の引き上げによって形成されるひだ状折り返し部9の重量が大きい場合には、該ひだ状折り返し部9の形態をより整え易くするために、前記昇降コード25の配置に合わせて止着された整形アシストテープ1,1の間や該整形アシストテープ1の外側に位置させて、更に別途の整形アシストテープ1が配設されることもある。
【0058】
(15)前記バネ性屈曲テープ部30を形成する他の製造方法は、図10に示す場合において、図18に示すように、前記位置規制杆61を前記細径の案内杆54aと平行する方向で前記各ループ部32に挿通させることとしてもよい。
【0059】
又、該製造方法の他の態様は、例えば図19に示すように、下に位置する固定枠100に対して、上に位置する可動枠101を上下動可能とし、両者により原テープ60を蛇行状態に屈曲させ、これを加熱処理室に収容して所要の熱セットを施すこととしてもよい。該固定枠100は、下基板102に、上の圧接部材(例えば円筒状を呈する)54が上端に設けられてなる起立部材105が所要間隔で並設されてなる。又前記可動枠101は、隣り合う起立部材105,105間に進入できる下の圧接部材(例えば円筒状を呈する)59が下端に設けられてなる垂下部材107を、上基板109に並設して構成されている。そして図19(A)に示すように該可動部材101が下降することにより、前記原テープ60を、前記上の圧接部材54と前記下の圧接部材59とに交互に案内させて蛇行状態で屈曲させることができる。熱セットが完了した後に、図19(B)に示すように可動枠101を上昇させると、バネ性屈曲テープ部30が並設されてなる整形アシストテープ1が得られる。なお図19(A)(B)において符号110は、原テープ60の両端部分111,111を挾持状態に保持する保持具であり、上下の挾持片112,113との間で該端部分111を挾持できる。図19(A)は、該端部分111を挾持した状態を示し、図19(B)は挾持解除状態を示している。
【0060】
その他、該製造方法は、屈曲した板体としての上下の圧接部材54,59間で前記原テープ60を挾持することによって、蛇行状態に屈曲させることとしてもよい。その他、熱セットに先立って原テープ60を所要の蛇行状態に屈曲させ得る各種の手段を採用できる。
【0061】
(16)前記熱セットは、前記熱可塑性樹脂の融点以下の温度で行なうものであるが、バネ性屈曲テープ部30の所要の屈曲形態を保持できるのであれば、比較的低い温度で熱セットを施すこともできる。
【0062】
(17)前記熱セットは、蛇行状態に屈曲された原テープ60を加熱室に収容して行なうことの他、前記上下の圧接部材54,59を加熱することによって熱セットする手段であってもよい。
【0063】
(18)引き上げ式カーテン5の前記両側部分87,87に取着される整形アシストテープ1は、前記のように収容袋部80に収容されることの他、該両側部分87,87の裏面側に縫着されることもある。
【符号の説明】
【0064】
1 整形アシストテープ
2 ひだ状折り返し部
3 引き上げ式カーテン装置
5 引き上げ式カーテン
6 カーテン基布
7 裏側面
25 昇降コード
27 コード挿通部
29 止着部材
30 バネ性屈曲テープ部
32 ループ部
33 テープ基材
34 経糸
34a 第1の経糸
34b 第2の経糸
37 緯糸
54 上の圧接部材
59 下の圧接部材
60 原テープ
61 位置規制杆
80 収容袋部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ひだ状折り返し部が積み重なる状態で引き上げられる引き上げ式カーテンを構成するに際してカーテン基布の裏側面に上下方向に延長する如く止着されて該ひだ状折り返し部の折り返しの形態を整える引き上げ式カーテン用の整形アシストテープであって、
熱可塑性樹脂製の素材を用いて形成されたテープ状物からなり、前記ひだ状折り返し部の折り返しに沿って屈曲されるバネ性屈曲テープ部が設けられており、該バネ性屈曲テープ部は、前記ひだ状折り返し部に、その表側に向けて弾性反発力を付与できるように、前記熱可塑性樹脂の融点以下の温度の熱セットで屈曲形態が保持されていることを特徴とする引き上げ式カーテン用の整形アシストテープ。
【請求項2】
ひだ状折り返し部が積み重なる状態で引き上げられる引き上げ式カーテンを構成するに際してカーテン基布の裏側面に上下方向に延長する如く止着されて該ひだ状折り返し部の折り返しの形態を整える引き上げ式カーテン用の整形アシストテープであって、
熱可塑性樹脂製の糸を用いて形成された織物又は編物としてのテープ基材の一面部に、長さ方向に所要間隔で、コード挿通部が設けられており、乃至、コード挿通部を付設可能となされており、該コード挿通部は、前記引き上げ式カーテンの上げ下げを操作する昇降コードを挿通させるために利用されるものであり、
隣り合う前記コード挿通部間に、前記ひだ状折り返し部の折り返しに沿って屈曲されるバネ性屈曲テープ部が設けられており、該バネ性屈曲テープ部は、前記ひだ状折り返し部に、その表側に向けて弾性反発力を付与できるように、前記熱可塑性樹脂の融点以下の温度の熱セットで屈曲形態が保持されていることを特徴とする引き上げ式カーテン用の整形アシストテープ。
【請求項3】
ひだ状折り返し部が積み重なる状態で引き上げられる引き上げ式カーテンを構成するに際してカーテン基布の裏側面に上下方向に延長する如く止着されて該ひだ状折り返し部の折り返しの形態を整える引き上げ式カーテン用の整形アシストテープであって、
熱可塑性樹脂製の糸を用いて形成された織物としてのテープ基材の一面部に、長さ方向に所要間隔でループ部を形成するに際し、経糸として、ループ部形成に関与する第1の経糸とループ部形成に関与しない第2の経糸の2種類を用い、ループ部形成部分以外の部分においては該2種類の経糸と緯糸とを交錯させるものとし、ループ部形成部分においては、第2の経糸の進行を停止させて第1の経糸のみを進行させ、緯糸と該第1の経糸のみを交錯させることによって織物組織としてのループ部が設けられており、該ループ部は、前記引き上げ式カーテンの上げ下げを操作する昇降コードを挿通させるために、或いは該昇降コードを挿通させ得るコード挿通部材を取り付けるために利用されるものであり、
隣り合う前記ループ部間に、前記ひだ状折り返し部の折り返しに沿って屈曲されるバネ性屈曲テープ部が設けられており、該バネ性屈曲テープ部は、前記ひだ状折り返し部に、その表側に向けて弾性反発力を付与できるように、前記熱可塑性樹脂の融点以下の温度の熱セットで屈曲形態が保持されていることを特徴とする引き上げ式カーテン用の整形アシストテープ。
【請求項4】
前記バネ性屈曲テープ部の先端部分は円弧状に形成されていることを特徴とする請求項1、2又は3記載の引き上げ式カーテン用の整形アシストテープ。
【請求項5】
ひだ状折り返し部が積み重なる状態で引き上げられる引き上げ式カーテンであって、カーテン基布の裏側面に、請求項1〜4の何れかに記載の整形アシストテープが上下方向に延長する如く止着されてなり、該整形アシストテープの前記バネ性屈曲テープ部が、その突の屈曲の向きを前記ひだ状折り返し部の突の折り返しの向きに合わせて止着されていることを特徴とする引き上げ式カーテン。
【請求項6】
請求項3記載の引き上げ式カーテン用の整形アシストテープを製造する製造方法であって、熱可塑性樹脂製の糸を用いて形成された織物としてのテープ基材の一面部に、長さ方向に所要間隔でループ部が設けられてなる原テープを、上下に平行して配設された上の圧接部材と下の圧接部材とに蛇行状態で架け渡した状態とするに際し、
前記ループ部を蛇行部の上端に位置させた状態で前記原テープを前記上の圧接部材で下方から支持させると共に、各ループ部に、水平な位置規制杆を挿通させて前記原テープを固定状態とし、隣り合うループ部間をなす屈曲テープ部分によって、前記下の圧接部材を宙ぶらりん状態で下方から支持し、この状態で、該原テープに、前記熱可塑性樹脂の融点以下の温度で熱セットを施して、隣り合う前記ループ部間に前記バネ性屈曲テープ部を形成することを特徴とする引き上げ式カーテン用の整形アシストテープの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2012−120744(P2012−120744A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−274621(P2010−274621)
【出願日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【出願人】(591248441)中部インテリア株式会社 (2)
【Fターム(参考)】