説明

引き出しキャビネットの構造

【課題】引き出しキャビネットを左右両側の立面間に架設したのち、このキャビネットの上方にカウンターを固定する場合に、キャビネットの本体に備えられた底板を容易に取り外し可能とすることにより、カウンターの固定作業が容易な引き出しキャビネットの構造を提供することを課題とする。
【解決手段】食器棚2と第1ベースキャビネット4との間に架設された本体10と引き出し20とでなる第2ベースキャビネット5において、本体10の底板12を、食器棚2及び第1ベースキャビネット4の側面2a,4aに取り付けたL型部材32,32により、前方へ引き出し可能に支持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キッチン、リビング、玄関等に設置される収納ユニットに使用される引き出しキャビネットの構造に関し、家具の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来、キッチン、リビング、玄関等に設置される収納ユニットとしては、例えば特許文献1に開示のものがある。図10に示すように、この収納ユニットは、二つのキャビネット110,120を有すると共に、両キャビネット110,120間の上下に架設された天板130やカウンター140等を介して一体化されている。
【0003】
そして、このような収納ユニットにおいて、さらに利便性を向上させる目的で、図10において二点鎖線で示すように、前記両キャビネット110,120間に引き出しキャビネット150を架設したものが要求されることがある。
【0004】
図11に示すように、例えばこの引き出しキャビネット150は、引き出し151と、該引き出し151を収納する箱状の本体152とを有しており、下方が開放された空間となっている。なお、引き出し151と本体152との間には、図示しないレール機構が介設されており、引き出し151を円滑に引き出すことができるようになっている。そして、施工時、本体152と両側のキャビネット110,120とは、ビス161で固定される。その上で、本体152とカウンター140とが固定されるが、その固定方法にはいくつかあり、例えばビス161で直接固定する方法や、二点鎖線で示すように、L型部材162を使用してビス161で固定する方法等がある。
【0005】
【特許文献1】特開2000−279244号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、前述したいずれの方法にしても、カウンター140を引き出しキャビネット150に固定するときには、本体152から引き出し151を取り外した状態で、本体152の内方下方から電動ドライバ等を使用してビス161をねじ込むことになる。その場合、引き出しキャビネット150の下部を化粧したり虫やほこりの侵入を防止する目的で、本体152の下部に底板153を備える必要があるときには、該底板153が作業の邪魔になる。
【0007】
そこで、この問題を解決する方策としては、例えば図12に示すように、引き出し151を収納する本体152の底板153の中央部分を予めくり抜くと共に、カバー部材154を複数のビス161…161で底板153の下面に固定することにより前記くり抜き部分153′を閉鎖しておき、カウンター140の固定時には、該カバー部材154を取り外した上で、前記くり抜き部分153′を利用して、電動ドライバでビス止め作業を行なうことが考えられる。しかしながら、ビス止めされたカバー部材154の取外作業は面倒で、施工に手間が掛かるという問題が生じる。
【0008】
そこで、本発明は、引き出しキャビネットを左右両側の立面間に架設したのち、このキャビネットの上方にカウンターを固定する場合に、キャビネットの本体に備えられた底板を容易に取り外し可能とすることにより、カウンターの固定作業が容易な引き出しキャビネットの構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため、本発明は次のように構成したことを特徴とする。
【0010】
まず、請求項1に記載の発明は、左右両側の立面間に本体と引き出しとでなる引き出しキャビネットが架設されており、かつ、該キャビネットの上方にカウンターが載置されてなる収納ユニットにおける引き出しキャビネットの構造であって、前記本体は、下部に底板を有しており、該底板が、左右両側の受け部により前方へ引き出し可能に支持されていることを特徴とする。なお、引き出しキャビネットを架設する立面とは、両側に隣接するキャビネットの側面や壁面が該当する。
【0011】
次に、請求項2に記載の発明は、前記請求項1に記載の引き出しキャビネットの構造において、前記受け部は、少なくとも縦面と上面とを有する部材であって、縦面が前記立面に取り付けられて、上面が前記底板を支持することを特徴とする。
【0012】
また、請求項3に記載の発明は、前記請求項1に記載の引き出しキャビネットの構造において、前記本体は、左右両側に側板を有すると共に、該側板の下端部は、前記底板より下方へ延長されており、かつ、前記引き出しは、前面に前板を有すると共に、該前板は、前記受け部の前方をほぼ覆う構成とされており、前記受け部は、少なくとも縦面と上面とを有する部材であって、縦面が前記側板の延長部に取り付けられて、上面が前記底板を支持することを特徴とする。
【0013】
また、請求項4に記載の発明は、前記請求項2に記載の引き出しキャビネットの構造において、前記少なくとも縦面と上面とを有する部材は、L型部材であることを特徴とする。
【0014】
また、請求項5に記載の発明は、前記請求項2から請求項4のいずれかに記載の引き出しキャビネットの構造において、前記少なくとも縦面と上面とを有する部材は、底板の引き出し方向に沿って延びていることを特徴とする。
【0015】
一方、請求項6に記載の発明は、前記請求項1に記載の引き出しキャビネットの構造において、前記本体は、左右両側に側板を有しており、前記受け部は、前記側板の内面に前記底板の引き出し方向に沿って設けられて、該底板の左右両側部に係合する凹溝または凸条であることを特徴とする。
【0016】
また、請求項7に記載の発明は、前記請求項1から請求項6のいずれかに記載の引き出しキャビネットの構造において、前記本体は、後方に背板を有しており、該背板の下部には、前方に突出する補助底板が固定されていると共に、前記底板の後端部が、該補助底板に受支されていることを特徴とする。
【0017】
そして、請求項8に記載の発明は、前記請求項1から請求項7のいずれかに記載の引き出しキャビネットの構造において、前記底板の左右両側部が前記受け部に、固定手段を用いて補助的に固定されていることを特徴とする。なお、この場合の固定は、前述したカバー部材の取り付けや取り外しのように多数のビスを扱うものではなく、少数のビスを使用するだけで事足りるような補助的なものである。
【発明の効果】
【0018】
まず、請求項1に記載の発明によれば、底板は、受け部により前方へ引き出し可能に支持されているので、カウンターの固定時には底板を容易に取り外して本体の内方下方に広いスペースを形成することができ、もってカウンターの固定作業が容易となる。そして、カウンターの固定後に、再び本体に底板を取り付ける作業も容易である。
【0019】
次に、請求項2に記載の発明によれば、受け部を、縦面が前記立面に取り付けられて、上面が底板を支持する部材で構成するので、該部材により底板を含む本体を良好に支持することができる。
【0020】
また、請求項3に記載の発明によれば、受け部を、縦面が側板に設けられた延長部に取り付けられて、上面が底板を支持する部材で構成し、該部材の前方を引き出しの前板で覆う構成とするので、外観的に該部材が見え難くなって、見栄えの向上を図ることができる。
【0021】
また、請求項4に記載の発明によれば、L型部材は、強度があって厚みが薄いことから、外観的に目立たなくなって、さらなる見栄えの向上を図ることができる。さらに、形状が単純で既製の部品であるL型部材を使用することができ、コストの高騰を回避することができる。
【0022】
また、請求項5に記載の発明によれば、前記少なくとも縦面と上面とを有する部材は、底板の引き出し方向に沿って延びているので、底板を前後に安定して移動させることができ、底板の取り外しや取り付けを円滑に行なうことができる。すなわち、前記部材の上面に支持された底板を滑らせて、前方に引き出す際や後方に押し込む際に、底板が該部材から脱落することがなく、また、底板の重量を該部材が持続して受け止めることができるので、底板を小さい力で移動させることができる。
【0023】
一方、請求項6に記載の発明によれば、本体の側板に設けられた凹溝や凸条が受け部を構成するので、該凹溝や凸条により、底板を良好に支持することができる。そして、該凹溝や凸条が、底板の引き出し方向に沿って延びているので、底板を滑らせて、前方に引き出す際や後方に押し込む際に、底板が該凹溝や凸条から脱落することがなく、また、底板の重量を該凹溝や凸条が持続して受け止めることができるので、底板を小さい力で移動させることができる。さらに、部品点数の増加を招くことはなく、もってコストの高騰が回避される。
【0024】
また、請求項7に記載の発明によれば、受け部で底板を左右両側から支持した上で、背板の下部から前方に突出する補助底板で底板の後端部を支持するので、施工後の底板は、3辺を介して本体内に安定して支持される。
【0025】
そして、請求項8に記載の発明によれば、底板の左右両側部と受け部とは、固定されているので、カウンターを固定するときの作業性をいたずらに損なうことなく、施工後の底板の脱落や意に反した移動が効果的に防止される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態に係る収納ユニットについて説明する。
【0027】
図1に示すように、この収納ユニット1は、キッチンに設置されるもので、図例上左側の背の高い食器棚2と、壁面Wに取り付けられたウォールキャビネット3と、前記食器棚2の右側の低い位置に設置された第1及び第2ベースキャビネット4,5と、これら両ベースキャビネット4,5の上面に載置されたカウンター6とを有している。
【0028】
すなわち、食器棚2は、上部が2段の開き戸タイプ、下部が5段の引き出しタイプのものである。ウォールキャビネット3は、開き戸タイプのものである。第1ベースキャビネット4は、4段の引き出しタイプのものである。そして、本発明の特徴部分である第2ベースキャビネット5は、1段の引き出しタイプのもので、下方が開放された空間となっている。
【0029】
第2ベースキャビネット5について詳しく説明すると、図2及び図3に示すように、この第2ベースキャビネット5は、箱状の本体10と該本体10に収納される引き出し20とを有している。
【0030】
本体10は、左右一対の側板11,11と、両側板11,11間の下方に架設された底板12と、両側板11,11間の後方に架設された背板13と、両側板11,11間の前方上方に架設された桟木14とを有しており、前面と上面とが開口されている。そして、本体10は、複数のビス31A…31Aで左右両側の食器棚2及び第1ベースキャビネット4の側面2a,4a間に架設されている。
【0031】
その場合、背板13の下部には、前方に突出する補助底板15が固定されている。すなわち、背板13の下端部に設けられた突条13aが、補助底板15の後方に設けられた凹溝15aに嵌り込んでおり、さらに、補助底板15は、該補助底板15に設けられた図示しないダボと両側板11,11に設けられた同じく図示しないダボ穴との嵌合を介して、両側板11,11間の後方に架設されている。また、底板12の後端部が補助底板15の前端部に受支されるように、底板12の後端部は下方から切り欠かれて、切欠部12aが形成されており、一方、補助底板15の前端部は上方から切り欠かれて、切欠部15bが形成されている。
【0032】
そして、左右両側の食器棚2及び第1ベースキャビネット4の側面2a,4aには、本体10の直下方の箇所に、鋼製のL型部材32,32が複数のビス31B…31Bで取り付けられている。すなわち、L型部材32は、本体10の前面近傍から補助底板15の前端部近傍まで延びており、縦面32aが左右両側の食器棚2及び第1ベースキャビネット4の側面2a,4aに取り付けられて、上面32bが本体10の底板12及び側板11を支持している。そして、引き出し20が取り外された状態で、図2に二点鎖線で示すように、底板12は矢印a方向へ引き出し可能とされている。
【0033】
一方、引き出し20は、左右一対の側板(図2に左側のみ示す)21,21と、両側板21,21間の下方に架設された底板22と、両側板21,21間の後方に架設された背板23と、両側板21,21間の前方に架設された本体10の前面を覆う前板24とを有しており、上面が開口されている。
【0034】
そして、第1及び第2ベースキャビネット4,5の上面を、カウンター6が覆っている。その場合、カウンター6は、前記L型部材32とは別なる短尺のL型部材33…33を使用して、両側板11,11にビス31C…31Cで固定されている。
【0035】
次に、施工方法の一例について、図2及び図3を用いつつ、第2ベースキャビネット5やカウンター6の組み付けを中心に説明する。
【0036】
まず、第2ベースキャビネット5に先立って、この第2ベースキャビネット5に隣接することになる左右両側の食器棚2と第1ベースキャビネット4とが、すでに設置されている。そして、食器棚2及び第1ベースキャビネット4の側面2a,4aにおいて、第2ベースキャビネット5が架設されたときに、その底板12ないし本体10を支持する高さ位置となる箇所に、長尺のL型部材32,32をビス31B…31Bで取り付ける。
【0037】
次いで、L型部材32,32の上面32b,32bに、底板12が取り外された状態の本体10を載置する。すなわち、L型部材32,32の上面32b,32bは、両側板11,11を介して本体10を支持する。
【0038】
次いで、本体10の両側板11,11と食器棚2及び第1ベースキャビネット4の側面2a,4aとを、ビス31A…31Aで固定する。従来の作業方法によれば、本体10の重量を手で支えつつ固定する場合には、作業者の負担が大きく、また、本体10を仮止めした上で固定する場合には、作業が面倒であったが、本実施の形態によれば、本体10の重量は、施工後に底板12を支持するためのL型部材32,32で支持されているので、本体10の食器棚2及び第1ベースキャビネット4間への固定作業は容易である。
【0039】
次いで、第1及び第2ベースキャビネット4,5の上面にカウンター6を載置する。第2ベースキャビネット5の場合には、固定された本体10は、底板12が取り外されて下方が開放されていることから、この開放された空間を利用して、本体10の両側板11,11とカウンター6とを、短尺のL型部材33…33を使用して、ビス31C…31Cで固定する。
【0040】
そして、最後に、食器棚2及び第1ベースキャビネット4の側面2a,4aに取り付けられたL型部材32,32の上面32b,32bに沿って、取り外していた底板12を押し込んで、その後端部の切欠部12aを、本体10後方の補助底板15の切欠部15bに係合させることにより、底板12の後端部を補助底板15の前端部に受支させる。
【0041】
以上のように構成したことにより、底板12は、L型部材32,32により前方へ引き出し可能に支持されているので、カウンター6の固定時には、底板12を容易に取り外して本体10の内方下方に広いスペースを形成することができ、もってカウンター6の固定作業が容易となる。そして、カウンター6の固定後に、再び本体10に底板12を取り付ける作業も容易である。
【0042】
また、少なくとも縦面と上面とを有して底板12を両側から支持する部材を、縦面32aが食器棚2及び第1ベースキャビネット4の側面2a,4aに取り付けられて、上面32bが底板12を支持するL型部材32で構成するので、該L型部材32により底板12を含む本体10を良好に支持することができる。
【0043】
また、このL型部材32は、強度があって厚みが薄いことから、外観的に目立たなくなって、さらなる見栄えの向上を図ることができる。さらに、形状が単純で既製の部品であるL型部材32を使用することができ、コストの高騰を回避することができる。
【0044】
また、L型部材32は、底板12の引き出し方向aに沿って延びているので、底板12を前後に安定して移動させることができ、底板12の取り外しや取り付けを円滑に行なうことができる。すなわち、L型部材32の上面32bに支持された底板12を滑らせて、前方に引き出す際や後方に押し込む際に、底板12が該L型部材32から脱落することがなく、また、底板12の重量を該L型部材32が持続して受け止めることができるので、底板12を小さい力で移動させることができる。
【0045】
また、L型部材32,32で底板12を左右両側から支持した上で、本体10の背板13の下部から前方に突出する補助底板15で底板12の後端部を支持するので、施工後の底板12は、3辺を介して本体10内に安定して支持される。
【0046】
なお、図4に示すように、第2ベースキャビネット5を、食器棚2と壁面Wとの間に架設してもよいし、また、壁面Wとの間に板材を介在させた上で架設してもよい。このような場合にも、長尺のL型部材32,32を食器棚2の側面2aと壁面Wとにビス31B…31Bで取り付けたことにより、カウンター6を載置して固定するときに、本体10から底板12を取り外したり取り付けたりすることが容易となる。
【0047】
次に、他の実施の形態に係る第2ベースキャビネット5の構造について説明する。なお、前記実施の形態における各部材と共通あるいは類似する構成要素については、説明の複雑化を回避するため、特に混乱を招かない限り、同じ符号を付すことにする。
【0048】
まず、図5に示す第2ベースキャビネット5は、前記図3に示したものと略同様の構成とされている。すなわち、この第2ベースキャビネット5は、本体10と引き出し20とを有し、左右両側の食器棚2及び第1ベースキャビネット4間に架設されており、また、第1及び第2ベースキャビネット4,5の上面を、カウンター6が覆っている。
【0049】
そして、本体10の両側の側板11,11の下端部は、前記図3に示した側板11,11より下方へ延長されており、L型部材32,32は、縦面32a,32aが側板11,11の延長部11a,11aにビス31B…31Bで取り付けられて、上面32b,32bが底板12を支持している。
【0050】
以上のように構成したことにより、この場合にも、カウンター6の固定時には、底板12を容易に取り外して本体10の内方下方に広いスペースを形成することができ、カウンター6の固定作業が容易となる。その上で、少なくとも縦面と上面とを有して底板12を両側から支持する部材を、縦面32aが側板11に設けられた延長部11aに取り付けられて、上面32bが底板12を支持するL型部材32で構成し、該L型部材32の前方を引き出し20の前板24で覆う構成とするので、外観的に該L型部材32が見え難くなって、見栄えの向上を図ることができる。
【0051】
次に、図6及び図7に示す第2ベースキャビネット5は、本体10と引き出し20とを有し、左右両側の食器棚2及び第1ベースキャビネット4間に架設されており、また、第1及び第2ベースキャビネット4,5の上面を、カウンター6が覆っている。
【0052】
そして、図6の場合には、本体10の両側の側板11,11の下端部内面に、前後に延びる凹溝11b,11bが設けらると共に、底板12の左右両端部に、前記凹溝11b,11bに嵌り込む前後に延びる凸条12b,12bが設けられている。一方、図7の場合には、本体10の両側の側板11,11の下端部内面に、前後に延びる凸条11c,11cが設けられると共に、底板12の左右両端部に、前記凸条11c,11cに上方から係合する前後に延びる凸条12c,12cが設けられている。
【0053】
以上のように構成したことにより、本体10の側板11,11に設けられた凹溝11b,11bや凸条11c,11cが底板12を両側から支持する受け部を構成するので、該凹溝11b,11bや凸条11c,11cにより、底板12を良好に支持することができる。そして、該凹溝11b,11bや凸条11c,11cが、底板12の引き出し方向aに沿って延びているので、底板12を滑らせて、前方に引き出す際や後方に押し込む際に、底板12が該凹溝11b,11bや凸条11c,11cから脱落することがなく、また、底板12の重量を該凹溝11b,11bや凸条11c,11cが持続して受け止めることができるので、底板12を小さい力で移動させることができる。さらに、部品点数の増加を招くことはなく、もってコストの高騰が回避される。
【0054】
次に、図2における拡大図において二点鎖線で示すように、底板12の左右両側部と各L型部材32の上面32bとを、例えば1本のビス31Dで補助的に固定することができる。
【0055】
以上のように構成したことにより、底板12の左右両側部と各L型部材32とは、固定されているので、カウンター6を固定するときの作業性をいたずらに損なうことなく、施工後の底板12の脱落や意に反した移動が効果的に防止される。なお、この場合の固定は、前述したカバー部材の取り付けや取り外しのように多数のビスを扱うものではなく、少数のビス31Dを使用するだけで事足りる補助的なものである。
【0056】
次に、図8に示すように、L型部材32に代えて、縦面32a′,32a″が一例として壁面Wに取り付けられて、上面32b′,32b″が本体10の底板12を支持する長尺の桟状部材32′,32″を使用することができる。その場合、図8(a)に示すように、断面が矩形の桟状部材32′は、壁面Wに真直ぐにねじ込まれたビス31Bで固定されている。一方、図8(a)に示すように、断面が異形の桟状部材32″は、壁面Wに傾斜してねじ込まれたビス31Bで固定されている。
【0057】
以上のように構成した場合にも、前記L型部材32と同様に、底板12を良好に支持することができる。なお、L型部材32や桟状部材32′,32″の材質は、第2ベースキャビネット5あるいは本体10の底板12を支持することができる強度を備えていればよく、金属製、木質製、樹脂製等が適用可能である。
【0058】
なお、本発明は、具体的に詳述した前記実施の形態に限定されることはなく、本発明の趣旨に沿うものであればよい。
【0059】
まず、第2ベースキャビネット5に使用する部材の材質等は、適宜選択することができ、例えば、第2ベースキャビネット5を構成する本体10の底板12の材質は、PB(パーティクルボード)、MDF(中密度木質繊維板)、合板、LVL(単板積層材)、または、これらを組み合わせた木質板、金属板、樹脂板等の中から、目的用途に応じて適宜選択可能である。
【0060】
また、前述した図2に示したような底板12と補助底板15との間の受支構造であれば、底板12と補助底板15とを略同じ厚みとすることにより、受支箇所の上面及び下面に段差が生じなく、見栄えがよい。
【0061】
また、L型部材32や桟状部材32′,32″が前後に延びている場合、補助底板15あるいは補助底板15の切欠部15bを省略してもよく、本体10の底板12は、前記L型部材32や桟状部材32′,32″により安定して引き出し可能に支持される。
【0062】
また、L型部材32や桟状部材32′,32″は、前後に延びる一体物であったが、複数の短尺のものを適宜間隔で前後に亘って配設しても、同様の効果が得られる。さらに、補助底板15が備えられている場合には、例えば左右両側の前方側に、短尺のものを一対だけ配設してもよい。
【0063】
また、前記図2では、底板12の左右両側部とL型部材32とをビス31Dで補助的に固定していたが、底板12の後端部と補助底板15の前端部とを、ビスやダボ等の固定手段を用いて補助的に固定してもよい。そして、図9に示す食器棚2と第1ベースキャビネット4との間に架設された第2ベースキャビネット5のように、本体10と2つの引き出し20,20とを有し、本体10内を前記引き出し20,20を収納可能に仕切る中仕切板16が設けられている場合、L型部材32,32を介して引き出し可能に支持されている底板12を、矢印Aで示す箇所で、例えば図示しない1本のビスで下方から中仕切板16に補助的に固定してもよい。なお、中仕切板16は、背板13と桟木14とに固定されている。
【0064】
その場合にも、カウンター6を固定するときの作業性をいたずらに損なうことなく、施工後の底板12の脱落や意に反した移動が効果的に防止される。特に中仕切板16を備えた場合には、併せて底板12の下方への撓みも防止される。なお、前記補助的な固定手段として、例えば図2におけるビス31Dに代えて、底板12とL型部材32の上面32bとに貫通孔を設け、上方から該貫通孔に挿入することができるピンを使用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0065】
以上説明したように、本発明によれば、引き出しキャビネットを左右両側の立面間に架設したのち、このキャビネットの上方にカウンターを固定する場合に、キャビネットの本体に備えられた底板を容易に取り外し可能とすることにより、カウンターの固定作業が容易な引き出しキャビネットの構造が提供される。すなわち、本発明は、キッチン、リビング、玄関等に設置される収納ユニットに使用される引き出しキャビネットの構造に関し、家具の技術分野に広く好適である。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の実施の形態に係る収納ユニットの正面図である。
【図2】図1のII−II線による拡大断面図である。
【図3】第2ベースキャビネットの正面図である。
【図4】第2ベースキャビネットを食器棚と壁面との間に架設した場合の正面図である。
【図5】他の実施の形態に係る第2ベースキャビネットの正面図であって、側板の延長部にL型部材を取り付けた場合を示す。
【図6】同じく側板と底板とを係合させる構成を示す。
【図7】同じく側板と底板とを係合させる構成を示す。
【図8】桟状部材を使用した場合の要部拡大図であって、(a)は断面が矩形の桟状部材を使用した状態、(b)は断面が異形の桟状部材を使用した状態を示す。
【図9】中仕切板を備えた第2ベースキャビネットの正面図である。
【図10】従来の収納ユニットの正面図である。
【図11】同じく引き出しキャビネットを配設した場合の拡大正面図である。
【図12】図11のX方向からの矢視図である。
【符号の説明】
【0067】
1 収納ユニット
2a,4a 側面(立面)
5 第2ベースキャビネット(引き出しキャビネット)
6 カウンター
10 本体
11 側板
11a 延長部
11b 凹溝(受け部)
11c 凸条(受け部)
12 底板
13 背板
15 補助底板
20 引き出し
24 前板
31B ビス(固定手段)
32 L型部材(受け部、少なくとも縦面と上面とを有する部材)
32′,32″ 桟状部材(受け部、少なくとも縦面と上面とを有する部材)
32a,32a′,32a″ 縦面
32b,32b′,32b″ 上面
W 壁面(立面)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右両側の立面間に本体と引き出しとでなる引き出しキャビネットが架設されており、かつ、該キャビネットの上方にカウンターが載置されてなる収納ユニットにおける引き出しキャビネットの構造であって、
前記本体は、下部に底板を有しており、
該底板が、左右両側の受け部により前方へ引き出し可能に支持されていることを特徴とする引き出しキャビネットの構造。
【請求項2】
前記請求項1に記載の引き出しキャビネットの構造において、
前記受け部は、少なくとも縦面と上面とを有する部材であって、縦面が前記立面に取り付けられて、上面が前記底板を支持することを特徴とする引き出しキャビネットの構造。
【請求項3】
前記請求項1に記載の引き出しキャビネットの構造において、
前記本体は、左右両側に側板を有すると共に、該側板の下端部は、前記底板より下方へ延長されており、
かつ、前記引き出しは、前面に前板を有すると共に、該前板は、前記受け部の前方をほぼ覆う構成とされており、
前記受け部は、少なくとも縦面と上面とを有する部材であって、縦面が前記側板の延長部に取り付けられて、上面が前記底板を支持することを特徴とする引き出しキャビネットの構造。
【請求項4】
前記請求項2に記載の引き出しキャビネットの構造において、
前記少なくとも縦面と上面とを有する部材は、L型部材であることを特徴とする引き出しキャビネットの構造。
【請求項5】
前記請求項2から請求項4のいずれかに記載の引き出しキャビネットの構造において、
前記少なくとも縦面と上面とを有する部材は、底板の引き出し方向に沿って延びていることを特徴とする引き出しキャビネットの構造。
【請求項6】
前記請求項1に記載の引き出しキャビネットの構造において、
前記本体は、左右両側に側板を有しており、
前記受け部は、前記側板の内面に前記底板の引き出し方向に沿って設けられて、該底板の左右両側部に係合する凹溝または凸条であることを特徴とする引き出しキャビネットの構造。
【請求項7】
前記請求項1から請求項6のいずれかに記載の引き出しキャビネットの構造において、
前記本体は、後方に背板を有しており、
該背板の下部には、前方に突出する補助底板が固定されていると共に、
前記底板の後端部が、該補助底板に受支されていることを特徴とする引き出しキャビネットの構造。
【請求項8】
前記請求項1から請求項7のいずれかに記載の引き出しキャビネットの構造において、
前記底板の左右両側部が前記受け部に、固定手段を用いて補助的に固定されていることを特徴とする引き出しキャビネットの構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−143829(P2007−143829A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−341883(P2005−341883)
【出願日】平成17年11月28日(2005.11.28)
【出願人】(000000413)永大産業株式会社 (243)
【Fターム(参考)】