説明

引き出し機構及びメディア処理装置

【課題】メディアを処理する処理部からメディアを保持するトレイを確実に所定位置へ引き出すことが可能な引き出し機構及びそれを備えることによりメディアへの各種処理を高い信頼性にて円滑に行うことが可能なメディア処理装置を提供する。
【解決手段】メディアを保持する収容凹部41bを有する進退可能なメディアトレイ41aを有し、このメディアトレイ41aに受け渡されたメディアに対して各種の処理を行うメディアドライブ41のメディアトレイ41aを所定位置に引き出す引き出し機構130であって、メディアトレイ41aの引き出し方向前方側の端部に係合可能な係合部171を有する引き出しレバー172と、この引き出しレバー172を揺動させることにより係合部171を上昇させてメディアトレイ41aに係合させるとともにメディアトレイ41aの引き出し方向前方へ所定位置まで移動させる移動機構とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CDあるいはDVDなどの円板状のメディアを処理する処理部からメディアを保持するトレイを引き出す引き出し機構及びそれを備えたメディア処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、多数枚のブランクCDやDVDなどのメディアにデータの書き込みを行うディスクダビング装置、データの書き込みとレーベル印刷を行ってメディアを制作して発行可能なCD/DVDパブリッシャなどのメディア処理装置が用いられつつある。この種のメディア処理装置としては、メディアへデータを書き込むドライブ及びドライブに対してメディアを把持して搬送する搬送アームを備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】米国特許第5,734,629号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなメディア処理装置では、メディアへのデータの書き込み処理を行うドライブが、ラック・ピニオンによってドライブ本体に対して進退するメディアトレイを備えており、メディアトレイがドライブ本体から引き出された状態にて、メディアを把持して搬送する搬送アームが昇降し、メディアトレイの収容凹部に対してメディアのリリースあるいはピックアップを行う。
ところで、ラック・ピニオンによって進退するメディアトレイは、引き出されたときの停止位置が、周囲の温度、駆動モータへの電圧変動、耐久等によってばらつくことがある。
そして、このように、引き出されるメディアトレイの停止位置がばらつくと、メディアトレイに対する搬送アームの水平方向の位置にずれが生じ、メディアトレイの収容凹部に対する搬送アームによるメディアの受け渡し及び受け取りに支障を来し、ドライブによるメディアへのデータの書き込みが円滑に行われなくなってしまう。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、メディアを処理する処理部からメディアを保持するトレイを確実に所定位置へ引き出すことが可能な引き出し機構及びそれを備えることによりメディアへの各種処理を高い信頼性にて円滑に行うことが可能なメディア処理装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の引き出し機構は、メディアを保持する収容部を有する進退可能なトレイと、このトレイと係合可能な係合部を有する引き出し部材と、この引き出し部材を駆動することにより前記係合部を移動させて前記トレイに係合させるとともに前記トレイの引き出し方向前方へ所定位置まで移動させる移動機構とを備えたことを特徴とする。
【0007】
この構成の引き出し機構によれば、トレイに係合可能な係合部を有する引き出し部材を移動機構によって駆動させることにより、係合部がトレイに係合しながら移動してトレイを引き出し方向前方へ所定位置まで移動させるので、トレイの突出位置が、周囲の温度、駆動モータへの電圧変動、耐久等によってばらついたとしても、トレイを高精度にかつ確実に引き出すことができる。
【0008】
また、前記引き出し部材は、前記トレイの引き出し方向前方側の端部に係合可能な前記係合部を備え、前記係合部が前記トレイの移動軌跡の中に出没するように揺動される引き出しレバーであることが好ましい。
【0009】
この構成の引き出し機構によれば、係合部がトレイの移動軌跡の中に出没するように揺動されるので、引き出しレバーの係合部がトレイの引き出し方向前方側の端部に係合して引き出し方向前方へ移動し、これにより、トレイを引き出し方向前方の所定位置まで高精度にかつ確実に引き出すことができる。
【0010】
また、前記移動機構は、駆動モータと、前記引き出しレバーが取り付けられた揺動板と、前記駆動モータの回転力によって前記揺動板を揺動させながら前後方向へ移動させる駆動変換機構とを備え、前記駆動変換機構は、前記駆動モータによって回転される回転体と、この回転体の偏心位置に設けられたピンと、前記揺動板に形成された鉛直方向に沿う長孔からなる前記ピンが摺動可能に挿通された摺動孔と、前記揺動板の前端側及び後端側の両方もしくは少なくとも一方に形成され、端部へ向かって次第に上方へ傾斜した傾斜部を有するカム溝と、前記揺動板を保持するベース部材に形成されて前記カム溝に挿通された突起部とを備えることが好ましい。
【0011】
この構成によれば、駆動モータによって回転体を回転させることにより、この回転体の偏心位置に設けられたピンを揺動板の摺動孔内にて摺動させて揺動板を容易に前後方向へ移動させることができる。そして、この揺動板が前後方向に移動されると、カム溝の傾斜部を突起部が通過することにより、揺動板がその傾斜方向に沿って揺動されるので、この揺動板に取り付けられた引き出しレバーの係合部を有する前端側を上昇させて係合部をトレイに係合させることができる。
【0012】
さらに、前記引き出しレバーは、前記揺動板に対して前後方向に移動可能にかつ付勢部材によって前方側に付勢された状態に支持されていることが好ましい。
【0013】
この構成によれば、揺動板に対して引き出しレバーが前後方向に移動可能にかつ付勢部材によって前方側に付勢された状態に支持されているので、トレイが万一途中でロックした状態にて引き出しレバーの係合部がトレイに係合したとしても、揺動板に対して引き出しレバーが付勢部材の付勢力に抗して後方へ相対移動することにより、ロックしたトレイに対する無理な引き出し力の付加を回避することができ、メディア処理部及び引き出し機構の損傷を防止することができる。
【0014】
また、前記引き出しレバーは、その後端側が前記揺動板に対して回動可能にかつ付勢部材によって前端側が上方へ付勢されて前記揺動板に形成された規制片に当接して回動が規制された状態に支持されていることが好ましい。
【0015】
この構成によれば、引き出しレバーの後端側が揺動板に対して回動可能にかつ付勢部材によって前端側が上方へ付勢されて揺動板に形成された規制片に当接して回動が規制された状態に支持されているので、トレイが万一途中でロックした状態にて引き出しレバーの係合部がトレイに係合したとしても、引き出しレバーの前端を付勢部材の付勢力に抗して押し下げて回動させることにより、引き出しレバーの係合部のトレイへの係合状態を解除することができる。
【0016】
また、前記トレイは、進退方向に沿って設けられたラックに歯合されたピニオンを回転させることにより進退可能とされ、前記引き出しレバーの前記係合部は、前記トレイの前記ラックの近傍位置にて前記トレイに係合されることが好ましい。
【0017】
この構成によれば、引き出しレバーの係合部がトレイのラックの近傍位置にてトレイに係合されるので、引き出しレバーの係合部を係合させてトレイを引き出す際の引き出し力をラック近傍位置に付加することができ、これにより、トレイに対する引き出し力の付加による曲げモーメント等による応力の付与を極力抑え、トレイを円滑に引き出すことができる。
【0018】
さらに、本発明のメディア処理装置は、上記の引き出し機構によって前記メディア処理部から引き出された前記トレイに対してメディアの受け渡しを行う搬送機構を備えたことを特徴とする。
【0019】
この構成のメディア処理装置によれば、メディア処理部のトレイを高精度にかつ確実に所定位置まで引き出すことができるので、トレイの収容部に対する搬送機構によるメディアの受け渡しを高精度にかつ確実に行うことができる。これにより、メディア処理部による処理を高い信頼性にて円滑に行うことができる。
また、トレイの移動精度が多少低くても、確実にメディアの受け渡しを行うことができるので、低価格な汎用品からなるメディア処理部を用いることができ、コストを抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明に係る引き出し機構及びメディア処理装置の実施形態について図面を参照して説明する。
なお、本実施形態では、パブリッシャからなるメディア処理装置を例にとって説明する。
図1はパブリッシャ(メディア処理装置)の外観斜視図、図2はパブリッシャのケースを外した状態の前方側の斜視図、図3はパブリッシャのケースを外した状態の後方側の斜視図、図4はパブリッシャに設置されたレーベルプリンタ部分の斜視図、図5はメディアドライブの構成を説明する概略平面図、図6は搬送アームの回転方向の位置を検出する検出器を示す斜視図、図7は搬送アームの上下方向の位置を検出する検出器を示す斜視図、図8はメディアドライブ及びレーベルプリンタのメディアトレイの位置関係を示す側面図である。
【0021】
パブリッシャ1は、例えばCDあるいはDVD等の円板状のメディアへのデータの書き込みやメディアのレーベル面への印刷を行うメディア処理装置であり、ほぼ直方体形状のケース2を備えている。このケース2の前面には、左右に開閉可能な開閉扉3,4が取り付けられている。ケース2の上側左端部には、表示ランプ、操作ボタンなどが配列された操作面5が設けられており、また、ケース2の下端には、メディア排出口6が設けられている。
【0022】
正面視右側の開閉扉3は、未使用のブランクメディアMAをセットする時、あるいは作成済みメディアMBを取り出すときに開閉する扉である。
また、正面視左側の開閉扉4は、レーベルプリンタ11のインクカートリッジ12の入れ換え時に開閉するためのものであり、この開閉扉4を開けると、鉛直方向に配列された複数のカートリッジホルダ13を有するカートリッジ装着部14(図2参照)が露出するようになっている。
【0023】
図2にも示すように、メディア処理装置1のケース2の内部には、データ書き込み処理が行われていない複数枚の未使用のブランクメディアMAをスタック可能なメディア保管部としてのブランクメディアスタッカ21と、作成済みメディアMBが保管されるメディア保管部としての作成済みメディアスタッカ22が同軸状態で上下に配置されている。ブランクメディアスタッカ21及び作成済みメディアスタッカ22は、それぞれ図2に示し
た所定位置に対して着脱自在である。
【0024】
ブランクメディアスタッカ21は、左右一対の円弧状の枠板24,25を備えており、これにより、ブランクメディアMAを上側から受け入れ、同軸に積層した状態で収納可能な構成をなしている。ブランクメディアスタッカ21にブランクメディアMAを収納あるいは補充する作業は、開閉扉3を開けてスタッカを取り出すことにより、簡単に行うことが可能となっている。
【0025】
下側の作成済みメディアスタッカ22も同一構造となっており、左右一対の円弧状の枠板27,28を備えており、これによって、作成済みメディアMBを上側から受け入れ、同軸に積層した状態で収納可能なスタッカが構成されている。
【0026】
また、開閉扉3からは、作成済みメデイアMB(すなわち、データの書き込み、及びレーベル面印刷が終了したメディア)を取り出すこともできる。
【0027】
これらのブランクメディアスタッカ21及び作成済みメディアスタッカ22の後側には、メディア搬送機構31が配置されている。メディア搬送機構31は、ベース72に取り付けられている水平支持板部34上に垂直に設けられている垂直ガイド軸35を有している。この垂直ガイド軸35に搬送アーム36が昇降および旋回可能な状態で支持されている。搬送アーム36は、駆動モータ37によって垂直ガイド軸35に沿って昇降可能であるとともに、垂直ガイド軸35を中心に左右に旋回可能である。メディア搬送機構31によってメディア排出口6に搬送されてきたメディアは、このメディア排出口6から外部に取り出すことが可能である。
【0028】
上下のスタッカ21,22及びメディア搬送機構31の側方の部位には、上下に積層された2つのメディアドライブ41が配置され、これらメディアドライブ41の下側にレーベルプリンタ11の後述するキャリッジ62(図4参照)が移動可能に配置されている。
メディアドライブ41は、メディアへのデータ書き込み位置とメディアの受け取り受け渡しを行うメディア受け渡し位置との間を移動可能なメディアトレイ41aをそれぞれ有している。
【0029】
また、レーベルプリンタ11は、メディアのレーベル面へのレーベル印刷可能な位置とメディアの受け取り受け渡しを行うメディア受け渡し位置との間を移動可能なメディアトレイ51を有している。
【0030】
図2及び図3では、上側のメディアドライブ41のメディアトレイ41aが手前に引き出されてメディア受け渡し位置にある状態及び下側のレーベルプリンタ11のメディアトレイ51が奥側のレーベル印刷可能位置にある状態が示されている。また、レーベルプリンタ11はインクジェットプリンタであり、インク供給機構71として各色(本実施形態ではブラック、シアン、マゼンタ、イエロー、ライトシアン、ライトマゼンタの6色)のインクカートリッジ12が用いられ、これらのインクカートリッジ12がカートリッジ装着部14の各カートリッジホルダ13に前方から装着されている。
【0031】
ここで、ブランクメディアスタッカ21の左右一対の枠板24,25の間及び作成済みメディアスタッカ22の左右一対の枠板27,28の間には、メディア搬送機構31の搬送アーム36が昇降可能な隙間が形成されている。また、これら上下のブランクメディアスタッカ21と作成済みメディアスタッカ22との間には、メディア搬送機構31の搬送アーム36が水平に旋回して、作成済みメディアスタッカ22の真上に位置できるように隙間が開いている。さらに、メディアトレイ41aをメディアドライブ41に押し込むと、メディア搬送機構31の搬送アーム36を下降させて、メディア受け渡し位置にあるメ
ディアトレイ51にアクセス可能となっている。したがって、搬送アーム36の昇降及び左右への旋回の組み合わせ動作によって、メディアを各部に搬送することが可能とされている。
【0032】
メディアトレイ51のメディア受け渡し位置の下方には、廃棄用メディアMDを保管するための廃棄用スタッカ52が配置されており、この廃棄用スタッカ52には、例えば30枚程度の廃棄用メディアMDが保管可能とされている。メディアトレイ51が廃棄用スタッカ52の上方のメディア受け渡し位置からデータ書き込み位置へ退避した状態にてメディア搬送機構31の搬送アーム36により、廃棄用メディアMDを廃棄用スタッカ52に供給可能となっている。
【0033】
まとめると、CDあるいはDVDからなるメディアは、ブランクメディアスタッカ21、作成済みメディアスタッカ22、廃棄用スタッカ52、メディアドライブ41のメディアトレイ41a及びレーベルプリンタ11のメディアトレイ51間を、メディア搬送機構31の搬送アーム36によって搬送される。
【0034】
図2から図4にも示すように、レーベルプリンタ11は、インクジェットヘッド61を有するキャリッジ62を備えており、このキャリッジ62は、キャリッジガイド軸63に沿って、水平方向に往復移動可能に支持されている。そして、このキャリッジ62は、キャリッジガイド軸63に沿って水平に架け渡したタイミングベルト64と、これを駆動するためのキャリッジモータ65とを備えている。
【0035】
キャリッジ62に搭載されているインクジェットヘッド61は、そのノズル面が下向きとされており、インクジェットヘッド61の下側位置を、前後方向に水平にメディアトレイ51が往復移動可能となっている。メディアトレイ51は、その右側の端が、前後方向に水平に延びるガイド軸66によって支持され、その左側の端が、スライド可能な状態で、前後方向に水平に延びるガイドレール67によって支持されている。このメディアトレイ51の駆動機構も、前後方向に水平に架け渡した図示しないタイミングベルトと、これを駆動するためのトレイモータとを備えた構成となっている。
【0036】
レーベルプリンタ11は、インクカートリッジ12が装着されるカートリッジ装着部14を有するインク供給機構71を備えている。このインク供給機構71は、縦型構造を有しており、パブリッシャ1のベース72上に立設されて鉛直方向に配設されている。このインク供給機構71には、可撓性を有するインク供給チューブ73の一端が接続されており、このインク供給チューブ73の他端は、キャリッジ62に接続されている。
【0037】
そして、インク供給機構71のインクカートリッジ12のインクは、インク供給チューブ73を介してキャリッジ62に供給され、このキャリッジ62に設けられた図示しないダンパユニット及び背圧調整ユニットを経てインクジェットヘッド61に供給される。
なお、インク供給機構71には、その上部に、加圧機構74が設けられており、この加圧機構74は、インクカートリッジ12内を加圧し、インクカートリッジ12内のインクパックに貯留しているインクを送り出す。
【0038】
また、キャリッジ62のホームポジション(図4に示す位置)における下方側には、インク吸引機構81が設けられている。このインク吸引機構81は、ホームポジションに配置されたキャリッジ62の下面に露出するインクジェットヘッド61のノズルを覆うキャップ82と、インクジェットヘッド62のヘッドクリーニング動作やインク充填動作によってキャップ82に排出された廃インクを吸引する廃インク吸引ポンプ83とを備えている。
【0039】
そして、このインク吸引機構81の廃インク吸引ポンプ83によって吸引された廃インクは、チューブ84を介して、廃インク吸収タンク85へ送り込まれる。
この廃インク吸収タンク85は、ケース86内に図示しない吸収材を配設したもので、その上面は、複数の通気孔87を有するカバー88によって覆われている。
廃インク吸引機構81の下方には、廃インク吸収タンク85の一部である廃インク受け部89が設けられ、廃インク吸引機構81から滴下した廃インクを受け止め、吸収材によって吸収するようになっている。
【0040】
メディアトレイ51は、矩形の板の上面に、メディアの外周端面と当接してメディアの移動を規制するための円形の低い凸部51aを備えている。
また、この凸部51aの中心部には、同心円上において120度間隔に配置された図示
せぬ3本の垂直爪を備えている。3本の垂直爪は、半径方向に一体となって移動可能であり、メディアトレイ51がメディア受け渡し位置に移動すると不図示のカム機構により半径内側方向に移動する構造となっている。
【0041】
メディア受け渡し位置において、メディアを、そのレーベルなどが印刷されるレーベル面を上向きにして、上から凸部51aの内側に落とすと、メディアのセンターホールに3本の垂直爪が差し込まれた状態になる。この後に、図示せぬトレイモータを駆動して、メディアトレイ51をガイド軸66に沿って後ろ側に移動させると、前述のカムの作用により3本の垂直爪が半径方向の外方に僅かに移動し、これら3本の垂直爪がメディアのセンターホールの内周面に内側から押し付けられた状態になる。これにより、メディアがメディアトレイ51に保持される。引き続きインクジェットヘッド61の印字領域内まで移動させれば、インクジェットヘッド61によって、メディアのレーベル面に所定の印刷を施すことができる。
【0042】
前述したように、メディアドライブ(メディア処理部)41は、図5に示すように、進退可能なメディアトレイ(トレイ)41aを有しており、このメディアトレイ41aの表面に形成された円形の収容凹部41bにメディア(以下、総称してメディアMという)が収容される。このメディアトレイ41aは、ラック・ピニオンによって進退されるもので、突出方向前方の端部に端面板41cを有している。具体的には、このメディアトレイ41aには、一側部近傍に、進退方向に沿うラック41dが形成されており、このラック41dに噛み合わされた図示しないピニオンが駆動モータによって回転されることにより進退される。
【0043】
そして、これらメディアドライブ41は、メディアトレイ41aを突出させた状態にて、搬送アーム(搬送機構)36によるメディアMの受け渡しが行われる。このメディアドライブ41におけるメディアトレイ41aでのメディアMの受け渡し位置は、レーベルプリンタ11のメディアトレイ51における搬送アーム36によるメディアMの受け渡し位置及び廃棄用スタッカ52へのメディアのリリース位置と平面視にて一致した位置とされており、この位置が基準の受け渡し位置とされている。
【0044】
図6に示すように、メディア搬送装置31を構成するシャーシ32の下端には、駆動モータ110の駆動力が伝達歯車111を介して伝達される扇状歯車112が、垂直ガイド軸35を中心として回動可能に設けられている。これにより、シャーシ32の上端に設けられた搬送アーム36は、駆動モータ110によって扇状歯車112が回動されることにより、垂直ガイド軸35を中心に回動される。
【0045】
また、下方側の水平支持板部34には、扇状歯車112の外縁における端部をそれぞれ検出する光学式の回転HP検出器113及びスタッカ位置検出器114が設けられており、これら回転HP検出器113及びスタッカ位置検出器114は、搬送アーム36の水平
面内における位置を検出する。
【0046】
ここで、回転HP検出器113は、搬送アーム36の水平面内における位置が、ドライブ41のメディアトレイ41aとのメディアMの受け渡し位置、レーベルプリンタ11のメディアトレイ51とのメディア受け渡し位置及び廃棄用スタッカ52へのメディアMのリリース位置に配置されていることを検出する。
また、他方のスタッカ位置検出器114は、搬送アーム36の水平面内における位置が、ブランクメディアスタッカ21とのメディアMの受け渡し位置及び作成済みメディアスタッカ22とのメディア受け渡し位置に配置されていることを検出する。
【0047】
図7に示すように、メディア搬送装置31を構成するシャーシ32の上端近傍及び中間部には、光学式の上下HP検出器121及び中間位置検出器122が設けられており、これら上下HP検出器121及び中間位置検出器122は、搬送アーム36の上下方向における位置を検出する。
上端近傍の上下HP検出器121は、搬送アーム36が、ブランクメディアスタッカ21の上方位置に配置されていることを検出する。また、中間位置検出器122は、搬送アーム36が、ブランクメディアスタッカ21と作成済みメディアスタッカ22との間の中間位置に配置されていることを検出する。
【0048】
ここで、図8に示すように、レーベルプリンタ11では、メディアトレイ51を移動させながら印刷処理を行うため、タイミングベルトを用いた高精度な駆動機構を有している。このため、このレーベルプリンタ11のメディアトレイ51は、搬送アーム36によるメディアMの基準の受け渡し位置へ高精度に配置させることが可能である。
【0049】
これに対して、メディアドライブ41のメディアトレイ41aは、メディアMの出し入れだけのために進退されるので、比較的精度の低いラック・ピニオンによって移動させる構造とされている。したがって、このメディアドライブ41のメディアトレイ41aは、引き出されたときの停止位置が、周囲の温度、駆動モータへの電圧変動、耐久等によってばらつくことがある。特に、突出量が少なすぎると、メディアトレイ41aの収容凹部41bの一部が平面視にてメディアドライブ41のケースの縁部とラップしてしまい、搬送アーム36を昇降させてメディアトレイ41aに対してメディアMを受け渡しする際に、メディアMがメディアドライブ41のケースに干渉してしまう。
【0050】
このため、上記パブリッシャ1では、メディアドライブ41から突出されたメディアトレイ41aを、さらに引き出して所定の位置に配置させる引き出し機構を備え、メディアトレイ41aの突出量を若干少なくしておき、メディアトレイ41aの突出後に引き出し機構によって所定位置まで引き出す。
【0051】
次に、この引き出し機構について説明する。
図9は引き出し機構を説明するメディアドライブの前方側における下方から視た斜視図、図10は引き出し機構の構造を説明する分解斜視図、図11は引き出し機構の構造を説明するカバー部材を外した状態の概略正面図、図12は引き出し機構を構成する揺動板及び引き出しレバーの側面図、図13は引き出し機構の構造を説明する裏面図、図14は引き出し機構の動きを説明するカバー部材を外した状態の概略正面図、図15及び図16は引き出し機構の動きを説明する揺動板及び引き出しレバーの側面図である。
【0052】
図9に示すように、引き出し機構130は、メディアドライブ41の前方側における一側部に配置されており、インク供給機構71のカートリッジ装填部14の側部を覆う側板131に取り付けられている。
この引き出し機構130は、各メディアドライブ41に対応する上下二段の引き出し機
構部132A,132Bを備えており、これら引き出し機構部132A,132Bが、メディアドライブ41から前方へ突出されたメディアトレイ41aを、さらに引き出して所定の位置に配置させる。
【0053】
図10及び図11に示すように、引き出し機構130は、一対の凹部141A,141Bを有するベース部材142及び一対の凹部143A,143Bを有するカバー部材144を備えており、ベース部材142に対してカバー部材144が被せられて取り付けられている。そして、これらベース部材142の凹部141A,141B及びカバー部材144の凹部143A,143Bから、引き出し機構部132A,132Bの収容空間145A,145Bが形成されている。
【0054】
ベース部材142の凹部141A,141Bには、平面視円形のギア収容凹部151が形成されており、このギア収容凹部151には、連動ギア(回転体)152が収容されている。この連動ギア152には、その中心に挿通孔153が形成されており、この挿通孔153には、ギア収容凹部151の中心に立設された支持軸154が挿通され、これにより、ギア収容凹部151内にて連動ギア152が回転可能に支持されている。また、連動ギア152には、中心から偏心した位置に、ピン155が形成されている。
【0055】
また、ベース部材142の凹部141A,141Bには、揺動板161が配設されている。この揺動板161には、長さ方向の中間部分に、鉛直方向に沿う長孔からなる摺動孔162が形成されており、この摺動孔162には、連動ギア152のピン155が挿通されている。この揺動板161には、メディアトレイ41aの引き出し方向前方側の前端及び引き出し方向後方側の後端(以下、前端、後端と称す)の近傍に、それぞれカム溝163,164が形成されている。
【0056】
前端側に形成されたカム溝163は、中央側から前端へ向かって上方へ傾斜する傾斜部163aを有し、後端側に形成されたカム溝164は、中央側から後端へ向かって上方へ傾斜する傾斜部164aを有している。そして、この揺動板161のそれぞれのカム溝163,164には、ベース部材142の凹部141A,141Bを構成する底面における前端側及び後端側に形成された突起部165,166が挿通されている。
【0057】
また、図12に示すように、揺動板161には、上方へ突出する係合部171が前端部に形成された引き出しレバー172が取り付けられており、この引き出しレバー172の係合部171が、メディアトレイ41aの移動軌跡の中に内に進出し、メディアトレイ41aの一側部近傍に形成されたラック41dの近傍における端面板41cの裏面に係合するようになっている。
【0058】
この引き出しレバー172には、その後端における上方側の角部に、前後方向に沿う長孔からなる連結孔173が形成されており、この連結孔173には、揺動板161の後端における上方側に形成された連結ピン174が挿通され、これにより、引き出しレバー172は、揺動板161に対して前後に移動可能かつ連結ピン174を中心として回動可能に支持されている。この引き出しレバー172には、その後端における下方側に、係止部175が形成されており、この係止部175には、引っ張りバネ(付勢部材)176の一端が連結されている。
【0059】
また、揺動板161の中間部における下方側にも係止部177が形成されており、引き出しレバー172の係止部175に連結された引っ張りバネ176の他端が連結されている。これにより、引き出しレバー172は、引っ張りバネ176の付勢力によって、揺動板161に対して前端側へ付勢され、これにより、連結ピン174が連結孔173の後端側に当接された状態に維持され、さらに、この連結ピン174と連結孔173との当接箇
所を中心として、前端側が上方へ向かって回動するように付勢されている。
【0060】
なお、揺動板161には、その上縁部に、引き出しレバー172側へ突出する規制片178が形成されており、前端側が上方へ向かって回動するように付勢された引き出しレバー172が規制片178に当接することにより、この引き出しレバー172の回動が規制されている。
また、揺動板161には、引き出しレバー172側へ突出する揺動可能な係止ピン179が形成されており、この係止ピン179が、引き出しレバー172の揺動板161側に形成された溝部(図示略)に係合することにより、この係止ピン179によっても引き出しレバー172の前方側への移動が規制されている。
【0061】
図13に示すように、引き出し機構130のベース部材142には、その裏面側に、駆動モータ181、駆動側複合ギア182及び従動側複合ギア183が取り付けられている。
駆動モータ181には、その回転軸181aに、駆動ギア184が固定されている。駆動側複合ギア182は、減速ギア185とウォーム186とを有しており、支持ピン187によって駆動モータ181の回転軸181aと平行な軸線を中心として回転可能に支持されている。そして、この駆動側複合ギア182は、その減速ギア185に駆動ギア184が歯合され、駆動モータ181の回転軸181aの回転力が伝達されて回転される。
【0062】
従動側複合ギア183は、ウォームホイール188と平歯車189とを有しており、その軸線が駆動側複合ギア182の軸線と直交するように配設されている。この従動側複合ギア183は、そのフォームホイール188に駆動側複合ギア182のウォーム186が歯合されており、これにより、駆動側複合ギア182の回転力が伝達されて回転される。
【0063】
従動側複合ギア183は、ベース部材142の裏面における引き出し機構部132A,132Bの各連動ギア152の間に配置されており、ギア収容凹部151に形成された窓部151aにて一部が露出された連動ギア152に、平歯車189が歯合されている。これにより、従動側複合ギア183が回転すると、その回転力が上下のそれぞれの連動ギア152に伝達され、これら連動ギア152が同一方向に回転される。
【0064】
また、ベース部材142の裏面には、スイッチ191が設けられている。このスイッチ191には、作動棒192が設けられている。そして、このセンサ191では、従動側複合ギア183が所定の回転位置となった時点にて、その中心部分に設けられた作動凸部183aが作動棒192に当接し、作動棒192が倒されてOFFとされ、駆動モータ181への駆動電流の供給が停止される。
【0065】
次に、搬送アーム36のメディアドライブ41のメディアトレイ41aに対するメディアMの受け渡し動作について説明する。
メディアMの受け渡し対象となるいずれか一方のメディアドライブ41でのメディアMの受け渡し動作が開始されると、メディアドライブ41のトレイ駆動機構の駆動モータが駆動し、ラック・ピニオンによってメディアトレイ41aが突出され、これと略同時に引き出し機構130の駆動が開始される。
【0066】
引き出し機構130では、駆動モータ181が駆動し、その回転軸181aの回転力が、駆動側複合ギア182を介して従動側複合ギア183に伝達されて図11及び図13中矢印イ方向へ回転される。すると、この従動側複合ギア183の回転力が、各引き出し機構部132A,132Bのそれぞれの連動ギア152に伝達され、これら連動ギア152が図11中矢印ロ方向へ回転される。この連動ギア152が回転されると、後方位置に配置されていた連動ギア152のピン155が揺動板161の摺動孔162内を摺動しなが
ら偏心運動することにより、揺動板161が前方へ押し出される。
【0067】
前方へ押し出される揺動板161は、カム溝163,164に挿通されたベース部材142側の突起部165,166がカム溝163,164の傾斜部163a,164aを通過することにより、前端側が上昇されるとともに後端側が下降される。
これにより、図14に示すように、揺動板161に取り付けられた引き出しレバー172が揺動板161とともに揺動することにより、その前端側の係合部171をメディアトレイ41aの移動軌跡の中に進出させるよう上方へ突出させながら前方へ移動し、既に若干少ない突出量にて突出されたメディアトレイ41aの一側部近傍に形成されたラック41dの近傍における端面板41cの裏面に係合部171が係合する。これにより、メディアトレイ41aは、引き出しレバー172によって前方へ引き出される。
【0068】
このとき、メディアドライブ41のメディアトレイ41aが不測の要因によってロックしていると、図15に示すように、このメディアトレイ41aの端面板41cに係合部171が係合しているレバー172が引っ張りバネ176の付勢力に抗して長孔からなる連結孔173に沿って揺動板161に対して相対的に後方(図15中矢印ハ方向)へ移動する。これにより、ロックしたメディアトレイ41aに対する無理な引き出し力の付加を回避することができ、メディアドライブ41及び引き出し機構130の損傷を防止できる。
【0069】
また、このようにメディアドライブ41のメディアトレイ41aがロックした場合、その旨がエラー表示によってユーザに知らされる。そして、この場合、ユーザは、図16に示すように、ロックしたメディアトレイ41aに係合部171が係合している引き出しレバー172の前端を、引っ張りバネ176の付勢力に抗して押し下げ、連結ピン174を中心として引き出しレバー172を図16中矢印ニ方向へ回動させる。このようにすると、引き出しレバー172の係合部171のメディアトレイ41aへの係合状態を解除することができ、メディアトレイ41aを手動にて押し込むことが可能となる。
【0070】
連動ギア152が180度回転し、ピン155が前方位置に到達すると、揺動板161の前方への移動が停止され、引き出しレバー172によるメディアトレイ41aの引き出しが終了し、その時点にて、メディアトレイ41aが、搬送アーム36による受け渡し位置である所定位置に配置され、搬送アーム36による収容凹部41bに対するメディアMの受け渡しが可能とされる。
【0071】
その後、さらに連動ギア152が回転されることにより、連動ギア152のピン155が揺動板161の摺動孔162内を摺動しながら前方位置から後方へ移動すると、揺動板161が後方へ引き込まれる。後方へ引き込まれる揺動板161は、カム溝163,164に挿通されたベース部材142側の突起部165,166がカム溝163,164の傾斜部163a,164aを通過することにより、前端側が下降されるとともに後端側が上昇される。これにより、この揺動板161に取り付けられた引き出しレバー172が揺動板161とともに揺動することにより、その前端側の係合部171をメディアトレイ41aの移動軌跡から退避させるよう下降させながら後方へ移動し、メディアトレイ41aの前端の端面板41cの裏面への係合部171の係合が解除される。
【0072】
連動ギア152がさらに回転し、ピン155が後方位置に到達すると、従動側複合ギア183の作動凸部183aが作動棒192に当接し、作動棒192が倒されてOFFとされて駆動モータ181が停止され、引き出し機構130の各引き出し機構部132A,132Bでは、引き出しレバー172が後方へ引き込まれ、係合部171が下降された待機状態とされる。
【0073】
なお、上記の引き出し機構130は、各引き出し機構部132A,132Bにて同様の
動作を行う。つまり、パブリッシャ1では、上段のメディアドライブ41あるいは下段のメディアドライブ41のいずれか一方にてメディアトレイ41aの引き出し動作が行われるが、引き出し機構部132A,132Bは、上段のメディアドライブ41のメディアトレイ41aを引き出す場合及び上段のメディアドライブ41のメディアトレイ41aを引き出す場合にてそれぞれ動作する。
【0074】
以上、説明したように、上記実施形態に係る引き出し機構によれば、メディアトレイ41aの引き出し方向前方側の端部に係合可能な係合部171を有する引き出しレバー172を揺動させることにより係合部171を上昇させてメディアトレイ41aに係合させるとともにメディアトレイ41aの引き出し方向前方へ所定位置まで移動させるので、メディアトレイ41aの突出位置が、周囲の温度、駆動モータへの電圧変動、耐久等によってばらついたとしても、メディアトレイ41aを高精度にかつ確実に引き出すことができる。
【0075】
具体的には、駆動モータ181によって連動ギア152を回転させることにより、この連動ギア152の偏心位置に設けられたピン155を揺動板161の摺動孔162内にて摺動させて揺動板161を容易に前後方向へ移動させることができる。そして、この揺動板161が前後方向に移動されると、カム溝163,164の傾斜部163a,164aを突起部165,166が通過することにより、揺動板161がその傾斜方向に沿って揺動されるので、この揺動板161に取り付けられた引き出しレバー172の係合部171を有する前端側を上昇させて係合部171をメディアトレイ41aに係合させることができる。これにより、メディアトレイ41aを高精度にかつ確実に引き出すことができる。
【0076】
さらに、揺動板161に対して引き出しレバー172が前後方向に移動可能にかつ引っ張りバネ176によって前方側に付勢された状態に支持されているので、メディアトレイ41aが万一途中でロックした状態にて引き出しレバー172の係合部171がメディアトレイ41aに係合したとしても、揺動板161に対して引き出しレバー172が引っ張りバネ176の付勢力に抗して後方へ相対移動することにより、ロックしたメディアトレイ41aに対する無理な引き出し力の付加を回避することができ、メディアドライブ41及び引き出し機構130の損傷を防止することができる。
【0077】
また、引き出しレバー172の後端側が揺動板161に対して回動可能にかつ引っ張りバネ176によって前端側が上方へ付勢されて揺動板161に形成された規制片178に当接して回動が規制された状態に支持されているので、メディアトレイ41aが万一途中でロックした状態にて引き出しレバー172の係合部171がメディアトレイ41aに係合したとしても、引き出しレバー172の前端を引っ張りバネ176の付勢力に抗して押し下げて回動させることにより、引き出しレバー172の係合部171のメディアトレイ41aへの係合状態を解除することができる。
【0078】
また、引き出しレバー172の係合部171がメディアトレイ41aのラック41dの近傍位置にてメディアトレイ41aに係合されるので、引き出しレバー172の係合部171を係合させてメディアトレイ41aを引き出す際の引き出し力をラック41dの近傍位置に付加することができ、これにより、メディアトレイ41aに対する引き出し力の付加による曲げモーメント等による応力の付与を極力抑え、メディアトレイ41aを円滑に引き出すことができる。
【0079】
そして、上記の引き出し機構を備えたパブリッシャ1からなるメディア処理装置によれば、メディアドライブ41のメディアトレイ41aを高精度にかつ確実に所定位置まで引き出すことができるので、メディアトレイ41aの収容凹部41bに対する搬送アーム36によるメディアMの受け渡しを高精度にかつ確実に行うことができる。これにより、メ
ディアドライブ41aによる処理を高い信頼性にて円滑に行うことができる。
また、メディアトレイ41aの移動精度が多少低くても、確実にメディアMの受け渡しを行うことができるので、低価格な汎用品からなるメディアドライブ41を用いることができ、コストを抑えることができる。
【0080】
なお、上記実施形態では、メディアドライブ41のメディアトレイ41aに対するメディアMの受け渡し箇所に適用したが、本発明は、データを書き込むメディアドライブ41に限らず、メディアMのレーベル面に印刷を施すレーベルプリンタ11におけるメディアトレイ51に対するメディアMの受け渡し箇所に適用しても良い。
更には、トレイの収容部を凹部状のものを用いて説明したが、これに限るものではなく、メディアを爪で保持するものであっても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】パブリッシャ(メディア処理装置)の外観斜視図である。
【図2】パブリッシャのケースを外した状態の前方側の斜視図である。
【図3】パブリッシャのケースを外した状態の後方側の斜視図である。
【図4】パブリッシャに設置された記録装置部分の斜視図である。
【図5】メディアドライブの構成を説明する概略平面図である。
【図6】搬送アームの回転方向の位置を検出する検出器を示す斜視図である。
【図7】搬送アームの上下方向の位置を検出する検出器を示す斜視図である。
【図8】メディアドライブ及びレーベルプリンタのメディアトレイの位置関係を示す側面図である。
【図9】引き出し機構を説明するメディアドライブの前方側における下方から視た斜視図である。
【図10】引き出し機構の構造を説明する分解斜視図である。
【図11】引き出し機構の構造を説明するカバー部材を外した状態の概略正面図である。
【図12】引き出し機構を構成する揺動板及び引き出しレバーの側面図である。
【図13】引き出し機構の構造を説明する裏面図である。
【図14】引き出し機構の動きを説明するカバー部材を外した状態の概略正面図である。
【図15】引き出し機構の動きを説明する揺動板及び引き出しレバーの側面図である。
【図16】引き出し機構の動きを説明する揺動板及び引き出しレバーの側面図である。
【符号の説明】
【0082】
1…パブリッシャ(メディア処理装置)、36…搬送アーム(搬送機構)、41…メディアドライブ(メディア処理部)、41a…メディアトレイ(トレイ)、41b…収容凹部(収容部)、41d…ラック、130…引き出し機構、152…連動ギア(回転体,駆動変換機構)、155…ピン(駆動変換機構)、161…揺動板(移動機構)、162…摺動孔(駆動変換機構)、163,164…カム溝(駆動変換機構)、163a,164a…傾斜部(駆動変換機構)、165,166…突起部(駆動変換機構)、171…係合部、172…引き出しレバー、176…引っ張りバネ(付勢部材)、181…駆動モータ(移動機構)、M…メディア。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メディアを保持する収容部を有する進退可能なトレイと、
このトレイと係合可能な係合部を有する引き出し部材と、
この引き出し部材を駆動することにより前記係合部を移動させて前記トレイに係合させるとともに前記トレイの引き出し方向前方へ所定位置まで移動させる移動機構とを備えたことを特徴とする引き出し機構。
【請求項2】
前記引き出し部材は、前記トレイの引き出し方向前方側の端部に係合可能な前記係合部を備え、前記係合部が前記トレイの移動軌跡の中に出没するように揺動される引き出しレバーであることを特徴とする請求項1記載の引き出し機構。
【請求項3】
前記移動機構は、駆動モータと、前記引き出しレバーが取り付けられた揺動板と、前記駆動モータの回転力によって前記揺動板を揺動させながら前後方向へ移動させる駆動変換機構とを備え、
前記駆動変換機構は、前記駆動モータによって回転される回転体と、この回転体の偏心位置に設けられたピンと、前記揺動板に形成された鉛直方向に沿う長孔からなる前記ピンが摺動可能に挿通された摺動孔と、前記揺動板の前端側及び後端側の両方もしくは少なくとも一方に形成され、端部へ向かって次第に上方へ傾斜した傾斜部を有するカム溝と、前記揺動板を保持するベース部材に形成されて前記カム溝に挿通された突起部とを備えることを特徴とする請求項2に記載の引き出し機構。
【請求項4】
前記引き出しレバーは、前記揺動板に対して前後方向に移動可能にかつ付勢部材によって前方側に付勢された状態に支持されていることを特徴とする請求項3に記載の引き出し機構。
【請求項5】
前記引き出しレバーは、その後端側が前記揺動板に対して回動可能にかつ付勢部材によって前端側が上方へ付勢されて前記揺動板に形成された規制片に当接して回動が規制された状態に支持されていることを特徴とする請求項2または請求項4に記載の引き出し機構。
【請求項6】
前記トレイは、進退方向に沿って設けられたラックに歯合されたピニオンを回転させることにより進退可能とされ、前記引き出しレバーの前記係合部は、前記トレイの前記ラックの近傍位置にて前記トレイに係合されることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の引き出し機構。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の引き出し機構によって前記メディア処理部から引き出された前記トレイに対してメディアの受け渡しを行う搬送機構を備えたことを特徴とするメディア処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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