説明

引き戸の戸先での指挟み防止機構

【課題】戸先での指挟み事故の発生を確実に防ぐことができる引き戸の戸先での指挟み防止機構を提供する。
【解決手段】進退作動体3と、永久磁石4と、進出ストッパー3e,3fと、後退ストッパー5と、バネ6と、解除操作部5cとが備えられ、サッシ1を開いていくと、永久磁石4が進退作動体3を縦枠2のがわに進出させていき、進出ストッパー3e,3fによる進退作動体3の進出阻止状態と、後退ストッパー5による進退作動体3の後退阻止状態とが形成されて、指挟みが防止されるようになされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、引き戸の戸先での指挟み防止機構に関する。
【背景技術】
【0002】
引き戸の戸先での指挟みを防止するための機構として、ダンパーによる減衰力を障子の減速に使用するようにしたダンパー式のものや、障子を固定物に衝突させることで障子の動きを止めるようにしたストッパー式のものなどが、従来より知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−139241号公報
【特許文献2】特開2004−124462号公報
【特許文献3】特開2001−220934号公報
【特許文献4】特開2006−138181号公報
【特許文献5】特開2009−57737号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前者のダンパー式では、ダンパーやバネ、ギアなどが必要となって機構が複雑で高価なものになってしまうという問題があった。特に、アルミニウム等の金属からなる引き違い掃き出しサッシのように障子の重量が大きい場合は、ダンパーによる減速を効かせにくいという問題もある。
【0005】
また、後者のストッパー式では、ストッパーが機能できる作動状態と、それが解除された作動解除状態との間での切換えのうち、作動解除状態から作動状態への切換えが必要なときに確実に行われるとは限らない機構となっているため、指を戸先がわで挟み込んでしまうおそれがないとはいえないという問題がある。特に、上記引き違い掃き出しサッシのように障子の重量が大きい場合は、動作のこのような不確実性が大きな事故を招いてしまうことにつながりやすい。
【0006】
更に、後者のストッパー式では、作動状態から作動解除状態への切換えの操作が煩雑で、スムーズに行えないという問題もあった。
【0007】
本発明は、上記のような問題点に鑑み、戸先での指挟み事故の発生を確実に防ぐことができる引き戸の戸先での指挟み防止機構を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題は、引き戸のがわに設けられ、該引き戸の戸先から、該戸先と対向する縦枠がわに進出可能であると共に、進出状態から引き戸の戸先がわに後退可能な進退作動体と、
閉じられた前記引き戸の戸先が前記縦枠から離れて引き戸が開かれていくと、前記進退作動体を、それに連動させて、引き戸の戸先から縦枠がわに進出させていく進出作動手段と、
前記進退作動体が、指挟み防止可能な寸法、引き戸の戸先から進出すると、それ以上の進出を阻止するが、後退は阻止しない、進出ストッパーと、
該進出ストッパーによる進出阻止状態において、前記進退作動体の後退を、後退阻止位置に位置して阻止すると共に、該後退阻止位置から動いて阻止解除位置に位置することにより後退阻止状態を解除する後退ストッパーと、
該後退ストッパーに対し、阻止解除位置から後退阻止位置へと付勢力を付与して該付勢力により後退ストッパーを後退阻止位置に保持する付勢手段と、
該後退ストッパーによる進出作動体の後退阻止状態を、前記付勢手段による付勢力に抗し、後退ストッパーを後退阻止位置から阻止解除位置に動かして解除操作するための解除操作部と、
が備えられ、
進退作動体を縦枠がわに進出させていく前記進出作動手段による進出力によって、前記進出ストッパーによる進退作動体の進出阻止状態と、前記後退ストッパーによる進退作動体の後退阻止状態とが形成されるようになされていると共に、
前記解除操作部に対する操作によって後退ストッパーによる進出作動体の後退阻止を解除した状態で、引き戸を閉じていくと、進退作動体は、その先端部が縦枠のがわに当接し押し動かされて引き戸の戸先がわに後退していくようになされていることを特徴とする、引き戸の戸先での指挟み防止機構によって解決される(第1発明)。
【0009】
この機構では、閉じられた引き戸の戸先が縦枠から離れて引き戸が開かれていくと、進出作動手段が、進退作動体を、連動させて、引き戸の戸先から縦枠がわに進出させていき、該進出作動手段による進出力によって、進出ストッパーによる進退作動体の進出阻止状態と、後退ストッパーによる進退作動体の後退阻止状態とが形成されるようになされているので、特別な操作をしなくとも、閉じられた引き戸を開いていく操作をするだけで、進退作動体が進出状態で両ストッパーによりロックされた状態が形成されて、戸先での指挟み事故の発生を確実に防ぐことができる。
【0010】
第1発明において、前記引き戸が、金属製の引き違い掃き出しサッシからなる場合は(第2発明)、大きな事故となってしまいやすい戸先での指挟みを、確実に防ぐことができる。
【0011】
第1,第2発明において、前記進出作動手段が、縦枠のがわに備えられた磁石からなり、前記進退作動体が該磁石の吸引力を受けて縦枠がわに進出作動していくことによって、進出ストッパーによる進退作動体の進出阻止状態と、後退ストッパーによる進退作動体の後退阻止状態とが形成されるようになされているとよい(第3発明)。
【0012】
この場合は、縦枠がわへの進退作動体の進出作動と、両ストッパーによる進退作動体の進退阻止状態の形成を、磁石の吸引力によって、確実かつ信頼性高く行わせることができ、しかも、それを磁石を組み込んだ簡素な構造により実現をことができる。
【0013】
第2発明において、引き戸開の方向に動かされることによって引き戸に開方向へのアシスト力が付与されるようになされたアシスト機構のアシスト操作部と、
該アシスト操作部の前記動作を、進退作動体の縦枠がわへの進出動作に変換する伝動機構と
が備えられ、これらアシスト操作部と伝動機構とを前記進出作動手段とし、前記進退作動体が、アシスト操作部を引き戸開の方向に動かして縦枠がわに進出作動していくことによって、進出ストッパーによる進退作動体の進出阻止状態と、後退ストッパーによる進退作動体の後退阻止状態とが形成されるようになされているとよい(第4発明)。
【0014】
この場合は、アシスト機構の備えられたサッシにおいて、縦枠がわへの進退作動体の進出作動と、両ストッパーによる進退作動体の進退阻止状態の形成を、確実かつ信頼性高く行わせることができ、しかも、それをアシスト機構を構成する部材を利用した簡素な構造により実現をことができる。
【0015】
第1〜第4発明において、前記解除操作部に対する操作力付与の向きが、引き戸を閉じさせていくために付与される力の向きと一致するように設定されているとよい(第5発明)。
【0016】
この場合は、このように力の向きが一致するよう設定されていることによって、両ストッパーによって形成された進出状態における進退作動体の進退阻止状態解除のための操作を、引き戸を閉じさせていく操作との組み合わせにおいて、容易に行っていくことができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の、引き戸の戸先での指挟み防止機構は、以上のとおりのものであるから、戸先での指挟み事故の発生を確実に防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1実施形態の指挟み防止機構を示すもので、図(イ)〜図(ハ)は、サッシを開いていく過程を順次に示す一部断面正面図である。
【図2】図(イ)及び図(ロ)は指挟みが防止される過程を順次に示す一部断面正面図である。
【図3】図(イ)〜図(ハ)はサッシを閉めきっていく過程を順次に示す一部断面正面図である。
【図4】第2実施形態の指挟み防止機構を示すもので、図(イ)及び図(ロ)は、サッシを開いていく過程を順次に示す一部断面正面図である。
【図5】図(イ)及び図(ロ)は指挟みが防止される過程を順次に示す一部断面正面図である。
【図6】図(イ)〜図(ハ)はサッシを閉めきっていく過程を順次に示す一部断面正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0020】
第1実施形態の指挟み防止機構を示す図1〜第3において、1は引き戸としての、アルミニウム等の金属製の引き違い掃き出しサッシであり、該サッシ1の戸先と対向するように、サッシ枠を構成する縦枠2が備えられ、サッシ1のがわに進退作動体3が設けられている。
【0021】
進退作動体3は、上下のリンク3a,3bを用いて構成されており、これら上下のリンク3a,3bは、その一端部同士が、第1ピン3cによりサッシ1と直交する水平軸線回りで回転可能に枢結されていると共に、下リンク3bの他端部が、サッシ1のがわに、第2ピン3dによりサッシ1と直交する水平軸線回りで回転可能に枢結され、また、上リンク3aの長さ方向中間部に設けられた第1軸部3eが、サッシ1のがわに第2ピン3dよりも上方に位置して上下方向に延びるように設けられた長孔3fに、回転可能であって長孔に沿って移動可能に挿入保持されている。
【0022】
これにより、図1(イ)に示すように、上リンク3aの前記一端部が上、他端部が下、下リンク3bの前記一端部が上、他端部が下に位置して、第1軸部3eが長孔3f内の下端部に位置した状態となって、サッシ1の戸先のがわに後退した状態が形成されるようになされている。
【0023】
また、その状態から、上下のリンク3a,3bを、図1(ロ)に示すように、それらの前記一端部が縦枠2のがわに傾倒していくように回転させていき、第1軸部3eが長孔3f内の上端部に達して第1軸部3eがそれ以上上方に変位するのが規制された状態になると、その規制が、進出ストッパーの働きをして、上リンク3aが前記一端部のがわに向けて斜め上方を向き、下リンク3bも前記一端部のがわに向けて斜め上方を向いた状態となって、縦枠2のがわに進出した状態、即ち、前記進退作動体3が、指挟み防止可能な寸法、サッシ1の戸先から進出して、それ以上の進出は阻止されるが、該進出ストッパーによっては、後退は阻止されない状態が形成されるようになされている。
【0024】
また、このように、上リンク3aが前記一端部のがわに向けて斜め上方を向き、下リンク3bも前記一端部のがわに向けて斜め上方を向いた状態となって、進出した状態が形成されることで、図3(ロ)(ハ)に示すように、サッシ1を閉じていくと、進退作動体3は、その先端部である、上下のリンク3a,3bの一端部同士の枢結部が、縦枠2のがわに当接し、押し動かされて、サッシ1の戸先がわに後退していくようになされている。
【0025】
本実施形態では、進出作動手段として、縦枠2のがわに、磁石としての永久磁石4が設けられ、閉じられたサッシ1の戸先が縦枠2から離れてサッシ1が開かれていくと、この永久磁石4が、進退作動体3における上下のリンク3a,3b同士の枢結部を磁石吸引して、進退作動体3を、サッシ1の戸先から縦枠2のがわに進出させていく働きをするようになされている。
【0026】
そして、5が後退ストッパーであり、該後退ストッパー5は、上下方向を向くレバー状をしていて、サッシ1のがわにおいて、上下のリンク3a,3bの背後に位置して備えられ、中間部が第3ピン5aによりサッシ1と直交する水平軸線回りで回転可能に枢結され、第3ピン5aを挟む上がわ部分を阻止係合部5bとし、第3ピン5aを挟む下がわ部分を解除操作部5cとし、進出ストッパーによる図1(ロ)(ハ)に示すような進出阻止状態において、進退作動体3の後退を、同図に示すような後退阻止位置に位置して、上リンク3aの他端部と係合することによって阻止し、該後退阻止位置から回転して図3(ロ)(ハ)に示すような阻止解除位置に位置することにより後退阻止状態を解除するようになされている。
【0027】
また、該後退ストッパー5に対し、図3(ロ)(ハ)に示すような阻止解除位置から図1(ロ)(ハ)に示すような後退阻止位置へと付勢力を付与し、該付勢力により後退ストッパー5を図1(ロ)(ハ)に示すような後退阻止位置に保持する付勢手段としてのバネ6が備えられ、該バネ6の付勢力に抗して、後退ストッパー5の解除操作部5cを押して、図3(ロ)(ハ)に示すように、後退ストッパー5を後退阻止位置から阻止解除位置に回転させると、後退阻止状態が解除され、後退ストッパー5の解除操作部5cをフリーにすると、後退ストッパー5はバネ6の付勢力で阻止解除位置から後退阻止位置に復帰回転するようになされている。
【0028】
ここに、解除操作部5cに対する操作力付与の向きは、図3(ロ)(ハ)に示すように、サッシ1を閉じさせていくために付与される力の向きと一致するように設定されている。
【0029】
そして、進退作動体3を縦枠2のがわに進出させていく永久磁石4の吸引力による進出力によって、進出ストッパー3e,3f…による進退作動体3の進出阻止状態が形成されると共に、上リンク3aの他端部が後退ストッパー5の阻止係合部5bをバネ6の付勢力に抗して動かし越えることで、後退ストッパー5による進退作動体3の後退阻止状態が形成されるようになされている。
【0030】
上記の機構では、図1(イ)〜(ハ)に示すように、閉じられたサッシ1を開いていき、該サッシ1の戸先を縦枠2から離していくと、永久磁石4が、進退作動体3を、連動させて、サッシ1の戸先から縦枠2のがわに進出させていき、該永久磁石4による吸引進出力によって、進出ストッパー3e,3f…による進退作動体3の進出阻止状態と、後退ストッパー5による進退作動体3の後退阻止状態とが形成されるようになされており、その状態から、図2(イ)(ロ)に示すように、サッシ1に閉じさせる方向の力を付与してサッシ1を閉じていくと、進退作動体3を構成している上下のリンク3a,3b同士の枢着部が縦枠2に当接するが、進退作動体3は、後退ストッパー5によって後退を阻止された状態となっているので、後退せず、サッシ1の戸先と縦枠2との間にヒトの指か存在していても、進退作動体3がサッシ1の戸先と縦枠2との間の間隔を保持するスペーサーとして働いて、指挟み事故の発生が防がれる。
【0031】
そして、サッシ1を閉めきるときは、図3(イ)に示すように、サッシ1に閉じる方向への力を付与してサッシ1を移動させていくと共に、図3(ロ)に示すように、後退ストッパー5の解除操作部5cを、バネ6に付勢力に抗して押し、後退ストッパー5を後退解除位置に位置させれば、進退作動体3は後退阻止状態を解除されて、進退作動体3における上下のリンク3a,3b同士の枢結部が、縦枠2に押され、進退作動体3は、図3(ハ)に示すように、サッシ1の戸先がわに後退して、閉めきり状態が形成される。
【0032】
このように、上記の機構によれば、閉じられたサッシ1の戸先が縦枠2から離れてサッシ1が開かれていくと、永久磁石4が、進退作動体3を、連動させて、サッシ1の戸先から縦枠2のがわに進出させていき、該永久磁石4による吸引進出力によって、進出ストッパー3e,3f…による進退作動体3の進出阻止状態と、後退ストッパー5による進退作動体3の後退阻止状態とが形成されるようになされているので、特別な操作をしなくとも、閉じられたサッシ1を開いていく操作を行うだけで、進退作動体3が進出状態で両ストッパー3e,3f…;5によりロックされた状態が形成されて、戸先での指挟み事故の発生を確実に防ぐことができる。特に、本実施形態では、引き戸が、重量の大きい金属製の引き違い掃き出しサッシ1からなっており、大きな事故となってしまいやすい戸先での指挟みを、こうして確実に防ぐことができる。
【0033】
また、本実施形態では、永久磁石4を進出作動手段として採用した構造としているので、両ストッパー3e,3f…;5による進退作動体3の進退阻止状態の形成を、永久磁石4の吸引力によって、確実かつ信頼性高く行わせることができ、しかも、それを永久磁石4を縦枠2のがわに組み込んだ簡素な構造により実現することができる。
【0034】
更に、本実施形態では、図3(ロ)(ハ)に示すように、後退ストッパー5における解除操作部5cに対する操作力付与の向きを、サッシ1を閉じさせていくために付与される力の向きと一致するように設定しているので、両ストッパー3e,3f…;5によって形成された進出状態における進退作動体3の進退阻止状態解除のための操作を、サッシ1を閉じさせていく操作との組み合わせにおいて、容易に行っていくことができる。
【0035】
図4〜図6に示す第2実施形態の機構では、アシスト機構が備えられており、レバー状のアシスト操作部7を、サッシ開の方向に回転させて動かすことによって、サッシ1に開方向へのアシスト力が付与されるようになされている。
【0036】
そして、アシスト操作部7の前記動作を、進退作動体3の縦枠2がわへの進出動作に変換するため、進退作動体3の下リンク3bの他端部には、延長リンク部3gが一体的に設けられ、該延長リンク部3gに側方に開放する切欠き部3hが設けられると共に、アシスト操作部7の回転軸の第4ピン7aよりも上方に位置して第2軸部7bが設けられ、該第2軸部7bが切欠き部3h内に位置していて、アシスト操作部7を回動させていくと、その過程で、第2軸部7bが下リンク3bの延長リンク部3gに作用し、下リンク3bを進退作動体3が進出する方向に回転させるようになされて、伝動機構が構成され、該伝動機構と前記アシスト操作部7とが、永久磁石に代って、進出作動手段を構成している。
【0037】
そして、図4(ロ)に示すように、アシスト操作部7をサッシ1を開にする方向に動かし、進退作動体3が、縦枠2のがわに進出作動していくことによって、進出ストッパー3e,3f…による進退作動体3の進出阻止状態が形成されると共に、上リンク3aの他端部がバネ6の付勢力に抗して後退ストッパー5を動かすことによって後退ストッパー5による進退作動体3の後退阻止状態が形成されるようになされている。
【0038】
なお、アシスト操作部7は、これを復帰方向に回転させると第2軸部7bが切欠き部3hから退出するようになされて、後退ストッパー5による後退阻止状態が解除されることなく維持されるようになされている。その他は、第1実施形態と同様である。
【0039】
本実施形態の構成よれば、アシスト機構の備えられた引き戸において、縦枠2がわへの進退作動体3の進出作動と、両ストッパー3e,3f…;5による進退作動体3の進退阻止状態の形成を、確実かつ信頼性高く行わせることができ、しかも、それをアシスト機構を構成する部材であるアシスト操作部7を利用した簡素な構造により実現をことができる。
【0040】
以上に、本発明の実施形態を示したが、本発明はこれに限られるものではなく、発明思想を逸脱しない範囲で各種の変更が可能である。例えば、上記の実施形態では、進退作動体を、上下のリンク3a,3bによって構成した場合をしめしたが、各種耐用進退作動体が採用されてよい。
【0041】
また、上記の実施形態ては、進出作動手段として、永久磁石4によるもの、及び、アシスト操作部7と伝動機構とによるものを示したが、第1,第2発明では、バネの付勢力を利用した進出作動手段が採用されてもよいし、自重による回転モーメントを利用した進出作動手段などであってもよい。
【0042】
更に、上記の実施形態では、引き戸が、金属製の引き違い掃き出しサッシ1からなる場合を示したが、第1発明では、引き戸は、各種の引き戸であってよい。
【符号の説明】
【0043】
1…引き違い掃き出しサッシ(引き戸)
2…縦枠
3…進退作動体
3e…第1軸部(進出ストッパー)
3f…長孔(進出ストッパー)
4…永久磁石(磁石)
5…後退ストッパー
5c…解除操作部
6…バネ(付勢手段)
7…アシスト操作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
引き戸のがわに設けられ、該引き戸の戸先から、該戸先と対向する縦枠がわに進出可能であると共に、進出状態から引き戸の戸先がわに後退可能な進退作動体と、
閉じられた前記引き戸の戸先が前記縦枠から離れて引き戸が開かれていくと、前記進退作動体を、それに連動させて、引き戸の戸先から縦枠がわに進出させていく進出作動手段と、
前記進退作動体が、指挟み防止可能な寸法、引き戸の戸先から進出すると、それ以上の進出を阻止するが、後退は阻止しない、進出ストッパーと、
該進出ストッパーによる進出阻止状態において、前記進退作動体の後退を、後退阻止位置に位置して阻止すると共に、該後退阻止位置から動いて阻止解除位置に位置することにより後退阻止状態を解除する後退ストッパーと、
該後退ストッパーに対し、阻止解除位置から後退阻止位置へと付勢力を付与して該付勢力により後退ストッパーを後退阻止位置に保持する付勢手段と、
該後退ストッパーによる進出作動体の後退阻止状態を、前記付勢手段による付勢力に抗し、後退ストッパーを後退阻止位置から阻止解除位置に動かして解除操作するための解除操作部と、
が備えられ、
進退作動体を縦枠がわに進出させていく前記進出作動手段による進出力によって、前記進出ストッパーによる進退作動体の進出阻止状態と、前記後退ストッパーによる進退作動体の後退阻止状態とが形成されるようになされていると共に、
前記解除操作部に対する操作によって後退ストッパーによる進出作動体の後退阻止を解除した状態で、引き戸を閉じていくと、進退作動体は、その先端部が縦枠のがわに当接し押し動かされて引き戸の戸先がわに後退していくようになされていることを特徴とする、引き戸の戸先での指挟み防止機構。
【請求項2】
前記引き戸が、金属製の引き違い掃き出しサッシからなる請求項1に記載の、引き戸の戸先での指挟み防止機構。
【請求項3】
前記進出作動手段が、縦枠のがわに備えられた磁石からなり、前記進退作動体が該磁石の吸引力を受けて縦枠がわに進出作動していくことによって、進出ストッパーによる進退作動体の進出阻止状態と、後退ストッパーによる進退作動体の後退阻止状態とが形成されるようになされている請求項1又は2に記載の、引き戸の戸先での指挟み防止機構。
【請求項4】
引き戸開の方向に動かされることによって引き戸に開方向へのアシスト力が付与されるようになされたアシスト機構のアシスト操作部と、
該アシスト操作部の前記動作を、進退作動体の縦枠がわへの進出動作に変換する伝動機構と
が備えられ、これらアシスト操作部と伝動機構とを前記進出作動手段とし、前記進退作動体が、アシスト操作部を引き戸開の方向に動かして縦枠がわに進出作動していくことによって、進出ストッパーによる進退作動体の進出阻止状態と、後退ストッパーによる進退作動体の後退阻止状態とが形成されるようになされている請求項2に記載の、引き戸の戸先での指挟み防止機構。
【請求項5】
前記解除操作部に対する操作力付与の向きが、引き戸を閉じさせていくために付与される力の向きと一致するように設定されている請求項1乃至4のいずれか一に記載の、引き戸の戸先での指挟み防止機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−225105(P2012−225105A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−95539(P2011−95539)
【出願日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(390037154)大和ハウス工業株式会社 (946)