引き抜き容易な杭と、その杭の引き抜き方法。
【課題】規準点や境界点等として設置をしている杭は、不要になる事や別種の代替杭等に変更を余儀なくされる事が再三起こる。こうした杭の撤去時の引き抜き作業は、時間と労力を必要とする場合が多い。また杭の破損、杭周りの地盤軟化等の課題があった。このような杭の引き抜き撤去を容易に行い、時間や労力の省力化を図り、杭の破損、杭周りの地盤軟化を防ぐ等の利点を持った杭の引き抜き方法を提供する。
【解決手段】
合成樹脂やコンクリ−ト、或は木等の素材で出来ている杭の上方部(1a)に、棒状の杭引き抜き部材(6)を挿入する嵌合穴(2)を1箇所、あるいは1箇所乃至複数箇所に、溝や括れ(3)或は突起(4)を設ける、又は、杭の上方部(1a)と、杭の下方部(1b)との段差(5)を設ける。さらに、棒状の杭引き抜き部材(6)や紐状の杭引き抜き部材(7)を杭(1)に掛け止め装着し、梃子の原理を利用し引き抜く。
【解決手段】
合成樹脂やコンクリ−ト、或は木等の素材で出来ている杭の上方部(1a)に、棒状の杭引き抜き部材(6)を挿入する嵌合穴(2)を1箇所、あるいは1箇所乃至複数箇所に、溝や括れ(3)或は突起(4)を設ける、又は、杭の上方部(1a)と、杭の下方部(1b)との段差(5)を設ける。さらに、棒状の杭引き抜き部材(6)や紐状の杭引き抜き部材(7)を杭(1)に掛け止め装着し、梃子の原理を利用し引き抜く。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、杭(1)の素材が、合成樹脂、コンクリ−ト、或は木等の杭の上方部(1a)に嵌合穴(2)か溝や括れ(3)、或は連続的な突起(4a)か、間断的な突起(4b)(以後突起(4a)(4b)と表す)、さらには段差(5)等を設け、打接後に不要と成った杭を容易に引き抜き撤去する事を目的とした、杭の形状や、引き抜き方法に関するもので有る。
【背景技術】
【0002】
近年、土木工事や測量作業、或は境界確認や境界確定の作業等土地に関する作業では、作業での規準となる点や境界点等の仮設置等に、軽さ、難腐食性、堅牢性等の面から、特許文献1、特許文献2、のような合成樹脂素材の杭を使用する事が多くなっている。またコンクリ−ト杭の場合恒久的に設置されている場合も有る。
【特許文献1】実開平05−040816号公報
【特許文献2】実登3058582号公報
【0003】
このような規準となる点や境界点等の仮設置をしている杭は、その設置点に存在すると邪魔になり不要になる事や同じ点に別種の代替杭等に変更を余儀なくされる事も再三起こる。こうした杭は、全体を打ち込んで有る場合が多く杭もしっかりと土と粘着し固定されている。こう言った状態での杭撤去時の引き抜き作業は、土を杭の根元近くまで深く掘る、ある程度土を掘った上で杭を叩き杭と土との間に空間を作る等の方法で土と杭との粘着力を低下させ引き抜いている。
【0004】
上記のような引き抜き作業は、引き抜き対象の杭が狭小な場所に有る場合や中央に杭を残した状態では土は掘り難い、杭周りの地盤が軟化する、また叩く事によって杭の破損が生じ地中に破損部が残る場合も少なくない。同じ点に別の代替杭設置を余儀なくされる場合には、地盤の軟化により代替杭と土との粘着力低下が否めない、また地中に破損部が残ると代替杭の設置にも影響を及ぼす。このように杭の引き抜き作業は、土掘りや叩く等の作業、時には破損部の回収をし、代替の杭を設置するなど時間と労力を必要とする場合が多く、特に狭小な場所では困難を極めていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明において解決しようとする課題は、土地に関する作業で、規準となる点や境界点等の仮設置等で設置利用されている合成樹脂素材や木の杭が、撤去の必要の有る場合において、杭の引き抜き撤去作業を容易に行う。また、コンクリ−ト杭が恒久的に設置されている場合も同様に、不要となった杭を容易に引き抜き撤去を行い、時間や労力の省力化を達成する、このような課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
合成樹脂やコンクリ−ト、或は木等の素材で出来ている杭の上方部の1点1箇所に、同点対面に向け、嵌合穴(2)を設ける、あるいは1箇所乃至複数箇所に、溝や括れ(3)、或は突起(4a)(4b)を設ける。又は、杭の上方部(1a)に、杭の下方部(1b)との段差(5)を設ける。さらには棒状の杭引き抜き部材(6)や紐状の杭引き抜き部材(7)を使用し杭に掛け止め装着し、梃子の原理を利用し引き抜く。
【発明の効果】
【0007】
本発明の、引き抜き容易な杭は、上記手段の様に嵌合穴(2)または溝や括れ(3)、突起(4a)(4b)或は段差(5)を上方部(1a)付近に設け、さらに棒状の杭引き抜き部材(6)や紐状の杭引き抜き部材(7)等を嵌合あるいは掛け止め装着し、これらを利用し梃子の原理をも応用して杭を引き抜く。このことに因り土堀り作業の減少、杭周りの地盤の軟化が皆無、また杭を叩く事や杭が破損する事も無いと言った利点があり、作業時間短縮や労力の省力化に貢献出来る。このような効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明に係る引き抜き容易な杭及び引き抜き方法の第1実施形態を図1乃至図3に基づき説明して行く。図1は、引き抜き容易な杭の嵌合穴(2)に、棒状の杭引き抜き部材(6)を嵌合し、紐状の杭引き抜き部材(7)を掛け止め装着し、梃子の原理を応用して杭を引き抜く状態の斜視図である。図中杭の点線部は地中に在る事を表わしている。
【0009】
図2は、杭の上方部の拡大斜視図であり、上方部に設けた嵌合穴(2)の位置や形状等が直視出来る状態にある。この穴は、紐状の杭引き抜き部材(7)を掛け止め装着する為の、掛かりを構成する棒状の杭引き抜き部材(6)が装着出来れば良く、円形に限らず楕円形、或は四角等の多角形で構成しても差し支えない。
【0010】
図3は、杭の上方部の嵌合穴(2)の連通した穴(2a)部の拡大断面図である。図中この連通した穴(2a)に棒状の杭引き抜き部材(6)を嵌合した状態、あるいは紐状の杭引き抜き部材(7)を掛け止め装着する位置や状態が直視できる。尚、点線部は嵌合前の棒状の杭引き抜き部材(6)の残像を表す。
【0011】
次に、本発明に係る引き抜き容易な杭及び引き抜き方法の第2実施形態を図4乃至図13
に基づき説明して行く。図4は、本発明に係る引き抜き容易な杭の上方部に溝や括れ(3)或は突起(4a)(4b)等を設け、紐状の杭引き抜き部材(7)を掛け止め装着し、梃子の原理を応用して杭を引き抜く状態の斜視図である。図中1例として間断的な突起(4b)で表している。また点線部は地中に在る事を表わしている。
【0012】
図5乃至図8は、紐状の杭引き抜き部材(7)を掛け止め装着する為の、掛かりを構成する詳細図であり、図5は溝や括れ(3)、図6は連続的な突起(4a)、図7は間断的な突起(4b)、図8は杭上方部(1a)に、杭の下方部(1b)との段差(5)、の設置位置や形状等を表す拡大斜視図である。これらの溝や括れ(3)又は突起(4a)(4b)或は段差(5)等は、杭の側面(1d)の全周に設けるか、または杭側面(1d)全周の一部を除き設ける、或は杭の側面の頂点(1c)に設ける等の方法が有る。何れの場合にも、杭を引き抜く場合の紐状の杭引き抜き部材(7)を掛け止め装着出来れば良い。
【0013】
図9は、嵌合穴(2)の連通しない穴(2b)部の拡大断面図である。図中この連通しない穴(2b)に棒状の杭引き抜き部材(6)を嵌合した状態、あるいは紐状の杭引き抜き部材(7)を掛け止め装着する位置や状態が直視できる。尚、点線部は嵌合前の棒状の杭引き抜き部材(6)の残像を表す。
【0014】
図10乃至図12は、溝や括れ(3)、突起(4a)(4b)、段差(5)、等の断面拡大図である。其々の位置や形状、さらには紐状の杭引き抜き部材(7)の掛け止め装着状態が直視出来る状態にある。
【0015】
前述の溝や括れ(3)の形状は、図10に示す様に一部を開放した多角形で構成するか、図示してはいないが一部を開放した半円形等の曲線で構成しても良い。さらに、図11に示す様に突起の形状は、連続的な突起(4a)、の場合には、一部が杭と一体化した多角形で構成するか、図示してはいないが一部が杭と一体化した半円形等の曲線で構成し、間断的な突起(4b)の場合には、一部が杭と一体化した立方体、直方体或は半球形とする事も出来る。間断的な突起(4b)は、多角形の側面(1d)や全周に1箇所或は複数箇所設ける。
【0016】
次に、連通した穴(2a)、連通しない穴(2b)、溝や括れ(3)、或は突起(4a)(4b)、更には段差(5)は何れかの工法1種類を選定し杭の上方部に設ける。しかし必ずしもこの限りではなく異種の組み合せ、或は同種の組み合せに因る複数箇所設置でも良い。
【0017】
上記の様にして形成された引き抜き容易な杭の引き抜き方法は、図1の第1実施形態、図4の第2実施形態斜視図で示すように、棒状の杭引き抜き部材(6)や紐状の杭引き抜き部材(7)等を利用し梃子の原理を応用して杭を引き抜く。先ずは図1に示す連通した穴(2a)、利用の場合の引き抜き方法である。図中、棒状の杭引き抜き部材(6)の装着方法は、棒状の杭引き抜き部材(6)を連通した穴に挿し込む。この場合に杭全体が土中にある場合には、土を連通した穴の位置まで掘り下げる必要がある。次に、紐状の杭引き抜き部材(7)を図の様に掛け止め装着し、梃子の原理を利用し引き抜く。
【0018】
次に、溝や括れ(3)、突起(4a)(4b)、段差(5)さらには連通しない穴(2b)、を利用の場合の引き抜き方法である。図4の様に、紐状の杭引き抜き部材(7)を、溝や括れ、突起(4a)(4b)、さらには段差(5)等の形状の場合は、其々構成された形状に、絡み付くように掛け止め装着する。また、連通しない穴(2b)の場合は片側に突出した棒状の杭引き抜き部材(6)に掛け止め装着する。これらの場合、図12に示すように、紐状の杭引き抜き部材(7)に数回のねじれを与える事に因り、杭と紐状の杭引き抜き部材(7)とがより絡み付き、梃子に因り引き抜く場合外れることが少なくなる。
【0019】
以上述べて来たような杭(1)の形状は、杭製作段階で加工する。しかし、既に設置してある杭で未加工の物は現場において連通した穴等の開削をしても良い。また、棒状の杭引き抜き部材(6)は、嵌合穴(2)に挿し込めれば良く、杭を引き抜く為の耐久力が有ればどのような材質形状で有っても差し支えない。紐状の杭引き抜き部材(7)も同様の事が言える。梃子についても専用の必要は無く、前述のとおり耐久力が有れば良く、現場等において調達も可能となる。また大きな杭等は、重機を以って杭を引き抜く事も出来る。さらに梃子の利用位置について述べると、図14で示すように本発明の溝や括れ(3)等を直接利用すれば、必ずしも図1、図4に示す用法の限りではない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る引き抜き容易な杭の上方部に設けた連通した穴(2a)に、棒状の杭引き抜き部材(6)を嵌合装着し、さらに紐状の杭引き抜き部材(7)を掛け止めし、さらに梃子を構成する簡易形状を表した第1実施形態全体の斜視図である。
【図2】本発明に係る引き抜き容易な杭の上方部(1a)に、嵌合穴(2)を設けた状態の拡大斜視図である。
【図3】本発明に係る引き抜き容易な杭の上方部(1a)の連通した穴(2a)に、棒状の杭引き抜き部材(6)を嵌合装着し、さらに紐状の杭引き抜き部材(7)を掛け止めした状態の拡大断面図である。図中の点線は嵌合前の棒状の杭引き抜き部材(6)の残像を表す。
【図4】本発明に係る引き抜き容易な杭の上方部(1a)に設けた溝や括れ(3)或は突起(4)に、紐状の杭引き抜き部材(7)を絡み付けて掛け止めし、さらに梃子を構成する簡易形状を表した第2実施形態全体の斜視図である。
【図5】本発明に係る引き抜き容易な杭の上方部(1a)に、溝あるいは括れ(3)を設けた状態の拡大斜視図である。
【図6】本発明に係る引き抜き容易な杭の上方部(1a)に、連続的な突起(4a)を設けた状態の拡大斜視図である。
【図7】本発明に係る引き抜き容易な杭の上方部(1a)に、間断的に突起(4b)を設けた状態の拡大斜視図である。
【図8】本発明に係る引き抜き容易な杭の上方部(1a)に、杭の下方部(2b)との段差(5)を設けた状態の拡大斜視図である。
【図9】本発明に係る引き抜き容易な杭の上方部(1a)の連通しない穴(2b)に、棒状の杭引き抜き部材(6)を嵌合装着し、さらに紐状の杭引き抜き部材(7)を掛け止めした状態の拡大断面図である。図中の点線は嵌合前の棒状の杭引き抜き部材(6)の残像を表す。
【図10】本発明に係る引き抜き容易な杭の上方部(1a)の溝や括れ(3)に、紐状の杭引き抜き部材(7)を掛け止めした状態の拡大断面図である。
【図11】本発明に係る引き抜き容易な杭の上方部(1a)の突起(4a)、(4b)に、紐状の杭引き抜き部材(7)を掛け止めした状態の拡大断面図である。
【図12】本発明に係る引き抜き容易な杭の上方部(1a)の段差(5)に、紐状の杭引き抜き部材(7)を掛け止めした状態の拡大断面図である。
【図13】本発明に係る紐状の杭引き抜き部材(7)に数回のねじれを与えた状態の正面図である。
【図14】本発明に係る溝や括れ(3)に直接梃子利用をした状態の断面図である。
【符号の説明】
【0021】
1 ・杭
1a 杭の上方部
1b 杭の下方部
1c 多角形の各面の頂点
1d ・多角形の各面
2 嵌合穴(2)
2a 連通した穴
2b 連通しない穴
3 溝や括れ
4a 連続的な突起
4b 間断的な突起
5 ・段差
6 棒状の杭引き抜き部材
7 ・紐状の杭引き抜き部材
8 ・梃子を構成する簡易形状
【技術分野】
【0001】
本発明は、杭(1)の素材が、合成樹脂、コンクリ−ト、或は木等の杭の上方部(1a)に嵌合穴(2)か溝や括れ(3)、或は連続的な突起(4a)か、間断的な突起(4b)(以後突起(4a)(4b)と表す)、さらには段差(5)等を設け、打接後に不要と成った杭を容易に引き抜き撤去する事を目的とした、杭の形状や、引き抜き方法に関するもので有る。
【背景技術】
【0002】
近年、土木工事や測量作業、或は境界確認や境界確定の作業等土地に関する作業では、作業での規準となる点や境界点等の仮設置等に、軽さ、難腐食性、堅牢性等の面から、特許文献1、特許文献2、のような合成樹脂素材の杭を使用する事が多くなっている。またコンクリ−ト杭の場合恒久的に設置されている場合も有る。
【特許文献1】実開平05−040816号公報
【特許文献2】実登3058582号公報
【0003】
このような規準となる点や境界点等の仮設置をしている杭は、その設置点に存在すると邪魔になり不要になる事や同じ点に別種の代替杭等に変更を余儀なくされる事も再三起こる。こうした杭は、全体を打ち込んで有る場合が多く杭もしっかりと土と粘着し固定されている。こう言った状態での杭撤去時の引き抜き作業は、土を杭の根元近くまで深く掘る、ある程度土を掘った上で杭を叩き杭と土との間に空間を作る等の方法で土と杭との粘着力を低下させ引き抜いている。
【0004】
上記のような引き抜き作業は、引き抜き対象の杭が狭小な場所に有る場合や中央に杭を残した状態では土は掘り難い、杭周りの地盤が軟化する、また叩く事によって杭の破損が生じ地中に破損部が残る場合も少なくない。同じ点に別の代替杭設置を余儀なくされる場合には、地盤の軟化により代替杭と土との粘着力低下が否めない、また地中に破損部が残ると代替杭の設置にも影響を及ぼす。このように杭の引き抜き作業は、土掘りや叩く等の作業、時には破損部の回収をし、代替の杭を設置するなど時間と労力を必要とする場合が多く、特に狭小な場所では困難を極めていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明において解決しようとする課題は、土地に関する作業で、規準となる点や境界点等の仮設置等で設置利用されている合成樹脂素材や木の杭が、撤去の必要の有る場合において、杭の引き抜き撤去作業を容易に行う。また、コンクリ−ト杭が恒久的に設置されている場合も同様に、不要となった杭を容易に引き抜き撤去を行い、時間や労力の省力化を達成する、このような課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
合成樹脂やコンクリ−ト、或は木等の素材で出来ている杭の上方部の1点1箇所に、同点対面に向け、嵌合穴(2)を設ける、あるいは1箇所乃至複数箇所に、溝や括れ(3)、或は突起(4a)(4b)を設ける。又は、杭の上方部(1a)に、杭の下方部(1b)との段差(5)を設ける。さらには棒状の杭引き抜き部材(6)や紐状の杭引き抜き部材(7)を使用し杭に掛け止め装着し、梃子の原理を利用し引き抜く。
【発明の効果】
【0007】
本発明の、引き抜き容易な杭は、上記手段の様に嵌合穴(2)または溝や括れ(3)、突起(4a)(4b)或は段差(5)を上方部(1a)付近に設け、さらに棒状の杭引き抜き部材(6)や紐状の杭引き抜き部材(7)等を嵌合あるいは掛け止め装着し、これらを利用し梃子の原理をも応用して杭を引き抜く。このことに因り土堀り作業の減少、杭周りの地盤の軟化が皆無、また杭を叩く事や杭が破損する事も無いと言った利点があり、作業時間短縮や労力の省力化に貢献出来る。このような効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明に係る引き抜き容易な杭及び引き抜き方法の第1実施形態を図1乃至図3に基づき説明して行く。図1は、引き抜き容易な杭の嵌合穴(2)に、棒状の杭引き抜き部材(6)を嵌合し、紐状の杭引き抜き部材(7)を掛け止め装着し、梃子の原理を応用して杭を引き抜く状態の斜視図である。図中杭の点線部は地中に在る事を表わしている。
【0009】
図2は、杭の上方部の拡大斜視図であり、上方部に設けた嵌合穴(2)の位置や形状等が直視出来る状態にある。この穴は、紐状の杭引き抜き部材(7)を掛け止め装着する為の、掛かりを構成する棒状の杭引き抜き部材(6)が装着出来れば良く、円形に限らず楕円形、或は四角等の多角形で構成しても差し支えない。
【0010】
図3は、杭の上方部の嵌合穴(2)の連通した穴(2a)部の拡大断面図である。図中この連通した穴(2a)に棒状の杭引き抜き部材(6)を嵌合した状態、あるいは紐状の杭引き抜き部材(7)を掛け止め装着する位置や状態が直視できる。尚、点線部は嵌合前の棒状の杭引き抜き部材(6)の残像を表す。
【0011】
次に、本発明に係る引き抜き容易な杭及び引き抜き方法の第2実施形態を図4乃至図13
に基づき説明して行く。図4は、本発明に係る引き抜き容易な杭の上方部に溝や括れ(3)或は突起(4a)(4b)等を設け、紐状の杭引き抜き部材(7)を掛け止め装着し、梃子の原理を応用して杭を引き抜く状態の斜視図である。図中1例として間断的な突起(4b)で表している。また点線部は地中に在る事を表わしている。
【0012】
図5乃至図8は、紐状の杭引き抜き部材(7)を掛け止め装着する為の、掛かりを構成する詳細図であり、図5は溝や括れ(3)、図6は連続的な突起(4a)、図7は間断的な突起(4b)、図8は杭上方部(1a)に、杭の下方部(1b)との段差(5)、の設置位置や形状等を表す拡大斜視図である。これらの溝や括れ(3)又は突起(4a)(4b)或は段差(5)等は、杭の側面(1d)の全周に設けるか、または杭側面(1d)全周の一部を除き設ける、或は杭の側面の頂点(1c)に設ける等の方法が有る。何れの場合にも、杭を引き抜く場合の紐状の杭引き抜き部材(7)を掛け止め装着出来れば良い。
【0013】
図9は、嵌合穴(2)の連通しない穴(2b)部の拡大断面図である。図中この連通しない穴(2b)に棒状の杭引き抜き部材(6)を嵌合した状態、あるいは紐状の杭引き抜き部材(7)を掛け止め装着する位置や状態が直視できる。尚、点線部は嵌合前の棒状の杭引き抜き部材(6)の残像を表す。
【0014】
図10乃至図12は、溝や括れ(3)、突起(4a)(4b)、段差(5)、等の断面拡大図である。其々の位置や形状、さらには紐状の杭引き抜き部材(7)の掛け止め装着状態が直視出来る状態にある。
【0015】
前述の溝や括れ(3)の形状は、図10に示す様に一部を開放した多角形で構成するか、図示してはいないが一部を開放した半円形等の曲線で構成しても良い。さらに、図11に示す様に突起の形状は、連続的な突起(4a)、の場合には、一部が杭と一体化した多角形で構成するか、図示してはいないが一部が杭と一体化した半円形等の曲線で構成し、間断的な突起(4b)の場合には、一部が杭と一体化した立方体、直方体或は半球形とする事も出来る。間断的な突起(4b)は、多角形の側面(1d)や全周に1箇所或は複数箇所設ける。
【0016】
次に、連通した穴(2a)、連通しない穴(2b)、溝や括れ(3)、或は突起(4a)(4b)、更には段差(5)は何れかの工法1種類を選定し杭の上方部に設ける。しかし必ずしもこの限りではなく異種の組み合せ、或は同種の組み合せに因る複数箇所設置でも良い。
【0017】
上記の様にして形成された引き抜き容易な杭の引き抜き方法は、図1の第1実施形態、図4の第2実施形態斜視図で示すように、棒状の杭引き抜き部材(6)や紐状の杭引き抜き部材(7)等を利用し梃子の原理を応用して杭を引き抜く。先ずは図1に示す連通した穴(2a)、利用の場合の引き抜き方法である。図中、棒状の杭引き抜き部材(6)の装着方法は、棒状の杭引き抜き部材(6)を連通した穴に挿し込む。この場合に杭全体が土中にある場合には、土を連通した穴の位置まで掘り下げる必要がある。次に、紐状の杭引き抜き部材(7)を図の様に掛け止め装着し、梃子の原理を利用し引き抜く。
【0018】
次に、溝や括れ(3)、突起(4a)(4b)、段差(5)さらには連通しない穴(2b)、を利用の場合の引き抜き方法である。図4の様に、紐状の杭引き抜き部材(7)を、溝や括れ、突起(4a)(4b)、さらには段差(5)等の形状の場合は、其々構成された形状に、絡み付くように掛け止め装着する。また、連通しない穴(2b)の場合は片側に突出した棒状の杭引き抜き部材(6)に掛け止め装着する。これらの場合、図12に示すように、紐状の杭引き抜き部材(7)に数回のねじれを与える事に因り、杭と紐状の杭引き抜き部材(7)とがより絡み付き、梃子に因り引き抜く場合外れることが少なくなる。
【0019】
以上述べて来たような杭(1)の形状は、杭製作段階で加工する。しかし、既に設置してある杭で未加工の物は現場において連通した穴等の開削をしても良い。また、棒状の杭引き抜き部材(6)は、嵌合穴(2)に挿し込めれば良く、杭を引き抜く為の耐久力が有ればどのような材質形状で有っても差し支えない。紐状の杭引き抜き部材(7)も同様の事が言える。梃子についても専用の必要は無く、前述のとおり耐久力が有れば良く、現場等において調達も可能となる。また大きな杭等は、重機を以って杭を引き抜く事も出来る。さらに梃子の利用位置について述べると、図14で示すように本発明の溝や括れ(3)等を直接利用すれば、必ずしも図1、図4に示す用法の限りではない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る引き抜き容易な杭の上方部に設けた連通した穴(2a)に、棒状の杭引き抜き部材(6)を嵌合装着し、さらに紐状の杭引き抜き部材(7)を掛け止めし、さらに梃子を構成する簡易形状を表した第1実施形態全体の斜視図である。
【図2】本発明に係る引き抜き容易な杭の上方部(1a)に、嵌合穴(2)を設けた状態の拡大斜視図である。
【図3】本発明に係る引き抜き容易な杭の上方部(1a)の連通した穴(2a)に、棒状の杭引き抜き部材(6)を嵌合装着し、さらに紐状の杭引き抜き部材(7)を掛け止めした状態の拡大断面図である。図中の点線は嵌合前の棒状の杭引き抜き部材(6)の残像を表す。
【図4】本発明に係る引き抜き容易な杭の上方部(1a)に設けた溝や括れ(3)或は突起(4)に、紐状の杭引き抜き部材(7)を絡み付けて掛け止めし、さらに梃子を構成する簡易形状を表した第2実施形態全体の斜視図である。
【図5】本発明に係る引き抜き容易な杭の上方部(1a)に、溝あるいは括れ(3)を設けた状態の拡大斜視図である。
【図6】本発明に係る引き抜き容易な杭の上方部(1a)に、連続的な突起(4a)を設けた状態の拡大斜視図である。
【図7】本発明に係る引き抜き容易な杭の上方部(1a)に、間断的に突起(4b)を設けた状態の拡大斜視図である。
【図8】本発明に係る引き抜き容易な杭の上方部(1a)に、杭の下方部(2b)との段差(5)を設けた状態の拡大斜視図である。
【図9】本発明に係る引き抜き容易な杭の上方部(1a)の連通しない穴(2b)に、棒状の杭引き抜き部材(6)を嵌合装着し、さらに紐状の杭引き抜き部材(7)を掛け止めした状態の拡大断面図である。図中の点線は嵌合前の棒状の杭引き抜き部材(6)の残像を表す。
【図10】本発明に係る引き抜き容易な杭の上方部(1a)の溝や括れ(3)に、紐状の杭引き抜き部材(7)を掛け止めした状態の拡大断面図である。
【図11】本発明に係る引き抜き容易な杭の上方部(1a)の突起(4a)、(4b)に、紐状の杭引き抜き部材(7)を掛け止めした状態の拡大断面図である。
【図12】本発明に係る引き抜き容易な杭の上方部(1a)の段差(5)に、紐状の杭引き抜き部材(7)を掛け止めした状態の拡大断面図である。
【図13】本発明に係る紐状の杭引き抜き部材(7)に数回のねじれを与えた状態の正面図である。
【図14】本発明に係る溝や括れ(3)に直接梃子利用をした状態の断面図である。
【符号の説明】
【0021】
1 ・杭
1a 杭の上方部
1b 杭の下方部
1c 多角形の各面の頂点
1d ・多角形の各面
2 嵌合穴(2)
2a 連通した穴
2b 連通しない穴
3 溝や括れ
4a 連続的な突起
4b 間断的な突起
5 ・段差
6 棒状の杭引き抜き部材
7 ・紐状の杭引き抜き部材
8 ・梃子を構成する簡易形状
【特許請求の範囲】
【請求項1】
杭の上方部(1a)の頂上部を除く面の、1点1箇所に、同点対面に向けて、棒状の杭引き抜き部材(6)を挿入する嵌合穴(2)を設けた事を特徴とする杭。
【請求項2】
棒状の杭引き抜き部材(6)を挿入する嵌合穴(2)が、連通した穴(2a)、若しくは連通しない穴(2b)で構成される事を特徴とする請求項1に記載の杭。
【請求項3】
杭の上方部(1a)の、嵌合穴(2)を、円形や楕円形、或は多角形で構成する事を特徴とする請求項1、請求項2、に記載の杭。
【請求項4】
杭の上方部(1a)の、頂上部を除く面の1乃至2箇所に、或は1面乃至複数面に溝や括れ(3)、或は連続的な突起(4a)か、間断的な突起(4b)を設けた事を特徴とする杭。
【請求項5】
杭の上方部(1a)の、溝や括れ(3)は、一部が開放された多角形か半円形等の曲線で構成される事を特徴とする請求項4に記載の杭。
【請求項6】
連続的な突起(4a)、或は間断的な突起(4b)は、一部が杭と一体化した多角形か半円形等の曲線で構成される事を特徴とする請求項4に記載の杭。
【請求項7】
杭の上方部(1a)に、杭の下方部(1b)との段差(5)を設けた事を特徴とする杭。
【請求項8】
杭の上方部(1a)に、設けた段差(5)構成部が、直線あるいは曲線でなる事を特徴とする請求項7に記載の杭。
【請求項9】
杭の素材を、合成樹脂やコンクリ−ト、或は木等の利用して作成をする事を特徴とする請求項1〜請求項8に記載の杭。
【請求項10】
杭の上方部の形状が、三角形や四角形等の多角形、或は円形、楕円形で構成される事を特徴とする請求項1〜請求項9に記載の杭。
【請求項11】
棒状の杭引き抜き部材(6)や紐状の杭引き抜き部材(7)等を利用して、請求項1〜請求項10に記載する杭を引き抜く事を特徴とする、杭の引き抜き方法。
【請求項1】
杭の上方部(1a)の頂上部を除く面の、1点1箇所に、同点対面に向けて、棒状の杭引き抜き部材(6)を挿入する嵌合穴(2)を設けた事を特徴とする杭。
【請求項2】
棒状の杭引き抜き部材(6)を挿入する嵌合穴(2)が、連通した穴(2a)、若しくは連通しない穴(2b)で構成される事を特徴とする請求項1に記載の杭。
【請求項3】
杭の上方部(1a)の、嵌合穴(2)を、円形や楕円形、或は多角形で構成する事を特徴とする請求項1、請求項2、に記載の杭。
【請求項4】
杭の上方部(1a)の、頂上部を除く面の1乃至2箇所に、或は1面乃至複数面に溝や括れ(3)、或は連続的な突起(4a)か、間断的な突起(4b)を設けた事を特徴とする杭。
【請求項5】
杭の上方部(1a)の、溝や括れ(3)は、一部が開放された多角形か半円形等の曲線で構成される事を特徴とする請求項4に記載の杭。
【請求項6】
連続的な突起(4a)、或は間断的な突起(4b)は、一部が杭と一体化した多角形か半円形等の曲線で構成される事を特徴とする請求項4に記載の杭。
【請求項7】
杭の上方部(1a)に、杭の下方部(1b)との段差(5)を設けた事を特徴とする杭。
【請求項8】
杭の上方部(1a)に、設けた段差(5)構成部が、直線あるいは曲線でなる事を特徴とする請求項7に記載の杭。
【請求項9】
杭の素材を、合成樹脂やコンクリ−ト、或は木等の利用して作成をする事を特徴とする請求項1〜請求項8に記載の杭。
【請求項10】
杭の上方部の形状が、三角形や四角形等の多角形、或は円形、楕円形で構成される事を特徴とする請求項1〜請求項9に記載の杭。
【請求項11】
棒状の杭引き抜き部材(6)や紐状の杭引き抜き部材(7)等を利用して、請求項1〜請求項10に記載する杭を引き抜く事を特徴とする、杭の引き抜き方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2007−107253(P2007−107253A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−298723(P2005−298723)
【出願日】平成17年10月13日(2005.10.13)
【出願人】(303028583)有限会社 T.Y.I (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年10月13日(2005.10.13)
【出願人】(303028583)有限会社 T.Y.I (2)
【Fターム(参考)】
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