説明

引き締め剤と特定のブロックエチレン性ポリマーとを含む化粧品組成物

本発明は、皮膚と適合可能な媒体中に、
− 組成物の総重量に対して0.01から20%の範囲の含量で存在する、少なくとも一つの引き締め剤、及び
− 組成物の総重量に対して0.01から20%の範囲の含量で存在する、少なくとも一つの非エラストマー性、水不溶性の皮膜形成性直鎖状ブロックエチレン性ポリマー
を含む、皮膚への局所適用に適応した化粧品組成物、特に抗シワ組成物に関する。
この組成物は、適用された皮膚に対して引き締め効果の残留を与えることが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚と適合可能な媒体中に、引き締め剤と、引き締め剤によって誘導される引き締め効果の残留を上昇することが可能な特定のポリマーとを含む、皮膚に対する局所適用に適応した化粧品組成物、特に抗シワ組成物に関する。
【0002】
本発明は、引き締め剤によって与えられる引き締め効果の残留を改良するための、この特定のポリマーの使用に関する。
【0003】
本発明は、皮膚の脱色を防止するための鉱物粒子のコロイド状分散物を含む組成物における、この特定のポリマーの使用に関する。
【0004】
最後に本発明は、前述の組成物を皮膚に適用することによる、シワを有する皮膚の処置方法に関する。
【0005】
かくして、本発明の一般的分野は、皮膚の老化の分野である。
【0006】
皮膚の老化の過程において、特に皮膚の構造と機能の変化によって反映される各種の兆候が出現する。これらの主な兆候の一つが、細かい線と深いシワの出現であり、それらのサイズと数は年齢とともに増加する。皮膚の微小起伏はより不均一となり、異方的な性質を有する。
【背景技術】
【0007】
α-ヒドロキシ酸、β-ヒドロキシ酸、及びレチノイドのような老化を打ち消すことが可能な活性剤を含む化粧品組成物で、これらの老化の兆候を処理することが一般的に実施されている。これらの活性剤は、皮膚から死んだ細胞を取り除き、細胞再生のプロセスを加速することによって特にシワに作用する。しかしながらこれらの活性剤は、特定の時間量、即ち数日から数週間であって良い時間で適用された後のみ、シワを処理する点で有効であるという欠点を有する。
【0008】
現在では、シワ及び細かい線の平滑化、及び一時的にでさえ疲労の跡の消失を急速に導く迅速な効果を得るための組成物の生産に向けて、増大する現実の必要性の傾向が存在する。用語「引き締め剤」は、引き締め効果を有することができる化合物、即ち皮膚の緊張をもたらし、シワ及び細かい線の皮膚における減少、または皮膚からの迅速な消失さえもたらすことのできる化合物を意味することが指摘されている。
【0009】
これらの引き締め剤は特に、表皮の表面の角質化した層である角質層の収縮を引き起こす皮膜を形成可能な、水性分散物における天然または合成起源のポリマーであって良い。皮膚の老化の効果を減弱するためのそのようなポリマーシステムの美容用または皮膚科学要の使用は、特許出願FR-A-2 758 083 [1]に記載されている。
【特許文献1】FR-A-2 758 083
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、これらの引き締めポリマーシステムは場合により、特定のユーザー、特に敏感肌を有するユーザーに不快な感覚を与える。更に、皮膚に形成される皮膜が、顔の表情の結果としてひび割れる傾向を有するため、それらが与える引き締め効果はあまり長期持続的ではない。このため、これらの引き締め剤は、皮膚に比較的堅くて柔軟性のない皮膜を形成しがちである。
【0011】
本出願人は驚くべきことに、化粧品組成物において引き締め剤と組み合わせた特定のポリマーの使用が、長期持続的な引き締め効果を有する皮膜を得ることを可能にすることを見出し、前記皮膜は機械的な観点から柔軟であって変形可能なものである。
【0012】
更に本出願人は、これらの特定のポリマーが、鉱物粒子、特にシリカのコロイド状分散物を引き締め剤として含む組成物の皮膚への適用に引き続き、皮膚の脱色を避けるという特性を更に有することを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0013】
かくして、第一の特徴点によれば、本発明は、皮膚と適合可能な媒体中に、
− 組成物の総重量に対して0.01から20%の範囲の含量で存在する、少なくとも一つの引き締め剤、及び
− 組成物の総重量に対して0.01から20%の範囲の含量で存在する、少なくとも一つの非エラストマー性、水不溶性の皮膜形成性直鎖状ブロックエチレン性ポリマー
を含む、顔のような皮膚への適用に適応した化粧品組成物、特に抗シワ組成物に関する。
【0014】
引き締め剤と組み合わせた上述のポリマーの使用は、残留性の引き締め効果、即ち経時的に特定の継続時間を有する引き締め効果を、含んでいる組成物に与えることが可能であり、前記ポリマーは引き締め性の皮膜のための強化剤として作用する。そのような組み合わせのこの残留特性を示すために向けられる試験は、この明細書の実施例の部分に記載されている。この残留は、引き締め性の皮膜の機械的特性の改良によって、本発明の文脈で明らかにされると指摘される。
【0015】
この明細書において更に詳細に示す前に、以下の定義が与えられる。
【0016】
本発明によれば、用語「引き締め剤」は、水中に7%の濃度で、伸縮計を使用して測定すると、40%の相対湿度下で30℃で1%より大きい、好ましくは1.5%より大きい単離した角質層の収縮を生ずるいずれかの薬剤を意味する。
【0017】
角質層の収縮を測定するためのプロトコールは以下の通りである:
【0018】
この明細書で記載される引き締め剤の引き締め力は、伸縮計を使用して測定された。
【0019】
前記方法の原理は、試験組成物での処理の前後での、外科的操作から由来するヒトの皮膚から単離された角質層のサンプルの長さを測定することにある。
【0020】
これを実施するために、30℃で40%の相対湿度の環境下で、一方が固定され、他方が可動性の機械の二つの顎部の間にサンプルを配置する。張力をサンプルに供し、長さ(ミリメーター単位)の関数として力(グラム単位)の曲線を記録し、0の力は機械の二つの顎部の間の距離に対応する。次いで曲線の直線領域に接線をプロットする。この接線のX軸との接点が、0の力でのサンプルの見かけの長さLに対応する。次いでサンプルを弛緩し、その後2mg/cmの試験組成物(考慮される引き締め剤を7%含む溶液)を角質層に適用する。15分間乾燥後、上述の工程を繰り返して、処理後のサンプルの長さLを測定する。収縮のパーセンテージは、収縮%=100×(L−L)/Lによって定義される。引き締め効果を特徴付けするために、このパーセンテージは負の値でなければならず、収縮のパーセンテージのより大きい絶対値について、引き締め効果を比例的に大きくなる。
【0021】
以上及び以下の文脈において、用語「エチレン性ポリマー」は、エチレン性不飽和を含むモノマーの重合によって得られるポリマーを意味する。
【0022】
以上及び以下の文脈において、用語「ブロックポリマー」は、少なくとも二つの異なるブロック、好ましくは少なくとも三つの異なるブロックを含むポリマーを意味する。
【0023】
本発明に係るポリマーは、直鎖状構造のポリマーである。これに対して非直鎖状構造のポリマーは、例えば分枝状構造、星状またはグラフグラフト形態のポリマーである。
【0024】
用語「皮膜形成性ポリマー」は、それ自体で、または皮膜形成助剤の存在下で、支持体、特にケラチン物質に接着する連続皮膜を形成可能なポリマーを意味する。
【0025】
用語「非エラストマー性ポリマー」は、それを伸ばすように企図される強制力に供された場合(例えばその初期長に対して30%まで)、強制力がなくなるとその初期値に実質的に同一の長さには戻らないポリマーを意味する。
【0026】
とりわけ、用語「非エラストマー性ポリマー」は、30%の伸長に供された後に、瞬間回復値R<50%、遅延回復値R2h<70%を有するポリマーを表す。
【0027】
好ましくは、R<30%、R2h<50%である。
【0028】
とりわけ、前記ポリマーの非エラストマー性は、以下のプロトコールに従って測定される:
【0029】
テフロン(登録商標)鋳型に前記ポリマーの溶液を注ぎ、引き続き23±5℃且つ50±10%の相対湿度で整えられた環境で7日間乾燥させることにより、ポリマー皮膜を調製する。
【0030】
かくして約100μmの厚みの皮膜が得られ、そこから15mmの幅で80mmの長さの長方形の標本を切断する(例えばパンチを使用して)。
【0031】
このサンプルを、乾燥と同じ温度と湿度条件下で、参照名Zwickの名で市販されている機械を使用して張力に供する。
【0032】
前記標本を50mm/分速度で引っ張り、顎部の間の距離は50mmであり、それは前記標本の初期長(l)に対応する。
【0033】
瞬間回復値Rを、以下の態様で測定する:
− 標本を、30%、即ち初期長(l)の約0.3倍まで引っ張る(emax);
− 引っ張り速度に等しい回復速度、即ち50mm/分を適用することにより、強制力を開放し、0の強制力に戻した後の前記標本の残余の伸長をパーセンテージとして測定する(e)。
【0034】
瞬間回復値R(%単位)は下式によって測定される:
=((emax−e)/emax)×100
【0035】
遅延回復値を測定するために、0の強制力に戻した後の2時間後の前記標本の残余の伸長のパーセンテージを2時間後に測定する(e2h)。
【0036】
遅延回復値R2h(%単位)のパーセンテージは下式によって与えられる:
2h=((emax−e2h)/emax)×100
【0037】
指針として、一つの好ましい実施態様に係るポリマーは、10%の瞬間回復値Rと30%の遅延回復値R2hを有する。
【0038】
用語「水不溶性ポリマー」は、室温(25℃)で少なくとも1重量%の活性材料含量で、pH調節ない条件で、水中、または水と、2から5の炭素原子を含む直鎖状または分枝状低級アルコール、例えばエタノール、イソプロパノール、またはn-プロパノールとの混合物中で、不溶性であるポリマーを意味する。
【0039】
上述の通り、本発明に係る組成物は、少なくとも一つの引き締め剤を含む。前記薬剤は、組成物の総重量に対して0.01から20%、好ましくは1から10%の範囲の含量で組成物中に含まれる。
【0040】
前記引き締め剤は、特に以下のものから選択されて良い:
a)合成ポリマー;
b)天然起源のポリマー;
c)混合シリカート;
d)ワックス微小粒子;
e)鉱物フィラーのコロイド状粒子;
及びこれらの混合物
【0041】
a)合成ポリマー
引き締め剤として使用されて良い合成ポリマーは、以下のものから選択されて良い:
− ポリウレタンポリマーとコポリマー;
− アクリルポリマーとコポリマー;
− スルホン化イソフタル酸ポリマー;
− グラフトシリコーンポリマー;
− 水溶性または水分散性単位とLCSTを有する単位とを含む水溶性または水分散性ポリマー;
− 及びこれらの混合物。
【0042】
本発明に係るポリウレタンコポリマー、アクリルコポリマー、及び他の合成ポリマーは、特に重縮合物、ハイブリッドポリマー、及び互貫通性ポリマーネットワーク(IPN)から選択されて良い。
【0043】
本発明の目的のため、用語「互貫通性ポリマーネットワーク」は、二つのタイプのモノマーの同時的重合及び/または架橋によって得られる二つの絡み合ったポリマーの混合物を意味し、得られた混合物は単一のガラス転移温度を有する。
【0044】
本発明での使用に適したIPNの例、及びそれらの調製方法は、例えば特許US-6,139,322 [2]及びUS-6,465,001 [3]に記載されている。
【0045】
好ましくは、本発明に係るIPNは、少なくとも一つのポリアクリルポリマーを含み、より好ましくは少なくとも一つのポリウレタン、または少なくとも一つのビニリデンフルオリドとヘキサフルオロプロパンとのコポリマーを含む。
【0046】
一つの好ましい形態によれば、本発明に係るIPNは、ポリウレタンポリマーとポリアクリルポリマーとを含む。そのようなIPNは、特にAir Products社から市販されているHybridurシリーズのものである。
【0047】
特に好ましいIPNは、90から110nmの重量平均サイズと約80nmの数量平均サイズを有する粒子の水性分散物の形態で存在する。このIPNは好ましくは、約-60℃から+100℃の範囲のガラス転移温度Tgを有する。このタイプのIPNは、商標名Hybridur X-01602の下でAir Products社により特に市販されている。本発明での使用に適した別のIPNは、Hybridur X18693-21として参照される。
【0048】
本発明での使用に適した他のIPNは、ビニリデンフルオリドとヘキサフルオロプロピレンとのコポリマーと、ポリウレタンとの混合物からなるIPNを含む。これらのIPNは、特に特許US-5 349 003 [4]に記載されたように調製されて良い。変形例として、それらはAtofina社によりKynar RC-10、147、及びKynar RC-10、151の商標名の下で、70:30から75:25のアクリルポリマーに対するフッ素化コポリマーの比で、水中におけるコロイド状分散物の形態で市販されている。
【0049】
グラフトシリコーンポリマーの例は、特許出願EP-1 038 519 [5]に与えられており、この文献は参考としてここに取り込まれる。グラフトシリコーンポリマーの好ましい例は、ポリ(メタ)アクリル酸タイプとポリ(メタ)アクリラートタイプの混合ポリマー単位が、チオプロピレンタイプの結合鎖を介してグラフトされているポリジメチルシロキサンである、ポリシリコーン-8(CTFA名)である。このタイプのポリマーは、3M社からVS 80(水中に10%で)またはLO 21(粉体形態で)の商標名で特に入手可能である。それは、プロピルチオ基を含むポリジメチルシロキサン、メチルアクリラート、メチルメタクリラート、及びメタクリル酸のコポリマーである。
【0050】
上述の合成ポリマーは、ラテックスの形態で存在しても良い。引き締め剤として本発明によって使用されて良い適切なラテックスとして、特にNoveon社により"Avalure UR410"及び"Avalure UR460"の名称で、またはAvecia社により"Neorez R974"、"Neorez R981"、及び"Neorez R970"の名称で市販されているもののようなポリエステル−ポリウレタン及びポリエーテル−ポリウレタン、並びにAvacia社により"Neocryl XK-90"の名称で市販されているもののようなアクリルコポリマー分散物が挙げられる。
【0051】
本発明によれば、水溶性または水分散性単位と、1%の質量濃度で特に5から40℃の水中の脱混合温度を有するLCSTを有する単位とを含む、水溶性または水分散性ポリマーを使用することも可能である。このタイプのポリマーは、特許出願FR 2 819 429 [6]に十分に記載されている。
【0052】
b)天然起源のポリマー
引き締め剤として使用されて良い天然起源のポリマーは、以下のものから選択されて良い:
− 植物タンパク質及び植物タンパク質加水分解産物;
− デンプンのような、任意にミクロゲルの形態の植物起源のポリサッカリド;
− 植物起源のラテックス;
− 及びそれらの混合物。
【0053】
本発明に係る引き締め剤として使用されて良い植物タンパク質及び植物タンパク質加水分解産物の例は、トウモロコシ、ライ麦、Triticum aetivumコムギ、ソバ、ゴマ、スペルトコムギ、エンドウマメ、ソラマメ、ヘラマメ、ダイズ、及びルビナス由来のタンパク質及びタンパク質加水分解産物からなる。
【0054】
本発明に係る組成物への処方に適したポリサッカリドは、熱可逆性または架橋化ゲル及び溶液を形成可能な天然起源のいずれかのポリサッカリドである。用語「熱可逆性」は、使用されるポリサッカリドの特徴的なゲル化温度未満に溶液が冷却されると、これらのポリマー溶液のゲル状態が可逆的に得られることを意味する。
【0055】
本発明で使用されて良い天然起源のポリサッカリドの第一のファミリーは、カラギーナン、とりわけカッパ−カラギーナン及びイオタ−カラギーナンからなる。これらは、特定の紅藻類に存在する直鎖状ポリサッカリドである。それらは交互のβ-1,3及びα-1,4ガラクトース残基からなり、多くのガラクトース残基は硫酸化しているであろう。このファミリーのポリサッカリドは、Peter Harrisによって編集された書籍"Food Gels", Elsevier 1989, 第3章 [7]に記載されている。使用されて良いもう一つのファミリーのポリサッカリドはアガーからなる。これらも紅藻類から抽出されるポリマーであり、それらは交互の1,4-L-ガラクトースと1,3-D-ガラクトース残基からなる。このファミリーのポリサッカリドは、上述の書籍"Food Gels"の第1章 [8]に記載されている。第三のファミリーのポリサッカリドは、ゲランとして既知の細菌起源のポリサッカリドからなる。これらは、交互のグルコース、グルクロン酸、ラムノース残基からなるポリサッカリドである。これらのゲランは、上述の書籍"Food Gels"の第6章 [9]に特に記載されている。特に塩の添加によって誘導される架橋型のゲルを形成するポリサッカリドの場合、アルギナートとペクチンのファミリーに属するポリサッカリドが挙げられる。
【0056】
キトサン及びその誘導体、プルラン及びその誘導体、及び静電的相互作用によって複合体を形成する反対に荷電したポリマーの混合物が挙げられる。
【0057】
引き締めポリサッカリドは、FR 2 829 025 [10]に記載されたようなミクロゲルの形態で存在しても良い。
【0058】
本発明によって使用されて良いポリサッカリドの一つの特定の有利なカテゴリーは、デンプン及びその誘導体からなる。
【0059】
デンプンは、当業者に周知である天然産物である。それはα-D-グルコピラノシル単位からなる直鎖状または分枝状のポリマーまたはポリマー混合物からなる。デンプンは特に、"Kirk-Othmer Encyclopedia of Chemical Technology, 第3版, Volume 21, pp. 492-507, Wiley Interscience, 1983" [11]に記載されている。
【0060】
本発明によって使用されるデンプンは、コメ、トウモロコシ、ジャガイモ、キャッサバ、マメ、Triticum aestivumコムギ、オートムギ等のいずれかの起源を有して良い。それは、天然のものでも良いし、架橋、アセチル化、または酸化のような処理によって任意に変性されたものであって良い。
【0061】
本発明に係る組成物で使用されて良いデンプンとして、例えばRemi Driの名称でLambert-Riviere社により市販されているデンプンが挙げられる。
【0062】
c)混合シリカート
本発明によって使用されて良い引き締め剤のもう一つのクラスは混合シリカートからなる。この用語は、アルカリ金属(例えばNa、Li、またはK)またはアルカリ土類金属(例えばBe、Mg、またはCa)及び遷移金属からなるいくつかのタイプのカチオンを含む天然または合成起源のいずれかのシリカートを指す。
【0063】
フィロシリカート、即ちSiOテトラヘドラが金属カチオンを封入している小片として構成されている構造を有するシリカートが好ましく使用される。
【0064】
引き締め剤として特に好ましいもう一つのファミリーのシリカートは、ラポナイトファミリーである。ラポナイトは、モンモチロナイトのものと同様な層状構造を有するマグネシウムリチウムナトリウムシリカートである。ラポナイトは、「ヘクトライト」として既知の天然鉱物の合成形態である。例えばRockwood社によりLaponite XLSまたはLaponite XLGの名称で市販されているラポナイトの使用が挙げられる。
【0065】
d)ワックス微小分散物
本発明で使用されて良いまた別のクラスの引き締め剤は、ワックス微小粒子からなる。これらは一般的に5μm未満、より好適には0.5m未満の直径を有する粒子であり、例えばカルナウバワックス、カンデリラワックス、及びエスパルトガラスワックスから選択されるワックスまたはワックスの混合物から本質的になる。ワックスまたはワックスの混合物の融点は、好ましくは50℃から150℃の間である。
【0066】
e)鉱物フィラーのコロイド状粒子
もう一つの変形例として、本発明に係る引き締め剤として鉱物フィラーのコロイド状粒子を使用することも可能である。用語「コロイド状粒子」は一般的に、水性、水性-アルコール性、またはアルコール性媒体中に分散された、0.1から100nmの間、好ましくは3から30nmの間の数量平均径を有するコロイド状粒子を意味する。
【0067】
鉱物フィラーの例としては、シリカ、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、アルミナ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、酸化亜鉛、及び二酸化チタンが含まれる。特に好ましい鉱物フィラーはシリカである。コロイド状シリカ粒子は特に、Catalysts& Chemicals社により商標名Cosmo S-40及びCosmo S-50の名称でコロイド状シリカの水性分散物の形態で入手可能である。
【0068】
鉱物フィラーのコロイド状粒子の一つの特定の例は、シリカ−アルミナ複合体コロイド状粒子であってよい。用語「シリカ−アルミナ複合体」は、アルミニウム原子がケイ素原子を部分的に置換しているシリカ粒子を意味する。これらの粒子は、水性分散物の形態で存在し、水、アルコール、オイル、またはいずれかの他の溶媒中で増粘特性を有さない。水中で15重量%以上の濃度で、かくして得られた溶液の粘度は、10S−1に等しい剪断速度について0.05Pa.s未満である。測定は、コーン−プレート形状でHaake RS150 RheoStressレオメーターを使用して25℃で実施され、測定コーンの統計は60mmの直径と2°の角度である。
【0069】
pH7で、本発明に係るシリカ−アルミナ複合体コロイド状粒子は、-20mV未満、好ましくは-25mV未満のゼータ電位を有する。測定は、Coulter Scientific Instrument社製のDelta 440SX機械を使用して25℃で実施される。
【0070】
本発明に係る組成物で使用されて良いシリカ−アルミナ複合体コロイド状粒子として、Ludox AM、Ludox HSA、及びLudox TMAの名称でGracew社により市販されているものが挙げられる。
【0071】
上述の通り、前記組成物は、非エラストマー性の水不溶性皮膜形成性直鎖状ブロックエチレン性ポリマーを含む。
【0072】
引き締め剤と組み合わせたこの特定のポリマーは、引き締め皮膜を強化すると同時にそれに可撓性を与えるという能力により、取り込まれた組成物に残留する引き締め効果を与える。この残留は、引き締め皮膜の機械的特性の改良を測定すること(とりわけ破壊強度の改良を測定すること)によって本発明により定量化され、並びにこの明細書の実施例の部分に与えられるプロトコールで説明されるであろう。
【0073】
このポリマーは、前記組成物の総重量に対して0.01から20%、好ましくは1から10%の範囲の含量で組成物中に存在し、前記ポリマーは好ましくは、多くとも引き締め剤の量と等しい量で存在する。
【0074】
本発明に係るこのタイプのポリマーは有利には、互いに不適合であり、異なるガラス転移温度(Tg)を有する少なくとも一つの第一のブロックと少なくとも一つの第二のブロックを含み、前記第一及び第二のブロックは、第一のブロックの少なくとも一つの構成モノマーと、第二のブロックの少なくとも一つの構成モノマーとを含む中間部分を介してともに連結し、前記ポリマーは、2より大きい多分散指数Iを有する。
【0075】
第一及び第二のブロックのTg値は、Foxの法則に従って計算された理論的Tg値である。
【0076】
用語「互いに不適合なブロック」は、第一のブロックに対応するポリマーと、第二のブロックに対応するポリマーとから形成された混合物が、混合物(ポリマーと溶媒)の総重量に対して5重量%以上のポリマー混合物含量について、室温(25℃)且つ大気圧(105Pa) で、前記ブロックポリマーについての大多数の量で存在する重合溶媒中で混和しないことを意味し、それは以下のように解される:
i)前記ポリマーは、それぞれの重量が10/90から90/10の範囲である含量で混合物中に存在する;及び
ii)第一及び第二のブロックに対応するポリマーのそれぞれが、前記ブロックポリマーの分子量に等しい平均(重量平均または数量平均)分子量を有する。
【0077】
重合溶媒の混合物の場合では、同一の重量比で二つ以上の溶媒が存在するべきであり、前記ポリマー混合物はそれらの少なくとも一つに混和しない。
【0078】
言うまでもなく、唯一の溶媒で実施される重合の場合では、この溶媒は、大多数の量で存在する溶媒を構成する。
【0079】
第一のブロックの少なくとも一つの構成モノマーと、第二のブロックの少なくとも一つの構成モノマーとを含むブロックである中間部分は、これらのブロックを「適合化する」ことが可能である。
【0080】
以上及び以下の文脈において、用語「第一のブロック」及び「第二のブロック」は、前記ポリマーの構造中の前記ブロックの順序をいずれかの態様で条件付けるものではないことが指摘される。
【0081】
前記ポリマーの多分散指数Iは、数量平均分子量Mnに対する重量平均分子量Mwの比に等しい。
【0082】
重量平均分子量(Mw)と数量平均分子量(Mn)は、ゲル浸透液体クロマトグラフィーによって測定される(THF溶媒、直鎖状ポリスチレンスタンダードで確立された較正曲線、屈折検出器)。
【0083】
本発明に係る組成物で使用されるポリマーの重量平均分子量(Mw)は、好ましくは300,000以下である。それは例えば、35,000から200,000の範囲、好適には45,000から150,000の範囲である。
【0084】
本発明に係る組成物で使用されるポリマーの数量平均分子量(Mn)は、好ましくは70,000以下である。それは例えば、10,000から60,000の範囲、好適には12,000から50,000のっ範囲である。
【0085】
好ましくは、本発明に係る組成物で使用されるポリマーの多分散指数は、2より大きい、例えば2より大きく9以下である、好ましくは2.5以上、例えば2.5から8の範囲、好適には2.8以上、特に2.8から6の範囲である。
【0086】
本発明に係る組成物で使用されるポリマーの各ブロックは、一つのタイプのモノマーから、またはいくつかの異なるタイプのモノマーから由来する。
【0087】
これは、ホモポリマーまたはコポリマーからなっても良い;ブロックを構成するこのコポリマーは、次いでランダムでも相互的であっても良い。
【0088】
有利には、前記ポリマーの第一のブロックの少なくとも一つの構成モノマーと、第二のブロックの少なくとも一つの構成モノマーとを含む中間ブロックはランダムポリマーである。
【0089】
好ましくは前記中間ブロックは、第一のブロックと第二のブロックの構成モノマーから本質的に由来する。
【0090】
用語「本質的に」は、少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、好適には95%、より好適には100%を意味する。
【0091】
有利には前記中間ブロックは、第一及び第二のブロックのガラス転移温度の間であるガラス転移温度Tgを有する。
【0092】
本発明によれば、第一及び第二のブロックは、異なるガラス転移温度を有する。
【0093】
第一及び第二のブロックについて指摘されるガラス転移温度は、ブロックのそれぞれの構成モノマーの理論的Tg値から決定される理論的Tg値であって良く、それはPolymer Handbook, 第3版, 1989, John Wileyのような参考マニュアルにおいて、Foxの法則として既知の以下の関係式によって見出されて良い:
l/Tg=E(ω/Tg
はiにおける合計の記号を表し、ωは考慮されるブロックにおけるモノマーiの質量分画であり、Tgはモノマーiのホモポリマーのガラス転移温度である。
【0094】
他に記載がなければ、この明細書において第一及び第二のブロックについて示されるTg値は理論的Tg値である。
【0095】
第一及び第二のブロックのガラス転移温度の間の差異は、一般的に20℃より大きい、好ましくは30℃より大きい、好適には40℃より大きい。
【0096】
特に、第一のブロックは以下のものから選択される:
a)40℃以上のTgを有するブロック;
b)20℃以下のTgを有するブロック;
c)20から40℃の間のTgを有するブロック。
第二のブロックは第一のブロックとは異なるカテゴリーa)、b)、またはc)から選択される。
【0097】
本発明では、用語「○と○の間」は、言及される限界値を解除する値の範囲を表すものと企図され、「○から○まで」及び「○から○の範囲」は、限界値を含む値の範囲を表すものと企図される。
【0098】
a)40℃以上のTgを有するブロック
40℃以上のTgを有するブロックは、例えば40から150℃、好ましくは50℃以上、例えば50℃から120℃の範囲、好適には60℃以上、例えば60℃から120℃の範囲のTgを有する。
【0099】
40℃以上のTgを有するブロックは、ホモポリマーまたはコポリマーであって良い。
【0100】
このブロックがホモポリマーである場合、それは、これらのモノマーから調製されるホモポリマーが、40℃以上のガラス転移温度を有するようなものであるモノマーから由来する。この第一のブロックは、唯一のタイプのモノマーからなるホモポリマーであっても良い(この場合対応するホモポリマーのTgは40℃以上である)。
【0101】
第一のブロックがコポリマーである場合、それは、一つ以上のモノマーから完全にまたは部分的に由来し、そのモノマーの性質及び濃度は、生成したコポリマーのTgが40℃以上であるように選択される。コポリマーは例えば以下のものを含んで良い:
− これらのモノマーから調製されるホモポリマーが、40℃以上のTg値、例えば40℃から150℃の範囲のTg、好ましくは50℃以上、例えば50℃から120℃の範囲、好適には60℃以上、例えば60℃から120℃の範囲のTgを有するようなモノマー;及び
− これらのモノマーから調製されるホモポリマーが、40℃未満のTg値を有するようなモノマーであって、20から40℃の間のTgを有するモノマー、及び/または以下に記載されるような20℃以下のTgを有するモノマー、例えば-100から20℃の範囲、好ましくは15℃未満、特に−80℃から15℃の範囲、好適には10℃未満、例えば−50℃から0℃の範囲のTgを有するモノマーから選択されるモノマー。
【0102】
そのホモポリマーが40℃以上のガラス転移温度を有するモノマーは、好ましくは主たるモノマーとして既知である以下のモノマーから選択される:
− 式CH=C(CH)−COORのメタクリラート
[式中、Rは1から4の炭素原子を含む直鎖状または分枝状の非置換アルキル基、例えばメチル、エチル、プロピル、またはイソブチル基を表し、またはRはCからC12のシクロアルキル基を表す];
− 式CH=CH−COORのアクリラート
[式中、RはイソボルニルのようなCからC12のシクロアルキル基、またはtert-ブチル基を表す];
− 下式の(メタ)アクリルアミド:
【化1】

[式中、R及びRは、同一でも異なっても良く、それぞれ水素原子、CからC12の直鎖状または分枝状アルキル基、例えばn-ブチル、t-ブチル、イソプロピル、イソヘキシル、イソオクチル、またはイソノニル基をそれぞれ表し;またはRはHを表し、Rは1,1-ジメチル-3-オクソブチル基を表し;R’はHまたはメチルを表す]。
【0103】
例として挙げられるモノマーは、N-ブチルアクリルアミド、N-t-ブチルアクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、及びN,N-ジブチルアクリルアミドを含む。
【0104】
特に好ましい主たるモノマーは、メチルメタクリラート、イソブチル(メタ)アクリラート、イソボルニル(メタ)アクリラート、及びそれらの混合物である。
【0105】
b)20℃以下のTgを有するブロック
20℃以下のTgを有するブロックは、例えば-100から20℃の範囲、好ましくは15℃以下、特に-80℃から15℃の範囲、好適には10℃以下、例えば-50℃から0℃の範囲のTgを有する。
【0106】
20℃以下のTgを有するブロックは、ホモポリマーまたはコポリマーであっても良い。
【0107】
このブロックがホモポリマーである場合、それは、これらのモノマーから調製されるホモポリマーが、20℃以下のガラス転移温度を有するようなモノマーから由来する。この第二のブロックは、唯一のタイプのモノマーからなるホモポリマーであっても良い(この場合、対応するホモポリマーのTgは20℃以下である)。
【0108】
20℃以下のTgを有するブロックがコポリマーである場合、それは、一つ以上のモノマーから完全にまたは部分的に由来しても良く、その性質及び濃度は、生成するコポリマーのTgが20℃以下になるように選択される。
【0109】
それは例えば以下のものを含んで良い:
− その対応するホモポリマーが、20℃以下のTg、例えば-100℃から20℃の範囲、好ましくは15℃未満、特に-80℃から15℃の範囲、好適には10℃未満、例えば-50℃から0℃の範囲のTgを有する一つ以上のモノマー;及び
− その対応するホモポリマーが、20℃より大きいTgを有する一つ以上のモノマー、例えば40℃以上のTg、例えば40から150℃の範囲、好ましくは50℃以上、例えば50℃から120℃の範囲、好適には60℃以上、例えば60℃から120℃の範囲のTgを有するモノマー、及び/または上述のような20から40℃の間のTgを有するモノマー。
【0110】
好ましくは20℃以下のTgを有するブロックはホモポリマーである。
【0111】
そのホモポリマーが20℃以下のTgを有するモノマーは、好ましくは以下のモノマー、または主たるモノマーから選択される:
− 式CH=CH−COORのアクリラート
[式中、Rはtert-ブチル基を除くCからC12の直鎖状または分枝状アルキル基を表し、そこでO、N及びSから選択される一つ以上のヘテロ原子が任意に中断しており、前記アルキル基はまた、ヒドロキシル基及びハロゲン原子(Cl、Br、I、及びF)から選択される一つ以上の置換基で任意に置換されてよく、またはRは例えばメトキシ-POE基
のような(CからC12アルキル基)-O-POE(POEは5から30回のオキシエチレン基の繰り返しを有するポリオキシエチレンを表す)を表し、またはRは5から30のエチレンオキシド単位を含むポリオキシエチレン基を表す];
− 式CH=C(CH)−COORのメタクリラート
[式中、RはCからC12の直鎖状または分枝状アルキル基を表し、そこでO、N及びSから選択される一つ以上のヘテロ原子が任意に中断しており、前記アルキル基はまた、ヒドロキシル基及びハロゲン原子(Cl、Br、I、及びF)から選択される一つ以上の置換基で任意に置換されてよい];
− 式R−CO−O−CH=CHのビニルエステル
[式中、RはCからC12の直鎖状または分枝状のアルキル基を表す];
− CからC12のアルキルビニルエーテル、例えばブチルビニルエーテル、及びラウリルビニルエーテル;
− N-(CからC12アルキル)アクリルアミド、例えばN-オクチルアクリルアミド;
− 及びそれらの混合物。
【0112】
20℃以下のTgを有するブロックとして特に好ましい主たるモノマーは、アルキル鎖が1から10の炭素原子を含み、tert-ブチル基を除くアルキルアクリラート、例えばメチルアクリラート、イソブチルアクリラート、2-エチルヘキシルアクリラート、及びそれらの混合物である。
【0113】
好ましくは、20℃以下のTgを有する第二のブロックの割合は、前記ポリマーの10%から85%、好適には20%から70%、より好適には20%から50%の範囲である。
【0114】
c)20から40℃の間のTgを有するブロック
20から40℃の間のTgを有するブロックは、ホモポリマーまたはコポリマーであって良い。
【0115】
このブロックがホモポリマーである場合、それは、これらのモノマーから調製されたホモポリマーが、20から40℃の間のガラス転移温度を有するようなものであるモノマー(または主たるモノマー)から由来する。この第一のブロックは、唯一のタイプのモノマーからなるホモポリマーであって良い(この場合対応するホモポリマーのTgは20℃から40℃の範囲である)。
【0116】
そのホモポリマーが20から40℃の間のガラス転移温度を有するモノマーは、好ましくはn-ブチルメタクリラート、シクロデシルアクリラート、ネオペンチルアクリラート、及びイソデシルアクリルアミド、及びそれらの混合物から選択される。
【0117】
20から40℃の間のTgを有するブロックがコポリマーである場合、それは、生成するコポリマーのTgが20から40℃の間であるように選択される性質と濃度を有する一つ以上のモノマー(または主たるモノマー)から全体的または部分的に由来する。
【0118】
有利には、20から40℃の間のTgを有するブロックは、以下のものから全体的または部分的に由来するコポリマーである:
− その対応するホモポリマーが、40℃以上のTg、例えば40℃から150℃の範囲、好ましくは50℃以上、例えば50から120℃の範囲、好適には60℃以上、例えば60℃から120℃の範囲のTgを有する上述のような主たるモノマー;及び/または
− その対応するホモポリマーが、20℃以下のTg、例えば-100から20℃の範囲、好ましくは15℃以下、特に-80℃から15℃の範囲、好適には10℃以下、例えば−50℃から0℃の範囲のTgを有する上述のような主たるモノマー。
【0119】
有利には、第一及び第二のブロックのそれぞれは、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、及びメタクリル酸エステル、並びにそれらの混合物から選択される少なくとも一つのモノマーから完全に由来する。
【0120】
好ましくは本発明に係るポリマーは、スチレンまたはスチレン誘導体、例えばメチルスチレン、クロロスチレン、またはクロロメチルスチレンを含まない。更に、本発明の一つの好ましい態様によれば、本発明に係るポリマーは、非シリコンポリマー、即ちケイ素原子を含まないポリマーである。
【0121】
第一及び/または第二のブロックのそれぞれは、上述のモノマーに加えて、上述の主たるモノマーとは異なる付加的モノマーとして既知の一つ以上の他のモノマーを含んで良い。
【0122】
このまたはこれらの付加的モノマーの性質及び量は、それらが存在するブロックが所望のガラス転移温度を有するように選択される。
【0123】
この付加的モノマーは、例えば以下のものから選択される:
a)以下のもののような親水性モノマー:
− 少なくとも一つのカルボン酸またはスルホン酸官能基を含むエチレン性不飽和モノマー、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、アクリルアミドプロパンスルホン酸、ビニル安息香酸、ビニルリン酸、及びそれらの塩;
− 少なくとも一つのヒドロキシル官能基を含むエチレン性不飽和モノマー、例えば2-ヒドロキシプロピルメタクリラート、2-ヒドロキシエチルメタクリラート、2−ヒドロキシプロピルアクリラート、及び2-ヒドロキシエチルアクリラート;
− 少なくとも一つの第3級アミン官能基を含むエチレン性不飽和モノマー、例えば2-ビニルピリジン、4-ビニルピリジン、ジメチルアミノエチルメタクリラート、ジエチルアミノエチルメタクリラート、及びジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、及びそれらの塩;
− 式CH=C(CH)−COORのメタクリラート
[式中、Rは1から4の炭素原子を含む直鎖状または分枝状アルキル基、例えばメチル、エチル、プロピル、またはイソブチル基を表し、前記アルキル基は、ヒドロキシル基(例えば2-ヒドロキシプロピルメタクリラート、及び2-ヒドロキシエチルメタクリラート)、及びハロゲン原子(Cl、Br、I、及びF;例えばトリフルオロエチルメタクリラート)から選択される一つ以上の置換基で置換される];
− 式CH=C(CH)−COORのメタクリラート
[式中、RはCからC12の直鎖状または分枝状アルキル基を表し、そこでO、N及びSから選択される一つ以上のヘテロ原子が任意に中断しており、前記アルキル基はまた、ヒドロキシル基及びハロゲン原子(Cl、Br、I、及びF)から選択される一つ以上の置換基で任意に置換される];
− 式CH=CHCOOR10のアクリラート
[式中、R10はヒドロキシル基またはハロゲン原子(Cl、Br、I、及びF)から選択される一つ以上の置換基で置換されたCからC12の直鎖状または分枝状アルキル基を表し、例えば2-ヒドロキシプロピルアクリラート、及び2−ヒドロキシエチルアクリラートを表し、またはR10は例えばメトキシ-POE基のような(CからC12アルキル基)-O-POE(POEは5から30回のオキシエチレン単位の繰り返しを有するポリオキシエチレンを表す)を表し、またはR10は5から30のエチレンオキシド単位を含むポリオキシエチレン基を表す];
b)一つ以上のケイ素原子を含むエチレン性不飽和モノマー、例えばメタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、及びメタクリルオキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン;
− 及びこれらの混合物。
【0124】
特に好ましい付加的モノマーは、アクリル酸、メタクリル酸、及びトリフルオロエチルメタクリラート、並びにそれらの混合物である。
【0125】
このまたはこれらの付加的モノマーは、それらが存在する場合、一般的に第一及び/または第二のブロックの総重量に対して30重量%以下、例えば1から30重量%、好ましくは5から20重量%、より好ましくは7から15重量%の量を占める。
【0126】
本発明に係るポリマーは、以下の調製方法に従って、フリーラジカル溶液重合によって得られて良い:
− 重合溶媒の一部を適切な反応器に導入し、重合のための十分な温度に到達するまで加熱する(典型的に60から120℃の間);
− この温度に到達したら、第一のブロックの構成モノマーを、重合開始剤のいくつかの存在下で導入する;
− 90%の最大の変換度に対応する時間Tの後、第二のブロックの構成モノマーと、残りの開始剤を導入する;
− 混合物を時間T’(3から6時間の範囲)の間反応させ、その後混合物を室温に冷却する;
− 重合溶媒に溶解したポリマーを得る。
【0127】
用語「重合溶媒」は、溶媒または溶媒の混合物を意味する。重合溶媒は、エチルアセタート、ブチルアセタート、イソプロパノールまたはエタノールのようなアルコール、及びイソドデカンのような脂肪族アルカン、並びにこれらの混合物から特に選択されて良い。好ましくは重合溶媒は、ブチルアセタートとイソプロパノールまたはイソドデカンの混合物である。
【0128】
時間Tは、90%の変換度、即ち90%の消費された第一のブロックの構成モノマーのパーセンテージに対応する。
【0129】
重合温度は好ましくは、60から120℃、より好ましくは80から100℃の範囲である。
【0130】
重合開始剤は、8から30の炭素原子を含む有機パーオキシドから選択されて良い。例としては例えば、Akzo Nobel社により参照名Trigonox(登録商標)141で市販されている、2,5-ビス(2-エチルヘキサノイルパーオキシ)-2,5-ジメチルへキサンが挙げられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0131】
第一の実施態様
第一の実施態様によると、本発明に係るポリマーは、a)において上述のような40℃以上のTgを有する第一のブロックと、b)において上述のような20℃以下のTgを有する第二のブロックとを含む。
【0132】
好ましくは、40℃以上のTgを有する第一のブロックは、上述のモノマーのような、これらのモノマーから調製されるホモポリマーが、40℃以上のガラス転移温度を有するようなものであるモノマーから由来するコポリマーである。
【0133】
有利には、20℃以下のTgを有する第二のブロックは、上述のモノマーのような、これのモノマーから調製されるホモポリマーが、20℃以下のガラス転移温度を有するようなものであるモノマーから由来するホモポリマーである。
【0134】
好ましくは、40℃以上のTgを有するブロックの割合は、前記ポリマーの20から90重量%、好適には30から80重量%、より好適には50から70重量%の範囲である。
【0135】
好ましくは、20℃以下のTgを有するブロックの割合は、前記のポリマーの5から75重量%、好ましくは15から50重量%、好適には25から45重量%の範囲である。
【0136】
かくして、第一の変形例によれば、本発明に係るポリマーは以下のものを含んで良い:
− 40℃以上のTg、例えば70から110℃の範囲のTgを有し、(メチルメタクリラート/アクリル酸)コポリマーである第一のブロック;
− 20℃以下のTg、例えば0から20℃の範囲のTgを有し、メチルアクリラートホモポリマーである第二のブロック;及び
− (メチルメタクリラート/アクリル酸/メチルアクリラート)コポリマーである中間ブロック。
【0137】
第二の変形例によれば、本発明に係るポリマーは以下のものを含んで良い:
− 40℃以上のTg、例えば70から100℃の範囲のTgを有し、(メチルメタクリラート/アクリル酸/トリフルオロエチルメタクリラート)コポリマーである第一のブロック;
− 20℃以下のTg,例えば0から20℃の範囲のTgを有し、メチルアクリラートホモポリマーである第二のブロック;及び
− (メチルメタクリラート/アクリル酸/メチルアクリラート/トリフルオロエチルメタクリラート)ランダムコポリマーである中間ブロック。
【0138】
第三の変形例によれば、本発明に係るポリマーは以下のものを含んで良い:
− 40℃以上のTg、例えば85から115℃の範囲のTgを有し、(イソボルニルアクリラート/イソブチルメタクリラート)コポリマーである第一のブロック;
− 20℃以下のTg、例えば-85から-55℃の範囲のTgを有し、2-エチルヘキシルアクリラートホモポリマーである第二のブロック;及び
− (イソボルニルアクリラート/イソブチルメタクリラート/2-エチルヘキシルアクリラート)ランダムコポリマーである中間ブロック。
【0139】
第四の変形例によれば、本発明に係るポリマーは以下のものを含んで良い:
− 40℃以上のTg、例えば85から115℃の範囲のTgを有し、(イソボルニルアクリラート/メチルメタクリラート)コポリマーである第一のブロック;
− 20℃以下のTg、例えば-85から-55℃の範囲のTgを有し、2-エチルヘキシルアクリラートホモポリマーである第二のブロック;及び
− (イソボルニルアクリラート/メチルメタクリラート/2-エチルヘキシルアクリラート)ランダムコポリマーである中間ブロック。
【0140】
第五の変形例によれば、本発明に係るポリマーは以下のものを含んで良い:
− 40℃以上のTg、例えば95から125℃の範囲のTgを有し、(イソボルニルアクリラート/イソボルニルメタクリラート)コポリマーである第一のブロック;
− 20℃以下のTg、例えば-85から−55℃の範囲のTgを有し、2-エチルヘキシルアクリラートホモポリマーである第二のブロック;及び
− (イソボルニルアクリラート/イソボルニルメタクリラート/2-エチルヘキシルアクリラート)ランダムコポリマーである中間ブロック。
【0141】
第六の変形例によれば、本発明に係るポリマーは以下のものを含んで良い:
− 40℃以上のTg、例えば85から115℃の範囲のTgを有し、(イソボルニルメタクリラート/イソブチルメタクリラート)コポリマーである第一のブロック;
− 20℃以下のTg、例えば-35から-5℃の範囲のTgを有し、イソブチルアクリラートホモポリマーである第二のブロック;
− (イソボルニルメタクリラート/イソブチルメタクリラート/イソブチルアクリラート)ランダムコポリマーである中間ブロック。
【0142】
第七の変形例によれば、本発明に係るポリマーは以下のものを含んで良い:
− 40℃以上のTg、例えば95から125℃の範囲のTgを有し、(イソボルニルアクリラート/イソボルニルメタクリラート)コポリマーである第一のブロック;
− 20℃以下のTg、例えば-35から−5℃の範囲のTgを有し、イソブチルアクリラートホモポリマーである第二のブロック;及び
− (イソボルニルアクリラート/イソボルニルメタクリラート/イソブチルアクリラート)ランダムコポリマーである中間ブロック。
【0143】
第八の変形例として、本発明に係るポリマーは以下のものを含んで良い:
− 40℃以上のTg、例えば60から90℃の範囲のTgを有し、(イソボルニルアクリラート/イソブチルメタクリラート)コポリマーである第一のブロック;
− 20℃以下のTg、例えば-35から-5℃の範囲のTgを有し、イソブチルアクリラートホモポリマーである第二のブロック;及び
− (イソボルニルアクリラート/イソブチルメタクリラート/イソブチルアクリラート)ランダムコポリマーである中間ブロック。
【0144】
本発明によって特に有利である一つの化粧品組成物は、以下の化粧品組成物である:
− エチレン性ポリマーが、第一のブロック、または100℃のTgを有するポリ(イソボルニルアクリラート/メチルメタクリラート)ブロック、第二の−70℃のTgを有するポリ(2-エチルヘキシルアクリラート)ブロック、及び(イソボルニルアクリラート/メチルメタクリラート/2-エチルヘキシルアクリラート)ランダムポリマーである中間ブロックを含む;及び
− 引き締め剤がコロイド状シリカの水性分散物である。
【0145】
本発明によって特に有利であるもう一つの化粧品組成物は、以下の化粧品組成物である:
− エチレン性ポリマーが、第一のブロック、または110℃のTgを有するポリ(イソボルニルアクリラート/イソボルニルメタクリラート)ブロック、第二の−70℃のTgを有するポリ(2-エチルヘキシルアクリラート)ブロック、及び(イソボルニルアクリラート/イソボルニルメタクリラート/2-エチルヘキシルアクリラート)ランダムポリマーである中間ブロックを含む;及び
− 引き締め剤がコロイド状シリカの水性分散物である。
【0146】
第二の実施態様
第二の実施態様によれば、本発明に係るポリマーは、c)に記載されたブロックに従って、20から40℃の間のガラス転移温度(Tg)を有する第一のブロックと、b)に記載されたような、20℃以下のガラス転移温度、または上記a)に記載されたような40℃以上のガラス転移温度を有する第二のブロックとを含む。
【0147】
好ましくは、20から40℃の間のTgを有する第一のブロックの割合は、前記ポリマーの10から85重量%、好適には30から80重量%、より好適には50から70重量%の範囲である。
【0148】
第二のブロックが40℃以上のTgを有するブロックである場合、それは好ましくは、前記ポリマーの10から85重量%、好適には20から70重量%、より好適には30から70重量%の範囲の割合で存在する。
【0149】
第二のブロックが20℃以下のTgを有するブロックである場合、それは好ましくは、前記ポリマーの10から85重量%、好適には20から70重量%、より好適には20から50重量%の範囲の割合で存在する。
【0150】
好ましくは、20から40℃の間のTgを有する第一のブロックは、対応するホモポリマーが、40℃以上のTgを有するようなものであるモノマーと、対応するホモポリマーが、20℃以下のTgを有するようなものであるモノマーから由来するコポリマーである。
【0151】
有利には、20℃以下のTG、または40℃以上のTgを有する第二のブロックはホモポリマーである。
【0152】
かくして、この第二の実施態様の第一の変形例によれば、本発明に係るポリマーは以下のものを含んで良い:
− 20から40℃の間のTg、例えば25から39℃のTgを有し、少なくとも一つのメチルアクリラートモノマー、少なくとも一つのメチルメタクリラートモノマー、及び少なくとも一つのアクリル酸モノマーを含むコポリマーである第一のブロック;
− 40℃以上のTg、例えば85から125℃の範囲のTgを有し、2-エチルヘキシルアクリラートモノマーからなるホモポリマーである第二のブロック;及び
− メチルメタクリラート、アクリル酸、及び2-エチルヘキシルアクリラートランダムポリマーからなる中間ブロック。
【0153】
この第二の実施態様の第二の変形例によれば、本発明に係るポリマーは以下のものを含んで良い:
− 20から40℃の間のTg、例えば21から39℃のTgを有し、(イソボルニルアクリラート/イソブチルメタクリラート/2-エチルヘキシルアクリラート)コポリマーである第一のブロック;
− 20℃以下のTg、例えば-65から-35℃の範囲のTgを有し、メチルメタクリラートホモポリマーである第二のブロック;及び
− (イソボルニルアクリラート/イソブチルメタクリラート/2-エチルヘキシルアクリラート/メチルメタクリラート)ランダムコポリマーである中間ブロック。
【0154】
この第二の実施態様の第三の変形例によれば、本発明に係るポリマーは以下のものを含んで良い:
− 20から40℃の間のTg、例えば21から39℃のTgを有し、(イソボルニルアクリラート/メチルアクリラート/アクリル酸)である第一のブロック;
− 40℃以上のTg、例えば85から115℃の範囲のTgを有し、イソボルニルアクリラートホモポリマーである第二のブロック;及び
− (イソボルニルアクリラート/メチルアクリラート/アクリル酸)ランダムコポリマーである中間ブロック。
【0155】
本発明に係る組成物は一般的に、上述のポリマーが可溶性である、即ちそれが分子溶液を形成する、または分散可能である脂肪相を含む。
【0156】
有利には、上述のようなエチレン性ポリマーは、脂肪相中に存在する。
【0157】
前記脂肪相は、組成物の総重量に対して、例えば0.5から80重量%、好ましくは1から55重量%、好適には1から25重量%を占める
【0158】
前記組成物はまた有利には、例えば水性相の形態で水を含み、そこに引き締め剤が一般的に存在するが、変形例として、引き締め剤はその性質に依存して、脂肪相中に存在しても良い。
【0159】
前記化粧品組成物は、皮膚と適合可能な媒体を含むであろうと解される。
【0160】
前記媒体は、一般的に化粧品的に許容可能であり、即ちそれは好ましい臭気、色彩、及び感触を有し、美容的使用に適合可能であり、ユーザーが落とすことを望むいずれかの不快さ(ヒリヒリ感、突っ張り感、及び赤み)を引き起こさない。
【0161】
本発明に係る組成物の脂肪相は、特に室温(一般的に25℃)で液体である脂肪物質、及び/または室温で固体である脂肪物質、例えばワックス、ペースト状脂肪物質、及びゴム、並びにそれらの混合物からなって良い。これらの脂肪物質は、動物、植物、鉱物、または合成起源を有して良い。この脂肪相はまた、親油性有機溶媒を含んでも良い。
【0162】
しばしば「オイル」と称され、本発明によって使用できる、室温で液体である脂肪物質として、以下のものが挙げられる:パーヒドロスクアレンのような動物起源の炭化水素ベースのオイル;4から10の炭素原子の脂肪酸の液体トリグリセリドのような炭化水素ベースの植物オイル、例えばヘプタン酸またはオクタン酸トリグリセリド、またはヒマワリオイル、当もろ基礎オイル、ダイズオイル、グレープシードオイル、ゴマ実オイル、アプリコットオイル、マカダミアオイル、ヒマシ油、アボカドオイル、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、ホホバオイル、またはシェアバター;鉱物または合成起源の直鎖状または分枝状炭化水素、例えばイソドデカン、流動パラフィン及びその誘導体、ワセリン、ポリデセン、および水素化ポリイソブテン、例えばパーリーム;特に脂肪酸の合成エステル及びエーテル、例えばパーセリンオイル、イソプロピルミリスタート、2-エチルヘキシルパルミタート、2-オクチルドデシルステアラート、2-オクチルドデシルエルカート、またはイソステアリルイソステアラート;ヒドロキシル化エステル、例えばイソステアリルラクタート、オクチルヒドロキシステアラート、オクチルドデシルヒドロキシステアラート、ジイソステアリルマラート、トリイソセチルシトラート、または脂肪アルコールヘプタノアート、オクタノアート、及びデカノアート;ポリオールエステル、例えばプロピレングリコールジオクタノアート、ネオペンチルグリコールジヘプタノアート、またはジエチレングリコールジイソノナノアート;及びペンタエリスリトールエステル;8から26の炭素原子を含む脂肪アルコール、例えばオクチルドデカノール、2-ブチルオクタノール、2-ヘキシルデカノール、2-ウンデシルペンタデカノール、またはオレイルアルコール;部分的炭化水素ベースの及び/またはシリコーンベースのフルオロオイル;シリコーンオイル、例えば揮発性または不揮発性の、直鎖状または環状の、室温で液体またはペースト状のポリジメチルシロキサン(PDMS)、例えばシクロメチコーン、任意にフェニル基を含むジメチコーン、例えばフェニルトリメチコーン、フェニルトリメチルシロキシジフェニルシロキサン、ジフェニルメチルジメチルトリシロキサン、ジフェニルジメチコーン、フェニルジメチコーン、及びポリメチルフェニルシロキサン;及びこれらの混合物。
【0163】
これらのオイルは、組成物の総重量に対して0.01から90重量%、好適には0.1から85重量%の範囲の含量で存在してよい。
【0164】
本発明に係る組成物はまた、化粧品で一般的に使用される成分、例えば増粘剤、金属イオン封鎖剤、香料、酸性化剤若しくは塩基性化剤、防腐剤、サンスクリーン剤、界面活性剤、フィラー、顔料及び染料、並びにこれらの混合物を含んでも良い。
【0165】
それはまた、上述のポリマーに補足的な効果を有する抗老化活性剤、例えば角質溶解剤、保湿剤、ケラチノサイトの増殖及び/または分化の刺激剤、コラーゲン及び/またはエラスチン合成の刺激剤、またはそれらの分解の防止剤、脱色剤、抗グリケーション剤、グリコサミノグリカン合成の刺激剤、皮膚脱緊張剤または筋弛緩剤、抗酸化剤、及びフリーラジカル捕獲剤、並びにこれらの混合物から選択される少なくとも一つの化合物を含んでも良い。
【0166】
言うまでもなく、当業者はこのまたはこれらの任意の付加的化合物及び/またはその量を選択するのに注意を払い、対応する本発明に係る組成物の有利な特性が、考慮される添加によって負に影響されない、または実質的に負に影響されないようにするであろう。
【0167】
本発明に係る組成物は、特に懸濁液、分散物、溶液、ゲル、エマルション、特に水中油型(O/W)または油中水型(W/O)エマルション、または複相エマルション(W/O/Wまたはポリオール/O/WまたはO/W/O)の形態で存在してよく、あるいはクリーム、ペースト、ムース、ビヒクルの分散物、特にイオン性若しくは非イオン性液体、または二相若しくは複相ローションの形態で存在してよい。
【0168】
当業者は、第一に使用される成分の性質、特に支持体におけるそれらの可溶性、第二に組成物の企図される使用を考慮しながら、その一般的知見に基づいて、適切な提供形態、及びそれを調製するための方法を選択して良い。
【0169】
第二の特徴点によれば、本発明は、引き締め剤によって与えられる引き締め効果の残留を改良するための、上述のようなエチレン性ポリマーの使用に関する。
【0170】
引き締め効果の残留は、この明細書の実施例の部分に特徴づけされた試験によって定量される。
【0171】
第三の特徴点によれば、本発明は、皮膚の脱色を防止するための、鉱物コロイド状粒子、特にシリカの水性分散物を含む化粧品組成物における、上述のようなエチレン性ポリマーの使用に関する。
【0172】
最後に、第四の特徴点によれば、本発明は、上述のような組成物を皮膚に適用することを含む工程を含む、皮膚のシワ及び/または小ジワを減少することを企図するシワを有する皮膚の処理のための美容方法に関する。
【0173】
適用は、処理されることを企図する皮膚、特に眼の周りの皮膚に、例えばクリーム、ゲル、漿液、またはローションを適用することによって、通常の技術によって実施される。この方法の文脈では、前記組成物は例えば、ケア組成物またはメイクアップ組成物、特にファンデーションであって良い。
【0174】
本発明は、以下の実施例を参考に記載されるが、それらは非制限的な説明として与えられる。
【実施例】
【0175】
各種のポリマー、及び引き締め剤と組み合わせた上述のようなポリマーを取り込んだ各種の製剤を調製し、これらの組成物におけるそのようなポリマーの使用によって誘導される引き締め効果の残留における改良を表すために試験した。
【0176】
ポリマー及び製剤の調製の詳細な記載を進める前に、上述のポリマー/引き締め剤の組み合わせによって誘導される引き締め効果の残留を定量化するためのプロトコールを記載する。
【0177】
引き締め効果の残留を定量化するためのプロトコール
試験の原理
所望の残留特性は、強化剤として作用する化合物を導入することによって達成され、これらの化合物は上述のようなエチレン性ポリマーである。使用される化合物の強化能力を、材料の破壊強度を測定することによって定量化した(この場合抗シワクリーム)。
【0178】
試験は、柔軟で変形可能なフォームの表面に沈着した材料を、破壊点まで圧縮に供することを含む。このフォームの支持体を使用して、表面に沈着した材料に大きなひずみを提供し、かくして破壊強度を提供することが可能である。機械的圧縮ストレスを、直径1mmのシリンダー状パンチを使用し、0.1mm/sのパンチの移動速度を使用して発揮させた。Stable Micro System社により市販されているTA-XT2iきめ分析器を使用して試験を実施する。変位d(単位mm)の関数としての力F(単位N)の曲線を観察し、そこから材料の破壊点を測定することが可能である。
【0179】
変位の関数としての力の曲線の例
【表1】

【0180】
材料の破壊強度を定量化するために二つのパラメーターを使用する:
(1)Fbreak(N):破壊力
(2)Wbreak(J/m):破壊エネルギー:曲線F=f(d)/パンチの面積の下部の領域。
【0181】
基体は、13mmの厚みのネオプレンフォームからなる。材料(抗シワ組成物)をこの基体に配置し、24時間の乾燥後、15から30μmの厚みの皮膜を得る。沈着物を皮膜スプレッダーを使用して調製し、それを湿らせながら650μmの皮膜に沈着する(即ち乾燥前)。
【0182】
比較例
この実施例は、コロイド状シリカの水性分散物(Cosmo S40)の形態の引き締め剤を含む化粧品組成物を説明し、前記組成物は、本発明に係るエチレン性ポリマーを含まない。
【0183】
この組成物は以下の通りである:
【表2】

【0184】
前記組成物は以下の態様で調製される:
【0185】
水、フェノキシエタノール、金属イオン封鎖剤、及びキサンタンゴムからなる相を75℃に加熱する。増粘ポリマー(即ちポリアクリルアミド)をそこに取り込ませる。混合物を均一なゲルが得られるまで攪拌する。
【0186】
グリセリルステアラート、PEG-100ステアラート、ジミリスチルタウラート、セテアリールアルコール、C12-C15-パレス-7、PPG-25-ラウレス-25、シクロヘキサシロキサン、及びステアリルアルコールからなる相を75℃に加熱する。この相を前述の相に取り込ませ、エマルションを生産する。コロイド状シリカの水性分散物を、40-45℃でエマルションに取り込ませ、エマルションが完全に冷却するまで攪拌を続ける。
【0187】
実施例1
この実施例は、ポリ(イソボルニルアクリラート/メチルメタクリラート/2-エチルヘキシルアクリラート)ポリマーの調製、及びコロイド状シリカの水性分散物の液体の引き締め剤と組み合わせたこのポリマーを含む組成物の調製を説明する。
【0188】
ポリ(イソボルニルアクリラート/メチルメタクリラート/2-エチルヘキシルアクリラート)の調製
100gのイソドデカンを1リットルの反応器に導入し、室温(25℃)を通り越して1時間で90℃まで温度を上昇させる。
【0189】
150gのイソボルニルアクリラート、60gのメチルメタクリラート、110gのイソドデカン、及び1.8gの2,5-ビス(2-エチルヘキサノイルパーオキシ)-2,5-ジメチルへキサン(Akzo Nobel社製のTrigonox(登録商標)141)を、1時間で90℃で加える。
【0190】
混合物を1時間30分90℃で維持する。
【0191】
90gの2-エチルヘキシルアクリラート、90gのイソドデカン、及び1.2gの2,5-ビス(2-エチルヘキサノイルパーオキシ)-2,5-ジメチルへキサンを、1時間で90℃のまま前記混合物に加える。
【0192】
前記混合物を3時間90℃で維持し、次いで冷却する。
【0193】
イソドデカン中に50%のポリマー活性材料を含む溶液を得る。
【0194】
第一のブロック、または100℃のTgを有するポリ(イソボルニルアクリラート/メチルメタクリラート)ブロック、第二の-70℃のTgを有するポリ(2−エチルヘキシルアクリラート)ブロック、及び(イソボルニルアクリラート/メチルメタクリラート/2-エチルヘキシルアクリラート)ランダムポリマーである中間ブロックを含むポリマーが得られる。
【0195】
このポリマーは、89,100g/molの重量平均分子量と、21,300の数量平均分子量、即ち4.19の多分散指数Iを有する。
【0196】
組成物の調製
組成物は以下の通りである:
【表3】

【0197】
この実施例の組成物は、上述の比較例のものと同じ態様で調製され、この調製はまた、コロイド状シリカの水性分散物の取り込みの後、エマルションに40−45℃で調製されたポリマーの取り込みを含む。
【0198】
実施例2
この実施例は、ポリ(イソボルニルアクリラート/イソボルニルメタクリラート/2-エチルヘキシルアクリラート)ポリマーの調製、及びコロイド状シリカの水性分散物の形態の引き締め剤と組み合わせたこのポリマーを含む組成物の調製を説明する。
【0199】
ポリ(イソボルニルアクリラート/イソボルニルメタクリラート/2-エチルヘキシルアクリラート)の調製
100gのイソドデカンを1リットルの反応器に導入し、室温(25℃)を通り越して1時間で90℃まで温度を上昇させる。
【0200】
105gのイソボルニルアクリラート、105gのイソボルニルメタクリラート、110gのイソドデカン、及び1.8gの2,5-ビス(2-エチルヘキサノイルパーオキシ)-2,5-ジメチルへキサン(Akzo Nobel社製のTrigonox(登録商標)141)を1時間で90℃で加える。
【0201】
混合物を1時間30分90℃で維持する。
【0202】
90gの2-エチルヘキシルアクリラート、90gのイソドデカン、及び1.2gの2,5-ビス(2-エチルヘキサノイルパーオキシ)-2,5-ジメチルへキサンを、1時間で90℃のまま前記混合物に加える。
【0203】
前記混合物を3時間90℃で維持し、次いで冷却する。
【0204】
イソドデカン中に50%のポリマー活性材料を含む溶液を得る。
【0205】
第一のブロック、または110℃のTgを有するポリ(イソボルニルアクリラート/イソボルニルメタクリラート)ブロック、第二の-70℃のTgを有するポリ2−エチルヘキシルアクリラートブロック、及び(イソボルニルアクリラート/イソボルニルメタクリラート/2-エチルヘキシルアクリラート)ランダムポリマーである中間ブロックを含むポリマーが得られる。
【0206】
このポリマーは、103,900g/molの重量平均分子量と、21,300の数量平均分子量、即ち4.89の多分散指数Iを有する。
【0207】
組成物の調製
組成物は以下の通りである:
【表4】

【0208】
この実施例の組成物は、上述の比較例のものと同じ態様で調製され、この調製はまた、コロイド状シリカの水性分散物の取り込みの後、エマルションに40−45℃で調製されたポリマーの取り込みを含む。
【0209】
実施例3:残留引き締め効果の例示
引き締め効果の残留を定量化するためのプロトコールを、比較例及び実施例1と2の3種の組成物について使用した。
【0210】
このプロトコールは、抗シワ組成物に取り込まれた際の実施例1及び実施例2(イソドデカン中)のポリマーの強化能力を定量化する方向で向けられる。
【0211】
【表5】

【0212】
これらの結果は、引き締め剤の存在下で研究された2種のポリマーの強化の役割を説明する。この強化の役割は、破壊力と破壊エネルギーの増加によって説明されている。
【0213】
実施例4:皮膚の脱色に対する効果
上述の比較例及び実施例2に対応する化粧品組成物を、Erichsen社により市販されるコントラストカード(Prufkarteタイプ24/5-250cm)に機械的皮膜スプレッダーを使用して広げた(皮膜の厚み:30μm)。組成物を20℃の温度で3時間乾燥させ、処理された領域の写真を撮影した。
【0214】
処理された領域の魅力的でない白色の沈着物の出現が、比較例の組成物の場合に気付かされた。本発明に係る実施例2の組成物の場合、そのような魅力的でない沈着物は存在しなかった。
【0215】
[参考文献]


【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚と適合可能な媒体中に、
− 組成物の総重量に対して0.01から20%の範囲の含量で存在する、少なくとも一つの引き締め剤、及び
− 組成物の総重量に対して0.01から20%の範囲の含量で存在する、少なくとも一つの非エラストマー性、水不溶性の皮膜形成性直鎖状ブロックエチレン性ポリマー
を含む、皮膚への局所適用に適応した化粧品組成物。
【請求項2】
抗シワ組成物である、請求項1に記載の化粧品組成物。
【請求項3】
前記引き締め剤が、水中に7%の濃度で、伸縮計を使用して測定すると、40%の相対湿度下で30℃で1%より大きい、好ましくは1.5%より大きい単離した角質層の収縮を生ずる薬剤である、請求項1または2に記載の化粧品組成物。
【請求項4】
前記引き締め剤が、組成物の総重量に対して1から10%の範囲の含量で組成物中に存在する、請求項1から3のいずれか一項に記載の化粧品組成物。
【請求項5】
前記引き締め剤が、合成ポリマー、天然起源のポリマー、混合シリカート、ワックス微小粒子、及び鉱物フィラーのコロイド状粒子、並びにこれらの混合物から選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載の化粧品組成物。
【請求項6】
前記合成ポリマーが、ポリウレタンポリマーとコポリマー、アクリルポリマーとコポリマー、スルホン化イソフタル酸ポリマー、グラフトシリコーンポリマー、水溶性または水分散性単位とLCSTを有する単位とを含む水溶性または水分散性ポリマー、及びこれらの混合物から選択される、請求項5に記載の化粧品組成物。
【請求項7】
前記天然起源のポリマーが、植物タンパク質及び植物タンパク質加水分解産物、任意にミクロゲルの形態の植物起源のポリサッカリド、及び植物起源のラテックス、並びにそれらの混合物から選択される、請求項5に記載の化粧品組成物。
【請求項8】
前記エチレン性ポリマーが、組成物の総重量に対して1から10%の範囲の含量で組成物中に存在する、請求項1から7のいずれか一項に記載の化粧品組成物。
【請求項9】
前記ブロックエチレン性ポリマーが、互いに不適合であり、異なるガラス転移温度(Tg)を有する少なくとも一つの第一のブロックと少なくとも一つの第二のブロックを含み、前記第一及び第二のブロックは、第一のブロックの少なくとも一つの構成モノマーと、第二のブロックの少なくとも一つの構成モノマーとを含む中間部分を介してともに連結し、前記ポリマーは、2より大きい多分散指数Iを有する、請求項1から8のいずれか一項に記載の化粧品組成物。
【請求項10】
前記ポリマーが、2.5以上、好ましくは2.8以上の多分散指数を有する、請求項9に記載の化粧品組成物。
【請求項11】
前記ポリマーが、2.8から6の範囲の多分散指数を有する、請求項10に記載の化粧品組成物。
【請求項12】
前記ポリマーが、300,000以下の重量平均分子量(Mw)を有する、請求項1から11のいずれか一項に記載の化粧品組成物。
【請求項13】
前記ポリマーが、35,000から200,000の範囲、好適には45,000から150,000の範囲の重量平均分子量(Mw)を有する、請求項1から12のいずれか一項に記載の化粧品組成物。
【請求項14】
前記ポリマーが、70,000以下の数量平均分子量(Mn)を有する、請求項1から13のいずれか一項に記載の化粧品組成物。
【請求項15】
前記ポリマーが、10,000から60,000の範囲、好適には12,000から50,000の範囲の数量平均分子量(Mn)を有する、請求項1から14のいずれか一項に記載の化粧品組成物。
【請求項16】
前記第一及び第二のブロックのガラス転移温度の間の温度差が、20℃より大きい、好ましくは30℃より大きい、好適には40℃より大きい、請求項9から11のいずれか一項に記載の化粧品組成物。
【請求項17】
前記第一のブロックが、以下のもの:
a)40℃以上のTgを有するブロック;
b)20℃以下のTgを有するブロック;
c)20から40℃の間のTgを有するブロック。
から選択され、前記第二のブロックが、第一のブロックとは異なるカテゴリーa)、b)、またはc)から選択される、請求項9から11及び16のいずれか一項に記載の化粧品組成物。
【請求項18】
前記40℃以上のTgを有するブロックが、40℃から150℃の範囲のTgを有する、請求項17に記載の化粧品組成物。
【請求項19】
前記40℃以上のTgを有するブロックが、ホモポリマーまたはコポリマーである、請求項17または18に記載の化粧品組成物。
【請求項20】
前記40℃以上のTgを有するブロックが、ホモポリマーである場合、これらのモノマーから調製されるホモポリマーが、40℃以上のガラス転移温度を有するようなものであるモノマーから由来する、請求項19に記載の化粧品組成物。
【請求項21】
前記40℃以上のTgを有するブロックが、コポリマーである場合、一つ以上のモノマーから完全にまたは部分的に由来し、そのモノマーの性質及び濃度は、生成したコポリマーのTgが40℃以上であるように選択される、請求項19に記載の化粧品組成物。
【請求項22】
そのホモポリマーが40℃以上のガラス転移温度を有するモノマーが、以下のモノマー:
− 式CH=C(CH)−COORのメタクリラート
[式中、Rは1から4の炭素原子を含む直鎖状または分枝状の非置換アルキル基、例えばメチル、エチル、プロピル、またはイソブチル基を表し、またはRはCからC12のシクロアルキル基を表す];
− 式CH=CH−COORのアクリラート
[式中、RはイソボルニルアクリラートのようなCからC12のシクロアルキル基、またはtert-ブチル基を表す];
− 下式の(メタ)アクリルアミド:
【化1】

[式中、R及びRは、同一でも異なっても良く、それぞれ水素原子、CからC12の直鎖状または分枝状アルキル基、例えばn-ブチル、t-ブチル、イソプロピル、イソヘキシル、イソオクチル、またはイソノニル基をそれぞれ表し;またはRはHを表し、Rは1,1-ジメチル-3-オクソブチル基を表し;R’はHまたはメチルを表す]
− 及びこれらの混合物
から選択される、請求項20または21に記載の化粧品組成物。
【請求項23】
そのホモポリマーが40℃以上のガラス転移温度を有するモノマーが、メチルメタクリラート、イソブチル(メタ)アクリラート、イソボルニル(メタ)アクリラート、及びそれらの混合物から選択される、請求項22に記載の化粧品組成物。
【請求項24】
前記20℃以下のTgを有するブロックが、ホモポリマーまたはコポリマーである、請求項17に記載の化粧品組成物。
【請求項25】
前記20℃以下のTgを有するブロックが、ホモポリマーである場合、これらのモノマーから調製されるホモポリマーが、20℃以下のガラス転移温度を有するようなモノマーから由来する、請求項24に記載の化粧品組成物。
【請求項26】
前記20℃以下のTgを有するブロックが、コポリマーである場合、一つ以上のモノマーから完全にまたは部分的に由来しても良く、その性質及び濃度は、生成するコポリマーのTgが20℃以下になるように選択される、請求項24に記載の化粧品組成物。
【請求項27】
そのホモポリマーが20℃以下のガラス転移温度を有するモノマーが、以下のモノマー:
− 式CH=CHCOORのアクリラート
[式中、Rはtert-ブチル基を除くCからC12の直鎖状または分枝状アルキル基を表し、そこでO、N及びSから選択される一つ以上のヘテロ原子が任意に中断しており、前記アルキル基はまた、ヒドロキシル基及びハロゲン原子(Cl、Br、I、及びF)から選択される一つ以上の置換基で任意に置換されてよく、またはRは例えばメトキシ-POE基のような(CからC12アルキル基)-O-POE(POEは5から30回のオキシエチレン基の繰り返しを有するポリオキシエチレンを表す)を表し、またはRは5から30のエチレンオキシド単位を含むポリオキシエチレン基を表す];
− 式CH=C(CH)−COORのメタクリラート
[式中、RはCからC12の直鎖状または分枝状アルキル基を表し、そこでO、N及びSから選択される一つ以上のヘテロ原子が任意に中断しており、前記アルキル基はまた、ヒドロキシル基及びハロゲン原子(Cl、Br、I、及びF)から選択される一つ以上の置換基で任意に置換されてよい];
− 式R−CO−O−CH=CHのビニルエステル
[式中、RはCからC12の直鎖状または分枝状のアルキル基を表す];
− CからC12のアルキルビニルエーテル;
− N-(CからC12アルキル)アクリルアミド、例えばN-オクチルアクリルアミド;
− 及びそれらの混合物
から選択される、請求項24または25に記載の化粧品組成物。
【請求項28】
そのホモポリマーが20℃以下のガラス転移温度を有するモノマーが、アルキル鎖が1から10の炭素原子を含み、tert-ブチル基を除くアルキルアクリラートから選択される、請求項27に記載の化粧品組成物。
【請求項29】
前記20から40℃の間のTgを有するブロックが、ホモポリマーまたはコポリマーである、請求項17に記載の化粧品組成物。
【請求項30】
前記20から40℃の間のTgを有するブロックが、ホモポリマーである場合、これらのモノマーから調製されたホモポリマーが、20から40℃の間のガラス転移温度を有するようなものであるモノマー(または主たるモノマー)から由来する、請求項29に記載の化粧品組成物。
【請求項31】
前記20から40℃の間のTgを有するブロックが、コポリマーである場合、生成するコポリマーのTgが20から40℃の間であるように選択される性質と濃度を有する一つ以上のモノマー(または主たるモノマー)から全体的または部分的に由来する、請求項29に記載の化粧品組成物。
【請求項32】
そのホモポリマーが20から40℃の間のガラス転移温度を有するモノマーが、n-ブチルメタクリラート、シクロデシルアクリラート、ネオペンチルアクリラート、及びイソデシルアクリルアミド、並びにそれらの混合物から選択される、請求項29から31のいずれか一項に記載の化粧品組成物。
【請求項33】
前記第一ブロック及び/または第二のブロックが、少なくとも一つの付加的モノマーを含む、請求項17に記載の化粧品組成物。
【請求項34】
前記付加的モノマーが、親水性モノマー、及び一つ以上のケイ素原子を含むエチレン性不飽和モノマー、並びにこれらの混合物から選択される、請求項33に記載の化粧品組成物。
【請求項35】
前記親水性モノマーが、以下のもの:
− 少なくとも一つのカルボン酸またはスルホン酸官能基を含むエチレン性不飽和モノマー;
− 少なくとも一つのヒドロキシル官能基を含むエチレン性不飽和モノマー;
− 少なくとも一つの第3級アミン官能基を含むエチレン性不飽和モノマー;
− 式CH=C(CH)−COORのメタクリラート
[式中、Rは1から4の炭素原子を含む直鎖状または分枝状アルキル基を表し、前記アルキル基は、ヒドロキシル基及びハロゲン原子(Cl、Br、I、及びF)から選択される一つ以上の置換基で置換される];
− 式CH=C(CH)−COORのメタクリラート
[式中、RはCからC12の直鎖状または分枝状アルキル基を表し、そこでO、N及びSから選択される一つ以上のヘテロ原子が任意に中断しており、前記アルキル基はまた、ヒドロキシル基及びハロゲン原子(Cl、Br、I、及びF)から選択される一つ以上の置換基で任意に置換される];
− 式CH=CHCOOR10のアクリラート
[式中、R10はヒドロキシル基またはハロゲン原子(Cl、Br、I、及びF)から選択される一つ以上の置換基で置換されたCからC12の直鎖状または分枝状アルキル基を表し、例えば2-ヒドロキシプロピルアクリラート、及び2−ヒドロキシエチルアクリラートを表し、またはR10は例えばメトキシ-POE基のような(CからC12アルキル基)-O-POE(POEは5から30回のオキシエチレン単位の繰り返しを有するポリオキシエチレンを表す)を表し、またはR10は5から30のエチレンオキシド単位を含むポリオキシエチレン基を表す]
から選択される、請求項34に記載の化粧品組成物。
【請求項36】
前記ブロックエチレン性ポリマーが、40℃以上のTgを有する第一のブロックと、20℃以下のTgを有する第二のブロックとを含む、請求項17に記載の化粧品組成物。
【請求項37】
前記40℃以上のTgを有する第一のブロックが、これらのモノマーから調製されるホモポリマーが、40℃以上のガラス転移温度を有するようなものであるモノマーから由来するコポリマーである、請求項36に記載の化粧品組成物。
【請求項38】
前記20℃以下のTgを有する第二のブロックが、これのモノマーから調製されるホモポリマーが、20℃以下のガラス転移温度を有するようなものであるモノマーから由来するホモポリマーである、請求項36または37に記載の化粧品組成物。
【請求項39】
前記40℃以上のTgを有するブロックの割合が、前記ポリマーの20から90重量%、好適には30から80重量%、より好適には50から70重量%の範囲である、請求項36から38のいずれか一項に記載の化粧品組成物。
【請求項40】
前記20℃以下のTgを有するブロックの割合が、前記のポリマーの5から75重量%、好ましくは15から50重量%、好適には25から45重量%の範囲である、請求項36から39のいずれか一項に記載の化粧品組成物。
【請求項41】
前記ポリマーが、以下のもの:
− 40℃以上のTg、例えば70から110℃の範囲のTgを有し、(メチルメタクリラート/アクリル酸)コポリマーである第一のブロック;
− 20℃以下のTg、例えば0から20℃の範囲のTgを有し、メチルアクリラートホモポリマーである第二のブロック;及び
− (メチルメタクリラート/アクリル酸/メチルアクリラート)コポリマーである中間ブロック
を含む、請求項36から40のいずれか一項に記載の化粧品組成物。
【請求項42】
前記ポリマーが、以下のもの:
− 40℃以上のTg、例えば70から100℃の範囲のTgを有し、(メチルメタクリラート/アクリル酸/トリフルオロエチルメタクリラート)コポリマーである第一のブロック;
− 20℃以下のTg,例えば0から20℃の範囲のTgを有し、メチルアクリラートホモポリマーである第二のブロック;及び
− (メチルメタクリラート/アクリル酸/メチルアクリラート/トリフルオロエチルメタクリラート)ランダムコポリマーである中間ブロック
を含む、請求項36から40のいずれか一項に記載の化粧品組成物。
【請求項43】
前記ポリマーが、以下のもの:
− 40℃以上のTg、例えば85から115℃の範囲のTgを有し、(イソボルニルアクリラート/イソブチルメタクリラート)コポリマーである第一のブロック;
− 20℃以下のTg、例えば-85から-55℃の範囲のTgを有し、2-エチルヘキシルアクリラートホモポリマーである第二のブロック;及び
− (イソボルニルアクリラート/イソブチルメタクリラート/2-エチルヘキシルアクリラート)ランダムコポリマーである中間ブロック
を含む、請求項36から40のいずれか一項に記載の化粧品組成物。
【請求項44】
前記ポリマーが、以下のもの:
− 40℃以上のTg、例えば85から115℃の範囲のTgを有し、(イソボルニルアクリラート/メチルメタクリラート)コポリマーである第一のブロック;
− 20℃以下のTg、例えば-85から-55℃の範囲のTgを有し、2-エチルヘキシルアクリラートホモポリマーである第二のブロック;及び
− (イソボルニルアクリラート/メチルメタクリラート/2-エチルヘキシルアクリラート)ランダムコポリマーである中間ブロック
を含む、請求項36から40のいずれか一項に記載の化粧品組成物。
【請求項45】
前記ポリマーが、以下のもの:
− 40℃以上のTg、例えば95から125℃の範囲のTgを有し、(イソボルニルアクリラート/イソボルニルメタクリラート)コポリマーである第一のブロック;
− 20℃以下のTg、例えば-85から−55℃の範囲のTgを有し、2-エチルヘキシルアクリラートホモポリマーである第二のブロック;及び
− (イソボルニルアクリラート/イソボルニルメタクリラート/2-エチルヘキシルアクリラート)ランダムコポリマーである中間ブロック
を含む、請求項36から40のいずれか一項に記載の化粧品組成物。
【請求項46】
前記ポリマーが、以下のもの:
− 40℃以上のTg、例えば85から115℃の範囲のTgを有し、(イソボルニルメタクリラート/イソブチルメタクリラート)コポリマーである第一のブロック;
− 20℃以下のTg、例えば-35から-5℃の範囲のTgを有し、イソブチルアクリラートホモポリマーである第二のブロック;
− (イソボルニルメタクリラート/イソブチルメタクリラート/イソブチルアクリラート)ランダムコポリマーである中間ブロック
を含む、請求項36から40のいずれか一項に記載の化粧品組成物。
【請求項47】
前記ポリマーが、以下のもの:
− 40℃以上のTg、例えば95から125℃の範囲のTgを有し、(イソボルニルアクリラート/イソボルニルメタクリラート)コポリマーである第一のブロック;
− 20℃以下のTg、例えば-35から−5℃の範囲のTgを有し、イソブチルアクリラートホモポリマーである第二のブロック;及び
− (イソボルニルアクリラート/イソボルニルメタクリラート/イソブチルアクリラート)ランダムコポリマーである中間ブロック
を含む、請求項36から40のいずれか一項に記載の化粧品組成物。
【請求項48】
前記ポリマーが、以下のもの:
− 40℃以上のTg、例えば60から90℃の範囲のTgを有し、(イソボルニルアクリラート/イソブチルメタクリラート)コポリマーである第一のブロック;
− 20℃以下のTg、例えば-35から-5℃の範囲のTgを有し、イソブチルアクリラートホモポリマーである第二のブロック;及び
− (イソボルニルアクリラート/イソブチルメタクリラート/イソブチルアクリラート)ランダムコポリマーである中間ブロック
を含む、請求項36から40のいずれか一項に記載の化粧品組成物。
【請求項49】
エチレン性ポリマーが、第一のブロック、または100℃のTgを有するポリ(イソボルニルアクリラート/メチルメタクリラート)ブロック、第二の−70℃のTgを有するポリ(2-エチルヘキシルアクリラート)ブロック、及び(イソボルニルアクリラート/メチルメタクリラート/2-エチルヘキシルアクリラート)ランダムポリマーである中間ブロックを含み、且つ引き締め剤がコロイド状シリカの水性分散物である、請求項36から40のいずれか一項に記載の化粧品組成物。
【請求項50】
エチレン性ポリマーが、第一のブロック、または110℃のTgを有するポリ(イソボルニルアクリラート/イソボルニルメタクリラート)ブロック、第二の−70℃のTgを有するポリ(2-エチルヘキシルアクリラート)ブロック、及び(イソボルニルアクリラート/イソボルニルメタクリラート/2-エチルヘキシルアクリラート)ランダムポリマーである中間ブロックを含み、引き締め剤がコロイド状シリカの水性分散物であるを含む、請求項36から40のいずれか一項に記載の化粧品組成物。
【請求項51】
脂肪相を含む、請求項1から50のいずれか以降に記載の化粧品組成物。
【請求項52】
前記ブロックエチレン性ポリマーが脂肪相中に存在する、請求項51に記載の化粧品組成物。
【請求項53】
水性相を含む、請求項1から52のいずれか一項に記載の化粧品組成物。
【請求項54】
エマルションの形態で存在する、請求項1から53のいずれか一項に記載の化粧品組成物。
【請求項55】
請求項3から7のいずれか一項に規定される引き締め剤によって与えられる引き締め効果の残留を改良するための、請求項1から48のいずれか一項に規定されるエチレン性ポリマーの使用。
【請求項56】
皮膚の脱色を防止するための、鉱物コロイド状粒子、特にシリカの水性分散物を含む化粧品組成物における、請求項1から48のいずれか一項に規定されるエチレン性ポリマーの使用。
【請求項57】
請求項1から54のいずれか一項に記載の組成物を皮膚に適用することを含む工程を含む、皮膚のシワ及び/または小ジワを減少することを企図するシワを有する皮膚の処理のための美容方法。
【請求項58】
前記組成物が眼の周りに適用される、請求項57に記載の美容方法。
【請求項59】
前記組成物がケア組成物またはメイクアップ組成物である、請求項57または58に記載の方法。

【公表番号】特表2007−506708(P2007−506708A)
【公表日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−527414(P2006−527414)
【出願日】平成16年9月22日(2004.9.22)
【国際出願番号】PCT/EP2004/052270
【国際公開番号】WO2005/030158
【国際公開日】平成17年4月7日(2005.4.7)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】