説明

引戸ガイド装置

【課題】引戸と床面との間の隙間に高さの違いがあっても、その隙間の調整や磁石の取り替えなどの必要がない安価な引戸ガイド装置を提供する。
【解決手段】引戸ガイド装置Rは、引戸の吊り込み時に床面fとの間の隙間dが所定高さ以下のときは、第1係止凸部70を第1受け止め部65に係止して吸着台45を格納空間Sに納まる上段位置に保持する一方、所定高さ以上のときは、外部操作部材50を操作穴55に押し込んで弾性押圧片60を弾性変位させ、第1受け止め部65から第1係止凸部70を外して第2係止凸部75を第2受け止め部66に係止し、吸着台45を先端部45dが昇降口34から所定高さ突出する下段位置に受け止めて保持し、吸着台45の保持高さ位置を隙間dの高さに応じて上段位置と下段位置の2段階に調整可能な構成になっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上吊りした引戸を開閉時に開閉方向に対して横振れしないで直進するように案内する引戸ガイド装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の引戸ガイド装置の中には、引戸が移動する軌跡下の床面に取付穴を凹設し、その取付穴に上端に磁石を有したガイドピンを上下動自在に挿設する一方、引戸の下端面に凹設した細長いガイド溝内に磁石を有した磁着体を配設し、開閉時、引戸側の磁着体が床側のガイドピン上に至ると、磁力によりガイドピンを引き上げてガイド溝に係合し、引戸が移動する開閉方向に対して横振れしないで直進するように案内する構造にしたものがある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平 8−326402号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、引戸は、気密性に配慮した部屋であっても、床面との間に僅かに隙間が開いた状態で吊り込まれ、反対に通気性に配慮した部屋では、床面との間に隙間を大きく開けた状態で吊り込まれるなど、床面との間の隙間の大きさにバラツキがある。従って、上述した従来の引戸ガイド装置では、引戸と床面間の隙間が大きいために、引戸側の磁石と床側のガイドピンとが離れ過ぎると、磁力によりガイドピンを引き上げてガイド溝に係合することができない場合がある。従って、従来、そのような場合は、面倒なことに、わざわざ引戸を取り外して床面との間の隙間を調整する必要があるという課題があった。また、引戸側に備える磁石を大型で強磁性のものに取り替えて対処することも考えられるが、磁石は比較的高価であるため、それではコストが著しく高くなるという課題があった。
【0005】
そこで、本発明の目的は、引戸と床面との間の隙間の大きさに違いがあっても、その隙間の調整や磁石の取り替えなどの必要がない安価な引戸ガイド装置を提供することにある。
【0006】
そのため、請求項1に記載の発明は、たとえば以下に示す図示実施の形態のとおり、下端面10aの長さ方向にガイド溝12を凹設し、床面fとの間に隙間dを開けた状態で開閉方向に移動自在に吊持した引戸10を、開閉時に横振れしないように案内する引戸ガイド装置Rにおいて、引戸10が移動する軌跡下の床面fに間隔を置いて凹設した複数の取付穴x・y・zに磁性体のガイド突起15を出没自在に挿設した床側ガイドG1と、引戸10の前記ガイド溝12に内設した扉側ガイドG2とからなり、該扉側ガイドG2は、前記ガイド溝12の両端部に嵌め込んで磁力により前記ガイド突起15を吸引して立ち上がらせる一対の磁着手段29・30と、前記ガイド溝12内の前記磁着手段29・30間に敷設し、立ち上がった前記ガイド突起15を係合するガイドレール40とからなり、前記磁着手段29・30は、内部に格納空間Sを形成して底部35aに昇降口34を開けた格納ケース35と、該格納ケース35内で基端部を枢支して揺動自在に片持ちした吸着台45と、該吸着台45に付設した磁石Mとを備え、前記格納ケース35には、端面が前記ガイド溝12の端部から外部に臨む長さ方向一端に操作穴55を前記格納空間Sに向け貫通し、該操作穴55の前記格納空間S側に向けて第1受け止め部65を突設した弾性押圧片60を前記格納空間Sの手前に立設すると共に、該第1受け止め部65より前記吸着台45が揺動する方向の下側に第2受け止め部66を設ける一方、前記吸着台45には、先端部45dに前記第1受け止め部65に係止する第1係止凸部70を突設すると共に、該第1係止凸部70の揺動方向上側に前記第2受け止め部66に係止する第2係止凸部75を突設し、吊り込み時に引戸10と床面fとの間の隙間dが所定高さ以下のときは、前記第1係止凸部70を前記第1受け止め部65に係止して前記吸着台45を前記格納空間Sに納まる上段位置に保持する一方、所定高さ以上のときは、前記操作穴55の外部から前記弾性押圧片60を押して弾性変位させ、前記第1受け止め部65から前記第1係止凸部70を外して前記第2係止凸部75を前記第2受け止め部66に係止して前記吸着台45を先端部45dが前記昇降口34から所定高さ突出した下段位置に保持し、該吸着台45の保持高さ位置を前記隙間dの高さに応じて上段位置と下段位置の2段階に調整可能にしてなることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の引戸ガイド装置Rにおいて、たとえば以下に示す図示実施の形態のとおり、前記磁着手段29・30は、前記磁石Mを、前記吸着台45の先端側に付設する強磁性の第1磁石m1と、基端側に付設する弱磁性の第2磁石m2の2体に分けて形成してなることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の引戸ガイド装置Rにおいて、たとえば以下に示す図示実施の形態のとおり、前記床側ガイドG1には、前記ガイド突起15が出没する突出口18の開口縁から外向きに鍔状に延び、前記床面fに載せて組み付ける取付板部14bを有し、該取付板部14bには、前記突出口18の開口縁に向けて漸次低く勾配になった案内溝23を設けてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、引戸が床面との間に大きく隙間を開けて吊り込まれていても、扉側ガイドにおいて磁着手段の吸着台を、先端部が格納ケースの昇降口から所定高さ突出した下段位置に保持し、その吸着台に付設した磁石が床面近くまで下がって待機するため、磁力を十分に及ぼしてガイド突起を吸引して立ち上げ、ガイドレールに確実に係合させることができる。従って、引戸と床面間の隙間が大きいために引戸側の磁石と床側のガイド突起とが離れ過ぎないように、例えば引戸をわざわざ取り外して床面との間の隙間を調整する作業が必要でなくなり、また、磁力が離れたガイド突起まで及ぶように、元々高価な磁石をより大型な強磁性のものにわざわざ取り替える必要もなくなるため、それだけコストを著しく低減することもできる。他方、引戸と床面との間の隙間が所定高さ以下の場合でも、磁着手段の吸着台は、先端部が昇降口から床面側に突出することなく、格納ケースの格納空間に納まった上段位置に保持されるため、開閉時、引戸を移動するときに、吸着台の先端部が床面に接触して引戸の走行の妨げになることなく、引戸を横振れしないように案内することができる。
【0010】
しかも、請求項1に記載の発明によれば、引戸ガイド装置は、引戸の吊り込み時に床面との間の隙間が所定高さ以下のときは、第1係止凸部を第1受け止め部に係止して吸着台を格納空間に納まる上段位置に保持する一方、所定高さ以上のときは、操作穴の外部から弾性押圧片を押して弾性変位させ、第1受け止め部から第1係止凸部を外して第2係止凸部を第2受け止め部に係止し、吸着台を先端部が昇降口から所定高さ突出する下段位置に受け止めて保持し、吸着台の保持高さ位置を隙間の高さに応じて上段位置と下段位置の2段階に調整可能な構成であるため、引戸の吊り込み時に床面との間の隙間が所定高さ以上か否かにより、操作穴の外部から弾性押圧片を押して吸着台の保持高さ位置を上段位置と下段位置の2段階に簡単に調整し、吸着台に付着した磁石を、上記隙間の大きさに影響されず、ガイド突起にそれを吸引して立ち上がらせる磁力が有効に作用する床面近くの一定高さの位置に、常に待機させることができ、その結果、引戸を開閉方向に対して横振れしないで直進するようにガイド突起で確実に安定して案内することができる。
【0011】
加えて、請求項1に記載の発明によれば、引戸ガイド装置は、引戸の吊り込み時、床面との間の隙間が所定高さ以下であるときは、吸着台は、第1係止凸部を第1受け止め部に係止して上段位置に保持したままでよいのに、誤って吸着台の保持高さ位置を下段位置に下げる調整をしたときは、改めて操作穴の外部から弾性押圧片を押して吸着台側へ弾性変位させる一方、その間に、吸着台の先端部を押し上げて第1係止凸部を第1受け止め部に係止させて後に、操作穴を通して弾性押圧片の押し込みを解除すれば、吸着台を上段位置に保持した初期状態に簡単に戻すことができる。
【0012】
更に、請求項1に記載の発明によれば、引戸ガイド装置は、操作穴の外部から弾性押圧片を押して弾性変位させない限り、吸着台の第1係止凸部は弾性押圧片の第1受け止め部と係止する構成であるため、引戸と床面との間の隙間が所定高さ以下であるために吸着台を下段位置に下げて保持しているときに、振動や衝撃等の外力を受けて吸着台が揺動し、浮き上がろうとしても、第1係止凸部が第1受け止め部に当って浮き上がりを抑え、吸着台の保持高さがガイド突起に有効に磁力の及ばない上段位置に勝手に戻ってしまうのを防止することができる。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、磁着手段は、磁石を、吸着台上の先端側に付設する強磁性の第1磁石と、基端側に付設する弱磁性の第2磁石の2体に分けて形成し、引戸が開閉方向に移動するとき、第1磁石が、近づいたガイド突起を強い磁力で吸引することにより、一気に引き上げるため、既に引き上げ状態のガイド突起は、続いて吸引する第2磁石の磁力が弱くても、引き上げ状態のまま保持することでき、それ故に、吸着台上の全面にわたり大きな強磁性の磁石を用いる必要がなくなるため、たとえ高価であっても、使用する磁石が全体に小型で済む結果、それだけコストを著しく低く抑えることができる。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、床側ガイドには、ガイド突起が出没する突出口の開口縁から外向きに鍔状に延び、床面に載せて組み付ける取付板部を有し、その取付板部には突出口の開口縁に向けて漸次低く勾配になった案内溝を設けた構成であるため、ガイド突起の突出口に塵や埃が詰まってガイド突起の引き上げ動作が鈍くなったり、ワックス等の異物でガイド突起が固まったためにガイド突起を強制的に引き上げて掃除をしたり修理したりする必要がある場合に、身の回りにあるマイナスドライバー等の引き抜き具を用い、その先端部を案内溝に滑り込ませて、ガイド突起の頭部と突出口の間に引っ掛けるだけでガイド突起を手間なく簡単に引き上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一例である引戸ガイド装置を示す斜視図である。
【図2】引戸ガイド装置を備えた引戸構造体を、下部側を一部断面にして引戸の全開状態で示す正面図である。
【図3】(A)床側ガイドを示す分解斜視図、(B)見る角度を図Aと違えて床側ガイドを示す分解斜視図である。
【図4】(A)ガイド突起が収納状態の床側ガイドを示す平面図、(B)ガイド突起が突出状態の床側ガイドを示す正面、(C)図B中線X−X断面図である。
【図5】磁着手段を示す分解組立図である。
【図6】(A)磁着手段を示す平面図、(B)引戸と床面間の隙間が所定高さ以上の場合の吸着台の保持高さ位置を説明する概要図である。
【図7】(A)吸着台を上段位置に保持した状態の磁着手段を、対向側板部の一側を破断して示す斜視図、(B)吸着台を下段位置に保持した状態の磁着手段を、対向側板部の一側を破断して示す斜視図である。
【図8】引戸下部を破断して磁着手段の内部構造を一部拡大して示す斜視図である。
【図9】引戸と床面との間の隙間が所定高さ以下の引戸構造体を、引戸ガイド装置を備えた下部側を一部断面にして引戸の全開状態で示す正面図である。
【図10】引戸下部を破断して外部操作部材により吸着台の保持高さ位置を調整する状態を示す斜視図である。
【図11】外部操作部材を、(A)操作穴に押し込んで、(B)吸着台の保持高さ位置を調整した状態を示す斜視図である。
【図12】誤って調整した吸着台の保持高さ位置を下段位置から上段位置に外部操作部材により戻す状態を示す斜視図である。
【図13】引戸を案内する動作を段階的に分けて示す引戸ガイド装置の部分縦断面図である。
【図14】引戸構造体の下部側を、閉止途中の引戸を引戸ガイド装置で案内する状態において示す縦断面図である。
【図15】引戸構造体の下部側を、全閉手前の引戸を引戸ガイド装置で案内する状態において示す縦断面図である。
【図16】引戸構造体の下部側を引戸の全閉状態において示す縦断面図である。
【図17】引き抜き具を用いて床側ガイドのガイド穴から強制的にガイド突起を引き上げる操作を段階的に(A)(B)(C)に分けて示す斜視図である。
【図18】床側ガイドを断面にして引き抜き具で強制的にガイド突起をガイド穴から引き上げる操作を(A)(B)に分けて示す斜視図である。
【図19】本発明の他例の引戸ガイド装置において、(A)押しボタン部を操作穴の外部から押して弾性押圧片を弾性変位させ、(B)吸着台の保持高さ位置を上段位置から下段位置に調整する状態を示す部分縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。
【0017】
図1は、本発明の一例である引戸ガイド装置を示す斜視図、図2は引戸ガイド装置を備えた引戸構造体を引戸の全開状態で示す正面図である。図示例の引戸構造体は、天井側に固定した引戸レールに引戸10を係合して図中左右の開閉方向に移動自在に懸架すると共に、引戸10の下端面10aと床F(床面f)との間に隙間dを開けて吊り込み、開閉時は、ハンドル11を持って引戸10を開閉方向に移動して床Fと仕切壁Wで囲んだ開口部を開閉する構造になっている。そこで、引戸10を移動して開口部を開閉するとき、本発明の引戸ガイド装置Rが作動し、開閉方向に走行する引戸10が横振れしないで直進するように案内する。
【0018】
引戸10は、例えば木製パネルで、上下の横框と、左右の縦框と、各框間の縦桟および横桟とで格子状に組んだ枠体を間に挟んで一対の鏡板材を張り合わせて組み立て、下部側の横框には、下端面10aの長さ方向に沿ってガイド溝12を凹設している。
【0019】
引戸ガイド装置Rは、床Fに配設する床側ガイドG1と、引戸10のガイド溝12に内設する扉側ガイドG2とからなる。
【0020】
床側ガイドG1は、複数のガイド体a・b・cからなる。ガイド体a・b・cは、図3および図4に示すように、それぞれ固定筒13と、ガイドケース14と、ガイドケース14に挿設するガイド突起15と、抜け止めリング16と、スペーサ17とを備える。固定筒13は、内周が八面体の樹脂製円管で、外周面に斜め下向きに多数の引っ掛け爪13a…を突設し、内周の下端縁には、周方向に間隔をあけて複数の係合凹部13bを設け、図中上端の開口縁に環状鍔部13cを外向きに突設してなる。
【0021】
ガイドケース14は、樹脂製で、上下両端を開口し、固定筒13の内形に合わせて外周が八面体状のケース本体部14aと、ケース本体部14aの図中上端に開いた突出口18の周縁から円形鍔状に延びるフラットな取付板部14bとからなる。ケース本体部14aは、内側に重ねて上側開口が突出口18の筒状ガイド穴21を形成している。ガイド穴21は、円周壁21aの一部が平面21bの断面D形の回転規制穴で形成し、その平面21bの外側に、ガイド穴21の円周壁21bとケース本体部14aの外壁部14cの間に間隙22を設け、平面21bの下端縁に位置決め用の爪部21cを内向きに突設している。突出口18の開口縁には、円周部位に抜け止め顎部21dを内向きに突設している(図4(C)参照)。更に、ケース本体部14aは、外壁部14cの下端の対向部位に連結爪14dを外向きに突設している。一方、取付板部14bは、ガイド穴21の平面21bへ連なる突出口18の開口縁に向け次第に低く勾配になった案内溝23を設けてなる。
【0022】
ガイド突起15は、それぞれガイドケース14のガイド穴21に入れ子状に重ねて組み入れる円筒状の第1凸状部材24と、第1凸状部材24に入れ子状に重ねて組み入れるピン状の第2凸状部材25とからなる。
【0023】
第1凸状部材24は、ガイドケース14のガイド穴21に合わせて、一部が平面24aの断面D形の回転規制穴が貫通した樹脂製の円筒体で、図中下端の周縁に抜け止め鍔部24bを外向きに突設している。抜け止め鍔部24bには、平面24aの下縁において切欠いて位置決め凹部24cを設けてなる。
【0024】
第2凸状部材25は、図中上側になる先端の頭部25aが笠状のビス形をなす金属の磁性材からなり、基端には、その端面に抜け止めリング16の嵌合穴16aに圧入する一段細軸な凸部25bを軸方向に突設してなる。スペーサ17は、ガイド穴21の円周壁21bとケース本体部14aの外壁部14c間の間隙22に嵌め込み可能な形状に成形した樹脂製の間隔保持ピースである。
【0025】
そこで、ガイド体a・b・cは、まず、突出口26から第1凸状部材24内に第2凸状部材25を挿入してから、凸部25bを抜け止めリング16に圧着して抜け止めし、第2凸状部材25を、第1凸状部材24に入れ子式に重ねて突出口26から出没自在に連結することによってガイド突起15を組み立てる。それから、ガイド突起15をガイドケース14のガイド穴21に下側開口27から嵌入する。そのとき、位置決め用の爪部21cを位置決め凹部24cに係合させて第1凸状部材24を位置決め保持した状態で、ガイド穴21内に入れ子状に重ねて突出口18から出没自在に組み入れ、間隙22には、スペーサ17を嵌め込んで、位置決め用の爪部21cが位置決め凹部24cから外れないように爪部21cを背面から支えている。
【0026】
固定筒13は、図1および図2に示すように、引戸10が移動する軌跡下の床面fに間隔をあけて予め凹設した取付穴x・y・zに嵌め入れ、穴周壁に引っ掛け爪13a…を引っ掛けて抜け止め状態で内設する(図4参照)。次いで、固定筒13内にガイドケース14のケース本体部14aを嵌め込み、取付板部14bを床面fに殆ど段差なく載せた状態で、連結爪14dを係合凹部13bに係合させてガイドケース14を固定筒13に嵌着する。以って、図1および図2に示すように、戸先側のガイド体aと中間のガイド体bと戸尻側のガイド体cをそれぞれ組み立て、引戸10が移動する軌跡下の床面fに床側ガイドG1を形成する。
【0027】
他方、扉側のガイドG2は、ガイド溝12の両端部に内設する一対の磁着手段29・30と、ガイド溝12内で磁着手段29・30間に敷設するガイドレール40とからなる。
【0028】
磁着手段29・30は、格納ケース35と、格納ケース35に格納する吸着台45と、吸着台45に付設する磁石Mを備える。
【0029】
格納ケース35は、ガイド溝12の溝形状に合わせて内部に細長い格納空間Sを形成した直方形状の樹脂製箱体で、図5、図6および図7に示すように、上側に吸着台45の取付ロ32を開けると共に、底部35aに昇降口34を開け、長さ方向一端の上板片部35bにねじ挿通穴41設ける一方、他端側には、対向側板部35cの上側からつの状に一対の連結凸部35dを突設し、下側に互いにL状に屈曲した一対の係合リブ35eを設けててなる。
【0030】
加えて、格納ケース35は、磁着手段29・30をガイド溝12の両端部に内設したとき、端面がガイド溝12から外部に臨む端部35fに、格納空間Sに向けて貫通する操作穴55を穿設し、上板片部35bには、底部35aに向け弾性押圧片60を垂下し、格納空間Sの手前に立設している。弾性押圧片60は、縦長な立板片60aと、立板片60aの先端の横長な止め板片60bとでT形に成形し、立板片60aに格納空間Sに向けて第1受け止め部65を突設してなる。第1受け止め部65は、立板片60aから突出する縦長の支持片部65aと、支持片部65aの先端の横長な受け65bとでT字状に突設し、特に、受け65bが上板片部35bと平行な横向きに突出し、支持片部65aの両側で立板片60aとの間に一対の逃げ穴59を形成してなる。一方、格納ケース35には、弾性押圧片60の第1受け止め部65の下側において、対向側板35cの内側板面に吸着台45を受け止める第2受け止め部66を段状に形成してなる。
【0031】
吸着台45は、樹脂製で、磁石Mを入れる嵌付凹部45a・45bを仕切り45cで長さ方向前後に分けて設け、ショベル状の先端部に掛け止め部45dを設けて全体をゴンドラ状に成形している。掛け止め部45dは、間に縦向きの切欠き69を設けて横2つに切り割りし、切欠端面69aに互いに向い合う方向に第1係止凸部70を突設し、第1係止凸部70の上側には、第1係止凸部70と平行な一対の第2係止凸部75を互いに外向きに突設してなる。嵌付凹部45a・45bには、幅方向に対向した側壁上縁に、磁石Mの飛び出しを規制する押えリブ45eを互いに内向きに突設してなる。
【0032】
磁石Mは、厚肉な矩形板状の強磁性の第1磁石m1と、第1磁石m1より一段薄肉な矩形板状の弱磁性の第2磁石m2の2体に分けてなる。
【0033】
そこで、磁着手段29・30は、第1磁石m1を先端側の嵌付凹部45aに嵌め込み、第2磁石m2を基端側の嵌付凹部45bに嵌め込んで磁石Mを吸着台45に搭載し、この吸着台45の基端部を枢軸38で格納ケース35に枢支して吸着台45を格納ケース35内で揺動自在に片持ちする一方、第1係止凸部70を第1受け止め部65に係止して格納空間Sに納まる上段位置に保持して組み立ててなる。
【0034】
ガイドレール40は、図1に示すように、略角パイプ状をなすレール本体40aの下面中央に長さ方向に沿って逃げ溝33を設け、逃げ溝33を挟んだ両側に係合リブ40bを平行に列設する。一方、レール本体40aの上板部40cには、幅方向両側の角縁を磁着手段29・30の連結凸部35dの凸形状に合わせて屈曲させて連結用の係合段部40dを形成している。
【0035】
そこで、扉側ガイドG2は、ガイド溝12の両端部内に互いの連結凸部35dを向き合わせて磁着手段29・30を嵌め込み、連結凸部35dにガイドレール40の係合段部40dを係合し、互いの係合リブ35e・40bを一直線に合わせた状態で、ガイドレール40を磁着手段29・30に連結してから、上板部40cを溝底面にねじ止めして組み立ててなる。以って、扉側ガイドG2をガイド溝12に内設する。この組立初期状態において、扉側ガイドG2は、図8に示すように、磁着手段29・30の吸着台45を、第1係止凸部70を第1受け止め部65に係止させて格納ケース35の格納空間S内に格納した上段位置に受け止めて保持してなる。
【0036】
従って、引戸ガイド装置Rは、吊り込み時に、引戸10の下端面10aと床面fとの間の隙間dが所定高さ以下、例えば10mm以下のときは、図8および図9に示すように、扉側ガイドG2は初期状態のままとし、磁着手段29・30の吸着台45を、第1係止凸部70を第1受け止め部65に係止して格納空間Sに格納した上段位置に保持し、磁石Mの第1磁石m1を床面fまで略10mmの高さ位置で待機させてなる。
【0037】
一方、引戸ガイド装置Rは、吊り込み時に隙間dが所定高さの10mm以上の、例えば20mmのときは、吸着台45の保持高さ位置を調整し、図6(B)・図7(B)に示すように、扉側ガイドG2において、磁着手段29・30の吸着台45を、先端部の掛け止め部45dが昇降口32から高さh=10mm突出した下段位置に保持し、磁石Mの第1磁石m1を、床面fの近くの略10mmの高さまで下げて待機させてなる。
【0038】
そこで、引戸ガイド装置Rは、吸着台45の保持高さ位置を下段位置に調整するとき、例えば図8に示すように、外部操作部材50としてドライバーを用い、その細長い先端部50aを、図10および図11(A)に示すように、磁着手段29(30)の操作穴55に押し込んで弾性押圧片60を吸着台45側へ弾性変位させ、第1受け止め部65の先端の受け65bから、そこに係止していた第1係止凸部70を外す。すると、吸着台45が床面f側の下向きに揺動し、第1係止凸部70は第1受け止め部65の逃げ穴59を通って落下する一方、その上方の第2係止凸部75が第2受け止め部66に係止し、吸着台45を、図2・図6(B)・図11(B)に示すように、先端部の掛け止め部45dが昇降口34から所定高さh=10mm突出した下段位置に受け止めて保持し、磁石Mの第1磁石m1を、床面fの近くの略10mmの高さまで下げて待機させてなる。
【0039】
引戸ガイド装置Rは、以上のごとく、引戸10の吊り込み時に床面fとの間の隙間dが所定高さの10mm以下のときは、第1係止凸部70を第1受け止め部65に係止して吸着台45を格納空間Sに納まる上段位置に保持する一方、所定高さの10mm以上のときは、外部操作部材50を操作穴55に押し込んで弾性押圧片60を弾性変位させ、第1受け止め部65から第1係止凸部70を外して第2係止凸部75を第2受け止め部66に係止し、吸着台45を先端部45dが昇降口34から所定高さh=10mm突出する下段位置に受け止めて保持し、吸着台45の保持高さ位置を隙間dの高さに応じて上段位置と下段位置の2段階に調整可能な構成になっている。
【0040】
従って、引戸ガイド装置Rでは、引戸10の吊り込み時に床面fとの間の隙間dが所定高さの10mm以上か否かにより、外部操作部材50を操作穴55に押し込んで吸着台45の保持高さ位置を上段位置と下段位置の2段階に簡単に調整し、吸着台45の嵌付凹部45a・45bに嵌め込んだ磁石Mを、隙間dの大きさに影響されず、ガイド突起15にそれを吸引して立ち上がらせる磁力が有効に作用する床面f近くの一定高さの位置に常に待機させることができる。
【0041】
しかも、図示例の引戸ガイド装置Rは、磁着手段29・30の格納ケース35に立設した弾性押圧片60がT形をなすため、吸着台45の保持高さ位置の調整時に、図10に示すように、外部操作部材50を操作穴55に押し込み過ぎて、仮に弾性押圧片60が奥側へ深く弾性変位しても、弾性押圧片60の先端において横に伸びる止め板片60bが吸着台35の先端部35dに当たって障害となり、その結果、弾性押圧片60が吸着台35の先端部35dに開いた切欠き69に嵌り込んで作動不能になる弊害の発生を防止することができる。
【0042】
加えて、引戸ガイド装置Rは、引戸10の吊り込み時、床面fとの間の隙間dが所定高さh=10mm以下であるときは、吸着台45は、第1係止凸部70を第1受け止め部70に係止して上段位置に保持した初期状態のままでよいのに、誤って吸着台45の保持高さ位置を下段位置に下げる調整をしたときは、図12に示すように、外部操作部材50のドライバーを用い、改めて先端部50aを操作穴55に押し込んで弾性押圧片60を吸着台45側へ弾性変位させる一方、その間に、吸着台45の先端部45dを押し上げて第1係止凸部70を逃げ穴59に通して第1受け止め部65に係止させて後に、ドライバー50を操作穴55から引き抜けば、吸着台45を上段位置に保持した初期状態に簡単に戻すことができる。
【0043】
更に、引戸ガイド装置Rでは、図10に示すように、外部操作部材50を操作穴55に押し込んで弾性押圧片60を弾性変位させない限り、吸着台45の第1係止凸部70は弾性押圧片60の第1受け止め部65と係止する構成であるため、引戸10と床面fとの間の隙間dが所定高さの10mm以下であるために吸着台45を下段位置に下げて保持しているときに、振動や衝撃等の外力を受けて吸着台45が揺動し、浮き上がろうとしても、第1係止凸部70が第1受け止め部65に当って浮き上がりを抑え、吸着台45の保持高さがガイド突起15に有効に磁力の及ばない上段位置に勝手に戻ってしまうのを防止することができる。
【0044】
次に、引戸ガイド装置Rは、引戸10が開閉方向に移動して開口部を開閉するとき、扉側ガイドG2において、磁着手段29・30が床側ガイドG1のガイド体(a・b・c)に近づいて、図13(A)に示すように、磁石Mの第1磁石m1が床側ガイドG1(ガイドa・b・c)のガイド突起15の上に至ると、図13(B)に示すように、磁力が働いて磁性体からなる内側の第2の凸状部材25が第1凸状部材24から引き上げられる。第2凸状部材25が引き上がると、突出口26に抜け止めリング16が係止し[図4(C)参照]、外側の第1凸状部材24がガイドケース14の突出口18から、図13(C)に示すように入れ子式に立ち上がる。すると、引戸10が開閉方向に移動するに従い、磁石Mの第2磁石m2がガイド突起15を吸引して引き上げた状態で、第2凸状部材25の頭部25aが吸着台45の底面に当接して係合リブ35eに係合し、さらに図13(D)に示すように、ガイドレール40の係合リブ40bに係合することにより、引戸10が走行する開閉方向に対して横振れしないで直進するように案内する構造になっている。
【0045】
従って、引戸ガイド装置Rでは、床側ガイドG1(ガイド体a・b・c)のガイド突起15を複数の凸状部材24・25を入れ子式に重ねて組み入れて構成するから、引戸10が床面fとの間に大きな隙間dを開けて吊り込まれていても、引戸下端のガイドレール40に係合する高さまで突出するのに十分なストロークを確保することができる一方、ガイド突起15を出し入れ自在に挿設する取付穴x・y・zの深さも浅くて済むため、たとえ床材の厚さの範囲内に収まる浅い取付穴でも容易にガイド突起15を設置することができる。
【0046】
さて、図示例の引戸構造体では、閉時、図2に示すように、全開した引戸10を、ハンドル11を持って矢示する閉方向に引くと、引戸レールの案内で戸車を転動しながら閉方向に引戸10が動き出して開口部を閉じ始めるが、この閉止途中、引戸ガイド装置Rは、図14に示すように、床側ガイドG1の中間ガイド体bにおいて、入れ子状に立ち上がったガイド突起15の第2凸状部材25の頭部25aがガイドレール40の係合リブ40bに係合し、引戸10が走行する閉方向に対して横振れしないで直進するように案内する。
【0047】
それから、引戸10が閉方向にさらに直進し、扉側ガイドG2の戸尻側磁着手段30が床側ガイドG1の中間ガイド体bに近づいて、図13(A)に示すように、吸着台45の先端側の嵌付凹部45aに嵌め込んだ磁石Mの第1磁石m1がガイド突起15の上に至ると、第1磁石m1の磁力により順次、図13(B)・(C)に示すように、第2凸状部材25と第1凸状部材24が入れ子式に引き上げられ、ガイド突起15が鉛直に立ち上がる。すると、引戸10が閉方向に移動するに従い、吸着台45の基端側の嵌付凹部45bに嵌め込んだ磁石Mの第2磁石m2がガイド突起15を吸引して引き上げた状態で、第2凸状部材25の頭部25aが吸着台45の底面に当接し、立ち上がった第2凸状部材25の頭部25aを磁着手段29・30の係合リブ35eに係合してから、図15に示すように、ガイドレール40の係合リブ40bに係合する一方、そのとき、ガイドレール40の戸尻側で係合リブ40bに係合した中間ガイド体bの第2凸状部材15は、昇降口34を通って戸尻側磁着手段30の係合リブ35eから外れる。従って、その後、引戸10は、戸先側ガイド体aのガイド突起15の案内で横振れしないように直進し、図16に示すように開口部を全閉する。
【0048】
図示例の引戸ガイド装置Rでは、磁着手段29・30は、磁石Mを、吸着台45上の先端側に付設する強磁性の第1磁石m1と、基端側に付設する弱磁性の第2磁石m2の2体に分けて形成し、引戸10が開閉方向に移動するとき、第1磁石m1が、近づいたガイド突起15を強い磁力で吸引することにより、一気に引き上げるため、既に引き上げ状態のガイド突起15は、続いて吸引する第2磁石m2の磁力が弱くても、引き上げ状態のまま保持することでき、それ故に、吸着台45上の全面にわたり大きな強磁性の磁石を用いる必要がなくなるため、たとえ高価であっても、使用する磁石が全体に小型で済む結果、それだけコストを著しく低く抑えることができる。
【0049】
しかも、引戸ガイド装置Rでは、引戸10が床面fとの間に大きく20mmの隙間dを開けて吊り込まれていても、図6および図7に示すように、扉側ガイドG2において磁着手段29・30の吸着台45を、先端部45dが格納ケース35の昇降口34から高さh=10mm突出した下段位置に保持し、磁石Mの強磁性の第1磁石m1が床面fまで残り10mmの高さの床面f近くまで下がって待機するため、磁力を十分に及ぼして第2凸状部材25を吸引して入れ子式にガイド突起15を鉛直に立ち上げ、第2凸状部材25の頭部25aをガイドレール40の係合リブ40bに確実に係合させることができる。従って、たとえ引戸10と床面f間の隙間dが大きいために引戸側の磁石Mと床F側のガイド突起15とが離れ過ぎないように、例えば引戸をわざわざ取り外し、床面fとの間の隙間を調整する作業が必要でなくなり、また、磁力が離れたガイド突起15まで及ぶように、元々高価な磁石Mをより大型な強磁性のものにわざわざ取り替える必要もなくなるため、それだけコストを著しく低減することもできる。
【0050】
他方、引戸ガイド装置Rでは、図9に示すように、引戸10と床面fとの間の隙間dが所定高さ=10mm以下の場合でも、磁着手段29・30の吸着台45は、先端部45dが昇降口34から床面f側に突出することなく、格納ケース14の格納空間に納まった上段位置に保持されるため、開閉時、引戸10を移動するときに、吸着台45の先端部45dが床面fに接触して引戸10の走行の妨げになることなく、引戸10を横振れしないように案内することができる。
【0051】
ところで、引戸ガイド装置Rでも、床側ガイドG1において、ガイド体a・b・cのガイドケース14のガイド穴21に塵や埃が詰まってガイド突起15の引き上げ動作が鈍くなったり、ワックス等の異物でガイド突起15が固まったためにガイド突起15を強制的に引き上げて掃除をしたり修理したりする必要がある。そこで、引戸ガイド装置Rは、図17(A)・図18(A)に示すように、ガイドケース14の取付板部14bには、突出口18の開口縁に向けて漸次低く勾配になった案内溝23を設けた構成であるため、図17(B)・図18(B)に示すように、引き抜き具80として、例えばマイナスドライバーを用い、その先端部80aを案内溝23に滑り込ませて、ガイド穴21の突出口18と第2凸状部材25の頭部25bとの間に引っ掛けるだけで、図17(C)に示すように、ガイド穴21からガイド突起15を簡単に引き上げることができる。
【0052】
以上の図示実施の形態では、磁着手段29・30は、外部操作部材50の先端部50aを操作穴55に押し込んで弾性押圧片60を弾性変位させることにより、吸着台45の保持高さ位置を調整する例を示したが、本発明では、そのように外部操作部材を用いる例に限られず、例えば図19(A)・(B)に示すように、弾性押圧片60に押しボタン部85を備え、その押しボタン部85を操作穴55の外部から押圧操作して弾性押圧片60を弾性変位させることにより吸着台45の保持高さ位置を調整する構成にすることもできる。
【0053】
図示他例の引戸ガイド装置Rでは、上述した第1の例に代え、操作穴55は、樹脂製の格納ケース35の端部35fに、指が入るようにすり鉢状に穿設する一方、弾性押圧片60は、上板片部35bから垂下する立板片60aの第1受け止め部65の反対側板面から軸状に押しボタン部85を突設し、先端のボタン頭部85aを操作穴55に嵌挿して外部に臨ませた構成にする。
【0054】
そこで、図示他例の引戸ガイド装置Rは、吊り込み時に、引戸10と床面fとの間の隙間dが所定高さ以下の10mm以下のときは、図19(A)に示すように、上記第1の例と同様に、磁着手段29・30の吸着台45を、第1係止凸部70を第1受け止め部65に係止して格納空間Sに格納した上段位置に保持し、磁石Mの第1磁石m1を床面fまで略10mmの高さ位置で待機させる。そして、この吸着台45の保持高さ位置を下段位置に調整するときは、例えば指を操作穴55に入れ、図19(B)に示すように、押しボタン部85を押して弾性押圧片60を吸着台45側へ弾性変位させれば、第1係止凸部70が第1受け止め部65から外れて上方の第2係止凸部75が第2受け止め部66に係止し、吸着台45を、その先端部45dが昇降口34から所定高さh=10mm突出した下段位置に受け止めて保持し、磁石Mの第1磁石m1を、床面fの近くの略10mmの高さまで下げて待機させることができる。
【0055】
このように図示他例では、外部操作のためにわざわざ操作具を使わずとも、押しボタン部85を操作穴55の外部から、指で押圧操作するだけで簡単に吸着台45の保持高さ位置を調整することができる。
【符号の説明】
【0056】
F 床
G1 床側ガイド
G2 扉側ガイド
R 引戸ガイド装置
S 格納空間
M 磁石
a・b・c ガイド体
m1 第1磁石
m2 第2磁石
x・y・z 取付穴
10 引戸
10a 引戸の下端面
12 ガイド溝
14 ガイドケース
14b 取付板部
15 ガイド突起
18 突出口
23 案内溝
24 第1凸状部材
25 第2凸状部材
29・30 磁着手段
34 昇降口
35 格納ケース
40 ガイドレール
40b 係合リブ
45 吸着台
45d 吸着台の先端部
50 操作穴
55 外部操作部材
60 弾性押圧部
65 第1受け止め部
66 第2受け止め部
70 第1係止凸部
75 第2係止凸部
80 引き抜き具
85 押しボタン部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下端面の長さ方向にガイド溝を凹設し、床面との間に隙間を開けた状態で開閉方向に移動自在に吊り込んだ引戸を、開閉時に横振れしないように案内する引戸ガイド装置において、
引戸が移動する軌跡下の床面に間隔を置いて凹設した複数の取付穴に磁性体のガイド突起を出没自在に挿設した床側ガイドと、前記ガイド溝に内設した扉側ガイドとからなり、
該扉側ガイドは、
前記ガイド溝の両端部に嵌め込んで磁力により前記ガイド突起を吸引して立ち上がらせる一対の磁着手段と、前記ガイド溝内の前記磁着手段間に敷設し、立ち上がった前記ガイド突起を係合するガイドレールとからなり、
前記磁着手段は、
内部に格納空間を形成して底部に昇降口を開けた格納ケースと、該格納ケース内で基端部を枢支して揺動自在に片持ちした吸着台と、該吸着台に付設した磁石とを備え、
前記格納ケースには、端面が前記ガイド溝の端部から外部に臨む長さ方向一端に操作穴を前記格納空間に向け貫通し、該操作穴の前記格納空間側に向けて第1受け止め部を突設した弾性押圧片を前記格納空間の手前に立設すると共に、該第1受け止め部より前記吸着台が揺動する方向の下側に第2受け止め部を設ける一方、前記吸着台には、先端部に前記第1受け止め部に係止する第1係止凸部を突設すると共に、該第1係止凸部の揺動方向上側に前記第2受け止め部に係止する第2係止凸部を突設し、
吊り込み時に引戸と床面との間の隙間が所定高さ以下のときは、前記第1係止凸部を前記第1受け止め部に係止して前記吸着台を前記格納空間に納まる上段位置に保持する一方、所定高さ以上のときは、前記操作穴の外部から前記弾性押圧片を押して弾性変位させ、前記第1受け止め部から前記第1係止凸部を外して前記第2係止凸部を前記第2受け止め部に係止して前記吸着台を先端部が前記昇降口から所定高さ突出した下段位置に保持し、該吸着台の保持高さ位置を前記隙間の高さに応じて上段位置と下段位置の2段階に調整可能にしてなることを特徴とする、引戸ガイド装置。
【請求項2】
前記磁着手段は、前記磁石を、前記吸着台の先端側に付設する強磁性の第1磁石と、基端側に付設する弱磁性の第2磁石の2体に分けて形成してなることを特徴とする、請求項1に記載の引戸ガイド装置。
【請求項3】
前記床側ガイドには、前記ガイド突起が出没する突出口の開口縁から外向きに鍔状に延び、前記床面に載せて組み付ける取付板部を有し、該取付板部には、前記突出口の開口縁に向けて漸次低く勾配になった案内溝を設けてなることを特徴とする、請求項1又は2に記載の引戸ガイド装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2013−2262(P2013−2262A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−138076(P2011−138076)
【出願日】平成23年6月22日(2011.6.22)
【特許番号】特許第5075266号(P5075266)
【特許公報発行日】平成24年11月21日(2012.11.21)
【出願人】(592114703)株式会社ベスト (69)
【Fターム(参考)】