説明

引戸連動装置

【課題】メンテナンスを省いて長期間使用できる引戸連動装置を提供する。
【解決手段】左右一対の引戸を左右対称に連動して開閉可能とした両開き引戸連動装置に於て、上枠Fに開閉移動自在に吊り下げた各引戸に固着したラック2と、上枠F側の所定固定位置に回転自在に設けられてラック2に噛合する歯車群10と、左右一対の歯車群10,10を連動させるための連動軸6と、を具備している。また、左右に各2枚の引戸を配設し左右対称に連動して開閉可能とした両開き引戸連動装置に於て、上枠Fに開閉移動自在に吊り下げた各引戸に固着したラックと、上枠F側の所定固定位置に回転自在に設けられてラックに噛合して引戸の走行代を差動しつつ連動させる歯車群10と、左右一対の歯車群10,10を連動させるための連動軸と、を具備している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、引戸連動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ワイヤを用いた引戸連動装置を備える両開きの連動引戸が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−20607号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の引戸連動装置は、ワイヤが弛んで離脱する虞れがあり、故障が頻発するという欠点があったため、ワイヤの張りを調整する弛み防止手段が必要であり、また、長期的に故障を防止するためにメンテナンスを行なう必要があった。このように、ワイヤの弛み防止手段を設けることや定期的なメンテナンスを行なうのは、厄介な作業であり、多大な手間と時間を浪費していた。
【0005】
そこで、本発明は、メンテナンスを省いて長期間使用できる引戸連動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る引戸連動装置は、左右一対の引戸を左右対称に連動して開閉可能とした両開き引戸連動装置に於て、上枠に開閉移動自在に吊り下げた上記各引戸に固着したラックと、上記上枠側の所定固定位置に回転自在に設けられて上記ラックに噛合する歯車群と、左右一対の歯車群を連動させるための連動軸と、を具備するものである。
また、左右一対の引戸を左右対称に連動して開閉可能とした両開き引戸連動装置に於て、 上枠に開閉移動自在に吊り下げた上記各引戸に固着したラックと、上記上枠側の所定固定位置に回転自在に設けられて上記ラックに噛合する歯車群と、左右一対の歯車群を連動させるための連動軸と、を具備し、該歯車群は、上記ラックに噛合する平歯車と、上記平歯車と上記連動軸とを連結するベベルギヤ機構と、を備え、上記平歯車と上記ラックとの噛合状態が常時保たれるように配設したものである。
【0007】
また、左右に各2枚の引戸を配設し左右対称に連動して開閉可能とした両開き引戸連動装置に於て、上枠に開閉移動自在に吊り下げた上記各引戸に固着したラックと、上記上枠側の所定固定位置に回転自在に設けられて上記ラックに噛合して上記引戸の走行代を差動しつつ連動させる歯車群と、左右一対の歯車群を連動させるための連動軸と、を具備するものである。
また、左右に各2枚の引戸を配設し左右対称に連動して開閉可能とした両開き引戸連動装置に於て、上枠に開閉移動自在に吊り下げた上記各引戸に固着したラックと、上記上枠側の所定固定位置に回転自在に設けられて上記ラックに噛合して上記引戸の走行代を差動しつつ連動させる歯車群と、左右一対の歯車群を連動させるための連動軸と、を具備し、 該歯車群は、一のラックに噛合する平歯車と、該平歯車の1/2倍の歯数を有すると共に該平歯車に噛合する小ギヤ部と該平歯車と同じ歯数を有する大ギヤ部とを備える2段ギヤと、該大ギヤ部及び上記平歯車と同じ歯数を有するスペア歯車と、上記2段ギヤと上記スペア歯車とを上記連動軸を介して連動させる複数のベベルギヤ機構と、を備え、上記大ギヤ部と他のラックとの噛合状態と、上記スペア歯車と他のラックとの噛合状態とのうち、少なくとも一方が常時保たれるように配設したものである。
また、上記歯車群は、各々をケーシングによってユニット化して上記上枠に左右対称に取着可能としたものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の引戸連動装置によれば、ラックと歯車群が確実に噛合して引戸を連動させるため、故障耐久性を向上できる。よって、面倒なメンテナンスを省略できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の一形態の使用状態を示した簡略平面図である。
【図2】本発明の実施の一形態を示した要部断面正面図である。
【図3】本発明の他の実施形態の使用状態を示した簡略平面図である。
【図4】他の実施形態の使用状態を示した簡略平面図である。
【図5】他の実施形態の使用状態を示した簡略平面図である。
【図6】他の実施形態の引戸連動装置を示した要部断面平面図である。
【図7】他の実施形態の引戸連動装置を示した要部断面正面図である。
【図8】要部断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面に基づき本発明を詳説する。
図1と図2は、本発明の引戸連動装置の実施の一形態を示した図であり、左右一対の引戸A,Aを左右対称に連動して開閉可能とした両開き引戸連動装置に於て、出入口Gの天井側の上枠Fに開閉移動自在に吊り下げた各引戸Aに固着したラック2と、上枠F側の所定固定位置に回転自在に設けられてラック2に噛合する歯車群10と、左右一対の歯車群10,10を連動させるための連動軸6と、を具備している。本発明の引戸連動装置は、住宅、ビル、倉庫、物置等の出入口Gに設置され、戸袋に収納された左右いずれか一方の引戸Aを引出す方向に移動させると、他方の引戸Aも連動して引き出されるように構成されている。左右の引戸A,Aには、開閉操作を行なうためのハンドルE,Eが設けられている。引戸Aの幅寸法Wは、出入口Gの幅寸法Wの約1/2程度に設定され、出入口Gを開閉するために引戸A,Aを移動させる移動寸法Dが約半分に小さく済むという利点がある。
【0011】
具体的には、図2に示すように、左右対称に配設された各歯車群10は、ラック2に噛合する平歯車7と、平歯車7と連動軸6とを連結するベベルギヤ機構5と、を備えている。また、歯車群10は、平歯車7とラック2との噛合状態が常時保たれるように配設している。
歯車群10は、ケーシング20によって連結一体状のユニットとして上枠Fの所定固定位置にボルト・ナットで固着されている。平歯車7は、鉛直軸心V廻りに回転自在として枢着され、ラック2と噛合している。ベベルギヤ機構5は、平歯車7と同軸状に軸着され鉛直軸心V廻りに回転するかさ歯車5aと、連動軸6に枢着され水平軸心H廻りに回転自在のかさ歯車5bとを、有している。連動軸6は、ケーシング20の側壁部に貫設された孔部21,21に回転自在に枢着されている。左右の歯車群10,10は、その中間位置で連動軸6,6を同軸状として連結し、歯車群10,10間で相互に動力を伝達し合うように構成している。言い換えると、左右のベベルギヤ機構5,5は、同軸連結された連動軸6,6を介して同期的に連動して回転している。つまり、引戸A,Aは、左右の歯車群10,10により連動し、左右対称に開閉移動するように構成されている。このようにして、本発明の引戸連動装置は、出入口Gが全開状態から閉鎖状態に至るまで、左右の引戸A,Aの移動寸法D,Dを、常に同一に保持している。その後、閉鎖状態から全開状態とする際も同様である。また、歯車群10,10とラック2,2とが噛合して動力を伝達する構成であるため、遊びが発生せず、左右の引戸A,Aは安定してスムーズに連動し、メンテナンスを必要とすることなく長期間の使用に耐え得る。
【0012】
次に、本発明の引戸連動装置の他の実施形態について説明する。
図3〜図8に示すように、本発明の引戸連動装置は、左右に各2枚の引戸A,Bを配設し左右対称に連動して開閉可能とした両開き引戸連動装置への適用が可能である。この引戸連動装置は、戸袋に収納された左右いずれか一方の引戸Aを引出す方向に移動させると、同じ戸袋に並設された引戸Bが約1/2倍の走行代をもって差動しつつ連動して引き出されると共に、他方の引戸A,Bも連動して引き出されるように構成されている。引戸Aの幅寸法W及び引戸Bの幅寸法Wは、出入口Gの幅寸法Wの約1/4倍の寸法に設定されており、出入口Gの幅寸法Wに対して引戸A,Bを収納する左右の戸袋の幅寸法が小さく済むという利点がある。
他の実施形態に係る引戸連動装置は、出入口Gの天井(上枠F)側に開閉移動自在に吊り下げた各引戸A,Bに固着したラック2A,2Bと、天井(上枠F)側の所定固定位置に回転自在に設けられてラック2A,2Bに噛合して引戸A,Bの走行代を差動しつつ連動させる歯車群10と、左右一対の歯車群10,10を連動させるための連動軸18と、を具備している。
【0013】
具体的には、図6〜図8に示すように、左右の各歯車群10は、引戸Bのラック2Bに噛合する平歯車12と、平歯車12に噛合する小ギヤ部16と引戸Aのラック2Aに噛合可能な大ギヤ部17とを備える2段ギヤ11と、2段ギヤ11とは離れた所定位置に配設され大ギヤ部17とは別の箇所で引戸Aのラック2Aに噛合可能なスペア歯車13とを、天井側の上枠Fに回転自在に設けている。さらに、2段ギヤ11とスペア歯車13とを連動軸18を介して連動させる複数のベベルギヤ機構14,15とを、具備している。歯車群10は、2段ギヤ11の大ギヤ部17と他のラック2Aとの噛合状態と、スペア歯車13と他のラック2Aとの噛合状態とのうち、少なくとも一方が常時保たれるように配設している。
2段ギヤ11は、小ギヤ部16を平歯車12の1/2倍の歯数に設定し、大ギヤ部17を平歯車12と同じ歯数(小ギヤ部16の2倍の歯数)に設定している。2段ギヤ11は、所定固定位置にて第1鉛直軸心V廻りに回転自在に枢着されている。
平歯車12は、所定固定位置にて第2鉛直軸心V廻りに回転自在に枢着され、ラック2Bと2段ギヤ11の小ギヤ部16と常時噛合している。
つまり、2段ギヤ11の回転数Nに対して、平歯車12の回転数Nが1/2倍になるように減速している。従って、引戸A及び引戸Bは、ラック2Aの移動寸法Dに対して、ラック2Bの移動寸法Dが1/2倍として走行代を差動しつつ連動している。
【0014】
スペア歯車13は、大ギヤ部17及び平歯車12と同じ歯数を有し、第1鉛直軸心Vから長さ寸法Lをもって離れた所定固定位置に配設される第3鉛直軸心V廻りに回転自在に枢着されている。長さ寸法Lは、引戸Aの幅寸法Wよりも小さく設定している。ラック2Aの移動寸法Dに対するスペア歯車13の回転数Nは、2段ギヤ11の回転数Nと同一となっている。
ベベルギヤ機構14,15は、互いに直交する2つの軸心廻りに回転する一対のかさ歯車から構成されている。一方のベベルギヤ機構14は、2段ギヤ11と同軸状に軸着され第1鉛直軸心V廻りに回転するかさ歯車14aと、連動軸18に枢着され水平軸心H廻りに回転自在のかさ歯車14bとを、有している。他方のベベルギヤ機構15は、スペア歯車13と同軸状に軸着され第3鉛直軸心V廻りに回転するかさ歯車15aと、連動軸18に枢着され水平軸心H廻りに回転自在のかさ歯車15bとを、有している。
連動軸18は、かさ歯車14b,15bを連結し、2つのベベルギヤ機構14,15を連動している。つまり、2段ギヤ11とスペア歯車13は、同期的に連動して回転するように構成している。
【0015】
また、左右の歯車群10,10は、各々をケーシング20によってユニット化して上枠Fに左右対称に取着可能とし、連動軸18,18を相互に同軸連結して同期的に回転するように構成している。
具体的には、横長のケーシング20の下方に、平歯車12と、2段ギヤ11と、スペア歯車13とが、突出するように枢着し、ケーシング20内に、ベベルギヤ機構14,15を内設している。歯車群10は、ケーシング20により連結一体状のユニットとして上枠Fにボルト・ナットで固定されている。また、ケーシング20の側壁部には、孔部21,21が貫設され、連動軸18が水平軸心H廻りに回転自在に枢支されている。連動軸18,18は、ケーシング20の一方側から外方に延伸し、左右の歯車群10,10の中間位置で同軸状に連結され、歯車群10,10間で相互に動力を伝達し合うように構成している。
【0016】
図8に示すように、上枠Fには、引戸A,Bの開閉移動方向に沿って左右一対のガイドレール3,3が固着されている。各ガイドレール3は、吊下部材4を介して引戸A,Bを吊り下げている。ラック2A,2Bは、引戸A,Bを支持する各々の吊下部材4の内側に固着され、スペーサーSにて底上げして平歯車12、2段ギヤ11及びスペア歯車13に噛合するように配設されている。なお、上枠F及び吊下部材4が外部から見えないように、カバーCを設けるも好ましい。
ガイドレール3,3は、出入口G(図1及び図3〜図5参照)の左右方向中央位置へ向けて次第に下るように緩く傾斜させて配設されている。この構成により、出入口Gが開放されている状態で、引戸AのハンドルEから手を離すだけで、各引戸A,Bの自重により、出入口Gの左右方向中央位置に引戸A,Bが移動して、自動的に出入口Gを閉鎖することができるのである。また、図示省略するが、引戸A,Bに、滑車を介してバランスウェイトを吊設し、出入口Gを開放する方向に制動力を作用させている。このようにして、ハンドルEから手を離した際に、引戸A,Bがゆっくりと移動して、安全かつ静かに出入口Gを閉鎖するように構成している。左右の各引戸A,Bは、戸袋に収納された状態では、バランスウェイトにより出入口Gを全開放したまま保持し、引戸AのハンドルEに(左右方向中央位置へ向けて)軽く力を加えるだけで半自動的に出入口Gを閉鎖することができるように構成するも好ましい。
【0017】
上述した本発明の引戸連動装置の使用方法(作用)について説明する。
図3に示すように、左右の引戸A,Bが戸袋に収納されて出入口Gが開放されている全開状態に於て、ハンドルEを軽く押し、(自重により、)引戸A,Aを出入口Gの左右方向中央位置に移動させる。この際、引戸Aのラック2(2A)と2段ギヤ11の大ギヤ部17とが噛合し、引戸Aが引き出されるのに伴って、ラック2Aが2段ギヤ11に回転力を付与し、2段ギヤ11の回転数Nを1/2倍の回転数Nに減速しつつ小ギヤ部16から平歯車12に回転力を伝えて、平歯車12に噛合するラック2Bに移動力を付与し、引戸Bが連動して引き出される。また、右側の引戸A,Bと、左側の引戸A,Bとは、相互に動力を伝達するように構成されており、左右対称に同じ寸法だけ連動して引き出される。
【0018】
図4に示すように、左右の各引戸A,Bが、同一の寸法ずつ出入口Gの途中まで引き出された半開状態に於て、引戸Aが移動寸法Dまで引き出されると、引戸Bは、引戸Aの移動寸法Dの1/2倍の移動寸法Dだけ引き出される。言い換えると、引戸Aと引戸Bは、2段ギヤ11及び平歯車12により2対1の走行代をもって差動しつつ連動して開閉する。この際、ラック2Aは、大ギヤ部17に噛合しつつスペア歯車13に到達して噛合する。つまり、ラック2Aは、2段ギヤ11の大ギヤ部17及びスペア歯車13の両方に噛合した状態となる。
【0019】
さらに、図5に示すように、左右の各引戸A,Bが引き出され、出入口Gを幅寸法Wにわたって閉鎖した閉鎖状態に於て、引戸Aのラック2Aは、大ギヤ部17との噛合を解除し、スペア歯車13との噛合状態を保持する。スペア歯車13は、ベベルギヤ機構14,15を介して2段ギヤ11に回転力を伝達し、平歯車12を回転させて引戸Bのラック2Bに移動力を付与し続ける。
このようにして、本発明の引戸連動装置は、全開状態から閉鎖状態に至るまで、引戸Aの移動寸法Dと、引戸Bの移動寸法Dとを、2対1の関係に保持する。その後、閉鎖状態から全開状態とする際も同様である。
また、歯車群10とラック2A,2Bとの間には、遊びが発生せず、引戸A,Bは安定してスムーズに連動し、メンテナンスを必要とすることなく長期間の使用に耐え得る。
【0020】
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、例えば、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば、歯車群10の配列や配設位置等を設計変更するも自由である。また、連動軸6,6(連動軸18,18)は、自在継手(ユニバーサルジョイント)を介して連結するのが良い場合もある。
【0021】
以上のように、本発明に係る引戸連動装置は、左右一対の引戸A,Aを左右対称に連動して開閉可能とした両開き引戸連動装置に於て、上枠Fに開閉移動自在に吊り下げた各引戸Aに固着したラック2と、上枠F側の所定固定位置に回転自在に設けられてラック2に噛合する歯車群10と、左右一対の歯車群10,10を連動させるための連動軸6と、を具備するので、ラック2と歯車群10が確実に噛合して引戸Aを移動させ、故障耐久性を向上できる。また、歯車群10,10とラック2,2との間に遊びを発生させず、左右の引戸A,Aを安定してスムーズに連動でき、メンテナンスを省略して長期間使用できる。
【0022】
また、左右一対の引戸A,Aを左右対称に連動して開閉可能とした両開き引戸連動装置に於て、上枠Fに開閉移動自在に吊り下げた上記各引戸Aに固着したラック2と、上枠F側の所定固定位置に回転自在に設けられてラック2に噛合する歯車群10と、左右一対の歯車群10,10を連動させるための連動軸6と、を具備し、歯車群10は、ラック2に噛合する平歯車7と、平歯車7と連動軸6とを連結するベベルギヤ機構5と、を備え、平歯車7とラック2との噛合状態が常時保たれるように配設したので、ラック2と歯車群10が確実に噛合して引戸Aを移動させ、故障耐久性を向上できる。また、歯車群10,10とラック2,2との間に遊びを発生させず、左右の引戸A,Aを安定してスムーズに連動でき、メンテナンスを省略して長期間使用できる。
【0023】
左右に各2枚の引戸A,Bを配設し左右対称に連動して開閉可能とした両開き引戸連動装置に於て、上枠Fに開閉移動自在に吊り下げた各引戸A,Bに固着したラック2A,2Bと、上枠F側の所定固定位置に回転自在に設けられてラック2A,2Bに噛合して引戸A,Bの走行代を差動しつつ連動させる歯車群10と、左右一対の歯車群10,10を連動させるための連動軸18と、を具備するので、左右の各ラック2A,2Bと歯車群10が確実に噛合して引戸A,Bを連動させ、故障耐久性を向上できる。歯車群10,10とラック2A,2Bとの間に遊びを発生させず、左右の引戸A,Bを安定してスムーズに連動でき、メンテナンスを省略して長期間使用できる。
【0024】
また、左右に各2枚の引戸A,Bを配設し左右対称に連動して開閉可能とした両開き引戸連動装置に於て、上枠Fに開閉移動自在に吊り下げた各引戸A,Bに固着したラック2A,2Bと、上枠F側の所定固定位置に回転自在に設けられてラック2A,2Bに噛合して引戸A,Bの走行代を差動しつつ連動させる歯車群10と、左右一対の歯車群10,10を連動させるための連動軸18と、を具備し、歯車群10は、一のラック2Bに噛合する平歯車12と、平歯車12の1/2倍の歯数を有すると共に平歯車12に噛合する小ギヤ部16と平歯車12と同じ歯数を有する大ギヤ部17とを備える2段ギヤ11と、大ギヤ部17及び平歯車12と同じ歯数を有するスペア歯車13と、2段ギヤ11とスペア歯車13とを連動軸18を介して連動させる複数のベベルギヤ機構14,15と、を備え、大ギヤ部17と他のラック2Aとの噛合状態と、スペア歯車13と他のラック2Aとの噛合状態とのうち、少なくとも一方が常時保たれるように配設したので、左右の各ラック2A,2Bと歯車群10が確実に噛合して引戸A,Bを連動させ、故障耐久性を向上できる。また、全開状態から閉鎖状態に至るまで、引戸Aの移動寸法Dと、引戸Bの移動寸法Dとを、2対1の関係に保持できる。さらに、歯車群10,10とラック2A,2Bとの間に遊びを発生させず、左右の引戸A,Bを安定してスムーズに連動でき、メンテナンスを省略して長期間使用できる。
【0025】
また、歯車群10,10は、各々をケーシング20によってユニット化して上枠Fに左右対称に取着可能としたので、取付が容易であり、かつ、故障耐久性をより一層向上できる。
【符号の説明】
【0026】
2,2A,2B ラック
5 ベベルギヤ機構
6 連動軸
7 平歯車
10 歯車群
11 2段ギヤ
12 平歯車
13 スペア歯車
14 ベベルギヤ機構
15 ベベルギヤ機構
16 小ギヤ部
17 大ギヤ部
18 連動軸
20 ケーシング
A,B 引戸
F 上枠
H 水平軸心

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右一対の引戸(A)(A)を左右対称に連動して開閉可能とした両開き引戸連動装置に於て、
上枠(F)に開閉移動自在に吊り下げた上記各引戸(A)に固着したラック(2)と、上記上枠(F)側の所定固定位置に回転自在に設けられて上記ラック(2)に噛合する歯車群(10)と、左右一対の歯車群(10)(10)を連動させるための連動軸(6)と、を具備することを特徴とする引戸連動装置。
【請求項2】
左右一対の引戸(A)(A)を左右対称に連動して開閉可能とした両開き引戸連動装置に於て、
上枠(F)に開閉移動自在に吊り下げた上記各引戸(A)に固着したラック(2)と、上記上枠(F)側の所定固定位置に回転自在に設けられて上記ラック(2)に噛合する歯車群(10)と、左右一対の歯車群(10)(10)を連動させるための連動軸(6)と、を具備し、
該歯車群(10)は、上記ラック(2)に噛合する平歯車(7)と、上記平歯車(7)と上記連動軸(6)とを連結するベベルギヤ機構(5)と、を備え、上記平歯車(7)と上記ラック(2)との噛合状態が常時保たれるように配設したことを特徴とする引戸連動装置。
【請求項3】
左右に各2枚の引戸(A)(B)を配設し左右対称に連動して開閉可能とした両開き引戸連動装置に於て、
上枠(F)に開閉移動自在に吊り下げた上記各引戸(A)(B)に固着したラック(2A)(2B)と、上記上枠(F)側の所定固定位置に回転自在に設けられて上記ラック(2A)(2B)に噛合して上記引戸(A)(B)の走行代を差動しつつ連動させる歯車群(10)と、左右一対の歯車群(10)(10)を連動させるための連動軸(18)と、を具備することを特徴とする引戸連動装置。
【請求項4】
左右に各2枚の引戸(A)(B)を配設し左右対称に連動して開閉可能とした両開き引戸連動装置に於て、
上枠(F)に開閉移動自在に吊り下げた上記各引戸(A)(B)に固着したラック(2A)(2B)と、上記上枠(F)側の所定固定位置に回転自在に設けられて上記ラック(2A)(2B)に噛合して上記引戸(A)(B)の走行代を差動しつつ連動させる歯車群(10)と、左右一対の歯車群(10)(10)を連動させるための連動軸(18)と、を具備し、
該歯車群(10)は、一のラック(2B)に噛合する平歯車(12)と、該平歯車(12)の1/2倍の歯数を有すると共に該平歯車(12)に噛合する小ギヤ部(16)と該平歯車(12)と同じ歯数を有する大ギヤ部(17)とを備える2段ギヤ(11)と、該大ギヤ部(17)及び上記平歯車(12)と同じ歯数を有するスペア歯車(13)と、上記2段ギヤ(11)と上記スペア歯車(13)とを上記連動軸(18)を介して連動させる複数のベベルギヤ機構(14)(15)と、を備え、上記大ギヤ部(17)と他のラック(2A)との噛合状態と、上記スペア歯車(13)と他のラック(2A)との噛合状態とのうち、少なくとも一方が常時保たれるように配設したことを特徴とする引戸連動装置。
【請求項5】
上記歯車群(10)(10)は、各々をケーシング(20)によってユニット化して上記上枠(F)に左右対称に取着可能とした請求項1,2,3又は4記載の引戸連動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−127074(P2012−127074A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−277777(P2010−277777)
【出願日】平成22年12月14日(2010.12.14)
【出願人】(504374849)株式会社泉陽商会 (16)