引戸連動装置
【課題】面倒なメンテナンスを省いて長期間使用できる引戸連動装置を提供する。
【解決手段】上枠30に移動自在に吊り下げた2枚の第1引戸1と第2引戸2を連動して開閉可能とした引戸連動装置に於て、上枠30側の所定固定位置に設けられた固定ラック3と、第1引戸1又は第2引戸2に固着された移動ラック4とを、備え、固定ラック3と移動ラック4に噛合して2枚の第1引戸1と第2引戸2の走行代を差動しつつ連動させる歯車群10を具備している。
【解決手段】上枠30に移動自在に吊り下げた2枚の第1引戸1と第2引戸2を連動して開閉可能とした引戸連動装置に於て、上枠30側の所定固定位置に設けられた固定ラック3と、第1引戸1又は第2引戸2に固着された移動ラック4とを、備え、固定ラック3と移動ラック4に噛合して2枚の第1引戸1と第2引戸2の走行代を差動しつつ連動させる歯車群10を具備している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、引戸連動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ワイヤを用いた連動装置を備える2連式の引戸が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−233597号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の引戸連動装置は、ワイヤが弛んで離脱する虞れがあり、故障が頻発するという欠点があった。また、故障を防止するために定期的にワイヤの張りを調整するメンテナンスが必要であった。このようなメンテナンスは、厄介な作業であり、多大な手間と時間を浪費していた。
【0005】
そこで、本発明は、面倒なメンテナンスを省いて長期間使用できる引戸連動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る引戸連動装置は、上枠に移動自在に吊り下げた2枚の第1引戸と第2引戸を連動して開閉可能とした引戸連動装置に於て、上記上枠側の所定固定位置に設けられた固定ラックと、上記第1引戸又は上記第2引戸に固着された移動ラックとを、備え、上記固定ラックと上記移動ラックに噛合して2枚の上記第1引戸と上記第2引戸の走行代を差動しつつ連動させる歯車群を具備するものである。
また、下端に戸車を有し、移動自在に走行する2枚の第1引戸と第2引戸を連動して開閉可能とした引戸連動装置に於て、上枠側の所定固定位置に設けられた固定ラックと、上記第1引戸又は上記第2引戸に固着された移動ラックとを、備え、上記固定ラックと上記移動ラックに噛合して2枚の上記第1引戸と上記第2引戸の走行代を差動しつつ連動させる歯車群を具備するものである。
【0007】
また、上記歯車群は、上記固定ラックに噛合する第1ギア部材と、上記移動ラックに噛合する第2ギア部材とを、有し、上記第1ギア部材と上記第2ギア部材の歯数を同一とすると共に該第1ギア部材と第2ギア部材の間には該第1ギア部材・第2ギア部材の1/2倍の歯数を有する減速用ギア部材が介在しているものである。
また、上記2枚の第1引戸と第2引戸の内、引出し用ハンドルを付設した上記第1引戸に上記歯車群を配設すると共に、上記第2引戸に上記移動ラックを固着し、上記固定ラックに噛合する上記第1ギア部材と上記減速用ギア部材が同一の回転軸心廻りに回転するように一体状に連結し、かつ、上記減速用ギア部材に上記第2ギア部材を噛合させて、上記第1引戸と上記第2引戸が走行代を差動しつつ連動して開閉移動するように構成したものである。
また、上記2枚の第1引戸と第2引戸の内、引出し用ハンドルを付設した上記第1引戸に上記移動ラックを固着すると共に、上記第2引戸に上記歯車群を配設し、上記固定ラックに噛合する上記第1ギア部材と上記減速用ギア部材を噛合させると共に、該減速用ギア部材と上記第2ギア部材を連結機構を介して連動させて、上記第1引戸と上記第2引戸が走行代を差動しつつ連動して開閉移動するように構成したものである。
【0008】
また、上記第1ギア部材と上記第2ギア部材は、上記第1引戸・第2引戸の進行方向に沿って略直列状に並べて配設されているものである。
また、上記第1引戸及び上記第2引戸は、上記上枠の階段状取付部に固着されたガイドレールに、吊車を介して垂直面状に吊り下げされ、該吊車が、上記第1引戸及び上記第2引戸の各重心点の鉛直上方位置に配設されたものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の引戸連動装置によれば、固定ラック及び移動ラックと歯車群が確実に噛合して複数の引き戸を連動させることができ、故障が無く、耐久性を向上できる。よって、面倒なメンテナンスを省略できる。また、構造がシンプルで、製造・設置が容易となり、コストを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の一形態の全開状態を示した簡略平面図である。
【図2】本発明の実施の一形態の閉鎖状態を示した簡略平面図である。
【図3】引戸連動装置の要部拡大平面図である。
【図4】引戸連動装置の要部拡大断面正面図である。
【図5】引戸連動装置の要部拡大断面側面図である。
【図6】本発明の他の実施形態の全開状態を示した簡略平面図である。
【図7】本発明の他の実施形態の閉鎖状態を示した簡略平面図である。
【図8】他の実施形態の要部拡大断面正面図である。
【図9】本発明の別の実施形態の全開状態を示した簡略平面図である。
【図10】別の実施形態の要部拡大断面正面図である。
【図11】別の実施形態の要部拡大断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施の形態を示す図面に基づき本発明を詳説する。
図1と図2に示すように、本発明の引戸連動装置は、住宅、ビル、倉庫、物置等の出入口に設置された上枠30に移動自在に吊り下げた2枚の第1引戸1と第2引戸2を、連動して開閉可能とした引戸連動装置である。本発明の引戸連動装置は、上枠30側の所定固定位置に設けられた固定ラック3と、第1引戸1又は第2引戸2(の何れか)に固着された移動ラック4とを、備え、固定ラック3と移動ラック4に噛合して2枚の第1引戸1と第2引戸2の走行代を差動しつつ連動させる歯車群10を具備している。
【0012】
第1引戸1は、その幅寸法W1が、出入口の幅寸法W0の1/2倍より少し大きく設定され、また、第2引戸2は、その幅寸法W2が、出入口の幅寸法W0の約1/2倍の寸法に設定されている。第1引戸1の大半と第2引戸2は、出入口の幅寸法W0の約1/2倍の奥行きを有する戸袋40に収納可能である。図1と図2では、2枚の第1引戸1と第2引戸2の内、引出し用ハンドルHを付設した第1引戸1(の後端部近傍)に歯車群10を配設すると共に、第1引戸1を追い掛ける第2引戸2に移動ラック4を固着している。また、第1引戸1には、衝撃を緩和するための弾性パッド部材18が付設されている。
固定ラック3と移動ラック4は、角柱状の金属又は硬質樹脂から成り、一方面にギア歯が形成されている。固定ラック3は、戸袋40の内部から出入口の幅寸法W0の約半分あたりまで所定の幅寸法W3にわたって設けられ、移動ラック4は、第2引戸2の幅寸法W2よりも僅かに短い幅寸法W4にわたって設けられている。
歯車群10は、複数の歯車が組み合わされて成る。具体的な構成については後述するが、歯車群10は、第1引戸1の走行代寸法R1に対して、第2引戸2の走行代寸法R2を1/2倍として差動しつつ(図2参照)、2枚の第1引戸1と第2引戸2を連動して引出・収納可能とし、第1引戸1と第2引戸2が出入口の幅寸法W0にわたって開閉するように構成している。
【0013】
具体的には、図3〜図5に示すように、歯車群10は、固定ラック3に噛合する第1ギア部材11と、移動ラック4に噛合する第2ギア部材12とを、有している。
第1ギア部材11と第2ギア部材12は、その歯数を同一として形成されている。第1ギア部材11と第2ギア部材12の間には、第1ギア部材11・第2ギア部材12の1/2倍の歯数を有する減速用ギア部材13が介在している。
また、第1ギア部材11と第2ギア部材12は、図中矢印F1方向(第1引戸1の進行方向)に沿って略直列状に並べて配設され、かつ、所定の高低差Dをもって上下方向にずらして配設されている。
【0014】
図3〜図5では、固定ラック3に噛合する第1ギア部材11と減速用ギア部材13が同一の回転軸心L1廻りに回転するように一体状に連結し、かつ、減速用ギア部材13に第2ギア部材12を噛合させている。
第1ギア部材11と減速用ギア部材13は、大きさの異なる2つの平歯車を連結して成る2段ギア状に一体形成されている。第1ギア部材11と減速用ギア部材13は、シャフト15によって軸支され、第1引戸1の後端上面部に取付けられている。第2ギア部材12は、平歯車から成り、シャフト16によって軸支され、第1引戸1の後端上面部に取付けられている。つまり、第1ギア部材11と減速用ギア部材13が回転数N1で回転すると、減速用ギア部材13と噛合する第2ギア部材12が、第1ギア部材11の1/2倍の回転数N2で回転するように構成している。なお、シャフト15,16には、軸ブレ防止用のカラー部材41,41が取着されている。
【0015】
図5に示すように、第1引戸1及び第2引戸2は、上枠30に固着されたガイドレール31,32に、吊車33,33を介して垂直面状に吊り下げされている。この吊車33,33は、第1引戸1及び第2引戸2の各重心点Gの鉛直上方位置に配設されている。
上枠30は、階段状に形成され、その上面から外方突出状に取付けられたラック保持部材35とを、有している。上枠30は、第1垂直面34Aにガイドレール31を、また、その下方に段違い状に形成された第2垂直面34Bにガイドレール32を、固着して保持している。ガイドレール31,32は、吊車33,33を走行自在として支持している。吊車33,33は、吊下部材36,36の下端に第1引戸1・第2引戸2をボルト等で固定しており、第1引戸1及び第2引戸2の各重心点Gを通過する鉛直線V1,V2の延長線上で、ガイドレール31,32と当接して、第1引戸1・第2引戸2の荷重を支持している。ラック保持部材35の内面には、固定ラック3が固着されている。また、第2引戸2を支持する吊車33は、吊下部材36の内面に移動ラック4を固着している。
【0016】
次に、本発明の引戸連動装置の他の実施形態について説明する。
図6〜図8に示すように、本発明の他の実施形態では、2枚の第1引戸1と第2引戸2の内、引出し用ハンドルHを付設した第1引戸1に移動ラック4を固着すると共に、第2引戸2に歯車群10を配設している。
固定ラック3は、戸袋40の内部に設けられ、移動ラック4は、第1引戸1の幅寸法W1よりも僅かに短くなるように設けられている。歯車群10は、第1引戸1の走行代寸法R1に対して、第2引戸2の走行代寸法R2を1/2倍として差動しつつ(図2参照)、2枚の第1引戸1と第2引戸2を連動して引出・収納可能とし、第1引戸1と第2引戸2が出入口の幅寸法W0にわたって開閉するように構成している。
歯車群10は、複数の歯車を組み合わされて構成されている点では、上述の実施形態と同様であり、固定ラック3に噛合する第1ギア部材11と減速用ギア部材13を噛合させると共に、減速用ギア部材13と第2ギア部材12を連結機構14を介して連動させている。
【0017】
他の実施形態では、第1ギア部材11は、平歯車から成り、第2引戸2の後端上面部に取付けられている。第2ギア部材12は、平歯車から成り、第2引戸2の前端上面部に取付けられている。第2ギア部材12を軸支するシャフト17の上端には、かさば歯車19が一体に形成されている。減速用ギア部材13は、第1ギア部材11・第2ギア部材12の1/2倍の歯数を有する平歯車から成り、第1ギア部材11に噛合するように取付けられている。減速用ギア部材13を軸支するシャフト21の上端には、かさば歯車20が一体に形成されている。
なお、第1ギア部材11と第2ギア部材12、及び、減速用ギア部材13は、図中矢印F2方向(第2引戸2の進行方向)に沿って略直列状に並べて配設されている。
【0018】
図6と図7では図示省略しているが、図8に示すように、連結機構14は、かさば歯車19,20を相互に連動して逆方向に回転させる連結部材5を有している。連結部材5は、水平軸心H0廻りに回転自在に枢着された連結軸6と、連結軸6に枢支される一対のかさば歯車26,27とを、具備している。かさば歯車26は、減速用ギア部材13と一体に回転するかさば歯車20は噛合しており、かつ、かさば歯車26は、第2ギア部材12と一体に回転するかさば歯車19に噛合している。つまり、第2ギア部材12と減速用ギア部材13は、連結機構14により相互に連動して逆方向に回転し、減速用ギア部材13と噛合する第1ギア部材11が、第2ギア部材12の1/2倍の回転数で回転するように構成している。
【0019】
次に、本発明の引戸連動装置の別の実施形態について説明する。
図9と図10に示すように、本発明の別の実施形態は、2枚の第1引戸1と第2引戸2の内、引出し用ハンドルHを付設した第1引戸1に移動ラック4を固着すると共に、第2引戸2に歯車群10を配設し、固定ラック3に噛合する第1ギア部材11と減速用ギア部材13を噛合させると共に、減速用ギア部材13と第2ギア部材12を連結機構14を介して連動させている点では、前記他の実施形態と同様に構成されている。
図9と図10では、連結機構14が、第2ギア部材12と一体に回転するねじ歯車22と、減速用ギア部材13と一体に回転するねじ歯車23と、ねじ歯車22,23を相互に連動して逆方向に回転させる連結部材25を有している。連結部材25は、水平軸心H0廻りに回転自在に枢着された連結軸24と、連結軸24に枢支される一対のねじ歯車28,29とを、具備している。ねじ歯車29は、減速用ギア部材13と一体に回転するねじ歯車23に噛合しており、かつ、ねじ歯車28は、第2ギア部材12と一体に回転するねじ歯車22に噛合している。つまり、第2ギア部材12と減速用ギア部材13は、連結機構14により相互に連動して逆方向に回転し、減速用ギア部材13と噛合する第1ギア部材11が、第2ギア部材12の1/2倍の回転数で回転するように構成している。
なお、第1ギア部材11と第2ギア部材12、及び、減速用ギア部材13は、図中矢印F2方向(第2引戸2の進行方向)に沿って略直列状に並べて配設されている。
【0020】
図11に示すように、第1引戸1及び第2引戸2は、下端に戸車43,43を有し、床面に敷設したレール部材42上を移動自在に走行し、上述の歯車群10(図示省略)によって相互に連動して開閉するように構成されている。
第1引戸1及び第2引戸2の上端部には、傾倒防止手段44,44が設けられている。傾倒防止手段44は、案内用レール部材45と、案内用レール部材45に沿って摺動可能に支持されるスライド部材46と、から成る。一の傾倒防止手段44は、第1引戸1と第2引戸2の間に介設され、第1引戸1側に取着されたスライド部材46と第2引戸2側に取着された案内用レール部材45を係合させている。また、他の傾倒防止手段44は、上枠30と第2引戸2の間に介設され、第2引戸2側に取着されたスライド部材46と上枠30側に取着された案内用レール部材45を係合させている。
【0021】
上述した本発明の引戸連動装置の使用方法(作用)について説明する。
図1に示すように、2枚の第1引戸1と第2引戸2が戸袋40に収納された状態で、第1引戸1のハンドルHを軽く押して、矢印F1方向に移動させる。この際、上枠30に固定された固定ラック3と第1ギア部材11が噛合し、第1引戸1が引き出されるのに伴って、第1ギア部材11に回転力が与えられる。この第1ギア部材11の回転力を、減速用ギア部材13を介して減速しつつ伝達される第2ギア部材12は、第1ギア部材11の回転数N1の1/2倍の回転数N2で回転し、移動ラック4が取着された第2引戸2に(第1引戸1の1/2倍の)移動力を矢印F2方向に付与する。このようにして、第1引戸1の走行代寸法R1に対して、第2引戸2の走行代寸法R2を1/2倍として差動しつつ第1引戸1と第2引戸2が連動して引き出される。
【0022】
本発明の引戸連動装置は、図1の全開状態から図2の閉鎖状態に至るまで、固定ラック3・移動ラック4と第1ギア部材11・第2ギア部材12が、遊びを生じることなく確実に噛合して相互に移動力を伝達し合うため、第1引戸1と第2引戸2が安定してスムーズに連動し、メンテナンスを必要とすることなく長期間の使用に耐える。また、閉鎖状態から全開状態に戻す場合も、第1引戸1と第2引戸2の走行代を、2対1の関係に保持して連動させることが可能である。
【0023】
なお、本発明は、要旨を逸脱しない範囲であれば、設計変更可能である。例えば、図1〜図4、及び、図6〜図8に示す実施の形態に於て、第1引戸1と第2引戸2は、図5の吊車33,33を有するも、又は、図11の戸車43,43を有するも、どちらでも良く、また、図9〜図10に示す実施の形態に於ても、図5の吊車33,33又は図11の戸車43,43のどちらを有する構造としても良い。
【0024】
以上のように、本発明に係る引戸連動装置は、上枠30に移動自在に吊り下げた2枚の第1引戸1と第2引戸2を連動して開閉可能とした引戸連動装置に於て、上枠30側の所定固定位置に設けられた固定ラック3と、第1引戸1又は第2引戸2に固着された移動ラック4とを、備え、固定ラック3と移動ラック4に噛合して2枚の第1引戸1と第2引戸2の走行代を差動しつつ連動させる歯車群10を具備するので、固定ラック3及び移動ラック4と歯車群10が確実に噛合して2枚の第1引戸1と第2引戸2をスムーズかつ安定して連動させることができ、故障が無く、耐久性を向上できる。よって、面倒なメンテナンスを省略して、長期間の使用に耐え得る。また、構造がシンプルで、製造・設置が容易となり、コストを低減できる。
【0025】
また、下端に戸車を有し、移動自在に走行する2枚の第1引戸1と第2引戸2を連動して開閉可能とした引戸連動装置に於て、上枠30側の所定固定位置に設けられた固定ラック3と、第1引戸1又は第2引戸2に固着された移動ラック4とを、備え、固定ラック3と移動ラック4に噛合して2枚の第1引戸1と第2引戸2の走行代を差動しつつ連動させる歯車群10を具備するので、固定ラック3及び移動ラック4と歯車群10が確実に噛合して2枚の第1引戸1と第2引戸2をスムーズかつ安定して連動させることができ、故障が無く、耐久性を向上できる。よって、面倒なメンテナンスを省略して、長期間の使用に耐え得る。また、構造がシンプルで、製造・設置が容易となり、コストを低減できる。
【0026】
また、歯車群10は、固定ラック3に噛合する第1ギア部材11と、移動ラック4に噛合する第2ギア部材12とを、有し、第1ギア部材11と第2ギア部材12の歯数を同一とすると共に第1ギア部材11と第2ギア部材12の間には第1ギア部材11・第2ギア部材12の1/2倍の歯数を有する減速用ギア部材13が介在しているので、第1引戸1に対して、第2引戸2を1/2倍の速さに減速して移動させることができ、しかも、第1引戸1と第2引戸2をスムーズかつ安定して連動させることができる。
【0027】
また、2枚の第1引戸1と第2引戸2の内、引出し用ハンドルHを付設した第1引戸1に歯車群10を配設すると共に、第2引戸2に移動ラック4を固着し、固定ラック3に噛合する第1ギア部材11と減速用ギア部材13が同一の回転軸心L1廻りに回転するように一体状に連結し、かつ、減速用ギア部材13に第2ギア部材12を噛合させて、第1引戸1と第2引戸2が走行代を差動しつつ連動して開閉移動するように構成したので、シンプルな構造で、(全開状態から閉鎖状態に至るまで)第1引戸1と第2引戸2を確実に連動させることができ、製造・設置が容易となり、コストを低減できる。
【0028】
また、2枚の第1引戸1と第2引戸2の内、引出し用ハンドルHを付設した第1引戸1に移動ラック4を固着すると共に、第2引戸2に歯車群10を配設し、固定ラック3に噛合する第1ギア部材11と減速用ギア部材13を噛合させると共に、減速用ギア部材13と第2ギア部材12を連結機構14を介して連動させて、第1引戸1と第2引戸2が走行代を差動しつつ連動して開閉移動するように構成したので、シンプルな構造で、(全開状態から閉鎖状態に至るまで)第1引戸1と第2引戸2を確実に連動させることができ、製造・設置が容易となり、コストを低減できる。
【0029】
また、第1ギア部材11と第2ギア部材12は、第1引戸1・第2引戸2の進行方向に沿って略直列状に並べて配設されているので、固定ラック3と移動ラック4とを上下方向にずらして近接状に配設して、全体をコンパクトに設計でき、かつ、確実に噛合させることができる。
【0030】
また、第1引戸1及び第2引戸2は、上枠30に固着されたガイドレール31,32に、吊車33,33を介して垂直面状に吊り下げされ、吊車33,33が、第1引戸1及び第2引戸2の各重心点Gの鉛直上方位置に配設されたので、全体をコンパクトに設計でき、かつ、第1引戸1と第2引戸2をバランス良く支持しつつ確実に連動させることができる。
【符号の説明】
【0031】
1 第1引戸
2 第2引戸
3 固定ラック
4 移動ラック
10 歯車群
11 第1ギア部材
12 第2ギア部材
13 減速用ギア部材
14 連結機構
30 上枠
31 ガイドレール
32 ガイドレール
33 吊車
H 引出し用ハンドル
L1 回転軸心
G 重心点
【技術分野】
【0001】
本発明は、引戸連動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ワイヤを用いた連動装置を備える2連式の引戸が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−233597号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の引戸連動装置は、ワイヤが弛んで離脱する虞れがあり、故障が頻発するという欠点があった。また、故障を防止するために定期的にワイヤの張りを調整するメンテナンスが必要であった。このようなメンテナンスは、厄介な作業であり、多大な手間と時間を浪費していた。
【0005】
そこで、本発明は、面倒なメンテナンスを省いて長期間使用できる引戸連動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る引戸連動装置は、上枠に移動自在に吊り下げた2枚の第1引戸と第2引戸を連動して開閉可能とした引戸連動装置に於て、上記上枠側の所定固定位置に設けられた固定ラックと、上記第1引戸又は上記第2引戸に固着された移動ラックとを、備え、上記固定ラックと上記移動ラックに噛合して2枚の上記第1引戸と上記第2引戸の走行代を差動しつつ連動させる歯車群を具備するものである。
また、下端に戸車を有し、移動自在に走行する2枚の第1引戸と第2引戸を連動して開閉可能とした引戸連動装置に於て、上枠側の所定固定位置に設けられた固定ラックと、上記第1引戸又は上記第2引戸に固着された移動ラックとを、備え、上記固定ラックと上記移動ラックに噛合して2枚の上記第1引戸と上記第2引戸の走行代を差動しつつ連動させる歯車群を具備するものである。
【0007】
また、上記歯車群は、上記固定ラックに噛合する第1ギア部材と、上記移動ラックに噛合する第2ギア部材とを、有し、上記第1ギア部材と上記第2ギア部材の歯数を同一とすると共に該第1ギア部材と第2ギア部材の間には該第1ギア部材・第2ギア部材の1/2倍の歯数を有する減速用ギア部材が介在しているものである。
また、上記2枚の第1引戸と第2引戸の内、引出し用ハンドルを付設した上記第1引戸に上記歯車群を配設すると共に、上記第2引戸に上記移動ラックを固着し、上記固定ラックに噛合する上記第1ギア部材と上記減速用ギア部材が同一の回転軸心廻りに回転するように一体状に連結し、かつ、上記減速用ギア部材に上記第2ギア部材を噛合させて、上記第1引戸と上記第2引戸が走行代を差動しつつ連動して開閉移動するように構成したものである。
また、上記2枚の第1引戸と第2引戸の内、引出し用ハンドルを付設した上記第1引戸に上記移動ラックを固着すると共に、上記第2引戸に上記歯車群を配設し、上記固定ラックに噛合する上記第1ギア部材と上記減速用ギア部材を噛合させると共に、該減速用ギア部材と上記第2ギア部材を連結機構を介して連動させて、上記第1引戸と上記第2引戸が走行代を差動しつつ連動して開閉移動するように構成したものである。
【0008】
また、上記第1ギア部材と上記第2ギア部材は、上記第1引戸・第2引戸の進行方向に沿って略直列状に並べて配設されているものである。
また、上記第1引戸及び上記第2引戸は、上記上枠の階段状取付部に固着されたガイドレールに、吊車を介して垂直面状に吊り下げされ、該吊車が、上記第1引戸及び上記第2引戸の各重心点の鉛直上方位置に配設されたものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の引戸連動装置によれば、固定ラック及び移動ラックと歯車群が確実に噛合して複数の引き戸を連動させることができ、故障が無く、耐久性を向上できる。よって、面倒なメンテナンスを省略できる。また、構造がシンプルで、製造・設置が容易となり、コストを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の一形態の全開状態を示した簡略平面図である。
【図2】本発明の実施の一形態の閉鎖状態を示した簡略平面図である。
【図3】引戸連動装置の要部拡大平面図である。
【図4】引戸連動装置の要部拡大断面正面図である。
【図5】引戸連動装置の要部拡大断面側面図である。
【図6】本発明の他の実施形態の全開状態を示した簡略平面図である。
【図7】本発明の他の実施形態の閉鎖状態を示した簡略平面図である。
【図8】他の実施形態の要部拡大断面正面図である。
【図9】本発明の別の実施形態の全開状態を示した簡略平面図である。
【図10】別の実施形態の要部拡大断面正面図である。
【図11】別の実施形態の要部拡大断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施の形態を示す図面に基づき本発明を詳説する。
図1と図2に示すように、本発明の引戸連動装置は、住宅、ビル、倉庫、物置等の出入口に設置された上枠30に移動自在に吊り下げた2枚の第1引戸1と第2引戸2を、連動して開閉可能とした引戸連動装置である。本発明の引戸連動装置は、上枠30側の所定固定位置に設けられた固定ラック3と、第1引戸1又は第2引戸2(の何れか)に固着された移動ラック4とを、備え、固定ラック3と移動ラック4に噛合して2枚の第1引戸1と第2引戸2の走行代を差動しつつ連動させる歯車群10を具備している。
【0012】
第1引戸1は、その幅寸法W1が、出入口の幅寸法W0の1/2倍より少し大きく設定され、また、第2引戸2は、その幅寸法W2が、出入口の幅寸法W0の約1/2倍の寸法に設定されている。第1引戸1の大半と第2引戸2は、出入口の幅寸法W0の約1/2倍の奥行きを有する戸袋40に収納可能である。図1と図2では、2枚の第1引戸1と第2引戸2の内、引出し用ハンドルHを付設した第1引戸1(の後端部近傍)に歯車群10を配設すると共に、第1引戸1を追い掛ける第2引戸2に移動ラック4を固着している。また、第1引戸1には、衝撃を緩和するための弾性パッド部材18が付設されている。
固定ラック3と移動ラック4は、角柱状の金属又は硬質樹脂から成り、一方面にギア歯が形成されている。固定ラック3は、戸袋40の内部から出入口の幅寸法W0の約半分あたりまで所定の幅寸法W3にわたって設けられ、移動ラック4は、第2引戸2の幅寸法W2よりも僅かに短い幅寸法W4にわたって設けられている。
歯車群10は、複数の歯車が組み合わされて成る。具体的な構成については後述するが、歯車群10は、第1引戸1の走行代寸法R1に対して、第2引戸2の走行代寸法R2を1/2倍として差動しつつ(図2参照)、2枚の第1引戸1と第2引戸2を連動して引出・収納可能とし、第1引戸1と第2引戸2が出入口の幅寸法W0にわたって開閉するように構成している。
【0013】
具体的には、図3〜図5に示すように、歯車群10は、固定ラック3に噛合する第1ギア部材11と、移動ラック4に噛合する第2ギア部材12とを、有している。
第1ギア部材11と第2ギア部材12は、その歯数を同一として形成されている。第1ギア部材11と第2ギア部材12の間には、第1ギア部材11・第2ギア部材12の1/2倍の歯数を有する減速用ギア部材13が介在している。
また、第1ギア部材11と第2ギア部材12は、図中矢印F1方向(第1引戸1の進行方向)に沿って略直列状に並べて配設され、かつ、所定の高低差Dをもって上下方向にずらして配設されている。
【0014】
図3〜図5では、固定ラック3に噛合する第1ギア部材11と減速用ギア部材13が同一の回転軸心L1廻りに回転するように一体状に連結し、かつ、減速用ギア部材13に第2ギア部材12を噛合させている。
第1ギア部材11と減速用ギア部材13は、大きさの異なる2つの平歯車を連結して成る2段ギア状に一体形成されている。第1ギア部材11と減速用ギア部材13は、シャフト15によって軸支され、第1引戸1の後端上面部に取付けられている。第2ギア部材12は、平歯車から成り、シャフト16によって軸支され、第1引戸1の後端上面部に取付けられている。つまり、第1ギア部材11と減速用ギア部材13が回転数N1で回転すると、減速用ギア部材13と噛合する第2ギア部材12が、第1ギア部材11の1/2倍の回転数N2で回転するように構成している。なお、シャフト15,16には、軸ブレ防止用のカラー部材41,41が取着されている。
【0015】
図5に示すように、第1引戸1及び第2引戸2は、上枠30に固着されたガイドレール31,32に、吊車33,33を介して垂直面状に吊り下げされている。この吊車33,33は、第1引戸1及び第2引戸2の各重心点Gの鉛直上方位置に配設されている。
上枠30は、階段状に形成され、その上面から外方突出状に取付けられたラック保持部材35とを、有している。上枠30は、第1垂直面34Aにガイドレール31を、また、その下方に段違い状に形成された第2垂直面34Bにガイドレール32を、固着して保持している。ガイドレール31,32は、吊車33,33を走行自在として支持している。吊車33,33は、吊下部材36,36の下端に第1引戸1・第2引戸2をボルト等で固定しており、第1引戸1及び第2引戸2の各重心点Gを通過する鉛直線V1,V2の延長線上で、ガイドレール31,32と当接して、第1引戸1・第2引戸2の荷重を支持している。ラック保持部材35の内面には、固定ラック3が固着されている。また、第2引戸2を支持する吊車33は、吊下部材36の内面に移動ラック4を固着している。
【0016】
次に、本発明の引戸連動装置の他の実施形態について説明する。
図6〜図8に示すように、本発明の他の実施形態では、2枚の第1引戸1と第2引戸2の内、引出し用ハンドルHを付設した第1引戸1に移動ラック4を固着すると共に、第2引戸2に歯車群10を配設している。
固定ラック3は、戸袋40の内部に設けられ、移動ラック4は、第1引戸1の幅寸法W1よりも僅かに短くなるように設けられている。歯車群10は、第1引戸1の走行代寸法R1に対して、第2引戸2の走行代寸法R2を1/2倍として差動しつつ(図2参照)、2枚の第1引戸1と第2引戸2を連動して引出・収納可能とし、第1引戸1と第2引戸2が出入口の幅寸法W0にわたって開閉するように構成している。
歯車群10は、複数の歯車を組み合わされて構成されている点では、上述の実施形態と同様であり、固定ラック3に噛合する第1ギア部材11と減速用ギア部材13を噛合させると共に、減速用ギア部材13と第2ギア部材12を連結機構14を介して連動させている。
【0017】
他の実施形態では、第1ギア部材11は、平歯車から成り、第2引戸2の後端上面部に取付けられている。第2ギア部材12は、平歯車から成り、第2引戸2の前端上面部に取付けられている。第2ギア部材12を軸支するシャフト17の上端には、かさば歯車19が一体に形成されている。減速用ギア部材13は、第1ギア部材11・第2ギア部材12の1/2倍の歯数を有する平歯車から成り、第1ギア部材11に噛合するように取付けられている。減速用ギア部材13を軸支するシャフト21の上端には、かさば歯車20が一体に形成されている。
なお、第1ギア部材11と第2ギア部材12、及び、減速用ギア部材13は、図中矢印F2方向(第2引戸2の進行方向)に沿って略直列状に並べて配設されている。
【0018】
図6と図7では図示省略しているが、図8に示すように、連結機構14は、かさば歯車19,20を相互に連動して逆方向に回転させる連結部材5を有している。連結部材5は、水平軸心H0廻りに回転自在に枢着された連結軸6と、連結軸6に枢支される一対のかさば歯車26,27とを、具備している。かさば歯車26は、減速用ギア部材13と一体に回転するかさば歯車20は噛合しており、かつ、かさば歯車26は、第2ギア部材12と一体に回転するかさば歯車19に噛合している。つまり、第2ギア部材12と減速用ギア部材13は、連結機構14により相互に連動して逆方向に回転し、減速用ギア部材13と噛合する第1ギア部材11が、第2ギア部材12の1/2倍の回転数で回転するように構成している。
【0019】
次に、本発明の引戸連動装置の別の実施形態について説明する。
図9と図10に示すように、本発明の別の実施形態は、2枚の第1引戸1と第2引戸2の内、引出し用ハンドルHを付設した第1引戸1に移動ラック4を固着すると共に、第2引戸2に歯車群10を配設し、固定ラック3に噛合する第1ギア部材11と減速用ギア部材13を噛合させると共に、減速用ギア部材13と第2ギア部材12を連結機構14を介して連動させている点では、前記他の実施形態と同様に構成されている。
図9と図10では、連結機構14が、第2ギア部材12と一体に回転するねじ歯車22と、減速用ギア部材13と一体に回転するねじ歯車23と、ねじ歯車22,23を相互に連動して逆方向に回転させる連結部材25を有している。連結部材25は、水平軸心H0廻りに回転自在に枢着された連結軸24と、連結軸24に枢支される一対のねじ歯車28,29とを、具備している。ねじ歯車29は、減速用ギア部材13と一体に回転するねじ歯車23に噛合しており、かつ、ねじ歯車28は、第2ギア部材12と一体に回転するねじ歯車22に噛合している。つまり、第2ギア部材12と減速用ギア部材13は、連結機構14により相互に連動して逆方向に回転し、減速用ギア部材13と噛合する第1ギア部材11が、第2ギア部材12の1/2倍の回転数で回転するように構成している。
なお、第1ギア部材11と第2ギア部材12、及び、減速用ギア部材13は、図中矢印F2方向(第2引戸2の進行方向)に沿って略直列状に並べて配設されている。
【0020】
図11に示すように、第1引戸1及び第2引戸2は、下端に戸車43,43を有し、床面に敷設したレール部材42上を移動自在に走行し、上述の歯車群10(図示省略)によって相互に連動して開閉するように構成されている。
第1引戸1及び第2引戸2の上端部には、傾倒防止手段44,44が設けられている。傾倒防止手段44は、案内用レール部材45と、案内用レール部材45に沿って摺動可能に支持されるスライド部材46と、から成る。一の傾倒防止手段44は、第1引戸1と第2引戸2の間に介設され、第1引戸1側に取着されたスライド部材46と第2引戸2側に取着された案内用レール部材45を係合させている。また、他の傾倒防止手段44は、上枠30と第2引戸2の間に介設され、第2引戸2側に取着されたスライド部材46と上枠30側に取着された案内用レール部材45を係合させている。
【0021】
上述した本発明の引戸連動装置の使用方法(作用)について説明する。
図1に示すように、2枚の第1引戸1と第2引戸2が戸袋40に収納された状態で、第1引戸1のハンドルHを軽く押して、矢印F1方向に移動させる。この際、上枠30に固定された固定ラック3と第1ギア部材11が噛合し、第1引戸1が引き出されるのに伴って、第1ギア部材11に回転力が与えられる。この第1ギア部材11の回転力を、減速用ギア部材13を介して減速しつつ伝達される第2ギア部材12は、第1ギア部材11の回転数N1の1/2倍の回転数N2で回転し、移動ラック4が取着された第2引戸2に(第1引戸1の1/2倍の)移動力を矢印F2方向に付与する。このようにして、第1引戸1の走行代寸法R1に対して、第2引戸2の走行代寸法R2を1/2倍として差動しつつ第1引戸1と第2引戸2が連動して引き出される。
【0022】
本発明の引戸連動装置は、図1の全開状態から図2の閉鎖状態に至るまで、固定ラック3・移動ラック4と第1ギア部材11・第2ギア部材12が、遊びを生じることなく確実に噛合して相互に移動力を伝達し合うため、第1引戸1と第2引戸2が安定してスムーズに連動し、メンテナンスを必要とすることなく長期間の使用に耐える。また、閉鎖状態から全開状態に戻す場合も、第1引戸1と第2引戸2の走行代を、2対1の関係に保持して連動させることが可能である。
【0023】
なお、本発明は、要旨を逸脱しない範囲であれば、設計変更可能である。例えば、図1〜図4、及び、図6〜図8に示す実施の形態に於て、第1引戸1と第2引戸2は、図5の吊車33,33を有するも、又は、図11の戸車43,43を有するも、どちらでも良く、また、図9〜図10に示す実施の形態に於ても、図5の吊車33,33又は図11の戸車43,43のどちらを有する構造としても良い。
【0024】
以上のように、本発明に係る引戸連動装置は、上枠30に移動自在に吊り下げた2枚の第1引戸1と第2引戸2を連動して開閉可能とした引戸連動装置に於て、上枠30側の所定固定位置に設けられた固定ラック3と、第1引戸1又は第2引戸2に固着された移動ラック4とを、備え、固定ラック3と移動ラック4に噛合して2枚の第1引戸1と第2引戸2の走行代を差動しつつ連動させる歯車群10を具備するので、固定ラック3及び移動ラック4と歯車群10が確実に噛合して2枚の第1引戸1と第2引戸2をスムーズかつ安定して連動させることができ、故障が無く、耐久性を向上できる。よって、面倒なメンテナンスを省略して、長期間の使用に耐え得る。また、構造がシンプルで、製造・設置が容易となり、コストを低減できる。
【0025】
また、下端に戸車を有し、移動自在に走行する2枚の第1引戸1と第2引戸2を連動して開閉可能とした引戸連動装置に於て、上枠30側の所定固定位置に設けられた固定ラック3と、第1引戸1又は第2引戸2に固着された移動ラック4とを、備え、固定ラック3と移動ラック4に噛合して2枚の第1引戸1と第2引戸2の走行代を差動しつつ連動させる歯車群10を具備するので、固定ラック3及び移動ラック4と歯車群10が確実に噛合して2枚の第1引戸1と第2引戸2をスムーズかつ安定して連動させることができ、故障が無く、耐久性を向上できる。よって、面倒なメンテナンスを省略して、長期間の使用に耐え得る。また、構造がシンプルで、製造・設置が容易となり、コストを低減できる。
【0026】
また、歯車群10は、固定ラック3に噛合する第1ギア部材11と、移動ラック4に噛合する第2ギア部材12とを、有し、第1ギア部材11と第2ギア部材12の歯数を同一とすると共に第1ギア部材11と第2ギア部材12の間には第1ギア部材11・第2ギア部材12の1/2倍の歯数を有する減速用ギア部材13が介在しているので、第1引戸1に対して、第2引戸2を1/2倍の速さに減速して移動させることができ、しかも、第1引戸1と第2引戸2をスムーズかつ安定して連動させることができる。
【0027】
また、2枚の第1引戸1と第2引戸2の内、引出し用ハンドルHを付設した第1引戸1に歯車群10を配設すると共に、第2引戸2に移動ラック4を固着し、固定ラック3に噛合する第1ギア部材11と減速用ギア部材13が同一の回転軸心L1廻りに回転するように一体状に連結し、かつ、減速用ギア部材13に第2ギア部材12を噛合させて、第1引戸1と第2引戸2が走行代を差動しつつ連動して開閉移動するように構成したので、シンプルな構造で、(全開状態から閉鎖状態に至るまで)第1引戸1と第2引戸2を確実に連動させることができ、製造・設置が容易となり、コストを低減できる。
【0028】
また、2枚の第1引戸1と第2引戸2の内、引出し用ハンドルHを付設した第1引戸1に移動ラック4を固着すると共に、第2引戸2に歯車群10を配設し、固定ラック3に噛合する第1ギア部材11と減速用ギア部材13を噛合させると共に、減速用ギア部材13と第2ギア部材12を連結機構14を介して連動させて、第1引戸1と第2引戸2が走行代を差動しつつ連動して開閉移動するように構成したので、シンプルな構造で、(全開状態から閉鎖状態に至るまで)第1引戸1と第2引戸2を確実に連動させることができ、製造・設置が容易となり、コストを低減できる。
【0029】
また、第1ギア部材11と第2ギア部材12は、第1引戸1・第2引戸2の進行方向に沿って略直列状に並べて配設されているので、固定ラック3と移動ラック4とを上下方向にずらして近接状に配設して、全体をコンパクトに設計でき、かつ、確実に噛合させることができる。
【0030】
また、第1引戸1及び第2引戸2は、上枠30に固着されたガイドレール31,32に、吊車33,33を介して垂直面状に吊り下げされ、吊車33,33が、第1引戸1及び第2引戸2の各重心点Gの鉛直上方位置に配設されたので、全体をコンパクトに設計でき、かつ、第1引戸1と第2引戸2をバランス良く支持しつつ確実に連動させることができる。
【符号の説明】
【0031】
1 第1引戸
2 第2引戸
3 固定ラック
4 移動ラック
10 歯車群
11 第1ギア部材
12 第2ギア部材
13 減速用ギア部材
14 連結機構
30 上枠
31 ガイドレール
32 ガイドレール
33 吊車
H 引出し用ハンドル
L1 回転軸心
G 重心点
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上枠(30)に移動自在に吊り下げた2枚の第1引戸(1)と第2引戸(2)を連動して開閉可能とした引戸連動装置に於て、
上記上枠(30)側の所定固定位置に設けられた固定ラック(3)と、上記第1引戸(1)又は上記第2引戸(2)に固着された移動ラック(4)とを、備え、上記固定ラック(3)と上記移動ラック(4)に噛合して2枚の上記第1引戸(1)と上記第2引戸(2)の走行代を差動しつつ連動させる歯車群(10)を具備することを特徴とする引戸連動装置。
【請求項2】
下端に戸車を有し、移動自在に走行する2枚の第1引戸(1)と第2引戸(2)を連動して開閉可能とした引戸連動装置に於て、
上枠(30)側の所定固定位置に設けられた固定ラック(3)と、上記第1引戸(1)又は上記第2引戸(2)に固着された移動ラック(4)とを、備え、上記固定ラック(3)と上記移動ラック(4)に噛合して2枚の上記第1引戸(1)と上記第2引戸(2)の走行代を差動しつつ連動させる歯車群(10)を具備することを特徴とする引戸連動装置。
【請求項3】
上記歯車群(10)は、上記固定ラック(3)に噛合する第1ギア部材(11)と、上記移動ラック(4)に噛合する第2ギア部材(12)とを、有し、上記第1ギア部材(11)と上記第2ギア部材(12)の歯数を同一とすると共に該第1ギア部材(11)と第2ギア部材(12)の間には該第1ギア部材(11)・第2ギア部材(12)の1/2倍の歯数を有する減速用ギア部材(13)が介在している請求項1又は2記載の引戸連動装置。
【請求項4】
上記2枚の第1引戸(1)と第2引戸(2)の内、引出し用ハンドル(H)を付設した上記第1引戸(1)に上記歯車群(10)を配設すると共に、上記第2引戸(2)に上記移動ラック(4)を固着し、
上記固定ラック(3)に噛合する上記第1ギア部材(11)と上記減速用ギア部材(13)が同一の回転軸心(L1)廻りに回転するように一体状に連結し、かつ、上記減速用ギア部材(13)に上記第2ギア部材(12)を噛合させて、上記第1引戸(1)と上記第2引戸(2)が走行代を差動しつつ連動して開閉移動するように構成した請求項3記載の引戸連動装置。
【請求項5】
上記2枚の第1引戸(1)と第2引戸(2)の内、引出し用ハンドル(H)を付設した上記第1引戸(1)に上記移動ラック(4)を固着すると共に、上記第2引戸(2)に上記歯車群(10)を配設し、
上記固定ラック(3)に噛合する上記第1ギア部材(11)と上記減速用ギア部材(13)を噛合させると共に、該減速用ギア部材(13)と上記第2ギア部材(12)を連結機構(14)を介して連動させて、上記第1引戸(1)と上記第2引戸(2)が走行代を差動しつつ連動して開閉移動するように構成した請求項3記載の引戸連動装置。
【請求項6】
上記第1ギア部材(11)と上記第2ギア部材(12)は、上記第1引戸(1)・第2引戸(2)の進行方向に沿って略直列状に並べて配設されている請求項3,4又は5記載の引戸連動装置。
【請求項7】
上記第1引戸(1)及び上記第2引戸(2)は、上記上枠(30)に固着されたガイドレール(31)(32)に、吊車(33)(33)を介して垂直面状に吊り下げされ、該吊車(33)(33)が、上記第1引戸(1)及び上記第2引戸(2)の各重心点(G)の鉛直上方位置に配設された請求項1,3,4,5又は6記載の引戸連動装置。
【請求項1】
上枠(30)に移動自在に吊り下げた2枚の第1引戸(1)と第2引戸(2)を連動して開閉可能とした引戸連動装置に於て、
上記上枠(30)側の所定固定位置に設けられた固定ラック(3)と、上記第1引戸(1)又は上記第2引戸(2)に固着された移動ラック(4)とを、備え、上記固定ラック(3)と上記移動ラック(4)に噛合して2枚の上記第1引戸(1)と上記第2引戸(2)の走行代を差動しつつ連動させる歯車群(10)を具備することを特徴とする引戸連動装置。
【請求項2】
下端に戸車を有し、移動自在に走行する2枚の第1引戸(1)と第2引戸(2)を連動して開閉可能とした引戸連動装置に於て、
上枠(30)側の所定固定位置に設けられた固定ラック(3)と、上記第1引戸(1)又は上記第2引戸(2)に固着された移動ラック(4)とを、備え、上記固定ラック(3)と上記移動ラック(4)に噛合して2枚の上記第1引戸(1)と上記第2引戸(2)の走行代を差動しつつ連動させる歯車群(10)を具備することを特徴とする引戸連動装置。
【請求項3】
上記歯車群(10)は、上記固定ラック(3)に噛合する第1ギア部材(11)と、上記移動ラック(4)に噛合する第2ギア部材(12)とを、有し、上記第1ギア部材(11)と上記第2ギア部材(12)の歯数を同一とすると共に該第1ギア部材(11)と第2ギア部材(12)の間には該第1ギア部材(11)・第2ギア部材(12)の1/2倍の歯数を有する減速用ギア部材(13)が介在している請求項1又は2記載の引戸連動装置。
【請求項4】
上記2枚の第1引戸(1)と第2引戸(2)の内、引出し用ハンドル(H)を付設した上記第1引戸(1)に上記歯車群(10)を配設すると共に、上記第2引戸(2)に上記移動ラック(4)を固着し、
上記固定ラック(3)に噛合する上記第1ギア部材(11)と上記減速用ギア部材(13)が同一の回転軸心(L1)廻りに回転するように一体状に連結し、かつ、上記減速用ギア部材(13)に上記第2ギア部材(12)を噛合させて、上記第1引戸(1)と上記第2引戸(2)が走行代を差動しつつ連動して開閉移動するように構成した請求項3記載の引戸連動装置。
【請求項5】
上記2枚の第1引戸(1)と第2引戸(2)の内、引出し用ハンドル(H)を付設した上記第1引戸(1)に上記移動ラック(4)を固着すると共に、上記第2引戸(2)に上記歯車群(10)を配設し、
上記固定ラック(3)に噛合する上記第1ギア部材(11)と上記減速用ギア部材(13)を噛合させると共に、該減速用ギア部材(13)と上記第2ギア部材(12)を連結機構(14)を介して連動させて、上記第1引戸(1)と上記第2引戸(2)が走行代を差動しつつ連動して開閉移動するように構成した請求項3記載の引戸連動装置。
【請求項6】
上記第1ギア部材(11)と上記第2ギア部材(12)は、上記第1引戸(1)・第2引戸(2)の進行方向に沿って略直列状に並べて配設されている請求項3,4又は5記載の引戸連動装置。
【請求項7】
上記第1引戸(1)及び上記第2引戸(2)は、上記上枠(30)に固着されたガイドレール(31)(32)に、吊車(33)(33)を介して垂直面状に吊り下げされ、該吊車(33)(33)が、上記第1引戸(1)及び上記第2引戸(2)の各重心点(G)の鉛直上方位置に配設された請求項1,3,4,5又は6記載の引戸連動装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−87592(P2013−87592A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−231940(P2011−231940)
【出願日】平成23年10月21日(2011.10.21)
【出願人】(504374849)株式会社泉陽商会 (16)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月21日(2011.10.21)
【出願人】(504374849)株式会社泉陽商会 (16)
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