説明

引換えチケット認証装置

【課題】店舗側および顧客側のリスクを低減しつつ、顧客の来訪意欲を高める引換えチケット認証システムを提供する。
【解決手段】引換えチケット認証装置1は、電気通信回線5によって店舗端末4と接続されるサーバー2と、サーバー2を介して送受信されるデータ、店舗情報および顧客情報の少なくとも一つを記憶する記憶部3と、を備え、店舗端末4は、金券としての特典を有する引換えチケット10の認証コードを読み取る読み取り手段41と、読み取った認証コードを、サーバー2に送信する送受信手段42と、を有し、サーバー2は、送受信部42より送信される認証コードを認証する認証手段6と、認証コードに対応する引換えチケットの特典費用を決済する決済手段7と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商店や飲食店でのショッピングにおいて、金券としての引換え機能を有する引換えチケットを認証する認証装置に関する。
【背景技術】
【0002】
商店や飲食店は、宣伝や顧客獲得のために、様々なイベントや特典を活用する。例えば、顧客誘引を考慮して、商店や飲食店は、前売り券、プリペイドカードなどのプリペイド方式の金券を発行したり、割引特典のある特典クーポンを発行したりする。プリペイド方式の金券は、予め支払いが終了していることや割引特典などがあることで、顧客の商店や飲食店への来訪意欲を高める。また、割引特典などのあるクーポンは、顧客にとってお得感を生じさせるので、プリペイド方式の金券と同様に、顧客の商店や飲食店への来訪意欲を高める。
【0003】
ここで、プリペイド方式の金券は、換金可能な金額の支払いが済まされているので、金券を発行する商店や飲食店にとっては、金銭回収不能とのリスクは少ない。一方で、プリペイド方式の金券は、顧客にとっては商店や飲食店での実際の購入前に費用の支払いを要求する。このため、種々の理由で商店や飲食店に来訪できなかったり、プリペイド方式の金券を紛失したりするなどで、顧客にとっては、支払った対価に対応する購入ができないリスクを有している。
【0004】
割引特典のある特典クーポンは、例えば雑誌やインターネットのWEBサイトなどから印刷できる。会計時に「**円引き」のような割引特典を提供したり、「おまけ商品あり」のようなおまけを提供したりする。このような特典クーポンは、特典クーポン入手の際には顧客にとっては支払い義務や決済処理は生じないので、顧客にとってのリスクは発生しにくい。しかしながら、特典クーポンの偽造や乱発がなされると、商店や飲食店にとっては、不利益が発生する。また、特典クーポンは、発行時や入手時において、顧客にとっては支払い義務が生じないので、顧客は特典クーポンを入手しても、実際に商店や飲食店を来訪しないことも多い。すなわち、商店や飲食店にとっては、顧客の来訪意欲を高めることが、特典クーポンでは難しい(できないか、できても予測が困難である)という問題もある。
【0005】
このような状況において、商店や飲食店など店舗側および顧客側の双方にとって、リスクを低減しつつ顧客の来訪意欲を高める仕組みが求められている。
【0006】
これに合わせて、例えばクーポン券の発行と認証を行うシステムが提案されている(例えば、特許文献1〜6参照)。これらのシステムは、インターネットなどのネットワークを介してクーポンを発行し、発行されたクーポンを店舗において認証する仕組みを有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−140667号公報
【特許文献2】特開2007−72557号公報
【特許文献3】特開2007−172023号公報
【特許文献4】特開2010−152757号公報
【特許文献5】特開2002−117307号公報
【特許文献6】特開2010−102421号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1は、店舗のQRコードをキャプチャし、店舗の会員登録などの種々の条件に対応することで、顧客が電子クーポンを入手し、顧客は店舗において電子クーポンを示して特典を入手するシステムを開示する。
【0009】
しかしながら、特許文献1に開示されるシステムは、顧客が携帯端末などで示す電子クーポンを店舗の店員が目視等で確認するため、電子クーポンの不正や偽造などの問題に対応できない。また、電子クーポンが不正や偽造の対象となることで、電子クーポンに対する信頼性が低くなり、店舗にとっても顧客にとっても、電子クーポンを用いることへの意欲が低くなる問題がある。
【0010】
特許文献2は、クーポン券などの認証において、店舗において目視等で確認した上で、端末を操作して認証を行う技術を開示する。
【0011】
しかしながら、特許文献1と同様に、電子クーポンが店員の目視によって確認されるため、電子クーポンの不正や偽造などの問題に対応できない。結局、クーポンの信頼性が低くなって、店舗および顧客の双方に不利益が生じ、クーポンの活用が図られない問題がある。クーポンの活用が図られなければ、クーポンを用いて顧客拡大を図るという店舗側の目的は達成されなくなってしまう問題にも繋がる。
【0012】
特許文献3は、クーポンサーバがクーポン情報の要求に応じて、種々の要素を埋め込んだクーポンを発行する技術を開示する。しかしながら、特許文献3の技術では、各店舗において、クーポンサーバと同様の機能を有する専用の装置が設置される必要があり、コストメリットが合わない問題がある。
【0013】
特許文献4は、携帯電話機100の第1の記憶領域から読み取ったチップ識別情報と、読み取った電子クーポン情報に含まれるチップ識別情報IDとを比較し、読み取った電子クーポン情報に含まれるユニーク番号情報がログ記憶手段26に記憶されているユニーク番号情報と一致するか否か比較を行い、ネガ記憶手段27に記憶されたユニーク番号情報と、読み取ったクーポン情報に含まれるユニーク番号情報とが一致するか否か比較を行い、携帯電話機100の第3の記憶領域にネガフラグ情報が書き込まれているか否かを検出し、携帯電話機100の第3の記憶領域から読み取ったユニーク番号情報と、第2の記憶領域から読み取ったクーポン情報に含まれるユニーク番号情報とが一致するか否か比較を行い、比較結果及び検出結果に応じてサービスまたは商品の提供・提供拒否を制御する技術を開示する。
【0014】
しかしながら、特許文献4に開示される技術は、クーポンの正当性を認証するための特殊な技術であって、クーポンを発行するための技術を開示していない。また、認証においても、種々の特殊な要素を用いるので、店舗におけるコスト負担が大きい問題もある。また、クーポンの正当性を認証するだけでは、クーポンの不正発行や偽造を防止することは十分ではなく、仮に十分にするために認証を厳しくしすぎれば、顧客がクーポン券を発行する意欲を持てなくなる問題がある。
【0015】
特許文献5は、ユーザ40の個人情報を含むユーザ情報をセンタ20で管理し、センタ20は、ユーザ40からクーポンの発券要求があった場合に、指定されたクーポン若しくはユーザ毎に付与された認証情報をユーザ40に送信し、ユーザ40が認証情報に基づいて画像形成装置10からクーポンの発券を受ける際に、画像形成装置10がクーポンの券面に認証情報を印刷し、クーポンが使用された際に店舗30が印刷された認証情報を読み取ってセンタ20に通知し、センタ20がこれを管理する技術を開示する。
【0016】
特許文献5も、特許文献4と同じ問題を有している。
【0017】
特許文献6は、POS端末14A、14Bは、発行時刻を含む発行日時情報と、クーポン内容を特定するためのクーポン特定情報と、を有するクーポン生成情報に基づいてクーポンが記録された記録媒体から、あるいは、クーポン生成情報に基づいてクーポンを表示する表示媒体から、発行時刻情報とクーポン特定情報とを読み取り、利用済クーポン情報としてインターネット網13を介してクーポン管理サーバ11に送信し、クーポン管理サーバ11は、POS端末14A、14Bからインターネット網13を介して送信された利用済クーポン情報を受信し、当該クーポン内容と発行日時情報とを集計し、クーポン内容及び発行日時と、クーポンの利用状況と、の関連性を解析する技術を開示する。
【0018】
しかしながら、特許文献6に開示されるシステムは、発行されたクーポンの使用状態を追跡したり、使用状態に合わせた発行を行ったりするシステムであり、店舗側や顧客側のリスクを低減できることには繋がらない。もちろん、来訪意欲を高めることにも繋がらない問題がある。
【0019】
先行技術のいずれも、所定手順でクーポンを発行し、発行されたクーポンが商店や飲食店の手元において認証される技術を開示している。しかしながら、これらの技術は、発行されたクーポン券の認証に関するものがほとんどであり、店舗側および顧客側双方のリスク低減と顧客に対する来訪意欲向上を実現するものではない。特に、特許文献1〜5のいずれも、来訪された商店や飲食店でのクーポン券の認証において、認証の不確実性、認証における顧客への不愉快などの問題がある。また、特許文献6のように、クーポン券発行の技術も、店舗側および顧客側双方のリスク低減としては不十分であり、来訪意欲向上も実現困難である。
【0020】
特に、特許文献1〜6は、(1)クーポン券の認証を厳しくすることで、信頼性を高めようとするアプローチであるが、顧客に不信感や不快感を生じさせてしまい、クーポン券発行の意欲が薄れる、(2)クーポン券発行での条件を考慮しているが、実際の認証に対応した条件ではないので、クーポン券の使用実績が下がる、といった、認証のみに着目したアプローチもしくは発行のみに着目したアプローチのいずれかに偏っている。この結果、店舗側および顧客側の双方のリスクを低減すると共に来訪意欲を高めるクーポン券を用いるシステムが実現できていない問題がある。
【0021】
以上のことから、従来技術においては、店舗側および顧客側のリスクを低減しつつ、顧客の来訪意欲を高めるプリペイド式金券や特典クーポンを認証することができていなかった。このような目的を達成する特典クーポンを認証するためには、次の仕様を満足するシステムが必要である。すなわち、発行される特典クーポンの特性と、この特性に対応した認証の仕組みが必要となる。
【0022】
(仕様1)発行される特典クーポンは、発行時には費用支払いが不要であって、実際に認証される際に、費用決裁されること。
(仕様2)特典クーポンは、金銭と交換可能であること。
(仕様3)特典クーポンは、不正や偽造が働きにくい条件で発行されると共に、この不正や偽造が働きにくい状態に合わせて決裁されること。
(仕様4)顧客の来訪意欲を向上させる特典クーポン券であると共に対応する認証が行われること。
(仕様5)仕様3と仕様4とが相まって、特典クーポンに対する店舗および顧客双方の信頼性が高くなること。
【0023】
また、特典クーポンの認証を厳しくするばかりのアプローチでは、特典クーポンの発行意欲が減退するので、厳しいことだけの認証とならないことも必要である。
【0024】
本発明は、仕様1〜仕様5を満足することで、店舗側および顧客側のリスクを低減しつつ、顧客の来訪意欲を高める引換えチケット認証装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0025】
上記課題に鑑み、本発明の引換えチケット認証装置は、電気通信回線によって店舗端末と接続されるサーバーと、サーバーを介して送受信されるデータ、店舗情報および顧客情報の少なくとも一つを記憶する記憶部と、を備え、店舗端末は、金券としての特典を有する引換えチケットの認証コードを読み取る読み取り手段と、読み取った認証コードを、サーバーに送信する送受信手段と、を有し、サーバーは、送受信部より送信される認証コードを認証する認証手段と、認証コードに対応する引換えチケットの特典費用を決済する決済手段と、を有し、認証手段は、顧客の識別子および引換えチケットの発行条件の少なくとも一つに基づいて認証を行い、決済手段は、引換えチケットと顧客とに関連付けられた口座情報に基づいて、費用を決済し、認証手段および決済手段は、相互に関連して処理を行い、認証コードは、引換えチケット毎に異なる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の引換えチケット認証装置は、発行される引換えチケットの誤認証を防止できる。特に、引換えチケットを二重認証しないことで、引換えチケットの使用における店舗側および顧客側の信頼性を高める。
【0027】
また、引換えチケットに付与されている条件に対応して認証できるので、引換えチケット認証装置は、引換えチケット毎に異なる条件に対応して、引換えチケットの特典を費用決済できる。また、認証時に、費用決済も行えるので、店舗および顧客の双方に不安や損害は発生しない。特に、認証時の費用決済は、引換えチケット発行時に登録されている顧客の口座から引き落とされるので、決済不備が生じる心配も無い。
【0028】
これらの結果、引換えチケットに対する、顧客および店舗それぞれの信頼性を高めることができ、引換えチケットを用いた顧客拡大という引換えチケットのあるべき目的を達成できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施の形態1における引換えチケット認証装置とその周辺のブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態1における認証対象となる引換えチケットの模式図である。
【図3】本発明の実施の形態1における認証を示す模式図である。
【図4】本発明の実施の形態2における引換えチケット認証装置と周辺のブロック図である。
【図5】本発明の実施の形態2における顧客端末とその周辺のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の第1の発明に係る引換えチケット認証装置は、電気通信回線によって店舗端末と接続されるサーバーと、サーバーを介して送受信されるデータ、店舗情報および顧客情報の少なくとも一つを記憶する記憶部と、を備え、店舗端末は、金券としての特典を有する引換えチケットの認証コードを読み取る読み取り手段と、読み取った認証コードを、サーバーに送信する送受信手段と、を有し、サーバーは、送受信部より送信される認証コードを認証する認証手段と、認証コードに対応する引換えチケットの特典費用を決済する決済手段と、を有し、認証手段は、顧客の識別子および引換えチケットの発行条件の少なくとも一つに基づいて認証を行い、決済手段は、引換えチケットと顧客とに関連付けられた口座情報に基づいて、費用を決済し、認証手段および決済手段は、相互に関連して処理を行い、認証コードは、引換えチケット毎に異なる。
【0031】
この構成により、引換えチケット認証装置は、認証手段と決済手段との関連に基づいて引換えチケットを認証するので、認証におけるエラーが防止される。
【0032】
本発明の第2の発明に係る引換えチケット認証装置では、第1の発明に加えて、識別子は、顧客の識別コード、氏名、年齢、性別、住所、国籍、使用言語、発行済み引換えチケットの決済履歴、決済口座、口座残高および決済実績の少なくとも一つの情報を含む。
【0033】
この構成により、引換えチケット認証装置は、顧客に依存する情報を参照して、引換えチケットの認証を行える。
【0034】
本発明の第3の発明に係る引換えチケット認証装置では、第1又は第2の発明に加えて、発行条件は、引換えチケット発行時に定められ、引換えチケットの発行の許諾、引換えチケットの発行枚数、引換えチケットの有効期限、引換えチケットの金券金額、引き換えチケットの割引率、引換えチケット、引換えチケットの使用者および引換えチケットによる引換え対象物の割引額の少なくとも一つに関する。
【0035】
この構成により、引換えチケット認証装置は、発行条件を参照して、引換えチケットの認証を行える。
【0036】
本発明の第4の発明に係る引換えチケット認証装置では、第1から第3のいずれかの発明に加えて、認証手段は、認証コードから得られる識別子と引換えチケットの発行時の識別子との一致度に基づいて、引換えチケットの適正・不適正を認証する。
【0037】
この構成により、識別子による顧客情報に、発行時と決済時とに不一致がある場合には、引換えチケットの改ざんの可能性を考慮して不適正として認証できる。
【0038】
本発明の第5の発明に係る引換えチケット認証装置では、第1から第4のいずれかの発明に加えて、認証手段は、認証コードから得られる発行条件と引換えチケット発行時の発行条件との一致度に基づいて、引換えチケットの適正・不適正を認証する。
【0039】
この構成により、発行条件において、発行時の発行条件と読み取られた発行条件との不一致がある場合には、改ざんの可能性を考慮して、不適正として認証できる。
【0040】
本発明の第6の発明に係る引換えチケット認証装置では、第1から第5のいずれかの発明に加えて、認証手段は、認証コードから得られる発行条件と引換えチケットの店舗での使用時の状況との比較に基づいて、引換えチケットの適正・不適正を認証する。
【0041】
この構成により、引換えチケット認証装置は、使用時に、発行条件を満たさなくなった引換えチケットの使用を防止できる。
【0042】
本発明の第7の発明に係る引換えチケット認証装置では、第1から第6のいずれかの発明に加えて、認証手段は、認証コードが既に認証されたものである場合には、引換えチケットを不適正として認証する。
【0043】
この構成により、引換えチケット認証装置は、同じ引換えチケットを重複して認証しない。
【0044】
本発明の第8の発明に係る引換えチケット認証装置では、第5の発明に加えて、認証手段は、引換えチケットの認証コードから読み取られる発行枚数が、引換えチケットの発行時に付与されている発行枚数と相違する場合には、引換えチケットを不適正として認証する。
【0045】
この構成により、発行枚数に関する改ざんが行われている引換えチケットを、引換えチケット認証装置は、不適正として認証できる。
【0046】
本発明の第9の発明に係る引換えチケット認証装置では、第5の発明に加えて、認証手段は、引換えチケットの認証コードから読み取られる有効期限が、引換えチケットの発行時に付与されている有効期限と相違する場合には、引換えチケットを不適正として認証する。
【0047】
この構成により、引換えチケット認証装置は、有効期限に関する改ざんが行われている引換えチケットを、不適正として認証できる。
本発明の第10の発明に係る引換えチケット認証装置では、第6の発明に加えて、認証手段は、使用時における引換えチケットの使用枚数が、発行条件に規定される発行枚数を超える場合には、引換えチケットを不適正として認証する。
【0048】
この構成により、引換えチケット認証装置は、使用時のミスがある場合に、不適正として認証できる。
【0049】
本発明の第11の発明に係る引換えチケット認証装置では、第6の発明に加えて、認証手段は、使用時における引換えチケットの有効期限が、発行時の発行条件に規定される有効期限を経過している場合には、引換えチケットを不適正として認証する。
【0050】
この構成により、引換えチケット認証装置は、使用者のミスがある場合には、不適正として認証できる。
【0051】
本発明の第12の発明に係る引換えチケット認証装置では、第1から第11のいずれかの発明に加えて、認証手段は、決済手段において引換えチケットが決済不能である場合に、引換えチケットを不適正として認証する。
【0052】
この構成により、引換えチケット認証装置は、決済できない引換えチケットを、認証処理しないことで、引換えチケット使用でのトラブルを防止できる。
【0053】
本発明の第13の発明に係る引換えチケット認証装置では、第1から第12のいずれかの発明に加えて、決済手段は、識別子に含まれる決済口座の口座残高が不足する場合および決済口座が停止されている場合の少なくとも一方の場合には、引換えチケットの費用を決済せず、決済不能との情報を認証手段に通知する。
【0054】
この構成により、引換えチケット認証装置は、決済できない引換えチケットを、認証処理しないことで、引換えチケット使用でのトラブルを防止できる。
【0055】
本発明の第14の発明に係る引換えチケット認証装置では、第1から第13のいずれかの発明に加えて、サーバーは、認証手段が認証した認証コードの情報を、記憶部に使用済み認証コードとして記憶させる。
【0056】
この構成により、引換えチケット認証装置は、同じ認証コードを重複認証、重複発行しないようにできる。
【0057】
本発明の第15の発明に係る引換えチケット認証装置では、第1から第14のいずれかの発明に加えて、サーバーは、認証手段および決済手段の少なくとも一方における処理履歴を、記憶部に記憶させる。
【0058】
この構成により、引換えチケット認証装置は、引換えチケットの将来的なトラブルを未然防止できる。
【0059】
本発明の第16の発明に係る引換えチケット認証装置では、第15の発明に加えて、サーバーは、引換えチケットの発行条件を定める発行手段を更に有し、発行手段は、記憶部に記憶される処理履歴を発行条件の決定の参照とする。
【0060】
この構成により、発行におけるトラブルを未然防止できる。
【0061】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0062】
(実施の形態1)
【0063】
(全体概要)
図1、図2を用いて、実施の形態1における引換えチケット認証装置の全体概要について説明する。図1は、本発明の実施の形態1における引換えチケット認証装置とその周辺のブロック図である。図2は、本発明の実施の形態1における認証対象となる引換えチケットの模式図である。
【0064】
引換えチケット認証装置1は、サーバー2と記憶部3とを備えている。サーバー2は、電気通信回線5によって店舗端末4と接続されている。店舗端末4は、単数でも複数でも良いが、引換えチケット10を利用する店舗が複数であれば、これら複数の店舗端末4とサーバー2とが電気通信回線5によって接続される。店舗端末4は、引換えチケット10を使用する顧客が訪問する店舗に設置されている。店舗端末4で引換えチケット10の情報が読み取られて引換えチケット認証装置1に送信されて、引換えチケット認証装置1は、認証処理と決済処理とを行うことで、引換えチケット10の権利行使が完了する。
【0065】
引換えチケット10は、設定された金額や率に見合う金券としての特典を有している。顧客は、引換えチケット10の発行装置などを用いて引換えチケット10を入手し、引換えチケット10の対象となる店舗を訪問して、引換えチケット10の金券としての権利を利用する。引換えチケット10は、対象となる店舗に対応して発行されており、割引金額、割引率、金券金額などが、引換えチケット10の特典として含まれている。使用者は、引換えチケット10の発行時には、この金券に対応する費用決済を行っていない。当然に、店舗側も、引換えチケット10の発行時には費用決済を行っていない。
【0066】
顧客は、この引換えチケット10の対象店舗を訪問し、この引換えチケット10の認証を受けて、引換えチケット10の金券の権利を使用する。この認証のために、引換えチケット認証装置1が用いられる。引換えチケット認証装置1は、店舗に設置される店舗端末4を通じて、この引換えチケット10を認証する。認証の際に始めて費用決済が行われる。これらのように、引換えチケット10は、顧客によって使用されて、店舗にとっても好適な宣伝材料となる。引換えチケット10は、様々な構成を有しているが、一例として図2のような構成を有している。引換えチケット10は、認証コード101を有している。図2の引換えチケット10は、3通りの言語を表示するように示されているが、実際には、2つの言語が表示されるものであってもよい。これらは、使用者や管理者の便宜に応じて、適宜定まればよい。
【0067】
店舗端末4は、引換えチケット10の発行対象(使用対象)となる店舗に設置される。店舗端末4は、引換えチケット10の認証コード101を読み取る読み取り手段41と、読み取った認証コード101をサーバー2に送信する送受信手段42と、を備える。店舗端末4は、電気通信回線5を介してサーバー2と接続されているので、送受信手段42は、この電気通信回線5を介して、サーバー2へ、読み取った認証コード101を送信する。認証コード101は、バーコード、二次元バーコード、QRコード、暗号コードなど、の様々なアルゴリズムに基づいている。この認証コード101は、発行される複数の引換えチケット毎に異なるように構成されている。送受信手段42から送られた認証コードの情報は、必要に応じて、記憶部3で記憶される。
【0068】
サーバー2は、認証手段6と決済手段7とを有する。認証手段6は、送受信部42から送信される認証コード101を認証する。このとき、認証手段6は、顧客の識別子および引換えチケット10の少なくとも一つに基づいて認証を行う。すなわち、認証手段6は、引換えチケット10が発行される際に付与されている条件等を考慮して、認証コード101を認証する。このため、引換えチケット10の認証に対する信頼性と精度が向上する。
【0069】
決済手段7は、引換えチケット10に規定されている特典費用を決済する。すなわち、引換えチケット10が、1000円分の金券の権利を有している場合には、この1000円の特典費用を決済する。もちろん、顧客が引換えチケット10を用いて買い物をする場合の、金券の権利を超える購入金額をまとめて決済することも含んでいる。このとき、決済手段7は、引換えチケット10と顧客とに関連付けられた口座情報に基づいて費用を決済する。すなわち、決済手段7は、引換えチケット10の発行時に関連付けられた口座情報に基づいて費用決済することで、費用決済の不備や失敗を防止できる。
【0070】
ここで、認証手段6は、決済手段7と関連して(連動して)、認証コード101を認証する。認証手段6が認証を適正とする場合には、決済手段7での決済を前提とし、決済手段7での決済は、認証手段6での認証を前提とする。認証コード101には、引換えチケット10を使用する顧客の情報である識別子と発行条件とが含まれている。このため、認証手段6と決済手段7とは、引換えチケット10を使用する顧客という共通の情報に基づいてそれぞれの処理を行うことができる。また、認証手段6と決済手段7とが連動することで、決済ができない場合には認証が行われない、あるいは認証が行われない場合には決裁が行われない、との判断がなされることで、引換えチケット10への信頼性が高まる。
【0071】
認証手段6での認証と決済手段7での決済が完了すると、サーバー2は、電気通信回線5を介して店舗端末4に、認証と決済の完了を通知する。このとき、送受信手段42が、サーバー2とのやり取りを行う。通知を受けた店舗端末4を備える店舗では、顧客へその旨を表示し、顧客による購買行為を完了させる。
【0072】
このように、引換えチケット認証装置1は、引換えチケット10の発行条件、引換えチケット10の使用者である顧客情報などに基づきつつ、決済と合わせて認証を行うことで、引換えチケット10の認証精度を高めることができる。この結果、引換えチケット10に対する顧客および店舗の信頼性を高めることができ、引換えチケット10を用いた企業活動や購買活動が盛んになる。すなわち、このような引換えチケット認証装置1は、次の仕様1〜仕様5を充足できる。
【0073】
(仕様1)発行される引換えチケットは、発行時には費用支払いが不要であって、実際に認証される際に、費用決裁されること。
(仕様2)引換えチケットは、金銭と交換可能であること。
(仕様3)引換えチケットは、不正や偽造が働きにくい条件で発行されると共に、この不正や偽造が働きにくい状態に合わせて決裁されること。
(仕様4)顧客の来訪意欲を向上させる引換えチケットであると共に対応する認証が行われること。
(仕様5)仕様3と仕様4とが相まって、引換えチケットに対する店舗および顧客双方の信頼性が高くなること。
【0074】
(引換えチケットの使用手順)
実際には、顧客が引換えチケット10を店舗に持参して、店舗端末4を通じて引換えチケット10の認証を行うことで、引換えチケット10を使用する。顧客は、印刷された引換えチケット10を持参しても良いし、携帯端末(携帯電話機、スマートフォン、ノートブック型パソコン、電子書籍)に表示された状態で持参しても良い。顧客は、店舗端末4に、引換えチケット10の認証コード101を提示することで、引換えチケット10の認証を要求する。
【0075】
このとき、顧客そのものが店舗端末4に引換えチケット10を提示することで認証を要求しても良いし、引換えチケット10を受け取った店員が店舗端末4に引換えチケット10を提示しても良い。
【0076】
店舗端末4は、上述の通り、認証コード101を読み取って引換えチケット認証装置1に送信する。引換えチケット認証装置1は、認証手段6と決済手段7とによって、認証コード101を認証および決済して、結果を店舗端末4に通知する。店舗端末4は、認証コード101を読み取る読み取り手段41を備える専用端末であっても良いし、パソコンなどの汎用端末であっても良い。このとき、店舗端末4は、表示手段を備えており、この表示手段に結果が表示される(表示は、画像でも音声でも良い)。
【0077】
店舗の店員は、この表示される結果を見て、顧客の買い物の清算を完了する。清算には、決済手段7での決済も含まれる。この清算完了で、引換えチケット10の使用も完了する。
【0078】
次に、各部の詳細について説明する。
【0079】
(引換えチケット)
引換えチケット10は、図2に示される構成を、一例として有している。引換えチケット10は、認証コード101、割引内容102、説明103を表示する。引換えチケット10は、対象店舗での決済時の金券としての権利を有する。このとき、認証コード101は、対象店舗での決済時の認証に用いられる。引換えチケット10毎に、認証コード101は異なる。引換えチケット10は、他の引換えチケット10と同じ認証コード101を有することは無い。また、引換えチケット10は、引換えチケット発行装置によって決定される発行条件および発行態様の少なくとも一方に基づいて発行される。
【0080】
ここで、引換えチケット発行装置は、引換えチケット10の発行を要求する顧客の識別子に基づいて、引換えチケット10の発行条件を決定する。あるいは、識別子だけでなく、対象となる店舗情報にも基づいて、発行条件を決定する。引換えチケット10は、この発行条件に基づいて発行されているので、認証手段6や決済手段7は、この発行条件(その基本となる識別子や店舗情報も含む)に基づいて認証や決済を行う。認証コード101には、識別子や発行条件に関する情報が含まれており、認証手段6や決済手段7は、これら識別子や発行条件に基づいて、認証や決済を行う。引換えチケット発行装置は、様々な手段および基準に基づいて、発行条件を決定する。このため、認証コード101に含まれる発行条件は、そのまま認証と決済の条件に繋がるからである。すなわち、引換えチケット10の認証コード101には、顧客の識別子や引換えチケット10の発行条件に対応する条件が含まれている。
【0081】
識別子は、顧客の識別コード、氏名、年齢、性別、住所、国籍、使用言語、発行済み引換えチケットの決済履歴、決済口座、口座残高、送金口座および決済実績の少なくとも一つを含む。このため、認証手段6や決済手段7は、識別子に関する情報を一つの基準として認証や決済を行う。もちろん、これらの全てが必須ということではなく、例えば、国籍や年齢など、一部が用いられなくてもよい。
【0082】
また、発行条件は、引換えチケット発行時に定められ、引換えチケット10の発行の許諾、引換えチケット10の発行枚数、引換えチケット10の有効期限、引換えチケット10の金券金額、引き換えチケット10の割引率、引換えチケット10の使用者および引換えチケット10による引換え対象物の割引額の少なくとも一つに関する情報を含む。このため、認証手段6や決済手段7は、これらの情報を一つの基準として認証や決済を行う。
【0083】
また、引換えチケット10は、引換えチケット発行装置によって、所定の発行態様によって発行されている。例えば、引換えチケット10の印刷状態、表示言語および表示方法の少なくとも一つに関する。発行手段8は、決定された発行態様に応じて引換えチケット10を発行する。引換えチケット10は、この発行態様に基づくことで、実際に使用する顧客にとって使い勝手の良いものとなる。一例として、引換えチケット10の全ての情報がA4の用紙一枚に印刷されたり、顧客や店舗端末の所在地に応じた言語で表示されたりする。
【0084】
引換えチケット10は、サーバー2が登録している店舗に対して、顧客がみずからの顧客端末を用いて発行を要求して得られる。顧客は、印刷したり電子機器に電子データとして記憶したりすることで、引換えチケット10を店舗に持参して、引換えチケット10の権利を行使できる。
【0085】
以上によって、認証コード101は、発行時の識別子や発行条件に関する情報を含んでおり、認証時にはこれらの識別子や発行条件が基準とされる。仮に、引換えチケット10が偽造や改ざんされている場合には、この認証コード101に含まれる識別子や発行条件に関する情報が、発行時の情報と不一致となっている可能性があり、これらを比較することで、引換えチケット10の偽造や改ざんを検出できる。
【0086】
(店舗端末)
店舗端末4は、引換えチケット10の対象となる店舗に備わる端末である。クレジットカードを決済する決済機器であったり、ノートパソコンであったり、引換えチケット10の認証を行う専用の装置であったりしても良い。あるいは、引換えチケット10に表示される認証コード101が、バーコードやQRコードなどの規格化された汎用のコードである場合には、これらの規格化されたコード専用の読み取り機であってもよい。
【0087】
引換えチケット10を持参する顧客が、この引換えチケット10の権利を行使するためには、店舗において引換えチケット10を読み取ってもらうことが必要であるので、店舗端末4は、店舗に設置されていることが必要である。店舗は、汎用の読み取り機であったりノートパソコンであったりなど、認証コード101を光学的に読みとる機能を有する店舗端末4を備えておくことが必要である。店舗端末4は、店舗の店員が使用することが考えられるので、レジなど店員の管理可能な場所に設置されるのが好ましい。
【0088】
店舗端末4は、認証コード101を読み取る読み取り手段41と、読み取った認証コードを送信する送受信手段42を備える。認証コード101は、多くの場合はバーコードやQRコードのような汎用のコードを用いている。読み取り手段41は、これらのコードを備える認証コード101を光学的に読み取る。例えば光学スキャナや光学素子を備えており、認証コード101を読み取る。読み取り手段41は、読み取った認証コード101を電子データに変換して送受信手段42に出力する。なお、読み取り手段41は、店舗端末4の表面に備わればよい。
【0089】
送受信手段42は、電気通信回線5を通じてサーバー2に電子データとなった認証コード101を送信する。認証コード101を送信するというよりも、認証コード101から得られた情報を電子データ化したものを、送信する。電気通信回線5は、有線でも無線でも混在でも良く、送受信手段42は、まず無線で認証コード101に関する電子データを送信し、有線で接続されたサーバー2にこの電子データを送信することでもよい。
【0090】
店舗端末4が汎用装置であったり汎用のノートパソコンであったりする場合には、この汎用装置やノートパソコンに予め備わっている通信機能が、送受信手段42として使用されても良い。もちろん、読み取り手段41と一体で構成されていても良い。
【0091】
(記憶部)
記憶部3は、サーバー2を介して送受信されるデータおよび所定の店舗情報や顧客情報の少なくとも一つを記憶する。記憶部3は、サーバー2と電気的に接続されており、サーバー2と電子データをやり取りできる。記憶部3は、引換えチケット10の発行時の種々の情報である識別子や発行条件を記憶している。つまり、記憶部3は、引換えチケット発行装置の記憶部と兼用されても良い。
【0092】
記憶部3は、サーバー2と直接的に電気的に接続されていても良いし、インターネットなどの電気通信回線(有線および無線の両方がありうる)を介して間接的に接続されても良い。例えば、クラウドコンピューターやネットストレージなどのような、仮想的な記憶装置が、記憶部3として用いられても良い。記憶部3は、ハードディスクドライブ、半導体メモリ、光メモリ、磁気メモリ、CD、DVDなど、様々な要素を使用すれば良い。
【0093】
(サーバー)
サーバー2は、引換えチケット認証装置1の構成要素である。引換えチケット10の認証や決済を行い、引換えチケット10を用いた購買活動を管理する。
【0094】
サーバー2は、例えば引換えチケット10を用いた購買促進システムを運営する運営事業者が保有している。あるいは、店舗が保有していたり、店舗を取りまとめる本部が保有していたりする。サーバー2は、例えば、引換えチケット10を発行する発行装置が備えるサーバーと兼用されてもよい。サーバー2は、汎用のコンピューター、汎用のサーバー用コンピューター、パーソナルコンピューター、メインフレーム、専用のデータ処理装置など、様々なものが使用されれば良い。特に、サーバー2は、電気通信回線5を介して、店舗端末4と接続されているので、サーバー2は、インターネット回線、専用回線、電話回線などに接続されていることが好適である。
【0095】
サーバー2は、認証手段6と決済手段7とを備える。認証手段6と決済手段7は、サーバー2の備えるデータ処理機能が用いられればよい。例えば、サーバー2が備える中央演算処理装置(以下、「CPU」という)が、この認証手段6と決済手段7の機能を実現すればよい。また、認証手段6と決済手段7とは、それぞれ関連させながら、認証処理と決済処理とを行う。
【0096】
実際に、顧客が持参した引換えチケット10は、図3に示されるような関係によって認証される。図3は、本発明の実施の形態1における認証を示す模式図である。
【0097】
顧客は、対象店舗20に引換えチケット10を持参する。対象店舗20には、店舗端末4が備わっており、引換えチケット10の認証コード101部分を、読み取り手段41にかざすなどすることで、認証コード101が読み取られる。読み取られた認証コード101は、電子データとして電気通信回線5を通じてサーバー2に送られる。サーバー2は、記憶部3とのやり取りも用いつつ、認証および決済処理を行う。
【0098】
(認証手段)
(識別子に基づく認証)
認証手段6は、送信されてくる認証コード101から、その中に含まれる顧客の識別子に関する情報や、引換えチケット10の発行条件を抽出して読み取る。認証手段6は、引換えチケット10の所持者の情報と識別子が含む情報の一致度に基づいて、引換えチケット10の適正・不適正を認証する。一致度が所定以上であれば、引換えチケット10が適正であるとして認証する。認証手段7は、認証コード101から得られる識別子に関する情報に、発行時の識別子と不一致がある場合には、引換えチケット10が偽造や改ざんなどを受けた可能性があるとして、不適正と判断するからである。一致度とは、識別子や発行条件に含まれる個々の情報同士での一致度や、複数の情報における一致する情報の個数の割合の一致度などを含む。
【0099】
サーバー2は、引換えチケット10の発行時における識別子の情報を有している。例えば、ある認証コード101を有する引換えチケット10の発行時における決済口座と、実際に持参された引換えチケット10の認証コード101から判断される決済口座が異なる場合には、認証手段6は、引換えチケット10に改ざんがあるものと判断する。認証コード101は、引換えチケット10毎に唯一であり、同じ認証コード101でありながら、発行時と認証時において決済口座が異なるということは、発行後の引換えチケット10に改ざんがされたとみなすことが適当だからである。
【0100】
同様に、認証手段6は、認証コード101から得られる顧客の氏名、住所、国籍などに発行時との相違があれば、やはり改ざんや偽造であるものとして、不適正と判断する。
【0101】
サーバー2は、引換えチケット10が発行される際に用いられた識別子の情報を、認証コード101に対応させるように記憶している。認証コード101は、引換えチケット10毎に唯一であるので、ある認証コード101が含む識別子の情報は、唯一に決まる。引換えチケット10は、発行時に顧客の識別子を基準として発行される中で、唯一の認証コード101を受けている。このため、ある認証コード101は、当該引換えチケット10の発行時に参照された識別子と一致している。このため、認証手段6は、認証時の認証コード101から得られる識別子と発行時の識別子との一致度に基づいて、引換えチケット10の認証を行う。一致度は、完全一致、所定以上一致など、様々に設定されれば良い。
【0102】
(認証コードそのものでの認証)
認証手段6は、送信された認証コード101が既に認証された経緯がある場合には、当該引換えチケット10を、不適正として認証する。認証コード101は、引換えチケット10毎に唯一である。これは、引換えチケット10の特性であり、引換えチケット10の発行装置において一度使用した認証コード101を、再度使用しないようにしていることによる。偽造や改ざん防止のためである。
【0103】
一方、顧客は、一度権利行使した引換えチケット10を、再度使用することがある。悪意をもって行う場合もあるし、気づかずに行う場合もある。このような場合には、店舗にとっては、予定以上の値引きなどを強要されることになってしまう。このため、認証手段6は、既に認証されたことのある認証コード101である場合には、引換えチケット10を不適正として認証する。
【0104】
(発行条件との一致度による認証)
認証手段6は、認証時の認証コード101から得られる引換えチケット10の発行条件と、引換えチケット10の発行時の発行条件との一致度に基づいて、引換えチケットの適正・不適正を認証する。引換えチケット10は、発行時に顧客の識別子や店舗情報などに基づいて、所定の発行条件に基づいて発行されている。発行された引換えチケット10の認証コード101は、この発行条件に関する情報を含んでいる。発行条件は、上述の通り、引換えチケット10の発行枚数、有効期限などである。サーバー2は、引換えチケット10の発行時の発行条件を記憶している。
【0105】
認証手段6は、実際に店舗に持参された引換えチケット10の認証コード101から得られる発行条件の情報と、発行時の発行条件とを比較する。認証コード101によって、発行時の発行条件のデータとの対応をとることが可能であるので比較を行える。比較の結果、発行条件に含まれる条件のいずれかに不一致がある場合には、引換えチケット10に改ざんや偽造があるものとして、認証手段6は、引換えチケット10を不適正として認証する。あるいは、不一致の度合いに基づいて、不適正として認証する。
【0106】
例えば、認証手段6は、認証コード101から得られる発行枚数が、発行時に規定された発行枚数を超える場合には、当該引換えチケット10が偽造や改ざんされたものとして、不適正として認証する。同様に、認証手段6は、認証コード101から得られる有効期限が、発行時に規定された有効期限と不一致である場合には、引換えチケット10が偽造や改ざんされたものとして、不適正として認証する。
【0107】
このように、実際の使用状況と発行条件を比較するだけでなく、使用時の認証コードから得られる発行条件と発行時の発行条件とを比較することで、引換えチケット10の偽造や改ざんまでも防止できる。
【0108】
あるいは、認証コード101から得られる発行条件と、実際に顧客が持参した状況との一致度に基づいて、認証手段6は、引換えチケット10の適正・不適正を認証しても良い。
【0109】
例えば、認証コード101から得られる引換えチケット10の有効期限を、持参した日が経過している場合には、引換えチケット10を不適正として認証する。あるいは、引換えチケット10の発行枚数を超えた引換えチケット10が持参された場合にも、認証手段6は、引換えチケット10を不適正として認証する。
【0110】
このように、認証コード101から得られる発行条件と実際の使用態様との比較によって、使用条件を満たさない引換えチケット10を不適正として認証できる。これらの結果、引換えチケット10に対する顧客および店舗の信頼性が高まり、使い勝手が良くなる。
【0111】
(決済手段との連動)
決済手段7は、引換えチケット10に備わっている金券としての特典を決済する。具体的には、引換えチケット10が発行される際に、顧客が特定した決済口座から所定の金額が引き落とされることで決済が終了する。このとき、何らかの理由で決済不能である場合には、認証手段6は、引換えチケット10を不適正として認証する。決済手段7は、決済結果を認証手段6に出力する。この出力を受けて、決済の結果を認識できる。
【0112】
決済不能とは、決済口座に問題があったり残高に問題があったりする場合であるので、認証手段6は、不適正として判断することが適切である。
【0113】
(決済手段)
決済手段7は、引換えチケット10の認証に合わせて、引換えチケット10が有する金券としての特典を決済する。例えば、引換えチケット10が1000円分の割引を特典として有していれば、決済手段7は、顧客の決済口座からこの1000円を決済する。もちろん、顧客の購買に合わせて、金券部分と購買金額とを合わせて決済しても良い。
【0114】
サーバー2は、認証コード101にあわせた識別子の情報を有している。認証コード101も識別子情報を有している。サーバー2が記憶している識別子の情報と認証コード101が提供する識別子の情報との一致を確認することで、決済手段7は、決済口座からの決済を行う。
【0115】
決済手段7は、識別子によって特定される決済口座の口座残高が不足する場合および決済口座が停止(あるいは消滅)している場合の少なくとも一方の場合には、引換えチケット10の決済を処理しない。加えて、決済不能であるとの情報を、認証手段6に通知する。認証手段6は、この通知によって、決済不能であることを認識して、認証を行わない判断をできる。
【0116】
もちろん、決済手段7は、決済口座や口座残高に他の問題がある場合にも、決済処理を行わないこともよい。
【0117】
このように、決済手段7は、引換えチケット10が発行された際の識別子や発行条件と、実際に使用される引換えチケット10の認証コード101から得られる識別子や発行条件との比較によって、決済を行う。すなわち、漫然と決済口座から決済するだけと異なり、引換えチケット10の決済における信頼性を高めることができる。
【0118】
以上、実施の形態1における引換えチケット認証装置1は、引換えチケット10の発行時の情報と認証時の情報との一致に基づいて、認証および決済を行うことで、引換えチケット10に対する信頼性を高めることができる。また、認証処理と決済処理とが関連することで、認証に対する信頼性も高まる。引換えチケット10に対する信頼性が高まることで、引換えチケット10を用いた購買活動が活発化する。
【0119】
(実施の形態2)
【0120】
次に、実施の形態2について説明する。
実施の形態2においては、種々の追加的な機能を有する引換えチケット認証装置1について説明する。
【0121】
(認証コードの記憶)
サーバー2は、認証手段6が認証した認証コード101の情報を、使用済み認証コードとして、記憶部3に記憶させる。引換えチケット10の認証コード101は、引換えチケット10毎に唯一であり、同じ認証コード101は、複数の引換えチケット10において用いられない。このため、一度認証処理や決済処理がなされた認証コード101は、引換えチケット10の認証においても発行においても用いられない。
【0122】
例えば、同じ認証コード101を有する引換えチケット10が、重複して店舗に持参されてしまう場合に、一度認証された認証コード101が重複して認証、決済されてしまうと、店舗にとっては不測の不利益が発生しかねない。店舗への不利益が発生すると、引換えチケット10への信頼性が損なわれる。一方で、顧客が同じ引換えチケット10を念のために複数印刷しておき、これを間違って別々に持参してしまうなど、顧客の悪意ではなく、同じ認証コード101を有する引換えチケット10の重複的な使用が生じてしまうこともある。このような場合に、一度認証処理がなされた認証コード101は、再び認証されないようにしておくことで、重複認証が防止される。
【0123】
サーバー2は、同じ認証コード101を重複して認証することを行わないが、このためには、一度認証した認証コード101を記憶しておくことが好ましい。認証コード101の規格に基づく要素や骨格などが、記憶される。このように、認証された認証コード101が記憶されておくことで、認証手段6は、同じ認証コード101を有する引換えチケット10を重複して認証することが無くなる。結果として、重複決済が生じず、引換えチケット10による不利益が生じない。
【0124】
また、認証された認証コード101が記憶部3に記憶されることで、当該情報が引換えチケットの発行装置に提供されれば、認証された認証コード101が重複発行されることも防止される。
【0125】
(認証履歴の記憶)
サーバー2は、認証手段6における認証処理および決済手段7における決済処理の少なくとも一方における処理履歴を、記憶部3に記憶させることも好適である。認証処理や決済処理の履歴は、引換えチケット10を持参した顧客や引換えチケット10の対象店舗に関する重要性の高い情報となりうるからである。
【0126】
例えば、認証処理において、識別子などの不一致によって認証が行われなかったり、決済口座の不備や残高不足などで決済が行われなかったりした場合には、この引換えチケット10の発行を要求した顧客の購買行動には問題があると考えられる。このような顧客に対しては、以降の引換えチケットの発行におけるペナルティを設けることも、引換えチケット10に対する信頼性を向上させることにつながる。
【0127】
逆に、顧客に関する識別子や発行条件に関する情報に問題はないが、店舗に依存するこれらの情報に問題があって認証や決済が不能となった場合には、このような店舗を対象とする引換えチケット10を今後も発行することは、好ましくない。この場合には、対象となる店舗における引換えチケット10の発行にペナルティが与えられることも好ましい。
【0128】
このような処理履歴が記憶部3に記憶されることで、引換えチケット10に対する顧客、店舗双方の信頼性が高まることは、引換えチケット10による購買活動の活発化を促すことになる。
【0129】
また、記憶部3に記憶される処理履歴を参照して、引換えチケット10の発行条件を定める発行手段を、引換えチケット認証装置1が、更に有していることも好適である。図4は、本発明の実施の形態2における引換えチケット認証装置と周辺のブロック図である。
【0130】
図4における引換えチケット認証装置1は、発行手段9を更に備えている。発行手段9は、引換えチケット10を発行する際の発行条件を定める。また、発行条件を定めるだけでなく、必要に応じて、引換えチケット10を発行しても良い。この場合には、引換えチケット認証装置1は、引換えチケット発行装置も兼用する。
【0131】
発行手段9は、記憶部3に記憶されている処理履歴を、発行条件への参考とする。発行条件は、顧客に関する情報である識別子や店舗に依存する店舗情報に基づいて定められるのが通常である。しかし、上述の通り、認証や決済の履歴によっては、発行条件を厳しくするなどの改善が取られることも好適である。このため、発行手段9は、記憶部3の処理履歴を読み出しながら、発行条件を定める。
【0132】
(認証結果等の表示)
また、顧客端末4は、引換えチケット認証装置1での認証や決済の結果を表示する表示手段を備えていることも好適である。図5は、本発明の実施の形態2における顧客端末とその周辺のブロック図である。顧客端末4は、表示手段43を備えている。表示手段43は、液晶画面などの画像を表示できる画面であったり、音声を発信できる画面であったりする。
【0133】
例えば、認証や決済が正常に完了すれば、表示手段43は、これを表示する。あるいは、認証や決済が正常に完了しない場合(実施の形態1で説明したように、条件の不備などで、認証や決済が不適正であるとして処理された場合)には、その旨を表示する。このとき、引換えチケット10の有している言語に合わせて、複数の言語で、表示手段43が結果を表示することも好適である。特に認証や決済が不適正である場合には、顧客と店舗とのトラブルとなりかねないので、顧客が読み取れる言語を用いて表示することも好適である。
【0134】
表示手段43は、店舗端末4が汎用装置や汎用コンピュータである場合には、これらの機器に備わっている表示部が兼用されればよい。
【0135】
実施の形態2の引換えチケット認証装置1は、様々な改善を有することで、引換えチケット10の認証や決済をより確実としつつ、引換えチケット10の認証におけるトラブルを防止できる。結果として、引換えチケット10に対する信頼性が向上する。信頼性が向上すれば、引換えチケット10を活用した購買活動が盛んになり、経済活動の活性化に繋がる。
【0136】
なお、実施の形態1〜2で説明された引換えチケット認証装置は、本発明の趣旨を説明する一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲での変形や改造を含む。
【符号の説明】
【0137】
1 引換えチケット認証装置
2 サーバー
3 記憶部
4 店舗端末
41 読み取り手段
42 送受信手段
43 表示手段
5 電気通信回線
6 認証手段
7 決済手段
9 発行手段
10 引換えチケット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気通信回線によって店舗端末と接続されるサーバーと、
前記サーバーを介して送受信されるデータ、店舗情報および顧客情報の少なくとも一つを記憶する記憶部と、を備え、
前記店舗端末は、
金券としての特典を有する引換えチケットの認証コードを読み取る読み取り手段と、
読み取った認証コードを、前記サーバーに送信する送受信手段と、を有し、
前記サーバーは、
前記送受信部より送信される認証コードを認証する認証手段と、
前記認証コードに対応する前記引換えチケットの特典費用を決済する決済手段と、を有し、
前記認証手段は、前記顧客の識別子および前記引換えチケットの発行条件の少なくとも一つに基づいて認証を行い、
前記決済手段は、前記引換えチケットと顧客とに関連付けられた口座情報に基づいて、費用を決済し、
前記認証手段および前記決済手段は、相互に関連して処理を行い、
前記認証コードは、前記引換えチケット毎に異なる、引換えチケット認証装置。
【請求項2】
前記識別子は、前記顧客の識別コード、氏名、年齢、性別、住所、国籍、使用言語、発行済み引換えチケットの決済履歴、決済口座、口座残高および決済実績の少なくとも一つの情報を含む、請求項1記載の引換えチケット認証装置。
【請求項3】
前記発行条件は、前記引換えチケット発行時に定められ、前記引換えチケットの発行の許諾、前記引換えチケットの発行枚数、前記引換えチケットの有効期限、前記引換えチケットの金券金額、前記引き換えチケットの割引率、前記引換えチケット、前記引換えチケットの使用者および前記引換えチケットによる引換え対象物の割引額の少なくとも一つに関する、請求項1又は2記載の引換えチケット認証装置。
【請求項4】
前記認証手段は、前記認証コードから得られる前記識別子と前記引換えチケットの発行時の前記識別子との一致度に基づいて、前記引換えチケットの適正・不適正を認証する、請求項1から3のいずれか記載の引換えチケット認証装置。
【請求項5】
前記認証手段は、前記認証コードから得られる前記発行条件と前記引換えチケット発行時の前記発行条件との一致度に基づいて、前記引換えチケットの適正・不適正を認証する、請求項1から4のいずれか記載の引換えチケット認証装置。
【請求項6】
前記認証手段は、前記認証コードから得られる前記発行条件と前記引換えチケットの店舗での使用時の状況との比較に基づいて、前記引換えチケットの適正・不適正を認証する、請求項1から5のいずれか記載の引換えチケット認証装置。
【請求項7】
前記認証手段は、前記認証コードが既に認証されたものである場合には、前記引換えチケットを不適正として認証する、請求項1から6のいずれか記載の引換えチケット認証装置。
【請求項8】
前記認証手段は、前記引換えチケットの前記認証コードから読み取られる発行枚数が、前記引換えチケットの発行時に付与されている発行枚数と相違する場合には、前記引換えチケットを不適正として認証する、請求項5記載の引換えチケット認証装置。
【請求項9】
前記認証手段は、前記引換えチケットの前記認証コードから読み取られる有効期限が、前記引換えチケットの発行時に付与されている有効期限と相違する場合には、前記引換えチケットを不適正として認証する、請求項5記載の引換えチケット認証装置。
【請求項10】
前記認証手段は、使用時における前記引換えチケットの使用枚数が、前記発行条件に規定される発行枚数を超える場合には、前記引換えチケットを不適正として認証する、請求項6記載の引換えチケット認証装置。
【請求項11】
前記認証手段は、使用時における前記引換えチケットの有効期限が、発行時の前記発行条件に規定される有効期限を経過している場合には、前記引換えチケットを不適正として認証する、請求項6記載の引換えチケット認証装置。
【請求項12】
前記認証手段は、前記決済手段において前記引換えチケットが決済不能である場合に、前記引換えチケットを不適正として認証する、請求項1から11のいずれか記載の引換えチケット認証装置。
【請求項13】
前記決済手段は、前記識別子に含まれる決済口座の口座残高が不足する場合および前記決済口座が停止されている場合の少なくとも一方の場合には、前記引換えチケットの費用を決済せず、決済不能との情報を前記認証手段に通知する、請求項1から12のいずれか記載の引換えチケット認証装置。
【請求項14】
前記サーバーは、前記認証手段が認証した認証コードの情報を、前記記憶部に使用済み認証コードとして記憶させる、請求項1から13のいずれか記載の引換えチケット認証装置。
【請求項15】
前記サーバーは、前記認証手段および前記決済手段の少なくとも一方における処理履歴を、前記記憶部に記憶させる、請求項1から14のいずれか記載の引換えチケット認証装置。
【請求項16】
前記サーバーは、前記引換えチケットの発行条件を定める発行手段を更に有し、前記発行手段は、前記記憶部に記憶される前記処理履歴を前記発行条件の決定の参照とする、請求項15記載の引換えチケット認証装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−80312(P2013−80312A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−218943(P2011−218943)
【出願日】平成23年10月3日(2011.10.3)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(510016634)株式会社ホスピタブル (3)
【Fターム(参考)】