Notice: Undefined variable: fterm_desc_sub in /mnt/www/biblio_conv.php on line 353
弗燐酸塩光学ガラスの製造方法
説明

弗燐酸塩光学ガラスの製造方法

【課題】各種光学用レンズ、窓材、プリズムなどの色収差を補正するために用いられる弗燐酸塩光学ガラスの酸化物を低減でき、屈折率の安定した弗燐酸塩光学ガラスを提供する。
【解決手段】AlとFを含有しかつAl等のアルミニウム酸化物の含有率が小さいMg、Ca、Sr、Baのフルオロアルミン酸塩化合物を単一または複数原料として使用し、溶融することで、酸化物含有量が少なく、屈折率の安定した弗燐酸塩光学ガラスを製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として、各種光学用レンズ、窓材、プリズムなどの色収差を補正するために用いられる弗燐酸塩光学ガラスの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
弗燐酸塩光学ガラスは、主な原料としてAl(PO3)3とAlF3、MgF2、CaF2、SrF2、BaF2を混合し、溶融・成形することにより製造することができる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−234753号公報(特許請求の範囲、第2頁等参照)。
【0004】
弗燐酸塩光学ガラスの屈折率は、酸化物含有率によって変動する。これは原料に含まれる酸化物の含有率が変動することが主たる原因で、原料の種類が増えるに従い、酸化物の含有量のバラツキが大きくなるため、各原料を予め分析し、酸化物含有量を把握した上で、原料の配合比率を細かく調整する必要がある。
【0005】
また、弗燐酸塩光学ガラスの原料として使用されているAlF3は3〜10重量%のAl2O3等のアルミニウム酸化物を含有しており、前記の酸化物の含有率のバラツキに最も大きく影響する原料である。そして、これを回避するためには、非常に高価な高純度AlF3を原料として使用しなければならず、結果として弗燐酸塩光学ガラスの製造コストを増大させるという問題がある。
【0006】
したがって、AlF3に代わるAlとFを含有しかつAl2O3等のアルミニウム酸化物の含有率が小さい原料を弗燐酸塩光学ガラスの原料として使用できれば、酸化物由来の屈折率変動を大きく改善でき、コストも低減できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明はこのような従来の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、弗燐酸塩光学ガラスの原料として、AlとFを含有しかつAl2O3等のアルミニウム酸化物の含有率が小さいMg、Ca、Sr、Baのフルオロアルミン酸塩化合物をAlF3に代えて使用することによって、酸化物含有率の安定した弗燐酸塩光学ガラスの製造法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため、本発明では、AlF3に代わるAlとFを含有しかつAl2O3等のアルミニウム酸化物の含有率が小さいMg、Ca、Sr、Baのフルオロアルミン酸塩化合物を単一または複数混合させることで、屈折率の安定した弗燐酸塩光学ガラスの製造を可能にする。
【0009】
AlF3は、乾式法で水酸化アルミニウムとフッ化水素を高温で反応させることにより、あるいは、湿式法でアルミニウム化合物とフッ化水素酸を反応させることにより製造することができるが、このような製造方法で得られるAlF3には、アルミニウムと酸素の結合力が強いことから、アルミニウムを完全にフッ素化できずアルミニウム酸化物が含有されている。
【0010】
また、アルミニウム酸化物の含有率を低減させるための既知の方法はあるが、多量のエネルギーが必要なことや副生物が生成するなどしてその処理などにコストがかかるため、その結果得られたAlF3は非常に高価となる。
【0011】
本発明者らは、鋭意研究の結果、AlF3に代わる弗燐酸塩光学ガラス原料として、Mg、Ca、Sr、Baのフルオロアルミン酸塩化合物を合成し、それらを厳密に調査したところ、含有する酸化物が極めて少量であることを発見した。そして、これらを原料として使用して、酸化物の含有率が極めて小さい弗燐酸塩光学ガラスを製造できることを発見した。
【0012】
また、前記のフルオロアルミン酸塩は、水酸化アルミニウムや塩化アルミニウム等のアルミニウム化合物をフッ化水素酸に溶解したフルオロアルミン酸と、Mg、Ca、Sr、Baの水酸化物、酸化物、ハロゲン化物、酢酸等の有機酸化合物とを化学量論的に等量反応させることで、容易に合成できるという利点もある。
【0013】
Ca、Sr、Baを含有するフルオロアルミン酸塩を用いることが好ましい。また、Mg、Ca、Sr、Baの混合比率を、単一または複数の合計で12〜25mol%の範囲とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、酸化物の含有率を低減でき、屈折率の安定した弗燐酸塩光学ガラスを製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明では、AlF3の代わりにMAlF5(ただし、MはMg、Ca、Sr、Baの中から選ばれる一種の元素を表す。)を用いることにより、AlF3と金属フッ化物MF2の二種類ではなく、MAlF5のみの酸化物の含有量を調整するだけで、屈折率の安定した弗燐酸塩光学ガラスを得ることができる。また、原料の混合比率を調整するためにAlF3の使用が避けられない場合においても、その使用量を最小限に留めることができ、AlF3由来のアルミニウム酸化物の混入を低減できる。
【0016】
本発明で用いられるMAlF5のMは、Mg、Ca、Sr、Baを表すが、弗燐酸塩光学ガラスに混合する場合、AlF3と混合比率が相似しているCa、Sr、Baを含有するMAlF5を用いることが好ましい。
また、その混合比率は、目的とする弗燐酸塩光学ガラスによって任意の比率とすればよいが、単一または複数の合計で12〜25mol%の範囲とするのが好ましい。
【実施例】
【0017】
以下、本発明の実施例と比較例を挙げて、本発明のフルオロアルミン酸塩を使用する方法で製造された弗燐酸塩光学ガラスと、高純度AlF3を使用して一般的な方法で製造された弗燐酸塩光学ガラスの性能について、具体的に比較しながら説明する。ただし、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0018】
実施例で使用したフルオロアルミン酸塩(CaAlF5 、SrAlF5 、BaAlF5)については、蛍光X線分析で測定し、その酸素の含有率から推算される酸化物の含有率は、0.5重量%以下である。
また、比較例で使用したAlF3は、アルミニウム酸化物の含有率が0.5重量%以下の高純度品である。
【0019】
(実施例1〜18、比較例1〜18)
Al(PO3)3、フッ化物、フルオロアルミン酸塩などの原料を、表1〜表6に示す目標組成となるように十分に混合して調合原料としたこの調合原料を、600〜1,100℃に加熱された電気炉中の白金坩堝に投入し、溶融清澄後、撹拌均質化して予め加熱された鉄製又はカーボン製の鋳型に鋳込み、徐冷して各サンプルを製造した。これらの各サンプルについて次の試験を行った。その結果を、表1〜表6に合わせて示す。
【0020】
(液相温度)
ガラス原料を充分に混合して調合原料とし、これを600〜1,100℃に加熱された電気炉中の白金坩堝に投入し、溶融清澄後、撹拌均一化した後、720℃まで急激に冷却し、この状態で30分間保持させた後さらにガラスを急冷させて、得られたサンプルを顕微鏡にて観察し、失透の有無を調べた。失透が認められない場合は、液相温度は720℃以下と判断する(表中、720℃失透テストの欄で「○」と表記)。
【0021】
(光学恒数)
各サンプルのd線に対する屈折率(n )およびアッベ数(ν )を測定した。これらの測定は日本光学硝子工業会規格(JOCIS)の試験方法に準じて行った。
【0022】
【表1】

【0023】
【表2】

【0024】
【表3】

【0025】
【表4】

【0026】
【表5】

【0027】
【表6】

【0028】
フルオロアルミン酸塩を使用した、実施例1〜18の弗燐酸塩光学ガラスは、比較例1〜18の高純度AlF3を使用した弗燐酸塩光学ガラスと同等の性能を示し、720℃の失透テストおよび耐プレス失透性も良好であった。
【0029】
さらに実施例1〜18の光学恒数は、屈折率(n)が1.489〜1.508の範囲、アッベ数(ν)が79.2〜82.8の範囲と所望の値であった。
【0030】
したがって、本発明のフルオロアルミン酸塩を使用する方法で製造された弗燐酸塩光学ガラスの性能が、従来の方法で製造された場合と同等であることが証明された。
【0031】
なお、上記実施例では、フルオロアルミン酸塩としてCaAlF5 、SrAlF5 、BaAlF5を使用して720℃の失透テストおよび光学恒数測定を実施したが、MgAlF5についても同様の結果を得ることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
Mg、Ca、Sr、Baのフルオロアルミン酸塩を単一または複数使用することを特徴とする弗燐酸塩光学ガラスの製造方法。
【請求項2】
Ca、Sr、Baを含有するフルオロアルミン酸塩を用いることを特徴とする請求項1記載の弗燐酸塩光学ガラスの製造方法。
【請求項3】
Mg、Ca、Sr、Baの混合比率を、単一または複数の合計で12〜25mol%の範囲とすることを特徴とする請求項1記載の弗燐酸塩光学ガラスの製造方法。

【公開番号】特開2013−87026(P2013−87026A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−230530(P2011−230530)
【出願日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【出願人】(390024419)森田化学工業株式会社 (18)
【Fターム(参考)】