説明

張力キャリヤを備えた平ベルト状の支持駆動手段

【課題】張力キャリヤにある曲げ応力がより低い支持駆動手段を作成すること。
【解決手段】この支持駆動手段(11)は、張力キャリヤ(1)を包囲するベルト本体(12)またはシース(12)からなるベルトの幾何学的形状を有する。ベルトの走行面(16)は平らであり、ベルトの裏側(13)に対して平行であることができ、または、台形状あるいは半円形のリブ(14)および溝(15)を有することができ、駆動プーリまたは偏向プーリの輪郭は、ベルトの走行面とほぼ相補的である。各リブ(14)に対して1つ以上の張力キャリヤ(1)が設けられ、張力キャリヤ(1)は、Z方向およびS方向に交互に撚られるか撚り合わされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも2つの合成繊維の張力キャリヤを備えた平ベルト状の支持駆動手段に関し、張力キャリヤは、独立請求項の定義にしたがって、互いからある間隔で支持駆動手段の長手方向軸に対して軸方向に平行に延び、シース内に埋め込まれる。
【背景技術】
【0002】
合成繊維の張力キャリヤを備えた平ベルト状の支持駆動手段は、WO2004/035913Alから知られており、張力キャリヤとして、撚り合わされた合成繊維スレッドを備え長手方向に力を受けるように設計される少なくとも2つの撚り合わされていないストランドが提供されている。ストランドは、支持駆動手段の長手方向に沿って互いからある間隔で配置され、共通のシース内に埋め込まれる。ストランドのうちの少なくとも1つは、ストランドの合成繊維スレッドと共に撚り合わされる導電性指示スレッドを有し、指示スレッドはスレッドのバンドルの中心から外側に配置される。指示スレッドは、ストランドの個々の合成繊維スレッドの延性降伏限界値よりも低い延性降伏限界値を有する。その一体性を電気的に監視することができるように、指示スレッドによって電気接触がなされることができる。
【0003】
駆動プーリによる駆動のための合成繊維ケーブルは、EP1061172A2から知られている。合成繊維ケーブルは、反対の回転方向に撚り合わされ、共通のケーブルシースによって、互いに固定される、すなわちねじりに対して、それらの平行に間隔を置いた位置に固定される2つのケーブルから2重のケーブルとして構成される。本発明によって両方のケーブルにわたり一体的に構成されるケーブルシースは、2重のケーブルの長手方向の負荷下で、ケーブル構造によって生じ反対向きであるケーブルのトルクを互いに相殺し、したがって、2重のケーブルの全断面図にわたり右側ストランド構成要素および左側ストランド構成要素全体の間のトルク補正をもたらす、トルクブリッジとして作用する。2重のケーブルは、ケーブルプーリを通じて走る間、回転しない方法で挙動する。
【特許文献1】国際公開第2004/035913Al号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第1061172A2号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、本発明は救済策をもたらすことになる。請求項1で特徴づけられるような本発明は、張力キャリヤにある曲げ応力がより低い支持駆動手段を作成する目的を果たす。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の有利な開発は、従属請求項に示されている。
【0006】
含浸されたアラミドストランドを備えたベルトを張力キャリヤとして製作する従来の試みは、駆動プーリまたは偏向プーリを通じて走る間に生じる曲げ応力のために失敗している。張力キャリヤは、比較的大きな直径を有する、撚り合わされていないアラミドストランドからなる。
【0007】
駆動プーリの周囲に、または偏向プーリの周囲にストランドを曲げるとき、プーリ側の半分のストランドは圧縮応力がかかり、半分の自由なストランドは引張応力がかかる。圧縮状態でも張力状態でも荷重がかけられない中立の繊維は、圧縮状態で荷重をかけられるストランドの半分と張力状態で荷重をかけられるストランドの半分との間を走る。ストランドの過度の圧縮/張力応力は、ストランドの初期破損につながる。
【0008】
本発明による支持駆動手段では、駆動プーリまたは偏向プーリを通じて走る間の張力キャリヤのストランドにおける曲げ応力が減少し、したがって、より小さなプーリの直径が可能になる。このことによって、より小型の駆動エンジンに伴う駆動プーリでの必要な駆動トルクがより小さくなる。より小型の駆動エンジンはより経済的であり、必要な空間がより少ない。
【0009】
各張力キャリヤは、いくつかのストランド層からなり、ストランド層を形成するストランドが撚り合わされる(その下にあるストランド層を中心に、ストランド層のストランドの互いの周囲にらせん状にねじっている)。各ストランドは、いくつかのスレッド層からなり、スレッド層を形成するスレッドが撚り合わされる(その下にあるスレッド層を中心に、スレッド層のスレッドの互いの周囲にらせん状にねじっている)。各撚り合わされたスレッドは、フィラメントとも称される、いくつかの一方向の、または撚られていない合成繊維からなる。各スレッドは、合成材料浴で含浸される。スレッドまたはストランドを覆う合成材料はまた、マトリックスまたはマトリックス材料とも称される。スレッドを撚ってストランドを形成した後、スレッドの合成材料が熱処理によって均質化される。その結果、ストランドは合成材料に完全に埋め込まれた撚り合わされたスレッドからなる。
【0010】
ストランドは、順番に撚られていないか一方向の合成繊維からなる撚り合わされたスレッドからなり、例えばスレッドはフィラメントとも称される1,000の合成繊維からなる。ストランド内のスレッドの撚り方向は、個々の繊維がケーブルの張力方向に、またはケーブルの長手方向軸に向くように提供される。各スレッドは、合成材料浴で含浸される。スレッドまたはストランドを包囲する合成材料はまた、マトリックスまたはマトリックス材料とも称される。スレッドを撚ってストランドを形成した後、スレッドの合成材料が熱処理によって均質化される。その結果、ストランドは滑らかなストランド表面を有し、その結果、ストランドは合成材料に完全に埋め込まれた撚り合わされたスレッドからなる。
【0011】
繊維はマトリックスによって互いに連結されるが、繊維は互いに直接接触しない。マトリックスは繊維を完全に囲うかまたは埋め込み、繊維を摩滅や摩耗から保護する。ケーブルの機構学により、ストランドの個々の繊維間で変位が生じる。これらの変位は、フィラメント間の相対運動によって平行移動しないが、マトリックスの可逆的な延伸によって平行移動する。
【0012】
スレッドを撚り合わせてストランドを形成することは、第1の撚り段階と称される。ストランドを撚り合わせて張力キャリヤを形成するかまたはケーブルを形成することは、第2の撚り段階と称される。張力キャリヤは、例えばアラミド繊維、ベクトラン(登録商標)繊維、ポリエチレン繊維、ポリエステル繊維などの化学繊維から構成されることができる。
【0013】
曲げ応力を減少させるために、張力キャリヤは、各ストランド層に撚り合わされる薄いストランドからなり、各ストランドは、各スレッド層に撚り合わせられるスレッドからなる。ストランドの直径が小さくなればなるほど、駆動プーリの周囲または偏向プーリの周囲で曲がることから生じる曲げ応力はより小さくなる。張力キャリヤのより小さなストランドの直径および多層(2重層、3重層、または4重層)構造によって、ストランドの摩耗につながるストランドからストランドまでの相対運動が小さく保たれることができる。したがって、張力キャリヤの高い耐用年数が保証される。さらに、ストランドには、寸法要因によってより大きな直径を有するストランドよりも高い引張強度を有するものもあり、このことは有利にもより高い破損力の結果となる。
【0014】
特にエレベータケージおよび釣合いおもりの支持駆動手段として、エレベータ構造で使用するための支持駆動手段は、例えば、平ベルトまたはリブドベルトの幾何学的形状、またはタイミングベルトの幾何学的形状を有することができる。他の現在のベルトの幾何学的形状もまた考え得る。張力キャリヤは、ベルト内で互いに隣接して配置され、張力キャリヤは、交互にS方向およびZ方向に撚られるかまたは撚り合わされ、互いに比較的近接して隣接して位置する。それぞれのベルトの幾何学的形状により、少なくとも2つの、好ましくは4個と12個との間の張力キャリヤが設けられる。
【0015】
これらの張力キャリヤは、さらに上述されているように繊維複合材料として構成され、ストランドを包囲している合成材料(マトリックス材料)は、好ましくはポリウレタンであり、50Dから75Dの硬度範囲にあり、張力を受ける繊維は、好ましくはアラミドである。摩擦係数および摩耗を減少させるために、1%〜10%のテフロン(登録商標)がマトリックス材料に混合されている。ワックスまたは「テフロン(登録商標)」粉末など他の添加物もまた、使用可能である。
【0016】
さらに、シースのショア硬さとマトリックスのショア硬さとの間には関連がある。シースは72Aから95Aまでのショア硬さを有することができ、マトリックスは80Aから98Aまでのショア硬さを有することができる。シースおよびマトリックスの材料硬度が互いに近づく場合、ついで、試験から明らかになっているように、シースとマトリックスとの間の改良された関連が得られる。あまりにも硬いシース材料が使用される場合、き裂の促進が考慮されなければならない。撚り合わされて張力キャリヤを形成するストランドのマトリックス材料があまりにも柔らかく選択される場合、ストランドの摩耗が増大し耐用年数がかなり減少することになる。シースのショア硬さ85Aとマトリックスのショア硬さ95A(これはショア硬さ54Dに相当する)との組合せが、理想的であると証明されている。
【0017】
張力キャリヤは、支持駆動手段のトルクを回避するために、S方向およびZ方向に交互に撚られるかまたは撚り合わされる。1つの張力キャリヤのトルクは、他の張力キャリヤのうちの第1のキャリヤに対して反対方向にねじれるので、トルクが互いに相殺する。トルクが中立である支持駆動手段は、張力がもたらされることによってねじれない。さらに、S方向に撚り合わされる2つまたは3つの張力キャリヤ、およびZ方向に撚り合わされる2つまたは3つの張力キャリヤは、互いに隣接して配置されることができる。S方向およびZ方向の撚り合わせは、支持駆動手段の中心に延びる長手方向軸に対するトルクが中立であることが重要である。
【0018】
駆動プーリまたは偏向プーリの直径Dに対するストランド層の撚り長さの最適の比率は、さらに有利である。撚り長さSLは、駆動プーリまたは偏向プーリ上に載置される撚り長さの必要な数n、プーリ直径D、および巻く角度アルファによって決まる。すなわち、
SL=(Pi×D×alpha)/(n×360°)
nは、試験から決定されたものであり、2から5までの範囲内にある。
【0019】
撚り長さSLはまた、合成繊維の弾性係数と関連がある。弾性係数が増加すると、支持手段のばね剛性が減少することなく、変化しない繊維の横断面積に対するより小さな撚り長さが選択されることができる。撚り長さSLは通常、張力キャリヤ直径dの4倍から10倍である。SL=(4〜10)×dであり、比率D/dは、10から50に等しい(張力キャリヤ直径dに対する駆動プーリ直径D)。
【0020】
駆動プーリ上の張力キャリヤの圧力pは、以下の式によって計算される。すなわち、
p=2×F×k/(d×D)
F=最大発生静的張力
d=張力キャリヤの直径
D=駆動プーリの直径またはプーリの直径
k=増幅定数>=1(溝の幾何学的形状による)
pは、2MPa〜50MPaの数値をとることができる。
【0021】
本発明による支持駆動手段は、平ベルト状であり、少なくとも2つの合成繊維の張力キャリヤからなり、張力キャリヤが支持駆動手段の長手方向軸に対して互いからある間隔で軸方向に平行に延びてシースに埋め込まれおり、また、各張力キャリヤは、いくつかのストランドからなり、各ストランドがいくつかの撚り合わされたスレッドから形成される。
【0022】
添付の図面にもとづいて、本発明をさらに詳細に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
図1は、張力キャリヤ1の構造を示している。張力キャリヤ1は、いくつかのストランド層、すなわち、外側ストランド層2、第1の内側ストランド層3、第2の内側ストランド層4、およびコア層5を備える。シースは、6で示されている。外側ストランド層2のストランド7の構造および直径は、同一である。第1の内側ストランド層は、直径がより大きなストランド8および直径がより小さなストランド9からなる。より大きなストランド8は、第2の内側ストランド層4のストランド10、およびコア層5と直径がほぼ一致する。外側ストランド層2のストランド7は、第1の内側ストランド層3のより大きなストランド8、および第2の内側ストランド層4のストランド10よりも直径が大きい。内側ストランド層3、4のより大きなストランド8は、第1の内側ストランド層3のより小さなストランド9よりも直径が大きい。第1の内側ストランド層3のより大きなストランド8および第2の内側ストランド層4のストランド10は、コア層5と直径がほぼ同じ寸法である。第2の内側ストランド層4のストランド10は、コア層5の周囲に撚り合わされ、第1の内側ストランド層3のストランド8、9は、第2のストランド層4の周囲に撚り合わされ、外側ストランド層2のストランド7は、第1の内側ストランド層3の周囲に撚り合わされる。
【0024】
ストランド5、7、8、9、10は、順番に撚り合わされていないか一方向の合成繊維からなる撚り合わされたスレッドからなる。張力キャリヤ1は、例えばアラミド繊維、ベクトラン(登録商標)繊維、ポリエチレン繊維、ポリエステル繊維などの化学繊維から構成されることができる。張力キャリヤ1は、1つ、または2つ、または3つより多いストランド層からなることもできる。
【0025】
図1は、ストランド層のストランドが相互に間隔を置いて配置されている張力キャリヤ1を示す。外側ストランド層2の2つのストランド7の間隔は、d1によって示されている。第1の内層3の2つのストランド8、9の間隔は、d2によって示されている。第2の内側ストランド層4の2つのストランド10の間隔は、d3によって示されている。例えば、d1は0.05ミリメートル〜0.3ミリメートルの範囲内にあることができ、d2およびd3は0.01ミリメートル〜0.08ミリメートルの範囲内にあることができる。
【0026】
相互の間隔によって、外側ストランド層2のストランド7は、径方向rにケーブルの中心の方向に移動することができ、第1の内側ストランド層3のストランド8、9に径方向の圧力を加えることができる。径方向の圧力は、第1の内側ストランド層3のストランド8、9によって、第2の内側ストランド層4のストランド10に伝えられる。径方向の圧力は、第2の内側ストランド層4のストランド10によって、コア層5に伝えられる。径方向の圧力は、ストランド層からストランド層へ内方に増大する。
【0027】
それぞれのストランド層のストランド7、8、9、10が示されるように円周方向Urに互いに衝突することになると、牽引力は、外側ストランド層2のストランド7から第1の内側ストランド層3のストランド8、9に、または外側ストランド層2のストランド7から第2の内側ストランド層4のストランド10に、さらにはコアストランド5に伝えられることができない。
【0028】
図2は、支持駆動手段の長手方向軸に対して軸方向に平行に延びる図1による少なくとも2つの張力キャリヤ1を備えた、支持駆動手段11の概略図を示す。支持駆動手段11は、張力キャリヤ1を包囲するか、または張力キャリヤ1が中に埋め込まれているベルト本体12またはシース12からなる平ベルトの幾何学的形状を有する。ベルトの裏側は、13によって示されている。ベルトの走行面は平らであり、ベルトの裏側13に対して平行であることができ、または、図2に示されているように、張力キャリヤ1に対して軸方向に平行に走る台形状のリブ14および溝15を有することもでき、ここでは駆動プーリまたは偏向プーリの輪郭が、ベルト11の走行面16の輪郭とほぼ相補的である。駆動プーリまたは偏向プーリは、ベルト11と連動して力ロックを形成する。リブ14につき1つの張力キャリヤ1が設けられ、張力キャリヤ1は、Z方向およびS方向に交互に撚られるか撚り合わされる。図2に示される台形状のリブ14の代わりに、半円形のリブもまた設けられることができる。タイミングベルトでは、リブ14および溝15が張力キャリヤ1に対して横方向にまたは斜方に走る。駆動プーリまたは偏向プーリは、ベルト11と連動して形状ロックを形成する。
【0029】
上述し、かつ図3で説明したように、ベルト11、111内の張力キャリヤ1は、S方向およびZ方向に交互に撚られるか撚り合わされる。外側ストランド層2のストランド7は、第1の内側ストランド層3のストランド8、9と同じ方向に撚られ、または、第2の内側ストランド層4のストランド10と同じように撚られる。1つのストランド層のストランドの撚り方向は、他のストランド層のストランドの撚り方向に対して異なっていてもよい。張力キャリヤ1は、上述のように平行撚り(equal lay)で撚り合わされないが、交差撚りとも称される逆撚りで撚り合わされる。例えば、外側ストランド層2のストランド7は、S方向に撚り合わされ、第1の内側ストランド層3のストランド8、9はZ方向に、かつ第2の内側ストランド層4のストランド10は再びZ方向に撚り合わされ得る。逆撚りで撚り合わされた張力キャリヤは、トルクが中立である。
【0030】
図3は、支持駆動手段の長手方向軸に対して軸方向に平行に延びる図1による少なくとも2つの張力キャリヤ1を備えた、支持駆動手段11を示す。支持駆動手段11は、張力キャリヤ1を包囲するか、または張力キャリヤ1が中に埋め込まれているケーブル本体112またはシース112からなる2重ケーブル11の幾何学的形状を有する。左側の張力キャリヤ1は、Z方向に撚られ、右側の張力キャリヤ1は、S方向に撚られている。各張力キャリヤは、いくつかのストランド層2、3、4を備え、ストランド層を形成するストランド7、8、9、10が撚り合わされている(その下にあるストランド層を中心としてストランド層のストランドの互いの周囲にらせん状にねじられている)。合成繊維は束になってスレッドを形成し、いくつかのスレッドがS方向またはZ方向に撚り合わされてストランドを形成する。
【0031】
2重ケーブル111は、シース112と共にフラットケーブルまたは平ベルトとして構成されることができるか、または、張力キャリヤ1間に狭窄部113を有することができる。狭窄部13を備えた変形例の場合、断面図に示されるように、駆動プーリを備えた2重ケーブル111の共通の走行面116が、各例において、張力キャリヤ1のほぼ半円および半分の狭窄部113から形成される。駆動プーリまたは偏向プーリの輪郭は、ほぼ補完的な方法で2重ケーブル111の走行面116の輪郭に合致する。さらに、2つより多い張力キャリヤ1はまた、共通のシースによって覆われることができ、狭窄部113の有無にかかわらず張力キャリヤ1間に複数のケーブルを形成することができる。
【0032】
ストランド7と比べるとかなり柔らかいシース112は、ほぼ第1の内側ストランド層3まで達し、ストランド7を相互に支持するのに影響がない。柔らかいシース6は、ストランド7間の支持部として円周方向Urに作用しない。外側ストランド層2のストランド7は、径方向内側に移動する位置にある。シース材料は、例えば75Aから95Aのショア硬さの範囲内にあることができ、ストランド7のマトリックス材料またはストランド7のマトリックスは、例えば50Dから75Dのショア硬さの範囲内にあることができる。
【0033】
図4は、図1によるリブ14につき1つの3重層の張力キャリヤ1を備えた支持駆動手段11の実施形態の一例を示す。上述したように、張力キャリヤ1は、Z方向およびS方向に交互に撚られるか撚り合わされる。支持駆動手段11の寸法と、張力キャリヤの直径およびストランドの直径の寸法とは、ミリメートルで示されている。
【0034】
図5は、リブ14につき1つの2重層の張力キャリヤ1を備えた支持駆動手段11の実施形態の一例を示す。外側ストランド層2は、省略されている。したがって、より大きな直径を備えたストランドが使用されている。上述したように、張力キャリヤ1は、Z方向およびS方向に交互に撚られるか撚り合わされる。張力キャリヤの直径の寸法、およびストランドの直径の寸法は、ミリメートルで示されている。図5による張力キャリヤ1の直径と、図6による張力キャリヤ1の直径とは、同じである。相当するストランドの直径が異なる。
【0035】
図4および図5による支持駆動手段11は、48ミリメートルの幅に対して60kN〜90kNの降伏力を有し、90ミリメートル以上の駆動プーリの直径または偏向プーリの直径に適している。所望の耐用年数および支持駆動手段の所望の曲げ数と同様に、張力キャリヤの直径dに対するプーリの直径Dの比率は、例えばD/dが16から45の範囲内にあるなど考慮されなければならない。
【0036】
図6は、図1によるリブ14につき2つの3重層の張力キャリヤ1を備えた支持駆動手段11の実施形態の一例を示す。上述したように、張力キャリヤ1は、Z方向およびS方向に交互に撚られるか撚り合わされる。張力キャリヤの直径の寸法、およびストランドの直径の寸法は、ミリメートルで示されている。
【0037】
図7は、リブ14につき2つの3重層の張力キャリヤを備えた支持駆動手段11の実施形態の一例を示す。外側ストランド層2は、省略されている。したがって、より大きな直径を備えたストランドが使用されている。上述したように、張力キャリヤ1は、Z方向およびS方向に交互に撚られるか撚り合わされる。張力キャリヤの直径の寸法、およびストランドの直径の寸法は、ミリメートルで示されている。図7による張力キャリヤ1の直径と、図8による張力キャリヤ1の直径とは、同じである。相当するストランドの直径が異なる。
【0038】
図6および図7の張力キャリヤ1は、図4および図5の張力キャリヤ1より実質的に直径が小さい。
【0039】
図6および図7による支持駆動手段11は、48ミリメートルの幅に対して60kN〜90kNの降伏力を有し、90ミリメートル以上の駆動プーリの直径または偏向プーリの直径に適している。張力キャリヤの直径に対するプーリの直径の比率、所望の耐用年数、または支持駆動手段の所望の曲げ数は、考慮されなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】張力キャリヤの構造を示す。
【図2】張力キャリヤを備えた支持駆動手段の概略図を示す。
【図3】図1による少なくとも2つの張力キャリヤを備えた支持駆動手段の変形実施形態を示す。
【図4】リブにつき1つの3重層の張力キャリヤを備えた支持駆動手段の実施形態の一例を示す。
【図5】リブにつき1つの2重層の張力キャリヤを備えた支持駆動手段の実施形態の一例を示す。
【図6】リブにつき2つの3重層の張力キャリヤを備えた支持駆動手段の実施形態の一例を示す。
【図7】リブにつき2つの2重層の張力キャリヤを備えた支持駆動手段の実施形態の一例を示す。
【符号の説明】
【0041】
1 張力キャリヤ
2 外側ストランド層
3 第1の内側ストランド層
4 第2の内側ストランド層
5 コア層
6 シース
7、10 ストランド
8 より大きなストランド
9 より小さなストランド
11、111 支持駆動手段、ベルト
12、112 ベルト本体、シース
13 ベルトの裏側
14 リブ
15 溝
16、116 走行面
113 狭窄部
d1 2つのストランド7の間隔
d2 2つのストランド8、9の間隔
d3 2つのストランド10の間隔
r 径方向
Ur 円周方向
d 張力キャリヤの直径
D プーリの直径

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの合成繊維の張力キャリヤ(1)を備えた平ベルト状の支持駆動手段(11)であって、張力キャリヤ(1)が互いからある間隔で支持駆動手段(1)の長手方向軸に対して軸方向に平行に延び、シース(12)内に埋め込まれる、平ベルト状の支持駆動手段(11)において、各張力キャリヤ(1)が、少なくとも1つのストランド層(2、3、4)に配置されるいくつかのストランド(7、8、9、10)を備えることを特徴とし、各ストランド(7、8、9、10)が、マトリックス材料に埋め込まれ合成繊維から構成されるいくつかの撚り合わされたスレッドから形成され、シースとマトリックスとの間の改良された連結のためにシース材料のショア硬さがマトリックス材料のショア硬さと類似している、平ベルト状の支持駆動手段(11)。
【請求項2】
シース材料が72Aから95Aまでのショア硬さを有し、らせん状に撚り合わされたストランド(7、8、9、10)のマトリックス材料が80Aから98Aまでのショア硬さを有することを特徴とする、請求項1に記載の支持駆動手段。
【請求項3】
支持駆動手段(11、111)が、少なくとも2つの張力キャリヤ(1)を包囲するか、または張力キャリヤ(1)が中に埋め込まれているベルト本体(12、112)またはシース(12、112)からなり、かつ走行面(16、116)を有するベルトの幾何学的形状を有することを特徴とする、請求項1または2に記載の支持駆動手段。
【請求項4】
撚り合わせが、ベルトの中心に延びる長手方向軸に対してベルト(11、111)内の張力キャリヤ(1)のS方向およびZ方向のトルクに関して中立であることを特徴とする、請求項3に記載の支持駆動手段。
【請求項5】
張力キャリヤ(1)が逆撚りに撚り合わされ、または、1つのストランド層のストランドの撚り方向が、他のストランド層のストランドの撚り方向と異なることを特徴とする、請求項4に記載の支持駆動手段。
【請求項6】
ストランド層(2、3、4)の撚り長さ(SL)が、駆動プーリまたは偏向プーリの直径(D)、駆動プーリまたは偏向プーリ上に載置される撚り長さ(SL)の必要な数(n)、合成繊維の弾性係数、および駆動プーリまたは偏向プーリ上の支持駆動手段(11)の巻き角度(アルファ)によって決まることを特徴とする、請求項4または5に記載の支持駆動手段。
【請求項7】
ベルト(11、111)の走行面(16、116)が平らであり、またはリブ(13)および溝(15)を有することを特徴とし、駆動プーリまたは偏向プーリの輪郭が、ベルト(11)の走行面(16)の輪郭とほぼ補完的な方法で合致し、駆動プーリまたは偏向プーリがベルト(11、111)と連動して力結合または形状結合を形成する、請求項1から6のいずれか一項に記載の支持駆動手段。
【請求項8】
張力キャリヤの直径dに対する駆動プーリ直径Dまたは偏向プーリ直径Dの比率D/dが16から50の範囲内にあることを特徴とする、請求項7に記載の支持駆動手段。
【請求項9】
少なくとも1つの張力キャリヤ(1)が各リブ(14)に対して設けられていることを特徴とする、請求項7または8に記載の支持駆動手段。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−111549(P2008−111549A)
【公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−237613(P2007−237613)
【出願日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【出願人】(390040729)インベンテイオ・アクテイエンゲゼルシヤフト (166)
【氏名又は名称原語表記】INVENTIO AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】