強く配向した成分繊維から形成された不織布層を含む弾性ラミネートおよびそれを用いる使い捨て着衣
【課題】使い捨て着衣に用いられる、伸長性の減少しない弾性ラミネートを提供する。
【解決手段】第1の表面および第1の表面の反対側の第2の表面を有するエラストマー材料124、および該エラストマー材料の第1の表面に結合する第1の不織布層122を含み、第1の不織布層は、主たる繊維方向を有する成分繊維から形成され、該第1の不織布層は、少なくとも約65%の主たる繊維方向から±約20度の範囲の繊維配向比を有する弾性ラミネート、並びに該弾性ラミネートを用いた使い捨て着衣。
【解決手段】第1の表面および第1の表面の反対側の第2の表面を有するエラストマー材料124、および該エラストマー材料の第1の表面に結合する第1の不織布層122を含み、第1の不織布層は、主たる繊維方向を有する成分繊維から形成され、該第1の不織布層は、少なくとも約65%の主たる繊維方向から±約20度の範囲の繊維配向比を有する弾性ラミネート、並びに該弾性ラミネートを用いた使い捨て着衣。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は弾性ラミネートに関する。特に、本発明は、強く配向した成分繊維から形成された不織布層を含む弾性ラミネートに関する。本発明はまた、そのような弾性ラミネートを用いる使い捨て着衣にも関する。そのような使い捨て着衣の例には、使い捨てアンダーウエア、プル・オンおむつおよびトレーニングパンツを含む使い捨ておむつ、および月経時の使用のための使い捨てパンティが含まれる。
【背景技術】
【0002】
弾性ラミネートはこれまで、スエットバンド、包帯、ボディラップを含むさまざまの使い捨て製品、および使い捨ておむつおよび失禁デバイスを含む使い捨て着衣において用いられてきた。本明細書では、「弾性ラミネート」とは、少なくとも1つの弾性的に伸長性の単層材料を含む弾性的に伸長性の2以上の層状の材料を称する。一般的に、それらの製品は、製品の使用期間全体にわたって適切な弾性部材を用いることにより使用者の身体および/または皮膚に良好な適合感を提供すると思われる。
【0003】
「ゼロストレイン(歪のない)」ストレッチラミネートは、そのような使い捨て製品にとって好ましく用いられる弾性ラミネートの1つのタイプである。たとえば、「ゼロストレイン」ストレッチラミネートウエブを作るための方法は、1992年12月1日にウエーバーらに発行された米国特許第5,167,897号、1990年10月20日にビュエル(Buell)らに発行された米国特許第5,156,793号、および1992年9月1日にウエーバーらに発行された米国特許第5,143,679号において開示されている。そのような「ゼロストレイン」ストレッチラミネートについての製造方法においては、エラストマー材料は、実質的に張力を掛けられていない(ゼロストレインの)状態で少なくとも1つのコンポーネント材料に有効に結合している。得られる複合ストレッチラミネートの少なくとも一部は、そのとき、非弾性コンポーネントを恒久的に伸長させるのに十分な機械的伸長に供されている。ついで、複合ストレッチラミネートは、その実質的に張力を掛けられていない状態に回復させられる。このように、弾性ラミネートは、「ゼロストレイン」ストレッチラミネートに形成される。本明細書で、「ゼロストレイン」ストレッチラミネートとは、実質的に張力を掛けられていない(「ゼロストレイン」の)状態における間にその同じ面積を有する表面の少なくとも一部に沿って互いに固定される少なくとも2つの層(ply)の材料で構成されるラミネートを称し、層の1つは伸長性でエラストマー性である(すなわち、掛けられている張力が解き放たれた後にその張力を掛けられていない寸法に実質的に回復する)材料を具備し、第2の層は伸長性であり(しかしエラストマー性である必要はなく)、それで、伸長の際に第2の層は少なくともある程度まで恒久的に伸張し、それで、掛けられた(引っ張り)張力の解放の際にその元の変形していない形状に完全に回復しない。それにより得られるストレッチラミネートは、最初の伸長の方向に少なくとも最初の伸長のポイントまで弾性的に伸長性にされる。
【0004】
上記のように、そのような「ゼロストレイン」ストレッチラミネートの製造プロセスは、非弾性的複合ストレッチラミネートを非弾性的コンポーネントを恒久的に伸張させるのに十分な機械的伸長に供する工程を含む。この工程は、通常の弾性ラミネート化プロセスに対して付加的であり、弾性ラミネートにおいて用いられる材料に制限を与える。たとえば、弾性ラミネートにおいて用いられるエラストマー材料および他の複合材料は、十分な物理的強度または靭性を有する必要がある。というのは、それらの材料は、プロセスにより機械的に損傷する傾向があるからである。たとえばもしエラストマー性材料が十分な強度または靭性を有さないならば、エラストマー性材料は、製造プロセスにおける機械的伸長の間に及び製品の使用の間にエラストマー性材料に加えられる応力により容易に裂かれ、またはちぎれる傾向がある。
【0005】
前述に基づいて、その中に用いられるエラストマー材料についてそのような制限を有さない弾性ラミネートについての必要が存在する。
【0006】
幼児および他の失禁者は、尿および他の身体滲出物を受容し、含有するおむつのような使い捨て着衣を着用する。しばしば「テープタイプ」と呼ばれる1つのタイプの使い捨て着衣は、着用者の腰部領域で使い捨て着衣を保持するファスナーシステムを有する。ファスナーシステムとして、接着剤テープシステムかまたは機械的ファスナーシステム化のいずれかがしばしば用いられる。最近では、弾性的に伸長性のイヤーパネルがこのタイプの使い捨て着衣において好ましく用いられる傾向がある。というのは、それはファスナーシステムとともに機能することにより着用者の腰部領域により優れた適合感を提供しうるからである。しばしば「パンツタイプ」または「プル・オン」と呼ばれるもう1つのタイプの使い捨て着衣は固定された側面を有し、歩くことが可能で、しばしば排泄訓練(toilet training)している子供に対する使用にとって一般的となっている。このタイプのプル・オン着衣は、そのエッジが2つの脚部開口と1つの腰部開口を形成するように互いに継ぎ合わされているイヤーパネルを有する。それはまた、使い捨て着衣のエンドエッジの少なくとも1つに沿って配置される伸長性ウエストバンドをも有する。それらのプル・オン着衣は、身体滲出物を含有する胴体上の位置から垂れ下がり、たわみ、または滑り落ちることなく着用者の腰部と脚部の周りに快適に適合する必要がある。それらのプル・オン着衣の例は、たとえば、イガウエらへの米国特許第5,171,239号、ストロービーン(Strohbeen)らへの米国特許第4,610,681号、1993年9月16日に公開されたWO93/17648号、バン・ゴンペル(Van Gompel)らへの米国特許第4,940,464号、ハッセ(Hasse)らへの米国特許第5,246,433号、およびビュエルらへの米国特許第5,569,234号において開示されている。
【0007】
そのような伸長性イヤーパネルとウエストバンドの良好な性能特性は、それらのタイプの使い捨て着衣にとって重要である。特に、伸長力、回復力、保持力およびイヤーパネルとウエストバンドの有用なストレッチ(エクステンション)を含む伸長特性は、プル・オン着衣についての適合感の性能において重要な考慮項目である。伸長特性は、使用の間にすべての知覚される「ストレッチ感(stretchiness)」を付与者(applicator)と着用者に与える。それはまた、着用のストレッチの適切な程度を達成する付与者の能力にも影響を与える(すなわち、着用の間のおむつの「通常」知覚される張力感については、得られるストレッチの量全体は、適合の良好な快適さを達成/維持することを所望されるものである)。
【0008】
使い捨て着衣の伸長性イヤーパネルおよびウエストバンドにおける良好な性能特性を提供するために、適切な特性を有する弾性材料を含む弾性ラミネートが研究され、使い捨て着衣に適用されてきた。たとえば、1998年3月26日に出願された「使用全体の間に身体により優れた適合感を有する弾性部材および使い捨て着衣」という表題のPCT出願番号PCT/US98/05895は、使い捨て着衣のためのそのような弾性材料を開示する。一般的に、使い捨て着衣は、製品の使用期間全体にわたって適切な弾性ラミネートを用いることにより使用者の身体および/または皮膚に良好な適合感を提供すると思われている。すでに用いられてきたそのような弾性ラミネートの典型的な例には、不織布およびプラスチックフィルムのような非弾性的(またはあまり弾性的でない)材料に結合した弾性材料から形成された複合材料が含まれる。それらの非弾性的(またはあまり弾性的でない)材料は、弾性ラミネートの予測される弾性特性に影響を与える傾向がある。たとえば、それらの材料は、使用の間の伸長性イヤーパネルの弾性的「伸長性(stretchiness)」を減少させる傾向がある。
前述に基づいて、その弾性的「ストレッチネス」を減少させない弾性的ラミネートを用いる使い捨て着衣についての必要もまた存在する。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、少なくとも1方向に弾性的に伸長性である弾性ラミネートに関する。弾性ラミネートには、第1の表面および第1の表面と反対側の第2の表面を有するエラストマー材料およびそのエラストマー性材料の第1の表面と結合する第1の不織布層が含まれる。第1の不織布層は、主たる繊維方向(primary fiber direction)を有する成分繊維から形成されている。第1の不織布層は、少なくとも約65%の主たる繊維方向から約±20度の範囲内の繊維配向比(Fiber Orientation Ratio)を有する。
【0010】
本発明はまた、前方領域、後方領域、および前方領域と後方領域の間のクロッチ領域を有する使い捨て着衣にも関する。使い捨て着衣は、前方、後方およびクロッチ領域を備え、前方および後方領域にエッジラインを有するシャーシを備える。シャーシは、液体透過性トップシート、そのトップシートと結合する液体不透過性バックシート、およびトップシートとバックシートとの間に配置される吸収性コアを含む。
【0011】
本発明の1つの側面において、使い捨て着衣はさらに、前方または後方領域のシャーシから横に外側に伸びる少なくとも1対の伸長性サイドパネルを備える。サイドパネルの少なくとも1つは、少なくとも横方向に弾性的に伸長性の弾性ラミネートを含む。弾性ラミネートは、第1の表面および第1の表面と反対側の第2の表面を有するエラストマー性材料およびそのエラストマー性材料の第1の表面に結合する第1の不織布層を含む。第1の不織布層は主たる繊維方向を有するコンポーネント繊維から形成される。第1の不織布層は、少なくとも65%の主たる繊維方向から約±20度の範囲内の繊維配向比を有する。
【0012】
本発明のもう1つの側面において、使い捨て着衣はさらに、使い捨て着衣のエンドエッジの少なくとも1つに沿って配置されるウエストバンドを備える。ウエストバンドは、少なくとも横方向に弾性的に伸長性の弾性ラミネートを含む。弾性ラミネートは、第1の表面および第1の表面と反対側の第2の表面を有するエラストマー材料およびそのエラストマー材料の第1の表面に結合する第1の不織布層を含む。第1の不織布層は、主たる繊維方向を有する成分繊維から形成される。第1の不織布層は、少なくとも約65%の主たる繊維方向から約±20度の範囲内の繊維配向比を有する。
【0013】
本発明のそれらのおよび他の特徴、側面および長所は、本明細書の開示を読むことにより当業者に明らかとなるであろう。
【発明の詳細な説明】
【0014】
すべての引用された参照文献は、その全体について参照により本明細書に組み込まれる。いずれの参照文献の引用も、特許請求される発明に対する先行技術としてのその入手可能性としてのいずれかの決定とみなす認可ではない。
【0015】
本明細書では、「具備する、備える(comprise)」、「含む(include)」および「有する(have)」とは、最終結果に影響を与えない他の要素および工程が加えられうることを意味する。それらの術語は、「からなる(consisting of)」および「本質的に〜からなる(consisting essentially of)」といった術語を包含する。
【0016】
本明細書では、「gf」はグラム力をあらわす。
【0017】
本明細書では、「結合した(joined)」または「結合している(joining)」とは、ある要素を直接他の要素に固着させることによりある要素が直接もう1つの要素に固定される形状およびある要素を中間部材に固着させ、次いで、それが他の要素に固着することによりある要素が間接的に他の要素に固定される形状を包含する。
【0018】
本明細書では、「層(layer)」とは、層が実際には材料のシートまたはウエブの積層体または組み合わせを含みうるという意味において、要素を材料の単一の層(stratum)に限定する必要はない。
【0019】
本明細書では、「不織布」とは、確認可能な方式で織り合わせられている個々の繊維の構造を作り出すテキスタイル製織プロセスの使用なしで形成されたいずれの材料をも含みうる。適切な不織布を作る方法には、紡糸結合不織プロセス、溶融ブロー不織プロセス、カーディング不織プロセスなどが含まれる。
【0020】
A.積層体構造
本発明は、ここで用いられるエラストマー材料に制限を有さない弾性ラミネートに関する。本発明のその及び他の長所は本明細書でより詳細に記載される。
【0021】
図1は、弾性ラミネートに形成される前の1つの好ましい態様の弾性ラミネート70の部分拡大斜視図である。(形成後の弾性ラミネート70の好ましい態様は、図2および3において示されている。)図1を参照すると、本発明の弾性ラミネート70は、第1の表面150および第1の表面150の反対側の第2の表面152を有するエラストマー層124およびエラストマー層124の第1の表面150に結合する第1の不織布層122を含む。好ましい態様においては、エラストマー層124の第1の表面150および第2の表面152は第1の不織布層122の平面と実質的に平行である。第1の不織布層122は、内部表面(または第1表面)142および外部表面(または第2表面)144を有する。第1の不織布層122の内部表面142は、エラストマー層124に面して位置する表面である。
【0022】
好ましい態様において、弾性ラミネート70はさらに弾性材料70の第2の表面152に結合する第2の不織布層126を含む。第2の不織布層126もまた内部表面146および外部表面148を有する。第2の不織布層126の内部表面146は、エラストマー層124に面して位置する表面である。エラストマー層124の第2の表面152は、第2の不織布層126の平面と実質的に平行である。好ましい態様において、不織布層126は、第1の不織布層122において用いられているものと同一の不織布材料により形成されている。代わりに、不織布層126は、第1の不織布層122において用いられているものとは異なる材料により形成されうる。
【0023】
本発明の弾性ラミネート70は、少なくとも1方向(第1方向)に弾性的に伸長性である。たとえば、図1において示されている弾性ラミネート70は、構造的方向Dに弾性的に伸長性である。本明細書では、「構造的方向」(たとえばDおよびB)は、実質的に第1の不織布層122の平面に沿ってそれと平行に伸びる方向を意味することが意図される。好ましい態様において、弾性ラミネート70はまた、第1の方向に垂直である第2の方向に弾性的に伸長性でもある。たとえば、図1において示される弾性ラミネート70は、また、構造的方向Bに弾性的に伸長性でもある。
【0024】
B.不織布層
本発明の第1の不織布層122は、互いに結合する成分繊維から形成される。その成分繊維は、主たる繊維方向を有する。第1の不織布層122は、少なくとも約65%、より好ましくは少なくとも約75%、さらにより好ましくは少なくとも約85%の主たる繊維方向から±約20度の範囲の繊維配向比(FOR20)を有する。より好ましい態様において、第1の不織布層122は、加えて、少なくとも約45%、より好ましくは少なくとも約60%、さらにより好ましくは少なくとも約70%の主たる繊維方向から±約10度の範囲の繊維配向比(FOR10)を有する。
【0025】
「FOR#」(たとえば、FOR10)とは、成分繊維の総数に対するその方向が主たる繊維方向から±約#度(たとえば、±10度)の範囲内にある成分繊維の数の比を示す。本明細書では、「主たる繊維方向」とは、不織布層における成分繊維の平均方向を称する。不織布層の繊維配向比を測定するための1つの好ましい方法は、以下により詳細に説明される。
【0026】
好ましい態様において、第1の不織布層122は、少なくとも約15、より好ましくは少なくとも約60の引っ張り強度比(Tensile Strength Ratio;TSR)を有する。TSRは、以下の計算、 TSR=TS1/TS2 (1)
(式中、 TS1(gf/インチ)は、主たる繊維方向における破壊点における引っ張り強度(TS)であり、 TS2(gf/インチ)は、主たる繊維方向に対して垂直である垂直方向における破壊点における引っ張り強度(TS)である)
により定義される。
【0027】
引っ張り強度(ST)は、第1の不織布層122がその破壊点まで約20インチ/min(約50cm/min)の速度で伸長される間に記録される最大引っ張り強度値として測定される。第1の不織布層122の引っ張り強度は、第1の不織布層122がエラストマー層124に結合する前に測定される。
【0028】
好ましい態様において、第1の不織布層122は、主たる繊維方向に垂直である方向への30%伸長の際に約200gf/インチ(約80gf/cm)未満の引っ張り強度を有し、より好ましくは約100gf/インチ(約40gf/cm)未満であり、さらにより好ましくは、約50gf/インチ(約20gf/cm)未満である。
【0029】
第1の不織布層122は、たとえば、天然繊維(たとえば、木材および綿繊維)、合成繊維(たとえば、ポリオレフィン、ポリエステル、ナイロンおよびレーヨン繊維)または天然繊維および/または合成繊維の混合物を含む広範な成分繊維から製造されうる。製造の容易さと原価効率のために、第1の不織布層122は、好ましくは、合成連続繊維から形成される。より好ましくは、そのような合成連続繊維は、ポリオレフィン(たとえば、ポリエチレンおよびポリプロピレン)またはポリエステルから形成される。好ましいポリエステル材料には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートおよびポリプロピレンテレフタレートまたはそれらの混合物が含まれる。好ましい態様においては、第1の不織布層122は、加えて、ポリオレフィンおよびナイロンのような他の材料(すなわち、非ポリエステル材料)から形成される成分繊維を含む。
【0030】
好ましい態様において、個々の成分繊維は、上記材料から選択される単一のタイプの材料から形成される(すなわち、個々の繊維は、ポリオレフィンおよびナイロンから作られていない)。好ましくは、成分繊維は、ポリエステルから形成され、より好ましくはポリエチレンテレフタレートまたはその関連物質(relative)の1種から形成され、それは、約5,000から約60,000、好ましくは約10,000から約40,000、より好ましくは約14,000から約23,000の平均分子量を有する。代わりに、成分繊維は、上記材料から選択される2(または3以上の)材料の混合物から形成されうる。
【0031】
1つの態様において、成分繊維は、ポリエステルとポリオレフィンの2種の異なる材料から形成されるバイコンポーネント繊維構造を有する。別態様において、成分繊維は、たとえばポリエステルの1種の同一材料の2種の異なる分子量材料から形成されるバイコンポーネント繊維構造を有する。好ましいバイコンポーネント繊維構造には、当該技術において公知のサイド・バイ・サイド・バイコンポーネント繊維構造およびシース・コア・バイコンポーネント繊維構造が含まれうる。1つの態様において、成分繊維は、ポリオレフィンのコアとポリエステルのシースを有するバイコンポーネント繊維構造を有する。
【0032】
好ましい態様において、第1の不織布層122は、約60g/m2未満の坪量を有し、約50μm未満の繊維直径を有する繊維を含む。より好ましくは、使い捨て着衣などのような製品については、第1の不織布層122は、約3g/m2から約50g/m2、より好ましくは、約10g/m2から約25g/m2の坪量、および約1μmから約30μm、より好ましくは約3μmから約20μmの繊維直径を有する。
【0033】
成分繊維は、接着剤、熱結合、ウォーター・ジェッティング、ニードリング/フェルティング、または不織布を形成するための当該技術において公知の他の方法により互いに結合しうる。好ましい態様において、第1の不織布層122は、当該技術において公知の連続成分繊維またはフィラメントを取り扱う不織布製造方法により形成される。好ましい製造方法は、たとえば、1998年5月20日に公開されたEP0843036A1(クリハラら)、1994年5月17日にクリハラらに発行された「不織布ならびにそれを作るための方法および装置」という表題の米国特許第5,312,500号、1990年11月5日に公開された特開平2−269859号、1985年6月19日に公告された特公昭60−25541号において記載されている。
【0034】
第1の不織布層122に対して適切に適用可能である好ましい不織布は、コード番号MBE8202−3−2、MBE8202−3−1、MBE7711−2、MBE6515−10、およびMBE7922−1の下で日本の東京の日本石油化学株式会社から入手可能であり、それらは以下の特性を有する。
【表1】
【0035】
C.エラストマー材料
エラストマー層124は、広範な大きさ、形状および形態で形成されうる。好ましい態様において、エラストマー層124は、たとえば、図1において示されえるような連続平面層の形態で存在する。連続平面層の好ましい形態には、スクリム、穿孔された(すなわち開孔形成された)フィルム、エラストマー織布もしくは不織布などが含まれる。好ましくは、エラストマー層124は、約0.05mmから約1mm(約0.002インチ〜約0.039インチ)の厚さを有する。連続平面層は、製品において適切に付与されうるいずれの形態もとりうる。連続平面層の好ましい形態には、長方形および正方形、台形を含む四角形および他の多角形が含まれる。別態様において、エラストマー層124は、互いに付着していない別々のストランド(またはストリング)の形態で存在する。
【0036】
本発明のエラストマー材料には、当該技術において公知のすべての適切な弾性材料が含まれうる。ここでの使用にとって適切なエラストマー材料には当該技術において公知の合成または天然ゴム材料が含まれる。好ましいエラストマー材料には、ポリスチレンに基づくジブロックおよびトリブロックコポリマーおよび不飽和または完全に水素化されたゴムブロックおよびポリオレフィンポリマーのような他のポリマーとのそれらのブレンドが含まれる。
【0037】
好ましい態様において、エラストマー材料は、スチレンブロックコポリマー系材料を含むポリスチレン熱可塑性エラストマーから作られる。好ましいスチレンブロックコポリマー系材料は、約1重量%から約70重量%のポリスチレン、より好ましくは、約10重量%から約50重量%のポリスチレンを含む。
【0038】
好ましくは、ポリスチレン熱可塑性エラストマーは、スチレン−ブタジエン−スチレン熱可塑性エラストマー、スチレン−イソプレン−スチレン熱可塑性エラストマー、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレン熱可塑性エラストマー、スチレン−エチレン/プロピレン−スチレン熱可塑性エラストマー、スチレン−エチレン/プロピレン熱可塑性エラストマー、水素化されたスチレンブタジエンゴムおよびそれらの混合物からなる群より選択される。
【0039】
好ましいスチレンブロックコポリマー系材料は、約1重量%から70重量%のポリスチレン、より好ましくは約10重量%から約50重量%のポリスチレンを含む。
【0040】
別の好ましい態様においては、エラストマー材料124は、図4において示される多孔性の巨視的に拡張された3次元エラストマーウエブ172である。ウエブ172は、連続の第1表面174および第1の表面174と反対側の不連続の第2の表面176を有する。エラストマーウエブ172は、好ましくは、少なくとも2つのポリマー層178および182を含む形成されたフィルム連絡部材186を含む。第1の層178は実質的に弾性であり、第2の層182は第1の層178より実質的により弾性でない。2つのポリマー層178および182の少なくとも1つは、ポリスチレン熱可塑性エラストマーから形成される。エラストマーウエブ172は、ウエブ172の第1の表面174において多数の主たる(1次)開孔184を示す。主たる開孔184は、連絡部材186の連続網状構造により第1の表面174の平面で規定されている。連絡部材186は、その長さに沿って上方に凹形の断面を示す。連絡部材186はまた、ウエブ172の第2の表面176の平面の中に2次開孔188をも形成する。開孔184および188はいずれの形状も取りうる。好ましいエラストマーウエブは、1997年3月14日に出願された米国特許出願シリアル番号第08/816,106号において開示されている。エラストマー層124のために好ましい多孔性エラストマー材料は、名称X−25007の下でトレデガー(Tredegar)・フィルム・プロダクツから入手可能である。
【0041】
1つの好ましい態様において、エラストマー層124は、図1において示されるスクリム130の形態で存在する。エラストマースクリム130は、あらかじめ決められた角度αで結節点(node)128で複数の第2のストランド127と(結合ありかなしかで)交差すなわちクロスする複数の第1のストランド125を含み、それにより複数の開孔132を有する網状開放構造を形成する。それぞれの開孔132は、開孔132が形態として実質的に長方形(好ましくは正方形)となるように少なくとも2つの隣接する第1のストランド125および少なくとも2つの隣接する第2のストランド127により規定される。平行四辺形または円弧部分のような他の開孔形状もまた与えられうる。そのような形状は、非直線的(non−linear)弾性構造方向を与えるために有用でありうるであろう。好ましくは、第1のストランド125は、実質的に直線的であり、互いに実質的に平行である。そして、より好ましくは、第2のストランド127もまた、実質的に直線的であり、互いに実質的に平行である。より好ましくは、第1のストランド125は、約90度のあらかじめ決められた角度αで結節点128で第2のストランド127と交差する。それぞれの結節点128は、オーバーレイ・ノード(かぶさった結節点)であり、そこでは、第1のストランド125と第2のストランド127は交差するポイントで(結合すなわちボンディングは必要とされないかもしれないと思われるけれども)好ましくは結合すなわちボンディングし、その場合、ストランドは結節点128でいまだ個別に識別可能である。しかしながら、合体したかまたは合体とかぶさりの組み合わせのような他の結節点形状が等しく適切であるであろうと思われる。
【0042】
第1と第2のストランド125および127は、実質的にまっすぐで平行であり、約90度の角度αで交差することが好ましいけれども、第1と第2のストランド125および127は、他の角度αで交差しうるし、第1のストランド125および/または第2のストランド127は、互いに対して円形、楕円形または他の非直線的パターンで並べられうることに注意される。製造の容易さのために、第1のストランド125および第2のストランド127は、(図1において示されるように)弾性ラミネート70に組み込まれる前に実質的に円形の断面形状を有することが配慮されるけれども、第1および第2のストランド125および127はまた、楕円形、正方形、3角形またはそれらの組み合わせのような他の断面形状も有しうる。
【0043】
好ましくは、第1のストランド125のための材料は、第1のストランド125が、弾性ラミネート70を形成する前に相対的に整列状態で第2のストランド127を維持するように選ばれる。第1と第2のストランド125および127のための材料は、弾性ラミネート70を形成する前にあらかじめ決められた圧力または熱による可塑化と組み合わせでのある圧力の適用の際にあらかじめ決定された形態に変形されることが可能である(かまたははじめから形成されている)こともまた望ましい。それらの変形された形態(たとえば、楕円形の第2のストランド、実質的に平坦な第1のストランドなど)は、不快な刺激または他の不快感なしに身体の周りに快適に着用されうる弾性ラミネート70を提供しうる。
【0044】
好ましい態様において、第1と第2のストランド125および127は、同一のエラストマー材料から形成されている。たとえば、第1と第2のストランド125および127は、スチレン−ブタジエン−スチレン熱可塑性エラストマー、スチレン−イソプレン−スチレン熱可塑性エラストマー、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレン熱可塑性エラストマー、スチレン−エチレン/プロピレン−スチレン熱可塑性エラストマー、スチレン−エチレン/プロピレン熱可塑性エラストマー、水素化されたスチレンブタジエンゴムまたは不飽和スチレンブタジエンゴムおよびそれらの混合物からなる群より選択される同一のポリスチレン熱可塑性エラストマーから形成される。スチレン−ブタジエン−スチレン熱可塑性エラストマーを含む好ましい熱可塑性スクリム124は、名称XO2514の下でコンウエド(Conwed)・プラスチックス・カンパニー(アメリカ合衆国ミネソタ州ミネアポリス)により製造される。この材料は、積層の前に構造的方向B(すなわち、第1のストランド125)においてインチあたり約12弾性ストランド(約5ストランド/cm)および構造的方向D(すなわち、第2のストランド127)においてインチあたり約7弾性ストランド(約3ストランド/cm)を有する。
【0045】
代わりに、第1と第2のストランド125および127は、2つの異なる材料から形成される。たとえば、第1と第2のストランド125および127の一方は、上記ポリスチレン熱可塑性エラストマーの1種から形成され、一方、第1と第2のストランド125および127の他方は上記ポリスチレン熱可塑性エラストマー以外の材料から形成されている。そのような他の材料は弾性か非弾性かいずれかでよく、当該技術において公知の適切な材料から選択される。
【0046】
D.エラストマー材料への不織布の結合
本発明の第1の不織布層122は、当該技術において公知のいずれかの手段によりエラストマー層124に結合しうる。好ましい態様において、第1の不織布層122は、当該技術において周知のもののような接着剤手段によりエラストマー層124の第1の表面150に結合する。たとえば、第1の不織布層122は、接着剤の均一連続層、接着剤のパターン化された層、または接着剤の線または点の配列によりエラストマー層124の第1の表面150に固定されうる。接着剤手段により形成される1つの好ましいラミネート構造は、図2において示されている。
【0047】
図2は、弾性ラミネート70の構造的方向Bの方向に見る単純化された部分拡大側面図を示す。この態様において、弾性ラミネート70は、第2の不織布層126を含む。図2を参照すると、第1の接着剤170は、ラミネート構造120のアウターエッジ180のそれぞれに対応する位置において第1の不織布層122の内部表面142に付与される。第1の接着剤170は、代わりにまたは加えて、第2の不織布層126の内部表面146に付与されうる。例示の容易さのために、記載および図は、第1の不織布層122のみへの適用に言及する。
【0048】
このパターンはサイドアンカーゾーンAを作り出し、それはすでに公知のラミネートに関する剥離とクリープを実質的になくし、そしてそれは弾性ラミネート70がクリープ形成または剥離なしにより大きな伸び(atrain)を被ることを可能とする。ラミネート構造120のエッジ領域180に第1の接着剤170を限定することは、弾性ラミネート70の伸長性を妨げることを回避し、また、不織布層122および126における裂開も回避することもまた見出された。好ましくは、第1の接着剤170は、図2において示されるように複数のビーズ168として付与される。好ましくは、第1の接着剤170は、非晶質と結晶化成分を有する可撓性接着剤である。そのような好ましい接着剤は、名称H9224の下でアメリカ合衆国ウィスコンシン州のアト・フィンドレー(Ato Findley)Inc.により作られている。
【0049】
側面固着(side anchoring)は、好ましくは、積層プロセスの一部として不織布層122および126の間にエラストマー層124を固着させるための接着剤ビーズによる側面のり付けにより実施される。代わりに、側面固着は、ソーイング、ヒートシーリング、超音波結合、ニードルパンチ、別ののり付け方法または当業者に公知のいずれか他の手段により実施されうる。
【0050】
より好ましくは、弾性ラミネート70は、第2の接着剤164を含む。好ましくは、第2の接着剤164は、エラストマー接着剤である。第2の接着剤164は、好ましくは、エラストマー層130の第1の表面150に付与される。第2の接着剤164は、好ましくは、螺旋スプレーパターン166で付与され、それにより、直線スプレー付与により形成されるであろうよりもより分離している結合点167bを形成する。理論により拘束されないが、第2の接着剤164のほとんどは、構造的方向Dにスプレーされると思われる(図1)。好ましくは、第2の接着剤164の層は、積層プロセスにおいてエラストマー層124の第1の表面150上に直接付与される。
【0051】
第3の接着剤160もまた好ましくは第2の不織布層126の内部表面146に付与されうる。好ましくは、第3の接着剤160は、エラストマー接着剤である。第2の螺旋接着剤付与166を参照して記載されるのと同様の方式で、第3の接着剤160は、好ましくは、螺旋スプレーパターン162で付与され、それにより直線スプレー付与により形成されるであろうよりもより分離している結合点167aを形成する。好ましくは、第3の接着剤160の層は、積層プロセスにおいてエラストマー層124の第2の表面上に直接付与される。
【0052】
好ましくは、第2と第3の接着剤160および164は、同じエラストマー接着剤である。第2と第3の接着剤螺旋スプレー162および166における使用のために好ましい接着剤は、名称H2120の下でアメリカ合衆国ウィスコンシン州のアト・フィンドレーInc.により作られる。好ましくは、第2および第3螺旋スプレー162および166のそれぞれについての付着(add−on)レベルは、約4mg/インチ(約1.6mg/cm)から約12mg/インチ(約4.8mg/cm)、より好ましくは、約8mg/インチ(約3.2mg/cm)である。
【0053】
別の好ましい態様において、第1の不織布層122は、第1の不織布層122とエラストマー層124との間の熱/圧力結合を形成することによりエラストマー層124の第1の表面150に結合される。本明細書では、「熱/圧力結合」とは、2つの部材が結合の形成により高められた剥離強度を有する部分を有するように2つの異なる部材への適切な熱と圧力の適用により形成される物理的または化学的結合のいずれかである。本明細書では、「剥離強度」とは、互いから2つの部材を分離させるのに必要とされる力の量を称する。より大きな剥離強度とは、典型的には、製品の使用について弾性ラミネートのはがれがより少なくなることにあたる。第1の不織布層122とエラストマー層124の間のそのような熱/圧力結合を形成するために、得られる弾性ラミネートの物理的および/または化学的特性を実質的に損なわない限りある程度の温度で第1の不織布層122とエラストマー層124に圧力が掛けられうる。
【0054】
図3はさらに別態様の弾性ラミネート70の部分斜視図であり、そこでは、第1の不織布層122の一部が熱/圧力結合構造を示すために除去されている。図3においては、第1および第2のストランド125および127により形成されているエラストマースクリム130は、エラストマー層124についての例として用いられている。図3を参照すると、第1の不織布層122は、第1の不織布層122とエラストマー層124との間の熱/圧力結合を形成することによりエラストマー層124の第1の表面150に結合される。好ましい態様においては、弾性ラミネートはさらに、その間にもう1つの熱/圧力結合を形成することによりエラストマー層124の第2の表面152に結合する(図3においては示されていない)第2の不織布層を含む。
【0055】
熱/圧力結合は、エラストマー層124の材料のみを軟化することにより(すなわち、第1の不織布層122の成分繊維を溶融することなしに)形成される。この熱/圧力結合は、好ましくは、第1の不織布層122の材料の融点未満である結合温度での適用により形成される。このことは、一般的に、材料の「溶融」となりうるかまたはなりえない材料の粘度の減少をもたらす。結果として、エラストマー層124の部材材料は、熱/圧力結合を形成するように軟化される。エラストマー層124がポリスチレン成分(segment)を含むポリスチレン熱可塑性エラストマーから形成されるより好ましい態様において、ポリスチレン成分のガラス転移温度より高い結合温度が熱/圧力結合を形成するために付与される。
【0056】
図5は、図3において示される弾性ラミネート70を形成するための積層装置の1つの好ましい例を示す。図5を参照すると、積層装置800は、第1の表面803を有する第1の圧力プレート801および第2の表面804を有する第2のプレート802を含む。第2の圧力プレート802は固定されており、一方、第1の圧力プレート801は、第2の圧力プレート802と協同で第1の不織布層122およびエラストマー層124に圧力Pを掛けるために可動である。好ましくは、第1と第2の表面803および804は実質的に平面であり、互いに実質的に平行である。第1の不織布層122は、第1の不織布層122がエラストマー層124に直接隣接するようにエラストマー層124に近接している。近接した2つの層122および124は、積層装置800に手で供給される。好ましい積層装置800は、商品名「ヒートシーラー」の下で日本の大阪の東洋テスター工業(Toyo Tester Industry)株式会社から入手可能である。
【0057】
積層プロセスにおいて、第1の表面803は温度T1に加熱され、一方、第2の表面804は温度T2に加熱される。好ましくは、温度T1は約80℃から約160℃であり、より好ましくは、約100℃から約130℃である。温度T2は、好ましくは、約30℃から約60℃、より好ましくは約45℃から約55℃である。圧力Pは、好ましくは、約6kg/cm2 から約15kg/cm2 、より好ましくは、約9kg/cm2 から約11kg/cm2 である。圧力Pの適用の時間は、好ましくは約1秒から20秒、より好ましくは約5秒から約15秒である。好ましくは、圧力Pの適用は、得られるラミネート70の剥離強度を高めるため、2回(以上)実施されうる。圧力Pでの温度T1およびT2の適用により、エラストマー層124は、エラストマー層124の材料(たとえば、ポリスチレン熱可塑性エラストマー)を軟化することにより形成される熱/圧力結合を通して第1の不織布層122に結合する。
【0058】
本発明の弾性ラミネート70は、部分的にか全体的にかいずれかで少なくとも1つの構造的方向に弾性的な伸長性を提供することが所望されるさまざまの製品に組み込まれうる。そのような製品の例には、スエットバンド、包帯、ボディラップおよび使い捨ておむつおよび失禁製品を含む使い捨て着衣を含む使い捨て製品が含まれる。
【0059】
E.試験方法
1.繊維の配向についての試験方法 以下の方法は、好ましくは、不織布材料の繊維配向比(FOR)を定量するために用いられる。
【0060】
試料不織布(または層)は、標品スタブ(specimen stub)上に配置される。試料不織布は、試料不織布の(本明細書で以後定義される)主たる繊維方向が、写真を取られる縦方向とおおむね並ぶように平坦な状態で標品スタブ上に固定される。走査電子顕微鏡(SEM)が50倍の倍率で写真をとるために用いられる。好ましいSEMは、コード番号JSM−5310の下で日本の東京の日本電子(Japan Electron Optics Laboratory;JEOL)株式会社から入手可能である。
【0061】
以下の分析は、デジタイザー(digitizer)を用いることにより写真上でなされる。好ましいデジタイザーは、コード番号KD9600のもとで日本の東京のグラフテック(Graphtec)株式会社から入手可能である。写真はデジタイザー上に配置される。正方形領域(500μm×500μm)が、デジタイザー上の写真の中で任意に選ばれる。正方形領域の中で見られうるすべての成分繊維の両末端は、オペレーターにより手で確認され、その座標は、デジタイザーにより検出され記録される。この作業は、(それぞれ500μm×500μmを有する)3つの異なる正方形領域でなされ、その領域は、3つの異なる正方形領域におけるすべての繊維についての座標データを得るために写真の中で任意に選ばれる。それぞれの繊維の配向角度は、座標データに基づいて計算される。試料不織布の主たる繊維方向は、平均配向角度により決定され、それは、3つの異なる正方形領域から得られるすべての配向角度データの平均値である。
【0062】
±約10度以内の繊維配向比(FOR10)は、以下の計算、
FOR10=NF10/TNF×100 (2)
(式中、 NF10は、主たる繊維方向から±約10度以内の配向角度を有する繊維の数であり、 TNFは、3つの異なる正方形領域の中で測定された繊維の総数である)
により定量される。
【0063】
同様に、±約20度の範囲の繊維配向比(FOR20)は、以下の計算、
FOR20=NF20/TNF×100 (3)
(式中、 NF20は、主たる繊維方向から±約20度以内の配向角度を有する繊維の数である)により定量される。
【0064】
2.引っ張り強度についての試験方法 以下の方法は、好ましくは、材料の引っ張り強度を測定するために用いられる。
【0065】
引っ張り試験機(tensile tester)が用意される。引っ張り試験機は、アッパージョー(upper jaw)とアッパー上の下に位置するロワージョー(lower jaw)を有する。アッパージョーは可動であり、伸長力測定手段に接続されている。ロワージョーは試験機に固定されている。幅約2.5cm(約1インチ)で長さ約10.2cm(約4インチ)を有する試験試料(すなわち測定される不織布)が調製され、有効試料長(L)(すなわちゲージ長)が約5.1cm(約2インチ)となるようにアッパージョーとロワージョーに固定される。試験試料が物理的に破壊されるまで、伸長力が分あたり約50cm(約20インチ)のクロスヘッド速度でアッパージョーを通して試験試料に連続的に加えられる。加えられた伸長力がレコーダー(たとえば、コンピューターシステム)により記録される。破壊点における引っ張り強度は、最大引っ張り強度値において定量される。使用のために適切な引っ張り試験機は、コード番号インストロン(Instron)5564としてインストロン・コーポレーション(アメリカ合衆国、マサチューセッツ州02021、カントン(Canton)、ロイヤル・ストリート(Royall Street)100)から入手可能である。
【0066】
F.使い捨て着衣
本明細書では、「プル・オン着衣」とは、規定された腰部の開口および1対の脚部の開口を有し、脚を脚部の開口に挿入し、腰まで製品を引き上げることにより着用者の身体に引かれる着用製品を称する。本明細書では、「使い捨て」とは、洗濯されるかまたはさもなければ着衣として修復されるかまたは再使用されることが意図されない着衣を記述する(すなわち、それは、1回の使用の後に廃棄され、好ましくは、リサイクルされ、堆肥化され、またはさもなければ、環境に適合する方法で処理されることが意図される)。「一体的」プル・オン着衣とは、調和した全体(coordinated entity)を形成するように互いに一体化された分離した部品で形成されているプル・オン着衣を称するが、しかし、イヤーパネルは分離したシャーシに結合する分離した要素ではなく、むしろ、イヤーパネルは、着衣のシャーシもまた形成する少なくとも1層により形成されている(すなわち、着衣は、分離したシャーシおよび分離したイヤーパネルのような別になっている手で取り扱うパネルを必要としない)。プル・オン着衣はまた、好ましくは、身体から排出されるさまざまの滲出物を吸収し、含有するように「吸収性」でもある。本発明のプル・オン着衣の好ましい態様は、一体的使い捨て吸収性プル・オン着衣、図6において示されるプル・オン着衣120である。本明細書で、「プル・オンおむつ」とは、尿および便を吸収し、含有するために幼児および他の失禁者により一般的に着用されるプル・オン着衣を称する。しかしながら、本発明はまた、トレーニングパンツ、失禁ブリーフ、女性用衛生着衣またはパンティなどのような他のプル・オン着衣にも適用可能であることも理解されるべきである。本明細書では、「パネル」とは、プル・オン着衣の領域または要素をあらわす。(パネルは典型的には別の領域または要素であるけれども、パネルは、隣接するパネルと幾分か重なり(機能的に一致し)うる。)本明細書では、「収縮していない状態」とは、用いられているすべての弾性材料がそこから除去されているその縫合されていない(すなわち縫合が除かれている)、平坦な、そして弛緩した状態におけるプル・オン着衣の状態を記載するためにここでは用いられている。
【0067】
図6は、本発明の使い捨てプル・オン着衣の1つの好ましい態様(すなわち、一体的使い捨てプル・オンおむつ120)を示す。図6を参照すると、使い捨てプル・オン着衣120は、前方領域26、後方領域28および前方領域26と後方領域28の間のクロッチ領域30を有する。シャーシ41は、前方、後方およびクロッチ領域26、28および30として提供される。シャーシ41は、液体透過性トップシート24、トップシート24と結合している液体不透過性バックシート22、およびトップシート24とバックシート22との間に配置されている吸収性コア25(図6においては示されていない)を含む。シャーシ41は、前方領域26においてエッジライン222を形成するサイドエッジ220を有する。
【0068】
プル・オン着衣120はさらに、シャーシ41の対応する側面からそれぞれ横に外側に伸びる少なくとも1対の伸長性イヤーパネル45を含む。それぞれのイヤーパネル45は、最も外側のエッジライン242を形成する最も外側のエッジ240を有する。最も外側のエッジライン242の少なくとも1つは、収縮していない状態の着衣120において(図6において示されていない)縦の中心線100から不均一な横方向距離を有する。
【0069】
好ましい態様において、イヤーパネル45は、後方領域28におけるシャーシ41の対応する側面から図6において示される前方領域26におけるシャーシ41の対応するサイドエッジ220に連続的に伸びる。代わりに、イヤーパネル45は、前方領域26におけるシャーシ41の対応する側面から(図6において示されていない)後方領域28におけるシャーシ41の対応するサイドエッジに連続的に伸びうる。
【0070】
プル・オン着衣120は、2つの脚部開口34および腰部開口36を形成するシャーシ41に結合するイヤーパネル45を有する。好ましくは、プル・オン着衣120は、さらに、2つの脚部の開口34および腰部の開口36を形成する対応するエッジライン222および242に沿ってシャーシ41とイヤーパネル45をそれぞれ結合させるシーム232をも含む。
【0071】
図7は、本発明の使い捨てプル・オン着衣のもう1つの好ましい態様(すなわち、一体的使い捨てプル・オンおむつ20)を示す。図7を参照すると、使い捨てプル・オン着衣20は、前方領域26におけるシャーシ41の対応する側面から横に外側にそれぞれ伸びる1対の伸長性フロントイヤーパネル46および後方領域28におけるシャーシ41の対応する側面から横に外側にそれぞれ伸びる1対の伸長性バックイヤーパネル48を含む。イヤーパネル46および48のそれぞれは、最も外側のエッジライン242を形成する最も外側のエッジ240を有する。最も外側のエッジライン242の少なくとも1つは、収縮していない状態の着衣20において(図7においては示されていないが図8においては示されている)縦中心線100からの不均一な横方向距離LDを有する。プル・オン着衣20は、さらに2つの脚部開口34および腰部開口36を形成する対応するエッジライン242に沿ってフロントおよびバックイヤーパネル46および48をそれぞれ結合させるシーム32をも含む。
【0072】
好ましい態様において、イヤーパネル45、46および48の対の少なくとも一方、より好ましくはそれらの両方は、少なくとも横方向に弾性的に伸長性である。別態様において、イヤーパネル45、46および48は、横および縦方向の両方に弾性的に伸長性である。本明細書で、「伸長性」とは、不都合な破裂なしにある程度まで少なくとも1方向に伸長することが可能である材料を称する。本明細書で、「弾性」および「弾性的に伸長性」とは、材料を伸長させる力が除去されて後ほぼその元の寸法まで回復する能力を有する伸長性材料を称する。本明細書では、「伸長性」と記述されるいずれかの材料または要素は、別段の規定のない限り、弾性的に伸長性でもまたありうる。伸長性イヤーパネル45、46および48は、着用者にプル・オン着衣を最初に柔順に適合させ、プル・オン着衣が滲出物で負荷されたときを随分過ぎた着用時間にわたってこの適合を維持することによりより快適に形状に合致する適合感を提供する。というのは、イヤーパネル45、46および/または48は、プル・オン着衣の側面が伸長し、収縮することを可能とするからである。
【0073】
イヤーパネル45、46および48は、プル・オン着衣20または120の一体的要素により形成されうる(すなわち、それらは、プル・オン着衣20に固定される分離している手で取り扱う要素ではなく、しかしむしろ、プル・オン着衣のさまざまの層の1以上の延長部から形成されており、延長部である)。好ましい態様において、イヤーパネル45、46および48のそれぞれは、シャーシ41の突出した部材である(図8においてより明確に示されている)。好ましくは、イヤーパネル45、46および48は、シャーシ41の一部を形成し、イヤーパネル45、46および48に連続的に延びる少なくとも1つの一体的要素または連続シート材料(たとえば、図9における不織布外側カバー74)を含む。代わりに、イヤーパネル45、46および48は、シャーシ41の一部を形成する一体的要素を有さない(図において示されていない)分離した部材でありえ、シャーシ41の対応する側面に分離した部材を結合させることにより形成されうる。
【0074】
好ましい態様において、プル・オン着衣20または120はさらに、イヤーパネル45、46および48のそれぞれからそれぞれ横に外側に伸びるシームパネル66およびシームパネル66から横に外側にそれぞれ延びるティア・オープン・タブ31を含む。好ましい態様において、シームパネル66のそれぞれは、対応するイヤーパネル45、46および48の延長部であり、またはそこで用いられている部材要素の少なくとも1つであり、または要素のいずれか他の組み合わせである。より好ましくは、ティアオープンタブ31のそれぞれはまた、対応するシームパネル66の延長部でもあるか、またはそこで用いられているその部材要素の少なくとも1つでもあるか、またはその要素のいずれか他の組み合わせでもある。
【0075】
好ましい態様において、シャーシ41および/またはイヤーパネル45、46および48の対応するエッジ部分は、重なるシーム構造を作るように重なる形式で直接または間接的に(たとえば、シームパネル66を通して)縫合される。代わりに、フロントおよびイヤーパネル46および48は、(図に示されていない)バットシーム形式(butt seam manner)で縫合されうる。シーム32の結合は、シャーシ41および/またはイヤーパネル45、46および48において用いられる特定の材料にとって適切な当該技術において公知のいずれか適切な手段により実施されうる。したがって、音波シーリング、熱シーリング、圧力結合、接着剤または粘着結合、ソーイング、自溶(autogeneous)結合などが適切な技術でありうる。好ましくは、シームパネル66は、着用の間に着衣20または120について発生する強制力(force)および応力に耐えるあらかじめ決められたパターンの熱/圧力または超音波溶接(weld)により結合する。
【0076】
連続ベルト38は、図6および7において示されているように腰部開口36の周りのイヤーパネル45、46および48ならびにシャーシ41の一部により形成される。好ましくは、弾性化されたウエストバンド50は、前方領域26および後方領域28の両方に与えられる。連続ベルト38は、着用者に位置するときプル・オン着衣20または120において適合力を動的に作り出し、身体滲出物で負荷されたときでさえ着用者に対してプル・オン着衣20または120を維持し、したがって、着用者ときわめて近接して(図7において示されていない)吸収性コア25を維持し、そして、腰の周りに着用の間動的に発生する力を分散させ、それにより吸収性コア25の曲げまたはひだ寄せなしに吸収性コア25のための補足的サポートを提供するように機能する。
【0077】
図8は、イヤーパネル46および48がシーム32により互いに結合している前のトップシート24が見るものに面している(その弛緩された状態のままにされているイヤーパネル46および48を除いて)その収縮していない状態における図7のプル・オン着衣20の部分的に切欠された平面図である。プル・オン着衣20は、前方領域26、前方領域26と反対側の後方領域28、前方領域26と後方領域28との間に位置するクロッチ領域30および、サイドエッジが150と240と称され、エンドエッジすなわちウエストエッジが152と称されるプル・オン着衣20の外側周囲すなわちエッジにより規定される周囲を有する。トップシート24は、使用の間着用者の身体に隣接して位置するプル・オン着衣20の身体に面する表面を有する。バックシート22は、着用者の身体から離れて位置するプル・オン着衣20の外側に面する表面を有する。プル・オン着衣20は、液体透過性トップシート24、トップシート24と結合する液体不透過性バックシート22、およびトップシート24とバックシート22との間に位置する吸収性コア25を含むシャーシ41を含む。着衣20はさらに、シャーシ41から横に外側に伸びるフロントおよびバックイヤーパネル46および48、弾性化された脚部カフス52、および弾性化されたウエストバンド50を含む。トップシート24およびバックシート22は、吸収性コア25の寸法より一般的に大きな長さおよび幅寸法を有する。トップシート24およびバックシート22は、吸収性コア25のエッジを越えて伸び、それにより、着衣20のサイドエッジ150およびウエストエッジ152を形成する。液体不透過性バックシート22は、好ましくは、液体不透過性プラスチックフィルム68を含む。
【0078】
プル・オン着衣はまた、縦中心線100および横中心線110の2つの中心線をも有する。本明細書では、「縦」とは、プル・オン着衣20が着用されるとき立っている着用者を左と右の半分に両断する垂直平面と一般的に並ぶ(たとえばほぼ平行である)プル・オン着衣20の平面における線、軸、または方向を称する。本明細書では、「横」および「横方向」とは互換性があり、(着用者を前方と後方の半分に分割する)縦方向に一般的に垂直であるプル・オン着衣の平面の中に存在する線、軸または方向を称する。プル・オン着衣20およびその部材材料もまた使用時に着用者の皮膚に面する身体に面する表面および身体に面する表面に対して反対側の表面である外側に面する表面を有する。
【0079】
イヤーパネル45、46および48のそれぞれは、最も外側のエッジライン242を有する。本明細書では、「エッジライン」とは、イヤーパネル45、46および48またはシャーシ41の輪郭(outline)を規定するラインを称する。本明細書では、「最も外側(outermost)」とは、縦中心線100から最も遠い部分を称する。エッジライン242の少なくとも1つは、収縮していない状態の着衣20における縦中心線100から不均一横方向距離LDを有する。
【0080】
トップシート24、バックシート22および吸収性コア25は、さまざまの周知の形状で組み合わせられうるけれども、典型的なシャーシ形状は、1975年1月14日にケネス B.ビュエル(Kenneth B.Buell)に発行された「使い捨ておむつのための収縮性側面部分」という表題の米国特許第3,860,003号および1992年9月29日にケネス B.ビュエルらに発行された「あらかじめ配置された弾力性可撓性ヒンジを有する動的弾性腰部形態を有する吸収製品(Absorbent Article With Dynamic Elastic Waist Feature Having A Predisposed Resilient Flexural Hinge)」という表題の米国特許第5,151,092号において一般的に記載されている。
【0081】
図9は、図8の切断線9−9に沿って取られた好ましい態様の断面図である。プル・オン着衣20は、液体透過性トップシート24、トップシート24と結合する液体不透過性バックシート22およびトップシート24とバックシート22との間に位置する吸収性コア25を含むシャーシ41を含む。プル・オン着衣はさらに、シャーシ41から横に外側にそれぞれ延びるフロントイヤーパネル46および内部のバリアカフス54をも含む。図9は、前方領域26におけるフロントイヤーパネル46およびシャーシ41の構造のみを描写するけれども、好ましくは、同様の構造はまた、後方領域28においても提供される。好ましい態様において、フロントイヤーパネル46のそれぞれは、バリアフラップ56の延長された部分72、弾性ラミネート70および不織布の外側カバー74により形成される。弾性ラミネート70は、(図9においては示されていないが図11において示されている)平面エラストマー材料124を含む。本明細書では、「平面エラストマー材料」とは、2次元方向に連続的に伸びるエラストマー材料を称する。好ましい平面エラストマー材料には、スクリム、穿孔された(すなわち開孔形成された)フィルム、エラストマー織布または不織布などが含まれる。好ましい態様において、平面エラストマー材料124は、不均一横幅を有する少なくとも一部を含む。
【0082】
吸収性コア25は、一般的に圧縮可能であり、柔順であり、着用者の皮膚に刺激がなく、尿および他のある種の身体滲出物のような液体を吸収し、保持することが可能であるいずれの吸収性部材でもありうる。吸収性コア25は、広範な大きさおよび形状(たとえば、長方形、砂時計形、「T」字形、非対称形など)で、エアフェルトと一般的に称される細砕された木材パルプのような使い捨てプル・オン着衣および他の吸収製品において通常用いられる広範な液体吸収性材料から製造されうる。他の適切な吸収性材料の例には、しわのあるセルロースの詰め物、コフォームを含む溶融ブローポリマー、化学的に硬化され修飾されたかまたは架橋されたセルロース性繊維、ティッシュラップおよびティッシュラミネートを含むティッシュ、吸収性発泡体、吸収性スポンジ、超吸収性ポリマー、吸収性ゲル化材料、またはいずれか等価の材料または材料の組み合わせが含まれる。
【0083】
吸収性コア25の形状および構造は変化しうる(たとえば、吸収性コア25は、変化する厚さゾーン、親水性勾配、超吸収性勾配、またはより小さな平均密度およびより小さな平均坪量獲得ゾーンを有しうるものであり、または1以上の層または構造を含みうる)。さらに、吸収性コア25の大きさおよび吸収能力もまた幼児から成人にいたる範囲の着用者に適合するように変化しうる。しかしながら、吸収性コア25の全吸収能力は、着衣20の設計負荷および意図される用途に合致すべきである。
【0084】
着衣20の好ましい態様は、前方および後方腰部領域26および28において耳(ear)を有する非対称形修正砂時計形吸収性コア25を有する。広い受容と商業的成功を達成した吸収性コア25としての使用のための他の典型的な吸収構造は、1986年9月9日にワイズマン(Weisman)らに発行された「高密度吸収構造」という表題の米国特許第4,610,678号、1987年6月16日にワイズマンらに発行された「2重層コアを有する吸収製品」という表題の米国特許第4,673,402号、1989年12月19日にアングスタッド(Angstadt)に発行された「ダスチング層を有する吸収性コア」という表題の米国特許第4,888,231号、および1989年5月30日にアレマニー(Alemany)らに発行された「低密度および低坪量獲得ゾーンを有する高密度吸収性部材」という表題の米国特許第4,834,735号において記載されている。
【0085】
シャーシ41は、さらに、吸収性コア25の上に位置する化学的に硬化された繊維の獲得/分配コア84を含み得るものであり、それにより2重コアシステムを形成する。好ましい態様において、繊維は、親水性の化学的に硬化されたセルロース性繊維である。本明細書では、「化学的に硬化された繊維」とは、乾燥および水性の両方の条件の下で繊維の硬さを高めるために化学的手段により硬化されたいずれの繊維も意味する。そのような手段には、たとえば、繊維を被覆および/または含浸させる化学的硬化剤の添加が含まれる。そのような手段にはまた、たとえばポリマー鎖を架橋することにより繊維それ自体の化学構造を変えることにより繊維を硬化させることも含まれる。
【0086】
獲得/分配コア84において利用される繊維もまた化学反応により硬化されうる。たとえば、架橋剤が繊維に適用されえ、適用に続いて、繊維は繊維内架橋結合を化学的に形成させられる。それらの架橋結合は、繊維の硬度を増加させうる。繊維を化学的に硬化させるための繊維内架橋結合の利用が好ましいけれども、繊維の化学的硬化のための他のタイプの反応を排除することを意味しない。
【0087】
より好ましい硬化された繊維においては、化学的な加工処理は、架橋剤による繊維内架橋を含むが、一方、そのような繊維は、比較的脱水され、離解され(すなわち個別化され)、ねじれ、巻いた状態で存在する。適切な化学的硬化剤には、限定されないが、架橋溶液を形成するために用いられうる酸官能基を有するC2 〜C8 ジアルデヒドおよびC2 〜C8 モノアルデヒドを含むモノマー架橋剤が含まれる。それらの化合物は、単一のセルロース鎖の中にあるかまたは単一の繊維の中の隣接して位置するセルロース鎖上にある少なくとも2つの水酸基と反応することが可能である。硬化されたセルロース繊維を調製する上での使用のために考えられるそのような架橋剤には、限定されないが、グルタールアルデヒド、グリオキサール、ホルムアルデヒド、およびグリオキシル酸が含まれる。他の適切な硬化剤は、クエン酸のようなポリカルボン酸塩である。ポリカルボキシル硬化剤およびそれから硬化された繊維を作るための方法は、1993年3月2日にヘロン(Herron)に発行された「個別化された、ポリカルボン酸架橋された繊維を調製するための方法」という表題の米国特許第5,190,563号において記載されている。それらの条件の下で架橋することの効果は、硬化され、ここでの吸収製品における使用の間にそのねじれて巻いた形状を保持する傾向がある繊維を形成することである。そのような繊維およびそれを作るための方法は、上記の組み込まれた特許において引用されている。
【0088】
好ましい2重コアシステムは、1993年8月10日にアレマニーらに発行された「弾性腰部形態および高められた吸収性を有する吸収製品」という表題の米国特許第5,234,423号および1992年9月15日にヤング、ラボン(LaVon)およびテーラーに発行された「失禁処理のための高効率吸収製品」という表題の米国特許第5,147,345号において開示されている。好ましい態様において、獲得/分配コア84は、「CMC」の商品名の下で(アメリカ合衆国の)ウエイヤーハウザー(Weyerhaeuser)Co.から入手可能な化学的に処理された硬化されたセルロース性繊維材料を含む。好ましくは、獲得/分配コア84は、約40g/m2 から約400g/m2 の坪量を有し、より好ましくは、約75g/m2 から約300g/m2 の坪量を有する。
【0089】
より好ましくは、シャーシ22はさらに、図9において示されるようにトップシート24と獲得/分配コア84との間の獲得/分配層82をも含む。獲得/分配層82は、トップシート24の表面の濡れの傾向を減少させることを補助するために提供される。獲得/分配層82は、好ましくは、たとえば、(アメリカ合衆国ニュージャージー州ランディスビル(Landisiville)の)ポリマー・グループ,Inc.,ノース・アメリカからコード番号FT−6860として入手可能であるような、カーディングされた樹脂結合したハイロフト不織布材料を含み、それは6dtexのポリエチレンテレフタレート繊維で作られており、約43g/m2 の坪量を有する。獲得/分配層82および獲得/分配コア84についての好ましい例は、1997年10月1日に公開されたEP0797968A1(クルト(Kurt)ら)において開示されている。
【0090】
トップシート24は、好ましくは、柔順であり、柔軟な感触があり、着用者の皮膚に刺激がない。さらに、トップシート24は、液体透過性であり、液体(たとえば尿)がその厚さを容易に貫通することを可能とする。適切なトップシート24は、織布および不織布材料、開孔形成された熱可塑性フィルム、開孔されたプラスチックフィルム、および油圧成形された熱可塑性フィルムのようなポリマー材料、多孔性発泡体、網状発泡体、網状熱可塑性フィルム、および熱可塑性スクリムのような広範な材料から製造されうる。適切な織布および不織布材料には、天然繊維(たとえば、羊毛または綿繊維)、合成繊維(たとえばポリエステル、ポリプロピレン、またはポリエチレン繊維のようなポリマー繊維)、または天然繊維と合成繊維の組み合わせからなるものが含まれうる。トップシート24は、好ましくは、着用者の皮膚をトップシート24を通過し、吸収性コア25において含まれている液体から隔離するために(すなわちふたたび濡れることを防止するために)疎水性材料で作られる。もしトップシート24が疎水性材料で作られているならば、トップシート24の少なくとも上方表面は、液体がトップシートをより急速に通過するように親水性となるように処理される。このことは、身体滲出物がトップシート24を通過して引き込まれ、吸収性コア25により吸収されるよりもむしろトップシート24をあふれ出るようなことを無くす。トップシート24は、界面活性剤で処理することにより親水性にされうる。界面活性剤でトップシート24を処理するための適切な方法には界面活性剤でトップシート24材料をスプレーすることおよび材料を界面活性剤に浸漬することが含まれる。そのような処理および親水性のより詳細な検討は、1991年1月29日にレイジング(Reising)らに発行された「多層吸収性層を有する吸収製品」という表題の米国特許第4,988,344号および1991年1月29日にレイジングに発行された「高速獲得吸収性コアを有する吸収製品」という表題の米国特許第4,988,345号において含まれている。
【0091】
好ましい態様において、トップシート24は、表面の濡れの傾向の減少を提供し、そしてその結果として濡れた後コア25により吸収された尿を使用者の皮膚から離して維持することを容易にしうる不織ウエブである。好ましいトップシート材料の1つは、(アメリカ合衆国、サウスカロライナ州、シンプソンビル(Simpsonville)の)ファイバーウエブ・ノース・アメリカ,Inc.からコード番号P−8として入手可能である熱結合されたカーディングウエブである。もう1つの好ましいトップシート材料は、日本のハビックス(Havix)Co.からコード番号S−2355として入手可能である。この材料は、2層複合材料であり、カーディングとエア・スルー技術を用いることにより2種類の合成界面活性剤処理されたバイコンポーネント繊維で作られている。さらにもう1つの好ましいトップシート材料は、(ドイツのグロナウ(Gronau)の)アモコ・ファブリックス,Inc.からコード番号プロフリース・スタイル040018007として入手可能である熱結合されたカーディングウエブである。
【0092】
もう1つの好ましいトップシート24には開孔形成されたフィルムが含まれる。開孔形成されたフィルムは、トップシート24として好ましい。というのは、それは身体滲出物に対して透過性であり、さらに非吸収性であり、液体が逆流通過し、着用者の皮膚を再びぬらすことを許容する傾向が少ないからである。したがって、身体と接触する形成されたフィルムの表面は乾いたままであり、それにより身体の汚れが減少し、着用者にとってより快適な感触を作り出す。適切な形成されたフィルムは、1975年12月30日にトンプソン(Thompson)に発行された「先細の毛管を有する吸収構造」という表題の米国特許第3,929,135号、1982年4月13日にミュレーン(Mullane)らに発行された「汚れ抵抗性トップシートを有する使い捨て吸収製品」という表題の米国特許第4,324,246号、1982年8月3日にレーデル(Radel)らに発行された「繊維のような特性を示す弾力性プラスチックウエブ」という表題の米国特許第4,342,314号、1984年7月31日にアー(Ahr)らに発行された「光沢のない可視的表面および布のような触感を示す巨視的に拡張された3次元プラスチックウエブ(Macroscopically Expanded Three−Dimensional Plastic Web Exhibiting Non−Glossy Visible Surface and Cloth−Like Tactile Impression)」という表題の米国特許第4,463,045号、および1991年4月9日にベアード(Baird)に発行された「多層ポリマーフィルム」という表題の米国特許第5,006,394号において記載されている。
【0093】
好ましい態様において、バックシート22は、たとえば図9において示される液体不透過性フィルム68を含む。好ましくは、液体不透過性フィルム68は、前方、後方およびクロッチ領域26、28および30において縦に伸びる。より好ましくは、液体不透過性フィルム68は、イヤーパネル46または48の少なくとも1つに横に伸びない。液体不透過性フィルム68は、身体に面する表面79および外側に面する表面77を有する。液体不透過性フィルム68は、液体(たとえば、尿)に対して不透過性であり、好ましくは、薄いプラスチックフィルムから製造される。しかしながら、より好ましくは、プラスチックフィルムは、蒸気が着衣20から逃げ出ることを許容する。好ましい態様において、微小多孔性ポリエチレンフィルムが液体不透過性フィルム68のために用いられる。適切な微小多孔性ポリエチレンフィルムは、日本の名古屋の三井東圧化学により製造され、商品名PG−Pとして販売されている。好ましい態様において、(図には示されていない)使い捨てテープが加えて、汚れの後に簡便な使い捨てを提供するためにバックシート22の外側表面に結合している。
【0094】
液体不透過性フィルム68にとって適切な材料は、好ましくはポリエチレンまたはポリプロピレンを含む約0.012mm(0.5ミル)から約0.051mm(2.0ミル)の厚さを有する熱可塑性フィルムである。好ましくは、液体不透過性フィルムは、約5g/m2 から約35g/m2 の坪量を有する。しかしながら、他の可撓性液体不透過性材料も用いられうることに注意すべきである。本明細書で、「可撓性」とは、柔順であり、着用者の身体の一般的な形態および輪郭に容易に合致する材料を称する。
【0095】
好ましくは、バックシート22はさらに、ラミネート(すなわちバックシート22)を形成するように液体不透過性フィルム68の外側に面する表面と結合する不織布外側カバー74をも含む。不織布外側カバー74は、着衣20の最も外側の部分に位置し、着衣20の最も外側の部分の少なくとも一部を覆う。好ましい態様において、不織布外側カバー74は、着衣20の最も外側の部分の面積のほとんどすべてを覆う。不織布外側カバー74は、当該技術において公知のいずれか適切な付着手段により液体不透過性フィルム68に結合しうる。たとえば、不織布外側カバー74は、接着剤の均一連続層、接着剤のパターン化された層、または接着剤の分離した線、螺旋、または点の配列により液体不透過性フィルム68に固定されうる。適切な接着剤には、H−2128として日本の大阪のニッタ・フィンドレー株式会社から入手可能なホットメルト接着剤、およびJM−6064として日本の大阪のH.B.フラー・ジャパン株式会社から入手可能なホットメルト接着剤が含まれる。
【0096】
好ましい態様において、不織布外側カバー74は、たとえば、E−2341として日本の岐阜のハビックス株式会社から入手可能なカーディング不織ウエブである。不織布外側カバー74は、ポリエチレン(PE)とポリプロピレン(PP)とのバイコンポーネント繊維で作られる。PE/PPの比は、約50/50である。PE/PPバイコンポーネント繊維は、2d×51mmの寸法を有する。もう1つの好ましいカーディング不織ウエブは、日本の守山のチッソ株式会社から入手可能である。不織布外側カバー74もまたポリエチレン(PE)とポリプロピレン(PP)とのバイコンポーネント繊維で作られる。PE/PPの比は、約50/50である。
【0097】
もう1つの好ましい態様において、不織ウエブは、たとえば、日本の東京の三井石油化学工業株式会社から入手可能な紡糸結合された不織ウエブである。不織ウエブは、ポリエチレン(PE)とポリプロピレン(PP)のバイコンポーネント繊維で作られている。PE/PPの比は、約80/20である。PE/PPバイコンポーネント繊維は、ほぼ2.3dである厚さを有する。もう1つの紡糸結合不織ウエブは、コード番号13561DAPPのもとでファイバーウエブ・フランスS.A.から入手可能である。
【0098】
バックシート22は、好ましくは、吸収性コア25の外側に面する表面に隣接して位置し、好ましくは、当該技術において公知のいずれか適切な接着手段によりそれに結合する。たとえば、バックシート22は、接着剤の均一連続層、接着剤のパターン化された層、または接着剤の分離した線、螺旋、または点の配列により吸収性コア25に固定されうる。満足であることが見出された接着剤は、アメリカ合衆国ミネソタ州セントポールのH.B.フラー・カンパニーにより製造され、HL−1358Jとして販売される。接着剤のフィラメントの開放パターンネットワークを含む適切な接着手段の例は、1986年3月4日にミネトラ(Minetola)らに発行された「使い捨て汚物封入着衣」という表題の米国特許第4,573,986号において開示されている。螺旋パターンに旋回される数本の接着剤フィラメントを含むもう1つの適切な接着手段は、1975年10月7日にスプラーグ(Sprague),ジュニアに発行された米国特許第3,911,173号、1978年11月22日にザイエカー(Ziecker)に発行された米国特許第4,785,996号、および1989年6月27日にウェレニッツ(Werenicz)に発行された米国特許第4,842,666号において示される装置および方法により例示されている。代わりに、接着手段は、熱結合、圧力結合、超音波結合、動的機械的結合、またはいずれか他の適切な接着手段または当該技術において公知であるそれらの接着手段の組み合わせを含みうる。
【0099】
別の態様においては、吸収性コア25は、前方領域26および後方領域28においてより大きな伸長性を提供するためにバックシート22および/またはトップシート24に結合しない。
【0100】
プル・オン着衣20は、好ましくはさらに、液体および他の身体滲出物のよりすぐれた封入を提供するために弾性を有する脚部カフス52をも含む。弾性を有する脚部カフス52は、脚部領域における身体滲出物の漏れを減少させるためのいくつかの異なる態様を含みうる。(脚部カフスは、時々、レッグバンド、サイドフラップ、バリアカフス、弾性カフスまたはガスケットカフスともまた称されうるし、称されている。)1975年1月14日にビュエルに発行された「使い捨ておむつのための収縮性側面部分」という表題の米国特許第3,860,003号は、弾性を有する脚部カフスを提供するためにサイドフラップおよび1以上の弾性部材を有する収縮性脚部開口を与える使い捨ておむつを記載する。1990年3月20日にアジズ(Aziz)らに発行された「弾性を有するフラップを有する使い捨て吸収製品」という表題の米国特許第4,909,803号は、脚部領域の封入を向上させるために「起立した」弾性を有するフラップ(バリアカフス)を有する使い捨ておむつを記載する。1987年9月22日にローソン(Lawson)に発行された「2重カフスを有する吸収製品」という表題の米国特許第4,695,278号および1989年1月3日にドラグー(Dragoo)に発行された「漏れ抵抗性2重カフスを有する吸収製品」という表題の米国特許第4,795,454号は、ガスケットカフスとバリアカフスを含む2重カフスを有する使い捨ておむつを記載する。1987年11月3日にビュエルに発行された「使い捨て汚物封入着衣」という表題の米国特許第4,704,115号は、着衣の中に遊離液体を含有するために造形されたサイドエッジ漏れガードガターを有する使い捨ておむつまたは失禁着衣を開示する。
【0101】
それぞれの弾性を有する脚部カフス52は、上記レッグバンド、サイドフラップ、バリアカフスまたは弾性カフスのいずれかと同様であるように形状を与えられうるけれども、弾性を有する脚部カフス52は、上記参照された米国特許第4,695,278号および第4,795,454号において記載されている図8ににおいて示されるような1以上の弾性ストランド64を有する弾性ガスケットカフス62を含むことが好ましい。それぞれの弾性を有する脚部カフス52はさらに、上記参照された米国特許第4,909,803号において記載されているバリアフラップ56および離間手段58をそれぞれ含む内部バリアカフス54をも含むこともまた好ましい。
【0102】
本発明のプル・オン着衣20はさらに、よりすぐれた適合感および封入を提供する弾性を有するウエストバンド50をも含む。弾性を有するウエストバンド50は、着用者の腰に動的に適合するように弾性的に膨張し、収縮することが意図されるプル・オン着衣20の部分または帯域である。本発明のウエストバンド50は、本明細書で以後詳細に記載される弾性ラミネート70を含む。ウエストバンド50は、使い捨て着衣20の少なくとも一方、好ましくは両方のエンドエッジ152に沿って配置される。弾性を有するウエストバンド50は、好ましくは、プル・オン着衣20のエンドエッジ152から吸収性コア25のウエストエッジ154に向かって縦に内側に伸びる。好ましくは、プル・オン着衣20は、2つの弾性を有するウエストバンド50を有し、一方は後方領域28に位置し、一方は前方領域26に位置する。しかしながら、他のプル・オンおむつ態様が1つの弾性を有するウエストバンドで構築されうる。弾性を有するウエストバンド50は、1985年5月7日にキエビット(Kievit)らに発行された「弾性的に収縮性のウエストバンドを有する使い捨ておむつ」という表題の米国特許第4,515,595号および上記参照されたビュエルに発行された米国特許第5,151,092号において記載されているものを含む多数の異なる形状で構築されうる。
【0103】
図10は、図8の切断線10−10に沿って取られた1つの好ましい態様の断面図である。図10において示されるように、バックシート22とトップシート24の両方は、ウエストフラップ156を規定するように吸収性コア25のウエストエッジ154を超えて伸びる。好ましくは、バックシート22とトップシート24の近接する領域は、(図には示されていないが、)接着剤により互いに結合している。好ましい態様において、ウエストバンド50はウエストフラップ156に結合している。好ましくは、ウエストバンド50は、図10において示されるようにトップシート24上に配置され、トップシートに結合している。代わりに、ウエストバンド50は、図11において示されるように、バックシート22とトップシート24の間に配置され、結合しうる。ウエストバンド50は、当該技術において周知のもののような(図において示されていない)接着剤手段によりトップシート24(およびバックシート22)に結合しうる。たとえば、ウエストバンド50は、接着剤の均一連続層、接着剤のパターン化された層、または接着剤の分離した線または点の配列によりウエストフラップ156に固定されうる。使用のために好ましい接着剤は、名称H2085の下でアメリカ合衆国ウィスコンシン州のアト・フィンドレーInc.から入手可能である。
【0104】
好ましい態様において、ウエストバンド50は、通常の拘束されていない形状でウエストバンド50がウエストフラップ156を有効に収縮させギャザー形成するように弾性的に収縮性の状態でウエストフラップ156に固定される。ウエストバンド50は、少なくとも2つの方式で弾性的に収縮性の状態でウエストフラップ156に固定されうる。たとえば、ウエストバンド50は、ウエストフラップ156が収縮していない状態にある間に伸長し、ウエストフラップ156に固定されうる。代わりに、ウエストフラップ156は、ウエストバンド50が弛緩している、すなわち伸長していない状態にある間にたとえばひだ付けにより収縮し、そしてウエストバンド50は収縮したウエストフラップ156に固定される。
【0105】
さらに代わりに、ウエストバンド50は、収縮していない状態にあるウエストフラップ156に、弛緩している、すなわち伸ばされていない状態で結合し、それにより、バックシート22とトップシート24の材料と複合積層体を形成する。次いで、複合積層体の少なくとも一部、好ましくは全部は、バックシート22とトップシート24である非弾性部材を恒久的に伸長させるのに十分な機械的伸長に供される。次いで、複合積層体は、実質的に張力を掛けられていない状態に回復させられる。このようにして、複合積層体は、弾性を有するウエストバンド50として機能する「ゼロストレイン(歪のない)」ストレッチラミネートに形成される。
【0106】
本明細書では、「ゼロストレイン」ストレッチラミネートとは、実質的に張力を掛けられていない(「ゼロストレイン」)状態にある間にその同じ広がりを持つ表面の少なくとも一部に沿って互いに固定される少なくとも2つのプライの材料を含むラミネートを称する。プライの1つは伸長性でありエラストマー性である材料を含み(すなわち、掛けられた引張り力が解放された後その張力を掛けられていない寸法に実質的に回復し)、第2のプライは伸長性であり(しかしエラストマー性である必要はなく)、それで伸長(stretching)の際に第2のプライは少なくともある程度まで恒久的に伸長し、それで、掛けられた引張り力の解放の際にそれはそのもとの変形されていない形状に完全には回復しない。それにより、得られるストレッチラミネートは、最初の伸長の方向に、少なくとも最初の伸長のポイントまで弾性的に伸長性にされる。ストレッチラミネートを作るために用いられる特に好ましい方法および装置は、部材を機械的に伸長させるためにかみ合う波形ロールを利用する。特に好ましい装置および方法は、1992年12月1日にウエーバーらに発行された米国特許第5,167,897号、1990年10月20日にビュエルらに発行された米国特許第5,156,793号、および1992年9月1日にウエーバーらに発行された米国特許第5,143,679号において開示されている。
【0107】
好ましい態様において、ウエストバンド50は、吸収性コア25の横方向幅の本質的に全体にわたって延びる。本明細書で、「横方向幅」とは、使い捨て着衣の部材のサイドエッジの間の寸法を称する。本明細書では、「本質的に横切る(across essentially)」とは、弾性を有するウエストバンドを提供するためにその幅にわたって十分に遠く伸びる限り、このコンテキストにおいては、ウエストバンド50は吸収性コア25の幅全体にわたって絶対的に伸びる必要がないことを示すために用いられる。好ましくは、ウエストバンド50は、吸収性コア25の横幅の部分のみに渡って伸び、より好ましくは、少なくとも(図8において示される)イヤーパネル46および48における位置の間に伸びる。1つの好ましい態様において、ウエストバンド50は、(図に示されていない)着衣20の横幅全体にわたって伸びる。
【0108】
ウエストバンド50が着衣20のエンドエッジ152から内側に伸びる程度、したがって、得られるウエストバンドの縦の広がり(span)は、着衣20の特定の構造に従って変化しうる。ウエストバンド50の縦の広がりは、少なくとも約5mm、好ましくは約6mmから約60mm、より好ましくは約15mmから約30mmである。
【0109】
イヤーパネル45、46および48の少なくとも1つは、本発明の弾性ラミネート70を含む。たとえば、図9において示されるフロントイヤーパネル46のそれぞれは、弾性ラミネート70を含み、それは(図9において示されていない)エラストマー材料124を含み、それは、着用者の腰部および側面領域で最適の保持(すなわち維持)力を発生させることにより良好な適合を提供するように好ましくはシャーシ41から横に外側に伸びる。好ましくは、エラストマー材料124は、少なくとも1方向に伸長性であり、好ましくは、プル・オン着衣20が、着用者の皮膚に赤化(red marking)を引き起こすことなく胴体の位置から垂れ下がり、撓み、または滑り落ちることを防止するのに最適である保持(すなわち維持)力を発生させるように横方向に伸長性である。好ましい態様において、イヤーパネル45、46および48のそれぞれは、エラストマー材料124を含む。
【0110】
弾性ラミネート70は、弾性ラミネート70が少なくとも横方向に弾性的に伸長性であることを可能とするようにイヤーパネル45、46および48の中の不織ウエブ72および74の少なくとも1つと効果的に結合する。好ましい態様において、弾性ラミネート70は、実質的に張力を掛けられていない(ゼロストレインの)状態にある間に不織ウエブ72および74の少なくとも一方、好ましくは両方にそれを固定することにより不織ウエブ72および74に効果的に結合する。
【0111】
弾性ラミネート70は、断続的結合形状または実質的に連続的な結合形状のいずれかを用いることにより不織ウエブ72および74に効果的に結合しうる。本明細書では、「断続的に」結合されたラミネートウエブとは、プライが別々の離間したポイントで互いにはじめに結合するラミネートウエブまたはプライが別々の離間した領域で互いに実質的に結合していないラミネートウエブを意味する。逆に、「実質的に連続的に」結合したラミネートウエブとは、プライが界面の領域全体に互いに実質的に連続的にはじめから結合しているラミネートウエブを意味する。ストレッチラミネートは全体で結合するかまたはストレッチラミネートの有意な部分で結合し、それで非弾性ウエブ(すなわち不織ウエブ72および74)の破裂を引き起こすことなく伸長し、または引っ張られることが好ましく、ストレッチラミネートの層は、好ましくは、増加する機械的伸長操作の後に互いに比較的近接した付着においてストレッチラミネートの層のすべてを維持する形状で結合する。したがって、弾性パネル部材およびストレッチラミネートの他のプライは好ましくは、接着剤を用いて互いに実質的に連続的に結合する。特に好ましい態様において、選択された接着剤は、約7.0グラム/平方mの坪量でコントロールコートスプレーパターンで付与される。接着剤パターンの幅は約6.0cmである。接着剤は好ましくは、名称H2085Fの下で日本の大阪のニッタ・フィンドレー株式会社から入手可能であるような接着剤である。代わりに、弾性パネル部材およびストレッチラミネートのいずれか他の部材は、熱結合、圧力結合、超音波結合、動的機械的結合、または当該技術において公知であるいずれか他の方法を用いて互いに断続的または連続的に結合しうる。
【0112】
弾性ラミネート70が不織ウエブ72および74の少なくとも一方に効果的に結合して後、得られた複合ストレッチラミネートの少なくとも一部は、次いで、たとえば不織ウエブ72および74である非弾性部材を恒久的に伸長させるのに十分な機械的伸長に供される。次いで、複合ストレッチラミネートは、その実質的に張力を掛けられていない状態に回復させられる。したがって、イヤーパネル45、46および48の少なくとも1対、好ましくは両方は、「ゼロストレイン」ストレッチラミネートに形成される。(代わりに、弾性ラミネート70は、張力を掛けられた状態で効果的に結合しうるであろうし、次いで機械的伸長に供されうるであろう。しかしながら、これは、「ゼロストレイン」ストレッチラミネートほど好ましくない。)
弾性ラミネート70は、図9において示される接着剤76により液体不透過性フィルム(すなわち、液体不透過性フィルム68)のそれぞれのエッジ78に好ましくは結合し、より好ましくは直接固定される。好ましい態様において、液体不透過性フィルム68は、前方、後方およびクロッチ領域26、28および30において縦に伸びるけれども、それは、伸長性イヤーパネル45、46および48の少なくとも1つ、好ましくはそれぞれに横には伸びない。より好ましい態様において、弾性ラミネート70は、図9において示される外側に面する表面77で液体不透過性フィルム68のそれぞれのエッジ78に結合する。別態様において、弾性ラミネート70は、(図において示されていない)身体に面する表面79で液体不透過性フィルム68のそれぞれのエッジ78に結合しうる。好ましくは、接着剤76は、螺旋のり付けパターンで付与される。好ましい態様において、接着剤76は、非晶質成分と結晶化する成分を有する可撓性接着剤である。そのような好ましい接着剤は、名称H2085Fの下で日本の大阪のニッタ・フィンドレー株式会社により作られている。代わりに、弾性ラミネート70は、熱結合、圧力結合、超音波結合、動的機械的結合、またはそれらの接着手段の組み合わせを含む当該技術において公知のいずれか他の結合手段により液体不透過性フィルム68のそれぞれのエッジ78に結合しうる。
【0113】
本明細書で記載されている例及び態様は単に例示目的のためであり、さまざまな修正または変更が本発明の範囲から逸脱することなく当業者に示唆されうることが理解される。
【図面の簡単な説明】
【0114】
本明細書は、発明を特定して指摘し、明確に権利請求する特許請求の範囲を含むけれども、本発明は、添付の図面とともに理解され、同様の名称が実質的に同一の要素を指称するために用いられる好ましい態様の以下の記載からよりよく理解されるであろうと思われる。
【図1】図1は、弾性ラミネートに形成される前の本発明の1つの好ましい態様の弾性ラミネートの部分拡大斜視図である。
【図2】図2は、もう1つの好ましい態様の弾性ラミネートの単純化された断面図である。
【図3】図3は、不織布層の一部が結合された構造を示すために除去されている本発明のさらにもう1つの態様の弾性ラミネートの拡大された斜視図である。
【図4】図4は、エラストマー材料の別態様の部分拡大斜視図である。
【図5】図5は、図3において示される弾性ラミネートを形成するための積層装置の模式的表現である。
【図6】図6は、使用形態として典型的な本発明の使い捨てプル・オン着衣の1つの好ましい態様の斜視図である。
【図7】図7は、使用形態として典型的な本発明の使い捨てプル・オン着衣のもう1つの好ましい態様の斜視図である。
【図8】図8は、着衣のさまざまのパネルもしくはゾーンを示すその平坦な収縮していない状態の図7において示される態様の単純化された平面図である。
【図9】図9は、図8の切断線9−9に沿って取られた好ましい態様の断面図である。
【図10】図10は、図8の切断線10−10に沿って取られた好ましい態様のウエストバンド50の断面図である。
【図11】図11は、もう1つの好ましい態様のウエストバンド50の断面図である。
【図12】図12は、好ましい態様におけるエラストマー材料の2サイクルのヒステリシス曲線を示すグラフである。
【符号の説明】
【0115】
20,120…プル・オン着衣、22…バックシート、24…トップシート、25…吸収性コア、31…タブ、38…ベルト、41…シャーシ、45,46,48…イヤーパネル、50…ウエストバンド、68…液体不透過性フィルム、70…弾性ラミネート、74…不織布外側カバー、82…獲得/分配層、84…獲得/分配コア、122,126…不織布層、124…エラストマー層、125,127…ストランド、156…ウエストフラップ、160,164,170…接着剤、172…エラストマーウエブ、800…積層装置、801,802…圧力プレート、
【技術分野】
【0001】
本発明は弾性ラミネートに関する。特に、本発明は、強く配向した成分繊維から形成された不織布層を含む弾性ラミネートに関する。本発明はまた、そのような弾性ラミネートを用いる使い捨て着衣にも関する。そのような使い捨て着衣の例には、使い捨てアンダーウエア、プル・オンおむつおよびトレーニングパンツを含む使い捨ておむつ、および月経時の使用のための使い捨てパンティが含まれる。
【背景技術】
【0002】
弾性ラミネートはこれまで、スエットバンド、包帯、ボディラップを含むさまざまの使い捨て製品、および使い捨ておむつおよび失禁デバイスを含む使い捨て着衣において用いられてきた。本明細書では、「弾性ラミネート」とは、少なくとも1つの弾性的に伸長性の単層材料を含む弾性的に伸長性の2以上の層状の材料を称する。一般的に、それらの製品は、製品の使用期間全体にわたって適切な弾性部材を用いることにより使用者の身体および/または皮膚に良好な適合感を提供すると思われる。
【0003】
「ゼロストレイン(歪のない)」ストレッチラミネートは、そのような使い捨て製品にとって好ましく用いられる弾性ラミネートの1つのタイプである。たとえば、「ゼロストレイン」ストレッチラミネートウエブを作るための方法は、1992年12月1日にウエーバーらに発行された米国特許第5,167,897号、1990年10月20日にビュエル(Buell)らに発行された米国特許第5,156,793号、および1992年9月1日にウエーバーらに発行された米国特許第5,143,679号において開示されている。そのような「ゼロストレイン」ストレッチラミネートについての製造方法においては、エラストマー材料は、実質的に張力を掛けられていない(ゼロストレインの)状態で少なくとも1つのコンポーネント材料に有効に結合している。得られる複合ストレッチラミネートの少なくとも一部は、そのとき、非弾性コンポーネントを恒久的に伸長させるのに十分な機械的伸長に供されている。ついで、複合ストレッチラミネートは、その実質的に張力を掛けられていない状態に回復させられる。このように、弾性ラミネートは、「ゼロストレイン」ストレッチラミネートに形成される。本明細書で、「ゼロストレイン」ストレッチラミネートとは、実質的に張力を掛けられていない(「ゼロストレイン」の)状態における間にその同じ面積を有する表面の少なくとも一部に沿って互いに固定される少なくとも2つの層(ply)の材料で構成されるラミネートを称し、層の1つは伸長性でエラストマー性である(すなわち、掛けられている張力が解き放たれた後にその張力を掛けられていない寸法に実質的に回復する)材料を具備し、第2の層は伸長性であり(しかしエラストマー性である必要はなく)、それで、伸長の際に第2の層は少なくともある程度まで恒久的に伸張し、それで、掛けられた(引っ張り)張力の解放の際にその元の変形していない形状に完全に回復しない。それにより得られるストレッチラミネートは、最初の伸長の方向に少なくとも最初の伸長のポイントまで弾性的に伸長性にされる。
【0004】
上記のように、そのような「ゼロストレイン」ストレッチラミネートの製造プロセスは、非弾性的複合ストレッチラミネートを非弾性的コンポーネントを恒久的に伸張させるのに十分な機械的伸長に供する工程を含む。この工程は、通常の弾性ラミネート化プロセスに対して付加的であり、弾性ラミネートにおいて用いられる材料に制限を与える。たとえば、弾性ラミネートにおいて用いられるエラストマー材料および他の複合材料は、十分な物理的強度または靭性を有する必要がある。というのは、それらの材料は、プロセスにより機械的に損傷する傾向があるからである。たとえばもしエラストマー性材料が十分な強度または靭性を有さないならば、エラストマー性材料は、製造プロセスにおける機械的伸長の間に及び製品の使用の間にエラストマー性材料に加えられる応力により容易に裂かれ、またはちぎれる傾向がある。
【0005】
前述に基づいて、その中に用いられるエラストマー材料についてそのような制限を有さない弾性ラミネートについての必要が存在する。
【0006】
幼児および他の失禁者は、尿および他の身体滲出物を受容し、含有するおむつのような使い捨て着衣を着用する。しばしば「テープタイプ」と呼ばれる1つのタイプの使い捨て着衣は、着用者の腰部領域で使い捨て着衣を保持するファスナーシステムを有する。ファスナーシステムとして、接着剤テープシステムかまたは機械的ファスナーシステム化のいずれかがしばしば用いられる。最近では、弾性的に伸長性のイヤーパネルがこのタイプの使い捨て着衣において好ましく用いられる傾向がある。というのは、それはファスナーシステムとともに機能することにより着用者の腰部領域により優れた適合感を提供しうるからである。しばしば「パンツタイプ」または「プル・オン」と呼ばれるもう1つのタイプの使い捨て着衣は固定された側面を有し、歩くことが可能で、しばしば排泄訓練(toilet training)している子供に対する使用にとって一般的となっている。このタイプのプル・オン着衣は、そのエッジが2つの脚部開口と1つの腰部開口を形成するように互いに継ぎ合わされているイヤーパネルを有する。それはまた、使い捨て着衣のエンドエッジの少なくとも1つに沿って配置される伸長性ウエストバンドをも有する。それらのプル・オン着衣は、身体滲出物を含有する胴体上の位置から垂れ下がり、たわみ、または滑り落ちることなく着用者の腰部と脚部の周りに快適に適合する必要がある。それらのプル・オン着衣の例は、たとえば、イガウエらへの米国特許第5,171,239号、ストロービーン(Strohbeen)らへの米国特許第4,610,681号、1993年9月16日に公開されたWO93/17648号、バン・ゴンペル(Van Gompel)らへの米国特許第4,940,464号、ハッセ(Hasse)らへの米国特許第5,246,433号、およびビュエルらへの米国特許第5,569,234号において開示されている。
【0007】
そのような伸長性イヤーパネルとウエストバンドの良好な性能特性は、それらのタイプの使い捨て着衣にとって重要である。特に、伸長力、回復力、保持力およびイヤーパネルとウエストバンドの有用なストレッチ(エクステンション)を含む伸長特性は、プル・オン着衣についての適合感の性能において重要な考慮項目である。伸長特性は、使用の間にすべての知覚される「ストレッチ感(stretchiness)」を付与者(applicator)と着用者に与える。それはまた、着用のストレッチの適切な程度を達成する付与者の能力にも影響を与える(すなわち、着用の間のおむつの「通常」知覚される張力感については、得られるストレッチの量全体は、適合の良好な快適さを達成/維持することを所望されるものである)。
【0008】
使い捨て着衣の伸長性イヤーパネルおよびウエストバンドにおける良好な性能特性を提供するために、適切な特性を有する弾性材料を含む弾性ラミネートが研究され、使い捨て着衣に適用されてきた。たとえば、1998年3月26日に出願された「使用全体の間に身体により優れた適合感を有する弾性部材および使い捨て着衣」という表題のPCT出願番号PCT/US98/05895は、使い捨て着衣のためのそのような弾性材料を開示する。一般的に、使い捨て着衣は、製品の使用期間全体にわたって適切な弾性ラミネートを用いることにより使用者の身体および/または皮膚に良好な適合感を提供すると思われている。すでに用いられてきたそのような弾性ラミネートの典型的な例には、不織布およびプラスチックフィルムのような非弾性的(またはあまり弾性的でない)材料に結合した弾性材料から形成された複合材料が含まれる。それらの非弾性的(またはあまり弾性的でない)材料は、弾性ラミネートの予測される弾性特性に影響を与える傾向がある。たとえば、それらの材料は、使用の間の伸長性イヤーパネルの弾性的「伸長性(stretchiness)」を減少させる傾向がある。
前述に基づいて、その弾性的「ストレッチネス」を減少させない弾性的ラミネートを用いる使い捨て着衣についての必要もまた存在する。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、少なくとも1方向に弾性的に伸長性である弾性ラミネートに関する。弾性ラミネートには、第1の表面および第1の表面と反対側の第2の表面を有するエラストマー材料およびそのエラストマー性材料の第1の表面と結合する第1の不織布層が含まれる。第1の不織布層は、主たる繊維方向(primary fiber direction)を有する成分繊維から形成されている。第1の不織布層は、少なくとも約65%の主たる繊維方向から約±20度の範囲内の繊維配向比(Fiber Orientation Ratio)を有する。
【0010】
本発明はまた、前方領域、後方領域、および前方領域と後方領域の間のクロッチ領域を有する使い捨て着衣にも関する。使い捨て着衣は、前方、後方およびクロッチ領域を備え、前方および後方領域にエッジラインを有するシャーシを備える。シャーシは、液体透過性トップシート、そのトップシートと結合する液体不透過性バックシート、およびトップシートとバックシートとの間に配置される吸収性コアを含む。
【0011】
本発明の1つの側面において、使い捨て着衣はさらに、前方または後方領域のシャーシから横に外側に伸びる少なくとも1対の伸長性サイドパネルを備える。サイドパネルの少なくとも1つは、少なくとも横方向に弾性的に伸長性の弾性ラミネートを含む。弾性ラミネートは、第1の表面および第1の表面と反対側の第2の表面を有するエラストマー性材料およびそのエラストマー性材料の第1の表面に結合する第1の不織布層を含む。第1の不織布層は主たる繊維方向を有するコンポーネント繊維から形成される。第1の不織布層は、少なくとも65%の主たる繊維方向から約±20度の範囲内の繊維配向比を有する。
【0012】
本発明のもう1つの側面において、使い捨て着衣はさらに、使い捨て着衣のエンドエッジの少なくとも1つに沿って配置されるウエストバンドを備える。ウエストバンドは、少なくとも横方向に弾性的に伸長性の弾性ラミネートを含む。弾性ラミネートは、第1の表面および第1の表面と反対側の第2の表面を有するエラストマー材料およびそのエラストマー材料の第1の表面に結合する第1の不織布層を含む。第1の不織布層は、主たる繊維方向を有する成分繊維から形成される。第1の不織布層は、少なくとも約65%の主たる繊維方向から約±20度の範囲内の繊維配向比を有する。
【0013】
本発明のそれらのおよび他の特徴、側面および長所は、本明細書の開示を読むことにより当業者に明らかとなるであろう。
【発明の詳細な説明】
【0014】
すべての引用された参照文献は、その全体について参照により本明細書に組み込まれる。いずれの参照文献の引用も、特許請求される発明に対する先行技術としてのその入手可能性としてのいずれかの決定とみなす認可ではない。
【0015】
本明細書では、「具備する、備える(comprise)」、「含む(include)」および「有する(have)」とは、最終結果に影響を与えない他の要素および工程が加えられうることを意味する。それらの術語は、「からなる(consisting of)」および「本質的に〜からなる(consisting essentially of)」といった術語を包含する。
【0016】
本明細書では、「gf」はグラム力をあらわす。
【0017】
本明細書では、「結合した(joined)」または「結合している(joining)」とは、ある要素を直接他の要素に固着させることによりある要素が直接もう1つの要素に固定される形状およびある要素を中間部材に固着させ、次いで、それが他の要素に固着することによりある要素が間接的に他の要素に固定される形状を包含する。
【0018】
本明細書では、「層(layer)」とは、層が実際には材料のシートまたはウエブの積層体または組み合わせを含みうるという意味において、要素を材料の単一の層(stratum)に限定する必要はない。
【0019】
本明細書では、「不織布」とは、確認可能な方式で織り合わせられている個々の繊維の構造を作り出すテキスタイル製織プロセスの使用なしで形成されたいずれの材料をも含みうる。適切な不織布を作る方法には、紡糸結合不織プロセス、溶融ブロー不織プロセス、カーディング不織プロセスなどが含まれる。
【0020】
A.積層体構造
本発明は、ここで用いられるエラストマー材料に制限を有さない弾性ラミネートに関する。本発明のその及び他の長所は本明細書でより詳細に記載される。
【0021】
図1は、弾性ラミネートに形成される前の1つの好ましい態様の弾性ラミネート70の部分拡大斜視図である。(形成後の弾性ラミネート70の好ましい態様は、図2および3において示されている。)図1を参照すると、本発明の弾性ラミネート70は、第1の表面150および第1の表面150の反対側の第2の表面152を有するエラストマー層124およびエラストマー層124の第1の表面150に結合する第1の不織布層122を含む。好ましい態様においては、エラストマー層124の第1の表面150および第2の表面152は第1の不織布層122の平面と実質的に平行である。第1の不織布層122は、内部表面(または第1表面)142および外部表面(または第2表面)144を有する。第1の不織布層122の内部表面142は、エラストマー層124に面して位置する表面である。
【0022】
好ましい態様において、弾性ラミネート70はさらに弾性材料70の第2の表面152に結合する第2の不織布層126を含む。第2の不織布層126もまた内部表面146および外部表面148を有する。第2の不織布層126の内部表面146は、エラストマー層124に面して位置する表面である。エラストマー層124の第2の表面152は、第2の不織布層126の平面と実質的に平行である。好ましい態様において、不織布層126は、第1の不織布層122において用いられているものと同一の不織布材料により形成されている。代わりに、不織布層126は、第1の不織布層122において用いられているものとは異なる材料により形成されうる。
【0023】
本発明の弾性ラミネート70は、少なくとも1方向(第1方向)に弾性的に伸長性である。たとえば、図1において示されている弾性ラミネート70は、構造的方向Dに弾性的に伸長性である。本明細書では、「構造的方向」(たとえばDおよびB)は、実質的に第1の不織布層122の平面に沿ってそれと平行に伸びる方向を意味することが意図される。好ましい態様において、弾性ラミネート70はまた、第1の方向に垂直である第2の方向に弾性的に伸長性でもある。たとえば、図1において示される弾性ラミネート70は、また、構造的方向Bに弾性的に伸長性でもある。
【0024】
B.不織布層
本発明の第1の不織布層122は、互いに結合する成分繊維から形成される。その成分繊維は、主たる繊維方向を有する。第1の不織布層122は、少なくとも約65%、より好ましくは少なくとも約75%、さらにより好ましくは少なくとも約85%の主たる繊維方向から±約20度の範囲の繊維配向比(FOR20)を有する。より好ましい態様において、第1の不織布層122は、加えて、少なくとも約45%、より好ましくは少なくとも約60%、さらにより好ましくは少なくとも約70%の主たる繊維方向から±約10度の範囲の繊維配向比(FOR10)を有する。
【0025】
「FOR#」(たとえば、FOR10)とは、成分繊維の総数に対するその方向が主たる繊維方向から±約#度(たとえば、±10度)の範囲内にある成分繊維の数の比を示す。本明細書では、「主たる繊維方向」とは、不織布層における成分繊維の平均方向を称する。不織布層の繊維配向比を測定するための1つの好ましい方法は、以下により詳細に説明される。
【0026】
好ましい態様において、第1の不織布層122は、少なくとも約15、より好ましくは少なくとも約60の引っ張り強度比(Tensile Strength Ratio;TSR)を有する。TSRは、以下の計算、 TSR=TS1/TS2 (1)
(式中、 TS1(gf/インチ)は、主たる繊維方向における破壊点における引っ張り強度(TS)であり、 TS2(gf/インチ)は、主たる繊維方向に対して垂直である垂直方向における破壊点における引っ張り強度(TS)である)
により定義される。
【0027】
引っ張り強度(ST)は、第1の不織布層122がその破壊点まで約20インチ/min(約50cm/min)の速度で伸長される間に記録される最大引っ張り強度値として測定される。第1の不織布層122の引っ張り強度は、第1の不織布層122がエラストマー層124に結合する前に測定される。
【0028】
好ましい態様において、第1の不織布層122は、主たる繊維方向に垂直である方向への30%伸長の際に約200gf/インチ(約80gf/cm)未満の引っ張り強度を有し、より好ましくは約100gf/インチ(約40gf/cm)未満であり、さらにより好ましくは、約50gf/インチ(約20gf/cm)未満である。
【0029】
第1の不織布層122は、たとえば、天然繊維(たとえば、木材および綿繊維)、合成繊維(たとえば、ポリオレフィン、ポリエステル、ナイロンおよびレーヨン繊維)または天然繊維および/または合成繊維の混合物を含む広範な成分繊維から製造されうる。製造の容易さと原価効率のために、第1の不織布層122は、好ましくは、合成連続繊維から形成される。より好ましくは、そのような合成連続繊維は、ポリオレフィン(たとえば、ポリエチレンおよびポリプロピレン)またはポリエステルから形成される。好ましいポリエステル材料には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートおよびポリプロピレンテレフタレートまたはそれらの混合物が含まれる。好ましい態様においては、第1の不織布層122は、加えて、ポリオレフィンおよびナイロンのような他の材料(すなわち、非ポリエステル材料)から形成される成分繊維を含む。
【0030】
好ましい態様において、個々の成分繊維は、上記材料から選択される単一のタイプの材料から形成される(すなわち、個々の繊維は、ポリオレフィンおよびナイロンから作られていない)。好ましくは、成分繊維は、ポリエステルから形成され、より好ましくはポリエチレンテレフタレートまたはその関連物質(relative)の1種から形成され、それは、約5,000から約60,000、好ましくは約10,000から約40,000、より好ましくは約14,000から約23,000の平均分子量を有する。代わりに、成分繊維は、上記材料から選択される2(または3以上の)材料の混合物から形成されうる。
【0031】
1つの態様において、成分繊維は、ポリエステルとポリオレフィンの2種の異なる材料から形成されるバイコンポーネント繊維構造を有する。別態様において、成分繊維は、たとえばポリエステルの1種の同一材料の2種の異なる分子量材料から形成されるバイコンポーネント繊維構造を有する。好ましいバイコンポーネント繊維構造には、当該技術において公知のサイド・バイ・サイド・バイコンポーネント繊維構造およびシース・コア・バイコンポーネント繊維構造が含まれうる。1つの態様において、成分繊維は、ポリオレフィンのコアとポリエステルのシースを有するバイコンポーネント繊維構造を有する。
【0032】
好ましい態様において、第1の不織布層122は、約60g/m2未満の坪量を有し、約50μm未満の繊維直径を有する繊維を含む。より好ましくは、使い捨て着衣などのような製品については、第1の不織布層122は、約3g/m2から約50g/m2、より好ましくは、約10g/m2から約25g/m2の坪量、および約1μmから約30μm、より好ましくは約3μmから約20μmの繊維直径を有する。
【0033】
成分繊維は、接着剤、熱結合、ウォーター・ジェッティング、ニードリング/フェルティング、または不織布を形成するための当該技術において公知の他の方法により互いに結合しうる。好ましい態様において、第1の不織布層122は、当該技術において公知の連続成分繊維またはフィラメントを取り扱う不織布製造方法により形成される。好ましい製造方法は、たとえば、1998年5月20日に公開されたEP0843036A1(クリハラら)、1994年5月17日にクリハラらに発行された「不織布ならびにそれを作るための方法および装置」という表題の米国特許第5,312,500号、1990年11月5日に公開された特開平2−269859号、1985年6月19日に公告された特公昭60−25541号において記載されている。
【0034】
第1の不織布層122に対して適切に適用可能である好ましい不織布は、コード番号MBE8202−3−2、MBE8202−3−1、MBE7711−2、MBE6515−10、およびMBE7922−1の下で日本の東京の日本石油化学株式会社から入手可能であり、それらは以下の特性を有する。
【表1】
【0035】
C.エラストマー材料
エラストマー層124は、広範な大きさ、形状および形態で形成されうる。好ましい態様において、エラストマー層124は、たとえば、図1において示されえるような連続平面層の形態で存在する。連続平面層の好ましい形態には、スクリム、穿孔された(すなわち開孔形成された)フィルム、エラストマー織布もしくは不織布などが含まれる。好ましくは、エラストマー層124は、約0.05mmから約1mm(約0.002インチ〜約0.039インチ)の厚さを有する。連続平面層は、製品において適切に付与されうるいずれの形態もとりうる。連続平面層の好ましい形態には、長方形および正方形、台形を含む四角形および他の多角形が含まれる。別態様において、エラストマー層124は、互いに付着していない別々のストランド(またはストリング)の形態で存在する。
【0036】
本発明のエラストマー材料には、当該技術において公知のすべての適切な弾性材料が含まれうる。ここでの使用にとって適切なエラストマー材料には当該技術において公知の合成または天然ゴム材料が含まれる。好ましいエラストマー材料には、ポリスチレンに基づくジブロックおよびトリブロックコポリマーおよび不飽和または完全に水素化されたゴムブロックおよびポリオレフィンポリマーのような他のポリマーとのそれらのブレンドが含まれる。
【0037】
好ましい態様において、エラストマー材料は、スチレンブロックコポリマー系材料を含むポリスチレン熱可塑性エラストマーから作られる。好ましいスチレンブロックコポリマー系材料は、約1重量%から約70重量%のポリスチレン、より好ましくは、約10重量%から約50重量%のポリスチレンを含む。
【0038】
好ましくは、ポリスチレン熱可塑性エラストマーは、スチレン−ブタジエン−スチレン熱可塑性エラストマー、スチレン−イソプレン−スチレン熱可塑性エラストマー、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレン熱可塑性エラストマー、スチレン−エチレン/プロピレン−スチレン熱可塑性エラストマー、スチレン−エチレン/プロピレン熱可塑性エラストマー、水素化されたスチレンブタジエンゴムおよびそれらの混合物からなる群より選択される。
【0039】
好ましいスチレンブロックコポリマー系材料は、約1重量%から70重量%のポリスチレン、より好ましくは約10重量%から約50重量%のポリスチレンを含む。
【0040】
別の好ましい態様においては、エラストマー材料124は、図4において示される多孔性の巨視的に拡張された3次元エラストマーウエブ172である。ウエブ172は、連続の第1表面174および第1の表面174と反対側の不連続の第2の表面176を有する。エラストマーウエブ172は、好ましくは、少なくとも2つのポリマー層178および182を含む形成されたフィルム連絡部材186を含む。第1の層178は実質的に弾性であり、第2の層182は第1の層178より実質的により弾性でない。2つのポリマー層178および182の少なくとも1つは、ポリスチレン熱可塑性エラストマーから形成される。エラストマーウエブ172は、ウエブ172の第1の表面174において多数の主たる(1次)開孔184を示す。主たる開孔184は、連絡部材186の連続網状構造により第1の表面174の平面で規定されている。連絡部材186は、その長さに沿って上方に凹形の断面を示す。連絡部材186はまた、ウエブ172の第2の表面176の平面の中に2次開孔188をも形成する。開孔184および188はいずれの形状も取りうる。好ましいエラストマーウエブは、1997年3月14日に出願された米国特許出願シリアル番号第08/816,106号において開示されている。エラストマー層124のために好ましい多孔性エラストマー材料は、名称X−25007の下でトレデガー(Tredegar)・フィルム・プロダクツから入手可能である。
【0041】
1つの好ましい態様において、エラストマー層124は、図1において示されるスクリム130の形態で存在する。エラストマースクリム130は、あらかじめ決められた角度αで結節点(node)128で複数の第2のストランド127と(結合ありかなしかで)交差すなわちクロスする複数の第1のストランド125を含み、それにより複数の開孔132を有する網状開放構造を形成する。それぞれの開孔132は、開孔132が形態として実質的に長方形(好ましくは正方形)となるように少なくとも2つの隣接する第1のストランド125および少なくとも2つの隣接する第2のストランド127により規定される。平行四辺形または円弧部分のような他の開孔形状もまた与えられうる。そのような形状は、非直線的(non−linear)弾性構造方向を与えるために有用でありうるであろう。好ましくは、第1のストランド125は、実質的に直線的であり、互いに実質的に平行である。そして、より好ましくは、第2のストランド127もまた、実質的に直線的であり、互いに実質的に平行である。より好ましくは、第1のストランド125は、約90度のあらかじめ決められた角度αで結節点128で第2のストランド127と交差する。それぞれの結節点128は、オーバーレイ・ノード(かぶさった結節点)であり、そこでは、第1のストランド125と第2のストランド127は交差するポイントで(結合すなわちボンディングは必要とされないかもしれないと思われるけれども)好ましくは結合すなわちボンディングし、その場合、ストランドは結節点128でいまだ個別に識別可能である。しかしながら、合体したかまたは合体とかぶさりの組み合わせのような他の結節点形状が等しく適切であるであろうと思われる。
【0042】
第1と第2のストランド125および127は、実質的にまっすぐで平行であり、約90度の角度αで交差することが好ましいけれども、第1と第2のストランド125および127は、他の角度αで交差しうるし、第1のストランド125および/または第2のストランド127は、互いに対して円形、楕円形または他の非直線的パターンで並べられうることに注意される。製造の容易さのために、第1のストランド125および第2のストランド127は、(図1において示されるように)弾性ラミネート70に組み込まれる前に実質的に円形の断面形状を有することが配慮されるけれども、第1および第2のストランド125および127はまた、楕円形、正方形、3角形またはそれらの組み合わせのような他の断面形状も有しうる。
【0043】
好ましくは、第1のストランド125のための材料は、第1のストランド125が、弾性ラミネート70を形成する前に相対的に整列状態で第2のストランド127を維持するように選ばれる。第1と第2のストランド125および127のための材料は、弾性ラミネート70を形成する前にあらかじめ決められた圧力または熱による可塑化と組み合わせでのある圧力の適用の際にあらかじめ決定された形態に変形されることが可能である(かまたははじめから形成されている)こともまた望ましい。それらの変形された形態(たとえば、楕円形の第2のストランド、実質的に平坦な第1のストランドなど)は、不快な刺激または他の不快感なしに身体の周りに快適に着用されうる弾性ラミネート70を提供しうる。
【0044】
好ましい態様において、第1と第2のストランド125および127は、同一のエラストマー材料から形成されている。たとえば、第1と第2のストランド125および127は、スチレン−ブタジエン−スチレン熱可塑性エラストマー、スチレン−イソプレン−スチレン熱可塑性エラストマー、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレン熱可塑性エラストマー、スチレン−エチレン/プロピレン−スチレン熱可塑性エラストマー、スチレン−エチレン/プロピレン熱可塑性エラストマー、水素化されたスチレンブタジエンゴムまたは不飽和スチレンブタジエンゴムおよびそれらの混合物からなる群より選択される同一のポリスチレン熱可塑性エラストマーから形成される。スチレン−ブタジエン−スチレン熱可塑性エラストマーを含む好ましい熱可塑性スクリム124は、名称XO2514の下でコンウエド(Conwed)・プラスチックス・カンパニー(アメリカ合衆国ミネソタ州ミネアポリス)により製造される。この材料は、積層の前に構造的方向B(すなわち、第1のストランド125)においてインチあたり約12弾性ストランド(約5ストランド/cm)および構造的方向D(すなわち、第2のストランド127)においてインチあたり約7弾性ストランド(約3ストランド/cm)を有する。
【0045】
代わりに、第1と第2のストランド125および127は、2つの異なる材料から形成される。たとえば、第1と第2のストランド125および127の一方は、上記ポリスチレン熱可塑性エラストマーの1種から形成され、一方、第1と第2のストランド125および127の他方は上記ポリスチレン熱可塑性エラストマー以外の材料から形成されている。そのような他の材料は弾性か非弾性かいずれかでよく、当該技術において公知の適切な材料から選択される。
【0046】
D.エラストマー材料への不織布の結合
本発明の第1の不織布層122は、当該技術において公知のいずれかの手段によりエラストマー層124に結合しうる。好ましい態様において、第1の不織布層122は、当該技術において周知のもののような接着剤手段によりエラストマー層124の第1の表面150に結合する。たとえば、第1の不織布層122は、接着剤の均一連続層、接着剤のパターン化された層、または接着剤の線または点の配列によりエラストマー層124の第1の表面150に固定されうる。接着剤手段により形成される1つの好ましいラミネート構造は、図2において示されている。
【0047】
図2は、弾性ラミネート70の構造的方向Bの方向に見る単純化された部分拡大側面図を示す。この態様において、弾性ラミネート70は、第2の不織布層126を含む。図2を参照すると、第1の接着剤170は、ラミネート構造120のアウターエッジ180のそれぞれに対応する位置において第1の不織布層122の内部表面142に付与される。第1の接着剤170は、代わりにまたは加えて、第2の不織布層126の内部表面146に付与されうる。例示の容易さのために、記載および図は、第1の不織布層122のみへの適用に言及する。
【0048】
このパターンはサイドアンカーゾーンAを作り出し、それはすでに公知のラミネートに関する剥離とクリープを実質的になくし、そしてそれは弾性ラミネート70がクリープ形成または剥離なしにより大きな伸び(atrain)を被ることを可能とする。ラミネート構造120のエッジ領域180に第1の接着剤170を限定することは、弾性ラミネート70の伸長性を妨げることを回避し、また、不織布層122および126における裂開も回避することもまた見出された。好ましくは、第1の接着剤170は、図2において示されるように複数のビーズ168として付与される。好ましくは、第1の接着剤170は、非晶質と結晶化成分を有する可撓性接着剤である。そのような好ましい接着剤は、名称H9224の下でアメリカ合衆国ウィスコンシン州のアト・フィンドレー(Ato Findley)Inc.により作られている。
【0049】
側面固着(side anchoring)は、好ましくは、積層プロセスの一部として不織布層122および126の間にエラストマー層124を固着させるための接着剤ビーズによる側面のり付けにより実施される。代わりに、側面固着は、ソーイング、ヒートシーリング、超音波結合、ニードルパンチ、別ののり付け方法または当業者に公知のいずれか他の手段により実施されうる。
【0050】
より好ましくは、弾性ラミネート70は、第2の接着剤164を含む。好ましくは、第2の接着剤164は、エラストマー接着剤である。第2の接着剤164は、好ましくは、エラストマー層130の第1の表面150に付与される。第2の接着剤164は、好ましくは、螺旋スプレーパターン166で付与され、それにより、直線スプレー付与により形成されるであろうよりもより分離している結合点167bを形成する。理論により拘束されないが、第2の接着剤164のほとんどは、構造的方向Dにスプレーされると思われる(図1)。好ましくは、第2の接着剤164の層は、積層プロセスにおいてエラストマー層124の第1の表面150上に直接付与される。
【0051】
第3の接着剤160もまた好ましくは第2の不織布層126の内部表面146に付与されうる。好ましくは、第3の接着剤160は、エラストマー接着剤である。第2の螺旋接着剤付与166を参照して記載されるのと同様の方式で、第3の接着剤160は、好ましくは、螺旋スプレーパターン162で付与され、それにより直線スプレー付与により形成されるであろうよりもより分離している結合点167aを形成する。好ましくは、第3の接着剤160の層は、積層プロセスにおいてエラストマー層124の第2の表面上に直接付与される。
【0052】
好ましくは、第2と第3の接着剤160および164は、同じエラストマー接着剤である。第2と第3の接着剤螺旋スプレー162および166における使用のために好ましい接着剤は、名称H2120の下でアメリカ合衆国ウィスコンシン州のアト・フィンドレーInc.により作られる。好ましくは、第2および第3螺旋スプレー162および166のそれぞれについての付着(add−on)レベルは、約4mg/インチ(約1.6mg/cm)から約12mg/インチ(約4.8mg/cm)、より好ましくは、約8mg/インチ(約3.2mg/cm)である。
【0053】
別の好ましい態様において、第1の不織布層122は、第1の不織布層122とエラストマー層124との間の熱/圧力結合を形成することによりエラストマー層124の第1の表面150に結合される。本明細書では、「熱/圧力結合」とは、2つの部材が結合の形成により高められた剥離強度を有する部分を有するように2つの異なる部材への適切な熱と圧力の適用により形成される物理的または化学的結合のいずれかである。本明細書では、「剥離強度」とは、互いから2つの部材を分離させるのに必要とされる力の量を称する。より大きな剥離強度とは、典型的には、製品の使用について弾性ラミネートのはがれがより少なくなることにあたる。第1の不織布層122とエラストマー層124の間のそのような熱/圧力結合を形成するために、得られる弾性ラミネートの物理的および/または化学的特性を実質的に損なわない限りある程度の温度で第1の不織布層122とエラストマー層124に圧力が掛けられうる。
【0054】
図3はさらに別態様の弾性ラミネート70の部分斜視図であり、そこでは、第1の不織布層122の一部が熱/圧力結合構造を示すために除去されている。図3においては、第1および第2のストランド125および127により形成されているエラストマースクリム130は、エラストマー層124についての例として用いられている。図3を参照すると、第1の不織布層122は、第1の不織布層122とエラストマー層124との間の熱/圧力結合を形成することによりエラストマー層124の第1の表面150に結合される。好ましい態様においては、弾性ラミネートはさらに、その間にもう1つの熱/圧力結合を形成することによりエラストマー層124の第2の表面152に結合する(図3においては示されていない)第2の不織布層を含む。
【0055】
熱/圧力結合は、エラストマー層124の材料のみを軟化することにより(すなわち、第1の不織布層122の成分繊維を溶融することなしに)形成される。この熱/圧力結合は、好ましくは、第1の不織布層122の材料の融点未満である結合温度での適用により形成される。このことは、一般的に、材料の「溶融」となりうるかまたはなりえない材料の粘度の減少をもたらす。結果として、エラストマー層124の部材材料は、熱/圧力結合を形成するように軟化される。エラストマー層124がポリスチレン成分(segment)を含むポリスチレン熱可塑性エラストマーから形成されるより好ましい態様において、ポリスチレン成分のガラス転移温度より高い結合温度が熱/圧力結合を形成するために付与される。
【0056】
図5は、図3において示される弾性ラミネート70を形成するための積層装置の1つの好ましい例を示す。図5を参照すると、積層装置800は、第1の表面803を有する第1の圧力プレート801および第2の表面804を有する第2のプレート802を含む。第2の圧力プレート802は固定されており、一方、第1の圧力プレート801は、第2の圧力プレート802と協同で第1の不織布層122およびエラストマー層124に圧力Pを掛けるために可動である。好ましくは、第1と第2の表面803および804は実質的に平面であり、互いに実質的に平行である。第1の不織布層122は、第1の不織布層122がエラストマー層124に直接隣接するようにエラストマー層124に近接している。近接した2つの層122および124は、積層装置800に手で供給される。好ましい積層装置800は、商品名「ヒートシーラー」の下で日本の大阪の東洋テスター工業(Toyo Tester Industry)株式会社から入手可能である。
【0057】
積層プロセスにおいて、第1の表面803は温度T1に加熱され、一方、第2の表面804は温度T2に加熱される。好ましくは、温度T1は約80℃から約160℃であり、より好ましくは、約100℃から約130℃である。温度T2は、好ましくは、約30℃から約60℃、より好ましくは約45℃から約55℃である。圧力Pは、好ましくは、約6kg/cm2 から約15kg/cm2 、より好ましくは、約9kg/cm2 から約11kg/cm2 である。圧力Pの適用の時間は、好ましくは約1秒から20秒、より好ましくは約5秒から約15秒である。好ましくは、圧力Pの適用は、得られるラミネート70の剥離強度を高めるため、2回(以上)実施されうる。圧力Pでの温度T1およびT2の適用により、エラストマー層124は、エラストマー層124の材料(たとえば、ポリスチレン熱可塑性エラストマー)を軟化することにより形成される熱/圧力結合を通して第1の不織布層122に結合する。
【0058】
本発明の弾性ラミネート70は、部分的にか全体的にかいずれかで少なくとも1つの構造的方向に弾性的な伸長性を提供することが所望されるさまざまの製品に組み込まれうる。そのような製品の例には、スエットバンド、包帯、ボディラップおよび使い捨ておむつおよび失禁製品を含む使い捨て着衣を含む使い捨て製品が含まれる。
【0059】
E.試験方法
1.繊維の配向についての試験方法 以下の方法は、好ましくは、不織布材料の繊維配向比(FOR)を定量するために用いられる。
【0060】
試料不織布(または層)は、標品スタブ(specimen stub)上に配置される。試料不織布は、試料不織布の(本明細書で以後定義される)主たる繊維方向が、写真を取られる縦方向とおおむね並ぶように平坦な状態で標品スタブ上に固定される。走査電子顕微鏡(SEM)が50倍の倍率で写真をとるために用いられる。好ましいSEMは、コード番号JSM−5310の下で日本の東京の日本電子(Japan Electron Optics Laboratory;JEOL)株式会社から入手可能である。
【0061】
以下の分析は、デジタイザー(digitizer)を用いることにより写真上でなされる。好ましいデジタイザーは、コード番号KD9600のもとで日本の東京のグラフテック(Graphtec)株式会社から入手可能である。写真はデジタイザー上に配置される。正方形領域(500μm×500μm)が、デジタイザー上の写真の中で任意に選ばれる。正方形領域の中で見られうるすべての成分繊維の両末端は、オペレーターにより手で確認され、その座標は、デジタイザーにより検出され記録される。この作業は、(それぞれ500μm×500μmを有する)3つの異なる正方形領域でなされ、その領域は、3つの異なる正方形領域におけるすべての繊維についての座標データを得るために写真の中で任意に選ばれる。それぞれの繊維の配向角度は、座標データに基づいて計算される。試料不織布の主たる繊維方向は、平均配向角度により決定され、それは、3つの異なる正方形領域から得られるすべての配向角度データの平均値である。
【0062】
±約10度以内の繊維配向比(FOR10)は、以下の計算、
FOR10=NF10/TNF×100 (2)
(式中、 NF10は、主たる繊維方向から±約10度以内の配向角度を有する繊維の数であり、 TNFは、3つの異なる正方形領域の中で測定された繊維の総数である)
により定量される。
【0063】
同様に、±約20度の範囲の繊維配向比(FOR20)は、以下の計算、
FOR20=NF20/TNF×100 (3)
(式中、 NF20は、主たる繊維方向から±約20度以内の配向角度を有する繊維の数である)により定量される。
【0064】
2.引っ張り強度についての試験方法 以下の方法は、好ましくは、材料の引っ張り強度を測定するために用いられる。
【0065】
引っ張り試験機(tensile tester)が用意される。引っ張り試験機は、アッパージョー(upper jaw)とアッパー上の下に位置するロワージョー(lower jaw)を有する。アッパージョーは可動であり、伸長力測定手段に接続されている。ロワージョーは試験機に固定されている。幅約2.5cm(約1インチ)で長さ約10.2cm(約4インチ)を有する試験試料(すなわち測定される不織布)が調製され、有効試料長(L)(すなわちゲージ長)が約5.1cm(約2インチ)となるようにアッパージョーとロワージョーに固定される。試験試料が物理的に破壊されるまで、伸長力が分あたり約50cm(約20インチ)のクロスヘッド速度でアッパージョーを通して試験試料に連続的に加えられる。加えられた伸長力がレコーダー(たとえば、コンピューターシステム)により記録される。破壊点における引っ張り強度は、最大引っ張り強度値において定量される。使用のために適切な引っ張り試験機は、コード番号インストロン(Instron)5564としてインストロン・コーポレーション(アメリカ合衆国、マサチューセッツ州02021、カントン(Canton)、ロイヤル・ストリート(Royall Street)100)から入手可能である。
【0066】
F.使い捨て着衣
本明細書では、「プル・オン着衣」とは、規定された腰部の開口および1対の脚部の開口を有し、脚を脚部の開口に挿入し、腰まで製品を引き上げることにより着用者の身体に引かれる着用製品を称する。本明細書では、「使い捨て」とは、洗濯されるかまたはさもなければ着衣として修復されるかまたは再使用されることが意図されない着衣を記述する(すなわち、それは、1回の使用の後に廃棄され、好ましくは、リサイクルされ、堆肥化され、またはさもなければ、環境に適合する方法で処理されることが意図される)。「一体的」プル・オン着衣とは、調和した全体(coordinated entity)を形成するように互いに一体化された分離した部品で形成されているプル・オン着衣を称するが、しかし、イヤーパネルは分離したシャーシに結合する分離した要素ではなく、むしろ、イヤーパネルは、着衣のシャーシもまた形成する少なくとも1層により形成されている(すなわち、着衣は、分離したシャーシおよび分離したイヤーパネルのような別になっている手で取り扱うパネルを必要としない)。プル・オン着衣はまた、好ましくは、身体から排出されるさまざまの滲出物を吸収し、含有するように「吸収性」でもある。本発明のプル・オン着衣の好ましい態様は、一体的使い捨て吸収性プル・オン着衣、図6において示されるプル・オン着衣120である。本明細書で、「プル・オンおむつ」とは、尿および便を吸収し、含有するために幼児および他の失禁者により一般的に着用されるプル・オン着衣を称する。しかしながら、本発明はまた、トレーニングパンツ、失禁ブリーフ、女性用衛生着衣またはパンティなどのような他のプル・オン着衣にも適用可能であることも理解されるべきである。本明細書では、「パネル」とは、プル・オン着衣の領域または要素をあらわす。(パネルは典型的には別の領域または要素であるけれども、パネルは、隣接するパネルと幾分か重なり(機能的に一致し)うる。)本明細書では、「収縮していない状態」とは、用いられているすべての弾性材料がそこから除去されているその縫合されていない(すなわち縫合が除かれている)、平坦な、そして弛緩した状態におけるプル・オン着衣の状態を記載するためにここでは用いられている。
【0067】
図6は、本発明の使い捨てプル・オン着衣の1つの好ましい態様(すなわち、一体的使い捨てプル・オンおむつ120)を示す。図6を参照すると、使い捨てプル・オン着衣120は、前方領域26、後方領域28および前方領域26と後方領域28の間のクロッチ領域30を有する。シャーシ41は、前方、後方およびクロッチ領域26、28および30として提供される。シャーシ41は、液体透過性トップシート24、トップシート24と結合している液体不透過性バックシート22、およびトップシート24とバックシート22との間に配置されている吸収性コア25(図6においては示されていない)を含む。シャーシ41は、前方領域26においてエッジライン222を形成するサイドエッジ220を有する。
【0068】
プル・オン着衣120はさらに、シャーシ41の対応する側面からそれぞれ横に外側に伸びる少なくとも1対の伸長性イヤーパネル45を含む。それぞれのイヤーパネル45は、最も外側のエッジライン242を形成する最も外側のエッジ240を有する。最も外側のエッジライン242の少なくとも1つは、収縮していない状態の着衣120において(図6において示されていない)縦の中心線100から不均一な横方向距離を有する。
【0069】
好ましい態様において、イヤーパネル45は、後方領域28におけるシャーシ41の対応する側面から図6において示される前方領域26におけるシャーシ41の対応するサイドエッジ220に連続的に伸びる。代わりに、イヤーパネル45は、前方領域26におけるシャーシ41の対応する側面から(図6において示されていない)後方領域28におけるシャーシ41の対応するサイドエッジに連続的に伸びうる。
【0070】
プル・オン着衣120は、2つの脚部開口34および腰部開口36を形成するシャーシ41に結合するイヤーパネル45を有する。好ましくは、プル・オン着衣120は、さらに、2つの脚部の開口34および腰部の開口36を形成する対応するエッジライン222および242に沿ってシャーシ41とイヤーパネル45をそれぞれ結合させるシーム232をも含む。
【0071】
図7は、本発明の使い捨てプル・オン着衣のもう1つの好ましい態様(すなわち、一体的使い捨てプル・オンおむつ20)を示す。図7を参照すると、使い捨てプル・オン着衣20は、前方領域26におけるシャーシ41の対応する側面から横に外側にそれぞれ伸びる1対の伸長性フロントイヤーパネル46および後方領域28におけるシャーシ41の対応する側面から横に外側にそれぞれ伸びる1対の伸長性バックイヤーパネル48を含む。イヤーパネル46および48のそれぞれは、最も外側のエッジライン242を形成する最も外側のエッジ240を有する。最も外側のエッジライン242の少なくとも1つは、収縮していない状態の着衣20において(図7においては示されていないが図8においては示されている)縦中心線100からの不均一な横方向距離LDを有する。プル・オン着衣20は、さらに2つの脚部開口34および腰部開口36を形成する対応するエッジライン242に沿ってフロントおよびバックイヤーパネル46および48をそれぞれ結合させるシーム32をも含む。
【0072】
好ましい態様において、イヤーパネル45、46および48の対の少なくとも一方、より好ましくはそれらの両方は、少なくとも横方向に弾性的に伸長性である。別態様において、イヤーパネル45、46および48は、横および縦方向の両方に弾性的に伸長性である。本明細書で、「伸長性」とは、不都合な破裂なしにある程度まで少なくとも1方向に伸長することが可能である材料を称する。本明細書で、「弾性」および「弾性的に伸長性」とは、材料を伸長させる力が除去されて後ほぼその元の寸法まで回復する能力を有する伸長性材料を称する。本明細書では、「伸長性」と記述されるいずれかの材料または要素は、別段の規定のない限り、弾性的に伸長性でもまたありうる。伸長性イヤーパネル45、46および48は、着用者にプル・オン着衣を最初に柔順に適合させ、プル・オン着衣が滲出物で負荷されたときを随分過ぎた着用時間にわたってこの適合を維持することによりより快適に形状に合致する適合感を提供する。というのは、イヤーパネル45、46および/または48は、プル・オン着衣の側面が伸長し、収縮することを可能とするからである。
【0073】
イヤーパネル45、46および48は、プル・オン着衣20または120の一体的要素により形成されうる(すなわち、それらは、プル・オン着衣20に固定される分離している手で取り扱う要素ではなく、しかしむしろ、プル・オン着衣のさまざまの層の1以上の延長部から形成されており、延長部である)。好ましい態様において、イヤーパネル45、46および48のそれぞれは、シャーシ41の突出した部材である(図8においてより明確に示されている)。好ましくは、イヤーパネル45、46および48は、シャーシ41の一部を形成し、イヤーパネル45、46および48に連続的に延びる少なくとも1つの一体的要素または連続シート材料(たとえば、図9における不織布外側カバー74)を含む。代わりに、イヤーパネル45、46および48は、シャーシ41の一部を形成する一体的要素を有さない(図において示されていない)分離した部材でありえ、シャーシ41の対応する側面に分離した部材を結合させることにより形成されうる。
【0074】
好ましい態様において、プル・オン着衣20または120はさらに、イヤーパネル45、46および48のそれぞれからそれぞれ横に外側に伸びるシームパネル66およびシームパネル66から横に外側にそれぞれ延びるティア・オープン・タブ31を含む。好ましい態様において、シームパネル66のそれぞれは、対応するイヤーパネル45、46および48の延長部であり、またはそこで用いられている部材要素の少なくとも1つであり、または要素のいずれか他の組み合わせである。より好ましくは、ティアオープンタブ31のそれぞれはまた、対応するシームパネル66の延長部でもあるか、またはそこで用いられているその部材要素の少なくとも1つでもあるか、またはその要素のいずれか他の組み合わせでもある。
【0075】
好ましい態様において、シャーシ41および/またはイヤーパネル45、46および48の対応するエッジ部分は、重なるシーム構造を作るように重なる形式で直接または間接的に(たとえば、シームパネル66を通して)縫合される。代わりに、フロントおよびイヤーパネル46および48は、(図に示されていない)バットシーム形式(butt seam manner)で縫合されうる。シーム32の結合は、シャーシ41および/またはイヤーパネル45、46および48において用いられる特定の材料にとって適切な当該技術において公知のいずれか適切な手段により実施されうる。したがって、音波シーリング、熱シーリング、圧力結合、接着剤または粘着結合、ソーイング、自溶(autogeneous)結合などが適切な技術でありうる。好ましくは、シームパネル66は、着用の間に着衣20または120について発生する強制力(force)および応力に耐えるあらかじめ決められたパターンの熱/圧力または超音波溶接(weld)により結合する。
【0076】
連続ベルト38は、図6および7において示されているように腰部開口36の周りのイヤーパネル45、46および48ならびにシャーシ41の一部により形成される。好ましくは、弾性化されたウエストバンド50は、前方領域26および後方領域28の両方に与えられる。連続ベルト38は、着用者に位置するときプル・オン着衣20または120において適合力を動的に作り出し、身体滲出物で負荷されたときでさえ着用者に対してプル・オン着衣20または120を維持し、したがって、着用者ときわめて近接して(図7において示されていない)吸収性コア25を維持し、そして、腰の周りに着用の間動的に発生する力を分散させ、それにより吸収性コア25の曲げまたはひだ寄せなしに吸収性コア25のための補足的サポートを提供するように機能する。
【0077】
図8は、イヤーパネル46および48がシーム32により互いに結合している前のトップシート24が見るものに面している(その弛緩された状態のままにされているイヤーパネル46および48を除いて)その収縮していない状態における図7のプル・オン着衣20の部分的に切欠された平面図である。プル・オン着衣20は、前方領域26、前方領域26と反対側の後方領域28、前方領域26と後方領域28との間に位置するクロッチ領域30および、サイドエッジが150と240と称され、エンドエッジすなわちウエストエッジが152と称されるプル・オン着衣20の外側周囲すなわちエッジにより規定される周囲を有する。トップシート24は、使用の間着用者の身体に隣接して位置するプル・オン着衣20の身体に面する表面を有する。バックシート22は、着用者の身体から離れて位置するプル・オン着衣20の外側に面する表面を有する。プル・オン着衣20は、液体透過性トップシート24、トップシート24と結合する液体不透過性バックシート22、およびトップシート24とバックシート22との間に位置する吸収性コア25を含むシャーシ41を含む。着衣20はさらに、シャーシ41から横に外側に伸びるフロントおよびバックイヤーパネル46および48、弾性化された脚部カフス52、および弾性化されたウエストバンド50を含む。トップシート24およびバックシート22は、吸収性コア25の寸法より一般的に大きな長さおよび幅寸法を有する。トップシート24およびバックシート22は、吸収性コア25のエッジを越えて伸び、それにより、着衣20のサイドエッジ150およびウエストエッジ152を形成する。液体不透過性バックシート22は、好ましくは、液体不透過性プラスチックフィルム68を含む。
【0078】
プル・オン着衣はまた、縦中心線100および横中心線110の2つの中心線をも有する。本明細書では、「縦」とは、プル・オン着衣20が着用されるとき立っている着用者を左と右の半分に両断する垂直平面と一般的に並ぶ(たとえばほぼ平行である)プル・オン着衣20の平面における線、軸、または方向を称する。本明細書では、「横」および「横方向」とは互換性があり、(着用者を前方と後方の半分に分割する)縦方向に一般的に垂直であるプル・オン着衣の平面の中に存在する線、軸または方向を称する。プル・オン着衣20およびその部材材料もまた使用時に着用者の皮膚に面する身体に面する表面および身体に面する表面に対して反対側の表面である外側に面する表面を有する。
【0079】
イヤーパネル45、46および48のそれぞれは、最も外側のエッジライン242を有する。本明細書では、「エッジライン」とは、イヤーパネル45、46および48またはシャーシ41の輪郭(outline)を規定するラインを称する。本明細書では、「最も外側(outermost)」とは、縦中心線100から最も遠い部分を称する。エッジライン242の少なくとも1つは、収縮していない状態の着衣20における縦中心線100から不均一横方向距離LDを有する。
【0080】
トップシート24、バックシート22および吸収性コア25は、さまざまの周知の形状で組み合わせられうるけれども、典型的なシャーシ形状は、1975年1月14日にケネス B.ビュエル(Kenneth B.Buell)に発行された「使い捨ておむつのための収縮性側面部分」という表題の米国特許第3,860,003号および1992年9月29日にケネス B.ビュエルらに発行された「あらかじめ配置された弾力性可撓性ヒンジを有する動的弾性腰部形態を有する吸収製品(Absorbent Article With Dynamic Elastic Waist Feature Having A Predisposed Resilient Flexural Hinge)」という表題の米国特許第5,151,092号において一般的に記載されている。
【0081】
図9は、図8の切断線9−9に沿って取られた好ましい態様の断面図である。プル・オン着衣20は、液体透過性トップシート24、トップシート24と結合する液体不透過性バックシート22およびトップシート24とバックシート22との間に位置する吸収性コア25を含むシャーシ41を含む。プル・オン着衣はさらに、シャーシ41から横に外側にそれぞれ延びるフロントイヤーパネル46および内部のバリアカフス54をも含む。図9は、前方領域26におけるフロントイヤーパネル46およびシャーシ41の構造のみを描写するけれども、好ましくは、同様の構造はまた、後方領域28においても提供される。好ましい態様において、フロントイヤーパネル46のそれぞれは、バリアフラップ56の延長された部分72、弾性ラミネート70および不織布の外側カバー74により形成される。弾性ラミネート70は、(図9においては示されていないが図11において示されている)平面エラストマー材料124を含む。本明細書では、「平面エラストマー材料」とは、2次元方向に連続的に伸びるエラストマー材料を称する。好ましい平面エラストマー材料には、スクリム、穿孔された(すなわち開孔形成された)フィルム、エラストマー織布または不織布などが含まれる。好ましい態様において、平面エラストマー材料124は、不均一横幅を有する少なくとも一部を含む。
【0082】
吸収性コア25は、一般的に圧縮可能であり、柔順であり、着用者の皮膚に刺激がなく、尿および他のある種の身体滲出物のような液体を吸収し、保持することが可能であるいずれの吸収性部材でもありうる。吸収性コア25は、広範な大きさおよび形状(たとえば、長方形、砂時計形、「T」字形、非対称形など)で、エアフェルトと一般的に称される細砕された木材パルプのような使い捨てプル・オン着衣および他の吸収製品において通常用いられる広範な液体吸収性材料から製造されうる。他の適切な吸収性材料の例には、しわのあるセルロースの詰め物、コフォームを含む溶融ブローポリマー、化学的に硬化され修飾されたかまたは架橋されたセルロース性繊維、ティッシュラップおよびティッシュラミネートを含むティッシュ、吸収性発泡体、吸収性スポンジ、超吸収性ポリマー、吸収性ゲル化材料、またはいずれか等価の材料または材料の組み合わせが含まれる。
【0083】
吸収性コア25の形状および構造は変化しうる(たとえば、吸収性コア25は、変化する厚さゾーン、親水性勾配、超吸収性勾配、またはより小さな平均密度およびより小さな平均坪量獲得ゾーンを有しうるものであり、または1以上の層または構造を含みうる)。さらに、吸収性コア25の大きさおよび吸収能力もまた幼児から成人にいたる範囲の着用者に適合するように変化しうる。しかしながら、吸収性コア25の全吸収能力は、着衣20の設計負荷および意図される用途に合致すべきである。
【0084】
着衣20の好ましい態様は、前方および後方腰部領域26および28において耳(ear)を有する非対称形修正砂時計形吸収性コア25を有する。広い受容と商業的成功を達成した吸収性コア25としての使用のための他の典型的な吸収構造は、1986年9月9日にワイズマン(Weisman)らに発行された「高密度吸収構造」という表題の米国特許第4,610,678号、1987年6月16日にワイズマンらに発行された「2重層コアを有する吸収製品」という表題の米国特許第4,673,402号、1989年12月19日にアングスタッド(Angstadt)に発行された「ダスチング層を有する吸収性コア」という表題の米国特許第4,888,231号、および1989年5月30日にアレマニー(Alemany)らに発行された「低密度および低坪量獲得ゾーンを有する高密度吸収性部材」という表題の米国特許第4,834,735号において記載されている。
【0085】
シャーシ41は、さらに、吸収性コア25の上に位置する化学的に硬化された繊維の獲得/分配コア84を含み得るものであり、それにより2重コアシステムを形成する。好ましい態様において、繊維は、親水性の化学的に硬化されたセルロース性繊維である。本明細書では、「化学的に硬化された繊維」とは、乾燥および水性の両方の条件の下で繊維の硬さを高めるために化学的手段により硬化されたいずれの繊維も意味する。そのような手段には、たとえば、繊維を被覆および/または含浸させる化学的硬化剤の添加が含まれる。そのような手段にはまた、たとえばポリマー鎖を架橋することにより繊維それ自体の化学構造を変えることにより繊維を硬化させることも含まれる。
【0086】
獲得/分配コア84において利用される繊維もまた化学反応により硬化されうる。たとえば、架橋剤が繊維に適用されえ、適用に続いて、繊維は繊維内架橋結合を化学的に形成させられる。それらの架橋結合は、繊維の硬度を増加させうる。繊維を化学的に硬化させるための繊維内架橋結合の利用が好ましいけれども、繊維の化学的硬化のための他のタイプの反応を排除することを意味しない。
【0087】
より好ましい硬化された繊維においては、化学的な加工処理は、架橋剤による繊維内架橋を含むが、一方、そのような繊維は、比較的脱水され、離解され(すなわち個別化され)、ねじれ、巻いた状態で存在する。適切な化学的硬化剤には、限定されないが、架橋溶液を形成するために用いられうる酸官能基を有するC2 〜C8 ジアルデヒドおよびC2 〜C8 モノアルデヒドを含むモノマー架橋剤が含まれる。それらの化合物は、単一のセルロース鎖の中にあるかまたは単一の繊維の中の隣接して位置するセルロース鎖上にある少なくとも2つの水酸基と反応することが可能である。硬化されたセルロース繊維を調製する上での使用のために考えられるそのような架橋剤には、限定されないが、グルタールアルデヒド、グリオキサール、ホルムアルデヒド、およびグリオキシル酸が含まれる。他の適切な硬化剤は、クエン酸のようなポリカルボン酸塩である。ポリカルボキシル硬化剤およびそれから硬化された繊維を作るための方法は、1993年3月2日にヘロン(Herron)に発行された「個別化された、ポリカルボン酸架橋された繊維を調製するための方法」という表題の米国特許第5,190,563号において記載されている。それらの条件の下で架橋することの効果は、硬化され、ここでの吸収製品における使用の間にそのねじれて巻いた形状を保持する傾向がある繊維を形成することである。そのような繊維およびそれを作るための方法は、上記の組み込まれた特許において引用されている。
【0088】
好ましい2重コアシステムは、1993年8月10日にアレマニーらに発行された「弾性腰部形態および高められた吸収性を有する吸収製品」という表題の米国特許第5,234,423号および1992年9月15日にヤング、ラボン(LaVon)およびテーラーに発行された「失禁処理のための高効率吸収製品」という表題の米国特許第5,147,345号において開示されている。好ましい態様において、獲得/分配コア84は、「CMC」の商品名の下で(アメリカ合衆国の)ウエイヤーハウザー(Weyerhaeuser)Co.から入手可能な化学的に処理された硬化されたセルロース性繊維材料を含む。好ましくは、獲得/分配コア84は、約40g/m2 から約400g/m2 の坪量を有し、より好ましくは、約75g/m2 から約300g/m2 の坪量を有する。
【0089】
より好ましくは、シャーシ22はさらに、図9において示されるようにトップシート24と獲得/分配コア84との間の獲得/分配層82をも含む。獲得/分配層82は、トップシート24の表面の濡れの傾向を減少させることを補助するために提供される。獲得/分配層82は、好ましくは、たとえば、(アメリカ合衆国ニュージャージー州ランディスビル(Landisiville)の)ポリマー・グループ,Inc.,ノース・アメリカからコード番号FT−6860として入手可能であるような、カーディングされた樹脂結合したハイロフト不織布材料を含み、それは6dtexのポリエチレンテレフタレート繊維で作られており、約43g/m2 の坪量を有する。獲得/分配層82および獲得/分配コア84についての好ましい例は、1997年10月1日に公開されたEP0797968A1(クルト(Kurt)ら)において開示されている。
【0090】
トップシート24は、好ましくは、柔順であり、柔軟な感触があり、着用者の皮膚に刺激がない。さらに、トップシート24は、液体透過性であり、液体(たとえば尿)がその厚さを容易に貫通することを可能とする。適切なトップシート24は、織布および不織布材料、開孔形成された熱可塑性フィルム、開孔されたプラスチックフィルム、および油圧成形された熱可塑性フィルムのようなポリマー材料、多孔性発泡体、網状発泡体、網状熱可塑性フィルム、および熱可塑性スクリムのような広範な材料から製造されうる。適切な織布および不織布材料には、天然繊維(たとえば、羊毛または綿繊維)、合成繊維(たとえばポリエステル、ポリプロピレン、またはポリエチレン繊維のようなポリマー繊維)、または天然繊維と合成繊維の組み合わせからなるものが含まれうる。トップシート24は、好ましくは、着用者の皮膚をトップシート24を通過し、吸収性コア25において含まれている液体から隔離するために(すなわちふたたび濡れることを防止するために)疎水性材料で作られる。もしトップシート24が疎水性材料で作られているならば、トップシート24の少なくとも上方表面は、液体がトップシートをより急速に通過するように親水性となるように処理される。このことは、身体滲出物がトップシート24を通過して引き込まれ、吸収性コア25により吸収されるよりもむしろトップシート24をあふれ出るようなことを無くす。トップシート24は、界面活性剤で処理することにより親水性にされうる。界面活性剤でトップシート24を処理するための適切な方法には界面活性剤でトップシート24材料をスプレーすることおよび材料を界面活性剤に浸漬することが含まれる。そのような処理および親水性のより詳細な検討は、1991年1月29日にレイジング(Reising)らに発行された「多層吸収性層を有する吸収製品」という表題の米国特許第4,988,344号および1991年1月29日にレイジングに発行された「高速獲得吸収性コアを有する吸収製品」という表題の米国特許第4,988,345号において含まれている。
【0091】
好ましい態様において、トップシート24は、表面の濡れの傾向の減少を提供し、そしてその結果として濡れた後コア25により吸収された尿を使用者の皮膚から離して維持することを容易にしうる不織ウエブである。好ましいトップシート材料の1つは、(アメリカ合衆国、サウスカロライナ州、シンプソンビル(Simpsonville)の)ファイバーウエブ・ノース・アメリカ,Inc.からコード番号P−8として入手可能である熱結合されたカーディングウエブである。もう1つの好ましいトップシート材料は、日本のハビックス(Havix)Co.からコード番号S−2355として入手可能である。この材料は、2層複合材料であり、カーディングとエア・スルー技術を用いることにより2種類の合成界面活性剤処理されたバイコンポーネント繊維で作られている。さらにもう1つの好ましいトップシート材料は、(ドイツのグロナウ(Gronau)の)アモコ・ファブリックス,Inc.からコード番号プロフリース・スタイル040018007として入手可能である熱結合されたカーディングウエブである。
【0092】
もう1つの好ましいトップシート24には開孔形成されたフィルムが含まれる。開孔形成されたフィルムは、トップシート24として好ましい。というのは、それは身体滲出物に対して透過性であり、さらに非吸収性であり、液体が逆流通過し、着用者の皮膚を再びぬらすことを許容する傾向が少ないからである。したがって、身体と接触する形成されたフィルムの表面は乾いたままであり、それにより身体の汚れが減少し、着用者にとってより快適な感触を作り出す。適切な形成されたフィルムは、1975年12月30日にトンプソン(Thompson)に発行された「先細の毛管を有する吸収構造」という表題の米国特許第3,929,135号、1982年4月13日にミュレーン(Mullane)らに発行された「汚れ抵抗性トップシートを有する使い捨て吸収製品」という表題の米国特許第4,324,246号、1982年8月3日にレーデル(Radel)らに発行された「繊維のような特性を示す弾力性プラスチックウエブ」という表題の米国特許第4,342,314号、1984年7月31日にアー(Ahr)らに発行された「光沢のない可視的表面および布のような触感を示す巨視的に拡張された3次元プラスチックウエブ(Macroscopically Expanded Three−Dimensional Plastic Web Exhibiting Non−Glossy Visible Surface and Cloth−Like Tactile Impression)」という表題の米国特許第4,463,045号、および1991年4月9日にベアード(Baird)に発行された「多層ポリマーフィルム」という表題の米国特許第5,006,394号において記載されている。
【0093】
好ましい態様において、バックシート22は、たとえば図9において示される液体不透過性フィルム68を含む。好ましくは、液体不透過性フィルム68は、前方、後方およびクロッチ領域26、28および30において縦に伸びる。より好ましくは、液体不透過性フィルム68は、イヤーパネル46または48の少なくとも1つに横に伸びない。液体不透過性フィルム68は、身体に面する表面79および外側に面する表面77を有する。液体不透過性フィルム68は、液体(たとえば、尿)に対して不透過性であり、好ましくは、薄いプラスチックフィルムから製造される。しかしながら、より好ましくは、プラスチックフィルムは、蒸気が着衣20から逃げ出ることを許容する。好ましい態様において、微小多孔性ポリエチレンフィルムが液体不透過性フィルム68のために用いられる。適切な微小多孔性ポリエチレンフィルムは、日本の名古屋の三井東圧化学により製造され、商品名PG−Pとして販売されている。好ましい態様において、(図には示されていない)使い捨てテープが加えて、汚れの後に簡便な使い捨てを提供するためにバックシート22の外側表面に結合している。
【0094】
液体不透過性フィルム68にとって適切な材料は、好ましくはポリエチレンまたはポリプロピレンを含む約0.012mm(0.5ミル)から約0.051mm(2.0ミル)の厚さを有する熱可塑性フィルムである。好ましくは、液体不透過性フィルムは、約5g/m2 から約35g/m2 の坪量を有する。しかしながら、他の可撓性液体不透過性材料も用いられうることに注意すべきである。本明細書で、「可撓性」とは、柔順であり、着用者の身体の一般的な形態および輪郭に容易に合致する材料を称する。
【0095】
好ましくは、バックシート22はさらに、ラミネート(すなわちバックシート22)を形成するように液体不透過性フィルム68の外側に面する表面と結合する不織布外側カバー74をも含む。不織布外側カバー74は、着衣20の最も外側の部分に位置し、着衣20の最も外側の部分の少なくとも一部を覆う。好ましい態様において、不織布外側カバー74は、着衣20の最も外側の部分の面積のほとんどすべてを覆う。不織布外側カバー74は、当該技術において公知のいずれか適切な付着手段により液体不透過性フィルム68に結合しうる。たとえば、不織布外側カバー74は、接着剤の均一連続層、接着剤のパターン化された層、または接着剤の分離した線、螺旋、または点の配列により液体不透過性フィルム68に固定されうる。適切な接着剤には、H−2128として日本の大阪のニッタ・フィンドレー株式会社から入手可能なホットメルト接着剤、およびJM−6064として日本の大阪のH.B.フラー・ジャパン株式会社から入手可能なホットメルト接着剤が含まれる。
【0096】
好ましい態様において、不織布外側カバー74は、たとえば、E−2341として日本の岐阜のハビックス株式会社から入手可能なカーディング不織ウエブである。不織布外側カバー74は、ポリエチレン(PE)とポリプロピレン(PP)とのバイコンポーネント繊維で作られる。PE/PPの比は、約50/50である。PE/PPバイコンポーネント繊維は、2d×51mmの寸法を有する。もう1つの好ましいカーディング不織ウエブは、日本の守山のチッソ株式会社から入手可能である。不織布外側カバー74もまたポリエチレン(PE)とポリプロピレン(PP)とのバイコンポーネント繊維で作られる。PE/PPの比は、約50/50である。
【0097】
もう1つの好ましい態様において、不織ウエブは、たとえば、日本の東京の三井石油化学工業株式会社から入手可能な紡糸結合された不織ウエブである。不織ウエブは、ポリエチレン(PE)とポリプロピレン(PP)のバイコンポーネント繊維で作られている。PE/PPの比は、約80/20である。PE/PPバイコンポーネント繊維は、ほぼ2.3dである厚さを有する。もう1つの紡糸結合不織ウエブは、コード番号13561DAPPのもとでファイバーウエブ・フランスS.A.から入手可能である。
【0098】
バックシート22は、好ましくは、吸収性コア25の外側に面する表面に隣接して位置し、好ましくは、当該技術において公知のいずれか適切な接着手段によりそれに結合する。たとえば、バックシート22は、接着剤の均一連続層、接着剤のパターン化された層、または接着剤の分離した線、螺旋、または点の配列により吸収性コア25に固定されうる。満足であることが見出された接着剤は、アメリカ合衆国ミネソタ州セントポールのH.B.フラー・カンパニーにより製造され、HL−1358Jとして販売される。接着剤のフィラメントの開放パターンネットワークを含む適切な接着手段の例は、1986年3月4日にミネトラ(Minetola)らに発行された「使い捨て汚物封入着衣」という表題の米国特許第4,573,986号において開示されている。螺旋パターンに旋回される数本の接着剤フィラメントを含むもう1つの適切な接着手段は、1975年10月7日にスプラーグ(Sprague),ジュニアに発行された米国特許第3,911,173号、1978年11月22日にザイエカー(Ziecker)に発行された米国特許第4,785,996号、および1989年6月27日にウェレニッツ(Werenicz)に発行された米国特許第4,842,666号において示される装置および方法により例示されている。代わりに、接着手段は、熱結合、圧力結合、超音波結合、動的機械的結合、またはいずれか他の適切な接着手段または当該技術において公知であるそれらの接着手段の組み合わせを含みうる。
【0099】
別の態様においては、吸収性コア25は、前方領域26および後方領域28においてより大きな伸長性を提供するためにバックシート22および/またはトップシート24に結合しない。
【0100】
プル・オン着衣20は、好ましくはさらに、液体および他の身体滲出物のよりすぐれた封入を提供するために弾性を有する脚部カフス52をも含む。弾性を有する脚部カフス52は、脚部領域における身体滲出物の漏れを減少させるためのいくつかの異なる態様を含みうる。(脚部カフスは、時々、レッグバンド、サイドフラップ、バリアカフス、弾性カフスまたはガスケットカフスともまた称されうるし、称されている。)1975年1月14日にビュエルに発行された「使い捨ておむつのための収縮性側面部分」という表題の米国特許第3,860,003号は、弾性を有する脚部カフスを提供するためにサイドフラップおよび1以上の弾性部材を有する収縮性脚部開口を与える使い捨ておむつを記載する。1990年3月20日にアジズ(Aziz)らに発行された「弾性を有するフラップを有する使い捨て吸収製品」という表題の米国特許第4,909,803号は、脚部領域の封入を向上させるために「起立した」弾性を有するフラップ(バリアカフス)を有する使い捨ておむつを記載する。1987年9月22日にローソン(Lawson)に発行された「2重カフスを有する吸収製品」という表題の米国特許第4,695,278号および1989年1月3日にドラグー(Dragoo)に発行された「漏れ抵抗性2重カフスを有する吸収製品」という表題の米国特許第4,795,454号は、ガスケットカフスとバリアカフスを含む2重カフスを有する使い捨ておむつを記載する。1987年11月3日にビュエルに発行された「使い捨て汚物封入着衣」という表題の米国特許第4,704,115号は、着衣の中に遊離液体を含有するために造形されたサイドエッジ漏れガードガターを有する使い捨ておむつまたは失禁着衣を開示する。
【0101】
それぞれの弾性を有する脚部カフス52は、上記レッグバンド、サイドフラップ、バリアカフスまたは弾性カフスのいずれかと同様であるように形状を与えられうるけれども、弾性を有する脚部カフス52は、上記参照された米国特許第4,695,278号および第4,795,454号において記載されている図8ににおいて示されるような1以上の弾性ストランド64を有する弾性ガスケットカフス62を含むことが好ましい。それぞれの弾性を有する脚部カフス52はさらに、上記参照された米国特許第4,909,803号において記載されているバリアフラップ56および離間手段58をそれぞれ含む内部バリアカフス54をも含むこともまた好ましい。
【0102】
本発明のプル・オン着衣20はさらに、よりすぐれた適合感および封入を提供する弾性を有するウエストバンド50をも含む。弾性を有するウエストバンド50は、着用者の腰に動的に適合するように弾性的に膨張し、収縮することが意図されるプル・オン着衣20の部分または帯域である。本発明のウエストバンド50は、本明細書で以後詳細に記載される弾性ラミネート70を含む。ウエストバンド50は、使い捨て着衣20の少なくとも一方、好ましくは両方のエンドエッジ152に沿って配置される。弾性を有するウエストバンド50は、好ましくは、プル・オン着衣20のエンドエッジ152から吸収性コア25のウエストエッジ154に向かって縦に内側に伸びる。好ましくは、プル・オン着衣20は、2つの弾性を有するウエストバンド50を有し、一方は後方領域28に位置し、一方は前方領域26に位置する。しかしながら、他のプル・オンおむつ態様が1つの弾性を有するウエストバンドで構築されうる。弾性を有するウエストバンド50は、1985年5月7日にキエビット(Kievit)らに発行された「弾性的に収縮性のウエストバンドを有する使い捨ておむつ」という表題の米国特許第4,515,595号および上記参照されたビュエルに発行された米国特許第5,151,092号において記載されているものを含む多数の異なる形状で構築されうる。
【0103】
図10は、図8の切断線10−10に沿って取られた1つの好ましい態様の断面図である。図10において示されるように、バックシート22とトップシート24の両方は、ウエストフラップ156を規定するように吸収性コア25のウエストエッジ154を超えて伸びる。好ましくは、バックシート22とトップシート24の近接する領域は、(図には示されていないが、)接着剤により互いに結合している。好ましい態様において、ウエストバンド50はウエストフラップ156に結合している。好ましくは、ウエストバンド50は、図10において示されるようにトップシート24上に配置され、トップシートに結合している。代わりに、ウエストバンド50は、図11において示されるように、バックシート22とトップシート24の間に配置され、結合しうる。ウエストバンド50は、当該技術において周知のもののような(図において示されていない)接着剤手段によりトップシート24(およびバックシート22)に結合しうる。たとえば、ウエストバンド50は、接着剤の均一連続層、接着剤のパターン化された層、または接着剤の分離した線または点の配列によりウエストフラップ156に固定されうる。使用のために好ましい接着剤は、名称H2085の下でアメリカ合衆国ウィスコンシン州のアト・フィンドレーInc.から入手可能である。
【0104】
好ましい態様において、ウエストバンド50は、通常の拘束されていない形状でウエストバンド50がウエストフラップ156を有効に収縮させギャザー形成するように弾性的に収縮性の状態でウエストフラップ156に固定される。ウエストバンド50は、少なくとも2つの方式で弾性的に収縮性の状態でウエストフラップ156に固定されうる。たとえば、ウエストバンド50は、ウエストフラップ156が収縮していない状態にある間に伸長し、ウエストフラップ156に固定されうる。代わりに、ウエストフラップ156は、ウエストバンド50が弛緩している、すなわち伸長していない状態にある間にたとえばひだ付けにより収縮し、そしてウエストバンド50は収縮したウエストフラップ156に固定される。
【0105】
さらに代わりに、ウエストバンド50は、収縮していない状態にあるウエストフラップ156に、弛緩している、すなわち伸ばされていない状態で結合し、それにより、バックシート22とトップシート24の材料と複合積層体を形成する。次いで、複合積層体の少なくとも一部、好ましくは全部は、バックシート22とトップシート24である非弾性部材を恒久的に伸長させるのに十分な機械的伸長に供される。次いで、複合積層体は、実質的に張力を掛けられていない状態に回復させられる。このようにして、複合積層体は、弾性を有するウエストバンド50として機能する「ゼロストレイン(歪のない)」ストレッチラミネートに形成される。
【0106】
本明細書では、「ゼロストレイン」ストレッチラミネートとは、実質的に張力を掛けられていない(「ゼロストレイン」)状態にある間にその同じ広がりを持つ表面の少なくとも一部に沿って互いに固定される少なくとも2つのプライの材料を含むラミネートを称する。プライの1つは伸長性でありエラストマー性である材料を含み(すなわち、掛けられた引張り力が解放された後その張力を掛けられていない寸法に実質的に回復し)、第2のプライは伸長性であり(しかしエラストマー性である必要はなく)、それで伸長(stretching)の際に第2のプライは少なくともある程度まで恒久的に伸長し、それで、掛けられた引張り力の解放の際にそれはそのもとの変形されていない形状に完全には回復しない。それにより、得られるストレッチラミネートは、最初の伸長の方向に、少なくとも最初の伸長のポイントまで弾性的に伸長性にされる。ストレッチラミネートを作るために用いられる特に好ましい方法および装置は、部材を機械的に伸長させるためにかみ合う波形ロールを利用する。特に好ましい装置および方法は、1992年12月1日にウエーバーらに発行された米国特許第5,167,897号、1990年10月20日にビュエルらに発行された米国特許第5,156,793号、および1992年9月1日にウエーバーらに発行された米国特許第5,143,679号において開示されている。
【0107】
好ましい態様において、ウエストバンド50は、吸収性コア25の横方向幅の本質的に全体にわたって延びる。本明細書で、「横方向幅」とは、使い捨て着衣の部材のサイドエッジの間の寸法を称する。本明細書では、「本質的に横切る(across essentially)」とは、弾性を有するウエストバンドを提供するためにその幅にわたって十分に遠く伸びる限り、このコンテキストにおいては、ウエストバンド50は吸収性コア25の幅全体にわたって絶対的に伸びる必要がないことを示すために用いられる。好ましくは、ウエストバンド50は、吸収性コア25の横幅の部分のみに渡って伸び、より好ましくは、少なくとも(図8において示される)イヤーパネル46および48における位置の間に伸びる。1つの好ましい態様において、ウエストバンド50は、(図に示されていない)着衣20の横幅全体にわたって伸びる。
【0108】
ウエストバンド50が着衣20のエンドエッジ152から内側に伸びる程度、したがって、得られるウエストバンドの縦の広がり(span)は、着衣20の特定の構造に従って変化しうる。ウエストバンド50の縦の広がりは、少なくとも約5mm、好ましくは約6mmから約60mm、より好ましくは約15mmから約30mmである。
【0109】
イヤーパネル45、46および48の少なくとも1つは、本発明の弾性ラミネート70を含む。たとえば、図9において示されるフロントイヤーパネル46のそれぞれは、弾性ラミネート70を含み、それは(図9において示されていない)エラストマー材料124を含み、それは、着用者の腰部および側面領域で最適の保持(すなわち維持)力を発生させることにより良好な適合を提供するように好ましくはシャーシ41から横に外側に伸びる。好ましくは、エラストマー材料124は、少なくとも1方向に伸長性であり、好ましくは、プル・オン着衣20が、着用者の皮膚に赤化(red marking)を引き起こすことなく胴体の位置から垂れ下がり、撓み、または滑り落ちることを防止するのに最適である保持(すなわち維持)力を発生させるように横方向に伸長性である。好ましい態様において、イヤーパネル45、46および48のそれぞれは、エラストマー材料124を含む。
【0110】
弾性ラミネート70は、弾性ラミネート70が少なくとも横方向に弾性的に伸長性であることを可能とするようにイヤーパネル45、46および48の中の不織ウエブ72および74の少なくとも1つと効果的に結合する。好ましい態様において、弾性ラミネート70は、実質的に張力を掛けられていない(ゼロストレインの)状態にある間に不織ウエブ72および74の少なくとも一方、好ましくは両方にそれを固定することにより不織ウエブ72および74に効果的に結合する。
【0111】
弾性ラミネート70は、断続的結合形状または実質的に連続的な結合形状のいずれかを用いることにより不織ウエブ72および74に効果的に結合しうる。本明細書では、「断続的に」結合されたラミネートウエブとは、プライが別々の離間したポイントで互いにはじめに結合するラミネートウエブまたはプライが別々の離間した領域で互いに実質的に結合していないラミネートウエブを意味する。逆に、「実質的に連続的に」結合したラミネートウエブとは、プライが界面の領域全体に互いに実質的に連続的にはじめから結合しているラミネートウエブを意味する。ストレッチラミネートは全体で結合するかまたはストレッチラミネートの有意な部分で結合し、それで非弾性ウエブ(すなわち不織ウエブ72および74)の破裂を引き起こすことなく伸長し、または引っ張られることが好ましく、ストレッチラミネートの層は、好ましくは、増加する機械的伸長操作の後に互いに比較的近接した付着においてストレッチラミネートの層のすべてを維持する形状で結合する。したがって、弾性パネル部材およびストレッチラミネートの他のプライは好ましくは、接着剤を用いて互いに実質的に連続的に結合する。特に好ましい態様において、選択された接着剤は、約7.0グラム/平方mの坪量でコントロールコートスプレーパターンで付与される。接着剤パターンの幅は約6.0cmである。接着剤は好ましくは、名称H2085Fの下で日本の大阪のニッタ・フィンドレー株式会社から入手可能であるような接着剤である。代わりに、弾性パネル部材およびストレッチラミネートのいずれか他の部材は、熱結合、圧力結合、超音波結合、動的機械的結合、または当該技術において公知であるいずれか他の方法を用いて互いに断続的または連続的に結合しうる。
【0112】
弾性ラミネート70が不織ウエブ72および74の少なくとも一方に効果的に結合して後、得られた複合ストレッチラミネートの少なくとも一部は、次いで、たとえば不織ウエブ72および74である非弾性部材を恒久的に伸長させるのに十分な機械的伸長に供される。次いで、複合ストレッチラミネートは、その実質的に張力を掛けられていない状態に回復させられる。したがって、イヤーパネル45、46および48の少なくとも1対、好ましくは両方は、「ゼロストレイン」ストレッチラミネートに形成される。(代わりに、弾性ラミネート70は、張力を掛けられた状態で効果的に結合しうるであろうし、次いで機械的伸長に供されうるであろう。しかしながら、これは、「ゼロストレイン」ストレッチラミネートほど好ましくない。)
弾性ラミネート70は、図9において示される接着剤76により液体不透過性フィルム(すなわち、液体不透過性フィルム68)のそれぞれのエッジ78に好ましくは結合し、より好ましくは直接固定される。好ましい態様において、液体不透過性フィルム68は、前方、後方およびクロッチ領域26、28および30において縦に伸びるけれども、それは、伸長性イヤーパネル45、46および48の少なくとも1つ、好ましくはそれぞれに横には伸びない。より好ましい態様において、弾性ラミネート70は、図9において示される外側に面する表面77で液体不透過性フィルム68のそれぞれのエッジ78に結合する。別態様において、弾性ラミネート70は、(図において示されていない)身体に面する表面79で液体不透過性フィルム68のそれぞれのエッジ78に結合しうる。好ましくは、接着剤76は、螺旋のり付けパターンで付与される。好ましい態様において、接着剤76は、非晶質成分と結晶化する成分を有する可撓性接着剤である。そのような好ましい接着剤は、名称H2085Fの下で日本の大阪のニッタ・フィンドレー株式会社により作られている。代わりに、弾性ラミネート70は、熱結合、圧力結合、超音波結合、動的機械的結合、またはそれらの接着手段の組み合わせを含む当該技術において公知のいずれか他の結合手段により液体不透過性フィルム68のそれぞれのエッジ78に結合しうる。
【0113】
本明細書で記載されている例及び態様は単に例示目的のためであり、さまざまな修正または変更が本発明の範囲から逸脱することなく当業者に示唆されうることが理解される。
【図面の簡単な説明】
【0114】
本明細書は、発明を特定して指摘し、明確に権利請求する特許請求の範囲を含むけれども、本発明は、添付の図面とともに理解され、同様の名称が実質的に同一の要素を指称するために用いられる好ましい態様の以下の記載からよりよく理解されるであろうと思われる。
【図1】図1は、弾性ラミネートに形成される前の本発明の1つの好ましい態様の弾性ラミネートの部分拡大斜視図である。
【図2】図2は、もう1つの好ましい態様の弾性ラミネートの単純化された断面図である。
【図3】図3は、不織布層の一部が結合された構造を示すために除去されている本発明のさらにもう1つの態様の弾性ラミネートの拡大された斜視図である。
【図4】図4は、エラストマー材料の別態様の部分拡大斜視図である。
【図5】図5は、図3において示される弾性ラミネートを形成するための積層装置の模式的表現である。
【図6】図6は、使用形態として典型的な本発明の使い捨てプル・オン着衣の1つの好ましい態様の斜視図である。
【図7】図7は、使用形態として典型的な本発明の使い捨てプル・オン着衣のもう1つの好ましい態様の斜視図である。
【図8】図8は、着衣のさまざまのパネルもしくはゾーンを示すその平坦な収縮していない状態の図7において示される態様の単純化された平面図である。
【図9】図9は、図8の切断線9−9に沿って取られた好ましい態様の断面図である。
【図10】図10は、図8の切断線10−10に沿って取られた好ましい態様のウエストバンド50の断面図である。
【図11】図11は、もう1つの好ましい態様のウエストバンド50の断面図である。
【図12】図12は、好ましい態様におけるエラストマー材料の2サイクルのヒステリシス曲線を示すグラフである。
【符号の説明】
【0115】
20,120…プル・オン着衣、22…バックシート、24…トップシート、25…吸収性コア、31…タブ、38…ベルト、41…シャーシ、45,46,48…イヤーパネル、50…ウエストバンド、68…液体不透過性フィルム、70…弾性ラミネート、74…不織布外側カバー、82…獲得/分配層、84…獲得/分配コア、122,126…不織布層、124…エラストマー層、125,127…ストランド、156…ウエストフラップ、160,164,170…接着剤、172…エラストマーウエブ、800…積層装置、801,802…圧力プレート、
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1方向に弾性的に伸長性のある弾性ラミネートであって、
(a)第1の表面と、及び前記第1の表面と反対側の第2の表面を有するエラストマー層と、
前記エラストマー層が、第1方向におけるエラストマー材料の第1セットと、第2方向におけるエラストマー材料の第2セットとを備えてなり、第1方向が第2の方向から90度の角度を有するものであり、
前記エラストマー層が、スチレン−ブタジエン−スチレン熱可塑性エラストマー、スチレン−イソプレン−スチレン熱可塑性エラストマー、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレン熱可塑性エラストマー、スチレン−エチレン/プロピレン−スチレン熱可塑性エラストマー、スチレン−エチレン/プロピレン熱可塑性エラストマー、水素化されたスチレンブタジエンゴムおよびこれらの混合物からなる群より選択されるポリスチレン熱可塑性エラストマーを含んでなり、
(b)前記エラストマー層の第1の表面に結合する第1の不織布層とを備えてなり、
前記第1の不織布層が、少なくとも65%の主たる繊維方向から±20度の範囲の繊維配向比を有してなり、
前記第1方向におけるエラストマー材料の第1セットにおける各材料の幅が、前記第2方向におけるエラストマー材料の第2セットにおける各材料の幅よりも大きいものである、弾性ラミネート。
【請求項2】
前記第1の不織布層が少なくとも15の引っ張り強度比を有する、請求項1記載の弾性ラミネート。
【請求項3】
前記第1の不織布層が30%伸長の際200gf/インチ(80gf/cm)未満の応力を有する、請求項1記載の弾性ラミネート。
【請求項4】
前記第1の不織布層が、少なくとも45%の主たる繊維方向から±10度の範囲の繊維配向比を有する請求項1記載の弾性ラミネート。
【請求項5】
前記第1の不織布層が60g/m2 未満の坪量を有する請求項1記載の弾性ラミネート。
【請求項6】
前記エラストマー層の第2の表面に結合する第2の不織布層をさらに備えてなる、請求項1記載の弾性ラミネート。
【請求項7】
前記第1の不織布層が合成連続繊維から作られてなる、請求項1に記載の弾性ラミネート。
【請求項8】
前記合成連続繊維がポリオレフィンまたはポリエステルから作られている請求項7記載の弾性ラミネート。
【請求項9】
前記合成連続繊維がバイコンポーネント繊維である、請求項7に記載の弾性ラミネート。
【請求項10】
前方領域と、後方領域と、及び前記前方領域と前記後方領域との間のクロッチ領域を有する使い捨て着衣であって、
前記前方領域と、前記後方領域と、及び前記クロッチ領域を備えてなり、前記前方領域および前記後方領域にエッジラインを有してなるシャーシと、及び
前記シャーシが、液体透過性トップシートと、トップシートと結合する液体不透過性バックシートと、前記トップシートと前記バックシートとの間に配置される吸収性コアとを備えてなるものであり、
前記前方領域又は前記後方領域において前記シャーシから横に外側に伸びる少なくとも一対の伸長性サイドパネルとを備えてなり、
前記サイドパネルの少なくとも一つが、少なくとも横方向に弾性的に伸長性の弾性ラミネートを含んでなるものであり、
前記弾性ラミネートが、
(a)第1の表面と、及び前記第1の表面と反対側の第2の表面を有するエラストマー層と、
前記エラストマー層が、第1方向におけるエラストマー材料の第1セットと、第2方向におけるエラストマー材料の第2セットとを備えてなり、第1方向が第2の方向から90度の角度を有するものであり、
前記エラストマー層が、スチレン−ブタジエン−スチレン熱可塑性エラストマー、スチレン−イソプレン−スチレン熱可塑性エラストマー、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレン熱可塑性エラストマー、スチレン−エチレン/プロピレン−スチレン熱可塑性エラストマー、スチレン−エチレン/プロピレン熱可塑性エラストマー、水素化されたスチレンブタジエンゴムおよびこれらの混合物からなる群より選択されるポリスチレン熱可塑性エラストマーを含んでなり、
(b)前記エラストマー層の第1の表面に結合する第1の不織布層とを備えてなり、
前記第1の不織布層が、主たる繊維方向を有する成分繊維から形成されてなり、
前記第1の不織布層が、少なくとも65%の主たる繊維方向から±20度の範囲の繊維配向比を有してなり、
前記第1方向におけるエラストマー材料の第1セットにおける各材料の幅が、前記第2方向におけるエラストマー材料の第2セットにおける各材料の幅よりも大きいものである、使い捨て着衣。
【請求項11】
前記シャーシを前記サイドパネルに結合させ、二つの脚部の開口と、及び腰部の開口を形成させるシームをさらに備えてなる、請求項10に記載の使い捨て着衣。
【請求項12】
前記少なくとも一対のサイドパネルが、前記前方領域におけるシャーシから横に外側に伸びる一対の伸長性フロントサイドパネルと、及び
前記後方領域におけるシャーシから横に外側に伸びる一対の伸長性バックサイドパネルを備えてなり、
前記使い捨て着衣が、前記フロントサイドパネルと前記バックサイドパネルをそれぞれ結合させ、二つの前記脚部開口と、及び前記腰部開口を形成させるシームをさらに備えてなる、請求項10に記載の使い捨て着衣。
【請求項13】
前記第1の不織布層が少なくとも15の引っ張り強度比を有する、請求項10に記載の使い捨て着衣。
【請求項14】
前記第1の不織布層が30%伸長において200gf/インチ(80gf/cm)未満の応力を有する、請求項10に記載の使い捨て着衣。
【請求項15】
前記第1の不織布層が、少なくとも45%の主たる繊維方向から±10度の範囲の繊維配向比を有する、請求項10に記載の使い捨て着衣。
【請求項16】
前記エラストマー層の前記第2の表面に結合する前記第2の不織布層をさらに備えてなる、請求項10に記載の使い捨て着衣。
【請求項17】
前記第1の不織布層がポリオレフィン又はポリエステルから作られている合成連続繊維から形成されてなる、請求項10に記載の使い捨て着衣。
【請求項1】
少なくとも1方向に弾性的に伸長性のある弾性ラミネートであって、
(a)第1の表面と、及び前記第1の表面と反対側の第2の表面を有するエラストマー層と、
前記エラストマー層が、第1方向におけるエラストマー材料の第1セットと、第2方向におけるエラストマー材料の第2セットとを備えてなり、第1方向が第2の方向から90度の角度を有するものであり、
前記エラストマー層が、スチレン−ブタジエン−スチレン熱可塑性エラストマー、スチレン−イソプレン−スチレン熱可塑性エラストマー、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレン熱可塑性エラストマー、スチレン−エチレン/プロピレン−スチレン熱可塑性エラストマー、スチレン−エチレン/プロピレン熱可塑性エラストマー、水素化されたスチレンブタジエンゴムおよびこれらの混合物からなる群より選択されるポリスチレン熱可塑性エラストマーを含んでなり、
(b)前記エラストマー層の第1の表面に結合する第1の不織布層とを備えてなり、
前記第1の不織布層が、少なくとも65%の主たる繊維方向から±20度の範囲の繊維配向比を有してなり、
前記第1方向におけるエラストマー材料の第1セットにおける各材料の幅が、前記第2方向におけるエラストマー材料の第2セットにおける各材料の幅よりも大きいものである、弾性ラミネート。
【請求項2】
前記第1の不織布層が少なくとも15の引っ張り強度比を有する、請求項1記載の弾性ラミネート。
【請求項3】
前記第1の不織布層が30%伸長の際200gf/インチ(80gf/cm)未満の応力を有する、請求項1記載の弾性ラミネート。
【請求項4】
前記第1の不織布層が、少なくとも45%の主たる繊維方向から±10度の範囲の繊維配向比を有する請求項1記載の弾性ラミネート。
【請求項5】
前記第1の不織布層が60g/m2 未満の坪量を有する請求項1記載の弾性ラミネート。
【請求項6】
前記エラストマー層の第2の表面に結合する第2の不織布層をさらに備えてなる、請求項1記載の弾性ラミネート。
【請求項7】
前記第1の不織布層が合成連続繊維から作られてなる、請求項1に記載の弾性ラミネート。
【請求項8】
前記合成連続繊維がポリオレフィンまたはポリエステルから作られている請求項7記載の弾性ラミネート。
【請求項9】
前記合成連続繊維がバイコンポーネント繊維である、請求項7に記載の弾性ラミネート。
【請求項10】
前方領域と、後方領域と、及び前記前方領域と前記後方領域との間のクロッチ領域を有する使い捨て着衣であって、
前記前方領域と、前記後方領域と、及び前記クロッチ領域を備えてなり、前記前方領域および前記後方領域にエッジラインを有してなるシャーシと、及び
前記シャーシが、液体透過性トップシートと、トップシートと結合する液体不透過性バックシートと、前記トップシートと前記バックシートとの間に配置される吸収性コアとを備えてなるものであり、
前記前方領域又は前記後方領域において前記シャーシから横に外側に伸びる少なくとも一対の伸長性サイドパネルとを備えてなり、
前記サイドパネルの少なくとも一つが、少なくとも横方向に弾性的に伸長性の弾性ラミネートを含んでなるものであり、
前記弾性ラミネートが、
(a)第1の表面と、及び前記第1の表面と反対側の第2の表面を有するエラストマー層と、
前記エラストマー層が、第1方向におけるエラストマー材料の第1セットと、第2方向におけるエラストマー材料の第2セットとを備えてなり、第1方向が第2の方向から90度の角度を有するものであり、
前記エラストマー層が、スチレン−ブタジエン−スチレン熱可塑性エラストマー、スチレン−イソプレン−スチレン熱可塑性エラストマー、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレン熱可塑性エラストマー、スチレン−エチレン/プロピレン−スチレン熱可塑性エラストマー、スチレン−エチレン/プロピレン熱可塑性エラストマー、水素化されたスチレンブタジエンゴムおよびこれらの混合物からなる群より選択されるポリスチレン熱可塑性エラストマーを含んでなり、
(b)前記エラストマー層の第1の表面に結合する第1の不織布層とを備えてなり、
前記第1の不織布層が、主たる繊維方向を有する成分繊維から形成されてなり、
前記第1の不織布層が、少なくとも65%の主たる繊維方向から±20度の範囲の繊維配向比を有してなり、
前記第1方向におけるエラストマー材料の第1セットにおける各材料の幅が、前記第2方向におけるエラストマー材料の第2セットにおける各材料の幅よりも大きいものである、使い捨て着衣。
【請求項11】
前記シャーシを前記サイドパネルに結合させ、二つの脚部の開口と、及び腰部の開口を形成させるシームをさらに備えてなる、請求項10に記載の使い捨て着衣。
【請求項12】
前記少なくとも一対のサイドパネルが、前記前方領域におけるシャーシから横に外側に伸びる一対の伸長性フロントサイドパネルと、及び
前記後方領域におけるシャーシから横に外側に伸びる一対の伸長性バックサイドパネルを備えてなり、
前記使い捨て着衣が、前記フロントサイドパネルと前記バックサイドパネルをそれぞれ結合させ、二つの前記脚部開口と、及び前記腰部開口を形成させるシームをさらに備えてなる、請求項10に記載の使い捨て着衣。
【請求項13】
前記第1の不織布層が少なくとも15の引っ張り強度比を有する、請求項10に記載の使い捨て着衣。
【請求項14】
前記第1の不織布層が30%伸長において200gf/インチ(80gf/cm)未満の応力を有する、請求項10に記載の使い捨て着衣。
【請求項15】
前記第1の不織布層が、少なくとも45%の主たる繊維方向から±10度の範囲の繊維配向比を有する、請求項10に記載の使い捨て着衣。
【請求項16】
前記エラストマー層の前記第2の表面に結合する前記第2の不織布層をさらに備えてなる、請求項10に記載の使い捨て着衣。
【請求項17】
前記第1の不織布層がポリオレフィン又はポリエステルから作られている合成連続繊維から形成されてなる、請求項10に記載の使い捨て着衣。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−280218(P2010−280218A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−146661(P2010−146661)
【出願日】平成22年6月28日(2010.6.28)
【分割の表示】特願2000−573543(P2000−573543)の分割
【原出願日】平成11年9月28日(1999.9.28)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月28日(2010.6.28)
【分割の表示】特願2000−573543(P2000−573543)の分割
【原出願日】平成11年9月28日(1999.9.28)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】
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