説明

強化エポキシ接着剤組成物

【課題】貯蔵安定性の優れた熱硬化性構造用エポキシ接着剤を提供する。
【解決手段】強化剤として以下の化合物を使用する。当該化合物は、イソシアナート末端基を有するポリウレタン、ポリ尿素およびポリ尿素ポリウレタンの群から選ばれるエラストマープレポリマー残基を含み、当該プレポリマー残基のイソシアナート末端基は、第一級脂肪族、脂環式、ヘテロ芳香族、および芳香族脂肪族アミン、第二級脂肪族、脂環式、芳香族、ヘテロ芳香族、および芳香族、脂肪族アミン、チオールならびにアルキルアミドからなる群から選ばれるキャッピング化合物によってキャップされており、当該キャッピング化合物は、それが結合する末端がもはや反応性基を有しないような態様で、エラストマープレポリマーのポリマー鎖の末端に結合している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イソシアナート末端基を有するポリウレタン、ポリ尿素およびポリ尿素ポリ
ウレタンの群から選ばれたエラストマープレポリマー残基を含む化合物であって、当該プ
レポリマー残基のイソシアナート末端基は、第一級脂肪族、脂環式、ヘテロ芳香族および
芳香族脂肪族(araliphatic)アミン、第二級脂肪族、脂環式、芳香族、ヘテロ芳香族お
よび芳香族脂肪族アミン、チオールならびにアルキルアミドからなる群から選ばれるキャ
ッピング化合物(capping compound)によってキャップされており、当該キャッピング化
合物は、それが結合される末端がもはや反応性基を有しないような態様で、エラストマー
プレポリマーの重合体鎖の末端に結合されている、化合物の、貯蔵安定性熱硬化性構造用
エポキシ接着剤における強化剤(toughener)としての使用に関する。本発明は、さらに
、エポキシ樹脂と上に定義された化合物を含む貯蔵安定性熱硬化性構造用エポキシ接着剤
組成物、およびそのような貯蔵安定性熱硬化性構造用エポキシ接着剤組成物を使用して2
つの別個の表面を一緒に接着する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
強化剤は、硬化生成物に改善された柔軟性(flexibility)およびかくしてより高い動
的強度(dynamic strength)を与えるための硬化性組成物において使用される柔軟剤(fl
exibilizing agents)である。
【0003】
強化剤は、構造用接着剤において特に有用である。構造用接着剤は、自動車、トラック
、バスまたは列車のような車両の部品のアセンブリー用のような、構造物の構造部品を一
緒に接着するために使用される接着剤である。硬化後、構造用接着剤は高い静的および高
い動的荷重の両方に耐えなければならない。
【0004】
従来の構造用接着剤はエポキシ接着剤である。硬化されたエポキシ接着剤はそれ自身比
較的高い静的強度(static strength)(すなわち高い引張り強度および高い重ね剪断強
度(lap shear strength))を有するが、やや貧弱な動的強度(すなわち低い衝撃剥離強
度)を有する。高い動的強度を有する耐衝突性構造用接着剤の要求を満たすために、通常
、強化剤が構造用エポキシ接着剤に加えられる。
【0005】
いくつかのエポキシ接着剤組成物が公知文献に記載されている。
米国特許第6015865号明細書は、液体および固体のエポキシ樹脂およびアミノ末
端ポリアルキレングリコールを含む接着剤組成物に関する。
特開平02−150485号公報は、ゲル化されたエポキシ樹脂、潜伏性硬化剤および
電気伝導性材料からなる接着剤について記述している。エポキシ樹脂の一部分はウレタン
結合を含み、ビスフェノールAジグリシジルエーテルの多価アルコール誘導体でキャップ
されている。
特開平02−199116号公報は、ウレタン結合を有するエポキシ化合物と硬化剤を
含むエポキシ樹脂組成物を開示している。
特開平05−156227号公報は、ウレタン変性エポキシ樹脂、アクリルゴム変性エ
ポキシ樹脂および/またはポリアルキレンエーテル変性エポキシ樹脂を潜在性硬化剤と配
合することによって得られる構造用接着剤を開示している。
特許第2749610号明細書は、硬化生成物に柔軟性を与えるウレタン変性エポキシ
樹脂を開示している。
特公平7−42449号明細書は、エポキシ樹脂、硬化剤、伝導性成分および可塑剤を
含む構造用接着剤について記述している。
国際公開第00/20483号パンフレットは、従来のゴム変性エポキシ樹脂、および
カルボン酸二無水物とジまたはポリアミンおよびポリフェノールまたはアミノフェノール
との縮合生成物を含むエポキシ接着剤組成物に関する。
国際公開第01/94492号パンフレットは、環状カルボン酸無水物と二官能ポリア
ミンの縮合生成物、およびエポキシ接着剤組成物のための構造成分としてのそれらの使用
について記述している。
国際公開第03/078163号パンフレットは、エポキシ系プレポリマー、アクリル
酸エステル末端ウレタン樹脂、および熱活性化硬化剤を含む硬化性接着剤を開示している

欧州特許出願公開第1431325号明細書は、エポキシ付加物、定義された式の重合
体、チキソトロープ剤および硬化剤を含むエポキシ接着剤組成物について記述している。
欧州特許出願公開第0457089号明細書は、エポキシ樹脂において硬化剤として使
用することができる、ウレタン基または尿素基を含有するアミンを調製する方法を開示し
ている。
欧州特許出願公開第0473905号明細書は、室温で硬化するエポキシ樹脂混合物に
言及している。
米国特許出願公開第3636133号明細書は、エポキシ樹脂および反応性末端基を有
する重合体調節剤を含む硬化性組成物を開示している。
米国特許出願公開第5187253号明細書は、ポリエステルウレタン尿素アミンを製
造する方法、およびエポキシ反応性塗料、ワニスおよびコーティングの製造におけるこれ
らの化合物の使用に関する。
上記の従来技術のエポキシ接着剤組成物の機械的性質は、概して、高い静的および動的
強度の両方を有する構造用接着剤の要求を完全には満たしていない。
欧州特許出願公開第0308664号明細書は、強化剤として、ポリフェノール末端ポ
リウレタンまたはポリ尿素と組み合わせてブタジエンアクリロニトリル共重合体を含むエ
ポキシ接着剤組成物を開示している。
欧州特許出願公開第0308664号明細書に記述された強化剤は、硬化生成物に高度
の柔軟性を与え、それらを構造用接着剤において使用するのによく適するようにすること
が知られている。しかしながら、これらの強化剤は、その強化剤を調製するために使用さ
れるアミノフェノールおよびポリフェノールの入手が限られているために高価である。
【特許文献1】米国特許第6015865号明細書
【特許文献2】特開平02−150485号公報
【特許文献3】特開平02−199116号公報
【特許文献4】特開平05−156227号公報
【特許文献5】特許第2749610号明細書
【特許文献6】特公平7−42449号明細書
【特許文献7】国際公開第00/20483号パンフレット
【特許文献8】国際公開第01/94492号パンフレット
【特許文献9】国際公開第03/078163号パンフレット
【特許文献10】欧州特許出願公開第1431325号明細書
【特許文献11】欧州特許出願公開第0457089号明細書
【特許文献12】欧州特許出願公開第0473905号明細書
【特許文献13】米国特許出願公開第3636133号明細書
【特許文献14】米国特許出願公開第5187253号明細書
【特許文献15】欧州特許出願公開第0308664号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の目的は、熱硬化性貯蔵安定性構造用エポキシ接着剤のための強化
剤であって、容易に入手可能な出発原料を主成分とし、優れた強化特性(toughening pro
perties)を有する強化剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
その目的は、請求項1によれば、イソシアナート末端基を有するポリウレタン、ポリ尿
素およびポリ尿素ポリウレタンの群から選ばれたエラストマープレポリマー残基を含む化
合物であって、当該プレポリマー残基のイソシアナート末端基は、第一級脂肪族、脂環式
、ヘテロ芳香族および芳香族脂肪族アミン、第二級脂肪族、脂環式、芳香族、ヘテロ芳香
族および芳香族脂肪族アミン、チオールならびにアルキルアミドからなる群から選ばれる
キャッピング化合物によってキャップされており、当該キャッピング化合物は、それが結
合している末端がもはや反応性基を有しないような態様で、エラストマープレポリマーの
重合体鎖の末端に結合されている、化合物を、貯蔵安定性熱硬化性構造用エポキシ接着剤
における強化剤として使用することによって達成される。
請求項2によれば、上に定義されたキャッピング化合物に加えて、フェノールとポリフ
ェノールからなる群から選ばれるキャッピング化合物が、プレポリマー残基のイソシアナ
ート末端基をキャップするために使用することができる。
さらに好ましい実施態様が従属請求項3〜11に定義されている。
1つの実施態様においては、上記されたフェノールとポリフェノールからなる群から選
ばれるキャッピング化合物の混合物を使用してもよい。用語「芳香族脂肪族アミン」は、
用語アラルキルアミンと同じものを意味する。上に与えられたように、用語「キャップさ
れた」は、それが結合している末端がもはや反応性基を有しないような、すなわちキャッ
ピング化合物が単官能であるような方法で、エラストマープレポリマーの重合体鎖の末端
に結合されていることを意味する。このように、第一級脂肪族アミンおよび第二級アミン
は尿素結合を介してプレポリマーに結合し、チオールはチオ尿素結合を介してプレポリマ
ーに結合し、アルキルアミドはアシル尿素結合を介してプレポリマーに結合し、そしてフ
ェノールまたはポリフェノールはウレタン結合を介してプレポリマーに結合する。エラス
トマープレポリマーは、第一級脂肪族、脂環式、ヘテロ芳香族および芳香族脂肪族アミン
、第二級脂肪族、脂環式、芳香族、ヘテロ芳香族および芳香族脂肪族アミン、チオールな
らびにアルキルアミドからなる群から選ばれるキャッピング化合物によってキャップされ
る。フェノールおよびポリフェノールからなる群から選ばれる追加のキャッピング化合物
は、プレポリマー残基のイソシアナート末端基をキャップするために使用することができ
る。このように、全く同一の化合物について、キャッピング化合物は、第一級脂肪族、脂
環式、ヘテロ芳香族および/または芳香族脂肪族アミン、第二級脂肪族、脂環式、芳香族
、ヘテロ芳香族および/または芳香族脂肪族アミン、チオールおよび/またはアルキルア
ミド、ならびにこれらの化合物の混合物であってもよく、所望によりフェノールおよび/
またはポリフェノールと組み合わせることもできる。
【0008】
本発明のキャップされたエラストマープレポリマーを構造用接着剤に添加すると、改善
された重ね剪断および衝撃剥離強度を有する硬化生成物にもたらす。典型的には、本発明
の強化剤および1,3−ジエンと極性のエチレン性不飽和コモノマーを主成分とする共重
合体で少なくとも部分的に改質されたエポキシ樹脂を含む構造用接着剤の硬化生成物は、
25MPaを超える重ね剪断強度および30N/mmを超える衝撃剥離強度を有する。上
に強化剤として定義された化合物を含む構造用接着剤は良好な貯蔵安定性を有する。その
構造用接着剤は、また、金属の上にいかなる種類の炭化水素が付着していても、その金属
に対して良好な接着を示す。特に、AP 167/22油(フィンダー社(Pfinder)か
ら入手可能)やANTICORIT 4107S油(フックス社(Fuchs)から入手可能
)のようなプロセス油がその上に付着した金属の上で、良好な接着が達成される。そのよ
うなプロセス油は当業者に知られている。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の化合物を調製するための原料は容易に入手可能であり、その化合物は低価格で
調製することができる。さらに、それらは、従来の強化剤と比較して、より低温で調製す
ることができる。
【0010】
好ましくは、キャップされたエラストマープレポリマーは、式Iの構造を有し、その化
合物はエポキシ樹脂に可溶または分散可能である。
【0011】
【化1】

【0012】
式中、Rは、p=1〜6、q=0〜5、かつp+q=2〜6の価数を有するエラストマ
ープレポリマー残基であり、
Xは、第一級脂肪族、脂環式、ヘテロ芳香族および/または芳香族脂肪族アミン、および
/または第二級脂肪族、脂環式、芳香族、ヘテロ芳香族および/または芳香族脂肪族アミ
ン、チオールおよび/またはアルキルアミドの残基であり、そして
Yはフェノールおよび/またはポリフェノールの残基である。
好ましい実施態様においては、Xは、NRおよび/またはSRであり、
およびRは、水素、直鎖または分枝C〜C26脂肪族またはC〜C26脂環式
残基、C〜C26アルキルカルボキシ残基および芳香族またはヘテロ芳香族残基から選
ばれ、そして一緒になって複素環、脂肪族環または芳香環を形成してもよく、Rおよび
の両方が同時に水素またはアルキルカルボキシであることはなく、そして
は、直鎖または分枝脂肪族残基、脂環式残基、芳香族脂肪族残基および芳香族残基か
ら選ばれる。
【0013】
このように、R、RおよびRの各々は、ブチル、プロピルまたはトリデシル残基
のような直鎖C〜C26脂肪族残基、またはイソプロピル残基のような分枝脂肪族残基
であってもよい。R、RおよびRは、また、シクロヘキシル残基のような脂環式残
基、またはフェニルもしくはベンジル残基のような芳香族残基、またはピロールのような
ヘテロ芳香族残基であってもよい。所望により、RおよびRは、式Iの化合物におい
てXが活性水素原子を有するモルホリンまたはN−アルキルピペリジンまたはイミダゾー
ルのような複素環式第二級アミンであるように、環を形成してもよい。
【0014】
より好ましい実施態様においては、NRは第二級立体障害(sterically hindere
d)アミン残基であり、RとRの少なくとも一方が式IIで表される。
−CR (II)
式中、少なくともRとRは独立にC〜C21脂肪族残基であり、RとRは環を
形成してもよく、そしてRは水素であってもよい。
【0015】
エラストマープレポリマーは、ポリエーテルポリオールおよび/またはポリエーテルポ
リアミンを過剰のポリイソシアナートと反応させることによって得ることができることが
好ましい。エラストマープレポリマーを得る反応中に、追加的に、ポリエステルジオール
、ポリブタジエンジオールおよび/または短鎖ポリオールを一緒に反応させることはさら
に好ましい。
【0016】
好ましくは、キャッピング化合物の炭素原子の数は4〜22の範囲にある。特に好まし
い実施態様においては、第二級アミンはジシクロヘキシルアミンおよび/またはジイソプ
ロピルアミンである。チオールは、好ましくは、1−ドデカンチオールである。これらの
化合物の強化効果は、概して、硬化生成物の重ね剪断強度が少なくとも25MPaであり
、そして衝撃剥離強度が45N/mmより高いようなものである。
【0017】
式Iの化合物において、qが0より大きいことが好ましい。そのような実施態様におい
ては、本発明の化合物は、また、そのように、フェノールおよび/またはポリフェノール
でもキャップされる。用語「フェノールおよび/またはポリフェノール」とは、芳香環構
造(その環構造はその構造の中に1つまたは2つ以上の芳香環を有することができ、さら
に他の置換基で置換されていてもよい。)に結合したヒドロキシル部分を有するいかなる
化合物をも包含する。フェノールの例としては、アミノフェノール、およびアリルフェノ
ールのような脂肪族残基で置換されたフェノールが挙げられる。
【0018】
フェノールまたはポリフェノールは、o−アリルフェノール、ビスフェノールAおよび
/またはo,o’−ジアリルビスフェノールAであることが好ましい。
【0019】
上に定義された化合物のような、キャップされたエラストマープレポリマーは、通常、
次の工程を含む方法によって調製される。
a)触媒の存在下にポリエーテルポリオールおよび/またはポリエーテルポリアミンを
ポリイソシアナートと反応させる工程、および
b)工程a)の生成物を第一級脂肪族、脂環式、ヘテロ芳香族および/または芳香族脂
肪族アミン、および/または第二級脂肪族、脂環式、芳香族、ヘテロ芳香族および/また
は芳香族脂肪族アミン、チオールならびに/またはアルキルアミドと反応させる工程、そ
して、所望により、工程c)において、フェノールおよび/またはポリフェノールと反応
させる。
【0020】
好ましくは、反応工程a)、b)およびc)は、約40℃〜約120℃の温度で、より
好ましくは約60℃〜100℃の温度で、最も好ましくは約85℃の温度で行なわれる。
ポリエーテルポリオールは、たとえば、ポリテトラヒドロフラン(PTHF)またはポリ
プロピレンオキシド(PPO)であってもよい。
ここに記述されたポリオールと反応し、ここに定義された特性を最終生成物に付与する
、いかなる脂肪族イソシアナートも、本発明において使用することができる。本発明の方
法において使用される好ましい脂肪族ポリイソシアナート化合物の例は、1,6−ジイソ
シアナトヘキサン(HDI)、5−イソシアナト−1−(イソシアナトメチル)−1,3
,3−トリメチルシクロヘキサン(IPDI)および2,4,4−トリメチルヘキサメチ
レン−1,6−ジイソシアナート(TMDI)である。ポリイソシアナートは、好ましく
は、ヘキサメチレン−1,6−ジイソシアナート(1,6−ジイソシアナトヘキサン)(
HDI)である。
【0021】
ポリエーテルポリオールとポリイソシアナートの反応に使用される触媒は、イソシアナ
ート基と活性水素を含有する化合物の反応を触媒する当業者に知られたいかなる触媒であ
ってもよい。好ましい触媒の中には、有機スズ化合物、アルカン酸金属(metal alkanoat
es)および第三級アミンがある。
触媒として有用な好ましい有機スズ化合物としては、アルキル酸化スズ(alkyl tin ox
ides)、アルカン酸第一スズ、ジアルキルスズカルボキシレートおよびスズメルカプチド
が挙げられる。アルカン酸第一スズとしては、第一スズオクトアートが挙げられる。アル
キル酸化スズとしては、ジブチル酸化スズおよびその誘導体のようなジアルキル酸化スズ
が挙げられる。有機スズ触媒は、好ましくは、ジアルキルスズジカルボキシレートまたは
ジアルキルスズジメルカプチドである。ジアルキルスズジカルボキシレートは、好ましく
は、式(ROC(O))−Sn−(R(式中、Rは、各出現毎に独立して、
1−10アルキル、好ましくはC1−3アルキル、そして最も好ましくはメチルである
。)に相当する。低総炭素原子数のジアルキルスズジカルボキシレートは、それらが本発
明の組成物においてより活性な触媒であるので、好ましい。有機スズ触媒のもう一つの好
ましい種類は、ジブチルスズC〜C18カルボキシレートのようなジアルキルスズC
〜C18カルボキシレートである。好ましいジアルキルジカルボキシレートとしては、1
,1−ジメチルスズジラウレート、1,1−ジブチルスズジアセテートおよび1,1−ジ
メチルジマレエートが挙げられる。
金属カルボキシレート触媒としては、ビスマス、亜鉛およびジルコニウムのカルボキシ
レートが挙げられ、オクタン酸ビスマス、ネオデカン酸ビスマス、ネオデカン酸コバルト
、ネオデカン酸亜鉛およびネオデカン酸ジルコニウムが挙げられる。
有機スズまたは金属カルボキシレート触媒は、組成物の質量を基準にして、約60pp
m以上、より好ましくは120ppm以上の量で存在する。有機スズまたは金属カルボキ
シレート触媒は、組成物の質量を基準にして、約1.0%以下、より好ましくは0.5質
量%以下、そして最も好ましくは0.1質量%以下の量で存在する。
好ましい第三級アミン触媒としては、ジモルホリノジアルキルエーテル、ジ((ジアル
キルモルホリノ)アルキル)エーテル、ビス−(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、
トリエチレンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N−ジメチルシクロヘ
キシルアミン、N,N−ジメチルピペラジン、4−メトキシエチルモルホリン、N−メチ
ルモルホリン、N−エチルモルホリンおよびそれらの混合物、ならびにオクタン酸ビスマ
スまたはネオデカン酸ビスマスのようなアルカン酸金属が挙げられる。好ましいジモルホ
リノジアルキルエーテルはジモルホリノジエチルエーテルである。好ましいジ((ジアル
キルモルホリノ)アルキル)エーテルは、(ジ−(2−(3,5−ジメチルモルホリノ)
エチル)エーテルである。
第三級アミン触媒は、組成物の質量を基準にして、好ましくは約0.01質量%以上、
より好ましくは約0.05質量%以上、さらに好ましくは約0.1質量%以上、最も好ま
しくは約0.2質量%以上の量で用いられ、好ましくは約2.0質量%以下、より好まし
くは約1.75質量%以下、さらに好ましくは約1.0質量%以下、最も好ましくは約0
.4質量%の量で用いられる。好ましくは、触媒は、カルボン酸ビスマス(たとえばNE
OBI 200)のようなビスマス触媒、ジラウリン酸ジブチルスズ触媒(たとえばME
TATINTM 712)のようなジアルキルスズジカルボキシレート、ジブチルスズメ
ルカプチド触媒(たとえばMETATINTM 713(8−オキサ−3,5−ジチア−
4−スタナテトラデカン酸,4,4−ジブチル−10))のようなジアルキルスズメルカ
プチドである。
【0022】
好ましい方法において、工程b)において反応させられる第二級アミンは、上に挙げら
れた好ましい化合物に従って、ジシクロヘキシルアミンおよび/またはジイソプロピルア
ミンであり、そして工程b)において反応させられるチオールは、好ましくは、1−ドデ
カンチオールである。
【0023】
工程a)またはb)の生成物がフェノールまたはポリフェノールとも反応させられる場
合は、フェノールまたはポリフェノールは、好ましくは、アリルフェノール、ビスフェノ
ールAおよび/またはo,o’−ジアリルビスフェノールAである。
【0024】
さらに好ましい実施態様においては、ポリブタジエンジオールおよび/またはポリエス
テルジオールが工程a)において追加的に加えられ、反応させられる。
【0025】
プレポリマーの官能性を増加するために、1,1,1−トリメチロールプロパン(TM
P)またはペンタエリトリットのような短鎖ポリオールを、工程a)において追加的に加
えて反応させることができる。
【0026】
好ましくは、各成分の量は、組成物の総質量を基準として、次のとおりである。
a)ポリエーテルポリオール10質量%〜90質量%、より好ましくは約25質量%〜
約80質量%、ポリブタジエンジオール35質量%以下、より好ましくは約10〜約35
質量%、ポリエステルポリオール40質量%以下、より好ましくは約5〜約40質量%、
短鎖ポリオール5質量%以下、より好ましくは約0〜約3質量%、およびポリイソシアナ
ート5質量%〜35質量%、より好ましくは約10〜約20質量%が、触媒0.1質量%
〜1質量%の存在下で反応させられ、そして
b)第一級アミン、第二級アミン、チオールおよび/またはアミド2質量%〜20質量
%、より好ましくは約3〜約15質量%が、工程a)において得られた混合物に加えられ
る。その量は、反応工程c)がない場合に、プレポリマーのイソシアナートに等モルの量
に相当する。
【0027】
所望により、次の工程c)において、フェノールおよび/またはポリフェノール0.5
質量%〜50質量%、より好ましくは約1.5〜約30質量%が、工程b)において得ら
れた混合物に加えられる。その量は、工程b)の後に残存するイソシアナート基に対して
わずかに過剰のモル量に相当する。
【0028】
本発明は、また、請求項12によれば、エポキシ樹脂および上に定義されたキャップさ
れたエラストマープレポリマーを含む貯蔵安定性熱硬化性構造用エポキシ接着剤組成物に
関する。本発明の組成物において用いることができるエポキシ樹脂は、次の式に示される
基を含有するものである。
【0029】
【化2】

【0030】
式中、Rは水素またはC1−4アルキルであり、好ましくは水素またはメチルであり、
そして最も好ましくは水素である。好ましいエポキシ樹脂は、エポキシ樹脂の主鎖にビス
フェノール部分を有するエポキシ樹脂である。本発明に有用な好ましいビスフェノール樹
脂の代表は、米国特許第5308895号明細書第8欄第6行に開示され、式6で表わさ
れるものである。その特許の関連する部分は、引用によってここに含まれる。好ましくは
、エポキシ樹脂は、液体エポキシ樹脂、または液体エポキシ樹脂に分散した固体エポキシ
樹脂の混合物である。最も好ましいエポキシ樹脂は、ビスフェノールAおよびビスフェノ
ールF系樹脂である。第一のエポキシ樹脂は、好ましくは、D.E.RTM 330およ
びD.E.R.TM 331ビスフェノールA系エポキシ樹脂(ダウ・ケミカル社(The
Dow Chemical Company)から入手可能)のような液体エポキシ樹脂、またはビスフェノー
ルA系エポキシ樹脂D.E.R.TM 671(ダウ・ケミカル社から入手可能)のよう
な固体エポキシ樹脂、またはそれらの混合物であり得る。D.E.R.TM 330、D
.E.R.TM 331およびD.E.R.TM 671(ダウ・ケミカル社から入手可
能)のような典型的な液体および固体エポキシ樹脂が使用される。
好ましくは、エポキシ樹脂は、接着剤組成物100部当たり、30〜80部、より好ま
しくは40〜70部、最も好ましくは45〜60部の量で使用される。
同様に、硬化性エポキシ組成物は、また、2成分エポキシ接着剤組成物であってもよい

【0031】
エポキシ樹脂の少なくとも一部が、1,3−ジエンおよび極性のエチレン性不飽和コモ
ノマーを主成分とする共重合体で改質され、および/またはコアシェルゴムを含む、貯蔵
安定性熱硬化性構造用エポキシ接着剤組成物が、さらに好ましい。用語「改質された」と
は、ここでは、共重合体が、エポキシ樹脂と混合され、エポキシ樹脂にグラフト重合され
、またはエポキシ樹脂と反応させられていること、すなわち付加物であることを意味する
。好ましくは、共重合体はエポキシ樹脂への付加物である。そのような共重合体は、米国
特許第5278257号明細書の第2欄第11行〜第4欄第5行に詳細に記述されており
、その開示は、引用によってここに含まれる。1,3−ジエンの例は、ブタジエン、イソ
プレンおよびクロロプレンである。ブタジエン系の共重合体が好ましい。共重合体に使用
される極性のエチレン性不飽和コモノマーの例としては、アクリル酸、メタクリル酸、ア
クリル酸もしくはメタクリル酸のエステル(たとえばメチルもしくはエチルエステル)、
アクリル酸もしくはメタクリル酸のアミド、フマル酸、イタコン酸、マレイン酸、または
そのエステルもしくは半エステル(たとえばモノメチルもしくはジメチルエステル)、ま
たは無水マレイン酸もしくはイタコン酸無水物、ビニルエステル(たとえば酢酸ビニル)
、核に塩素化もしくは臭素化されたスチレンのような極性スチレン、または、特に、アク
リロニトリルもしくはメタクリロニトリルが挙げられる。極性のエチレン性不飽和コモノ
マーのほかに、共重合体は、また、他の無極性のエチレン性不飽和コモノマーをも含有す
ることができる。これらの例は、エチレン、プロピレン、または、特に、スチレン、また
は、ビニルトルエンのような置換されたスチレンである。共重合体は、統計コポリマー、
ブロック共重合体またはグラフト共重合体であってもよい。この成分は、固体でもよく、
特に粉末でもよく、または、好ましくは、液体でもよい。それは、また、熱可塑性でもよ
く、熱可塑性エラストマーまたはエラストマーでもよい。共重合体中のコモノマーの割合
は、広い範囲で変えることができる。モノマーは、エポキシ樹脂と結合してエラストマー
相が形成されるように選ばれる。これらは、均質系であってもよいし、不均質系であって
もよい。
【0032】
組成物は、アクリロニトリルブタジエンゴムで変性されたエポキシ樹脂を含む。好まし
くは、共重合体で変性されたエポキシ樹脂は、X13、X8、X31またはX8、X31
およびX13の任意の混合物の群から選ばれたアクリロニトリルブタジエンゴムの少なく
とも1つを含む(ここで、XはCTBN(カルボキシ末端ブタジエンゴム)型のアクリロ
ニトリルブタジエンゴムを表わし、用語「混合物」とは、「成分の2つまたは3つの混合
物」を意味する。)。
X8は17%のアクリロニトリルを含むアクリロニトリルブタジエンゴムである。
X13は26%のアクリロニトリルを含むアクリロニトリルブタジエンゴムである。
X31は10%のアクリロニトリルを含むアクリロニトリルブタジエンゴムである。
好ましい共重合体は、HYCARTM CTBN 1300 X8、1300 X13
および1300 X31(ノベオン社(Noveon)から入手可能)のようなカルボキシ末端
ブタジエンアクリロニトリルゴムである。より好ましくは、貯蔵安定性熱硬化性構造用エ
ポキシ接着剤組成物は、5〜30質量%、より好ましくは約10〜約20質量%の共重合
体変性エポキシ樹脂および/またはコアシェルゴムを含む。コアシェルゴムは、当業者に
知られており、たとえば、米国特許第5290857号明細書および米国特許第5686
509号明細書に記述されており、引用によってここに含まれ、同様に、欧州特許出願公
開第1359202号明細書(段落[0037]、引用によってここに含まれ、その開示
はここに含まれる。)に記述されている。
【0033】
好ましい貯蔵安定性熱硬化性構造用エポキシ接着剤組成物は、本発明の化合物を約5質
量%〜約40質量%、より好ましくは約8〜約30質量%、最も好ましくは約10〜約2
5質量%含む。
【0034】
好ましい実施態様においては、貯蔵安定性熱硬化性構造用エポキシ接着剤組成物は、硬
化剤、促進剤、接着促進剤、エポキシシラン、ヒュームドシリカ、湿潤剤および無機充填
剤の群から選ばれた1つまたは2つ以上の添加剤をさらに含む。
本発明の硬化性エポキシ組成物は、ジシアンジアミドおよびイミダゾールのような硬化
剤、EP796のような促進剤、接着促進剤、エポキシシラン、ヒュームドシリカ、湿潤
剤および無機充填剤の群から選ばれた1つまたは2つ以上の添加剤を含み、そのエポキシ
組成物は熱によって硬化することができるものであることが、特に好ましい。
【0035】
存在する硬化剤は、エポキシ樹脂成分を完全に硬化するのに十分な量である。好ましく
は、硬化剤は、エポキシ組成物の質量を基準として、約1〜約10質量%、好ましくは約
2〜約7質量%の量で存在する。促進剤は、望ましい時間内にエポキシ樹脂成分の硬化を
生じさせるために十分な量を使用することができる。好ましくは、促進剤の量は、エポキ
シ組成物の質量を基準として、約0〜約5質量%、より好ましくは約0.2〜約2質量%
である。適切な硬化剤は当業者によく知られている。いくつかの適切な硬化剤が、エッチ
・リー(Lee, H)およびケー・ネヴィル(Neville, K.)著,「エポキシ樹脂ハンドブッ
ク(Handbook of Epoxy Resins)」,マグロウヒル出版(McGraw-Hill Book Company),
1967年,p.20−11およびテス(Tess)著,「粉体塗装(Powder Coatings)」
,エポキシ樹脂−化学と技術(Epoxy Resins-Chemistry and Technology),第2版,1
988年,p.772−778に教示されている。適切な硬化剤の例としては、ジシアン
ジアミドならびに他のアミンおよびアミド、多価フェノール、ならびにポリ酸無水物が挙
げられる。エポキシ樹脂に対する硬化剤の最適な比率は、選択される硬化剤および樹脂の
意図する用途によって変わる。通常、硬化剤とエポキシ樹脂の当量比は、好ましくは0.
1:1〜10:1であり、より好ましくは0.2:1〜2:1である。
【0036】
耐洗浄オフ性接着剤組成物のために、貯蔵安定性熱硬化性構造用エポキシ接着剤組成物
は、さらに、ポリエステルセグメントを含む熱可塑性ポリマーを含み、そのポリマーは室
温において少なくとも部分的に結晶性であり、かつ40〜125℃、より好ましくは約4
0〜約90℃の範囲の軟化温度を有する。好ましくは、そのポリマーの量は、接着剤組成
物の総質量を基準にして、2〜20質量%、より好ましくは5〜15質量%である。その
ような貯蔵安定性熱硬化性構造用エポキシ組成物はむしろ低い基礎粘度、そしてあらかじ
め硬化しなければ高い耐洗浄オフ性を有する。軟化温度とは、ここで用いられるときは、
ポリエステルポリオールのセグメントが接着剤配合物の中で融解し始める温度を意味する

【0037】
さらに好ましい実施態様においては、貯蔵安定性熱硬化性構造用エポキシ接着剤組成物
は、促進剤として、ポリマーマトリックスに埋め込まれた第三級ポリアミンを含む。好ま
しい例は、EP796(すなわち、欧州特許出願公開第0197892号明細書に記述さ
れるようなポリ(p−ビニルフェノール)マトリックスの中に一体化された2,4,6−
トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール)である。
【0038】
別々の表面を一緒に接着するときは、エポキシ接着剤組成物は通常の分配装置によって
少なくとも1つの表面に塗布され、表面を寄せ集め、そしてエポキシ接着剤組成物を12
0℃〜210℃の温度で硬化する。そのような熱硬化性エポキシ組成物は、通常、120
℃〜210℃、好ましくは140℃〜200℃の温度で15〜60分間、より好ましくは
20〜30分間、そしてより好ましくは175℃〜約185℃で約25〜35分間、硬化
される。
【0039】
このように、本発明は、また、硬化されたエポキシ接着剤を調製する方法に関し、その
方法においては、貯蔵安定性熱硬化性構造用エポキシ接着剤組成物が上記の温度に加熱さ
れる。そのエポキシ接着剤組成物は、自動車、バン、貨物自動車、バスおよび列車のよう
な車両の部品のアセンブリーに、すなわち、構造用接着剤として、好ましく用いられる。
それは、また、船および航空機の組立部品にも用いることができる。
【0040】
本発明のエポキシ接着剤組成物は、マニュアルで、または通常のビーズとしてロボット
によって、渦巻塗布(swirling)によって、もしくはジェットストリーミングによって自
動的に、塗布することができる。硬化は、120℃以上、好ましくは140℃以上の温度
で始まる。
【0041】
1つの実施態様において、本発明は、1つの基体の少なくとも1つの表面にここに記述
した組成物を塗布し、基体の表面の間に組成物が位置するように第二の基板の表面を第一
の基板の表面に一緒に合わせ、そしてその組成物を硬化することからなる2つの基体を一
つに接着する方法である。
【0042】
2つの別個の表面を一緒に接着する好ましい方法においては、接着剤組成物は少なくと
も1つの表面に塗布され、それらの表面は寄せ合わせられ、それらの表面の間に位置する
エポキシ接着剤組成物は、約120℃以上、好ましくは約140℃以上の温度で、少なく
とも約15分、好ましくは少なくともに約20分、好ましくは約60分以下、より好まし
くは約50分以下の時間、硬化される。好ましくは、硬化は、約210℃以下、より好ま
しくは約200℃以下で行なわれる。この実施態様においては、接着剤組成物は短時間で
硬化する。そのような方法においては、接着剤がそれらの表面の間に位置するようにそれ
らの表面を寄せ合わせた後、エポキシ接着剤組成物は約4週間までは硬化することができ
る。組成物が2液型組成物である実施態様においては、それらの成分は、それらの混合物
を基体に塗布する直前に、混合される。
【0043】
本発明は、また、車両の部品を一緒に接着して衝突安定性アセンブリーにするための、
2成分エポキシ接着剤組成物の使用に関する。したがって、本発明は、また、衝突安定性
アセンブリーにするためにエポキシ接着剤組成物によって一緒に接着された部品に関する

一般に、本発明の化合物の数平均分子量は、10000〜45000Daの範囲にある
。好ましくは、その化合物の数平均分子量は、15000〜40000Da、最も好まし
くは20000〜35000Daの範囲にある。
数平均分子量は、前置カラム、第一カラム(ポリマー・ラボラトリーズ社(Polymer La
boratories)から入手可能なPL gel 3μm MIXED ETM)、および第二
カラム(ポリマー・ラボラトリーズ社から入手可能なPL gel 5μm MIXED
TM)からなるゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)装置を用いて、
標準的なGPC法によって測定される。
GPC法の溶離剤は、テトラヒドロフラン(モレキュラーシーブ上の絶対純度(absolu
te puriss):>99.5%(GC))であり、流量は0.9ml/分(min.)である。
用いられる検出器はRI検出器(屈折率検出器)である。GPC装置を校正するために、
ポリスチレン標準が用いられる。校正の範囲は160Da〜100000Daである。
請求項1に定義された化合物の数平均分子量を測定するために、2000Da以上のピ
ークだけが考慮に入れられる。ほとんどの場合、2000Da以上のピークは1つだけ検
出される。2000Da以上のピークが2つ検出されるまれな場合は、強化剤の数平均分
子量はこれらのピークの平均値を計算することによって決定される。
【実施例】
【0044】
1. ジシクロヘキシルアミンでキャップされた式Iの化合物の調製
反応工程a):
ポリテトラヒドロフラン(PTHF2000、バスフ社(BASF))72.6質量%(生
じる組成物の総質量基準)、1,1,1−トリメチロールプロパン(TMP;フルカ社(
Fluka))0.5質量%、およびカルボン酸ビスマス触媒(シェパード社(Shepherd)か
ら入手可能なNEOBI200(ネオデカン酸ビスマス))0.6質量%を、85℃で均
一に混合する。その後、ヘキサメチレン−1,6−ジイソシアナート(HDI;バイエル
社(Bayer)/メルク社(Merck))13.1質量%を加え、混合物を85℃で1時間反応
させる。
反応工程b):
ジシクロヘキシルアミン(メルク社)13.2質量%を加え、混合物を85℃でさらに
20分間撹拌する。それによって、ジシクロヘキシルアミンでキャップされた式Iの化合
物が得られる(実施例1)。
【0045】
2. ジイソプロピルアミンでキャップされた式Iの強化剤の調製
反応工程a):
ポリテトラヒドロフラン(PTHF2000、バスフ社)77.1質量%(生じる組成
物の総質量基準)、1,1,1−トリメチロールプロパン(TMP;フルカ社)0.5質
量%、およびカルボン酸ビスマス触媒(シェパード社から入手可能なNEOBI200(
ネオデカン酸ビスマス))0.6質量%を85℃で均一に混合する。その後、ヘキサメチ
レン−1,6−ジイソシアナート(HDI;バイエル社/メルク社)14質量%を加え、
混合物を85℃で1時間反応させる。
反応工程b):
ジイソプロピルアミン(メルク社)7.8質量%を加え、混合物を85℃でさらに20
分間撹拌する。それによって、ジイソプロピルアミンでキャップされた式Iの化合物が得
られる(実施例2)。
【0046】
3. ドデカンチオールでキャップされた式Iの強化剤の調製
反応工程a):
ポリテトラヒドロフラン(PTHF2000、バスフ社)71.5質量%(生じる組成
物の総質量基準)、1,1,1−トリメチロールプロパン(TMP;フルカ社)0.5質
量%、およびカルボン酸ビスマス触媒(シェパード社から入手可能なNEOBI200、
ネオデカン酸ビスマス)0.6質量%を85℃で均一に混合する。その後、ヘキサメチレ
ン−1,6−ジイソシアナート(HDI;バイエル社/メルク社)12.9質量%を加え
、混合物を85℃で1時間反応させる。
反応工程b):
ドデカンチオール(メルク社)14.5質量%を加え、混合物を85℃でさらに20分
間撹拌する。それによって、ドデカンチオールでキャップされた式Iの化合物が得られる
(実施例3)。
【0047】
4. ジシクロヘキシルアミン(80val%(val%=当量%))およびアリルフ
ェノール(20val%)の両方でキャップされた式Iの化合物の調製
反応工程a):
ポリテトラヒドロフラン(PTHF2000、バスフ社)73.1質量%(生じる組成
物の総質量基準)、1,1,1−トリメチロールプロパン(TMP;フルカ社)0.5質
量%、およびカルボン酸ビスマス触媒(シェパード社から入手可能なNEOBI200(
ネオデカン酸ビスマス))0.6質量%を85℃で均一に混合する。その後、ヘキサメチ
レン−1,6−ジイソシアナート(HDI;バイエル社/メルク社)13.2質量%を加
え、混合物を85℃で1時間反応させる。
反応工程b):
ジシクロヘキシルアミン(メルク社)10.6質量%を加え、混合物を85℃でさらに
20分間撹拌する。
反応工程c):
o−アリルフェノール(フルカ社)2質量%を加え、混合物を85℃でさらに20分間
撹拌する。それによって、ジシクロヘキシルアミン(80val%)およびアリルフェノ
ール(20val%)の両方でキャップされた式Iの化合物が得られる(実施例4)。
【0048】
5. ジイソプロピルアミン(80val%)およびアリルフェノール(20val%
)の両方でキャップされた式Iの化合物の調製
反応工程a):
ポリテトラヒドロフラン(PTHF2000、バスフ社)76.7質量%(生じる組成
物の総質量基準)、1,1,1−トリメチロールプロパン(TMP;フルカ社)0.5質
量%およびカルボン酸ビスマス触媒(シェパード社から入手可能なNEOBI200(ネ
オデカン酸ビスマス))0.6質量%を85℃で均一に混合する。その後、ヘキサメチレ
ン−1,6−ジイソシアナート(HDI;バイエル社/メルク社)13.9質量%を加え
、混合物を85℃で1時間反応させる。
反応工程b):
ジイソプロピルアミン(メルク社)6.2質量%を加え、混合物を85℃でさらに20
分間撹拌する。
反応工程c):
o−アリルフェノール(フルカ社)2.1質量%を加え、混合物を85℃でさらに20
分間撹拌する。それによって、ジイソプロピルアミン(80val%)およびアリルフェ
ノール(20val%)の両方でキャップされた式Iの化合物が得られる(実施例5)。
【0049】
6. ドデカンチオール(80val%)およびアリルフェノール(20val%)の
両方でキャップされた式Iの化合物の調製
反応工程a):
ポリテトラヒドロフラン(PTHF2000、バスフ社)72.2質量%(生じる組成
物の総質量基準)、1,1,1−トリメチロールプロパン(TMP;フルカ社)0.5質
量%、およびカルボン酸ビスマス触媒(シェパード社から入手可能なNEOBI200(
ネオデカン酸ビスマス))0.6質量%を85℃で均一に混合する。その後、ヘキサメチ
レン−1,6−ジイソシアナート(HDI;バイエル社/メルク社)13.1質量%を加
え、混合物を85℃で1時間反応させる。
反応工程b):
ドデカンチオール(メルク社)11.7質量%を加え、混合物を85℃でさらに20分
間撹拌する。
反応工程c):
o−アリルフェノール(フルカ社)2質量%を加え、混合物を85℃でさらに20分間
撹拌する。それによって、ドデカンチオール(80val%)およびアリルフェノール(
20val%)の両方でキャップされた式Iの化合物が得られる(実施例6)。
【0050】
7. ジイソプロピルアミンでキャップされたポリブタジエンジオール含有プレポリマ
ーを主成分とする式Iの化合物の調製
反応工程a):
ポリテトラヒドロフラン(PTHF2000、バスフ社)52.8質量%(生じる組成
物の総質量基準)、ポリブタジエンジオール(PBD、エルフ・アトケム社(Elf Atoche
m))24.5質量%、1,1,1−トリメチロールプロパン(TMP;フルカ社)0.
5質量%およびジブチルスズメルカプチド触媒(アシマ社(Acima)から入手可能なME
TATINTM 713、8−オキサ−3,5−ジチア−4−スタナテトラデカン酸,4
,4−ジブチル−10)0.6質量%を85℃で均一に混合する。その後、ヘキサメチレ
ン−1,6−ジイソシアナート(HDI;バイエル社/メルク社)13.7質量%を加え
、混合物を85℃で1時間反応させる。
反応工程b):
ジイソプロピルアミン(メルク社)7.9質量%を加え、混合物を85℃でさらに20
分間撹拌する。ジイソプロピルアミンでキャップされたポリブタジエンジオール含有プレ
ポリマーを主成分とする式Iの化合物が得られる(実施例7)。
【0051】
8. ジイソプロピルアミン(80val%)およびo,o’−ジアリルビスフェノー
ルA(20val%)の両方でキャップされた式Iの化合物の調製
反応工程a):
ポリテトラヒドロフラン(PTHF2000、バスフ社)74.7質量%(生じる組成
物の総質量基準)、1,1,1−トリメチロールプロパン(TMP;フルカ社)0.5質
量%、およびジブチルスズメルカプチド触媒(アシマ社から入手可能なMETATIN
713)0.6質量%を85℃で均一に混合する。その後、ヘキサメチレン−1,6
−ジイソシアナート(HDI;バイエル社/メルク社)13.5質量%を加え、混合物を
85℃で1時間反応させる。
反応工程b):
ジイソプロピルアミン(メルク社)6.1質量%を加え、混合物を85℃でさらに20
分間撹拌する。
反応工程c):
o,o’−ジアリルビスフェノールA(ハンツマン社(Huntsman Corporation))4.
7質量%を加え、混合物をさらに20分間撹拌する。それによって、ジイソプロピルアミ
ン(80val%)およびo,o’−ジアリルビスフェノールA(20val%)の両方
でキャップされた式Iの化合物が得られる(実施例8)。
【0052】
9. シクロヘキシルアミンでキャップされた式Iの化合物の調製
反応工程a):
ポリテトラヒドロフラン(PTHF2000、バスフ社)77.2質量%(生じる組成
物の総質量基準)、1,1,1−トリメチロールプロパン(TMP;フルカ社)0.5質
量%、およびジブチルスズメルカプチド触媒(アシマ社から入手可能なMETATIN
713)0.6質量%を85℃で均一に混合する。その後、ヘキサメチレン−1,6
−ジイソシアナート(HDI;バイエル社/メルク社)14.0質量%を加え、混合物を
85℃で1時間反応させる。
反応工程b):
シクロヘキシルアミン(メルク社)7.7質量%を加え、混合物を85℃でさらに20
分間撹拌する。それによって、シクロヘキシルアミンでキャップされた式Iの化合物が得
られる(実施例9)。
【0053】
10. n−オクチルアミンでキャップされた式Iの化合物の調製
反応工程a):
ポリテトラヒドロフラン(PTHF2000、バスフ社)75.4質量%(生じる組成
物の総質量基準)、1,1,1−トリメチロールプロパン(TMP;フルカ社)0.5質
量%、およびジブチルスズメルカプチド触媒(アシマ社から入手可能なMETATIN
713)0.6質量%を85℃で均一に混合する。その後、ヘキサメチレン−1,6
−ジイソシアナート(HDI;バイエル社/メルク社)13.7質量%を加え、混合物を
85℃で1時間反応させる。
反応工程b):
n−オクチルアミン(フルカ社)9.8質量%を加え、混合物を85℃でさらに20分
間撹拌する。それによって、n−オクチルアミンでキャップされた式Iの化合物が得られ
る(実施例10)。
【0054】
11. ジイソプロピルアミンでキャップされたポリエステルジオール含有プレポリマ
ーを主成分とする式Iの化合物の調製
反応工程a):
ポリテトラヒドロフラン(PTHF2000、バスフ社)27.9質量%(生じる組成
物の総質量基準)、ポリエステルジオール(デグサ社(Degussa)から入手可能なDYN
ACOLLTM 7380)51.4質量%、1,1,1−トリメチロールプロパン(T
MP;フルカ社)0.4質量%、およびジブチルスズメルカプチド触媒(アシマ社から入
手可能なMETATINTM 713)0.4質量%を85℃で均一に混合する。その後
、ヘキサメチレン−1,6−ジイソシアナート(HDI;バイエル社/メルク社)12.
0質量%を加え、混合物を85℃で1時間反応させる。
反応工程b):
ジイソプロピルアミン(メルク社)7.9質量%を加え、混合物を85℃でさらに20
分間撹拌する。ジイソプロピルアミンでキャップされたポリエステルジオール含有プレポ
リマーを主成分とする式Iの化合物が得られる(実施例11)。
【0055】
12. ジイソプロピルアミンでキャップされたポリエステルジオール含有プレポリマ
ーを主成分とする式Iの化合物の調製
反応工程a):
ポリテトラヒドロフラン(PTHF2000、バスフ社)64.6質量%(生じる組成
物の総質量基準)、ポリエステルジオール(デグサ社から入手可能なDYNACOLL
7380)13.2質量%、1,1,1−トリメチロールプロパン(TMP;フルカ
社)0.5質量%、およびジブチルスズメルカプチド触媒(アシマ社から入手可能なME
TATINTM 713)0.5質量%を85℃で均一に混合する。その後、ヘキサメチ
レン−1,6−ジイソシアナート(HDI;バイエル社/メルク社)13.4質量%を加
え、混合物を85℃で1時間反応させる。
反応工程b):
ジイソプロピルアミン(メルク社)7.8質量%を加え、混合物を85℃でさらに20
分間撹拌する。ジイソプロピルアミンでキャップされたポリエステルジオール含有プレポ
リマーを主成分とする式Iの化合物が得られる(実施例12)。その化合物の主成分であ
るこのプレポリマーは、実施例11のものより少ないポリエステルジオールを含有してい
る(実施例12)。
【0056】
13. ジイソプロピルアミンでキャップされたポリ尿素プレポリマーを主成分とする
式Iの強化剤の調製
反応工程a):
ポリオキシプロピレンジアミン(ハンツマン社から入手可能なJEFFAMINETM
D2000)76.7質量%(生じる組成物の総質量基準)およびポリオキシプロピレ
ントリアミン(ハンツマン社から入手可能なJEFFAMINETM T403)1.9
質量%を冷却下で均一に混合する。その後、ヘキサメチレン−1,6−ジイソシアナート
(HDI;バイエル社/メルク社)13.7質量%を加え、混合物を冷却下で10分間反
応させる。
反応工程b):
ジイソプロピルアミン(メルク社)7.8質量%を加え、混合物を85℃でさらに10
分間撹拌する。それによって、ジイソプロピルアミンでキャップされたポリ尿素プレポリ
マーを主成分とする式Iの化合物が得られる(実施例13)。
【0057】
実施例1〜3と同様に、工程b)において下記の対応する化合物を加えることによって
、実施例14〜22を調製する。
実施例14: ジブチルアミン
実施例15: ジプロピルアミン
実施例16: ジトリデシルアミン
実施例17: ジベンジルアミン
実施例18: ジアリルアミン
実施例19: エチルシクロヘキシルアミン
実施例20: N−メチルアセトアミド
実施例21: モルホリン
実施例22: 1−ブタンチオール
【0058】
上記の調製方法における混合工程はすべて、窒素雰囲気で行なわれる。
【0059】
反応工程a)の後、NCO含量を、ポリイソシアナートを過剰のジブチルアミンと反応
させた後にHCl溶液で逆滴定することによって測定する。
【0060】
得られる化合物の数平均分子量(Mn)は、上述したように、ゲルパーミエーションク
ロマトグラフィー(第一カラム:PL Gel 3μm Mixed E;第二カラム:
PL Gel 5μm Mixed D;両方ともポリマー・ラボラトリーズ社から入手
可能;流量:THF 0.9ml/分;標準:ポリスチレン)によって測定される。
【0061】
結果を表1に示す。比較例として、FLEXIBILIZERTM DY965、すな
わち欧州特許第0308664号明細書の実施例13に相当する強化剤についての結果も
示す。
【0062】
【表1】

【0063】
式Iの化合物の強化効果
実施例1〜22の各々について、本発明のそれぞれの強化化合物を14質量%、エポキ
シ樹脂D.E.R.TM 330およびD.E.R.TM 671(両方ともダウ・ケミ
カル社から入手可能)の混合物を55質量%、アクリロニトリルブタジエンゴムを15質
量%、ジシアンジアミドを4.5質量%、促進剤EP796を1質量%、ヒュームド・シ
リカを約5質量%およびポリビニルブチラールを約5質量%含む熱硬化性組成物を調製し
た。比較例として、FLEXIBILIZERTM DY965を含む類似組成物を調製
した。
このように調製された熱硬化性組成物の各々の試料は、180℃の温度で30分間硬化
される。
【0064】
硬化生成物の重ね剪断強度および衝撃剥離強度は、下記の方法によって測定される。
重ね剪断強度は、基体としてグリースが除去された冷延鋼板(CRS1403、厚さ1
.5mm)を用いて、DIN EN1465に従って、23℃で測定した。
接着領域は25mm×10mm、接着剤層の厚さは0.2mmであった。試験速度は1
0mm/分であった。
衝撃剥離強度は、基体としてグリースが除去された冷延鋼板(CRS1403、厚さ1
mm)を用いて、ISO11343に従って、23℃で測定した。接着領域は30mm×
20mm、接着剤層の厚さは0.2mmであった。試験速度は2m/秒であった。
【0065】
結果を表2に示す。FLEXIBILIZERTM DY965(RAMTM 965
)を含む熱硬化性組成物の対応する値を比較例として示す。
【0066】
【表2】

【0067】
キャッピング化合物(すなわち式Iにおける残基X)がジシクロヘキシルアミンおよび
ジイソプロピルアミンのような立体障害第二級アミン、またはそのようなアミンとo−ア
リルフェノールもしくはo,o’−ジアリルビスフェノールAとの組み合わせであるとき
、重ね剪断強度および衝撃剥離強度の両方に関し、特に良い結果が得られる。また、キャ
ッピング化合物が1−ドデカンチオールのようなチオールであるときも、良い結果が得ら
れる。キャッピング化合物がジシクロヘキシルアミンとo−アリルフェノールもしくはo
,o’−ジアリルビスフェノールAとの混合物、ジイソプロピルアミンとo−アリルフェ
ノールもしくはo,o’−ジアリルビスフェノールAとの混合物、または1−ドデカンチ
オールとo−アリルフェノールもしくはo,o’−ジアリルビスフェノールAとの混合物
である化合物も好ましい。
【0068】
異なる油で処理された異なる金属上の重ね剪断強度
実施例1〜3について、対応する配合物の23℃における重ね剪断強度を、DIN E
N1465(接着領域:25mm×10mm;接着剤層の厚さ:0.2mm)に従って、
異なる油で処理された異なる金属の上で、測定した。基体として、H340LAD+Z(
熱浸漬亜鉛コート、厚さ0.7mm)、DC04−B+ZE(電気亜鉛めっき、厚さ0.
8mm)およびAA6016(アルミニウム、厚さ1.2mm、ALODINETM
040を用いて前処理)を用いた。試験に用いた油は、AP167/22(フィンダー社
から入手可能)およびANTICORIT 4107S(フックス社から入手可能)であ
った。試験速度は10mm/分であった。結果を表3に示す。数値はMPaで表す。
【0069】
【表3】

【0070】
異なる金属および油上の衝撃剥離強度
実施例1〜3について、対応する配合物の衝撃剥離強度を、ISO11343に従って
、異なる金属および油上で、23℃で測定した(接着領域:30mm×20mm、接着剤
層の厚さ:0.2mm、試験速度:2m/秒)。基体として、H340LAD+Z(厚さ
0.7mm)、DC04−B+ZE(厚さ0.8mm)およびAA6016(アルミニウ
ム、厚さ1.2mm、ALODINETM 2040を用いて前処理)を用いた。試験に
用いた油は、AP167/22(フェンダー社(Pfender)から入手可能)およびANT
ICORIT 4107S(フックス社から入手可能)であった。結果を表4に示す。数
値はN/mmで表す。
【0071】
【表4】

【0072】
表4から分かるように、本発明の化合物を含む配合物は、概して、比較例のFLEXI
BILIZERTM DY965を含む配合物より高い衝撃剥離強度を有する。
【0073】
低温での衝撃剥離強度
さらなる試験において、実施例7の化合物を含む構造用接着剤組成物の衝撃剥離強度は
、室温および−40℃で、ISO11343に従って測定した(接着領域:30×20m
m、接着剤層の厚さ:0.2mm、試験速度:2m/秒、基体:冷延鋼板(厚さ1mm)
)。比較例として、FLEXIBILIZERTM DY965を含む接着剤組成物の数
値も示す。
結果を表5に示す。数値はN/mmで表す。
【0074】
【表5】

【0075】
表5は、本発明の構造用接着剤組成物の衝撃剥離強度が比較例の強化剤を含む構造用接
着剤組成物よりも優れていることを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化合物の、貯蔵安定性熱硬化性構造用エポキシ接着剤における強化剤としての使用であ
って、該化合物が、イソシアナート末端基を有するポリウレタン、ポリ尿素およびポリ尿
素ポリウレタンの群から選ばれたエラストマープレポリマー残基を含み、当該プレポリマ
ー残基のイソシアナート末端基は、第一級脂肪族、脂環式、ヘテロ芳香族および芳香族脂
肪族アミン、第二級脂肪族、脂環式、芳香族、ヘテロ芳香族および芳香族脂肪族アミン、
チオールならびにアルキルアミドからなる群から選ばれるキャッピング化合物によってキ
ャップされており、当該キャッピング化合物は、それが結合される末端がもはや反応性基
を有しないような態様で、エラストマープレポリマーの重合体鎖の末端に結合されている
ことを特徴とする使用。
【請求項2】
フェノールおよびポリフェノールからなる群から選ばれる追加のキャッピング化合物が
、プレポリマー残基のイソシアナート末端基をキャップするために用いられることを特徴
とする請求項1に記載の使用。
【請求項3】
強化剤として使用される化合物が、式I
【化1】

(式中、Rは、p=1〜6、q=0〜5、かつp+q=2〜6の価数を有するエラスト
マープレポリマー残基であり、
Xは、第一級脂肪族、脂環式、ヘテロ芳香族および/または芳香族脂肪族アミンおよび/
または第二級脂肪族、脂環式、芳香族、ヘテロ芳香族および/または芳香族脂肪族アミン
および/またはチオールおよび/またはアルキルアミドの残基であり、そして
Yは、フェノールおよび/またはポリフェノールの残基である。)
の構造を有し、該化合物はエポキシ樹脂に可溶または分散可能であることを特徴とする請
求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
XがNRおよび/またはSRであり、
およびRは、水素、直鎖または分枝C〜C26脂肪族またはC〜C26脂環式
残基、C〜C26アルキルカルボキシ残基および芳香族またはヘテロ芳香族残基から選
ばれ、そして一緒になって複素環、脂肪族環または芳香環を形成してもよく、Rおよび
の両方が同時に水素またはアルキルカルボキシであることはなく、そして
は、直鎖または分枝脂肪族残基、脂環式残基、芳香族脂肪族残基および芳香族残基か
ら選ばれる
ことを特徴とする請求項3に記載の使用。
【請求項5】
NRが第二級立体障害アミン残基であり、RとRの少なくとも一方が式II
−CR (II)
(式中、少なくともRとRは独立にC〜C21脂肪族残基であり、RとRは環
を形成してもよく、そしてRは水素であってもよい。)
で表されることを特徴とする請求項4に記載の使用。
【請求項6】
エラストマープレポリマーが、ポリエーテルポリオールおよび/またはポリエーテルポ
リアミンを過剰のポリイソシアナートと反応させることによって得ることができることを
特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の使用。
【請求項7】
エラストマープレポリマーを得る反応中に、追加的に、ポリエステルジオール、ポリブ
タジエンジオールおよび/または短鎖ポリオールを一緒に反応させることを特徴とする請
求項6に記載の使用。
【請求項8】
第二級アミンがジシクロヘキシルアミンおよび/またはジイソプロピルアミンであるこ
とを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の使用。
【請求項9】
チオールが1−ドデカンチオールであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項
に記載の使用。
【請求項10】
qが0より大きいことを特徴とする請求項3〜9のいずれか1項に記載の使用。
【請求項11】
フェノールまたはポリフェノールが、o−アリルフェノール、ビスフェノールAおよび
/またはo,o’−ジアリルビスフェノールAであることを特徴とする請求項2〜10の
いずれか1項に記載の使用。
【請求項12】
エポキシ樹脂および請求項1〜11のいずれか1項に定義される化合物を含む貯蔵安定
性熱硬化性構造用エポキシ接着剤組成物。
【請求項13】
エポキシ樹脂の少なくとも一部が、1,3−ジエンと極性のエチレン性不飽和コモノマ
ーを主成分とする共重合体で改質されている、および/またはコアシェルゴムを含むこと
を特徴とする請求項12に記載の貯蔵安定性熱硬化性構造用エポキシ接着剤組成物。
【請求項14】
共重合体で改質されたエポキシ樹脂および/またはコアシェルゴムを5〜30質量%含
む、請求項13に記載の貯蔵安定性熱硬化性構造用エポキシ接着剤組成物。
【請求項15】
請求項1〜11のいずれか1項に定義される化合物を5〜40質量%含む、請求項12
〜14のいずれか1項に記載の貯蔵安定性熱硬化性構造用エポキシ接着剤組成物。
【請求項16】
請求項1〜11のいずれか1項に定義される化合物を8〜30質量%含む、請求項12
〜15のいずれか1項に記載の貯蔵安定性熱硬化性構造用エポキシ接着剤組成物。
【請求項17】
請求項1〜11のいずれか1項に定義される化合物を10〜25質量%含む、請求項1
2〜16のいずれか1項に記載の貯蔵安定性熱硬化性構造用エポキシ接着剤組成物。
【請求項18】
硬化剤、促進剤、接着促進剤、エポキシシラン、ヒュームドシリカ、湿潤剤および無機
充填剤の群から選ばれた1つまたは2つ以上の添加剤をさらに含む、請求項12〜17の
いずれか1項に記載の貯蔵安定性熱硬化性構造用エポキシ接着剤組成物。
【請求項19】
該エポキシ接着剤組成物がポリエステルセグメントを含む熱可塑性ポリマーをさらに含
み、該ポリマーは室温において少なくとも部分的に結晶性であり、かつ40〜125℃の
範囲の軟化温度を有することを特徴とする請求項12〜18のいずれか1項に記載の貯蔵
安定性熱硬化性構造用エポキシ接着剤組成物。
【請求項20】
促進剤としてポリ(p−ビニルフェノール)マトリックスの中に一体化された2,4,
6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールをさらに含む、請求項12〜19のいず
れか1項に記載の貯蔵安定性熱硬化性構造用エポキシ接着剤組成物。
【請求項21】
別個の表面を一緒に接着する方法であって、請求項12〜20のいずれか1項に記載の
貯蔵安定性熱硬化性構造用エポキシ接着剤組成物を少なくとも1つの表面に塗布し、それ
らの表面を寄せ合わせ、該構造用エポキシ接着剤組成物を120℃〜210℃の温度で硬
化することを特徴とする方法。

【公開番号】特開2013−40338(P2013−40338A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−208119(P2012−208119)
【出願日】平成24年9月21日(2012.9.21)
【分割の表示】特願2008−514027(P2008−514027)の分割
【原出願日】平成18年6月2日(2006.6.2)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー (1,383)
【Fターム(参考)】