説明

強化カーボンナノチューブワイヤ

【課題】 強化カーボンナノチューブワイヤを提供する。
【解決手段】 強化カーボンナノチューブ(CNT)ワイヤを製造するための技術が提供されている。一実施形態においては、強化CNTワイヤは、金属チップをCNTコロイド溶液中に浸漬し、金属チップをCNTコロイド溶液から引き上げ、次いで、CNTワイヤをポリマーで被覆することにより製造され得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
記載の技術は、主に、カーボンナノチューブ(CNT:Carbon Nanotube)構造に関し、より具体的には、ポリマーで被覆されたCNTワイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
近年において、カーボンナノチューブ(CNT)技術が、その基本特性および将来的な応用のために大きな関心を集めている。CNTの興味深い特性のいくつかは、多くの用途においてこれらを潜在的に有用とするこれらの電子的、機械的、光学的および化学的特徴である。これらの有用な特徴の結果、CNTは、現在、CNTワイヤ、繊維およびストランドなどのCNT物品の製造に用いられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、現在、CNTワイヤは機械的に弱いため、脆く、例えば外部的な機械的力によって容易に破壊されやすい。これは、CNTワイヤを形成するCNTは、比較的弱いファンデルワールス力によって相互に付着しているからである。このように、CNTワイヤの機械的強度をこの欠陥を克服するために強化する必要がある。さらに、温度の上昇が、CNTワイヤの電気抵抗を高めさせ得る。従って、このような電気抵抗の上昇が制限された強化CNTワイヤの開発の必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
概要
強化CNTワイヤを製造するための技術が提供される。一実施形態においては、非限定的な例により、金属チップおよびCNTコロイド溶液を提供する工程と、金属チップをCNTコロイド溶液中に浸漬する工程と、金属チップをCNTコロイド溶液から引き上げてCNTワイヤを形成する工程と、CNTワイヤの少なくとも一部分をポリマーで被覆する工程とを含む、強化CNTワイヤを製造する方法が提供されている。
【0005】
他の実施形態においては、プロセッサにより実施される場合に、金属チップを少なくとも部分的にCNTコロイド溶液中に浸漬させる工程、金属チップをCNTコロイド溶液から引き上げてCNTワイヤを形成する工程、およびCNTワイヤの少なくとも一部をポリマーで被覆する工程を含む方法を実施する装置を、プロセッサに制御させる指示を記憶する、プロセッサ可読記憶媒体が提供されている。
【0006】
この概要は、以下の発明を実施するための最良の形態においてさらに説明されている一連の概念を簡素化された形態で導入するために提供されている。この概要は、特許請求の範囲に記載されている対象の重要な特性または必須の特性を特定することは意図せず、また、特許請求の範囲に記載されている対象の範囲を限定するために用いられることも意図していない。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図面の簡単な説明
【図1】CNTワイヤ製造システムの例示的な実施形態の概略図である。
【図2】エッチングされた金属チップの例示的な実施形態を示す。
【図3】強化CNTワイヤを製造する方法の例示的な実施形態のフローチャートである。
【図4】金属チップとCNTコロイド溶液との界面の例示的な実施形態の概念図である。
【図5】CNTワイヤの画像の例示的な実施形態を示す。
【図6】単層カーボンナノチューブから構成されるCNTワイヤの例示的な実施形態の概略的な断面図を示す。
【図7】CNTワイヤの顕微鏡画像の例示的な実施形態を示す。
【図8】ポリマーで被覆された強化CNTワイヤの例示的な実施形態の概略的な断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の発明を実施するための最良の形態においては、その一部を構成する添付の図面が参照される。この図面において、同様の記号は、典型的には、文脈がそうでないと示さない限りにおいて同様の構成要素を示す。発明を実施するための最良の形態、図面および特許請求の範囲に記載の例示的な実施形態は、限定的であることは意味しない。ここに提示される対象の思想または範囲から逸脱しない限りにおいて、他の実施形態が利用され得、ならびに他の変更がなされ得る。全体が本明細書に記載されていると共に図面に例示されている本開示の態様は、広く多様に異なる構成でアレンジされ、置き換えられ、組み合わされおよび設計されることが可能であり、そのすべては明示的に予期されると共に本開示の一部を構成することが容易に理解されるであろう。
【0009】
本開示は、とりわけ、方法、装置、プロセッサ可読記憶媒体に記憶された指示およびCNTに関連するシステムに関する。
【0010】
図1は、CNTワイヤ製造システム100の例示的な実施形態の概略図である。示されているとおり、システム100は、各々ベース106上に設けられた左ガイド102および右ガイド104を含む。ステージ108が、左ガイド102に取り付けられて、モータ(図示せず)の作動により左ガイド102に沿って実質的に垂直に移動するよう構成され得る。その中にCNTコロイド溶液112を含有する容器110がステージ108上に配置され得る。容器110は、フッ素化エチレンプロピレン(商品名テフロン(登録商標)(Teflon)で市販されている)、他のPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)物質等などの疎水性物質製であり得る。ハンガー114が、マニピュレータ116の作動により右ガイド104に沿って実質的に垂直に移動することが可能であるよう、右ガイド104に設けられ得る。ハンガー114には、金属チップ120がハンガー114の動きに伴って実質的に垂直に上下方向に移動し得るよう、ホルダ118を介して金属チップ120が吊り下げられ得る。ステージ108およびハンガー114は相互に連動的な関係で動き、これにより、少なくとも部分的にCNTコロイド溶液112中に浸漬されるよう金属チップ120を配置するよう構成され得る。システム100の上述の作動は、オペレータからのいかなる介入も必要無しに自動化され得る。一例として、一実施形態においては、作動は適切な命令を実行するよう構成されたシステム100におけるプロセッサによって制御され得、ステージ108、ハンガー114、または両方を駆動するためにモータが利用され得る。
【0011】
一実施形態においては、CNTコロイド溶液112は、溶剤中に分散されたCNTコロイドを含み得る。CNTコロイド溶液112中のCNTコロイドの濃度は、一例として、特に限定されないが、約0.05mg/ml〜約0.2mg/mlであり得る。CNTコロイド溶液112は、先ずCNTを精製し、次いで、精製したCNTを溶剤中に分散させることにより調製され得る。精製は、酸溶液中での湿式酸化または乾式酸化により実施され得る。溶剤は、D.I.(脱イオン)水、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、テトラヒドロフラン(THF)などの有機溶剤等であり得る。CNTは、単層ナノチューブ(SWNT)または多層ナノチューブ(MWNT)を含み得る。従来のプロセスにより製造されたナノチューブは不純物を含有し得るため、ナノチューブは、コロイド溶液に形成される前に精製され得る。あるいは、精製されたCNTを直接購入して、このような不精製ナノチューブの代わりに利用して、このような精製の必要性を排除してもよい。好適な精製方法は、ナノチューブを硝酸(例えば、約2.5M)中に還流する工程、およびナノチューブを界面活性剤(例えばラウリル硫酸ナトリウム)を含むpH10の水中に再分散させる工程、次いで、クロスフローろ過システムでナノチューブをろ過する工程を含み得る。得られた精製されたナノチューブ懸濁液を、次いで、フィルタ(例えば、ポリテトラフルオロエチレンフィルタ)を通過させることが可能である。
【0012】
精製されたCNTは、溶剤中に分散されることが可能である粉末形態であり得る。これらに限定されないが、攪拌、混合等を含む、多様な分散技術のいずれも、CNT粒子の濃度に作用させるために利用し得る。いくつかの実施形態において、溶剤全体への精製されたCNTの分散を促進するために超音波処理を適用することができ、および/または電界を、精製されたCNTを溶剤全体に分散させるために適用し得る。CNTコロイド溶液112中のCNTの濃度は約0.05mg/mlであり得る。しかしながら、濃度は、直径、長さ等などのCNTワイヤの所望の仕様に応じて変更し得、より高い濃度のCNTコロイド溶液112がより太い直径を有するCNTワイヤをもたらすこととなる。
【0013】
図2は、図示されるとおり尖った先端202を一端に有し得る金属チップ120の例示的な実施形態を示す。尖った先端202の鋭さは、曲率の半径がより小さいほど、先端がより鋭くなるよう、金属チップ120の尖った先端202の曲率の半径に関連する。金属チップ120の設計要求に応じて、金属チップ120は、種々の形状の尖った先端202を有し得る。金属チップ120の尖った先端202は、およそ250nmの半径を有して、尖った全体が円錐状の形状を形成し得る。尖った先端202の半径は、数十ナノメートル〜数百ナノメートルまでで異なり得る。金属チップ120についての材料の選択においては、タングステン(W)、タングステン合金、白金、白金合金等の1種以上などの、CNTコロイド溶液と良好な濡れ性を有する金属が採用され得る。
【0014】
図3は、強化CNTワイヤ、例えば、強化CNTワイヤ800(図8に図示される)を製造する方法の例示的な実施形態のフローチャートである。金属チップ120が、CNTコロイド溶液112中に少なくとも部分的に浸漬される(図3、ブロック310)。いくつかの実施形態においては、図1に示されるとおり、マニピュレータ116が、ハンガー114およびホルダ118を作動させて、容器110中に含まれるCNTコロイド溶液112中に金属チップ120が少なくとも部分的に浸漬させられる。他の実施形態においては、CNTコロイド溶液112中に金属チップ120が少なくとも部分的に浸漬されるよう、左ガイド102に取り付けられたステージ108が実質的に垂直に上方に移動され得る。
【0015】
図3を再度参照すると、浸漬された金属チップ120は、CNTコロイド溶液112中に実質的に動かないよう維持され、または滞留させられる(図3、ブロック320)。金属チップ120がCNTコロイド溶液112中に滞留されている間、CNTコロイド溶液112中のCNTコロイドが、金属チップ120の尖った先端202に向かって自己組織化し始める。滞留時間は、温度、CNTコロイド溶液112の濃度、金属チップ120の鋭さ等などの種々の環境的要因に応じて、数秒〜数十分間の範囲であり得る。一実施形態において、好適な滞留時間は、約2分間〜約10分間であり得る。
【0016】
金属チップ120は、金属チップ120の尖った先端202でのCNTコロイドの自己組織化を維持させながら、CNTコロイド溶液112から少なくとも部分的に引き上げられる(図3、ブロック330)。引き上げは、個別にまたは同時に、実質的に垂直に金属チップ120を上昇させ、およびCNTコロイド溶液112を含有する容器110を下降させることにより実施され得る。引き上げ速度は、CNTコロイド溶液112の粘度に応じて判定され得る。CNTコロイド溶液112の粘度が高くなるか、またはCNTワイヤの目標直径が小さくなるに伴って、金属チップ120の引き上げ速度は速くなる。金属チップ120がCNTコロイド溶液112からさらに引き上げられるに伴って、金属チップ120の引き上げ速度が変化され得、またはそうでなければ一定に維持され得る。一実施形態においては、好適な引き上げ速度は、約2mm/分〜約5mm/分であり得る。引き上げは、室温および/または大気圧で実施され得る。
【0017】
図4は、金属チップ120がCNTコロイド溶液112から少なくとも部分的に引き上げられ始めたときに形成される、金属チップ120とCNTコロイド溶液112との界面の例示的な実施形態の概念図を示す。金属チップ120をCNTコロイド溶液112から引き上げている間、CNTコロイド溶液112中のCNTコロイドはメニスカス402を形成し、金属チップ120の尖った先端202に向かって自己組織化する。自己組織化は、非共有結合的相互作用による、分子ユニットの規則構造への自然発生的な可逆性の組織化として理解され得る。
【0018】
図5は、CNTコロイド溶液112から製造されたCNTワイヤの画像の例示的な実施形態を示す。例示的な一実施形態において、CNTワイヤ502の長さは約10cmであり得る。しかしながら、CNTワイヤ502の長さは、ステージ108またはハンガー114の動作を、例えば数センチメートル〜数十メートルにまで拡張することにより、必要に応じて延ばすことが可能である。
【0019】
図6は、SWNTを有するCNTコロイド溶液112から製造されたCNTワイヤ502の例示的な実施形態の概略的な断面図を示す。あるいは、CNTワイヤ502は、MWNTを有するCNTコロイド溶液112から製造されてもよい。図6に示されるとおり、CNTワイヤ502は、比較的弱いファンデルワールス力によって隣接するSWNT602に付着している、多くの、例えば何億ものSWNT602を含み得る。例示的な一実施形態において、CNTワイヤ502は、数百万〜数十億ものSWNT602を含み得る。CNTワイヤ502は、取り扱いを容易とし、ならびに、例えば負荷された機械的力による破損を防ぐために、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリプロピレン、ポリオレフィン、ポリウレタン等などの耐久性の材料で強化されていてもよい。図6は、一定の間隔でおよび同心状に配置されてCNTワイヤ502を形成しているCNT602を図示しているが、CNT602は、CNTワイヤ502中に不規則に配置されていてもよい。
【0020】
図7は、SWNTのCNTコロイド溶液から製造されたCNTワイヤのTEM(透過電子顕微鏡法)画像の例示的な実施形態を示す。画像の右下部分に表示された縮尺を用いて推定することが可能であるとおり、CNTワイヤの直径は約10μmである。しかしながら、直径は、引き上げ速度、CNTコロイド溶液112の濃度等などの前述のパラメータに応じて変化し得、引き上げ速度の低下またはCNTコロイド溶液112の濃度の増大は、より太い直径のCNTワイヤ502をもたらすこととなる。単層カーボンナノチューブの直径を約1nmと推定すると、約10μmのCNTワイヤ502の一部は何億ものSWNTを包含していると推定され得る。しかしながら、CNTワイヤ502の直径は、CNTコロイド溶液112の濃度および金属チップ120の引き上げ速度に応じて、数マイクロメートル〜数十マイクロメートルで異なり得る。
【0021】
図3を再度参照すると、ブロック340において、CNTワイヤ502は、ポリマー804で被覆される(ポリマー804で被覆された強化CNTワイヤ800の例示的な実施形態の概略的な断面図を示す図8に図示されている)。CNTワイヤ502の少なくとも一部がポリマー804で被覆されて、外力および/または損傷に対する保護が提供されてもよい。CNTワイヤ502をポリマー804で少なくとも部分的に被覆した後、強化CNTワイヤ800の全直径は約12μm以下であり得る。CNTワイヤ502は、ポリマー804で全体が被覆されていてもよい。いくつかの実施形態において、非限定的な例によって、PDMSがポリマー804として用いられ得る。PDMSは、図8に示されるとおり、CNTワイヤ502を被覆するPDMSの厚さTが全体で1μm以下となるよう、少なくとも部分的に、隣接するCNT802間のナノスケールの空隙gに容易に浸透する。従って、PDMSは、CNTワイヤ502の可撓性またはいずれかの他の有益な特性を損失させることなくCNTワイヤ502の機械的強度を強化するための良好な候補である。しかしながら、CNTワイヤ502に適用され得るポリマー804はPDMSに限定されず、CNTワイヤ502を外部的な損傷から保護するために高い機械的強度および可撓性を有する、ポリプロピレン、ポリオレフィン、ポリウレタン等などの他の種類のポリマーを含み得る。
【0022】
多様な成形法のいずれかが、CNTワイヤ502をポリマー804で被覆するために利用され得る。例えば、押出し成形がポリマー804をCNTワイヤ502に適用するために用いられ得る。押出し成形においては、CNTワイヤ502が溶融ポリマーで被覆されるように、溶融ポリマーが圧力により成型オリフィスから押し出される。カレンダー成形、浸漬成形等などの従来の電線の製造に用いられる他のタイプの成形方法が、CNTワイヤ502をポリマー804で被覆するために用いられ得る。
【0023】
一般に、電線の抵抗は温度の上昇に伴って高くなる。しかしながら、強化CNTワイヤ800は電子が通過するための経路を複数提供するため、強化CNTワイヤ800は、その比較的小さい径に関わらず向上した導電率を提供する。さらに、強化CNTワイヤ800は、隣接するCNTに比較的弱いファンデルワールス力によって付着しているCNT602を有するCNTワイヤ502に比して、比較的高い引張強度および耐久性を有し得る。従って、本明細書に開示されている強化CNTワイヤ800は、微小器具用電気配線、微小機械式アクチュエータ、電力ケーブル、触媒担体、人口筋肉、マイクロコンデンサ等を含む種々の用途に適用され得る。
【0024】
本開示に照らして、当業者は、本明細書に記載の装置および方法は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェアまたはこれらの組み合わせに実装され得、ならびにシステム、サブシステム、コンポーネント、またはそのサブコンポーネントにおいて利用され得ることを認識するであろう。例えば、ソフトウェアに実装される方法は、方法の操作を実施するコンピュータコードまたは指示を包含し得る。このコンピュータコードは、プロセッサ読み取り可能な媒体あるいはコンピュータプログラム製品などの機械的に読み取り可能な媒体に記憶され、または搬送波において具現化されるコンピュータデータ信号あるいはキャリアによって変調される信号として、伝送媒体または通信リンクを介して伝送され得る。機械的に読み取り可能な媒体またはプロセッサ可読媒体は、機械(例えば、プロセッサ、コンピュータ等)により読み取り可能な形態であると共に実行可能である情報を記憶しまたは伝送することが可能であるいずれかの媒体を含み得る。
【0025】
前述の詳細な説明は、ブロック図、フローチャートおよび/または例の使用を介してデバイスおよび/またはプロセスの種々の実施形態を記載する。このようなブロック図、フローチャートおよび/または例が1つ以上の機能および/または作動を含む限りにおいて、当業者により、このようなブロック図、フローチャートまたは例における各機能および/または作動は、個別におよび/または集合的に、広範囲のハードウェア、ソフトウェア、ファームウェアまたは事実上これらの組み合わせのいずれによっても実施されることが可能であることが理解されるであろう。
【0026】
本明細書における実質的にいずれかの複数形および/または単数形の用語の使用に関して、当業者は、複数形から単数形および/または単数形から複数形に、文脈および/または用途に適切であるよう転換することが可能である。種々の単数形/複数形の転置は、本明細書において明確性のために明示的に記載され得る。
【0027】
当業者によっては、普通、本明細書において、特に添付の特許請求の範囲(例えば、添付の特許請求の範囲の本文)において用いられる用語は、一般に「開いた」用語として意図されることが理解されるであろう(例えば、「含んでいる」という用語は、「含んでいるが特にこれらに限定されない」として解釈されるべきであり、「有している」という用語は「少なくとも〜を有している」として解釈されるべきであり、「含む」という用語は「含むが特にこれらに限定されない」として解釈されるべきである等)。
【0028】
本明細書に開示されたこのプロセスおよび他のプロセスならびにこの方法および他の方法について、当業者は、このプロセスおよび方法において実施された機能は、異なる順番で実施され得ることを認識するであろう。さらに、概要を述べた操作はあくまでも例として提供されているものである。すなわち、操作のいくつかは、任意の、より少数の操作に組み合され得、または開示の実施形態の本質を損なうことなく追加の操作に拡張され得る。
【0029】
上記から、本開示の種々の実施形態が本明細書において例示の目的のために記載されていると共に、本開示の範囲および思想から逸脱しない限りにおいて種々の改良をなし得ることが認識されるであろう。従って、本明細書において開示されている種々の実施形態は、以下の特許請求の範囲によって示されている真の範囲および思想を制限することは意図していない。
【符号の説明】
【0030】
100 CNTワイヤ製造システム
102 左ガイド
104 右ガイド
106 ベース
108 ステージ
110 容器
112 CNTコロイド溶液
114 ハンガー
116 マニピュレータ
118 ホルダ
120 金属チップ
202 尖った先端
310 ブロック
320 ブロック
330 ブロック
340 ブロック
402 メニスカス
502 CNTワイヤ
602 SWNT
800 強化CNTワイヤ
802 CNT
804 ポリマー
g 空隙
T 厚さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属チップおよびCNTコロイド溶液を提供する工程、
前記金属チップを少なくとも部分的に前記CNTコロイド溶液中に浸漬する工程、
前記金属チップを前記CNTコロイド溶液から引き上げてCNTワイヤを形成する工程、
および
前記CNTワイヤの少なくとも一部分をポリマーで被覆する工程
を含む強化カーボンナノチューブ(CNT)ワイヤを製造する方法。
【請求項2】
前記ポリマーがポリジメチルシロキサン(PDMS)である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記PDMSの厚さが、約1μm以下である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記CNTワイヤが全体的に前記ポリマーで被覆されている、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記金属チップがタングステン(W)製である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
浸漬させる工程が、前記金属チップを前記CNTコロイド溶液中に予め定められた時間の間滞留させる工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記予め定められた時間が約2分間〜約10分間である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
提供する工程が前記CNTコロイド溶液を容器中に入れる工程を含み、引き上げる工程が、前記容器を実質的に垂直に下降させる工程を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
引き上げる工程が、前記金属チップを実質的に垂直に上昇させる工程を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
引き上げる工程が、前記CNTコロイド溶液を含有する容器を下降させると共に、同時に、前記金属チップを上昇させる工程を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
引き上げる工程が、前記金属チップを、約2mm/分〜約5mm/分の速度で引き上げる工程を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項12】
前記CNTコロイド溶液を提供する工程が、精製されたCNTをジメチルホルムアミド(DMF)中に分散させる工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
分散させる工程が、前記精製されたCNTをDMF中に、約0.05mg/mlの濃度で分散させる工程を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記精製されたCNTが、単層カーボンナノチューブ(SWNT)である、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
引き上げる工程が室温で実施される、請求項6に記載の方法。
【請求項16】
引き上げる工程が大気圧で実施される、請求項6に記載の方法。
【請求項17】
中に配置された複数のカーボンナノチューブ(CNT)を含むCNTワイヤ、および
前記CNTワイヤを少なくとも部分的に被覆するポリマー
を備える強化カーボンナノチューブ(CNT)ワイヤ。
【請求項18】
一対の前記CNTがそれらの間に空隙を画定し、前記ポリマーが少なくとも部分的にその中に浸透している、請求項17に記載の強化CNTワイヤ。
【請求項19】
前記ポリマーがポリジメチルシロキサン(PDMS)である、請求項18に記載の強化CNTワイヤ。
【請求項20】
前記PDMSの厚さが1μm以下である、請求項19に記載の強化CNTワイヤ。
【請求項21】
前記CNTが単層カーボンナノチューブ(SWNT)である、請求項18に記載の強化CNTワイヤ。
【請求項22】
プロセッサにより実施される場合に、
金属チップを少なくとも部分的にCNTコロイド溶液中に浸漬させる工程、
前記金属チップを前記CNTコロイド溶液から引き上げてCNTワイヤを形成する工程、
および
前記CNTワイヤの少なくとも一部をポリマーで被覆する工程、
を含む方法を実施する装置をプロセッサに制御させる指示を記憶する、プロセッサ可読記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−47889(P2010−47889A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−310451(P2008−310451)
【出願日】平成20年12月5日(2008.12.5)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TEFLON
【出願人】(508298075)ソウル大学校産学協力団 (27)
【Fターム(参考)】