説明

強化ガラス及びその製造方法

【課題】従来の要求特性を満たすと共に、エッチングにより複数の強化ガラス片に分断し易い強化ガラスを提供する。
【解決手段】表面に圧縮応力層を有する強化ガラスであって、ガラス組成として、モル%で、SiO45〜75%、Al3〜15%、LiO0〜12%、NaO0.3〜20%、KO0〜10%、MgO+CaO1〜15%を含有し、モル比(Al+NaO+P)/SiOが0.1〜1、モル比(B+NaO)/SiOが0.1〜1、モル比P/SiOが0〜1、モル比Al/SiOが0.01〜1、モル比NaO/Alが0.1〜5であると共に、強化処理後にエッチングにより切断され、表面又は端面はエッチングされてなることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、強化ガラス及びその製造方法に関し、特に、携帯電話、デジタルカメラ、PDA(携帯端末)、太陽電池のカバーガラス、或いはディスプレイ、特にタッチパネルディスプレイの基板に好適な強化ガラス及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話、デジタルカメラ、PDA、タッチパネルディスプレイ、大型テレビ、非接触給電等のデバイスは、益々普及する傾向にある。
【0003】
これらのデバイスには、イオン交換処理等で強化処理した強化ガラスが用いられている(特許文献1、非特許文献1参照)。
【0004】
従来までのデバイスでは、ディスプレイモジュールの上にタッチパネルセンサーを形成し、その上に強化ガラス(保護部材)を載せた構成が採用されていた。
【0005】
また、携帯電話等の小型デバイスは、3〜4インチサイズであるが、タブレットPC等では、9〜10インチサイズになる。このため、タブレットPC等では、デバイスの質量、デバイス全体の厚みが問題になる。
【0006】
この問題に対応するため、強化ガラス(保護部材)の上にタッチパネルセンサーを形成する方法が採用されつつある。この場合、強化ガラス(保護部材)には、(1)高い機械的強度を有すること、(2)大型のガラス板を大量に成形するために、オーバーフローダウンドロー法、スリットダウンドロー法等のダウンドロー法、フロート法等に適した液相粘度を有すること、(3)成形に適した高温粘度を有すること、(4)低密度であること、(5)タッチパネルの成膜時にパターンずれを起こさないように、十分に高い歪点を有すること等が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−83045号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】泉谷徹朗等、「新しいガラスとその物性」、初版、株式会社経営システム研究所、1984年8月20日、p.451−498
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、3〜10インチサイズの強化ガラスに対して、個別にパターニングを行うと、デバイスの製造コストが高くなる。この問題に対応する方法として、大型の強化ガラスに所定のパターニングを行った後、複数の強化ガラスの小片にレーザー切断する方法がある。しかし、この方法は、レーザー切断した後に、強化ガラスの四隅にR加工、長辺又は短辺に切り込み加工を行うと、デバイスの製造コストが高くなるという問題がある。特に、モバイル端末等の用途の場合、この問題が深刻になる。
【0010】
一方、大型のガラス板を強化処理し、所定のパターニング、マスキングを行った後、エッチング液でエッチングして、複数の強化ガラスの小片に分断すると、上記問題を解決することができる。しかし、従来の強化ガラスは、エッチングに時間を要し、コスト高を招来させる虞があった。
【0011】
そこで、本発明は、従来の要求特性を満たすと共に、エッチングにより複数の強化ガラスの小片に分断し易い強化ガラスを創案することを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者等は、種々の検討を行った結果、ガラス組成中の各成分の含有範囲を厳密に規制すると共に、強化処理後にエッチングすることにより、上記技術的課題を解決し得ることを見出し、本発明として、提案するものである。すなわち、本発明の強化ガラスは、表面に圧縮応力層を有する強化ガラスであって、ガラス組成として、モル%で、SiO 45〜75%、Al 3〜15%、LiO 0〜12%、NaO 0.3〜20%、KO 0〜10%、MgO+CaO 1〜15%を含有し、モル比(Al+NaO+P)/SiOが0.1〜1、モル比(B+NaO)/SiOが0.1〜1、モル比P/SiOが0〜1、モル比Al/SiOが0.01〜1、モル比NaO/Alが0.1〜5であると共に、強化処理後に表面又は端面がエッチングされてなることを特徴とする。ここで、「MgO+CaO」は、MgOとCaOの合量を指す。「Al+NaO+P」は、Al、NaO、及びPの合量を指す。「B+NaO」は、BとNaOの合量を指す。なお、本発明の強化ガラス(の小片)は、表面の全部がエッチングされている態様を完全に排除するものではないが、本発明の趣旨からすれば、表面の一部がエッチングされている態様又は表面がエッチングされていない態様が好ましい。また、エッチングにより製品形状の強化ガラス(の小片)に分断されてなる場合は、通常、端面の全部がエッチングされている。
【0013】
第二に、本発明の強化ガラスは、ガラス組成として、モル%で、SiO 45〜75%、Al 4〜13%、B 0〜3%、LiO 0〜8%、NaO 5〜20%、KO 0.1〜10%、MgO+CaO 3〜13%を含有し、モル比(Al+NaO+P)/SiOが0.1〜0.7、モル比(B+NaO)/SiOが0.1〜0.7、モル比P/SiOが0〜0.5、モル比Al/SiOが0.01〜0.7、モル比NaO/Alが0.5〜4であることが好ましい。
【0014】
第三に、本発明の強化ガラスは、ガラス組成として、モル%で、SiO 45〜75%、Al 5〜12%、B 0〜1%、LiO 0〜4%、NaO 8〜20%、KO 0.5〜10%、MgO+CaO 5〜13%を含有し、モル比(Al+NaO+P)/SiOが0.1〜0.5、モル比(B+NaO)/SiOが0.1〜0.5、モル比P/SiOが0〜0.3、モル比Al/SiOが0.05〜0.5、モル比NaO/Alが1〜3であることが好ましい。
【0015】
第四に、本発明の強化ガラスは、ガラス組成として、モル%で、SiO 45〜75%、Al 5〜11%、B 0〜1%、LiO 0〜4%、NaO 9〜20%、KO 0.5〜8%、MgO 0〜12%、CaO 0〜3%、MgO+CaO 5〜12%を含有し、モル比(Al+NaO+P)/SiOが0.1〜0.5、モル比(B+NaO)/SiOが0.1〜0.3、モル比P/SiOが0〜0.2、モル比Al/SiOが0.05〜0.3、モル比NaO/Alが1〜3であることが好ましい。
【0016】
第五に、本発明の強化ガラスは、ガラス組成として、モル%で、SiO 50〜70%、Al 5〜11%、B 0〜1%、LiO 0〜2%、NaO 10〜18%、KO 1〜6%、MgO 0〜12%、CaO 0〜2.5%、MgO+CaO 5〜12%を含有し、モル比(Al+NaO+P)/SiOが0.2〜0.5、モル比(B+NaO)/SiOが0.15〜0.27、モル比P/SiOが0〜0.1、モル比Al/SiOが0.07〜0.2、モル比NaO/Alが1〜2.3であることが好ましい。
【0017】
第六に、本発明の強化ガラスは、HF、HCl、HSO、HNO、NHF、NaOH、NHHFの群から選ばれる一種又は二種以上を含むエッチング液によりエッチングされてなることが好ましい。これらのエッチング液は、エッチング性能が良好である。
【0018】
第七に、本発明の強化ガラスは、エッチングされた面の表面粗さRaが1nm以下であることが好ましい。ここで、「表面粗さRa」は、SEMI D7−94「FPDガラス基板の表面粗さの測定方法」に準拠した方法で測定した値を指す。
【0019】
第八に、本発明の強化ガラスは、圧縮応力層の圧縮応力値が200MPa以上、且つ圧縮応力層の厚みが10μm以上であることが好ましい。ここで、「圧縮応力層の圧縮応力値」、「圧縮応力層の厚み」は、表面応力計(例えば、株式会社東芝製FSM−6000)を用いて、試料を観察した際に、観察される干渉縞の本数とその間隔から算出される値を指す。
【0020】
第九に、本発明の強化ガラスは、内部引っ張り応力が1〜200MPaであることが好ましい。ここで、「内部引っ張り応力」は、次式によって計算される値である。
【0021】
内部引っ張り応力=(圧縮応力値×応力厚み)/(板厚−応力厚み×2)
【0022】
第十に、本発明の強化ガラスは、液相温度が1250℃以下であることが好ましい。ここで、「液相温度」とは、標準篩30メッシュ(篩目開き500μm)を通過し、50メッシュ(篩目開き300μm)に残るガラス粉末を白金ボートに入れて、温度勾配炉中に24時間保持した後、結晶が析出する温度を指す。
【0023】
第十一に、本発明の強化ガラスは、液相粘度が104.0dPa・s以上であることが好ましい。ここで、「液相粘度」は、液相温度におけるガラスの粘度を白金球引き上げ法で測定した値を指す。
【0024】
第十二に、本発明の強化ガラスは、104.0dPa・sにおける温度が1280℃以下であることが好ましい。ここで、「104.0dPa・sにおける温度」は、白金球引き上げ法で測定した値を指す。
【0025】
第十三に、本発明の強化ガラスは、102.5dPa・sにおける温度が1620℃以下であることが好ましい。ここで、「102.5dPa・sにおける温度」は、白金球引き上げ法で測定した値を指す。
【0026】
第十四に、本発明の強化ガラスは、密度が2.6g/cm以下であることが好ましい。ここで、「密度」とは、周知のアルキメデス法で測定可能である。
【0027】
第十五に、本発明の強化ガラスは、フロート法で成形されてなることが好ましい。
【0028】
第十六に、本発明の強化ガラスは、タッチパネルディスプレイに用いることが好ましい。
【0029】
第十七に、本発明の強化ガラスは、携帯電話のカバーガラスに用いることが好ましい。
【0030】
第十八に、本発明の強化ガラスは、太陽電池のカバーガラスに用いることが好ましい。
【0031】
第十九に、本発明の強化ガラスは、ディスプレイの保護部材に用いることが好ましい。
【0032】
第二十に、本発明の強化ガラスの製造方法は、(1)モル%で、SiO 45〜75%、Al 3〜15%、LiO 0〜12%、NaO 0.3〜20%、KO 0〜10%、MgO+CaO 1〜15%を含有するガラス組成となるように調合したガラス原料を溶融し、板状に成形する工程、(2)イオン交換処理により圧縮応力層を形成して、強化ガラスを得る工程、(3)強化ガラスの表面にマスキングを行う工程、(4)強化ガラスをエッチング液でエッチングする工程を有することを特徴とする。
【0033】
第二十一に、本発明の強化ガラスの製造方法は、前記工程(3)の前に、強化ガラスの表面にパターニングする工程を有することが好ましい。このようにすれば、デバイスの製造コストが大幅に低下する。
【0034】
第二十二に、本発明の強化ガラスの製造方法は、前記工程(4)が、複数の強化ガラスの小片に分断する工程であることが好ましい。このようにすれば、大型の強化ガラスから製品形状の強化ガラスを複数採取し得るため、デバイスの製造コストが大幅に低下する。
【発明の効果】
【0035】
本発明の強化ガラスは、エッチング性能が適正であるため、短時間のエッチングでマスキングされた部分以外を除去することができる。その結果、携帯電話、タブレットPC等に求められる形状を効率的に得られると共に、高い表面品位、端面品位を確保することができる。更に、本発明の強化ガラスは、イオン交換性能が高いため、機械的強度が高く、また機械的強度のばらつきが小さい。しかも低密度であるため、タブレットPCの軽量化が可能になり、また歪点が高いため、高品位のパターニングを行うことも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本願発明の実施態様の一例である[実施例2]の実験手順を説明するための概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明の強化ガラスは、その表面に圧縮応力層を有する。表面に圧縮応力層を形成する方法として、物理強化法と化学強化法がある。本発明の強化ガラスは、化学強化法で作製されてなることが好ましい。化学強化法は、ガラスの歪点以下の温度でイオン交換処理によりガラスの表層にイオン半径が大きいアルカリイオンを導入する方法である。化学強化法で圧縮応力層を形成すれば、ガラスの厚みが小さい場合でも、圧縮応力層を適正に形成できると共に、圧縮応力層を形成した後に、強化ガラスを切断しても、風冷強化法等の物理強化法のように、強化ガラスが容易に破壊しない。
【0038】
本発明の強化ガラスにおいて、上記のように各成分の含有範囲を限定した理由を下記に示す。なお、各成分の含有範囲の説明において、特に断りがある場合を除き、%表示はモル%を指す。
【0039】
SiOは、ガラスのネットワークを形成する成分であり、その含有量は45〜75%であり、好ましくは50〜70%、55〜68%、55〜67%、特に58〜66%である。SiOの含有量が少な過ぎると、ガラス化し難くなり、また熱膨張係数が高くなり過ぎて、耐熱衝撃性が低下し易くなり、更にはHCl等の酸によるエッチングレートが高くなり過ぎて、所望の表面品位、端面品位を得難くなる。一方、SiOの含有量が多過ぎると、溶融性や成形性が低下し易くなり、また熱膨張係数が低くなり過ぎて、周辺材料の熱膨張係数に整合させ難くなり、更にはエッチングレートが低くなるため、デバイスの生産性が低下し易くなる。
【0040】
Alは、イオン交換性能を高める成分であり、また歪点やヤング率を高める成分であり、その含有量は3〜15%である。Alの含有量が少な過ぎると、イオン交換性能を十分に発揮できない虞が生じる。よって、Alの好適な下限範囲は4%以上、5%以上、5.5%以上、7%以上、8%以上、特に9%以上である。一方、Alの含有量が多過ぎると、ガラスに失透結晶が析出し易くなって、フロート法、オーバーフローダウンドロー法等でガラス板を成形し難くなる。また熱膨張係数が低くなり過ぎて、周辺材料の熱膨張係数に整合させ難くなり、更には高温粘性が高くなり、溶融性が低下し易くなる。またHCl等の酸によるエッチングレートが高くなり過ぎて、所望の表面品位、端面品位を得難くなる。よって、Alの好適な上限範囲は13%以下、12%以下、11%以下、特に9%以下である。
【0041】
は、高温粘度や密度を低下させると共に、ガラスを安定化させて結晶を析出させ難くし、また液相温度を低下させる成分である。しかし、Bの含有量が多過ぎると、イオン交換によって、ヤケと呼ばれるガラス表面の着色が発生したり、耐水性が低下したり、圧縮応力層の圧縮応力値が低下したり、圧縮応力層の厚みが小さくなったり、HCl等の酸によるエッチングレートが高くなり過ぎて、所望の表面品位、端面品位を得難くなる。よって、Bの含有量は、好ましくは0〜12%、0〜5%、0〜3%、0〜1.5%、0〜1%、0〜0.9%、0〜0.5%、特に0〜0.1%である。
【0042】
LiOは、イオン交換成分であり、また高温粘度を低下させて、溶融性や成形性を高める成分であると共に、ヤング率を高める成分である。更にLiOは、アルカリ金属酸化物の中では圧縮応力値を高める効果が大きいが、NaOを5%以上含むガラス系において、LiOの含有量が極端に多くなると、かえって圧縮応力値が低下する傾向がある。また、LiOの含有量が多過ぎると、液相粘度が低下して、ガラスが失透し易くなることに加えて、熱膨張係数が高くなり過ぎて、耐熱衝撃性が低下したり、周辺材料の熱膨張係数に整合させ難くなる。更に、低温粘性が低下し過ぎて、応力緩和が起こり易くなり、かえって圧縮応力値が低下する場合がある。よって、LiOの含有量は0〜12%であり、好ましくは0〜8%、0〜4%、0〜2%、0〜1%、0〜0.5%、0〜0.3%、特に0〜0.1%である。
【0043】
NaOは、イオン交換成分であり、また高温粘度を低下させて、溶融性や成形性を高める成分である。また、NaOは、耐失透性を改善する成分でもある。NaOの含有量は0.3〜20%である。NaOの含有量が少な過ぎると、溶融性が低下したり、熱膨張係数が低下したり、イオン交換性能が低下し易くなる。またエッチングレートが低くなるため、デバイスの生産性が低下し易くなる。よって、NaOの好適な下限範囲は5%以上、8%以上、9%以上、10%以上、11%以上、特に12%以上である。一方、NaOの含有量が多過ぎると、熱膨張係数が高くなり過ぎて、耐熱衝撃性が低下したり、周辺材料の熱膨張係数に整合させ難くなる。また歪点が低下し過ぎたり、ガラス組成の成分バランスを欠き、かえって耐失透性が低下する場合がある。更に、HCl等の酸によるエッチングレートが高くなり過ぎて、所望の表面品位、端面品位を得難くなる。よって、NaOの好適な上限範囲は19%以下、18%以下、17%以下、特に16%以下である。
【0044】
Oは、イオン交換を促進する成分であり、アルカリ金属酸化物の中では圧縮応力層の厚みを大きくし易い成分である。また高温粘度を低下させて、溶融性や成形性を高める成分である。更には、耐失透性を改善する成分でもある。よって、KOの含有量は0〜10%である。KOの含有量が多過ぎると、熱膨張係数が高くなり過ぎて、耐熱衝撃性が低下したり、周辺材料の熱膨張係数に整合させ難くなる。また歪点が低下し過ぎたり、ガラス組成の成分バランスを欠き、かえって耐失透性が低下する傾向がある。よって、KOの好適な上限範囲は8%以下、7%以下、6%以下、特に5%以下である。なお、ガラス組成中にKOを添加する場合、KOの好適な下限範囲は0.1%以上、0.5%以上、1%以上、1.5%以上、2%以上、特に2.5%以上である。
【0045】
LiO+NaO+KOの含有量は、好ましくは5〜25%、8〜22%、12〜20%、特に16.5〜20%である。LiO+NaO+KOの含有量が少な過ぎると、イオン交換性能や溶融性が低下し易くなる。一方、LiO+NaO+KOの含有量が多過ぎると、ガラスが失透し易くなることに加えて、熱膨張係数が高くなり過ぎて、耐熱衝撃性が低下したり、周辺材料の熱膨張係数に整合させ難くなる。また歪点が低下し過ぎて、高い圧縮応力値が得られ難くなる場合がある。更に液相温度付近の粘性が低下して、高い液相粘度を確保し難くなる場合がある。なお、「LiO+NaO+KO」は、LiO、NaO、及びKOの合量である。
【0046】
MgOは、高温粘度を低下させて、溶融性や成形性を高めたり、歪点やヤング率を高める成分であり、アルカリ土類金属酸化物の中では、イオン交換性能を高める効果が大きい成分である。しかし、MgOの含有量が多過ぎると、密度や熱膨張係数が高くなり、またガラスが失透し易くなる。よって、MgOの好適な上限範囲は12%以下、10%以下、8%以下、特に7%以下である。なお、ガラス組成中にMgOを添加する場合、MgOの好適な下限範囲は0.1%以上、0.5%以上、1%以上、2%以上、特に3%以上である。
【0047】
CaOは、他の成分と比較して、耐失透性の低下を伴うことなく、高温粘度を低下させて、溶融性や成形性を高めたり、歪点やヤング率を高める効果が大きい成分である。CaOの含有量は0〜10%が好ましい。しかし、CaOの含有量が多過ぎると、密度や熱膨張係数が高くなったり、ガラス組成の成分バランスを欠いて、かえってガラスが失透し易くなったり、イオン交換性能が低下し易くなったり、分相が生じ易くなる。よって、CaOの含有量は、好ましくは0〜5%、0〜3%、特に0〜2.5%である。
【0048】
MgO+CaOの含有量は1〜15%である。MgO+CaOの含有量が少な過ぎると、所望のイオン交換性能を得難くなることに加えて、高温粘性が高くなって、溶解性が低下し易くなる。一方、MgO+CaOの含有量が多過ぎると、密度や熱膨張係数が高くなったり、耐失透性が低下し易くなる。よって、MgO+CaOの含有量は、好ましくは3〜13%、5〜13%、5〜12%、特に5〜11%である。
【0049】
は、イオン交換性能を高める成分であり、特に圧縮応力層の厚みを大きくする成分である。しかし、Pの含有量が多過ぎると、ガラスが分相したり、HCl等の酸によるエッチングレートが高くなり過ぎて、所望の表面品位、端面品位を得難くなる。よって、Pの好適な上限範囲は10%以下、5%以下、特に3%以下である。なお、ガラス組成中にPを添加する場合、Pの好適な下限範囲は0.01%以上、0.1%以上、0.5%以上、特に1%以上である。
【0050】
本発明の強化ガラスは、以下の成分比率を有することが好ましい。
【0051】
モル比(Al+NaO+P)/SiOは0.1〜1である。モル比(Al+NaO+P)/SiOが小さ過ぎると、エッチングレートが低くなるため、デバイスの生産性が低下し易くなり、またイオン交換性能が低下し易くなる。一方、モル比(Al+NaO+P)/SiOが大き過ぎると、HCl等の酸によるエッチングレートが高くなり過ぎて、所望の表面品位、端面品位を得難くなったり、耐失透性が低下して、高い液相粘度を確保し難くなる。よって、モル比(Al+NaO+P)/SiOの好適な下限範囲は0.15以上、0.2以上、特に0.25以上であり、好適な上限範囲は0.7以下、0.5以下、特に0.4以下である。
【0052】
モル比(B+NaO)/SiOは0.1〜1である。モル比(B+NaO)/SiOが小さ過ぎると、エッチングレートが低くなるため、デバイスの生産性が低下し易くなる。また高温粘性が高くなるため、溶融性が低下して、泡品位が低下し易くなる。一方、モル比(B+NaO)/SiOが大き過ぎると、HCl等の酸によるエッチングレートが高くなり過ぎて、所望の表面品位、端面品位を得難くなったり、耐失透性が低下して、高い液相粘度を確保し難くなる。よって、モル比(B+NaO)/SiOの好適な下限範囲は0.15以上、0.2以上、特に0.23以上であり、好適な上限範囲は0.7以下、0.5以下、0.4以下、0.3以下、特に0.27以下である。
【0053】
モル比P/SiOは0〜1である。モル比P/SiOが大きくなると、圧縮応力層の厚みが大きくなる傾向にあるが、その値が大き過ぎると、HCl等の酸によるエッチングレートが高くなり過ぎて、所望の表面品位、端面品位を得難くなる。よって、モル比P/SiOの好適な範囲は0〜0.5、0〜0.3、0〜0.2、特に0〜0.1である。
【0054】
モル比Al/SiOは0.01〜1である。モル比Al/SiOが大きくなると、歪点やヤング率が高くなったり、イオン交換性能を高めることが可能になるが、この値が大き過ぎると、ガラスに失透結晶が析出し易くなって、高い液相粘度を確保し難くなったり、高温粘性が高くなって、溶融性が低下し易くなったり、HCl等の酸によるエッチングレートが高くなり過ぎて、所望の表面品位、端面品位を得難くなる。よって、モル比Al/SiOの好適な範囲は0.01〜0.7、0.01〜0.5、0.05〜0.3、特に0.07〜0.2である。
【0055】
モル比NaO/Alは0.1〜5である。モル比NaO/Alが小さ過ぎると、耐失透性が低下し易くなり、また溶解性が低下し易くなる。一方、モル比NaO/Alが大き過ぎると、熱膨張係数が高くなり過ぎたり、高温粘性が低くなり過ぎて、高い液相粘度を確保し難くなる。よって、モル比NaO/Alの好適な範囲は0.5〜4、1〜3、特に1.2〜2.3である。
【0056】
上記成分以外にも、例えば以下の成分を添加してもよい。
【0057】
SrOは、耐失透性の低下を伴うことなく、高温粘度を低下させて、溶融性や成形性を高めたり、歪点やヤング率を高める成分である。SrOの含有量が多過ぎると、密度や熱膨張係数が高くなったり、イオン交換性能が低下したり、ガラス組成の成分バランスを欠いて、かえってガラスが失透し易くなる。SrOの含有量は、好ましくは0〜5%、0〜3%、0〜1%、特に0〜0.1%である。
【0058】
BaOは、耐失透性の低下を伴うことなく、高温粘度を低下させて、溶融性や成形性を高めたり、歪点やヤング率を高める成分である。BaOの含有量が多過ぎると、密度や熱膨張係数が高くなったり、イオン交換性能が低下したり、ガラス組成の成分バランスを欠いて、かえってガラスが失透し易くなる。BaOの含有量は、好ましくは0〜5%、0〜3%、0〜1%、特に0〜0.1%である。
【0059】
TiOは、イオン交換性能を高める成分であり、また高温粘度を低下させる成分である。しかし、TiOの含有量が多過ぎると、ガラスが着色したり、失透し易くなる。よって、TiOの含有量は、好ましくは0〜3%、0〜1%、0〜0.8%、0〜0.5%、特に0〜0.1%である。
【0060】
ZrOは、イオン交換性能を顕著に高める成分であると共に、液相粘度付近の粘性や歪点を高める成分であるが、その含有量が多過ぎると、耐失透性が著しく低下する虞があり、また密度が高くなり過ぎる虞がある。よって、ZrOの好適な上限範囲は10%以下、8%以下、6%以下、4%以下、特に3%以下である。なお、イオン交換性能を高めたい場合、ガラス組成中にZrOを添加することが好ましく、その場合、ZrOの好適な下限範囲は0.01%以上、0.1%以上、0.5%以上、1%以上、特に2%以上である。
【0061】
ZnOは、イオン交換性能を高める成分であり、特に圧縮応力値を高める効果が大きい成分である。また低温粘性を低下させずに、高温粘性を低下させる成分である。しかし、ZnOの含有量が多過ぎると、ガラスが分相したり、耐失透性が低下したり、密度が高くなったり、圧縮応力層の厚みが小さくなる傾向がある。よって、ZnOの含有量は、好ましくは0〜6%、0〜5%、0〜3%、0〜1%、特に0〜0.5%である。
【0062】
清澄剤として、As、Sb、CeO、SnO、F、Cl、SOの群(好ましくはSnO、Cl、SOの群)から選択された一種又は二種以上を0〜3%添加してもよい。SnO+SO+Clの含有量は、好ましくは0〜1%、100〜3000ppm、300〜2500ppm、特に500〜2500ppmである。なお、SnO+SO+Clの含有量が100ppmより少ないと、清澄効果を享受し難くなる。ここで、「SnO+SO+Cl」は、SnO、SO、及びClの合量を指す。
【0063】
環境的観点から、As、Sb、Fの使用は極力控えることが好ましく、実質的に含有しないことが好ましい。ここで、「実質的にAsを含有しない」とは、ガラス成分として積極的にAsを添加しないものの、不純物として混入する場合を許容する趣旨であり、具体的には、Asの含有量が500ppm(質量)未満であることを指す。「実質的にSbを含有しない」とは、ガラス成分として積極的にSbを添加しないものの、不純物として混入する場合を許容する趣旨であり、具体的には、Sbの含有量が500ppm(質量)未満であることを指す。「実質的にFを含有しない」とは、ガラス成分として積極的にFを添加しないものの、不純物として混入する場合を許容する趣旨であり、具体的には、Fの含有量が500ppm(質量)未満であることを指す。
【0064】
Feの含有量は、好ましくは500ppm未満、400ppm未満、300ppm未満、200ppm未満、特に150ppm未満である。このようにすれば、板厚1mmにおける透過率(400nm〜770nm)が向上し易くなる(例えば90%以上)。
【0065】
Nb、La等の希土類酸化物は、ヤング率を高める成分である。しかし、原料自体のコストが高く、また多量に添加すると、耐失透性が低下し易くなる。よって、希土類酸化物の含有量は、好ましくは3%以下、2%以下、1%以下、0.5%以下、特に0.1%以下である。
【0066】
遷移金属元素(Co、Ni等)は、ガラスを強く着色させるため、透過率を低下させる虞がある。特に、タッチパネルディスプレイに用いる場合、遷移金属元素の含有量が多過ぎると、タッチパネルディスプレイの視認性が低下し易くなる。よって、遷移金属酸化物の含有量が0.5%以下、0.1%以下、特に0.05%以下になるように、ガラス原料(カレットを含む)を選択することが好ましい。
【0067】
環境面の配慮から、実質的にPbO、Biを含有しないことが好ましい。ここで、「実質的にPbOを含有しない」とは、ガラス成分として積極的にPbOを添加しないものの、不純物として混入する場合を許容する趣旨であり、具体的には、PbOの含有量が500ppm(質量)未満であることを指す。「実質的にBiを含有しない」とは、ガラス成分として積極的にBiを添加しないものの、不純物として混入する場合を許容する趣旨であり、具体的には、Biの含有量が500ppm(質量)未満であることを指す。
【0068】
各成分の好適な含有範囲を適宜選択して、好適なガラス組成範囲を構築することが可能である。その中でも特に好適なガラス組成範囲は、モル%で、SiO 50〜70%、Al 5.5〜9%、B 0〜0.1%、LiO 0〜0.5%、NaO 12〜17%、KO 2〜5%、MgO 0〜12%、CaO 0〜2.5%、MgO+CaO 5〜11%を含有し、モル比(Al+NaO+P)/SiOが0.25〜0.5、モル比(B+NaO)/SiOが0.15〜0.27、モル比P/SiOが0〜0.1、モル比Al/SiOが0.07〜0.2、モル比NaO/Alが1.2〜2.3である。
【0069】
本発明の強化ガラスにおいて、80℃、10質量%のHCl水溶液中で24時間浸漬させた時の質量減が0.05〜50g/cmであることが好ましい。この値が0.05g/cm未満になると、エッチングレートが低くなるため、大型の強化ガラスに対して、タッチパネルセンサー等のパターニング、所定のマスキングを行った後、エッチング液でエッチングして、所望の形状に個片化することが困難になる。一方、この値が50g/cmを超えると、HCl等の酸によるエッチングレートが高くなり過ぎて、所望の表面品位、端面品位を得難くなる。なお、質量減の好適な下限範囲は0.1g/cm以上、特に0.2g/cm以上であり、また好適な上限範囲は45g/cm以下、20g/cm以下、10g/cm以下、5g/cm以下、2g/cm以下、特に1g/cm以下である。
【0070】
本発明の強化ガラスは、表面に圧縮応力層を有している。圧縮応力層の圧縮応力値は、好ましくは300MPa以上、400MPa以上、500MPa以上、600MPa以上、700MPa以上、特に800MPa以上である。圧縮応力値が大きい程、強化ガラスの機械的強度が高くなる。一方、表面に極端に大きな圧縮応力が形成されると、表面にマイクロクラックが発生して、かえって強化ガラスの機械的強度が低下する虞がある。また、強化ガラスに内在する引っ張り応力が極端に高くなる虞がある。このため、圧縮応力層の圧縮応力値は1500MPa以下が好ましい。なお、ガラス組成中のAl、TiO、ZrO、MgO、ZnOの含有量を増加させたり、SrO、BaOの含有量を低減すれば、圧縮応力値が大きくなる傾向がある。また、イオン交換時間を短くしたり、イオン交換溶液の温度を下げれば、圧縮応力値が大きくなる傾向がある。
【0071】
圧縮応力層の厚みは、好ましくは10μm以上、15μm以上、20μm以上、特に25μm以上である。圧縮応力層の厚みが大きい程、強化ガラスに深い傷が付いても、強化ガラスが割れ難くなると共に、機械的強度のばらつきが小さくなる。一方、圧縮応力層の厚みが大きい程、強化ガラスを切断し難くなったり、エッチングの際にマスキング内の強化ガラスが破損する虞がある。このため、圧縮応力層の厚みは、好ましくは500μm以下、200μm以下、150μm以下、90μm以下、60μm以下、50μm以下、40μm以下、35μm以下、特に30μm以下である。なお、ガラス組成中のKO、Pの含有量を増加させたり、SrO、BaOの含有量を低減すれば、圧縮応力層の厚みが大きくなる傾向がある。また、イオン交換時間を長くしたり、イオン交換溶液の温度を上げれば、圧縮応力層の厚みが大きくなる傾向がある。
【0072】
内部引っ張り応力は、好ましくは200MPa以下、150MPa以下、120MPa以下、100MPa以下、70MPa、50MPa以下、30MPa以下、25MPa以下、特に22MPa以下である。内部引っ張り応力が大きくなると、エッチングの際にマスキング内の強化ガラスが破損する虞がある。しかし、内部引っ張り応力が極端に小さくなると、圧縮応力層の圧縮応力値、厚みが低下する。よって、内部引っ張り応力は、好ましくは1MPa以上、5MPa以上、10MPa以上、15MPa以上である。
【0073】
本発明の強化ガラスにおいて、密度は2.6g/cm以下、特に2.55g/cm以下が好ましい。密度が小さい程、強化ガラスを軽量化することができる。なお、ガラス組成中のSiO、B、Pの含有量を増加させたり、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物、ZnO、ZrO、TiOの含有量を低減すれば、密度が低下し易くなる。
【0074】
本発明の強化ガラスにおいて、熱膨張係数は、好ましくは80〜120×10−7/℃、85〜110×10−7/℃、90〜110×10−7/℃、特に90〜105×10−7/℃である。熱膨張係数を上記範囲に規制すれば、金属、有機系接着剤等の部材の熱膨張係数に整合し易くなり、金属、有機系接着剤等の部材の剥離を防止し易くなる。ここで、「熱膨張係数」は、ディラトメーターを用いて、30〜380℃の温度範囲における平均熱膨張係数を測定した値を指す。なお、ガラス組成中のアルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物の含有量を増加すれば、熱膨張係数が高くなり易く、逆にアルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物の含有量を低減すれば、熱膨張係数が低下し易くなる。
【0075】
本発明の強化ガラスにおいて、歪点は、好ましくは500℃以上、520℃以上、530℃以上、550℃以上、特に570℃以上である。歪点が高い程、耐熱性が向上し、強化ガラスを熱処理する場合、圧縮応力層が消失し難くなる。また、歪点が高い程、イオン交換処理の際に応力緩和が生じ難くなるため、圧縮応力値を維持し易くなる。更にタッチパネルセンサー等のパターニングにおいて、高品位な膜を形成し易くなる。なお、ガラス組成中のアルカリ土類金属酸化物、Al、ZrO、Pの含有量を増加させたり、アルカリ金属酸化物の含有量を低減すれば、歪点が高くなり易い。
【0076】
本発明の強化ガラスにおいて、104.0dPa・sにおける温度は、好ましくは1280℃以下、1230℃以下、1200℃以下、1180℃以下、特に1160℃以下である。104.0dPa・sにおける温度が低い程、成形設備への負担が軽減されて、成形設備が長寿命化し、結果として、強化ガラスの製造コストを低廉化し易くなる。なお、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物、ZnO、B、TiOの含有量を増加させたり、SiO、Alの含有量を低減すれば、104.0dPa・sにおける温度が低下し易くなる。
【0077】
本発明の強化ガラスにおいて、102.5dPa・sにおける温度は、好ましくは1620℃以下、1550℃以下、1530℃以下、1500℃以下、特に1450℃以下である。102.5dPa・sにおける温度が低い程、低温溶融が可能になり、溶融窯等のガラス製造設備への負担が軽減されると共に、泡品位を高め易くなる。よって、102.5dPa・sにおける温度が低い程、強化ガラスの製造コストを低廉化し易くなる。なお、102.5dPa・sにおける温度は、溶融温度に相当する。また、ガラス組成中のアルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物、ZnO、B、TiOの含有量を増加させたり、SiO、Alの含有量を低減すれば、102.5dPa・sにおける温度が低下し易くなる。
【0078】
本発明の強化ガラスにおいて、液相温度は、好ましくは1200℃以下、1150℃以下、1100℃以下、1050℃以下、1000℃以下、950℃以下、900℃以下、特に880℃以下である。なお、液相温度が低い程、耐失透性や成形性が向上する。また、ガラス組成中のNaO、KO、Bの含有量を増加させたり、Al、LiO、MgO、ZnO、TiO、ZrOの含有量を低減すれば、液相温度が低下し易くなる。
【0079】
本発明の強化ガラスにおいて、液相粘度は、好ましくは104.0dPa・s以上、104.4dPa・s以上、104.8dPa・s以上、105.0dPa・s以上、105.4dPa・s以上、105.6dPa・s以上、106.0dPa・s以上、106.2dPa・s以上、特に106.3dPa・s以上である。なお、液相粘度が高い程、耐失透性や成形性が向上する。また、ガラス組成中のNaO、KOの含有量を増加させたり、Al、LiO、MgO、ZnO、TiO、ZrOの含有量を低減すれば、液相粘度が高くなり易い。
【0080】
本発明の強化ガラスにおいて、エッチングされた面を除く表面の表面粗さRaは、好ましくは1nm以下、0.5nm以下、0.3nm以下、特に0.2nm以下である。エッチングされた面を除く表面の表面粗さRaが大き過ぎると、強化ガラスの外観品位が低下するだけでなく、機械的強度が低下する虞がある。
【0081】
本発明の強化ガラスにおいて、エッチングされた面(表面及び端面)の表面粗さRaは、好ましくは1nm以下、0.5nm以下、0.3nm以下、特に0.2nm以下である。エッチングされた面の表面粗さRaが大き過ぎると、強化ガラスの外観品位が低下するだけでなく、機械的強度が低下する虞がある。
【0082】
本発明に係る強化ガラスにおいて、厚み(板状の場合は板厚)は、好ましくは3.0mm以下、2.0mm以下、1.5mm以下、1.3mm以下、1.1mm以下、1.0mm以下、0.8mm以下、特に0.7mm以下である。一方、厚みが小さ過ぎると、所望の機械的強度を得難くなる。よって、厚みは、好ましくは0.1mm以上、0.2mm以上、0.3mm以上、特に0.4mm以上である。
【0083】
本発明に係る強化用ガラスは、ガラス組成として、モル%で、SiO 45〜75%、Al 3〜15%、LiO 0〜12%、NaO 0.3〜20%、KO 0〜10%、MgO+CaO 1〜15%を含有し、モル比(Al+NaO+P)/SiOが0.1〜1、モル比(B+NaO)/SiOが0.1〜1、モル比P/SiOが0〜1、モル比Al/SiOが0.01〜1、モル比NaO/Alが0.1〜5であることを特徴とする。本発明の強化用ガラスの技術的特徴は、本発明の強化ガラスの技術的特徴と同様になる。ここでは、便宜上、その記載を省略する。
【0084】
本発明に係る強化用ガラスは、430℃のKNO溶融塩に4時間浸漬させた場合、表面の圧縮応力層の圧縮応力値が300MPa以上、且つ圧縮応力層の厚みが10μm以上になることが好ましく、また表面の圧縮応力が600MPa以上、且つ圧縮応力層の厚みが15μm以上になることが好ましく、さらに表面の圧縮応力が700MPa以上、且つ圧縮応力層の厚みが20μm以上になることが好ましい。
【0085】
イオン交換処理の際、KNO溶融塩の温度は400〜550℃が好ましく、イオン交換時間は2〜10時間、特に4〜8時間が好ましい。このようにすれば、圧縮応力層を適正に形成し易くなる。なお、本発明の強化用ガラスは、上記のガラス組成を有するため、KNO溶融塩とNaNO溶融塩の混合物等を使用しなくても、圧縮応力値や応力厚みを大きくすることが可能になる。
【0086】
本発明に係る強化用ガラスにおいて、25℃、5質量%のHF水溶液中で10分間処理した時、エッチングされた面の表面粗さRaが1nm以下、0.5nm以下、0.3nm以下、特に0.2nm以下になることが好ましい。エッチングされた面の表面粗さRaが大き過ぎると、強化ガラスの外観品位が低下するだけでなく、機械的強度が低下する虞がある。
【0087】
本発明に係る強化用ガラスにおいて、80℃、10質量%のHCl水溶液中で24時間浸漬させた時の質量減が0.05〜50g/cmになることが好ましい。質量減が小さ過ぎると、エッチングレートが低くなり、デバイスの生産性が低下する虞がある。一方、質量減が大き過ぎると、HCl等の酸によるエッチングレートが高くなり過ぎて、所望の表面品位、端面品位を得難くなる。質量減の好適な下限範囲は0.1g/cm以上、特に0.2g/cm以上であり、また好適な上限範囲は45g/cm以下、20g/cm以下、10g/cm以下、5g/cm以下、2g/cm以下、特に1g/cm以下である。
【0088】
以下のようにして、本発明に係る強化用ガラス、強化ガラスを作製することができる。
【0089】
まず上記のガラス組成になるように調合したガラス原料を連続溶融炉に投入して、1500〜1600℃で加熱溶融し、清澄した後、成形装置に供給した上で板状等に成形し、徐冷することにより、板状等の強化用ガラスを作製することができる。
【0090】
板状に成形する方法として、フロート法を採用することが好ましい。フロート法は、大量生産、大型化に有利である。
【0091】
フロート法以外にも、種々の成形方法を採用することができる。例えば、オーバーフローダウンドロー法、ダウンドロー法(スロットダウン法、リドロー法等)、ロールアウト法、プレス法等の成形方法を採用することができる。
【0092】
次に、得られた強化用ガラスを強化処理することにより、強化ガラスを作製することができる。強化ガラスを所定寸法に形状加工を行う場合、大型のガラス板を強化処理した後に、タッチパネルセンサー等のパターニング、所定のマスキングを行い、次にエッチング液でエッチングすることにより、所望の形状に個片化することが生産性の点で好ましい。
【0093】
強化処理として、イオン交換処理が好ましい。イオン交換処理の条件は、特に限定されず、ガラスの粘度特性、用途、厚み、内部引っ張り応力等を考慮して最適な条件を選択すればよい。例えば、イオン交換処理は、400〜550℃のKNO溶融塩中に、強化用ガラスを1〜8時間浸漬することで行うことができる。特に、KNO溶融塩中のKイオンをガラス中のNa成分とイオン交換すると、圧縮応力層を効率良く形成することが可能になる。
【0094】
次に、得られた強化ガラスの表面の一部に、所望の形状(携帯電話、タブレットPC等の保護部材に求められる形状)になるようにマスキングを行った後、エッチング液でエッチングを行うことが好ましい。エッチング液として、HF、HCl、HSO、HNO、NHF、NaOH、NHHFの群から選ばれる一種又は二種以上、特にHCl、HF、HNOの群から選ばれる一種又は二種以上を含むエッチング液が好ましい。エッチング液は、1〜20質量%、2〜10質量%、特に3〜8質量%の水溶液が好ましい。エッチング液の使用温度は、HFを用いる場合を除き、20〜50℃、20〜40℃、20〜30℃が好ましい。エッチングの時間は1〜20分、2〜15分、特に3〜10分が好ましい。このようなエッチングを行うと、強化処理後に、切断、端面加工・穴あけ加工等を施さなくても、所望の形状を得ることができる。
【0095】
本発明の強化ガラスの製造方法は、(1)モル%で、SiO 45〜75%、Al 3〜15%、LiO 0〜12%、NaO 0.3〜20%、KO 0〜10%、MgO+CaO 1〜15%を含有するガラス組成となるように調合したガラス原料を溶融し、板状に成形する工程、(2)イオン交換処理により圧縮応力層を形成して、強化ガラスを得る工程、(3)強化ガラスの表面にマスキングを行う工程、(4)強化ガラスをエッチング液でエッチングする工程を有することを特徴とする。特に、前記工程(3)の前に、強化ガラスの表面にパターニングする工程を有することが好ましく、前記工程(4)が、複数の強化ガラスの小片に分断する工程であることが好ましい。なお、本発明の強化ガラスの製造方法の技術的特徴は、本発明の強化ガラスの技術的特徴と同様になる。ここでは、便宜上、その記載を省略する。
【実施例1】
【0096】
以下、実施例に基づいて、本発明を説明する。なお、以下の実施例は、単なる例示である。本発明は、以下の実施例に何ら限定されない。
【0097】
表1〜3は、本発明の実施例(試料No.1〜21)を示している。なお、表中の「未」は、未測定を意味している。
【0098】
【表1】

【0099】
【表2】

【0100】
【表3】

【0101】
次のようにして、表中の各試料を作製した。まず表中のガラス組成になるように、ガラス原料を調合し、白金ポットを用いて1580℃で8時間溶融した。その後、得られた溶融ガラスをカーボン板の上に流し出して、板状に成形した。得られたガラス板について、種々の特性を評価した。なお、強化特性の測定試料として、板厚0.8mmのガラス板に加工したものを用いた。
【0102】
密度ρは、周知のアルキメデス法によって測定した値である。
【0103】
熱膨張係数αは、ディラトメーターを用いて、30〜380℃の温度範囲における平均熱膨張係数を測定した値である。
【0104】
歪点Ps、徐冷点Taは、ASTM C336の方法に基づいて測定した値である。
【0105】
軟化点Tsは、ASTM C338の方法に基づいて測定した値である。
【0106】
高温粘度104.0dPa・s、103.0dPa・s、102.5dPa・sにおける温度は、白金球引き上げ法で測定した値である。
【0107】
液相温度TLは、標準篩30メッシュ(篩目開き500μm)を通過し、50メッシュ(篩目開き300μm)に残るガラス粉末を白金ボートに入れた後、温度勾配炉中に24時間保持して、結晶の析出する温度を測定した値である。
【0108】
液相粘度log10ηTLは、液相温度におけるガラスの粘度を白金球引き上げ法で測定した値である。
【0109】
次のようにして、HCl水溶液による質量減を評価した。まず各試料を20mm×50mm×1mmの短冊状に加工した後、イソプロピルアルコールで十分に洗浄した。次に、得られた試料を乾燥させた後、質量を測定した。次に、10質量%のHCl水溶液を100ml調整し、テフロン(登録商標)ボトル内に入れた後、温度を80℃に調整した。続いて、乾燥後の試料を10質量%のHCl水溶液中に24時間浸漬させて、表面と端面をエッチングした。最後に、エッチング後の試料の質量を測定した後、質量減を表面積で割ることにより、単位面積当たりの質量減を算出した。
【0110】
表1〜3から明らかなように、試料No.1〜21は、密度ρが2.54g/cm以下、熱膨張係数αが93〜110×10−7/℃であるため、強化ガラスの素材、つまり強化用ガラスとして好適であった。更に、試料No.1〜21は、液相粘度log10ηTLが104.3dPa・s以上であるため、板状に成形可能であり、また104.0dPa・sにおける温度が1280℃以下であるため、成形設備への負担が軽く、しかも102.5dPa・sにおける温度が1612℃以下であるため、生産性が高く、安価に大量のガラス板を作製できるものと考えられる。なお、強化処理の前後で、表層におけるガラス組成が微視的に異なるものの、ガラス全体として見た場合、ガラス組成は実質的に同一である。
【0111】
次に、上記強化特性の測定試料の両表面に光学研磨を施した後、420℃のKNO溶融塩中に1.5時間浸漬することにより、イオン交換処理を行った。続いて、イオン交換処理後に試料を洗浄した後、表面応力計(株式会社東芝製FSM−6000)を用いて観察される干渉縞の本数とその間隔から圧縮応力層の圧縮応力値CSと厚みDOLを算出した。算出に当たり、各測定試料の屈折率を1.52、光学弾性定数を28[(nm/cm)/MPa]とした。
【0112】
また、強化ガラスの内部引っ張り応力を以下の式を用いて算出した。
【0113】
内部引っ張り応力=(圧縮応力値×応力深さ)/(板厚−応力深さ×2)
【0114】
表1〜3から明らかなように、試料No.1〜21は、KNO溶融塩でイオン交換処理を行ったところ、圧縮応力層の圧縮応力値CSが757MPa以上、厚みDOLが14μm以上であり、内部引っ張り応力が16〜28MPaであった。
【実施例2】
【0115】
試料No.21に記載のガラス組成になるように調合したガラス原料を連続溶融炉に投入して、加熱溶融、清澄した後、板厚0.8mmになるように、フロート法で成形した。次に、得られたガラスを1m×1.2mに加工した後、420℃のKNO溶融塩中に2時間浸漬することにより、イオン交換処理を行った。
【0116】
得られた強化ガラスに対して、図1(a)のように矩形上のITOのパターニング(XY方向用)を行った後、図1(b)のように絶縁膜のパターニングを行った。更に、図1(c)のように金属膜ブリッジパターニング(Y方向)を行い、強化ガラスの上にタッチパネルセンサーを形成した。
【0117】
続いて、170mm×100mm(コーナー部のR=7mm)になるように、Auでマスキングを行った。次に、タッチパネルセンサー、Auマスキング付きの強化ガラスを48質量%のHF中(30℃)中に30分間浸漬して、複数の強化ガラス片を得た。更に、表面のAuをエッチングで除去して、タッチパネルセンサー付きの強化ガラスを得た。
【0118】
得られた強化ガラス片の表面(タッチパネルセンサーが形成されていない表面)及び端面の表面粗さRaを測定したところ、表面の表面粗さRaは0.0003μm、端面の表面粗さRaは0.0021μmであった。なお、「表面粗さRa」は、SEMI D7−94「FPDガラス基板の表面粗さの測定方法」に準拠した方法で測定した値である。
【産業上の利用可能性】
【0119】
本発明の強化ガラスは、携帯電話、デジタルカメラ、PDA等のカバーガラス、或いはタッチパネルディスプレイ等の基板として好適である。また、本発明の強化ガラスは、これらの用途以外にも、高い機械的強度が要求される用途、例えば窓ガラス、磁気ディスク用基板、フラットパネルディスプレイ用基板、太陽電池用カバーガラス、固体撮像素子用カバーガラス、食器への応用が期待できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に圧縮応力層を有する強化ガラスであって、ガラス組成として、モル%で、SiO 45〜75%、Al 3〜15%、LiO 0〜12%、NaO 0.3〜20%、KO 0〜10%、MgO+CaO 1〜15%を含有し、モル比(Al+NaO+P)/SiOが0.1〜1、モル比(B+NaO)/SiOが0.1〜1、モル比P/SiOが0〜1、モル比Al/SiOが0.01〜1、モル比NaO/Alが0.1〜5であると共に、強化処理後に表面又は端面がエッチングされてなることを特徴とする強化ガラス。
【請求項2】
ガラス組成として、モル%で、SiO 45〜75%、Al 4〜13%、B 0〜3%、LiO 0〜8%、NaO 5〜20%、KO 0.1〜10%、MgO+CaO 3〜13%を含有し、モル比(Al+NaO+P)/SiOが0.1〜0.7、モル比(B+NaO)/SiOが0.1〜0.7、モル比P/SiOが0〜0.5、モル比Al/SiOが0.01〜0.7、モル比NaO/Alが0.5〜4であることを特徴とする請求項1に記載の強化ガラス。
【請求項3】
ガラス組成として、モル%で、SiO 45〜75%、Al 5〜12%、B 0〜1%、LiO 0〜4%、NaO 8〜20%、KO 0.5〜10%、MgO+CaO 5〜13%を含有し、モル比(Al+NaO+P)/SiOが0.1〜0.5、モル比(B+NaO)/SiOが0.1〜0.5、モル比P/SiOが0〜0.3、モル比Al/SiOが0.05〜0.5、モル比NaO/Alが1〜3であることを特徴とする請求項1又は2に記載の強化ガラス。
【請求項4】
ガラス組成として、モル%で、SiO 45〜75%、Al 5〜11%、B 0〜1%、LiO 0〜4%、NaO 9〜20%、KO 0.5〜8%、MgO 0〜12%、CaO 0〜3%、MgO+CaO 5〜12%を含有し、モル比(Al+NaO+P)/SiOが0.1〜0.5、モル比(B+NaO)/SiOが0.1〜0.3、モル比P/SiOが0〜0.2、モル比Al/SiOが0.05〜0.3、モル比NaO/Alが1〜3であることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の強化ガラス。
【請求項5】
ガラス組成として、モル%で、SiO 50〜70%、Al 5〜11%、B 0〜1%、LiO 0〜2%、NaO 10〜18%、KO 1〜6%、MgO 0〜12%、CaO 0〜2.5%、MgO+CaO 5〜12%を含有し、モル比(Al+NaO+P)/SiOが0.2〜0.5、モル比(B+NaO)/SiOが0.15〜0.27、モル比P/SiOが0〜0.1、モル比Al/SiOが0.07〜0.2、モル比NaO/Alが1〜2.3であることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の強化ガラス。
【請求項6】
HF、HCl、HSO、HNO、NHF、NaOH、NHHFの群から選ばれる一種又は二種以上を含むエッチング液によりエッチングされてなることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の強化ガラス。
【請求項7】
エッチングされた面の表面粗さRaが1nm以下であることを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の強化ガラス。
【請求項8】
圧縮応力層の圧縮応力値が200MPa以上、且つ圧縮応力層の厚みが10μm以上であることを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載の強化ガラス。
【請求項9】
内部引っ張り応力が1〜200MPaであることを特徴とする請求項1〜8の何れか一項に記載の強化ガラス。
【請求項10】
液相温度が1250℃以下であることを特徴とする請求項1〜9の何れか一項に記載の強化ガラス。
【請求項11】
液相粘度が104.0dPa・s以上であることを特徴とする請求項1〜10の何れか一項に記載の強化ガラス。
【請求項12】
104.0dPa・sにおける温度が1280℃以下であることを特徴とする請求項1〜11の何れか一項に記載の強化ガラス。
【請求項13】
102.5dPa・sにおける温度が1620℃以下であることを特徴とする請求項1〜12の何れか一項に記載の強化ガラス。
【請求項14】
密度が2.6g/cm以下であることを特徴とする請求項1〜13の何れか一項に記載の強化ガラス。
【請求項15】
フロート法で成形されてなることを特徴とする請求項1〜14の何れか一項に記載の強化ガラス。
【請求項16】
タッチパネルディスプレイに用いることを特徴とする請求項1〜15の何れか一項に記載の強化ガラス。
【請求項17】
携帯電話のカバーガラスに用いることを特徴とする請求項1〜15の何れか一項に記載の強化ガラス。
【請求項18】
太陽電池のカバーガラスに用いることを特徴とする請求項1〜15の何れか一項に記載の強化ガラス。
【請求項19】
ディスプレイの保護部材に用いることを特徴とする請求項1〜15の何れか一項に記載の強化ガラス。
【請求項20】
(1)モル%で、SiO 45〜75%、Al 3〜15%、LiO 0〜12%、NaO 0.3〜20%、KO 0〜10%、MgO+CaO 1〜15%を含有するガラス組成となるように調合したガラス原料を溶融し、板状に成形する工程、
(2)イオン交換処理により圧縮応力層を形成して、強化ガラスを得る工程、
(3)強化ガラスの表面にマスキングを行う工程、
(4)強化ガラスをエッチング液でエッチングする工程を有することを特徴とする強化ガラスの製造方法。
【請求項21】
前記工程(3)の前に、強化ガラスの表面にパターニングする工程を有することを特徴とする請求項20に記載の強化ガラスの製造方法。
【請求項22】
前記工程(4)が、複数の強化ガラスの小片に分断する工程であることを特徴とする請求項20又は21に記載の強化ガラスの製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2013−43795(P2013−43795A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−181807(P2011−181807)
【出願日】平成23年8月23日(2011.8.23)
【出願人】(000232243)日本電気硝子株式会社 (1,447)
【Fターム(参考)】