説明

強化フルオロエラストマーブラダを用いた折り畳み式マンドレル

【課題】繰り返しの使用に対して優れた寸法安定性を発揮し、マンドレルを使用してパーツの積層を可能にするために必要な強度及び剛性を有する、折り畳み式マンドレルを提供する。
【解決手段】折り畳み式マンドレル30は空気注入式ブラダ35であり、ブラダ35が折り畳み式の側壁32を有し、ブラダ35はフルオロエラストマーゴムの内側層と外側層を有し、前記内側層と前記外側層との間に各側壁32で途切れている強化材を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概してパーツを成形できるマンドレルに関し、さらに具体的には複合パーツを積層する及び/又は硬化させる強化フルオロエラストマーブラダを用いた折り畳み式マンドレルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
繊維強化樹脂製パーツを製造するために、空気注入式ブラダをしばしばマンドレルとして使うことがある。層を所望のパーツ形状に成形するために、繊維強化樹脂の複数層をマンドレルの上に積層する。積層体が圧縮された又は硬化した後で、パーツからマンドレルを引き抜くことができるようにマンドレルを折り畳んで断面形状を縮小することにより、積層体からマンドレルを取り外すことができる。
【0003】
ある用途において、積層体の上に均一に圧力を印加するブラダの性能は、ブラダの寸法安定性に依存する場合がある。ブラダの寸法安定性の維持は、長いチューブ状の複合パーツを積層する場合には、特に問題になり得る。
【0004】
複合パーツの積層及び硬化に使用される公知の種類のマンドレルは強化シリコンゴム製ブラダを用いるが、この種のブラダは繰り返し使うことにより時間経過とともに比較的早く継続的に縮小するため、硬化サイクル中に均一な圧力をかけることができなくなる。パーツの寸法要件が比較的厳しい場合には、強化シリコンゴムブラダは、熱成長と硬化処理後の収縮に伴う問題のために、1回しか使用することができない。
【0005】
別の種類のマンドレルは、ナイロン製のチューブ状バッグ処理フィルムを使用して、硬化中にパーツの内部空洞にオートクレーブ圧を印加する。しかしながら、バッグ処理フィルムは、積層工程中にパーツを支持するために必要な構造強度及び剛性を有していない。
【0006】
したがって、繰り返しの使用に対して優れた寸法安定性を発揮し、マンドレルを使用してパーツの積層を可能にするために必要な強度及び剛性を有する、折り畳み式マンドレルが必要である。
【発明の概要】
【0007】
開示の実施形態では、折り畳み式マンドレルと、折り畳み式マンドレルを作製する方法が提供されており、折り畳み式マンドレルは、繰り返しの使用に対して最小の収縮量を呈し、複数の硬化サイクルでの使用に用いることができ、これにより連続的なツール費用を低減することができる強化フルオロエラストマーゴム製ブラダを含む。折り畳み式マンドレルにより、未硬化パーツの積層中に骨組みとサポートが提供され、硬化中に適切な形状とオートクレーブ圧を得ることができ、熱成長は最小限に抑えられ、硬化処理後に実質的な収縮が起こらない。マンドレルは真空化されると折り畳まれて、密閉されたパーツから簡単に取り出すことができる。パーツ硬化中の寸法制御を向上させるには、フルオロエラストマーゴムの低い熱膨張係数(CTE)で達成可能である。高温でのフルオロエラストマーゴムの低い気体浸透率もまた、パーツの可能な気孔率を低減させることによってパーツの品質向上に貢献する。
【0008】
開示の方法はまた、フルオロエラストマーゴムの揮発性も低減し、これにより繰り返し使用に対するマンドレルの寸法安定性を維持できる。マンドレルが折り畳み可能であることにより、パーツの外形が様々であるためにブラダがパーツ内部に閉じ込められるのを防止しながら、複雑な外形を有するパーツの積層が可能になる。
【0009】
ある開示の実施形態によれば、空気注入式ブラダを含む折り畳み式マンドレルが提供されている。このブラダは、強化材がその間に挟まれているフルオロエラストマーゴムの内側層及び外側層を含む。強化材は、フルオロエラストマーゴムのコーティングを含むことができる。このブラダは、折り畳み式の側壁を含み、強化材は各側壁で途切れている。ある実施形態では、強化材はグラスファイバーを含む。強化材は、実質上互いの端と端が合うように配置された各側壁に少なくとも2つの通常堅く細長い部材を含むことができる。
【0010】
別の開示の実施形態によれば、複合パーツを積層し硬化する折り畳み式マンドレルが提供されている。このマンドレルは、加圧されると膨らむように構成されている実質的に柔軟な加圧可能なブラダを含む。このブラダは、ゴムの内側層、ゴムの外側層、及びブラダが加圧された時はブラダに剛性を与え、ブラダを減圧した時に折り畳まれる実質的に堅い強化材を含む中間層を含む。ゴムの内側及び外側層はフルオロエラストマーゴムであり、強化材はフルオロエラストマーゴムでコーティングされている。強化材は、隣り合わせに配置されて柔軟な突き合わせ継ぎ手を形成し、強化材を曲げることを可能にするグラスファイバー部材を含む。
【0011】
さらに別の実施形態によれば、複合パーツを作製する方法が提供され、この方法は、実質的に堅いストリップで柔軟なブラダを強化することを含む。この方法はさらに、ブラダを膨らませ、強化された膨張ブラダの上に複合パーツを積層することを含む。ブラダから空気が抜かれ、積層体が完成した後か、あるいは積層体が硬化された後に取り外される。ブラダは、マイナス気圧を使用して強化ストリップの縁部とともにブラダの側壁を折り畳むことによって空気抜きされる。ブラダの強化は、ストリップをゴムでコーティングし、2つのゴム層の間に隣り合わせの状態で配置することによって実施される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は完全に膨張した状態の、開示の実施形態による折り畳み式マンドレルの斜視図である。
【図2】図2は図1の線2−2に沿って切り取られた断面図である。
【図3】図3は図1に示す折り畳み式マンドレルを使用して積層され硬化された通常の部品の等角投影図である。
【図4】図4は図3と同様の図であるが、図3に示すパーツ内部に取りつけられ膨張しているマンドレルを示す図である。
【図5】図5は図4と同様の等角投影図であるが、折り畳まれてパーツから取り外される過程のマンドレルを示す図である。
【図6】図6は図2と同様の断面図であるが、部分的に折り畳まれた側壁を示す図である。
【図7】図7は図1に示す折り畳み式マンドレルを形成するのに使用される部分的に完成した積層体を示す等角投影図である。
【図8】図8は図7に示す積層体の断面図であるが、層間の状態をより良く示すために拡大した図である。
【図9】図9は図7と同様の積層体の等角投影図であるが、フルオロエラストマーゴムの内側層の応用を示す図である。
【図10】図10は図8と同様の図であるが、ゴムの内側層が積層体に適用されている様子を示す図である。
【図11】図11は折り畳み式マンドレルを形成するのに使用される金型の等角投影図である。
【図12】図12は図11に示す金型に配置された後の積層体の断面図であり、この図では積層体の層を拡大して層間の状態をより良く見せている。
【図13】図13は図11に示す金型の空洞内に配置された後の積層体の斜視図である。
【図14】図14は図12と同様の図であるが、強化材と内側層の間に配置されている離型フィルムを示す図である。
【図15】図15は図14と同様の図であるが、部分的に形成された積層体に配置されている成形マンドレルを示す図である。
【図16】図16は図15に「A」で指定されている領域の断面図である。
【図17】図17は作製方法の連続ステップを示す積層体の断面図である。
【図18】図18は作製方法の連続ステップを示す積層体の断面図である。
【図19】図19は作製方法の連続ステップを示す積層体の断面図である。
【図20】図20は作製方法の連続ステップを示す積層体の断面図である。
【図21】図21は成形マンドレルが取り付けられた、完成した積層体の断面図である。
【図22】図22は図11に示す金型の斜視図であり、この図では積層体は完成しており、真空バッグ処理の準備のために金型にカバーが配置されている図である。
【図23】図23は図21と同様の図であるが、圧縮及び硬化工程中に成形マンドレルによって積層体に圧力を印加する様子を示す。
【図24】図24は硬化された積層体から成形マンドレルを取り外す作業員を示す斜視図である。
【図25】図25は折り畳み式マンドレルを作製する方法のフロー図である。
【図26】図26は航空機の製造及び就航方法のフロー図である。
【図27】図27は航空機のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1及び2を参照すると、開示の実施形態は、空気注入式の柔軟なブラダ35を含む折り畳み式マンドレル30に関するものである。ブラダ35は、4つの側壁32と2つの端壁34を含むが、ブラダ35は4つ以上又は4つ以下の側壁32を有することができる。マンドレル30はまた、例えばブラダ35を膨張させる空気等の加圧流体の供給源(図示せず)と、ブラダ35から空気を抜く真空源(図示せず)に結合するように構成された圧力フィッティング36も含む。実施形態では、マンドレル30は細長く、おおむね台形の断面を有するが、他の断面形状も可能である。
【0014】
特に図2を参照すると、ブラダ35の壁32はそれぞれ、内側層42及び外側層44の間に各々挟まれた中間層49を含む。内側及び外側層42、44は各々、簡単に入手できるVitron(登録商標)等のフルオロエラストマーゴムを含む。フルオロエラストマーは、特殊用途のフッ化炭素ベースの合成ゴムであり、特に高温用途において広い耐薬品性及び優れた性能を有する。フルオロエラストマーゴムは、比較的低い熱膨張係数を有するため、マンドレル30に優れた寸法安定性をもたらす。フルオロエラストマーゴムの内側及び外側層42、44の厚さは、特定用途によって変わる。中間層49は、例えば非限定的に、各側面にフルオロエラストマーゴムのコーティング51を有する織りグラスファイバー等の実質的に堅い材料でできた細長いストリップ46を含むことができる強化材を含む。グラスファイバー製の強化ストリップ46は、マンドレル30に構造剛性を付与するばかりでなく、ブラダ35の繰り返し使用による収縮を起こりにくくする。
【0015】
後にさらに詳しく説明するように、グラスファイバー製強化ストリップ46は隣り合わせに端と端を突き合わせて配置されてストリップ46の間の突き合わせ継手48を形成する。突き合わせ継手48は、マンドレル30が折り畳まれた時に、強化ストリップ45が互いに角度をなして折れることを可能にするヒンジの役割を果たす。突き合わせ継手48の設計及び位置により、ブラダ35を予測可能な方法でマイナス気圧又は真空下で折り畳むことが可能になり、パーツからブラダ35を取りだすことが容易になる。コーティング51の厚さと、強化ストリップ46の実際の材料構成及び表面仕上げは用途によって異なる可能性がある。コーティング51により、強化ストリップ46のフルオロエラストマーゴムの内側層42及び外側層44への接着が強まる。
【0016】
また、図3及び4も参照すると、膨張した時に、比較的長いチューブ状の開口部40を含む、細長く、おおむねチューブ状の複合パーツ38等の複合パーツを積層するツールとして、強化された折り畳み式マンドレル30を使用することが可能である。実施形態においては、開口部40は、マンドレル30の断面とほぼ一致する台形の断面を有する。強化ストリップ46があるために、積層工程中に、マンドレル30の側壁32の上に複合材料の複数層(図示せず)を積層している間にマンドレル30が寸法的に安定した状態を保つのに十分な剛性が得られる。マンドレル30は、オートクレーブ処理又は他の硬化技術を使用してパーツ38が硬化されている間、パーツ38の形状を維持するために任意で使用することが可能である。
【0017】
図5及び6を参照すると、積層及び/又は硬化工程に続いて、 マイナス圧力を使用して圧力フィッティングを介してブラダ35から流体(例:空気)を抜いてブラダ35を収縮させることによって、マンドレル30をパーツ38から取り外すことができる。ブラダ35の空気が抜かれると、ブラダ35内のマイナス圧力により、図5に示すように端壁34及び側壁35が内向きに曲がり、折り畳まれてパーツ38から引き抜かれる。ブラダ35から空気が抜かれ、折り畳まれ始めると、隣接した一対の強化ストリップ46は、図6に示すように連結部48において互いの縁部に沿って相互に相対的に折れ曲がる。図5に示すようにブラダ35が部分的に折り畳まれた状態で、マンドレル30をパーツ38のチューブ状内部40から引き抜くことができる。
【0018】
折り畳み式マンドレル30は、図7〜24を参照しながらここで説明する方法にしたがって作製することができる。最初に図7及び8を参照すると、まずフルオロエラストマーゴムの層44を置くことによって好適な基板50上に積層体56が形成される。次に、グラスファイバー製の布ストリップ46又は他の強化材が、位置合わせされた端と端が接触した状態でゴム層44の最上部に置かれて突き合わせ継手48が形成される。強化ストリップ46は、ゴム層44の上に置かれる前にフルオロエラストマーゴムでコーティングされる。離型フィルム52のストリップがゴム層44の外側縁部と強化ストリップ46の内の一つの間に挿入される。FEPを含むことができる2つの離型フィルム54ストリップが互いに間隔をおいた形でグラスファイバー製ストリップ46の最上部に配置され、強化ストリップ46の一部45はむき出しのまま残される。ゴムコーティング51とゴム層54の相対粘着性により、強化ストリップ46が離型フィルム52の領域以外のゴム層44に付着する。
【0019】
次に、図9及び10に示すように、フルオロエラストマーゴムの層42が積層体56に配置され、離型フィルム54と強化ストリップ46のむき出し部分46aに覆いかぶさる。離型フィルム54の存在により、ゴム層42はむき出し部分46aに沿ってのみ強化ストリップ46に付着する。したがって、内側ゴム層42及び外側ゴム層44の両方が強化ストリップ46に接着されている領域は、図10の番号55で示す領域に限られている。図10に示す積層体56は次に、高温での真空バッグ処理によってラミネート加工を施してゴム層42、44を強化ストリップ46にラミネートすることによって、ラミネートされる。
【0020】
ここで図11、12及び13を参照すると、ラミネート工程に続いて、積層体56をカバー62を含むツールアセンブリ58の一部を形成する金型60の空洞60aに配置することができる。形成補助器具(図示せず)を使用して、積層体56を金型の空洞60aに押し付けて、積層体56を金型の空洞60aの半径60b(図13)に合わせることができる。この時点で図12に示すように、離型フィルム52、54(図10)は取り外されており、強化材46と内側及び外側層42、44のそれぞれの間の完全にラミネートされた領域55は金型空洞60aの底部に沿っておかれている。強化ストリップ46の間の3つの突き合わせ継手48はそれぞれ、3つの対応する側壁32の中間におおまかに位置づけされ、積層体56の外側の自由端部64は金型60の外側に延びてフラップの役割を果たす。
【0021】
次に、図13及び14に示すように、離型フィルム66のストリップが、強化ストリップ46の縁部とゴム層42の間に挿入され、続いて図15に示すように成形マンドレル68が金型空洞60aに挿入され部分的に形成された積層体56の最上部に配置される。この時点において離型フィルム66が取り外される。図16から良く分かるように、成形マンドレル68はナイロン製硬化チューブバッグ72、薄いブリーザ74及び離型フィルム層(例:FEP)76によって覆われる形状記憶フォームのコア70を含むことができる。
【0022】
次に図17に示すように、内側層42の一部を形成するフラップ42aが成形マンドレル68上に折り重ねられ、続いて図18に示すように、フラップ42b及び46aがフラップ42aの上に折り重ねられて、重なり接合部65となる。その後に図19に示すように、フラップ46bがフラップ32bの一部の上に折り重ねられて、2つの強化ストリップ46の端部の間の突き合わせ継手48aとなる。次に図20に示すように、フラップ44aが強化材の上に折り重ねられて、突き合わせ継手48aに重なる。最後に、図21に示すように、フラップ44bが44aの上に折り重ねられて、第2重なり接合部78となる。
【0023】
図22を参照すると、様々なフラップが閉じられた状態で、金型60にカバー62を取り付けることによって封鎖することができ、続いてツールアセンブリ58全体に真空バッグ処理(図示せず)を施して、図23に示すように真空圧及び/又はオートクレーブ圧を印加することにより、積層体56が圧縮され硬化される。ブラダ35の真空バッグ処理により、ゴムの揮発性が除去されやすくなり、複数回の使用にわたるマンドレル30の寸法安定性及び/又は耐収縮性が高まる。圧縮及び硬化に続いて、図24に示すように、バッグ処理された形状記憶フォームコア70を真空化することにより積層体56から成形マンドレル68を取り外すことができ、これによりコア70が折り畳まれる。一旦折り畳まれると、作業員79が離型フィルム76の端部をつかんで、完全に硬化されたパーツ積層体56の一端を介してマンドレル68を引き抜くことができる。
【0024】
図25は、上述した折り畳み式マンドレルを作製する方法の全ステップを示す。ステップ80で開始し、フルオロエラストマーゴムの外側層44が好適な基板50(図7)上に置かれ、続いてステップ82において、後で各側壁34の間のそれぞれおよそ中ほどに突き合わせ継手48が位置決めされるように、ゴムでコーティングされた強化ストリップ46を隣り合わせに互いに端と端が接した状態で位置合わせして置くことにより中間の強化層49が形成される。ステップ84において、離型フィルムは強化ストリップ46の上に取り付けられ、強化ストリップ46の一部はむき出しのまま残される。次にステップ86において、フルオロエラストマーゴムの内側層42が置かれ、高温での真空バッグ処理を含む任意の様々な技術を使用してラミネート加工が施される。ラミネート加工された積層体56は次にステップ88において金型60に配置され、金型空洞60aの半径内に押し込まれる。次に、離型フィルム66が内側層42及び中間層49の縁部フラップの間に挿入される。
【0025】
ステップ92において成形マンドレル68が作製され、ステップ94において積層体56の上の金型60の中に挿入された後に、離型フィルム66を取り外すことができる。次にステップ96において、内側層42のフラップ42aが折り重ねられ、続いてステップ98において内側層42の第2フラップ42b、及び中間層49のフラップ46aが折り重ねられてこれらのフラップの間に重なり接合部65が形成される。次にステップ100において、中間層49の第2フラップ46bが折り重ねられて中間層フラップの間に突き合わせ継手48aが形成される。ステップ102において、外側層44の第1フラップ44aが折り重ねられ、続いてステップ104において、外側層44の第2フラップ44bが折り重ねられて、2つの外側層のフラップ44a、44bの間に重なり接合部78が形成される。次に、ステップ106において、金型60が閉じられ、ステップ108において、金型60の上に真空バッグが取り付けられて積層体56が真空化される。固まった積層体56を次にステップ110において、任意にオートクレーブ処理を行って硬化することができる。ステップ112においては、成形マンドレル68が硬化された積層体56から取り外され、積層体56が金型60から取り外される。最後にステップ114において、端壁34及び一又は複数の圧力フィッティング36を硬化されたブラダに取り付けることができる。
【0026】
本発明の実施形態は、様々な可能性のある用途、特に例えば航空宇宙、海洋、及び自動車用途を含む運送業において使用することができる。したがって、ここで図26及び27を参照すると、本発明の実施形態は図26に示すような航空機の製造及び就航方法120及び図27に示すような航空機122において使用可能である。本発明の実施形態の航空機用途は、例えばおおむねチューブ状の多様な構造及び非構造複合パーツ及び構造部品を含むことができる。試作段階においては、例示の方法120は航空機122の仕様及び設計124と、材料調達126を含むことができる。製造段階においては、航空機122の部品及びサブアセンブリの製造128と、システム統合130がおこなわれる。そのあとに、航空機122は、認可及び納品132を経て就航134される。顧客によって就航されている間、航空機122には所定の整備及び保守136(変更、再構成、改装も含むことができる)が予定される。
【0027】
本方法120の各プロセスは、システムインテグレータ、第三者、及び/又はオペレータ(例えば顧客等)によって行う又は実施することができる。この説明のために、システムインテグレータは限定しないが、任意の数の航空機メーカー、及び主要システムの下請け業者を含むことができ;第三者は限定しないが、任意の数の供給メーカー、下請け業者、及びサプライヤを含むことができ;オペレータは、航空会社、リース会社、軍部、サービス組織等であってよい。
【0028】
図27に示すように、例示の方法120で製造された航空機122は、複数のシステム140と内装142を有する機体138を備えることができる。高レベルシステム142の例は、一又は複数の推進システム144、電気システム146、油圧システム148、及び環境システム150が挙げられる。任意の数の他のシステムを含むことができる。本発明の方法は、内装142及び機体138に使用されるパーツ、構造物及び構造部品を加工するのに用いることができる。航空宇宙での実施例を示したが、本発明の原理は例えば海洋及び自動車産業等の他の産業分野に応用することが可能である。
【0029】
本明細書に具現化されたシステム及び方法は、製造及び就航方法120の任意の一又は複数の段階において採用することができる。例えば、製造プロセス128に対応するパーツ、構造物及び構造部品は、航空機122が就航している間に製造されるパーツ、構造物及び構造部品と同じ方法で加工又は製造することができる。また、一又は複数の装置の実施形態、方法の実施形態、又はこれらの組み合わせを、例えば、航空機122を実質的に組立てしやすくする、又は航空機122にかかる費用を削減することによって、製造段階128及び130において用いることが可能である。同様に、一又は複数の装置の実施形態、方法の実施形態、またはこれらの組み合わせを、航空機122が就航している間に、例えば限定しないが、整備及び保守136に用いることができる。
【0030】
本発明の実施形態を特定の実例となる実施形態に関連させて説明してきたが、当然ながら特定の実施形態は説明のためであり、限定するものではなく、当業者が他の変形例を発想することが可能である。
【符号の説明】
【0031】
30 折り畳み式マンドレル
32 側壁
32b フラップ
34 端壁
35 ブラダ
36 圧力フィッティング
38 パーツ
40 チューブ状内部
42 内側層
44 外側層
44b フラップ
46 強化ストリップ
46a むき出し部分
46b フラップ
48 突合せ継手
48a 突合せ継手
49 中間層
51 ゴムコーティング
52 離型フィルム
54 離型フィルム
56 積層体
58 ツールアセンブリ
60 金型
60a 金型空洞
62 カバー
64 積層体の自由端部
65 重なり接合部
66 離型フィルム
68 成形マンドレル
70 形状記憶フォームのコア
72 硬化チューブバッグ
74 ブリーザ
76 離型フィルム
78 重なり接合部
79 作業員

【特許請求の範囲】
【請求項1】
折り畳み式マンドレルであって、
空気注入式ブラダを含み、
ブラダが、フルオロエラストマーゴムの内側層及び外側層を含み、強化材が内側層と外側層との間に挟まれた
折り畳み式マンドレル。
【請求項2】
強化材が、フルオロエラストマーゴムのコーティングを含む、請求項1に記載の折り畳み式マンドレル。
【請求項3】
ブラダが折り畳み式の側壁を含み、
強化材が各側壁で途切れている
請求項1に記載の折り畳み式マンドレル。
【請求項4】
強化材がグラスファイバーである、請求項3に記載の折り畳み式マンドレル。
【請求項5】
ブラダが、細長く、複数の側壁を含み、
強化材が、相互にほぼ端と端を突き合わせて配置されている各側壁に少なくとも2つのおおむね堅く細長いストリップを含む
請求項1に記載の折り畳み式マンドレル。
【請求項6】
複合パーツを作製する方法であって、
実質的に堅いストリップで柔軟なブラダを強化すること、
ブラダを膨張させること、
強化して膨張させたブラダの上に複合パーツを積層すること、
堅いストリップをその縁部に沿って折り曲げてブラダから空気を抜くこと、
ブラダを積層体から取り外すこと
を含む方法。
【請求項7】
強化することが、ゴム層の間にストリップを隣り合わせに配置することを含む、請求項6に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate


【公開番号】特開2011−235635(P2011−235635A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−93843(P2011−93843)
【出願日】平成23年4月20日(2011.4.20)
【出願人】(500520743)ザ・ボーイング・カンパニー (773)
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
【Fターム(参考)】