説明

強化プラスチックの粉砕方法及びその粉砕装置

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、廃棄される廃材強化プラスチックを粉砕処理する粉砕方法及びその粉砕装置に係り、特に粉砕処理が難しいとされている所謂難粉砕性の強化プラスチック、例えば代表例として知られているガラス繊維を補強材とする繊維強化プラスチック等の粉砕処理が難しい難粉砕性の廃材強化プラスチックを均一な粉末状に粉砕処理するために用いられる粉砕方法及びその粉砕装置に関する。
【0002】
【従来の技術】難粉砕性の廃材強化プラスチック(以後、廃材FRPと言う)は耐久性、高強度、軽量性等の優れた特性を有することから、各種の分野(産業界)において幅広く使用されており、それに平行してその廃棄量も年々増加してきている。そこで、この廃材FRPを機械的に粉砕処理するための粉砕方法とその粉砕装置の開発が近年なせれてきている(例えば、特開昭63−39648 号公報等で知られている)。因みに、廃材FRPとしてはガラス繊維を補強材とする繊維強化プラスチック(GFRP)、カーボン繊維を補強材とする繊維強化プラスチック(CFRP)、或いは有機繊維を補強材とする繊維強化プラスチック等が挙げられる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、従来から知られている粉砕方法とその粉砕装置、例えば特開昭63−39648 号公報において開示されている粉砕装置の場合は粉砕する廃材FRPを砥石(加工工具と称している)に対して載承せしめた状態で送り込む支持台の前端縁を、砥石の切削面に単に接近させた状態で廃材FRPを粉砕処理する構造である事から、どうしても全て均一な粒度に粉砕することは不可能であり、切断片或いは粗砕片等の粉砕残留片となって均一な粒度に粉砕された再生粉中に混入してしまうものであった。そのために、従来では粉砕処理後において再生粉中から混入している粉砕残留片を取り除く後処理が必要となり、その後処理に掛かる時間と労力は図り知れないものであり、それが処理コストの増加を招く要因となってそのコスト増加が大きな問題になっているのが実情である。然るに、粉砕処理された廃材FRPの再生粉の資源としての再利用は例えばセメント系の無機質素材に混ぜたり、或いはFRP等へのリサイクル等に用いられているが、特にセメント系の無機質素材に混ぜ合わせて再利用する複合化等においては粉砕処理された再生粉の粒度が均一でないと、セメント系の無機質素材が有する本来の耐強度等の特性に悪影響を及ぼす虞れがある。そのために、再生粉中に形状並びに大きさが大きく異なる粉砕残留片等が極力混ざることなく、しかも粒度にバラツキが極力生じない粉砕処理が廃棄される廃材FRPを再利用資源として使用する上で今後望まれるところであった。
【0004】本発明はこの様な従来事情に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、廃材FRPを均一な粒度の粉末状に粉砕処理し得るよう改良した粉砕方法とその粉砕装置を提供することにある。
【0005】
【課題を達成するための手段】課題を達成するために本発明が講じる技術的手段は、廃材FRPからなるガイドベースの前端縁を縦回転する砥石に押付けて当該前端縁が砥石表面の凸凹形状に沿って適合接する状態まで研削した後に、ガイドベース上に沿わせて廃材FRPを回転する砥石に送り込み押付けながらプランジ研削するようにした粉砕方法である。斯る粉砕方法によれば、ガイドベース上に沿わせて廃材FRPを縦回転する砥石へと送り込み押付けると、廃材FRPは砥石によりプランジ研削されながら均一な粒度の粉末状に粉砕される。この時、砥石によりプランジ研削された廃材FRPの研削粉、つまり再生粉は砥石表面の研削面に突出点在する砥粒群からなる凸凹形状に沿って適合接するガイドベースの前端縁の適合凸凹を通して回収される。それにより、均一な粒度にてプランジ研削された再生粉のみが回収される。又、ガイドベースが粉砕処理される廃材FRPと同質材料からなることで、その前端縁が砥石により研削されても材質が異なる異物となって回収された再生粉に混ざることがない。
【0006】又、多数の廃材FRPを縦回転する砥石に向けて順次送り込む送り路を設け、この送り路を通して最後に送り込まれた廃材FRPがプランジ研削されるその研削過程で、前記送り路の開口断面形状と略同一断面形状を成す廃材FRPからなるダミーFRPを送り込んで最後の廃材FRPのプランジ研削が終了するようにした粉砕方法である。斯る粉砕方法によれば、送り路を通して多数の廃材FRPが縦回転する砥石に向けて送り込まれ、最後に送り込まれた廃材FRPのプランジ研削される過程で、この廃材FRPに連ねて同質材料からなるダミーFRPを送り路内に送り込むことで、最後に送り込まれた廃材FRP全てを砥石に送り込み押付けてプランジ切削により粉末状に粉砕することができる。この時、ダミーFRPの前端は縦回転する砥石表面に沿った円筒形状に研削されるが、廃材FRPと同質材料からなることで、材質が異なる異物となって回収された再生粉に混ざることがない。そして、前端が円筒形状に研削されたダミーFRPは次に行われる廃材FRPの粉砕処理時に再利用される。
【0007】又、縦回転する砥石と、廃材FRPからなるガイドベースを水平に保持せしめた状態でその前端縁を縦回転する前記砥石に押付けると共に、砥石表面の凸凹形状に沿って適合接する状態までガイドベースの前端縁が研削された時点で該ガイドベースを同位置に固定保持するベース送り機構と、ガイドベース上に沿わせた状態で廃材FRPを砥石に向けて送り込む材料自動送り機構とを備えた粉砕装置である。斯る粉砕装置によれば、廃材FRPからなるガイドベースはベース送り機構によりその前端縁が砥石表面の凸凹形状に沿って適合接する状態まで縦回転する砥石に押付けられ、前端縁が砥石により研削されて砥石表面の研削面に突出点在する砥粒群からなる凸凹形状に沿って適合接した時点で同位置にベース送り機構により固定保持される。つまり、ガイドベースの前端縁は砥石表面の凸凹形状に沿って適合接した状態に保たれる。それにより、砥石により均一な粒度の粉末状にプランジ研削されない状態で、例えば切断片或いは粗砕片等の粉砕残留片状態でガイドベースと砥石との間を通過することはなく、プランジ研削により全てが均一な粒度の粉末状に粉砕された後に砥石表面の凸凹形状に沿って適合接するガイドベースの前端縁の適合凸凹を通して回収される。そして、廃材FRPは材料自動送り機構により砥石に向けて自動送りされながら該砥石に押付けられてプランジ研削により粉砕される。
【0008】又、縦回転する上記砥石を覆うケーシング部から適宜の開口断面形状で且つ少なくとも底面を開口させた廃材FRPを砥石に向けて順次送り込む送り路を水平に連設せしめると共に、この送り路の開口底面に沿わせてガイドベースをベース送り機構に保持させて送り路の前後方向に水平移動可能に設けた粉砕装置である。斯る粉砕装置によれば、砥石を覆うケーシング部から水平に連設された送り路を通して廃材FRPは前述したように材料自動送り機構により砥石へと自動送りされながら押付けられてプランジ切削により均一の粉末状に粉砕される。そして、最後に送り込まれた廃材FRPのプランジ研削が終了する過程で、送り路の開口断面積と略同一断面形状に形成した廃材FRPからなるダミーFRPを最後の廃材FRPに連ねて送り路内に送り込むことで、最後に送り込まれた廃材FRP全てをプランジ切削により均一な粒度の粉末状に粉砕することができる。
【0009】更に、砥石を覆う上記ケーシング部の下部側に回収口を設けて、この回収口に吸引装置を接続備えた粉砕装置である。回収口はプランジ研削により均一な粒度の粉末状に粉砕された研削粉、つまり再生粉が砥石表面の凸凹形状に沿って適合接するガイドベースの前端縁の適合凸凹を通って砥石の回転により落下するケーシング部の下部側に設けることが好ましい。斯る粉砕装置によれば、前述したように材料自動送り機構により送り路を通して砥石に向けて自動送りされながら押付けられてプランジ切削により均一な粒度の粉末状に粉砕された廃棄FRPの再生粉は砥石表面の凸凹形状に沿って適合接するガイドベースの前端縁の適合凸凹を通してケーシング部の回収口から吸引装置により吸引回収される。それにより、粉砕された再生粉が空気中に飛散し、人体に有害を及ぼすことがない。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の実施の具体例を図面に基づいて説明する。図1は本発明の廃棄FRPの粉砕方法を実施する粉砕装置の一例を示した縦断正面図で、1は装置のケーシング部2内に縦回転可能に軸支内在させた砥石、3は廃材FRP4からなるガイドベース、5はガイドベース3を水平に保持せしめた状態でその前端縁3-1 を回転する前記砥石1に押付けると共に、砥石1表面の研削面1-1 に突出点在する砥粒1-2 群からなる凸凹形状に沿って適合接する状態までガイドベース3の前端縁3-1 が研削された時点で該ガイドベース3を同位置に固定保持するベース送り機構、6はガイドベース3上に沿わせた状態で廃材FRP4を砥石1に送り込む材料自動送り機構であり、後述する送り路7を通して前記材料自動送り機構6により砥石1に向けて自動的に送り込み押付けられながら、砥石1によるプランジ研削により廃材FRP4を均一な粒度の粉末状に粉砕するように構成してなる。
【0011】砥石1は、従来から知られている構造をなし、装置の機枠ベース8上に設置されたモータ9の駆動軸に止着備えられ、ケーシング部2にてその全体が覆われた状態でモータ9により縦回転するようになっている。
【0012】砥石1を覆うケージング部2は、プランジ研削により粉砕された廃材FRP4の研削粉、つまり再生粉Mが装置回りに飛散しないように砥石1全体を密閉するもので、その前方に向けて送り路7を水平に連設備えると共に、下部側には再生粉Mを回収する回収口10を開口せしめて吸引装置11を接続備えるようになっている。
【0013】送り路7は、廃材FRP4をケーシング部2内の縦回転する砥石1に向けて順次送り込む材料供給口であり、断面形状並びに長さが様々、例えば幅及び厚さが様々な板状のもの、或いは断面形状及び太さが様々な棒状を成す廃材FRP4をケーシング部2内の砥石1に向けて順次送り込むことができる適宜の開口断面形状にてケーシング部2から前方に向けて水平に連設備えられ、その開口からケーシンブ部2に至る底面を開口せしめて、当該開口底面にガイドベース3がベース送り機構5に保持された状態でガイドベース3を水平移動可能に備える。又、この送り路7の両側面には材料自動送り機構6の後述する送りローラー6-1 を送り路7内に臨ませるための夫々の窓12を夫々開口せしめて、その両側面に材料自動送り機構6を備える。
【0014】ガイドベース3は、プランジ研削により均一な粒度の粉末状に粉砕された廃材FRP4の再生粉Mのみが砥石1の回転によりケーシング部2の回収口10側に通過回収されるよう砥石1表面の研削面1-1 との関係を保つ役目を成すもので、廃材FRP4を用いて前述した送り路7の開口底面を塞ぐ。詳しくは送り路7の開口底面の開口幅方向を塞ぐベース幅(板幅)で廃材FRP4の粉砕処理時に破壊されない程度の適宜の厚さを有する板状に形成して、ベース送り機構5の後述するスライド部5-1 にビス13止め等の適宜の止着手段にて保持させた状態で送り路7の開口底面に沿わせた状態で水平移動可能に備える。
【0015】尚、このガイドベース3は砥石1に押付ける前端側を分離させた前後2分割構造とし、その分離させた前端片3-10をスライド部5-1 にビス13止め等の適宜の止着手段にて保持させて、その前端片3-10のみを適宜交換し得るようにしてなる。つまり、砥石1表面の研削面1-1 の凸凹形状に沿って適合接する前端縁3-1 は、粉砕された廃材FRP4の再生粉Mが砥石1の砥粒1-10に押されて回収口10側へと掻き出される際の負荷作用等によって擦られて消耗することから、その消耗に伴いガイドベース3を砥石1に押付けてその前端縁3-1 を研削面1-1 の凸凹形状に沿わす行為を繰り返す必要がある。すると、前端片3-10の長さは前記行為を行う度に徐々に短くなり、その長さがベース送り機構5による砥石1への送り押付け範囲(スライド部5-1 の移動距離)よりも短くなった時に分離する前端片3-10のみを適宜交換し得るようにしてなるものである。又、このガイドベース3のベース幅は砥石1の幅よりも狭めして、プランジ研削による廃材FRP4の粉砕処理が確実に成されるようにする良い。
【0016】ベース送り機構5は、廃材FRP4の粉砕処理を始める前に、ガイドベース3の前端縁が砥石1表面の研削面1-1 の凸凹形状に沿って適合接する状態まで縦回転する砥石1に向けてガイドベース3を押付けると共に、砥石1により研削されて同研削面1-1 に突出点在する砥粒1-10群からなる凸凹形状に沿って前端縁が適合接した時点で(図5の状態)同位置にガイドベース3を固定保持する役目を成すもので、前述した送り路7の底面下部に設けた凹部14に水平移動可能に配設したスライド部5-1 と、このスライド部5-1 を前後に移動させるエア又は油圧シリンダ等からなる駆動部5-2 とを備え、この駆動部5-2 によりスライド部5-1 を砥石1方向に水平移動させることで、スライド部5-1 に保持されているガイドベース3を砥石1に押付けるように構成されている。
【0017】尚、スライド部5-1 は、凹部14の両側壁部に設けた前後2カ所(合計4カ所)の長孔15にボルト16止め等の止着手段にて保持させた状態で凹部14内に移動可能に内在装着せしめて、前記長孔15の長さ範囲にて駆動部5-2 により前後に水平移動(スライド)するようにしてなる。
【0018】材料自動送り機構6は、送り路7に送り込まれた廃材FRP4を定速度にて砥石1に向けて送り込み押付ける役目を成すもので、送り路7の両側面の窓13から同路7内に一部を臨ませて廃材FRP4を前後に2カ所において夫々左右から挟み込んだ状態で砥石1に向けて送り込む左右一対の送りローラー6-1 と、この送りローラー6-1 群を同調させて回転速度で駆動回転させるべく同ローラー6-1 群と動力伝達手段6-3 を介して連繋させたモータ6-4 とを備え、このモータ6-4 により左右一対で前後の送りローラー6-1 群を同調させた回転にて駆動回転させて送り路7内に供給された廃材FRP4を定速度にて砥石1に向けて送り込み押付けるように形成してなる。
【0019】送りローラー6-1 は、廃材FRP4に対して適宜の摩擦抵抗を保持した状態で該廃材FRP4を砥石1に向けてスリップすることなく定速度にて送り込むことができる例えばゴム等の材料から形成して、ローラー軸6-10に備えてなる。このローラー軸6-10は、モータ6-4 から動力伝達手段6-3 の後述するチェーン或いはタイミングベルト6-31を巻回掛け渡した左右一対の伝達軸6-5 の上下各部位に、送り路7の前後方向に向けて且つ送り路7の開口断面方向に夫々揺動可能に軸支備えた左右一対で上下の各ローラーアーム6-2 間に軸支備えてなる。
【0020】動力伝達手段6-3 は、正逆切り替えが可能な一基のモータ6-4 から左右一対で前後2カ所(合計4カ所)の各送りローラー6-1 を同調させた回転速度で動力を伝達分配するもので、モータ6-4 から左右一対の伝達軸6-5 の一方に軸着備えたスプロケット或いはプーリー6-30に亘りチェーン或いはタイミングベルト6-31を巻回掛け渡すと共に、前記両伝達軸6-5 に夫々軸着備えた歯車6-6 同士を連繋させる。そして、同両伝達軸6-5 に夫々2カ所に軸着備えた各スプロケット或いはプーリー6-32から前後の各ローラー軸6-10に夫々軸着備えたスプロケット或いはプーリー6-33に亘りチェーン或いはタイミングベルト6-34を巻回掛け渡して、モータ6-4 の動力が左右一対の伝達軸6-5 の一方に伝えられ、この伝達軸6-5 から歯車6-6 により連繋させたもう一方の伝達軸6-5 に伝えられる。そして、両伝達軸6-5 に伝えられた動力はチェーン或いはタイミングベルト6-34により夫々連繋された各ローラー軸6-10に伝えられて左右一対で前後2カ所(合計4カ所)の各送りローラー6-1 を同調させた回転速度で駆動回転させるように形成してなる。
【0021】尚、左右一対の伝達軸6-5 は送り路7を跨ぐように機枠ベース8上に側面略門形状に立設配した支持枠17に、送り路7の両側に直立状態で回転可能に軸支配して、ローラー軸6-10を他端側に回転可能に軸支備える上下の各ローラーアーム6-2 の一端側を伝達軸6-5 の上下各部位に夫々揺動可能に軸支せしめてなる。
【0022】図中18は、左右一対で前後の送りローラー6-1 同士を互いに接近する方向、つまり送り路7内の廃材FRP4を左右から適宜の圧接力で挟み込むべく各送りローラー6-1 のローラー軸6-10を回転可能に支持するローラーアーム6-2 を弾発付勢するように各ローラーアーム6-2 に夫々備えた引っ張り或いは圧縮バネからなる弾発部材であり(図示例では圧縮バネに応用形態を示す)、この弾発部材18の弾発力にて左右一対で前後の送りローラー6-1 を送り路7内の廃材FRP4に圧接させて該廃材FRP4を砥石1に向けて確実に送り込み押付けるようにしてなる。
【0023】又図中19は、多数ある廃材FRP4の粉砕処理が一段落するその処理作業が終了する送り路7に送り込んだ最後の廃材FRP4のプランジ研削が終了する過程で、この廃材FRP4に連ねて送り路7内に送り込んで最後に送り込まれた廃材FRP4全てが砥石1に送り込み押付けられてプランジ切削により粉末状に粉砕されるように図る役目を成すダミーFRPであり、このダミーFRP19は廃材FRP4を用いて送り路7の開口断面形状と略同一断面形状に形成して、送り路7に最後に送り込まれた廃材FRP4全てを砥石1に送り込み押付けて(図8乃至図9の状態)、該廃材FRRP4全てが最後までプランジ切削により粉末状に粉砕されるように図る。このダミーFRP19は一連の処理作業が終了した後のモータ6-4 を逆転させて送りローラー6-1 により送り路7から抜かれるものである。
【0024】尚、ダミーFRP19を薄い板状の廃材FRP4を用いて形成する場合は図示例の如く、多数枚積層一体化せしめて送り路7の開口断面形状と略同一断面形状に形成するか、或いは送り路7の開口断面形状に相当する角形棒状の廃材FRP4がある場合は切削等により送り路7の開口断面形状と略同一断面形状に形成する等その形成方法は任意である。
【0025】次に、以上の如く構成した粉砕装置による廃材FRP4の粉砕方法を説明すると、ガイドベース3をベース送り機構5のスライド部5-1 にネジ13止め保持させて送り路7の開口底面に備えた後、駆動部5-2 を作動させて当該駆動部5-2 によりスライド部5-1 の砥石1方向にスライドさせてガイドベース3の交換が可能とする前端片3-10の前端縁3-1 を縦回転する砥石1に押付け、当該前端縁3-1 が砥石1により研削されて砥石1表面の研削面1-1 に突出点在する砥粒1-10群からなる凸凹形状に沿って適合接するまでその作業を続け、前端縁3-1 が凸凹形状に沿って適合接する適合凸凹まで研削された時点で駆動部5-2 を作動を停止させて当該位置にガイドベース3を固定保持させる(図5の状態)。ガイドベース3に前端縁3-1 が砥石1表面の研削面1-1 の凸凹形状に沿って適合接する適合凸凹まで研削されたか否かは半分が透明な材料からなるケーシング部2の透明部分から作業者が目視して確認することができるようになっている。
【0026】そして、材料自動送り機構6を作動させて廃材FRP4を送り路7内に送り込むと共に、同路7内に臨む送りローラー6-1 間に挟み込む。これにより、廃材FRP4は送りローラー6-1 の駆動回転によりガイドベース3上に沿って砥石1に向けて自動送りされながら該砥石1に押付けられてプランジ研削により均一な粒度の粉末状に粉砕され、粉砕された再生粉Mは砥石1表面の研削面1-1 の凸凹形状に沿って適合接するガイドベース3の前端縁3-1 の適合凸凹を通して吸引装置11の吸引作用により回収口10から回収されるものである。
【0027】以後は廃材FRP4の粉砕処理状況を確認しながら多数の廃材FRP4を順次送り路7に送り込んでそれらの粉砕処理を継続して行うものである(図6乃至図7の状態)。そして、多数ある廃材FRP4の粉砕処理が一段落するその処理作業が終了する最後の廃材FRP4を送り路7に送り込んで、当該最後の廃材FRP4のプランジ研削が終了する過程で、送り路7に同質材料からなる前述したダミーFRP19を最後の廃材FRP4に連ねて送り路7内に送り込む(図8の状態)。すると、最後に送り込まれた廃材FRP4並びに均一な粒度の粉末状に粉砕されずに残る同廃材FRP4全てがダミーFRP19によって最後まで砥石1に押付けられ(図9の状態)、その全てがプランジ切削により均一な粒度の粉末状に粉砕され、粉砕された再生粉Mは砥石1表面の研削面1-1 の凸凹形状に沿って適合接するガイドベース3の前端縁3-1 の適合凸凹を通して吸引装置11により回収口10から回収されるものである(図10状態)。一連の処理作業が終了した後はダミーFRP19を次の粉砕処理時に再利用するためにモーター6-4 を逆転させて送りローラー6-1 により送り路7から抜く(図10の二点鎖線の状態)。
【0028】尚、ダミーFRP19には棒体20を取り付けて、ダミーFRP19を送り路7に送り込む、或いはダミーFRP19を送り路7から抜いて保管する時等にその取扱いを簡便に行うことができるようにすると良い。
【0029】図11は、本発明の廃棄FRP4の粉砕方法を実施する粉砕装置の他の実施例を示した縦断正面図で、斯る実施例においては前端縁30-1を砥石1に押付けるガイドベース30並びにベース送り機構5のスライド部5-3 の構成形態を変えたもので、それ以外の構成部分においては前述した実施例詳述と基本的に同じことから、同じ構成部分に同じ符号を用いることでその説明は省略する。又、作動動作(工程)においても基本的に同じことから、当該実施例装置による粉砕方法の説明も省略する。
【0030】ガイドベース30は、スライド部5-3 の前部に前述した実施例詳述のようにビス13止め等の適宜の止着手段にて保持されて砥石1に押付けられる前端片30-10 、この前端片30-10 と同じ厚さにてスライド部5-3 の後部に保持される後端片30-11 、これら前後の端片30-10 ,30-11 間に配される中間片30-12 から3分割してなり、中間片30-12 は左右一対で前後の送りローラー6-1 間に位置させた状態で機枠ベース8から立設した支持柱21間に架橋状に保持させて移動不能に備えてなる。つまり、前後の端片3-20,3-21は水平移動可能に配設されているスライド部5-3 の前後の動きにより送り路7の前後方向に移動し得るのに対し、中間片30-12 は支持柱21を介して装置の機枠ベース8に保持されていることで、前後の端片30-10 ,30-11 と共に移動しないように備えられている。
【0031】スライド部5-3 は、前述した実施例詳述のように、凹部14の両側壁部に設けた前後2カ所(合計4カ所)の長孔15にボルト16止め等の止着手段にて保持させた状態で凹部14内に水平移動可能に装着される装着形態においては同じであるが、その全体形状を大きめに形成して、その内部に左右一対で前後の各送りローラー6-1 に接触しない程度の大きさにて開口させた切欠部22を設けて、この切欠部22内に各送りローラー6-1 のローラー軸6-10を支える下部側のローラーアーム6-2を内在させてなる。
【0032】
【発明の効果】本発明の強化プラスチックの粉砕方法及びその粉砕装置は叙上の如く構成してなるから、下記の作用効果を奏する。
■.請求項1記載の粉砕方法によれば、ガイドベース上に沿わせて廃材FRPを縦回転する砥石へと送り込み押付けると、廃材FRPは砥石によりプランジ研削されながら均一な粒度の粉末状に粉砕され、粉砕された廃材FRPの再生粉は砥石表面の研削面に突出点在する砥粒群からなる凸凹形状に沿って適合接するガイドベースの前端縁の適合凸凹を通して回収されるようにしてなることから、均一な粒度にてプランジ研削された再生粉のみを回収することができる。又、ガイドベースが粉砕処理される廃材FRPと同質材料からなることで、その前端縁が砥石により研削されても材質が異なる異物となって回収された再生粉に混ざることがない。
【0033】■.請求項2記載の粉砕方法によれば、送り路を通して多数の廃材FRPが縦回転する砥石に向けて送り込まれ、最後に送り込まれた廃材FRPのプランジ研削される過程で、この廃材FRPに連ねて同質材料からなるダミーFRPを送り路内に送り込むようにしてなることから、最後に送り込まれた廃材FRP全てを砥石に送り込み押付けてプランジ切削により粉末状に粉砕することができる。又、ダミーFRPの前端は縦回転する砥石表面に沿った円筒形状に研削されるが、廃材FRPと同質材料からなることで、材質が異なる異物となって回収された再生粉に混ざることはない。
【0034】■.請求項3記載の粉砕装置によれば、廃材FRPからなるガイドベースはベース送り機構によりその前端縁が砥石表面の凸凹形状に沿って適合接する状態まで縦回転する砥石に押付けられ、前端縁が砥石により研削されて砥石表面の凸凹形状に沿って適合接した時点で同位置にベース送り機構により固定保持されるようにしてなることから、ガイドベースの前端縁は砥石表面の凸凹形状に沿って適合接した状態に保たれ、砥石により均一な粒度の粉末状にプランジ研削されない状態で、例えば切断片或いは粗砕片等の粉砕残留片状態でガイドベースと砥石との間を通過することはない。つまり、全ての廃材FRPをプランジ研削により均一な粒度の粉末状に粉砕させた後に砥石表面の凸凹形状に沿って適合接するガイドベースの前端縁の適合凸凹を通して回収することができる。そして、廃材FRPは材料自動送り機構により砥石に向けて自動送りされながら該砥石に押付けられてプランジ研削により粉砕されるようにしてなることから、処理作業の大幅な改善が図られる。
【0035】■.請求項4記載の粉砕装置によれば、砥石を覆うケーシング部から水平に連設された送り路を通して廃材FRPは前述したように材料自動送り機構により砥石へと自動送りされながら押付けられてプランジ切削により均一な粉末状に粉砕されると共に、最後に送り込まれた廃材FRPのプランジ研削が終了する過程で、送り路の開口断面積と略同一断面形状に形成した廃材FRPからなるダミーFRPを最後の廃材FRPに連ねて送り路内に送り込むようにしたから、最後に送り込まれた廃材FRPをダミーFRPにより砥石に押付けて最後の廃材FRP全てをプランジ切削により均一な粒度の粉末状に粉砕することができる。
【0036】■.請求項5記載の粉砕装置によれば、前述したように材料自動送り機構により送り路を通して砥石に向けて自動送りされながら押付けられてプランジ切削により均一な粒度の粉末状に粉砕された廃棄FRPの再生粉をケーシング部の回収口から吸引装置により吸引回収されるようにしてなることから、粉砕された再生粉が空気中に飛散し、人体に有害を及ぼすことがない。よって、作業環境の改善が図れる。
【0037】従って、本発明によれば、砥石表面の研削面の凸凹形状に沿って適合接するガイドベースの前端縁の適合凸凹を通して均一な粒度の粉末状に粉砕された廃材FRPの再生粉のみを回収するようにしてなることから、従来の粉砕方法とその粉砕装置に比べて廃材FRPを均一な粒度の粉末状に確実且つ効率的に粉砕処理し得、しかも作業環境に優しい画期的な粉砕方法とその粉砕装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の強化プラスチック(廃棄FRP)の粉砕方法を実施する粉砕装置の一例を示した縦断正面図
【図2】 同平面図
【図3】 図1の III−III 線横断平面図
【図4】 図1のIV−VI線縦断側面図
【図5】 ベース送り機構によりガイドベースを回転する砥石に押付けてその前端縁を砥石表面の凸凹形状に沿わせて適合させた状態を示した本発明強化プラスチック(廃棄FRP)の粉砕方法の粉砕工程を示した要部の縦断正面図
【図6】 前端縁を砥石表面の凸凹形状に適合させた状態のガイドベース上を沿わせて材料自動送り機構により強化プラスチックを回転する砥石に自動送り押付けながらプランジ研削により粉砕処理が行われている同粉砕工程を示した要部の縦断正面図
【図7】 多数の強化プラスチックを材料自動送り機構により順次回転する砥石に自動送り押付けながらプランジ研削によるそれらの粉砕処理が継続して行われている同粉砕工程を示した要部の縦断正面図
【図8】 送り路を通して最後に送り込まれた強化プラスチックのプランジ研削が終了する過程で、送り路の開口断面形状と略同一断面形状を成すダミー強化プラスチックを材料自動送り機構により自動送りしながら最後の強化プラスチックのプランジ研削による粉砕処理が行われている同粉砕工程を示した要部の縦断正面図
【図9】 均一な粒度の粉末状に粉砕されずに残る強化プラスチックをダミー強化プラスチックによって砥石に押付けながらプランジ研削による最後の粉砕処理が行われている状態を示し、(A)は同粉砕工程を示した要部の縦断正面図、(B)は同横断平面図
【図10】 一連の処理作業が終了した状態の同粉砕工程を示した要部の縦断面図
【図11】 本発明の強化プラスチック(廃棄FRP)の粉砕方法を実施する粉砕装置の他の実施例を示した縦断正面図
【符号の説明】
1…砥石 1-1 …研削面
2…ケーシング部 3,30…ガイドベース
3-1 ,30-1…ガイドベースの前端縁 4…廃材FRP
5…ベース送り機構 6…材料自動送り機構
7…送り路 10…回収口
11…吸引装置 18…ダミーFRP

【特許請求の範囲】
【請求項1】 強化プラスチックからなるガイドベースの前端縁を回転する砥石に押付けて当該前端縁が砥石表面の凸凹形状に沿って適合接する状態まで研削した後に、ガイドベース上に沿わせて強化プラスチックを回転する砥石に送り込み押付けながらプランジ研削する事を特徴とする強化プラスチックの粉砕方法。
【請求項2】 請求項1記載の粉砕方法において、多数の強化プラスチックを砥石に向けて順次送り込む送り路を設け、この送り路を通して最後に送り込まれた強化プラスチックがプランジ研削されるその研削過程で、前記送り路の開口断面形状と略同一断面形状を成すダミー強化プラスチックを送り込んで最後の強化プラスチックのプランジ研削が終了するようにした事を特徴とする強化プラスチックの粉砕方法。
【請求項3】 砥石と、強化プラスチックからなるガイドベースを水平に保持せしめた状態でその前端縁を回転する前記砥石に押付けると共に、砥石表面の凸凹形状に沿って適合接する状態までガイドベースの前端縁が研削された時点で該ガイドベースを同位置に固定保持するベース送り機構と、ガイドベース上に沿わせた状態で強化プラスチックを砥石に送り込む材料自動送り機構とを備えてなる事を特徴する強化プラスチックの粉砕装置。
【請求項4】 請求項3記載の粉砕装置において、砥石を覆うケーシング部から適宜の開口断面形状で且つ少なくとも底面を開口させた強化プラスチックを砥石に向けて順次送り込む送り路を水平に連設せしめると共に、この送り路の底面に沿わせてガイドベースを水平移動可能に設けたことを特徴とする強化プラスチックの粉砕装置。
【請求項5】 請求項4記載の粉砕装置のおいて、砥石を覆うケーシング部に回収口を設けて、この回収口に吸引装置を接続備えたことを特徴とする強化プラスチックの粉砕装置。

【図1】
image rotate


【図7】
image rotate


【図8】
image rotate


【図2】
image rotate


【図3】
image rotate


【図4】
image rotate


【図5】
image rotate


【図9】
image rotate


【図6】
image rotate


【図10】
image rotate


【図11】
image rotate


【特許番号】第2900904号
【登録日】平成11年(1999)3月19日
【発行日】平成11年(1999)6月2日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平9−5599
【出願日】平成9年(1997)1月16日
【公開番号】特開平10−193355
【公開日】平成10年(1998)7月28日
【審査請求日】平成9年(1997)1月16日
【出願人】(000105981)サッポロ産機株式会社 (2)
【参考文献】
【文献】特開 平4−298249(JP,A)