説明

強化型生体組織

本発明は、移植可能な医療デバイスであって、無細胞組織マトリックスのような第1の生体部材と、移植後に該デバイスを補強するための第2の非生体部材とを含むハイブリッド複合材料を含む、前記デバイスを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
本出願は、2006年5月9日に提出された米国仮出願第60/799,102号(尚、この開示内容は、参照によりその全文を本明細書に組み込むものとする)に対する優先権を主張する。
【0002】
本発明は、組織修復のための組織マトリックス、より具体的には、組織修復のための人工生体適合性材料と組み合わせたハイブリッド無細胞組織マトリックスに関する。
【背景技術】
【0003】
哺乳動物における靭帯及び腱置換には、天然の靭帯及び腱構造の荷重伝達及び性能に近い材料が長く望まれている。人工靭帯及び腱は、鋼、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエチレン、ナイロン、ポリテトラフルオロエチレン、炭素繊維、及びその他の人造材料から製造されている。また、人工靭帯組織を製造するために、前記材料のいずれか1つ以上の組合せも用いられている。しかし、人工材料は一般に、時間が経過すると機能上の能力低下を被り、移植後の比較的短い期間(例えば、約1、2、3、又は4年)で消耗し、磨損及び/又は崩壊(particulate)する可能性がある。
【0004】
人工材料に代わるものとして、ドナー部位から回収した天然の靭帯又は腱、例えば、自己移植片及び/又は死体組織移植片(すなわち、同種異系移植片)などを靭帯又は腱置換術に用いることもできる。人工材料による場合と同様に、自己移植片及び同種異系移植片のいずれの場合も、機能上のパラメーター(例えば、破壊荷重、直線及び接線剛性、破壊応力、及び破損応力)は、天然の靭帯、腱若しくはその他の軟組織構造に比べ、依然として顕著に低いままである。
【0005】
自己移植片は移植片自体のレシピエントのドナー部位から得られる。例えば、ACL(前十字靭帯)再建において、損傷したACLを置換するのに、患者自身の膝蓋靭帯又は膝窩腱の一部を用いることができる。
【0006】
死体組織移植片は、例えば自己移植片回収に関連するドナー部位の不健全性を引き起こすことなく、損傷したACLの部位に設置することができる。死体組織は一般に、あらゆる異物反応を軽減するように何らかの方法で処理されるが、疾病を伝染する可能性がある。ほとんどの症例において、同種異系移植片は、自己移植片より治癒が遅く、破損率が顕著に高いという傾向がある。
【0007】
人造及び死体組織移植片は、自己移植片の回収に関連する短期的及び長期的なドナー部位の不健全性及び苦痛がないため、自己移植片よりも有利である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、自己移植片に関連するドナー部位の不健全性がなく、従来の同種異系移植片及び人工組織よりも破損率が改善され、しかも、天然組織の生物力学的性能により近い、靭帯、腱及びその他の軟組織修復及び置換用の材料が必要とされる。
【0009】
本明細書中の発明の背景についての記載は、本発明の背景を説明するために包含される。このことは、言及した材料のいずれかが、特許請求の範囲のいずれかの優先日の時点で、公表されている、公知である、又は共通の一般知識の一部であることを自認するものではない。
【0010】
本明細書の記載及び特許請求の範囲全体を通して、用語「含む」及びその変形、例えば、「を含んでいる」及び「を含む」などは、他の添加剤、部材、整数、又はステップを排除することを意図するものではない。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、ハイブリッドの人工及び天然組織修復及び置換材料を含む移植可能な医療デバイスであって、ドナー部位の不健全性を軽減する必要性に対処し、破損率を改善し、及び/又は靭帯、腱及びその他の軟組織修復及び置換術において天然組織の性能により近い、上記デバイスに関する。
【0012】
具体的に、本発明の実施形態は、バイオマトリックスを含む第1の生体部材と第2の非生体部材とを含む複合材料を含んでいる。別の実施形態は、移植時に第1部材より高い荷重容量を有する第2の非生体部材を含んでいる。本発明の様々な実施形態は、特に、靭帯、腱、並びにその他の軟組織修復及び置換に適用することができる。
【0013】
本発明のさらに別の実施形態は、バイオマトリックスを有する第1の生体部材と第2の非生体部材とを含む複合材料を有する、移植可能な医療デバイスを含んでいる。第1部材は、複合材料の組成物の少なくとも一部で第2部材を覆っている。
【0014】
本発明のさらに別の実施形態は、バイオマトリックスを有する第1の生体部材と第2の非生体部材とを含む複合材料を有する、移植可能な医療デバイスを含んでいる。第1部材は、複合材料の実質的に全てで第2部材を覆っている。
【0015】
本発明のさらに別の実施形態は、無細胞組織マトリックスを含む第1の生体部材と第2の非生体部材とを含む複合材料を有する、移植可能な医療デバイスを含んでいる。
【0016】
本発明の別の実施形態は、粒子状無細胞組織マトリックスを有する第1の生体部材と第2の非生体部材とを含む複合材料を有する、移植可能な医療デバイスを含んでいる。
【0017】
本発明の別の実施形態は、バイオマトリックスを有する第1の生体部材と、移植時に該第1部材より高い荷重容量を有する第2の非生体部材とを含む、複合材料を有する、移植可能な医療デバイスを含んでいる。
【0018】
本発明のさらに別の実施形態は、バイオマトリックスを有する第1の生体部材と第2の非生体部材とを含む複合材料を有する、移植可能な医療デバイスを含んでいる。第1部材は、移植後及び該第1部材のバイオマトリックス内での天然細胞の増殖後に、第2部材より高い荷重容量を有する。
【0019】
本発明のさらに別の実施形態は、バイオマトリックスを有する第1の生体部材と、生体吸収性ポリマーを含む第2の非生体部材とを含む、複合材料を有する、移植可能な医療デバイスを含んでいる。
【0020】
また、本発明の別の実施形態は、バイオマトリックスを有する第1の生体部材と、生体適合性金属を含む第2の非生体部材とを含む、複合材料を有する、移植可能な医療デバイスを含んでいる。
【0021】
本発明の別の実施形態は、バイオマトリックスを有する第1の生体部材と、ポリヒドロキシブチレート、ポリ乳酸、ポリラクチドグリコリド酸、ポリジオキサノン、又はポリカプロラクトンを含む第2の非生体部材とを含む複合材料を有する、移植可能な医療デバイスを含んでいる。
【0022】
本発明の別の実施形態は、バイオマトリックスを有する第1の生体部材と、連続材料の第2の非生体部材とを含む、複合材料を有する、移植可能な医療デバイスを含んでいる。
【0023】
本発明のさらに別の実施形態は、バイオマトリックスを有する第1の生体部材と、第2の非生体部材とを含む、複合材料を有する、移植可能な医療デバイスを含んでいる。そして第2部材は、非生体材料を含むテキスタイルであり、該テキスタイルは、編物、織物、編組、若しくは非織構造物、又は編物、織物、編組、若しくは非織構造物の組合せである。前記テキスタイルは、非生体材料のモノフィラメント、又は非生体材料の編組糸若しくは紡績糸をさらに含むことができる。
【0024】
本発明の別の実施形態は、バイオマトリックスを有する第1の生体部材と、第2の非生体部材とを含む、複合材料を有する、移植可能な医療デバイスを含んでいる。第1部材は、コーティング、ペースト、粉末、又は液体として、第2部材に適用される。
【0025】
本発明のさらに別の実施形態は、バイオマトリックスを有する第1の生体部材と、第2の非生体部材とを含む、複合材料を有する、移植可能な医療デバイスを含んでいる。複合材料は、シート、シリンダー、ソリッドチューブ、中空管、又はロール状シートを形成する。
【0026】
また、本発明のさらに別の実施形態は、バイオマトリックスを有する第1の生体部材、第2の非生体部材、及びテザー部分を含む複合材料を有する、移植可能な医療デバイスを含んでいる。
【0027】
さらに、複合材料を具備する医療デバイスを移植する方法が提供される。複合材料は、天然細胞の内増殖(in growth)を促進するバイオマトリックスを有する第1の生体部材と、移植時及び該第1部材のバイオマトリックス内での有意な天然細胞の内増殖前に、該医療デバイスに強度を与えるための第2の非生体部材とを含んでいる。複合材料は、移植部位の近位に固定される。また、複合材料は、該複合材料内部から移植部位に固定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明は、靭帯、腱若しくは軟組織構造の組織移植片又は置換片として使用するのに適した生体及び非生体部材の両方を含む「ハイブリッド」複合材料に関する。ハイブリッド組織は、少なくとも2種の材料、例えば、人造の非生体部材(例:合成ポリマー)と生体部材(例:バイオマトリックス)とからなる複合材料として構築される。一実施形態では、人造の非生体部材を生体部材と密接に組合せることにより、各構成材料の有利な性質を助長する複合ハイブリッド人工組織を作製する。
【0029】
ポリマーのような非生体部材は、移植直後に適切な強度及び剛性をハイブリッド複合構造に付与し、かつハイブリッド靭帯を移植したときに従来の生体移植片より高い荷重を伝達するように設計される。非生体材料はまた、いくらかの荷重及び運動を生体部材に伝達する。生体部材は、より長期の治癒応答を生じるように設計される。ハイブリッド材料の人工部材及び生体部材間の運動/荷重分布は、組織の治癒に適した環境に寄与するものである。生体部材は、バイオマトリックスを介して生体部材のマトリックス構造内での天然細胞の内増殖を助長するか又は可能にすることにより、基礎生体組織から、置換しようとする天然組織に類似した組織(例えば、靭帯様組織)になるか又はこのような組織に変換する、複雑な過程を促進にする。
【0030】
様々な実施形態は、意図するハイブリッド複合材料を生じる生体部材及び非生体部材の1以上の層を含むことができる。複合構造について説明する前に、個々の部材についてさらに詳細に説明する。
【0031】
生体部材
本発明の実施形態の生体部材は、一般に、本明細書に記載する有利な性質を備えるどんな生体材料(例えば、全組織又は組織由来の材料)でもよい。特に有用な生体部材は、無細胞組織マトリックスなどのバイオマトリックスである。
【0032】
本明細書で用いる「無細胞組織マトリックス(ATM)」は、全ての細胞又は実質的に全ての生存細胞、並びに細胞を死滅させることで生じる全ての検出可能な細胞内成分及び/又は残屑を除去することにより、非常に多様な任意のコラーゲン含有組織から製造される組織由来のバイオマトリックス構造である。本明細書で用いる「実質的に全ての生存細胞」が欠失したATMとは、生存細胞の濃度が、ATM製造の由来となった組織又は器官における濃度の1%未満(例えば、0.1%、0.01%、0.001%、0.0001%、0.00001%、若しくは0.000001%未満)であるATMである。
【0033】
本発明に有用なATMとして、好ましくは、しかし必ずとは限らないが、上皮基底膜が欠失しているか、又は実質的に欠失している。上皮基底膜は、上皮細胞の基底面に接触している細胞外物質の薄いシートである。凝集した上皮細胞のシートが上皮を形成する。従って、例えば、皮膚の上皮は表皮と呼ばれ、皮膚の上皮基底膜は、表皮と真皮の間に存在する。上皮基底膜は、障壁機能と上皮様細胞への接着表面とを与える分化した細胞外マトリックスであるが、その下に存在する組織(例えば、真皮)に顕著な何らかの構造的又は生物力学的役割を与えるわけではない。上皮基底膜に特有の成分としては、例えば、ラミニン、VII型コラーゲン、及びニドジェン(nidogen)などが挙げられる。上皮基底膜に特有の時間的及び空間的構成(temporal and spatial organization)によって、上皮基底膜は、例えば、真皮細胞外マトリックスと区別される。本発明のATMに上皮基底膜が存在すると、上皮基底膜がおそらくは様々な種特異的成分(無細胞マトリックスの異種移植片レシピエントにおいて、これは抗体の産生を誘発する及び/又は既に形成された抗体に結合する)を含むという点で不利益となる可能性がある。加えて、上皮基底膜は、細胞及び/又は可溶性因子(例えば、化学誘引物質)の拡散並びに細胞浸潤に対する障壁として働くことができる。このように、ATM移植片に上皮基底膜が存在すると、レシピエント動物における無細胞組織マトリックスからの新しい組織の形成が顕著に遅延する可能性がある。本明細書で用いる上皮基底膜が「実質的に欠失した」ATMは、無細胞組織マトリックスの由来となる対応の非処理組織が保有する上皮基底膜の5%未満(例えば、3%、2%、1%、0.5%、0.25%、0.1%、0.01%、0.001%未満、又は0.0001%未満)を含む無細胞組織マトリックスである。
【0034】
ATMが保持する生物学的機能としては、細胞認識及び細胞結合、並びに、細胞伸展、細胞増殖、細胞の内成長、及び細胞分化を支持する能力などが挙げられる。このような機能は、非変性コラーゲン性タンパク質(例えば、I型コラーゲン)や、様々な非コラーゲン性分子(例えば、インテグリン受容体、グリコサミノグリカン(例:ヒアルロナン)若しくはプロテオグリカンのような高電荷密度を有する分子、又はその他の付着因子)により与えられる。有用な無細胞マトリックスが保持する構造的機能としては、組織学的構造の維持、組織成分の三次元配置及び強度、弾性、及び耐久性などの物理的特徴の維持、規定の多孔度、及び高分子の保持などが挙げられる。ATMの生物学的機能の効率は、例えば、ATMが細胞増殖を支持する能力によって測定することができ、ATMの作製に用いる天然の組織又は器官の効率の少なくとも50%(例えば、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%、99.5%、100%、若しくは100%以上)である。
【0035】
移植されるマトリックス材料は、必ずしも周囲の宿主細胞と同じ組織から作製する必要はないが、適切な宿主組織の分化細胞、間充織幹細胞のような幹細胞、又は前駆細胞などの細胞を浸潤させることにより、単純にリモデリングし易いものでなければならない。リモデリングは、前記ATM成分、及び周囲の宿主組織からのシグナル(例えば、サイトカイン、細胞外マトリックス成分、生物力学的刺激、及び生体電気刺激)によって指令される。骨髄及び末梢循環における間充織幹細胞の存在は文献に記載されており、様々な筋骨格組織を再生することが示されている[Caplan (1991) J. Orthop. Res. 9:641-650; Caplan (1994) Clin. Plast. Surg. 21:429-435; 及びCaplanら、(1997) Clin Orthop. 342:254-269]。加えて移植片は、リモデリングの過程において、ある程度(閾値以上)の張力及び生物力学的強度を与えるものでなればならない。
【0036】
前記のような性質がマトリックスにより保持される限り、ATMがあらゆるコラーゲン含有軟組織及び筋骨格(例えば、真皮、筋膜、心膜、硬膜、臍帯、胎盤、心臓弁、靭帯、腱、血管組織(動脈、及び伏在静脈のような静脈)、神経結合組織、膀胱組織、尿管組織、又は腸組織)から作製できることが理解される。さらに、ATMを含むハイブリッドマトリックスが配置される組織には、実質的には、細胞を侵入又は浸潤させることによってリモデリングすることができるあらゆる組織が含まれる。適切な組織としては、限定するものではないが、骨、軟骨、靭帯、筋膜、及び腱などの骨格組織が挙げられる。前記同種異系移植片のいずれかを配置することができるその他の組織として、限定するものではないが、皮膚、歯肉、硬膜、心筋、血管組織、神経組織、横紋筋、平滑筋、膀胱壁、尿管組織、腸、及び尿道組織が挙げられる。
【0037】
さらに、ATMは一般に、ATM移植片のレシピエントと同じ種の1以上の個体から作製されているが、必ずしもそうである必要はない。従って、例えば、ATMをブタ組織から作製しておき、これをヒト患者に移植することも可能である。ATMのレシピエント及びATMを作製するための組織又は器官のドナーとして役立ちうる種には、限定するものではないが、ヒト、ヒト以外の霊長類(例えば、サル、ヒヒ、若しくはチンパンジー)、ブタ、ウシ、ウマ、ヤギ、ヒツジ、イヌ、ネコ、ウサギ、モルモット、アレチネズミ、ハムスター、ラット、若しくはマウスが挙げられる。ドナーとして特に有用なものは、末端αガラクトース部分を欠失するように遺伝子操作した動物(例えば、ブタ)である。適切な動物の説明については、同時係属中の米国特許出願第10/896,594号及び米国特許第6,166,288号(これらすべての開示内容は、参照によりその全文が本明細書に組み込まれる)を参照されたい。
【0038】
また、ドナーとしてこのように遺伝子操作した動物を用いるのではなく、適切な組織及び器官を、脱細胞処理前又は後に、例えば、糖タンパク質上の糖鎖から末端αガラクトース(α-gal)部分を除去する酵素αガラクトシダーゼで処理することができる。これらの部分を除去するためにαガラクトシダーゼで組織を処理する方法は、例えば、米国特許第6,331,319号(その開示内容は、参照によりその全文が本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0039】
一実施形態では、ATMにおいて軟組織細胞を死滅させる前又は死滅させた後、コラーゲン含有材料を、1種以上のグリコシダーゼ、特に、α‐ガラクトシダーゼのようなガラクトシダーゼによるコラーゲン含有材料のin vitro消化に付す。具体的には、下記の反応に示すように、α‐ガラクトシダーゼによる酵素処理によりα-galエピトープを除去する。
【化1】

【0040】
N-アセチルアクトサミン残基は、通常はヒト及び哺乳動物細胞上で発現され、従って、免疫原性ではないエピトープである。グリコシダーゼによるコラーゲン含有材料のin vitro消化は様々な方法で行われる。例えば、グリコシダーゼを含むバッファー溶液中にコラーゲン含有材料を浸漬させるか又はその中でインキュベートすることができる。或いは、脈動洗浄法により、グリコシダーゼを含むバッファー溶液を圧力下でコラーゲン含有材料に強制導入することもできる。
【0041】
コラーゲン含有材料からα-galエピトープを排除すれば、コラーゲン含有材料に対する免疫応答が減少する。α-galエピトープは、非霊長類哺乳動物及び新世界サル(南米のサル)において、細胞1個当たり1x106〜35x106個のエピトープとして、並びに細胞外成分のプロテオグリカンのような高分子上に、発現される。U. Galiliら、J. Biol. Chem. 263: 17755 (1988)。しかし、このエピトープは、旧世界霊長類(アジア及びアフリカのサル、並びに類人猿)及びヒトには存在しない(同上)。抗-gal抗体は、胃腸細菌上のα-galエピトープ炭水化物構造に対する免疫応答の結果、ヒト及び霊長類で産生される。U. Galiliら、Infect. Immun. 56: 1730 (1988); R. M. Hamadehら、J. Clin. Invest. 89: 1223 (1992)。非霊長類哺乳動物(例えば、ブタ)はα-galエピトープを産生するので、これら哺乳動物由来のコラーゲン含有材料を霊長類に注射して異種移植すると、コラーゲン含有材料上のこれらのエピトープに霊長類抗-galが結合するため、拒絶が起こる。この結合によって、補体結合及び抗体依存性細胞毒性によるコラーゲン含有材料の破壊が起こる。U. Galiliら、Immunology Today 14: 480 (1993); M. Sandrinら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90: 11391 (1993); H. Goodら、Transplant. Proc. 24: 559 (1992); B. H. Collinsら、J. Immunol. 154: 5500 (1995)。さらに、異種移植によって、免疫系の主要な活性化が起こり、増加量の高アフィニティー抗-gal抗体が産生される。従って、細胞から及びコラーゲン含有材料の細胞外成分からα-galエピトープを実質的に排除し、細胞α-galエピトープの再発現を阻止すれば、抗gal抗体のα-galエピトープへの結合に伴うコラーゲン含有材料に対する免疫応答を減少することができる。
【0042】
ATMを提供する形態は、それが由来する組織又は器官、及びレシピエント組織又は器官の性質、並びにレシピエントの組織又は器官における損傷又は欠損の性質によって左右される。従って例えば、心臓弁由来のマトリックスは、全弁として、小さなシート又はストリップとして、任意の様々な形状及び/又はサイズに切断された断片として、或いは、粒子形態で提供することができる。上に列挙した組織及び器官のいずれかから作製したATMについても同じ概念が適用される。本発明に有用なATMをレシピエント自身のコラーゲンをベースとする組織から作製できることが理解される。
【0043】
ATMは多様な任意の方法により作製することができる。必要なことは、その作製に用いるステップにより前述した生物学的及び構造的性質を備えたマトリックスを得ることだけである。特に有用な作製方法としては、下記文献に記載されているものが挙げられる:米国特許第4,865,871号、第5,366,616号、及び第6,933,326号、並びに、同時係属中の米国特許出願第10/165,790(US特許出願公開第US 2003/0035843 A1として公開)及び第10/896,594号(米国特許出願公開第US 2005/0028228 A1として公開)(これらは全て参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。
【0044】
簡潔にいうと、ATMの作製に関与するステップは一般に、ドナー(例えば、ヒトの死体、又は上に列挙した哺乳動物のいずれか)から組織を採取し、組織を安定化し、生化学的及び構造的分解を回避するための化学処理と共に、又は該化学処理の後に、生物学的及び構造的機能を同様に保存する条件下で細胞を除去することを含んでいる。炎症を引き起こしうる死滅細胞成分及び/又は溶解細胞成分、並びにあらゆる生体非適合性細胞除去剤を完全に除去した後、凍結保存剤でマトリックスを処理して凍結保存することができ、場合により、マトリックスの前記生物学的及び構造的性質を維持するのに必要な条件下で再度凍結乾燥することができる。凍結乾燥後、場合により、組織を微粉砕又は微粉化することにより、同様の機能保存条件下で粒子状ATMを作製してもよい。凍結保存又は凍結乾燥(及び場合によっては、微粉砕又は微粉化)後、ATMをそれぞれ解凍又は再水和することができる。全てのステップは一般的に、無菌、好ましくは滅菌条件下で実施する。
【0045】
最初の安定化溶液は、浸透圧、低酸素、自己消化、及びタンパク質分解による分解を停止及び防止し、微生物汚染から保護し、例えば、平滑筋成分(例:血管)を含む組織に起こりうる機械的損傷を低減する。安定化溶液は一般に、好適なバッファー、1種以上の抗酸化剤、1種以上の膨張剤、1種以上の抗生物質、1種以上のプロテアーゼ阻害剤、及び、場合によっては、平滑筋弛緩薬を含む。
【0046】
次に、組織を処理溶液に入れて、基底膜複合体又はコラーゲンマトリックスの生物学的及び構造的完全性を損なうことなく、生存細胞(例えば、上皮細胞、内皮細胞、平滑筋細胞、及び繊維芽細胞)を構造マトリックスから除去する。処理溶液は一般に、適当なバッファー、塩、抗生物質、1種以上の界面活性剤(例えば、Triton-x-100、デオキシコール酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート)、架橋を阻止する1種以上の物質、1種以上のプロテアーゼ阻害剤、及び/又は1種以上の酵素を含む。組織の処理は、(a) 所与の濃度で活性薬剤を含む処理溶液で、(b) マトリックスの構造的完全性が維持されるような時間で、実施しなければならない。
【0047】
或いは、前記組織は水分補充に付す前に凍結保存することができる。その場合には、脱細胞処理後、組織を凍結保存溶液中でインキュベートする。この溶液は一般に、凍結中に起こりうる構造マトリックスに対する氷晶による損傷を最小限にする1種以上の凍結保護物質を含む。組織を凍結乾燥しようとする場合には、この溶液は一般に、乾燥中の構造的損傷を最小限にする1種以上の乾燥保護成分をさらに含有し、さらに、凍結の間に膨張も縮小もしない有機溶剤と水との組合せを含んでもよい。凍結保護剤及び乾燥保護剤は同じ1つ以上の物質であることができる。組織を凍結乾燥しない場合には、これを(滅菌した容器に入れて)約−80℃のフリーザー内に置くことにより、又は無菌の液体窒素に沈めることにより凍結した後、使用するまで−160℃以下の温度で保存することができる。組織サンプルは、使用前に、例えばサンプルを入れた無菌の不透過性容器(以下参照)を約37℃のウォーターバスに浸漬するか、又は組織を周囲条件下で室温まで置くことにより、該サンプルを解凍することができる。
【0048】
凍結保存溶液中でインキュベートした後、組織を凍結及び凍結乾燥しようとする場合には、水蒸気不透過性で、さらに細菌不透過性の無菌容器、例えば、水蒸気不透過性パウチ又はガラスバイアル内に組織をパッケージングする。好ましいパウチの片面は医療グレードの多孔性Tyvek(登録商標)膜(DuPont Campany社(Wilmington, DE)の商標製品)からなる。この膜は、水蒸気に対して浸透性であるが、細菌及びダストに対しては不透過性である。片側を開口状態にしてTyvek膜を不透過性ポリエチレンラミネートシートに加熱密封することにより、両面パウチを形成する。使用前に開口パウチを照射により滅菌する。組織を滅菌パウチに(開口側から)無菌的に入れる。次に、開口側を無菌的に加熱密封することによりパウチを閉じる。この時点から、パッケージングした組織は以降の全処理ステップを通して微生物の汚染から保護される。
【0049】
組織を含む容器は、特定の凍結保護製剤と適合する指定速度で低温まで冷却することにより凍結損傷を最小限にする。適当な冷却プロトコールの例については、例えば、米国特許第5,336,616号を参照されたい。次に、各氷晶相から水蒸気が連続的に除去されるように、真空条件下で組織を低温で乾燥する。
【0050】
水蒸気不透過性容器内のサンプルの乾燥が終了したら、窒素、ヘリウム又はアルゴンのような乾燥不活性ガスにより凍結乾燥装置の真空を戻す。同じガス環境内に維持しながら、半透過性容器を不透過性(すなわち、水蒸気及び微生物に対して不透過性)容器(例えば、パウチ)内に入れ、例えば、熱及び/又は圧力によりこれを密封する。組織サンプルをガラスバイアル内で凍結及び乾燥した場合には、適当なイナートストッパー(inert stopper)により真空下でバイアルを密封し、乾燥装置の真空を不活性ガスで戻した後、取り出す。いずれの場合にも、最終製品は不活性ガス雰囲気中に密封される。
【0051】
ATMの再水和(以下参照)後、組織適合性の生存細胞をATMに戻すことにより、宿主によりリモデリングされ得る、不変的に許容される移植片を作製することができる。これは一般に、非生体部材との複合物として形成された後、哺乳動物被験体におけるATMの配置直前に実施される。マトリックスが凍結乾燥されている場合には、再水和後に実施することになる。好ましい実施形態では、移植前に、標準的なin vitro細胞共培養技術により、又は移植後のin vivo再増殖により、組織適合性生存細胞をマトリックスに加えることができる。in vivo再増殖は、レシピエント自身の細胞がATM内に移行することにより、或いは、レシピエントから取得した細胞又は別のドナー由来の組織適合性細胞をATMにin situで注入若しくは注射することにより行うことができる。
【0052】
再形成に用いる細胞種は、ATMをリモデリングしようとする組織又は器官の性質に左右される。例えば、ATMによる全層皮膚の再形成に対する第一の要件は、上皮細胞又はケラチノサイトの修復である。例えば、対象のレシピエントから直接得られた細胞を用いてATMを再形成し、得られた組成物を網状のスプリットスキングラフの形態でレシピエントに移植することができる。或いは、培養した(自己又は同種)細胞をATMに付加することができる。例えば、このような細胞を標準的な組織培養条件下で増殖してから、ATMに付加することができる。別の実施形態では、組織培養にてATM中及び/又はATM上で細胞を増殖させることができる。組織培養にてATM中及び/又はATM上で増殖される細胞は、適切なドナー(例えば、対象のレシピエント又は同種ドナー)から直接取得したものでもよいし、最初にATMの非存在下で組織培養にて増殖させたものでもよい。
【0053】
心臓弁及び血管の再形成のための最も重要な細胞は、組織の内側表面に並ぶ内皮細胞である。内皮細胞は、培養により増殖させてもよいし、対象のレシピエント患者から又は臍動脈又は臍静脈から直接取得してもよい。
【0054】
マトリックスを再増殖させることができるその他の細胞として、限定するものではないが、繊維芽細胞、胚性幹細胞(ESC)、成人又は胎児の間充織幹細胞(MSC)、前軟骨芽細胞、軟骨芽細胞、軟骨細胞、前骨芽細胞、骨細胞、破骨細胞、単球、前心筋芽細胞、周細胞、心筋芽細胞、心筋細胞、歯肉上皮細胞、又は歯根膜幹細胞などが挙げられる。もちろん、これらの細胞種の2種以上(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、若しくは10種)を組み合わせてATMを再増殖させることが可能である。
【0055】
前記ステップ全てを実施するための試薬及び方法は当分野において公知である。適当な試薬及び方法は、例えば、米国特許第5,336,616号に記載されている。
【0056】
既述した生物学的及び構造的機能を保存する任意の方法により、前記非粒子状ATMのいずれからでも粒子状ATMを作製することができるが、特に、コラーゲン繊維に対する損傷(切断された繊維端など)を最小限にしなければならない。粒子状ATMを作製するための多くの公知の湿潤及び乾燥方法は、コラーゲン繊維の構造的完全性をそのように保存しない。
【0057】
粒子状ATMを作製するのに適切な一方法が米国特許第6,933,326号に記載されている。この方法については、凍結乾燥した皮膚ATMに関して以下に簡単に説明するが、当業者であれば、本明細書に挙げた他の組織のいずれかに由来する凍結乾燥ATMでの使用に、この方法を容易に適応させることができる。
【0058】
無細胞皮膚マトリックスを(例えば、不停止の「連続」切断ホイールを備えたZimmerメッシャーを用いて)ストリップに切断することができる。次に、得られた長いストリップを約1cm〜約2cmの長さに切断する。ホモジナイザー及び滅菌済ホモジナイザープローブ(例えば、OMNI International(Warrenton, VA)から入手可能なLabTeck Macroホモジナイザー)を組み立て、ホモジナイザー容器に流し込まれる無菌の液体窒素を用いて極低温(すなわち、約−196℃〜−160℃)に冷却する。ホモジナイザーが極低温に達した時点で、ATMの切断片を液体窒素の入ったホモジナイザー容器に加える。次いで、ATM片を極低温下で破砕するためにホモジナイザーを作動させる。極低温破砕ステップの時間及び持続時間は、使用するホモジナイザー、ホモジナイジングチャンバーのサイズ、及びホモジナイザーの運転速度及び時間に左右され、当業者であれば容易に決定することができる。これに代わり、極低温破砕処理を極低温に冷却した極低温ミル中で実施することが可能である。
【0059】
極低温破砕した粒子状無細胞組織マトリックスは、場合により、極低温に冷却しておいた一連の金属スクリーンを介し、無菌液体窒素を用いてホモジナイゼーションの生成物を洗浄することによって、粒径により選別される。一般に、比較的大きな孔径のスクリーンで、不要の大きな粒子を排除した後、より小さい孔径の1(又は2以上の)スクリーンにかけるのが有用である。単離した時点で、粒子を凍結乾燥することにより、この工程中に吸収された可能性があるすべての残留水分を確実に除去することができる。最終製品は一般に、約1ミクロン〜約900ミクロン、約30ミクロン〜約750ミクロン、又は約150ミクロン〜約300ミクロンの粒径を有する粉末(通常は白色又はオフホワイト)である。材料は、標準的な食塩水中又はその他の当分野で公知の任意の適当な再水和剤に懸濁することにより容易に再水和される。また、当分野で公知の任意の好適な担体(例えば、米国特許第5,284,655号(参照によりその全文を本明細書に組み込む)を参照)中に懸濁させてもよい。高濃度(例えば、約600mg/ml)で懸濁させる場合には、粒子状ATMは「パテ」を形成することができ、これより幾分低い濃度(例えば、約330 mg/ml)で懸濁させると、「ペースト」を形成することができる。このようなパテ及びペーストは、例えば、組織及び器官におけるどのような形状の孔、間隙若しくは空間にも詰めることができ、これにより、これらの孔、間隙、又は空間を実質的に埋めることができる。
【0060】
極めて適した凍結乾燥ATMが、LifeCell Corporation(Branchburg, NJ)によりヒト真皮から製造されており、AlloDerm(登録商標)として小さなシートの形態で販売されている。このようなシートは、例えば、寸法が1cm x 2cm、3cm x 7cm、4cm x 8cm、5cm x 10cm、4cm x 12cm、及び6cm x 12cmの寸法である長方形シートとしてLifeCell Corporationから販売されている。AlloDermを凍結及び乾燥するのに用いる凍結保護剤は、35%マルトデキストリンと10mM エチレンジアミン四酢酸(EDTA)の溶液である。従って、最終乾燥製品は、約60重量%のATMと約40重量%のマルトデキストリンを含む。LifeCell Corporationはまた、AlloDermと同じ割合のATMとマルトデキストリンを含む、ブタ真皮(XenoDermと称する)から作製された類似の製品も製造している。さらに、LifeCell Corporationは、製品名Cymetra(登録商標)で、AlloDerm(前述)を低温破砕することにより製造した粒子状無細胞皮膚マトリックスも販売している。Cymetraの粒径は、質量分光測光により測定されるように、約60ミクロン〜約150ミクロンの範囲である。
【0061】
本発明の粒子状又は微粉砕(粉末化)ATMの粒子は、その最長寸法で1.0 mm以下である。これより大きい寸法のATM片は、非粒子状無細胞マトリックスである。
【0062】
非生体部材
本発明の実施形態の非生体部材は、一般に、生体適合性人工材料、例えば、生体吸収性ポリマー、非生体吸収性ポリマー、及び金属合金又は組成物などから構成することができる。様々な実施形態は、完了した標的組織再生が、実質的量及び/又は耐荷重量の非生体部材を含まないように、生体適合性及び生体吸収性の非生体部材を含むことができる。生体吸収性ポリマーを用いることにより、天然組織が生体部材のマトリックス構造全体にわたって再生するため、非生体部材(例えば、ポリマー)から生体部材への荷重容量の伝達が可能になる。
【0063】
本明細書で用いる「生体適合性」組成物は、完全又は部分的組織再生に必要な細胞活性を支持する能力を持つが、宿主における顕著な局所又は全身性の炎症反応若しくは免疫応答を刺激しないものである。本明細書で用いる「宿主における顕著な局所又は全身性の炎症反応又は免疫応答」は、組織再生を部分的又は完全に阻止する局所又は全身性の炎症反応又は免疫応答である。
【0064】
本明細書で用いる用語「生体吸収性」とは、哺乳動物体内の物質の、生物媒介性の分解プロセス(例えば、酵素及び細胞プロセス)、並びに化学的に媒介される分解プロセスを意味し、限定するものではないが、分解産物が一般的に身体の器官系の1つから排出される又は分解産物が通常の代謝経路に組み込まれている、分解プロセスが挙げられる。
【0065】
このような生体吸収性ポリマーの1つとして、ポリ-ヒドロキシブチレート(ポリヒドロキシアルカノエート)、例えば、Tepha, Inc.(Cambridge, Massachusetts)製のTephaFlexポリマーがある。他の有用な生体吸収性材料として、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリラクチドグリコリド酸(PLGA)、ポリジオキサノン、又はポリカプロラクトン(PCL)が挙げられる。
【0066】
非生体部材での使用に適した別の生体吸収性材料として、ポリアンヒドリド、ポリオルトエステル、ポリ(アミノ酸)、ポリペプチド、ポリデプシペプチド、ナイロン-2/ナイロン-6コポリアミド、ポリ(コハク酸アルキレン)、ポリ(ヒドロキシブチレート)(PHB)、ポリ(ブチレンジグロコレート(butylene diglocolate))、ポリ(ε-カプロラクトン)、及びコポリマー、ポリジヒドロピラン、ポリホスファゼン、ポリ(オルトエステル)、ポリ(シアノアクリレート)、改変多糖、セルロース、デンプン、キチン、改変タンパク質、コラーゲン、及びフィブリンが挙げられる。非生体吸収性材料の例としては、金のような貴金属(nobel metal)が挙げられる。
【0067】
上記以外の有用な合成ポリマーが、組織再生に有用な合成及び天然物質を記載する米国特許第5,885,829号に列挙されている。尚、この文献の開示内容は、参照によりその全文を本明細書に組み込むものとする。
【0068】
非生体部材の形態は、成形品(ポリマーの連続的な一片)〜多数の糸から構成されるテキスタイルデバイスまで多様である。糸はモノフィラメント又はマルチフィラメント構造(編組など)のいずれかである。次に、テキスタイルの製造方法により、編物、織物、編組、非織物、又はこれらを組み合わせた最終構造を製造することができる。
【0069】
複合ハイブリッド材料
すべての組織移植片は、移植後1ヶ月以内に機械的特性がある程度低下する。機械的性能特性として、限定するものではないが、荷重性能、弾性、及び剛性などを挙げることができる。機械的性能特性のいくつか又は全ては、一般に、移植後1〜2年かけて回復していく。
【0070】
組織置換に用いられる典型的な人工材料は、移植時に天然の組織移植片に等しいか、それより高い初期荷重容量を与える。しかし、人工組織移植片は一般に、移植後の最初の2年間にわたって継続的かつ時には顕著な荷重容量損失を受ける。
【0071】
自己移植片及び同種異系移植片などの天然繊維組織移植片は、移植後の最初の約1ヶ月の間、顕著な荷重容量低下を受け、荷重容量及び他の機械的性能特性の最終的な回復は、天然移植片組織の開始強度の50〜60%である。
【0072】
本発明のハイブリッド複合組織の様々な実施形態は、典型的な合成ポリマー組織移植片の利益(比較的高い初期機械的性能特性を有する)を、天然移植片のプロヒーリング(prohealing)及びより優れた長期機械的特性と組み合わせる。ハイブリッド組織は、個々の部材の総和として機能することができる。ハイブリッド組織はまた、個々の部材の総和より優れた性能を発揮することもできる。例えば、典型的な人工移植片は、時間の経過と共に物理的性能を低下させながら分解を受ける。本発明のハイブリッド複合組織は、人工部材の周囲又は人工部材上にバイオマトリックスの層を与え、これによって、典型的なコーティングされていない人工移植片が受けるものに比べ分解を遅らせる。
【0073】
第1生体部材及び第2非生体部材は、置換しようとする特定の組織に望ましい機械的性能パラメーターを最適化するように構築できることが見出された。例えば、靭帯置換のためのハイブリッド組織を構築する場合、約1800 Nの最終破壊荷重を有するのが望ましいであろう。構築した第1部材バイオマトリックス材料が、わずか400 Nの最終破壊荷重しか与えない場合には、残りの1400 Nを与えるように人工第2部材を構成して、所望の性能特性を備えたハイブリッド複合組織移植片を作製することができる。同様に、ACL置換移植片に望ましい剛性が200 N/mmであり、第1部材のバイオマトリックスが50 N/mmしか与えない場合には、残る150 N/mmの剛性を与えるように第2部材のポリマーを構成することができる。
【0074】
図1は、様々な組織移植片の例示的な応力−歪曲線を示す。線2は、理想的な移植片についての所望の曲線を示す。線4は、人工又は天然の組織移植片のいずれかに関する例示的な既存の応力−歪曲線例を示す。図からわかるように、既存の移植片は、所望の移植片に求められる同量の歪について、所望の応力レベルに達することはできない。
【0075】
生体及び非生体材料両者のハイブリッド移植片(例えば、織物、編組、若しくは縮毛の製造物、又は積層若しくはロール状配置のような他の一部の製造物)を製造すると、y軸に沿って改変型ハイブリッド材料の応力−歪曲線が上昇することが見出された。従って、線6は、既存の人工又は生体移植片よりも、耐荷重性能が改善された改変型ハイブリッド移植片を示す。
【0076】
図2は、構築物ハイブリッド移植片の機能的目標荷重の概念を示し、複合ハイブリッド移植片の移植後の経過時間に対する荷重容量のプロットである。図からわかるように、生体組織のみでは、移植の時点で荷重容量は比較的低い。その後身体が治癒するにつれ、荷重負担能力は時間と共に増加する。反対に、ポリマー移植片の荷重負担能力は、移植時初期は比較的高いが、その後低下する。
【0077】
バイオマトリックスを有する生体部材と人造の非生体部材(例えば、ポリマー)の両方を含む、本発明(「ハイブリッド」で示す)に対応するハイブリッド複合移植片は、時間が経過しても荷重負担能力は比較的安定のままである(すなわち、荷重負担能力は、「目標範囲」内で開始し、該範囲内に維持される)ことが見出された。
【0078】
非生体部材は様々な様式で生体部材と結合させることができる(例えば、非生体部材周囲の組織(図3に例示する)、組織周囲の非生体部材、或いは、非生体部材の編物、織物、編組若しくはその他のテキスタイル内に埋め込まれた組織、又はこれらをコーティングする組織)ことは理解されよう。加えて、例えば、標的生体部材と組織部材とで荷重を共有することを保証するために、両部材を混ぜ合わせることもできるし、個々の部材を重ねて、互いを堅く巻くこともできる。堅く結合させた積層構築物は、非生体部材及び生体部材間のミクロ及びナノ構造界面に作用して摩擦保持力を生じる。ベルト及びフープの設計に類似した固定ストラップを含むことにより、積層構築物に圧縮力を加えることもできる。
【0079】
図3は、ハイブリッド複合組織移植片の一実施形態例を示す。上部42、上方テーパー領域43、下部44、下方テーパー領域45、及びネック部46を備える管状の非生体部材40を用意する。また、上縁51及び下縁52を有するシートとして図示した生体部材50を用意する。構築の一例では、上縁51が上方テーパー領域43と近接して接触するか又は接触し、下縁52が下方テーパー領域45と近接して接触するか又は接触するように、生体部材50を非生体部材40のネック部46に巻きつける。生体部材50は、ネック部46を1回以上包むか又は巻きつくことにより、多層ラップを形成することができる。例えば、生体部材50を非生体部材40のネック部46に1回、2回、3回、4回、5回、又はそれ以上巻きつけることができる。同様に、生体部材50を非生体部材40の上部42及び下部44に1回以上巻きつけることができる。
【0080】
生体部材50を非生体部材40に巻きつけた後、非生体部材40の上部42を、巻き付けた生体部材50上に下部44に向けて捲くる又は折り返すことにより、上部42の少なくとも一部が上方テーパー領域43より下に延び、ネック部46を覆うようにする。同様に、下部44を生体部材50上に上部42に向けて捲くる又は折り返すことにより、図3Aに示すように、下部44の少なくとも一部が下方テーパー領域45より上に延び、ネック部分46を覆うようにする。
【0081】
別の実施形態は、1以上の固定ストラップ58と、テザー60とを含む。固定ストラップ58は、ロール状ハイブリッド複合移植片に圧縮力を付与し、非生体部材に対する生体部材のミクロ及びナノ表面構造の摩擦接触及び結合により良く作用する。固定ストラップ58は、非生体部材40と同じ材料から構築することができる。
【0082】
テザー60は、本デバイスを移植する際の補助に役立つ。テザー60を用いて、組織/非生体部材組合せデバイスを骨孔に引っ張り入れることができる。テザー60は、移植片のテキスタイル部分と同じ材料から、又はステンレス鋼若しくは非生体吸収性ポリマーのような他の材料から作製することができる。テザー60は、ハイブリッドデバイスの構築段階の間、補助に用いることができる。例えば、生体部材50を非生体部材40に巻きつける間、テザー60を用いて非生体部材40を固定することができる。テザー60は、非生体部材40又は完全にアセンブルされたハイブリッド移植片に織込む、編込む、若しくは編組みしてもよい。テザー60は、非生体部材40と一体化してもよいし、テザー60がその目的を果たした時点で非生体部材40から取外せるように構成してもよい。さらにテザー60を放射線不透過性マーカーとして用いることもできる。
【0083】
別の移植片の構築では、前記非生体部材40の中空管に代わり、図4に示すような、非生体部材の平面シートを用いる。非生体部材80は、上部82、下部84、ネック部85、及びネック側縁86を含む。上部82及び下部84は、ネック部85と同じか又は異なる非生体部材でよい。例えば、一実施形態では、ネック部85は比較的高い引張強度の生体吸収性ポリマーのテキスタイルを含み、上部82及び下部84が比較的低い引張強度の生体吸収性ポリマーのテキスタイルを含むことができる。また非生体部材80は、既述したように非テキスタイルポリマーを含むことができる。
【0084】
また図4に関し、生体部材50は、上縁51、下縁52、及び側縁53を有する無細胞組織マトリックスを含む生体部材の平面シートとして用意される。非生体部材80を生体部材50の上に載せ、非生体部材80のネック側縁86が生体部材50の側縁53と一致するようにする。次に、ネック側縁86と側縁53がそろったままの状態で、ロールの最内部を形成するように、この二層部材を巻く。
【0085】
図4Aは、ロール状構造の外側表面を形成する生体部材50と、ロール状構造の最内部を形成するネック側縁86とを備える、前述のようにして構築したロール状ハイブリッド複合組織移植片を示す。上部82と下部84は、ロール状構造内の多層非生体材料を形成し、例えば干渉スクリューにより、ハイブリッド複合組織移植片を周囲の天然組織に固定する付加強度及び材料を提供することができる。
【0086】
ハイブリッド組織の一実施形態では、移植片は、それが置換しようとする天然構造の靭帯サイズ(長さ、幅、厚さ)にほぼ一致する。例えば、ACLについては、ハイブリッドデバイスは、ユニボディデバイスの場合には直径が約6〜12mmであり、2つの束に分離する場合には直径3〜6mmであることができる。除去しようとする天然組織と組織移植片のサイズが一致していれば、煩雑さが低減される。身体内で、特定サイズの靭帯は、骨構造間に滑り込み、適合する。小さすぎる靭帯は、応力を均等に分散することができず、また大きすぎる靭帯は一方又は両方の骨構造を干渉するか又は摩擦する。
【0087】
本発明のハイブリッド複合移植片の実際のサイズを、患者及び置換しようとする組織に合わせてカスタマイズできることは認識されよう。例えば、個々の部材のサイズ又は長さを変えることにより、1ロール以上の生体及び非生体部材を付加又は欠失させることができる。例えば、予め巻かれた複合構築物が長いほど、多数の巻きつけが可能になり、これによって、直径がより大きい最終ハイブリッド複合組織移植片が製造される。或いは、個々の部材の層数を変更して、ハイブリッド移植片の最終サイズを調整することも可能である。例えば、組織層、ポリマー層、及び別の組織層を含む複合構築物は、2層だけの複合構築物より直径の大きなハイブリッド移植片を提供する。
【0088】
また、人工ハイブリッド複合組織移植片を移植部位に固着又は固定する技術も本発明の様々な実施形態に含まれる。例えば、ACL置換では、死体又は自己移植片材料を固定するために簡便な干渉スクリューを用いるのが一般的である。一実施形態では、移植片構造の内側からハイブリッド複合組織移植片を固定する干渉スクリューが提供される。これを図5に示すが、ここでは、干渉スクリュー90が前進するにつれ、スクリュー90がハイブリッド移植片94の直径を広げ、これによって抵抗する骨孔に対して半径方向外向きに圧力を及ぼすように、干渉スクリュー90をハイブリッド移植片94のコアに挿入する。或いは、標準的な干渉スクリューを用いて、ハイブリッド移植片を固定してもよい。上記以外の一般的な固定デバイスを用いてもよく、そのようなものとして、クロスピン、エンドボタン、縫合糸、又はステープルなどが挙げられる。
【0089】
干渉スクリューは、チタン、ステンレス鋼、生物分解性金属、生物分解性又は生体吸収性ポリマー(例えばPGA、PLA、PLGA、若しくはPCL)からなるものでよい。典型的な干渉スクリューとして、Smith and Nephew(Andover MA, 01810)、スクリュータイプRCI Screwが挙げられる。
【実施例】
【0090】
実施例
バイオマトリックスを含む第1生体部材を有する、ACL置換に適したハイブリッド複合組織移植片を作製した。バイオマトリックスは、本明細書に記載する無細胞組織マトリックスと一致する無細胞組織マトリックスを含んだ。バイオマトリックスは、一枚の材料シートとして用意した。
【0091】
このハイブリッド複合組織移植片はまた、ポリヒドロキシブチレート(ポリヒドロキシアルカノエート)、例えば、Tepha, Incorporated(Cambridge, MA)製のTephaFlexポリマーから製造された第2の非生体部材も含んだ。第2部材も、第1生体部材と類似した寸法の一枚の材料シートとして用意した。
【0092】
複合移植片は、第1部材の上に第2部材を重ね、積層シートを巻いてロール状の複合材料とする(これによりロールの中心からロールの外側層に向かって第1部材及び第2部材からなる多層が生じる)ことにより構築した。ロール状複合材料の直径は約8mmであった。
【0093】
天然ACLは、一般に、以下に示す範囲内の生物力学的性能特性を有する:破壊荷重(1200〜2400 N);剛性(150〜300 N/mm);破壊応力(18〜28 Mpa);破壊歪(20〜35%);及び弾性係数(75〜180 Mpa)。天然ACL組織の本来の機械的及び生物学的性質と一致させるために、ハイブリッドデバイス中の各部材は、特定の設計要件を満たすように選択及び構築した。ハイブリッド組織の非生体部材は、弾性係数が約140 MPa、最大破壊荷重又は最終破壊荷重が約1200 Nであり、ハイブリッド複合組織移植片の構築前の分解抵抗は9〜16ヶ月であった。
【0094】
移植時の生体部材は、弾性係数が約55 MPaであり、複合ハイブリッド組織移植片構築前の最大破壊荷重は約600 Nであった。
【0095】
複合移植片をアセンブルした後、完成した移植片は、移植前に最大破壊荷重が約1400 Nであった。最終破壊荷重は移植後に低下したが、天然細胞がバイオマトリックス内で増殖するにつれ、時間経過と共に着実に増加した。移植片の最終破壊荷重は、移植から4ヶ月以内は約600 N、移植から8ヶ月以内は約400 N、そして移植から12ヶ月以内は約1000 Nであった。ACL置換のためのハイブリッド材料の剛性は、移植前は約85 N/mm、移植から4ヶ月以内は約106 N/mm、固定から8ヶ月以内は約78 N/mm、固定から12ヶ月以内は約176 N/mmであった。
【0096】
ハイブリッド組織によるACL置換によって、5件の試験のうち5件とも、移植から4ヶ月、8ヶ月、及び12ヶ月後に、バイオマトリックスを通して骨結合から反対側の骨結合まで連続した組織が形成された。組織のみの移植片は、典型的に、5回のうち2回、移植後4及び8ヶ月以内は連続的組織増殖をもたらすことができなかった。人工材料のみの移植片は、典型的に、5回のうち1回、移植後4、8及び12ヵ月以内は連続的組織増殖をもたらすことができなかった。
【0097】
図6は、例示的な実施形態の第1部材、第2部材及びハイブリッド移植片の時間経過による荷重容量を示す。図からわかるように、第1部材である線8は、移植直後に荷重容量が下降し、その後、天然細胞がバイオマトリックス全体に増殖するにつれ、荷重容量が増加するのを示している。線10は、第2部材の荷重容量が移植後初めは高く、時間経過と共に第2部材が分解するにつれ着実に低下するのを示している。線12は、第1部材と第2部材の両方を含むハイブリッド移植片の荷重容量を示す。
【0098】
特定の実施形態を参照しながら本発明をかなり詳細に説明してきたが、他の実施形態も可能である。例えば、ハイブリッド組織構造の実施形態は、軟組織を置換する必要がある、さらには、特定の負荷用量特性又は生物力学的特性を付与する必要がある、多くの用途に用いることができ、このような用途として、膝、足首、肩、首、及び脊椎の靭帯、腱、又は軟組織置換などが挙げられる。既述したものと同じ根本概念を用いて、他のハイブリッド系を開発することもできる。例として以下のものが挙げられる:人工半月板置換又は修復;腹壁(例えば、ヘルニア)修復;例えば、膝、肩及び股関節の軟骨修復;関節のリサーフェシング(関節を除去する代わりに、適切に設計されたアンカー又は縫合糸を用いて、繊維で補強したハイブリッド組織で関節表面を簡便に被覆することができる);並びに、ペースメーカーパウチ(ペースメーカー又は疼痛管理システムを含んで使用する簡便なバッグ/パウチにより、定期交換がはるかに簡単になり、より安定したアンカーペーサーインプラントを構築する)。従って、添付した特許請求の範囲の精神及び範囲は、本明細書に含まれる特定の実施形態に限定すべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】図1は、本発明の実施形態の生物力学的特性を示すグラフである。
【図2】図2は、本発明の実施形態の生物力学的特性を示すグラフである。
【図3】図3及び3Aは本発明の実施形態を示す。
【図4】図4及び4Aは本発明の実施形態を示す。
【図5】図5は本発明の実施形態を示す。
【図6】図6は本発明の例示的な実施形態の生物力学的特性を示すグラフである。
【符号の説明】
【0100】
2.理想的な移植片の応力−歪み曲線
3.人工又は天然組織移植片の例示的な応力−歪み曲線
4.改変型ハイブリッド移植片の応力−歪み曲線
40.非生体部材
42.上部
43.上方テーパー領域
44.下部
45.下方テーパー領域
46.ネック部
50.生体部材
51.上縁
52.下縁
53.側縁
58.固定ストラップ
60.テザー
80.非生体部材
82.上部
84.下部
85.ネック部
86.ネック側縁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオマトリックスを有する第1の生体部材と、
第2の非生体部材と
を含む複合材料を含む、移植可能な医療デバイス。
【請求項2】
第1部材が、複合材料の組成物の少なくとも一部で第2部材を覆っている、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項3】
第1部材が、複合材料の実質的に全てで第2部材を覆っている、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項4】
バイオマトリックスが無細胞組織マトリックスを含む、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項5】
バイオマトリックスが粒子状無細胞組織マトリックスを含む、請求項4に記載の医療デバイス。
【請求項6】
第2部材は、移植の時点で第1部材より高い荷重容量を有する、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項7】
第1部材は、移植後及びバイオマトリックス内での天然細胞の増殖後、第2部材より高い荷重容量を有する、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項8】
第2部材が生体吸収性ポリマーを含む、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項9】
第2部材が生体適合性金属を含む、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項10】
第2部材が、ポリヒドロキシブチレート、ポリ乳酸、ポリラクチドグリコリド酸、ポリジオキサノン、又はポリカプロラクトンを含む、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項11】
第2部材が連続的材料である、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項12】
第2部材が非生体材料を含むテキスタイルであり、該テキスタイルは、編物、織物、編組、若しくは非織物構造物、又は編物、織物、編組、若しくは非織物構造物の組合せである、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項13】
第2部材が非生体材料のモノフィラメントを含む、請求項12に記載の医療デバイス。
【請求項14】
第2部材が編組若しくは紡績マルチ糸をさらに含む、請求項12に記載の医療デバイス。
【請求項15】
第1部材が第2部材のテキスタイル構造内に組み込まれている、請求項12に記載の医療デバイス。
【請求項16】
第1部材が、コーティング、ペースト、粉末、若しくは液体として第2部材に適用される、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項17】
複合材料が、シート、シリンダー、ソリッドチューブ、中空管、又はロール状シートを形成する、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項18】
テザー部分をさらに含む、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項19】
医療デバイスを移植する方法であって、
複合材料を移植部位に供給するステップ、ここで、該複合材料は、バイオマトリックスを有する第1の生体部材と、移植の時点で該複合材料を強化するための第2の非生体部材とを含む、
該医療デバイスを移植部位の近位に固定するための1以上のアンカーを用意するステップ、及び
移植部位近位に該複合材料を固定するステップ、その際、アンカーが複合材料内部から該デバイスを固定する
を含む、上記方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2009−536567(P2009−536567A)
【公表日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−510162(P2009−510162)
【出願日】平成19年5月9日(2007.5.9)
【国際出願番号】PCT/US2007/068607
【国際公開番号】WO2007/134134
【国際公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【出願人】(504154148)ライフセル コーポレーション (13)
【氏名又は名称原語表記】LifeCell Corporation
【出願人】(508332140)スタウト メディカル グループ (1)
【Fターム(参考)】