説明

強化樹脂成形品の製造方法

【課題】 繊維基材8の全体に流動性樹脂が含浸しているとともに、表面の意匠性が改善された強化樹脂成形品を提供する。
【解決手段】 本製造方法は、成形型2の成形キャビティ5内に繊維基材8を配置する際に、繊維基材8に加えて、成形キャビティ5の内面5aと繊維基材8の間に、流動性樹脂が流動する隙間14を有する介挿部材10を配置する。その介挿部材10は、成形キャビティ5内で加熱されることによって溶融する。溶融した介挿部材10は、成形キャビティ5内に注入した樹脂に混入するので、強化樹脂成形品16の表面に介挿部材10の跡が残ることがない。介挿部材10の表面に表皮部材を配置しておいてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、強化樹脂成形品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、強化樹脂成形品の製造方法が開示されている。特許文献1に開示されている製造方法は、成形型の成形キャビティ内に繊維基材を配置する工程と、成形キャビティ内に流動性樹脂を注入する工程を備えている。配置工程では、成形キャビティの内面と繊維基材の間に、介挿部材を配置する。介挿部材によって、成形キャビティの内面と繊維基材の間に隙間を設け、繊維基材の全体に流動性樹脂を含浸させている。
【0003】
【特許文献1】特開2002−307463号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術で用いる介挿部材は、その内部を流動性樹脂が流動できるように、例えばメッシュで形成されている。そのため、完成した強化樹脂成形品の表面に、介挿部材の跡が残る。強化樹脂成形品の表面の意匠が悪くなってしまう。
本発明は、上記の課題を解決するものであり、繊維基材の全体に樹脂が含浸しているとともに、表面の意匠性が改善された強化樹脂成形品を製造するための技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の技術では、成形キャビティの内面と繊維基材の間に、流動性樹脂が流動可能な隙間を有する介挿部材を介在させる。それにより、成形キャビティに注入した流動性樹脂を、成形キャビティの内面に沿って、繊維基材の全体に行き渡らせることができる。樹脂が繊維基材の全体に行き渡ることから、繊維基材に流動性樹脂を均一に含浸させることができる。
また、本発明の技術では、上記した介挿部材を、成形キャビティ内で加熱することによって溶融させる。溶融した介挿部材は、成形キャビティに注入した流動性樹脂に混入する。そのため、本発明の技術で製造した強化樹脂成形品の表面には、介挿部材の跡が残らない。表面の意匠性が改善された強化樹脂成形品を製造することができる。
【0006】
本発明の技術は、強化樹脂成形品の製造方法に具現化される。この強化樹脂成形品の製造方法は、成形型の成形キャビティ内に繊維基材を配置するとともに、繊維基材と成形キャビティの内面の間に流動性樹脂が流動可能な隙間を有する介挿部材を配置する配置工程と、成形キャビティ内に流動性樹脂を注入する樹脂注入工程を備えている。本発明の方法では、加熱すると溶融する材料で介挿部材を形成しておく。介挿部材は、注入する流動性樹脂の熱で溶融させてもよいし、流動性樹脂を注入した後に成形キャビティ内を加熱して溶融させてもよい。溶融した介挿部材は、成形キャビティに注入した流動性樹脂に混入する。
介挿部材を形成する材料は、加熱すると溶融するものであればよく、特に限定されないが、例えば熱可塑性樹脂で形成することができる。介挿部材を形成する材料は、介挿部材に成形する際の加工性、溶融する際の温度、注入する樹脂材料との親和性等を考慮し、適宜選択するとよい。
【0007】
本発明の製造方法は、樹脂注入工程後に、成形キャビティ内を加熱する加熱工程をさらに備えることが好ましい。この場合、その加熱工程によって、介挿部材を溶融させることが好ましい。
この製造方法によると、樹脂注入工程の間は、介挿部材の形状が維持されることから、繊維基材の全体に流動性樹脂を確実に行き渡らせることができる。
【0008】
本発明の製造方法では、成形キャビティ内に注入する流動性樹脂が、熱硬化性樹脂でもよいし、熱可塑性樹脂でもよいし、常温硬化性樹脂でもよい。特に、その樹脂は、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂であることが好ましい。
成形キャビティ内に注入する流動性樹脂が熱硬化性樹脂の場合、その流動性樹脂を硬化させるときの熱で介挿部材を溶融することができる。
成形キャビティ内に注入する流動性樹脂が熱可塑性樹脂の場合、その流動性樹脂の温度を介挿部材が溶融する温度より高く設定することにより、その流動性樹脂の熱で介挿部材を溶融することができる。
【0009】
成形キャビティ内に注入する流動性樹脂が熱可塑性樹脂の場合、介挿部材は、成形キャビティ内に注入する流動性樹脂と同じ材料で形成されていることが好ましい。
それにより、完成した強化樹脂成形品中に、異なる材料が混在しない。強化樹脂成形品の特性を安定化させることができる。
【0010】
本発明の製造方法では、配置工程において、成形キャビティの内面と介挿部材の間に、介挿部材よりも融点の高い表皮部材をも配置することが好ましい。
それにより、完成した強化樹脂成形品の表面を、表皮部材で被覆することができる。強化樹脂成形品の意匠性をさらに向上させることができる。なお、表皮部材の例として樹脂フィルム等が挙げられる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の製造方法によると、繊維基材の全体に樹脂が含浸しているとともに、表面の意匠性が改善された強化樹脂成形品を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下では、本発明を実施する際の主要な特徴を列記する。
(特徴1)繊維基材には、炭素繊維を用いる。
(特徴2)強化樹脂成形品は意匠面と裏面を持ち、意匠面側に介挿部材を配置しておく。
(特徴3)強化樹脂成形品は意匠面と裏面を持ち、裏面側から流動性樹脂を注入する。
【実施例】
【0013】
(第1実施例)
図1は、成形型2の成形キャビティ5内に繊維基材8等が配置されている状態を示している。繊維基材8の詳細については後述する。成形型2は、上型2aと下型2bを有している。上型2aには、樹脂注入孔4と樹脂排出孔6が形成されている。樹脂注入孔4から流動性樹脂を注入し、その流動性樹脂を繊維基材8に含浸させ、その流動性樹脂を硬化させることにより、強化樹脂成形品を製造することができる。なお、上型2aと下型2bは座標軸のY方向に分割することができる。上型2aと下型2bが分割されている状態については、図示を省略する。以下に、本実施例における強化樹脂成形品の基本的な製造工程を説明する。
【0014】
図3は、熱硬化性樹脂を繊維基材に含浸させて強化樹脂成形品を製造する際のフローチャートを示している。
まず、上型2aと下型2bを分割した状態で、成形型2の成形キャビティ5内に、表皮部材12と介挿部材10と繊維基材8を配置する(配置工程:S1)。表皮部材12と介挿部材10は一体化されているので1つの部材とみなすことができる。そのため、成形キャビティ5内に、介挿部材10と繊維基材8を配置するということもできる。介挿部材10は、繊維基材8の意匠面側に配置する。ここでいう意匠面は、強化樹脂成形品の意匠面のことをいい、図1の下側のキャビティ内面5aで成形される面をいう。
介挿部材10は、隙間14を備えている。成形キャビティ5の内面5aと繊維基材8の間に介挿部材10を配置すると、成形キャビティ5の内面5aと繊維基材8の間に、流動性樹脂が流動する隙間14が形成される。介挿部材10は加熱することにより溶融可能な材料で形成されている。表皮部材12については後述する。
【0015】
配置工程が終了したら、上型2aと下型2bを密着させ、樹脂注入孔4から成形キャビティ5内に流動性樹脂を注入する(樹脂注入工程:S2)。本実施例では、成形キャビティ5内に熱硬化性樹脂を注入する。以下の説明では、樹脂注入孔4から成形キャビティ5内に注入された流動性樹脂のことを、「マトリクス樹脂」と称することがある。樹脂注入孔4から注入された流動性樹脂は繊維基材8を貫通して意匠面側に配置されている介挿部材10の隙間14に流れ込む。マトリクス樹脂は、流動抵抗の小さい隙間14を流動し、繊維基材8の意匠面側を被覆し終えると、基材下層8cから基材上層8aに向けて流動し、繊維基材8に含浸する。
【0016】
マトリクス樹脂の注入圧力が所定圧力に達すると(S3:YES)、マトリクス樹脂の注入を停止する(S4)。マトリクス樹脂の注入量が所定量に達する以前にマトリクス樹脂の注入圧力が所定圧力を超える場合は、樹脂排出孔6からマトリクス樹脂を排出して所定圧力未満にする。マトリクス樹脂の注入圧力が所定圧力に達していなければ(S3:NO)、S2に戻ってマトリクス樹脂の注入を継続する。
マトリクス樹脂の注入量が所定量を超え、しかもマトリクス樹脂の注入圧力が所定圧力に至るまで注入を続けると、マトリクス樹脂が繊維基材8の全体に行き渡り、繊維基材8にマトリクス樹脂の未含浸部が存在しない。なお、樹脂注入工程に先立って、成形キャビティ5内を減圧してもよい。
【0017】
次に、成形キャビティ内を所定温度まで加熱する(加熱工程:S5)。所定温度は、マトリクス樹脂が硬化する温度以上であることと、介挿部材10が溶融する温度以上であることと、表皮部材12が溶融する温度未満であることの全てを満足する温度に設定されている。例えば注入するマトリクス樹脂の材料がエポキシ樹脂であり、介挿部材10の材料がナイロンであり、表皮部材12の材料が加飾フィルムである場合、所定温度を80〜
180℃に設定する。
【0018】
成形キャビティ5内が所定温度に達した後、その温度を所定時間維持する。繊維基材8に含浸したマトリクス樹脂が硬化するとともに、介挿部材10が溶融してマトリクス樹脂に混入する。介挿部材10が樹脂工程終了前に溶融すると、繊維基材8内にマトリクス樹脂が十分に含浸される前に介挿部材10が溶融することがある。本実施例によると、樹脂注入工程中は、介挿部材10が溶融せず、隙間14が維持されるので、繊維基材8に確実にマトリクス樹脂を含浸させることができる。
その後、成形キャビティ内を冷却する(S6)ことにより、強化樹脂成形品16が完成する。このときに、溶融した介挿部材10も硬化する。
【0019】
図2に、介挿部材10が溶融し、マトリクス樹脂に混入した後の状態の繊維基材8を示している。なお、図面の明瞭化のため、繊維基材8内に含浸している樹脂の図示を省略する。図2に示すように、介挿部材10が溶融し、マトリクス樹脂に混入しているので、成形キャビティ5の内面5aと繊維基材8の間に介挿部材10が存在しない。強化樹脂成形品16の表面に介挿部材10の跡が残らないので、強化樹脂成形品16の意匠性が向上する。
【0020】
本実施例では、加熱工程において、所定温度を維持することにより、マトリクス樹脂を硬化させるとともに、介挿部材10を溶融している。しかしながら、加熱工程において、第1所定温度まで加熱してマトリクス樹脂を一次硬化させるとともに介挿部材10を溶融し、さらに第2所定温度まで加熱してマトリクス樹脂を二次硬化させてもよい。ここでいう一次硬化とは、成形品を仮硬化すること、すなわち、成形品を型から脱型可能な程度にまで硬化することをいう。また二次硬化とは、樹脂が有する性能(Tg等)を発揮させる程度にまで硬化することをいう。
【0021】
上記の工程により、繊維基材8の全体に樹脂が含浸されているとともに、表面の意匠性が向上した強化樹脂成形品16を製造することができる。以下に説明する工程及び特徴は、必須のものではないが、表面の意匠性が向上した強化樹脂成形品16を製造するために好適である。
【0022】
図1に示すように、成形キャビティの内面と介挿部材10の間に表皮部材12が配置されている。表皮部材12は、介挿部材10を配置する工程(配置工程)で、成形キャビティ5の内面5aと介挿部材10の間に配置される。なお、表皮部材12は、樹脂フィルムで形成されており、その融点は介挿部材10の融点よりも高く、マトリクス樹脂の硬化温度度よりも高い。そのため、介挿部材10が溶解しても、あるいはマトリクス樹脂が硬化しても、表皮部材12の形状は変化しない。
表皮部材12と介挿部材10が一体に形成されていてもよい。両者が一体に形成されていれば、介挿部材10の形状の自由度が大きくなる。すなわち、介挿部材10自身が一体化していないような形状を採用することもできる。
表皮部材12は、光沢や木目柄等の意匠を有していてもよい。完成した強化樹脂成形品16の外観に、任意の意匠性を持たせることができる。
【0023】
マトリクス樹脂が熱硬化性樹脂であるため、マトリクス樹脂を硬化させるときの加熱によって介挿部材10を溶融することができる。すなわち、介挿部材10を溶融させるための工程を設けることなく、マトリクス樹脂を硬化させる加熱工程によって介挿部材10を溶融することができる。熱硬化性樹脂の材料の例として、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル、フェノール樹脂、ビニルエステル等が挙げられる。
なお、介挿部材10は熱可塑性樹脂であることが好ましく、その材料の例として、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、スーパーエンジニアリングプラスチック(PEEK等)、ポリエーテルサルフォン(PES)等が挙げられる。
【0024】
繊維基材8は、基材下層8cと基材中層8bと基材上層8aが順に積層されている。基材下層8cと基材上層8aは、炭素繊維が座標Z方向に並んで形成されている。基材中層8bは、炭素繊維が座標X方向に並んで形成されている。すなわち、並ぶ方向が異なる炭素繊維が交互に積層されている。炭素繊維は、軽量であるとともに強度が強い。そのため、軽量で高強度の強化樹脂成形品16を得ることができる。なお、図1では並ぶ方向が異なる炭素繊維が3層積層されているが、積層する数は任意である。また、炭素繊維が一方向に並んでいてもよい。
【0025】
(第2実施例)
マトリクス樹脂は、熱可塑性樹脂であってもかまわない。成形キャビティ内の温度を調整することにより、マトリクス樹脂を硬化させるタイミングと介挿部材10が溶融するタイミングを調整することができる。それにより、マトリクス樹脂が繊維基材8内に十分に含浸する前に、マトリクス樹脂が硬化したり、介挿部材10が溶融することを防止することができる。
マトリクス樹脂が熱可塑性樹脂の場合、注入するマトリクス樹脂の温度を介挿部材10の融点以上に設定することにより、マトリクス樹脂を繊維基材8内に含浸させつつ介挿部材10を溶融させることができる。介挿部材10を溶融させるための工程を別個に設ける必要がない。なお、マトリクス樹脂の温度を介挿部材10の融点以下に設定しておき、マトリクス樹脂を繊維基材8に十分に含浸させた後に、加熱工程によって介挿部材10を溶融してもよい。
マトリクス樹脂を形成する熱可塑性樹脂の材料の例として、ナイロン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ABS,AES、ポリエチレンテレフタラート等が挙げられる。
マトリクス樹脂と介挿部材10が同じ材料であれば、強化樹脂成形品16内に異なる材料が混在しない。強化樹脂成形品16内において、位置毎の特性がばらつくことを抑制することができる。
【0026】
図4を参照し、本実施例の強化樹脂成形品の製造方法を説明する。図4は、熱可塑性樹脂を繊維基材に含浸させて強化樹脂成形品を製造するフローチャートを示している。
S11〜S14までの工程は、各々第1実施例のS1〜S4までの工程と同じである。但し、S12工程において、成形キャビティに注入するマトリクス樹脂が、介挿部材10が溶融する温度以上に加熱されている。そのため、成形キャビティ内に注入されたマトリクス樹脂は、流動抵抗の小さい隙間14を流動しつつ、介挿部材10を加熱溶融する。介挿部材10は、注入されたマトリクス樹脂の熱によって、除々に溶融してマトリクス樹脂に混入する。
【0027】
上記したように、注入するマトリクス樹脂の温度は、介挿部材10が溶融する温度以上に設定されている。例えばマトリクス樹脂と介挿部材10の材料がともにポリプロピレンであり、表皮部材12の材料がナイロンである場合、注入する樹脂の温度を150〜250℃に設定すればよい。その後、成形キャビティ内を冷却する(S15)ことにより、強化樹脂成形品が完成する。
【0028】
本実施例では、マトリクス樹脂と介挿部材10の材料が同じである。マトリクス樹脂と介挿部材10の材料は、異なっていてもよい。また、本実施例では、マトリクス樹脂が有する熱によって、介挿部材10を溶融している。しかしながら、介挿部材10が溶融する温度未満の温度でマトリクス樹脂を注入し、マトリクス樹脂が繊維基材8に含浸された後に成形キャビティ内を加熱し、介挿部材10を溶融してもよい。
【0029】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【0030】
上記実施例では、マトリクス樹脂の注入量が超え、さらにマトリクス樹脂の注入圧力が所定圧力に達したときに、マトリクス樹脂の注入を停止している。すなわち、成形キャビティ内に注入するマトリクス樹脂の量を、注入量と注入圧力の両方で管理している。成形キャビティ内に注入するマトリクス樹脂の量を、注入量と注入圧力のいずれか一方で管理してもよい。
【0031】
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項に記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数の目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】成形キャビティ内に繊維基材が配置されている状態を示す。
【図2】介挿部材が繊維基材内に含浸した後の状態を示す。
【図3】第1実施例の製造工程のフローチャートを示す。
【図4】第2実施例の製造工程のフローチャートを示す。
【符号の説明】
【0033】
2:成形型
5:成形キャビティ
5a:内面
8:繊維基材
10:介挿部材
12:表皮部材
14:隙間
16:強化樹脂成形品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流動性樹脂が繊維基材に含浸して硬化した強化樹脂成形品を製造する方法であり、
成形型の成形キャビティ内に繊維基材を配置するとともに、その繊維基材と成形キャビティの内面の間に流動性樹脂が流動可能な隙間を有する介挿部材を配置する配置工程と、
成形キャビティ内に流動性樹脂を注入する樹脂注入工程を備えており、
前記介挿部材を、加熱すると溶融する材料で形成しておくことを特徴とする強化樹脂成形品の製造方法。
【請求項2】
前記樹脂注入工程後に、成形キャビティ内を加熱する加熱工程をさらに備えており、
前記加熱工程によって前記介挿部材を溶融させることを特徴とする請求項1に記載の強化樹脂成形品の製造方法。
【請求項3】
前記介挿部材は、熱可塑性樹脂で形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の強化樹脂成形品の製造方法。
【請求項4】
前記樹脂注入工程で注入する流動性樹脂が、熱硬化性樹脂であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の強化樹脂成形品の製造方法。
【請求項5】
前記配置工程において、成形キャビティの内面と介挿部材の間に、介挿部材よりも融点の高い表皮部材をも配置することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の強化樹脂成形品の製造方法。
【請求項6】
前記樹脂注入工程で注入する流動性樹脂が、熱可塑性樹脂であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の強化樹脂成形品の製造方法。
【請求項7】
前記介挿部材が、前記樹脂注入工程で注入する流動性樹脂と、同じ材料で形成されていることを特徴とする請求項6に記載の強化樹脂成形品の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−64435(P2010−64435A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−234978(P2008−234978)
【出願日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】