説明

強化繊維基材の検査装置

【課題】強化繊維基材表面の外観検査を光学的手法で行う強化繊維基材検査装置において、特徴が異なる複数種類の不具合を単一の撮像手段、単一の照明手段で簡易かつ確実に検査することができる強化繊維基材の検査装置を提供することを目的とする。
【解決手段】一方向性織物であり、少なくともその片表面に樹脂材料が接着している強化繊維基材に対して、基材を照明する照明装置を設ける。照明装置の照射によって生じる基材の走行面での反射光を撮像装置で撮像し、基材の表面画像が得られる。得られた画像を画像解析装置によって解析することで、欠陥の有無を判定できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一方向性織物からなる強化繊維基材の検査装置および検査方法に関し、特に、樹脂材料が接着された強化繊維基材の外観検査(検反)を光学的手法で行う検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
繊維強化プラスチック(以下、FRPと記す。)は、その比強度、比弾性率の高さから様々な分野で多く利用されており、FRPに用いられる強化繊維基材は、特に高い性能を示すことから、航空機、船艇、自動車、等の高い強度を要求される用途に多く利用されている。例えば、特に高い力学特性を持つ基材として、一方向性織物の表面上に樹脂材料が接着されている強化繊維基材が提供されている(特許文献1)。
【0003】
これらFRPに用いられる強化繊維基材においては、微小な強化繊維基材欠点がFRPとした際の破壊起点および強度低下原因と成り得るため、強化繊維基材に関して厳しい検査規格が設けられており、高い精度の検査水準が要求される。
【0004】
従来、強化繊維基材の製造工程で繰り返し行われる検反作業は、作業者が走行中の強化繊維基材について目視で不具合を検出するものであり、作業者の負担が大きく、不慣れな作業者では製品の品質がばらつく、欠点の見逃しが発生する、という問題があった。
【0005】
そのため、省人化、精度向上、欠点流出防止などを目的とした自動化技術の導入が求められている。織物検査の分野では、検査時間の短縮や検査精度の向上のため、種々の自動化技術が提案されている。
【0006】
例えば、特許文献2および3には、織物柄を有する織物の検反作業において画像処理を利用して織り柄と不具合部とを区別する自動認識技術が開示されている。この技術は、織物表面の正常な画像と検査時における実画像とをテンプレートマッチング法や各種相関法(特許文献2)、周波数解析法(特許文献3)等により比較して不具合を抽出することを主たる特徴としている。この正常な柄とは異なる画像情報を抽出して織物表面における不具合を検出する技術を利用すれば、正規の織りの状態とは異なる異常な織り、即ち、不具合を検出することができる。
【0007】
上記の技術では、基準となる正常な織物の表面画像と検査時の画像とをテンプレートマッチング法、各種の相関法、周波数解析法等により比較して不具合を抽出しているので、正常な織物表面について明確な画像情報が不可欠となる。
【0008】
しかしながら、この技術では、織り柄の歪みが激しい織物や均一に樹脂材料が接着していない織物に対しては、特徴が明確でない画像情報を処理することになるので、光の照射条件または観察する方向の相違によって織物表面を明確に認識できない場合がある。この結果、不具合の種類、程度等によって抽出結果が大きく左右されることになる。
【0009】
また、テンプレートマッチング法はノイズに弱く処理に時間を要する、画像相関法は検査対象の傾きや大きさ等による補正が不可欠となる、周波数解析法は画像全体の周期性を解析するために処理に時間を要する等、画像の比較・解析方法の各々についても固有の課題を有している。
【0010】
上記従来技術の問題点を解消するために、特許文献4では、織物の外観検査を光学的手法で行う織物検査装置において、特徴が異なる複数種類の不具合を単一の検査装置にて検査することができる織物検査装置を提案している。不具合をその特徴が認識し易くなる観察方向毎に分類し、その観察条件を模擬する光の照射と反射光の受光系とを構築することで、分類した不具合の特徴を反映した画像情報を得ることができる。この結果、類似する特徴を有する不具合をその特徴の抽出に必要な比較的簡易な画像処理によって、一つのシステムで特徴の異なる複数種類の不具合を同時に検出することができる。
【0011】
しかしながら、不具合をその特徴が認識し易くなる観察方向毎に光を照射する必要があるため、不具合をその特徴が認識し易くなる観察方向毎に複数の照明手段が必要となり、装置コストが増大する、という問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2006−192745号公報
【特許文献2】特開2007−291535号公報
【特許文献3】特開2007−132757号公報
【特許文献4】特開2003−138468号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は上記従来技術の問題点を解消するためになされたもので、強化繊維基材表面の外観検査を光学的手法で行う強化繊維基材検査装置において、特徴が異なる複数種類の不具合を単一の撮像手段、単一の照明手段で簡易かつ確実に検査することができる強化繊維基材の検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、本発明は次の構成を特徴とするものである。すなわち、
(1)強化繊維糸条Aを少なくとも一方向に引き揃え、かつ、一方向にお互いが並行に配列された強化繊維糸条Bと、その直角方向にお互いに並行に配列された補助繊維糸条とが、織組織を形成している一方向性織物の少なくとも片表面に樹脂材料が接着されている強化繊維基材の検査装置であって、少なくとも次の(a)〜(c)の手段を備えることを特徴とする、強化繊維基材の基材欠点および樹脂材料欠点の、位置および種類を検出する検査装置である。
(a)前記強化繊維基材に光を照射する1つの照明手段。
(b)前記照明手段による反射光を受光する1つの撮像手段。
(c)前記撮像手段によって得られた画像データを処理するデータ処理手段。
【0015】
(2)本発明の強化繊維基材の欠点を検出する検査装置において、照明手段の照射面がライン状または平面状の形状であることが好ましい。
【0016】
(3)本発明の強化繊維基材の欠点を検出する検査装置において、照明手段の照射面が、強化繊維基材の配列方向に直交する位置に配置されること、さらに、強化繊維基材の幅方向を覆う位置に配置されることが好ましい。
【0017】
(4)本発明の強化繊維基材の欠点を検出する検査装置において、データ処理手段が次の(i)〜(iii)の手段有してなることが好ましい。
(i)強化繊維糸条Bを抽出する第1のデータ処理手段。
(ii)第1のデータ処理手段によって得られた強化繊維糸条Bの画像データから強化繊維糸条Bの重心位置を算出する第2のデータ処理手段。
(iii)第2のデータ処理手段によって得られた重心位置から強化繊維糸条Bの消失を判定する第3のデータ処理手段。
【0018】
(5)本発明の強化繊維基材の欠点を検出する検査装置において、データ処理手段によって得られた重心位置を、画像上で強化繊維糸条Aの方向をy方向、強化繊維糸条Aと直交する方向をx方向とした場合に、隣り合う強化繊維糸条Bのx方向間隔から、強化繊維糸条Bの消失を判定すること、さらに、データ処理手段によって得られた重心位置を、画像上で強化繊維糸条Aの方向をy方向、強化繊維糸条Aと直交する方向をx方向とした場合に、隣り合う強化繊維糸条Bのy方向座標を予め設定した閾値と比較することで、強化繊維糸条Bの消失を判定することが好ましい。
【0019】
(6)本発明の強化繊維基材の好ましい製造方法は、強化繊維糸条を製織し、樹脂材料を接着させる工程を経た後に、上記本発明の検査装置を用いた検査工程を有してなる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の強化繊維基材の検査装置は、強化繊維基材における特徴が異なる複数種類の欠点を、単一の照明手段からなる検査装置で廉価にかつ確実に検出することができる、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の形態に係る強化繊維基材検査装置の概略図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る強化繊維基材検査装置の側面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る被検査対象物の構成要素を示す模式図である。
【図4】(A)、(B)、(C)、(D)は、本発明の実施の形態の照明装置の照明により得られた欠点部画像の例を示す図である。
【図5】粒子付着異常の検出フローを示す流れ図である。
【図6】粒子付着異常の各検出処理を実施して得られた画像を示す図である。
【図7】強化繊維糸条Bの糸切れの検出フローを示す流れ図である。
【図8】強化繊維糸条Bの糸切れの各検出処理を実施して得られた画像を示す図である。
【図9】補助繊維糸条の糸切れの検出フローを示す流れ図である。
【図10】補助繊維糸条の糸切れの各検出処理を実施して得られた画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0023】
(装置概略)
図1および図2には、本発明の強化繊維基材検査装置の概略が示されている。シート状の基材4は、矢印Aで示す基材4の長手方向(織り方向)に沿って間欠に搬送される。基材4上方の所定位置には、基材4に対して所定角度で基材表面へ光を照射して基材4を照明するように、照明装置3が配置され、さらに、基材4で反射された反射光を受光するように、撮像装置(以下、「カメラ」という)2が配置されている。カメラ2で撮像された画像は、画像入力装置5へ入力され、さらに、画像解析装置6にて解析および欠点判定が実施される。画像解析装置6にて解析および判定された結果は、画像記憶装置7にて保存される。
【0024】
(被検査対象)
本実施の形態では、被検査対象基材として、図3に示すような強化繊維糸条Aを少なくとも一方向に引き揃え、かつ、一方向にお互いが並行に配列された強化繊維糸条Bと、その直角方向にお互いに並行に配列された補助繊維糸条とが、織組織を形成している一方向性織物からなる強化繊維基材を用いている。
【0025】
本発明で用いる強化繊維糸条AまたはBとしては、特にその種類に制限はなく、例えば、炭素繊維、ガラス繊維、有機繊維(例えば、アラミド繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維、ポリエチレン繊維、ポリビニルアルコール繊維等) 、金属繊維またはセラミック繊維、これらの組み合わせ等を用いることができる。中でも、炭素繊維は、比強度および比弾性率に優れ、耐吸水性に優れるので、強度要求の高い航空機や自動車の構造部材向けの強化繊維糸条として好ましく用いられる。本発明で用いる補助繊維糸条(よこ方向) は、基本的には基材の強度保持に寄与しないものであり、その繊度が強化繊維糸条の繊度より少なくとも20%以下のものを指す。
【0026】
よこ糸となる補助繊維糸条の糸密度は1〜5 本/cmであることが好ましい。この範囲であればよこ糸の存在により、基材の90°方向への樹脂の流れを確保できるとともに補強繊維の屈曲度合いを小さくできる。
【0027】
よこ糸の種類としては、炭素繊維やガラス繊維などの無機繊維、ポリアラミド繊維、ポリアミド繊維、ビニロン繊維、ポリエステル繊維などの有機繊維が使用できる。なかでも、ポリアミド繊維のマルチフィラメントは、FRPにした際にマトリックス樹脂との接着が良好で、かつ細繊度糸を安価に製造できることから好ましい。
【0028】
本発明で用いる、一方向性織物の少なくとも片表面に接着される樹脂材料は、強化繊維基材の取扱性を向上させ、複合材料の力学特性を向上させるものであれば特に限定されない。かかる樹脂材料として、熱硬化性樹脂および/ または熱可塑性樹脂を適宜選択して使用することができる。
【0029】
熱硬化性樹脂をかかる樹脂材料の主成分として用いる場合には、エポキシ、不飽和ポリエステル、ビニルエステル、フェノール、ビスマレイミドから選ばれる少なくとも1種であるのが好ましく、その中でもとりわけエポキシが好ましい。エポキシを使用すると、接着性が高いため基材の接着性やタック性に優れるだけでなく、特にマトリックス樹脂としてエポキシ樹脂を用いた場合に高い力学特性を発現することができる。
【0030】
エポキシを主成分とする場合は、硬化剤や硬化触媒等を含んでもよいが、樹脂材料のライフの面からは含まない方が好ましい。含む場合でも潜在性の高い硬化剤や硬化触媒であれば特に大きな問題とはならない。
【0031】
熱可塑性樹脂をかかる樹脂材料の主成分として用いる場合には、ポリアミド、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンエーテル、ポリイミド、ポリアミドイミド、フェノキシから選ばれる少なくとも1 種であるのが好ましく、その中でもポリアミド、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルスルフォン、フェノキシがとりわけ好ましい。
【0032】
これら樹脂材料は、粒子形状が好ましく、前記織物上に撒布され、接着されている。
【0033】
(照明手段)
本発明における照明装置3が強化繊維基材を照明する角度は、図2に示すように、後述の撮像装置2へ正反射しない角度で照明する乱反射方式であることが好ましい。乱反射方式では光量は大きくできないものの、正反射方式では検出し難い基材欠点(例えば、樹脂材料ムラ、強化繊維糸条接合など)を検出することができる。特に、強化繊維糸条として炭素繊維を用いた強化繊維基材では、乱反射方式は有効である。
【0034】
照明装置3は、照射面がライン状または平面状の形状を有し、強化繊維基材の配列方向に直交される位置であることや、強化繊維基材の幅方向を覆う位置に配置されていることが好ましい。これは、基材幅方向を同時に検査する場合、スポット状の照明を幅方向に並べて配置するよりも、照射面がライン状または平面状の照明を基材に直交する位置に配置した方が、均一に基材表面を照射することができ、照明ムラによる検出精度の劣化を防ぐことができるためである。
【0035】
また、照明装置3は、基材の織り方向から基材表面に対する角度θ1を、低い角度(例えば、45°またはこれ以下の角度)で基材を照射するように配置されていると良い。織物の検査装置では、糸切れや糸抜けのような織物の一部が欠落している欠点に関しては、透過型の照明を基材に対して撮像装置と反対面に配置することが多い。そのため、糸解れの毛羽のような織物表面に発生する欠点と、糸切れや糸抜けのような織物の一部が欠落している欠点を同時に検査する場合、2つ以上の照明を配置する必要がある。しかし、本発明では、低角にて配置された照明装置3によって基材表面を照射することで、基材表面の正常部、基材表面に発生する欠点部、および基材の一部の欠落部の間に明確な輝度差があるため、基材の一部の欠落を検出するための専用の透過型照明を配置する必要がない。つまり、照明装置3の単一の照明によって、基材に発生する全欠点を検出することができる。
【0036】
(撮像手段)
基材4上方の所定位置には、基材4で反射された反射光を受光するように、光軸を基材表面に対して略直交させて撮像装置2が配置されている。この基材検査装置では、照明装置3から基材4の表面に対して光を照射し、基材4の表面で反射した光によって基材の表面画像を撮像装置で撮像する。これにより、基材4の所定範囲の2次元表面画像を得ることができる。撮像装置2としては、例えばCCDラインセンサカメラ等を用いることが好ましい。また、上述したように、本発明では、糸解れの毛羽のような織物表面に発生する欠点と、糸切れや糸抜けのような織物の一部が欠落している欠点を同時に検査する場合においても、照明装置3の単一の照明によって、基材に発生する全欠点を検出することができる。そのため、単一の撮像装置によって基材4で反射された反射光を受光することができ、本発明における強化繊維基材の検査装置は、撮像装置2の単一の撮像装置にて構成される。
【0037】
(データ処理手段)
画像入力装置5は、照明装置3によって照明された基材4を、カメラ2で撮像した表面画像を順次入力する。
【0038】
画像入力装置5に入力された画像は、画像解析装置6に供給されて時系列に解析処理される。そして、画像解析装置6での解析結果、解析結果をもとにした不具合の発生の有無、不具合の種類、およびその発生位置が検出されて、解析が終了する。
【0039】
解析が終了すると、画像記憶装置7へ入力され、画像解析装置6にて解析・判定された情報が保存される。なお、解析(検出)処理の方法および結果判定の方法については後述する。
【0040】
上記で説明したように照明、撮影、解析、および結果判定、保存の一連の検査が繰り返されて、織物の長手方向に対して連続した自動検査が行われる。また、本検査装置では、被検査対象である基材の表面における毛羽、糸切れ、糸抜け、接合、粒子付着異常、付着物を含む欠点の少なくとも1つ以上を検出することができる。
【0041】
以下に、基材の欠点を検出する具体的なデータ処理方法について、欠点の種類毎に説明する。
【0042】
(1)強化繊維糸条Aの糸切れ、接合、粒子付着異常の検出方法
まず、強化繊維糸条Aの糸切れ、接合および粒子付着異常の検出方法について説明する。強化繊維糸条Aの糸切れ、接合、粒子付着異常の各欠点は、基材表面に対して、照明装置を織り方向から低い角度で照明することで、強化繊維基材Aとの反射特性が異なる。強化繊維糸条Aの糸切れは、強化繊維糸条中に隙間が発生することから、強化繊維基材の平面上で反射しないため、暗方向に撮像される。また、強化繊維糸条Aの接合による不具合は、接合用の接着剤が付着しているため、接着剤表面が反射する。本発明において使用した接着剤は、強化繊維糸条Aよりも明るいため、接合部分も強化繊維糸条Aよりも明るく撮像される。そのため、粒子付着異常は、強化繊維糸条Aよりも明るく、さらに、強化繊維糸条Aの接合に用いる接着剤よりも明るいため、これらの欠点の中で最も明るく撮像される。このように、各欠点によって反射特性が異なるため、反射特性から欠点を容易に判別することができる。
【0043】
次に、上記の原理に基づいて粒子付着異常を検出する画像解析装置の粒子付着異常判定フローに関して、図5を参照して説明する。まず、画像入力装置5から取り込んだ原画像から粒子付着異常の欠点部分のみを抽出するため、粒子付着異常部分が暗く、それ以外の基材部分を明るくなるように、所定の2値化レベルを基準に原画像を2値化し(ステップ100)、粒子付着異常部分を分離する。この2値化レベルは、例えば、画素の濃度ヒストグラムを作成し、この濃度ヒストグラムから対象(粒子付着異常部)の明るさと背景(強化繊維糸条A)の明るさとの境界を示す境界値として求めることができる。また、織物の種類に応じて予め最適な2値化レベルを算出して画像解析装置に設定しておいて2値化してもよい。
【0044】
次に、抽出した欠点画像について、各領域の面積を計測し、所定の面積以下の領域を消去することにより、ノイズ等を除去する(ステップ102)。その後、強化繊維糸条Bおよび補助繊維糸条等の影響で粒子付着異常部に連結できていない部分が生じるため、粒子付着異常部を誤って正常と判定するのを防止するために、上記で得られた2値化画像に対して膨張収縮処理を行う(ステップ104)。この膨張収縮処理によって、図6(D)に示すような、明確に粒子付着異常部分が分離された2値化画像を得ることができる。
【0045】
次の処理(ステップ106)では、正常な粒子撒布状態より面積が広い粒子付着異常欠点を検出する。この粒子付着異常は、分離した粒子付着異常の画像毎に、長さ、周囲長、および面積を求めて、正常な粒子撒布状態の長さ、周囲長、および面積と比較し、長さ、周囲長、および面積が所定値以上大きい画像を検出する(ステップ108)ことで判定することができる。
【0046】
(2)強化繊維糸条Bの糸切れ
まず、強化繊維糸条Bの糸切れを検出する原理について説明する。本発明における強化繊維糸条Bは、強化繊維糸条Aとは反射特性が異なる糸条が好ましい。強化繊維糸条Bは、照明装置により照射されると、反射散乱しやすい材質であるため、強化繊維糸条Aよりも明るく撮像される。また、補助繊維糸条は強化繊維糸条Bと垂直に交わるため、配向特性を利用して補助繊維糸条と分類することができる。さらに、強化繊維糸条Bは、基材表面に接着されている樹脂材料と形状が異なるため、形状によって樹脂材料と分類することができる。このように、強化繊維糸条Bは、基材を構成する強化繊維糸条A、補助繊維糸条、および樹脂材料と形状・特性が異なるので、強化繊維糸条Bのみを抽出することができる。その結果、強化繊維糸条Bの糸切れが発生している部分は、強化繊維糸条Bの同一糸条上に暗く撮像され、欠点を容易に認識することができる(第1のデータ処理手段)。
【0047】
次に、第1のデータ処理手段によって得られた強化繊維糸条Bの画像データから、強化繊維糸条Bの重心位置を算出する(第2のデータ処理手段)。ここで、本発明の被検査対象である強化繊維機材は、欠点規格が厳密であるため、欠点判定を行う際に、強化繊維糸条Bの糸切れ箇所の長さを精密に測定する必要がある。そこで、強化繊維糸条Bの糸切れ長さを精度良く測定する方法として、重心位置を基準にする測定方法が好ましい。
【0048】
最後に、第2のデータ処理手段によって得られた重心位置から、強化繊維糸条Bの消失を判定する(第3のデータ処理手段)。具体的には、前記データ処理手段によって得られた重心位置を、画像上で強化繊維糸条Aの方向をy方向、強化繊維糸条Aと直交する方向をx方向とした場合に、隣り合う強化繊維糸条Bのx方向間隔から、強化繊維糸条Bの消失を判定する。さらに、上記データ処理手段によって得られた重心位置を、画像上で強化繊維糸条Aの方向をy方向、強化繊維糸条Aと直交する方向をx方向とした場合に、隣り合う強化繊維糸条Bのy方向座標を予め設定した閾値と比較することで、強化繊維糸条Bの消失を判定する。
【0049】
次に、強化繊維糸条Bの糸切れを検出する画像解析装置の糸切れ判定フローに関して、図7を参照して説明する。まず、画像入力装置5から取り込んだ原画像から強化繊維糸条Bのみを抽出するため、横方向微分処理によって、強化繊維糸条Bと垂直に交わる補助繊維糸条を除去し(ステップ120)、強化繊維糸条Aおよび樹脂材料部分が暗く、それ以外の基材部分を明るくなるように、所定の2値化レベルを基準に原画像を2値化し(ステップ122)、強化繊維糸条B部分を分離する。この2値化レベルは、例えば、画素の濃度ヒストグラムを作成し、この濃度ヒストグラムから対象(強化繊維糸条B部)の明るさと背景(強化繊維糸条A)の明るさとの境界を示す境界値として求めることができる。また、織物の種類に応じて予め最適な2値化レベルを算出して画像解析装置に設定しておいて2値化してもよい。
【0050】
その後、補助繊維糸条等の影響で強化繊維糸条B部分に連結できていない部分が生じるため、強化繊維糸条Bの正常部を誤って異常と判定するのを防止するために、上記で得られた2値化画像に対して膨張収縮処理を行う(ステップ124)。この膨張収縮処理によって、図8(E)に示すような、明確に強化繊維糸条Bが分離された2値化画像を得ることができる。
【0051】
本発明では、強化繊維糸条Bの糸切れ判定を行うために、上記で抽出した各強化繊維糸条Bの重心点を用いる。そこで、重心点の抽出を容易かつ確実にさせるために、細線化処理を実施し(ステップ126)、その後、各強化繊維糸条Bの重心点を抽出し(ステップ128)、重心位置および重心間距離を測定する(ステップ130)。強化繊維糸条Bの糸切れが発生した場合、重心位置のy座標値または重心間距離が所定値よりも大きく/小さくなる。例えば、図8(G)に示す場合では、画像中央部において強化繊維糸条Bの糸切れが発生しており、(1)正常な強化繊維糸条Bと比較して、重心位置のy座標値に差異が発生している、(2)隣り合う重心点との重心間距離が、正常な強化繊維糸条B間の重心間距離より大きくなっている、という特徴が得られている。これによって、強化繊維糸条Bの糸切れ判定(ステップ132)を行うことができる。
【0052】
(3)補助繊維糸条の糸切れ
まず、補助繊維糸条の糸切れを検出する原理について説明する。本発明における補助繊維糸条は、強化繊維糸条Aとは反射特性が異なる糸条が好ましい。補助繊維糸条は、照明装置により照射されると、反射散乱しやすい材質であるため、強化繊維糸条Aよりも明るく撮像される。また、強化繊維糸条Bと垂直に交わるため、補助繊維糸条は配向特性を利用して、強化繊維糸条Bと分類することができる。さらに、補助繊維糸条は、基材表面に接着されている樹脂材料と形状が異なるため、形状によって樹脂材料と分類することができる。このように、補助繊維糸条は、基材を構成する強化繊維糸条A、強化繊維糸条B、および樹脂材料と形状・特性が異なるので、補助繊維糸条のみを抽出することができる。その結果、補助繊維糸条の糸切れが発生している部分は、補助繊維糸条の同一糸条上に暗く撮像され、欠点を容易に認識することができる。
【0053】
次に、上記の原理に基づいて補助繊維糸条の糸切れを検出する画像解析装置の糸切れ判定フローに関して、図9を参照して説明する。まず、画像入力装置5から取り込んだ原画像から補助繊維糸条のみを抽出するため、縦方向微分処理によって、補助繊維糸条と垂直に交わる強化繊維糸条Bを除去し(ステップ140)、強化繊維糸条Aおよび樹脂材料部分が暗く、それ以外の基材部分を明るくなるように、所定の2値化レベルを基準に原画像を2値化し(ステップ142)、補助繊維糸条部分を分離する。この2値化レベルは、例えば、画素の濃度ヒストグラムを作成し、この濃度ヒストグラムから対象(補助繊維糸条部)の明るさと背景(強化繊維糸条A)の明るさとの境界を示す境界値として求めることができる。また、織物の種類に応じて予め最適な2値化レベルを算出して画像解析装置に設定しておいて2値化してもよい。
【0054】
その後、強化繊維糸条B等の影響で補助繊維糸条部分に連結できていない部分が生じるため、補助繊維糸条の正常部を誤って異常と判定するのを防止するために、上記で得られた2値化画像に対して膨張収縮処理を行う(ステップ144)。この膨張収縮処理によって、図9(C)に示すような、明確に補助繊維糸条が分離された2値化画像を得ることができる。
【0055】
次の処理では、正常な補助繊維糸条より短い補助繊維糸条欠点を検出する。この補助繊維糸条は、分離した補助繊維糸条毎に補助繊維糸条長さを求めて(ステップ146)、正常な補助繊維糸条の長さと比較し、所定値より小さい糸条の存在を確認することで判定する(ステップ148)ことができる。
【0056】
本実施の形態によれば、従来困難とされていた基材(織物)表面の糸切れ、糸接合等の織り状態、毛羽、毛羽玉等の糸解れ・固まりのような固形物の付着、樹脂材料の撒布異常等を総合的に簡易かつ確実に検査できる。
【0057】
そして、強化繊維糸条を製織し、樹脂材料を接着させる工程を経た後に、前記検査装置を用いた検査工程を有する強化繊維基材の製造方法を用いることにより、強化繊維基材における特徴が異なる複数種類の欠点を、単一の照明手段からなる検査装置で廉価にかつ確実に検出することができる。
【実施例】
【0058】
以下に、実施例に基づいて、本発明を具体的に説明する。図1または図2に示す、実施例において用いた強化繊維基材検査装置1の構成を以下に示す。
照明手段: LEDバー型照明(長さ920mm)
撮像手段: ラインセンサカメラ(8192画素、DALSA社製P2−43−8K−40)
基材の走行面と照明手段がなす角度θ1: 45°
基材の走行面と撮像手段がなす角度θ2: 90°
基材の走行速度:10m/min
撮像手段と基材の走行面の距離WD:600mm。
【0059】
上記の構成により、幅1000mmの強化繊維基材を、10m/minの速度で走行させて検査を実施した。被検査対象は、強化繊維糸条Aに炭素繊維、強化繊維糸条Bにガラス繊維、補助繊維糸条として強化繊維糸条Bと同じガラス繊維、樹脂材料としてエポキシを主成分とする熱可塑性樹脂にて構成した。
【0060】
図4(A)〜(D)に、上記構成にて得られた欠点部周辺の画像の例を示す。図4の画像は、照明装置3から基材4の搬送方向に沿って斜め上方から低い角度で光を照射して得られた画像である。(A)に示す画像は、強化繊維糸条または補助繊維糸条の糸切れが発生した欠点の画像である。強化繊維糸条においては、強化繊維糸条の隙間が明確になるため、強化繊維糸条の糸切れの認識が容易である。補助繊維糸条においては、強化繊維糸条Aとの反射特性(明るさ情報)が異なるため、補助繊維糸条の有無が明確になり補助繊維糸条の糸切れの認識が容易である。(B)に示す画像は、表面に突出した毛羽または毛羽玉が発生した不具合の画像であり、糸の解れや固まりの認識も極めて容易である。(C)に示す画像は、補助繊維糸条の糸切れを含む、強化繊維糸条Aの接合による欠点の画像である。強化繊維糸条Aの接合に使用される接着剤は、強化繊維糸条Aとの反射特性が異なるため、強化繊維糸条Aの接合の認識も容易である。(D)に示す画像は、樹脂材料の剥がれが発生した不具合の画像である。樹脂材料の剥がれは、強化繊維糸条A樹脂材料が強化繊維基材に接着されている場合との反射特性が異なるため、樹脂材料の付着異常も認識が容易である。
【0061】
以上の通り、本発明の強化繊維基材検査装置では、前記照明条件(照明方向および照射角度)で配置した照明装置から基材を照明し、欠点の特徴を得やすい画像を得て、各画像を画像解析装置で解析処理することによって、樹脂材料が接着した一方向性織物の外観検査において、表面に突出した毛羽または毛羽玉のような糸の解れや固まり、糸切れ、糸抜け、粒子付着異常等の特徴が異なる複数種類の欠点を単一の照明、単一のカメラで検出することができることがわかる。
【0062】
次に、本発明の強化繊維基材の検査装置を用いて基材の欠点を検出する具体的な検出方法について、不具合の種類毎に説明する。
【0063】
(1)強化繊維糸条Aの糸切れ、接合、粒子付着異常の検出方法
強化繊維糸条Aの糸切れ、接合、粒子付着異常の検出方法に関して、粒子付着異常欠点を例に、図5の異常判定フローに従って詳細に説明する。
【0064】
まず、図6(A)の繊維強化基材の画像に対して、粒子付着異常部分を抽出するために、2値化の閾値を5および10に設定し(ここでは、2値化の閾値を0〜5を黒、5〜10を白、10〜255を黒へ2値化することを表す。)、2値化処理を実施した(図6(B))。次に、2値化処理後の画像に対して、ノイズ成分を除去するために、面積20画素以下の領域を除去した(図6(C))。2値化処理後の画像(図6(B))およびノイズ除去処理後の画像(図6(C))において、格子状に領域が分割されていることが確認できる。これは、強化繊維糸条Bおよび補助繊維糸条の影響によるものであるが、この強化繊維糸条Bおよび補助繊維糸条の影響を無くすために、分割された領域を補間する必要がある。そこで、ノイズ除去処理後の画像(図6(C))に対して、強化繊維糸条Bおよび補助繊維糸条による糸隙間を補間するために、縦・横両方向に3画素の膨張処理を実施した(図6(D))。最後に、所定の面積と比較することで、粒子付着異常欠点を検出することが可能であった。
【0065】
粒子付着異常欠点以外の強化繊維糸条Aの糸切れおよび接合欠点に関しても、同様の処理によって検出することが可能であった。
【0066】
(2)強化繊維糸条Bの糸切れ
強化繊維糸条Bの糸切れの検出方法に関して、図7の異常判定フローに従って詳細に説明する。
【0067】
まず、図8(A)の繊維強化基材の画像に対して、強化繊維糸条Bを抽出するために、微分処理および2値化処理を実施した。微分処理に関しては、補助繊維糸条の影響を無視するために、横方向に微分し、強化繊維糸条Bのエッジ部分を取り出した(図8(B))。また、微分処理後、2値化の閾値を6に設定し(ここでは、2値化の閾値を0〜6を黒、6〜255を白へ2値化することを表す。)、2値化処理を実施した(図8(C))。次に、2値化処理後の画像に対して、ノイズ成分を除去するために、面積20画素以下の領域を除去した(図8(D))。ここで、微分処理およびノイズ除去処理によって、正常な強化繊維糸条Bの一部が除去されてしまう可能性がある。しかし、この除去された強化繊維糸条Bの糸途切れは、正常部分であるため、無視する必要がある。そこで、ノイズ除去処理後の画像(図8(D))に対して、強化繊維糸条Bの糸途切れを補間するために、縦方向に3画素の膨張処理を実施した(図8(E))。以上の処理により、強化繊維糸条Bの抽出を実施した。
【0068】
ここから、強化繊維糸条Bの糸切れを検出するための処理について説明する。強化繊維糸条Bの糸切れ欠点の判定を行うために、強化繊維糸条Bの各糸条の重心位置または重心間距離を用いている。膨張処理後の画像(図8(E))に対して、各強化繊維糸条Bの重心を求めるが、上記膨張処理によって各糸条の横幅が広くなっている。そこで、細線化処理によって横(y)方向成分を1画素にすることで、重心位置を安定化させた(図8(F))。細線化処理後に、強化繊維糸条Bの糸切れ判定を行うために、各強化繊維糸条Bの重心を抽出した(図8(G))。最後に、隣り合う重心間にて重心間距離を算出し、所定の大きさ以上の重心間距離である重心を求めることで、強化繊維糸条Bの糸切れ欠点を検出した。
【0069】
(3)補助繊維糸条の糸切れ
補助繊維糸条の糸切れの検出方法に関して、図9の異常判定フローに従って詳細に説明する。
【0070】
まず、図10(A)の繊維強化基材の画像に対して、補助繊維糸条を抽出するために、微分処理および2値化処理を実施した。微分処理に関しては、強化繊維糸条Bの影響を無視するために、縦方向に微分し、補助繊維糸条のエッジ部分を取り出した(図10(B))。また、微分処理後、2値化の閾値を6〜255に設定しここでは、2値化の閾値を0〜6を黒、6〜255を白へ2値化することを表す。)、2値化処理を実施した(図10(C))。次に、2値化処理後の画像に対して、ノイズ成分を除去するために、面積20画素以下の領域を除去した(図10(D))。ここで、微分処理およびノイズ除去処理によって、正常な補助繊維糸条の一部が除去されてしまう可能性がある。しかし、この除去された補助繊維糸条の糸途切れは、正常部分であるため、無視する必要がある。そこで、ノイズ除去処理後の画像(図10(D))に対して、補助繊維糸条の糸途切れを補間するために、横方向に3画素の膨張処理を実施した(図10(E))。以上の処理により、補助繊維糸条の抽出を実施した。
【0071】
ここから、補助繊維糸条の糸切れを検出するための処理について説明する。補助繊維糸条の糸切れ欠点の判定は、上記強化繊維糸条Bとは異なり、補助繊維糸条の長さにより欠点判定を行った。すなわち、所定の長さ以下の補助繊維糸条を補助繊維糸条の糸切れ欠点として検出した。
【0072】
以上に示すデータ処理手段により、複数種類の欠点を単一の撮像装置および単一の照明装置により検出可能となった。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明の強化繊維基材の検査装置は、強化繊維基材における特徴が異なる複数種類の不具合を単一の検査装置で簡易かつ確実に検出することができるため、強化繊維基材の製造工程および強化繊維基材の処理・加工工程に好ましく用いられるが、その応用範囲がこれに限られるものではない。
【符号の説明】
【0074】
2:撮像装置
3:照明装置
4:(被検査対象)基材
5:画像入力装置
6:画像解析装置
7:画像記憶装置
11:強化繊維糸条A
12:強化繊維糸条B
13:補助繊維糸条
14:樹脂材料
WD:撮像装置と基材の走行面の距離
θ1:基材の走行面と照明装置がなす角度
θ2:基材の走行面と撮像装置がなす角度
A:基材の長手(織り、搬送)方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
強化繊維糸条Aを少なくとも一方向に引き揃え、かつ、一方向にお互いが並行に配列された強化繊維糸条Bと、その直角方向にお互いに並行に配列された補助繊維糸条とが、織組織を形成している一方向性織物の少なくとも片表面に樹脂材料が接着されている強化繊維基材の検査装置であって少なくとも次の(a)〜(c)の手段を備えることを特徴とする、強化繊維基材の基材欠点および樹脂材料欠点の、位置および種類を検出する検査装置。
(a)前記強化繊維基材に光を照射する1つの照明手段。
(b)前記照明手段による反射光を受光する1つの撮像手段。
(c)前記撮像手段によって得られた画像データを処理するデータ処理手段。
【請求項2】
前記照明手段において、照射面がライン状または平面状の形状である、請求項1に記載の強化繊維基材の検査装置。
【請求項3】
前記照明手段の照射面が、強化繊維基材の配列方向に直交する位置に配置されている、請求項1または2に記載の強化繊維基材の検査装置。
【請求項4】
前記照明手段の照射面が、強化繊維基材の幅方向を覆う位置に配置されている、請求項1〜3のいずれかに記載の強化繊維基材の検査装置。
【請求項5】
前記データ処理手段が次の(i)〜(iii)の手段を有してなる、請求項1〜4のいずれかに記載の強化繊維基材の検査装置。
(i)強化繊維糸条Bを抽出する第1のデータ処理手段。
(ii)第1のデータ処理手段によって得られた強化繊維糸条Bの画像データから、強化繊維糸条Bの重心位置を算出する第2のデータ処理手段。
(iii)第2のデータ処理手段によって得られた重心位置から、強化繊維糸条Bの消失を判定する第3のデータ処理手段。
【請求項6】
前記データ処理手段によって得られた重心位置を、画像上で強化繊維糸条Aの方向をy方向、強化繊維糸条Aと直交する方向をx方向とした場合に、隣り合う強化繊維糸条Bのx方向間隔から、強化繊維糸条Bの消失を判定する、請求項5に記載の強化繊維基材の検査装置。
【請求項7】
前記データ処理手段によって得られた重心位置を、画像上で強化繊維糸条Aの方向をy方向、強化繊維糸条Aと直交する方向をx方向とした場合に、隣り合う強化繊維糸条Bのy方向座標を予め設定した閾値と比較することで、強化繊維糸条Bの消失を判定する、請求項5に記載の強化繊維基材の検査装置。
【請求項8】
強化繊維糸条を製織し、樹脂材料を接着させる工程を経た後に、請求項1〜7に記載の検査装置を用いた検査工程を有する、強化繊維基材の製造方法。

【図5】
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【図7】
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【図9】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図8】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−93206(P2012−93206A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−240371(P2010−240371)
【出願日】平成22年10月27日(2010.10.27)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成22年度経済産業省「戦略的基盤技術高度化支援事業」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】