弾力性多層ゲッター
【課題】従来のゲッターには、各種の問題があるので、それらを解決するゲッターを提供する。
【解決手段】ガス貯留層104を覆うガス透過層102を有する弾力性多層ゲッター100を用いる。具体例では、前記透過層102はガス貯留層104の部分を覆っている。もう一つの具体例では、障壁106は前記ガス貯留層104の部分を覆っている。前記障壁は箔基材、不動態層又はガス透過層を含み得る。
【解決手段】ガス貯留層104を覆うガス透過層102を有する弾力性多層ゲッター100を用いる。具体例では、前記透過層102はガス貯留層104の部分を覆っている。もう一つの具体例では、障壁106は前記ガス貯留層104の部分を覆っている。前記障壁は箔基材、不動態層又はガス透過層を含み得る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ガス吸着のためのゲッター、特に複合材料ゲッターに関する発明の典型的な具体例。同じものの製造のための方法に関する他の典型的な具体例。
【背景技術】
【0002】
技術的に進んだ多くの用途において、ガス吸着は、蒸発型のゲッター(NEG)物質によって成し遂げられている。NEG物質は、2つのタイプの用途でよく見受けられる。第一の用途としては、NEG物質は、不要な種を吸着することによってガス流を浄化するために用いられている。例えば、半導体産業において、NEG物質を用いて、水素、酸素、窒素、水、炭素酸化物、窒素酸化物等の厄介な種が希ガス流から取り除かれ得る。同様に、電球等のガスを満たしたあるデバイスの製造で用いられるガスは、浄化され、フィラメントの寿命を改善すること等の利点をもたらす。
【0003】
第二の用途としては、NEG物質は、密閉された筐体内の高真空を保つために用いられる。処理チャンバーは、半導体産業における斯かる筐体の一般例である。そのような筐体は、例えば保温瓶、魔法瓶、超小型電子ケース、石油抽出のためや極寒地域や海底域での石油輸送のための断熱パイプ等の断熱デバイスに用いられる。これらの用途ための密閉された筐体は、内壁と外壁を、この二つの壁の間に保たれ真空となった容積で、含んでいる。石油の抽出と輸送で、流体の過冷却を妨げるために断熱パイプを用いることがしばしば必要である。斯かる冷却は、石油のより重い成分がその粘度の結果的な増加よって固まることをもたらし、潜在的に妨害物を作り出す。
【0004】
NEG物質は、ジルコニウム、チタン、これらの合金及びそれらの化合物等の金属を含みうる。斯かる合金は、例えば遷移金属、アルミニウム及びこれら酸化物からなる群より選ばれた1種以上の成分を含みうる。NEG物質はいくつかの特許の対象である。米国特許第3,203,901号(特許文献1)は、Zr−Al合金と、特に質量パーセント組成がZr84%−Al16%である合金とを記載するが、それは、St101(登録商標)という名でイタリア国、ライナテ、サエス・ゲッター・ソシエタペルアチオニによって製造され、販売されている。米国特許第4,071,335号(特許文献2)は、Zr−Ni合金と、特に質量パーセント組成がZr75.7%−Ni24.3%である合金とを記載するが、それは、St199(登録商標)という名でイタリア国、ライナテ、サエス・ゲッター・ソシエタペルアチオニによって製造され、販売されている。米国特許第4,306,887号(特許文献3)は、Zr−Fe合金と、特に質量パーセント組成がZr76.6%−Fe23.4%である合金とを記載するが、それは、St198(登録商標)という名でイタリア国、ライナテ、サエス・ゲッター・ソシエタペルアチオニによって製造され、販売されている。米国特許第4,312,669号(特許文献4)は、Zr−V−−Fe合金と、特に質量パーセント組成がZr70%−V24.6%−Fe5.4%である合金とを記載するが、それは、St707(登録商標)という名でイタリア国、ライナテ、サエス・ゲッター・ソシエタペルアチオニによって製造され、販売されている。米国特許第4,668,424号(特許文献5)はZr−Ni−A−M合金を記載するが、ここでは、Aは1乃至は2種以上の希土類元素を示し、Mはコバルト、銅、鉄、アルミニウム、スズ、チタン及びケイ素からなる群より選ばれた1種以上の成分を示す。米国特許第5,961,750号(特許文献6)はZr−Co−Aの合金を記載するが、ここでは、Aはイットリウム、ランタン、希土類元素及びこれらの混合物からなる群より選ばれた1種以上の成分を示す。この特許公報は、特に質量比Zr80.8%−Co14.2%−A5%の合金を開示するが、それはSt787(登録商標)という名前でイタリア国、ライナテ、サエス・ゲッター・ソシエタペルアチオニによって製造され、販売されている。
【0005】
NEG物質によるガスの吸着は2段階で起こっているように思われる。1段目は、NEG物質の表面におけるガス種の表面化学吸着であり、一般的にガス種がその構成原子に分離することによって起こる。2段目では、その構成原子がNEG物質のバルク内で拡散する。水素吸着の場合では、水素原子がNEG物質内で広がるにつれて、水素原子が低温でも固溶体を形成する。水素濃度が増加するにつれて、ZrH2等の水素化物が形成される。水素の吸着容量は低温でも高い。
【0006】
2段目は、酸素、炭素、窒素等の原子に対して異なる。比較的に低温(NEG物質の種類によるが、一般的に約300〜500℃よりも低温)では、表面への化学吸着のみが起こり、酸化物、炭化物又は窒化物化合物の表層が形成される。これらの層は、バルク拡散が起こることを効果的に防ぐ。高温では、酸素、窒素及び炭素原子は、NEG物質内へ拡散することができ、このようにしてさらなるガス吸着のためにきれいな表面を再生し得る。それゆえに、NEG物質を十分高い温度に常に保つことによって、表面浄化が持続的に達成され得る。交互に、低温に保たれたNEG物質の表面は、それを定期的に十分高温にすることによって、浄化され得る。斯かる後の過程は、一般的に「活性化」処理として知られ、一定間隔で又は吸着容量の減少が見られたときに行われ得る。
【0007】
ゲッター沈着の形成は、限定はされないが例えばスパッタリングと蒸発と担体への蒸着とを含むいくつかの技術に従って、成し遂げられ得る。スパッタリング技術は、数マイクロメーター(ミクロン、μm)から数十ミクロンまでの厚さでフィルムを沈着する。そのようなフィルムは、通常基材に素晴らしい吸着力を有し、粒子の損失に対して抵抗力を有する。スパッタリングでは沈着の形態を(少なくともある限界内で)制御することも可能であり、このことが、期待される用途に対して同じものを最適化する。例えば、円柱の形態は、高い比表面積(沈着の単位量当たりの表面積)を示し得る。さらに、この技術によって、沈着の側面部でさえも高精密レベルで制御することが可能であり、ゲッター沈着を確かにすることが、適切に調整される。スパッタリングの利点のために、それは多くの用途において推奨される技術である。米国特許出願公開第2004/0253476号(特許文献7)は、多層ゲッター構造の形成を記載する。
【0008】
ゲッター物質は、小球、円盤又はその他実用的な形状を形成するために、押圧や焼結され得る。冷間圧延やスクリーン印刷等の技術を用いて、物質の粉末は一般的に平面の基材に沈着される。小球の形成と筐体の使用と冷ラミネート加工とは粉末冶金の分野でよく知られており、そして、ゲッター物質に適応されたスクリーン印刷技術の詳細は、米国特許第5,882,727号(特許文献8)に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第3,203,901号明細書
【特許文献2】米国特許第4,071,335号明細書
【特許文献3】米国特許第4,306,887号明細書
【特許文献4】米国特許第4,312,669号明細書
【特許文献5】米国特許第4,668,424号明細書
【特許文献6】米国特許第5,961,750号明細書
【特許文献7】米国特許出願公開2004/0253476号明細書
【特許文献8】米国特許第5,882,727号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、NEG物質の活性化を与えるために加熱処理を行えないNEG物質の多くの用途がある。斯かる用途は、X線管、電界放射フラットパネルディスプレー、保温瓶、魔法瓶、蛍光灯、石油抽出や輸送に用いる断熱管において見られるような密閉筐体で高真空レベルを保つことを含んでいる。他のこの種の重要な用途は、Ni金属水和物電池等の再充電可能な電池と従来のアルカリ電池等の再充電不可能電池とを含んでいる。この技術分野では周知のように、電池は、陽極と陰極とこれらの間に配された電解液とを含み、すべてが筐体内に収容されている。ある操作条件におけるアルカリ電池と充電池とは、水素を放出し、筐体を膨張させ、爆発の危険性を引き起こし得る。水素の増加は、軍需品や花火等の気密筐体でも起こり得る。水素の存在のために、NEG物質を熱によって活性化することは、極めて危険であろう。
【0011】
これらの低温下の用途では酸素、窒素又は炭素の比較的少量の吸着はNEG物質の表面に不動態層を形成し、上で述べたように、それはさらなる、ガス吸着を妨げ、NEG物質の吸着容量を理論値におけるごく少量に減らす。さらに、この不動態層は水素吸着を妨げるが、もうすでに説明したように、そうでなければ、それは常温でさえもかなりの割合で起こる。
【0012】
NEG物質を用いるいくつかの用途では、水素の存在が著しく害を及ぼし得る。断熱用途の場合には、このことは、水素が優れた熱導体であるからである。それゆえに、真空の容量における水素は、少量であってもその断熱性を顕著に悪化させる。ランプのガスの満ちている混合物における水素の存在は、放電状態を変え、このようにして、ランプが最適に機能することを妨げ、通常その寿命を短くする。さらに、もし水素が火花にさらされたら水素は急激に酸化し結果爆発を起こすため、水素は危険である。それ自体爆発性の又は燃えやすい成分から水素が放出されるときに、このことが特に関係する。
【0013】
ゲッター物質は、そのゲッター物質の表面を浄化するために通常扱われるが、そのことがゲッター物質を活性化し得る。ゲッター物質はすでに化学的に活性化されていても、ゲッター物質はさらに熱活性化を受け得る。高温では、ゲッターを組み込むデバイスの構成はガスを放出する傾向にある。活性化は、これらのガスを取り除くために、動かされたチャンバーにおいて通常行われるが、しかしながら最終段階ではゲッターはデバイス内に囲まれる。空洞を閉じ込めると、外からの汲み上げは役立たなくなる。デバイス内の環境は、その時に、不活性の若しくは非反応性のガスで汲み上げることによって又は真空を保つことによって制御される。この点から、ゲッターは、構成から環境へガスを放出することで吸着する。
【0014】
ゲッター物質の活性化は、メンテナンス等のある状況では、不便であり得る。ゲッターは熱によって通常活性化されるので、ゲッターの交換は、ゲッターを分散する前に必須の温度までゲッター物質を加熱することも含んだ時間のかかる仕事である。事実上すべての場合では、活性化を必要としないゲッター物質は、必要とするものよりも便利である。
【0015】
ゲッターはしばしば相対的に大きく嵩高であるために、その大きさを小さくするための継続的な試みがある。まだ、いくつかのゲッターをある環境に置くことは難しい。例えば、魔法瓶の中や周りのゲッター物質を例えばMRI装置に置くことは、装置を改良せず又は再設計することをせずには難しい。ある場合では、利用できるゲッターは単に厚すぎる、又はある面に効果的に広げられない。その嵩の多くは、基材から起因され得り、それはしばしばセラミックである。
【0016】
多くのゲッター物質は時間とともに粒子化する。機能的又は審美的な理由でさえも、ゲッター物質の構成要素をある環境へ落とし込むことは、好ましくないであろう。例えば、相対的に洗練されていない観察者は、粒子化しているゲッターを有するデバイスは壊れている又は品質が低いということを感じ得る。使用済みの物質の粒子は、デバイスの機械的な又は電子的な機能に影響を与え得る。
【0017】
多くのゲッターは、水蒸気を作り出す又は有機ガスを放出する。このことはある状況においては好ましくないであろう。塩素、フッ素等のいくつかの腐食性有機物は、放出され、潜在的に損害を引き起こす。
【0018】
ゲッター物質は高価であり得る。その費用は、高価な基材物質及び/又はゲッター物質それ自体のためであろう。さらに、ゲッター物質と比較して基材の相対的な費用や、基材をゲッターから除くことの困難等の基材における特徴のために、ゲッターの物質を費用対効果があるように再利用することは通常不可能である。パラジウム等の比較的高価な物質をいくつかのゲッターは使用することから、このことは浪費的であり得る。
【0019】
ゲッター物質は、輸送が難しいであろう。これは、ゲッター物質の脆さ、基材の脆さ、ゲッター物質の反応性、又はゲッター若しくはゲッターに加える基材の嵩高さを含めた理由のためである。
【0020】
ゲッター物質は例えば傷つきやすい、壊れやすい、又は環境若しくは他の汚染による分解に敏感であるため、ゲッター物質は脆い。ゲッターが使用された後は、ゲッターはさらに脆くなり得る。そのような脆さは、埃、温度、光、水分、その他の環境因子等の汚染に対する感受性をしばしば有する。
【0021】
ゲッター物質はまた製造することが難しい又は時間がかかり得る。例えば、ゲッター基材は、通常、それがゲッター物質に適用される前に、複数の溶媒で煮なければならない。ゲッター物質は、それらが周りで動くことを避けるために、しばしば所定の位置で硬く結合されなければならない。他のゲッター物質は、重く、好ましい場所に沈着することが難しい。
【課題を解決するための手段】
【0022】
要約
様々な具体例では、上記問題の1つ以上が、減らされている、又は取り除かれている。
【0023】
具体例に従った多層ゲッターは様々な用途で使用され得る。限定されないが例えば、多層ゲッターは、水素を放出する部材を含んでいる密閉された筐体に用いられ得る。いくつかの場合では、前記部材は反対に水に影響されるかもしれない。有利なことに、具体例に従った多層ゲッターは、副生成物である水なしで、放出された水素を除去し得る。いくつかの場合では、「現場にて」、前記多層ゲッターを差し替えること又は適用することが好ましいかもしれない。有利なことに、具体例に従った多層ゲッターは活性剤を必要としないかもしれない。
【0024】
多層ゲッターの上述した使用は、限定されない一例である。具体例に従った多層ゲッターは、様々な具体例の一つに少なくとも略直面したパラメータを有する実際のいかなる除去用途でも用いられ得る。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】一具体例に従った弾力性ゲッターを示す。
【図2】一具体例に従った箔基材を有するゲッターを示す。
【図3】一具体例に従った3層ゲッターを示す。
【図4】一具体例に従った別の3層ゲッターを示す。
【図5】一具体例に従ったゲッターテープを示す。
【図6】一具体例に従った多層ゲッターの概念図を示す。
【図7】具体例に従った方法のフローを示す。
【図8】具体例に従った方法のフローを示す。
【図9】具体例に従った方法のフローを示す。
【図10】具体例に従った方法のフローを示す。
【図11】具体例に従った方法のフローを示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
発明の具体例は図に示されている。しかしながら、具体例と図とは、限定よりもむしろ実例であり、発明の例を示す。
図において、類似の参照数字は類似の成分を意味し得る。
【0027】
図1は、典型的な具体例に従った弾力性ゲッター100(原寸に比例していない)を示す。前記弾力性ゲッター100は、ガス透過層102とガス貯留層104と障壁106とを有する。
【0028】
図1の例では、前記ガス透過層102は、限定されないが例えば、約10μm以下さらに好ましくは約5μm以下の厚さで塗布されたパラジウムであり得る。より大きな厚みは、水素吸着速度を遅くし、より多くのパラジウムを消費し得るが、それは高価である。典型的な具体例では、前記ガス透過層は、約0.5μmと約2μmとの間の厚さである。より小さな厚さは、ピンホール欠陥の機会を増加し得り、又は耐久性を減少する。費用/性能分析は様々な用途で行われ得るが、このことは技術的に熟練した者にとっては明白であろう。
【0029】
典型的な具体例では、前記ガス透過層102は、限定されないが例えば、パラジウム等の金属とパラジウムの化合物と他の物質とを有し得る。該パラジウムは、限定されないが例えば、スズ、金、ホウ素、鉛、銀、又はそれらの組み合わせの集合を有し得る。具体例に従ったパラジウム・銀合金は、原子百分率約30%以下の銀を有し得る。
【0030】
前記パラジウムへの添加物は、例えば、前記ガス透過層102によって吸着される所定のガス圧力と温度とにおける水素の濃度を、増加させ得る。前記添加物は、パラジウム内の格子間位置の大きさを拡大すると考えられるため、前記添加剤は、水素の溶解度を増加すると言われ得る。しかしながら、格子間位置が満たされると、前記添加剤は水素溶解度を減少する傾向がある。有利なことに、前記ガス貯留層104は前記ガス透過層102を通して水素を送るため、減った水素溶解度は、ある具体例ではより小さな関係であろう。
【0031】
パラジウムとパラジウムを有する物質とは、使用され得る唯一の物質ではない。一般に、具体例に従った前記ガス透過層102は、標的ガスに対して触媒で、該標的ガスに対して透過性で、妨害物に対する抵抗であるべきである。いくつかの物質は、これらの特徴をいくつか又はすべてを有し得る。いくつかの物質は、限定されないが例えば、イリジウム、ロジウム、ルテニウム、チタン、タンタル、白金及びそれらの合金を有し得る。遷移金属、特に、ニッケルや白金等の8族遷移金属の多くは、自然と可逆的に水素を吸着する。さらに、いくつかの物質は、通常触媒ではないであろうが、触媒として表面改質され得る。そのような物質は、前記ガス透過層102で用いられ得る。
【0032】
典型的な具体例では、標的ガスの吸着は、触媒の作用で標的ガス分子を原子又はより小さな分子に壊すことを含む。水素(H2)の分子は、前記ガス透過層102に吸着される前に、その構成原子に分解され得る。前記標的ガスは、該標的ガスが吸着される前に最初に分解された化合物又は混合物の一部を含み得る。例えば、ホスフィン(PH3)放出が、ある軍需品で起こる。前記標的ガスは、この場合、ホスフィン又は水素として代わりに見なされ得る。水素を吸着するため、前記ガス透過層102は、最初にホスフィンを分解し、そして水素を放出しなければならない。
【0033】
分子を構成原子又はより小さな分子に分解することは、ときどき分離と見なされ得る。例えば水素の分離は式H2<=>2Hadで表され、ここでは、Hadは吸着した水素を表す。またホスフィンの場合は、PH3<=>P+3Hadである。双方向の矢印<=>は、具体例では、反応は可逆的であり得るということを示すのに用いられている。
【0034】
水素の場合、分離した水素原子は(通常は、金属の)格子を拡散し得る。格子を拡散する水素は、格子の格子間位置を占有する。この現象は、中性子回折によって明らかにされ、他の証拠から推測される。金属格子は冶金技術においてよく知られているので、金属格子の詳細な記述はここでは割愛する。
【0035】
標的ガスの原子又は分子が格子構造通って滑ることが可能である格子は、その標的ガスにとって透過性があるとして述べられ得る。水素原子はとても小さいので、前記ガス透過層102は、通常少なくとも水素を透過する。解離した水素原子の拡散は式Had⇔HMで表し得り、ここでは、HMは、金属格子(例えば、パラジウム格子)での水素を表す。前記ガス透過層102は、水素に加えて他のガスを透過するかもしれないし、そうではないかもしれない。
【0036】
原子又は分子は前記ガス透過層102の表面の位置を占領し得るが、もし原子又は分子が十分に小さければ、深く格子内部を占領し得る。前記原子又は前記分子が前記表面位置を占領しても深く内部まで通過しなければ、前記ガス透過層102は妨害物のためにガス除去能力を減少し得る。大きな原子又分子が、前記ガス透過層102の表面に引きつけられる(そして、張り付く)が通過するには大きすぎる時には、このことが起こり得る。
【0037】
別の種の妨害物は、大きい原子又は分子による妨害物に類似しているであろうが、腐食がある。物質の耐腐食性は、物質に依存して変わる。金や銀等の貴金属は、大気等の多くの適用環境において耐食性があると知られている。反対に、鉄を耐食しても、それは酸化傾向があるため、鉄は大気に対しては部分的に耐食性がない。パラジウムは大気下において腐食(例えば、酸化)に対する抵抗がある。
【0038】
ある物質は耐腐食性を部分的に有さなくても、該物質は優れたゲッターを作り得る。限定されないが例えば、チタンは、水素に対して優れたガス除去能力を持ち、比較的多くの水素を吸着し得るが、大気下で酸化する傾向があり、チタンのガス除去能力を減少する酸化表面層を形成する。チタンは、例えばチタンサブリメーションポンプに使用されている。チタンサブリメーションポンプは比較的早く酸化するので、それらは通常真空の又は酸素のない雰囲気下で用いられている。
【0039】
図1の例では、前記ガス貯留層104は、前記ガス透過層102に覆われ少なくとも幾分かは保護される。この文脈での「覆われ」という言葉の使用は、前記ガス貯留層104の表面を大幅に覆っている前記ガス透過層102を述べている。ピンホールは、前記ゲッター100のガス除去能力を必ずしも大幅に低下させないが、具体例では前記ガス透過層102の穴は避けられる。さらに、前記ガス透過層102は前記ガス貯留層104の全表面を覆うかもしれないし、そうではないかもしれない、又は前記ガス貯留層104の境界を覆わずに表面のみを覆うかもしれない。
【0040】
前記ガス貯留層104は耐腐食性を有するかもしれないし、そうではないかもしれない。実際には、ガス貯留物質として価値のあるチタン等のいくつかの物質は、大気中では酸化され得る。前記ガス貯留層104は、例えば、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、ニオビウム、タンタル、バナジウム、イットリウム、これらと遷移金属(例えば、チタン、ジルコニウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、アルミニウム、銅、スズ、ケイ素、イットリウム、ランタン)との合金、希土類元素又はそれらの混合物を有し得る。また、酸化金属等の金属化合物や合金は、非金属ゲッター物質と吸収剤と同様に用いられ得る。例は、Ti−V合金、Zr−V合金、Zr−Al合金、Zr−Fe合金、Zr−Ni合金、Ti−V−Mn合金、Zr−Mn−Fe合金、Zr−V−Fe合金、Zr−Ni−A−M合金、Zr−Co−A合金が挙げられ、ここでは、AはY、La、希土類元素のいずれか又はこれらの混合物を示し、Mは、Co、Cu、Fe、Al、Sn、Ti、Si又はこれらの混合物を示す。
【0041】
図1の例では、前記ガス貯留層104は、限定されないが例えば約20μm以下さらに好ましくは約5μm以下の厚さのチタン層であり得る。具体例では、前記ガス貯留層104は、約1μmと3μmとの間の厚さであり得る。前記ガス貯留層104はより薄く作成され得るが、前記ガス貯留層104内に捕捉され得る標的の量は直接的な質量関係があるかもしれないし、そうではないかもしれない。従って、もし前記ガス貯留層104が薄ければ、例えば水素の多くを保持することができないであろう。反対に、もし前記ガス貯留層104が数ミクロンよりも厚ければ、前記ガス貯留層104は例えば水素をより保持することができるであろう。このように、厚さ0.1μmのガス貯留層104又は、厚さ1nmのガス貯留層104は異なる具体例で可能である。前記ガス貯留層104の厚さは、使用されるゲッター物質と適用条件とに依存し得る。
【0042】
典型的な具体例では、前記ガス貯留層104は吸着された標的ガス(例えば、水素)に対する貯留層としての機能を果たす。物質に吸着される水素の量は、該物質に対するシーベルトの法則の関係に関係する。前記ガス透過層102は、貯留層としての機能を果たす必要がないので、ガス透過層物質はシーベルトの法則の優れた関係を有する必要はない。しかしながら、前記ガス貯留層104は、シーベルトの法則の相対的に高い関係を有するべきであるが、所定の用途で吸着される必要があるガスの量に依存する。
【0043】
シーベルトの法則は、所定の物質が所定の圧力下で保持することができるガスの量を定める。適度の圧力下では、例えば、固体金属に溶解する水素の濃度は、次式で表され、
c=sp1/2
ここでは、cは、圧力pにおけるガス状水素に対して平衡状態の溶存水素の濃度であり、sはシーベルトパラメータである。シーベルトの法則は、物質科学においてよく知られているので、シーベルトの法則の詳細な議論は割愛する。
【0044】
様々な具体例において、前記ガス透過層102は、限定されないが例えば蒸着若しくはスパッタリング技術、蒸気層からの化学沈着、よく述べられる化学気相堆積(CVD)、液相含浸、又はロールコーティング等を有する技術によって、前記ガス貯留層104に沈着される。ここで用いられるように、ロールコーティングは、ゲッター物質を有する弾力性基材の巻物を塗布することを述べている。
【0045】
典型的な具体例では、標的ガスを前記ガス透過層102を通して前記ガス貯留層104へ送り込むことを促進するためにそれらの間に十分な間隙がないように、前記ガス貯留層104は前記ガス透過層102に接着され得る。いくつかの間隙は層の間に存在し得るが、一般に、良い接着は、改良されたゲッタリング容量をもたらし得る。これは、前記ガス貯留層104の送り込み行動が前記ガス透過層102を通じて一定であり得るからであり、実質的に全体の表面のために前記ガス透過層102の表面へ鉛直に振る舞う輸送力を伴う。いくつかのケースでは、間隙又は物質の沈着は、前記ガス貯留層104と前記ガス透過層102との間に位置し得り、ゲッタリング容量を低下させ得るが、他の利益をもたらす。
【0046】
典型的な具体例では、前記ガス貯留層104は、前記ガス透過層102よりもより高く関連したシーベルトパラメータを有し得る。従って、限定されないが例えば、水素に対して透過性である前記ガス透過層102の中へ拡散する水素は、前記ガス透過層102を通って前記ガス貯留層へ汲み上げられ、それによって、系を平衡に導く。水素の場合には空気はとても低い水素分圧を有することを述べるべきである。従って、前記ゲッター100がそのゲッタリング容量を失い得る前に、前記ゲッター100は長期間空気に残され得る。この明細書の目的のために、空気で長期間ゲッタリング容量を保つゲッター100は、物質的に空気で不活性であるとして参照される。様々な用途では、「長期間」は、時間、日、月又は年で測定され得る。
【0047】
典型的な具体例では、前記ガス貯留層104は、標的ガスに対する貯留層として振る舞うが、前記ガス透過層102によって他のガス又は環境因子による負の影響から保護されている。もし前記貯留層が満杯になれば、そのときは貯留層と周囲の環境とが平衡であり得る。しかしながら、もし貯留層が満杯でなければ、そのときは、前記ガス透過層102に補足された標的ガスの原子又は分子は、貯留層の中へ汲み上げられ、貯留層の中で補足される傾向を有し得る。
【0048】
粉末粒子を用いた合成物質ゲッターは、米国特許第6,682,817号(‘817特許)に記述されている。‘817特許では、パラジウム層が粉末粒子を部分的に覆っている。‘817特許は、また、ゲッターの表面積を増加するために用いられる円柱の形態を記述する。
【0049】
典型的な具体例では、前記ガス貯留層104はモノリシック構造である。具体例に従ったモノリシック構造のガス貯留層104は、通常粒子を有するとは述べられないだろうし、前記モノリシック構造のガス貯留層104は、円柱の形態を有するとは述べられないであろう。このことは、荒い取り扱いよって粒子が自由になる可能性又はその物質が使用に伴って粒子化する可能性を減少させる。モノシリック構造のガス貯留層104は、具体例では実質的にモノシリック構造のみであるが、前記ガス透過層102に実質的にすき間無く接合され得る。
前記ガス透過層102は、前記モノシリック構造のガス貯留層104を覆い、前記ガス貯留層104と標的ガスとの間のガス透過障壁として機能を果たすので、前記ガス貯留層104は、分子を捕まえるため、円柱の形態によってもたらされるようなより大きな表面積に頼る必要はない。前記ガス貯留層104は、たくさんの様々ないかなる技術を用いることでも形成されるが、限定されないが例えば蒸発若しくはスパッタリング技術、CVD、液相含浸又は回転塗工を有し得る。
【0050】
前記障壁106は、前記ガス透過層102とは反対側で前記ガス貯留層104を保護する。前記障壁106は、側面を明らかに定義していない具体例では、前記ガス透過層102で覆われていない前記ガス貯留層104の部分を、代わりに保護すると参照され得ると述べるべきである。前記障壁106は、具体例において不動態層107を含む。該不動態107は、ここで用いられるように、表面の化学反応性を減少させる層である。前記不動態層107は、酸化層を含み得る。別の手段としての具体例では、前記障壁106と前記不動態層107とは、同じ状況において1つである。
【0051】
もう一つの具体例では、前記障壁106は、箔のような弾力性基材を含み得る(例えば、図2を参照)。この具体例では、前記不動態層107は、除かれるかもしれないし、そうではないかもしれない。例えば、前記弾力性基材が前記ガス貯留層104を保護するなら、そのとき前記不動態層107は必ずしも形成されないであろう。さらにもう一つの具体例では、前記障壁106は、ガス透過層かもしれないし、前記ガス透過層102に類似している又は同じかもしれない(例えば、図4参照)。
【0052】
不動態層は物質科学の技術においてよく知られているので、前記障壁106は、前記ガス透過層102とは反対側の前記ガス貯留層104の表面における制御された不動態層を通して形成され得ることを示すこと以外は、ここでは詳細な記述は割愛する。前記障壁106は、例えば酸化層(例えば、酸化チタン)を形成する酸素に反応する前記ガス貯留層104(例えば、チタン)の物質を有し得る。
好ましい障壁物質は、前記ガス貯留層の原料に依存して異なり得るが、酸化障壁は、多くのゲッター物質にとって適切な障壁であり得る。
【0053】
もし前記障壁106が酸化層等の不動態層を有すれば、そのときは、前記障壁を傷つけることは、前記ガス貯留層104のゲッタリング能力を劣化する結果となり得るが、なぜなら、その損傷は、前記ガス貯留層104を環境大気に曝露させ得るからである。幸いにも、前記障壁106は、多くの環境において少なくとも部分的には自己回復作用がある。限定されないが例えば、もし前記貯留層104がチタンを有すれば、前記障壁106を突き通る損傷によって露出した表面は、大気下で比較的急速に酸化され得る。
【0054】
典型的な具体例では、前記ガス貯留層104を覆っている前記ガス透過層102を含む多層ゲッターは、以下の付加的な利点を有し、それは、少なくとも前記ガス貯留層104が満たされるまで、前記ガス透過層102は前記標的ガスに対する貯留層としての役割を果たさないことである。このことは、前記標的ガスが前記ガス貯留層104へ透過するので、前記標的ガスは前記ガス透過層102内に一時的にいるからである。物質科学では知られていることだが、吸着された例えば水素は、ゲッター物質の特性を変化し得り、しばしば該物質を粒子化し得り、又は格子間位置に水素を有することによる機械的ストレスからの変化を被り得る。水素を吸着するゲッターの特性変化は脆さである。
【0055】
有利なことに、標的ガスは、前記ガス透過層102内で一時的にいるので、前記ガス透過層102は例えば水素の吸着から重大な劣化を被らない。該水素は前記ガス貯留層104の格子間位置にいるので、水素が前記ゲッター100に吸着されることにより、前記ガス透過層102は、その弾力性を大幅に保持する。さらに、典型的な具体例では、前記障壁106は多量の付加的なガスを吸着しない(又は前記障壁はそれ自体ガスを透過する)ので、前記障壁は同様にその弾力性を保持する。前記ガス透過層104は標的ガスの吸着から必ずしも劣化しないであろうが、例えば、劣化が起こった場合には、前記透過層102と障壁106とが、弾力性と明らかな粒子化に対する保護とを提供し得る。
【0056】
例えば金属のある物理特性を水素吸着は変化させることが示されている。これらの変化した物理特性は、他との間での電気抵抗を含み得る。ホスト金属のs軌道とd軌道とに入り、フェルミ面での密度を変化し、エネルギーバンドを変化する水素原子に結びついた電子によると、多くの金属にとって、このことは考えられる。フェルミ電子は、水素原子を囲み、中性原子を効果的に作り、電子を遮蔽して束縛状態にならない。
【0057】
前記標的ガスは前記ガス透過層102内に一時的にいるので、前にも述べたが、前記標的ガスは前記ガス貯留層104内で吸着され貯蔵されることから、前記ガス透過層102における効果はわずかである。しかしながら、前記ガス貯留層104が満杯になるときは、前記ガス透過層102は前記標的ガスを吸着したままである。この原理を利用して、前記ゲッター100が満杯かどうかを決定するために、前記ガス透過層102の特性を試験することが可能であろう。例えば、前記ガス透過層102の電気抵抗が測定され得る。もし、電気抵抗が、前記ガス透過層102がガスをわずか又はまったく吸着しない時に取った測定値よりも高ければ、前記ゲッター100のガスに対する容量は、使い尽くされたであろう。
【0058】
本発明の具体例に関連した他の利点は、大気での水素の分圧は重要ではないという事実から由来する。それに応じて、前記ゲッター100は、その大気での長期間のゲッター能力を保持し得る。しかしながら、水素汚染を有する環境下では、水素の分圧は増加し、前記ゲッター100はかなりの割合で水素を吸着する。このようにして、具体例では、前記ゲッター100は、製造され、商業的に利用可能なアルミニウム箔の巻物と同じぐらい取り扱いが簡単となる(しかしゲッターを適度に汚染がなく保つことが好ましいであろう。)。
【0059】
本発明の具体例に関連したもう一つの利点は、前記ゲッター100は乾燥剤なしで作製できることである。乾燥剤はゲッターに水分を吸着させるが、それは大気に通常ある。それで、ゲッターのこれらのタイプは水分から保護されなければならない。具体例によれば、前記ゲッター100は乾燥剤がない。例えば、パラジウムは乾燥剤ではない。従って、もし前記ガス透過層102が、例えばパラジウムを有していれば、前記ゲッター100は、乾燥剤がなく、水蒸気への抵抗力を持って作製され得る。このことは、前記ゲッター100の寿命を延ばすのに重要な利点である。
【0060】
前記ゲッター100は、水分を除去する二つの突出した方法がある。一つ目では、前記ゲッター100が、環境大気から水素を取り除き、水素が酸素と結合して水を形成することができなくする。二つ目では、吸着された水素が吸着後に酸素と結びつくのを前記ゲッター100がさせなくして、副生成物として水が放出しない。このようにして、前記ゲッター100は、副生成物として水を形成しない。
【0061】
例えば発炎筒を有する軍需品の筐体の場合では、前記発炎筒は水素を放出し得る。しかしながら、もしゲッターが水素を吸着し、それで副生成物として水を放出すれば、前記発炎筒は水分によって損傷を受け得る。例えば、パラジウム−酸素ゲッターは、PdO+2H<=>Pd+H2O反応に関連し得る。水を取り除くために、そのようなゲッターは、例えばPdOと混合された乾燥剤と合体し得る。前にも述べたが、乾燥剤は生成物の寿命と耐久性とを減少し得る。その上、腐食を起こし又はそうではないにしても筐体に貯蔵された軍需品に負の影響を及ぼす乾燥剤を超えた水の蒸気圧が通常存在する。その上、乾燥剤はしばしば嵩張る。
【0062】
限定されないが例えば魔法瓶と他の超断熱システムとの場合では、水蒸気は、動作中に冷凍吸着されるが、前記システムが室温の時に蒸気に変え得る。このことは、前記システムにおける対流熱損失とシステム冷却での蒸発損を通した凍結剤の損失とを持続するために、別のガス源を作る。有利なことに、典型的な具体例において、前記ゲッター100はそのような原因ガスを生成しない。
【0063】
水以外の副生成物は同様に問題がある、又はより悪いことさえある。例えば、暑い環境温度は、商業的に利用できるゲッター製品が有機物を放出することを引き起こすが、それは、電子デバイス又は軍需品にとって有害となる。反対に、前記ゲッター100は、典型的な具体例では、有機物を放出しない。前記ゲッター100は有害な副生成物を有しないので、前記ゲッター100は副生成物なしとしてみなされ得る。
【0064】
もし、前記金属成分が薄くて柔軟性があれば、前記ゲッター100は、多層ゲッター箔としてみなされ得る。例えば、具体例では、前記ガス貯留層104はチタン箔を有し得る。多くの金属は、薄くて柔軟性のリーフ又は薄板に作製され、そして箔(ホイル)として記述される。概して、箔は、丸められる又は折られて、箔の品位にとって又はゲッターの場合にはゲッタリング容量にとって害なく広げられ得る。
【0065】
図2は典型的な具体例に従った箔基材を有するゲッター110を示す。前記ゲッター110は、ガス透過層112、ガス貯留層114及び箔基材116を含む。具体例では、前記ガス透過層112は前記ガス透過層102(図1)に類似している。具体例では、前記ガス貯留層114は前記ガス貯留層104(図1)に類似している。
【0066】
図2の例では、前記箔基材116は超高真空(UHV)の又は真空等級のアルミニウム箔であり得る。大きな薄い箔基材は、箔上のゲッター物質層への沈着に先立ってRFエッチングすることは難しいということが発見された。これは、RFパワー反射力問題のためである。ある意味では、前記箔は脅かす大きなアンテナとしての機能を果たす、又はRFエッチングシステム(又はスパッタリング標的に大きすぎるエネルギーを反射することによるスパッタリングシステム)での変動負荷としての機能を果たす。
【0067】
浄化過程を取り除く方法は、−高価であり得り、時間がかかり得り、又はその両方であり得り−、例えば溶媒、酸、又は界面活性剤を用いるが、前記泊基材116と、前記基材が備えられる塗工システムパレットとの間に適切な電気接触を作ること、そしてRFエッチを行うことである。該接触は基本的に物理的接触であるが、それは一見してわからないが溶媒としてである。基材として一般的に使用されているより高価で堅い物質は、前記パレットと優れた物理接触を通常作るが、なぜならそれらは一般的に平らで堅いからである。また、箔は、エッチングされたとき、形を変え、壊滅的なプラズマ放電に接触する又は引き起こす点を作る。
【0068】
堅くて高価な基材を用いる過程では、前記RFエッチ過程パラメータは、前方電力、又は最大4Wの回路に押しのけられた名目上の反射電力と共に500Wのエッチング過程に加えられた電力である。サエス・ゲッター・USA・社の技術者によって行われた実験では、箔の使用は、電力供給を保護するブレーカーを切る前に、80Wを少し超えたところまで前記反射電力を上げる。前記技術者による最初の反応は、前記装置を保護するために80Wのソフトウェアのトリップ点に設定することである。壊滅的なプラズマ放電は、60Wの反射電力と同じぐらい低く続き、時々点源に集中しうり、それから前記箔の範囲を越え、それ故に溶解し又はそうでなくても前記箔を壊す。
【0069】
最終的に、ある方法が発見されたが、そのことが、前記技術者が30−50Wの反射電力の名目上の範囲にたどり着くことを可能にした。前記方法は、箔の端のまわりでの物理接触を増加することを含んでいた。システムの運転停止なく前記過程が継続することを可能にする範囲は、10−61Wであった。前記方法が進化したので、前記技術者は、50−60Wの範囲で過度の仕事時間及び費用なく前記過程を一定に安定させた。このことが急速なエッチ割合を促進した。しかしながら、前記技術者は、前記システムで増加した熱が箔を離昇したので運転ごとの箔の枚数を減らし、過度の反射電力をそれ自体正当に戻す。
【0070】
典型的な具体例では、反射力問題を減らす一つの方法が、前記箔の端の周りの堅い物理接触を保持することによってである。前記端の周りの物理接触は、限定されないが例えば、カプトンテープ、ねじ及びステンレス鋼分銅を用いることで達成され得る。他の技術は、箔の安全なRFエッチングを認めるのに十分な物理接触を確かにするために用いられ得る。
【0071】
前記ゲッター貯留層114を適用するに先立っていくつかの箔は溶媒(例えば、イソプロパノール、メタノール及びキシレノール)と共に処理される必要がないことが発見された。例えば、前記層112と114は、予め先立って前記箔を化学的に処理せずにUHV箔で準備されたとき、前記箔のゲッタリング容量は、前記ゲッター110が化学的に処理されたUHV箔で準備されたときと略同じであると測定された。
【0072】
いくつかの箔は、蒸着技術を用いて前処理される必要がないことが発見された。別の具体例では、化学的基材を処理することを行うこと又はある箔で蒸着前処理技術を使用することがまだ好ましいかもしれない。いくつかの場合では、RFエッチは前処理箔にとって効果的な技術である。典型的な具体例では、RFエッチは、前記箔から例えば有機物と酸化物とを取り除くために用いられる。
【0073】
良好な物理接触でも、箔基材にゲッター物質の最初の層をスパッタリングすることは、難しく且つ大きな労働力を要し得る。典型的な具体例では、スパッタリングに関係する反射力問題は熱蒸着を用いることによって減少される。
【0074】
ゲッター生産の技術では知られていることだが、基材は、通常、ゲッター物質との処理に先立ってマスキングされる。有利なことに、典型的な具体例では、RFエッチングする時、前記ガス貯留層114を沈着する時、又は前記ガス貯留層114の上部に前記ガス透過層112を沈着する時には、マスキングは必要ない。
【0075】
典型的な具体例では、前記ガス貯留層114が前記箔基材116に沈着された後すぐに、前記ガス透過層112が前記ガス貯留層114の上部に沈着され得る。いくつかの従前の技術指導とは正反対に、前記ガス貯留層114はモノリック構造(例えば円柱ではない)であるべきである。前記ガス透過層112と前記ガス貯留層114との表面は、実用的又は費用対効果があるほどしっかり共に結束されるべきである。
【0076】
商業的に利用できるゲッターは、通常、少なくとも0.010インチの厚さである。前記箔基材116は、反対にとても薄いであろう。もう一つの具体例では、前記ゲッター110は商業的に利用できるゲッターよりも薄い、又は約0.010インチ未満である。有利なことに、前記箔基材116は、0.0075μm、極薄金属箔と同じぐらいの厚さであろう。具体例では、前記ゲッター110は約0.0015インチの厚さである。
【0077】
典型的な具体例では、前記ゲッター110は魔法瓶に用いられている。前記ゲッター110が魔法瓶の隙間で巻き上げられると、前記ゲッター110は、対流によって(ゲッター機能を通して)及び放熱によって(前記金属箔基材116によって遮へいを通して)伝熱を減らし得る。さらに、具体例では、前記ゲッター110は、ゲッター活性化なしの魔法瓶を修正せずに、既存の魔法瓶の構造に応じて改良される。一般に、これらの利点は、実用的な筐体又は断熱デバイス等の魔法瓶以外の用途に適用できる。
【0078】
図3は、典型的な具体例に従った3層ゲッター120を示す。前記ゲッター120は、ガス透過層122、透過層124、ガス貯留層126、障壁128を有し得る。具体例では、前記ガス透過層122は前記ガス透過層102(図1)に類似している。もう一つの具体例では、前記ガス貯留層126は、前記ガス貯留層104(図1)に類似している。前記障壁128は、限定されないが例えば、不動態化層、箔基材、又は他の弾力性基材を有し得る。
【0079】
図3の例では、前記透過層124は、前記標的ガスを透過する。前記ガス透過層122と前記ガス貯留層126との間に透過層124を介入する理由は、コストである。例えば、前記ガス透過層122はとても薄く作製され得り、とても薄い前記ガス透過層122と前記ガス貯留層126との間を介入する前記透過層124は、前記ガス貯留層126への衝撃を和らげる又は保護する。ガス透過層物質が高価であることを想定すると、層を薄くすることは、よりコストの低いゲッター122を作製することになり得る。
【0080】
典型的な具体例では、前記ガス透過層122は高価な物質(例えば、パラジウム)を有し得る。前記物質が高価な時は、前記ガス透過層122の厚さを最小限にすることが好ましいだろう。具体例では、パラジウムを有するガス透過層122は、厚さ約1000オングストロームだけだろう。約10,000オングストローム未満の厚さでは、例えばパラジウムでのピンホール欠陥を取り除くことはしばしば難しい。しかしながら、前記パラジウムの1/10だけが1,000オングストローム層に使用される必要があり、前記透過層124は前記ガス貯留層126を保護し得る。
【0081】
前記ガス透過層102(図1)と同様に、前記ガス透過層122にとって、標的ガスに対する触媒と標的ガスを透過することと妨害物に対する抵抗との3つの特徴を有することが好ましい。前記透過層124は、反対に、触媒的特徴を有する必要がなく、なぜなら、前記標的ガスが前記透過層124に到達する時までに、前記標的ガスはすでに分離されているからである。さらに、前記ガス透過層122が前記透過層124への透過を許したガスに依存して、妨害物に対する抵抗は関係し得るが、そうでない場合もある。例えば、もし水素のみが前記透過層124へ透過するのを前記ガス透過層122が許せば、前記透過層124は水素を透過する必要だけがあり、例えば酸化のための妨害物に対する抵抗は無意味となる。それに応じて、前記透過層124は、上述したガス透過層の特徴の一つのみ、標的ガスへの透過性を有しうる。
【0082】
具体的の詳細な例として、前記ガス透過層122はパラジウムを有し、前記透過層124はコバルトを有し、前記ガス貯留層126はチタンを有する。この詳細な例の目的は、前記ガス透過層122は、厚さ約1,000オングストロームである。前記パラジウム層はとても薄いので、前記ガス透過層122に対する物質の費用は大幅に減らされ得ると述べることができる。コバルトは比較的高価ではないので、物質の全費用は実質的に減らされ得る。この詳細な例の目的にとって、前記透過層は、数千オングストロームから約5マイクロであろう。
【0083】
図4は、典型的な具体例に従った別の3層ゲッター130を示す。前記ゲッター130は、ガス透過層132、ガス貯留層134、ガス透過層136を有し得る。具体例では、前記ガス透過層132は、前記ガス透過層102(図1)に類似している。もう一つの具体例では、前記ガス貯留層134は、前記ガス貯留層104(図1)に類似している。
【0084】
図4の例では、前記ガス透過層136は、前記ガス透過層102(図1)に類似している。図4に示すように、前記ガス透過層132と前記ガス透過層136とが、それらの間にガス貯留層を挟んでいる。この構造はある場合では好ましいであろう。例えば、もし油が前記ガス透過層132にこぼれても(そして前記ガス透過層132が油から悪影響を受け得るなら)、前記ガス透過層136は標的ガスに対して触媒であり透過し得る。このことは、前記ゲッターの片面の汚染が前記ゲッター130のゲッタリング容量を台無しにすることを妨げる。
【0085】
費用を下げるため、別の具体例では、付加的な透過層は、図3を参照に述べたものに類似している方法で、前記ガス透過層132、136と前記ガス貯留層との間に入れられ得る。
【0086】
図5は、典型的な具体例に従ったゲッターテープを示す。前記ゲッターテープ140は、ガス透過層142−1から142−Nまで(以下、ガス透過層142と集合的に述べられるが)と、ガス貯留層144−1から144−Nまで(以下、ガス貯留層144と集合的に述べられるが)と、テープ基材146を有し得る。具体例では、前記ガス透過層142は、前記ガス透過層102(図1)に類似する。もう一つの具体例では、前記ガス貯留層144は、前記ガス貯留層104(図1)に類似する。
【0087】
図5の例では、前記テープ基材146は、対象とされる前記ゲッターテープ140の用途に依存する物質を含み得る。例えば、前記ゲッターテープ140の部分が金に仮付け溶接されているなら、前記テープ基材146は金で製作され得る。具体例では、前記ガス透過層142と前記ガス貯留層144とは、分割され得り、分割の間に空隙148を残している。もう一つの具体例では、前記ガス透過層142と前記ガス貯留層144とは、続き得り、分割の間に空隙148の残さない。別の具体例では、前記テープ基材146は粘着剤を有し得る。
【0088】
具体例では、前記ゲッターテープ140は、比較的広く且つ長いであろう。例えば、前記ゲッターテープ140は、実用的でいかなる広さ又は長さのアルミ箔の巻物に類似し得る。前記ゲッター貯留層144は前記ガス透過層142によって保護されているので、前記ゲッター物質は、「現場で」前記ゲッター物質のシートを引き裂くのに十分な耐久性があるべきである。例えば、ゲッター110(図2)等の弾力性基材上のゲッターは、具体例に従った類似の方法で使用され得る。
【0089】
図6は、典型的な具体例に従った多層ゲッター150の概念図を示す。図6の具体例では、前記多層ゲッター150はパラジウムとチタンとの金属格子を有する。前記金属格子は、第1区分152と第2区分154と第3区分156と第4区分158とに論理的に細かく分け得る。前記第1区分152は、パラジウムを有する金属格子を有する。前記第2区分154は、パラジウムとチタンとを有する金属格子を有する。前記第3区分156と前記第4区分158とは、チタンを有する金属格子を有する。
【0090】
図6の具体例では、水素分子160は、前記金属格子の外に示されている。パラジウムは水素分子に対する触媒であるので、前記水素分子160は、成分水素原子162に分離され得り、前記金属格子の前記第1区分152の格子間位置に吸着され得る。前記第1区分152に吸着した水素は、水素濃度の波面として考えられ得る。平衡の原理に従って、前記水素は、前記第1区分152の中で分散し、この過程でもっとも近い位置を満たす。
【0091】
もし、前記第1区分152が閉鎖系であれば、前記第1区分152で分散する水素は、最終的に平衡に達するが、図6の例では前記水素は広がるので、前記水素は最終的に前記第2区分154に到達する。パラジウムとチタンとを有する前記第2区分154の格子間位置は、パラジウム単独の格子間位置よりも幾分大きい。前記第2区分154のこの広い格子間位置は、水素原子にとってより魅力的である。従って、前記第2区分154に到達する水素原子は、前記第1区分152から前記第2区分154へ通過するという増加した可能性を有する。
【0092】
前記第2区分154のより大きな格子間位置のより大きな魅力のために、前記第2区分154の前記水素原子164は、前記第1区分152に戻りそうにない。前記水素原子が前記第2区分154に入ると、前記水素原子は、平衡の原理に従って再び進み、前記第2区分154内に広がる。
【0093】
最終的に、前記水素原子164は前記第2区分154に広がった時、前記水素164は前記第3区分156に到達する。前記第3区分156の格子間位置は、前記水素原子164にとって、さらにより魅力的である。従って、前記水素は、前記第2区分154から前記第2区分156へ通過するという増加した可能性を有する。水素原子166は、広がり、前記第3区分156内で平衡に達するので、前記水素原子166は、前記第2区分154に戻りそうにない。
【0094】
前記第4区分158は、前記水素原子166にとって障壁である。図6の例では、前記第4区分158は、チタン−酸素(概念的にチタンの格子間位置内で補足された酸素原子168として示されている)を有する。前記第4区分158は、不動態層又は酸化層として考えられ得る。別の具体例では、前記第4区分158は、箔基材等のいくつかの他の障壁と交換され得るものと考えられ得る。前記第4区分158は、前記水素原子166が前記第3区分156から逃げるのを妨げる(そして、前記水素は、前記第2区分と第1区分とを通過することが起こりえない)ので、前記第3区分156は前記水素原子166を効果的に捕捉する。
【0095】
前記第1、第2、第3区分は2層を有するとして考えられることは述べられるべきであろう(第1層はパラジウムを有し、第2層はチタンを有する)。理論的に、例えばパラジウムと例えばチタン層との間の完全な分離は、実際には例外的にあり得ないが、第2層は存在しないかもしれない。
【0096】
図6は前記金属格子の現実的な描写ではないことは述べておくべきことである。前記格子は紙面上示すことがかなり難しい3次元構造である。しかしながら、金属の格子は金属学の技術ではよく知られている。従って、金属格子の現実的な記述は割愛される。
【0097】
弾力性ゲッターの使用方法
弾力性ゲッターは、図1〜6を参照にして上記された例だが、多くの方法で使用される。図7〜11は具体例に従った方法のフローを示す。
【0098】
図7は、実施例に従った弾力性ゲッターを配置するための方法におけるフロー170を示す。実施例では、前記フロー170はモジュール172から始まり、ここでは、弾力性ゲッターが輸送のために包装される。前記ゲッターのガス透過層は、前記弾力性ゲッターが比較的に弾力性を有するようにし得る。それにもかかわらず、ゲッターを輸送する時、いくつかの予備措置をとることが好ましいであろう。
【0099】
例えば、前記弾力性ゲッターを収縮包装すること又は真空包装することが好ましいであろう。真空包装はよく知られている。しかしながら、有利なことに、前記弾力性ゲッターは、巻物として(商業的に利用できるアルミ箔の巻物によく類似して)用意され得る。巻物全体は、出荷に先立って真空包装され得る。もう一つの方法として、限定されないが例えば、前記弾力性ゲッターは、積み重ねて収縮包装されたシートで又は気密の包装で包装され得る。
【0100】
商業的に利用できる典型的なゲッターと違って、前記弾力性ゲッターは、負の環境状態に耐え得る。従って、たとえ包装が輸送中に穴を開けられても、前記弾力性ゲッターは、受け取られた時に道理的に使用でき得る。
【0101】
具体例では、前記フロー170はモジュール174に続き、ここでは、前記弾力性ゲッターは、前記包装から取り除かれて、前記弾力性ゲッターが自己活性化することを認める。これは、人間又はロボットによって遂行され得る。前記弾力性ゲッターは比較的弾力性があるので、前記弾力性ゲッターを保護するための非常な段階は必要なく、一般環境(酸素、埃、水蒸気等を含む)は、前記弾力性ゲッターの性能に負の影響をおそらく与えないであろう。しかしながら、前記弾力性ゲッターの表面を汚染することを避けることが好ましであろう。従って、技術者は、手袋をおそらくはめ、自動車燃料又は潤滑油等の汚染が比較的ない仕事環境を保つべきである。
【0102】
有利なことに、典型的な具体例では、前記弾力性ゲッターは、受け取ったらすぐに使用され得る。このことは、前記弾力性ゲッターは化学の又は熱の活性を要求しない事実のためである。包装は、真空包装であるかもしれないが、開けるとすぐに、前記弾力性ゲッターは展開する。これは、前記弾力性ゲッターの自己活性機能として述べられ得る。
【0103】
具体例では、前記フロー170はモジュール176に続くが、ここでは、前記弾力性ゲッターが置かれる。有利なことに、典型的な具体例では、前記弾力性ゲッターは比較的薄い。特別な具体例では、前記弾力性ゲッターは、商業的に利用されるアルミ箔と同じぐらいの薄さであろう。前記弾力性ゲッターの厚さは、最小限の空間がある様々な場所に配置することを促進する。前記弾力性ゲッターは、例えば、シートとして使用され得る、又は筐体の角の中に丸められ得る。
【0104】
図8は、典型的な具体例に従った仕事環境での弾力性ゲッターを適用するための方法におけるフロー180を示す。具体例では、前記フロー180は、モジュール182から始まり、ここでは、前記弾力性ゲッターの巻物は利便性のために置かれる。
【0105】
有利なことに、典型的な具体例では、前記弾力性ゲッターは、通常の仕事環境によって負の影響を受けない。従って、前記弾力性ゲッターは、限定されないが例えば、非常の防衛的手段なしで、壁又は机に添付され得る。通常の環境下における弾力性ゲッターの巻物は、長期間ゲッタリング容量を保持するべきである。
【0106】
具体例では、前記フロー180はモジュール184に続くが、ここでは、前記弾力性ゲッターのシートが前記巻物から剥ぎ取られる。前記ゲッターは仕事環境の便利な場所に置かれ得るので、技術者は、必要とされる時にシートを剥ぎ取ることだけ必要がある。典型的な具体例では、活性化は求められず、技術者にとって多くの時間を省くことになる。
【0107】
具体例では、前記フロー180はモジュール186に続くが、ここでは、前記弾力性ゲッターのシートが置かれる。いったん前記弾力性ゲッターが置かれると、他の利点は明らかとなる。例えば、前記弾力性ゲッターは水又は有機汚染物を生成しない。このことは、水分が部品に損傷を起こし得る所、有機汚染物質が部品又は筐体を腐食し得る所の用途では、特に有利である。従って、前記弾力性ゲッターは、軍需品の筐体における又は魔法瓶におけるゲッターを毎年交換すること等の定期的なゲッター交換にとって価値がある。
【0108】
図9は、典型的な具体例に従ったゲッター物質の再利用のための方法におけるフロー190を示す。具体例では、前記フロー190はモジュール192から始まり、ここでは、多層ゲッター箔が再利用分別箱に置かれる。前記フロー190は多層ゲッター箔の再利用に導かれていると述べられ得る。しかしながら、前記箔基材を取り除くことに関連した段階が避けられるので、この方法は、基材なしのゲッターに適用することがより簡単であろう。この理由のため、前記フロー190のモジュールのいくつかは、完全に選択が自由である(モジュールは別の具体例では選択が自由かもしれないし自由ではないかもしれないということは、述べておくべきことである。)。
【0109】
前記多層ゲッター箔は、図9を参照して前に述べたことだが、職場環境に便利に置かれ得る。同じ地域にリサイクル分別箱を置くことはただ簡単であろう。例えばセラミック基材有するゲッターとは違って、ゲッター箔と基材なしのゲッターとを再利用することは、経済的に価値があるであろう。
【0110】
具体例では、前記フロー190はモジュール194に続くが、ここでは、前記多層ゲッター箔は再利用施設へ輸送される。典型的な具体例では、箔は、空気を取り除くために圧縮され得る。前記箔は典型的な具体例では粒子化していないので、圧縮された箔が再利用施設に輸送される時に、圧縮過程は比較的きれいであろうし、粒子は落ちるはずはない。典型的な具体例では、前記再利用施設は現場に置かれ得る。
【0111】
具体例では、前記フロー190はモジュール196に続くが、ここでは、高価なゲッター物質の融点よりも低い温度で、前記多層ゲッター箔の箔基材を溶解する。アルミニウム等の比較的低い融点を持つ箔基材は、溶解され得り、液状基材物質の表面の膜として他のゲッター物質から遊離され得る。限定されないが例えばパラジウムとチタンとを有するゲッター物質は、例えばアルミニウムよりも高い温度で溶解する。もし熱源が施設内であれば、再利用に供される物質は、非常に軽い重量であろうが、なぜなら、具体例では、前記箔は、前記ゲッター箔の質量の大部分を構成するからである。
【0112】
具体例では、前記フロー190は、高価なゲッター物質を回収するモジュール198に続く。具体例では、もしアルミニウム基材が溶解すれば、前記パラジウムとチタンとは、前記表面からすくい上げられ得る。
【0113】
別の具体例では、前記ゲッター物質は、限定されないが例えば、前記ゲッター箔を酸で溶解することと前記ゲッター物質を電解で取り除くこととを含めた他の方法で回収され得るが、これは冶金学では知られていることである。同様に、前記箔基材を溶解した後に、回収されたゲッター物質は、電解的に別なものから化学的に分離され得る。あるいは、前記ゲッター物質は、回収のために、ゲッター物質の一つ(例えば、チタン)の融点まで加熱され、他のゲッター物質(例えば、パラジウム)と分離する。いずれにせよ、パラジウム等の高価な成分の回収は、経済的に適し得るが、これはなぜなら、前記箔基材は比較的高価であること、高価な成分が比較的価値の低い成分から分離されることが比較的簡単であること、又はその両方のためである。
【0114】
図10は、典型的な具体例に従った多層ゲッターを試験するための方法におけるフロー200を示す。具体例では、前記フロー200はモジュール202から始まるが、ここでは、多層ゲッターの表面が試験される。該テストは、限定されないが例えば、前記多層ゲッターの表面層の電気抵抗を測定し得る。金属が標的ガスを吸着する時に電気抵抗等の特徴が変化することは知られている。従って、例えば電気抵抗を測定することは、前記ゲッターのガス容量が使い果たされたかどうかを示し得る。
【0115】
多層ゲッターの電気抵抗を試験することは難しいであろう。例えば、多層ゲッター(例えば、図2の前記ゲッター110)は、並列な3つの抵抗として概念化され得る。全抵抗は、3つの抵抗の逆数における和である。限定されないが記述の目的として、パラジウムのガス透過層112とチタンのガス貯留層114とアルミニウムの箔基材116を想定する。アルミニウムは、低い抵抗力を有し、少なくともある具体例ではパラジウムとチタンとの層よりもかなり大きな厚みを有し、アルミニウムの寄与は、正味の結果が測定された抵抗はいつもアルミニウムの抵抗であることであることよりもかなり高い。
【0116】
有利なことに、前記基材が絶縁体であれば(又は比較的高い抵抗力を有していれば)、測定は可能であろう。例えば、多層ゲッター(例えば図1の前記ゲッター100)は、並列な2つの抵抗(前記障壁106のおそらく低い抵抗力を無視して)として概念化され得る。限定されないが記述の目的として、パラジウムのガス透過層102とチタンのガス貯留層104と弾力性の薄い絶縁体の障壁106とを想定する。
【0117】
前記多層ゲッターの抵抗力をより減らすために、前記ガス透過層は絶縁され得る。限定されないが一例として、相互嵌合接触傾向は、様々な層の表面の1つ以上に置かれ、抵抗の変化をより検出する。加えて、VIP包装材料製造に用いられるが、ポリマー/金属多層の使用は、材料工学では知られているが、前記ガス透過層を測定することをかなり容易にし得る。
【0118】
具体例では、前記フロー200はモジュール204に続くが、ここでは、もし表面の特徴が表層内に増加した標的ガスの量に関係したら、前記多層ゲッターを交換することである。有利なことに、前記表層はガスを透過し、もう1つの層が貯留として振る舞う。前記貯留が満たすまでに、表層の電気抵抗は大幅に変化しないであろう。従って、前記表層の特徴は、前記貯留が満たすときに表層内に増加した標的ガスの量と関係する。
【0119】
貯留は、ここで用いられているが、水素等の標的を吸着するゲッターを意味し、前記標的は放出しない。これは、吸着された水素が酸素と結びつく時に副生成物として水を放出し得る非貯留ゲッターとは異なる。
【0120】
図11は、典型的な具体例に従ったゲッター箔を構築するための方法におけるフロー210を示す。具体例では、前記フロー210はモジュール212で始まり、ここでは、箔の抵抗力は、前記箔の端で堅い物理的接触をもたらすことによって減らされている。前記端の周りの物理的接触は、限定されないが例えばカプトンテープ、ねじ、ステンレス鋼の重み等の多くの技術いずれを使っても果たされ得る。
【0121】
具体例では、前記フロー210はモジュール214に続き、ここでは、RFエッチが前記箔で行われる。いくつかの箔は化学的又は他の手段で前処理が行われる必要がなく、RFエッチで十分であることが発見された。具体例では、前記RFエッチは、例えば有機物や酸化物を前記箔から取り除くために用いられる。
【0122】
具体例では、前記フロー210はモジュール216に続き、ここでは、ゲッター層が前記箔に置かれている。具体例では、前記フローはモジュール218に続き、ここでは、触媒層が前記ゲッター層に沈着されている。生成物は多層ゲッター箔である。
【0123】
ここで述べられている多層ゲッターは、様々な形状で構成され得る。例えば、多層のワイヤーの芯はガス貯留であり、ここで述べられているガス透過層によって覆われている。あるいは、多層の小球の芯はガス貯留であり、ここで述べられているガス透過層によって覆われる。
【0124】
ここで用いられているように、「具体例」という言葉は、限定されない方法として記述されている具体例を意味する。
【0125】
先の例と好ましい具体例とは例であって本発明の範囲を限定するものではないことは、当業者にとって理解され得る。明細書を読み、図面を検討して、当業者にとって明らかである置換と強化と同調のものと改良とは、加えて、本発明の真意と範囲との内に含まれる。
【技術分野】
【0001】
ガス吸着のためのゲッター、特に複合材料ゲッターに関する発明の典型的な具体例。同じものの製造のための方法に関する他の典型的な具体例。
【背景技術】
【0002】
技術的に進んだ多くの用途において、ガス吸着は、蒸発型のゲッター(NEG)物質によって成し遂げられている。NEG物質は、2つのタイプの用途でよく見受けられる。第一の用途としては、NEG物質は、不要な種を吸着することによってガス流を浄化するために用いられている。例えば、半導体産業において、NEG物質を用いて、水素、酸素、窒素、水、炭素酸化物、窒素酸化物等の厄介な種が希ガス流から取り除かれ得る。同様に、電球等のガスを満たしたあるデバイスの製造で用いられるガスは、浄化され、フィラメントの寿命を改善すること等の利点をもたらす。
【0003】
第二の用途としては、NEG物質は、密閉された筐体内の高真空を保つために用いられる。処理チャンバーは、半導体産業における斯かる筐体の一般例である。そのような筐体は、例えば保温瓶、魔法瓶、超小型電子ケース、石油抽出のためや極寒地域や海底域での石油輸送のための断熱パイプ等の断熱デバイスに用いられる。これらの用途ための密閉された筐体は、内壁と外壁を、この二つの壁の間に保たれ真空となった容積で、含んでいる。石油の抽出と輸送で、流体の過冷却を妨げるために断熱パイプを用いることがしばしば必要である。斯かる冷却は、石油のより重い成分がその粘度の結果的な増加よって固まることをもたらし、潜在的に妨害物を作り出す。
【0004】
NEG物質は、ジルコニウム、チタン、これらの合金及びそれらの化合物等の金属を含みうる。斯かる合金は、例えば遷移金属、アルミニウム及びこれら酸化物からなる群より選ばれた1種以上の成分を含みうる。NEG物質はいくつかの特許の対象である。米国特許第3,203,901号(特許文献1)は、Zr−Al合金と、特に質量パーセント組成がZr84%−Al16%である合金とを記載するが、それは、St101(登録商標)という名でイタリア国、ライナテ、サエス・ゲッター・ソシエタペルアチオニによって製造され、販売されている。米国特許第4,071,335号(特許文献2)は、Zr−Ni合金と、特に質量パーセント組成がZr75.7%−Ni24.3%である合金とを記載するが、それは、St199(登録商標)という名でイタリア国、ライナテ、サエス・ゲッター・ソシエタペルアチオニによって製造され、販売されている。米国特許第4,306,887号(特許文献3)は、Zr−Fe合金と、特に質量パーセント組成がZr76.6%−Fe23.4%である合金とを記載するが、それは、St198(登録商標)という名でイタリア国、ライナテ、サエス・ゲッター・ソシエタペルアチオニによって製造され、販売されている。米国特許第4,312,669号(特許文献4)は、Zr−V−−Fe合金と、特に質量パーセント組成がZr70%−V24.6%−Fe5.4%である合金とを記載するが、それは、St707(登録商標)という名でイタリア国、ライナテ、サエス・ゲッター・ソシエタペルアチオニによって製造され、販売されている。米国特許第4,668,424号(特許文献5)はZr−Ni−A−M合金を記載するが、ここでは、Aは1乃至は2種以上の希土類元素を示し、Mはコバルト、銅、鉄、アルミニウム、スズ、チタン及びケイ素からなる群より選ばれた1種以上の成分を示す。米国特許第5,961,750号(特許文献6)はZr−Co−Aの合金を記載するが、ここでは、Aはイットリウム、ランタン、希土類元素及びこれらの混合物からなる群より選ばれた1種以上の成分を示す。この特許公報は、特に質量比Zr80.8%−Co14.2%−A5%の合金を開示するが、それはSt787(登録商標)という名前でイタリア国、ライナテ、サエス・ゲッター・ソシエタペルアチオニによって製造され、販売されている。
【0005】
NEG物質によるガスの吸着は2段階で起こっているように思われる。1段目は、NEG物質の表面におけるガス種の表面化学吸着であり、一般的にガス種がその構成原子に分離することによって起こる。2段目では、その構成原子がNEG物質のバルク内で拡散する。水素吸着の場合では、水素原子がNEG物質内で広がるにつれて、水素原子が低温でも固溶体を形成する。水素濃度が増加するにつれて、ZrH2等の水素化物が形成される。水素の吸着容量は低温でも高い。
【0006】
2段目は、酸素、炭素、窒素等の原子に対して異なる。比較的に低温(NEG物質の種類によるが、一般的に約300〜500℃よりも低温)では、表面への化学吸着のみが起こり、酸化物、炭化物又は窒化物化合物の表層が形成される。これらの層は、バルク拡散が起こることを効果的に防ぐ。高温では、酸素、窒素及び炭素原子は、NEG物質内へ拡散することができ、このようにしてさらなるガス吸着のためにきれいな表面を再生し得る。それゆえに、NEG物質を十分高い温度に常に保つことによって、表面浄化が持続的に達成され得る。交互に、低温に保たれたNEG物質の表面は、それを定期的に十分高温にすることによって、浄化され得る。斯かる後の過程は、一般的に「活性化」処理として知られ、一定間隔で又は吸着容量の減少が見られたときに行われ得る。
【0007】
ゲッター沈着の形成は、限定はされないが例えばスパッタリングと蒸発と担体への蒸着とを含むいくつかの技術に従って、成し遂げられ得る。スパッタリング技術は、数マイクロメーター(ミクロン、μm)から数十ミクロンまでの厚さでフィルムを沈着する。そのようなフィルムは、通常基材に素晴らしい吸着力を有し、粒子の損失に対して抵抗力を有する。スパッタリングでは沈着の形態を(少なくともある限界内で)制御することも可能であり、このことが、期待される用途に対して同じものを最適化する。例えば、円柱の形態は、高い比表面積(沈着の単位量当たりの表面積)を示し得る。さらに、この技術によって、沈着の側面部でさえも高精密レベルで制御することが可能であり、ゲッター沈着を確かにすることが、適切に調整される。スパッタリングの利点のために、それは多くの用途において推奨される技術である。米国特許出願公開第2004/0253476号(特許文献7)は、多層ゲッター構造の形成を記載する。
【0008】
ゲッター物質は、小球、円盤又はその他実用的な形状を形成するために、押圧や焼結され得る。冷間圧延やスクリーン印刷等の技術を用いて、物質の粉末は一般的に平面の基材に沈着される。小球の形成と筐体の使用と冷ラミネート加工とは粉末冶金の分野でよく知られており、そして、ゲッター物質に適応されたスクリーン印刷技術の詳細は、米国特許第5,882,727号(特許文献8)に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第3,203,901号明細書
【特許文献2】米国特許第4,071,335号明細書
【特許文献3】米国特許第4,306,887号明細書
【特許文献4】米国特許第4,312,669号明細書
【特許文献5】米国特許第4,668,424号明細書
【特許文献6】米国特許第5,961,750号明細書
【特許文献7】米国特許出願公開2004/0253476号明細書
【特許文献8】米国特許第5,882,727号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、NEG物質の活性化を与えるために加熱処理を行えないNEG物質の多くの用途がある。斯かる用途は、X線管、電界放射フラットパネルディスプレー、保温瓶、魔法瓶、蛍光灯、石油抽出や輸送に用いる断熱管において見られるような密閉筐体で高真空レベルを保つことを含んでいる。他のこの種の重要な用途は、Ni金属水和物電池等の再充電可能な電池と従来のアルカリ電池等の再充電不可能電池とを含んでいる。この技術分野では周知のように、電池は、陽極と陰極とこれらの間に配された電解液とを含み、すべてが筐体内に収容されている。ある操作条件におけるアルカリ電池と充電池とは、水素を放出し、筐体を膨張させ、爆発の危険性を引き起こし得る。水素の増加は、軍需品や花火等の気密筐体でも起こり得る。水素の存在のために、NEG物質を熱によって活性化することは、極めて危険であろう。
【0011】
これらの低温下の用途では酸素、窒素又は炭素の比較的少量の吸着はNEG物質の表面に不動態層を形成し、上で述べたように、それはさらなる、ガス吸着を妨げ、NEG物質の吸着容量を理論値におけるごく少量に減らす。さらに、この不動態層は水素吸着を妨げるが、もうすでに説明したように、そうでなければ、それは常温でさえもかなりの割合で起こる。
【0012】
NEG物質を用いるいくつかの用途では、水素の存在が著しく害を及ぼし得る。断熱用途の場合には、このことは、水素が優れた熱導体であるからである。それゆえに、真空の容量における水素は、少量であってもその断熱性を顕著に悪化させる。ランプのガスの満ちている混合物における水素の存在は、放電状態を変え、このようにして、ランプが最適に機能することを妨げ、通常その寿命を短くする。さらに、もし水素が火花にさらされたら水素は急激に酸化し結果爆発を起こすため、水素は危険である。それ自体爆発性の又は燃えやすい成分から水素が放出されるときに、このことが特に関係する。
【0013】
ゲッター物質は、そのゲッター物質の表面を浄化するために通常扱われるが、そのことがゲッター物質を活性化し得る。ゲッター物質はすでに化学的に活性化されていても、ゲッター物質はさらに熱活性化を受け得る。高温では、ゲッターを組み込むデバイスの構成はガスを放出する傾向にある。活性化は、これらのガスを取り除くために、動かされたチャンバーにおいて通常行われるが、しかしながら最終段階ではゲッターはデバイス内に囲まれる。空洞を閉じ込めると、外からの汲み上げは役立たなくなる。デバイス内の環境は、その時に、不活性の若しくは非反応性のガスで汲み上げることによって又は真空を保つことによって制御される。この点から、ゲッターは、構成から環境へガスを放出することで吸着する。
【0014】
ゲッター物質の活性化は、メンテナンス等のある状況では、不便であり得る。ゲッターは熱によって通常活性化されるので、ゲッターの交換は、ゲッターを分散する前に必須の温度までゲッター物質を加熱することも含んだ時間のかかる仕事である。事実上すべての場合では、活性化を必要としないゲッター物質は、必要とするものよりも便利である。
【0015】
ゲッターはしばしば相対的に大きく嵩高であるために、その大きさを小さくするための継続的な試みがある。まだ、いくつかのゲッターをある環境に置くことは難しい。例えば、魔法瓶の中や周りのゲッター物質を例えばMRI装置に置くことは、装置を改良せず又は再設計することをせずには難しい。ある場合では、利用できるゲッターは単に厚すぎる、又はある面に効果的に広げられない。その嵩の多くは、基材から起因され得り、それはしばしばセラミックである。
【0016】
多くのゲッター物質は時間とともに粒子化する。機能的又は審美的な理由でさえも、ゲッター物質の構成要素をある環境へ落とし込むことは、好ましくないであろう。例えば、相対的に洗練されていない観察者は、粒子化しているゲッターを有するデバイスは壊れている又は品質が低いということを感じ得る。使用済みの物質の粒子は、デバイスの機械的な又は電子的な機能に影響を与え得る。
【0017】
多くのゲッターは、水蒸気を作り出す又は有機ガスを放出する。このことはある状況においては好ましくないであろう。塩素、フッ素等のいくつかの腐食性有機物は、放出され、潜在的に損害を引き起こす。
【0018】
ゲッター物質は高価であり得る。その費用は、高価な基材物質及び/又はゲッター物質それ自体のためであろう。さらに、ゲッター物質と比較して基材の相対的な費用や、基材をゲッターから除くことの困難等の基材における特徴のために、ゲッターの物質を費用対効果があるように再利用することは通常不可能である。パラジウム等の比較的高価な物質をいくつかのゲッターは使用することから、このことは浪費的であり得る。
【0019】
ゲッター物質は、輸送が難しいであろう。これは、ゲッター物質の脆さ、基材の脆さ、ゲッター物質の反応性、又はゲッター若しくはゲッターに加える基材の嵩高さを含めた理由のためである。
【0020】
ゲッター物質は例えば傷つきやすい、壊れやすい、又は環境若しくは他の汚染による分解に敏感であるため、ゲッター物質は脆い。ゲッターが使用された後は、ゲッターはさらに脆くなり得る。そのような脆さは、埃、温度、光、水分、その他の環境因子等の汚染に対する感受性をしばしば有する。
【0021】
ゲッター物質はまた製造することが難しい又は時間がかかり得る。例えば、ゲッター基材は、通常、それがゲッター物質に適用される前に、複数の溶媒で煮なければならない。ゲッター物質は、それらが周りで動くことを避けるために、しばしば所定の位置で硬く結合されなければならない。他のゲッター物質は、重く、好ましい場所に沈着することが難しい。
【課題を解決するための手段】
【0022】
要約
様々な具体例では、上記問題の1つ以上が、減らされている、又は取り除かれている。
【0023】
具体例に従った多層ゲッターは様々な用途で使用され得る。限定されないが例えば、多層ゲッターは、水素を放出する部材を含んでいる密閉された筐体に用いられ得る。いくつかの場合では、前記部材は反対に水に影響されるかもしれない。有利なことに、具体例に従った多層ゲッターは、副生成物である水なしで、放出された水素を除去し得る。いくつかの場合では、「現場にて」、前記多層ゲッターを差し替えること又は適用することが好ましいかもしれない。有利なことに、具体例に従った多層ゲッターは活性剤を必要としないかもしれない。
【0024】
多層ゲッターの上述した使用は、限定されない一例である。具体例に従った多層ゲッターは、様々な具体例の一つに少なくとも略直面したパラメータを有する実際のいかなる除去用途でも用いられ得る。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】一具体例に従った弾力性ゲッターを示す。
【図2】一具体例に従った箔基材を有するゲッターを示す。
【図3】一具体例に従った3層ゲッターを示す。
【図4】一具体例に従った別の3層ゲッターを示す。
【図5】一具体例に従ったゲッターテープを示す。
【図6】一具体例に従った多層ゲッターの概念図を示す。
【図7】具体例に従った方法のフローを示す。
【図8】具体例に従った方法のフローを示す。
【図9】具体例に従った方法のフローを示す。
【図10】具体例に従った方法のフローを示す。
【図11】具体例に従った方法のフローを示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
発明の具体例は図に示されている。しかしながら、具体例と図とは、限定よりもむしろ実例であり、発明の例を示す。
図において、類似の参照数字は類似の成分を意味し得る。
【0027】
図1は、典型的な具体例に従った弾力性ゲッター100(原寸に比例していない)を示す。前記弾力性ゲッター100は、ガス透過層102とガス貯留層104と障壁106とを有する。
【0028】
図1の例では、前記ガス透過層102は、限定されないが例えば、約10μm以下さらに好ましくは約5μm以下の厚さで塗布されたパラジウムであり得る。より大きな厚みは、水素吸着速度を遅くし、より多くのパラジウムを消費し得るが、それは高価である。典型的な具体例では、前記ガス透過層は、約0.5μmと約2μmとの間の厚さである。より小さな厚さは、ピンホール欠陥の機会を増加し得り、又は耐久性を減少する。費用/性能分析は様々な用途で行われ得るが、このことは技術的に熟練した者にとっては明白であろう。
【0029】
典型的な具体例では、前記ガス透過層102は、限定されないが例えば、パラジウム等の金属とパラジウムの化合物と他の物質とを有し得る。該パラジウムは、限定されないが例えば、スズ、金、ホウ素、鉛、銀、又はそれらの組み合わせの集合を有し得る。具体例に従ったパラジウム・銀合金は、原子百分率約30%以下の銀を有し得る。
【0030】
前記パラジウムへの添加物は、例えば、前記ガス透過層102によって吸着される所定のガス圧力と温度とにおける水素の濃度を、増加させ得る。前記添加物は、パラジウム内の格子間位置の大きさを拡大すると考えられるため、前記添加剤は、水素の溶解度を増加すると言われ得る。しかしながら、格子間位置が満たされると、前記添加剤は水素溶解度を減少する傾向がある。有利なことに、前記ガス貯留層104は前記ガス透過層102を通して水素を送るため、減った水素溶解度は、ある具体例ではより小さな関係であろう。
【0031】
パラジウムとパラジウムを有する物質とは、使用され得る唯一の物質ではない。一般に、具体例に従った前記ガス透過層102は、標的ガスに対して触媒で、該標的ガスに対して透過性で、妨害物に対する抵抗であるべきである。いくつかの物質は、これらの特徴をいくつか又はすべてを有し得る。いくつかの物質は、限定されないが例えば、イリジウム、ロジウム、ルテニウム、チタン、タンタル、白金及びそれらの合金を有し得る。遷移金属、特に、ニッケルや白金等の8族遷移金属の多くは、自然と可逆的に水素を吸着する。さらに、いくつかの物質は、通常触媒ではないであろうが、触媒として表面改質され得る。そのような物質は、前記ガス透過層102で用いられ得る。
【0032】
典型的な具体例では、標的ガスの吸着は、触媒の作用で標的ガス分子を原子又はより小さな分子に壊すことを含む。水素(H2)の分子は、前記ガス透過層102に吸着される前に、その構成原子に分解され得る。前記標的ガスは、該標的ガスが吸着される前に最初に分解された化合物又は混合物の一部を含み得る。例えば、ホスフィン(PH3)放出が、ある軍需品で起こる。前記標的ガスは、この場合、ホスフィン又は水素として代わりに見なされ得る。水素を吸着するため、前記ガス透過層102は、最初にホスフィンを分解し、そして水素を放出しなければならない。
【0033】
分子を構成原子又はより小さな分子に分解することは、ときどき分離と見なされ得る。例えば水素の分離は式H2<=>2Hadで表され、ここでは、Hadは吸着した水素を表す。またホスフィンの場合は、PH3<=>P+3Hadである。双方向の矢印<=>は、具体例では、反応は可逆的であり得るということを示すのに用いられている。
【0034】
水素の場合、分離した水素原子は(通常は、金属の)格子を拡散し得る。格子を拡散する水素は、格子の格子間位置を占有する。この現象は、中性子回折によって明らかにされ、他の証拠から推測される。金属格子は冶金技術においてよく知られているので、金属格子の詳細な記述はここでは割愛する。
【0035】
標的ガスの原子又は分子が格子構造通って滑ることが可能である格子は、その標的ガスにとって透過性があるとして述べられ得る。水素原子はとても小さいので、前記ガス透過層102は、通常少なくとも水素を透過する。解離した水素原子の拡散は式Had⇔HMで表し得り、ここでは、HMは、金属格子(例えば、パラジウム格子)での水素を表す。前記ガス透過層102は、水素に加えて他のガスを透過するかもしれないし、そうではないかもしれない。
【0036】
原子又は分子は前記ガス透過層102の表面の位置を占領し得るが、もし原子又は分子が十分に小さければ、深く格子内部を占領し得る。前記原子又は前記分子が前記表面位置を占領しても深く内部まで通過しなければ、前記ガス透過層102は妨害物のためにガス除去能力を減少し得る。大きな原子又分子が、前記ガス透過層102の表面に引きつけられる(そして、張り付く)が通過するには大きすぎる時には、このことが起こり得る。
【0037】
別の種の妨害物は、大きい原子又は分子による妨害物に類似しているであろうが、腐食がある。物質の耐腐食性は、物質に依存して変わる。金や銀等の貴金属は、大気等の多くの適用環境において耐食性があると知られている。反対に、鉄を耐食しても、それは酸化傾向があるため、鉄は大気に対しては部分的に耐食性がない。パラジウムは大気下において腐食(例えば、酸化)に対する抵抗がある。
【0038】
ある物質は耐腐食性を部分的に有さなくても、該物質は優れたゲッターを作り得る。限定されないが例えば、チタンは、水素に対して優れたガス除去能力を持ち、比較的多くの水素を吸着し得るが、大気下で酸化する傾向があり、チタンのガス除去能力を減少する酸化表面層を形成する。チタンは、例えばチタンサブリメーションポンプに使用されている。チタンサブリメーションポンプは比較的早く酸化するので、それらは通常真空の又は酸素のない雰囲気下で用いられている。
【0039】
図1の例では、前記ガス貯留層104は、前記ガス透過層102に覆われ少なくとも幾分かは保護される。この文脈での「覆われ」という言葉の使用は、前記ガス貯留層104の表面を大幅に覆っている前記ガス透過層102を述べている。ピンホールは、前記ゲッター100のガス除去能力を必ずしも大幅に低下させないが、具体例では前記ガス透過層102の穴は避けられる。さらに、前記ガス透過層102は前記ガス貯留層104の全表面を覆うかもしれないし、そうではないかもしれない、又は前記ガス貯留層104の境界を覆わずに表面のみを覆うかもしれない。
【0040】
前記ガス貯留層104は耐腐食性を有するかもしれないし、そうではないかもしれない。実際には、ガス貯留物質として価値のあるチタン等のいくつかの物質は、大気中では酸化され得る。前記ガス貯留層104は、例えば、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、ニオビウム、タンタル、バナジウム、イットリウム、これらと遷移金属(例えば、チタン、ジルコニウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、アルミニウム、銅、スズ、ケイ素、イットリウム、ランタン)との合金、希土類元素又はそれらの混合物を有し得る。また、酸化金属等の金属化合物や合金は、非金属ゲッター物質と吸収剤と同様に用いられ得る。例は、Ti−V合金、Zr−V合金、Zr−Al合金、Zr−Fe合金、Zr−Ni合金、Ti−V−Mn合金、Zr−Mn−Fe合金、Zr−V−Fe合金、Zr−Ni−A−M合金、Zr−Co−A合金が挙げられ、ここでは、AはY、La、希土類元素のいずれか又はこれらの混合物を示し、Mは、Co、Cu、Fe、Al、Sn、Ti、Si又はこれらの混合物を示す。
【0041】
図1の例では、前記ガス貯留層104は、限定されないが例えば約20μm以下さらに好ましくは約5μm以下の厚さのチタン層であり得る。具体例では、前記ガス貯留層104は、約1μmと3μmとの間の厚さであり得る。前記ガス貯留層104はより薄く作成され得るが、前記ガス貯留層104内に捕捉され得る標的の量は直接的な質量関係があるかもしれないし、そうではないかもしれない。従って、もし前記ガス貯留層104が薄ければ、例えば水素の多くを保持することができないであろう。反対に、もし前記ガス貯留層104が数ミクロンよりも厚ければ、前記ガス貯留層104は例えば水素をより保持することができるであろう。このように、厚さ0.1μmのガス貯留層104又は、厚さ1nmのガス貯留層104は異なる具体例で可能である。前記ガス貯留層104の厚さは、使用されるゲッター物質と適用条件とに依存し得る。
【0042】
典型的な具体例では、前記ガス貯留層104は吸着された標的ガス(例えば、水素)に対する貯留層としての機能を果たす。物質に吸着される水素の量は、該物質に対するシーベルトの法則の関係に関係する。前記ガス透過層102は、貯留層としての機能を果たす必要がないので、ガス透過層物質はシーベルトの法則の優れた関係を有する必要はない。しかしながら、前記ガス貯留層104は、シーベルトの法則の相対的に高い関係を有するべきであるが、所定の用途で吸着される必要があるガスの量に依存する。
【0043】
シーベルトの法則は、所定の物質が所定の圧力下で保持することができるガスの量を定める。適度の圧力下では、例えば、固体金属に溶解する水素の濃度は、次式で表され、
c=sp1/2
ここでは、cは、圧力pにおけるガス状水素に対して平衡状態の溶存水素の濃度であり、sはシーベルトパラメータである。シーベルトの法則は、物質科学においてよく知られているので、シーベルトの法則の詳細な議論は割愛する。
【0044】
様々な具体例において、前記ガス透過層102は、限定されないが例えば蒸着若しくはスパッタリング技術、蒸気層からの化学沈着、よく述べられる化学気相堆積(CVD)、液相含浸、又はロールコーティング等を有する技術によって、前記ガス貯留層104に沈着される。ここで用いられるように、ロールコーティングは、ゲッター物質を有する弾力性基材の巻物を塗布することを述べている。
【0045】
典型的な具体例では、標的ガスを前記ガス透過層102を通して前記ガス貯留層104へ送り込むことを促進するためにそれらの間に十分な間隙がないように、前記ガス貯留層104は前記ガス透過層102に接着され得る。いくつかの間隙は層の間に存在し得るが、一般に、良い接着は、改良されたゲッタリング容量をもたらし得る。これは、前記ガス貯留層104の送り込み行動が前記ガス透過層102を通じて一定であり得るからであり、実質的に全体の表面のために前記ガス透過層102の表面へ鉛直に振る舞う輸送力を伴う。いくつかのケースでは、間隙又は物質の沈着は、前記ガス貯留層104と前記ガス透過層102との間に位置し得り、ゲッタリング容量を低下させ得るが、他の利益をもたらす。
【0046】
典型的な具体例では、前記ガス貯留層104は、前記ガス透過層102よりもより高く関連したシーベルトパラメータを有し得る。従って、限定されないが例えば、水素に対して透過性である前記ガス透過層102の中へ拡散する水素は、前記ガス透過層102を通って前記ガス貯留層へ汲み上げられ、それによって、系を平衡に導く。水素の場合には空気はとても低い水素分圧を有することを述べるべきである。従って、前記ゲッター100がそのゲッタリング容量を失い得る前に、前記ゲッター100は長期間空気に残され得る。この明細書の目的のために、空気で長期間ゲッタリング容量を保つゲッター100は、物質的に空気で不活性であるとして参照される。様々な用途では、「長期間」は、時間、日、月又は年で測定され得る。
【0047】
典型的な具体例では、前記ガス貯留層104は、標的ガスに対する貯留層として振る舞うが、前記ガス透過層102によって他のガス又は環境因子による負の影響から保護されている。もし前記貯留層が満杯になれば、そのときは貯留層と周囲の環境とが平衡であり得る。しかしながら、もし貯留層が満杯でなければ、そのときは、前記ガス透過層102に補足された標的ガスの原子又は分子は、貯留層の中へ汲み上げられ、貯留層の中で補足される傾向を有し得る。
【0048】
粉末粒子を用いた合成物質ゲッターは、米国特許第6,682,817号(‘817特許)に記述されている。‘817特許では、パラジウム層が粉末粒子を部分的に覆っている。‘817特許は、また、ゲッターの表面積を増加するために用いられる円柱の形態を記述する。
【0049】
典型的な具体例では、前記ガス貯留層104はモノリシック構造である。具体例に従ったモノリシック構造のガス貯留層104は、通常粒子を有するとは述べられないだろうし、前記モノリシック構造のガス貯留層104は、円柱の形態を有するとは述べられないであろう。このことは、荒い取り扱いよって粒子が自由になる可能性又はその物質が使用に伴って粒子化する可能性を減少させる。モノシリック構造のガス貯留層104は、具体例では実質的にモノシリック構造のみであるが、前記ガス透過層102に実質的にすき間無く接合され得る。
前記ガス透過層102は、前記モノシリック構造のガス貯留層104を覆い、前記ガス貯留層104と標的ガスとの間のガス透過障壁として機能を果たすので、前記ガス貯留層104は、分子を捕まえるため、円柱の形態によってもたらされるようなより大きな表面積に頼る必要はない。前記ガス貯留層104は、たくさんの様々ないかなる技術を用いることでも形成されるが、限定されないが例えば蒸発若しくはスパッタリング技術、CVD、液相含浸又は回転塗工を有し得る。
【0050】
前記障壁106は、前記ガス透過層102とは反対側で前記ガス貯留層104を保護する。前記障壁106は、側面を明らかに定義していない具体例では、前記ガス透過層102で覆われていない前記ガス貯留層104の部分を、代わりに保護すると参照され得ると述べるべきである。前記障壁106は、具体例において不動態層107を含む。該不動態107は、ここで用いられるように、表面の化学反応性を減少させる層である。前記不動態層107は、酸化層を含み得る。別の手段としての具体例では、前記障壁106と前記不動態層107とは、同じ状況において1つである。
【0051】
もう一つの具体例では、前記障壁106は、箔のような弾力性基材を含み得る(例えば、図2を参照)。この具体例では、前記不動態層107は、除かれるかもしれないし、そうではないかもしれない。例えば、前記弾力性基材が前記ガス貯留層104を保護するなら、そのとき前記不動態層107は必ずしも形成されないであろう。さらにもう一つの具体例では、前記障壁106は、ガス透過層かもしれないし、前記ガス透過層102に類似している又は同じかもしれない(例えば、図4参照)。
【0052】
不動態層は物質科学の技術においてよく知られているので、前記障壁106は、前記ガス透過層102とは反対側の前記ガス貯留層104の表面における制御された不動態層を通して形成され得ることを示すこと以外は、ここでは詳細な記述は割愛する。前記障壁106は、例えば酸化層(例えば、酸化チタン)を形成する酸素に反応する前記ガス貯留層104(例えば、チタン)の物質を有し得る。
好ましい障壁物質は、前記ガス貯留層の原料に依存して異なり得るが、酸化障壁は、多くのゲッター物質にとって適切な障壁であり得る。
【0053】
もし前記障壁106が酸化層等の不動態層を有すれば、そのときは、前記障壁を傷つけることは、前記ガス貯留層104のゲッタリング能力を劣化する結果となり得るが、なぜなら、その損傷は、前記ガス貯留層104を環境大気に曝露させ得るからである。幸いにも、前記障壁106は、多くの環境において少なくとも部分的には自己回復作用がある。限定されないが例えば、もし前記貯留層104がチタンを有すれば、前記障壁106を突き通る損傷によって露出した表面は、大気下で比較的急速に酸化され得る。
【0054】
典型的な具体例では、前記ガス貯留層104を覆っている前記ガス透過層102を含む多層ゲッターは、以下の付加的な利点を有し、それは、少なくとも前記ガス貯留層104が満たされるまで、前記ガス透過層102は前記標的ガスに対する貯留層としての役割を果たさないことである。このことは、前記標的ガスが前記ガス貯留層104へ透過するので、前記標的ガスは前記ガス透過層102内に一時的にいるからである。物質科学では知られていることだが、吸着された例えば水素は、ゲッター物質の特性を変化し得り、しばしば該物質を粒子化し得り、又は格子間位置に水素を有することによる機械的ストレスからの変化を被り得る。水素を吸着するゲッターの特性変化は脆さである。
【0055】
有利なことに、標的ガスは、前記ガス透過層102内で一時的にいるので、前記ガス透過層102は例えば水素の吸着から重大な劣化を被らない。該水素は前記ガス貯留層104の格子間位置にいるので、水素が前記ゲッター100に吸着されることにより、前記ガス透過層102は、その弾力性を大幅に保持する。さらに、典型的な具体例では、前記障壁106は多量の付加的なガスを吸着しない(又は前記障壁はそれ自体ガスを透過する)ので、前記障壁は同様にその弾力性を保持する。前記ガス透過層104は標的ガスの吸着から必ずしも劣化しないであろうが、例えば、劣化が起こった場合には、前記透過層102と障壁106とが、弾力性と明らかな粒子化に対する保護とを提供し得る。
【0056】
例えば金属のある物理特性を水素吸着は変化させることが示されている。これらの変化した物理特性は、他との間での電気抵抗を含み得る。ホスト金属のs軌道とd軌道とに入り、フェルミ面での密度を変化し、エネルギーバンドを変化する水素原子に結びついた電子によると、多くの金属にとって、このことは考えられる。フェルミ電子は、水素原子を囲み、中性原子を効果的に作り、電子を遮蔽して束縛状態にならない。
【0057】
前記標的ガスは前記ガス透過層102内に一時的にいるので、前にも述べたが、前記標的ガスは前記ガス貯留層104内で吸着され貯蔵されることから、前記ガス透過層102における効果はわずかである。しかしながら、前記ガス貯留層104が満杯になるときは、前記ガス透過層102は前記標的ガスを吸着したままである。この原理を利用して、前記ゲッター100が満杯かどうかを決定するために、前記ガス透過層102の特性を試験することが可能であろう。例えば、前記ガス透過層102の電気抵抗が測定され得る。もし、電気抵抗が、前記ガス透過層102がガスをわずか又はまったく吸着しない時に取った測定値よりも高ければ、前記ゲッター100のガスに対する容量は、使い尽くされたであろう。
【0058】
本発明の具体例に関連した他の利点は、大気での水素の分圧は重要ではないという事実から由来する。それに応じて、前記ゲッター100は、その大気での長期間のゲッター能力を保持し得る。しかしながら、水素汚染を有する環境下では、水素の分圧は増加し、前記ゲッター100はかなりの割合で水素を吸着する。このようにして、具体例では、前記ゲッター100は、製造され、商業的に利用可能なアルミニウム箔の巻物と同じぐらい取り扱いが簡単となる(しかしゲッターを適度に汚染がなく保つことが好ましいであろう。)。
【0059】
本発明の具体例に関連したもう一つの利点は、前記ゲッター100は乾燥剤なしで作製できることである。乾燥剤はゲッターに水分を吸着させるが、それは大気に通常ある。それで、ゲッターのこれらのタイプは水分から保護されなければならない。具体例によれば、前記ゲッター100は乾燥剤がない。例えば、パラジウムは乾燥剤ではない。従って、もし前記ガス透過層102が、例えばパラジウムを有していれば、前記ゲッター100は、乾燥剤がなく、水蒸気への抵抗力を持って作製され得る。このことは、前記ゲッター100の寿命を延ばすのに重要な利点である。
【0060】
前記ゲッター100は、水分を除去する二つの突出した方法がある。一つ目では、前記ゲッター100が、環境大気から水素を取り除き、水素が酸素と結合して水を形成することができなくする。二つ目では、吸着された水素が吸着後に酸素と結びつくのを前記ゲッター100がさせなくして、副生成物として水が放出しない。このようにして、前記ゲッター100は、副生成物として水を形成しない。
【0061】
例えば発炎筒を有する軍需品の筐体の場合では、前記発炎筒は水素を放出し得る。しかしながら、もしゲッターが水素を吸着し、それで副生成物として水を放出すれば、前記発炎筒は水分によって損傷を受け得る。例えば、パラジウム−酸素ゲッターは、PdO+2H<=>Pd+H2O反応に関連し得る。水を取り除くために、そのようなゲッターは、例えばPdOと混合された乾燥剤と合体し得る。前にも述べたが、乾燥剤は生成物の寿命と耐久性とを減少し得る。その上、腐食を起こし又はそうではないにしても筐体に貯蔵された軍需品に負の影響を及ぼす乾燥剤を超えた水の蒸気圧が通常存在する。その上、乾燥剤はしばしば嵩張る。
【0062】
限定されないが例えば魔法瓶と他の超断熱システムとの場合では、水蒸気は、動作中に冷凍吸着されるが、前記システムが室温の時に蒸気に変え得る。このことは、前記システムにおける対流熱損失とシステム冷却での蒸発損を通した凍結剤の損失とを持続するために、別のガス源を作る。有利なことに、典型的な具体例において、前記ゲッター100はそのような原因ガスを生成しない。
【0063】
水以外の副生成物は同様に問題がある、又はより悪いことさえある。例えば、暑い環境温度は、商業的に利用できるゲッター製品が有機物を放出することを引き起こすが、それは、電子デバイス又は軍需品にとって有害となる。反対に、前記ゲッター100は、典型的な具体例では、有機物を放出しない。前記ゲッター100は有害な副生成物を有しないので、前記ゲッター100は副生成物なしとしてみなされ得る。
【0064】
もし、前記金属成分が薄くて柔軟性があれば、前記ゲッター100は、多層ゲッター箔としてみなされ得る。例えば、具体例では、前記ガス貯留層104はチタン箔を有し得る。多くの金属は、薄くて柔軟性のリーフ又は薄板に作製され、そして箔(ホイル)として記述される。概して、箔は、丸められる又は折られて、箔の品位にとって又はゲッターの場合にはゲッタリング容量にとって害なく広げられ得る。
【0065】
図2は典型的な具体例に従った箔基材を有するゲッター110を示す。前記ゲッター110は、ガス透過層112、ガス貯留層114及び箔基材116を含む。具体例では、前記ガス透過層112は前記ガス透過層102(図1)に類似している。具体例では、前記ガス貯留層114は前記ガス貯留層104(図1)に類似している。
【0066】
図2の例では、前記箔基材116は超高真空(UHV)の又は真空等級のアルミニウム箔であり得る。大きな薄い箔基材は、箔上のゲッター物質層への沈着に先立ってRFエッチングすることは難しいということが発見された。これは、RFパワー反射力問題のためである。ある意味では、前記箔は脅かす大きなアンテナとしての機能を果たす、又はRFエッチングシステム(又はスパッタリング標的に大きすぎるエネルギーを反射することによるスパッタリングシステム)での変動負荷としての機能を果たす。
【0067】
浄化過程を取り除く方法は、−高価であり得り、時間がかかり得り、又はその両方であり得り−、例えば溶媒、酸、又は界面活性剤を用いるが、前記泊基材116と、前記基材が備えられる塗工システムパレットとの間に適切な電気接触を作ること、そしてRFエッチを行うことである。該接触は基本的に物理的接触であるが、それは一見してわからないが溶媒としてである。基材として一般的に使用されているより高価で堅い物質は、前記パレットと優れた物理接触を通常作るが、なぜならそれらは一般的に平らで堅いからである。また、箔は、エッチングされたとき、形を変え、壊滅的なプラズマ放電に接触する又は引き起こす点を作る。
【0068】
堅くて高価な基材を用いる過程では、前記RFエッチ過程パラメータは、前方電力、又は最大4Wの回路に押しのけられた名目上の反射電力と共に500Wのエッチング過程に加えられた電力である。サエス・ゲッター・USA・社の技術者によって行われた実験では、箔の使用は、電力供給を保護するブレーカーを切る前に、80Wを少し超えたところまで前記反射電力を上げる。前記技術者による最初の反応は、前記装置を保護するために80Wのソフトウェアのトリップ点に設定することである。壊滅的なプラズマ放電は、60Wの反射電力と同じぐらい低く続き、時々点源に集中しうり、それから前記箔の範囲を越え、それ故に溶解し又はそうでなくても前記箔を壊す。
【0069】
最終的に、ある方法が発見されたが、そのことが、前記技術者が30−50Wの反射電力の名目上の範囲にたどり着くことを可能にした。前記方法は、箔の端のまわりでの物理接触を増加することを含んでいた。システムの運転停止なく前記過程が継続することを可能にする範囲は、10−61Wであった。前記方法が進化したので、前記技術者は、50−60Wの範囲で過度の仕事時間及び費用なく前記過程を一定に安定させた。このことが急速なエッチ割合を促進した。しかしながら、前記技術者は、前記システムで増加した熱が箔を離昇したので運転ごとの箔の枚数を減らし、過度の反射電力をそれ自体正当に戻す。
【0070】
典型的な具体例では、反射力問題を減らす一つの方法が、前記箔の端の周りの堅い物理接触を保持することによってである。前記端の周りの物理接触は、限定されないが例えば、カプトンテープ、ねじ及びステンレス鋼分銅を用いることで達成され得る。他の技術は、箔の安全なRFエッチングを認めるのに十分な物理接触を確かにするために用いられ得る。
【0071】
前記ゲッター貯留層114を適用するに先立っていくつかの箔は溶媒(例えば、イソプロパノール、メタノール及びキシレノール)と共に処理される必要がないことが発見された。例えば、前記層112と114は、予め先立って前記箔を化学的に処理せずにUHV箔で準備されたとき、前記箔のゲッタリング容量は、前記ゲッター110が化学的に処理されたUHV箔で準備されたときと略同じであると測定された。
【0072】
いくつかの箔は、蒸着技術を用いて前処理される必要がないことが発見された。別の具体例では、化学的基材を処理することを行うこと又はある箔で蒸着前処理技術を使用することがまだ好ましいかもしれない。いくつかの場合では、RFエッチは前処理箔にとって効果的な技術である。典型的な具体例では、RFエッチは、前記箔から例えば有機物と酸化物とを取り除くために用いられる。
【0073】
良好な物理接触でも、箔基材にゲッター物質の最初の層をスパッタリングすることは、難しく且つ大きな労働力を要し得る。典型的な具体例では、スパッタリングに関係する反射力問題は熱蒸着を用いることによって減少される。
【0074】
ゲッター生産の技術では知られていることだが、基材は、通常、ゲッター物質との処理に先立ってマスキングされる。有利なことに、典型的な具体例では、RFエッチングする時、前記ガス貯留層114を沈着する時、又は前記ガス貯留層114の上部に前記ガス透過層112を沈着する時には、マスキングは必要ない。
【0075】
典型的な具体例では、前記ガス貯留層114が前記箔基材116に沈着された後すぐに、前記ガス透過層112が前記ガス貯留層114の上部に沈着され得る。いくつかの従前の技術指導とは正反対に、前記ガス貯留層114はモノリック構造(例えば円柱ではない)であるべきである。前記ガス透過層112と前記ガス貯留層114との表面は、実用的又は費用対効果があるほどしっかり共に結束されるべきである。
【0076】
商業的に利用できるゲッターは、通常、少なくとも0.010インチの厚さである。前記箔基材116は、反対にとても薄いであろう。もう一つの具体例では、前記ゲッター110は商業的に利用できるゲッターよりも薄い、又は約0.010インチ未満である。有利なことに、前記箔基材116は、0.0075μm、極薄金属箔と同じぐらいの厚さであろう。具体例では、前記ゲッター110は約0.0015インチの厚さである。
【0077】
典型的な具体例では、前記ゲッター110は魔法瓶に用いられている。前記ゲッター110が魔法瓶の隙間で巻き上げられると、前記ゲッター110は、対流によって(ゲッター機能を通して)及び放熱によって(前記金属箔基材116によって遮へいを通して)伝熱を減らし得る。さらに、具体例では、前記ゲッター110は、ゲッター活性化なしの魔法瓶を修正せずに、既存の魔法瓶の構造に応じて改良される。一般に、これらの利点は、実用的な筐体又は断熱デバイス等の魔法瓶以外の用途に適用できる。
【0078】
図3は、典型的な具体例に従った3層ゲッター120を示す。前記ゲッター120は、ガス透過層122、透過層124、ガス貯留層126、障壁128を有し得る。具体例では、前記ガス透過層122は前記ガス透過層102(図1)に類似している。もう一つの具体例では、前記ガス貯留層126は、前記ガス貯留層104(図1)に類似している。前記障壁128は、限定されないが例えば、不動態化層、箔基材、又は他の弾力性基材を有し得る。
【0079】
図3の例では、前記透過層124は、前記標的ガスを透過する。前記ガス透過層122と前記ガス貯留層126との間に透過層124を介入する理由は、コストである。例えば、前記ガス透過層122はとても薄く作製され得り、とても薄い前記ガス透過層122と前記ガス貯留層126との間を介入する前記透過層124は、前記ガス貯留層126への衝撃を和らげる又は保護する。ガス透過層物質が高価であることを想定すると、層を薄くすることは、よりコストの低いゲッター122を作製することになり得る。
【0080】
典型的な具体例では、前記ガス透過層122は高価な物質(例えば、パラジウム)を有し得る。前記物質が高価な時は、前記ガス透過層122の厚さを最小限にすることが好ましいだろう。具体例では、パラジウムを有するガス透過層122は、厚さ約1000オングストロームだけだろう。約10,000オングストローム未満の厚さでは、例えばパラジウムでのピンホール欠陥を取り除くことはしばしば難しい。しかしながら、前記パラジウムの1/10だけが1,000オングストローム層に使用される必要があり、前記透過層124は前記ガス貯留層126を保護し得る。
【0081】
前記ガス透過層102(図1)と同様に、前記ガス透過層122にとって、標的ガスに対する触媒と標的ガスを透過することと妨害物に対する抵抗との3つの特徴を有することが好ましい。前記透過層124は、反対に、触媒的特徴を有する必要がなく、なぜなら、前記標的ガスが前記透過層124に到達する時までに、前記標的ガスはすでに分離されているからである。さらに、前記ガス透過層122が前記透過層124への透過を許したガスに依存して、妨害物に対する抵抗は関係し得るが、そうでない場合もある。例えば、もし水素のみが前記透過層124へ透過するのを前記ガス透過層122が許せば、前記透過層124は水素を透過する必要だけがあり、例えば酸化のための妨害物に対する抵抗は無意味となる。それに応じて、前記透過層124は、上述したガス透過層の特徴の一つのみ、標的ガスへの透過性を有しうる。
【0082】
具体的の詳細な例として、前記ガス透過層122はパラジウムを有し、前記透過層124はコバルトを有し、前記ガス貯留層126はチタンを有する。この詳細な例の目的は、前記ガス透過層122は、厚さ約1,000オングストロームである。前記パラジウム層はとても薄いので、前記ガス透過層122に対する物質の費用は大幅に減らされ得ると述べることができる。コバルトは比較的高価ではないので、物質の全費用は実質的に減らされ得る。この詳細な例の目的にとって、前記透過層は、数千オングストロームから約5マイクロであろう。
【0083】
図4は、典型的な具体例に従った別の3層ゲッター130を示す。前記ゲッター130は、ガス透過層132、ガス貯留層134、ガス透過層136を有し得る。具体例では、前記ガス透過層132は、前記ガス透過層102(図1)に類似している。もう一つの具体例では、前記ガス貯留層134は、前記ガス貯留層104(図1)に類似している。
【0084】
図4の例では、前記ガス透過層136は、前記ガス透過層102(図1)に類似している。図4に示すように、前記ガス透過層132と前記ガス透過層136とが、それらの間にガス貯留層を挟んでいる。この構造はある場合では好ましいであろう。例えば、もし油が前記ガス透過層132にこぼれても(そして前記ガス透過層132が油から悪影響を受け得るなら)、前記ガス透過層136は標的ガスに対して触媒であり透過し得る。このことは、前記ゲッターの片面の汚染が前記ゲッター130のゲッタリング容量を台無しにすることを妨げる。
【0085】
費用を下げるため、別の具体例では、付加的な透過層は、図3を参照に述べたものに類似している方法で、前記ガス透過層132、136と前記ガス貯留層との間に入れられ得る。
【0086】
図5は、典型的な具体例に従ったゲッターテープを示す。前記ゲッターテープ140は、ガス透過層142−1から142−Nまで(以下、ガス透過層142と集合的に述べられるが)と、ガス貯留層144−1から144−Nまで(以下、ガス貯留層144と集合的に述べられるが)と、テープ基材146を有し得る。具体例では、前記ガス透過層142は、前記ガス透過層102(図1)に類似する。もう一つの具体例では、前記ガス貯留層144は、前記ガス貯留層104(図1)に類似する。
【0087】
図5の例では、前記テープ基材146は、対象とされる前記ゲッターテープ140の用途に依存する物質を含み得る。例えば、前記ゲッターテープ140の部分が金に仮付け溶接されているなら、前記テープ基材146は金で製作され得る。具体例では、前記ガス透過層142と前記ガス貯留層144とは、分割され得り、分割の間に空隙148を残している。もう一つの具体例では、前記ガス透過層142と前記ガス貯留層144とは、続き得り、分割の間に空隙148の残さない。別の具体例では、前記テープ基材146は粘着剤を有し得る。
【0088】
具体例では、前記ゲッターテープ140は、比較的広く且つ長いであろう。例えば、前記ゲッターテープ140は、実用的でいかなる広さ又は長さのアルミ箔の巻物に類似し得る。前記ゲッター貯留層144は前記ガス透過層142によって保護されているので、前記ゲッター物質は、「現場で」前記ゲッター物質のシートを引き裂くのに十分な耐久性があるべきである。例えば、ゲッター110(図2)等の弾力性基材上のゲッターは、具体例に従った類似の方法で使用され得る。
【0089】
図6は、典型的な具体例に従った多層ゲッター150の概念図を示す。図6の具体例では、前記多層ゲッター150はパラジウムとチタンとの金属格子を有する。前記金属格子は、第1区分152と第2区分154と第3区分156と第4区分158とに論理的に細かく分け得る。前記第1区分152は、パラジウムを有する金属格子を有する。前記第2区分154は、パラジウムとチタンとを有する金属格子を有する。前記第3区分156と前記第4区分158とは、チタンを有する金属格子を有する。
【0090】
図6の具体例では、水素分子160は、前記金属格子の外に示されている。パラジウムは水素分子に対する触媒であるので、前記水素分子160は、成分水素原子162に分離され得り、前記金属格子の前記第1区分152の格子間位置に吸着され得る。前記第1区分152に吸着した水素は、水素濃度の波面として考えられ得る。平衡の原理に従って、前記水素は、前記第1区分152の中で分散し、この過程でもっとも近い位置を満たす。
【0091】
もし、前記第1区分152が閉鎖系であれば、前記第1区分152で分散する水素は、最終的に平衡に達するが、図6の例では前記水素は広がるので、前記水素は最終的に前記第2区分154に到達する。パラジウムとチタンとを有する前記第2区分154の格子間位置は、パラジウム単独の格子間位置よりも幾分大きい。前記第2区分154のこの広い格子間位置は、水素原子にとってより魅力的である。従って、前記第2区分154に到達する水素原子は、前記第1区分152から前記第2区分154へ通過するという増加した可能性を有する。
【0092】
前記第2区分154のより大きな格子間位置のより大きな魅力のために、前記第2区分154の前記水素原子164は、前記第1区分152に戻りそうにない。前記水素原子が前記第2区分154に入ると、前記水素原子は、平衡の原理に従って再び進み、前記第2区分154内に広がる。
【0093】
最終的に、前記水素原子164は前記第2区分154に広がった時、前記水素164は前記第3区分156に到達する。前記第3区分156の格子間位置は、前記水素原子164にとって、さらにより魅力的である。従って、前記水素は、前記第2区分154から前記第2区分156へ通過するという増加した可能性を有する。水素原子166は、広がり、前記第3区分156内で平衡に達するので、前記水素原子166は、前記第2区分154に戻りそうにない。
【0094】
前記第4区分158は、前記水素原子166にとって障壁である。図6の例では、前記第4区分158は、チタン−酸素(概念的にチタンの格子間位置内で補足された酸素原子168として示されている)を有する。前記第4区分158は、不動態層又は酸化層として考えられ得る。別の具体例では、前記第4区分158は、箔基材等のいくつかの他の障壁と交換され得るものと考えられ得る。前記第4区分158は、前記水素原子166が前記第3区分156から逃げるのを妨げる(そして、前記水素は、前記第2区分と第1区分とを通過することが起こりえない)ので、前記第3区分156は前記水素原子166を効果的に捕捉する。
【0095】
前記第1、第2、第3区分は2層を有するとして考えられることは述べられるべきであろう(第1層はパラジウムを有し、第2層はチタンを有する)。理論的に、例えばパラジウムと例えばチタン層との間の完全な分離は、実際には例外的にあり得ないが、第2層は存在しないかもしれない。
【0096】
図6は前記金属格子の現実的な描写ではないことは述べておくべきことである。前記格子は紙面上示すことがかなり難しい3次元構造である。しかしながら、金属の格子は金属学の技術ではよく知られている。従って、金属格子の現実的な記述は割愛される。
【0097】
弾力性ゲッターの使用方法
弾力性ゲッターは、図1〜6を参照にして上記された例だが、多くの方法で使用される。図7〜11は具体例に従った方法のフローを示す。
【0098】
図7は、実施例に従った弾力性ゲッターを配置するための方法におけるフロー170を示す。実施例では、前記フロー170はモジュール172から始まり、ここでは、弾力性ゲッターが輸送のために包装される。前記ゲッターのガス透過層は、前記弾力性ゲッターが比較的に弾力性を有するようにし得る。それにもかかわらず、ゲッターを輸送する時、いくつかの予備措置をとることが好ましいであろう。
【0099】
例えば、前記弾力性ゲッターを収縮包装すること又は真空包装することが好ましいであろう。真空包装はよく知られている。しかしながら、有利なことに、前記弾力性ゲッターは、巻物として(商業的に利用できるアルミ箔の巻物によく類似して)用意され得る。巻物全体は、出荷に先立って真空包装され得る。もう一つの方法として、限定されないが例えば、前記弾力性ゲッターは、積み重ねて収縮包装されたシートで又は気密の包装で包装され得る。
【0100】
商業的に利用できる典型的なゲッターと違って、前記弾力性ゲッターは、負の環境状態に耐え得る。従って、たとえ包装が輸送中に穴を開けられても、前記弾力性ゲッターは、受け取られた時に道理的に使用でき得る。
【0101】
具体例では、前記フロー170はモジュール174に続き、ここでは、前記弾力性ゲッターは、前記包装から取り除かれて、前記弾力性ゲッターが自己活性化することを認める。これは、人間又はロボットによって遂行され得る。前記弾力性ゲッターは比較的弾力性があるので、前記弾力性ゲッターを保護するための非常な段階は必要なく、一般環境(酸素、埃、水蒸気等を含む)は、前記弾力性ゲッターの性能に負の影響をおそらく与えないであろう。しかしながら、前記弾力性ゲッターの表面を汚染することを避けることが好ましであろう。従って、技術者は、手袋をおそらくはめ、自動車燃料又は潤滑油等の汚染が比較的ない仕事環境を保つべきである。
【0102】
有利なことに、典型的な具体例では、前記弾力性ゲッターは、受け取ったらすぐに使用され得る。このことは、前記弾力性ゲッターは化学の又は熱の活性を要求しない事実のためである。包装は、真空包装であるかもしれないが、開けるとすぐに、前記弾力性ゲッターは展開する。これは、前記弾力性ゲッターの自己活性機能として述べられ得る。
【0103】
具体例では、前記フロー170はモジュール176に続くが、ここでは、前記弾力性ゲッターが置かれる。有利なことに、典型的な具体例では、前記弾力性ゲッターは比較的薄い。特別な具体例では、前記弾力性ゲッターは、商業的に利用されるアルミ箔と同じぐらいの薄さであろう。前記弾力性ゲッターの厚さは、最小限の空間がある様々な場所に配置することを促進する。前記弾力性ゲッターは、例えば、シートとして使用され得る、又は筐体の角の中に丸められ得る。
【0104】
図8は、典型的な具体例に従った仕事環境での弾力性ゲッターを適用するための方法におけるフロー180を示す。具体例では、前記フロー180は、モジュール182から始まり、ここでは、前記弾力性ゲッターの巻物は利便性のために置かれる。
【0105】
有利なことに、典型的な具体例では、前記弾力性ゲッターは、通常の仕事環境によって負の影響を受けない。従って、前記弾力性ゲッターは、限定されないが例えば、非常の防衛的手段なしで、壁又は机に添付され得る。通常の環境下における弾力性ゲッターの巻物は、長期間ゲッタリング容量を保持するべきである。
【0106】
具体例では、前記フロー180はモジュール184に続くが、ここでは、前記弾力性ゲッターのシートが前記巻物から剥ぎ取られる。前記ゲッターは仕事環境の便利な場所に置かれ得るので、技術者は、必要とされる時にシートを剥ぎ取ることだけ必要がある。典型的な具体例では、活性化は求められず、技術者にとって多くの時間を省くことになる。
【0107】
具体例では、前記フロー180はモジュール186に続くが、ここでは、前記弾力性ゲッターのシートが置かれる。いったん前記弾力性ゲッターが置かれると、他の利点は明らかとなる。例えば、前記弾力性ゲッターは水又は有機汚染物を生成しない。このことは、水分が部品に損傷を起こし得る所、有機汚染物質が部品又は筐体を腐食し得る所の用途では、特に有利である。従って、前記弾力性ゲッターは、軍需品の筐体における又は魔法瓶におけるゲッターを毎年交換すること等の定期的なゲッター交換にとって価値がある。
【0108】
図9は、典型的な具体例に従ったゲッター物質の再利用のための方法におけるフロー190を示す。具体例では、前記フロー190はモジュール192から始まり、ここでは、多層ゲッター箔が再利用分別箱に置かれる。前記フロー190は多層ゲッター箔の再利用に導かれていると述べられ得る。しかしながら、前記箔基材を取り除くことに関連した段階が避けられるので、この方法は、基材なしのゲッターに適用することがより簡単であろう。この理由のため、前記フロー190のモジュールのいくつかは、完全に選択が自由である(モジュールは別の具体例では選択が自由かもしれないし自由ではないかもしれないということは、述べておくべきことである。)。
【0109】
前記多層ゲッター箔は、図9を参照して前に述べたことだが、職場環境に便利に置かれ得る。同じ地域にリサイクル分別箱を置くことはただ簡単であろう。例えばセラミック基材有するゲッターとは違って、ゲッター箔と基材なしのゲッターとを再利用することは、経済的に価値があるであろう。
【0110】
具体例では、前記フロー190はモジュール194に続くが、ここでは、前記多層ゲッター箔は再利用施設へ輸送される。典型的な具体例では、箔は、空気を取り除くために圧縮され得る。前記箔は典型的な具体例では粒子化していないので、圧縮された箔が再利用施設に輸送される時に、圧縮過程は比較的きれいであろうし、粒子は落ちるはずはない。典型的な具体例では、前記再利用施設は現場に置かれ得る。
【0111】
具体例では、前記フロー190はモジュール196に続くが、ここでは、高価なゲッター物質の融点よりも低い温度で、前記多層ゲッター箔の箔基材を溶解する。アルミニウム等の比較的低い融点を持つ箔基材は、溶解され得り、液状基材物質の表面の膜として他のゲッター物質から遊離され得る。限定されないが例えばパラジウムとチタンとを有するゲッター物質は、例えばアルミニウムよりも高い温度で溶解する。もし熱源が施設内であれば、再利用に供される物質は、非常に軽い重量であろうが、なぜなら、具体例では、前記箔は、前記ゲッター箔の質量の大部分を構成するからである。
【0112】
具体例では、前記フロー190は、高価なゲッター物質を回収するモジュール198に続く。具体例では、もしアルミニウム基材が溶解すれば、前記パラジウムとチタンとは、前記表面からすくい上げられ得る。
【0113】
別の具体例では、前記ゲッター物質は、限定されないが例えば、前記ゲッター箔を酸で溶解することと前記ゲッター物質を電解で取り除くこととを含めた他の方法で回収され得るが、これは冶金学では知られていることである。同様に、前記箔基材を溶解した後に、回収されたゲッター物質は、電解的に別なものから化学的に分離され得る。あるいは、前記ゲッター物質は、回収のために、ゲッター物質の一つ(例えば、チタン)の融点まで加熱され、他のゲッター物質(例えば、パラジウム)と分離する。いずれにせよ、パラジウム等の高価な成分の回収は、経済的に適し得るが、これはなぜなら、前記箔基材は比較的高価であること、高価な成分が比較的価値の低い成分から分離されることが比較的簡単であること、又はその両方のためである。
【0114】
図10は、典型的な具体例に従った多層ゲッターを試験するための方法におけるフロー200を示す。具体例では、前記フロー200はモジュール202から始まるが、ここでは、多層ゲッターの表面が試験される。該テストは、限定されないが例えば、前記多層ゲッターの表面層の電気抵抗を測定し得る。金属が標的ガスを吸着する時に電気抵抗等の特徴が変化することは知られている。従って、例えば電気抵抗を測定することは、前記ゲッターのガス容量が使い果たされたかどうかを示し得る。
【0115】
多層ゲッターの電気抵抗を試験することは難しいであろう。例えば、多層ゲッター(例えば、図2の前記ゲッター110)は、並列な3つの抵抗として概念化され得る。全抵抗は、3つの抵抗の逆数における和である。限定されないが記述の目的として、パラジウムのガス透過層112とチタンのガス貯留層114とアルミニウムの箔基材116を想定する。アルミニウムは、低い抵抗力を有し、少なくともある具体例ではパラジウムとチタンとの層よりもかなり大きな厚みを有し、アルミニウムの寄与は、正味の結果が測定された抵抗はいつもアルミニウムの抵抗であることであることよりもかなり高い。
【0116】
有利なことに、前記基材が絶縁体であれば(又は比較的高い抵抗力を有していれば)、測定は可能であろう。例えば、多層ゲッター(例えば図1の前記ゲッター100)は、並列な2つの抵抗(前記障壁106のおそらく低い抵抗力を無視して)として概念化され得る。限定されないが記述の目的として、パラジウムのガス透過層102とチタンのガス貯留層104と弾力性の薄い絶縁体の障壁106とを想定する。
【0117】
前記多層ゲッターの抵抗力をより減らすために、前記ガス透過層は絶縁され得る。限定されないが一例として、相互嵌合接触傾向は、様々な層の表面の1つ以上に置かれ、抵抗の変化をより検出する。加えて、VIP包装材料製造に用いられるが、ポリマー/金属多層の使用は、材料工学では知られているが、前記ガス透過層を測定することをかなり容易にし得る。
【0118】
具体例では、前記フロー200はモジュール204に続くが、ここでは、もし表面の特徴が表層内に増加した標的ガスの量に関係したら、前記多層ゲッターを交換することである。有利なことに、前記表層はガスを透過し、もう1つの層が貯留として振る舞う。前記貯留が満たすまでに、表層の電気抵抗は大幅に変化しないであろう。従って、前記表層の特徴は、前記貯留が満たすときに表層内に増加した標的ガスの量と関係する。
【0119】
貯留は、ここで用いられているが、水素等の標的を吸着するゲッターを意味し、前記標的は放出しない。これは、吸着された水素が酸素と結びつく時に副生成物として水を放出し得る非貯留ゲッターとは異なる。
【0120】
図11は、典型的な具体例に従ったゲッター箔を構築するための方法におけるフロー210を示す。具体例では、前記フロー210はモジュール212で始まり、ここでは、箔の抵抗力は、前記箔の端で堅い物理的接触をもたらすことによって減らされている。前記端の周りの物理的接触は、限定されないが例えばカプトンテープ、ねじ、ステンレス鋼の重み等の多くの技術いずれを使っても果たされ得る。
【0121】
具体例では、前記フロー210はモジュール214に続き、ここでは、RFエッチが前記箔で行われる。いくつかの箔は化学的又は他の手段で前処理が行われる必要がなく、RFエッチで十分であることが発見された。具体例では、前記RFエッチは、例えば有機物や酸化物を前記箔から取り除くために用いられる。
【0122】
具体例では、前記フロー210はモジュール216に続き、ここでは、ゲッター層が前記箔に置かれている。具体例では、前記フローはモジュール218に続き、ここでは、触媒層が前記ゲッター層に沈着されている。生成物は多層ゲッター箔である。
【0123】
ここで述べられている多層ゲッターは、様々な形状で構成され得る。例えば、多層のワイヤーの芯はガス貯留であり、ここで述べられているガス透過層によって覆われている。あるいは、多層の小球の芯はガス貯留であり、ここで述べられているガス透過層によって覆われる。
【0124】
ここで用いられているように、「具体例」という言葉は、限定されない方法として記述されている具体例を意味する。
【0125】
先の例と好ましい具体例とは例であって本発明の範囲を限定するものではないことは、当業者にとって理解され得る。明細書を読み、図面を検討して、当業者にとって明らかである置換と強化と同調のものと改良とは、加えて、本発明の真意と範囲との内に含まれる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1表面と第2表面とを有するガス貯留層と、
前記ガス貯留層の第1表面を覆うガス透過層と、
前記ガス貯留層の第2表面上の障壁と、を有する多層ゲッター箔。
【請求項2】
前記ガス透過層が水素を透過する請求項1のゲッター。
【請求項3】
前記ガス透過層が約300℃以下の温度で標的ガスを透過する請求項1のゲッター。
【請求項4】
前記ガス透過層が触媒特性を有する請求項1のゲッター。
【請求項5】
前記ガス透過層が水素を分離し、該水素が該ガス透過層の金属格子内を拡散する請求項1のゲッター。
【請求項6】
前記ガス透過層が、ホスフィン分子を分解し、該ホスフィン分子の分解によって放出された水素を吸着する請求項1のゲッター。
【請求項7】
触媒特性を得るために前記ガス透過層が表面改質される請求項1のゲッター。
【請求項8】
前記ガス透過層が妨害物にする抵抗である請求項1のゲッター。
【請求項9】
前記ガス透過層が耐腐食性を有する請求項1のゲッター。
【請求項10】
前記ガス透過層が耐酸化性を有する請求項1のゲッター。
【請求項11】
前記ガス透過層がパラジウムを有する請求項1のゲッター。
【請求項12】
前記ガス透過層が8族遷移金属を有する請求項1のゲッター。
【請求項13】
前記ガス透過層が、パラジウムと、スズ、金、ホウ素、鉛、銀及びその組み合わせからなる群より選ばれた成分との合金を有する請求項1のゲッター。
【請求項14】
前記ガス透過層が厚さ約10μm以下である請求項1のゲッター。
【請求項15】
前記ガス透過層が前記ガス貯留層に付着されている請求項1のゲッター。
【請求項16】
前記ガス貯留層がモノリシック構造である請求項1のゲッター。
【請求項17】
前記ガス貯留層が、チタン、ジルコニウム、タンタル、ニオビウム、ハフニウム、バナジウム及びイットリウムからなる群より選ばれた物質を有し、又は遷移金属、希土類及びアルミニウムからなる群より選ばれた1種以上の成分と金属の少なくとも1種との合金を有する請求項1のゲッター。
【請求項18】
前記ガス貯留層が実質的に副生成物を有さない請求項1のゲッター。
【請求項19】
前記ガス貯留層が乾燥剤を有さない請求項1のゲッター。
【請求項20】
前記ガス貯留層が水蒸気に耐久性を有する請求項1のゲッター。
【請求項21】
前記ガス貯留層が厚さ約20μm以下である請求項1のゲッター。
【請求項22】
前記障壁が、前記ガス貯留層の第2表面の物質が基材に化学的に反応する時に形成させる請求項1のゲッター。
【請求項23】
前記障壁が不動態層を有する請求項1のゲッター。
【請求項24】
前記障壁が少なくとも部分的に自己回復する請求項1のゲッター。
【請求項25】
前記ガス透過層が第1ガス透過層であり、前記障壁が第2ガス透過層である請求項1のゲッター。
【請求項26】
箔基材と、
前記箔基材によって支持されるガス貯留層と、
前記ガス貯留層を覆っているガス透過層とを有する多層ゲッター箔。
【請求項27】
前記ガス貯留層が、前記箔基材と前記ガス透過層とに結びつけられている請求項26のゲッター。
【請求項28】
前記ガス貯留層が、前記箔基材と前記ガス透過層とに添付されている請求項26のゲッター。
【請求項29】
前記箔基材が金属を有する請求項26のゲッター。
【請求項30】
前記ガス貯留層が前記ガス透過層に結びつけられている請求項26のゲッター。
【請求項31】
前記ガス貯留層が実質的にモノリシック構造物質を有する請求項26のゲッター。
【請求項32】
前記ガス貯留層が水素ゲッター物質を有する請求項26のゲッター。
【請求項33】
ジルコニウム、チタン、タンタル、ニオビウム、ハフニウム、バナジウム及びイットリウムからなる群より選ばれた物質を有し、又は遷移金属、希土類及びアルミニウムからなる群より選ばれた1種以上の成分と金属の少なくとも1種との合金を有する請求項26のゲッター。
【請求項34】
前記ガス貯留層が、パラジウムの水素ゲッタリング容量よりも大きい水素ゲッタリング容量を有する請求項26のゲッター。
【請求項35】
前記ガス透過層が水素を透過する請求項26のゲッター。
【請求項36】
前記ガス透過層が妨害物に対する抵抗である請求項26のゲッター。
【請求項37】
前記ガス透過層が耐酸化性を有する請求項26のゲッター。
【請求項38】
前記ガス透過層が耐腐食性を有する請求項26のゲッター。
【請求項39】
前記ガス透過層が触媒層を有する請求項26のゲッター。
【請求項40】
前記ガス透過層が触媒層を有し、該触媒層が水素分子を分解し、分離した水素原子を吸着する請求項26のゲッター。
【請求項41】
前記ガス透過層が触媒層を有し、該触媒層がホスフィン分子を分解し、分離した水素原子を吸着する請求項26のゲッター。
【請求項42】
前記ガス透過層が貴金属を有する請求項26のゲッター。
【請求項43】
前記ガス透過層が、7A族元素及び8族元素からなる群より選ばれた物質を有する請求項26のゲッター。
【請求項44】
前記多層ゲッター箔が厚さ0.01インチ以下である請求項26のゲッター。
【請求項45】
前記多層ゲッター箔が厚さ約0.015インチである請求項26のゲッター。
【請求項46】
標的ガスをゲッタリングするために第1表面と第2表面とを有するガス貯留層と、
前記ガス貯留層の第1表面に結びつけられている透過層と、
前記ガス貯留層の第2表面上の障壁とを有するゲッターであって、
前記透過層が前記標的ガスに対して透過性を有し、
作動中に、前記標的ガスが前記ガス透過障壁に入り、前記ガス貯留層が前記透過層を通して前記ガス貯留層へ送り込むゲッター。
【請求項47】
前記ガス透過層が約10,000オングストローム以下である請求項46のゲッター。
【請求項48】
前記障壁が不動態層を有する請求項46のゲッター。
【請求項49】
前記障壁が基材を有する請求項46のゲッター。
【請求項50】
前記障壁がガス透過層を有する請求項46のゲッター。
【請求項51】
第1ガス透過層と、
第2ガス透過層と、
前記第1ガス透過層と前記第2ガス透過層との間に挟まれたガス貯留を有するゲッターであって、
前記ガス貯留が、前記第1ガス透過層と前記第2ガス透過層とによって周囲環境から実質的に保護されているゲッター。
【請求項52】
第1表面と第2表面とを有するガス貯留層と、
前記ガス貯留層の第1表面を覆うガス透過層と、
前記ガス貯留層の第2表面に添加される粘着剤とを有するゲッター物質の巻物。
【請求項53】
弾力性基材と、
前記弾力性基材に支持されているガス貯留層と、
前記ガス貯留層を覆うガス透過層とを有するゲッター。
【請求項54】
前記弾力性基材がテープ基材である請求項53のゲッター。
【請求項55】
前記弾力性基材が表面への仮付け溶接に最適な物質を有する請求項53のゲッター。
【請求項56】
副生成物を有さないモノシリシック構造ゲッター層と、
前記モノシリック構造ゲッター層に覆われ且つ副生成物を有さない触媒ゲッター層とを有するゲッター。
【請求項57】
前記副生成物を有さない触媒ゲッター層が粒子化しない請求項56のゲッター。
【請求項58】
前記副生成物を有さない触媒ゲッター層が自己活性化する請求項56のゲッター。
【請求項59】
水素分子を分離するための触媒手段と、
分離した水素が通過するためのガス透過媒体と、
触媒手段から分離された水素を、前記ガス透過媒体を通してガス貯留へ汲み上げる水素ポンプ手段とを有するゲッター。
【請求項60】
大気中で実質的に不活性である耐水性触媒層と、
水副生成物を生成することなく前記触媒層から水素を汲み上げるガスポンプ層とを有するゲッター。
【請求項61】
自己活性化水素透過ゲッター層と、
副生成物を発生せず前記自己活性化水素透過ゲッター層を通過する水素を捕捉する水素ポンプ層とを有するゲッター。
【請求項62】
輸送のために弾力性ゲッターを包装することと、
包装から前記弾力性ゲッターを取り除き、前記弾力性ゲッターに自己活性化することを認めることと、
前記弾力性ゲッターを好ましいように置くこととを有するゲッター箔を用いる方法。
【請求項63】
箔の端での堅い物理的接触をもたらすことによって前記箔の反射力を減らすことと、
RFエッチを前記箔で行うことと、
ゲッター層を前記箔に置くこととを有するゲッター箔の製造方法。
【請求項64】
約30〜50Wの反射電力の名目上の範囲に到達することをさらに有する請求項63の方法。
【請求項65】
約50〜60Wの反射電力で前記RFエッチ過程を安定させることをさらに有する請求項63の方法。
【請求項66】
前記箔にゲッター層を置くことが前記ゲッター層を有する箔をロールコーティングすることを有する請求項63の方法。
【請求項67】
前記ゲッター層を沈着するために、前記箔にゲッター層を置くことが、スパッタリング、蒸着、冷間圧延又はスクリーン印刷を用いることを有する請求項63の方法。
【請求項68】
触媒層を前記ゲッター層に沈着することをさらに有する請求項63の方法。
【請求項69】
前記ゲッター層を前記触媒層に堅く結ぶことをさらに有する請求項68の方法。
【請求項70】
利便性のために弾力性ゲッターの巻物を置くことと、
前記巻物から弾力性ゲッターのシートを剥ぎ取ることと、
好ましいように前記弾力性ゲッターのシートを置くこととを有する、ゲッター箔を用いる方法。
【請求項71】
使用済みゲッター箔を再利用分別箱に置くことと、
前記ゲッター箔を再利用施設へ輸送することと、
高価なゲッター物質の融点以下の温度で、前記ゲッター箔の基材を溶解することとを有する、ゲッター物質を効果的に再利用する方法。
【請求項72】
多層ゲッター層の表層の特徴を試験することと、
前記特徴が前記表層内で増加した標的ガスに関係しているかどうかを決定することと、
もし前記特徴が前記表層内で増加した標的ガスに関係しているならば前記多層ゲッターを交換することとを有し、ゲッターが消費されているかどうかを決定する方法であって、
前記多層ゲッター層の表層が前記多層ゲッターの貯留層を覆い、
前記貯留層が実質的に満たすまで前記貯留層が前記表層から前記標的ガスを汲み上げる、ゲッターが消費されているかどうかを決定する方法。
【請求項73】
絶縁基材を供給することをさらに有する請求項72の方法。
【請求項74】
前記ガス貯留層に嵌合接触傾向を供給することをさらに有する請求項72の方法。
【請求項75】
ゲッター箔を置くことと、
放出された水素を除去することによって対流による熱透過を減少させることと、
前記ゲッター箔による遮へいを通して放射による熱透過を減少させることとを有する、魔法瓶における熱透過を減少させる方法。
【請求項76】
前記魔法瓶の修正なしで魔法瓶に存在するゲッター箔を改良することをさらに有する請求項75の方法。
【請求項77】
前記ゲッター箔を自己活性化させることをさらに有する請求項75の方法。
【請求項78】
自己活性化ゲッター物質を周囲環境に一時的に暴露させることと、
必要な時に前記自己活性化ゲッター物質の部分を選ぶことと、
前記自己活性化ゲッター物質の部分を密閉の筐体内に置くこととを有し、軍需品の筐体における軍需品を保護する方法であって、
前記周囲環境が酸素と水蒸気とを有する、軍需品の筐体における軍需品を保護する方法。
【請求項79】
前記自己活性化ゲッター物質の部分が副生成物を有さない請求項78の方法。
【請求項80】
有機物を除去するために気密の筐体に炭フィルターを含むことを有する請求項78の方法。
【請求項81】
前記機密の筐体の内容物からのガス放出割合に依存する定期的な基準をもとに、前記自己活性化ゲッター物質を交換することをさらに有する請求項78の方法。
【請求項82】
ガス貯留ワイヤーと、
前記ガス貯留ワイヤーを覆うガス透過層とを有するゲッターであって、
前記ガス貯留が、第1ガス透過層とガス第2透過層とによって周辺環境から実質的に保護されているゲッター。
【請求項1】
第1表面と第2表面とを有するガス貯留層と、
前記ガス貯留層の第1表面を覆うガス透過層と、
前記ガス貯留層の第2表面上の障壁と、を有する多層ゲッター箔。
【請求項2】
前記ガス透過層が水素を透過する請求項1のゲッター。
【請求項3】
前記ガス透過層が約300℃以下の温度で標的ガスを透過する請求項1のゲッター。
【請求項4】
前記ガス透過層が触媒特性を有する請求項1のゲッター。
【請求項5】
前記ガス透過層が水素を分離し、該水素が該ガス透過層の金属格子内を拡散する請求項1のゲッター。
【請求項6】
前記ガス透過層が、ホスフィン分子を分解し、該ホスフィン分子の分解によって放出された水素を吸着する請求項1のゲッター。
【請求項7】
触媒特性を得るために前記ガス透過層が表面改質される請求項1のゲッター。
【請求項8】
前記ガス透過層が妨害物にする抵抗である請求項1のゲッター。
【請求項9】
前記ガス透過層が耐腐食性を有する請求項1のゲッター。
【請求項10】
前記ガス透過層が耐酸化性を有する請求項1のゲッター。
【請求項11】
前記ガス透過層がパラジウムを有する請求項1のゲッター。
【請求項12】
前記ガス透過層が8族遷移金属を有する請求項1のゲッター。
【請求項13】
前記ガス透過層が、パラジウムと、スズ、金、ホウ素、鉛、銀及びその組み合わせからなる群より選ばれた成分との合金を有する請求項1のゲッター。
【請求項14】
前記ガス透過層が厚さ約10μm以下である請求項1のゲッター。
【請求項15】
前記ガス透過層が前記ガス貯留層に付着されている請求項1のゲッター。
【請求項16】
前記ガス貯留層がモノリシック構造である請求項1のゲッター。
【請求項17】
前記ガス貯留層が、チタン、ジルコニウム、タンタル、ニオビウム、ハフニウム、バナジウム及びイットリウムからなる群より選ばれた物質を有し、又は遷移金属、希土類及びアルミニウムからなる群より選ばれた1種以上の成分と金属の少なくとも1種との合金を有する請求項1のゲッター。
【請求項18】
前記ガス貯留層が実質的に副生成物を有さない請求項1のゲッター。
【請求項19】
前記ガス貯留層が乾燥剤を有さない請求項1のゲッター。
【請求項20】
前記ガス貯留層が水蒸気に耐久性を有する請求項1のゲッター。
【請求項21】
前記ガス貯留層が厚さ約20μm以下である請求項1のゲッター。
【請求項22】
前記障壁が、前記ガス貯留層の第2表面の物質が基材に化学的に反応する時に形成させる請求項1のゲッター。
【請求項23】
前記障壁が不動態層を有する請求項1のゲッター。
【請求項24】
前記障壁が少なくとも部分的に自己回復する請求項1のゲッター。
【請求項25】
前記ガス透過層が第1ガス透過層であり、前記障壁が第2ガス透過層である請求項1のゲッター。
【請求項26】
箔基材と、
前記箔基材によって支持されるガス貯留層と、
前記ガス貯留層を覆っているガス透過層とを有する多層ゲッター箔。
【請求項27】
前記ガス貯留層が、前記箔基材と前記ガス透過層とに結びつけられている請求項26のゲッター。
【請求項28】
前記ガス貯留層が、前記箔基材と前記ガス透過層とに添付されている請求項26のゲッター。
【請求項29】
前記箔基材が金属を有する請求項26のゲッター。
【請求項30】
前記ガス貯留層が前記ガス透過層に結びつけられている請求項26のゲッター。
【請求項31】
前記ガス貯留層が実質的にモノリシック構造物質を有する請求項26のゲッター。
【請求項32】
前記ガス貯留層が水素ゲッター物質を有する請求項26のゲッター。
【請求項33】
ジルコニウム、チタン、タンタル、ニオビウム、ハフニウム、バナジウム及びイットリウムからなる群より選ばれた物質を有し、又は遷移金属、希土類及びアルミニウムからなる群より選ばれた1種以上の成分と金属の少なくとも1種との合金を有する請求項26のゲッター。
【請求項34】
前記ガス貯留層が、パラジウムの水素ゲッタリング容量よりも大きい水素ゲッタリング容量を有する請求項26のゲッター。
【請求項35】
前記ガス透過層が水素を透過する請求項26のゲッター。
【請求項36】
前記ガス透過層が妨害物に対する抵抗である請求項26のゲッター。
【請求項37】
前記ガス透過層が耐酸化性を有する請求項26のゲッター。
【請求項38】
前記ガス透過層が耐腐食性を有する請求項26のゲッター。
【請求項39】
前記ガス透過層が触媒層を有する請求項26のゲッター。
【請求項40】
前記ガス透過層が触媒層を有し、該触媒層が水素分子を分解し、分離した水素原子を吸着する請求項26のゲッター。
【請求項41】
前記ガス透過層が触媒層を有し、該触媒層がホスフィン分子を分解し、分離した水素原子を吸着する請求項26のゲッター。
【請求項42】
前記ガス透過層が貴金属を有する請求項26のゲッター。
【請求項43】
前記ガス透過層が、7A族元素及び8族元素からなる群より選ばれた物質を有する請求項26のゲッター。
【請求項44】
前記多層ゲッター箔が厚さ0.01インチ以下である請求項26のゲッター。
【請求項45】
前記多層ゲッター箔が厚さ約0.015インチである請求項26のゲッター。
【請求項46】
標的ガスをゲッタリングするために第1表面と第2表面とを有するガス貯留層と、
前記ガス貯留層の第1表面に結びつけられている透過層と、
前記ガス貯留層の第2表面上の障壁とを有するゲッターであって、
前記透過層が前記標的ガスに対して透過性を有し、
作動中に、前記標的ガスが前記ガス透過障壁に入り、前記ガス貯留層が前記透過層を通して前記ガス貯留層へ送り込むゲッター。
【請求項47】
前記ガス透過層が約10,000オングストローム以下である請求項46のゲッター。
【請求項48】
前記障壁が不動態層を有する請求項46のゲッター。
【請求項49】
前記障壁が基材を有する請求項46のゲッター。
【請求項50】
前記障壁がガス透過層を有する請求項46のゲッター。
【請求項51】
第1ガス透過層と、
第2ガス透過層と、
前記第1ガス透過層と前記第2ガス透過層との間に挟まれたガス貯留を有するゲッターであって、
前記ガス貯留が、前記第1ガス透過層と前記第2ガス透過層とによって周囲環境から実質的に保護されているゲッター。
【請求項52】
第1表面と第2表面とを有するガス貯留層と、
前記ガス貯留層の第1表面を覆うガス透過層と、
前記ガス貯留層の第2表面に添加される粘着剤とを有するゲッター物質の巻物。
【請求項53】
弾力性基材と、
前記弾力性基材に支持されているガス貯留層と、
前記ガス貯留層を覆うガス透過層とを有するゲッター。
【請求項54】
前記弾力性基材がテープ基材である請求項53のゲッター。
【請求項55】
前記弾力性基材が表面への仮付け溶接に最適な物質を有する請求項53のゲッター。
【請求項56】
副生成物を有さないモノシリシック構造ゲッター層と、
前記モノシリック構造ゲッター層に覆われ且つ副生成物を有さない触媒ゲッター層とを有するゲッター。
【請求項57】
前記副生成物を有さない触媒ゲッター層が粒子化しない請求項56のゲッター。
【請求項58】
前記副生成物を有さない触媒ゲッター層が自己活性化する請求項56のゲッター。
【請求項59】
水素分子を分離するための触媒手段と、
分離した水素が通過するためのガス透過媒体と、
触媒手段から分離された水素を、前記ガス透過媒体を通してガス貯留へ汲み上げる水素ポンプ手段とを有するゲッター。
【請求項60】
大気中で実質的に不活性である耐水性触媒層と、
水副生成物を生成することなく前記触媒層から水素を汲み上げるガスポンプ層とを有するゲッター。
【請求項61】
自己活性化水素透過ゲッター層と、
副生成物を発生せず前記自己活性化水素透過ゲッター層を通過する水素を捕捉する水素ポンプ層とを有するゲッター。
【請求項62】
輸送のために弾力性ゲッターを包装することと、
包装から前記弾力性ゲッターを取り除き、前記弾力性ゲッターに自己活性化することを認めることと、
前記弾力性ゲッターを好ましいように置くこととを有するゲッター箔を用いる方法。
【請求項63】
箔の端での堅い物理的接触をもたらすことによって前記箔の反射力を減らすことと、
RFエッチを前記箔で行うことと、
ゲッター層を前記箔に置くこととを有するゲッター箔の製造方法。
【請求項64】
約30〜50Wの反射電力の名目上の範囲に到達することをさらに有する請求項63の方法。
【請求項65】
約50〜60Wの反射電力で前記RFエッチ過程を安定させることをさらに有する請求項63の方法。
【請求項66】
前記箔にゲッター層を置くことが前記ゲッター層を有する箔をロールコーティングすることを有する請求項63の方法。
【請求項67】
前記ゲッター層を沈着するために、前記箔にゲッター層を置くことが、スパッタリング、蒸着、冷間圧延又はスクリーン印刷を用いることを有する請求項63の方法。
【請求項68】
触媒層を前記ゲッター層に沈着することをさらに有する請求項63の方法。
【請求項69】
前記ゲッター層を前記触媒層に堅く結ぶことをさらに有する請求項68の方法。
【請求項70】
利便性のために弾力性ゲッターの巻物を置くことと、
前記巻物から弾力性ゲッターのシートを剥ぎ取ることと、
好ましいように前記弾力性ゲッターのシートを置くこととを有する、ゲッター箔を用いる方法。
【請求項71】
使用済みゲッター箔を再利用分別箱に置くことと、
前記ゲッター箔を再利用施設へ輸送することと、
高価なゲッター物質の融点以下の温度で、前記ゲッター箔の基材を溶解することとを有する、ゲッター物質を効果的に再利用する方法。
【請求項72】
多層ゲッター層の表層の特徴を試験することと、
前記特徴が前記表層内で増加した標的ガスに関係しているかどうかを決定することと、
もし前記特徴が前記表層内で増加した標的ガスに関係しているならば前記多層ゲッターを交換することとを有し、ゲッターが消費されているかどうかを決定する方法であって、
前記多層ゲッター層の表層が前記多層ゲッターの貯留層を覆い、
前記貯留層が実質的に満たすまで前記貯留層が前記表層から前記標的ガスを汲み上げる、ゲッターが消費されているかどうかを決定する方法。
【請求項73】
絶縁基材を供給することをさらに有する請求項72の方法。
【請求項74】
前記ガス貯留層に嵌合接触傾向を供給することをさらに有する請求項72の方法。
【請求項75】
ゲッター箔を置くことと、
放出された水素を除去することによって対流による熱透過を減少させることと、
前記ゲッター箔による遮へいを通して放射による熱透過を減少させることとを有する、魔法瓶における熱透過を減少させる方法。
【請求項76】
前記魔法瓶の修正なしで魔法瓶に存在するゲッター箔を改良することをさらに有する請求項75の方法。
【請求項77】
前記ゲッター箔を自己活性化させることをさらに有する請求項75の方法。
【請求項78】
自己活性化ゲッター物質を周囲環境に一時的に暴露させることと、
必要な時に前記自己活性化ゲッター物質の部分を選ぶことと、
前記自己活性化ゲッター物質の部分を密閉の筐体内に置くこととを有し、軍需品の筐体における軍需品を保護する方法であって、
前記周囲環境が酸素と水蒸気とを有する、軍需品の筐体における軍需品を保護する方法。
【請求項79】
前記自己活性化ゲッター物質の部分が副生成物を有さない請求項78の方法。
【請求項80】
有機物を除去するために気密の筐体に炭フィルターを含むことを有する請求項78の方法。
【請求項81】
前記機密の筐体の内容物からのガス放出割合に依存する定期的な基準をもとに、前記自己活性化ゲッター物質を交換することをさらに有する請求項78の方法。
【請求項82】
ガス貯留ワイヤーと、
前記ガス貯留ワイヤーを覆うガス透過層とを有するゲッターであって、
前記ガス貯留が、第1ガス透過層とガス第2透過層とによって周辺環境から実質的に保護されているゲッター。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−63428(P2013−63428A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−219516(P2012−219516)
【出願日】平成24年10月1日(2012.10.1)
【分割の表示】特願2007−556304(P2007−556304)の分割
【原出願日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【出願人】(506343405)サエス ゲッターズ ソシエタ ペル アチオニ (4)
【氏名又は名称原語表記】SAES GETTERS S.P.A.
【住所又は居所原語表記】Viale Italia,77,I−20020 Lainate (IT)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−219516(P2012−219516)
【出願日】平成24年10月1日(2012.10.1)
【分割の表示】特願2007−556304(P2007−556304)の分割
【原出願日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【出願人】(506343405)サエス ゲッターズ ソシエタ ペル アチオニ (4)
【氏名又は名称原語表記】SAES GETTERS S.P.A.
【住所又は居所原語表記】Viale Italia,77,I−20020 Lainate (IT)
【Fターム(参考)】
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