説明

弾性エネルギー付与要素でカム作用されるシールアセンブリ

【課題】移動可能な第一の表面と第二の表面との間の開いた空間を密封するためのシールアセンブリを提供する。
【解決手段】シールアセンブリ10は、ギャップによって間隔を空けられた第一および第二の機能的表面を密封する。第一の表面は、基部表面20ならびに第一の側部表面および第二の側部表面を有するシール溝を備える。シール溝内の密封要素30は、基部表面20に対して平行に延びるフット部分32を有し、フット部分32は、第二の機能的表面に係合する。フット部分32から基部表面20の方へと延びるレッグ部分34は、第一の表面および第二の表面を有する。密封要素30に隣接する補助リング50は、密封要素30が押し出されてギャップに入ることを防止する。補助リング50の第一の面は、レッグ部分34の第二の表面に嵌合し、そして第二の面は、シール溝の第一の面および第二の面のうちの一方と嵌合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の背景)
本発明は、移動可能な第一の円筒形表面と第二の円筒形表面との間のクリアランス空間またはギャップを密封するためのシールアセンブリに関し、そしてより特定すると、円筒形表面のうちの一方と接触する、傾斜した「L」字型またはフット形状の要素を備えるシールアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
加圧液体システムにおける流体の漏出制御のために設計されるシールアセンブリは、当該分野において一般的に公知である。このようなシールは、例えば、航空宇宙産業用途(航空管制塔、着陸装置および液圧アクチュエータが挙げられる)において見出され得る。このような用途において使用されるシールは、種々の異なる幾何学的形状を有し得、一方で、全てのシールが、ほぼ同じ機能を果たす。異なる形状および/または材料のシールは、異なる型(例えば、作動条件)の用途のために、よりよく適する。当該分野において一般的に公知である、高圧液圧用途のためのシールに伴う1つの問題は、密封要素またはキャップ要素が、しばしば、この密封要素が接触する円筒形表面に対して均一な圧力を付与する様式で、エネルギー付与されないことである。さらに、当該分野において公知である液圧シールのいくつかは、非常に加圧された液圧システムに付随する、極度に高い圧力および/または温度に耐えることができない。従って、先行技術の液圧シールの多くは、過剰の水および/またはキャップ要素に対する不均一な付加分布に起因して、漏出しやすい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、キャップ要素に対する均一な付加分布を提供することによって、高圧、高温の液圧システムにおいて漏出を防ぎ得、これによって、長期間のシール寿命およびより良好な密封性を得る、移動可能な第一の表面と第二の表面との間の開いた空間を密封するためのシールアセンブリを有することが、望ましい。従って、シールを収容するための、閉じた壁の溝が必要とされる。このことは、閉じた壁の溝に設置するために充分な変形を可能にするように、構造が充分の可撓性であり、同時になお、圧力による押し出しに対する耐性、密封の効率、および耐摩耗性を充分に提供する、シール設計を必要とする。このことは、棒型のシールに対して特に適用可能であり、そしてまた、既存のグランドの旧型のシールを取り替えるために、特に適用可能である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
(発明の簡単な要旨)
手短に言えば、本発明の第一の局面によれば、シールアセンブリが、ギャップにより間隔を空けている嵌合する第一の機能的表面と第二の機能的表面とを密封する際に使用するために、適合される。この第一の表面は、環状のシールアセンブリ受容溝を備える。この溝は、ほぼ軸方向の基部表面と、この基部表面からほぼ直角に延びるほぼ環状の第一の側部表面および第二の側部表面とにより、規定される。密封要素が、このシールアセンブリ受容溝内に配置されるように、構成される。この密封要素は、フット部分を備え、このフット部分は、基部表面に対してほぼ平行に延び、そして第二の機能的表面を少なくとも部分的に係合するように、位置決めされる。レッグ部分が、このフット部分から、基部表面の方へと延び、そして第一の表面および第二の表面を有し、その結果、レッグ部分の第一の表面とフット部分との間の第一の先端角度は、鈍角であり、そしてレッグ部分の第二の表面とフット部分との間に第二の先端角度は、鋭角である。代表的に比較的硬い材料から作製される補助リングは、シールアセンブリ受容溝内で、密封要素に隣接して配置され、密封要素が押し出されて第一の機能的表面と第二の機能的表面との間のギャップに入ることを防止するように、構成される。この補助リングは、第一の面および第二の面を有する。補助リングの第一の面は、密封要素のレッグ部分の第二の表面と少なくとも部分的に相補的に嵌合するように構成される。補助リングの第二の面は、シールアセンブリ受容溝の第一の側部表面および第二の側部表面のうちの一方と少なくとも部分的に嵌合するように、構成される。エネルギー付与要素は、シールアセンブリ受容溝内で、基部表面と密封要素のフット部分との間に位置するように、構成される。このエネルギー付与要素は、このエネルギー付与要素が圧縮状態にある場合に、密封要素のレッグ部分およびフット部分に均一な圧力を付与する。
【0005】
本発明の第二の局面によれば、シールアセンブリは、ギャップにより間隔を空けられる、嵌合する第一の機能的表面と第二の機能的表面とを密封する際に使用するために、適合される。この第一の表面は、第一の環状シールアセンブリ受容溝および第二の環状シールアセンブリ受容溝を備え、これらの溝の各々は、ほぼ軸方向の基部表面と、この基部表面に対してほぼ直角に延びる、ほぼ円形の第一の側部表面および第二の側部表面とによって、規定される。第一の密封要素は、第一のシールアセンブリ受容溝内に配置され、そして第一の機能的表面と少なくとも部分的に係合するように位置決めされるように、構成される。第二の密封要素は、第二のシールアセンブリ受容溝内に配置されるように構成される。第二の密封要素は、フット部分を有し、このフット部分は、基部表面に対して実質的に平行に延び、そして第二の機能的表面と少なくとも部分的に嵌合するように位置決めされる。レッグ部分が、このフット部分殻基部表面の方へと延び、そして第一の表面および第二の表面を有し、その結果、レッグ部分の第一の表面とフット部分との間の第一の先端角度は、鈍角であり、そしてレッグ部分の第二の表面とフット部分との間の第二の先端角度は、鋭角である。代表的に比較的硬い材料から作製される補助リングは、第二のシールアセンブリ受容溝の内部で、第二の密封要素に隣接して配置され、第二の密封要素が押し出されて、第一の機能的表面と第二の機能的表面との間のギャップに入ることを防止するように、構成される。補助リングは、第一の面、第二の面、および第三の面を有する。補助リングの第一の面は、第二の密封要素のレッグ部分の第二の表面と少なくとも部分的に相補的に嵌合するように、構成される。補助リングの第二の面は、第二のシールアセンブリ受容溝の第一の側部表面および第二の側部表面のうちの一方と少なくとも部分的に嵌合するように、構成される。補助リングの第三の面は、第二の機能的表面に面し、そして角度の付いた凹部を有し、この角度の付いた凹部は、第二の機能的表面から少なくとも部分的に間隔を空ける。エネルギー付与要素は、第二のシールアセンブリ受容溝の中で、基部表面と第二の密封要素のフット部分との間に位置するように構成される。このエネルギー付与要素は、このエネルギー付与要素が圧縮状態にある場合に、第二の密封要素のレッグ部分およびフット部分に、均一な圧力を付与する。
【0006】
本発明の第三の局面によれば、シールアセンブリは、ギャップによって間隔を空けられる、嵌合する第一の機能的表面と第二の機能的表面とを密封する際に使用するために適合される。この第一の表面は、第一の環状シールアセンブリ受容溝、第二の環状シールアセンブリ受容溝、および第三の環状シールアセンブリ受容溝を備え、これらの溝の各々は、ほぼ軸方向の基部表面と、それぞれの基部表面からほぼ直角に延びる、ほぼ円形の第一の側部表面および第二の側部表面とによって規定される。第一の密封要素は、第一のシールアセンブリ受容溝内に配置され、そして第一の機能的表面と少なくとも部分的に係合して位置決めされるように、構成される。第二の密封要素は、第二のシールアセンブリ受容溝内に配置されるように構成される。第二の密封要素は、フット部分を有し、このフット部分は、基部表面に対してほぼ平行に延び、そして第二の機能的表面と少なくとも部分的に係合するように、位置決めされる。レッグ部分が、このフット部分から、基部表面の方へと延び、そして第一の表面および第二の表面を有し、その結果、レッグ部分の第一の表面とフット部分との間の第一の先端角度は、鈍角であり、そしてレッグ部分の第二の表面とフット部分との間の第二の先端角度は、鋭角である。代表的に比較的硬い材料から作製される補助リングは、第二の密封アセンブリ受容溝内で、第二の密封要素に隣接して配置され、第二の密封要素が押し出されて第一の機能的表面と第二の機能的表面との間のギャップに入ることを防止するように、構成される。保持リングは、第一の面および第二の面を有する。補助リングの第一の面は、第二の密封要素のレッグ部分の第二の表面と少なくとも部分的に相補的に嵌合するように、構成される。補助リングの第二の面は、第二のシールアセンブリ受容溝の第一の側部表面および第二の側部表面のうちの一方と少なくとも部分的に嵌合するように構成される。エネルギー付与要素は、第二のシールアセンブリ受容溝内で、基部表面と第二の密封要素のフット部分との間に配置されるように、構成される。エネルギー付与要素は、このエネルギー付与要素が圧縮状態にある場合に、第二の密封要素のレッグ部分およびフット部分に均一な圧力を付与する。スクレーパ要素は、第三の密封アセンブリ受容溝内に配置されるように構成され、そして密封アセンブリが使用中である場合に、第二の機能的表面と少なくとも部分的に係合するように、位置決めされる。
【0007】
本発明の第四の局面によれば、シールアセンブリは、ギャップにより間隔を空けた、嵌合する第一の機能的表面と第二の機能的表面とを密封する際に使用するために適合される。この第一の表面は、第一の環状シールアセンブリ受容溝および第二の環状シールアセンブリ受容溝を備え、これらの溝の各々は、ほぼ軸方向の基部表面と、それぞれの基部表面からほぼ直角に延びる、ほぼ円形の第一の側部表面および第二の側部表面とによって、規定される。第一の密封要素は、第一のシールアセンブリ受容溝内に位置し、そして第一の機能的表面と少なくとも部分的に係合するように位置決めされるように、構成される。第二の密封要素は、第二のシールアセンブリ受容溝内に位置するように構成され、そして第二の機能的表面と少なくとも部分的に係合するように位置決めされる。代表的に比較的硬い材料から作製される補助リングは、第二のシールアセンブリ受容溝内で、第二の密封要素に隣接して配置され、第二の密封要素が押し出されて第一の機能的表面と第二の機能的表面との間のギャップに入ることを防止するように、構成される。補助リングは、第一の面、第二の面、および第三の面を有する。補助リングの第一の面は、第二の密封要素と少なくとも部分的に係合するように、構成される。補助リングの第二の面は、第二のシールアセンブリ受容溝の第一の側部表面および第二の側部表面のうちの一方と少なくとも部分的に嵌合するように、構成される。補助リングの第三の面は、第二の機能的表面に面し、角度の付いた凹部を有し、この角度の付いた凹部は、第二の機能的表面から少なくとも部分的に間隔を空ける。エネルギー付与要素は、第二のシールアセンブリ受容溝内で、基部表面と第二の密封要素との間に配置されるように構成される。エネルギー付与要素は、このエネルギー付与要素が圧縮された状態にある場合に、第二の密封要素および補助リングに圧力を付与する。
【0008】
上記要旨、および以下の発明の好ましい実施形態の詳細な説明は、添付の図面と組み合わせて読まれる場合に、よりよく理解される。本発明を説明する目的で、現在好ましい実施形態が、図面に示される。しかし、本発明は、図示される正確な配置および構成に限定されないことが、理解されるべきである。
例えば、本発明は以下を提供する。
(項目1)
ギャップによって間隔を空けられた、嵌合する第一の機能的表面と第二の機能的表面とを密封する際に使用するために適合された、シールアセンブリであって、該第一の表面は、環状のシールアセンブリ受容溝を備え、該溝は、ほぼ軸方向の基部表面と、該基部表面からほぼ直角に延びる、ほぼ円形の第一の側部表面および第二の側部表面によって規定されており、該シールアセンブリは、
該シールアセンブリ受容溝内に位置するように構成された、密封要素であって、該密封要素は、フット部分およびレッグ部分を有し、該フット部分は、該基部表面に対して実質的に平行に延び、そして該第二の機能的表面と少なくとも部分的に係合するように位置決めされ、そして該レッグ部分は、該フット部分から該基部表面の方へと延び、該レッグ部分は、第一の表面および第二の表面を有し、該レッグ部分の第一の表面と該フット部分との間の第一の先端角度は、鈍角であり、そして該レッグ部分の第二の表面と該フット部分との間の第二の先端角度は、鋭角である、密封要素;
補助リングであって、該補助リングは、比較的硬い材料から作製されており、そして該密封要素に隣接して該シールアセンブリ受容溝内に位置し、該密封要素が押し出されて該第一の機能的表面と第二の機能的表面との間のギャップに入ることを防止するように構成されており、該補助リングは、第一の面および第二の面を有し、該補助リングの第一の面は、該密封要素のレッグ部分の第二の表面と少なくとも部分的に相補的に嵌合するように構成されており、該補助リングの第二の面は、該シールアセンブリ受容溝の第一の側部表面および第二の側部表面のうちの一方と少なくとも部分的に嵌合するように構成されている、補助リング;ならびに
該基部表面と該密封要素のフット部分との間で、該シールアセンブリ受容溝内に位置するように構成されたエネルギー付与要素であって、該エネルギー付与要素は、該エネルギー付与要素が圧縮された状態にある場合に、該レッグ部分と該密封要素のフット部分とに、均一な圧力を付与する、エネルギー付与要素、
を備える、シールアセンブリ。
(項目2)
前記エネルギー付与要素が、前記密封要素のレッグ部分にカム作用して、該補助リングの第一の面に対して均一な圧力を提供する、項目1に記載のシールアセンブリ。
(項目3)
前記フット部分が、少なくとも1つの溝を備え、該溝は、前記第二の機能的表面に面する、項目1に記載のシールアセンブリ。
(項目4)
前記少なくとも1つの溝の上部分が円弧状である、項目3に記載のシールアセンブリ。
(項目5)
前記少なくとも1つの溝が、少なくとも1つの側部分を備え、該側部分は、前記フット部分に対して角度を付けられている、項目3に記載のシールアセンブリ。
(項目6)
前記第一の先端角度と前記第二の先端角度との合計が、約180°である、項目1に記載のシールアセンブリ。
(項目7)
前記補助リングの第一の面と前記第二の機能的表面との間の、第三の先端角度が、鈍角である、項目1に記載のシールアセンブリ。
(項目8)
前記補助リングの第一の面と前記第二の機能的表面との間の第三の先端角度が、前記第一の先端角度とおよそ等しい、項目1に記載のシールアセンブリ。
(項目9)
前記シールアセンブリが、Marcellingによって、前記シールアセンブリ受容溝に設置されるように構成されている、項目1に記載のシールアセンブリ。
(項目10)
前記補助リングが、前記第二の機能的表面に面する第三の面を備え、該補助リングの第三の面が、凹部を備え、該凹部は、該第二の機能的表面から少なくとも部分的に間隔を空けている、項目1に記載のシールアセンブリ。
(項目11)
前記凹部が、ほぼ「V」字の形状である、項目10に記載のシールアセンブリ。
(項目12)
前記エネルギー付与要素が圧縮状態にある場合に、前記補助リングの第三の面の少なくとも一部が、前記第二の機能的表面をこするように構成されている、項目10に記載のシールアセンブリ。
(項目13)
前記シールアセンブリが使用中である場合に、前記補助リングが、前記第二の機能的表面をこするように構成されている、項目1に記載のシールアセンブリ。
(項目14)
ギャップによって間隔を空けている、嵌合する第一の機能的表面と第二の機能的表面とを密封する際に使用するために適合されている、シールアセンブリであって、該第一の表面は、第一の環状シールアセンブリ受容溝および第二の環状シールアセンブリ受容溝を備え、該第一の溝および第二の溝の各々は、ほぼ軸方向の基部表面と、該それぞれの基部表面からほぼ直角に延びるほぼ円形の第一の側部表面および第二の側部表面とによって規定されており、該シールアセンブリは、
第一の密封要素であって、該第一の密封要素は、該第一のシールアセンブリ受容溝内に配置され、そして該第一の機能的表面に少なくとも部分的に位置決めされるように構成されている、第一の密封要素;
該第二のシールアセンブリ受容溝内に配置されるように構成された、第二の密封要素であって、該第二の密封要素は、フット部分およびレッグ部分を有し、該フット部分は、該第二のシールアセンブリ受容溝の該基部表面に対して実質的に平行に延び、そして該第二の機能的表面と少なくとも部分的に係合するように位置決めされており、そして該レッグ部分は、該フット部分から該基部表面の方へと延び、該レッグ部分は、第一の表面および第二の表面を有し、該レッグ部分の第一の表面と該フット部分との間の第一の先端角度は、鈍角であり、そして該レッグ部分の第二の表面と該フット部分との間の第二の先端角度は、鋭角である、第二の密封要素;
比較的硬い材料から作製される補助リングであって、該補助リングは、該第二のシールアセンブリ受容溝内に、該第二の密封要素に隣接して配置されて、該第二の密封要素が押し出されて該第一の機能的表面と第二の機能的表面との間のギャップに入ることを防止するように構成されており、該補助リングは、第一の面、第二の面、および第三の面を有し、該補助リングの第一の面は、該第二の密封要素のレッグ部分の第二の表面と少なくとも部分的に相補的に嵌合するように構成されており、該補助リングの第二の面は、該第二のシールアセンブリ受容溝の第一の側部表面および第二の側部表面のうちの一方と少なくとも部分的に嵌合するように構成されており、該補助リングの第三の面は、該第二の機能的表面に面し、そして角度の付いた凹部を備え、該角度の付いた凹部は、該第二の機能的表面から少なくとも部分的に間隔を空けている、補助リング;ならびに
該第二のシールアセンブリ受容溝内で、該基部表面と該第二の密封要素のフット部分との間に配置されるように構成された、エネルギー付与要素であって、該エネルギー付与要素は、該エネルギー付与要素が圧縮された状態にある場合に、該第二の密封要素のレッグ部分とフット部分とに均一な圧力を付与する、エネルギー付与要素、
を備える、シールアセンブリ。
(項目15)
前記補助リングの第三の面の少なくとも一部が、前記エネルギー付与要素が圧縮された状態にある場合に前記第二の機能的表面をこするように構成されている、項目14に記載のシールアセンブリ。
(項目16)
前記第一の密封要素が、前記第一の機能的表面と第二の機能的表面との間に、一方向シールを形成する、項目14に記載のシールアセンブリ。
(項目17)
前記第二の密封要素が、前記第一の機能的表面と第二の機能的表面との間に、一方向シールを形成する、項目14に記載のシールアセンブリ。
(項目18)
ギャップによって間隔を空けられている、嵌合する第一の機能的表面と第二の機能的表面とを密封する際に使用するために適合された、シールアセンブリであって、該第一の表面は、第一の環状シールアセンブリ受容溝、第二の環状シールアセンブリ受容溝および第三の環状シールアセンブリ受容溝を備え、該第一の環状シールアセンブリ受容溝、第二の環状シールアセンブリ受容溝および第三の環状シールアセンブリ受容溝の各々は、ほぼ軸方向の基部表面と、該それぞれの基部表面からほぼ直角に延びるほぼ円形の第一の側部表面および第二の側部表面とにより規定されており、該シールアセンブリは、
第一の密封要素であって、該第一の密封要素は、該第一のシールアセンブリ受容溝内に配置され、そして該第一の機能的表面と少なくとも部分的に係合するように位置決めされるように構成されている、第一の密封要素;
該第二のシールアセンブリ受容溝内に配置されるように構成された第二の密封要素であって、該第二の密封要素は、フット部分およびレッグ部分を有し、該フット部分は、該第二のシールアセンブリ受容溝の基部表面に対して実質的に平行に延び、そして該第二の機能的表面と少なくとも部分的に係合するように位置決めされており、そして該レッグ部分は、該フット部分から該基部表面の方へと延び、該レッグ部分は、第一の表面および第二の表面を有し、該レッグ部分の第一の表面と該フット部分との間の第一の先端角度は、鈍角であり、そして該レッグ部分の第二の表面と該フット部分との間の第二の先端角度は、鋭角である、第二の密封要素;
比較的硬い材料から作製された補助リングであって、該補助リングは、該第二のシールアセンブリ受容溝内で、該第二の密封要素に隣接して配置され、該第二の密封要素が押し出されて該第一の機能的表面と第二の機能的表面との間のギャップに入ることを防止するように構成されており、該補助リングは、第一の面および第二の面を有し、該補助リングの第一の面は、該第二の密封要素のレッグ部分の第二の表面と少なくとも部分的に相補的に嵌合するように構成されており、該補助リングの第二の面は、該第二のシールアセンブリ受容溝の第一の側部表面および第二の側部表面のうちの一方と少なくとも部分的に嵌合するように構成されている、補助リング;
該第二のシールアセンブリ受容溝内で、該基部表面と該第二の密封要素のフット部分との間に配置されるように構成された、エネルギー付与要素であって、該エネルギー付与要素は、該エネルギー付与要素が圧縮された状態にある場合に、該第二の密封部材のレッグ部分とフット部分とに、均一な圧力を付与する、エネルギー付与要素;ならびに
第三のシールアセンブリ受容溝内に配置され、そして該シールアセンブリが使用中である場合に、該第二の機能的表面に少なくとも部分的に係合するように位置決めされている、スクレーパ要素、
を備える、シールアセンブリ。
(項目19)
前記スクレーパ要素が、前記第二の機能的表面に面する第一の面を備え、該スクレーパ要素の第一の面は、角度の付いた凹部を備え、該角度の付いた凹部は、該第二の機能的表面から少なくとも部分的に間隔を空けている、項目18に記載のシールアセンブリ。
(項目20)
前記第一の密封要素が、前記第一の機能的表面と第二の機能的表面との間に、一方向シールを形成する、項目18に記載のシールアセンブリ。
(項目21)
ギャップにより間隔を空けられた、嵌合する第一の機能的表面と第二の機能的表面とを密封する際に使用するために適合された、シールアセンブリであって、該第一の表面は、第一の環状シールアセンブリ受容溝および第二の環状シールアセンブリ受容溝を備え、該第一の溝および第二の溝は、各々、ほぼ軸方向の基部表面と、該それぞれの基部表面からほぼ直角に延びるほぼ円形の第一の表面および第二の表面とにより規定され、該シールアセンブリは、
第一の密封要素であって、該第一の密封要素は、該第一のシールアセンブリ受容溝内に配置され、そして該第一の機能的表面と少なくとも部分的に係合するように位置決めされるように構成されている、第一の密封要素;
第二の密封要素であって、該第二の密封要素は、該第二のシールアセンブリ受容溝内に配置されるように構成されており、そして該第二の機能的表面と少なくとも部分的に係合するように位置決めされる、第二の密封要素;
比較的硬い材料から作製された補助リングであって、該補助リングは、該第二のシールアセンブリ受容溝内に、該第二の密封要素に隣接して配置され、該第二の密封要素が押し出されて該第一の機能的表面と第二の機能的表面との間のギャップに入ることを防止するように構成されており、該補助リングは、第一の面、第二の面、および第三の面を有し、該補助リングの第一の面は、該第二の密封要素と少なくとも部分的に係合するように構成されており、該補助リングの第二の面は、該第二のシールアセンブリ受容溝の該第一の側部表面および第二の側部表面のうちの一方と少なくとも部分的に嵌合するように構成されており、該補助リングの第三の面は、該第二の機能的表面に面し、そして角度の付いた凹部を備え、該角度の付いた凹部は、該第二の機能的表面から少なくとも部分的に間隔を空けている、補助リング;ならびに
エネルギー付与要素であって、該エネルギー付与要素は、該第二のシールアセンブリ受容溝の内部で、該基部表面と該第二の密封要素との間に配置されるように構成されており、該エネルギー付与要素は、該エネルギー付与要素が圧縮された状態にある場合に、該第二の密封要素および該補助リングに圧力を付与する、エネルギー付与要素、
を備える、シールアセンブリ。
(項目22)
前記補助リングの第三の面の少なくとも一部が、前記エネルギー付与要素が圧縮状態にある場合に前記第二の機能的表面をこするように構成されている、項目21に記載のシールアセンブリ。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本発明の好ましい実施形態に従う、設置された未圧縮状態のシールアセンブリの断面図である。
【図2】図2は、部分的に加圧された状態の、図1に示されるシールアセンブリの断面図である。
【図3】図3は、非常に加圧された状態の、図1のシールアセンブリの断面図である。
【図4】図4は、本発明の第二の好ましい実施形態に従う、設置された未圧縮状態のシールアセンブリの断面図である。
【図5】図5は、本発明の第三の好ましい実施形態に従う、設置された未圧縮状態のシールシステムの断面図である。
【図6】図6は、本発明の第四の好ましい実施形態に従う、設置された未圧縮状態のシールシステムの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(発明の詳細な説明)
特定の専門用語が、以下の明細書において、簡便なためにのみ使用され、限定するとはみなされない。用語「右」、「左」、「下」、および「上」は、参照される図面における方向を示す。用語「内側」および「外側」は、シールアセンブリおよびその指定される部品の幾何学的中心に向かう方向およびこの中心から離れる方向をそれぞれいう。これらの専門用語は、上で詳細に言及された用語、それらの派生語および類似の趣旨の用語を包含する。
ここで図面を詳細に参照すると、図面において、同じ番号は、全体にわたって類似の要素を指すために使用され、図1〜3には、本発明の好ましい実施形態に従うシールアセンブリが示されており、一般に、10で表される。シールアセンブリ10は、嵌合する第一の機能的表面14および第二の機能的表面16との間の、クリアランス空間またはギャップ12を密封するために使用される。第一の表面14は、ほぼ環状のシールアセンブリ受容溝18を、内部に備える。シールアセンブリ受容溝18は、ほぼ矩形の断面であり、そしてほぼ軸方向の基部表面20と、基部表面20からほぼ直角に延びる、ほぼ円形の第一の側部表面22および第二の側部表面24とにより規定される。
【0011】
第一の機能適用面14および第二の機能的表面16は、好ましくは、互いに対して軸方向に移動可能である。第一の表面14は、ほぼ円筒形の開口部を規定し得、そして第二の表面は、ほぼ円筒形の相補的な形状を規定し得、この第二の表面は、第一の表面14によって規定される開口部内にスライド可能に配置される。第一の表面14および第二の表面16が存在する代表的な部材の例としては、それぞれハウジングおよび棒が挙げられる。このようなシステムにおいて、シールアセンブリ受容溝18は、半径方向内向きに面し(例えば、棒の方に開口する)、そして第二の表面16は、半径方向外向きに面する。このようなシールアセンブリは、一般に、棒型シールと称される。しかし、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、シールアセンブリ受容溝18は、半径方向外向きに面し得、そして第二の表面16は、半径方向内向きに面し得ることが、当業者によって理解される。このようなシールアセンブリは、一般に、ピストン型シールと称される。
【0012】
図1を参照すると、シールアセンブリ10(加圧されていない状態で示されている)は、ほぼ環状のキャップまたは密封要素30を備え、この要素は、ほぼ傾斜した「L」字型またはフット型の断面を有する。密封要素30は、シールアセンブリ受容溝18の内部に配置されるように構成される。密封要素30は、フット部分32を備え、このフット部分は、基部表面20から間隔を空けており、そしてこの基部表面に対してほぼ平行に延びる。従って、従って、フット部分32は、密封要素30がシールアセンブリ受容溝18内に位置決めされる場合に、フット部分32の下表面31が第二の機能的表面16と部分的に係合し、そして嵌合するように、位置決めされる。フット部分32の上表面33は、ほぼ平坦であり、そして軸方向の基部表面20に対して平行である。シールアセンブリ受容溝18の第二の側部表面24に面する、フット部分32の端部において、上表面33は、軸方向の基部表面20の方へと上向きに、保持リップ29へと移行する。
【0013】
密封要素30は、レッグ部分34をさらに備え、このレッグ部分は、フット部分32から基部表面20の方へと、ある傾斜で上向きに延びる。レッグ部分34は、フット部分32とおよそ類似の厚さを有する。レッグ部分34は、ほぼ平行な第一の表面36および第二の表面38を備える。第一の先端角度40が、レッグ部分34の第一の表面36と、フット部分32との間に規定され、そして好ましくは、鈍角である。第二の先端角度42が、レッグ部分34の第二の表面38と、フット部分32との間に規定され、そして好ましくは、鋭角である。好ましくは、第一の角度40と第二の角度42との合計は、約180°である。従って、レッグ部分34は、フット部分32から基部表面20の方へと上向きに、第二の機能的表面16に対してある傾斜角度で延びる。レッグ部分34は、円形移行部35によってフット部分332に接続されており、これは、密封要素30に対する応力を軽減することを補助する。レッグ部分34は、頂部表面39をさらに備え、この頂部表面は、ほぼ平坦であり、そして基部表面20に対して平行である。従って、密封要素30は、好ましくは、図1〜図3に一般的に示される断面形状を有する。
【0014】
密封要素30のフット部分32は、さらに好ましくは、1つ以上の溝44を備え、これらの溝は、第二の機能的表面16に面する。溝44の上部分は、好ましくは、円弧状の形状である。さらに、溝44は、好ましくは、側部分46を備え、この側部分は、フット部分32に対して直角ではない。すなわち、例えば、図1に示されるように、溝44は、傾斜した円弧状の断面形状を有する空間を、第二の表面16を覆って、レッグ部分32の下表面31の、第二の表面16に接触する部分の間に形成する。溝44の、円弧状の角度の付いた形状は、圧力が、第二の機能的表面16に対して密封要素30に付与される場合に、レッグ部分32と第二の表面16との密封接触を増加させることを補助する。すなわち、フット部分32のした表面31に溝を提供することによって、フット部分32に付与されて第二の機能的表面16を押し付けて付与される力が、下表面31の、第二の機能的表面16に実際に接触する部分のみに分配されることを可能にする。従って、フット部分32と第二の機能的表面16との間に、より高い密封力が達成される。なぜなら、フット部分32全体に対する圧力が、実際に、接触表面より小さい部分に沿って、第二の機能的表面16に付与されるからである。さらに、溝44の円弧状の形状は、フット部分32に対する力が、下表面31の、第二の機能的表面16に接触している部分に等しく分配されることを可能にする。従って、溝44の円弧状の形状は、フット部分32および溝44に対する力の負均一な分配により引き起こされる、密封要素30の磨耗および亀裂を防止することを補助する。さらに、溝44の形状は、シールが一方向(密封)に移動する際に流体を保持することを補助し、一方で、逆方向における流体の噴きもれ(排気)を助ける。より具体的には、シールアセンブリ10が、図1〜3に示されるような矢印の方向に移動する場合、溝44の側部分46の角度は、少量の流体が密封要素30を通って流れることを可能にし、これによって、このシステムが排気することを可能にする。
【0015】
密封要素30は、密封要素30の、シールアセンブリ受容溝18の第二の側部表面24に面する側に位置する、1つ以上の切り欠き37をさらに備える。切り欠き37は、好ましくは、フット部分32の上表面33から下表面31へと、長手軸方向に延びる。切り欠き37は、シールアセンブリ10が(圧力の非存在下で)シールアセンブリ受容溝18を第二の側部表面24の方へと移動させる場合に、密封要素30が、第二の側部表面24を密封することを防止する。従って、矢印の方向からの圧力の反復の際に、この圧力は、シールアセンブリ10を、第一の側部表面22の方へと、適切なシール位置まで押し、これによって、噴きもれを防止する。当業者は、切り欠き37が、一般に、密封要素30の側部において、円形の連続性が何らかの不完全さを有する形態を採り得ることを理解する。
【0016】
密封要素30は、好ましくは、適度の磨耗を有する弾性ポリマー材料から作製され、そしてより好ましくは、熱可塑性の炭素充填されたPTFEから作製される。しかし、当業者は、密封要素30が、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、他の適切な材料(例えば、無機物および二硫化モリブデンを充填されたPRFE、黒鉛を充填されたPTFE、顔料および二硫化モリブデンを充填されたPTFE、ポリイミドを充填されたPTFE、または他の任意の適切なポリマー材料)から作製され得ることを理解する。
【0017】
シールアセンブリ10は、押し出し防止リングまたは補助リング5をさらに備え、このリングは、シールアセンブリ受容溝18内に配置される。補助リング50は、好ましくは、シールアセンブリ受容溝18内で、密封要素30に隣接して位置決めされて、密封要素30に圧力が付与される場合に、密封要素30が押し出されて、第一の機能的表面14と第二の機能的表面16の間の密封ギャップ12に入ることを防止する。好ましくは、補助リング50は、断面がほぼ三角形であり、そして好ましくは、閉じた溝内への設置を容易にするために、当該分野において周知の様式で、スカーフカットされる。
【0018】
補助リング50は、第一の面52および第二の面54を備える。補助リング50は、シールアセンブリ受容溝18内に、補助リング50の第一の面52が、密封要素30のレッグ部分34の第二の表面38と少なくとも部分的に相補的に嵌合するように、位置決めされる。第二の先端角度48が、補助リング50の第一の面52と、第二の機能的表面16との間に規定され、そして好ましくは、鈍角である。より好ましくは、第三の先端角度48は、第一の先端角度40とおよそ等しく、その結果、補助リング50の第一の面52と、密封要素30のレッグ部分34とは、互いに平行であり、第二の機能的表面16に対して同じ角度で、基部表面20の方へと上方に延びる。このような構成は、レッグ部分34の第二の表面38が、補助リング50の第一の面52と完全に嵌合することを可能にする。
【0019】
補助リング50の第二の面54は、好ましくは、側部表面22および24に対して平行であり、そしてシールアセンブリ受容溝18の第一の側部表面22および第二の側部表面24のうちの一方と嵌合する。すなわち、図1〜図3に示されるように、補助リング50の第二の面54は、シールアセンブリ受容溝18の第一の側部表面22と嵌合する。しかし、当業者は、補助リング50および密封要素30が、補助リング50の第二の面54がシールアセンブリ受容溝18の第二の側部表面24と嵌合するように構成および位置決めされ得ることを、認識する。補助リング50の第三の表面56は、好ましくは、基部表面20に対して平行であり、そしてシールアセンブリ10がシールアセンブリ受容溝18内に配置される場合、第二の機能的表面16と嵌合する。従って、補助リング50は、第一の表面14と第二の表面16との間のクリアランスギャップ12を閉じ、これによって、密封要素30が圧力下にある場合に、密封要素30が押し出されて、クリアランスギャップ12に入ることを防止する。当業者は、補助リング50がまた、シールアセンブリ10が前後に移動する際に、第二の機能的表面からの望ましくない埃、細片または氷を除去して、密封要素30を保護するためのスクレーパ要素として働くように構成され得ることを認識する。スクレーパ要素は、密封の分野において周知である。
【0020】
図4を参照すると、本発明に従うシールアセンブリ10’の代替の実施形態が示されている。単純にするために、シールアセンブリ10’を記載する際に、図1〜図3のシールアセンブリ10に関して異なる要素のみが、議論される。シールアセンブリ10’の、シールアセンブリ10と同じかまたは実質的に類似の要素は、図4において、上に記載されたものと同じ参照番号で標識される。シールアセンブリ10’において、補助リング50’の第三の面56’は、上記のように、第二の機能的表面16と完全には係合および嵌合しない。むしろ、第三の面56’は、凹部57’を備え、その結果、第三の面56’の少なくとも一部は、第二の機能的表面16から部分的に間隔を空ける。好ましくは、凹部57’は、図4に示されるように、角度を付けられるか、またはほぼ「V」字の形状である。凹部57’の角度の付いた形状は、より大きい下向きの圧力が、補助リング50’によって、第二の機能的表面16に付与されることを可能にし、これによって、密封要素30が押し出されてクリアランスギャップ12に入ることに対するさらなる抵抗を提供する。このような構成はまた、補助リング50’が、上記のように、シールアセンブリ10のためのスクレーパ要素として機能することを可能にする。補助リング50’の第産の面56’および/または凹部57’は、補助リング50’が密封要素30のクリアランスギャップ12内への押し出しを防止し得、そしてまた、圧力が密封要素30に付与される場合に第二の機能的表面16を擦り得るままである限り、当該分野において周知の他の様式で構成され得る。
【0021】
補助リング50は、好ましくは、密封要素30の材料より比較的硬い材料から作製され、そして補助リングは、スペーサ溝の設計のための産業において代表的に見出されるように、高圧および/または大きい直径方向クリアランスの要素において使用するために、適用可能である。例えば、ナイロンまたは熱可塑性物質(例えば、潤滑ポリエーテルエーテルケトン)が、使用され得る。当業者は、補助リング50が、本発明の範囲および精神から逸脱することなく、他の材料から作製され得ることを認識する。例えば、より低い強度および/またはより低い摩擦が必要とされる、低圧および/または密な直径方向クリアランスの用途において、補助リング50は、密封要素30に関して上に記載されたものと類似の、PTFEベースの材料から作製され得る。
【0022】
シールアセンブリ10は、当該分野において一般公知であるエネルギー付与要素または拡張要素と類似の、エネルギー付与要素70をさらに備える。エネルギー付与要素70は、密封要素30を、第二の機能的表面16との密封係合に付勢する。エネルギー付与要素70は、好ましくは、シールアセンブリ受容溝18内で、基部表面20と密封要素30のフット部分32との間に配置される。エネルギー付与要素は、上表面72を備え、この上表面は、ほぼ平行であり、そしてシールアセンブリ受容溝18の基部表面20に対して平行である。図1の加圧されていない状態において示されるように、エネルギー付与要素の上表面72は、好ましくは、基部表面20と接触し、そして嵌合する。同様に、エネルギー付与要素70は、下表面74を備え、この下表面は、上表面72に対してほぼ平行である。下表面74は、フット部分32の上表面33の少なくとも一部と嵌合する。加圧されていない状態において、エネルギー付与要素70は、密封要素30のフット部分32の上表面33が、エネルギー付与要素70の下表面74の周りにフィットするような大きさにされる。従って、エネルギー付与要素70は、フット部分32がレッグ部分34に移行する箇所と、フット部分32がその反対側で保持リップ29に以降すする箇所との間で、上表面33に存在する。
【0023】
加圧されていない状態において、エネルギー付与要素70は、ほぼ矩形の断面形状を有し、これは、その反対側に、第一の突出部76および第二の突出部78を備える。エネルギー付与要素70は、好ましくは、以下でより詳細に議論されるように、フット部分32を半径方向外向きに、第二の機能的表面16の方へと付勢し、そして同時に、レッグ部分34を、ほぼ軸方向に、補助リング50の方へと付勢するように、設計される。突出部76および78は、エネルギー付与要素70が、安定性のために、およそ密封要素30の長さに延びることを可能にし、これによって、密封要素30の揺動を防止することを補助する。さらに、突出部76および78は、圧縮される場合にエネルギー付与要素70が延びる余分の自由空間を提供する。
【0024】
好ましくはエネルギー付与要素70は、耐久性のある可撓性エラストマー材料から作製される。例えば、シールアセンブリ10が使用される特定の用途(流体、温度)に依存して、エネルギー付与要素70は、エラストマー(例えば、ニトリル化合物またはエチレンプロピレン化合物)から作製され得る。必要な弾性特性を有する他の任意の適切なエラストマー(例えば、フルオロシリコーンまたはフルオロカーボン)が、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、使用され得る。
【0025】
図1〜図3は、シールアセンブリ10に対するエネルギーが次第に増加する状態の連続で、シールアセンブリ10が変形する様式を示す。上記のように、図1は、シールアセンブリ10およびその対応する要素を、加圧されていない状態で示す。圧力がシールアセンブリ10に付与されるにつれて、エネルギー付与要素70は、軸方向と半径方向との両方に「カム作用」し、その結果、第二の突出部78を有するエネルギー付与要素70の面がかなり変形し、密封要素30のレッグ部分34の第一の表面36とほぼ平行な、変形した表面79を生じる(図2および図3を参照のこと)。従って、エネルギー付与要素70が変形すると、このエネルギー付与要素は、半径方向内向きに押され、密封要素30のフット部分32の上表面33に入る。同様に、エネルギー付与要素70は、レッグ部分34の第一の表面36に相補的に嵌合し、そしてこの表面を押し付ける。より大きい圧力がシールアセンブリ10に付与されると、エネルギー付与要素70は、さらに変形して、エネルギー付与要素70と密封要素30のレッグ部分34との間の、図1に示される空間全てを満たす。従って、図3の高度に圧縮された状態において、密封要素70の上表面72および下表面74は、レッグ部分34の第一の表面36から、基部表面20およびフット棒分32の上表面33に沿って延びる。カム作用および生じる変形は、シールアセンブリに圧力が付与される場合に、エネルギー付与要素70が、密封要素30のフット部分32とレッグ部分とに、均一な圧力を付与することを可能にする。その結果、シール要素30は、フット部分32の下表面31を介して溝44を覆って、第二の機能的表面16と係合し、第一の機能的表面14と第二の機能的表面16との間に、均一に分配されたシールを作製する。
【0026】
エネルギー付与要素70が密封要素30とカム作用すると、密封要素30のレッグ部分34は、補助リング50の第一の表面52を軸方向に押し付けて付勢する。補助リング50は、好ましくは、密封要素30より硬い材料から作製されるので、レッグ部分34は、補助リング50の第一の表面52に沿って上向きに延び、シールアセンブリ受容溝18に入り、その結果、レッグ部分34の頂部表面39は、シールアセンブリ受容溝18の軸方向基部表面20と嵌合する。補助リング50の下表面56は、第二の機能的表面16と接触するので、フット部分32もレッグ部分34も、押し出されて密封ギャップ12に入らない。その結果、フット部分32は、第二の機能的表面16に対して密封力を付与し、そしてレッグ部分34は、エネルギー付与要素70のカム作用に応答して、上方に拡張し、軸方向の基部表面20と嵌合させられるのみである。類似の様式で、エネルギー付与要素70から後からは、補助リング50にカム作用して、基部表面20と第二の機能的表面16との両方との密接な接触を維持する。従って、図2および図3に示されるように、密封要素30と補助リング50との両方が、図1の圧縮されていない状態とほぼ同じ断面形状を、圧力下で維持する。同様に、図4の補助リング50’は、圧力が増加する際に、形状を維持する。
【0027】
図1〜図4に関して上に記載されたシールアセンブリ10のさらなる利点は、エネルギー付与要素70および密封要素30が、密封の分野において一般的に公知であるMarcelling技術を使用して、閉じた棒型グランド(gland)に容易に設置され得ることである。レッグ部分34は、上記のように、フット部分32に対してある角度にあるので、密封要素30がシールアセンブリ受容溝18内への設置のためにMarcellされると、レッグ部分34は、平坦になる(すなわち、第一の先端角度40が180度に近付く)傾向がある。従って、「平坦になった」密封要素30は、シールアセンブリ受容溝18内に容易に設置される。密封要素30の、自然な圧縮されていない状態における、角度の付いたフット形状の断面に起因して、密封要素30は、密封要素に対するさらなるひずみ(これは、Marcellingプロセスを不可能にし得るか、または他の様式でシールを損傷し得る)なしで、シールアセンブリ受容溝18内で、所望の位置(図1を参照のこと)を自然に達成する傾向がある。さらに、上記のように、密封要素30のフット部分32およびレッグ部分34は、ほぼ均一な厚さを有する。従って、Marcellingプロセスを使用する設置の間、この密封要素は、エネルギー付与要素70および受容溝18の周りで容易に調節および操作され、そして不均一な厚さを有する密封要素においてのような、さらなる応力(これは、シールを弱化させる傾向がある)を付与しない。当業者は、Marcelling技術を使用してより単純な様式で閉じた溝に設置することを可能にする、他の公知の高圧シールと比較してより効率的でありかつより少ないシール損傷を引き起こす高圧シールが、非常に有利であることを認識する。本明細書中に記載されるシールアセンブリ10はまた、当該分野において一般的に公知である他のシール設置技術を使用して、設置され得る。
【0028】
シールアセンブリ10は、一方向シールとして機能し、そして種々のシールシステムにおいて、一次シールまたは二次シールとして利用され得る。
【0029】
本発明による別の実施形態において、図1〜図4に関して上に記載されたシールアセンブリ10はまた、他の公知のシールアセンブリと組み合わせて使用されて、より有利な密封結果を提供し得る。図5を参照すると、多重のシールアセンブリ110,180を有するタンデムシールシステム105が示されている。タンデムシールシステムは、当該分野において一般的に公知であり、そして一般に、一次シールとして作用する1つのシールアセンブリと、二次シールとして作用する1つ以上の残りのシールアセンブリを備える。シールシステム105において、シールアセンブリ180は、一次シールであり、そしてシールアセンブリ受容溝188内に存在して、嵌合する第一の機能的表面114と第二の機能的表面116との間のクリアランスギャップ112をシールする。
【0030】
一次シールアセンブリ180は、密封要素182を備え、この密封要素は、好ましくは、ほぼC字型であり、そして好ましくは、低温において、クリアランスギャップ112を漏出を防ぐように密封し得る。密封要素182は、好ましくは、金属ばねによりエネルギー付与される(「MSE」)型のシールである。すなわち、密封要素182は、代表的に、金属ばねエネルギー付与企図共に使用されるものである。MSEシールは、当該分野において一般的に公知である。しかし、シールアセンブリ180は、好ましくは、弾性エネルギー付与要素184を備え、このエネルギー付与要素は、密封要素182のC字型によって形成されるジャケットに収容される。エネルギー付与要素184は好ましくは、Oリングの形態であるが、当業者に周知である他の構成であり得る。−65°F以下の温度で機能し得るシールアセンブリを使用することがしばしば望ましいので、エネルギー付与要素184は、好ましくは、フルオロシリコーン(「FVMQ」)から作製される。この材料は、−80°F〜350°Fの範囲の温度を有する。従って、FVMQをエネルギー付与要素184を形成する材料として使用することの1つの利点は、FVMQが、優れた使用可能温度を有することである。FVMQは、比較的柔軟な弱い材料であり、従って、耐磨耗性が乏しいが、エネルギー付与要素184は、密封要素182のジャケット内に収容されるので、エネルギー付与要素184は、一般に、要素から保護され、そしてシールアセンブリ受容溝188の内部に対する摩擦から保護される。エネルギー付与要素184は、本発明に従って、他の柔軟な低温材料から作製され得る。例えば、パーフルオロエーテルは、−80°Fで機能し得、そしてエネルギー付与要素184が作製される柔軟な材料である。シールアセンブリ180は、補助リング186をさらに備え、この補助リングは、当業者によってよく理解されている様式で、密封要素182が押し出されて、クリアランスギャップ112に入ることを防止することを補助する。従って、設置されて加圧される場合、図5に示されるシールアセンブリ180は、図1に示される矢印の方向の圧力に抵抗して一方向シールを形成する。
【0031】
シールアセンブリ180は、クリアランスギャップ112を通る低温での漏出を防止するので、シールシステム15において、密封要素182が適用可能であるより高い温度で、漏出を防止することが必要である。シールシステム105において、二次シールは、シールアセンブリ110である。シールアセンブリ110は、図4に関して上に記載されたシールアセンブリ10’と実質的に類似であり、そして図1〜図4に関して上に記載されたものと同じ特徴の全てを備える。具体的には、シールアセンブリ110は、凹部57’を有する補助リング50’を備える。エネルギー付与要素70は、フルオロカーボン(「FKM」)から作製されるので、エネルギー付与要素70は、エネルギー付与要素184より良好な耐磨耗製を有する。従って、エネルギー付与要素70が露出しており、そしてシールアセンブリ受容溝118と接触しているという事実は、重要ではない。シールシステム105が作動する環境の温度が低下するにつれて、密封された流体は、より粘性になる。従って、一次シールアセンブリ180(低温での漏出を防止するように設計される)は、シールアセンブリ110(例えば、二次シールアセンブリ)がクリアランスギャップ112を密封する能力が低い場合、またはもはや密封する能力がない場合に、クリアランスギャップ112を密封する。代替の材料(例えば、パーフルオロエーテルおよびEPDMが、リン酸エステル流体系において使用され得る。
【0032】
図5に示されるシールシステム105を使用する1つの利点は、タンデムシールシステムにおいてしばしば使用される、第三のシールアセンブリ(図示せず)の排除である。より具体的には、代表的な航空管制または他の液圧用途において、一次シール、二次シールおよびスクレーパ要素(第三のシールアセンブリ受容溝内に配置される)が存在する。上記のように、スクレーパ要素の目的は、望ましくない埃、細片および氷を、第二の機能的表面から除去し、そして他の密封要素が二次機能表面を横断する際に、これらの要素を保護することである。代表的に、このようなスクレーパ要素は、その独自のエネルギー付与要素を利用する。しかし、シールアセンブリとスクレーパ要素との組み合わせは、タンデムシールシステムにおける第三のアセンブリとしての別体の個々のスクレーパ要素に対する必要性を排除する。従って、図5に示される構成において、スクレーパアセンブリ(図示せず)は、二次シールアセンブリ110によって置き換えてられており、このアセンブリは、補助リング50’を備え、この補助リング自体が、補助リングとスクレーパ要素との両方として機能する。試験により、この構成が、実際に、独自のエネルギー不予期を有する別体のスクレーパ要素を有するシールシステムより良好なシール性を生じることが示されている。従って、タンデムシールシステムにおけるスクレーパ要素は、第二の機能的表面から誇りおよび細片を擦り落とすのみでなく、流体と、この表面を横切る各通路との境界層を擦り落とす傾向もまた有する。この流体の境界層の除去は、クリアランスギャップを通る流体のさらなる漏出をもたらす。しかし、スクレーパ要素を、上記のようなシールアセンブリ110に追加する結果として、スクレーパ要素は、第二の機能的表面に対して、従来の個々にエネルギー付与されるスクレーパ要素ほど大きい下向きの圧力を付与しない。その構造に起因して、補助リング50’は、全として、第二の機能的表面から埃および細片を擦り落とし得るが、流体のさらなる境界層を擦り落とすほど充分に強くはない。従って、第二の機能的表面を横切って、シールアセンブリ110の各経路によって、より少ない流体が失われる。
【0033】
図5を参照して腕に記載されたタンデムシールシステム105において、当業者は、シールアセンブリ180が、当業者に公知の密封要素と、エネルギー付与器と、補助リングとの、任意の組み合わせであり得、これらは、低温での漏出を防止する能力を有する一次シールを形成することを認識する。このような任意の一次シールは、シールアセンブリ110と共に機能し得る。
【0034】
さらに、当業者は、図1のシールアセンブリ10(例えば、補助リング50を有するシールアセンブリ)が、本発明の範囲に従って、一次シール(例えば、上記シールアセンブリ180)、および第三のグランドまたは受容溝内に配置された従来のスクレーパ要素(例えば、図6を参照のこと)または凹状のスクレーパ要素(例えば、補助リング50’)のいずれかと組み合わせて使用され得ることを、認識する。図6は、本発明による、一次シールアセンブリ180、二次シールアセンブリ10、およびスクレーパアセンブリ290を有するシールシステム205を示す。この二次シールアセンブリは、密封要素30、エネルギー付与要素70および補助リング50を備える。このスクレーパアセンブリは、スクレーパ要素292およびエネルギー付与要素294を、スクレーパアセンブリ受容溝298内に備える。図6に示されるエネルギー付与要素294は、好ましくは、当該分野において一般的に公知であるような、金属ばねエネルギー付与器である。当業者は、スクレーパアセンブリ290が、当該分野において一般的に公知であるスクレーパ要素および/またはエネルギー付与要素の任意の組み合わせを利用し得、その結果、シールシステム205が、上記特徴を有するスクレーパ要素を備えることを、認識する。
【0035】
上記実施形態の広範な新規性概念から逸脱することなく、上記実施形態に対して変更がなされ得ることが、当業者によって理解される。従って、本発明は、開示される特定の実施形態には限定されず、添付の特許請求の範囲に規定されるような本発明の精神および範囲内の改変を網羅することを意図されることが、理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書中に記載の発明。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−92978(P2012−92978A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−286358(P2011−286358)
【出願日】平成23年12月27日(2011.12.27)
【分割の表示】特願2007−533483(P2007−533483)の分割
【原出願日】平成17年8月25日(2005.8.25)
【出願人】(505283588)グリーン, ツイード オブ デラウェア, インコーポレイテッド (17)
【Fターム(参考)】