説明

弾性カチオン性ポリウレタン

【課題】新規な弾性カチオン性ポリウレタン及びその化粧組成物における使用を提供すること。
【解決手段】本発明は弾性を有する新規なカチオン性ポリウレタン及び該ポリマーを含む化粧組成物に関し、該ポリウレタンは5%〜95%の瞬間回復を有し、以下を必須なものとして含む:(a1)少なくとも二つの不安定水素に反応性の官能基を有する少なくとも一つの第3アミンから誘導するカチオン性単位、該アミンは少なくとも部分的に中和されている、(a2)示差走査熱量計で測定して10℃より低いガラス転移温度(Tg)を有する、末端に不安定水素に反応性の官能基を有するノニオン性ポリマーから誘導するノニオン性単位、必要により(a3)少なくとも二つの不安定水素に反応性の官能基を含むノニオン性モノマーから誘導するノニオン性単位、及び(b)少なくとも一つのジイソシアナートから誘導する単位。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は新規な弾性カチオン性ポリウレタン及びその化粧組成物における使用に関する。
【背景技術】
【0002】
弾性特性を有する化粧品の沈着物及びフィルムの形成に対して多数の研究が行われてきた。化粧を行うヒトの身体の大部分、例えば皮膚、唇、まつげ並びに手指及び足の爪は、大きな変形を受けかつ化学的なストレスを受けている。化粧用フィルム及び適用物はこれらのストレスに対抗可能でありかつ壊れずにこれらの変形に追従できなければならない。
化粧品にポリウレタンを使用することは長期間公知であり、例えば特許WO94/13724及びEP 0 619 111に記載されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、これらの文献に公表されたポリウレタンは周囲温度(20℃)より高いガラス転移温度(Tg)を有しており、換言すればこれらは周囲温度でガラス状態にあり、これらは化粧品の適用に受け入れがたいぜい弱なフィルムを形成する。
ガラス転移温度が低く生理的に受け入れ可能なポリマー、例えばアクリル系ポリマーが存在するのは確かであるが、これらのポリマーは通常粘着性の沈着物を形成し、このことは多くの化粧品の適用にとって望ましくない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
驚くべきことに出願人は、新規な一群の生理的に受容可能なポリウレタンを見出し、これらは付着しないフィルムを形成し、ぜい弱ではなく、かつ塑性変形及び弾性変形が可能である。これらの有利な粘弾性特性はポリマー中における長い高分子単位の存在によるものであり、これは相対的に低いガラス転移温度を有し、その結果これらは周囲温度でガラス状態にあることはない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
従って、本発明の目的は、以下を必須なものとして含む弾性カチオン性ポリウレタンである:
(a1)不安定な水素を有する少なくとも二つの反応性官能基を有する少なくとも一つの第3アミンから誘導するカチオン性単位、該アミンは少なくとも部分的に中和されている、
(a2)示差走査熱量計で測定して10℃より低いガラス転移温度(Tg)を有する、末端に不安定な水素を有する反応性官能基を有するノニオン性ポリマーから誘導するノニオン性単位、必要により
(a3)不安定な水素を有する少なくとも二つの官能基を含むノニオン性モノマー化合物から誘導するノニオン性単位、及び
(b)少なくとも一つのジイソシアナートから誘導する単位。
【0006】
本発明の他の目的は、上記の弾性カチオン性ポリウレタンを化粧組成物で使用して、これらの組成物から得た化粧用適用物及びフィルムの粘弾性特性を改良することである。
特に、他の目的は、これらのポリウレタンをラッカー及び毛髪組成物、マニキュア及びメーキャップ組成物で使用することである。
本発明の他の目的は、上記の弾性カチオン性ポリウレタンを含む化粧組成物である。
これらがカチオン性に荷電しているため、本発明に従う弾性ポリウレタンはケラチン物質、例えば毛髪、手指及び足の爪、及び表皮性角膜層(これらに対してケラチンが負に荷電させている)に対して親和性が優れているという利点を有している。
本発明に従う弾性カチオン性ポリウレタンをラッカー及び毛髪組成物で使用すると毛髪がより柔軟になり、換言すると毛髪の動作が通常の固定ポリマーによるよりもより自然な弾性を示すようになる。
【0007】
これらのポリウレタンを使用して、機械的な攻撃に対して耐性である光沢のある保護フィルムで手指及び足の爪を被覆する。これらをマニキュアで使用すると、マニキュアの衝撃に対する耐性及び剥落防止性を改善する。
上記のカチオン性ポリウレタンを使用して、皮膚、唇及び表皮性成長部分に対するメーキャップ組成物の作用を改良することができる。これらのポリマーを含むメーキャップ製品は皮膚及び表皮性成長部分に良好に結合し、得られた被覆物はケラチン物質の変形に追従しかつ皮膚を乾燥させない。
これらのすべての適用について非付着性製品が得られる。
【0008】
上記したように、本発明に従う弾性カチオン性ポリウレタンは必須のものとして以下の三つの型の単位を含む:
(a1)不安定な水素を有する少なくとも二つの反応性官能基を有する少なくとも一つの第3アミンから誘導するカチオン性単位、該アミンは少なくとも部分的に中和されている、
(a2)示差走査熱量計で測定して10℃より低いガラス転移温度(Tg)を有する、末端に不安定な水素を有する反応性官能基を有するノニオン性ポリマーから誘導するノニオン性単位、及び
(b)少なくとも一つのジイソシアナートから誘導する単位。
【0009】
“不安定な水素を有する反応性官能基”という表現は、単位(b)を形成する化合物のイソシアナート基と、水素原子が離脱した後で共有結合を形成することが可能な官能基を意味する。例えばこれらの官能基は以下を含む:ヒドロキシル基、第1アミン基(−NH2)、第2アミン基(−NHR)、又はチオール基(−SH)。
これらの不安定な水素を有する反応性官能基を有する化合物とジイソシアナートとの重縮合により、ポリウレタン、ポリ尿素及びポリチオ−ウレタンが、不安定な水素を有する反応性官能基(−OH、−NH2、−NHR又は−SH)の性質にそれぞれ依存して生成する。本出願において、これらのすべてのポリマーを簡単のために“ポリウレタン”の用語のもとに一群のものとする。
単位(a1)を形成する第3アミンが不安定な水素を有する官能基を2より多く有していると、得られたポリウレタンは分岐した構造を有する。
本発明に従うポリウレタンの好ましい態様において、カチオン性単位(a1)を形成する第3アミンは不安定な水素を有する反応性官能基を二つだけ有し、その結果縮重合により得られたポリウレタンは本質的に直鎖構造を有する。
【0010】
明らかに、不安定な水素を有する反応性官能基を二つより多く有するアミンを小部分含む不完全機能性アミンの混合物も使用することができる。
好ましくは、カチオン性単位(a1)を形成する第3アミンを以下の式の一つに対応する化合物のうちから選択する:






【0011】
式中、
各Raは独立して直鎖又は分岐したC1-6アルキレン基、C3-6シクロアルキレン基、又はアリーレン基を表し、これらのすべては一又は複数のハロゲン原子で置換されていてもよく、O、N、P及びSから選択する一又は複数のヘテロ原子を含んでもよく、
各Rbは独立してC1-6アルキル基、C3-6シクロアルキル基、又はアリール基を表し、これらのすべては一又は複数のハロゲン原子で置換されていてもよく、O、N、P及びSから選択する一又は複数のヘテロ原子を含んでもよく、かつ、
各Xは独立して酸素又は硫黄原子又はNH又はNRc基を表し、式中RcはC1-6アルキル基を表す。
【0012】
本発明に従う弾性カチオン性ポリウレタンを得るための好ましい第3アミンは、N−メチルジエタノールアミン及びN−t−ブチルジエタノールアミンを含む。
本発明に従うポリウレタンのカチオン性単位(a1)を形成する第3アミンはさらに、末端に不安定な水素を有する反応性官能基を有する第3アミン官能基を有するポリマーであってもよい。第3アミン官能基を有するこれらのポリマーの質量平均分子量は、好ましくは400〜10,000である。
アミン官能基を有するこの型の適切なポリマーの例は、N−メチルジエタノールアミンとアジピン酸の縮重合から誘導されたポリエステルを含む。
上記したように、カチオン性単位(a1)を形成する第3アミンは、適切な中和剤、特に鉱酸又は有機酸、例えば以下のもので部分的又は全体として中和されている:塩酸、臭化水素酸、カルボン酸、特にモノカルボン酸、例えば酢酸、プロピオン酸、安息香酸、乳酸、ステアリン酸及びオレイン酸、及びポリ酸。有機酸は他の官能基、例えばOH(クエン酸、サリチル酸)を有することができる。
適切な酸による第3アミンの中和はこれらの官能基の4級化剤による4級化とは異なり、これと混同すべきではない。
【0013】
本発明に従うポリウレタンを形成する第2の型の単位は(a2)単位という高分子単位であり、末端に不安定な水素を有する反応性官能基を有し、示差走査熱量計で測定して10℃より低いガラス転移温度(Tg)を有するポリマーから誘導されるものである。
0℃、さらには−10℃より低いガラス転移温度を有するポリマーから(a2)単位を誘導する場合、ポリウレタンの粘弾性特性は特に有利である。
これらのポリマーの質量平均分子量は好ましくは400〜10,000であり、さらには1000〜5000である。
ノニオン性単位(a2)を形成することができるノニオン性ポリマーを例えば以下から選択することができる:ポリエーテル、ポリエステル、ポリシロキサン、エチレン及びブチレンコポリマー、ポリカーボネート及びフッ素を含むポリマー。
特にポリエーテルが好ましく、好ましいポリエーテルはポリ(テトラメチレンオキシド)である。
【0014】
単位(b)を形成するジイソシアナートは脂肪族、脂環式及び芳香族ジイソシアナートを含む。
好ましいジイソシアナートを以下から選択する:メチレンジフェニルジイソシアナート、メチレンシクロヘキサンジイソシアナート、イソホロンジイソシアナート、トルエンジイソシアナート、ナフタレンジイソシアナート、ブタンジイソシアナート及びヘキシルジイソシアナート。明らかにこれらのジイソシアナートを単独で又は2若しくはそれ以上のジイソシアナートの混合物の形態で使用することができる。
上記したように、本発明に従う弾性カチオン性ポリウレタンは、本発明に従うポリウレタンに存在することが必要である単位(a1)、(a2)及び(b)に加えて、不安定な水素を有する少なくとも二つの官能基を含むノニオン性モノマー化合物から誘導される単位(a3)の所与の画分を含むこともできる。
これらの単位(a3)は、例えばネオペンチルグリコール、ヘキサエチレングリコール又はアミノエタノールから誘導される。
【0015】
上記のカチオン性ポリウレタンの粘弾性特性を特徴付ける物理的パラメーターはその引張回復である。この回復を引張クリープ試験で測定し、該試験は試験片を事前に定めた引張速度で急速に引き延ばし、次いで応力を開放し、試験片の長さを測定する。
本発明に従う弾性カチオン性ポリウレタンの特徴付けのために使用するクリープ試験を以下のように行う:
使用する試験片は厚さ500±50mmのポリウレタンフィルムを80mm×15mmの片に切断したものである。このコポリマーフィルムを、該ポリウレタンの水及び/又はエタノール中の3質量%水溶液又は分散液を温度22±2℃、相対湿度50±5%で乾燥して得る。
各片を二つのつかみ具の間につかみ具間距離50±1mmの距離で固定し、20mm/分の速度で(上記の温度及び相対湿度条件下で)引き延ばして50%伸張させ(Emax)、すなわち最初の長さの1.5倍まで伸張させる。引張速度と等しい復帰速度、すなわち20mm/分を加えることによって応力を開放し、試験片の伸張(最初の長さの百分率で表現する)を、負荷が0に戻った直後に測定する(εi)。
以下の式を使用して瞬間回復(Ri)を計算する:
i(%)=((εmax−εi)/εmax)×100
本発明に従う弾性カチオン性ポリウレタンは、上記の条件下で測定した瞬間回復(Ri)が5%〜95%であることが好ましく、特に20%〜90%であり、35〜85%であることが理想的である。
【0016】
単位(a2)を形成するノニオン性ポリマー及び本発明に従うカチオン性ポリウレタンのガラス転移温度(Tg)を、ASTM標準D3418−97に従って示差走査熱量計(DSC)によって測定する。
本発明に従う弾性カチオン性ポリウレタンは好ましくは少なくとも二つのガラス転移点を有し、これらの少なくとも一つは10℃より低く、好ましくは0℃より低く、さらに好ましくは−10℃より低く、かつ他方の少なくとも一つは周囲温度(20℃)に等しいかそれより高い。
【0017】
本発明に従う弾性カチオン性ポリウレタンの瞬間回復すなわち粘弾性特性は異なるモノマー単位(a1)、(a2)、(a3)及び(b)の画分に依存する。
単位(a1)の画分は、ケラチン物質に対する良好な親和性の原因となっている陽電荷をポリマーに十分与えなければならない。単位(a2)の画分は、ぜい弱なフィルムを形成しない10℃より低いガラス転移温度を少なくとも一つ有するように十分な質量で存在しなければならない。
一般に、全ポリマーに対して、単位(a1)は1〜90質量%、好ましくは5〜60質量%を占め、単位(a2)は10〜80質量%、好ましくは40〜70質量%を占め、単位(a3)は0〜50質量%、好ましくは0〜30質量%を占める。
単位(b)が存在する量は、単位(a1)、(a2)及び(a3)の合計に関して化学量論的に必須の量である。高分子量のポリウレタンを得るためには、不安定な水素を有する官能基の数にほぼ等しい数のイソシアナート官能基を必要とする。当業者は一つの特定の型の官能基を過剰モル選択して必要な値にモル数を調整するやり方を承知している。
【0018】
前記したように、弾性カチオン性ポリウレタンを多くの化粧組成物に導入することができ、その化粧特性を改良する。
異なる組成物に存在するポリウレタンの量は組成物の型及び必要な特性に依存することは明らかであり、それを非常に広い範囲で、最終の化粧組成物に対して、通常は0.5〜90質量%、好ましくは1〜50質量%の範囲で変化させることができる。
弾性カチオン性ポリウレタンをヘアラッカーに含ませる場合、その濃度は通常0.5〜15質量%である。マニキュアでは、これらは通常組成物の0.5〜40質量%存在し、皮膚、唇及び表皮性成長部分のメーキャップ組成物では通常、本発明に従うポリウレタンを0.5〜20質量%含む。
本発明に従う弾性カチオン性ポリウレタンを例えば手指及び足の爪に保護フィルムを形成するのに使用することも認識することができる。
【0019】
例1:弾性カチオン性ポリウレタンの製造
機械的撹拌機及び冷却器を取り付けたサーモスタットで制御する反応器に以下のモノマーと溶媒を添加する:
− 1モルのジオール型モノマーの混合物、すなわちN−メチルジエタノールアミン及び質量平均分子量が1400に等しいポリ(テトラメチレンオキシド)の混合物、ここでこれらの各二つの型のモノマーのモル比が以下の表1に示されている、及び、
− ジオール型のモノマーの濃度が75質量%となる量のメチルエチルケトン。
混合物を70℃の温度まで加熱し、次いでわずかに過剰モル量の、すなわち1.03モルのイソホロンジイソシアナートを滴下し、約2時間撹拌する。この添加の間に、温度は溶媒の還流温度まで上昇する。
試料を定期的に採取し、この試料のIR吸収スペクトルをプロットして、イソシアナート基に対応するバンド(2260cm-1)の消失を監視する。
−NCO官能基のバンドの吸収が低下しなくなった場合に(このことは通常約5時間後に生じる)、反応混合物を放置して室温まで冷却し、次いでポリマーの濃度が約40質量%となるようにアセトンで希釈する。
【0020】
次の工程は得られた混合物に20mlのエタノールを添加して残りの−NCO官能基を不活性化することであり、−NCO官能基、すなわち2260cm-1におけるバンドの吸収が完全に消失するまで、周囲温度で撹拌を継続する。
十分量の塩酸溶液(2モル/l)を加えてアミン基を所望の割合まで中和する。次いで、異なる有機溶媒(メチルエチルケトン、アセトン及びエタノール)を、40℃の温度で真空下に蒸留して除去する。
有機相を除去した後、十分量の水を水性ポリマー溶液に添加して、約25質量%に等しい水中のポリマー濃度を得る。
上記のように、N−メチルジエタノールアミン/ポリ(テトラメチレンオキシド)の比率がそれぞれ2、3及び4である、3つの異なるポリウレタン(PU1、PU2及びPU3)を製造する。
以下の表1は、得られた3つのポリマーの理論的なモル組成及び物理化学的特性を示す。
【0021】
表 1

表 1(続き)

1) N−メチルジエタノールアミン
2) 質量平均分子量が1400であるポリ(テトラメチレンオキシド)、デュポン(DUPONT)社によりTerathane(登録商標)1400の名称で市販されている
3) イソホロンジイソシアナート
4) THF中のゲル浸透クロマトグラフィーで測定し、屈折率計で検出
5) ASTM D3418-97
【0022】
例2:毛髪用組成物(ラッカー)の製造
3つの毛髪用組成物を製造する、それぞれはエアゾール装置中に、例1で製造した3つの弾性カチオン性ポリウレタンの一つを3質量%含む、65gのジメチルエーテル及び35gの水/エタノール混合物(1:2)を含む。
得られた組成物を容易に毛髪に適用することができる。
【0023】
例3:毛髪用組成物の化粧特性の評価
例2で製造した毛髪用組成物のそれぞれを5.4g、3g天然の毛髪に適用し、1時間放置して乾燥させた。
10人のパネルが処置した毛髪の化粧特性を評価し、0から50の評点(所望の化粧特性が得られた場合に50の評点を付ける)を付ける。
得られた結果を表2にまとめる。
表 2

【0024】
例4:瞬間回復の測定
水/エタノール混合物(1:2)中に3質量%の例1の各ポリウレタンを含む分散物からポリウレタンフィルムを製造する。以下の表4は、以下の条件下で測定した瞬間回復値(%で表示)を示す:
フィルムの厚さ=500±50mm
片の大きさ=80mm×15mm
乾燥条件=22±2℃、相対湿度50±5%
つかみ具間距離=50±1mm
伸張速度=回復速度=20mm/分
以下の式を使用して瞬間回復(Ri)を計算する:
i(%)=((εmax−εi)/εmax)×100
表 3


【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を必須なものとして含むことを特徴とする、弾性カチオン性ポリウレタン:
(a1)不安定な水素を有する少なくとも二つの反応性官能基を有する少なくとも一つの第3アミンから誘導するカチオン性単位、該アミンは少なくとも部分的に中和されている、
(a2)示差走査熱量計で測定して10℃より低いガラス転移温度(Tg)を有し、末端に不安定な水素を有する反応性官能基を有するノニオン性ポリマーであって、エチレン及びブチレンコポリマーから選択するノニオン性ポリマーから誘導するノニオン性単位、必要により
(a3)不安定な水素を有する少なくとも二つの官能基を含むノニオン性モノマー化合物から誘導するノニオン性単位、及び
(b)少なくとも一つのジイソシアナートから誘導する単位。
【請求項2】
該ノニオン性単位(a2)を形成する該ノニオン性ポリマーが示差走査熱量計で測定して0℃より低いガラス転移温度を有することを特徴とする、請求項1に記載の弾性カチオン性ポリウレタン。
【請求項3】
ポリウレタンは異なるガラス転移温度(Tg)を有し、これらのTgの少なくとも一つは10℃より低く、かつ他方の少なくとも一つは20℃に等しいかそれより高いことを特徴とする、請求項1又は2に記載の弾性カチオン性ポリウレタン。
【請求項4】
カチオン性単位(a1)を不安定な水素を有する少なくとも二つの反応性官能基を有する少なくとも一つの第3アミンから誘導し、該アミンが少なくとも部分的に中和されていることを特徴とする、請求項1に記載の弾性カチオン性ポリウレタン。
【請求項5】
カチオン性単位(a1)をN−メチルジエタノールアミン及びN−t−ブチルジエタノールアミンから誘導することを特徴とする、請求項4に記載の弾性カチオン性ポリウレタン。
【請求項6】
カチオン性単位(a1)を末端に不安定な水素を有する反応性官能基を有し、−OH、−NH2、−NHR又は−SHから選択し、かつ400〜10,000の質量による分子量を有し、Rcが請求項4に規定するものである第3アミン官能基を有するポリマーから誘導することを特徴とする、請求項4に記載の弾性カチオン性ポリウレタン。
【請求項7】
ノニオン性単位(a2)を形成するポリマーの質量平均分子量が400〜10,000、好ましくは1000〜5000であることを特徴とする、請求項1に記載の弾性カチオン性ポリウレタン。
【請求項8】
単位(b)を以下から選択するジイソシアナートから誘導することを特徴とする、請求項1に記載の弾性カチオン性ポリウレタン:メチレンジフェニルジイソシアナート、メチレンシクロヘキサンジイソシアナート、イソホロンジイソシアナート、トルエンジイソシアナート、ナフタレンジイソシアナート、ブタンジイソシアナート及びヘキシルジイソシアナート。
【請求項9】
必要により存在するノニオン性モノマー単位(a3)を形成するノニオン性化合物をネオペンチルグリコール、ヘキサエチレングリコール又はアミノエタノールから選択することを特徴とする、請求項1に記載の弾性カチオン性ポリウレタン。
【請求項10】
全ポリマーに対して、単位(a1)が1〜90質量%、好ましくは5〜60質量%を占め、単位(a2)が10〜80質量%、好ましくは40〜70質量%を占め、単位(a3)が0〜50質量%、好ましくは0〜30質量%を占め、単位(b)が存在する量が、単位(a1)、(a2)及び(a3)の合計に関して化学量論的に必須の量である、ことを特徴とする、請求項1に記載の弾性カチオン性ポリウレタン。
【請求項11】
以下を必須なものとして含む弾性カチオン性ポリウレタンを少なくとも一つ含む化粧組成物:
(a1)不安定な水素を有する少なくとも二つの反応性官能基を有する少なくとも一つの第3アミンから誘導するカチオン性単位、該アミンは少なくとも部分的に中和されている、
(a2)示差走査熱量計で測定して10℃より低いガラス転移温度(Tg)を有する、末端に不安定な水素を有する反応性官能基を有するノニオン性ポリマーから誘導するノニオン性単位、必要により
(a3)不安定な水素を有する少なくとも二つの官能基を含むノニオン性モノマー化合物から誘導するノニオン性単位、及び
(b)少なくとも一つのジイソシアナートから誘導する単位、
ここで、全ポリマーに対して、単位(a1)が5〜60質量%を占め、単位(a2)が40〜70質量%を占め、単位(a3)が0〜30質量%を占め、単位(b)が存在する量は、単位(a1)、(a2)及び(a3)の合計に関して化学量論的に必須の量である。
【請求項12】
ノニオン性単位(a2)を形成するノニオン性ポリマーが示差走査熱量計で測定して0℃より低いガラス転移温度を有することを特徴とする、請求項11に記載の化粧組成物。
【請求項13】
ポリウレタンは異なるガラス転移温度(Tg)を有し、これらのTgの少なくとも一つは10℃より低く、かつ他方の少なくとも一つは20℃に等しいかそれより高いことを特徴とする、請求項11又は12に記載の化粧組成物。
【請求項14】
カチオン性単位(a1)を不安定な水素を有する少なくとも二つの反応性官能基を有する少なくとも一つの第3アミンから誘導し、該アミンが少なくとも部分的に中和されていることを特徴とする、請求項11に記載の化粧組成物。
【請求項15】
カチオン性単位(a1)を末端に不安定な水素を有する反応性官能基を有し、−OH、−NH2、−NHR又は−SHから選択し、かつ400〜10,000の質量による分子量を有する第3アミン官能基を有するポリマーから誘導することを特徴とする、請求項14に記載の化粧組成物。
【請求項16】
組成物がヘアラッカーより成り、かつカチオン性ポリウレタンの濃度が0.5〜15質量%であることを特徴とする、請求項11ないし15のいずれか1項に記載の化粧組成物。
【請求項17】
組成物が0.5〜40質量%のカチオン性ポリウレタンを含むマニキュアから成ることを特徴とする請求項11ないし15のいずれか1項に記載の化粧組成物。
【請求項18】
組成物が皮膚、唇及び表皮性成長部分に使用するメーキャップ組成物から成り、かつそれが0.5〜20質量%のカチオン性ポリウレタンを含むことを特徴とする、請求項11ないし15のいずれか1項に記載の化粧組成物。

【公開番号】特開2008−189938(P2008−189938A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−106959(P2008−106959)
【出願日】平成20年4月16日(2008.4.16)
【分割の表示】特願2002−536357(P2002−536357)の分割
【原出願日】平成13年10月12日(2001.10.12)
【出願人】(392006020)ロレアル (10)
【氏名又は名称原語表記】LOREAL
【Fターム(参考)】