説明

弾性ロープと外部部材との接続方法

【目的】
従来の弾性ロープと外部部材との接続方法に比して、簡単に且つしっかりと弾性ロープを外部部材に接続することができ、さらに、ロープ本体の傷付きをゼロに等しくできる弾性ロープと外部部材との接続方法を提供できるようにすることにある。
【解決手段】
弾性ロープ3の周面3aを挟扼保持する半ケース1、1aからなる外部部材に備える各押圧体(5、5a/6、6a/7、7a)の作用点(挟扼保持部)を、図3において弾性ロープ3の上側縁寄りと下側縁寄りに交互に位置させて、隣り合う押圧体の作用点(挟扼保持部)が弾性ロープ3の同一軸線上で重ならないようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天然素材や合成素材などからなる弾性ロープを外部部材に接続する場合に好適な接続方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、天然ゴムや合成ゴム素材などからなる弾性ロープを外部部材に接続する場合には、例えば、前記弾性ロープを利用してなる釣り具のクッション具(特許文献1、2参照)に見られる接続方法がある。
【0003】
特許文献1に開示されているものは、弾性ロープたる伸縮自在のウレタンゴム材の端部を外部部材たる合成樹脂成形体にインサートすることで、該弾性ロープと合成樹脂成形体とを接続している。
【0004】
特許文献2に開示されているものは、外部部材たるサルカンのリング内に通した弾性ロープたるポリウレタンエラストマー材の端部を折り返して本体に熱融着することで、該弾性ロープとサルカンとを接続している。
【0005】
なお、弾性ロープにはシリコンやポリウレタなどの柔軟性に優れた素材が用いられているが、しかしながらこれらの素材からなる弾性ロープは、接続のときや使用によるストレスなどでロープ本体に傷が付いてしまうと、該傷の部分から裂けたり、また、切れたりする欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−84944号公報
【特許文献2】登録実用新案第3158205号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的とするところは、従来の弾性ロープと外部部材との接続方法に比して、簡単に且つしっかりと弾性ロープを外部部材に接続することができ、さらに、ロープ本体の傷付きをゼロに等しくできる弾性ロープと外部部材との接続方法を提供できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、本発明に係る弾性ロープと外部部材との接続方法の要旨とするところは、弾性ロープと外部部材とを接続するための接続方法であって、外部部材に備える所定の間隔で配置する適数の押圧体で弾性ロープの周面を押圧保持し、且つ、前記保持状態にしたとき、少なくとも1箇所の隣り合う押圧体のそれぞれの作用点が、弾性ロープの同一軸線上で重ならない位置になっていることを特徴とするものである。
【0009】
前記弾性ロープとは、外力によって伸びまた外力を除くともとに戻る性質を有する物質から形成されているロープであり、例えば、天然素材や合成素材などからなる天然ゴムや合成ゴム(エラストマー/シリコーンなど)素材からなり、再生ゴムからなるものも含まれる。
【0010】
上記弾性ロープの形態例としては、単線ロープ、単線ロープを複数束ねて、例えば、適当な本数を並べて構成したものや適当な本数を撚り合わせて形成したもの(撚り線)などの複線ロープである。
【0011】
また、内部を中空とするチューブも弾性ロープに含まれ、そしてこのチューブの形態例としては、単線チューブ、単線チューブを複数束ねて、例えば、適当な本数を並べて構成したものや適当な本数を撚り合わせて形成したもの(撚り線)などの複線チューブロープである。
【0012】
前記外部部材とは、前記弾性ロープと接続する該弾性ロープの周面を押圧する押圧体を構成部品として備える部材であり、形態は任意である。
また、押圧体が弾性ロープの周面の適正位置を押すことができるように、弾性ロープのセット位置を決める位置決め手段を設けてもよい。
【0013】
押圧体は、接続する弾性ロープの形態(太さ/柔軟度)により、本外部部材にセットする弾性ロープの軸方向に対応させて適数個を配置する。
【0014】
そして、押圧体を弾性ロープの周面に押し当てる場合は、押圧体を弾性ロープ方向に移動させることによって弾性ロープの周面に押し当てるようにしたり、あるいは、弾性ロープを押圧体方向に移動させてこの周面を押圧体に押し当てるようにしてもよい。
また言うまでもないが、押圧体を押し当てた弾性ロープが該押し当て方向に移動しない(逃げない)ようにする。
【0015】
それで、上述するように押圧体を弾性ロープの周面に押し当てて弾性ロープを押圧保持したとき、少なくとも1箇所以上の隣り合う押圧体のそれぞれの作用点が、弾性ロープの同一軸線上で重ならない位置にする。
【0016】
例えば、弾性ロープを平面視した場合に、隣り合う一方の押圧体の作用点を該弾性ロープの幅方向の一側縁部寄りに位置させ、また、この180度反対方向の縁部寄りに他方の押圧体の作用点を位置させるようにする。
【0017】
そして、上述する押圧体を3箇所以上に配置する場合は、180度交互に位置を変えて配置したり、周回方向に順次角度を変えて螺旋状に配設してもよい。
【0018】
それで、上述するように、外部部材に備える所定の間隔で配置する適数の押圧体で弾性ロープの周面を押圧保持することによって該弾性ロープと外部部材とを接続する他にも、押圧体を一対に設けて、これら押圧体で弾性ロープの周面を挟扼保持して弾性ロープと外部部材とを接続してもよく、そして、該挟扼保持によるものは、外部部材が小なる形態のものから大なる形態のものまでほぼ全てに適応する。
【0019】
そして、押圧体の押圧部は、弾性ロープを傷つけることがないよう滑らかにしておく。
また押圧部面は、弾性ロープの形態に合わせて平面や内外に略突出させた湾曲面など、前述する押圧保持や挟扼保持に適する押圧部面にすればよい。
【0020】
また、弾性ロープの少なくとも1箇所の押圧体間に位置する周面の少なくとも一部、乃至、外部部材に設けられた最奥側の押圧体よりも該外部部材に進入する側の周面や端面を、加熱や溶解また接着剤などで硬化させてもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明の弾性ロープと外部部材との接続方法によれば、弾性ロープを押圧体によって保持したときに、少なくとも1箇所の隣り合う押圧体のそれぞれの作用点が弾性ロープの同一軸線上で重ならない位置にしているので、保持部における接触摩擦が大になり、該弾性ロープに引き抜き方向の力が加わった場合でも弾性ロープをしっかりと保持できて弾性ロープと外部部材との接続を維持できる。
【0022】
そして、外部部材の接続部を容易に構成でき、しかも、接続に用いる道具も特別なものを必要とせず一般的な道具で十分であり、さらに、ロープ本体の傷付きをゼロに等しくできる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係る接続方法による弾性ロープの接続過程を示す斜視図。
【図2】図1に対応する弾性ロープと外部部材の断面図。
【図3】弾性ロープと外部部材との接続状態における断面図。
【図4】硬化処理を行った弾性ロープを示す斜視図。
【図5】硬化処理を行った弾性ロープの接続状態を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係る弾性ロープと外部部材との接続方法を、添付図面に示す具体例に基づいて詳細に説明する。
【0025】
本実施例で示している弾性ロープは、柔軟性を大にする例えばシリコーンゴムからなり、また外部部材は、押圧体が一対に設けられまた本体が2つ割りのケースからなるもので、これらを一例にして説明する。
【0026】
この外部部材の構成は、図1中の(a)に示すように半ケース1、1aからなり、且つ、半ケース1、1aどうしは、固定ねじ2(図1中の(b)を参照)によって一体に固定されて外部部材の本体となる。
【0027】
半ケース1には、接続する弾性ロープ3(図1中の(b)を参照)の保持部4、該保持部4内に配設する弾性ロープ3(図1中の(b)を参照)の周面3aを押圧する押圧体(5、6、7)、固定ねじ2(図1中の(b)を参照)の頭部2aを係止する通孔9が設けられている。
【0028】
一方、半ケース1aには、接続する弾性ロープ3(図1中の(b)を参照)の保持部4a、該保持部4a内に配設する弾性ロープ3(図1中の(b)を参照)の周面3aを押圧する押圧体(5a、6a、7a)、固定ねじ2(図1中の(b)を参照)の雄ねじ部2bと螺合する雌ねじ孔10、本外部部材をフックなどに掛けるためのリング11が設けられている。
【0029】
また、本実施例に示した各押圧体(5、5a/6、6a/7、7a)は、弾性ロープ3の周面3aを挟扼する部位たる押圧部面8、8aを、一対の湾曲面にしている。
【0030】
以下、上述した弾性ロープ3と半ケース1、1aからなる外部部材とを接続する場合を図1、図2によって説明する。
【0031】
先ず、図1中の(b)および図2中の(a)に示すように、弾性ロープ3を半ケース1aの保持部4aに備える押圧体(5a、6a、7a)上にセットし、次いで、一方の半ケース1を、同保持部4に備える押圧体(5、6、7)を弾性ロープ3に合わせて半ケース1a上にセットするとともに、固定ねじ2の雄ねじ部2bを半ケース1の通孔9を通し半ケース1aの雌ねじ孔10に螺入していく。
【0032】
この固定ねじ2の螺入が完了すると、半ケース1の押圧体(5、6、7)と半ケース1aの押圧体(5a、6a、7a)によって弾性ロープ3の周面3aが挟扼され、また、半ケース1と半ケース1aとが固定される(図1中の(c)および図2中の(b))。
【0033】
これにより、弾性ロープ3は半ケース1の押圧体(5、6、7)と半ケース1aの押圧体(5a、6a、7a)によって挟扼保持されて、該弾性ロープ3と半ケース1および半ケース1aからなる外部部材とが接続される。
【0034】
そして、弾性ロープ3の周面3aを挟扼保持する各押圧体(5、5a/6、6a/7、7a)の作用点(挟扼保持部)が、図3を参照すると、弾性ロープ3の上側縁寄りと下側縁寄りに交互に位置して隣り合う押圧体では弾性ロープ3の同一軸線上に重ならないようにしているため、各押圧体(5、5a/6、6a/7、7a)の作用点には、弾性ロープ3を押圧体(5、5a)〜(7、7a)間でジグザグ通過(図3中に示した2点破線と同じ形態)させたときとほぼ同じ作用が生じる。
【0035】
すなわち、図3において、各押圧体(5、5a/6、6a/7、7a)の作用点(挟扼保持部)の符合A部の接触摩擦が大になり、弾性ロープ3に引き抜き方向の力が加わった場合でも該弾性ロープ3をしっかりと保持できる。
そして、弾性ロープ3が引き抜かれるのを接触摩擦により抑制しているのでロープ本体に無理な力が掛からず、ロープ本体も傷付き難い。
【0036】
また、図4、図5に示したように、弾性ロープ3の外部部材(半ケース1、1a)に設けられた最奥側の押圧体(7、7a)よりも、該外部部材(半ケース1、1a)に進入する先頭側部分の一部を硬化(硬化部12)させてもよい。図4に示した弾性ロープ3は、端面を含めた周面3aを硬化させている。
【0037】
本実施例では示していないが、前述する弾性ロープ3の端面を含めた周面3aを硬化させることに加え、あるいは単独で、押圧体(5、5a)と押圧体(6、6a)乃至押圧体(6、6a)と押圧体(7、7a)間の弾性ロープ3の周面3aを硬化させてもよい。
【0038】
そして、本実施例で示した弾性ロープ(弾性ロープ3)は、柔軟性を大にする例えばシリコーンゴムからなるものであるため、この周面(周面3a)を押圧する各押圧体(5、5a/6、6a/7、7a)による挟扼度を大にして強く締め付けているが、これら押圧体(5、5a/6、6a/7、7a)の挟扼度は、弾性ロープの柔軟度により好適な挟扼度に調整すればよい。
【0039】
また、本実施例には示していないが、各押圧体を一対ではなく単独で設けて、該各押圧体を弾性ロープの片側よりこの周面に押圧して、各押圧体と外部部際の受け部との間に弾性ロープを保持(押圧保持)するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0040】
1 半ケース
1a 半ケース
2 固定ねじ
2a 頭部
2b 雄ねじ部
3 弾性ロープ
3a 周面
4 保持部
5 押圧体
5a 押圧体
6 押圧体
6a 押圧体
7 押圧体
7a 押圧体
8 押圧部面
8a 押圧部面
9 通孔
10 雌ねじ孔
11 リング
12 硬化部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性ロープと外部部材とを接続するための接続方法であって、外部部材に備える所定の間隔で配置する適数の押圧体で弾性ロープの周面を押圧保持し、且つ、前記保持状態にしたとき、少なくとも1箇所の隣り合う押圧体のそれぞれの作用点が、弾性ロープの同一軸線上で重ならない位置になっていることを特徴とする弾性ロープと外部部材との接続方法。
【請求項2】
前記押圧体を一対に設けて、これら押圧体で弾性ロープの周面を挟扼保持することを特徴とする請求項1の弾性ロープと外部部材との接続方法。
【請求項3】
前記弾性ロープの少なくとも1箇所の前記押圧体間に位置する部分の少なくとも一部、乃至、外部部材に設けられた最奥側の押圧体よりも該外部部材に進入する先頭側部分の一部を硬化させることを特徴とする請求項1または請求項2の弾性ロープと外部部材との接続方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−246575(P2012−246575A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−116713(P2011−116713)
【出願日】平成23年5月25日(2011.5.25)
【出願人】(000165882)原度器株式会社 (43)
【Fターム(参考)】