説明

弾性不織布シート

本発明は、ネッキングさせた不織布基材または容易に延伸可能な追加加工されていない不織布基材に、エラストマー性ポリマー溶液を用いて処理することにより、エラストマー性ポリマーを実質的に均質に含浸させることにより調製される伸長可能な不織布シートに関する。その不織布シートは、おむつおよびその他衛生物品の製造に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パーソナル衛生物品の製造において使用するのに好適な伸長可能な不織布シートに関する。より詳しくは、その伸長可能な不織布シートは、ネッキングさせた不織布基材または容易に延伸可能な追加加工されていない(as−made)不織布基材にエラストマー性ポリマーを実質的に均質に含浸させることにより形成される。
【0002】
(関連出願の相互参照)
本出願は、米国特許仮出願第60/565,014号(出願日:2004年4月23日からの優先権を主張するが、その仮出願は、米国特許出願第10/413,172号(出願日:2003年4月14日)の優先権を主張し、さらにこの特許出願は、米国特許出願第10/353,677号(出願日:2003年1月29日、現在放棄済み)の一部係属出願である(これらの出願を参考として引用し本明細書に組み入れるものとする)。
【背景技術】
【0003】
弾性不織布材料は当業者には周知である。弾性不織布材料の例としては、「伸長ボンデッド」ラミネートおよび「ネックボンデッド」ラミネートを挙げることができる。伸長ボンデッドラミネートは、弾性層を延伸させた状態にしておいて、その弾性層にギャザーをつけることが可能な層を合わせることによって、それらの層をゆるめたときに、ギャザーをつけることが可能な層にギャザーが生じることによって調製される。ネックボンデッドラミネートは、ネッキングさせた非弾性層を繊維層の上の弾性フィルムに合わせることにより製造される。弾性層には一般に、弾性フィルムまたは弾性不織ウェブが含まれる。それらの弾性不織ラミネートのためには、少なくとも2種の異なった不織布またはフィルム層を調製する必要がある。
【0004】
リーデル(Riedel)への米国特許公報(特許文献1)には、少なくとも50重量パーセントの、引裂けることなく少なくとも30%は伸びることが可能な延伸可能なファブリックと、少なくとも15重量パーセントの、ファブリック中の孔に充填することなくそのファブリックに含浸させたエラストマーとを含む、通気性の弾性包帯材料が記載されている。
【0005】
モルマン(Morman)への米国特許公報(特許文献2)には、ネッキング可能な材料たとえば不織ウェブにエラストマー前駆体を塗布し、そのネッキング可能な材料をネッキング延伸させ、そしてネッキング可能な材料をネッキングさせた状態にしておいて、そのエラストマー前駆体をたとえば加熱より処理して、ネッキングさせた材料に接着されたエラストマー層を形成させることにより、伸長可能な複合材料を製造する方法が記載されている。好適なエラストマー前駆体には、ラテックスまたは熱硬化性エラストマーが含まれる。そのエラストマー前駆体は、5g/m〜約50g/mの間の量で、ネッキング可能な材料に塗布される。そのエラストマー層は典型的には、約2〜約10繊維厚み(fiber thickness)でウェブに浸透させるが、そのエラストマー前駆体の浸透の程度を調節して、ウェブのエラストマー層が塗布された側とは反対の側に滲み出さないようにする。そのため、得られた伸長可能な複合材料は、エラストマー層を含む側ではフィルムのような手触りを有し、エラストマー層とは反対側の上には、そのネッキング可能な材料の元々のソフトな手触りが残る。
【0006】
(特許文献3)には、Z方向に圧縮性と回復性を有するエラストマー性飽和不織布材料が記載されていて、それには、繊維ウェブ、たとえば、エラストマー性アクリルラテックス、ポリウレタンラテックス、またはニトリルゴムラテックスのようなポリマー材料で飽和された、メルトブローン繊維のような不織ウェブが含まれる。
【0007】
(特許文献4)は、ニードルパンチした不織ファブリックにゴムまたは合成樹脂を含浸させることにより製造した、コンベヤや動力伝達に使用するためのベルトを目的としている。
【0008】
【特許文献1】米国特許第4,366,814号明細書
【特許文献2】米国特許第5,910,224号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第0472942号明細書
【特許文献4】特開昭47−24479号公報
【特許文献5】米国特許第4,443,513号明細書
【特許文献6】米国特許第4,965,122号明細書
【特許文献7】米国特許第4,981,747号明細書
【特許文献8】米国特許第5,114,781号明細書
【特許文献9】米国再発行特許発明第35,206号明細書
【特許文献10】米国特許第5,244,482号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
経済的に製造することが可能で、柔らかな伸長性と良好な保持力を有し、両面ともがファブリック様の手触りを有する、弾性シート材料が引き続き求められている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、以下の工程を含む、伸長可能な不織布シートを形成するための方法を目的としている:
厚みと、第一および第二の外側表面と、縦方向および横方向とを有するネッキングさせた不織布基材を提供する工程であって、そのネッキングさせた不織布基材は横方向に少なくとも30%のパーセント伸びを有する工程、
そのネッキングさせた不織布基材に、溶媒に溶解させたエラストマー性ポリマーを含む溶液を実質的に均質に含浸させる工程、および
その含浸された不織布基材から湿式凝固により溶媒を除去して、不織布基材の厚み全体に実質的に均質にエラストマー性ポリマーを堆積させ、その不織布基材の第一または第二の外側表面のいずれの上にもエラストマー性ポリマーの実質的に連続した層を形成させない、工程。
【0011】
本発明は、以下の工程を含む、伸長可能な不織布シートを形成するための方法をさらなる目的としている:
厚みと、第一および第二の外側表面と、縦方向および横方向と、横方向への少なくとも30%のパーセント伸びと、約15g/m〜約100g/mの間の坪量と、500g/インチより高い破壊靱性とを有する、容易に延伸可能な追加加工されていない不織布基材を提供する工程、
その容易に延伸可能な追加加工されていない不織布基材に、溶媒に溶解させたエラストマー性ポリマーを含む溶液を実質的に均質に含浸させる工程、および
その容易に延伸可能な追加加工されていない不織布基材から湿式凝固により溶媒を除去して、不織布基材の厚み全体に実質的に均質にエラストマー性ポリマーを堆積させ、その不織布基材の第一または第二の外側表面のいずれの上にもエラストマー性ポリマーの実質的に連続した層を形成させない、工程。
【0012】
本発明がさらに目的としているのは、ネッキング方向にネッキングさせ、エラストマー性ポリマーを用いて実質的に均質に含浸させた不織布基材を含む伸長可能な不織布シートであって、その伸長可能な不織布シートが、その伸長可能な不織布シートを3回ネッキング方向に140%延伸させたとき、3回目の除重サイクルの100%伸び時応力の、3回目の加重サイクルの100%伸び時応力に対する比が、少なくとも0.3:1であるものである。
【0013】
それに加えて、本発明が目的としているのは、エラストマー性ポリマーを用いて実質的に均質に含浸させた、容易に延伸可能な追加加工されていない不織布基材を含む伸長可能な不織布シートであって、その伸長可能な不織布シートが、3回横方向に30%延伸させたとき、3回目の除重サイクルの30%伸び時応力の、3回目の加重サイクルの30%伸び時応力に対する比が、少なくとも0.15:1であるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明においては、ネッキングさせた不織布基材または容易に延伸可能な追加加工されていない不織布基材を、溶媒およびエラストマー性ポリマーを含む溶液を用いて含浸させることにより、伸長可能な複合材料不織布シートを得ることができる。そのネッキングさせた不織布基材または容易に延伸可能な追加加工されていない不織布基材は、その不織布基材のいずれの表面にもポリマー層を形成させることなく、不織布基材を実質的に均質に含浸させることができるような条件下で含浸させる。溶媒を除去した後には、通気性の含浸不織布シートが得られ、そのものは、思いがけないことに、横方向の、加重サイクル応力に比較して高い除重サイクル応力(良好な保持力とソフトな伸長性)と織物様の手触りとを併せ持っている。さらに、本発明のシートは典型的には、従来からの多層伸長性ラミネートよりも製造が簡単で、かつ薄い。たとえば、本発明のシートは典型的には約0.25mm〜0.75mmの厚みを有するが、それに対して伸長性ラミネートは一般に1.3mmよりも厚い。
【0015】
本明細書で使用するとき、「ポリマー」という用語は一般に、ホモポリマー、コポリマー(たとえば、ブロック、グラフト、ランダムおよび交互コポリマー)、ターポリマーなど、およびそれらのブレンド物および変性物を含むが、これらに限定される訳ではない。さらに、特に断らない限り、その「ポリマー」にはその物質の可能な立体配位をすべて含むものとする。そのような立体配位としては、イソタクチック、シンジオタクチックおよびランダム対称が含まれる(これらに限定される訳ではない)。
【0016】
本明細書で使用するとき、「ポリエステル」という用語では、繰り返し単位の少なくとも85%がジカルボン酸とジヒドロキシアルコールとの縮合反応生成物であって、エステル単位の生成によりその結合が得られているポリマーを包含することを意図している。これに含まれるのは、芳香族、脂肪族、飽和、不飽和の二酸およびジオールである。本明細書で用いるとき、「ポリエステル」という用語にはさらに、コポリマー(たとえば、ブロック、グラフト、ランダムおよび交互コポリマー)、ブレンド物、およびそれらの変性物も含まれる。ポリエステルの一般的な例としてはポリ(エチレンテレフタレート)(PET)が挙げられるが、これはエチレングリコールとテレフタル酸の縮合生成物である。
【0017】
本明細書で使用するとき、「ポリウレタン」という用語では、ジイソシアネートおよび2官能連鎖延長剤を用いて2官能ポリオールを縮合させることにより、製造されるブロックコポリマーを包含することを意図しているが、これについては以下において詳しく説明する。
【0018】
本明細書で使用するとき、「ポリオレフィン」という用語では、炭素および水素のみからなる、各種一連のほとんど飽和した開鎖ポリマー性炭化水素を意味することを意図している。典型的なポリオレフィンとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテンならびに、エチレン、プロピレン、およびメチルペンテンモノマーの各種組合せが挙げられるが、これらに限定される訳ではない。
【0019】
本明細書で使用するとき、「ポリエチレン」という用語では、エチレンのホモポリマーだけではなく、繰り返し単位の少なくとも85%がエチレン単位であるコポリマーを包含することを意図している。
【0020】
本明細書で使用するとき、「ポリプロピレン」という用語では、プロピレンのホモポリマーだけではなく、繰り返し単位の少なくとも85%がプロピレン単位であるコポリマーを包含することを意図している。
【0021】
本明細書で使用するとき「エラストマー性ポリマー」という用語は、シート、繊維、またはフィルムに成形したときに、ななめの力を加えると、緩めてななめ力がかかっていないときの長さの少なくとも約160パーセントの伸長長さにまで伸び、そしてその延伸させた斜めの力を除いたときにその伸びの少なくとも55パーセントが回復されるような、各種のポリマーを指す。たとえば、少なくとも1.6センチメートルにまで延伸させることが可能な1センチメートルの材料サンプルがあるとすると、力を加えて1.6センチメートルにまで延伸させてからその力を除いたときに、それが1.27センチメートル以下の長さにまで回復する。力を加えないときの長さの60%より多く、たとえば100パーセントまたはそれ以上まで延伸させることが可能なエラストマー性材料はたくさん存在しており、それらの多くは、その延伸力を除いたときには、実質的に元のそれらに力を加えていないときの長さにまで、たとえば、元の力を加えていないときの長さの105パーセント以内にまで回復する。
【0022】
本明細書で用いるとき、「不織ファブリック」または「不織ウェブ」という用語は、ランダムに配置されて、編み物または織物ファブリックの場合とは対照的に、明瞭なパターンを持たない平面状の材料を形成している、個々の繊維、フィラメント、または糸の構造を意味する。
【0023】
本明細書で用いるとき、「スパンボンド」フィラメントという用語は、溶融させた熱可塑性ポリマー材料を、紡糸口金の複数の微細な、通常は円形の毛細管からのフィラメントとして押し出し、次いで延伸させることにより、その押し出したフィラメントの直径を急速に低下させることによって形成されるフィラメントを意味する。他のフィラメント断面形状、たとえば楕円形、多葉形などを使用することも可能である。スパンボンドフィラメントは一般に連続で、その平均直径は約5マイクロメートルより大きい。スパンボンド不織ファブリックまたはウェブは、スパンボンドフィラメントを孔あき金網またはベルトのような捕集表面の上にランダムに重ねることによって形成される。スパンボンドウェブは一般に、当業者公知の方法、たとえば加熱ロールカレンダリングによるか、またはウェブを高圧下で飽和スチームチャンバーの中に通すことにより、接着させる。さらに、ウェブを、スパンボンドファブリックの幅方向に設けた複数の加熱接着ポイントで、加熱点接着させることもできる。
【0024】
本明細書においては、「縦方向」(MD)という用語は、不織ウェブが製造されている方向を指すのに使用される。「横方向」(XD)という用語は一般に、その縦方向に対して直角の方向を指す。
【0025】
本明細書で使用するとき、「ネッキング」という用語は、不織ファブリックに力を、たとえばその不織布縦方向と平行に加えて、その不織ファブリックを力を加えた方向に延伸させ、その伸びと直角の方向、たとえば横方向の幅が所望の程度になるように調節しながら、低減させることを含む方法を指している。本明細書においては、延伸力と直角の方向を「ネッキング方向」と呼ぶ。室温または、室温より高いもしくは低い温度で調節した延伸とネッキングを起こさせることが可能であるが、それは、そのファブリックの引き裂きまたは破断に必要な延伸までの、伸長される方向における全体寸法の増加に限定される。
【0026】
本明細書においては、「ネッキングさせた不織ファブリック」および「ネッキングさせた不織布基材」という用語は、たとえば延伸のようなプロセスによって少なくとも一つの方向にすぼめられた、各種不織ファブリックを指すのに使用される。「ネッキング可能な不織ファブリック」は、ネッキングプロセスにおいて少なくとも一つの方向にすぼめることが可能な不織ファブリックである。「パーセントネックダウン」という用語は、ネッキングさせていない寸法とネッキングさせた寸法(ネッキング方向に測定する)との間の差を測定し、次いでその差をネッキングさせていない寸法で割り算をし、その比に100を掛け算して、求めた比率を指す。ネッキングさせた不織布は一般に、ネッキングの際のパーセントネックダウンに相当する量(ただし、直線的な関係ではない)まで、ネッキング方向に延伸させることが可能である。本明細書においては、ネッキングさせた不織布の延伸性は、不織布の中の個々の繊維を延伸させたり不織布の中の繊維と繊維との結合を破壊させたり不織布を引裂いたりすることない範囲で、ネッキングさせた不織布をネッキング方向に可能な最大値まで延伸させることによる、パーセント伸びとして測定される。
【0027】
本明細書においては、「容易に延伸可能な追加加工されていない不織布」という用語は、不織布製造プロセスにおいて通常使用される範囲を超えた追加の加工工程(たとえば、ネッキング)を一切加えることなく、少なくとも30%(典型的には約60%〜約150%)の横方向の伸びを有し、200グラム/インチ(g/インチ)よりも小さい、典型的には100g/インチ未満の力(その力は、試験方法のセクションに記載されている「30%延伸させるのに必要な力」の方法によって測定される)を加えても破断しない、不織布を意味するために使用される。50%の伸びとは、10インチの幅のサンプルを15インチまで延伸させることが可能である、ということを意味する。好適な容易に延伸可能な追加加工されていない不織布の例においては、約15〜約100グラム/平方メートル(g/m)、典型的には約30〜約80g/mの坪量を有し、そして、試験方法のセクションに記載されている「破壊靱性分析」によって求めた縦方向の破壊靱性が500g/インチよりも大きいものがよい。容易に延伸可能な追加加工されていない不織布は、スパンレースド(湿式絡み合わせと呼ばれることもある)、メルトブローン、またはサーマルボンデッド不織布であってよく、それらの周知のプロセスにより製造することができる。
【0028】
本明細書においては、「スパンレースド不織布」という用語は、ウェブ(それらにはプリフォームドファブリック、スパンメルトウェブ、エアレイドウェブおよびカードウェブを含むことができる)またはバットに高圧水のジェットを吹き付けることにより形成されたファブリックを指すのに用いられる。容易に延伸可能な追加加工されていない不織布としては、タイプ8075ソンタラ(Sontara)(登録商標)(ソンタラ(Sontara)(登録商標)は、イー・アイ・デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニー(E.I. Dupont de Nemours and Comapny)の登録商標である)、およびフラットタイプスパンレースド不織布、商品番号4055−T(台湾の台北(Taipei,Taiwan)のシェンフンインダストリアルカンパニー(Sheng Hung Industrial Company)製)を挙げることができる。
【0029】
本明細書においては、「メルトブローン不織布」という用語は、ダイを通して溶融ポリマーを高温空気またはスチームの高速な流れに押し出して、それによって、得られたフィラメントを微細で比較的短い繊維に転換させることにより製造された不織布を指すのに用いられる。それらの繊維は、移動スクリーンまたはベルトの上に堆積され、次いでカレンダー法、エンボス法、加熱空気またはその他のサーマルボンド法によって固結化される。
【0030】
本明細書においては、「サーマルボンデッド不織布」という用語は、たとえばそのウェブ繊維より低い融点を有する、特別に設計された低融点のバインダー繊維または熱可塑性プラスチック粉末のような、熱の影響を受けやすい材料を含むウェブまたはバットからなるファブリックを指すのに用いられ、それらの低融点のバインダー繊維または熱可塑性プラスチック粉末は、圧力の存在下または非存在下において、たとえば加熱空気、カレンダー法、エンボス法、赤外線加熱法、その他のサーマルボンド法などにより加熱されることにより溶融して、ウェブまたはバットの繊維を接着的に結合させて固結化された不織布とする。
【0031】
本明細書においては、「不織布基材」という用語は、ネッキングさせた不織布基材か、または容易に延伸可能な追加加工されていない不織布基材のいずれかであってよい、基材を指すのに用いられる。
【0032】
本明細書においては、「不織ファブリック」という用語は、ネッキングさせた不織ファブリックか、または容易に延伸可能な追加加工されていない不織ファブリックのいずれかであってよい、ファブリックを指すのに用いられる。
【0033】
本明細書においては、「実質的に均質に含浸する」または「実質的に均質に含浸された」という用語は、バルク容積全体に処理剤または溶液を均等に分散させることを指すのに用いられる。
【0034】
本明細書においては、「湿式凝固」という用語は、溶媒の中に溶解されたエラストマー性ポリマーを含む溶液をその中に含浸させた不織布基材を、そのエラストマー性ポリマーにとっては非溶媒であるが、そのエラストマー性ポリマー溶液を形成させるために使用した溶媒とは混和性のある、凝固液体と接触させるプロセスを記述するのに用いられる。その凝固液体はさらに、それがその不織布基材を溶解させないようなものから選択する。凝固液体がポリマー材料を凝固させ、溶媒を凝固液体の中に除去する。次いでポリマー含浸させた不織布からその凝固液体を、たとえば空気乾燥または加熱により除去する。
【0035】
本発明において使用するのに好適なネッキング可能な不織ファブリックとしては、スパンボンドウェブ、ボンデッドカードウェブ、および湿式絡み合わせウェブなどが挙げられる。典型的には、当業者公知の方法を使用して、ネッキング可能な不織ファブリックを横方向にネッキングさせて、約25%〜約75%のパーセントネックダウンを達成させ、それにより、横方向へ約30%〜約300%の間のパーセント伸びを有するネッキングさせた不織布基材を得るのが好ましい。本発明において有用なネッキング可能な不織ファブリックは、多くの熱可塑性ポリマーから製造することができるが、そのようなものとしては、たとえばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンコポリマー、ポリアミド、ポリエステル、ポリスチレン、およびポリ−4−メチルペンテン−1などの非エラストマー性ポリオレフィンが挙げられる。好ましくは、そのネッキング可能な不織ファブリックにはたとえば、ポリプロピレン、ポリエステル、またはポリプロピレン−ポリエチレンコポリマーが含まれる。好ましい実施態様においては、そのネッキング可能な不織ファブリックは、スパンボンドポリプロピレンファブリックであるか、またはカード化サーマルボンドポリプロピレンまたはポリエステルファブリックである。出発時のネッキング可能な不織布基材は典型的には、約10g/m〜約50g/mの間の坪量を有しているのが好ましい。約10g/mから約20〜30g/mの間の坪量を有するような、坪量の比較的低いネッキング可能な不織布が特に好ましい。不織布基材は典型的には、水蒸気透過性である。そのネッキング可能な不織布基材をネッキングさせて、一般に約15g/mより高い坪量を有するネッキングさせた不織布基材を得る。
【0036】
ネッキングさせた不織ファブリックは当業者には公知であって、ネッキング可能な不織ファブリックを縦方向に延伸させて、横方向にネッキングさせた、ネッキングさせた不織ファブリックを得る。ネッキングプロセスの例は、たとえば下記の特許に開示されている:マイトナー(Meitner)らへの米国特許公報(特許文献5)(マイトナー(Meitner))、米国特許公報(特許文献6)、米国特許公報(特許文献7)、および米国特許公報(特許文献8)(以上すべてモルマン(Morman))。好適なネッキングプロセスが、ハッセンベーラー・Jr(Hassenboehler Jr)らへの米国特許公報(特許文献9)に開示されている。米国特許公報(特許文献9)は、米国特許公報(特許文献10)の再発行特許であるが、参照することにより本明細書に取り入れたものとする。ハッセンベーラー(Hassenboehler)のプロセスによりネッキングさせた不織ウェブは、本明細書においては「固結化ウェブ(consolidated web)」と呼ぶこともある。
【0037】
ネッキングさせた不織布は、比較的低コストのプロセスを用いて調製することが可能であり、高い横方向延伸性レベルを有し、不織布を横方向に延伸させるのに比較的低い伸び(加重)応力しか必要としないために、他の延伸可能な不織ファブリックよりも好ましい。さらに、ネッキングさせた不織ファブリックは一般に、縦方向には実質的に延伸不可能である、すなわち、縦方向にバイアス力をかけても約10%未満のパーセント伸びしか有さない。実質的に一つの方向だけに伸長できるのは、ある種の末端用途においては極めて望ましいが、それについては後に述べる。
【0038】
好ましい実施態様においては、そのネッキングさせた不織布基材は、ハッセンベーラー(Hassenboehler)が述べた方法を用いて調製した固結化ウェブである。その方法に含まれるのは、加工延伸性が比較的低い接着された熱可塑性不織ウェブをたとえばオーブンのような加熱ゾーンを通過させて、そのウェブの温度をポリマーウェブの軟化温度と溶融温度の間の温度にまで上げ、その際にウェブを縦方向に延伸させて、それにより横方向に配向された繊維を可塑的に変形させて、ウェブを横方向に固結(ネッキング)させる工程である。その延伸は、ウェブをそのゾーンの中に第一の線速度で通し、その第一の速度をよりも高い第二の線速度でそれを抜き出すことにより実施される。第二の速度の第一の速度に対する比は、たとえば、約1.1:1から約2:1までの範囲である。出発物質の接着された不織ウェブは、非エラストマー性のネッキング可能な不織ファブリックであって、2500%/分より高い延伸速度と、軟化点よりは高いがポリマーウェブの溶融温度よりは少なくとも10゜F低い温度で熱延伸させながら評価したときに、約4.0:1より低いが約1.4:1よりも高い加熱加工時の破断延伸比を有するように選択される。室温での破断時伸び(歪み)は、ASTM D 1117−77の試験方法に従い、インストロン(Instron)引張試験機を用いて、たとえば2〜40パーセントの間、典型的には5〜20パーセントの間である。
【0039】
出発時のウェブの中の繊維は、繊維と繊維との融着法、繊維交絡法、またはたとえば点接着のようなサーマルボンド法によって接着させることができる。ネッキング可能な不織ファブリック中の繊維は典型的には、たとえば約50マイクロメートル未満の小さな平均繊維直径を有している。スパンボンド前駆体における接着は典型的には(たとえば高温点接着のように)強力であって、そのためウェブの一体性を損なうことなく、フィラメントセグメントを局部的に延伸したり、縮れさせたり、曲げたりすることができる。点接着においては一般に、接着点および接着パターンを選択して、接着点の面積がウェブ面積の約5〜約25%の間になるようにする。接着点の形状は、ダイヤモンド形であっても、その他当業者に周知の形状であってもよい。
【0040】
加熱延伸工程によって、横方向の繊維の塑性変形とウェブの固結を起こさせて、繊維の大部分が一般に延伸方向(縦方向)に配列するようにする。そのウェブを、出発時の不織布に比較して縦方向に延伸させながら横方向に固結、ヒートセットさせる。
【0041】
少なくとも30%、たとえば少なくとも50%の横方向の伸びを有するネッキングさせた不織布基材を使用して、本発明の弾性不織布シートを調製することができる。固結プロセスの際の不織ウェブのパーセントネックダウンは、たとえば、約50%〜約75%の間、典型的には約60%〜70%の間とするが、これはそれぞれ、約100%〜300%、および150%〜250%の間の延伸に対応している。
【0042】
ネッキングさせた不織ウェブの坪量は、出発時のネッキング可能な不織ウェブの坪量の3倍以上とすることができる。ネッキングさせたウェブの坪量は、約15g/m〜約100g/mの間、たとえば約20g/m〜約100g/mの間、典型的には約25g/m〜約100g/mの間である。ネッキングさせた不織布基材の坪量は、所望の最終用途に合わせて選択する。たとえば、弾性インターライナーとして使用する場合には、ネッキングさせた不織布の坪量は、典型的には約30g/m〜70g/mの間とするが、それに対しておむつのウェストバンドなどのような衛生末端用途の場合には、その坪量は典型的には約15g/m〜40g/mの間とする。ネッキングさせた不織布基材の坪量はさらに、最終的に含浸させた不織布において所望の弾性が得られるように選択するべきである。坪量が高い不織布基材では、不織布の中により多くのエラストマー性ポリマーを含浸させて、その含浸不織布シートの除重応力を増加させることができる。
【0043】
本発明により製造される材料を調製するためには、ハッセンベーラー(Hassenboehler)において記載されているような比較的低い坪量の不織布をネッキングプロセスにおいて使用するのが好ましい。それらを併用し、エラストマー性ポリマーを用いて含浸させると、それらの因子が重なって、材料を延伸させるのに必要な応力(加重応力)が比較的に低く、それをゆるめるために必要な材料により発揮される収縮力(除重応力)が比較的高い伸長可能な不織布が得られる。このような特性は、この材料で想定される末端用途においては好ましいものである。除重応力の加重応力に対する関係は、弾性不織布のヒステリシスに関連する。少なくとも150%の横方向のパーセント伸びを有する、本発明の好ましい生成物においては、含浸させた不織布を(延伸の間にはゆるめながら)140%にまで3回延伸させた後の、100%伸びにおける除重応力の100%伸びにおける加重応力に対する比率が少なくとも0.3:1であり、yがたとえば0.45:1よりも大きい。
【0044】
本発明において有用なエラストマー性ポリマーとしては、ポリウレタン、スチレン−ブタジエンブロックコポリマー、およびポリエーテル−エステルブロックコポリマーを挙げることができる。好ましい実施態様においては、そのエラストマー性ポリマーがポリウレタンである。
【0045】
本発明において有用なエラストマー性ポリウレタンは、高分子量グリコールをジイソシアネートと反応させてキャップトグリコールを形成させ、そのキャップトグリコールを(適切な溶媒中に)溶解させ、次いでそのキャップトグリコールを活性水素原子を有する2官能の連鎖延長剤と反応させることによって、調製することができる。そのようなポリウレタンは、「セグメント化」されていると呼ばれるが、その理由は、それらが、ジイソシアネートおよび連鎖延長剤から誘導される「ハード」なウレタンおよびウレアセグメントと、主として高分子量グリコールから誘導される「ソフト」なセグメントとからなるからである。そのようなポリマーを調製する溶液のために好適な溶媒は、アミド溶媒たとえばジメチルアセトアミド(「DMAc」)、ジメチルホルムアミド(「DMF])、およびN−メチル−ピロリドンであるが、他の溶媒たとえばジメチルスルホキシドやテトラメチルウレアなども使用することができる。
【0046】
エラストマー性ポリウレタンの調製に使用される高分子量グリコールとしては、ポリエーテルグリコール、ポリエステルグリコール、ポリカーボネートグリコールおよびそれらのコポリマーを挙げることができる。そのようなグリコールとしては、以下のようなものを挙げることができる:ポリ(エチレンエーテル)グリコール、ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール、ポリ(テトラメチレン−コ−2−メチル−テトラメチレンエーテル)グリコール、ポリ(エチレン−コ−ブチレンアジペート)グリコール、ポリ(2,2−ジメチル−1,3−プロピレンドデカノエート)グリコール、ポリ(ペンタン−1,5−カーボネート)グリコール、およびポリ(ヘキサン−1,6−カーボネート)グリコール。
【0047】
有用なジイソシアネートとしては、1−イソシアナト−4−[(4−イソシアナトフェニル)メチル]ベンゼン、1−イソシアナト−2−[(4−イソシアナト−フェニル)メチル]ベンゼン、イソホロンジイソシアネート、1,6−ヘキサンジイソシアネート、および2,4−トリレンジイソシアネートなどが挙げられる。
【0048】
連鎖延長剤はジオールであっても、ジアミンであってもよい。有用なジオールとしては、エチレングリコール、1,3−トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、およびそれらの混合物などが挙げられる。ジオール連鎖延長剤を使用すればポリウレタンが得られる。有用なジアミンとしては、エチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、1,3−ジアミノペンタン、1,4−シクロヘキサン−ジアミン、1,3−シクロヘキサンジアミン、およびそれらの混合物などが挙げられる。この場合には、得られるポリマーはポリウレタンウレア(ポリウレタンのサブクラス)である。ポリエーテルグリコールとジアミン連鎖延長剤を使用した場合には、得られるポリマーは、ポリエーテルウレタンウレアであり、またポリエステルグリコールをジアミン連鎖延長剤と組み合わせて使用する場合には、ポリエステルウレタンウレアが得られる。単官能アミン連鎖停止剤、たとえばジエチルアミン、ブチルアミン、シクロヘキシルアミンなどを加えることによって、ポリマーの分子量を調節することが可能である。好ましい実施態様においては、エラストマー性ポリマーがジアミン延伸させたポリウレタンエラストマーである。
【0049】
エラストマー性ポリマー溶液を調製するのに好適な溶媒としては、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、およびN−メチル−ピロリドンを挙げることができる。エラストマー性ポリマー溶液の粘度は、溶液中のポリマー材料の濃度に直接関係するので、溶液粘度が、ネッキングさせた不織ファブリックまたは容易に延伸可能な追加加工されていない不織ファブリックの中へのポリマーの浸透の程度、およびその中に堆積されるポリマーの量の両方に影響する可能性がある。溶液粘度が低すぎる場合には、ネッキングさせた不織布基材の中または容易に延伸可能な追加加工されていない不織布基材の中に堆積できるエラストマーの量が不十分となって、除重応力が低くなってしまう。溶液粘度が高すぎる場合には、不織布基材の中への溶液の浸透が少なくなり、そのために、不織布基材の中へのポリマーの含浸、または不織布基材の表面上へのポリマーの層の形成が不完全であったり、不均質であったりすることになる。ネッキングさせた不織布基材または容易に延伸可能な追加加工されていない不織布基材の中に含浸させるエラストマー性ポリマーの溶液はたとえば、25℃で測定して約1000〜300,000センチポワズ(「cPs」)、典型的には10,000〜40,000cPsの溶液粘度を有する。その溶液には約5重量%〜20重量%のポリマーを含んでいてよい。
【0050】
ネッキングさせた不織布基材または容易に延伸可能な追加加工されていない不織布基材は、ポリマー溶液を吸収することが可能であり、またそのポリマー溶液が実質的に完全かつ均質に不織布基材に含浸されることが必要である。したがって、ネッキングさせた不織布基材または容易に延伸可能な追加加工されていない不織布基材は、ポリマー溶液がネッキングさせた不織ファブリックまたは容易に延伸可能な追加加工されていない不織ファブリックの中に吸収されるのを妨害するような、コーティングまたはその他の処理がされていてはならない。エラストマー性ポリマー溶液および/または不織ファブリックには、ポリマー溶液によってウェブが容易に含浸されるようにするための界面活性剤が含まれていてもよい。好適な界面活性剤としては、たとえば高分子量界面活性剤のようなノニオン性の濡れ剤を挙げることができる。
【0051】
添加剤、たとえば顔料、抗酸化剤、紫外光安定剤および潤滑剤などを、エラストマー性ポリマー溶液に少量添加することもできるが、ただし、そのような添加剤は本発明のメリットを打ち消すようなものであってはならない。
【0052】
エラストマー性ポリマー溶液には、その中に分散された、約0.10インチ(2.5mm)未満、たとえば0.5mm未満の長さを有する、極めて短い微細繊維、たとえば木材パルプ、綿ダスト、その他の合成または天然繊維からのセルロース繊維が含まれていてもよい。それらの繊維は典型的には、含浸工程の間に不織ファブリックの中に完全に貫入するくらい充分に小さい。その短繊維は、含浸不織布シートの中に短繊維を、不織布/エラストマー性ポリマー複合材料の全重量を基準に計算して、約3〜約12重量パーセントの間の量で堆積させるのに充分な量でポリマー溶液に添加することができる。短繊維は典型的には、エラストマー性ポリマー溶液に、短繊維、エラストマー性ポリマー、および溶媒を合計した量を基準にして、約10〜約30重量パーセントの間、たとえば約10〜約20重量パーセントの間の量で添加する。ネッキングさせた不織ファブリックまたは容易に延伸可能な追加加工されていない不織ファブリックに、粉末化セルロースを含むエラストマー性ポリマー溶液に含浸させることにより調製された、本発明の不織布シートは、短繊維を含まない溶液に含浸させることにより調製したものに比べて、よりソフトな手触りを有することができる。ポリマー溶液の中で使用するのに適した極めて微細な繊維粒子状物質の一例は、J.レッテンマイヤー・USA(J.Rettenmaier USA)(ミシガン州スクールクラフト(Schoolcraft,Michigan)から「アーボセル(Arbocel)30」の商品名で入手可能な粉末化セルロースである。
【0053】
エラストマー性ポリマー溶液をネッキングさせた不織布基材または容易に延伸可能な追加加工されていない不織布基材の上にコーティングしたり、あるいは別な方法としてネッキングさせた不織布基材または容易に延伸可能な追加加工されていない不織布基材に含浸させたりするのに好適な各種の方法を使用することが可能であるが、ただし、そのファブリックが均質に含浸されて、ネッキングさせた不織布基材または容易に延伸可能な追加加工されていない不織布基材の一方または他方の上にそのコーティングが濃縮されないことが必要である。不織布基材をエラストマー性ポリマー溶液で処理するためにコーティング法を用いることは可能ではあるが、その溶液および不織布の性質ならびにコーティングプロセス条件を選択して、そのポリマー溶液が不織布基材を完全に濡らすか、または別な方法として、不織布基材の中に完全に吸収されるか追い込まれてそのポリマー層が不織布基材のいずれの表面にも形成されないようにする、ということに注目されたい。一般に、コーティングの際に加えられるポリマー溶液の量は、コーティング器具を、ネッキングさせた不織ファブリックまたは容易に延伸可能な追加加工されていない不織布基材の上から所定の距離に保持して使用することにより調節することができる。その溶液はさらに、不織布基材の中に機械的に圧入してもよい。本発明のプロセスは、ローラー、熱盤、スクレーパー、ナイフなどをコーティング器具として使用することもできる。溶液を不織布基材の上にスプレーすることもまた、エラストマー溶液が実質的に完全かつ均質に不織布基材に効果的に含浸させることを可能とする。スプレー力を調節することにより、良好な浸透が得られるようにすることができる。不織布基材は、業界において「ディップ・アンド・スクイーズ」法として知られているプロセスを用いて、エラストマー性ポリマー溶液に含浸させることが可能であるが、そこでは、繊維ウェブをエラストマー性ポリマー溶液を含むタンクの中に浸漬させるか、または別な方法で含浸させ、次いでたとえばニップロールの間で絞ることによって過剰のポリマー溶液を除去する。この方法は、伸長可能な複合材料不織布シートの両側の表面における差を最小化するためには好ましい。
【0054】
ネッキングさせた不織布基材または容易に延伸可能な追加加工されていない不織布基材を、充分なポリマー溶液に含浸させることにより、最終の含浸不織布シートにおける所望の除重/加重応力比を得ることができる。不織布基材には、典型的には充分なポリマー溶液を用いて含浸させて、エラストマー性ポリマーと不織布基材の合計の重量を基準にして、約10〜約80重量パーセントの間のエラストマー性ポリマー、たとえば約30〜約50重量パーセントの間のエラストマー性ポリマーがその中に堆積されるようにする。エラストマーの量が少なすぎると、除重応力の加重応力に対する比率が望ましくない程低くなってしまう可能性があり、またエラストマーの量が多すぎると、シートの表面の手触りが望ましくない程に粘着性となってしまう。溶液の濃度および/またはネッキングさせた不織ファブリックまたは容易に延伸可能な追加加工されていない不織布基材の中に含浸させる溶液の量を調節して、含浸されたシートの中に所望のポリマー濃度が得られるようにすることができる。たとえば、溶液中で低いポリマー濃度を使用して、しかも含浸させたシートの上では同等のエラストマー含量を維持しながらも、溶液を塗布する際にニップの隙間を広くすることによって、手触りと除重/加重応力比率のバランスが改良された生成物が得られることが観察された。
【0055】
溶媒およびエラストマー性ポリマーを含む溶液を用いて不織布基材の含浸を行わせてから、溶媒を除去する。溶媒は湿式凝固により除き、次いで凝固液体の除去を行う。湿式凝固させることによって、加熱乾燥の場合よりは、驚くほど柔らかく、より布様の手触りを有する生成物が得られる。湿式凝固プロセスは当業者には周知であり、人工皮革の製造においては一般的に使用されている。凝固液体としては、取扱いが容易で低コストであることから、水が好ましい。その他の使用可能な凝固液体としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、またはメチルエチルケトンを挙げることができる。エラストマー性ポリマーのための溶媒、たとえばジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、もしくはN−メチル−ピロリドンまたは界面活性剤のようなその他の添加剤を凝固液体に加えて、凝固速度を変化させることも可能である。さらに、凝固浴の温度を調節して凝固速度を変化させることもできる。凝固速度を遅くするほど、溶媒を除去した後の含浸不織布がより魅力的な手触りとなる。
【0056】
本発明の含浸不織布シートにおいては、ネッキングさせた不織布基材または容易に延伸可能な追加加工されていない不織布基材全体に均質に分散されたエラストマー性ポリマー相は、通気性がある。さらに、その含浸不織布シートは典型的には、水蒸気透過性でもある。
【0057】
含浸不織布シートの手触りは、サンディングまたはナッピングさせることによって改良して、繊維を含浸シートの上に立ち上げることにより、よりソフトな手触りとすることができる。ナッピングには、小さな金属ポイントを有する回転ロールの上にファブリックを通過させる工程が含まれるが、それらの金属ポイントが、ファブリックを効果的にブラッシングして、その表面に繊維を立ち上がらせる。サンディングにおいては、その金属ブラシをサンドペーパーで覆った回転ロールに置き換える。典型的には、含浸ファブリックはその両方の面をナッピングまたはサンディングする。たとえば、80〜200グリットのサンドペーパーを用いてファブリックをサンディングすることができる。
【0058】
本発明の伸長可能な含浸不織布シートは典型的には、約40g/m〜約100g/mの間の坪量を有する。それらは、おむつやその他のパーソナル衛生衣料品たとえば下着のウェストバンドまたはサイドパネルにおいて特に有用である。商業的には、おむつは長く、高速のラインで組み立てられ、そこでは、各種のおむつの部品が典型的には、プロセス速度を落とさないように、縦方向に加えられている。このことは、通常延伸させてから挿入される、エラストマー性材料の場合には特にあてはまる。おむつには一般に約20種以上の個別の部品が含まれ、それらがすべて、高速の製造プロセスの中でおむつの上の正確な位置に置かれなければならない。このことは、それらの部品(テープ、シート、繊維など)が、おむつが移動しているのと同じ方向に供給されれば、より容易に達成される。横方向に部品(たとえばウェストバンド)を加えるためには、材料そのものを横方向に伸長し、それによって、おむつ製造プロセスに縦方向のテープとして供給できれば好ましい。たとえば、そのテープは幅7インチ、長さわずか1インチの断片で、シートから切り出され、おむつまたはその他の使い捨ての下着に接着される。そのようなプロセスにおいては、プロセスに供給されるおむつ部品を、縦方向には実質的に延伸不可能として、そのプロセスに供給しやすくしておくのも好ましい。本発明の伸長可能な不織布シートは、縦方向には実質的に延伸不可能であるが、横方向には高い程度の回復可能な伸長性を有していて、それによってそのようなプロセスにおいて使用するのには特に適しているようになっている。
【0059】
本発明の伸長可能な不織布シートはさらに、各種の衣料品、特にジャケットやコートのための弾性インターライナーとしても有用である。「インターライナー」は、衣料品の外側層と内側層の間に挿入されるファブリックであって、その目的は、衣料品に形状保持、芯入れ、断熱性、剛性化、または嵩高さを付与または改良することにある。本発明の伸長性不織布シートはこの用途には特に有用であるが、その理由は、それらのコストが安いことと共に、恒久的な弾性および身体の周りのサイズに合わせて快適に伸びる性能を有しているからである。
【0060】
(試験方法)
(30%延伸させるのに必要な力)
この分析は、マーリン(Merlin)データ収集ソフトウェアシステムを備えた、インストロン(Instron)モデル5565を用いて実施した。マーリン(Merlin)システムおよび装置のハードウェアのいずれも、マサチューセッツ州ブレイントリー(Braintree,Massachusetts)のインストロン・コーポレーション(Instron Corporation)から入手可能である。幅1インチ±0.05インチ(2.54cm±0.13cm)で長さ約8インチ(20.32cm)の不織布シートのサンプルを、サンプル長さを3.00インチ(7.62cm)に設定したインストロン(Instron)測定器のジョーにクランプ止めする。そのサンプルは、サンプルの長さ方向が不織布の横方向になるように調製した。そのサンプルを、6インチ/分(15.24cm/分)の速度で伸び30%まで延伸させる。50%伸びにおける応力(グラム)を記録する。
【0061】
(破壊靱性分析)
この分析は、マーリン(Merlin)データ収集ソフトウェアシステムを備えた、インストロン(Instron)モデル5565を用いて実施した。マーリン(Merlin)システムおよび装置のハードウェアのいずれも、マサチューセッツ州ブレイントリー(Braintree,Massachusetts)のインストロン・コーポレーション(Instron Corporation)から入手可能である。幅1インチ±0.05インチ(2.54cm±0.13cm)で長さ約8インチ(20.32cm)の不織布シートのサンプルを、サンプル長さを3.00インチ(7.62cm)に設定したインストロン(Instron)測定器のジョーにクランプ止めする。そのサンプルは、サンプルの長さ方向が不織布の横方向になるように調製した。そのサンプルを、6インチ/分(15.24cm/分)の速度でサンプルが二つに破断されるまで延伸させ、その破断点における最大応力(グラム)を記録する。
【0062】
(坪量)
約1.0インチ×8.0インチ(2.54cm×20.32cm)の長方形の不織布シートのサンプルを注意深く広げて、そのサンプルにひだやしわが無いようにする。そのサンプルの長さと幅をミリメートルの単位まで測定し、そのサンプルの重量を1/10ミリグラムの単位まで秤量する。その重量を計算した面積で割って、その結果をグラム/平方メートルで表す(0.1グラムの単位まで)。
【0063】
(加重および除重応力分析)
この分析は、マーリン(Merlin)データ収集ソフトウェアシステムを備えた、インストロン(Instron)モデル5565を用いて実施した。マーリン(Merlin)システムおよび装置のハードウェアのいずれも、マサチューセッツ州ブレイントリー(Braintree,Massachusetts)のインストロン・コーポレーション(Instron Corporation)から入手可能である。幅1インチ±0.05インチ(2.54cm±0.13cm)で長さ約8インチ(20.32cm)の不織布シートのサンプルを、サンプル長さを3.00インチ(7.62cm)に設定したインストロン(Instron)測定器のジョーにクランプ止めする。そのサンプルは、サンプルの長さ方向が不織布の横方向になるように調製した。そのサンプルを6インチ/分(15.24cm/分)の速度で、伸び140%まで延伸させ、次いで元の長さまで緩める。これをさらに2回繰り返し、その3回目のサイクルで、伸びサイクルの場合に材料にかかる応力(加重応力)を、元のサンプルの長さを基準にして50%、100%および135%で記録し、同様にして、3回目の緩和サイクルの場合に材料にかかる応力(除重応力)もまた、同様の伸びポイントにおいて記録する。その結果を、3回目サイクルの、所定のパーセント伸びにおける、加重応力および除重応力として、グラムの単位で表す。
【0064】
(パーセント伸び分析)
ひだやしわの無い、幅1.0インチ(2.54cm)で長さ約8インチ(20.32cm)の不織ファブリックの緩めたストリップ片の4.0インチ(10.2cm)離れた2点にペンでマークを付けるが、それらのマークが、ファブリックの端からほぼ同じ距離になるようにする。次いでそのファブリックの両端を両手の親指と人差し指でしっかりと保持してから、そのサンプルを、サンプルが引き裂けたり何か機械的な損傷を受けたりしない範囲で、いっぱいに引き伸ばす。その最大伸びの点は、ファブリックによる伸びに対する抵抗が顕著に大きくなるところとして試験実施者には判る。次いで、不織布の上の二つのマークした点の間の長さを測定し、次式によってパーセント伸びを計算するが、ここで初期長さは10.2cmである:
パーセント伸び={(延伸後の長さ−初期長さ)/初期長さ}×100%
【0065】
ネッキング方向でパーセント伸びが測定される場合、そのファブリックサンプルは、横方向(ネッキング方向)と整列された長さで切断される。
【実施例】
【0066】
(実施例1)
幅30インチ(76.2cm)で、15g/mの、湿潤性スパンボンドポリプロピレン不織布(イスラエル(Israel)のアブゴル・ノンウーブンズ(Avgol Nonwovens)製)を、ニップロールの中に89フィート/分(27m/分)で供給し、長さ72インチ(1.83m)の290゜F(143℃)にした強制空気循環炉を通過させて、115フィート/分(35m/分)で運転中の第二のニップロールに送り、次いで巻取りロールに送った。このプロセスにおいて、幅30インチ(76.2cm)の不織布を、幅10インチ(25.4cm)で横方向に均質かつ平滑に固結させた(「ネッキングさせた」)。それを、最小限の力を用いて、元の30インチ(76.2cm)の横方向幅に伸ばしなおした。そのネッキングさせた不織布は、縦方向の伸びが実質的にゼロで、32.0g/mの坪量を有していた。
【0067】
そのネッキングさせた不織布の片側の表面上に、15ミル(0.38mm)のドクターナイフを使用して、分子量1800のポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール、1−イソシアナト−4−[(4−イソシアナトフェニル)メチル]ベンゼン(ジイソシアネート対グリコールのモル比1.69)、連鎖延長剤(エチレンジアミンおよび2−メチル−1,5−ペンタンジアミン(モル比9:1))、およびジエチルアミンから誘導したポリウレタンウレアの20重量%ジメチルアセトアミド(DMAC)溶液でコーティングした。以下に示す添加剤もまた使用した:0.5重量%のビス(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタン)および(3−t−ブチル−3−アザ−1,5−ペンタンジオール)のポリマー(メタクロール(Methacrol,登録商標)2462B、イー・アイ・デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニー(E.I. Du Pont de Nemours and Comapny)の登録商標)、0.3重量%の二酸化チタン、0.6重量%のシリコーンオイル、1.4重量%の2,4,6−トリス(2,6−ジメチル−4−t−ブチル−3−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート(シアノックス(Cyanox,登録商標)1790、サイテック・インダストリーズ(Cytec Industries)の登録商標)、および4重量%の、ハンタイトとヒドロマグネサイトの混合物。(すべてのパーセントは、ポリウレタンウレアの重量を基準としたものである。)ポリウレタンウレア−DMAC溶液は不織布を完全に濡らした。
【0068】
そのコーティングした不織布を、約1分間空気中に実質的に垂直につるして、ポリマー溶液が不織布の中に完全に浸透できるようにし、次いで70゜F(21℃)にした水中40容量%DMACの浴の中に浸漬させた。1分経過後にその含浸ファブリックを、順に30容量%、20容量%、および10容量%のDMAC/水の溶液にそれぞれ1分間ずつで移してゆき、最後に100%水の浴に2分間浸漬させた。その含浸ファブリックを室温空気中で乾燥させた。
【0069】
得られた含浸不織布シートは、その両方の面で、同等の(乾燥した、織物様の)手触りと肌理を有していた。その含浸不織布シートの横断面の顕微鏡写真から、材料の厚み全体にわたって均質な複合材料構造があり、いずれの表面上にも連続となったポリウレタンの領域が実質的に存在しないことが判った。
【0070】
次いで、220グリットのサンドペーパーを用いてその不織布シートを軽くサンディングした。そうして得られた材料は、サンディング前の、繊維を突出させていない完全に平滑な表面に比較すると、明らかに、よりソフトな感触となり、また目でみても無数の個別な短繊維が表面から突出していることが判った。予想もしなかったことであるが、この処理によって、視覚的な審美性やシートの弾性特性を顕著に損なうことなく、よりソフトな手触りを得ることに成功した。
【0071】
得られた含浸不織布シートは、71.4g/mの坪量を有し、39.4グラム/平方メートルのポリウレタンウレア含量、または約55重量%のエラストマー性ポリマーを示した。
【0072】
得られた材料を手で横方向に伸ばすと、約160%〜180%の間の伸びを示した。
【0073】
加重応力および除重応力分析から以下のような結果が得られた:
【0074】
【表1】

【0075】
【表2】

【0076】
表にあるデータを比較すると、100%伸びにおける除重応力の加重応力に対する比率が0.54であったことが判る。
【0077】
(実施例2)
この実施例では、55g/mフラットタイプスパンレースド不織布(中華民国台北市士林区後港街116(116 Hou Kang Street,Shih−Lin District,Taipei,Taiwan,ROC)のシェンフンインダストリアルカンパニー(Sheng Hung Industrial Co.)製、製品番号4055−T)の幅10インチ(25.4cm)のロールの、長さ約30フィートの断片を使用して、それを連続的に流した。その不織布基材をまず、T−162ライクラ(Lycra,登録商標)の固形分含量12.5%のジメチルアセトアミド(DMAC)溶液(デラウェア州ウィルミントン(Wilmington,DE)の本願特許出願人から入手可能)の中に浸漬させることにより、含浸させた。ファブリック速度を3フィート/分とし、浴の中のファブリックの全長は約6インチであった。過剰のポリマー溶液の除去は、隙間が0.007インチのニップロールの間に含浸ファブリックを通すことにより実施した。
【0078】
次いで、得られた含浸ファブリックを、水中に40%のDMACを溶解させた浴を通し、それに続けて、独立した二つの100%水の浴に通した。これらの浴を通過させるときのファブリックの速度は3フィート/分であった。それぞれの浴の中でのファブリックの全長は8フィートであった。いずれの浴も、室温、約72゜F(40℃)に保った。こうして得られたファブリックを風乾させると、魅力的な弾性と80g/mの坪量(45重量%T−162ライクラ(Lycra)(登録商標))を有する通気性の伸長性不織布が得られた。
【0079】
得られた弾性不織布の横方向への手によるパーセント伸び分析から、50%〜60%の伸びであることが判った。3回目サイクルにおける加重応力および除重応力の分析を、試験方法のセクションに記述したようにして実施したが、ただし、サンプルは50%の最大伸びまで延伸させ、加重応力および除重収縮応力を20%、30%、および40%伸びのところで記録した。この修正加重応力および除重応力分析から以下のような結果が得られた:
【0080】
【表3】

【0081】
【表4】

【0082】
表にあるデータを比較すると、30%伸びにおける除重応力の加重応力に対する比率が0.33であったことが判る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
伸長可能な不織布シートを形成するための方法であって、
厚みと、第一および第二の外側表面と、縦方向および横方向とを有するネッキングさせた不織布基材を提供する工程であって、前記ネッキングさせた不織布基材は横方向に少なくとも30%のパーセント伸びを有する工程、
前記ネッキングさせた不織布基材に、溶媒に溶解させたエラストマー性ポリマーを含む溶液を実質的に均質に含浸させる工程、および
前記含浸された不織布基材から湿式凝固により前記溶媒を除去して、前記不織布基材の厚み全体に実質的に均質に前記エラストマー性ポリマーを堆積させ、前記不織布基材の第一または第二の外側表面のいずれの上にもエラストマー性ポリマーの実質的に連続した層を形成させない工程
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記ネッキングさせた不織布基材が、その縦方向に約10%未満のパーセント伸びを有し、その横方向に約100%〜約300%の間のパーセント伸びを有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ネッキングさせた不織布基材が、約15g/m〜約100g/mの間の坪量を有するネッキングさせた不織ファブリックであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
伸長可能な不織布シートを形成するための方法であって、
厚みと、第一および第二の外側表面と、縦方向および横方向と、横方向への少なくとも30%のパーセント伸びと、約15g/m〜約100g/mの間の坪量と、500g/インチより高い破壊靱性とを有する、容易に延伸可能な追加加工されていない不織布基材を提供する工程、
前記容易に延伸可能な追加加工されていない不織布基材に、溶媒に溶解させたエラストマー性ポリマーを含む溶液を実質的に均質に含浸させる工程、および
前記容易に延伸可能な追加加工されていない不織布基材から湿式凝固により前記溶媒を除去して、前記不織布基材の厚み全体に実質的に均質に前記エラストマー性ポリマーを堆積させ、前記不織布基材の第一または第二の外側表面のいずれの上にもエラストマー性ポリマーの実質的に連続した層を形成させない工程
を含むことを特徴とする方法。
【請求項5】
前記容易に延伸可能な追加加工されていない不織布基材が、その横方向に約60%〜約150%の間のパーセント伸びを有することを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記容易に延伸可能な追加加工されていない不織布基材が、約30g/m〜約80g/mの間の坪量を有する容易に延伸可能な追加加工されていない不織ファブリックであることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記エラストマー性ポリマーがポリウレタンであることを特徴とする請求項1または請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記エラストマー性ポリマーが、前記基材と前記エラストマー性ポリマーとを合わせた重量を基準にして、約10〜約80重量パーセントの量で前記基材の上に堆積されることを特徴とする請求項1または請求項4に記載の方法。
【請求項9】
前記溶媒を除去した後に、前記不織布シートの外側表面の少なくとも一方をサンディングまたはナッピングして、前記シートの前記表面上に繊維を立ち上がらせる工程をさらに含むことを特徴とする請求項1または請求項4に記載の方法。
【請求項10】
伸長可能な不織布シートであって、エラストマー性ポリマーを用いて実質的に均質に含浸させたネッキングさせた不織布基材を含み、前記伸長可能な不織布シートを3回、ネッキング方向に140%延伸させた後において、少なくとも0.3:1の、3回目除重サイクルの100%伸び時応力の、3回目加重サイクルの100%伸び時応力に対する比率を有することを特徴とする前記伸長可能な不織布シート。
【請求項11】
前記除重応力の加重応力に対する比率が少なくとも0.45:1であることを特徴とする請求項10に記載の伸長可能な不織布シート。
【請求項12】
伸長可能な不織布シートであって、エラストマー性ポリマーを用いて実質的に均質に含浸させた、容易に延伸可能な追加加工されていない不織布基材を含み、前記伸長可能な不織布シートが、3回横方向に50%延伸させた後に、少なくとも0.15:1の、3回目の除重サイクルの30%伸び時応力の、3回目の加重サイクルの30%伸び時応力に対する比率を有することを特徴とする伸長可能な不織布シート。
【請求項13】
前記除重応力の加重応力に対する比率が少なくとも0.3:1であることを特徴とする請求項12に記載の伸長可能な不織布シート。
【請求項14】
前記シートが、エラストマー性ポリマーおよび不織布基材の合計重量を基準にして、約10〜80重量パーセントのエラストマー性ポリマーを含むことを特徴とする請求項10または請求項12に記載の伸長可能な不織布シート。
【請求項15】
前記不織布シートが、約40g/m〜約100g/mの間の坪量を有することを特徴とする請求項10または請求項12に記載の伸長可能な不織布シート。
【請求項16】
請求項10または請求項12に記載の伸長可能な不織布シートを含むことを特徴とするパーソナル衛生衣料品。
【請求項17】
前記衣料品がおむつを含むことを特徴とする請求項16に記載のパーソナル衛生衣料品。
【請求項18】
前記衣料品が下着を含むことを特徴とする請求項16に記載のパーソナル衛生衣料品。
【請求項19】
請求項10または請求項12に記載の伸長可能な不織布シートを含む衣料品であって、前記伸長可能な不織布シートがインターライナーであることを特徴とする衣料品。

【公表番号】特表2008−506042(P2008−506042A)
【公表日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−509712(P2007−509712)
【出願日】平成17年4月22日(2005.4.22)
【国際出願番号】PCT/US2005/014082
【国際公開番号】WO2005/106092
【国際公開日】平成17年11月10日(2005.11.10)
【出願人】(505245302)インヴィスタ テクノロジー エスアエルエル (81)
【氏名又は名称原語表記】INVISTA Technologies S.a.r.l.
【住所又は居所原語表記】Talstrasse 80,8001 Zurich,Switzerland
【Fターム(参考)】