説明

弾性境界波装置、その周波数特性調整方法及び製造方法

【課題】高い良品率で容易に製造し得る弾性境界波装置を提供する。
【解決手段】弾性境界波装置1は、圧電体からなる第1の媒質11と、第1の媒質11の上に形成されている第2の媒質12と、第1の媒質11と第2の媒質12との間に形成されている第3の媒質13と、第1の媒質11と第3の媒質13との間に設けられているIDT電極16と、第3の媒質13と第2の媒質12との間に設けられている光触媒層17とを備えている。第3の媒質13は、第1及び第2の媒質11,12よりも遅い音速を有する。光触媒層17は、光触媒を含む。光触媒は、第2の媒質12を構成している誘電体と第3の媒質13を構成している誘電体とのうちの少なくとも一方を改質させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弾性境界波装置、その周波数特性調整方法及び製造方法に関する。特には、本発明は、圧電体からなる第1の媒質と、第1の媒質の上に形成されている第2の媒質と、第1の媒質と第2の媒質との間に形成されている第3の媒質とを備える弾性境界波装置、その周波数特性調整方法及び製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、外乱に対する特性変化が小さい弾性波装置として、所謂3媒質型の弾性境界波装置が注目されている。
【0003】
3媒質型の弾性境界波装置は、圧電体からなる第1の媒質と、第1の媒質の上に形成されている第2の媒質と、第1の媒質と第2の媒質との間に形成されている第3の媒質とを備えている。3媒質型の弾性境界波装置では、第3の媒質の音速が第1及び第2の媒質の音速よりも遅くされている。このため、弾性境界波は、第3の媒質にエネルギーを集中させて伝搬する。弾性境界波のエネルギーが第3の媒質に集中するため、弾性境界波装置に外乱が加わっても、弾性境界波装置の特性が変化しない。従って、3媒質型の弾性境界波装置では、外乱に対する特性変化が非常に小さい。
【0004】
しかしながら、3媒質型の弾性境界波装置には、共振周波数やフィルタの通過帯域などの周波数特性の調整が行いにくく、良品率が低くなりがちであるという問題があった。このような問題に鑑み、例えば、下記の特許文献1などにおいて、3媒質型の弾性境界波装置の製造工程における周波数特性の調整方法が種々提案されている。
【0005】
具体的には、例えば下記の特許文献1には、IDT電極が形成されている第1の媒質の上に第3の媒質を形成した後に、第3の媒質の厚みを調整することによって周波数特性の調整を行い、その後に第2の媒質を形成する方法が記載されている。
【0006】
また、下記の特許文献2には、外部から第1及び第3の媒質のうちの少なくとも一方に到達し得るレーザー光を付与し、第1及び第3の媒質のうちの少なくとも一方を改質することにより、周波数特性の調整を行う方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】WO 2005/093949 A1号公報
【特許文献2】WO 2008/062639 A1号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1に記載の方法では、周波数特性の調整後に第2の媒質を形成するため、周波数特性を確実に調整することが困難であった。例えば、第2の媒質の膜質のばらつきに起因して周波数特性がばらつくことがあった。このため、高い良品率で弾性境界波装置を製造することが困難であるという問題があった。
【0009】
また、上記特許文献2に記載の方法では、第1及び第3の媒質に対して付与されるレーザー光によって、第1〜第3の媒質やIDT電極等が劣化してしまうおそれがあった。従って、高い良品率で弾性境界波装置を製造することが困難であるという問題があった。
【0010】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、高い良品率で容易に製造し得る弾性境界波装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る弾性境界波装置は、第1の媒質と、第2の媒質と、第3の媒質と、IDT電極と、光触媒層とを備えている。第1の媒質は、圧電体からなる。第2の媒質は、第1の媒質の上に形成されている。第2の媒質は、誘電体からなる。第3の媒質は、第1の媒質と第2の媒質との間に形成されている。第3の媒質は、第1及び第2の媒質よりも遅い音速を有する。第3の媒質は、誘電体からなる。IDT電極は、第1の媒質と第3の媒質との間に設けられている。光触媒層は、光触媒を含む。光触媒は、第2の媒質を構成している誘電体と第3の媒質を構成している誘電体とのうち、少なくとも一方を改質させる。光触媒層は、第3の媒質と第2の媒質との間に設けられている。
【0012】
本発明に係る弾性境界波装置のある特定の局面では、弾性境界波装置は、第3及び第2の媒質のうち、少なくとも一方の一部が光触媒によって改質されてなる改質層であって、第3の媒質と第2の媒質との間に設けられている改質層をさらに備えている。この場合、改質層の厚さを変化させることにより、第2の媒質を形成した後においても周波数調整を行うことができる。従って、より高い良品率を実現することができる。
【0013】
本発明に係る弾性境界波装置の他の特定の局面では、光触媒は、酸化チタンである。光触媒として、安定な酸化チタンを用いることにより、弾性境界波装置の信頼性を高めることができる。
【0014】
本発明に係る弾性境界波装置の別の特定の局面では、第2の媒質は、窒化ケイ素からなる。
【0015】
本発明に係る弾性境界波装置のさらに他の特定の局面では、第3の媒質は、酸化ケイ素からなる。
【0016】
本発明に係る弾性境界波装置のさらに別の特定の局面では、光触媒は、紫外線が照射されることにより活性化する。
【0017】
本発明に係る弾性境界波装置のまた他の特定の局面では、弾性境界波装置は、第1〜第3の媒質を覆う遮光部材をさらに備えている。この構成によれば、装置の実装時や使用時に光触媒に触媒を活性化させる光が照射されることを抑制することができる。従って、弾性境界波装置の信頼性を高めることができる。
【0018】
本発明に係る弾性境界波装置のまた別の特定の局面では、第2の媒質と、第1及び第3の媒質とのうちの少なくとも一方は、光触媒を活性化する光を透過させる。
【0019】
本発明にかかる弾性境界波装置の周波数特性調整方法は、上記本発明に係る弾性境界波装置の周波数特性を調整するための方法に関する。本発明にかかる弾性境界波装置の周波数特性調整方法では、光触媒層に光を照射することにより、第3及び第2の媒質のうち、少なくとも一方の一部を改質することで周波数特性を調整する。
【0020】
本発明にかかる弾性境界波装置の製造方法は、上記本発明に係る弾性境界波装置を製造するための方法に関する。本発明にかかる弾性境界波装置の製造方法では、光触媒層に光を照射することにより、第3及び第2の媒質のうち、少なくとも一方の一部を改質することで改質層を形成する。
【発明の効果】
【0021】
本発明では、第2の媒質を構成している誘電体と第3の媒質を構成している誘電体とのうち、少なくとも一方を改質させる光触媒を含む光触媒層が第2の媒質と第3の媒質との間に設けられている。このため、光触媒層に光を照射することによって、第2の媒質の形成後においても周波数調整を行うことができる。従って、高い良品率を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態に係る弾性境界波装置の略図的平面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る弾性境界波装置の一部の略図的断面図である。
【図3】改質層形成工程を説明するための略図的断面図である。
【図4】改質層の厚みと周波数変動量との関係を表すグラフである。
【図5】各媒質の透過率を表すグラフである。
【図6】変形例に係る弾性境界波装置の略図的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を実施した好ましい形態について、図1及び図2に示す弾性境界波装置1を例に挙げて説明する。但し、弾性境界波装置1は、単なる例示である。本発明は、弾性境界波装置1に何ら限定されない。
【0024】
図1は、本実施形態に係る弾性境界波装置の略図的平面図である。図2は、本実施形態に係る弾性境界波装置の一部の略図的断面図である。
【0025】
図1に示す弾性境界波装置1は、弾性境界波共振子である。もっとも、本発明の弾性境界波装置は、弾性境界波共振子に限定されない。本発明の弾性境界波装置は、例えば、弾性境界波フィルタ装置であってもよい。
【0026】
図2に示すように、弾性境界波装置1は、第1〜第3の媒質11〜13を備えている。第1の媒質11は、圧電体からなる。第1の媒質11を構成する圧電体の種類は特に限定されない。第1の媒質11を構成する圧電体は、例えば、LiNbO、LiTaO、水晶などであってもよい。
【0027】
第2の媒質12は、第1の媒質11の上方に形成されている。第3の媒質13は、第1の媒質11と第2の媒質12との間に形成されている。第3の媒質13は、第1及び第2の媒質11,12よりも遅い音速を有する。第2及び第3の媒質12,13の材質は、誘電体であり、かつ、第3の媒質13の音速が第1及び第2の媒質11,12のそれぞれの音速よりも遅くなる限りにおいて特に限定されない。第2の媒質は、例えば、SiNなどの窒化ケイ素により形成することができる。また、第3の媒質は、SiOなどの酸化ケイ素により形成することができる。
【0028】
図1及び図2に示すように、第1の媒質11と第3の媒質13との間には、IDT電極16と、IDT電極16の弾性波伝搬方向の両側に設けられている反射器19a、19bとが設けられている。IDT電極16は、互いに間挿し合う一対のくし歯電極16a、16bを有する。IDT電極16及び反射器19a、19bの材質は、導電性を有するものである限りにおいて特に限定されない。IDT電極16及び反射器19a、19bは、例えば、Al,Ag,Au,Pt,Ni,Cr,Cuなどの金属や、それらの金属を一種以上含む合金により形成することができる。また、IDT電極16及び反射器19a、19bは、例えば、複数の導電膜を有する導電膜積層体により構成されていてもよい。
【0029】
第3の媒質13と第2の媒質12との間には、光触媒層17が設けられている。本実施形態では、具体的には、改質層18内に位置している複数の島状体により構成されている光触媒層17が設けられている。光触媒層17は、光触媒を含んでいる。具体的には、本実施形態では、光触媒層17は、光触媒により形成されている。光触媒は、第2の媒質12を構成している誘電体と、第3の媒質13を構成している誘電体とのうちの少なくとも一方を改質させる物質である。光触媒の種類は、第2及び第3の媒質12,13の材質などに応じて適宜選択することができる。例えば、光触媒は、紫外線が照射されることによって活性化するものであってもよい。
【0030】
光触媒の具体例としては、例えば、TiOなどの酸化チタン、ZnOなどの酸化亜鉛、WOなどの酸化タングステンなどが挙げられる。なかでも、特に安定な酸化チタンを光触媒として用いることが好ましい。安定な酸化チタンを用いることによって、弾性境界波装置1の信頼性を高めることができるためである。
【0031】
なお、第2の媒質12と、第1及び第3の媒質11,13とのうちの少なくとも一方は、光触媒を活性化する光を透過させるものであることが好ましい。
【0032】
図2に示すように、第3の媒質13と第2の媒質12との間には、改質層18が形成されている。改質層18は、第3及び第2の媒質13,12のうちの少なくとも一方の一部が光触媒によって改質されたものである。なお、本実施形態では、改質層18が第3及び第2の媒質13,12の両方の一部が光触媒によって改質されたものである場合を例に挙げて説明する。
【0033】
また、本実施形態の弾性境界波装置1は、遮光部材20を備えている。遮光部材20は、第1〜第3の媒質11〜13を覆うように設けられている。このため、外光は遮光部材20により遮られる。従って、外光が光触媒層17に到達することが抑制されている。なお、遮光部材20の材質は、光触媒層17を活性化する光の波長域における透過率が低いものであれば特に限定されない。遮光部材20は、例えば、金属や樹脂により形成することができる。
【0034】
次に、本実施形態の弾性境界波装置1の製造方法及び周波数特性調整方法について説明する。
【0035】
まず、第1の媒質11の上に、IDT電極16及び反射器19a、19bを形成する。IDT電極16及び反射器19a、19bの形成は、例えば、スパッタ法やCVD法などの薄膜形成方法と、フォトリソグラフィー法などのパターニング法とにより行うことができる。
【0036】
次に、第1の媒質11の上に、第3の媒質13aを形成する。第3の媒質13aの形成は、スパッタ法やCVD法などの薄膜形成方法により行うことができる。
【0037】
次に、図3に示すように、第3の媒質13aの上に、光触媒層17を形成する。光触媒層17の形成も、スパッタ法やCVD法などの薄膜形成方法により行うことができる。また、本実施形態のように、光触媒層17が島状に形成されている場合は、薄膜形成法と、フォトリソグラフィー法などのパターニング法とを併用することにより光触媒層17を形成することができる。
【0038】
次に、第3の媒質13aの上に、第2の媒質12aを形成する。これにより、第2の媒質12aと第3の媒質13aとの間に光触媒層17が位置した状態となる。第2の媒質12aの形成は、スパッタ法やCVD法などの薄膜形成方法により行うことができる。
【0039】
次に、周波数特性を調整するための改質層形成工程を行う。具体的には、第1の媒質11側及び第2の媒質12a側のうちの少なくとも一方から光触媒層17に含まれる触媒を活性化する波長域の光を光触媒層17に照射する。これにより、第2及び第3の媒質12a,13aのうちの少なくとも一方の一部を改質することにより、図2に示す改質層18を形成する。具体的には、本実施形態では、第2の媒質12aの第3の媒質13a側の部分12a1と、第3の媒質13aの第2の媒質12a側の部分13a1とが触媒により改質され、図2に示す改質層18となる。第2の媒質12aのうち、改質された部分12a1を除く部分が、図2に示す第2の媒質12となる。第3の媒質13aのうち、改質された部分13a1を除く部分が、図2に示す第3の媒質13となる。
【0040】
なお、改質層18の厚みの調整は、触媒を活性化する光の強度や照射時間を調整することにより行うことができる。
【0041】
図4は、下記の設計パラメータで作製した弾性境界波装置1における改質層18の厚みと、弾性境界波装置の共振周波数の周波数変動量とを表すグラフである。なお、周波数変動量とは、改質層18が形成されていない状態における弾性境界波装置の共振周波数からの変動量を意味する。
【0042】
図4に示す結果から、本実施例においては、改質層18の厚みを変化させることにより、周波数特性を調整できることが分かる。本実施例においては、改質層18の厚みが大きくなるにしたがって、共振周波数が、高くなる傾向にあったが、触媒や第2及び第3の媒質12,13の種類によっては、改質層18の厚みが大きくなるにしたがって共振周波数が低くなるようにすることもできる。
【0043】
なお、本実施例においては、XPS(X−ray Photoelectron Spectroscopy)により分析した結果、SiNからなる第2媒質12と、SiOからなる第3媒質13とが触媒により改質され、SiONからなる改質層18が形成されていることが確認された。
【0044】
図2の弾性境界波装置1の設計パラメータ:
第1の媒質11:LiNbO
第2の媒質12:SiN
第2の媒質12の厚み:1λ
第3の媒質13:SiO
第3の媒質13の厚み:0.34λ
IDT電極16の膜構成:Al/Pt=0.15λ/0.03λ
IDT電極16の対数:160対
IDT電極16のデューティー比:0.5
IDT電極16の交叉幅:16λ
ここで、λは、IDT電極16の電極指ピッチで決まる波長(2μm)である。
【0045】
このように、第2及び第3の媒質12a,13aのうちの少なくとも一方の一部を改質することにより、第2の媒質12aの形成後において、第2の媒質12の厚みや、第3の媒質13の上に位置する媒質(改質層18)の厚みを調整することができる。よって、第2の媒質12aの形成後においても、周波数特性の調整を行うことができる。従って、高い良品率で弾性境界波装置1を製造することができる。
【0046】
また、本実施形態では、上記特許文献2に記載の方法とは異なり、レーザー光を用いないため、レーザー光照射装置などの高価な製造設備を要さない。従って、弾性境界波装置1を安価かつ容易に製造することができる。また、レーザー光によって媒質を改質する場合よりも、本実施形態の方法の方が、制御が容易である。従って、弾性境界波装置1を安定した特性で製造することができる。
【0047】
さらに、レーザー光を用いないため、レーザー光によって第1〜第3の媒質11〜13が変質することを抑制することができる。特に、触媒を活性化させる光を第1〜第3の媒質11〜13が吸収しない波長域の光とすることで、触媒に対して照射する光の第1〜第3の媒質11〜13の変質を効果的に抑制することができる。
【0048】
例えば、第2の媒質12を厚みが1000nmのSiN層とし、第3の媒質13を厚みが700nmのSiO層とし、光触媒層17をTiO層とし、第1の媒質11を厚みが350μmのLiTaO基板とする。この場合、図5に示されるように、光触媒層17を活性化する340nmの波長の光は、第1〜第3の媒質11〜13には、ほとんど吸収されないことがわかる。
【0049】
また、本実施形態では、遮光部材20が設けられているため、使用時等において光触媒層17を活性させる光が光触媒層17に照射されることを抑制することができる。従って、弾性境界波装置1の信頼性を高めることができる。
【0050】
なお、改質層18の形成は、加熱しながら行ってもよい。そうすることにより、熱的により安定な弾性境界波装置1を製造することができる。
【0051】
上記実施形態では、触媒により第2及び第3の媒質12,13の両方を改質する例について説明した。但し、本発明は、これに限定されない。例えば、触媒により第2及び第3の媒質12,13のうちの一方のみを改質するようにしてもよい。
【0052】
また、上記実施形態では、光触媒層17が複数の島状体により構成されている例について説明した。但し、本発明において、光触媒層17の形状は、特に限定されない。例えば、図6に示すように、光触媒層17を層状に形成してもよい。また、光触媒層17は、例えば、第3の媒質の表面に吹き付けられた触媒粒子からなるものであってもよい。
【0053】
また、上記実施形態では、光触媒層17が光触媒からなる場合について説明した。但し、本発明において、光触媒層は、光触媒のみからなるものでなくてもよい。例えば、光触媒層は、酸化ケイ素や窒化ケイ素などの媒質中に、酸化チタンなどの光触媒が分散したものであってもよい。
【符号の説明】
【0054】
1…弾性境界波装置
11…第1の媒質
12…第2の媒質
12a…改質層18形成前の第2の媒質
13…第3の媒質
13a…改質層18形成前の第3の媒質
16…IDT電極
16a、16b…くし歯電極
17…光触媒層
18…改質層
19a、19b…反射器
20…遮光部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電体からなる第1の媒質と、
前記第1の媒質の上に形成されており、誘電体からなる第2の媒質と、
前記第1の媒質と前記第2の媒質との間に形成されており、前記第1及び第2の媒質よりも遅い音速を有し、誘電体からなる第3の媒質と、
前記第1の媒質と前記第3の媒質との間に設けられているIDT電極と、
前記第2の媒質を構成している誘電体と前記第3の媒質を構成している誘電体とのうち、少なくとも一方を改質させる光触媒を含んでおり、前記第3の媒質と前記第2の媒質との間に設けられている光触媒層とを備える、弾性境界波装置。
【請求項2】
前記第3及び第2の媒質のうち、少なくとも一方の一部が前記光触媒によって改質されてなる改質層であって、前記第3の媒質と前記第2の媒質との間に設けられている改質層をさらに備える、請求項1に記載の弾性境界波装置。
【請求項3】
前記光触媒は、酸化チタンである、請求項1または2に記載の弾性境界波装置。
【請求項4】
前記第2の媒質は、窒化ケイ素からなる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の弾性境界波装置。
【請求項5】
前記第3の媒質は、酸化ケイ素からなる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の弾性境界波装置。
【請求項6】
前記光触媒は、紫外線が照射されることにより活性化する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の弾性境界波装置。
【請求項7】
前記第1〜第3の媒質を覆う遮光部材をさらに備える、請求項1〜6のいずれか一項に記載の弾性境界波装置。
【請求項8】
前記第2の媒質と、前記第1及び第3の媒質とのうちの少なくとも一方は、前記光触媒を活性化する光を透過させる、請求項1〜7のいずれか一項に記載の弾性境界波装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の弾性境界波装置の周波数特性調整方法であって、
前記光触媒層に光を照射することにより、前記第3及び第2の媒質のうち、少なくとも一方の一部を改質することで周波数特性を調整する、弾性境界波装置の周波数特性調整方法。
【請求項10】
請求項2〜8のいずれか一項に記載の弾性境界波装置の製造方法であって、
前記光触媒層に光を照射することにより、前記第3及び第2の媒質のうち、少なくとも一方の一部を改質することで前記改質層を形成する、弾性境界波装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−130222(P2011−130222A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−287140(P2009−287140)
【出願日】平成21年12月18日(2009.12.18)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】