説明

弾性境界波装置

【課題】SH型弾性境界波を利用しており、煩雑な工法を採用することなく得ることができ、広帯域のフィルタや共振子に適した電気機械結合係数を得ることができる弾性境界波装置を得る。
【解決手段】ニオブ酸カリウム系圧電単結晶基板2を用いており、該ニオブ酸カリウム系圧電単結晶基板2上にIDT4が形成されており、IDT4を覆うように誘電体3が形成されており、ニオブ酸カリウム系単結晶基板2と誘電体3との境界を伝搬するSH型弾性境界波を利用しており、ニオブ酸カリウム系圧電単結晶基板2のオイラー角(φ,θ,ψ)が、図2、図5、図8、図11、図14、図17、図20、図23、図26、図29、図32、図35、図38、図41、図44、図47、図50、図53または図56のそれぞれにおいて、電気機械結合係数Kが9%であることを示す線及び該線よりも電気機械結合係数Kが高い領域内のいずれかにある、弾性境界波装置1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電単結晶基板と誘電体との境界を伝搬する弾性境界波を利用した弾性境界波装置に関し、より詳細には、圧電単結晶基板としてニオブ酸カリウム系圧電単結晶基板を用いた弾性境界波装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話機などの様々な電子機器において、発振子や帯域フィルタを構成するために弾性表面波装置が広く用いられている。また、弾性表面波装置に代えて、パッケージ構造の簡略化を図ることができるため、弾性境界波装置が注目されている。
【0003】
下記の非特許文献1では、128°回転Y板X伝搬のLiNbO基板上に、SiOからなる誘電体層が積層されており、両者の界面をストンリー波と呼ばれる弾性境界波が伝搬する構造が開示されている。非特許文献1における理論的な解析によれば、SiO本来の状態では、LiNbO基板とSiO層との境界に変位が集中しないため、発生される波は境界波とはならない。そこで、非特許文献1では、SiOの弾性的性質を表わすラメ定数μを、SiO本来の0.3119×1011N/mから、0.4679×1011N/mに変更することにより、変位を境界に集中させ、境界波を伝搬させ得ることが示されている。
【0004】
他方、非特許文献1における実験結果によれば、SiOの形成条件を種々変更したとしても、境界波が伝搬可能なSiO膜を形成することはできないことが示されている。
【0005】
また、下記の特許文献1には、Si基板と、LiNbO基板とを貼り合わせてなる弾性境界波装置が開示されている。
【0006】
他方、下記の特許文献2には、第1の媒質と第2の媒質とを積層してなり、第1,第2の媒質間の境界にIDT電極を配置してなる弾性境界波装置が開示されている。ここでは、IDT電極として、低音速であり、密度が大きい金属を用いることにより、IDT電極に振動エネルギーを集中させ、弾性境界波を励振し得るとされている。特許文献2に記載の実施例では、具体的には、LiNbO基板とSiO膜との境界にAuからなるIDT電極が配置されている。
【非特許文献1】中条、山之内、柴山:″層状構造基板における圧電性境界波″,信学技報、US80−4、1980
【特許文献1】特開1998−084247号公報
【特許文献2】WO2004/070946
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
例えば高周波帯などで用いられる帯域フィルタや共振子として弾性境界波装置を利用する場合、電気機械結合係数が適切な値であり、伝搬損失、パワーフロー角PFAが小さいことが求められる。
【0008】
伝搬損失、すなわち弾性境界波の伝搬に伴う損失が大きいと、弾性境界波フィルタでは挿入損失が劣化し、弾性境界波共振子では、共振抵抗が小さくなったり、反共振周波数におけるインピーダンスと共振周波数におけるインピーダンスとの比であるインピーダンス比が小さくなったりする。従って、伝搬損失は小さいことが望ましい。
【0009】
パワーフロー角PFAとは、弾性境界波の位相速度の方向と、弾性境界波のエネルギーが進む群速度の方向との違いを表わす角度である。パワーフロー角PFAが大きいと、IDT電極をパワーフロー角に合わせて傾けて配置する必要がある。そのため、電極設計が複雑となる。また、角度ずれによる損失も生じやすくなる。従って、パワーフロー角PFAは小さいことが望ましい。
【0010】
例えば、弾性境界波を送受信する送信用IDT及び受信用IDTの両外側に反射器を配置することにより、低損失な共振器型フィルタを構成することができる。この共振器型フィルタの通過帯域幅は、弾性境界波の電気機械結合係数Kに依存する。電気機械結合係数Kが大きいと、広い通過帯域を有する弾性境界波フィルタを得ることができる。
【0011】
上述した非特許文献1に記載のSiO/LiNbO構造の境界を伝搬する弾性境界波としてストンリー波を用いた場合には、ストンリー波が伝搬可能となるようなSiO膜を実現することは極めて難しく、従って実測には至っていないのが現状である。
【0012】
他方、特許文献1に記載の弾性境界波装置では、Si基板とLiNbO基板とが貼り合わされているが、このような貼り合わせ技術により弾性境界波装置を構成し、境界において弾性境界波を実際に伝搬させることは非常に困難であった。
【0013】
すなわち、従来の弾性境界波装置では、結晶の異方性を利用して境界部に境界波の振動エネルギーを集中させたり、SiO膜の変位を調整したり、上記のような困難な基板貼り合わせ技術を用いねばならなかった。
【0014】
これに対して、特許文献2に記載の弾性境界波装置では、簡単な工法で製造することができ、かつ任意の媒質材料を用いることができる。しかしながら、特許文献2において用いられているLiNbOは、LiNbO自体の圧電定数が小さいため、弾性境界波を励振した場合の電気機械結合係数Kが小さかった。フィルタの帯域幅と、電気機械結合係数とは前述したように層間を有するため、LiNbOを用いた弾性境界波装置では、対応し得るフィルタの帯域幅に限界があった。
【0015】
本発明の目的は、上述した従来技術の現状に鑑み、複雑かつ困難な工法を用いずとも得ることができ、しかも、広帯域のフィルタや共振子用途に適した電気機械結合係数を有し、さらに伝搬損失、パワーフロー角が小さい、弾性境界波装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本願の第1の発明によれば、オイラー角(φ,θ,ψ)のニオブ酸カリウム系圧電単結晶基板と、前記圧電単結晶基板上に形成されたIDTと、前記IDTを覆うように前記圧電単結晶基板上に形成された誘電体とを備え、前記圧電単結晶基板と前記誘電体との境界においてSH型弾性境界波が伝搬される弾性境界波装置であって、オイラー角のφが0°、10°、20°、30°、40°、50°、60°、70°、80°、90°、100°、110°、120°、130°、140°、150°、160°、170°、180°の場合をそれぞれ示す図2、図5、図8、図11、図14、図17、図20、図23、図26、図29、図32、図35、図38、図41、図44、図47、図50、図53または図56において電気機械結合係数Kが9%であることを示す線及び該線よりも電気機械結合係数Kが高い領域内のいずれかに前記ニオブ酸カリウム系圧電単結晶のオイラー角があり、かつ図2、図5、図8、図11、図14、図17、図20、図23、図26、図29、図32、図35、図38、図41、図44、図47、図50、図53または図56のそれぞれにおけるφの値をX°としたときに、φがX−5>φ≧X+5の範囲とされていることを特徴とする、弾性境界波装置が提供される。
【0017】
第2の発明によれば、オイラー角(φ,θ,ψ)のニオブ酸カリウム系圧電単結晶基板と、前記圧電単結晶基板上に形成されたIDTと、前記IDTを覆うように前記圧電単結晶基板上に形成された誘電体とを備え、前記圧電単結晶基板と前記誘電体との境界においてSH型弾性境界波が伝搬される弾性境界波装置であって、オイラー角のφが0°、10°、20°、30°、40°、50°、60°、70°、80°、90°、100°、110°、120°、130°、140°、150°、160°、170°、180°の場合をそれぞれ示す図4、図7、図10、図13、図16、図19、図22、図25、図28、図31、図34、図37、図40、図43、図46、図49、図52、図55または図58においてパワーフロー角PFAの絶対値が10°であることを示す線及び該線よりもPFAの絶対値が小さい領域内のいずれかに前記ニオブ酸カリウム系圧電単結晶のオイラー角があり、かつ図4、図7、図10、図13、図16、図19、図22、図25、図28、図31、図34、図37、図40、図43、図46、図49、図52、図55及び図58のそれぞれにおけるφの値をX°としたときに、φがX−5>φ≧X+5の範囲とされていることを特徴とする、弾性境界波装置が提供される。
【0018】
すなわち、本願の第1,2の発明は、弾性境界波装置を構成する媒質としてニオブ酸カリウム系圧電単結晶基板を用いたことに共通する。従来、弾性表面波装置では、ニオブ酸カリウムが電気機械結合係数の大きな圧電材料として注目されていた。しかしながら、ニオブ酸カリウムを一方の媒質として用いた弾性境界波装置については知られておらず、従って、ニオブ酸カリウム系圧電単結晶を用いた場合、結晶方位により弾性境界波の電気機械結合係数Kやパワーフロー角といった伝搬特性がどのような影響を受けるかは知られていなかった。本願の第1,2の発明は、ニオブ酸カリウム系圧電単結晶基板を一方き媒質として用い、弾性境界波としてSH型弾性境界波を用いた弾性境界波装置において、オイラー角を上記の特定の範囲とすることにより、電気機械結合係数Kを高めたこと、あるいはパワーフロー角の絶対値を小さくしたことに特徴を有する。
【0019】
第1,第2の発明では、好ましくは、前記ニオブ酸カリウム系圧電単結晶のオイラー角が、φが0°、10°、20°、30°、40°、50°、60°、70°、80°、90°、100°、110°、120°、130°、140°、150°、160°、170°、180°の場合をそれぞれ示す図4、図7、図10、図13、図16、図19、図22、図25、図28、図31、図34、図37、図40、図43、図46、図49、図52、図55または図58においてパワーフロー角PFAの絶対値が10°であることを示す線及び該線よりもPFAの絶対値が小さい領域内のいずれかにあり、その場合には、パワーフロー角の絶対値を10°以下と小さくすることができる。
【0020】
上記ニオブ酸カリウム系圧電単結晶としては、好ましくは、KNbOが用いられる。
【発明の効果】
【0021】
第1の発明に係る弾性境界波装置では、圧電単結晶基板として、ニオブ酸カリウム系圧電単結晶基板が用いられ、そのオイラー角(φ,θ,ψ)が上記図2、図5、図8、図11、図14、図17、図20、図23、図26、図29、図32、図35、図38、図41、図44、図47、図50、図53または図56において電気機械結合係数Kが9%であることを示す線及び該線よりも電気機械結合係数Kが高い領域内のいずれかにあるため、電気機械結合係数Kを9%以上とすることができる。従って、広帯域かつ低損失のフィルタや共振器を形成することが容易となる。
【0022】
第2の発明によれば、圧電単結晶基板としてニオブ酸カリウム系圧電単結晶基板を用いており、そのオイラー角が、図4、図7、図10、図13、図16、図19、図22、図25、図28、図31、図34、図37、図40、図43、図46、図49、図52、図55または図58においてパワーフロー角PFAの絶対値が10°であることを示す線及び該線よりもPFAの絶対値が小さい領域内のいずれかにあるため、パワーフロー角の絶対値を10°以下とすることができる。従って、パワーフロー角が大きい場合のような電極設計の煩雑さを回避することができる。また、弾性境界波の位相速度の方向と、弾性境界波のエネルギーが進む群速度の方向とのずれによる損失も生じ難くなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態を説明することにより、本発明を明らかにする。
【0024】
図1(a)及び(b)は、本発明の一実施形態に係る弾性境界波装置の模式的正面断面図及び模式的平面断面図である。
【0025】
本実施形態の弾性境界波装置1は、KNbO単結晶基板2と、KNbO単結晶基板2に積層されたSiOからなる誘電体3とを有する。KNbO単結晶基板2と誘電体3との間には、図1(b)に模式的に示されている電極構造が形成されている。この電極構造は、IDT4と、IDT4の弾性境界波伝搬方向両側に配置された反射器5,6とを有する。IDT4及び反射器5,6は、後述する金属により構成されている。IDT4には、図示のように、交差幅重み付けが施されている。なお、IDT4は重み付けされていなくてもよい。
【0026】
本実施形態の弾性境界波装置1は、上記電極構造を有する1ポート型の弾性境界波共振子である。
【0027】
また、弾性境界波装置1では、KNbO単結晶基板2を伝搬する遅い横波よりもSH型弾性境界波の音速が低音速となるように、かつ誘電体3を伝搬する遅い横波よりもSH型弾性境界波の音速が低音速となるように、IDT4の厚みが設定されている。そのため、SH型の弾性境界波を利用した弾性境界波装置1が構成されている。
【0028】
一般に、高速な領域と低速な領域が存在する場合、波動は、音速の遅い部分に集中して伝搬する。特許文献2によると、2つの固体層間に配置した電極材料に、密度が大きく低音速なAuやCuなどの材料を利用し、電極の厚さを増やすことで、固体層間を伝搬する境界波の音速を低音速化することにより、固体層間へエネルギーを集中する条件を満たす手法が開示されている。
【0029】
文献「弾性表面波(SAW)デバイスシミュレーション技術入門」橋本研也、リアライズ社、第9頁によれば、固体内を伝搬するバルク波には、縦波と、速い横波と、遅い横波との3種類の波があることが知られており、それぞれP波、SH波、SV波と呼ばれている。なお、SH波とSV波のいずれが遅い横波になるかは基本の異方性により変わる。これらの3種類のバルク波で最も低音速なバルク波が、遅い横波である。
【0030】
一方、圧電基板などの異方性基本を伝搬する弾性境界波は、大抵の場合、P波、SH波、SV波の3つの変位成分が結合しながら伝搬し、主要となる成分により弾性境界波の種類が分類される。例えば、ストンリー波はPとSV成分が主体の弾性境界波であり、SH型境界波は、SH成分が主体の弾性境界波である。
【0031】
なお、条件によっては、SH波成分や、P波、SV波成分が結合せずに伝搬することもある。
【0032】
弾性境界波は、前記3つの変位成分が結合しながら伝搬するため、例えば、SH波よりも高音速な弾性境界波はSH成分とSV成分が漏洩し、SV波より音速な弾性境界波は、SV成分が漏洩することとなる。この漏洩した成分が弾性境界波の伝搬損失の原因となる。従って、前記2つの固体層両方における遅い横波の音速より、ストンリー波やSH型境界波の音速を低速化することにより、境界波のエネルギーを、2つの固体層間に配置した電極付近に集中させ、伝搬損失ゼロの条件を得ることができる。密度の大きな電極材料は音速か遅いので、境界波を低速化するには、密度の大きな電極を用いることが望ましい。
【0033】
そして、少なくとも一方の固体を圧電体、もう一方の固体を圧電体を含む誘電体とすることで、固体間に配置した電極により境界波を励振できる。電極としては、くし型電極またはすだれ状電極(インターディジタルトランスデューサ、IDT)を用いることが出来る。
【0034】
前記構成は、誘電体と圧電体の間に電極配置した簡潔な構成であり、非常に多くの材料の組み合わせでSH型境界波やストンリー波を得ることができる。例えば、非特許文献1に示したように、SiO/IDT電極/128°Y−Z LiNbOの構造ではストンリー波は確認されていないが、電極の厚さが薄い場合ではストンリー波を形成できなくても、電極の厚さを厚くすることでストンリー波を存在させることができる。また、IDTやグレーティング反射器の場合は、電極の厚さを厚くして遅い横波の音速と境界波の音速を近接させた状態で、IDTやグレーティング反射器を構成するストリップの配置周期に対するストリップ線幅の比(デューティ比)を増加させて、遅い横波の音速より低音速化する手段をとることも可能である。
【0035】
一方、ニオブ酸カリウム系圧電単結晶は、境界波の伝搬方向により、様々な伝搬特性を示す。そこで、本願発明者は、境界波装置として優れた性能が得られる圧電単結晶基板の方向角(オイラー角)を検討した。
【0036】
KNbO単結晶基板2のような圧電体と、誘電体3との界面にIDTを形成した構造において、圧電体及び誘電体を伝搬する各遅い横波の音速よりも、SH型弾性境界波の音速を低くすることにより、SH型弾性境界波を界面に伝搬させ得ることは、例えば、前述した特許文献3などに開示されている。
【0037】
上記弾性境界波装置1において、IDT4及び反射器5,6を構成する電極材料として、Ni、Mo、Fe、Cu、W、Ag、Ta、AuまたはPtを用いた場合の、電極の厚みと、SH波を主成分とするSH型境界波の音速、電気機械結合係数K2、伝搬損失αとの関係を求めた。なお、計算は、以下の条件に従って文献「A method for estimating optimal cuts and propagation directions for excitation and propagation direction for excitation of piezoelectric surface waves」(J.J.Campbell and W.R.Jones,IEEE Trans.Sonics and Ultrason.,bol.SU-15(1968)pp.209-217)に開示されている方法により行った。
【0038】
なお、開放境界の場合には、SiOとAuからなる電極、Auからなる電極とKNbOとの境界における変位、電位、電束密度の法線成分及び上下方向の応力が連続で、KNbOとSiOの厚さを無限とし、Auからなる電極の比誘電率を1として音速と伝搬損失を求めた。また、短絡境界の場合には、SiOとAuからなる電極、Auからなる電極とKNbOとの各境界における電位を0とした。また、電気機械結合係数K2は、下記の式(1)により求めた。なお、式(1)においてVfは開放境界の音速、Vmは短絡境界の音速である。
【0039】
また、KNbOの任意のオイラー角(φ,θ,ψ)におけるパワーフロー角PFAは、ψ−0.5°、ψ及びψ+0.5°における境界波の音速Vに基づき式(2)により求めた。
【0040】
PFA=tan-1{V〔ψ〕-1×(V〔ψ+0.5°〕−V〔ψ−0.5°〕)} …式(2)
上記KNbO単結晶基板2のオイラー角を種々変更し、弾性境界波共振子としての弾性境界波装置1を作製した場合の電気機械結合係数K、パワーフロー角PFA及びSH型境界波の音速Vの変化を計算した。結果を図2〜図58に示す。なお、図2〜図58において、図2、図5、図8、図11、図14、図17、図20、図23、図26、図29、図32、図35、図38、図41、図44、図47、図50、図53または図56は、オイラー角のφが、それぞれ、0°、10°、20°、30°、40°、50°、60°、70°、80°、90°、100°、110°、120°、130°、140°、150°、160°、170°、180°の場合の結果を示し、各図において、電気機械結合係数Kと、オイラー角のθ及びψとの関係が示されている。
【0041】
同様に、図4、図7、図10、図13、図16、図19、図22、図25、図28、図31、図34、図37、図40、図43、図46、図49、図52、図55または図58は、それぞれ、オイラー角φが0°、10°、20°、30°、40°、50°、60°、70°、80°、90°、100°、110°、120°、130°、140°、150°、160°、170°、180°の場合の結果をそれぞれ示し、各図においては、パワーフロー各PFAと、オイラー角のθ及びψとの関係が示されている。
【0042】
また、図3、図6、図9、図12、図15、図18、図21、図24、図27、図30、図33、図36、図39、図42、図45、図48、図51、図54、図57は、それぞれ、オイラー角のφが、0°、10°、20°、30°、40°、50°、60°、70°、80°、90°、100°、110°、120°、130°、140°、150°、160°、170°、180°の場合の結果をそれぞれ示し、各図においては、SH型の境界波の音速Vと、オイラー角のθ及びψとの関係が示されている。
【0043】
なお、条件は以下の通りである。
【0044】
構造:KNbO単結晶基板については、オイラー角を種々変更し、その厚みは無限大とした。SiOについても厚みは無限大とした。IDT電極はAuからなり、その厚みは0.09λとした。
【0045】
図2、図5、図8、図11、図14、図17、図20、図23、図26、図29、図32、図35、図38、図41、図44、図47、図50、図53または図56において、電気機械結合係数Kが9%であることを示す線及び該線よりも電気機械結合係数Kが大きい領域にオイラー角がある場合には、電気機械結合係数Kが9%以上となり、広帯域かつ低損失のフィルタや共振子を構成し得ることがわかる。
【0046】
また、オイラー角を電気機械結合係数が15%であることを示す線及び該線よりも電気機械結合係数Kが大きい領域内とした場合には、電気機械結合係数Kを15%以上とすることができ、より広い帯域幅のフィルタや共振子を構成し得ることがわかる。さらに、オイラー角を電気機械結合係数Kが21%であることを示す線及び該線よりも電気機械結合係数Kが大きい領域内とすれば、電気機械結合係数Kを21%以上とすることができ、さらに広帯域のフィルタや共振子を形成できる。オイラー角を電気機械結合係数Kが24%以上であることを示す線及び該線よりも電気機械結合係数Kが大きい領域内とすれば、電気機械結合係数Kが24%以上となり、ニオブ酸カリウム系圧電単結晶基板を用いた弾性境界波装置としては最大の帯域幅を得ることができる。
【0047】
さらに、図4、図7、図10、図13、図16、図19、図22、図25、図28、図31、図34、図37、図40、図43、図46、図49、図52、図55または図58から、KNbO単結晶基板のオイラー角をパワーフロー角PFAの絶対値が10°であることを示す線及び該線よりもPFAの絶対値が小さい領域内とすれば、パワーフロー角PFAの絶対値を10°以下とすることができ、パワーフロー角の小さいフィルタや共振子を構成し得ることがわかる。
【0048】
より好ましくは、オイラー角を、パワーフロー角PFAの絶対値が6°であることを示す線及び該線よりもPFAの絶対値が小さい領域内とすることにより、パワーフロー角PFAの絶対値を6°以下とすることができる。さらに好ましくは、オイラー角を、パワーフロー角の絶対値が2°であることを示す線及び該線よりもPFAの絶対値が小さい領域内とすることにより、パワーフロー角の絶対値を2°以下とすることができる。そのため、パワーフロー角に起因する伝搬損失がより一層小さいフィルタや共振子を提供することができる。
【0049】
なお、上記実験例では、圧電単結晶基板としてKNbO単結晶を用いたが、他のニオブ酸カリウム系圧電単結晶を用いてもよい。
【0050】
なお、IDT電極を構成する金属材料は特に限定されず、Au以外に、上記計算例において例示したNi、Mo、Fe、Cu、W、Ta、AuまたはPtあるいはこれらを主体とする合金を用いてもよい。
【0051】
さらに、誘電体として、SiOを用いたが、他の誘電体、例えばSi、ガラス、SiC、ZnO、Ta、AlN、Alまたはダイヤモンドライクカーボンなどを用いてもよい。また、これらの誘電体を構成する材料を積層してもよい。このような他の誘電体を用いた場合においても、図2〜図58を参照して説明したオイラー角範囲を採用することにより、上記実験例と同様に、電気機械結合係数Kを適切な範囲とし、パワーフロー角PFAの絶対値を小さくすることができる。
【0052】
また、本発明に係る弾性境界波装置では、上記誘電体のニオブ酸カリウム系圧電単結晶基板とは反対側の面にさらに上記誘電体とは異なる誘電体が積層されていてもよい。
【0053】
また、ニオブ酸カリウム系圧電単結晶基板/IDT/誘電体からなる構造の外側に、弾性境界波装置の強度を高めるために、あるいは腐食性ガスの進入を防止するために保護層を形成してもよい。保護層としては、ポリイミド、エポキシ樹脂、酸化チタン、窒化アルミ、酸化アルミニウムなどの適宜の絶縁性材料、あるいはAu、AlまたはWなどの金属膜を用いることができる。また、場合によっては、本発明に係る弾性境界波装置は、パッケージに封入されていてもよい。
【0054】
なお、本明細書において、オイラー角、結晶軸及び等価なオイラー角とは以下の内容を意味するものとする。
【0055】
ストンリー波
ストンリー波はU1成分(P波成分)とU3成分(SV波成分)が結合して伝搬する境界波である。本発明では、U3成分が主体であるが、U2成分(SH波成分)も含むストンリー波に類似した境界波も、ストンリー波と総称している。
【0056】
オイラー角
本明細書において、基板の切断面と、境界波の鉄板方向を表現するオイラー角(φ,θ,ψ)は、文献「弾性波素子技術ハンドブック」(日本学術振興会弾性波素子技術第150委員会、第1版第1刷、平成3年11月30日発行、549頁)記載の右手系オイラー角を用いた。すなわち、KNbOの結晶軸X、Y、Zに対し、Z軸を軸としてX軸を反時計廻りにφ回転しXa軸を得る。次に、Xa軸を軸としてZ軸を反時計廻りにθ回転しZ′軸を得る。Xa軸を含み、Z′軸を法線とする面を基板の切断面とした。そして、Z′軸を軸としてXa軸を反時計廻りにψ回転した軸X′方向を表面波の伝搬方向とした。また、Y軸が上記回転により移動して得られるX′軸とZ′軸と垂直な軸をY′軸とした。
【0057】
結晶軸
また、オイラー角の初期値として与えるKNbOの結晶軸X、Y、Zは、Z軸をc軸と平行とし、X軸を等価な3方向のa軸のうち任意の一つと平行とし、Y軸はX軸とZ軸を含む面の法線方向とした。
【0058】
等価なオイラー角
なお、本発明におけるニオブ酸カリウム系圧電単結晶基板のオイラー角(φ,θ,ψ)は結晶学的に等価であればよい。例えば、文献(日本音響学会誌36巻3号、1980年、140〜145頁)によれば、三方晶系3m点群に属する結晶であるので、下記の式〔100〕が成り立つ。
【0059】
F(φ,θ,ψ)=F(60°−φ,−θ,ψ)
=F(60°+φ,−θ,180°−ψ)
=F(φ,180°+θ,180°−ψ)
=F(φ,θ,180°+ψ) …式〔100〕
ここで、Fは、電気機械結合係数Ks2、伝搬損失、PFA、ナチュラル一方向性などの任意の表面波特性である。PFAのナチュラル一方向性は、例えば伝搬方向を正負反転してみた場合、符号は変わるものの絶対量は等しいので実用上等価であると考えられる。
【0060】
例えば、オイラー角(30°,θ,ψ)の表面波伝搬特性は、オイラー角(90°,180°−θ,180°−ψ)の表面波伝搬特性と等価である。また、例えば、オイラー角(30°,90°,45°)の表面波伝搬特性は、表1に示すオイラー角の表面波伝搬特性と等価である。
【0061】
基板表面に圧電膜を形成した場合、厳密には式〔100〕の通りとはならないが、実用上問題ない程度に同等の表面波伝搬特性が得られる。
【0062】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】(a),(b)は、本発明の一実施形態の弾性境界波装置の模式的正面断面図及び模式的平面断面図。
【図2】実施形態において、オイラー角(0°,θ,ψ)のKNbO単結晶基板を用いた場合のθ及びψと電気機械結合係数Kとの関係を示す図。
【図3】実施形態において、オイラー角(0°,θ,ψ)のKNbO単結晶基板を用いた場合のθ及びψとSH型境界波の音速Vとの関係を示す図。
【図4】実施形態において、オイラー角(0°,θ,ψ)のKNbO単結晶基板を用いた場合のθ及びψとパワーフロー角PFAとの関係を示す図。
【図5】実施形態において、オイラー角(10°,θ,ψ)のKNbO単結晶基板を用いた場合のθ及びψと電気機械結合係数Kとの関係を示す図。
【図6】実施形態において、オイラー角(10°,θ,ψ)のKNbO単結晶基板を用いた場合のθ及びψとSH型境界波の音速Vとの関係を示す図。
【図7】実施形態において、オイラー角(10°,θ,ψ)のKNbO単結晶基板を用いた場合のθ及びψとパワーフロー角PFAとの関係を示す図。
【図8】実施形態において、オイラー角(20°,θ,ψ)のKNbO単結晶基板を用いた場合のθ及びψと電気機械結合係数Kとの関係を示す図。
【図9】実施形態において、オイラー角(20°,θ,ψ)のKNbO単結晶基板を用いた場合のθ及びψとSH型境界波の音速Vとの関係を示す図。
【図10】実施形態において、オイラー角(20°,θ,ψ)のKNbO単結晶基板を用いた場合のθ及びψとパワーフロー角PFAとの関係を示す図。
【図11】実施形態において、オイラー角(30°,θ,ψ)のKNbO単結晶基板を用いた場合のθ及びψと電気機械結合係数Kとの関係を示す図。
【図12】実施形態において、オイラー角(30°,θ,ψ)のKNbO単結晶基板を用いた場合のθ及びψとSH型境界波の音速Vとの関係を示す図。
【図13】実施形態において、オイラー角(30°,θ,ψ)のKNbO単結晶基板を用いた場合のθ及びψとパワーフロー角PFAとの関係を示す図。
【図14】実施形態において、オイラー角(40°,θ,ψ)のKNbO単結晶基板を用いた場合のθ及びψと電気機械結合係数Kとの関係を示す図。
【図15】実施形態において、オイラー角(40°,θ,ψ)のKNbO単結晶基板を用いた場合のθ及びψとSH型境界波の音速Vとの関係を示す図。
【図16】実施形態において、オイラー角(40°,θ,ψ)のKNbO単結晶基板を用いた場合のθ及びψとパワーフロー角PFAとの関係を示す図。
【図17】実施形態において、オイラー角(50°,θ,ψ)のKNbO単結晶基板を用いた場合のθ及びψと電気機械結合係数Kとの関係を示す図。
【図18】実施形態において、オイラー角(50°,θ,ψ)のKNbO単結晶基板を用いた場合のθ及びψとSH型境界波の音速Vとの関係を示す図。
【図19】実施形態において、オイラー角(50°,θ,ψ)のKNbO単結晶基板を用いた場合のθ及びψとパワーフロー角PFAとの関係を示す図。
【図20】実施形態において、オイラー角(60°,θ,ψ)のKNbO単結晶基板を用いた場合のθ及びψと電気機械結合係数Kとの関係を示す図。
【図21】実施形態において、オイラー角(60°,θ,ψ)のKNbO単結晶基板を用いた場合のθ及びψとSH型境界波の音速Vとの関係を示す図。
【図22】実施形態において、オイラー角(60°,θ,ψ)のKNbO単結晶基板を用いた場合のθ及びψとパワーフロー角PFAとの関係を示す図。
【図23】実施形態において、オイラー角(70°,θ,ψ)のKNbO単結晶基板を用いた場合のθ及びψと電気機械結合係数Kとの関係を示す図。
【図24】実施形態において、オイラー角(70°,θ,ψ)のKNbO単結晶基板を用いた場合のθ及びψとSH型境界波の音速Vとの関係を示す図。
【図25】実施形態において、オイラー角(70°,θ,ψ)のKNbO単結晶基板を用いた場合のθ及びψとパワーフロー角PFAとの関係を示す図。
【図26】実施形態において、オイラー角(80°,θ,ψ)のLi単結晶基板を用いた場合のθ及びψと電気機械結合係数Kとの関係を示す図。
【図27】実施形態において、オイラー角(80°,θ,ψ)のKNbO単結晶基板を用いた場合のθ及びψとSH型境界波の音速Vとの関係を示す図。
【図28】実施形態において、オイラー角(80°,θ,ψ)のKNbO単結晶基板を用いた場合のθ及びψとパワーフロー角PFAとの関係を示す図。
【図29】実施形態において、オイラー角(90°,θ,ψ)のKNbO単結晶基板を用いた場合のθ及びψと電気機械結合係数Kとの関係を示す図。
【図30】実施形態において、オイラー角(90°,θ,ψ)のKNbO単結晶基板を用いた場合のθ及びψとSH型境界波の音速Vとの関係を示す図。
【図31】実施形態において、オイラー角(90°,θ,ψ)のKNbO単結晶基板を用いた場合のθ及びψとパワーフロー角PFAとの関係を示す図。
【図32】実施形態において、オイラー角(100°,θ,ψ)のKNbO単結晶基板を用いた場合のθ及びψと電気機械結合係数Kとの関係を示す図。
【図33】実施形態において、オイラー角(100°,θ,ψ)のLi単結晶基板を用いた場合のθ及びψとSH型境界波の音速Vとの関係を示す図。
【図34】実施形態において、オイラー角(100°,θ,ψ)のKNbO単結晶基板を用いた場合のθ及びψとパワーフロー角PFAとの関係を示す図。
【図35】実施形態において、オイラー角(110°,θ,ψ)のKNbO単結晶基板を用いた場合のθ及びψと電気機械結合係数Kとの関係を示す図。
【図36】実施形態において、オイラー角(110°,θ,ψ)のKNbO単結晶基板を用いた場合のθ及びψとSH型境界波の音速Vとの関係を示す図。
【図37】実施形態において、オイラー角(110°,θ,ψ)のKNbO単結晶基板を用いた場合のθ及びψとパワーフロー角PFAとの関係を示す図。
【図38】実施形態において、オイラー角(120°,θ,ψ)のKNbO単結晶基板を用いた場合のθ及びψと電気機械結合係数Kとの関係を示す図。
【図39】実施形態において、オイラー角(120°,θ,ψ)のKNbO単結晶基板を用いた場合のθ及びψとSH型境界波の音速Vとの関係を示す図。
【図40】実施形態において、オイラー角(120°,θ,ψ)のKNbO単結晶基板を用いた場合のθ及びψとパワーフロー角PFAとの関係を示す図。
【図41】実施形態において、オイラー角(130°,θ,ψ)のKNbO単結晶基板を用いた場合のθ及びψと電気機械結合係数Kとの関係を示す図。
【図42】実施形態において、オイラー角(130°,θ,ψ)のKNbO単結晶基板を用いた場合のθ及びψとSH型境界波の音速Vとの関係を示す図。
【図43】実施形態において、オイラー角(130°,θ,ψ)のKNbO単結晶基板を用いた場合のθ及びψとパワーフロー角PFAとの関係を示す図。
【図44】実施形態において、オイラー角(140°,θ,ψ)のKNbO単結晶基板を用いた場合のθ及びψと電気機械結合係数Kとの関係を示す図。
【図45】実施形態において、オイラー角(140°,θ,ψ)のKNbO単結晶基板を用いた場合のθ及びψとSH型境界波の音速Vとの関係を示す図。
【図46】実施形態において、オイラー角(140°,θ,ψ)のKNbO単結晶基板を用いた場合のθ及びψとパワーフロー角PFAとの関係を示す図。
【図47】実施形態において、オイラー角(150°,θ,ψ)のKNbO単結晶基板を用いた場合のθ及びψと電気機械結合係数Kとの関係を示す図。
【図48】実施形態において、オイラー角(150°,θ,ψ)のKNbO単結晶基板を用いた場合のθ及びψとSH型境界波の音速Vとの関係を示す図。
【図49】実施形態において、オイラー角(150°,θ,ψ)のKNbO単結晶基板を用いた場合のθ及びψとパワーフロー角PFAとの関係を示す図。
【図50】実施形態において、オイラー角(160°,θ,ψ)のKNbO単結晶基板を用いた場合のθ及びψと電気機械結合係数Kとの関係を示す図。
【図51】実施形態において、オイラー角(160°,θ,ψ)のKNbO単結晶基板を用いた場合のθ及びψとSH型境界波の音速Vとの関係を示す図。
【図52】実施形態において、オイラー角(160°,θ,ψ)のKNbO単結晶基板を用いた場合のθ及びψとパワーフロー角PFAとの関係を示す図。
【図53】実施形態において、オイラー角(170°,θ,ψ)のKNbO単結晶基板を用いた場合のθ及びψと電気機械結合係数Kとの関係を示す図。
【図54】実施形態において、オイラー角(170°,θ,ψ)のKNbO単結晶基板を用いた場合のθ及びψとSH型境界波の音速Vとの関係を示す図。
【図55】実施形態において、オイラー角(170°,θ,ψ)のKNbO単結晶基板を用いた場合のθ及びψとパワーフロー角PFAとの関係を示す図。
【図56】実施形態において、オイラー角(180°,θ,ψ)のKNbO単結晶基板を用いた場合のθ及びψと電気機械結合係数Kとの関係を示す図。
【図57】実施形態において、オイラー角(180°,θ,ψ)のKNbO単結晶基板を用いた場合のθ及びψとSH型境界波の音速Vとの関係を示す図。
【図58】実施形態において、オイラー角(180°,θ,ψ)のKNbO単結晶基板を用いた場合のθ及びψとパワーフロー角PFAとの関係を示す図。
【符号の説明】
【0064】
1…弾性境界波装置
2…ニオブ酸カリウム系圧電単結晶基板
3…誘電体
4…IDT
5,6…反射器


【特許請求の範囲】
【請求項1】
オイラー角(φ,θ,ψ)のニオブ酸カリウム系圧電単結晶基板と、
前記圧電単結晶基板上に形成されたIDTと、
前記IDTを覆うように前記圧電単結晶基板上に形成された誘電体とを備え、
前記圧電単結晶基板と前記誘電体との境界においてSH型弾性境界波が伝搬される弾性境界波装置であって、
オイラー角のφが0°、10°、20°、30°、40°、50°、60°、70°、80°、90°、100°、110°、120°、130°、140°、150°、160°、170°、180°の場合をそれぞれ示す図2、図5、図8、図11、図14、図17、図20、図23、図26、図29、図32、図35、図38、図41、図44、図47、図50、図53または図56において電気機械結合係数Kが9%であることを示す線及び該線よりも電気機械結合係数Kが高い領域内のいずれかに前記ニオブ酸カリウム系圧電単結晶のオイラー角があり、かつ図2、図5、図8、図11、図14、図17、図20、図23、図26、図29、図32、図35、図38、図41、図44、図47、図50、図53または図56のそれぞれにおけるφの値をX°としたときに、φがX−5>φ≧X+5の範囲とされていることを特徴とする、弾性境界波装置。
【請求項2】
オイラー角(φ,θ,ψ)のニオブ酸カリウム系圧電単結晶基板と、
前記圧電単結晶基板上に形成されたIDTと、
前記IDTを覆うように前記圧電単結晶基板上に形成された誘電体とを備え、
前記圧電単結晶基板と前記誘電体との境界においてSH型弾性境界波が伝搬される弾性境界波装置であって、
オイラー角のφが0°、10°、20°、30°、40°、50°、60°、70°、80°、90°、100°、110°、120°、130°、140°、150°、160°、170°、180°の場合をそれぞれ示す図4、図7、図10、図13、図16、図19、図22、図25、図28、図31、図34、図37、図40、図43、図46、図49、図52、図55または図58においてパワーフロー角PFAの絶対値が10°であることを示す線及び該線よりもPFAの絶対値が小さい領域内のいずれかに前記ニオブ酸カリウム系圧電単結晶のオイラー角があり、かつ図4、図7、図10、図13、図16、図19、図22、図25、図28、図31、図34、図37、図40、図43、図46、図49、図52、図55及び図58のそれぞれにおけるφの値をX°としたときに、φがX−5>φ≧X+5の範囲とされていることを特徴とする、弾性境界波装置。
【請求項3】
前記オイラー角が、図4、図7、図10、図13、図16、図19、図22、図25、図28、図31、図34、図37、図40、図43、図46、図49、図52、図55または図58においてパワーフロー角PFAの絶対値が10°であることを示す線及び該線よりもPFAの絶対値が小さい領域内のいずれかにある請求項1に記載の弾性境界波装置。
【請求項4】
前記ニオブ酸カリウム系圧電単結晶が、KNbOである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の弾性境界波装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【図55】
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【図56】
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【図57】
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【図58】
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