説明

弾性波センサ

【課題】弾性波センサにおいて、周波数測定器を用いることなく、且つ1つの発振ループで被測定物の測定を行う。
【解決手段】発振用弾性波素子12を含む発振ループ20が形成されている。出力用櫛形電極16は、入力弾性波レベルと出力電気信号レベルとの間のゲイン特性がその通過帯域において周波数の変化とともに変化する特性となるように形成されている。発振用弾性波素子12上に形成された感応膜18が被測定物を吸着すると、励振用櫛形電極12aから出力用櫛形電極16へ伝搬する弾性波の周波数が変化するため、出力用櫛形電極16から出力される電気信号のレベルが変化する。したがって、出力用櫛形電極16から出力される電気信号のレベルを検出することで、被測定物の濃度を検出することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弾性表面波(SAW)や横波弾性波(STW)等の弾性波を用いる弾性波センサに関し、特に、被測定物に対して吸着性を示す感応膜が形成された弾性波センサに関する。
【背景技術】
【0002】
弾性表面波(SAW)や横波弾性波(STW)等の弾性波を用いる弾性波センサにおいては、被測定物に対して吸着性を示す感応膜が形成されている。この感応膜が被測定物を吸着することで、弾性波素子の発振周波数が変化する。したがって、この発振周波数の変化を周波数測定器により検出することで、被測定物の濃度を検出することができる。
【0003】
ただし、発振周波数の変化を周波数測定器により検出することで被測定物の濃度を検出する場合は、発振周波数を測定する周波数測定器が必要であるため、コスト高を招いてしまうというという問題点がある。
【0004】
そこで、周波数測定器を用いることなく被測定物の濃度を検出する弾性波センサの従来例が特許文献1に開示されている。特許文献1の弾性波センサは、感応膜が形成されたSAWフィルタを含む発振ループを少なくとも3つ備えている。各SAWフィルタは、感応膜の被測定物吸着量によって変化する互いに等しい遅延特性を有するとともに、互いにトラップの周波数がずれた異なる周波数特性を有する。
【0005】
感応膜に被測定物が吸着すると、各SAWフィルタの遅延量が変化し、各発振ループの発振状態が変化する。具体的には、発振周波数がトラップに位置した発振ループは発振が停止し、他の発振ループは発振を維持する。特許文献1の弾性波センサにおいては、この性質を利用して、各発振ループが順番に繰り返して発振を停止する際の繰り返し方向及びその回数を検出することで、周波数測定器を用いることなく被測定物の濃度を検出している。
【0006】
また、その他の背景技術として、特許文献2の水晶振動子による圧電センサが開示されている。そして、弾性波素子に用いられる櫛形電極の重み付け手法が非特許文献1に開示されている。
【0007】
【特許文献1】特開平7−218481号公報
【特許文献2】実開平5−73560号公報
【非特許文献1】日本学術振興会弾性波素子技術第150委員会編、「弾性波素子技術ハンドブック」、第1版、オーム社、平成3年11月30日、p.195,208
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1の弾性波センサにおいて、周波数測定器を用いることなく被測定物の濃度を検出するためには、感応膜が形成されたSAW(弾性波)フィルタを含む発振ループを少なくとも3つ必要とする。したがって、部品点数が増大してしまい、回路規模の増大やコスト高を招いてしまうという問題点がある。また、各発振ループ間における発振特性のばらつきによって、被測定物の測定精度が低下してしまう。
【0009】
本発明は、周波数測定器を用いることなく、且つ1つの発振ループで被測定物の測定を行うことができる弾性波センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る弾性波センサは、弾性波を励振する励振用電極と該弾性波を電気信号に変換する受信用電極とが圧電性基板上に形成された発振用弾性波素子を含み、該受信用電極にて変換された電気信号が該励振用電極に入力される発振ループと、前記圧電性基板上に形成され、前記励振用電極により励振された弾性波を電気信号に変換して出力する出力用電極と、を有し、前記発振用弾性波素子上には、被測定物に対して吸着性を示す感応膜が形成されており、前記出力用電極は、入力される弾性波のレベルと出力する電気信号のレベルとの間の特性が周波数の変化に応じて変化するように形成されており、前記感応膜が前記被測定物を吸着することで、前記出力用電極から出力される電気信号のレベルが変化することを要旨とする。
【0011】
この本発明において、発振用弾性波素子上に形成された感応膜が被測定物を吸着すると、発振ループを循環する発振信号の周波数が変化し、励振用電極から出力用電極へ伝搬する弾性波の周波数も変化する。ここで、出力用電極は、入力される弾性波のレベルと出力する電気信号のレベルとの間の特性が周波数の変化に応じて変化するように形成されていることにより、感応膜が被測定物を吸着すると、出力用電極から出力される電気信号のレベルが変化する。したがって、この本発明によれば、出力用電極から出力される電気信号のレベルを検出することで、周波数測定器を用いることなく、且つ1つの発振ループで被測定物の測定を行うことができる。
【0012】
また、本発明に係る弾性波センサは、弾性波を励振する励振用電極と該弾性波を電気信号に変換する受信用電極とが圧電性基板上に形成された発振用弾性波素子を含み、該受信用電極にて変換された電気信号が該励振用電極に入力される発振ループと、前記圧電性基板上に形成され、前記励振用電極により励振された弾性波を電気信号に変換して出力する出力用電極と、を有し、前記出力用電極上には、被測定物に対して吸着性を示す感応膜が形成されており、前記出力用電極は、入力される弾性波のレベルと出力する電気信号のレベルとの間の特性が周波数の変化に応じて変化するように形成されており、前記感応膜が前記被測定物を吸着することで、前記出力用電極から出力される電気信号のレベルが変化することを要旨とする。
【0013】
この本発明においては、励振用電極により励振された弾性波を電気信号に変換する出力用電極は、入力される弾性波のレベルと出力する電気信号のレベルとの間の特性が周波数の変化に応じて変化するように形成されていることにより、出力用電極上に形成された感応膜が被測定物を吸着すると、出力用電極から出力される電気信号のレベルが変化する。したがって、この本発明によれば、出力用電極から出力される電気信号のレベルを検出することで、周波数測定器を用いることなく、且つ1つの発振ループで被測定物の測定を行うことができる。
【0014】
この本発明に係る弾性波センサにおいて、前記出力用電極は、前記圧電性基板上に複数形成されており、各出力用電極上には、それぞれ異なる種類の被測定物に対して吸着性を示す感応膜が形成されているものとすることもできる。こうすれば、周波数測定器を用いることなく、且つ1つの発振ループで複数種類の被測定物の測定を行うことができる。
【0015】
また、本発明に係る弾性波センサは、弾性波を励振する励振用電極と該弾性波を電気信号に変換する受信用電極とが圧電性基板上に形成された発振用弾性波素子を含み、該受信用電極にて変換された電気信号が該励振用電極に入力される発振ループと、該発振ループ中の電気信号を弾性波に変換する入力用電極と該弾性波を電気信号に変換して出力する出力用電極とが圧電性基板上に形成された検出用弾性波素子と、を有し、前記発振用弾性波素子上には、被測定物に対して吸着性を示す感応膜が形成されており、前記検出用弾性波素子は、前記入力用電極に入力される電気信号のレベルと前記出力用電極から出力する電気信号のレベルとの間の特性が周波数の変化に応じて変化するように形成されており、前記感応膜が前記被測定物を吸着することで、前記出力用電極から出力される電気信号のレベルが変化することを要旨とする。
【0016】
この本発明において、発振用弾性波素子上に形成された感応膜が被測定物を吸着すると、発振ループを循環する発振信号の周波数が変化し、検出用弾性波素子の入力用電極に入力される電気信号の周波数も変化する。ここで、検出用弾性波素子は、入力用電極に入力される電気信号のレベルと出力用電極から出力する電気信号のレベルとの間の特性が周波数の変化に応じて変化するように形成されていることにより、感応膜が被測定物を吸着すると、検出用弾性波素子の出力用電極から出力される電気信号のレベルが変化する。したがって、この本発明によれば、出力用電極から出力される電気信号のレベルを検出することで、周波数測定器を用いることなく、且つ1つの発振ループで被測定物の測定を行うことができる。
【0017】
また、本発明に係る弾性波センサは、弾性波を励振する励振用電極と該弾性波を電気信号に変換する受信用電極とが圧電性基板上に形成された発振用弾性波素子を含み、該受信用電極にて変換された電気信号が該励振用電極に入力される発振ループと、該発振ループ中の電気信号を弾性波に変換する入力用電極と該弾性波を電気信号に変換して出力する出力用電極とが圧電性基板上に形成された検出用弾性波素子と、を有し、前記入力用電極上と前記出力用電極上の少なくとも一方には、被測定物に対して吸着性を示す感応膜が形成されており、前記検出用弾性波素子は、前記入力用電極に入力される電気信号のレベルと前記出力用電極から出力する電気信号のレベルとの間の特性が周波数の変化に応じて変化するように形成されており、前記感応膜が前記被測定物を吸着することで、前記出力用電極から出力される電気信号のレベルが変化することを要旨とする。
【0018】
この本発明においては、発振ループ中の電気信号が入力される検出用弾性波素子は、入力用電極に入力される電気信号のレベルと出力用電極から出力する電気信号のレベルとの間の特性が周波数の変化に応じて変化するように形成されていることにより、入力用電極上と出力用電極上の少なくとも一方に形成された感応膜が被測定物を吸着すると、検出用弾性波素子の出力用電極から出力される電気信号のレベルが変化する。したがって、この本発明によれば、出力用電極から出力される電気信号のレベルを検出することで、周波数測定器を用いることなく、且つ1つの発振ループで被測定物の測定を行うことができる。
【0019】
この本発明に係る弾性波センサにおいて、前記検出用弾性波素子は、複数設けられており、各検出用弾性波素子の入力用電極上と出力用電極上の少なくとも一方には、それぞれ異なる種類の被測定物に対して吸着性を示す感応膜が形成されているものとすることもできる。こうすれば、周波数測定器を用いることなく、且つ1つの発振ループで複数種類の被測定物の測定を行うことができる。
【0020】
検出用弾性波素子を有する態様の本発明に係る弾性波センサにおいて、前記発振用弾性波素子及び前記検出用弾性波素子に用いられる圧電性基板は共通化されているものとすることもできる。こうすれば、被測定物の測定精度をさらに向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための形態(以下実施形態という)を図面に従って説明する。
【0022】
「実施形態1」
図1は、本発明の実施形態1に係る弾性波センサの構成の概略を示す図である。本実施形態に係る弾性波センサにおいては、発振用弾性波素子12及び増幅器AMP1を含む発振ループ20が形成されている。
【0023】
発振用弾性波素子12については、励振用櫛形電極12a及び受信用櫛形電極12bが圧電性基板10上に形成されることで構成される。励振用櫛形電極12aは、弾性波を圧電性基板10へ励振する。励振用櫛形電極12aにより励振された弾性波は、励振用櫛形電極12aの両側へ伝搬する。
【0024】
受信用櫛形電極12bは、励振用櫛形電極12aにより励振される弾性波の伝搬方向の一方側に励振用櫛形電極12aと所定間隔をおいて配置されている。そして、受信用櫛形電極12bは、励振用櫛形電極12aにより励振された弾性波を受信して電気信号に変換する。受信用櫛形電極12bにて変換された電気信号は、増幅器AMP1により増幅されてから励振用櫛形電極12aに入力される。これによって、発振用弾性波素子12の通過帯域内で且つ発振ループ20の位相特性が2nπ[rad](nは整数)となる周波数の発振信号が発振ループ20を循環する。
【0025】
発振用弾性波素子12には、被測定物に対して吸着性を示し例えばたんぱく質により構成される感応膜18が形成されている。図1に示す例では、励振用櫛形電極12a上、受信用櫛形電極12b上、及び励振用櫛形電極12aと受信用櫛形電極12bとの間の弾性波伝搬路上に感応膜18が形成されている場合を示している。ここで、被測定物及びこの被測定物を吸着する感応膜18の組み合わせの一例を挙げると、被測定物はC−反応性タンパク(CRP)抗原であり、かつ感応膜18は抗CRPモノクローナル抗体である。
【0026】
出力用櫛形電極16は、圧電性基板10上に形成されており、励振用櫛形電極12aにより励振される弾性波の伝搬方向の他方側に励振用櫛形電極12aと所定間隔をおいて配置されている。そして、出力用櫛形電極16は、励振用櫛形電極12aにより励振された弾性波を電気信号に変換して出力する。出力用櫛形電極16から出力された電気信号は、増幅器AMP2により増幅されてから検波器DETにより検波されることで、そのレベルが検出される。なお、出力用櫛形電極16上には感応膜18が形成されておらず、出力用櫛形電極16は被測定物に対して吸着性を示さない。
【0027】
さらに、出力用櫛形電極16については、図2に示すように、入力される弾性波のレベルと出力する電気信号のレベルとの間のゲイン特性がその通過帯域(弾性波を電気信号に変換可能な帯域)において周波数の増大とともに低下する特性となるように形成されている。この特性については、例えばアポダイズ電極や間引き電極等の非特許文献1に開示されている既知の重み付け手法を出力用櫛形電極16に適用することで実現することができる。
【0028】
一方、発振用弾性波素子12については、図3に示すように、励振用櫛形電極12aへの入力電気信号レベルと受信用櫛形電極12bからの出力電気信号レベルとの間の挿入損失(ゲイン)特性がその通過帯域において周波数が変化してもほぼ変化しない特性となっている。
【0029】
なお、ここでの発振用弾性波素子12としては、例えば圧電性基板10の表面を伝搬するSAW(レイリー波)を利用するSAW素子を用いることができる。あるいは、発振用弾性波素子12として、圧電性基板10の表面近傍を伝搬するSTW(バルク波)を利用するSTW素子を用いることもできる。発振用弾性波素子12としてSTW素子を用いた場合は、弾性波伝搬路上に感応膜18が形成されることによる弾性波(STW)の伝搬損失を少なくすることができる。また、感応膜18については、金膜(図示せず)を介在させた状態で発振用弾性波素子12に形成することもできる。
【0030】
図1に示す弾性波センサにおいて、感応膜18が被測定物を吸着すると、発振用弾性波素子12の通過特性が変化することで、発振ループ20を循環する発振信号の周波数が変化する。これによって、励振用櫛形電極12aから出力用櫛形電極16へ伝搬する弾性波の周波数が変化する。ここで、出力用櫛形電極16については、入力弾性波レベルと出力電気信号レベルとの間のゲイン特性が弾性波の周波数の変化とともに変化する特性となっているため、感応膜18が被測定物を吸着すると、出力用櫛形電極16から出力される電気信号のレベルが変化する。したがって、出力用櫛形電極16から出力される電気信号のレベルを検波器DETにより検出することで、被測定物の濃度を検出することができる。
【0031】
なお、出力用櫛形電極16の通過帯域については、発振ループ20を循環する発振信号の周波数の可変範囲を含むように設定される。ここで、出力用櫛形電極16の通過帯域については、例えば出力用櫛形電極16の電極指対数の設定により調整可能である。
【0032】
以上説明したように、本実施形態においては、出力用櫛形電極16から出力される電気信号のレベルを検出することで、被測定物の濃度を検出することができるので、周波数測定器を用いることなく、且つ1つの発振ループ20で被測定物の測定を行うことができる。そして、特許文献1,2とは異なり、1つの発振ループ20で被測定物の測定を行うことができるので、部品点数を削減することができる。したがって、回路規模の縮小及びコスト削減を実現することができる。さらに、複数の発振ループ間における発振特性のばらつきが発生することがないので、被測定物の測定精度を向上させることができる。
【0033】
また、発振用弾性波素子12の励振用櫛形電極12a及び受信用櫛形電極12bと、出力用櫛形電極16とが共通の圧電性基板10上に形成されているため、温度等の外部環境の変化に対する特性変化が、発振用弾性波素子12と出力用櫛形電極16とで異なってくるのを抑えることができる。したがって、被測定物の測定精度をさらに向上させることができる。
【0034】
なお、本実施形態の説明においては、出力用櫛形電極16への入力弾性波レベルと出力用櫛形電極16からの出力電気信号レベルとの間のゲイン特性が出力用櫛形電極16の通過帯域において周波数の増大とともに低下する特性である場合について説明した。ただし、出力用櫛形電極16への入力弾性波レベルと出力用櫛形電極16からの出力電気信号レベルとの間のゲイン特性が出力用櫛形電極16の通過帯域において周波数の増大とともに増大する特性であってもよい。
【0035】
また、本実施形態の説明においては、励振用櫛形電極12a上、受信用櫛形電極12b上、及び励振用櫛形電極12aと受信用櫛形電極12bとの間の弾性波伝搬路上に感応膜18が形成されている場合について説明した。ただし、感応膜18については、励振用櫛形電極12a上、受信用櫛形電極12b上、及び励振用櫛形電極12aと受信用櫛形電極12bとの間の弾性波伝搬路上の少なくとも1つに形成されていれば、感応膜18による被測定物の吸着によって、出力用櫛形電極16から出力される電気信号のレベルを変化させることができる。例えば図4に示すように、励振用櫛形電極12a上及び受信用櫛形電極12b上には感応膜18が形成されておらず、励振用櫛形電極12aと受信用櫛形電極12bとの間の弾性波伝搬路上のみに感応膜18が形成されていてもよい。
【0036】
図4に示す弾性波センサにおいて、感応膜18が被測定物を吸着すると、励振用櫛形電極12aから受信用櫛形電極12bへ伝搬する弾性波の伝搬速度が変化することで、発振ループ20を循環する発振信号の周波数が変化する。これによって、図1に示す構成と同様に、励振用櫛形電極12aから出力用櫛形電極16へ伝搬する弾性波の周波数が変化し、出力用櫛形電極16から出力される電気信号のレベルが変化する。したがって、出力用櫛形電極16から出力される電気信号のレベルを検波器DETにより検出することで、被測定物の濃度を検出することができる。
【0037】
また、本実施形態の説明においては、励振用櫛形電極12aの両側に受信用櫛形電極12b及び出力用櫛形電極16が配置されている場合について説明した。ただし、図5,6に示すように、励振用櫛形電極12aの片側に受信用櫛形電極12b及び出力用櫛形電極16を配置することもできる。
【0038】
図5,6に示す弾性波センサにおいては、励振用櫛形電極12aの弾性波を励振する部分の長さ(励振用櫛形電極12aの開口長)aが、受信用櫛形電極12bの弾性波を受信する部分の長さ(受信用櫛形電極12bの開口長)bと出力用櫛形電極16の弾性波を受信する部分の長さ(出力用櫛形電極16の開口長)cの和b+cより長い。そして、受信用櫛形電極12b及び出力用櫛形電極16については、その開口が励振用櫛形電極12aの開口と対向するように配置され、かつ励振用櫛形電極12aより励振される弾性波の伝搬方向と略垂直方向に関して所定距離はなされて配置されている。この受信用櫛形電極12b及び出力用櫛形電極16の配置によって、励振用櫛形電極12aにより励振された弾性波を受信用櫛形電極12b及び出力用櫛形電極16の両方により検出することができる。
【0039】
なお、図5は、励振用櫛形電極12a上、受信用櫛形電極12b上、及び励振用櫛形電極12aと受信用櫛形電極12bとの間の弾性波伝搬路上に感応膜18が形成されている場合を示している。一方、図6は、励振用櫛形電極12a上及び受信用櫛形電極12b上に感応膜18が形成されておらず、励振用櫛形電極12aと受信用櫛形電極12bとの間の弾性波伝搬路上のみに感応膜18が形成されている場合を示している。また、他の構成については図1に示す構成と同様であるため説明を省略する。
【0040】
図5,6に示す弾性波センサにおいても、感応膜18が被測定物を吸着すると、発振ループ20を循環する発振信号の周波数が変化する。これによって、図1に示す構成と同様に、励振用櫛形電極12aから出力用櫛形電極16へ伝搬する弾性波の周波数が変化し、出力用櫛形電極16から出力される電気信号のレベルが変化する。したがって、出力用櫛形電極16から出力される電気信号のレベルを検波器DETにより検出することで、周波数測定器を用いることなく、且つ1つの発振ループ20で被測定物の濃度を検出することができる。
【0041】
「実施形態2」
図7は、本発明の実施形態2に係る弾性波センサの構成の概略を示す図である。本実施形態においては、発振用弾性波素子12に感応膜18が形成されておらず、発振用弾性波素子12は被測定物に対して吸着性を示さない。そして、出力用櫛形電極16上に感応膜18が形成されている。なお、他の構成については図1に示す構成と同様であるため説明を省略する。
【0042】
図7に示す弾性波センサにおいては、感応膜18が被測定物を吸着しても、発振ループ20を循環する発振信号の周波数が変化しないので、励振用櫛形電極12aから出力用櫛形電極16へ伝搬する弾性波の周波数も変化しない。ただし、感応膜18が被測定物を吸着すると、出力用櫛形電極16の通過帯域がシフトする。ここで、出力用櫛形電極16については、図2に示すように、入力弾性波レベルと出力電気信号レベルとの間のゲイン特性が周波数の変化とともに変化する特性となっているため、感応膜18が被測定物を吸着すると、出力用櫛形電極16から出力される電気信号のレベルが変化する。したがって、出力用櫛形電極16から出力される電気信号のレベルを検波器DETにより検出することで、被測定物の濃度を検出することができる。
【0043】
なお、出力用櫛形電極16の通過帯域については、その可変(シフト)範囲において発振ループ20を循環する発振信号の周波数を常に含むように設定される。ここで、出力用櫛形電極16の通過帯域については、例えば出力用櫛形電極16の電極指対数の設定により調整可能である。
【0044】
本実施形態においても、周波数測定器を用いることなく、且つ1つの発振ループ20で被測定物の測定を行うことができる。したがって、回路規模の縮小及びコスト削減を実現することができる。そして、複数の発振ループ間における発振特性のばらつきが発生することがないので、被測定物の測定精度を向上させることができる。また、温度等の外部環境の変化に対する特性変化が、発振用弾性波素子12と出力用櫛形電極16とで異なってくるのを抑えることができるので、被測定物の測定精度をさらに向上させることができる。
【0045】
なお、本実施形態の説明においては、励振用櫛形電極12aの両側に受信用櫛形電極12b及び出力用櫛形電極16が配置されている場合について説明した。ただし、図8に示すように、励振用櫛形電極12aの片側に受信用櫛形電極12b及び出力用櫛形電極16を配置することもできる。
【0046】
図8に示す弾性波センサにおいては、複数の出力用櫛形電極16−1,16−2,16−3が圧電性基板10上に形成されている。そして、励振用櫛形電極12aの弾性波を励振する部分の長さ(励振用櫛形電極12aの開口長)aが、受信用櫛形電極12bの弾性波を受信する部分の長さ(受信用櫛形電極12bの開口長)bと出力用櫛形電極16−1の弾性波を受信する部分の長さ(出力用櫛形電極16−1の開口長)cと出力用櫛形電極16−2の弾性波を受信する部分の長さ(出力用櫛形電極16−2の開口長)dと出力用櫛形電極16−3の弾性波を受信する部分の長さ(出力用櫛形電極16−3の開口長)eの和b+c+d+eより長い。また、受信用櫛形電極12b及び出力用櫛形電極16−1,16−2,16−3については、その開口が励振用櫛形電極12aの開口と対向するように配置され、かつ励振用櫛形電極12aより励振される弾性波の伝搬方向と略垂直方向に関して所定距離はなされて配置されている。この受信用櫛形電極12b及び出力用櫛形電極16−1,16−2,16−3の配置によって、励振用櫛形電極12aにより励振された弾性波を受信用櫛形電極12b及び出力用櫛形電極16−1,16−2,16−3により検出することができる。
【0047】
さらに、各出力用櫛形電極16−1,16−2,16−3上には、感応膜18−1,18−2,18−3がそれぞれ形成されている。ここで、各感応膜18−1,18−2,18−3は、それぞれ異なる種類の被測定物A,B,Cに対して吸着性を示す。そして、図8では図示を省略しているが、各出力用櫛形電極16−1,16−2,16−3から出力された電気信号は、増幅器により増幅されてから検波器により検波されることで、そのレベルがそれぞれ検出される。なお、他の構成については図7に示す構成と同様であるため説明を省略する。
【0048】
図8に示す弾性波センサにおいては、感応膜18−1が被測定物Aを吸着すると、出力用櫛形電極16−1の通過帯域がシフトする。このとき、他の感応膜18−2,18−3はこの被測定物Aを吸着しないため、出力用櫛形電極16−2,16−3の通過帯域はシフトしない。したがって、出力用櫛形電極16−1から出力される電気信号のレベルが変化し、出力用櫛形電極16−2,16−3から出力される電気信号のレベルは変化しない。同様に、感応膜18−2が被測定物Bを吸着すると、出力用櫛形電極16−2から出力される電気信号のレベルが変化し、出力用櫛形電極16−1,16−3から出力される電気信号のレベルは変化しない。そして、感応膜18−3が被測定物Cを吸着すると、出力用櫛形電極16−3から出力される電気信号のレベルが変化し、出力用櫛形電極16−1,16−2から出力される電気信号のレベルは変化しない。したがって、各出力用櫛形電極16−1,16−2,16−3から出力される電気信号のレベルをそれぞれ検出することで、周波数測定器を用いることなく、且つ1つの発振ループ20で複数種類の被測定物A,B,Cの濃度を検出することができる。
【0049】
「実施形態3」
図9は、本発明の実施形態3に係る弾性波センサの構成の概略を示す図である。本実施形態においては、発振ループ20内の発振用弾性波素子12の他に、検出用弾性波素子22が設けられている。
【0050】
検出用弾性波素子22については、入力用櫛形電極14及び出力用櫛形電極16が圧電性基板10上に形成されることで構成される。入力用櫛形電極14は、発振ループ20と増幅器AMP1の出力の位置にて接続されており、発振ループ20中の電気信号を弾性波に変換する。出力用櫛形電極16は、入力用櫛形電極14により励振される弾性波の伝搬方向の一方側に入力用櫛形電極14と所定間隔をおいて配置されている。そして、出力用櫛形電極16は、入力用櫛形電極14により励振された弾性波を電気信号に変換して出力する。なお、検出用弾性波素子22上には感応膜18が形成されておらず、検出用弾性波素子22は被測定物に対して吸着性を示さない。
【0051】
このように、本実施形態においては、励振用櫛形電極12a、受信用櫛形電極12b、入力用櫛形電極14、及び出力用櫛形電極16が共通の圧電性基板10上に形成されていることで、発振用弾性波素子12及び検出用弾性波素子22に用いられる圧電性基板10が共通化されている。そして、図9に示すように、発振用弾性波素子12及び検出用弾性波素子22については、弾性波伝搬方向が略平行となるように配置されており、かつ発振用弾性波素子12が励振する弾性波と検出用弾性波素子22が励振する弾性波とが互いに干渉しないように、弾性波伝搬方向と略垂直方向に関して所定距離はなされて配置されている。
【0052】
なお、ここでの弾性波素子12,22としては、例えば圧電性基板10の表面を伝搬するSAW(レイリー波)を利用するSAW素子を用いることができる。あるいは、弾性波素子12,22として、圧電性基板10の表面近傍を伝搬するSTW(バルク波)を利用するSTW素子を用いることもできる。
【0053】
さらに、本実施形態における検出用弾性波素子22については、図10に示すように、入力用櫛形電極14に入力される電気信号のレベルと出力用櫛形電極16から出力する電気信号のレベルとの間の挿入損失(ゲイン)特性がその通過帯域において周波数の増大とともに低下する特性となるように形成されている。この特性については、例えばアポダイズ電極や間引き電極等の非特許文献1に開示されている既知の重み付け手法を入力用櫛形電極14及び出力用櫛形電極16の少なくとも一方に適用することで実現することができる。なお、他の構成については図1に示す構成と同様であるため説明を省略する。
【0054】
図9に示す弾性波センサにおいて、感応膜18が被測定物を吸着すると、発振用弾性波素子12の通過特性が変化することで、発振ループ20を循環する発振信号の周波数が変化する。これによって、検出用弾性波素子22の入力用櫛形電極14に入力される電気信号の周波数が変化する。ここで、検出用弾性波素子22については、入出力間の挿入損失(ゲイン)特性が周波数の変化とともに変化する特性となっているため、感応膜18が被測定物を吸着すると、検出用弾性波素子22の出力用櫛形電極16から出力される電気信号のレベルが変化する。したがって、出力用櫛形電極16から出力される電気信号のレベルを検波器DETにより検出することで、被測定物の濃度を検出することができる。
【0055】
なお、検出用弾性波素子22の通過帯域については、発振ループ20を循環する発振信号の周波数の可変範囲を含むように設定される。ここで、検出用弾性波素子22の通過帯域については、例えば入力用櫛形電極14及び出力用櫛形電極16の電極指対数の設定により調整可能である。
【0056】
本実施形態においても、周波数測定器を用いることなく、且つ1つの発振ループ20で被測定物の測定を行うことができる。したがって、回路規模の縮小及びコスト削減を実現することができる。そして、複数の発振ループ間における発振特性のばらつきが発生することがないので、被測定物の測定精度を向上させることができる。
【0057】
また、発振用弾性波素子12の励振用櫛形電極12a及び受信用櫛形電極12bと、検出用弾性波素子22の入力用櫛形電極14及び出力用櫛形電極16とが共通の圧電性基板10上に形成されているため、温度等の外部環境の変化に対する特性変化が、発振用弾性波素子12と検出用弾性波素子22とで異なってくるのを抑えることができる。したがって、被測定物の測定精度をさらに向上させることができる。
【0058】
なお、本実施形態の説明においては、入力用櫛形電極14への入力電気信号レベルと出力用櫛形電極16からの出力電気信号レベルとの間の挿入損失(ゲイン)特性が検出用弾性波素子22の通過帯域において周波数の増大とともに低下する特性である場合について説明した。ただし、入力用櫛形電極14への入力電気信号レベルと出力用櫛形電極16からの出力電気信号レベルとの間の挿入損失(ゲイン)特性が検出用弾性波素子22の通過帯域において周波数の増大とともに増大する特性であってもよい。
【0059】
また、本実施形態の説明においては、励振用櫛形電極12a上、受信用櫛形電極12b上、及び励振用櫛形電極12aと受信用櫛形電極12bとの間の弾性波伝搬路上に感応膜18が形成されている場合について説明した。ただし、感応膜18については、実施形態1と同様に、励振用櫛形電極12a上、受信用櫛形電極12b上、及び励振用櫛形電極12aと受信用櫛形電極12bとの間の弾性波伝搬路上の少なくとも1つに形成されていれば、感応膜18による被測定物の吸着によって、出力用櫛形電極16から出力される電気信号のレベルを変化させることができる。例えば図11に示すように、励振用櫛形電極12a上及び受信用櫛形電極12b上には感応膜18が形成されておらず、励振用櫛形電極12aと受信用櫛形電極12bとの間の弾性波伝搬路上のみに感応膜18が形成されていてもよい。
【0060】
「実施形態4」
図12は、本発明の実施形態4に係る弾性波センサの構成の概略を示す図である。本実施形態においては、発振用弾性波素子12に感応膜18が形成されておらず、発振用弾性波素子12は被測定物に対して吸着性を示さない。そして、検出用弾性波素子22の入力用櫛形電極14上及び出力用櫛形電極16上に感応膜18が形成されている。なお、他の構成については図9に示す構成と同様であるため説明を省略する。
【0061】
図12に示す弾性波センサにおいては、感応膜18が被測定物を吸着しても、発振ループ20を循環する発振信号の周波数が変化しないので、検出用弾性波素子22の入力用櫛形電極14に入力される電気信号の周波数も変化しない。ただし、感応膜18が被測定物を吸着すると、検出用弾性波素子22の通過帯域がシフトする。ここで、検出用弾性波素子22については、図10に示すように、入出力間の挿入損失(ゲイン)特性が周波数の変化とともに変化する特性となっているため、感応膜18が被測定物を吸着すると、検出用弾性波素子22の出力用櫛形電極16から出力される電気信号のレベルが変化する。したがって、出力用櫛形電極16から出力される電気信号のレベルを検波器DETにより検出することで、被測定物の濃度を検出することができる。
【0062】
なお、検出用弾性波素子22の通過帯域については、その可変(シフト)範囲において発振ループ20を循環する発振信号の周波数を常に含むように設定される。ここで、検出用弾性波素子22の通過帯域については、例えば入力用櫛形電極14及び出力用櫛形電極16の電極指対数の設定により調整可能である。
【0063】
本実施形態においても、周波数測定器を用いることなく、且つ1つの発振ループ20で被測定物の測定を行うことができる。したがって、回路規模の縮小及びコスト削減を実現することができる。そして、複数の発振ループ間における発振特性のばらつきが発生することがないので、被測定物の測定精度を向上させることができる。また、温度等の外部環境の変化に対する特性変化が、発振用弾性波素子12と検出用弾性波素子22とで異なってくるのを抑えることができる。したがって、被測定物の測定精度をさらに向上させることができる。
【0064】
なお、本実施形態においては、図13に示すように、複数の検出用弾性波素子22−1,22−2を設けることもできる。
【0065】
図13の発振用弾性波素子12及び検出用弾性波素子22−1,22−2については、弾性波伝搬方向が略平行となるように配置されており、かつ発振用弾性波素子12が励振する弾性波、検出用弾性波素子22−1が励振する弾性波、及び検出用弾性波素子22−2が励振する弾性波が互いに干渉しないように、弾性波伝搬方向と略垂直方向に関して所定距離はなされて配置されている。そして、発振ループ20中の電気信号は、入力用櫛形電極14−1,14−2に入力される。
【0066】
さらに、入力用櫛形電極14−1上及び出力用櫛形電極16−1上には感応膜18−1が形成されており,入力用櫛形電極14−2上及び出力用櫛形電極16−2上には感応膜18−2が形成されている。ここで、各感応膜18−1,18−2は、それぞれ異なる種類の被測定物A,Bに対して吸着性を示す。そして、図13では図示を省略しているが、各出力用櫛形電極16−1,16−2から出力された電気信号は、増幅器により増幅されてから検波器により検波されることで、そのレベルがそれぞれ検出される。なお、他の構成については図12に示す構成と同様であるため説明を省略する。
【0067】
図13に示す弾性波センサにおいては、感応膜18−1が被測定物Aを吸着すると、検出用弾性波素子22−1の通過帯域がシフトする。このとき、他の感応膜18−2はこの被測定物Aを吸着しないため、検出用弾性波素子22−2の通過帯域はシフトしない。したがって、出力用櫛形電極16−1から出力される電気信号のレベルが変化し、出力用櫛形電極16−2から出力される電気信号のレベルは変化しない。同様に、感応膜18−2が被測定物Bを吸着すると、出力用櫛形電極16−2から出力される電気信号のレベルが変化し、出力用櫛形電極16−1から出力される電気信号のレベルは変化しない。したがって、各出力用櫛形電極16−1,16−2から出力される電気信号のレベルをそれぞれ検出することで、周波数測定器を用いることなく、且つ1つの発振ループ20で複数種類の被測定物A,Bの濃度を検出することができる。
【0068】
また、本実施形態の説明においては、入力用櫛形電極14(14−1,14−2)上及び出力用櫛形電極16(16−1,16−2)上の両方に感応膜18(18−1,18−2)が形成されている場合について説明した。ただし、感応膜18(18−1,18−2)については、入力用櫛形電極14(14−1,14−2)上及び出力用櫛形電極16(16−1,16−2)上の少なくとも1つに形成されていれば、感応膜18(18−1,18−2)による被測定物の吸着によって、出力用櫛形電極16(16−1,16−2)から出力される電気信号のレベルを変化させることができる。
【0069】
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の実施形態1に係る弾性波センサの構成の概略を示す図である。
【図2】出力用櫛形電極の入出力間におけるゲイン特性の一例を示す図である。
【図3】発振用弾性波素子の入出力間におけるゲイン特性の一例を示す図である。
【図4】本発明の実施形態1に係る弾性波センサの他の構成の概略を示す図である。
【図5】本発明の実施形態1に係る弾性波センサの他の構成の概略を示す図である。
【図6】本発明の実施形態1に係る弾性波センサの他の構成の概略を示す図である。
【図7】本発明の実施形態2に係る弾性波センサの構成の概略を示す図である。
【図8】本発明の実施形態2に係る弾性波センサの他の構成の概略を示す図である。
【図9】本発明の実施形態3に係る弾性波センサの構成の概略を示す図である。
【図10】検出用弾性波素子の入出力間におけるゲイン特性の一例を示す図である。
【図11】本発明の実施形態3に係る弾性波センサの他の構成の概略を示す図である。
【図12】本発明の実施形態4に係る弾性波センサの構成の概略を示す図である。
【図13】本発明の実施形態4に係る弾性波センサの他の構成の概略を示す図である。
【符号の説明】
【0071】
10 圧電性基板、12 発振用弾性波素子、12a 励振用櫛形電極、12b 受信用櫛形電極、14(14−1,14−2) 入力用櫛形電極、16(16−1,16−2,16−3) 出力用櫛形電極、18(18−1,18−2,18−3) 感応膜、20 発振ループ、22(22−1,22−2) 検出用弾性波素子、AMP1,AMP2 増幅器、DET 検波器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性波を励振する励振用電極と該弾性波を電気信号に変換する受信用電極とが圧電性基板上に形成された発振用弾性波素子を含み、該受信用電極にて変換された電気信号が該励振用電極に入力される発振ループと、
前記圧電性基板上に形成され、前記励振用電極により励振された弾性波を電気信号に変換して出力する出力用電極と、
を有し、
前記発振用弾性波素子上には、被測定物に対して吸着性を示す感応膜が形成されており、
前記出力用電極は、入力される弾性波のレベルと出力する電気信号のレベルとの間の特性が周波数の変化に応じて変化するように形成されており、
前記感応膜が前記被測定物を吸着することで、前記出力用電極から出力される電気信号のレベルが変化することを特徴とする弾性波センサ。
【請求項2】
弾性波を励振する励振用電極と該弾性波を電気信号に変換する受信用電極とが圧電性基板上に形成された発振用弾性波素子を含み、該受信用電極にて変換された電気信号が該励振用電極に入力される発振ループと、
前記圧電性基板上に形成され、前記励振用電極により励振された弾性波を電気信号に変換して出力する出力用電極と、
を有し、
前記出力用電極上には、被測定物に対して吸着性を示す感応膜が形成されており、
前記出力用電極は、入力される弾性波のレベルと出力する電気信号のレベルとの間の特性が周波数の変化に応じて変化するように形成されており、
前記感応膜が前記被測定物を吸着することで、前記出力用電極から出力される電気信号のレベルが変化することを特徴とする弾性波センサ。
【請求項3】
請求項2に記載の弾性波センサであって、
前記出力用電極は、前記圧電性基板上に複数形成されており、
各出力用電極上には、それぞれ異なる種類の被測定物に対して吸着性を示す感応膜が形成されていることを特徴とする弾性波センサ。
【請求項4】
弾性波を励振する励振用電極と該弾性波を電気信号に変換する受信用電極とが圧電性基板上に形成された発振用弾性波素子を含み、該受信用電極にて変換された電気信号が該励振用電極に入力される発振ループと、
該発振ループ中の電気信号を弾性波に変換する入力用電極と該弾性波を電気信号に変換して出力する出力用電極とが圧電性基板上に形成された検出用弾性波素子と、
を有し、
前記発振用弾性波素子上には、被測定物に対して吸着性を示す感応膜が形成されており、
前記検出用弾性波素子は、前記入力用電極に入力される電気信号のレベルと前記出力用電極から出力する電気信号のレベルとの間の特性が周波数の変化に応じて変化するように形成されており、
前記感応膜が前記被測定物を吸着することで、前記出力用電極から出力される電気信号のレベルが変化することを特徴とする弾性波センサ。
【請求項5】
弾性波を励振する励振用電極と該弾性波を電気信号に変換する受信用電極とが圧電性基板上に形成された発振用弾性波素子を含み、該受信用電極にて変換された電気信号が該励振用電極に入力される発振ループと、
該発振ループ中の電気信号を弾性波に変換する入力用電極と該弾性波を電気信号に変換して出力する出力用電極とが圧電性基板上に形成された検出用弾性波素子と、
を有し、
前記入力用電極上と前記出力用電極上の少なくとも一方には、被測定物に対して吸着性を示す感応膜が形成されており、
前記検出用弾性波素子は、前記入力用電極に入力される電気信号のレベルと前記出力用電極から出力する電気信号のレベルとの間の特性が周波数の変化に応じて変化するように形成されており、
前記感応膜が前記被測定物を吸着することで、前記出力用電極から出力される電気信号のレベルが変化することを特徴とする弾性波センサ。
【請求項6】
請求項5に記載の弾性波センサであって、
前記検出用弾性波素子は、複数設けられており、
各検出用弾性波素子の入力用電極上と出力用電極上の少なくとも一方には、それぞれ異なる種類の被測定物に対して吸着性を示す感応膜が形成されていることを特徴とする弾性波センサ。
【請求項7】
請求項4〜6のいずれか1に記載の弾性波センサであって、
前記発振用弾性波素子及び前記検出用弾性波素子に用いられる圧電性基板は共通化されていることを特徴とする弾性波センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−258768(P2006−258768A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−80619(P2005−80619)
【出願日】平成17年3月18日(2005.3.18)
【出願人】(000004330)日本無線株式会社 (1,186)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】