弾性波フィルタ及び電子部品
【課題】IDT電極を圧電基板上に送信側電極及び受信側電極として弾性波の伝搬方向に並べた弾性波フィルタにおいて、フィルタの寸法を小さく抑えながらも、リプルの発生を抑制すると共に良好な減衰特性を持つ弾性波フィルタを得ること。
【解決手段】2つのフィルタ部11、12を送信ポート21と受信ポート22との間に並列に接続すると共に、各々のフィルタ部11、12で生じるリプル10の周期Tが互いに同じ寸法となるように、これらフィルタ部11、12において、中心間距離Lが互いに同じ寸法となり、且つ電極指8の対数が送信側電極2、2同士及び受信側電極3、3同士で各々同じ数量となるようにする。そして、各々のフィルタ部11、12で生じるリプル10が相殺されるように、各々の配列周期λ1、λ2を設定する。
【解決手段】2つのフィルタ部11、12を送信ポート21と受信ポート22との間に並列に接続すると共に、各々のフィルタ部11、12で生じるリプル10の周期Tが互いに同じ寸法となるように、これらフィルタ部11、12において、中心間距離Lが互いに同じ寸法となり、且つ電極指8の対数が送信側電極2、2同士及び受信側電極3、3同士で各々同じ数量となるようにする。そして、各々のフィルタ部11、12で生じるリプル10が相殺されるように、各々の配列周期λ1、λ2を設定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弾性波フィルタ例えば(SAW:Surface Acoustic Wave)フィルタ及び電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
弾性波フィルタの一つとして、IDT(IDT:インターディジタルトランスデューサ)電極を圧電基板上に送信側(入力側)電極及び受信側(出力側)電極として弾性表面波(以下「弾性波」と言う)の伝搬方向に並べたトランスバーサル型のSAWフィルタが知られている。受信側電極は電極指群が例えばアポタイズ方式で重み付けされ、一方送信側電極は電極指群が例えば間引き方式で重み付けされた電極や、あるいは正規型電極(重み付けのない電極)として構成される。
【0003】
受信側電極では、送信側電極を介して伝達される入力信号の受信を開始してからの経過時間に応じて、図13(a)に示すように、複数のローブ(メインローブMやサイドローブS)に対応するピークの形成された出力信号が得られる。そして、この出力信号を逆フーリエ変換することにより、例えばある帯域に通過域が形成されると共にこの通過域よりも低域側及び高域側に各々阻止域(減衰域)の形成された周波数信号が得られる。
【0004】
この時、例えば弾性波の伝搬方向における送信側電極の幅寸法が無限大であれば、既述の周波数信号は、図13(b)に示すように概略矩形となる。しかし、前記幅寸法が実際には有限であるため、周波数信号には、同図(c)に示すように、リプルと呼ばれる周期的な起伏(凹凸)が通過域及び阻止域において各々生じることになる。このリプルは、例えば通過域における中心周波数や、送信側電極の前記幅寸法などに応じて、周期(リプルにおけるある山の位置と、当該山に隣接する山の位置との間の周波数差)T及び振幅強度が変化する。
【0005】
ところで、既述のリプルが小さく、且つ阻止域における減衰量が大きく、更には通過域と阻止域との間における減衰曲線(減衰傾度)が急峻な特性を持つ小型のフィルタが求められている。この時、従来の設計においてリプルを小さくしようとすると、既述の図13(b)、(c)から分かるように、例えば送信側電極における電極指の本数(前記幅寸法)を増やす必要がある。しかし、このように電極指の本数を増やすと、フィルタが大型化してしまう。
【0006】
また、電極指の本数を増やすと、弾性波が受信側電極に向かう途中で回折や拡散を起こしてエネルギー損失(挿入損失)が発生してしまうおそれがある。このような回折や拡散は、電極指群をアポタイズ方式で重み付けた場合において、電極指同士の交差幅の小さい領域で特に顕著に見られる。そして、前記交差幅の小さい領域は、通過域の近傍の阻止域における減衰量の抑圧と、通過域の肩部(エッジ部)との特性に大きく影響を与えるため、リプルを小さくするために電極指の本数を単純に増やすと、通過域の近傍の阻止域及び前記肩部における特性が劣化してしまう。
【0007】
特許文献1には、2段縦続接続型トランスバーサル型フィルタにおいて、主信号に対して偶数倍の伝搬時間を有する信号が相殺されるように、IDT電極2、3間の中心間距離及びIDT電極4、5間の中心間距離を調整する技術について記載されている。また、特許文献2には、3つのIDT電極2、3、4を各々備えたフィルタTS1、TS2を配置して、間隙d1、d3を互いに異なる寸法に設定する技術について記載されている。しかし、これら文献1、2のいずれにおいても、既述の課題については記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2000−124768(段落0012〜0013、図5)
【特許文献2】特開2006−261964(図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、IDT電極を圧電基板上に送信側電極及び受信側電極として弾性波の伝搬方向に並べた弾性波フィルタにおいて、フィルタの寸法を小さく抑えながらも、リプルの発生を抑制すると共に良好な減衰特性を持つ弾性波フィルタ及び電子部品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の弾性波フィルタは、
互いに平行に伸びる一対のバスバー及びこれらバスバーから各々対向するバスバーに向かって交互に櫛歯状に伸び出す電極指群を有するIDT電極を送信側電極及び受信側電極として弾性波の伝搬方向に沿って圧電基板上に各々配置した第1のフィルタ部と、
互いに平行に伸びる一対のバスバー及びこれらバスバーから各々対向するバスバーに向かって交互に櫛歯状に伸び出す電極指群を有するIDT電極を送信側電極及び受信側電極として弾性波の伝搬方向に沿って前記圧電基板上に各々配置した第2のフィルタ部と、
前記第1のフィルタ部の前記送信側電極及び前記第2のフィルタ部の前記送信側電極に共通に設けられた送信ポートと、
前記第1のフィルタ部の前記受信側電極及び前記第2のフィルタ部の前記受信側電極に共通に設けられた受信ポートと、を備え、
前記第1のフィルタ部の前記送信側電極及び前記受信側電極の少なくとも一方と、前記第2のフィルタ部の前記送信側電極及び前記受信側電極の少なくとも一方とは、各々電極指が重み付けされた電極であり、
各々のフィルタ部について、弾性波の伝搬方向における送信側電極の電極指群の中心位置と、弾性波の伝搬方向における受信側電極の電極指群の中心位置と、の間の距離を中心間距離と呼ぶと、前記第1のフィルタ部及び前記第2のフィルタ部は、各々のフィルタ部で生じるリプルの周期が互いに同じ間隔となるように、中心間距離が互いに揃い、且つ電極指の対数が前記送信側電極同士及び前記受信側電極同士において各々揃うように形成され、
前記第1のフィルタ部における電極指群の配列周期は、前記第2のフィルタ部のリプルが当該第1のフィルタ部のリプルにより相殺されるように、前記第2のフィルタ部における各々の電極指群の配列周期とは異なる寸法に設定されていることを特徴とする。
【0011】
前記弾性波フィルタは、以下の構成を採っても良い。
前記第1のフィルタ部における通過域の中心周波数及び前記第2のフィルタ部における通過域の中心周波数を夫々f1、f2とすると共に、これらフィルタ部における各々のリプルの周期をTとすると、
T/2×0.5≦f2−f1≦T/2×1.5
となるように各々のフィルタ部の電極指群の配列周期が設定されている構成。
前記第1のフィルタ部は、前記第2のフィルタ部に対して弾性波の伝搬方向に直交する方向に離間した位置に配置されている構成。
本発明の電子部品は、
前記弾性波フィルタを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、2つのフィルタ部を送信ポートと受信ポートとの間に並列に接続すると共に、各々のフィルタ部で生じるリプルの周期が互いに同じ間隔となるように、これらフィルタ部について、中心間距離が互いに揃い、且つ電極指の対数が送信側電極同士及び受信側電極同士において各々揃うように形成している。そして、前記第2のフィルタ部のリプルが第1のフィルタ部のリプルにより相殺されるように、各々のフィルタ部の電極指群の配列周期を設定している。そのため、フィルタの寸法を小さく抑えながらも、リプルの発生を抑制すると共に良好な減衰特性を持つ弾性波フィルタを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態に係る弾性波フィルタの一例を示す平面図である。
【図2】前記弾性波フィルタの一部を拡大して模式的に示す平面図である。
【図3】前記弾性波フィルタの特性を説明するための説明図である。
【図4】前記弾性波フィルタの特性を説明するための説明図である。
【図5】前記弾性波フィルタの特性を説明するための説明図である。
【図6】前記弾性波フィルタにて得られた周波数特性を示す特性図である。
【図7】従来の弾性波フィルタにおいて得られた周波数特性を示す特性図である。
【図8】本発明の弾性波フィルタの他の例を示す平面図である。
【図9】本発明の弾性波フィルタの別の例を示す平面図である。
【図10】本発明の弾性波フィルタの別の例を示す平面図である。
【図11】本発明の弾性波フィルタの別の例を示す平面図である。
【図12】本発明の弾性波フィルタの別の例を示す平面図である。
【図13】弾性波フィルタにおいて得られる信号を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施の形態の弾性波フィルタであるSAWフィルタの一例について、図1を参照して説明する。このSAWフィルタは、ある周波数帯域に通過域を有すると共に、この通過域よりも低域側及び高域側に各々阻止域(減衰域)の形成されたバンドパスフィルタであり、IDT電極1を送信側(入力側)電極2及び受信側(出力側)電極3として弾性波の伝搬方向(左右方向)に互いに離間するように圧電基板5上に配置して構成されている。この例では、圧電基板5は、例えばLiTaO3(タンタル酸リチウム)などとなっている。そして、送信側電極2及び受信側電極3からなる構成をフィルタ部と呼ぶと、圧電基板5上には、フィルタ部が弾性波の伝搬方向に直交する方向(前後方向)に2つ配置されている。以後の説明において、これらフィルタ部のうち奥側のフィルタ部を第1のフィルタ部11、手前側のフィルタ部を第2のフィルタ部12と呼ぶことにする。尚、弾性波の伝搬方向における圧電基板5の端部領域には、当該端部領域に伝搬してきた不要な弾性波を吸収するための吸収体6、6が各々配置されている。
【0015】
各々のIDT電極1は、互いに平行となるように配置された一対のバスバー7、7と、これらバスバー7、7から対向するバスバー7、7に向かって交互に櫛歯状に伸び出す複数の電極指8とを備えている。各々のフィルタ部11、12について、弾性波の伝搬方向におけるIDT電極1の中心位置(電極指8の群の配置領域の中心位置)同士の間の寸法を中心間距離Lと呼ぶと、即ち送信側電極2の中心位置と受信側電極3の中心位置との間の寸法を中心間距離Lとすると、フィルタ部11、12では、中心間距離L、L同士の寸法が揃っている。即ち、後述するように、フィルタ部11、12におけるリプル10の周期Tが互いに同じ間隔となるように、中心間距離L1、L2は互いに同じ寸法(L1=L2)となっている。従って、送信側電極2における右端の電極指8の右側の端部と、受信側電極3における左端の電極指8の左側の端部との間の離間距離は、これらフィルタ部11、12で同じ寸法となっている。
【0016】
IDT電極1における一方のバスバー7と他方のバスバー7との間の離間寸法を開口長と呼ぶと、この開口長は、フィルタ部11、12間で同じ寸法となっている。各々の送信側電極2、2では、奥側のバスバー7、7が送信ポート21に各々接続され、手前側のバスバー7、7は各々接地されている。また、各々の受信側電極3、3では、奥側のバスバー7、7が各々接地され、手前側のバスバー7、7が受信ポート22に各々接続されている。従って、送信ポート21は、これらフィルタ部11、12に共通に設けられ、受信ポート22も同様にフィルタ部11、12に共通に設けられている。
【0017】
そして、各々の送信側電極2、2では、電極指8がアポタイズ方式で重み付けられている。即ち、一対のバスバー7、7のうち一方のバスバー7から伸びる電極指8と、当該電極指8に隣接して他方のバスバー7から伸びる電極指8と、の交差する長さ寸法を交差長Dと呼ぶと、各々の送信側電極2、2では、この交差長Dが弾性波の伝搬方向に沿って変化するように各々の電極指8が配置されている。
【0018】
具体的には、弾性波の伝搬方向における送信側電極2、2の中央部では、バスバー7と、当該バスバー7に向かって伸びる電極指8の端部とが近接するように配置されて、交差長Dがバスバー7、7間の寸法(開口長)に近くなる程度にまで長く形成されている。そして、前記中央部から左右両側に向かって交差長Dが徐々に小さくなっており、当該中央部からある寸法だけ左右両側に離れた部位において前記交差長Dが各々ゼロとなっている。従って、前記部位間の領域は、メインローブMをなしている。フィルタ部11、12において、このメインローブMを構成する電極指8の対数(互いに交差するように配置された電極指8、8の数量)は、互いに同じ数量となっている。
【0019】
メインローブMの左右両側には、当該メインローブMと同様に中央から左右両側に向かって交差長Dが小さくなるように電極指8が形成されたサイドローブSが各々複数箇所に配置されており、各々のサイドローブSにおける中央の交差長Dは、メインローブMから左右両側に離れるにつれて小さくなるように構成されている。フィルタ部11、12において、サイドローブSの個数は互いに同じ数量となっている。また、各々のサイドローブSを構成する電極指8の対数についても、フィルタ部11、12間では同じ数量となっている。即ち、例えばメインローブMの右側に隣接するサイドローブSを構成する電極指8の対数は、フィルタ部11、12間で同じ数量となり、また当該サイドローブSの右側に隣接するサイドローブSを構成する電極指8の対数は、フィルタ部11、12間で同じ数量となっている。こうして送信側電極2のメインローブMからの個数が同一となる(メインローブMからある個数分だけ離れた)位置に形成されるサイドローブS、S同士では、フィルタ部11、12間において当該サイドローブS、Sを構成する電極指8の対数が同じ数量となっている。尚、メインローブMの中央部以外の部位では、バスバー7に向かって伸びる電極指8と、当該バスバー7との間には、このバスバー7から前記電極指8に向かって伸びる補助電極指8aが配置されている。
【0020】
従って、第1のフィルタ部11と第2のフィルタ部12とでは、送信側電極2、2同士及び受信側電極3、3同士において電極指8の対数は各々互いに同じ数量となっている。既に詳述したように、中心間距離Lをフィルタ部11、12間で同じ寸法に設定したことに加えて、このように電極指8の対数をフィルタ部11、12間で同じ数量に設定していることから、更にはフィルタ部11、12において通過域をほぼ同じ帯域に設定していることから、リプル10の周期Tは、後述するように、フィルタ部11、12同士において同じ間隔となっている。
【0021】
一方、各々の受信側電極3、3は、正規型電極として構成されている。具体的には、受信側電極3、3では、交差長Dが弾性波の伝搬方向に沿って既述のメインローブMの中央部の交差長Dとほぼ同じ寸法となるように電極指8が配置されている。
【0022】
ここで、電極指8の幅寸法と、互いに隣接する電極指8、8の間の離間寸法とからなる配列周期は、図2に示すように、第1のフィルタ部11では例えば寸法λ1に設定され、第2のフィルタ部12では例えば寸法λ2(λ1≠λ2)に設定されている。このようにフィルタ部11、12間において配列周期λ1、λ2を異なる寸法に設定した理由について、以下に詳述する。尚、図2は、各々のフィルタ部11、12における配列周期λ1、λ2の差を誇張して描画している。
【0023】
即ち、各々のフィルタ部11、12において配列周期λ1、λ2を互いに同じ寸法に設定して、ある周波数帯域に通過域を持つバンドパスフィルタを構成しようとすると、背景の項目で説明したように、弾性波の伝搬方向における送信側電極2の幅寸法(電極指8の本数)が有限であるために、周波数特性には、図3に示すように、リプル10と呼ばれる周期的な起伏(凹凸)が形成される。このリプルは、例えば通過域における中心周波数や、送信側電極の前記幅寸法などに応じて、間隔(リプルにおけるある山の位置と、当該山に隣接する山の位置との間の周波数差)T及び振幅強度が変化する。従来の手法を用いてこのリプル10を抑制しようとすると、既に説明したように、電極指8の本数が増えてフィルタの寸法が大型化したり、周波数特性が劣化したりすることになる。尚、図3では、通過域におけるリプル10を拡大して示している。
【0024】
一方、本発明では、2つのフィルタ部11、12において、互いのリプル10が相殺されるように、各々の配列周期λ1、λ2を異ならせている。即ち、互いに並列に接続した2つのフィルタ部11、12について、これらフィルタ部11、12において発生するリプル10の周期Tが既述の図3のフィルタと各々同じ間隔となるように構成すると共に、各々のリプル10の周期Tが互いに逆相となるように、各々の配列周期λ1、λ2を互いに変えている。具体的には、リプル10の周期Tをフィルタ部11、12間で同じ間隔に設定するにあたり、既に詳述したように、中心間距離L及び電極指8の対数をフィルタ部11、12において同じ値にしている。また、既述の図3の通過域における中心周波数をf0とすると共に、フィルタ部11、12の各々の通過域の中心周波数を夫々f1及びf2とすると、
f1=f0−T/4
f2=f0+T/4
となるように、各々の電極指8の配列周期λ1、λ2を調整している。従って、フィルタ部11、12における中心周波数の差は、
f1−f2=T/2
となり、フィルタ部11、12では、図4に示すように、リプル10の周期Tが互いに逆相となっている。即ち、フィルタ部11のリプル10の山の位置と、フィルタ部12のリプル10の谷の位置とが互いに重なり合い、またフィルタ部11のリプル10の谷の位置と、フィルタ部12のリプル10の山の位置とが互いに重なり合うようにしている。従って、これらフィルタ部11、12を並列に接続すると、図5に太線で示すように、リプル10の相殺された周波数特性が得られる。この時、メインローブMを構成する電極指8の対数などについてはフィルタ部11、12で同じ数量に設定していることから、各々のフィルタ部11、12の通過域は、同じ帯域幅となっている。尚、図3〜図5では通過域について拡大して示しているが、阻止域についても同様にリプル10が生じたり相殺されたりしている。以降の図6及び図7についても同様である。
【0025】
以上説明した中心周波数f1、f2となるように各々のフィルタ部11、12を構成するにあたり、これらフィルタ部11、12の配列周期λ1、λ2について具体的に説明する。
リプル10の周期Tについて、図3のフィルタの通過域の中心周波数f0で表すと、
T=f0/α(α:正の定数)
となる。そして、フィルタ部11、12の各々の配列周期λ1、λ2は、図3のフィルタの配列周期をλ0とすると、
V=f0×λ0=f1×λ1=f2×λ2(V:弾性波の伝搬速度)
であることから、λ1及びλ2は、
となる。
【0026】
ここで、図6は、2つのフィルタ部11、12を並列に接続して得られた実際のフィルタの特性であり、図5と同様に、通過域の低域側から高域側に亘って平坦な周波数特性が得られていることが分かる。この時、フィルタ部11、12における電極指8の各々の本数は、1401本とした。
【0027】
一方、図7は、リプル10を抑制するために従来の手法(電極指8の対数を増やすこと)を用いて得られた周波数特性であり、この例ではフィルタ部11、12の電極指8の各々の本数を1601本に設定している。これら図6及び図7から分かるように、本発明のフィルタ(図6)では、従来の図7のフィルタと比べて、電極指8の対数が少ないにも拘わらず、リプル10が抑制されて平坦な特性が得られている。この時、通過域の肩部(エッジ部)の特性の劣化(肩ダレ)や、通過域と阻止域との間の減衰傾度について、本発明では従来と比べて良好なレベルあるいは同等となっていた。即ち、図6と図7とを比べると、図6では通過域における上下両端のエッジ部が図7よりもシャープになっており、また前記減衰傾度は同レベルとなっていた。
【0028】
上述の実施の形態によれば、2つのフィルタ部11、12を送信ポート21と受信ポート22との間に並列に接続すると共に、各々のフィルタ部11、12で生じるリプル10の周期Tが互いに同じ間隔となるようにしている。具体的には、これらフィルタ部11、12において、中心間距離Lが互いに同じ寸法となり、且つ電極指8の対数が送信側電極2、2同士及び受信側電極3、3同士で各々同じ数量となるようにしている。そして、各々のフィルタ部11、12で生じるリプル10が相殺されるように、各々の配列周期λ1、λ2を設定している。そのため、フィルタの寸法(電極指8の本数)を小さく抑えながらも、リプル10を抑制することができる。また、リプル10を抑制するにあたって電極指8の本数を増やす従来の手法を採っていないので、アポタイズ方式で電極指8に重み付けを行う場合であっても、弾性波の回折や拡散に伴うエネルギー損失を抑制できるので、良好な減衰特性を持つフィルタを得ることができる。
また、2つのフィルタ部11、12を弾性波の伝搬方向に直交する方向に並べていることから、フィルタ部11、12間における信号の干渉を抑えて良好な特性を得ることができる。
従って、本発明のフィルタを適用することにより、優れた特性を持つと共に小型の電子部品が得られる。
【0029】
以上の説明では、各々のフィルタ部11、12のリプル10の周期Tが互いに逆相となるように中心周波数f1、f2を夫々設定したが、これらリプル10が互いに相殺されるように、
T/2×0.5≦f2−f1≦T/2×1.5 ・・・(1)
となるようにしても良い。即ち、例えば電極指8をある本数に設定した時には、通過域の帯域幅が狭い程、リプル10の周期Tが長くなる。また、通過域の帯域幅をある値に設定した時には、電極指8の本数が少ない程、リプル10の周期Tが長くなる。そして、リプル10の周期Tが長くなれば長くなる程、中心周波数の差(f2−f1)が既述の値(T/2)から僅かにずれても特性の劣化が起こりにくくなる。従って、前記(1)式となるように中心周波数f1、f2を設定することにより、良好な特性が得られる。
【0030】
また、2つのフィルタ部11、12を互いに並列に接続するにあたり、図8のように構成しても良い。図8において、例えば第1のフィルタ部11の受信側電極3では、奥側のバスバー7が受信ポート22に接続され、手前側のバスバー7が接地されている。また、第2のフィルタ部12の送信側電極2では、手前側のバスバー7が送信ポート21に接続され、奥側のバスバー7が接地されている。
【0031】
更に、2つのフィルタ部11、12を互いに並列に接続するにあたり、図9のようにこれらフィルタ部11、12を弾性波の伝搬方向に沿って並べても良い。このような場合には、フィルタ部11、12間には、弾性波を吸収するための吸収体6が配置される。尚、図9では、各々のフィルタ部11、12において、バスバー7や電極指8については記載を省略している。
【0032】
更にまた、以上の例では送信側電極2の電極指8をアポタイズ方式で重み付けした例について説明したが、間引き方式にて重み付けしても良い。具体的には、図10に示すように、一対のバスバー7、7のうちいずれかのバスバー7から伸びる電極指8を取り除き、いわば弾性波が励振しない領域を弾性波の伝搬方向に沿って複数箇所に配置することにより、電極指8の群に重み付けしても良い。この間引き方式により重み付けする時には、例えばアポタイズ方式で重み付けしたIDT電極1とほぼ同じ周波数特性(時間応答)が得られるように、電極指8の間引き位置が設定される。従って、この場合においても、メインローブMを構成する電極指8の対数、サイドローブSの個数、各々のサイドローブSを構成する電極指8の対数及び送信側電極2、2の全体の対数についても、フィルタ部11、12間で揃うように設定される。この時、間引き周期(間引きのしきい値)を夫々のフィルタ部11、12で個別に調整することにより、減衰域において良好な減衰量が得られる場合がある。
【0033】
また、図11に示すように、アポタイズ方式や間引き方式以外にも、例えば直列重み付け法(ドッグレッグ)などにより送信側電極2の電極指8に重み付けしても良い。即ち、メインローブMから弾性波の伝搬方向において左右両側に離れる程、交差長Dが小さくなるように電極指8を構成しても良い。また、これら重み付け方式の複数を組み合わせて用いても良い。
【0034】
更に、各々のフィルタ部11、12の送信側電極2、2において、互いに異なる重み付けの手法を採っても良い。即ち、図12に示すように、例えば第1のフィルタ部11の送信側電極2では間引き方式にて重み付けを行い、一方第2のフィルタ部12の送信側電極2ではアポタイズ方式にて重み付け(片間引き)しても良い。この場合においても、メインローブMを構成する電極指8の対数、サイドローブSの個数、各々のサイドローブSを構成する電極指8の対数及び送信側電極2、2の全体の対数は、フィルタ部11、12間で揃うように設定される。
【0035】
この時、間引き方式にて電極指8に重み付けするにあたり、例えば送信側電極2の端部で重み付けをゼロにしようとすると、当該端部では電極指8が配置されない場合もある。従って、2つのフィルタ部11、12のうち一方の送信側電極2ではアポタイズ方式にて電極指8に重み付けを行い、他方の送信側電極2では間引き方式を採る場合、一方の送信側電極2と比べて、他方の送信側電極2では、送信側電極2の端部の対数(重み付けがゼロに相当する領域の対数)が見かけ上少なくなる場合がある。そのため、各々のサイドローブSを構成する電極指8の対数及び送信側電極2、2の全体の対数が「揃う」とは、互いに同じ数量となっていることだけを意味しているのではなく、送信側電極2の端部において重み付けがゼロとなるように設定された対数も含めて同じ数量となっていることを意味している。言い換えると、例えばメインローブMの右側に隣接するサイドローブS、Sが互いに同じ形状となり、また当該サイドローブSの右側に隣接するサイドローブS、Sが互いに同じ形状となり、こうしてメインローブM側から順番に配置されたサイドローブS、S毎に同じ形状となっている場合には、各々のサイドローブSを構成する電極指8の対数及び送信側電極2、2の全体の対数が揃っていると言える。
【0036】
また、これらフィルタ部11、12間で電極指8の重み付け量を変えて、フィルタ部11、12間で通過域の低域側及び高域側における減衰傾度を異ならせても良い。従って、例えばアポタイズ方式で重み付けする場合には、各々の交差長Dについて、フィルタ部11、12間で異なる値にしても良い。この場合であっても、メインローブMを構成する電極指8の対数、サイドローブSの個数、各々のサイドローブSを構成する電極指8の対数、送信側電極2、2同士及び受信側電極3、3同士の対数は、フィルタ部11、12間で各々揃うように構成される。
【0037】
また、受信側電極3を正規型電極として構成することに代えて、間引き方式により電極指8に重み付けしても良い。更に、送信側電極2を正規型電極あるいは間引き方式により重み付けした電極として構成すると共に、受信側電極3をアポタイズ方式などで重み付けしても良い。
以上の説明において、配列周期λ0、λ1、λ2は、電極指8の重み付け方式などによっては、複数本の電極指8の幅寸法と、これら電極指8間の隙間寸法とにより構成される場合もあるが、ここでは説明を簡略化するために、ある電極指8の幅寸法と、互いに隣接する電極指8、8間の隙間寸法とにより構成されるものとしている。
【符号の説明】
【0038】
2 送信側電極
3 受信側電極
5 圧電基板
11 第1のフィルタ部
12 第2のフィルタ部
21 送信ポート
22 受信ポート
【技術分野】
【0001】
本発明は、弾性波フィルタ例えば(SAW:Surface Acoustic Wave)フィルタ及び電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
弾性波フィルタの一つとして、IDT(IDT:インターディジタルトランスデューサ)電極を圧電基板上に送信側(入力側)電極及び受信側(出力側)電極として弾性表面波(以下「弾性波」と言う)の伝搬方向に並べたトランスバーサル型のSAWフィルタが知られている。受信側電極は電極指群が例えばアポタイズ方式で重み付けされ、一方送信側電極は電極指群が例えば間引き方式で重み付けされた電極や、あるいは正規型電極(重み付けのない電極)として構成される。
【0003】
受信側電極では、送信側電極を介して伝達される入力信号の受信を開始してからの経過時間に応じて、図13(a)に示すように、複数のローブ(メインローブMやサイドローブS)に対応するピークの形成された出力信号が得られる。そして、この出力信号を逆フーリエ変換することにより、例えばある帯域に通過域が形成されると共にこの通過域よりも低域側及び高域側に各々阻止域(減衰域)の形成された周波数信号が得られる。
【0004】
この時、例えば弾性波の伝搬方向における送信側電極の幅寸法が無限大であれば、既述の周波数信号は、図13(b)に示すように概略矩形となる。しかし、前記幅寸法が実際には有限であるため、周波数信号には、同図(c)に示すように、リプルと呼ばれる周期的な起伏(凹凸)が通過域及び阻止域において各々生じることになる。このリプルは、例えば通過域における中心周波数や、送信側電極の前記幅寸法などに応じて、周期(リプルにおけるある山の位置と、当該山に隣接する山の位置との間の周波数差)T及び振幅強度が変化する。
【0005】
ところで、既述のリプルが小さく、且つ阻止域における減衰量が大きく、更には通過域と阻止域との間における減衰曲線(減衰傾度)が急峻な特性を持つ小型のフィルタが求められている。この時、従来の設計においてリプルを小さくしようとすると、既述の図13(b)、(c)から分かるように、例えば送信側電極における電極指の本数(前記幅寸法)を増やす必要がある。しかし、このように電極指の本数を増やすと、フィルタが大型化してしまう。
【0006】
また、電極指の本数を増やすと、弾性波が受信側電極に向かう途中で回折や拡散を起こしてエネルギー損失(挿入損失)が発生してしまうおそれがある。このような回折や拡散は、電極指群をアポタイズ方式で重み付けた場合において、電極指同士の交差幅の小さい領域で特に顕著に見られる。そして、前記交差幅の小さい領域は、通過域の近傍の阻止域における減衰量の抑圧と、通過域の肩部(エッジ部)との特性に大きく影響を与えるため、リプルを小さくするために電極指の本数を単純に増やすと、通過域の近傍の阻止域及び前記肩部における特性が劣化してしまう。
【0007】
特許文献1には、2段縦続接続型トランスバーサル型フィルタにおいて、主信号に対して偶数倍の伝搬時間を有する信号が相殺されるように、IDT電極2、3間の中心間距離及びIDT電極4、5間の中心間距離を調整する技術について記載されている。また、特許文献2には、3つのIDT電極2、3、4を各々備えたフィルタTS1、TS2を配置して、間隙d1、d3を互いに異なる寸法に設定する技術について記載されている。しかし、これら文献1、2のいずれにおいても、既述の課題については記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2000−124768(段落0012〜0013、図5)
【特許文献2】特開2006−261964(図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、IDT電極を圧電基板上に送信側電極及び受信側電極として弾性波の伝搬方向に並べた弾性波フィルタにおいて、フィルタの寸法を小さく抑えながらも、リプルの発生を抑制すると共に良好な減衰特性を持つ弾性波フィルタ及び電子部品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の弾性波フィルタは、
互いに平行に伸びる一対のバスバー及びこれらバスバーから各々対向するバスバーに向かって交互に櫛歯状に伸び出す電極指群を有するIDT電極を送信側電極及び受信側電極として弾性波の伝搬方向に沿って圧電基板上に各々配置した第1のフィルタ部と、
互いに平行に伸びる一対のバスバー及びこれらバスバーから各々対向するバスバーに向かって交互に櫛歯状に伸び出す電極指群を有するIDT電極を送信側電極及び受信側電極として弾性波の伝搬方向に沿って前記圧電基板上に各々配置した第2のフィルタ部と、
前記第1のフィルタ部の前記送信側電極及び前記第2のフィルタ部の前記送信側電極に共通に設けられた送信ポートと、
前記第1のフィルタ部の前記受信側電極及び前記第2のフィルタ部の前記受信側電極に共通に設けられた受信ポートと、を備え、
前記第1のフィルタ部の前記送信側電極及び前記受信側電極の少なくとも一方と、前記第2のフィルタ部の前記送信側電極及び前記受信側電極の少なくとも一方とは、各々電極指が重み付けされた電極であり、
各々のフィルタ部について、弾性波の伝搬方向における送信側電極の電極指群の中心位置と、弾性波の伝搬方向における受信側電極の電極指群の中心位置と、の間の距離を中心間距離と呼ぶと、前記第1のフィルタ部及び前記第2のフィルタ部は、各々のフィルタ部で生じるリプルの周期が互いに同じ間隔となるように、中心間距離が互いに揃い、且つ電極指の対数が前記送信側電極同士及び前記受信側電極同士において各々揃うように形成され、
前記第1のフィルタ部における電極指群の配列周期は、前記第2のフィルタ部のリプルが当該第1のフィルタ部のリプルにより相殺されるように、前記第2のフィルタ部における各々の電極指群の配列周期とは異なる寸法に設定されていることを特徴とする。
【0011】
前記弾性波フィルタは、以下の構成を採っても良い。
前記第1のフィルタ部における通過域の中心周波数及び前記第2のフィルタ部における通過域の中心周波数を夫々f1、f2とすると共に、これらフィルタ部における各々のリプルの周期をTとすると、
T/2×0.5≦f2−f1≦T/2×1.5
となるように各々のフィルタ部の電極指群の配列周期が設定されている構成。
前記第1のフィルタ部は、前記第2のフィルタ部に対して弾性波の伝搬方向に直交する方向に離間した位置に配置されている構成。
本発明の電子部品は、
前記弾性波フィルタを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、2つのフィルタ部を送信ポートと受信ポートとの間に並列に接続すると共に、各々のフィルタ部で生じるリプルの周期が互いに同じ間隔となるように、これらフィルタ部について、中心間距離が互いに揃い、且つ電極指の対数が送信側電極同士及び受信側電極同士において各々揃うように形成している。そして、前記第2のフィルタ部のリプルが第1のフィルタ部のリプルにより相殺されるように、各々のフィルタ部の電極指群の配列周期を設定している。そのため、フィルタの寸法を小さく抑えながらも、リプルの発生を抑制すると共に良好な減衰特性を持つ弾性波フィルタを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態に係る弾性波フィルタの一例を示す平面図である。
【図2】前記弾性波フィルタの一部を拡大して模式的に示す平面図である。
【図3】前記弾性波フィルタの特性を説明するための説明図である。
【図4】前記弾性波フィルタの特性を説明するための説明図である。
【図5】前記弾性波フィルタの特性を説明するための説明図である。
【図6】前記弾性波フィルタにて得られた周波数特性を示す特性図である。
【図7】従来の弾性波フィルタにおいて得られた周波数特性を示す特性図である。
【図8】本発明の弾性波フィルタの他の例を示す平面図である。
【図9】本発明の弾性波フィルタの別の例を示す平面図である。
【図10】本発明の弾性波フィルタの別の例を示す平面図である。
【図11】本発明の弾性波フィルタの別の例を示す平面図である。
【図12】本発明の弾性波フィルタの別の例を示す平面図である。
【図13】弾性波フィルタにおいて得られる信号を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施の形態の弾性波フィルタであるSAWフィルタの一例について、図1を参照して説明する。このSAWフィルタは、ある周波数帯域に通過域を有すると共に、この通過域よりも低域側及び高域側に各々阻止域(減衰域)の形成されたバンドパスフィルタであり、IDT電極1を送信側(入力側)電極2及び受信側(出力側)電極3として弾性波の伝搬方向(左右方向)に互いに離間するように圧電基板5上に配置して構成されている。この例では、圧電基板5は、例えばLiTaO3(タンタル酸リチウム)などとなっている。そして、送信側電極2及び受信側電極3からなる構成をフィルタ部と呼ぶと、圧電基板5上には、フィルタ部が弾性波の伝搬方向に直交する方向(前後方向)に2つ配置されている。以後の説明において、これらフィルタ部のうち奥側のフィルタ部を第1のフィルタ部11、手前側のフィルタ部を第2のフィルタ部12と呼ぶことにする。尚、弾性波の伝搬方向における圧電基板5の端部領域には、当該端部領域に伝搬してきた不要な弾性波を吸収するための吸収体6、6が各々配置されている。
【0015】
各々のIDT電極1は、互いに平行となるように配置された一対のバスバー7、7と、これらバスバー7、7から対向するバスバー7、7に向かって交互に櫛歯状に伸び出す複数の電極指8とを備えている。各々のフィルタ部11、12について、弾性波の伝搬方向におけるIDT電極1の中心位置(電極指8の群の配置領域の中心位置)同士の間の寸法を中心間距離Lと呼ぶと、即ち送信側電極2の中心位置と受信側電極3の中心位置との間の寸法を中心間距離Lとすると、フィルタ部11、12では、中心間距離L、L同士の寸法が揃っている。即ち、後述するように、フィルタ部11、12におけるリプル10の周期Tが互いに同じ間隔となるように、中心間距離L1、L2は互いに同じ寸法(L1=L2)となっている。従って、送信側電極2における右端の電極指8の右側の端部と、受信側電極3における左端の電極指8の左側の端部との間の離間距離は、これらフィルタ部11、12で同じ寸法となっている。
【0016】
IDT電極1における一方のバスバー7と他方のバスバー7との間の離間寸法を開口長と呼ぶと、この開口長は、フィルタ部11、12間で同じ寸法となっている。各々の送信側電極2、2では、奥側のバスバー7、7が送信ポート21に各々接続され、手前側のバスバー7、7は各々接地されている。また、各々の受信側電極3、3では、奥側のバスバー7、7が各々接地され、手前側のバスバー7、7が受信ポート22に各々接続されている。従って、送信ポート21は、これらフィルタ部11、12に共通に設けられ、受信ポート22も同様にフィルタ部11、12に共通に設けられている。
【0017】
そして、各々の送信側電極2、2では、電極指8がアポタイズ方式で重み付けられている。即ち、一対のバスバー7、7のうち一方のバスバー7から伸びる電極指8と、当該電極指8に隣接して他方のバスバー7から伸びる電極指8と、の交差する長さ寸法を交差長Dと呼ぶと、各々の送信側電極2、2では、この交差長Dが弾性波の伝搬方向に沿って変化するように各々の電極指8が配置されている。
【0018】
具体的には、弾性波の伝搬方向における送信側電極2、2の中央部では、バスバー7と、当該バスバー7に向かって伸びる電極指8の端部とが近接するように配置されて、交差長Dがバスバー7、7間の寸法(開口長)に近くなる程度にまで長く形成されている。そして、前記中央部から左右両側に向かって交差長Dが徐々に小さくなっており、当該中央部からある寸法だけ左右両側に離れた部位において前記交差長Dが各々ゼロとなっている。従って、前記部位間の領域は、メインローブMをなしている。フィルタ部11、12において、このメインローブMを構成する電極指8の対数(互いに交差するように配置された電極指8、8の数量)は、互いに同じ数量となっている。
【0019】
メインローブMの左右両側には、当該メインローブMと同様に中央から左右両側に向かって交差長Dが小さくなるように電極指8が形成されたサイドローブSが各々複数箇所に配置されており、各々のサイドローブSにおける中央の交差長Dは、メインローブMから左右両側に離れるにつれて小さくなるように構成されている。フィルタ部11、12において、サイドローブSの個数は互いに同じ数量となっている。また、各々のサイドローブSを構成する電極指8の対数についても、フィルタ部11、12間では同じ数量となっている。即ち、例えばメインローブMの右側に隣接するサイドローブSを構成する電極指8の対数は、フィルタ部11、12間で同じ数量となり、また当該サイドローブSの右側に隣接するサイドローブSを構成する電極指8の対数は、フィルタ部11、12間で同じ数量となっている。こうして送信側電極2のメインローブMからの個数が同一となる(メインローブMからある個数分だけ離れた)位置に形成されるサイドローブS、S同士では、フィルタ部11、12間において当該サイドローブS、Sを構成する電極指8の対数が同じ数量となっている。尚、メインローブMの中央部以外の部位では、バスバー7に向かって伸びる電極指8と、当該バスバー7との間には、このバスバー7から前記電極指8に向かって伸びる補助電極指8aが配置されている。
【0020】
従って、第1のフィルタ部11と第2のフィルタ部12とでは、送信側電極2、2同士及び受信側電極3、3同士において電極指8の対数は各々互いに同じ数量となっている。既に詳述したように、中心間距離Lをフィルタ部11、12間で同じ寸法に設定したことに加えて、このように電極指8の対数をフィルタ部11、12間で同じ数量に設定していることから、更にはフィルタ部11、12において通過域をほぼ同じ帯域に設定していることから、リプル10の周期Tは、後述するように、フィルタ部11、12同士において同じ間隔となっている。
【0021】
一方、各々の受信側電極3、3は、正規型電極として構成されている。具体的には、受信側電極3、3では、交差長Dが弾性波の伝搬方向に沿って既述のメインローブMの中央部の交差長Dとほぼ同じ寸法となるように電極指8が配置されている。
【0022】
ここで、電極指8の幅寸法と、互いに隣接する電極指8、8の間の離間寸法とからなる配列周期は、図2に示すように、第1のフィルタ部11では例えば寸法λ1に設定され、第2のフィルタ部12では例えば寸法λ2(λ1≠λ2)に設定されている。このようにフィルタ部11、12間において配列周期λ1、λ2を異なる寸法に設定した理由について、以下に詳述する。尚、図2は、各々のフィルタ部11、12における配列周期λ1、λ2の差を誇張して描画している。
【0023】
即ち、各々のフィルタ部11、12において配列周期λ1、λ2を互いに同じ寸法に設定して、ある周波数帯域に通過域を持つバンドパスフィルタを構成しようとすると、背景の項目で説明したように、弾性波の伝搬方向における送信側電極2の幅寸法(電極指8の本数)が有限であるために、周波数特性には、図3に示すように、リプル10と呼ばれる周期的な起伏(凹凸)が形成される。このリプルは、例えば通過域における中心周波数や、送信側電極の前記幅寸法などに応じて、間隔(リプルにおけるある山の位置と、当該山に隣接する山の位置との間の周波数差)T及び振幅強度が変化する。従来の手法を用いてこのリプル10を抑制しようとすると、既に説明したように、電極指8の本数が増えてフィルタの寸法が大型化したり、周波数特性が劣化したりすることになる。尚、図3では、通過域におけるリプル10を拡大して示している。
【0024】
一方、本発明では、2つのフィルタ部11、12において、互いのリプル10が相殺されるように、各々の配列周期λ1、λ2を異ならせている。即ち、互いに並列に接続した2つのフィルタ部11、12について、これらフィルタ部11、12において発生するリプル10の周期Tが既述の図3のフィルタと各々同じ間隔となるように構成すると共に、各々のリプル10の周期Tが互いに逆相となるように、各々の配列周期λ1、λ2を互いに変えている。具体的には、リプル10の周期Tをフィルタ部11、12間で同じ間隔に設定するにあたり、既に詳述したように、中心間距離L及び電極指8の対数をフィルタ部11、12において同じ値にしている。また、既述の図3の通過域における中心周波数をf0とすると共に、フィルタ部11、12の各々の通過域の中心周波数を夫々f1及びf2とすると、
f1=f0−T/4
f2=f0+T/4
となるように、各々の電極指8の配列周期λ1、λ2を調整している。従って、フィルタ部11、12における中心周波数の差は、
f1−f2=T/2
となり、フィルタ部11、12では、図4に示すように、リプル10の周期Tが互いに逆相となっている。即ち、フィルタ部11のリプル10の山の位置と、フィルタ部12のリプル10の谷の位置とが互いに重なり合い、またフィルタ部11のリプル10の谷の位置と、フィルタ部12のリプル10の山の位置とが互いに重なり合うようにしている。従って、これらフィルタ部11、12を並列に接続すると、図5に太線で示すように、リプル10の相殺された周波数特性が得られる。この時、メインローブMを構成する電極指8の対数などについてはフィルタ部11、12で同じ数量に設定していることから、各々のフィルタ部11、12の通過域は、同じ帯域幅となっている。尚、図3〜図5では通過域について拡大して示しているが、阻止域についても同様にリプル10が生じたり相殺されたりしている。以降の図6及び図7についても同様である。
【0025】
以上説明した中心周波数f1、f2となるように各々のフィルタ部11、12を構成するにあたり、これらフィルタ部11、12の配列周期λ1、λ2について具体的に説明する。
リプル10の周期Tについて、図3のフィルタの通過域の中心周波数f0で表すと、
T=f0/α(α:正の定数)
となる。そして、フィルタ部11、12の各々の配列周期λ1、λ2は、図3のフィルタの配列周期をλ0とすると、
V=f0×λ0=f1×λ1=f2×λ2(V:弾性波の伝搬速度)
であることから、λ1及びλ2は、
となる。
【0026】
ここで、図6は、2つのフィルタ部11、12を並列に接続して得られた実際のフィルタの特性であり、図5と同様に、通過域の低域側から高域側に亘って平坦な周波数特性が得られていることが分かる。この時、フィルタ部11、12における電極指8の各々の本数は、1401本とした。
【0027】
一方、図7は、リプル10を抑制するために従来の手法(電極指8の対数を増やすこと)を用いて得られた周波数特性であり、この例ではフィルタ部11、12の電極指8の各々の本数を1601本に設定している。これら図6及び図7から分かるように、本発明のフィルタ(図6)では、従来の図7のフィルタと比べて、電極指8の対数が少ないにも拘わらず、リプル10が抑制されて平坦な特性が得られている。この時、通過域の肩部(エッジ部)の特性の劣化(肩ダレ)や、通過域と阻止域との間の減衰傾度について、本発明では従来と比べて良好なレベルあるいは同等となっていた。即ち、図6と図7とを比べると、図6では通過域における上下両端のエッジ部が図7よりもシャープになっており、また前記減衰傾度は同レベルとなっていた。
【0028】
上述の実施の形態によれば、2つのフィルタ部11、12を送信ポート21と受信ポート22との間に並列に接続すると共に、各々のフィルタ部11、12で生じるリプル10の周期Tが互いに同じ間隔となるようにしている。具体的には、これらフィルタ部11、12において、中心間距離Lが互いに同じ寸法となり、且つ電極指8の対数が送信側電極2、2同士及び受信側電極3、3同士で各々同じ数量となるようにしている。そして、各々のフィルタ部11、12で生じるリプル10が相殺されるように、各々の配列周期λ1、λ2を設定している。そのため、フィルタの寸法(電極指8の本数)を小さく抑えながらも、リプル10を抑制することができる。また、リプル10を抑制するにあたって電極指8の本数を増やす従来の手法を採っていないので、アポタイズ方式で電極指8に重み付けを行う場合であっても、弾性波の回折や拡散に伴うエネルギー損失を抑制できるので、良好な減衰特性を持つフィルタを得ることができる。
また、2つのフィルタ部11、12を弾性波の伝搬方向に直交する方向に並べていることから、フィルタ部11、12間における信号の干渉を抑えて良好な特性を得ることができる。
従って、本発明のフィルタを適用することにより、優れた特性を持つと共に小型の電子部品が得られる。
【0029】
以上の説明では、各々のフィルタ部11、12のリプル10の周期Tが互いに逆相となるように中心周波数f1、f2を夫々設定したが、これらリプル10が互いに相殺されるように、
T/2×0.5≦f2−f1≦T/2×1.5 ・・・(1)
となるようにしても良い。即ち、例えば電極指8をある本数に設定した時には、通過域の帯域幅が狭い程、リプル10の周期Tが長くなる。また、通過域の帯域幅をある値に設定した時には、電極指8の本数が少ない程、リプル10の周期Tが長くなる。そして、リプル10の周期Tが長くなれば長くなる程、中心周波数の差(f2−f1)が既述の値(T/2)から僅かにずれても特性の劣化が起こりにくくなる。従って、前記(1)式となるように中心周波数f1、f2を設定することにより、良好な特性が得られる。
【0030】
また、2つのフィルタ部11、12を互いに並列に接続するにあたり、図8のように構成しても良い。図8において、例えば第1のフィルタ部11の受信側電極3では、奥側のバスバー7が受信ポート22に接続され、手前側のバスバー7が接地されている。また、第2のフィルタ部12の送信側電極2では、手前側のバスバー7が送信ポート21に接続され、奥側のバスバー7が接地されている。
【0031】
更に、2つのフィルタ部11、12を互いに並列に接続するにあたり、図9のようにこれらフィルタ部11、12を弾性波の伝搬方向に沿って並べても良い。このような場合には、フィルタ部11、12間には、弾性波を吸収するための吸収体6が配置される。尚、図9では、各々のフィルタ部11、12において、バスバー7や電極指8については記載を省略している。
【0032】
更にまた、以上の例では送信側電極2の電極指8をアポタイズ方式で重み付けした例について説明したが、間引き方式にて重み付けしても良い。具体的には、図10に示すように、一対のバスバー7、7のうちいずれかのバスバー7から伸びる電極指8を取り除き、いわば弾性波が励振しない領域を弾性波の伝搬方向に沿って複数箇所に配置することにより、電極指8の群に重み付けしても良い。この間引き方式により重み付けする時には、例えばアポタイズ方式で重み付けしたIDT電極1とほぼ同じ周波数特性(時間応答)が得られるように、電極指8の間引き位置が設定される。従って、この場合においても、メインローブMを構成する電極指8の対数、サイドローブSの個数、各々のサイドローブSを構成する電極指8の対数及び送信側電極2、2の全体の対数についても、フィルタ部11、12間で揃うように設定される。この時、間引き周期(間引きのしきい値)を夫々のフィルタ部11、12で個別に調整することにより、減衰域において良好な減衰量が得られる場合がある。
【0033】
また、図11に示すように、アポタイズ方式や間引き方式以外にも、例えば直列重み付け法(ドッグレッグ)などにより送信側電極2の電極指8に重み付けしても良い。即ち、メインローブMから弾性波の伝搬方向において左右両側に離れる程、交差長Dが小さくなるように電極指8を構成しても良い。また、これら重み付け方式の複数を組み合わせて用いても良い。
【0034】
更に、各々のフィルタ部11、12の送信側電極2、2において、互いに異なる重み付けの手法を採っても良い。即ち、図12に示すように、例えば第1のフィルタ部11の送信側電極2では間引き方式にて重み付けを行い、一方第2のフィルタ部12の送信側電極2ではアポタイズ方式にて重み付け(片間引き)しても良い。この場合においても、メインローブMを構成する電極指8の対数、サイドローブSの個数、各々のサイドローブSを構成する電極指8の対数及び送信側電極2、2の全体の対数は、フィルタ部11、12間で揃うように設定される。
【0035】
この時、間引き方式にて電極指8に重み付けするにあたり、例えば送信側電極2の端部で重み付けをゼロにしようとすると、当該端部では電極指8が配置されない場合もある。従って、2つのフィルタ部11、12のうち一方の送信側電極2ではアポタイズ方式にて電極指8に重み付けを行い、他方の送信側電極2では間引き方式を採る場合、一方の送信側電極2と比べて、他方の送信側電極2では、送信側電極2の端部の対数(重み付けがゼロに相当する領域の対数)が見かけ上少なくなる場合がある。そのため、各々のサイドローブSを構成する電極指8の対数及び送信側電極2、2の全体の対数が「揃う」とは、互いに同じ数量となっていることだけを意味しているのではなく、送信側電極2の端部において重み付けがゼロとなるように設定された対数も含めて同じ数量となっていることを意味している。言い換えると、例えばメインローブMの右側に隣接するサイドローブS、Sが互いに同じ形状となり、また当該サイドローブSの右側に隣接するサイドローブS、Sが互いに同じ形状となり、こうしてメインローブM側から順番に配置されたサイドローブS、S毎に同じ形状となっている場合には、各々のサイドローブSを構成する電極指8の対数及び送信側電極2、2の全体の対数が揃っていると言える。
【0036】
また、これらフィルタ部11、12間で電極指8の重み付け量を変えて、フィルタ部11、12間で通過域の低域側及び高域側における減衰傾度を異ならせても良い。従って、例えばアポタイズ方式で重み付けする場合には、各々の交差長Dについて、フィルタ部11、12間で異なる値にしても良い。この場合であっても、メインローブMを構成する電極指8の対数、サイドローブSの個数、各々のサイドローブSを構成する電極指8の対数、送信側電極2、2同士及び受信側電極3、3同士の対数は、フィルタ部11、12間で各々揃うように構成される。
【0037】
また、受信側電極3を正規型電極として構成することに代えて、間引き方式により電極指8に重み付けしても良い。更に、送信側電極2を正規型電極あるいは間引き方式により重み付けした電極として構成すると共に、受信側電極3をアポタイズ方式などで重み付けしても良い。
以上の説明において、配列周期λ0、λ1、λ2は、電極指8の重み付け方式などによっては、複数本の電極指8の幅寸法と、これら電極指8間の隙間寸法とにより構成される場合もあるが、ここでは説明を簡略化するために、ある電極指8の幅寸法と、互いに隣接する電極指8、8間の隙間寸法とにより構成されるものとしている。
【符号の説明】
【0038】
2 送信側電極
3 受信側電極
5 圧電基板
11 第1のフィルタ部
12 第2のフィルタ部
21 送信ポート
22 受信ポート
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに平行に伸びる一対のバスバー及びこれらバスバーから各々対向するバスバーに向かって交互に櫛歯状に伸び出す電極指群を有するIDT電極を送信側電極及び受信側電極として弾性波の伝搬方向に沿って圧電基板上に各々配置した第1のフィルタ部と、
互いに平行に伸びる一対のバスバー及びこれらバスバーから各々対向するバスバーに向かって交互に櫛歯状に伸び出す電極指群を有するIDT電極を送信側電極及び受信側電極として弾性波の伝搬方向に沿って前記圧電基板上に各々配置した第2のフィルタ部と、
前記第1のフィルタ部の前記送信側電極及び前記第2のフィルタ部の前記送信側電極に共通に設けられた送信ポートと、
前記第1のフィルタ部の前記受信側電極及び前記第2のフィルタ部の前記受信側電極に共通に設けられた受信ポートと、を備え、
前記第1のフィルタ部の前記送信側電極及び前記受信側電極の少なくとも一方と、前記第2のフィルタ部の前記送信側電極及び前記受信側電極の少なくとも一方とは、各々電極指が重み付けされた電極であり、
各々のフィルタ部について、弾性波の伝搬方向における送信側電極の電極指群の中心位置と、弾性波の伝搬方向における受信側電極の電極指群の中心位置と、の間の距離を中心間距離と呼ぶと、前記第1のフィルタ部及び前記第2のフィルタ部は、各々のフィルタ部で生じるリプルの周期が互いに同じ間隔となるように、中心間距離が互いに揃い、且つ電極指の対数が前記送信側電極同士及び前記受信側電極同士において各々揃うように形成され、
前記第1のフィルタ部における電極指群の配列周期は、前記第2のフィルタ部のリプルが当該第1のフィルタ部のリプルにより相殺されるように、前記第2のフィルタ部における各々の電極指群の配列周期とは異なる寸法に設定されていることを特徴とする弾性波フィルタ。
【請求項2】
前記第1のフィルタ部における通過域の中心周波数及び前記第2のフィルタ部における通過域の中心周波数を夫々f1、f2とすると共に、これらフィルタ部における各々のリプルの周期をTとすると、
T/2×0.5≦f2−f1≦T/2×1.5
となるように各々のフィルタ部の電極指群の配列周期が設定されていることを特徴とする請求項1に記載の弾性波フィルタ。
【請求項3】
前記第1のフィルタ部は、前記第2のフィルタ部に対して弾性波の伝搬方向に直交する方向に離間した位置に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の弾性波フィルタ。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか一つに記載の弾性波フィルタを備えたことを特徴とする電子部品。
【請求項1】
互いに平行に伸びる一対のバスバー及びこれらバスバーから各々対向するバスバーに向かって交互に櫛歯状に伸び出す電極指群を有するIDT電極を送信側電極及び受信側電極として弾性波の伝搬方向に沿って圧電基板上に各々配置した第1のフィルタ部と、
互いに平行に伸びる一対のバスバー及びこれらバスバーから各々対向するバスバーに向かって交互に櫛歯状に伸び出す電極指群を有するIDT電極を送信側電極及び受信側電極として弾性波の伝搬方向に沿って前記圧電基板上に各々配置した第2のフィルタ部と、
前記第1のフィルタ部の前記送信側電極及び前記第2のフィルタ部の前記送信側電極に共通に設けられた送信ポートと、
前記第1のフィルタ部の前記受信側電極及び前記第2のフィルタ部の前記受信側電極に共通に設けられた受信ポートと、を備え、
前記第1のフィルタ部の前記送信側電極及び前記受信側電極の少なくとも一方と、前記第2のフィルタ部の前記送信側電極及び前記受信側電極の少なくとも一方とは、各々電極指が重み付けされた電極であり、
各々のフィルタ部について、弾性波の伝搬方向における送信側電極の電極指群の中心位置と、弾性波の伝搬方向における受信側電極の電極指群の中心位置と、の間の距離を中心間距離と呼ぶと、前記第1のフィルタ部及び前記第2のフィルタ部は、各々のフィルタ部で生じるリプルの周期が互いに同じ間隔となるように、中心間距離が互いに揃い、且つ電極指の対数が前記送信側電極同士及び前記受信側電極同士において各々揃うように形成され、
前記第1のフィルタ部における電極指群の配列周期は、前記第2のフィルタ部のリプルが当該第1のフィルタ部のリプルにより相殺されるように、前記第2のフィルタ部における各々の電極指群の配列周期とは異なる寸法に設定されていることを特徴とする弾性波フィルタ。
【請求項2】
前記第1のフィルタ部における通過域の中心周波数及び前記第2のフィルタ部における通過域の中心周波数を夫々f1、f2とすると共に、これらフィルタ部における各々のリプルの周期をTとすると、
T/2×0.5≦f2−f1≦T/2×1.5
となるように各々のフィルタ部の電極指群の配列周期が設定されていることを特徴とする請求項1に記載の弾性波フィルタ。
【請求項3】
前記第1のフィルタ部は、前記第2のフィルタ部に対して弾性波の伝搬方向に直交する方向に離間した位置に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の弾性波フィルタ。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか一つに記載の弾性波フィルタを備えたことを特徴とする電子部品。
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図9】
【図13】
【図1】
【図8】
【図10】
【図11】
【図12】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図9】
【図13】
【図1】
【図8】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−70272(P2013−70272A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−207997(P2011−207997)
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【出願人】(000232483)日本電波工業株式会社 (1,148)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【出願人】(000232483)日本電波工業株式会社 (1,148)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]