説明

弾性特性を有するブロックエチレン系コポリマーの化粧品への使用及びそれを含む組成物

【課題】弾性特性のあるブロックエチレン系コポリマーの化粧品への使用及び該コポリマーを含む化粧組成物を提供すること。
【解決手段】本発明は、20℃以上のガラス転移温度を有する少なくとも一つの固いブロック及び20℃より低いガラス転移温度を有する少なくとも一つの柔らかいブロックを含む、弾性特性のあるブロックエチレン系コポリマーの化粧品への使用に関する。本コポリマーから即時回復が5%〜100%であるフィルムを得ることが可能である。本発明は、弾性特性を有するこれらのブロックエチレン系ポリマーを含む化粧組成物にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弾性特性のあるブロックエチレン系コポリマーの化粧品への使用及び該コポリマーを含む化粧組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ある種のコポリマーは熱可塑性エラストマーとして知られており、すなわち、加硫したゴムの弾性と高温可塑性又は高温溶融性を組み合わせたポリマーとして知られている(熱可塑性エラストマー(Thermoplastic Elastomers):総括的検討(Comprehensive Review)、レッジ(Legge)N.R.、ホールデン(Holden)G.、ヘンス(Hense)出版、ミュンヘン、1987)。
弾性特性を提供する少なくとも一つの“柔らかい”ブロック及び自己会合による高分子鎖の可逆的な物理的架橋を提供する少なくとも一つの“固い”ブロックの組合せから、この型のポリマーの弾性特性が誘導される。
特許出願WO 98/38981は熱可塑性エラストマー、特にスチレン/ブタジエン/スチレン、スチレン/イソプレン/スチレン及びスチレン/エチレン/ブチレン/スチレンブロックコポリマーを含む炭化水素ベースの溶媒ゲルを開示しており、これはシェルケミカル社(Shell Chemical Company)によりクラトン(Kraton(登録商標))の名称で市販されている。炭化水素をベースとしたこれらの媒体中で、コポリマーは増粘剤及びゲル化剤として作動し、それが高容量にならないようにしている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
これらのポリマーも、化粧品として使用される溶媒の多く、例えばアルコール、エーテル、エステル及び/又は水に不溶であるという欠点を有している。さらに、これらのブロックコポリマーは実施するのが困難な方法であるアニオン重合によって製造されている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
新規なフリーラジカル重合技術が最近開発されており、これには例えば制御重合(controlled polymerization)(“ポリマー合成の新規な方法(New Method of Polymer Synthesis)”、Blackie Academic & Professional、ロンドン、1995、2巻、1頁、又はC.J.ホーカー(Hawker)による、Trends Polym. Sci., 4、183頁(1996))、及び特に原子−移動(atom-transfer)フリーラジカル重合(マチヤゼビスキー(Matyjasezwski)他による、JACS、117、5614頁(1995))がある。現在ではこれらの技術により、目的にあった非常に多種類のブロックコポリマーのフリーラジカル合成を、アニオン重合又はカチオン重合の場合より容易に工業化できる操作条件下で行うことが可能となっており、その結果意図する用途に従ってポリマーの物理化学的性質を調整することが可能となっている。
これらの新規なブロックコポリマーを化粧組成物に取り込むことによって、以下に詳細に説明する弾性特性のあるブロックエチレン系コポリマーが非常に有利な化粧特性を有することを出願人は見出した。一般的な方法でこれらは非−粘着系となる。ヘアラッカーで使用する場合、これらはヘアラッカーのスタイリング力と柔軟さの両者を改良する。これらは、使用者にいかなる不快感も引き起こすことなくマニキュアの衝撃強さを増強しかつ多種類のメーキャップ組成物の保持力を改善する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
従って、本発明の一つの主題は、以下を含む弾性特性を有するブロックエチレン系コポリマーの化粧品への使用である:
(a) 一又は複数のエチレン系モノマーから誘導した単位から成り、20℃以上のガラス転移温度(Tg)を有する少なくとも一つの固いブロック、及び
(b) 一又は複数のエチレン系モノマーから誘導した単位から成り、20℃より低いガラス転移温度(Tg)を有する少なくとも一つの柔らかいブロック、
ここで、該コポリマーは、5%〜100%の即時回復を有するフィルムの製造を可能にし、エチレン、プロピレン、ブチレン、ブタジエン及び/又はイソプレン単位のみから成る柔らかいブロックを有するブロックコポリマーを排除している。
本発明の主題はさらに、弾性特性を有するこれらのブロックエチレン系コポリマーを含む化粧組成物である。
本発明の他の主題は、20℃以上のガラス転移温度(Tg)を有する少なくとも一つの固いブロックと20℃より低いガラス転移温度(Tg)を有する少なくとも一つの柔らかいブロックを含む、弾性特性を有するブロックエチレン系コポリマーを使用して、ヘアラッカーの柔軟性及びスタイリング力を改善し、マニキュアの衝撃強さを増強し又はメーキャップ組成物の保持力を改善することである。
他の主題は以下の説明及び実施例を読むことによって明らかとなろう。
【0006】
本発明で使用する“モノマーから誘導した単位”という表現は、該モノマーの重合によって得られたポリマーの連続した単位を意味する。
本発明に従って化粧品として使用するブロックエチレン系コポリマーは少なくとも二つのモノマーのブロックを含むものであり、これらはそのガラス転移温度に関して相違し、一方は室温(20℃)以上のガラス転移温度を有し、他方は室温より低いガラス転移温度を有する。第1の型のブロックを、室温でポリマーのこの部分がガラス状態であるために通常“固い”と呼び、一方、室温でプラスチック状態である第2の型のブロックを、“柔らかい”と呼ぶ。
上記したように、これらの弾性特性を有するブロックエチレン系コポリマーを好ましくは上記した制御フリーラジカル重合によって製造し、特に、“ポリマー合成の新規な方法(New Method of Polymer Synthesis)”、Blackie Academic & Professional、ロンドン、1995、2巻、1頁、又はC.J.ホーカー(Hawker)による、Trends Polym. Sci., 4、183頁(1996)に記載した制御フリーラジカル重合によって製造する。
【0007】
制御フリーラジカル重合によって、生長するフリーラジカル種の失活反応、特に停止反応を減少させることが可能となり、この反応は標準のフリーラジカル重合では非可逆的かつ制御できないやり方でポリマー鎖の成長を中断するものである。
停止反応の可能性を減少させるために、低い解離エネルギーを有する結合の形態にある“休止状態の(dormant)”活性種を形成することによってフリーラジカル種の生長を一時的かつ可逆的にブロックすることが提案されている。
従って、原子−移動技術に従い又はニトロキシドとの反応により、又は“可逆性付加−断片化連鎖移動(reversible addition-fragmentation chain transfer)”技術に従って、重合を行うことができる。
原子−移動フリーラジカル重合技術は、短縮してATRPとしても知られており、生長するフリーラジカル種をC−ハライド型の結合の形態でブロックすること(金属/リガンド錯体の存在下に)から成る。この型の重合は、形成されたポリマーの質量の制御により及び低い多分散性指数により反映される。
【0008】
一般に、原子−移動フリーラジカル重合は、以下の存在下に一又は複数のフリーラジカル重合可能なモノマーを重合することによって行われる:
−少なくとも一つの移動可能なハロゲン原子を有するプライマー、
−プライマー及び“休止状態の(dormant)”ポリマー鎖と共に還元工程に関与することが可能な遷移金属を含む化合物、及び
−窒素(N)、酸素(O)、リン(P)又は硫黄(S)原子を含む化合物から選択することができ、遷移金属を含む該化合物にσ結合を介して結合可能なリガンド、ただし、遷移金属を含む該化合物と形成するポリマーの間の直接結合の形成は避ける。
ハロゲン原子は好ましくは塩素又は臭素原子である。
この方法は特に特許出願WO 97/18247及びマチヤゼビスキー(Matyjasezwski)他により、JACS、117、5614頁(1995)に公表された論文に記載されている。
【0009】
ニトロキシドとの反応によるフリーラジカル重合の技術は、生長するフリーラジカル種をC−ONR12型の結合の形でブロックすることから成り、ここで、R1及びR2は相互に独立に2〜30の炭素原子を含むアルキル基であるか又は窒素原子と一緒になって4〜20の炭素原子を含む環、例えば2,2,6,6−テトラメチルピペリジル環を形成することができる。この重合技術は特に、Macromolecules 1997, 30巻, 4238-4242頁に公表された“ニトロキシ−官能化停止剤を使用するアニオン重合によるニトロキシ−官能化ポリブタジエンの合成(Synthesis of nitroxy-functionalized polybutadiene by anionic polymerization)”の論文、Macromol. Chem. Phys. 1998, Vol. 199, 923-935頁に公表された“生きたフリーラジカル重合を経由する高分子エンジニアリング(Macromolecular engineering via living free radical polymerizations)”の論文又は特許出願WO−A−99/03894に記載されている。
【0010】
RAFT(可逆性付加−断片化連鎖移動(reversible addition-fragmentation chain transfer))重合技術は、生長するフリーラジカル種をC−S型の結合の形でブロックすることから成る。ジチオ化合物、例えばチオベンゾエート、ジチオカルバメート又はキサンタンジスルフィドをこれに使用する。この技術は特に特許出願WO−A−98/58974及びMacromolecules, 1999, 32巻, 2071-2074頁に公表された“生きたラジカル重合によって複合構造のブロックコポリマー及び他のポリマーに至るより多様な経路:RAFT法(A more versatile route to block copolymers and other polymers of complex architecture by living radical polymerization: the RAFT process)”の論文に記載されている。
モノマー、プライマー、遷移金属を含む化合物及びリガンドの本質及び性質を、当業者は所望の結果に従ってその一般的知識に基づいて選択する。
本発明で使用するコポリマーの固いブロックと柔らかいブロックのガラス転移温度を、ASTM標準D3418−97に従って、示差走査熱量計(DSC)で測定する。
【0011】
先に定義したブロックコポリマーが化粧品としての使用に有利な弾性特性を有するためには、固いブロックと柔らかいブロックが相溶性であってはならず、すなわち、 相互に非混和性でなければならない。この熱力学的な非混和性は、ポリマーネットワークの物理的架橋のための点として作用する固いブロック微小領域の形成に絶対必要な条件である。これらの物理的な架橋点は高分子系に弾性特性を与え、すなわち、少なくとも部分的に延伸後に元の状態に戻る性質を与える。
上記のブロックコポリマーの弾性特性を特徴付ける物理的パラメーターはその引っ張りに対する回復である。この回復を引っ張りクリープ試験によって決定し、この試験は所定の長さまで試験片を急速に延伸し、次いで応力を取り除き、かつ試験片の長さを測定することから成る。
本発明のブロックコポリマーの弾性特性を特徴付けるのに使用するクリープ試験を以下のように行う:
使用する試験片は、コポリマーフィルムを厚さ500±50μm、80mm×15mmに切断したストリップ状のものである。このコポリマーフィルムを、水又はエタノール中の該コポリマーの6質量%溶液又は懸濁液を、22±2℃の温度でかつ50±5%の相対湿度で乾燥することによって得る。
【0012】
各片を50±1mm離れたあご部に固定し、20mm/分の速度(上記の温度及び相対湿度の条件下において)で50%(εmax)の長さまで、すなわち最初の長さの1.5倍まで引き延ばす。次いで、引っ張り速度、すなわち20mm/分の戻し速度を与えて応力を取り除き、ゼロ負荷(εi)に戻った直後に試験片の伸び(最初の長さに対する百分率で表して)を測定する。
即時回復(Ri)を以下の式に従って計算する:
i(%)=((εmax−εi)/εmax)×100
即時回復の値は多くの因子、例えば固い又は柔らかいブロックの本質、数、配置及び相対比率又はポリマーの分子量に依存する。本発明の弾性特性を有するブロックコポリマーは、上記の条件下で測定して、5%〜100%の、好ましくは5%〜95%の、より好ましくは10%〜90%の、さらには20%〜80%の、理想的には55%〜78%の即時回復率(Ri)を有する。
本発明に従うと、各ブロックは一又は複数の異なる型のモノマーから成ることができ、すなわち、ホモポリマー型のブロック又はランダム若しくは交互コポリマー型のブロックであることができる。いくつかの異なるモノマーから成る可能性があるとしても、各ブロックは唯一のガラス転移温度を有する。
【0013】
本発明では、これらの二つの型のブロック、すなわち固いブロックと柔らかいブロックのガラス転移温度の差異は、好ましくは少なくとも20℃に等しく、特に20〜160℃、特に50℃以上、さらに50℃〜160℃、理想的には100℃以上、特に100〜160℃である。
本発明の弾性特性を有するブロックエチレン系コポリマーを以下から選択することができる:
−式ABのジブロックコポリマー、
−式ABA又はBABのトリブロックコポリマー、及び
−式(AB)n、B(AB)n又は(AB)nAのポリブロックコポリマー
式中、Aは先に定義した固いブロックを表し、Bは先に定義した柔らかいブロックを表し、nは少なくとも2に等しく、好ましくは2又は3に等しく、同一ポリマーのブロックAは同一又は異なることができ、かつ同一ポリマーのブロックBは同一又は異なることができる。
本発明では、構造ABAのトリブロックコポリマーを使用することが特に最も好ましく、すなわち、ガラス転移温度が20℃以上である二つの同一又は異なる固いブロック(A)から成り、20℃より低いガラス転移温度を有する柔らかい中央のブロック(B)を取り囲むコポリマーを使用することが最も好ましい。
【0014】
ブロックA(固い)は、最終ブロックコポリマーの質量に対して好ましくは10質量%〜60質量%、特に15質量%〜50質量%存在し、従ってブロックB(柔らかい)は、最終ブロックコポリマーの質量に対して好ましくは40質量%〜90質量%、特に50質量%〜85質量%存在する。
本発明に従って化粧品として使用する弾性特性を有するブロックエチレン系コポリマーは、20℃以上のガラス転移温度(Tg)を有する少なくとも一つの固いブロック及び、20℃より低いガラス転移温度(Tg)を有する少なくとも一つの柔らかいブロックを含み、該ブロックは以下の式から選択する一又は複数のエチレン系モノマーから誘導した単位から成る:
(I) R12C=CR34
式中、R1、R2、R3及びR4は相互に独立に、以下を表す:
−水素又はハロゲン原子、
−一又は複数のハロゲン原子又は一又は複数のOH基で置換されていてもよいC1-20アルキル基、
−一又は複数のハロゲン原子で置換されていてもよい2〜10の炭素原子を含む直鎖又は分岐したα,β−不飽和アルケニル又はアルキニル基、
−一又は複数のハロゲン原子で置換されていてもよいC3-8シクロアルキル基、
【0015】
−シアノ基、
−アリール基、
−一又は複数のN、O、S及びP原子を含む4員から12員のへテロ環式基、
−基−C(=Y)R5、−CH2C(=Y)R5、−C(=Y)NR67、−YC(=Y)R5、−NR6C(=Y)R5、−SOR5、−SO25、−OSO25、−NR8SO25、−PR52、−P(=Y)R52、−YPR52、−YP(=Y)R52又は追加のR8で任意に四級化した−NR82、式中、
Yは基NR8、S又はOを表し、
5は任意にヒドロキシル化したC1-20アルキル、アルコキシ又はアルキルチオ、任意にエーテル化したモノ−又はポリ(アルキレンオキシ)、ヒドロキシル、−OM(M=アルカリ金属)、アリールオキシ又はヘテロ環オキシ基を表し、
6及びR7は相互に独立して水素原子又はC1-20アルキル基を表すか又はそれに結合する窒素原子と共に3員から8員の環を形成し、かつ
8は水素原子又はC1-20アルキル又はアリール基を表す、
【0016】
−基−C(=O)−X−R9−Z又は−R9−Z、式中、
9は飽和又は不飽和の、直鎖、分岐した又は環状の、任意にハロゲン化したC1-20炭化水素をベースとする、一又は複数のヘテロ原子を含んでもよい二価の基を表し、
Xは基NR10又は酸素原子を表し、
Zは−N(R10)2、−S−R10又はP(R10)2基を表し、式中各R10は独立に、飽和又は不飽和の、直鎖、分岐した又は環状の、任意にハロゲン化したC1-20炭化水素をベースとする、一又は複数のヘテロ原子を含んでもよい基を表し、
X及びZの窒素原子は、C1-20アルキル基でプロトン化又は四級化されていてもよい、
−基−R9−NR10−酸又は−C(=O)−X−R9−NR10−酸、式中酸はカルボン酸、スルホン酸又はホスホン酸官能基を表し、R9及びR10はそれぞれ上記の意味を有する、
−少なくとも一つのケイ素原子を含む基、特に−R−シロキサン、−CONHR−シロキサン、−COOR−シロキサン又は−OCO−R−シロキサン基、式中RはC1-20アルキル、アルキルチオ又はアルコキシ、アリールオキシ又はヘテロ環オキシ基である。
【0017】
しかしながら、エチレン、プロピレン、ブチレン、ブタジエン及び/又はイソプレン単位のみから成る柔らかいブロックを有するブロックコポリマーは、本発明から排除される。
好ましくは、本発明の弾性特性を有するブロックエチレン系コポリマーの固いブロックは、以下から選択する一又は複数のエチレン系モノマーの単位から成る:
−アクリル酸又はメタクリル酸、
−直鎖、分岐した又は環状鎖を含むC1-20アルキルメタクリレート、例えばメチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート及びシクロヘキシルメタクリレート、
−C1-4ヒドロキシアルキルメタクリレート、例えば2−ヒドロキシエチルメタクリレート及び2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、
−ビニルエステル、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル及びt−ブチル安息香酸ビニル、
【0018】
−ヘテロ環モノマー、例えばN−ビニルピロリドン、ビニルカプロラクタム、ビニル−N−(C1-6アルキル)ピロール、ビニルオキサゾール、ビニルチアゾール、ビニルピリミジン及びビニルイミダゾール、
−(メタ)アクリルアミド、
−脂肪族、脂環式又は芳香族メタクリルアミド、例えばt−ブチルアクリルアミド及びジ(C1-4アルキル)メタクリルアミド、
−スチレン、
−置換スチレン、
−フルオロ基又はペルフルオロ基を含む(メタ)アクリル又はビニルモノマー、例えばペルフルオロオクチルエチルメタクリレート、又はフルオロ又はペルフルオロ基を含む(メタ)アクリルアミド、
−(メタ)アクリル又はビニルシリコーンモノマー、例えばメタクリルオキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、又はシリコーン(メタ)アクリルアミド、
【0019】
−任意に中和した又は四級化したアミン官能基を含むアクリル又はビニルモノマー、例えばジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリルアミド、ビニルアミン、ビニルピリジン及びジアリルジメチルアンモニウムクロリド、
−例えばアミン官能基を含むエチレン系不飽和を含むモノマーを、不安定なハロゲンを含むカルボン酸のナトリウム塩(例えばナトリウムクロロアセテート)又は環状スルホン(例えばプロパンスルトン)で四級化して得られたエチレン系カルボキシベタイン又はスルホベタイン。
挙げることができる好ましい固いブロックの例は、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリスチレン及びポリ(ペルフルオロオクチルエチルメタクリレート)ブロックである。
【0020】
好ましくは、本発明の弾性特性を有するブロックエチレン系コポリマーの柔らかいブロックは、以下から選択する一又は複数のエチレンモノマーから誘導する単位から成る:
−直鎖、分岐した又は環状鎖を含むC1-20アルキルアクリレート、例えばメチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、イソブチルアクリレート及びt−ブチルアクリレート、
−C6-20アリールアクリレート、
−C1-4ヒドロキシアルキルアクリレート、例えば2−ヒドロキシエチルアクリレート及び2−ヒドロキシプロピルアクリレート、
−任意にエーテル化したヒドロキシル末端を含むモノ−、ジ−又はポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、例えばエチレングリコールの、ジエチレングリコールの又はポリエチレングリコールの(メタ)アクリレート、
−脂肪族、脂環式又は芳香族(メタ)アクリルアミド、例えばウンデシルアクリルアミド又はN−オクチルアクリルアミド、
−ビニルエーテル、例えばビニルイソブチルエーテル、
−置換スチレン、
−フルオロ又はペルフルオロ基を含むアクリル又はビニルモノマー、例えばペルフルオロアルキル鎖を含むアクリル酸エステル、例えばペルフルオロオクチルエチルアクリレート、
−アクリル又はビニルシリコーンモノマー、例えばアクリルオキシプロピルポリジメチルシロキサン。
【0021】
挙げることができる好ましい柔らかいブロックの例は、ポリ(ブチルアクリレート)及びポリ(2−エチルヘキシルアクリレート)ブロックである。
本発明で化粧品として使用するのに特に有利なポリマーは以下のものである:
−ポリ(メチルメタクリレート―b−ブチルアクリレート−b−メチルメタクリレート)トリブロックコポリマー
−ポリ(メチルメタクリレート−b−イソブチルアクリレート−b−メチルメタクリレート)トリブロックコポリマー及び
−ポリ(メチルメタクリレート−b−ブチルアクリレート−b−スチレン)トリブロックポリマー。
本発明の主題は、上記の弾性特性を有するブロックエチレン系コポリマーを含む化粧組成物でもある。
これらの化粧組成物は、適切な、生理学的に受容可能な溶媒媒体中に溶解した又は分散した形態にある、弾性のあるブロックエチレン系コポリマーを含む。
【0022】
挙げることができるこのような溶媒の例は以下を含む:水、ケトン、例えばメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、イソホロン、シクロヘキサノン又はアセトン、低級アルコール、例えばエタノール、イソプロパノール、ジアセトンアルコール、2−ブトキシエタノール又はシクロヘキサノール、アルキレングリコール、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール又はペンチレングリコール、アルキレングリコールエーテル、例えばプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート又はジプロピレングリコールモノブチルエーテル、C2-7アルキルアセテート、例えば酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル又は酢酸イソペンチル、エーテル、例えばジエチルエーテル、ジメチルエーテル又はジクロロジエチルエーテル、アルカン、例えばデカン、ヘプタン、ドデカン又はシクロヘキサン、芳香族炭化水素、例えばトルエン及びキシレン、揮発性油、例えば環状又は直鎖揮発性シリコーン油、炭化水素をベースとする揮発性油、例えばイソパラフィン、又はフルオロ油。
【0023】
弾性のあるブロックエチレン系コポリマーは、その化学構造に依存した濃度で化粧組成物中に存在するが、特に化粧組成物の型に依存した濃度で存在する。一般に、弾性特性のあるブロックコポリマーのこの濃度は、1質量%〜99質量%、好ましくは5%質量%〜50質量%、さらには7質量%〜40質量%である。
本発明の化粧組成物は、油、ゴム及び/又はワックスから成る脂肪相も含むことができる。
室温(25℃)で液状である化粧品として受容可能な油、脂肪物質は、炭化水素をベースとしたもの及び/又はシリコーン及び/又はフルオロ油であることができる。これらは動物起源、植物起源、無機物起源又は合成物起源であることができる。
特に以下のものを単独又は混合物として挙げることができる:
・動物起源の炭化水素をベースとした油、例えばペルヒドロスクアレン、
・炭化水素をベースとした植物油、例えばヒマワリ油、トウモロコシ油、大豆油、インゲン豆油、ブドウ種子油、落花生油、ヘントウ油、カロフィラム(calophyllum)油、パーム油、ゴマ油、ヘーゼルナッツ油、アプリコット油、マカダミア油、ヒマシ油、アボカド油、ホホバ油及びシアバター、C4-10脂肪酸の液状トリグリセリド、例えばヘプタン酸又はオクタン酸トリグリセリド、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、例えばステアリネリーズデュボワ(Stearineries Dubois)社によって市販されているもの又はディナミノベル(Dynamit Nobel)社によってMiglyol(登録商標)810、812及び818の名称で市販されているもの、
【0024】
・無機物又は合成物起源の直鎖又は分岐した炭化水素、例えば液状パラフィン及びその誘導体、ワセリン、ポリデセン、パーセリン油、又は水素添加したポリイソブテン、例えばパーレム(parleam)、
・合成エステル、特に
−脂肪酸エステル、例えば式R3COOR4の油、式中R3は7〜29の炭素原子を含む高級脂肪酸残基を表し、R4は3〜30の炭素原子を含む炭化水素をベースとする鎖を表す、例えばイソプロピルミリステート、2−エチルヘキシルパルミテート、2−オクチルドデシルステアレート、2−オクチルドデシルエルケート及びイソステアリルイソステアレート、
−ヒドロキシル化エステル、例えばイソステアリルラクテート、オクチルヒドロキシステアレート、オクチルドデシルヒドロキシステアレート、ジイソステアリルマレート及びトリイソセチルシトレート、
−ポリオールエステル、例えばプロピレングリコールジオクタノエート、ネオペンチルグリコールジヘプタノエート、ジエチレングリコールジイソノナノエート及びペンタエリスリトールエステル、
【0025】
・12〜26の炭素原子を含む脂肪アルコール、例えばオクチルドデカノール、2−ブチルオクタノール、2−ヘキシルデカノール、2−ウンデシルペンタデカノール及びオレイルアルコール、
・部分的にフッ素化した及び/又はケイ素化した炭化水素をベースとする油、
・シリコーン油、例えば揮発性又は非揮発性、直鎖又は環状ポリジメチルシロキサン、アルキルジメチコーン、任意にフッ素化した脂肪族及び/又は芳香族基又はヒドロキシル、チオール及び/又はアミン基のような官能基で変性したシリコーン、及びフェニルシリコーン油、例えばポリフェニルメチルシロキサン又はフェニルトリメチコーン。
使用する油は揮発性及び/又は非揮発性であることができる。“揮発性”という用語は、油を適用した支持体から室温で蒸発することが可能な油を意味し、換言すれば25℃かつ1気圧において測定可能な0Paより大きい蒸気圧、特に0.13〜40000Paの範囲の蒸気圧を有する油を意味する。特に揮発性のシリコーン油、例えば環状又は直鎖揮発性シリコーン及びシクロコポリマーを挙げることができる。炭化水素をベースとする揮発性油、例えばイソパラフィン及び揮発性フルオロ油も挙げることができる。
【0026】
使用可能な化粧品として受容可能なゴム及び/又はワックスのうち以下を挙げることができる:
・シリコーンゴム、
・動物、植物、無機物又は合成物起源のワックス、例えば微結晶ワックス、パラフィン、流動パラフィン、ワセリン、オゾケライト、リグニンワックス、蜜ロウ、ラノリン及びその誘導体、キャンデリラワックス、オーリカリーワックス、カルナウバワックス、木ロウ、ココアバター、コルク繊維ワックス、サトウキビワックス、25℃で固形の水素添加した油、室温で固形の脂肪エステル及びグリセリド、ポリエチレンワックス、フィッシャー−トロピシュ合成で得られたワックス及びラノリン、
・シリコーンワックス、及び
・フルオロワックス。
【0027】
本発明の化粧組成物は、一又は複数の増粘剤、一又は複数のフィルム−形成性ポリマー及び/又は一又は複数の可塑剤も含むことができる。
顔料及び/又は真珠光沢剤及び/又は充填剤より成る粒子相も、本発明の化粧組成物に存在させることができる。
“顔料”という用語を、白色又は着色した無機又は有機の粒子で、組成物を着色又は不透明化することを意図する粒子を意味すると理解すべきである。例えば、二酸化チタン、二酸化ジルコニウム又は二酸化セリウム、酸化亜鉛、酸化鉄又は酸化クロム、フェリックブルー、クロム水和物、カーボンブラック、ウルトラマリーン(アルミノシリケートポリスルフィド)、マンガンピロホスフェート及び金属粉末、例えば銀又はアルミニウム粉末を挙げることができる。レーキ、例えばカルシウム、バリウム、アルミニウム又はジルコニウム塩を挙げることができる。これらの顔料は一般に、最終組成物の0質量%〜15質量%の割合で、好ましくは8質量%〜10質量%の割合で存在する。
【0028】
本発明では、“充填剤”という用語は、無色又は白色の、無機又は有機の、ラメラ状の又はラメラ状でない粒子であって、組成物にボディ又は剛性を与え及び/又はメーキャップの柔らかさ、マット効果及び均一さを与える意図のものを意味している。本発明の化粧組成物で使用することができる充填剤を、例えば以下から選択する:タルク、マイカ、シリカ、カオリン、ナイロン粉末、ポリエチレン粉末、テフロン(登録商標)、デンプン、窒化ホウ素、ポリマーミクロスフェア、例えばノーベルインダストリー(Nobel Industrie)社のExpancel(登録商標)又はダウコーニング(Dow Corning)社のPolytrap(登録商標)、シリコーン樹脂ミクロビーズ、例えば東芝社のTospearls(登録商標)、沈降炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸水素マグネシウム、及びC8-22のカルボン酸から誘導した金属石鹸。
充填剤は一般に、化粧組成物の最終質量に対して0質量%〜80質量%、好ましくは5質量%〜15質量%の割合で存在する。
【0029】
“真珠光沢剤”という用語は、光を反射する真珠色の粒子を意味すると解すべきである。例えば、天然真珠母、酸化チタンを、酸化鉄を、天然顔料を、又はビスマスオキシクロリドを被覆したマイカ、及び着色したチタニウムマイカも挙げることができる。
真珠光沢剤は一般に、最終化粧組成物の質量の0質量%〜20質量%の比率で、好ましくは8質量%〜15質量%の比率で存在する。
組成物は化粧品で通常使用する数種類の以下の添加物を含むことができる:抗酸化剤、芳香剤、精油、保存剤、親油性又は親水性の化粧品として活性な剤、湿潤剤、ビタミン、着色剤、必須脂肪酸、スフィンゴ脂質、自己日焼け剤、日焼け防止剤、消泡剤、封鎖剤、抗酸化剤又はフリーラジカル除去剤。
いうまでもなく、当業者は、本発明に従う組成物の有利な性質が意図する添加によって悪影響を受けないか実質的に受けないように、任意の添加化合物を十分に注意して選択する。
【0030】
上記の弾性のあるブロックコポリマーを含む本発明の化粧組成物は、化粧品が通常とるいかなる形態であってもよく、すなわち、ローション、懸濁物、分散物、任意に増粘した又はゲル化した有機、水性又は水性−アルコール性溶液、ムース、スプレー、水中油型、油中水型又は多層乳剤、フリーの、コンパクト又はキャストパウダー、固形又は無水ペーストであってもよい。
本組成物は、特にケア用、衛生用及び/又はメーキャップ用製品であることができる。本発明の化粧組成物の好ましい態様の代表は、ヘア組成物、特にスタイリング組成物、例えばスタイリングラッカー、ジェル又はシャンプー、マニキュア液及び顔、ボディ又は外皮(爪、まつげ、眉毛又は毛髪)用メーキャップ組成物、例えばアイシャドウ、フェイスパウダー、アイライナー、マスカラ、フリー又はコンパクトパウダー、ファンデーション、着色クリーム、口紅、シミ隠蔽スティック等である。
以下の実施例は本発明を説明するものであり、本発明を何ら制限する性質のものではない。
【0031】
実施例1
二官能性重合プライマーの製造
二官能性プライマーを以下の反応図式に従って製造する:
HO−(CH2)4−OH+2C(CH3)2(Br)−C(=O)Br
THF/トリエチルアミン
→(CH3)2BrC−C(=O)−O−(CH2)4−O−C(=O)−C(CH3)2Br
これを実施するために、18g(0.2モル)の1,4−ブタジエンを100gのテトラヒドロフランと混合し、この混合物を室温で10分間平衡させる。次いで40.4g(0.4モル)のトリエチルアミンを30分かけてゆっくり加えて、溶液の温度が急に上昇しないようにする。次いで92g(0.4モル)の2−ブロモイソブチリルブロミドを、5℃に冷却しつつ3時間にわたって非常にゆっくり添加する。この添加の間、反応溶液が次第に黄色くなるのが分かる。攪拌を25℃で一夜続け、次いで温度を放置して室温まで徐々に戻す。
THFを留去して反応溶液を濃縮し、残渣を水から沈殿させる。次いで水相を3回エチルエーテルで抽出し、その後エーテル相を硫酸マグネシウム上で乾燥する。
エーテルを留去後、63gのビス(n−ブチル1,4−ブロモイソブチレート)が得られ、これは80%の収率に相当する。
【0032】
実施例2
ポリ(メチルメタクリレートb−ブチルアクリレート−b−メチルメタクリレート)トリブロックコポリマーの製造
工程I:アクリル酸ブチルの重合
実施例1で製造した二官能性プライマー0.078g(2×10-4モル)、CuBr2.9×10-4モル、2,2'−ビピリジン5.7×10-4モル及び30gのアクリル酸ブチルを、無酸素下で窒素導入口を有する密閉反応器中で一緒に混合する。120℃の温度で窒素雰囲気下に混合物を加熱し、窒素導入口を閉鎖し、この温度を5時間保つ。
工程II:メタクリル酸メチルの重合
次いで反応混合物に12gのメタクリル酸メチルを添加し、混合物を120℃で3時間反応させ、次いで室温まで放冷する。42gの粘稠な緑色の溶液が得られ、これを約100mlのジクロロメタンに溶解させる。このポリマー溶液を中性アルミナベッドに通し、次いで5倍容量のメタノール/水(80/20)混合物から透明な溶液を沈殿させる。
この結果ペーストの形態で37gのポリマーが得られ、これは90質量%の収率に相当する。
ペーストを熱ヘプタンで洗浄して存在する残渣モノマーをそれから除去する。
質量平均及び数平均分子量を、ゲル浸透液体クロマトグラフィーで決定する(THF溶媒、直鎖のポリスチレン標準でキャリブレーション曲線を作成する)。数平均分子量(Mn)は51,900であり、質量平均分子量(Mp)は114,500である。
コポリマーは二つのガラス転移温度Tgを示し、第1のそれは−47℃でポリブチルアクリレートブロックによるものであり、第2のそれは70℃でポリ(メチルメタクリレート)ブロックによるものである。
コポリマーの即時回復は75%である。
【0033】
実施例3
ラッカーの製造
エタノール中に実施例2で製造したポリマーを9質量%含む溶液100gと噴射剤ガスとしてジメチルエタノール75gでエーロゾルを製造する。
18cmの長さの褐色がかった栗色の一束の毛髪に該組成物をスプレーし、0(劣る)から5(優秀)までの5段階を使用して5人のパネルにより束のヘアスタイルの保持及び柔軟性を評価する。束のヘアスタイルの保持に対して段階4が得られ、かつ束の柔軟性に対して段階4が得られる。
【0034】
実施例4
マニキュア液の製造
酢酸エチル中に、実施例2で得られたポリマーを25質量%の割合で溶解させる。 溶液を通常のやり方で爪に適用する。乾燥したマニキュアは経時変化に対して良好な耐久性を示す。それは摩滅することなくかつ光沢を保持する。それは標準的なアセトンをベースとする溶媒で直ちに除去される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を含む弾性特性を有するブロックエチレン系コポリマーの化粧品への使用:
(a) 一又は複数のエチレン系モノマーから誘導した単位から成り、20℃以上のガラス転移温度(Tg)を有する少なくとも一つの固いブロック、及び
(b) 一又は複数のエチレン系モノマーから誘導した単位から成り、20℃より低いガラス転移温度(Tg)を有する少なくとも一つの柔らかいブロック、
ここで、該コポリマーは、5%〜100%の即時回復を有するフィルムの製造を可能にし、エチレン、プロピレン、ブチレン、ブタジエン及び/又はイソプレン単位のみから成る柔らかいブロックを有するブロックコポリマーを排除している。
【請求項2】
弾性特性を有するブロックエチレン系コポリマーが制御フリーラジカル重合によって得られるポリマーであることを特徴とする、請求項1に記載された使用。
【請求項3】
固いブロックが20℃以上のガラス転移温度(Tg)を有しかつ以下から選択する一又は複数のエチレン系モノマーから誘導する単位から成ることを特徴とする、請求項1又は2に記載の使用:アクリル酸又はメタクリル酸、直鎖、分岐した又は環状鎖を含むC1-20アルキルメタクリレート、C1-4ヒドロキシアルキルメタクリレート、ビニルエステル、ヘテロ環モノマー、(メタ)アクリルアミド、脂肪族、脂環式又は芳香族メタクリルアミド、スチレン、置換スチレン、フルオロ基又はペルフルオロ基を含む(メタ)アクリル又はビニルモノマー又はフルオロ基若しくはペルフルオロ基を含む(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル又はビニルシリコーンモノマー又はシリコーン(メタ)アクリルアミド、任意に中和した又は四級化したアミン官能基を含むアクリル又はビニルモノマー、及びエチレン系カルボキシベタイン又はスルホベタイン。
【請求項4】
柔らかいブロックが20℃より低いガラス転移温度(Tg)を有しかつ以下から選択する一又は複数のエチレンモノマーから誘導する単位から成ることを特徴とする、先の請求項1ないし3の1項に記載の使用:直鎖、分岐した又は環状鎖を含むC1-20アルキルアクリレート、C6-20アリールアクリレート、C1-4ヒドロキシアルキルアクリレート、任意にエーテル化したヒドロキシル末端を含むモノ−、ジ−又はポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、脂肪族、脂環式又は芳香族(メタ)アクリルアミド、ビニルエーテル、置換スチレン、フルオロ又はペルフルオロ基を含むアクリル又はビニルモノマー、及びアクリル又はビニルシリコーンモノマー。
【請求項5】
ブロックエチレン系コポリマーを以下から選択することを特徴とする、先の請求項1ないし4のいずれか1項に記載の使用:式ABのジブロックコポリマー、式ABA又はBABのトリブロックコポリマー、及び式(AB)n、B(AB)n又は(AB)nAのポリブロックコポリマー
式中、各Aは室温(20℃)以上のガラス転移温度を有する固いブロックを表し、各Bは室温(20℃)より低いガラス転移温度を有する柔らかいブロックを表し、nは少なくとも2に等しく、好ましくは2又は3に等しく、同一ポリマーのブロックAは同一又は異なることができ、かつ同一ポリマーのブロックBは同一又は異なることができる。
【請求項6】
エチレン系コポリマーが式ABAのトリブロックコポリマーであり、式中、各Aが独立に室温(20℃)以上のガラス転移温度を有する固いブロックを表しかつBが室温(20℃)より低いガラス転移温度を有する柔らかいブロックを表すことを特徴とする、請求項5に記載の使用。
【請求項7】
ブロックエチレン系コポリマーを以下から選択することを特徴とする、先の請求項1ないし6のいずれか1項に記載の使用:
−ポリ(メチルメタクリレート―b−ブチルアクリレート−b−メチルメタクリレート)トリブロックコポリマー
−ポリ(メチルメタクリレート−b−イソブチルアクリレート−b−メチルメタクリレート)トリブロックコポリマー及び
−ポリ(メチルメタクリレート−b−ブチルアクリレート−b−スチレン)トリブロックポリマー。
【請求項8】
固いブロックAが柔らかいブロックBと非相溶性であること、すなわち非混和性であることを特徴とする、先の請求項1ないし7のいずれか1項に記載の使用。
【請求項9】
固いブロックと柔らかいブロックとのガラス転移温度の間の差異が少なくとも20℃に等しく、好ましくは50℃より大きく、理想的には100℃より大きいことを特徴とする、先の請求項1ないし8のいずれか1項に記載の使用。
【請求項10】
ブロックポリマーの即時回復が5%〜95%、好ましくは10%〜90%、特に20%〜80%、理想的には55%〜78%であることを特徴とする、先の請求項1ないし9のいずれか1項に記載の使用。
【請求項11】
最終ブロックコポリマーの質量に対してブロックAが10質量%〜60質量%、特に15質量%〜50質量%存在し、かつブロックBが最終ブロックコポリマーの質量に対して40質量%〜90質量%、特に50質量%〜85質量%存在することを特徴とする、先の請求項1ないし10のいずれか1項に記載の使用。
【請求項12】
以下を含む弾性特性を有する少なくとも一つのブロックエチレン系コポリマーを生理学的に受容可能な媒体中に含む化粧組成物:
(a) 一又は複数のエチレン系モノマーから誘導した単位から成り、20℃以上のガラス転移温度(Tg)を有する少なくとも一つの固いブロック、及び
(b) 一又は複数のエチレン系モノマーから誘導した単位から成り、20℃より低いガラス転移温度(Tg)を有する少なくとも一つの柔らかいブロック、
ここで、該コポリマーは、5%〜100%の即時回復を有するフィルムの製造を可能にし、エチレン、プロピレン、ブチレン、ブタジエン及び/又はイソプレン単位のみから成る柔らかいブロックを有するブロックコポリマーを排除している。
【請求項13】
弾性特性を有するブロックエチレン系コポリマーが制御フリーラジカル重合によって得られるポリマーであることを特徴とする、請求項12に記載された化粧組成物。
【請求項14】
固いブロックが20℃以上のガラス転移温度(Tg)を有しかつ以下から選択する一又は複数のエチレン系モノマーから誘導する単位から成ることを特徴とする、請求項12又は13に記載の化粧組成物:アクリル酸又はメタクリル酸、直鎖、分岐した又は環状鎖を含むC1-20アルキルメタクリレート、C1-4ヒドロキシアルキルメタクリレート、ビニルエステル、ヘテロ環モノマー、(メタ)アクリルアミド、脂肪族、脂環式又は芳香族メタクリルアミド、スチレン、置換スチレン、フルオロ基又はペルフルオロ基を含む(メタ)アクリル又はビニルモノマー又はフルオロ基若しくはペルフルオロ基を含む(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル又はビニルシリコーンモノマー又はシリコーン(メタ)アクリルアミド、任意に中和した又は四級化したアミン官能基を含むアクリル又はビニルモノマー、及びエチレン系カルボキシベタイン又はスルホベタイン。
【請求項15】
柔らかいブロックが20℃より低いガラス転移温度(Tg)を有しかつ以下から選択する一又は複数のエチレンモノマーから誘導する単位から成ることを特徴とする、請求項12ないし14の1項に記載の化粧組成物:直鎖、分岐した又は環状鎖を含むC1-20アルキルアクリレート、C6-20アリールアクリレート、C1-4ヒドロキシアルキルアクリレート、任意にエーテル化したヒドロキシル末端を含むモノ−、ジ−又はポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、脂肪族、脂環式又は芳香族(メタ)アクリルアミド、ビニルエーテル、置換スチレン、フルオロ又はペルフルオロ基を含むアクリル又はビニルモノマー、及びアクリル又はビニルシリコーンモノマー。
【請求項16】
ブロックエチレン系コポリマーを以下から選択することを特徴とする、請求項12ないし15のいずれか1項に記載の化粧組成物:式ABのジブロックコポリマー、式ABA又はBABのトリブロックコポリマー、及び式(AB)nのポリブロックコポリマー
式中、各Aは室温(20℃)以上のガラス転移温度を有する固いブロックを表し、各Bは室温(20℃)より低いガラス転移温度を有する柔らかいブロックを表し、nは少なくとも2に等しく、好ましくは2又は3に等しく、同一ポリマーのブロックAは同一又は異なることができ、かつ同一ポリマーのブロックBは同一又は異なることができる。
【請求項17】
エチレン系コポリマーが式ABAのトリブロックコポリマーであり、式中、各Aが独立に室温(20℃)以上のガラス転移温度を有する固いブロックを表しかつBが室温(20℃)より低いガラス転移温度を有する柔らかいブロックを表すことを特徴とする、請求項12ないし16のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項18】
固いブロックAが柔らかいブロックBと非相溶性であること、すなわち非混和性であることを特徴とする、請求項12ないし17のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項19】
エチレン系コポリマーを以下から選択することを特徴とする、請求項12ないし18のいずれか1項に記載の化粧組成物:
−ポリ(メチルメタクリレート―b−ブチルアクリレート−b−メチルメタクリレート)トリブロックコポリマー
−ポリ(メチルメタクリレート−b−イソブチルアクリレート−b−メチルメタクリレート)トリブロックコポリマー及び
−ポリ(メチルメタクリレート−b−ブチルアクリレート−b−スチレン)トリブロックポリマー。
【請求項20】
固いブロックと柔らかいブロックとのガラス転移温度の間の差異が少なくとも20℃に等しく、好ましくは50℃より大きく、理想的には100℃より大きいことを特徴とする、請求項12ないし19のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項21】
弾性特性を有するブロックポリマーの即時回復が5%〜95%、好ましくは10%〜90%、特に20%〜80%、理想的には55%〜78%であることを特徴とする、請求項12ないし20のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項22】
最終ブロックコポリマーの質量に対してブロックAが10質量%〜60質量%、特に15質量%〜50質量%存在し、かつブロックBが最終ブロックコポリマーの質量に対して40質量%〜90質量%、特に50質量%〜85質量%存在することを特徴とする、請求項12ないし21のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項23】
化粧組成物が、弾性特性を有するブロックコポリマーを1質量%〜99質量%、好ましくは5質量%〜50質量%、最も特定的には7質量%〜40質量%含むことを特徴とする、請求項12ないし22のいずれか1項に記載の化粧組成物。
【請求項24】
生理学的に受容可能な媒体が以下から選択する一又は複数の適切な溶媒を含むことを特徴とする、請求項12ないし23のいずれか1項に記載の組成物:水、ケトン、アルコール、アルキレングリコール、アルキレングリコールエーテル、C2-7アルキルアセテート、エーテル、アルカン、芳香族炭化水素、アルデヒド及び揮発性油。
【請求項25】
生理学的に受容可能な媒体がさらに、動物、植物、無機又は合成起源の、室温で液状又は固形である脂肪物質を含む脂肪相を含むことを特徴とする、請求項12ないし24のいずれか1項に記載の化粧組成物。
【請求項26】
生理学的に受容可能な媒体がさらに、一又は複数の増粘剤、一又は複数のフィルム−形成性ポリマー及び/又は一又は複数の可塑剤を含むことを特徴とする、請求項12ないし25のいずれか1項に記載の化粧組成物。
【請求項27】
生理学的に受容可能な媒体がさらに、顔料及び/又は真珠光沢剤及び/又は充填剤を含むことを特徴とする、請求項12ないし26のいずれか1項に記載の化粧組成物。
【請求項28】
生理学的に受容可能な媒体がさらに、一又は複数の添加剤、例えば以下のものを含むことを特徴とする、請求項12ないし27のいずれか1項に記載の化粧組成物:抗酸化剤、芳香剤、精油、保存剤、親油性又は親水性の化粧品として活性な剤、湿潤剤、ビタミン、着色剤、必須脂肪酸、スフィンゴ脂質、自己日焼け剤、日焼け防止剤、消泡剤、封鎖剤、抗酸化剤又はフリーラジカル除去剤。
【請求項29】
化粧組成物が以下の形態にあることを特徴とする、請求項12ないし28のいずれか1項に記載の化粧組成物:ローション、懸濁物、分散物、任意に増粘した又はゲル化した有機、水性又は水性−アルコール性溶液、ムース、スプレー、水中油型、油中水型又は多層乳剤、フリーの、コンパクト又はキャストパウダー、固形又は無水ペースト。
【請求項30】
化粧組成物がヘアラッカーであることを特徴とする、請求項12ないし29のいずれか1項に記載の化粧組成物。
【請求項31】
化粧組成物がマニキュア液であることを特徴とする、請求項12ないし29のいずれか1項に記載の化粧組成物。
【請求項32】
化粧組成物がメーキャップ組成物であることを特徴とする、請求項12ないし29のいずれか1項に記載の化粧組成物。
【請求項33】
ヘアラッカーのスタイリング力及び柔軟性を改善するための、請求項1ないし11のいずれか1項に記載の使用。
【請求項34】
マニキュアの衝撃強さを増強するための、請求項1ないし11のいずれか1項に記載の使用。
【請求項35】
メーキャップ組成物の保持を改善するための、請求項1ないし11のいずれか1項に記載の使用。

【公開番号】特開2007−191723(P2007−191723A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−104203(P2007−104203)
【出願日】平成19年4月11日(2007.4.11)
【分割の表示】特願2001−585716(P2001−585716)の分割
【原出願日】平成13年5月18日(2001.5.18)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】