説明

弾性現像ローラの再生方法

【課題】非磁性一成分現像機に搭載したカートリッジにおける使用済の弾性現像ローラに特定の処理を施し、該弾性現像ローラ上におけるトナーの薄層形成化及び高帯電化を可能とする弾性現像ローラの再生方法を提供する。
【解決手段】非磁性一成分トナー用の弾性現像ローラを再生する方法であって、(a)エアーブロー処理された使用済弾性現像ローラを湿式ブラスト処理する工程、及び(b)前記(a)工程で湿式ブラスト処理された弾性現像ローラを、40〜200℃の温度にて加熱処理する工程、を含むことを特徴とする弾性現像ローラの再生方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非磁性一成分トナーを用いてなる現像機に搭載したカートリッジにおける弾性現像ローラの再生方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、使用済の前記弾性現像ローラに特定の処理を施し、該弾性現像ローラ上におけるトナーの薄層形成化及び高帯電化を可能とする弾性現像ローラの再生方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式においては、感光体上において光学像を静電荷像のような電子性の潜像に変換したのち、この静電潜像上に着色した帯電性トナー粒子を付着させて可視画像とし(現像)、さらにこのトナー画像を紙などの記録媒体に転写させたのち、加熱、加圧などにより定着させて複写物を得ることが行われている。このような電子写真方式は、操作性、迅速性、最終画像の安定性などに優れるために、複写機のほか、レーザープリンター、ファクシミリなどに広く応用されている。
静電潜像の現像方式としては、乾式現像方式と湿式現像方式があるが、現在は乾式現像方式が主流である。この乾式現像方式は、大きく分けて、トナーとキャリアとを用いる二成分系現像方式と、キャリアを用いない一成分系現像方式とがある。二成分系現像方式は、比較的安定した現像が可能であるが、現像剤と磁性キャリアとの混合比の変動が発生しやすく、その維持管理をする必要がある。一方、一成分系現像方式は、キャリアを用いないため、現像装置の小型軽量化が図られる上、キャリア交換といったメンテナンスが不要となることから、低速の小型複写機やプリンターのみならず、最近では中高速の複写機やプリンターにも用いられている。
一成分系現像方式においては、磁性一成分系現像方式があるが、磁性材料の不透明性から、鮮明なカラー画像が得られにくいという問題があり、これに対し、非磁性一成分系現像方式は、上記の問題点を解決する現像方式である。
【0003】
ところで、電子写真装置等の電子写真プロセスを利用した画像形成装置において用いられる弾性現像ローラは、使用に伴いその表面に粉末現像剤(トナー)や紙粉等が異物として付着する。これらの異物は感光ドラム等他部材との圧接により物理的な力や摩擦熱等の影響を受けるため、劣化して粒子状態を保てず、潰れて弾性現像ローラ表面に固着するようになる。弾性現像ローラ表面に一旦固着したトナーは、エアーブローで除去することは困難である。この固着したトナーがローラ表面に層を成す場合もある。
【0004】
このようにトナーが固着した弾性現像ローラをトナーの除去を充分に行わずに電子写真プロセスカートリッジに組み込み再利用すると、固着したトナーによって弾性現像ローラ表面の電気的特性が損なわれ、画像不良の原因となる。また、使用後に電子写真プロセスカートリッジが、長期間放置されていた場合には、弾性現像ローラに接触している他部材からの押圧によって、弾性現像ローラに変形が生じる。この変形が大きい場合には、この変形によって画像上に弾性現像ローラ周期で横スジ状の画像不良が発生する。
しかしながら、環境保護という観点から、このような不良弾性現像ローラは、何らかの方法を用いて再生し、再利用できるようにすることが望まれている。
【0005】
非磁性一成分現像機を搭載したカートリッジの再生を行う場合、弾性現像ローラの再生方法としては、例えば(1)エアーブロー、(2)水ぶき、(3)溶剤ぶきなどが挙げられ、一般的にこれらを組み合わせて弾性現像ローラのクリーニングが行われる。しかしながら、エアーブローや水ぶきでは、外添剤やワックス等のトナー成分の汚染に対して充分にクリーニングができないことがあり、再生率が低いという問題がある。また溶剤ぶきを行うとゴムの表面にダメージを与える恐れがある。
【0006】
一方、弾性現像ローラの再生方法としては、下記の(1)〜(4)の技術が開示されている。
(1)軸芯体の外周上に少なくとも1層以上の弾性層を設けた弾性ローラの再生方法において、前記軸芯体の外周面は少なくとも一部が凹凸状に加工され、かつ前記軸芯体の外周面は離型剤が塗布されており、前記弾性層を剥がして前記軸芯体を露出させ、前記露出された軸芯体の外周面に再度離型剤を塗布した後、弾性層を再び設けることを特徴とする弾性ローラの再生方法(例えば、特許文献1参照)。
(2)軸芯体の表面に形成された弾性層と、前記弾性層の外周に形成された樹脂層が順次設けられた現像ローラの再生方法において、前記樹脂層は現像ローラの回転方向での剥離強度F1が長手方向での剥離強度F2より大きく、かつ前記長手方向に剥がしたときに前記弾性層から界面剥離90%以上で剥離する現像ローラを、前記樹脂層を剥がして前記弾性層を露出させた後、樹脂層を再び設けることを特徴とする現像ローラの再生方法(例えば、特許文献2参照)。
(3)軸芯体と該軸芯体の周囲に弾性層を有する弾性ローラの表面に固着したトナーを除去する工程を有する再生弾性ローラの製造方法であって、該トナーが表面に固着した弾性ローラの表面を加熱して該固着したトナーを軟化させる工程(a)と、該弾性ローラ表面とクリーニング部材とを摺擦して該工程(a)によって軟化したトナーを該弾性ローラの表面から除去する工程(b)とを有することを特徴とする再生弾性ローラの製造方法(例えば、特許文献3参照)。
(4)表面が所望の表面粗さになるように該表面に粗面化処理が施された金属により形成されたローラを現像剤担持体として用いる現像装置において、前記現像剤担持体の表面状態が悪化した際には、該現像剤担持体の表面に再び粗面化処理を施すことを特徴とする現像装置(例えば、特許文献4参照)。
【0007】
しかしながら、前記の特許文献1及び特許文献2に開示されている技術は、それぞれ弾性現像ローラの弾性層、又は樹脂層を剥がしたのち、再び弾性層又は樹脂層を設ける技術であって、多大の労力やコストが必要である上、1サイクルで弾性層や樹脂層が産業廃棄物になってしまうので、環境側面からも好ましくない。
また、前記特許文献3に開示されている技術は、弾性現像ローラに対して、加熱処理と研磨処理とを同時に行う技術であって、加熱されて軟化した弾性層表面にトナーから脱離して付着したシリカ粒子などの無機外添剤が、弾性ローラ表面に埋没して、帯電性が変化するおそれがある。
一方、前記特許文献4に開示されている技術は、アルミニウム製の現像ローラには効果があるものの、この技術を用いて弾性ローラを処理すると、表面が過剰に荒れてしまい、適度な表面粗度が得られない。なお、乾式のサンドブラストよりも、衝撃力の弱い湿式ブラスト機で処理しても、弾性ローラの表面が過剰に荒れてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−293021号公報
【特許文献2】特開2007−114356号公報
【特許文献3】特開2008−197641号公報
【特許文献4】特開平10−55108号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、このような状況下になされたもので、非磁性一成分現像機に搭載したカートリッジにおける使用済の弾性現像ローラに特定の処理を施し、該弾性現像ローラ上におけるトナーの薄層形成化及び高帯電化を可能とする弾性現像ローラの再生方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、エアーブロー処理された非磁性一成分トナー用の使用済弾性現像ローラを湿式ブラスト処理後、所定の湿度で加熱処理することにより、その目的を達成し得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
【0011】
すなわち、本発明は、
[1]非磁性一成分トナー用の弾性現像ローラを再生する方法であって、(a)エアーブロー処理された使用済弾性現像ローラを湿式ブラスト処理する工程、及び(b)前記(a)工程で湿式ブラスト処理された弾性現像ローラを、40〜200℃の温度にて加熱処理する工程、を含むことを特徴とする弾性現像ローラの再生方法、
[2](a)工程における湿式ブラスト処理を、水に対して無機微粒子及び/又は有機微粒子を15〜35体積%の割合で含む水性研磨液を吹き付けることにより行う、上記[1]項に記載の弾性現像ローラの再生方法、
[3]水性研磨液が界面活性剤を含む、上記[2]項に記載の弾性現像ローラの再生方法、
[4](b)工程における加熱処理時間が1〜50時間である、上記[1]〜[3]項のいずれかに記載の弾性現像ローラの再生方法、及び
[5]再生された弾性現像ローラ表面の10点平均粗さRzが4〜8μmである、上記[1]〜[4]項のいずれかに記載の弾性現像ローラの再生方法、
を提供するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の弾性現像ローラの再生方法は、下記の効果を奏する。
(1)使用済弾性現像ローラ表面の汚染物(外添剤やワックスなど)がクリーニングされると共に、適度の表面粗度が得られ、かつ弾性現像ローラの表面層(弾性層)が酸化されて、電気抵抗が増大する。
(2)上記(1)の効果により、弾性現像ローラ上におけるトナーの薄層形成化及び高帯電化が可能となる。
(3)従来の方法では廃棄されていた弾性現像ローラを、当該方法によって再生することができ、環境負荷を低減することができる。
(4)当該再生方法は、複数回の再生が可能である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の弾性現像ローラの再生方法(以下、単に「再生方法」と略称することがある。)は、非磁性一成分トナー用の弾性現像ローラを再生する方法であって、(a)エアーブロー処理された使用済弾性現像ローラを湿式ブラスト処理する工程、及び(b)前記(a)工程で湿式ブラスト処理された弾性現像ローラを、40〜200℃の温度にて加熱処理する工程、を含むことを特徴とする。
【0014】
[被処理弾性現像ローラ]
本発明の弾性現像ローラの再生方法においては、被処理弾性現像ローラとして、非磁性一成分トナーを用いてなる現像機を搭載したカートリッジにおける使用済弾性現像ローラが用いられる。
(非磁性一成分トナー)
本発明の再生方法により再生された弾性現像ローラと一緒に使用されるトナーは、通常の非磁性一成分トナーが使用でき、特に制限されることはない。
非磁性一成分トナーとしては、通常ポリエステル系樹脂やスチレン−アクリル共重合体樹脂からなる結着樹脂と、この結着樹脂中に分散させてなる着色剤及びその他所望の各種添加剤、例えば荷電制御剤や、オフセット防止剤(例えば各種ワックス類)などと、外添剤としてのシリコーンオイル及び/又はシランカップリング剤などで表面処理された酸化チタン粒子や、シリカ微粒子、好ましくは疎水化処理されたシリカ微粒子などを含むものが用いられる。
本発明における非磁性一成分トナーは、例えば結着樹脂に着色剤、及び所望により用いられる各種添加剤を混合し、連続押出機などの混練機により、溶融混練して冷却後、粉砕、分級処理する方法などにより、体積平均粒子径が6.0〜10.0μm程度のトナー母粒子を作製し、これに前述した各種外添剤を配合することにより、調製することができる。
【0015】
トナーの高帯電化及び均一帯電の観点から、トナー粒子の形状は丸い方が適しており、平均円形度は0.920以上であることが好ましく、さらに好ましくは0.950以上である。
トナーの粒子形状を制御する方法としては、重合トナーを用いる方法があるが、前述の混練−粉砕系トナーにおいても、粉砕工程において機械的な衝撃力によって粉砕する粉砕機を用いる方法や、粉砕−分級して得られたトナー母粒子を機械的衝撃力を加えて粒子の角張った部分を削ぎ落とす方法や、同じく粉砕−分級して得られたトナー母粒子に対して高温の熱風気流の中で処理する方法等が挙げられる。
また、現像システムに応じてトナーは正帯電性のものと負帯電性のものが使い分けられるが、本発明の弾性現像ローラの再生方法自体両極性に適応できるものであるから、非磁性一成分トナーは正帯電性のものにも負帯電性のものにも適応できる。
【0016】
(弾性現像ローラ)
本発明の再生方法において用いる弾性現像ローラは、前述した非磁性一成分トナー用であって、通常芯材の周囲に、少なくとも1層の弾性層、例えばウレタンゴム、NBR、EPDM、シリコーンゴムなどのエラストマーやフォームが設けられており、さらに、その表面に、必要に応じて樹脂層が設けられている。
【0017】
[(a)湿式ブラスト処理工程]
本発明の再生方法においては、(a)工程として湿式ブラスト処理工程が施される。この(a)工程においては、非磁性一成分トナーを用いてなる現像機に搭載したカートリッジにおける使用済の弾性現像ローラに対して、まずエアーブロー処理を施し、付着しているトナーを除去したのち、湿式ブラスト処理を行う。
当該湿式ブラスト処理においては、水に対して無機微粒子及び/又は有機微粒子(以下、総じて「研磨微粒子」と称することがある。)を、15〜35体積%、好ましくは20〜30体積%の割合で含む水性研磨液が用いられる。前記研磨微粒子の含有量が15体積%未満ではブラスト処理効果が充分に発揮されないおそれがあり、一方35体積%を超えると水性研磨液の取り扱い性が悪くなる。
前記研磨微粒子のうちの無機微粒子としては、例えばガラスビーズ、アルミナ粒子、シリカ粒子、チタニア粒子、ジルコニア粒子などを挙げることができ、有機微粒子としては、例えばメラミン樹脂粒子、ベンゾグアナミン樹脂粒子、架橋化アクリル樹脂粒子などを挙げることができる。これらの研磨微粒子は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記研磨微粒子の形状に特に制限はないが、球状のものが好ましい。また、該研磨微粒子の中心粒径は、通常30〜90μm程度、好ましくは50〜70μmである。研磨微粒子としては、ソフトな衝撃力を付与するという観点から、特に球状ガラスビーズが好ましい。
なお、前記水性研磨液には、洗浄効果及び研磨微粒子の分散性を高めるために、必要に応じて、陰イオン性界面活性剤や非イオン性界面活性剤などの界面活性剤を含有させることができる。
この界面活性剤の量に特に制限はないが、水に対して、通常0.5〜4質量%程度、好ましくは1〜2質量%である。
【0018】
エアーブロー処理された使用済の弾性現像ローラに対する湿式ブラスト処理方法に特に制限はないが、例えば下記の方法を用いて効果的にブラスト処理を行うことができる。
被処理弾性現像ローラを適宜な回転速度、例えば50〜150rpmで回転させながら、これに、前述のようにして調製した水性研磨液を、噴出圧力0.05〜0.1MPa程度で、研磨微粒子が、例えばガラスビーズである場合には、30〜90秒間程度、樹脂粒子である場合には、20〜60秒間程度吹き付けることにより、ブラスト処理を行う。
この湿式ブラスト処理により、弾性現像ローラ表面に固着した外添剤やワックスなどの汚染物が除去されると共に、適度な表面粗度が得られる。なお、弾性現像ローラの表面から剥がれた外添剤やワックスなどの汚染物は、湿式ブラスト処理であることから、静電気力によって再付着するのを防止することができる。
当該湿式ブラスト処理が施された弾性現像ローラ表面の10点平均粗さRzは、通常6〜9μm程度、好ましくは7.0〜8.5μmである。
【0019】
[(b)加熱処理工程]
本発明の再生方法においては、(b)工程として、前述した(a)工程において湿式ブラスト処理された弾性現像ローラを加熱処理する工程が施される。この加熱処理における温度は、40〜200℃の範囲であることを要する。該温度が40℃未満では、弾性現像ローラの表面層が充分に酸化されず、高抵抗化(電気抵抗の増大)による現像ローラ上でのトナーの高帯電化が生じにくい。一方、該温度が200℃を超えると、弾性現像ローラの弾性層の化学変化が促進されたり、表面粗さが小さくなって、トナーが充分に搬送されず、画像濃度が低下してしまう。このような観点から、加熱温度は、100〜170℃の範囲であることが好ましい。加熱時間は、加熱温度にもよるが、通常1〜50時間程度、好ましくは3〜30時間、より好ましくは10〜25時間である。加熱装置に特に制限はなく、例えばオーブンなどを用いることができる。
このような加熱処理によって、弾性現像ローラ上のトナーの高帯電化が可能となり、また、当該加熱処理が施された弾性現像ローラ表面の10点平均粗さRzは、通常5〜7μm程度である。
【0020】
本発明の弾性現像ローラの再生方法は、非磁性一成分トナー用の弾性現像ローラを再生する方法であって、前述した(a)湿式ブラスト処理工程及び(b)加熱処理工程を順次施すことにより、使用済弾性現像ローラ表面の汚染物(外添剤やワックスなど)がクリーニングされると共に、適度の表面粗度が得られ、かつ弾性現像ローラの表面層(弾性層又は樹脂層)が酸化されて、電気抵抗が増大する。その結果、弾性現像ローラ上におけるトナーの薄層形成化及び高帯電化が可能となる。
また、従来の方法では廃棄されていた弾性現像ローラを、当該方法によって再生することができ、環境負荷を低減することができる。さらに、当該再生方法は、複数回の再生が可能である。
【実施例】
【0021】
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、各例における諸特性は、以下に示す方法に従って求めた。
(1)弾性現像ローラの表面粗度
ミツトヨ社製「サーフテストSJ−301」を用いて、10点平均粗さRz(μm)を測定した。
【0022】
<再生弾性現像ローラを用いた印字試験>
再生弾性現像ローラを用いて、プロセスカートリッジを再生し、市販のカラーレーザープリンターで5000枚の印字試験を行い、下記の方法により画像濃度の測定、トナー消費量及び弾性現像ローラ上のトナー搬送量と、弾性現像ローラ上のトナー帯電量を測定した。
(2)画像濃度
マクベス社製のマクベス濃度計「RD−19」を用いて、画像濃度を測定し、測定値の平均値を求め、下記の基準で画像濃度を評価した。
○:1.50以上1.70未満(適正な濃度レベル)
△:1.70以上(濃度が出すぎであるが、実用上問題ないレベル)
1.40以上1.50未満(濃度がやや薄く感じられるが、実用上問題ないレベル)
×:1.40未満(濃度が濃く、画像品質面で見劣りしてしまい、許容できないレベル)
(3)トナー消費量
5000枚印字前後のトナーホッパーの質量を測定し、その差からトナー消費量を計算し、下記の基準で評価した。
○:18.0以上26.0mg/page未満(適正レベル)
△:26.0以上30.0mg/page未満(消費量が多く、紙面にトナーが乗りすぎな感じがするが、実用上問題ないレベル)
18.0mg/page未満(消費量が少なく、少量のトナーで印字枚数を稼げる点では好ましいが、濃度不足に陥る危険がある。)
×:30.0mg/page以上(消費量が多すぎて、紙面にトナーが乗りすぎ画像品質のバランスが崩れている。)
(4)弾性現像ローラ上のトナー搬送量
1cm×5cmに切り取ったメンディングテープを弾性現像ローラのトナー搬送部分に押し当ててトナーを採取し、トナー採取前後のテープの質量の差から、トナー質量を求める。トナーの搬送量が多くて、一回のトナー採取で、トナーを取りきれない場合は、同一個所のトナーを、2回、3回と複数回に分けて採取する。
(5)弾性現像ローラ上のトナーの帯電量
吸引式帯電量測定装置[トレック社製、「Model 21OHS−2A」]により、弾性現像ローラ上のトナーの帯電量(μC/g)を測定した。
【0023】
製造例1 負帯電性非磁性一成分トナーの製造
・ポリエステル樹脂 ・・・100質量部
(ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物とテレフタル酸の縮合物、数平均分子量Mn:3500、重量平均分子量Mw:14700)
・カーボンブラック Black Pearls L(キャボット社製)・・・5質量部
・負帯電性電荷制御剤 ジ−tertブチルサリチル酸クロム錯体 ・・・1質量部
・離型剤 カルナバワックス(融点:78℃) ・・・3質量部
上記組成物を計量してヘンシェルミキサー[三井鉱山社製]により十分混合し、2軸押出機により溶融混練し、冷却後1〜2mm程度に粗粉砕し、さらに機械式粉砕機[クリプトロン社製「アーステクニカ」]により微粉砕を行い、得られた微粉砕物に対して[日鉄鉱業社製「エルボージェット」]により粗粉と微粉を分級して体積平均径7.3μmのトナー母粒子を得た。平均円形度を測定すると、0.951だった。
さらに、このトナー母粒子100質量部に、
・疎水化処理シリカ[アエロジル社製「RX−50」] ・・・2質量部
・疎水化処理酸化チタン[テイカ社製、「JMT−150IB」]・・・0.5質量部
をヘンシェルミキサーで外添して、負帯電性非磁性一成分トナーを得た。
この負帯電性非磁性一成分トナーを、実施例1〜9及び比較例1、2におけるカラーレーザープリンターの非磁性一成分現像装置に用いた。
【0024】
実施例1〜9及び比較例1、2
(1)被処理弾性現像ローラ
非磁性一成分現像装置を搭載したカラーレーザープリンターの使用済プロセスカートリッジ(Black)から、弾性現像ローラを回収し、エアーブロー処理により、該弾性現像ローラに付着していたトナーを除去し、目視で汚染物の固着が見られる弾性現像ローラA〜Kの11個を、被処理弾性現像ローラとして用いた。各被処理弾性現像ローラの10点平均粗さRzを第1表に示す。
なお、弾性現像ローラA〜Iは、それぞれ実施例1〜9に用い、J及びKは、それぞれ比較例1及び2に用いた。
【0025】
(2)被処理弾性現像ローラの湿式ブラスト処理研磨微粒子として、ガラスビーズ[不二精機製造所社製、商品名「フジライト」、中心粒径60μmの球状粒子]又は樹脂混合粒子[不二精機製造所社製、商品名「フジソフト」、材質:ソフト樹脂、中心粒径60μm、角ばった非球状粒子]を用い、以下に示すように研磨液を調製した。
研磨微粒子として、ガラスビーズを用いる場合には、水道水に対して、25体積%のガラスビーズを加えて研磨液を調製した。一方、樹脂混合粒子を用いる場合には、水道水に対して、20体積%又は30体積%の樹脂混合粒子を加えて研磨液を調製した。
なお、実施例1〜4で用いるガラスビーズ含有研磨液には、石油系界面活性剤を水道水に対して1質量%の割合で添加した。
湿式ブラスト処理装置として、液体ホーニング装置[(株)不二精機製作所製、型式「LH−7T−S」]を用い、噴出圧力:0.075MPa、現像ローラ回転速度:100rpm、処理時間:ガラスビーズの場合は60秒間、樹脂混合粒子の場合は30秒間の条件で湿式ブラスト処理を行ったのち、弾性現像ローラを水洗して、室温で自然乾燥した。
第1表に、湿式ブラスト処理条件及び湿式ブラスト処理後の弾性現像ローラ表面の10点平均粗さRzを示す。
【0026】
(3)加熱処理
上記(2)で湿式ブラスト処理された弾性現像ローラを、下記のようにして加熱処理した。
加熱装置として、マルチオーブン[アズワン社製、型式「MOV−450」]を用い、第1表に示す加熱温度及び加熱時間の条件で、湿式ブラスト処理された弾性現像ローラを加熱処理したのち、自然冷却して再生弾性現像ローラを得た。この現像ローラ表面の10点平均粗さRzを測定した。なお、比較例2では加熱処理を実施しなかった。
このようにして得られた再生弾性現像ローラを用いてプロセスカートリッジを再生し、市販のカラーレーザープリンターで5000枚の印字試験を行い、画像濃度の測定及び現像ローラ上のトナー物性を測定した。
これらの結果を第1表に示す。
【0027】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明の弾性現像ローラの再生方法によれば、使用済弾性現像ローラ表面の汚染物(外添剤やワックスなど)がクリーニングされると共に、適度の表面粗度が得られ、かつ弾性現像ローラの表面層(弾性層又は樹脂層)が酸化されて、電気抵抗が増大し、その結果、弾性現像ローラ上におけるトナーの薄層形成化及び高帯電化が可能となる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非磁性一成分トナー用の弾性現像ローラを再生する方法であって、(a)エアーブロー処理された使用済弾性現像ローラを湿式ブラスト処理する工程、及び(b)前記(a)工程で湿式ブラスト処理された弾性現像ローラを、40〜200℃の温度にて加熱処理する工程、を含むことを特徴とする弾性現像ローラの再生方法。
【請求項2】
(a)工程における湿式ブラスト処理を、水に対して無機微粒子及び/又は有機微粒子を15〜35体積%の割合で含む水性研磨液を吹き付けることにより行う、請求項1に記載の弾性現像ローラの再生方法。
【請求項3】
水性研磨液が界面活性剤を含む、請求項2に記載の弾性現像ローラの再生方法。
【請求項4】
(b)工程における加熱処理時間が1〜50時間である、請求項1〜3のいずれかに記載の弾性現像ローラの再生方法。
【請求項5】
再生された弾性現像ローラ表面の10点平均粗さRzが4〜8μmである、請求項1〜4のいずれかに記載の弾性現像ローラの再生方法。

【公開番号】特開2011−232558(P2011−232558A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−102992(P2010−102992)
【出願日】平成22年4月28日(2010.4.28)
【出願人】(599044397)株式会社アイメックス (13)
【Fターム(参考)】