説明

弾性舗装体の再利用方法

【課題】用済み弾性舗装体を有効に再利用する方法を提供する。
【解決手段】弾性舗装体を粉砕し、得られた粉砕物1を水路側面コンクリート部分10の外側面に接するようにして補強材として埋設する。また、前記粉砕物1の平均寸法は、好ましくは10〜60mmである。さらに、前記粉砕物1が埋設されてなる層の幅は、好ましくは0.2〜2mである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弾性舗装体の再利用方法に関し、詳しくは、弾性舗装に使用されていた用済み弾性舗装体を粉砕し、その粉砕物を有効に再利用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、加硫ゴムを粉末またはチップ状にして利用する方法として、ウレタンやエポキシ等の硬化性樹脂をバインダーとして使用した低騒音弾性舗装体が知られている。また、ゴムチップをバインダーと混合してプレス成形した弾性舗装体が、歩道や運動場で使用され
ている。
【0003】
これらゴムチップを用いた弾性舗装体は、ゴムチップの有する弾力性により歩行時の衝
撃吸収性や転倒時の安全性といった優れた効果を奏するとともに、内部に空隙を有するこ
とから、排水性および通気性に加えて吸音性にも優れ、そのためタイヤと路面内で発生す
る騒音の低減にも有効であることから、都市部での交通騒音低減のための機能性弾性舗装
材としても注目されている。
【0004】
例えば、特許文献1には、マテリアルリサイクル推進を目的とする技術として、熱硬化性樹脂成形物の粉砕物とゴムチップとを所定の混合比率で混合し、ウレタン樹脂をバインダーとしてブロック状または板状に成形してなる舗装材が提案されている。
【0005】
また、特許文献2には、ゴム、プラスチック等の軽量の廃棄物を適宜サイズに粉砕したものを骨材とし、この骨材とウレタン樹脂等のバインダーを混合してなる組成物を硬化して作製した舗装ブロックが開示されている。
【特許文献1】特開2002−322602号公報(特許請求の範囲等)
【特許文献2】特開2000−34702号公報(特許請求の範囲等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、通常の舗装で使用されているアスファルト混合物は、再生骨材として二次リサイクルが可能であるが、弾性舗装体に関しては二次リサイクルの方法が未だ確立されていないのが現状である。
【0007】
そこで本発明の目的は、用済み弾性舗装体を有効に再利用する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、積雪寒冷地域では冬季になると土中の水分が凍結し、この際に発生する体積膨張により、地面が押し上げられる、或いは水平方向に伝播した場合には構造物が圧迫されるなどの不具合が発生し、これが水路周辺で起こった場合、この影響で水路側面のコンクリート部分にひび割れが発生することを知見した。そこで、かかる知見を弾性舗装体の再利用に関連付けて鋭意検討した結果、用済みの弾性舗装体の粉砕物を補強材として所定条件下で水路側面に埋設することによりひび割れを防止し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち、本発明の弾性舗装体の再利用方法は、弾性舗装体を粉砕し、得られた粉砕物を水路側面コンクリート部分の外側面に接するようにして補強材として埋設することを特徴とするものである。
【0010】
本発明の弾性舗装体の再利用方法においては、前記粉砕物の平均寸法は、好ましくは10〜60mmである。さらに、前記粉砕物が埋設されてなる層の幅は、好ましくは0.2〜2mである。なお、平均寸法とは、粉砕物の最長端部間距離の平均のことである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、積雪地方で冬季になると問題になる水路側面のコンクリート部分のひび割れを防止することができ、今後その処理が問題となることが予想される弾性舗装体の再利用方法として有効である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態につき具体的に説明する。
図1に、本発明の弾性舗装体の再利用方法を示す。図示するように、用済みの弾性舗装体を粉砕して得られた粉砕物1を水路側面コンクリート部分10の外側面に接するようにして補強材として埋設する。埋設にあたっては、例えば、水路側面コンクリート部分10を損傷しないようにして該コンクリート部分10に沿って溝を掘り、しかる後、粉砕物1を埋設すればよい。水路のコンクリート部分のひび割れを効果的に防ぐには、粉砕物1の埋設幅を、0.2m以上とすることが好ましく、一方、2mを超えて埋設しても、もはやそれに見合うひび割れ防止効果は得られない。
【0013】
用済みの弾性舗装体の粉砕手段は、特に制限されるべきものではなく、カッターやロール、各種破砕機を用いて適宜行うことができる。粉砕物の平均寸法は、好ましくは10〜60mmである。この平均寸法が10mm未満の細かいサイズになるほど、凍上抑制工層下部地盤から水分を毛管現象で吸い上げ、この水分が凍結時に体積膨張して水路構造体を圧迫するおそれがある。一方、60mmを超えると空隙が多くなり過ぎ補強材として効果が十分に得られなくなる。
【0014】
弾性舗装体のゴムチップ部分は断熱性が高く、凍上抑制工背部の地中の熱が凍上抑制工部分を介して水路のコンクリート部分に伝わり、大気中に逃げるのを抑制する作用を有する。また、砂利等に比べ空隙率が大きいため排水性が良好な一方で、充填により適度な強度を保つことができる。さらに、弾性舗装体の粉砕物は、弾性に富み空隙も多いため、背面地山4部分が凍結し体積膨張しても、その膨張(横圧力)をそのまま水路構造体に伝えず、ある程度緩和した形で伝達するため、水路の保護にも優れた効果を示す。
【0015】
本発明においては、上記のようにして弾性舗装体を、冬季の水路側面コンクリート部分のひび割れを防止するために効果的に再利用することができる。
【実施例】
【0016】
以下、本発明を実施例に基づき説明する。
図2に示すように、北海道地区に存在する水路(深さ:1m、幅:1m)の側面コンクリート部分10の外側面の一方に比較例として砂利11を埋設し、他方に実施例として弾性舗装体の粉砕物1(平均寸法:約35mm)を埋設して、2年間に亘り側面コンクリート部分10の観察をおこなった。また、砂利11を施工した側の背面地山4と、粉砕物1を施工した側の背面地山4の2箇所の温度測定箇所5においてそれぞれ温度を測定し続けた。
【0017】
その結果、比較例の砂利11を施工したサイドの水路側面コンクリート部分10に微細なひび割れ12が見られたのに対し、実施例の弾性舗装体の粉砕物1を施行したサイドの水路側面コンクリート部分10に変化は見られなかった。また、それぞれの背面地山4の温度は、砂利11を施工した側に比べて、粉砕物1を施工した側の方が総じて1〜2℃温度が高くなっていた。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る施工を施した水路周辺の模式的断面図である。
【図2】実施例および比較例に従い施工した水路周辺の模式的断面図である。
【符号の説明】
【0019】
1 弾性舗装体の粉砕物
4 背面地山
5 温度測定箇所
10 水路側面コンクリート部分
11 砂利
12 ひび割れ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性舗装体を粉砕し、得られた粉砕物を水路側面コンクリート部分の外側面に接するようにして補強材として埋設することを特徴とする弾性舗装体の再利用方法。
【請求項2】
前記粉砕物の平均寸法が10〜60mmである請求項1記載の弾性舗装体の再利用方法。
【請求項3】
前記粉砕物が埋設されてなる層の幅が0.2〜2mである請求項1または2記載の弾性舗装体の再利用方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−63859(P2008−63859A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−243933(P2006−243933)
【出願日】平成18年9月8日(2006.9.8)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】