説明

弾球式遊技機用役物

【発明の詳細な説明】
本発明は弾球式遊技機用役物に係り、特に遊技球の動きに偶然性を与えうる弾球式遊技機用役物に関する。
[従来の技術]
従来より弾球式遊技機においては、遊技客の遊技性向上についての要請に対応するため、種々の役物が提供されていた。このような役物には、いわゆるチューリップがあり、更に近年ではスロットマシンを組み込んだ役物等が提供されるに至っている。
ところで、一般に弾球式遊技機においては、盤面を落下する球の動きに様々な変化を与えたいという要請がある。
しかしながら、従来の弾球式遊技機にあっては、球の遊技球の動きに偶然性を加味させて、弾球式遊技機における遊技性を向上させうるような役物は存在しなかった。
そこで本発明の技術的課題は、弾球式遊技機において盤面を落下する遊技球の動きに種々の変化を与え、遊技球の動きに偶然性を加味させて、遊技性を向上させることにある。
[課題を解決するための手段]
このような技術的課題解決のため、本発明にあっては、つぎの点を特徴とする。
遊技機の盤面に固定された基板に設けられ、盤面上を落下する遊技球が衝接する遊技球振分け部と、上記遊技球振分け部の両側下方部において基板にそれぞれ離間して開設された両側入球孔と、上記二つの両側入球孔の前方にわたって突設され、両側入球孔に連なると共に上下方向に湾曲する遊技球受承面を有し、上記遊技球振分け部に衝接して落下する遊技球を転動可能に保持しうる遊技球受け部とを備える。
上記遊技球受け部の遊技球受承面は、両側入球孔の前方部位は下方へ膨出形成されいると共に両側入球孔の間の部位は上方へ膨出形成されている。
上記遊技球受け部の両側端部は両側入球孔の外側縁部に沿って立上り、両側入球孔内方へ傾斜する上向き端面部が形成されている。
前記2つの両側入球孔の間には、基板に中央入球孔が開設されている。
前記基板には、前記中央入球孔13に連通し、外部に開放した中央排球孔を開設している。
前記中央排球孔の下方には、盤面に配置された入球孔を形成した。
[実施例]
以下添付図面に示す実施例に基づき本発明を詳細に説明する。
第1図乃至第3図に示すように、本実施例に係る弾球式遊技機用役物24は、遊技機の盤面10に固定された略長円状の基板14と、この基板14上に突設された遊技球振分け部11と、遊技球振分け部11の両側下方部において基板14にそれぞれ離間して開設された両側入球孔12,12と、この両側入球孔12,12の前方にわたって突設された遊技球受け部15とを備えている。
上記基板14は、上端部及び両側下方部において設けられた取付け固定孔25において、適宜の固定手段により盤面10に取り付け固定されている。
そして、この基板14の表面側30には、盤面10上を落下する遊技球が衝接する遊技球振分け部11と、上記遊技球振分け部11の両側下方部にそれぞれ離間して開設された両側入球孔12,12と、上記それぞれの両側入球孔12,12の前方に亙って突設された遊技球受け部15とが設けられている。
また、この遊技球受け部15は、第1図に示すように基板14の幅方向に沿って形成されており、この遊技球受け部15の前端部には、第2図及び第3図に示すように、遊技球受け部15から基板14の上方部を覆うようにして上方カバー部16が設けられている。
そして、上記遊技球振分け部11は、基板14の上端部において円弧状に湾曲して形成されており、基板14の上方に膨出するように形成されている。
また、上記両側入球孔12,12は、上述のように、遊技球振分け部11の両側下方部において、互いに所定間隔をおいて離間して開設されている。
また、上記遊技球受け部15は、上述のように、上記2つの両側入球孔の前方に亙って突設されており、上記両側入球孔12,12に連なると共に、基板14の上下方向に湾曲して形成された遊技球受承面29を有している。
そして、この遊技球受承面29は、上記両側入球孔12,12の前方部位にあっては、基板14の下方へ膨出形成され、下方膨出部21,21がそれぞれ設けられている。そして、上記両側入球孔12,12の間の部位は、上方へ基板14の上方へ膨出形成されて上方膨出部20が設けられており、これらの下方膨出部21,21と上方膨出部20とは、同一面で連続するように構成されている。
また、この上記遊技球受け部15の両側端部は、両側入球孔12,12の外側縁部18,18に沿って上方へ立上り、それぞれ立上り部19,19が形成されている。
更に、この立上り部19,19の先端には、両側入球孔12,12の内方へ向って傾斜する上向き端面部17,17が形成され、この上向き端面部17,17は、上記下方膨出部21,21に形成された遊技球受承面29へと連続するように構成されている。
したがって、上記遊技球受け部15は、上記遊技球振分け部11に衝接して落下する遊技球を、下方膨出部21,21及びこれら下方膨出部21,21の間に形成された上方膨出部20において転動可能に保持しうるように構成されている。
更に、上記基板14の表面側30においては、上記中央入球孔13の直下であって基板14の下端部には、中央排球孔26が設けられ、上記中央入球孔13から入った遊技球を本実施例に係る弾球式遊技球用役物24の下方へ排出しうるように構成されている。
また、上記中央排球孔26の前方には、上記上方カバー部16と同一面上において、遊技球受け部15から下方に延設された下方カバー部34が設けられている。この下方カバー部34は、上記上方カバー部16よりも細幅に形成され、前面には上下方向に複数のスリット33が形成されている。
また、第2図及び第3図に示すように、本実施例に係る遊技球用役物24においては、上記基板14の裏面側31において、裏面側カバー部35が突設されている。
そして、この裏面側カバー部35には、内部に両側入球孔12,12から入った遊技球が基板14の裏面側から弾球式遊技機用役物24の外方へ排出されるための通路が設けられていると共に、上記中央入球孔13から入った球が上記中央排球孔26から弾球式遊技機用役物24の外方へ排出されるための通路が設けられている。
また、上記裏面側カバー部35には、第2図及び第3図に示すように、センサ23が設けられており、上記両側入球孔から入った遊技球を検知しうるように構成されている。
更に、上記基板14の上端部には、2本のランプ支持アーム28,28が突設されており、これらのランプ支持アーム28,28の先端部には、ランプ取付け部27を介してランプ22が配設され、このランプ22は基板14を常時裏面側から照射しうるように構成されている。
したがって、本実施例に係る弾球式遊技機用役物24が弾球式遊技機の盤面10に取付けられて使用された場合には、遊技球は遊技球の有する勢いによりさまざまな落下コースをたどることとなる。
すなわち、上方から落下する遊技球の勢いが非常に強い場合には、まず遊技球振分け部11に衝接した後バウンドして、弾球式遊技機用役物24外方へ落下することとなる。
また、落下する遊技球の勢いがさほど強くない場合は、遊技球振分け部11に衝接したのち、遊技球受け部15の立上り部19先端に形成された上向き端面部17に衝接する。そして、この上向き端面部17は、上述のように両側入球孔12,12内方へ傾斜しているため、遊技球は上向き端面部17にバウンドして遊技球受承面29を形成する上方膨出部20へ至り、その後、遊技球受承面29上を転動して、左右いずれかの下方膨出部21,21上へと至る。そして、その後、両側入球孔12,12のいずれかへ入り、基板14の裏面側から弾球式遊技機用役物24の外方へと排出されることとなる。
また、同様に、場合によっては、盤面を落下する遊技球が遊技球振分け部11に衝接した後、遊技球受け部15の立上り部19先端に設けられた上向き端面部17に衝接し、上記同様、その後、上方膨出部20へと至る。そして、その時点で中央入球孔13内へ入り、上述のように裏面側カバー部35内に設けられた通路を介して基板14の表面側30に設けられた中央排球孔26から排出され、第1図に示すように、本実施例に係る弾球式遊技機用役物24の下方において盤面10上に形成された入球孔36内に収納されるものである。
したがって、本実施例に係る弾球式遊技機用役物24が弾球式遊技機において使用された場合には、上述のように遊技球の勢いにより入賞のない状態となるか、または両側入球孔12,12のいずれかに入ることにより入賞状態となるか、更に、両側入球孔12,12の間に設けられた中央入球孔13に入り、より有利な遊技状態としての入賞を獲得できるか、のいずれかの状態となる。
また、特に上記両側入球孔12,12と中央入球孔13の前方に設けられた湾曲した遊技球受承面29上を遊技球の勢いにより遊技球が転動するように構成されているため、偶然性により入賞の可能性が左右されることとなる。
また、本実施例にあっては、中央入球孔孔13内に入った場合には、両側入球孔12,12内に入った場合よりもより有利な入賞状態を形成しうる場合を例に説明したが、本実施例に限定されず、さまざまな遊技状態を形成することができる。
[発明の効果]
本発明に係る弾球式遊技機用役物にあっては、遊技球振分け部の両側下方部に設けられた両側入球孔の前方に突出され、上下方向に湾曲する遊技球受承面を有し、遊技球振分け部に衝接して落下する遊技球を転動可能に保持しうる遊技球受け部が設けられているため、盤面を落下する遊技球の勢いにより、遊技球の動きに偶然性が加味され、弾球式遊技機の遊技性を向上させることができる。
また、中央入球孔に入った遊技球は、基板の表面側に設けられた中央排球孔から排出され、弾球式遊技機用役物の下方において盤面上に形成された入球孔内に収納されるものである。
このため、一端中央入球孔に入った遊技球が再び出てきて、また、盤面上の入球孔に収納されるという極めて意外性のある動きを見せることから、遊技者は、その動きに視覚を通して刺激され、遊技に飽きることなく興趣溢れる遊技が可能となる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明に係る弾球式遊技機用役物の一実施例を示す正面図、第2図は、本発明に係る弾球式遊技機用役物の一実施例を示す側面図、第3図は本発明に係る弾球式遊技機用役物の一実施例を示す平面図である。
10……盤面、11……遊技球振分け部
12……両側入球孔、13……中央入球孔
14……基板、15……遊技球受け部
16……上方カバー部、17……上向き端面部
18……外側縁部、19……立上り部
20……上方膨出部、21……下方膨出部
22……ランプ、23……センサ
24……弾球式遊技機用役物
25……取付け孔、26……中央排球孔
27……ランプ取付部、28……ランプ支持アーム
29……遊技球受承面、30……表面側
31……裏面側、33……スリット
34……下方カバー部、35……裏面側カバー部
36……入球孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】遊技機の盤面に固定された基板に設けられ、盤面上を落下する遊技球が衝接する遊技球振分け部と、上記遊技球振分け部の両側下方部において基板にそれぞれ離間して開設された両側入球孔と、上記二つの両側入球孔の前方にわたって突設され、両側入球孔に連なると共に上下方向に湾曲する遊技球受承面を有し、上記遊技球振分け部に衝接して落下する遊技球を転動可能に保持しうる遊技球受け部とを備え、上記遊技球受け部の遊技球受承面は、両側入球孔の前方部位は下方へ膨出形成されていると共に両側入球孔の間の部位は上方へ膨出形成されており、上記遊技球受け部の両側端部は両側入球孔の外側縁部に沿って立上り、両側入球孔内方へ傾斜する上向き端面部が形成され、前記2つの両側入球孔の間には、基板に中央入球孔が開設され、前記基板には、前記中央入球孔13に連通し、外部に開放した中央排球孔を開設し、前記中央排球孔の下方には、盤面に配置された入球孔を形成した、ことを特徴とする弾球式遊技機用役物。

【第1図】
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【第2図】
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【第3図】
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【特許番号】第2683663号
【登録日】平成9年(1997)8月15日
【発行日】平成9年(1997)12月3日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平2−104708
【出願日】平成2年(1990)4月20日
【公開番号】特開平4−2380
【公開日】平成4年(1992)1月7日
【出願人】(999999999)サミー株式会社
【参考文献】
【文献】実開 昭61−165784(JP,U)
【文献】実公 昭38−3568(JP,Y1)