弾球遊技機
【課題】エラー報知による演出効果の低減防止を図る遊技機を提供する。
【解決手段】ぱちんこ遊技機10において、エラー受信手段137は遊技に支障を及ぼす不具合が発生した場合に不具合を検知する手段からエラー信号を受信する。エラー報知手段138は、エラー信号を受信した場合に不具合が発生した旨を演出より優先して画面表示および音声出力のうち少なくともいずれかによりエラー報知として出力する。補完処理手段139は、エラー報知が演出より優先して出力された場合にそのエラー報知と重なった演出パターンの種類を判定し、判定された演出パターンが特定種類の演出であった場合にその演出パターンの演出目的を補完するための新たな演出パターンを、あらかじめ定められた演出パターン同士の演出目的に関する対応関係にしたがって決定し、エラー報知の終了後に所定の実行条件を満たすタイミングで、決定された演出パターンを実行する。
【解決手段】ぱちんこ遊技機10において、エラー受信手段137は遊技に支障を及ぼす不具合が発生した場合に不具合を検知する手段からエラー信号を受信する。エラー報知手段138は、エラー信号を受信した場合に不具合が発生した旨を演出より優先して画面表示および音声出力のうち少なくともいずれかによりエラー報知として出力する。補完処理手段139は、エラー報知が演出より優先して出力された場合にそのエラー報知と重なった演出パターンの種類を判定し、判定された演出パターンが特定種類の演出であった場合にその演出パターンの演出目的を補完するための新たな演出パターンを、あらかじめ定められた演出パターン同士の演出目的に関する対応関係にしたがって決定し、エラー報知の終了後に所定の実行条件を満たすタイミングで、決定された演出パターンを実行する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種の弾球遊技機のうち、いわゆる第1種ぱちんこ遊技機と呼ばれていた遊技機は、遊技盤の略中央に設けられた液晶ディスプレイなどの表示領域に複数の図柄を変動させながら表示する(以下、そうした表示を「図柄変動」または「変動表示」等という)。この遊技機は、複数列の図柄変動を停止させたときの図柄の組合せが特定の態様となった場合に、通常遊技より多くの賞球が得られる、いわゆる大当りと呼ばれる特別遊技へと移行するものとして知られている(例えば、特許文献1参照)。表示領域における図柄の変動表示は、単に複数の図柄が変動表示されるだけでなく、いわゆるリーチ画面と呼ばれる状態のように、あと一つ図柄が揃えば大当りとなる状態で変動表示の時間を通常よりも長くする等、遊技者の期待感を高めるための演出が図られている。また、キャラクタ画像や背景画像等を用いて図柄の変動表示にストーリーを持たせる演出を施したり、特別遊技への移行効率を高める確率変動および変動時間短縮、始動入賞口への入球容易性を高める入球容易状態へ移行したりする制御によっても遊技者の期待感を高めている。
【0003】
従来、球皿に遊技球が溜まりすぎたときや、故意に遊技機に振動が加えられたときなど、適切な遊技が担保されない不具合の可能性が生じると各種のエラー報知が発せられる。エラー報知の方法としては、液晶画面上で目立つような文字等で示す方法や、遊技者の注意を引くのに十分な音量の音声で示す方法、ランプ等の電飾品を目立つ色彩と光量で点灯させる方法、あるいはそれらを複合させた方法がある。その場合、遊技者の注意を引くエラー報知であるほど、そのタイミングで実行されていた演出の可視性や可聴性が妨げられやすいともいえる。しかも、その演出で示唆される内容が遊技の進行上も比較的重要な意味をもつような場合には遊技者に不利となることも考えられる。そのため、エラーの種類に応じてエラー発生時専用の特別な演出を実行することもある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−230714号公報
【特許文献2】特開2009−233016号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献2の技術によれば、エラーの種類に応じてエラー発生時にしか出現しない特別な演出を実行することにより、エラーによる遊技者の不快感を緩和するとの発想が前提である。すなわち、エラー報知によって本来遊技者が認識できたはずの演出による示唆を事後的に補完するとの発想に基づく技術ではないため、その特別な演出によって遊技者の不快感を緩和することはできたとしても、必ずしも元々の演出の趣旨を全うする演出ではなかった。
【0006】
本願発明は上記課題に鑑みたもので、エラー報知による演出効果の低減防止を図る遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の弾球遊技機は、遊技領域が形成された遊技盤と、遊技領域の所定位置に設けられ、遊技球の入球が抽選の契機となる始動入賞口と、始動入賞口への入球を契機として、通常遊技より遊技者に有利な状態である特別遊技へ移行するか否かを判定するための当否抽選を実行する当否抽選手段と、当否抽選の結果が特別遊技へ移行する旨を示す結果であった場合に特別遊技を実行する特別遊技制御手段と、所定の表示装置の画面への演出的な表示および演出的な音声出力のうち少なくともいずれかを演出内容とする複数種類の演出パターンからいずれかを特別遊技における演出内容として選択する演出決定手段と、選択された演出パターンにしたがった内容の演出を特別遊技における表示装置の画面への表示および音声出力のうち少なくともいずれかにより実行する演出表示制御手段と、当該弾球遊技機内で遊技に支障を及ぼす不具合が発生した場合に不具合を検知する手段からエラー信号を受信するエラー受信手段と、エラー信号を受信した場合に不具合が発生した旨を演出より優先して画面表示および音声出力のうち少なくともいずれかによりエラー報知として出力するエラー報知手段と、エラー報知が演出より優先して出力された場合にそのエラー報知と重なった演出パターンの種類を判定し、判定された演出パターンが特定種類の演出であった場合にその演出パターンの演出目的を補完するための新たな演出パターンを、あらかじめ定められた演出パターン同士の演出目的に関する対応関係にしたがって決定し、エラー報知の終了後に所定の実行条件を満たすタイミングで、決定された演出パターンを実行する補完処理手段と、を備える。
【0008】
なお、以上の構成要素に関する任意の組合せや、本発明の構成要素や表現を方法、装置、システム、コンピュータプログラム、コンピュータプログラムを格納した記録媒体、データ構造などの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の弾球遊技機によれば、エラー報知による演出効果の低減防止を図る遊技機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】ぱちんこ遊技機の前面側における基本的な構造を示す図である。
【図2】ぱちんこ遊技機の背面側における基本的な構造を示す図である。
【図3】前提技術におけるぱちんこ遊技機の機能ブロックを示す図である。
【図4】当否判定テーブルを模式的に示す図である。
【図5】図柄判定テーブルを模式的に示す図である。
【図6】変動パターンテーブルを模式的に示す図である。
【図7】外れ用の変動パターンテーブルを詳細に示す図である。
【図8】予告種類テーブルを模式的に示す図である。
【図9】演出表示装置の画面に表示させるエラー報知の例を模式的に示す図である。
【図10】ぱちんこ遊技機における基本的な動作過程を示すフローチャートである。
【図11】図10におけるS10のエラー処理を詳細に示すフローチャートである。
【図12】図10におけるS14の通常遊技制御処理を詳細に示すフローチャートである。
【図13】図11におけるS34の当否判定処理を詳細に示すフローチャートである。
【図14】図10におけるS16の特別遊技制御処理を詳細に示すフローチャートである。
【図15】図14におけるS100の開放処理を詳細に示すフローチャートである。
【図16】図14におけるS102の閉鎖処理を詳細に示すフローチャートである。
【図17】図10におけるS17の小当り遊技制御処理を詳細に示すフローチャートである。
【図18】図17におけるS160の開放処理を詳細に示すフローチャートである。
【図19】図17におけるS162の閉鎖処理を詳細に示すフローチャートである。
【図20】特別遊技における単位遊技ごとの演出進行を模式的に示す図である。
【図21】ラウンドごとの勝敗予告演出のパターン種類と勝利期待度の関係を示すテーブルの図である。
【図22】勝敗予告演出として選択する予告演出パターンの組合せとそれぞれの選択確率の関係を示すテーブルの図である。
【図23】演出表示装置の画面に表示させるエラー報知の例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(前提技術)
まず、実施例の前提となる技術を説明した上で各実施例を説明する。図1は、ぱちんこ遊技機の前面側における基本的な構造を示す。以下、弾球遊技機として従来にいういわゆる第1種ぱちんこ遊技機を例に説明する。ぱちんこ遊技機10は、主に遊技機枠と遊技盤で構成される。ぱちんこ遊技機10の遊技機枠は、外枠11、前枠12、透明板13、扉14、上球皿15、下球皿16、および発射ハンドル17を含む。外枠11は、開口部分を有し、ぱちんこ遊技機10を設置すべき位置に固定するための枠体である。前枠12は、外枠11の開口部分に整合する枠体であり、図示しないヒンジ機構により外枠11へ開閉可能に取り付けられる。前枠12は、遊技球を発射する機構や、遊技盤を着脱可能に収容させるための機構、遊技球を誘導または回収するための機構等を含む。
【0012】
透明板13は、ガラスなどにより形成され、扉14により支持される。扉14は、図示しないヒンジ機構により前枠12へ開閉可能に取り付けられる。上球皿15は、遊技球の貯留、発射レールへの遊技球の送り出し、下球皿16への遊技球の抜き取り等をする機構を有する。下球皿16は、遊技球の貯留、抜き取り等の機構を有する。上球皿15と下球皿16の間にはスピーカ18が設けられており、後述する演出を制御する手段によって遊技状態などに応じた効果音が出力される。
【0013】
遊技盤50は、外レール54と内レール56により区画された遊技領域52上に、アウト口58、特別図柄表示装置61、演出表示装置60、始動入賞口(以下、「始動口」という)62、センター飾り64、大入賞口66、作動口68、一般入賞口72を含む。さらに遊技領域52には、図示しない複数の遊技釘や風車などの機構が設置される。
【0014】
始動口62は、遊技球の入球が当否抽選を実行する契機となる入球口であって、遊技球の入球を検出するための始動入賞検出装置74と、始動口62に設けられた拡開機構63(いわゆる電動チューリップ)を拡開させるための普通電動役物ソレノイド76を備える。拡開機構63は、始動口62の開口部上部に設けられた二つの羽根部材で構成され、閉鎖時は始動口62の真上から落下する遊技球だけが入球できる程度の狭い開口幅となる。一方、拡開機構63が拡開された開放時は始動口62の開口幅が拡がることとなり、始動口62の真上だけでなくその近傍を落下する遊技球も始動口62へ誘導でき入球容易性が向上する。当否抽選は、通常遊技より遊技者に有利な状態である特別遊技へ移行するか否かを判定する抽選であり、始動口62へ入球があるたびに実行される。始動入賞検出装置74は、始動口62への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す始動入賞情報を生成する。
【0015】
一般入賞口72は、遊技球の入球を検出するための一般入賞検出装置73を備える。一般入賞検出装置73は、一般入賞口72への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す一般入賞情報を生成する。
【0016】
大入賞口66は、遊技球の入球を検出するための入賞検出装置78と、大入賞口66を開放させるための大入賞口ソレノイド80を備える。入賞検出装置78は、大入賞口66への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す大入賞口入賞情報を生成する。大入賞口66は、特別図柄192が所定の態様にて停止したときに開始される特別遊技において「大当り」として開放状態となる横長方形状の入賞口である。大入賞口66は、例えばアウト口58の上方等の位置に設けられる。大入賞口66の設置個数としては、一つだけ設置する構成に限らず、複数個の大入賞口66を設置してそれぞれを遊技状態等に応じて使い分ける構成としてもよい。大入賞口66の入賞検出装置78は、遊技球の通過を検出するセンサを備えて構成される。
【0017】
遊技領域52の左方に設けられた特別図柄表示装置61および遊技領域52の略中央に設けられた演出表示装置60は、それぞれの画面に特別図柄192の変動と、特別図柄192に連動する装飾図柄190を含む演出画像の変動を表示する。以下、そうした表示を「図柄変動」または「変動表示」等という。
【0018】
特別図柄表示装置61は、例えば7セグメントLEDで構成される表示装置である。特別図柄192は、始動口62への遊技球の落入を契機として行われる抽選の結果に対応した図柄である。特別図柄192の変動表示が停止したときの図柄態様が、あらかじめ当りと定められた図柄であった場合に、その停止図柄が表示されたタイミングが大当り発生タイミングとなる。停止図柄は、図柄変動の終了時に表示すべき図柄である。前提技術における特別図柄192は、当りの図柄態様である「0」〜「9」といった数字、文字、記号、または外れの図柄態様である「−」の記号で表される。これらの数字または記号が高速で次々に入れ替わって特別図柄表示装置61へ表示されることにより、特別図柄192の図柄変動表示が実現される。なお、特別図柄192の態様は上記の数字または記号に限られず、英字などの文字であってもよいし、7セグメントLEDを構成する各セグメントの組合せで形成される一般に意味を持たない記号であってもよい。また、7セグメントLEDは、「8の字」を形成する7個のセグメントおよび「ドット」を表す1個のセグメントからなる8個のセグメントで構成されてもよい。この場合、8個のセグメントを組み合わせることにより8ビット分の数値を表現できる。さらに、特別図柄表示装置61を7セグメントLEDではないLEDドットアレーを用いて、その点灯パターンや点灯色の組合せで複数種類の特別図柄192を表現してもよい。
【0019】
演出表示装置60は、特別図柄192の変動表示と連動する形で装飾図柄190を変動表示する液晶ディスプレイで構成される表示装置である。装飾図柄190は、特別図柄192で示される抽選の結果表示を視覚的に演出するための図柄である。演出表示装置60は、装飾図柄190として、例えばスロットマシンのゲームを模した複数列の図柄を変動させる動画像を画面の中央領域に表示する。前提技術においては、「0」〜「9」の数字で構成される図柄を3列に表示して変動させ、最終的に停止表示される3個の図柄組合せによって当りまたは外れを示す。装飾図柄190を構成する複数図柄のそれぞれは、色彩や模様の装飾が施された数字、文字、または記号で構成されるが、これら数字、文字、記号に対して全図柄に共通する絵柄または図柄ごとに異なる絵柄を加えて一体化させる形で構成されてもよい。この絵柄は、ぱちんこ遊技機10の当該機種に設定された装飾または演出のテーマに関連するモチーフが描かれた絵柄であり、例えば人物や動物のキャラクターが描かれた絵柄であってもよい。装飾図柄190は、絵柄が一体的に含まれる図柄が変動表示される場合と、絵柄が分離して数字、文字、記号の部分のみが変動表示される場合とが、演出の展開に沿って切り替えられる構成であってもよい。装飾図柄190の変動表示の背景には、ぱちんこ遊技機10の当該機種に設定された装飾または演出のテーマに関連する演出的効果を有する動画像が図柄変動と連動して表示される。
【0020】
演出表示装置60は、前提技術では液晶ディスプレイなどの高精細なドットマトリクス型表示装置で構成されるが、ドラム回転式などの機械的表示手段やLEDマトリクス式などの表示手段で構成されてもよい。なお、特別図柄192は必ずしも演出的な役割をもつことを要しないため、前提技術では演出表示装置60の左下方の特別図柄表示装置61にて目立たない大きさで表示させる。ただし、特別図柄自体に演出的な役割をもたせることで装飾図柄を用いずに表現する手法を採用する場合には、特別図柄を7セグメントLEDではなく液晶ディスプレイに表示させる構成としてもよい。
【0021】
作動口68は、遊技盤50の左側方位置に設けられる。作動口68は、通過検出装置69を含む。通過検出装置69は、作動口68への遊技球の通過を検出するセンサであり、通過時にその通過を示す通過情報を生成する。作動口68への遊技球の通過は拡開機構63を拡開させるか否かを決定する開放抽選の契機となる。作動口68を遊技球が通過すると、開放抽選の結果を示す図柄である普通図柄が普通図柄表示装置59に変動表示される。したがって、開放抽選は「普通図柄抽選」とも呼ぶ。前提技術における普通図柄表示装置59は、便宜上、二つのランプで構成されるとともに、それらのうちいずれのランプが点灯しているかによって普通図柄の表示状態が表現される。例えば、第1のランプの点灯が外れを示し、第2のランプが当りを示すとき、それらが交互に点灯と消灯を繰り返すことによって普通図柄の変動表示が表現され、最終的にいずれかの点灯状態にて停止されることで普通図柄の停止図柄が表現される。普通図柄表示装置59は演出表示装置60の右下方に設けられる。変動開始から所定時間の経過後に、普通図柄の変動表示が停止する。このとき、通常状態では例えば1/256程度の低確率にて普通図柄が当りの図柄で停止し、後述する入球容易状態では例えば250/256程度の高確率にて普通図柄が当りの図柄で停止する。普通図柄が当りの図柄で停止すると、拡開機構63が所定時間拡開される。拡開機構63の開放時間は、例えば通常状態では0.1秒間であり、入球容易状態では6秒間である。
【0022】
演出表示装置60の周囲には、センター飾り64が設けられる。センター飾り64は、遊技球の流路、演出表示装置60の保護、装飾等の機能を有する。遊技領域52の左下部には、特別図柄保留表示装置20が設けられ、その対称位置である遊技領域52の右下部には、普通図柄表示装置59の下に普通図柄保留表示装置22が設けられている。
【0023】
特別図柄保留表示装置20は、4個のランプからなり、その点灯個数によって当否抽選の保留数を表示する。当否抽選の保留数は、図柄変動中または特別遊技中に始動口62へ入賞した抽選結果の個数であり、図柄変動がまだ実行されていない入賞球の数を示す。当否抽選の保留数が3個になると、遊技効率を高めるために外れの場合の図柄変動時間が通常より短縮される(以下、「短縮変動」ともいう)。同様に、当否抽選の保留数が4個になると、さらに遊技効率を高めるために外れの場合の図柄変動時間が上記3個の場合よりもさらに短縮される(以下、「超短縮変動」ともいう)。
【0024】
普通図柄保留表示装置22もまた4個のランプからなり、その点灯個数によって普通図柄変動の保留数を表示する。普通図柄変動の保留数は、普通図柄の変動中に作動口68を通過した遊技球の個数であり、普通図柄の変動がまだ実行されていない普通図柄抽選の数を示す。
【0025】
演出表示装置60の上方および下方には、それぞれ遊技効果ランプ90が設けられている。操作ボタン82は、遊技者が遊技機へ所定の指示を入力するために操作する操作入力手段であり、その操作入力の内容に応じて演出内容等に変化が加えられる。操作ボタン82は、上球皿15近傍の外壁面に設けられる。前提技術における操作ボタン82は一つのボタンで構成されるが、複数のボタンや十字キーなどの方向指示ボタンで構成されてもよい。可動役物140は、演出に連動して動作が制御される可動物であり、その動作によって演出的役割を果たす。例えば可動役物140は、遊技者による操作ボタン82を介した操作入力に応じて動作する。
【0026】
以上のような構成においてなされる遊技の方法および制御の流れを概説する。遊技者が発射ハンドル17を手で回動させると、その回動角度に応じた強度で上球皿15に貯留された遊技球が1球ずつ内レール56と外レール54に案内されて遊技領域52へ発射される。遊技者が発射ハンドル17の回動位置を手で固定させると一定の時間間隔で遊技球の発射が繰り返される。遊技領域52の上部へ発射された遊技球は、複数の遊技釘や風車に当りながらその当り方に応じた方向へ落下する。遊技球が一般入賞口72や始動口62、大入賞口66の各入賞口へ落入すると、その入賞口の種類に応じた賞球が上球皿15または下球皿16に払い出される。一般入賞口72等の各入賞口に落入した遊技球はセーフ球として処理され、アウト口58に落入した遊技球はアウト球として処理される。なお、各入賞口は遊技球が通過するゲートタイプのものを含み、本願において「落入」「入球」「入賞」というときは「通過」を含むものとする。
【0027】
遊技球が始動口62に落入すると、特別図柄表示装置61および演出表示装置60において特別図柄192および装飾図柄190が変動表示される。特別図柄192および装飾図柄190の変動表示は、表示に先だって決定された変動表示時間の経過後に停止される。特別図柄192は、その変動開始から停止までの変動態様が定められた変動パターンにしたがって変動表示される。装飾図柄190は、その変動開始から停止までの変動態様が定められた変動演出パターンにしたがって変動表示される。変動パターンおよび変動演出パターンはそれぞれ複数種ずつ用意され、それぞれが長短様々な変動時間をもつ。変動パターンにしたがって特別図柄192が変動表示される間、同じ変動時間をもつ変動演出パターンにしたがって装飾図柄190が変動表示される。変動パターンには、その図柄変動の終了条件としてパターンごとに変動表示時間が定められており、その変動表示時間の経過時に特別図柄192および装飾図柄190の変動が停止される。
【0028】
装飾図柄190の変動表示としては、まず変動開始とともにスロットマシンのリール回転のように3列とも図柄を変動させ、変動終了タイミングへ近づいたときに一列ずつ停止させることで最終的な停止態様としての図柄組合せを表示する。停止時の特別図柄192および装飾図柄190が大当りを示す停止態様となった場合、通常遊技よりも遊技者に有利な遊技状態である特別遊技に移行し、大入賞口66の開閉動作が開始される。大当りを示す装飾図柄190の停止態様は、例えば3つの図柄の種類が一致する組合せの態様である。
【0029】
変動演出パターンには、通常外れ演出パターン、リーチ外れ演出パターン、リーチ大当り演出パターンが含まれる。通常外れ演出パターンは、通常の外れの図柄組合せを表示するときの演出パターンである。リーチ外れ演出パターンは、あと一つ図柄が揃えば大当りとなる状態であるリーチ状態を経て外れの図柄組合せを表示するときの演出パターンである。リーチ大当り演出パターンは、リーチ状態を経て大当りの図柄組合せを表示するときの演出パターンである。特に、リーチ状態を経るときのパターンとしては、長短様々な変動時間をもつパターンが含まれ、相対的に変動時間の短いリーチパターンを「ノーマルリーチ」と称し、変動時間の長いリーチパターンを「スーパーリーチ」と称する。
【0030】
特別遊技は、開始デモ時間と呼ばれる演出画面の表示によって開始される。開始デモ時間の画面表示後に大入賞口66が開放され、その開放が約30秒間続いた後、または9球以上の遊技球が落入した後で一旦閉鎖される。このような大入賞口66の開放から閉鎖までが、基本的には単位遊技と呼ばれるが、1回の単位遊技の間に複数回の短時間の開放を繰り返す場合があってもよい。大入賞口66の開閉ないし単位遊技が所定の複数回数、例えば15回繰り返された後、終了デモ時間と呼ばれる演出画面の表示によって特別遊技が終了される。これに対し、当否抽選が小当りと呼ばれる結果に該当した場合は小当り遊技が実行される。小当りは、当否抽選の結果としては外れに含まれる結果である。小当り遊技は、一部の種類の特別遊技と類似の態様にて実行される単位遊技である。ただし、小当り遊技として実行される単位遊技は1回だけであり、複数回数の単位遊技が実行される特別遊技とは異なる。
【0031】
特別遊技が終了した後の通常遊技においては特定遊技の一つである特別図柄192および装飾図柄190の変動時間短縮(以下、適宜「時短」という)が開始される。特別図柄192および装飾図柄190の時短は、特別図柄192および装飾図柄190の変動時間が通常状態よりも短縮される状態である。特別図柄192および装飾図柄190の変動時間は、所定の変動回数、例えば100回の変動表示がなされた後で元の変動時間に戻されるが、その変動回数に達する前に大当りが発生すれば時短も終了する。時短により特別図柄192および装飾図柄190の変動時間が短縮されるため、通常の変動時間のまま図柄変動がなされる通常状態の場合と比べて、大当りが発生するまでの時間を短縮することができ、大当りの獲得容易性を相対的に高めることができる。
【0032】
特別図柄192および装飾図柄190の時短中は、特定遊技の一つである入球容易状態が実施される。入球容易状態は、普通図柄の時短、開放抽選の確率変動、拡開機構63の開放延長が実施されることにより始動口62への入球容易性が高められる状態である。普通図柄の時短は、普通図柄の変動時間が通常状態より短縮される状態である。開放抽選の確率変動は、開放抽選の当り確率を通常状態より高める状態である。拡開機構63の開放延長は、拡開機構63の開放時間を通常状態よりも長くする状態である。このように、入球容易状態においては、一定時間あたりの普通図柄の変動回数が通常状態よりも増加する可能性が高まる上、始動口62への入球容易性も増すため、始動口62への入球数が増加する可能性も高い。したがって、特別図柄192および装飾図柄190の時短および入球容易状態により、その期間中は始動口62への入球による賞球を得られる機会が増加する結果、持ち玉をほとんど減らさずに遊技し続けることが可能となる。
【0033】
なお、前提技術における入球容易状態は、普通図柄の時短、開放抽選の確率変動、拡開機構63の開放延長という3つの機能を用いて始動口62への入球容易性を高める。ただし、変形例としては、これら3つの機能のうち、1つまたは2つの機能を用いて始動口62への入球容易性を高める構成としてもよい。このように3つの機能のうち一部だけを用いても始動口62への入球容易性を高めることは可能である。また、3つの機能のうち少なくともいずれかを、実施する期間と実施しない期間とで遊技状態に応じて切り替える構成としてもよい。
【0034】
特別遊技が発生した場合であってそのときの当り停止図柄が特定の態様であった場合、特別遊技の終了後に特定遊技の一つである当否抽選の確率変動遊技(以下、適宜「確変」という)がさらに開始される。当否抽選の確変中は、通常の確率状態より当りの確率が高い当否抽選が行われ、比較的早期に新たな特別遊技が発生し得る。当否抽選の確変は次の大当りが発生するまで継続されるが、変形例として、所定の限定的な回数の図柄変動がなされたときに終了する構成であってもよい。前提技術においては、確変が開始されるときに同時に特別図柄192および装飾図柄190の時短や入球容易状態も開始されるが、変形例として時短や入球容易状態の開始を伴わない確変が実行される場合があってもよい。
【0035】
ぱちんこ遊技機10の内部には様々なエラー検知のためのセンサが設けられる。例えば、上球皿15や下球皿16において遊技球が溜まりすぎか否かを検知するセンサが上球皿15や下球皿16に設けられ、遊技球が溜まりすぎたときに球詰まりエラーを示すエラー信号を発する。ぱちんこ遊技機10の内部には振動センサが設けられ、例えば遊技者によって故意にぱちんこ遊技機10に振動が加えられたような場合に振動エラーを示すエラー信号を発する。各入球口やアウト口58に設置されるセンサによって計数される遊技球の排出数が入球数や打球数に満たない場合には排出エラーを示すエラー信号を発する。このように、ぱちんこ遊技機10の内部の各所には、図示しないセンサ等の複数種類のエラー検知手段が設けられる。エラー検知手段が発するエラー信号は、ぱちんこ遊技機10の外部装置としてぱちんこホールに設置されるホールコンピュータに送信される他、内部の制御装置へ送信される。
【0036】
エラー信号を受け取った内部の制御装置は、エラーに対処するための種々の制御を実行する。例えば、遊技球の発射を一時的に停止させたり、各入球口の開閉や賞球を停止させたりといった制御である。また、演出表示装置60の画面にエラーが発生した旨を示す文字列や絵などを用いてエラー報知するとともに、エラーの発生を示す音声によるエラー報知や、遊技効果ランプ90などの電飾品を点灯させることによるエラー報知を実行する。このとき、演出表示装置60の画面表示や音声出力、遊技効果ランプ90の点灯を用いた演出が通常どおり実行されているが、そうした演出に優先してエラー報知がなされる。そのため、一部の演出がエラー報知によって妨げられたり、遊技者による視聴が困難となったりし得る。そこで、前提技術においては、エラー報知により妨げられた演出が相対的に重要度を持つ演出であった場合に、その演出の趣旨を補完するために、妨げられた演出の種類に対応する新たな演出を実行する。これにより、エラー報知によって遊技者が重要な演出を視聴できなかった場合の不快感を緩和できる。また、エラー報知によって遊技者が視聴できなかった演出の目的を新たな演出によって果たすことで、その演出による情報性の損失を低減できる。
【0037】
図2は、ぱちんこ遊技機の背面側における基本的な構造を示す。電源スイッチ40はぱちんこ遊技機10の電源をオンオフするスイッチである。メイン基板102は、ぱちんこ遊技機10の全体動作を制御し、特に始動口62へ入賞したときの抽選等、遊技動作全般を処理する。サブ基板104は、液晶ユニット42を備え、演出表示装置60における表示内容や複数の可動役物140の動作、遊技効果ランプ90の点灯を制御し、特にメイン基板102による抽選結果に応じて表示内容を変動させ、その演出の進行に沿って可動役物140や遊技効果ランプ90の点灯を作動させる。メイン基板102およびサブ基板104は、遊技制御装置100を構成する。裏セット機構39は、賞球タンク44や賞球の流路、賞球を払い出す払出ユニット43等を含む。払出ユニット43は、各入賞口への入賞に応じて賞球タンク44から供給される遊技球を上球皿15へ払い出す。払出制御基板45は、払出ユニット43による払出動作を制御する。発射装置46は、上球皿15の貯留球を遊技領域52へ1球ずつ発射する。発射制御基板47は、発射装置46の発射動作を制御する。電源ユニット48は、ぱちんこ遊技機10の各部へ電力を供給する。
【0038】
図3は、前提技術におけるぱちんこ遊技機10の機能ブロックを示す。ぱちんこ遊技機10において、遊技制御装置100は、始動口62、大入賞口66、一般入賞口72、作動口68、特別図柄表示装置61、演出表示装置60、普通図柄表示装置59、操作ボタン82、スピーカ18、遊技効果ランプ90、可動役物140、エラー検知手段84のそれぞれと電気的に接続されており、各種制御信号の送受信を可能とする。遊技制御装置100は、遊技の基本動作だけでなく、図柄変動表示や可動役物140、電飾等の演出的動作も制御する。遊技制御装置100は、遊技の基本動作を含むぱちんこ遊技機10の全体動作を制御するメイン基板102と、図柄の演出等を制御するサブ基板104とに機能を分担させた形態で構成される。遊技制御装置100は、ハードウエア的にはデータやプログラムを格納するROMやRAM、演算処理に用いるCPU等の素子を含んで構成される。
【0039】
前提技術におけるメイン基板102は、入球判定手段110、当否抽選手段112、図柄決定手段114、変動パターン決定手段115、保留制御手段116、メイン表示制御手段118、特別遊技制御手段120、特定遊技実行手段122、開閉制御手段124、エラー制御手段126を備える。前提技術におけるサブ基板104は、パターン記憶手段130、図柄態様決定手段131、演出決定手段132、演出表示制御手段134、役物制御手段136、エラー受信手段137、エラー報知手段138、補完処理手段139を備える。なお、メイン基板102に含まれる各機能ブロックは、いずれかがメイン基板102ではなくサブ基板104に搭載されるかたちで構成されてもよい。同様に、サブ基板104に含まれる各機能ブロックは、いずれかがサブ基板104ではなくメイン基板102に搭載されるかたちで構成されてもよい。
【0040】
ただし、メイン基板102とサブ基板104の間におけるデータの送受信はメイン基板102からサブ基板104への一方向であるため、そのような一方向でのデータ送受信にて全体動作が実現されるよう各構成がメイン基板102とサブ基板104に配置される。このようにメイン基板102からサブ基板104へのデータ送信の一方向性が保たれるため、サブ基板104に含まれる構成からメイン基板102に含まれる構成へはデータを送信することができず、データ送信の要求もできない。したがって、メイン基板102で生成された情報は、メイン基板102がサブ基板104へ一方的に送信しない限りサブ基板104から参照することはできない。
【0041】
入球判定手段110は、各入賞口への遊技球の入球を判定する。入球判定手段110は、始動入賞情報を受け取ると遊技球が始動口62に入賞したと判断し、大入賞口入賞情報を受け取ると遊技球が大入賞口66に入賞したと判断し、一般入賞情報を受け取ると遊技球が一般入賞口72に入賞したと判断する。入球判定手段110は、通過情報を受け取ると遊技球が作動口68を通過したと判断する。
【0042】
当否抽選手段112は、始動口62への入球を契機に、通常遊技より遊技者に有利な状態である特別遊技へ移行するか否かを判定するための乱数の値を当否抽選値として取得する。たとえば、当否抽選値は「0」から「65535」までの値範囲から取得される。なお、本願にいう「乱数」は、数学的に発生させる乱数でなくてもよく、ハードウエア乱数やソフトウエア乱数などにより発生させる疑似乱数でもよい。当否抽選手段112が当否抽選値として取得する値は、保留制御手段116により一時的に保留される。ただし、所定の保留上限数を超えない範囲で当否抽選値が保留される。
【0043】
当否抽選手段112は、当否判定で参照する当否テーブルを複数保持する。複数の当否テーブルには、大当り、小当り、外れの判定結果と当否抽選値とが対応付けられており、対応付けられた大当りの範囲設定に応じて当否確率が定まる。当否抽選手段112は、通常時には通常確率による当否テーブルを参照し、確率変動時には通常確率より当りの確率が高くなる当否テーブルを参照する。当否抽選手段112は、複数の当否テーブルのうちいずれかを参照し、当否抽選値が当りであるか否かを判定する。
【0044】
当否抽選手段112は、遊技球が作動口68を通過した場合に、普通図柄を決定するための開放抽選として抽選値を取得する。当否抽選手段112は、開放抽選の抽選値と当否結果の対応関係が定められた当否テーブルを保持し、その当否テーブルを参照して開放抽選の当否結果を決定する。通常状態においては1/256の確率で当りとなる当否テーブルを参照し、入球容易状態においては250/256の確率で当りとなる当否テーブルを参照する。普通図柄の抽選値は、保留制御手段116により一時的に保留される。ただし、保留制御手段116により保留される所定の保留上限数を超えない場合にだけ抽選値が保留される。
【0045】
図4は、当否判定テーブルを模式的に示す図である。本図の当否判定テーブルには、大当り、小当り、外れの判定結果と当否抽選値とが対応付けられており、対応付けられたそれぞれの範囲設定に応じて大当り当否確率や小当りの当否確率が定まる。当否抽選手段112は、当否判定において本図の当否判定テーブルを参照する。当否抽選手段112による当否抽選においては、通常時には図4(a)の通り、当否抽選値が0〜399の範囲に該当したときのみ大当りとなる。確変時には図4(b)の通り、大当りの範囲が拡大され、当否抽選値が0〜399の範囲に該当する場合だけでなく、400〜2999の範囲に該当する場合にも大当りとなる。このように、大当りに該当する範囲は遊技状態に応じて変化する。大当りに該当した場合、15R大当りと2R大当りのいずれとなるか、および、確変を伴うか否かは、特別図柄の停止図柄に応じて別途決定される。なお、本図では単一の当否判定テーブルによって通常時と確変時の双方の大当り範囲を示したが、当否判定テーブルは通常時用と確変時用とで別個に用意してもよい。
【0046】
前提技術においては、当否抽選値が大当り範囲に該当しない、いわゆる外れとなった場合であっても、所定の範囲に該当した場合には小当りとなる。本図の例では、当否抽選手段112が取得する当否抽選値が65000〜65535の範囲に該当した場合に小当りとなる。このように、大当りに該当しなかった場合、本来はすべて「外れ」であるが、本図の例では大当りに該当しなかった場合のうち小当りにも該当しなかった場合の当否抽選値範囲を特に「外れ」と表現している。なお、本図では大当りか否かの判定テーブルと小当りか否かの判定テーブルとを単一の当否判定テーブルの形で実現する例を示したが、それぞれを別個のテーブルとして実現してもよい。
【0047】
図3に戻り、当否抽選手段112による判定結果は、特別図柄表示装置61において特別図柄のかたちで変動表示される。また、当否抽選手段112による判定結果を演出的に示す装飾図柄が演出表示装置60において変動表示される。当否抽選手段112は、図柄変動を開始するタイミングにおいて、その図柄変動に対応する抽選の結果を図柄変動の制御コマンドとともに図柄態様決定手段131および演出決定手段132へ送信する。
【0048】
図柄決定手段114は、特別図柄表示装置61に表示させる特別図柄の停止図柄を、当否抽選手段112による抽選の結果に応じて決定する。図柄決定手段114は、特別図柄の停止図柄を決定するために参照すべき図柄範囲テーブルを保持する。図柄決定手段114は、特別図柄を決定するための図柄決定抽選値を取得し、当否抽選手段112による当否判定結果と図柄決定抽選値とに応じて特別図柄の停止図柄を決定する。
【0049】
図柄決定手段114は、普通図柄表示装置59に表示させる普通図柄の停止図柄を、当否抽選手段112による開放抽選の結果に応じて決定する。図柄決定手段114は、開放抽選の結果を普通図柄のかたちで普通図柄表示装置59に変動表示させるために、開放抽選の結果に応じて普通図柄の停止図柄を決定する。決定された停止図柄が所定の図柄となった場合に普通図柄が当りに該当したと判定され、その停止図柄にて普通図柄の変動表示が停止された後に開閉制御手段124が始動口62の拡開機構63を所定時間拡開する。
【0050】
図柄決定手段114は、決定した停止図柄を示すデータをメイン表示制御手段118、図柄態様決定手段131、演出決定手段132へ送出する。
【0051】
図5は、図柄判定テーブルを模式的に示す図である。図5(a)は当否判定結果が大当りであった場合に参照するテーブルであり、図5(b)は当否判定結果が外れであった場合に参照するテーブルであり、図5(c)は当否判定結果が小当りであった場合に参照するテーブルである。図柄決定手段114は、図柄判定において本図の図柄判定テーブルを参照する。各図柄判定テーブルには、「0」〜「9」の数字および「−」の記号で表される特別図柄と図柄抽選値との対応関係が定められている。特別図柄の種類はそれぞれ大当り、小当り、外れの当否判定結果と対応付けられており、奇数の数字が大当りに対応し、偶数の数字が小当りに対応し、「−」の記号が外れに対応する。
【0052】
図5(a)に示す通り、特別図柄「0」〜「9」のうち奇数の数字である特別図柄「1」「3」「5」「7」「9」が大当りに対応付けられている。そのうち、特別図柄「7」は確変を伴う15R大当りを示し、図柄抽選値の範囲「0〜99」に対応付けられる。特別図柄「3」は確変を伴う2R大当りを示し、図柄抽選値の範囲「100〜149」に対応付けられる。特別図柄「1」「5」「9」は確変を伴わない15R大当りを示し、図柄抽選値の範囲「150〜189」に特別図柄「1」が対応付けられ、「190〜229」に特別図柄「5」が対応付けられ、「230〜255」に特別図柄「9」が対応付けられる。
【0053】
図5(b)に示す通り、特別図柄「−」は当否判定結果が外れの場合における全範囲の図柄抽選値に対応付けられている。
【0054】
図5(c)に示す通り、特別図柄「0」〜「9」のうち偶数の数字である特別図柄「0」「2」「4」「6」「8」が小当りに対応付けられている。特別図柄「0」は図柄抽選値の範囲「0〜49」に対応付けられ、特別図柄「2」は図柄抽選値の範囲「50〜99」に対応付けられる。特別図柄「4」は図柄抽選値の範囲「100〜149」に対応付けられ、特別図柄「6」は図柄抽選値の範囲「150〜199」に対応付けられ、特別図柄「8」は図柄抽選値の範囲「200〜255」に対応付けられる。
【0055】
図3に戻り、変動パターン決定手段115は、当否抽選の結果に応じて複数種の変動パターンからいずれかの変動パターンを選択する。変動パターン決定手段115は、変動パターンを決定するために参照すべき変動パターンテーブルを保持する。変動パターン決定手段115は、決定した変動パターンを示すデータをメイン表示制御手段118、図柄態様決定手段131、演出決定手段132へ送出する。変動パターン決定手段115は、複数種の変動パターンを記憶する。複数種の変動パターンは、長短様々な変動時間をもつとともに、その変動時間にて複数の図柄で構成される装飾図柄による図柄変動も実行されることを前提として規定される。各変動パターンには、その図柄変動の終了条件としてパターンごとに変動表示時間が定められており、その変動表示時間の経過時に特別図柄および装飾図柄の変動が停止される。
【0056】
図6は、変動パターンテーブルを模式的に示す図である。変動パターン決定手段115は、当否判定結果が外れのときは図6(a)に示される外れ用の変動パターンテーブルを参照する。当否判定結果が15R大当りのときは図6(b)に示される15R大当り用の変動パターンテーブルを参照する。当否判定結果が2R大当りまたは小当りのときは図6(c)に示される2R大当りおよび小当り用の変動パターンテーブルを参照する。
【0057】
図6(a)においては、パターン抽選値0〜10には「スーパー1」というスーパーリーチが対応付けられ、パターン抽選値11〜20には「スーパー2」というスーパーリーチが対応付けられている。パターン抽選値21〜255には「ノーマル1」「ノーマル2」「リーチなし」のいずれかの変動パターンが対応付けられている。このように、当否判定結果が外れの場合、スーパーリーチ、ノーマルリーチ、リーチなしのいずれも選択される可能性がある。なお、外れ用の変動パターンテーブルにおいて、特に「リーチなし」の変動パターンを選択するとき、時短状態においては通常状態よりもさらに変動時間が概ね短い変動パターンが選択されるよう異なるテーブルを参照する。また、外れ用の変動パターンテーブルは保留数ごとに参照すべき欄が異なるように規定されるが、通常状態を例とするその詳細は後述する図7において説明する。
【0058】
図6(b)においては、パターン抽選値0〜120には「スーパー1」のスーパーリーチが対応付けられ、パターン抽選値121〜240には「スーパー2」のスーパーリーチが対応付けられている。パターン抽選値241〜250には「ノーマル1」のリーチが対応付けられ、パターン抽選値251〜255には「ノーマル2」のリーチが対応付けられている。このように、当否判定結果が15R大当りの場合はリーチ付きの変動パターンが選択される。
【0059】
図6(c)においては、パターン抽選値0〜122には「スーパー3」というスーパーリーチが対応付けられ、パターン抽選値123〜255には「ノーマル3」というノーマルリーチが対応付けられている。このように当否判定結果が2R大当りまたは小当りの場合は「スーパー3」または「ノーマル3」がそれぞれ約50%の確率で選択される。
【0060】
図7は、外れ用の変動パターンテーブルを詳細に示す図である。本図の変動パターンテーブル210においては、保留数ごとにそれぞれ変動パターンに対応付けられたパターン抽選値の範囲が異なる。具体的には、保留数が少ないほど変動時間が相対的に長い変動パターンに割り当てられたパターン抽選値の範囲が広くされており、それら変動時間の長い変動パターンが選択される確率を高めている。そのため、保留制御手段116による保留数が少ないほど平均的な変動時間が長くなる。したがって、保留制御手段116による保留数が所定数、例えば1〜2個より少なくなった場合に、変動時間の長い変動パターンの選択確率が通常より高くなり、変動時間が比較的長くなりやすい。
【0061】
第1欄212には、保留制御手段116による当否抽選の結果保留数が1の場合のパターン抽選値範囲と変動パターンとの対応関係が示される。同様に、第2欄214、第3欄216、第4欄218に、保留制御手段116による当否抽選の結果保留数がそれぞれ2、3、4の場合のパターン抽選値範囲と変動パターンとの対応関係が示される。すなわち、第1欄212、第2欄214、第3欄216、第4欄218が保留数ごとの変動パターンテーブルを示すと考えることができる。本図では、外れのときに選択され得る複数の変動パターンを変動時間別に5種類に分類した例を説明するが、実際にはそれらの分類ごとに複数の変動演出パターンが用意されており、全体で数十種類の変動演出パターンがその分類ごとの抽選値範囲に対応付けられていることに等しい。なお、本図の第2欄214、第3欄216、第4欄218の各パターン抽選値範囲の割合と第1欄212におけるパターン抽選値範囲の割合を比較するために、第1欄212のパターン抽選値範囲の割合を示す破線を第2欄214、第3欄216、第4欄218に描いている。
【0062】
第1範囲222には、抽選値が0から10までのパターン抽選値に該当する場合の変動パターンとして、第1欄212、第2欄214、第3欄216、第4欄218のいずれにも「スーパー1」というスーパーリーチの変動パターンが対応付けられる。第2範囲224には、抽選値が11から20までのパターン抽選値に該当する場合の変動パターンとして、第1欄212、第2欄214、第3欄216、第4欄218のいずれにも「スーパー2」というスーパーリーチの変動パターンが対応付けられる。このように、抽選値が0から10までのパターン抽選値と抽選値が11から20までのパターン抽選値の場合には、保留数にかかわらず同じ変動時間の変動パターンが選択される。
【0063】
第3範囲226には、抽選値が21から255までのパターン抽選値に該当する場合の変動パターンとして、第1欄212、第2欄214、第3欄216、第4欄218にはそれぞれノーマルリーチである「ノーマル1」「ノーマル2」と「リーチなし外れ」の3種類の変動パターンが対応付けられる。ただし、それぞれの変動パターンが対応付けられるパターン抽選値の範囲は保留数によって異なる。第1欄212では、「ノーマル1」「ノーマル2」「リーチなし」のそれぞれが対応付けられる抽選値範囲の大きさがそれぞれほぼ等しく、21から255をほぼ3等分した範囲が対応付けられている。これに対し、第2欄214では、「ノーマル1」「ノーマル2」のそれぞれに対応付けられる抽選値範囲の大きさが「リーチなし」に対応付けられる抽選値範囲より小さい。また、第3欄216および第4欄218では「ノーマル1」「ノーマル2」のそれぞれに対応付けられる抽選値範囲の大きさがさらに小さくなっている。
【0064】
「ノーマル1」「ノーマル2」の変動時間は「リーチなし外れ」の変動時間より長くてもよく、また「リーチなし外れ」のときは時短状態のように変動時間が短縮される場合もあるため、上記の第3範囲226の設定内容に応じて平均的な変動時間が異なることとなる。保留数が0から1、2、3、4と多くなるにつれて「ノーマル1」および「ノーマル2」のパターン抽選値範囲は小さくなり、逆に「リーチなし外れ」のパターン抽選値範囲が大きくなる。したがって、保留数が多いほど平均的な変動時間は短くなり、逆に保留数が少ないほど平均的な変動時間は長くなる。このように保留数ごとにパターン抽選値範囲と変動パターンの対応関係が異なる変動パターンテーブルを用いることにより、保留数が少なくなったときに変動時間の長い変動パターンが選択されやすくなる制御を実現することができる。
【0065】
第3欄216に対応付けられた「リーチなし外れ」の変動パターンは、第1欄212、第2欄214に対応付けられた「リーチなし外れ」よりも変動時間が短い、いわゆる「短縮変動」の変動パターンである。また、第4欄218に対応付けられた「リーチなし外れ」の変動パターンは、第1欄212、第2欄214に対応付けられた「リーチなし外れ」よりも変動時間が短く、第3欄216の「短縮変動」よりもさらに変動時間が短い、いわゆる「超短縮変動」の変動パターンである。
【0066】
図3に戻り、変動パターン決定手段115は、普通図柄の変動表示時間を決定する。通常状態においては変動表示時間を60秒に決定し、入球容易状態においては変動表示時間を6秒に決定する。
【0067】
保留制御手段116は、始動口62へ新たな入球があって新たに当否抽選が実行されるときにそれ以前の入球ないし抽選に対応する図柄変動が表示されている場合、新たな入球に基づく当否抽選の結果をその抽選に対応する図柄の変動表示開始まで保留する。前提技術では当否抽選の結果として4個を上限として当否抽選値を保留球として保持する。ここでいう当否抽選値は、当否抽選値、図柄抽選値、変動パターン抽選値を含む。保留制御手段116はさらに、当否抽選手段112により取得された普図抽選値を保留球として保持する。これらの保留数がそれぞれ特別図柄保留表示装置20、普通図柄保留表示装置22の点灯数または点滅数により表される。
【0068】
メイン表示制御手段118は、当否抽選手段112による抽選の結果を、変動パターン決定手段115により決定された変動パターンにしたがって特別図柄192の変動表示として特別図柄表示装置61に表示させる。メイン表示制御手段118は、それ以前になされた当否抽選に対応する図柄の変動表示が終了していることを新たな図柄変動の開始条件とする。メイン表示制御手段118は、特別図柄192の変動表示を開始するタイミングと停止するタイミングにて、変動開始コマンドと変動停止コマンドを演出表示制御手段134へ送信する。変動開始コマンドを送信するとき、判定された当否判定結果、停止図柄、変動パターンのそれぞれを示す値を変動開始コマンドとともに演出表示制御手段134へ送信する。変動停止コマンドを送信するとき、あらためて停止図柄を示す値を変動停止コマンドとともに演出表示制御手段134へ送信する。これにより、メイン表示制御手段118および演出表示制御手段134による変動表示が同期し、連動が保たれる。メイン表示制御手段118は、普通図柄抽選の結果を普通図柄の変動表示として普通図柄表示装置59に表示させる。
【0069】
特別遊技制御手段120は、当否抽選手段112による当否抽選が特別遊技への移行を示す結果となった場合、特別図柄192が所定の大当り態様で停止されたときに特別遊技作動条件が成立したと判定し、大入賞口66を開放させることにより特別遊技を実行する。特別遊技は、大入賞口66の開閉動作を複数回数連続して継続する遊技であり、1回の開閉を単位とした複数回の単位遊技で構成される。特別遊技には、単位遊技を15回繰り返す15R大当りと、15R大当りより開放時間が短い単位遊技を2回だけ繰り返す2R大当りがある。15R大当りにおいては、1回の単位遊技において大入賞口66を原則として約30秒間開放させる。2R大当りにおいては、1回の単位遊技において大入賞口66を約0.5秒間だけ開放させる。特別遊技制御手段120は、単位遊技の設定ラウンド数を消化したときに特別遊技を終了させる。なお、2R大当りとなった場合においても、所定の条件を満たした場合には、15R大当りと同様の開放態様で大入賞口66を開放させてもよい。
【0070】
特定遊技実行手段122は、確変状態、時短状態、および入球容易状態における通常遊技を制御する。特定遊技実行手段122は、特別遊技の終了後に遊技状態を時短状態および入球容易状態へ移行させる。一方、特別遊技の終了後に確変状態へ移行させるのは、図柄決定手段114により決定された図柄が確変への移行を伴う大当り図柄であった場合に限られる。時短状態および入球容易状態は、特別図柄192の変動表示回数が特別遊技の終了時点から数えて所定の終了条件回数、例えば100回に達するまで継続される。ただし、同時に確変状態へ移行した場合は確変状態が続く限り時短状態および入球容易状態も継続される。すなわち、次の大当りが発生するまで継続される。このように時短状態および入球容易状態の終期は遊技状態に応じて定まる。時短状態においては、特別図柄192の変動表示時間が概ね短くなるよう、変動パターン決定手段115が変動時間の短い変動パターンを選択する。ただし、通常状態においては、保留制御手段116による当否抽選結果の保留数に応じた変動パターンテーブルを参照し、保留制御手段116による保留数が少なくなるほど変動時間の長い変動パターンが出現しやすくなる。入球容易状態においては、普通図柄の時短、普通図柄の確変、拡開機構63の開放延長が実施される。一方、確変状態は、次の大当りによる特別遊技が実行されるまで継続される。確変状態の間は当否抽選手段112による当否判定結果が大当りとなる確率が高い値のまま維持される。
【0071】
開閉制御手段124は、始動口62の普通電動役物や大入賞口66の開閉を制御する。開閉制御手段124は、普通図柄が特定の図柄で停止されると、普通電動役物ソレノイド76に開放指示を送り、始動口62を開放させる。また、開閉制御手段124は、特別遊技中、大入賞口ソレノイド80に開放指示を送り、大入賞口66を開放させる。
【0072】
エラー制御手段126は、ぱちんこ遊技機10において遊技に支障を及ぼす可能性のある不具合が発生した場合にその不具合を検知したエラー検知手段84からエラー信号を受信する。エラー信号には、エラー内容、すなわち不具合が生じた旨とその不具合の種類が示される。エラー制御手段126は、エラー信号を受信した場 合に、エラー信号に示される不具合の種類に応じて開閉制御手段124による各入賞口の開閉制御を停止させたり、遊技球の発射を停止させたりといった一時的な遊技停止を図るための制御をする。エラー制御手段126は、エラー信号を受信した場合、そのエラー信号をサブ基板104のエラー受信手段137へ送信する。
【0073】
パターン記憶手段130は、装飾図柄190の変動において演出表示装置60に表示させる演出的な画像内容とその表示過程、音声出力、遊技効果ランプ90の点滅パターンなどの演出内容が定められた複数の演出パターンを保持する。演出パターンには、変動演出パターンと予告演出パターンと特別遊技演出パターンとが含まれる。変動演出パターンは、装飾図柄190の変動表示における変動開始から停止までの変動過程と演出過程が定められた演出パターンである。予告演出パターンは、装飾図柄の変動表示とは別に表示されて大当りへの期待度の高さを変動表示の停止前に予告的に示唆する演出パターンである。特別遊技演出パターンは、特別遊技における演出内容として特別遊技後に確変や時短へ移行するか否かを演出的に示唆する演出パターンである。
【0074】
演出決定手段132は、当否抽選手段112から受け取る当否抽選の結果に応じて、演出表示制御手段134によって演出表示装置60へ表示させる演出内容を決定する。演出決定手段132は、変動パターン決定手段115により決定された特別図柄の変動パターンに対応する複数の変動演出パターンデータからいずれかを選択してパターン記憶手段130から読み出し、その変動演出パターンの情報を演出表示制御手段134へ送る。演出決定手段132は、変動演出パターンを選択するために参照すべきパターンテーブルを保持する。
【0075】
各変動演出パターンには、その図柄変動の終了条件としてパターンごとに変動時間が定められており、その変動時間の経過時に図柄変動が停止される。演出決定手段132は、特別図柄の変動パターンに応じて、変動時間が等しい演出画像の変動演出パターンを選択する。一つの変動パターンに対して複数種類の変動演出パターンが対応し、いずれかの変動演出パターンが選択される。例えば、「スーパー1」の変動パターンに対して、変動演出パターンは「a1」〜「a5」までの5種類が対応し、いずれも大当り時の選択確率や外れ時の選択確率は図6に示すように同じとなるため、大当りが出る可能性ないし期待度が同等である変動演出パターンとして分類される。同様に、「スーパー2」の変動パターンに対応する複数種類の変動演出パターンも、大当りが出る可能性ないし期待度が同等である変動演出パターンとして分類される。
【0076】
図柄態様決定手段131は、装飾図柄190の停止図柄の組合せとその配置を、当否抽選手段112による抽選の結果、特別図柄の停止図柄、特別図柄の変動パターン、装飾図柄の変動演出パターンに応じて決定する。図柄態様決定手段131は、決定した停止図柄の組合せを示す情報を演出表示制御手段134へ送信する。図柄態様決定手段131は、装飾図柄の停止図柄を決定するために参照すべき図柄範囲テーブルを保持する。
【0077】
装飾図柄190の停止図柄は、3つの図柄の組合せとして形成され、例えば当否抽選手段112による当否判定結果が15R大当りの特別遊技への移行を示す場合には特定の組合せ、例えば「777」や「111」のように3つの図柄が揃った組合せが選択される。この場合、装飾図柄190として揃える数字には、特別図柄192と同じ数字が選ばれるのが好ましいが、必ずしも同じ数字でなくともよい。例えば、特別図柄192が「7」の場合は装飾図柄190が「777」となる。当否判定結果が2R大当りの場合や小当りの場合もまた特定の組合せ、例えば「357」のような所定の組合せが選択されるが、それらの特定の組合せは必ずしも3つの図柄が揃った組合せでなくてもよい。当否判定結果が大当りでも小当りでもない場合は、「312」や「946」のように3つの図柄が揃っていない組合せであって、2R大当りや小当りのときに選択される特定の組合せに該当しない組合せが選択される。当否判定結果が15R大当りではない場合であって、リーチ付きの外れを示す変動パターンが選択された場合は、「191」や「727」のように一つだけ図柄が揃っていない組合せを選択する。
【0078】
予告演出パターンは、特定のキャラクタやモチーフの画像、アニメーション、映像などを一時的に画面表示させる演出パターンや、特定の音声を出力する演出パターン、遊技効果ランプ90を点滅させる演出パターン、可動役物140を動作させる演出パターンである。予告演出パターンによる演出は、図柄変動と並行して実行され、その図柄変動が大当り態様にて停止する期待度が高いことを予告的に示唆する。例えば、キャラクタの画像を一つだけ画面に表示させるだけの通常予告演出や、キャラクタのセリフを文字列で示すセリフ予告演出、多数のキャラクタの群れを画面の一端から他端へ通過させるように表示させる群予告演出などがある。また、予告演出の表示過程を複数段階に分け、表示させる段階数を可変にして段階数が多いほど大当りへの期待度が高くなるように設定されるステップアップ予告演出がさらに含まれる。
【0079】
予告演出パターンには、装飾図柄190の表示態様がリーチ状態となった後のタイミングで演出が実行されて図柄の最終的な停止態様を予告するパターンと、装飾図柄190が一つも停止していないタイミングで演出が実行されてリーチ状態となることを同時に予告するパターンとがある。
【0080】
演出決定手段132は、当否抽選の結果に応じて演出表示装置60に予告演出を表示させるか否かを所定の予告抽選により決定するとともに、表示させるべき予告演出パターンを決定する。演出決定手段132は、予告演出を表示させるか否かを決定するために参照すべき予告決定テーブルと、予告演出パターンの種類を選択するときに参照すべき予告種類テーブルとを保持する。予告決定テーブルは、当否抽選の結果に応じて異なる欄が参照されるように設定されており、例えば当否抽選が当りの場合は外れの場合よりも高い確率で予告演出を表示させるよう、当否抽選の結果と予告演出を表示するか否かの対応関係が定められる。これにより、予告演出が表示されること自体で大当りへの期待度の高さを示唆することができる。
【0081】
図8は、予告種類テーブルを模式的に示す図である。予告種類テーブル240において、第1欄242には、第1の種類の予告演出パターンである「予告A」が定められ、第2欄244には、第2の種類の予告演出パターンである「予告B」が定められる。例えば「予告A」は通常予告演出であり、「予告B」はセリフ予告演出である。このように、「予告A」と「予告B」とでは、予告の手法が異なる。第3欄246には、第3の種類の予告演出パターンである「予告C」が定められ、第4欄248には、第4の種類の予告演出パターンである「予告D」が定められる。これら「予告A」〜「予告D」の予告演出パターンは、さらにそれぞれ種類が細分化される。例えば「予告A」は「A1」〜「A5」に細分化され、「予告B」は「B1」〜「B5」に細分化され、「予告C」は「C1」〜「C5」に細分化され、「予告D」は「D1」〜「D5」に細分化される。細分化された予告演出パターンは、出現するキャラクタや文字などの内容が異なり、それぞれ大当りおよび小当りの場合における選択確率と、外れの場合における選択確率が定められている。
【0082】
ここで、すべての予告演出パターンのそれぞれについて異なる選択確率を定めてもよいが、前提技術では便宜上、「A1」〜「D1」を同じ選択確率とし、同様に「A2」〜「D2」を同じ選択確率とし、「A3」〜「D3」を同じ選択確率とし、「A4」〜「D4」を同じ選択確率としている。例えば、「A1」〜「D1」は大当りおよび小当りの場合に「10%」の選択確率にて選択し、外れの場合に「0.2%」の選択確率にて選択する。「A2」〜「D2」は大当りおよび小当りの場合に「7%」の選択確率にて選択し、外れの場合に「0.3%」の選択確率にて選択する。「A3」〜「D3」は大当りおよび小当りの場合に「5%」の選択確率にて選択し、外れの場合に「0.5%」の選択確率にて選択する。「A4」〜「D4」は大当りおよび小当りの場合に「2%」の選択確率にて選択し、外れの場合に「1%」の選択確率にて選択する。「A5」〜「D5」は大当りおよび小当りの場合に「1%」の選択確率にて選択し、外れの場合に「2%」の選択確率にて選択する。これにより、大当りおよび小当りの場合に最も選択確率が高く、外れの場合に最も選択確率の低い「A1」〜「D1」は、複数種類の予告演出パターンの中で最も大当りの可能性ないし期待度が高い予告演出の分類となる。「A2」〜「D2」が次に大当りの可能性ないし期待度が高く、「A3」〜「D3」、「A4」〜「D4」、「A5」〜「D5」の順に大当りの可能性ないし期待度が低い分類となる。
【0083】
演出表示制御手段134は、当否抽選手段112による当否抽選の結果として、選択された変動演出パターンデータにしたがって演出表示装置60へ装飾図柄を含む演出画像を変動表示させ、スピーカ18から音声を出力させ、遊技効果ランプ90を点滅させる。演出表示制御手段134は、装飾図柄190の変動開始コマンドを受け取ったときに新たな図柄変動を開始させる。
【0084】
演出表示制御手段134は、予告演出を表示させる旨が演出決定手段132により決定された場合、選択された予告演出パターンにしたがった予告演出を図柄変動の演出に重畳させる形で演出表示装置60へ表示させ、スピーカ18から音声を出力させる。予告演出パターンによっては、可動役物140を動作させたり、遊技効果ランプ90を点滅させたりする。
【0085】
役物制御手段136は、演出表示制御手段134から受け取る指示にしたがい、演出表示装置60における演出内容や遊技効果ランプ90の点滅過程に沿って、可動役物140を演出的に動作させる。
【0086】
エラー受信手段137は、ぱちんこ遊技機10において遊技に支障を及ぼす可能性のある不具合が発生した場合のエラー信号をエラー制御手段126から受信して、エラー報知手段138へ転送する。なお、変形例においては、エラー受信手段137をサブ基板104ではなくメイン基板102に設け、エラー検知手段84から受信するエラー信号をエラー報知手段138へ転送することとしてもよい。また、エラー検知手段84からメイン基板102のエラー制御手段126へエラー信号が送信されて、エラー制御手段126がエラー受信手段137へエラー信号を転送する例を示した。変形例としては、サブ基板104に対してもエラー検知手段84からエラー信号が直接的に送信される構成としてもよい。
【0087】
エラー報知手段138は、エラー受信手段137からエラー信号を受け取った場合に不具合が発生した旨を、演出表示装置60への画面表示、スピーカ18からの音声出力、遊技効果ランプ90の点灯のうち少なくともいずれかによりエラー報知として出力する。このとき、演出表示装置60への画面表示、スピーカ18からの音声出力、遊技効果ランプ90の点灯のうち少なくともいずれかを用いた演出が実行されていたとしても、その演出に優先してエラー報知を実行する。前提技術においては、演出表示装置60への画面表示、スピーカ18からの音声出力、遊技効果ランプ90の点灯をすべて用いた演出とするが、変形例においては、これらの手法のうちいずれか一つまたは二つを用いたエラー報知としてもよい。
【0088】
エラー報知の方法は、エラー信号に示されるエラーの種類によって異なる。例えば、球詰まりエラーの場合、遊技者が上球皿15または下球皿16から遊技球を除去して所定量未満へ減らすまではエラーを解除できないため、エラー解除までに要する時間も推測できず、実際に不具合が解消されるまではエラー報知を継続する必要がある。一方、振動エラーのように、発生した不具合自体はごく短時間であるため、エラー報知の時間は例えば「40秒間」のようにあらかじめ定められる。このように、エラー報知の時間が定められているエラーと、定められていないエラーとに分けられ、報知時間が定められているエラーについてもエラーの種類ごとにその重要性に沿って異なる報知時間が定められていてもよい。エラー報知手段138は、エラー信号に示されるエラーの種類に対応する報知時間および報知方法を用いてエラー報知を実行する。
【0089】
図9は、演出表示装置60の画面に表示させるエラー報知の例を模式的に示す図である。演出表示装置60の画面表示を用いたエラー報知としては、本図のエラー表示260のように「!!球詰まりエラー!! 球皿を確認してください。」といった文字列を画面に表示するとともに、エラーを示す警告音をスピーカ18から出力し、遊技効果ランプ90を点灯させる。このとき、画面では装飾図柄190が右下に小さく変動表示されているとともに、画面中央に予告表示262として「敵は○○○○○だ」といったセリフ予告演出が表示されていた場合を想定する。エラー表示260は、予告表示262より優先して表示されるため、予告表示262より上位のレイヤーに表示されて予告表示262の一部がエラー表示260に覆われて隠れる形となる。したがって、予告表示262のセリフ予告に示される文字列のうち、肝心なキャラクタ名である「○○○○○」がエラー表示260に覆われて遊技者から視認できなくなっている。このセリフ予告が図8にいう「予告B」に相当するとして、文字列に含まれるキャラクタ名が「B1」〜「B5」のそれぞれで異なる場合、遊技者はキャラクタ名を視認することでそのセリフ予告による大当りの期待度を推測することとなる。しかし、エラー表示260に妨げられることで、大当りの期待度を推測できなくなる。
【0090】
そこで、図3の補完処理手段139は、エラー報知が演出より優先して出力された場合にそのエラー報知と重なった演出パターンの種類を判定する。図9の場合、エラー表示260によって視認を妨げられた予告表示262の演出パターンの種類は「B1」であると判定する。エラー報知が実行される間に複数の演出と重なった場合、補完処理手段139はそれら複数の演出パターンの種類すべてを特定してもよいし、一つのみを特定してもよい。一つのみを特定する場合、例えば演出パターンのうち最初に判定される予告演出パターンのみを特定し、残りは特定しない手法としてもよいし、いったん複数の演出パターンのすべての種類を判定した上で、最も大当りの可能性ないし期待度の高い種類のみを特定し、その他を破棄することとしてもよい。
【0091】
補完処理手段139は、あらかじめ大当りの可能性ないし期待度の違いで分類された複数種類の予告演出パターンのうち、相対的に可能性ないし期待度の高い予告演出パターンを補完の対象とする。例えば予告種類テーブル240において、相対的に大当りの可能性ないし期待度の高い「A1」〜「A3」、「B1」〜「B3」、「C1」〜「C3」、「D1」〜「D3」、「E1」〜「E3」を補完の対象とする。一方、相対的に大当りの可能性ないし期待度の低い「A4」、「A5」、「B4」、「B5」、「C4」、「C5」、「D4」、「D5」、「E4」、「E5」は補完の対象としない。
【0092】
補完処理手段139は、エラー報知とタイミングが重なった演出として判定された予告演出パターンの種類が補完対象である特定種類の予告演出パターンであった場合、その予告演出パターンの演出目的を補完するための新たな予告演出パターンを選択する。すなわち、補完処理手段139は、判定された予告演出パターンと同じ選択確率の予告演出パターン、または同じ予告演出パターンを新たな予告演出パターンとして選択する。補完処理手段139は、選択した新たな予告演出パターンによる予告演出のタイミングとして、エラー報知の終了後に所定の実行条件を満たすタイミングで予告演出を実行する。実行条件として、例えば選択した予告演出パターンによる予告演出の所要時間が、現在表示中の図柄変動の残り表示時間に収まるか否かを基準として実行タイミングを決定する。また、図柄変動の演出過程において予告演出を実行可能な時間ポイントが時間軸上で複数箇所用意されてもよい。その場合、変動演出パターンごとに複数箇所に時間ポイントがあらかじめ定められるとともに、それら時間ポイントごとに実行可能な予告演出パターンの種類が定められていてもよい。エラー報知の終了後の残り表示時間内にその変動演出パターンに定められた予告演出の時間ポイントが残されているか否かにより、新たな予告演出パターンの実行タイミングを決定してもよい。
【0093】
一方、残り表示時間に新たな予告演出パターンの表示が収まらない場合、次以降の図柄変動の予定表示時間に収まるか否かを判定し、収まる図柄変動において実行する。収まるか否かの基準として、リーチ変動パターンだけを実行タイミングの対象とすることを基準としてもよい。また、補完として選択された新たな予告演出パターンは、次の図柄変動以降において、大当りの可能性ないし期待度の高い「A1」〜「A3」、「B1」〜「B3」、「C1」〜「C3」、「D1」〜「D3」、「E1」〜「E3」による予告演出が決定されたときを実行タイミングとしてもよい。その場合、演出決定手段132によって選択された予告演出パターンを、補完処理手段139が選択した補完としての予告演出パターンで差し替える。ここでは、大当りの可能性ないし期待度の高い「A1」〜「A3」、「B1」〜「B3」、「C1」〜「C3」、「D1」〜「D3」、「E1」〜「E3」のいずれが選択された場合であっても補完としての予告演出パターンに差し替える構成としている。ただし、変形例においては、補完としての予告演出パターンと大当りの可能性ないし期待度が同じ予告演出パターンが演出決定手段132に選択された場合に差し替える構成としてもよい。
【0094】
なお、上記の例において補完処理手段139は、エラー報知と予告演出が重なった場合に補完する新たな予告演出パターンを選択して実行する構成とした。変形例としては、補完処理手段139は、エラー報知と特定種類の変動演出パターンが重なった場合にその変動演出パターンの演出目的を補完するための新たな変動演出パターンを選択することとしてもよい。すなわち、補完処理手段139は、判定された変動演出パターンと同じ選択確率の変動演出パターン、または同じ変動演出パターンを新たな変動演出パターンとして選択する。
【0095】
図10は、ぱちんこ遊技機における基本的な動作過程を示すフローチャートである。まず、ぱちんこ遊技機10の各構成に不具合が生じた場合のエラー処理を実行し(S10)、遊技球が始動口62、一般入賞口72、大入賞口66などへ入球した場合の処理を実行する(S11)。通常遊技中であれば(S12のY)、当否抽選などの通常遊技の制御処理を実行し(S14)、通常遊技中でなければ(S12のN)、特別遊技の制御処理(S16)や、小当り遊技の制御処理を実行し(S17)、S11の入賞処理においてセットされた賞球数により各種の入賞に応じた賞球払出を処理する(S18)。
【0096】
図11は、図10におけるS10のエラー処理を詳細に示すフローチャートである。エラー受信手段137がエラー信号を受信した場合(S200のY)、すでにエラー報知が開始済みでなければ(S202のN)、エラー報知手段138はエラー報知を開始し(S204)、エラー報知が開始済みであれば(S202のY)、S204をスキップする。エラー受信手段137がエラー信号を受信していない場合(S200のN)、もしエラー報知が停止済みでなかった場合またはエラー報知開始から所定時間を経過していた場合は(S206のN)、エラー報知手段138はエラー報知を停止させ(S208)、補完処理手段139がエラー報知と重なった演出パターンを特定し(S210)、特定した演出パターンが特定種類の演出パターンであれば対応する新たな演出パターンを選択してその再実行を設定する(S212)。エラー報知が停止済みであった場合は(S206のY)、S208からS212までの処理をスキップする。
【0097】
図12は、図10におけるS14の通常遊技制御処理を詳細に示すフローチャートである。通常遊技制御処理において、当否抽選値の保留がなされている場合であって(S30のY)、図柄変動が表示中でなければ(S32のN)、当否抽選手段112が当否判定処理を実行する(S34)。その判定結果に応じてメイン表示制御手段118が変動表示を開始するとともに、変動開始コマンドを演出表示制御手段134へ送信し、これを受信した演出表示制御手段134が変動演出パターンにしたがって演出画像の変動表示を開始する(S36)。S30において当否抽選値が保留されていなかった場合は(S30のN)、S32からS36までの処理がスキップされ、S32において図柄変動が表示中であった場合は(S32のY)、S34およびS36の処理がスキップされる。続いて、図柄変動表示がすでに開始されていれば(S38のY)、図柄変動表示処理を実行し(S40)、予告演出の実行決定有無に応じて予告演出表示処理を実行し(S41)、図柄変動表示が開始されていないときは(S38のN)、S40とS41をスキップする。
【0098】
図13は、図11におけるS34の当否判定処理を詳細に示すフローチャートである。まず、当否抽選手段112が当否抽選値を読み出して(S42)、その当否抽選値に基づいて当否を判定する(S44)。図柄決定手段114は、当否判定結果に基づいて特別図柄の停止図柄を決定し(S46)、変動パターン決定手段115が特別図柄の変動パターンを選択する(S48)。演出決定手段132は、当否判定結果および特別図柄に基づいて装飾図柄の停止図柄組合せを決定し(S50)、特別図柄の変動パターンに応じて装飾図柄の変動演出パターンを選択し(S52)、予告演出の実行有無と予告演出パターンを決定する(S54)。ここで、演出の再実行設定がなされていた場合であって(S55のY)、再実行のための実行条件を満たす場合には(S56のY)、S212で再実行のために選択された演出パターンを設定する(S58)。演出の再実行設定がなされていない場合や(S55のN)、実行条件を満たさない場合は(S56のN)、S58をスキップする。
【0099】
図14は、図10におけるS16の特別遊技制御処理を詳細に示すフローチャートである。当否抽選の結果が大当りであった場合(S90のY)、すでに特別遊技が開始済みであって(S92のY)、大入賞口66が開放済でなければ(S98のN)、大入賞口66の開放処理を実行する(S100)。このとき、設定された大当り演出の表示も開始する。大入賞口66が開放済みであれば(S98のY)、大入賞口66の閉鎖処理を実行する(S102)。その結果、大入賞口66が閉鎖状態になっていれば(S104のY)、S106へ移行する。閉鎖状態でなければ(S104のN)、S106以降の処理をスキップして本処理を一旦終了する。一方、S92において特別遊技が開始済みでない場合は(S92のN)、特別遊技の演出パターンを選択して(S93)、特別遊技を開始し(S94)、その開始デモ演出の表示を開始し(S96)、本処理を一旦終了する。
【0100】
S106においては、特別遊技中の演出であるデモ演出中であるか否かを判定する。なお、ここでいう「デモ演出」は、開始デモ演出および終了デモ演出を含む。デモ演出中でなければ(S106のN)、後述する終了フラグを参照して特別遊技終了条件が満たされるか否かを判定し(S110)、特別遊技終了条件が満たされていれば(S110のY)、その終了フラグをオフにしたうえで(S112)、終了デモ演出の表示を開始する(S114)。特別遊技終了条件が満たされていなければ(S110のN)、本処理を一旦終了する。S106にてデモ演出中であると判定され(S106のY)、終了デモ演出が終了した場合(S116のY)、特別遊技を終了し(S118)、特定遊技、すなわち確変、時短、および入球容易状態を開始する(S120)。終了デモ演出が終了していない場合は(S116のN)、S118およびS120の処理をスキップする。大当りでない場合は(S90のN)、本図のS92以降のフローをスキップする。
【0101】
図15は、図14におけるS100の開放処理を詳細に示すフローチャートである。設定された開閉パターンに基づく大入賞口66の開放タイミングとなったとき(S122のY)、開閉制御手段124は、通過フラグを一律にオフにするとともに開閉パターンの動作を設定し(S124)、大入賞口66を開放させる(S126)。また、現在の単位遊技の繰り返し回数に対応した大当り演出、または繰り返し回数が異なる回数になることに対応した大当り演出を設定して開始する。開放タイミングでないときは(S122のN)、S124およびS126の処理をスキップする。
【0102】
図16は、図14におけるS102の閉鎖処理を詳細に示すフローチャートである。設定された開閉パターンに基づく大入賞口66の閉鎖タイミングとなったとき、開閉制御手段124は大入賞口66を閉鎖させる。すなわち、特別遊技中において、入球数による終了条件が満たされるか(S130のY)、入球数による終了条件が満たされなくとも(S130のN)、開放時間による終了条件が満たされれば(S132のY)、大入賞口66を閉鎖する(S134)。開放時間による終了条件も満たされなければ(S132のN)、S134以降のフローをスキップする。
【0103】
なお、15R大当りにおける入球数による終了条件は大入賞口66への10球以上の入球であり、開放時間による終了条件は、大入賞口66の開放開始から開閉パターンに沿った設定時間の経過である。15R大当りの場合は、その開放開始から30秒の経過であり、2R大当りの場合は、その開放開始から0.5秒の経過である。ただし、0.5秒の開放は極めて短いため、10球以上の入球はもちろん、入球そのものが困難である。その大入賞口の開放と同時に遊技球を打ち出したとしても入球困難であるため、大入賞口66の極短開放が行われる2R大当りについては、大入賞口66の開放前にその開放を予測して遊技球を打ち出す必要がある。一方、15R大当りにおける入球数による終了条件は大入賞口への10球以上の入球であり、開放時間による終了条件は、大入賞口66の開放開始から30秒の経過である。このとき、継続上限回数に達していれば(S136のY)、終了フラグをオンにする(S138)。継続上限回数に達していなければ(S136のN)、S138の処理をスキップする。前提技術においてこの継続上限回数は15回である。入球数による終了条件および開放時間による終了条件のいずれも満たされていなければ(S130のN,S132のN)、S134以降の処理をスキップする。
【0104】
図17は、図10におけるS17の小当り遊技制御処理を詳細に示すフローチャートである。当否抽選の結果が小当りであった場合(S150のY)、既に小当り遊技が開始済みであって(S152のY)、大入賞口66が開放済でなければ(S158のN)、大入賞口66の開放処理を実行し(S160)、開放済みであれば(S158のY)、大入賞口66の閉鎖処理を実行する(S162)。その結果、大入賞口66が閉鎖状態になっていれば(S164のY)、S166へ移行する。閉鎖状態でなければ(S164のN)、S166以降の処理をスキップして本処理を一旦終了する。一方、S152において小当り遊技が開始済みでない場合は(S152のN)、小当り遊技を開始して(S154)、2R大当りと同様の開始デモ演出の表示を開始し(S156)、本処理を一旦終了する。
【0105】
S166においては、小当り遊技中の演出であるデモ演出中であるか否かを判定する。デモ演出中でなければ(S166のN)、小当り遊技終了条件が満たされたか否かを判定する。ここでは、後述する終了フラグがオンになっていれば、小当り遊技終了条件が満たされることになる。小当り遊技終了条件が満たされていれば(S170のY)、その終了フラグをオフにしたうえで(S172)、終了デモ演出の表示を開始する(S174)。小当り遊技終了条件が満たされていなければ(S170のN)、本処理を一旦終了する。S166にてデモ演出中であると判定され(S166のY)、終了デモ演出が終了した場合(S176のY)、小当り遊技を終了する(S178)。終了デモ演出が終了していない場合は(S176のN)、S178の処理をスキップする。小当りでない場合は(S150のN)、本図のS152以降のフローをスキップする。
【0106】
図18は、図17におけるS160の開放処理を詳細に示すフローチャートである。設定された開閉パターンに基づく大入賞口66の開放タイミングとなったとき(S180のY)、開閉制御手段124は、開閉パターンの動作を設定し(S182)、大入賞口66の開放を開始する(S184)。開放タイミングでないときは(S180のN)、S182およびS184の処理をスキップする。
【0107】
図19は、図17におけるS162の閉鎖処理を詳細に示すフローチャートである。設定された開閉パターンに基づく大入賞口66の終了タイミングとなったとき(S190のY)、終了フラグをオンにし(S192)、大入賞口66を閉鎖する(S194)。なお、この閉鎖タイミングは、大入賞口66の開放開始から0.5秒の経過したタイミングである。閉鎖タイミングでなければ(S190のN)、S192およびS194の処理をスキップする。
【0108】
前提技術においては、エラー報知により妨げられた演出が相対的に重要度を持つ演出であった場合に、その演出の趣旨を補完するために、妨げられた演出の種類に対応する新たな演出を実行する。これにより、エラー報知によって遊技者が重要な演出を視聴できなかった場合の不快感を緩和できる。また、エラー報知によって遊技者が視聴できなかった演出の目的を新たな演出によって果たすことで、その演出による情報性の損失を低減できる。
【0109】
(第1実施例)
本実施例では、特別遊技中において、その特別遊技終了後に確変への移行を伴うか否かを示唆する特別遊技演出がエラー報知により妨げられた場合に、その後の特定のタイミングで補完する演出を実行する。本実施例は上述した前提技術の構成を基本的に含むため、以下、本実施例に特有な事項ないし前提技術と相違する事項を中心に説明し、共通事項の説明を省略する。
【0110】
図20は、特別遊技における単位遊技ごとの演出進行を模式的に示す図である。特別遊技においては、単位遊技ごとに演出パターンにしたがって特別遊技演出が実行される。特別遊技演出として、特別遊技後に特定遊技の一つである確変の実行を伴うか否かを、味方と敵の二種類のキャラクター同士が戦う勝敗結果で表現する演出であるバトル演出の過程が表示される。本図において、各マスはデモ表示期間または単位遊技を示し、左端のマスから特別遊技が開始され、右端のマスに向けて右方向へ進行する。左端の開始デモ時間300には所定の開始デモ演出が実行され、第1ラウンド301から第16ラウンド316または第16短縮ラウンド416まで複数の単位遊技が実行され、右端の終了デモ時間320において終了デモ演出が実行されて特別遊技が終了する。
【0111】
第1ラウンド301から第16ラウンド316または第16短縮ラウンド416までの各ラウンドにはそれぞれに対して選択された演出パターンによる特別遊技演出が実行される。第1ラウンド301から第16ラウンド316までの各ラウンドは、単位遊技の時間、すなわち大入賞口66の開放時間が最長約30秒間である。これに対し、第9短縮ラウンド409から第16短縮ラウンド416までの各ラウンドは、単位遊技の時間、すなわち大入賞口66の開放時間が約0.5秒間である。第9ラウンド以降に第9ラウンド309から第16ラウンド316の通常ラウンドが実行されるか、第9短縮ラウンド409から第16短縮ラウンド416の短縮ラウンドが実行されるかは、特別遊技後に確変の実行を伴うか否かによって決定される。第9ラウンド以降に通常ラウンドと短縮ラウンドのいずれが実行されるかは、第8ラウンドの最後にバトル演出における勝敗の形で表示される。短縮ラウンドでは十分に大入賞口66へ入球しないため、遊技者の利益としては実質的に8ラウンド分の特別遊技に抑えられることとなるため、遊技者の利益が相対的に大きくなるか小さくなるかがバトル演出の勝敗の結果により示される。
【0112】
バトル演出では、第1ラウンド301、第3ラウンド303、第5ラウンド305、第7ラウンド307において味方キャラクターまたは敵キャラクターのいずれかが相手に攻撃する内容の勝敗予告演出が表示される。勝敗予告演出は、どちらのキャラクターが攻撃するか、およびその攻撃方法の種類によって、第8ラウンド308に表示される勝敗の動向を示唆する予告演出である。したがって、第1ラウンド301、第3ラウンド303、第5ラウンド305、第7ラウンド307のいずれかで勝敗予告演出に優先してエラー報知されると、遊技者は勝敗の動向に関する示唆を得られなくなるおそれがある。また、バトル演出自体が勝敗予告演出による示唆内容を分岐点としてストーリー展開する演出内容を有するため、勝敗予告演出以降の展開に一貫性を持たせるためにも勝敗予告演出は重要な示唆を含むといえる。したがって、勝敗予告演出の可視性や可聴性が妨げられると全体的にも演出の一貫性を保ちにくい。
【0113】
そこで、第1ラウンド301、第3ラウンド303、第5ラウンド305のいずれかの勝敗予告演出に優先してエラー報知がなされた場合、後続のラウンドである第3ラウンド303、第5ラウンド305、第7ラウンド307のいずれかで補完的な演出を実行する。例えば、第1ラウンド301の勝敗予告演出に優先してエラー報知がなされた場合、後続のラウンドである第3ラウンド303、第5ラウンド305、第7ラウンド307のいずれかで補完的な演出を実行する。例えば、第3ラウンド303の勝敗予告演出に優先してエラー報知がなされた場合、後続のラウンドである第5ラウンド305または第7ラウンド307で補完的な演出を実行する。例えば、第5ラウンド305の勝敗予告演出に優先してエラー報知がなされた場合、後続のラウンドである第7ラウンド307で補完的な演出を実行する。
【0114】
図21は、ラウンドごとの勝敗予告演出のパターン種類と勝利期待度の関係を示すテーブルの図である。勝敗予告演出テーブル500において、第1欄501には第1ラウンド301での勝敗予告演出として表示させる予告演出パターンA1からA5の5種類が示される。図示する通り、各予告演出パターンが示唆する勝利の期待度は、予告演出パターンA1が最も高く、勝利が確定したことを示唆し、次いでA2、A3、A4の順に期待度が低くなり、A5が最も低い。すなわち、数字の1〜5が期待度のランクの高さを示す。例えば、A1は味方キャラクターが敵キャラクターに大きな攻撃を加えるシーンであり、A2は味方キャラクターが敵キャラクターに小さな攻撃を加えるシーンである。A3は味方キャラクターの攻撃と敵キャラクターの攻撃が拮抗するシーンである。A4は敵キャラクターが味方キャラクターに小さな攻撃を加えるシーンであり、A5は敵キャラクターが味方キャラクターに大きな攻撃を加えるシーンである。B1は敵キャラクターの攻撃を味方キャラクターが完全にかわすシーンであり、B2は敵キャラクターの攻撃を味方キャラクターが防御するシーンである。B3は味方キャラクターの攻撃と敵キャラクターの攻撃が拮抗するシーンである。B4は味方キャラクターの攻撃を敵キャラクターが防御するシーンであり、B5は味方キャラクターの攻撃を敵キャラクターが完全にかわすシーンである。C1〜C5、D1〜D5もまた、A1〜A5、B1〜B5と同様に、確変の期待度が異なって表現されるような戦闘シーンの予告演出パターンであり、それぞれ味方キャラクターと敵キャラクターのどちらが攻撃したかとその攻撃方法が異なる。
【0115】
第1欄501と同様に、第2欄503には第3ラウンド303での勝敗予告演出として表示させる予告演出パターンB1からB5の5種類が示される。勝利の期待度が最も高い予告演出パターンB1は勝利が確定したことを示唆し、次いでB2、B3、B4、B5の順に期待度が低くなる。第3欄505には第5ラウンド305での勝敗予告演出として表示させる予告演出パターンC1からC5の5種類が示される。勝利の期待度が最も高い予告演出パターンC1もまた勝利が確定したことを示唆し、次いでC2、C3、C4、C5の順に期待度が低くなる。第4欄507には第7ラウンド307での勝敗予告演出として表示させる予告演出パターンD1からD5の5種類が示される。勝利の期待度が最も高い予告演出パターンD1もまた勝利が確定したことを示唆し、次いでD2、D3、D4、D5の順に期待度が低くなる。
【0116】
各予告演出パターンは、A〜Dの分類それぞれが戦闘場面を表し、例えばA1〜A5であれば戦闘場面は同じで戦闘内容がそれぞれ異なる。また、A〜Dの種類に分かれた複数種類の予告演出パターンは、勝利の期待度の高さに応じてあらかじめ1〜5のランクに分類されており、確変を伴う大当りか否かに応じたそれぞれの選択確率によって本図のような分類が実現される。また、A1〜C1の演出中にエラー報知があった場合に後続のラウンドで補完的な演出を実行する。
【0117】
図22は、勝敗予告演出として選択する予告演出パターンの組合せとそれぞれの選択確率の関係を示すテーブルの図である。予告演出パターン選択テーブル520において、第1欄522には予告演出パターンの組合せが示され、第2欄524には予告演出パターンの組合せごとの選択確率が示される。
【0118】
例えば、第1欄522の最上段に示される「A1」「B2」「C2」「D2」の組合せでは、第1ラウンド301において勝利の確定を示唆する予告を表示する。したがって、確変を伴う大当りの場合にのみ選択され、確変を伴わない大当りの場合には選択されないため、第2欄524には確変ありの場合の選択確率として6%、確変なしの場合の選択確率として0%が設定されている。
【0119】
2段目に示される「A2」「B1」「C2」「D2」の組合せでは、第3ラウンド303で「B1」の予告演出パターンが表示され、その時点で確変の確定が示されることとなる。この場合も確変を伴う大当りの場合にのみ選択され、確変を伴わない大当りの場合には選択されないため、第2欄524には確変ありの場合の選択確率として6%、確変なしの場合の選択確率として0%が示される。このように、「A1」「B1」「C1」「D1」のうち少なくともいずれかが一つでも含まれる組合せは、第2欄524には確変ありの場合の選択確率として6%、確変なしの場合の選択確率として0%が設定されている。
【0120】
例えば最下段に示される「A5」「B5」「C5」「D5」の組合せでは、第1ラウンド301、第3ラウンド303、第5ラウンド305、第7ラウンド307のいずれにおいても期待度が最も低い予告を表示する。したがって、確変を伴う大当りの場合より確変を伴わない大当りの場合に高い確率で選択されるよう、第2欄524には確変ありの場合の選択確率として相対的に低い2%、確変なしの場合の選択確率として相対的に高い8%が設定されている。
【0121】
このように、図3の演出決定手段132は、確変を伴う大当りであったか否かに応じた選択確率により複数種類の予告演出パターンの組合せからいずれかを選択する。演出決定手段132は、図22のような予告演出パターンの組合せごとの選択確率となるよう、確変を伴う大当りであるか否かに応じた対応関係に基づき組合せを選択し、その結果、それぞれの組合せに含まれる予告演出パターンの期待度に関する図20の分類が実現される。演出表示制御手段134は、演出決定手段132により選択された予告演出パターンの組合せにしたがって、特別遊技における演出表示装置60の画面への表示および音声出力のうち少なくともいずれかにより勝敗予告演出を実行する。エラー報知手段138は、特別遊技中においてエラー信号を受信した場合に、不具合が発生した旨を勝利予告演出を含む特別遊技演出より優先して画面表示および音声出力のうち少なくともいずれかによりエラー報知として出力する。
【0122】
図23は、演出表示装置60の画面に表示させるエラー報知の例を模式的に示す図である。図9の例と同様、「!!球詰まりエラー!! 球皿を確認してください。」の文字列を画面中央に大きく表示するとともに、エラーを示す警告音をスピーカ18から出力し、遊技効果ランプ90を点灯させる。このとき、特別遊技演出画面600には勝敗予告演出として味方キャラクター602と敵キャラクター604の戦闘シーンが表示されるとともに、現在の単位遊技数であるラウンド数606が画面右下に小さく表示される。しかし、勝敗予告演出に優先してエラー表示260が前面のレイヤーに表示される結果、味方キャラクター602と敵キャラクター604の戦闘シーンにおいてどちらが攻撃し、あるいは優勢なのかがエラー表示260に隠れて視認できない。この勝敗予告演出が、味方キャラクター602が攻撃して敵キャラクター604に大きなダメージを与える演出であるA1、B1、C1、D1のいずれかである場合、遊技者はその攻撃態様を視認することで勝利ないし確変の確定を把握することとなる。しかし、エラー表示260に妨げられることで、勝利ないし確変の確定を把握できなくなる。
【0123】
そこで、補完処理手段139は、勝利の期待度が相対的に高い予告演出に優先してエラー報知がなされた場合、これを補完するために、エラー報知で妨げられた予告演出の期待度と同程度の予告演出を後続のラウンドにおいて表示させる。この場合、補完処理手段139は、後続のラウンドに表示させるものとしてあらかじめ選択されていた予告演出パターンを、補完のための予告演出パターンに差し替える。
【0124】
補完処理手段139は、エラー報知が勝利予告演出より優先して出力された場合にそのエラー報知と重なった予告演出パターンの種類を判定する。補完処理手段139は、判定された予告演出パターンが特定種類の演出、例えば1〜5のランクのうち1に該当する「A1」「B1」「C1」「D1」であった場合にその演出パターンの演出目的を補完するための新たな予告演出パターンを選択する。補完処理手段139は、補完のための新たな予告演出パターンを、あらかじめ定められた予告演出パターン同士の演出目的に関する対応関係、すなわち図21に示す予告演出パターンのランクにしたがい、同じランクの予告演出パターンを選択する。例えば、A1のときにエラー報知があれば、B1、C1、D1のいずれかを補完のために選択し、B1のときにエラー報知があれば、C1またはD1を補完のために選択し、C1のときにエラー報知があればD1を補完のために選択する。このとき、補完のために予告演出パターンが差し替えられても、特別遊技演出全体としての演出のストーリーが矛盾することのないよう各予告演出パターンの内容が定められている。
【0125】
補完処理手段139は、エラー報知の終了後に所定の実行条件を満たすタイミングで補完されるよう、あらかじめ選択されていた予告演出パターンを補完のための新たな予告演出パターンに差し替える。補完のための演出実行条件は、予告演出のためにあらかじめ指定されたラウンドのうち、エラー報知停止後に続く最初のラウンドに至ることである。また、後続の最初のラウンドで補完のための演出が実行されたとしても、そのラウンドでも再び演出に優先してエラー報知がなされた場合には、さらに後続のラウンドで補完の演出がなされることとなる。
【0126】
補完処理手段139は、例えば、予告演出パターン選択テーブル520の2段目に示される「A2」「B1」「C2」「D2」の組合せのうち、「B1」が表示される第3ラウンド303においてエラー報知がなされた場合に補完演出を図る。補完処理手段139は、後続の「C2」が表示される予定の第5ラウンド305において「C2」に差し替えて「C1」を表示させることで補完を図る。ただし、第5ラウンド305においてもエラー報知が継続されていた場合、さらに後続の「D2」が表示される予定の第7ラウンド307において「D2」に差し替えて「D1」を表示させることで補完演出を図る。
【0127】
図11のフローでは、S210において補完処理手段139がエラー報知と重なった予告演出パターンを特定する(S210)。特定した予告演出パターンが特定種類の演出パターン、すなわちA1、B1、C1のうち少なくともいずれかであれば、エラー報知停止後に続くラウンドのうち最初の指定ラウンドの予告演出パターンを同じランクの予告演出パターンで差し替える(S212)。
【0128】
以上のように、第1実施例においては、エラー報知により妨げられた特別遊技演出が相対的に重要度を持つ演出であった場合に、その演出の趣旨を補完するために、妨げられた演出の種類に対応する新たな特別遊技演出を実行する。これにより、エラー報知によって遊技者が重要な演出を視聴できなかった場合の不快感を緩和できる。また、エラー報知によって遊技者が視聴できなかった演出の目的を新たな演出によって果たすことで、その演出による情報性の損失を低減できる。
【0129】
(第2実施例)
本実施例では、特別遊技中の予告演出パターンとして、ランク別に複数のパターンが用意され、特定の演出に優先してエラー報知がなされた場合には後続のラウンドで同じランク内の別のパターンを新たな予告演出パターンとして実行する。この点、各ラウンドにおけるランクごとに一つずつの予告演出パターンが用意されている第1実施例と異なる。以下、本実施例に特有な事項ないし前提技術や第1実施例と相違する事項を中心に説明し、共通事項の説明を省略する。
【0130】
本実施例では、図21におけるA1〜A5、B1〜B5、C1〜C5、D1〜D5は、予告演出パターンそのものを表すのではなく、予告演出パターンのグループを表し、各グループにはそれぞれ異なる複数の予告演出パターンが属する。例えば、A1には「A1−01」から「A1−10」までの10種類の予告演出パターンが属し、ハイフンの後の数字が大きいパターンほど選択確率ないし出現頻度が低い分、出現の希少性が高い。エラー報知がなされたときの予告演出パターンが「A1−05」であった場合、例えば後続の第3ラウンド303において「B2−05」が表示される予定であったところを「A1−05」と同じランクのグループであって希少性がより高い「B1−10」に差し替える。ただし、変形例としては、「B2−05」が表示される予定であったところを「B2−05」と同じランクのグループであって希少性がより高い「B2−10」に差し替えてもよい。別の変形例としては、「B2−05」が表示される予定であったところを「A1−05」と同じグループであって希少性がより高い「A1−10」に差し替えてもよい。
【0131】
以上のように、本実施例ではエラー報知により妨げられた特別遊技演出が相対的に重要度を持つ演出であった場合に、その演出の趣旨を補完するだけでなく、より希少性が高い演出に差し替える。これにより、エラー報知によって遊技者が重要な演出を視聴できなかった場合の不快感を緩和し、情報性の損失を低減できるだけでなく、エラーのようなトラブルの発生を遊技者の利益となる付加価値の付与に転じさせることができる。
【0132】
尚、本願発明は上記実施形態に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜組合せにより種々の発明を形成しても良いし、上記実施形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除しても良い。更に、複数の実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせることも可能である。
【0133】
上記の各実施例においては、特別遊技後に特定遊技として確変の実行を伴うか否かを特別遊技中の演出で表現する構成を説明した。変形例においては、特別遊技後に特定遊技として時短ないし入球容易状態への移行を伴うか否かを特別遊技中の演出で表現する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0134】
10 ぱちんこ遊技機、 15 上球皿、 16 下球皿、 50 遊技盤、 52 遊技領域、 60 演出表示装置、 84 エラー検知手段、 100 遊技制御装置、 102 メイン基板、 104 サブ基板、 112 当否抽選手段、 120 特別遊技制御手段、 126 エラー制御手段、 132 演出決定手段、 134 演出表示制御手段、 137 エラー受信手段、 138 エラー報知手段、 139 補完処理手段。
【技術分野】
【0001】
遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種の弾球遊技機のうち、いわゆる第1種ぱちんこ遊技機と呼ばれていた遊技機は、遊技盤の略中央に設けられた液晶ディスプレイなどの表示領域に複数の図柄を変動させながら表示する(以下、そうした表示を「図柄変動」または「変動表示」等という)。この遊技機は、複数列の図柄変動を停止させたときの図柄の組合せが特定の態様となった場合に、通常遊技より多くの賞球が得られる、いわゆる大当りと呼ばれる特別遊技へと移行するものとして知られている(例えば、特許文献1参照)。表示領域における図柄の変動表示は、単に複数の図柄が変動表示されるだけでなく、いわゆるリーチ画面と呼ばれる状態のように、あと一つ図柄が揃えば大当りとなる状態で変動表示の時間を通常よりも長くする等、遊技者の期待感を高めるための演出が図られている。また、キャラクタ画像や背景画像等を用いて図柄の変動表示にストーリーを持たせる演出を施したり、特別遊技への移行効率を高める確率変動および変動時間短縮、始動入賞口への入球容易性を高める入球容易状態へ移行したりする制御によっても遊技者の期待感を高めている。
【0003】
従来、球皿に遊技球が溜まりすぎたときや、故意に遊技機に振動が加えられたときなど、適切な遊技が担保されない不具合の可能性が生じると各種のエラー報知が発せられる。エラー報知の方法としては、液晶画面上で目立つような文字等で示す方法や、遊技者の注意を引くのに十分な音量の音声で示す方法、ランプ等の電飾品を目立つ色彩と光量で点灯させる方法、あるいはそれらを複合させた方法がある。その場合、遊技者の注意を引くエラー報知であるほど、そのタイミングで実行されていた演出の可視性や可聴性が妨げられやすいともいえる。しかも、その演出で示唆される内容が遊技の進行上も比較的重要な意味をもつような場合には遊技者に不利となることも考えられる。そのため、エラーの種類に応じてエラー発生時専用の特別な演出を実行することもある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−230714号公報
【特許文献2】特開2009−233016号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献2の技術によれば、エラーの種類に応じてエラー発生時にしか出現しない特別な演出を実行することにより、エラーによる遊技者の不快感を緩和するとの発想が前提である。すなわち、エラー報知によって本来遊技者が認識できたはずの演出による示唆を事後的に補完するとの発想に基づく技術ではないため、その特別な演出によって遊技者の不快感を緩和することはできたとしても、必ずしも元々の演出の趣旨を全うする演出ではなかった。
【0006】
本願発明は上記課題に鑑みたもので、エラー報知による演出効果の低減防止を図る遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の弾球遊技機は、遊技領域が形成された遊技盤と、遊技領域の所定位置に設けられ、遊技球の入球が抽選の契機となる始動入賞口と、始動入賞口への入球を契機として、通常遊技より遊技者に有利な状態である特別遊技へ移行するか否かを判定するための当否抽選を実行する当否抽選手段と、当否抽選の結果が特別遊技へ移行する旨を示す結果であった場合に特別遊技を実行する特別遊技制御手段と、所定の表示装置の画面への演出的な表示および演出的な音声出力のうち少なくともいずれかを演出内容とする複数種類の演出パターンからいずれかを特別遊技における演出内容として選択する演出決定手段と、選択された演出パターンにしたがった内容の演出を特別遊技における表示装置の画面への表示および音声出力のうち少なくともいずれかにより実行する演出表示制御手段と、当該弾球遊技機内で遊技に支障を及ぼす不具合が発生した場合に不具合を検知する手段からエラー信号を受信するエラー受信手段と、エラー信号を受信した場合に不具合が発生した旨を演出より優先して画面表示および音声出力のうち少なくともいずれかによりエラー報知として出力するエラー報知手段と、エラー報知が演出より優先して出力された場合にそのエラー報知と重なった演出パターンの種類を判定し、判定された演出パターンが特定種類の演出であった場合にその演出パターンの演出目的を補完するための新たな演出パターンを、あらかじめ定められた演出パターン同士の演出目的に関する対応関係にしたがって決定し、エラー報知の終了後に所定の実行条件を満たすタイミングで、決定された演出パターンを実行する補完処理手段と、を備える。
【0008】
なお、以上の構成要素に関する任意の組合せや、本発明の構成要素や表現を方法、装置、システム、コンピュータプログラム、コンピュータプログラムを格納した記録媒体、データ構造などの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の弾球遊技機によれば、エラー報知による演出効果の低減防止を図る遊技機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】ぱちんこ遊技機の前面側における基本的な構造を示す図である。
【図2】ぱちんこ遊技機の背面側における基本的な構造を示す図である。
【図3】前提技術におけるぱちんこ遊技機の機能ブロックを示す図である。
【図4】当否判定テーブルを模式的に示す図である。
【図5】図柄判定テーブルを模式的に示す図である。
【図6】変動パターンテーブルを模式的に示す図である。
【図7】外れ用の変動パターンテーブルを詳細に示す図である。
【図8】予告種類テーブルを模式的に示す図である。
【図9】演出表示装置の画面に表示させるエラー報知の例を模式的に示す図である。
【図10】ぱちんこ遊技機における基本的な動作過程を示すフローチャートである。
【図11】図10におけるS10のエラー処理を詳細に示すフローチャートである。
【図12】図10におけるS14の通常遊技制御処理を詳細に示すフローチャートである。
【図13】図11におけるS34の当否判定処理を詳細に示すフローチャートである。
【図14】図10におけるS16の特別遊技制御処理を詳細に示すフローチャートである。
【図15】図14におけるS100の開放処理を詳細に示すフローチャートである。
【図16】図14におけるS102の閉鎖処理を詳細に示すフローチャートである。
【図17】図10におけるS17の小当り遊技制御処理を詳細に示すフローチャートである。
【図18】図17におけるS160の開放処理を詳細に示すフローチャートである。
【図19】図17におけるS162の閉鎖処理を詳細に示すフローチャートである。
【図20】特別遊技における単位遊技ごとの演出進行を模式的に示す図である。
【図21】ラウンドごとの勝敗予告演出のパターン種類と勝利期待度の関係を示すテーブルの図である。
【図22】勝敗予告演出として選択する予告演出パターンの組合せとそれぞれの選択確率の関係を示すテーブルの図である。
【図23】演出表示装置の画面に表示させるエラー報知の例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(前提技術)
まず、実施例の前提となる技術を説明した上で各実施例を説明する。図1は、ぱちんこ遊技機の前面側における基本的な構造を示す。以下、弾球遊技機として従来にいういわゆる第1種ぱちんこ遊技機を例に説明する。ぱちんこ遊技機10は、主に遊技機枠と遊技盤で構成される。ぱちんこ遊技機10の遊技機枠は、外枠11、前枠12、透明板13、扉14、上球皿15、下球皿16、および発射ハンドル17を含む。外枠11は、開口部分を有し、ぱちんこ遊技機10を設置すべき位置に固定するための枠体である。前枠12は、外枠11の開口部分に整合する枠体であり、図示しないヒンジ機構により外枠11へ開閉可能に取り付けられる。前枠12は、遊技球を発射する機構や、遊技盤を着脱可能に収容させるための機構、遊技球を誘導または回収するための機構等を含む。
【0012】
透明板13は、ガラスなどにより形成され、扉14により支持される。扉14は、図示しないヒンジ機構により前枠12へ開閉可能に取り付けられる。上球皿15は、遊技球の貯留、発射レールへの遊技球の送り出し、下球皿16への遊技球の抜き取り等をする機構を有する。下球皿16は、遊技球の貯留、抜き取り等の機構を有する。上球皿15と下球皿16の間にはスピーカ18が設けられており、後述する演出を制御する手段によって遊技状態などに応じた効果音が出力される。
【0013】
遊技盤50は、外レール54と内レール56により区画された遊技領域52上に、アウト口58、特別図柄表示装置61、演出表示装置60、始動入賞口(以下、「始動口」という)62、センター飾り64、大入賞口66、作動口68、一般入賞口72を含む。さらに遊技領域52には、図示しない複数の遊技釘や風車などの機構が設置される。
【0014】
始動口62は、遊技球の入球が当否抽選を実行する契機となる入球口であって、遊技球の入球を検出するための始動入賞検出装置74と、始動口62に設けられた拡開機構63(いわゆる電動チューリップ)を拡開させるための普通電動役物ソレノイド76を備える。拡開機構63は、始動口62の開口部上部に設けられた二つの羽根部材で構成され、閉鎖時は始動口62の真上から落下する遊技球だけが入球できる程度の狭い開口幅となる。一方、拡開機構63が拡開された開放時は始動口62の開口幅が拡がることとなり、始動口62の真上だけでなくその近傍を落下する遊技球も始動口62へ誘導でき入球容易性が向上する。当否抽選は、通常遊技より遊技者に有利な状態である特別遊技へ移行するか否かを判定する抽選であり、始動口62へ入球があるたびに実行される。始動入賞検出装置74は、始動口62への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す始動入賞情報を生成する。
【0015】
一般入賞口72は、遊技球の入球を検出するための一般入賞検出装置73を備える。一般入賞検出装置73は、一般入賞口72への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す一般入賞情報を生成する。
【0016】
大入賞口66は、遊技球の入球を検出するための入賞検出装置78と、大入賞口66を開放させるための大入賞口ソレノイド80を備える。入賞検出装置78は、大入賞口66への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す大入賞口入賞情報を生成する。大入賞口66は、特別図柄192が所定の態様にて停止したときに開始される特別遊技において「大当り」として開放状態となる横長方形状の入賞口である。大入賞口66は、例えばアウト口58の上方等の位置に設けられる。大入賞口66の設置個数としては、一つだけ設置する構成に限らず、複数個の大入賞口66を設置してそれぞれを遊技状態等に応じて使い分ける構成としてもよい。大入賞口66の入賞検出装置78は、遊技球の通過を検出するセンサを備えて構成される。
【0017】
遊技領域52の左方に設けられた特別図柄表示装置61および遊技領域52の略中央に設けられた演出表示装置60は、それぞれの画面に特別図柄192の変動と、特別図柄192に連動する装飾図柄190を含む演出画像の変動を表示する。以下、そうした表示を「図柄変動」または「変動表示」等という。
【0018】
特別図柄表示装置61は、例えば7セグメントLEDで構成される表示装置である。特別図柄192は、始動口62への遊技球の落入を契機として行われる抽選の結果に対応した図柄である。特別図柄192の変動表示が停止したときの図柄態様が、あらかじめ当りと定められた図柄であった場合に、その停止図柄が表示されたタイミングが大当り発生タイミングとなる。停止図柄は、図柄変動の終了時に表示すべき図柄である。前提技術における特別図柄192は、当りの図柄態様である「0」〜「9」といった数字、文字、記号、または外れの図柄態様である「−」の記号で表される。これらの数字または記号が高速で次々に入れ替わって特別図柄表示装置61へ表示されることにより、特別図柄192の図柄変動表示が実現される。なお、特別図柄192の態様は上記の数字または記号に限られず、英字などの文字であってもよいし、7セグメントLEDを構成する各セグメントの組合せで形成される一般に意味を持たない記号であってもよい。また、7セグメントLEDは、「8の字」を形成する7個のセグメントおよび「ドット」を表す1個のセグメントからなる8個のセグメントで構成されてもよい。この場合、8個のセグメントを組み合わせることにより8ビット分の数値を表現できる。さらに、特別図柄表示装置61を7セグメントLEDではないLEDドットアレーを用いて、その点灯パターンや点灯色の組合せで複数種類の特別図柄192を表現してもよい。
【0019】
演出表示装置60は、特別図柄192の変動表示と連動する形で装飾図柄190を変動表示する液晶ディスプレイで構成される表示装置である。装飾図柄190は、特別図柄192で示される抽選の結果表示を視覚的に演出するための図柄である。演出表示装置60は、装飾図柄190として、例えばスロットマシンのゲームを模した複数列の図柄を変動させる動画像を画面の中央領域に表示する。前提技術においては、「0」〜「9」の数字で構成される図柄を3列に表示して変動させ、最終的に停止表示される3個の図柄組合せによって当りまたは外れを示す。装飾図柄190を構成する複数図柄のそれぞれは、色彩や模様の装飾が施された数字、文字、または記号で構成されるが、これら数字、文字、記号に対して全図柄に共通する絵柄または図柄ごとに異なる絵柄を加えて一体化させる形で構成されてもよい。この絵柄は、ぱちんこ遊技機10の当該機種に設定された装飾または演出のテーマに関連するモチーフが描かれた絵柄であり、例えば人物や動物のキャラクターが描かれた絵柄であってもよい。装飾図柄190は、絵柄が一体的に含まれる図柄が変動表示される場合と、絵柄が分離して数字、文字、記号の部分のみが変動表示される場合とが、演出の展開に沿って切り替えられる構成であってもよい。装飾図柄190の変動表示の背景には、ぱちんこ遊技機10の当該機種に設定された装飾または演出のテーマに関連する演出的効果を有する動画像が図柄変動と連動して表示される。
【0020】
演出表示装置60は、前提技術では液晶ディスプレイなどの高精細なドットマトリクス型表示装置で構成されるが、ドラム回転式などの機械的表示手段やLEDマトリクス式などの表示手段で構成されてもよい。なお、特別図柄192は必ずしも演出的な役割をもつことを要しないため、前提技術では演出表示装置60の左下方の特別図柄表示装置61にて目立たない大きさで表示させる。ただし、特別図柄自体に演出的な役割をもたせることで装飾図柄を用いずに表現する手法を採用する場合には、特別図柄を7セグメントLEDではなく液晶ディスプレイに表示させる構成としてもよい。
【0021】
作動口68は、遊技盤50の左側方位置に設けられる。作動口68は、通過検出装置69を含む。通過検出装置69は、作動口68への遊技球の通過を検出するセンサであり、通過時にその通過を示す通過情報を生成する。作動口68への遊技球の通過は拡開機構63を拡開させるか否かを決定する開放抽選の契機となる。作動口68を遊技球が通過すると、開放抽選の結果を示す図柄である普通図柄が普通図柄表示装置59に変動表示される。したがって、開放抽選は「普通図柄抽選」とも呼ぶ。前提技術における普通図柄表示装置59は、便宜上、二つのランプで構成されるとともに、それらのうちいずれのランプが点灯しているかによって普通図柄の表示状態が表現される。例えば、第1のランプの点灯が外れを示し、第2のランプが当りを示すとき、それらが交互に点灯と消灯を繰り返すことによって普通図柄の変動表示が表現され、最終的にいずれかの点灯状態にて停止されることで普通図柄の停止図柄が表現される。普通図柄表示装置59は演出表示装置60の右下方に設けられる。変動開始から所定時間の経過後に、普通図柄の変動表示が停止する。このとき、通常状態では例えば1/256程度の低確率にて普通図柄が当りの図柄で停止し、後述する入球容易状態では例えば250/256程度の高確率にて普通図柄が当りの図柄で停止する。普通図柄が当りの図柄で停止すると、拡開機構63が所定時間拡開される。拡開機構63の開放時間は、例えば通常状態では0.1秒間であり、入球容易状態では6秒間である。
【0022】
演出表示装置60の周囲には、センター飾り64が設けられる。センター飾り64は、遊技球の流路、演出表示装置60の保護、装飾等の機能を有する。遊技領域52の左下部には、特別図柄保留表示装置20が設けられ、その対称位置である遊技領域52の右下部には、普通図柄表示装置59の下に普通図柄保留表示装置22が設けられている。
【0023】
特別図柄保留表示装置20は、4個のランプからなり、その点灯個数によって当否抽選の保留数を表示する。当否抽選の保留数は、図柄変動中または特別遊技中に始動口62へ入賞した抽選結果の個数であり、図柄変動がまだ実行されていない入賞球の数を示す。当否抽選の保留数が3個になると、遊技効率を高めるために外れの場合の図柄変動時間が通常より短縮される(以下、「短縮変動」ともいう)。同様に、当否抽選の保留数が4個になると、さらに遊技効率を高めるために外れの場合の図柄変動時間が上記3個の場合よりもさらに短縮される(以下、「超短縮変動」ともいう)。
【0024】
普通図柄保留表示装置22もまた4個のランプからなり、その点灯個数によって普通図柄変動の保留数を表示する。普通図柄変動の保留数は、普通図柄の変動中に作動口68を通過した遊技球の個数であり、普通図柄の変動がまだ実行されていない普通図柄抽選の数を示す。
【0025】
演出表示装置60の上方および下方には、それぞれ遊技効果ランプ90が設けられている。操作ボタン82は、遊技者が遊技機へ所定の指示を入力するために操作する操作入力手段であり、その操作入力の内容に応じて演出内容等に変化が加えられる。操作ボタン82は、上球皿15近傍の外壁面に設けられる。前提技術における操作ボタン82は一つのボタンで構成されるが、複数のボタンや十字キーなどの方向指示ボタンで構成されてもよい。可動役物140は、演出に連動して動作が制御される可動物であり、その動作によって演出的役割を果たす。例えば可動役物140は、遊技者による操作ボタン82を介した操作入力に応じて動作する。
【0026】
以上のような構成においてなされる遊技の方法および制御の流れを概説する。遊技者が発射ハンドル17を手で回動させると、その回動角度に応じた強度で上球皿15に貯留された遊技球が1球ずつ内レール56と外レール54に案内されて遊技領域52へ発射される。遊技者が発射ハンドル17の回動位置を手で固定させると一定の時間間隔で遊技球の発射が繰り返される。遊技領域52の上部へ発射された遊技球は、複数の遊技釘や風車に当りながらその当り方に応じた方向へ落下する。遊技球が一般入賞口72や始動口62、大入賞口66の各入賞口へ落入すると、その入賞口の種類に応じた賞球が上球皿15または下球皿16に払い出される。一般入賞口72等の各入賞口に落入した遊技球はセーフ球として処理され、アウト口58に落入した遊技球はアウト球として処理される。なお、各入賞口は遊技球が通過するゲートタイプのものを含み、本願において「落入」「入球」「入賞」というときは「通過」を含むものとする。
【0027】
遊技球が始動口62に落入すると、特別図柄表示装置61および演出表示装置60において特別図柄192および装飾図柄190が変動表示される。特別図柄192および装飾図柄190の変動表示は、表示に先だって決定された変動表示時間の経過後に停止される。特別図柄192は、その変動開始から停止までの変動態様が定められた変動パターンにしたがって変動表示される。装飾図柄190は、その変動開始から停止までの変動態様が定められた変動演出パターンにしたがって変動表示される。変動パターンおよび変動演出パターンはそれぞれ複数種ずつ用意され、それぞれが長短様々な変動時間をもつ。変動パターンにしたがって特別図柄192が変動表示される間、同じ変動時間をもつ変動演出パターンにしたがって装飾図柄190が変動表示される。変動パターンには、その図柄変動の終了条件としてパターンごとに変動表示時間が定められており、その変動表示時間の経過時に特別図柄192および装飾図柄190の変動が停止される。
【0028】
装飾図柄190の変動表示としては、まず変動開始とともにスロットマシンのリール回転のように3列とも図柄を変動させ、変動終了タイミングへ近づいたときに一列ずつ停止させることで最終的な停止態様としての図柄組合せを表示する。停止時の特別図柄192および装飾図柄190が大当りを示す停止態様となった場合、通常遊技よりも遊技者に有利な遊技状態である特別遊技に移行し、大入賞口66の開閉動作が開始される。大当りを示す装飾図柄190の停止態様は、例えば3つの図柄の種類が一致する組合せの態様である。
【0029】
変動演出パターンには、通常外れ演出パターン、リーチ外れ演出パターン、リーチ大当り演出パターンが含まれる。通常外れ演出パターンは、通常の外れの図柄組合せを表示するときの演出パターンである。リーチ外れ演出パターンは、あと一つ図柄が揃えば大当りとなる状態であるリーチ状態を経て外れの図柄組合せを表示するときの演出パターンである。リーチ大当り演出パターンは、リーチ状態を経て大当りの図柄組合せを表示するときの演出パターンである。特に、リーチ状態を経るときのパターンとしては、長短様々な変動時間をもつパターンが含まれ、相対的に変動時間の短いリーチパターンを「ノーマルリーチ」と称し、変動時間の長いリーチパターンを「スーパーリーチ」と称する。
【0030】
特別遊技は、開始デモ時間と呼ばれる演出画面の表示によって開始される。開始デモ時間の画面表示後に大入賞口66が開放され、その開放が約30秒間続いた後、または9球以上の遊技球が落入した後で一旦閉鎖される。このような大入賞口66の開放から閉鎖までが、基本的には単位遊技と呼ばれるが、1回の単位遊技の間に複数回の短時間の開放を繰り返す場合があってもよい。大入賞口66の開閉ないし単位遊技が所定の複数回数、例えば15回繰り返された後、終了デモ時間と呼ばれる演出画面の表示によって特別遊技が終了される。これに対し、当否抽選が小当りと呼ばれる結果に該当した場合は小当り遊技が実行される。小当りは、当否抽選の結果としては外れに含まれる結果である。小当り遊技は、一部の種類の特別遊技と類似の態様にて実行される単位遊技である。ただし、小当り遊技として実行される単位遊技は1回だけであり、複数回数の単位遊技が実行される特別遊技とは異なる。
【0031】
特別遊技が終了した後の通常遊技においては特定遊技の一つである特別図柄192および装飾図柄190の変動時間短縮(以下、適宜「時短」という)が開始される。特別図柄192および装飾図柄190の時短は、特別図柄192および装飾図柄190の変動時間が通常状態よりも短縮される状態である。特別図柄192および装飾図柄190の変動時間は、所定の変動回数、例えば100回の変動表示がなされた後で元の変動時間に戻されるが、その変動回数に達する前に大当りが発生すれば時短も終了する。時短により特別図柄192および装飾図柄190の変動時間が短縮されるため、通常の変動時間のまま図柄変動がなされる通常状態の場合と比べて、大当りが発生するまでの時間を短縮することができ、大当りの獲得容易性を相対的に高めることができる。
【0032】
特別図柄192および装飾図柄190の時短中は、特定遊技の一つである入球容易状態が実施される。入球容易状態は、普通図柄の時短、開放抽選の確率変動、拡開機構63の開放延長が実施されることにより始動口62への入球容易性が高められる状態である。普通図柄の時短は、普通図柄の変動時間が通常状態より短縮される状態である。開放抽選の確率変動は、開放抽選の当り確率を通常状態より高める状態である。拡開機構63の開放延長は、拡開機構63の開放時間を通常状態よりも長くする状態である。このように、入球容易状態においては、一定時間あたりの普通図柄の変動回数が通常状態よりも増加する可能性が高まる上、始動口62への入球容易性も増すため、始動口62への入球数が増加する可能性も高い。したがって、特別図柄192および装飾図柄190の時短および入球容易状態により、その期間中は始動口62への入球による賞球を得られる機会が増加する結果、持ち玉をほとんど減らさずに遊技し続けることが可能となる。
【0033】
なお、前提技術における入球容易状態は、普通図柄の時短、開放抽選の確率変動、拡開機構63の開放延長という3つの機能を用いて始動口62への入球容易性を高める。ただし、変形例としては、これら3つの機能のうち、1つまたは2つの機能を用いて始動口62への入球容易性を高める構成としてもよい。このように3つの機能のうち一部だけを用いても始動口62への入球容易性を高めることは可能である。また、3つの機能のうち少なくともいずれかを、実施する期間と実施しない期間とで遊技状態に応じて切り替える構成としてもよい。
【0034】
特別遊技が発生した場合であってそのときの当り停止図柄が特定の態様であった場合、特別遊技の終了後に特定遊技の一つである当否抽選の確率変動遊技(以下、適宜「確変」という)がさらに開始される。当否抽選の確変中は、通常の確率状態より当りの確率が高い当否抽選が行われ、比較的早期に新たな特別遊技が発生し得る。当否抽選の確変は次の大当りが発生するまで継続されるが、変形例として、所定の限定的な回数の図柄変動がなされたときに終了する構成であってもよい。前提技術においては、確変が開始されるときに同時に特別図柄192および装飾図柄190の時短や入球容易状態も開始されるが、変形例として時短や入球容易状態の開始を伴わない確変が実行される場合があってもよい。
【0035】
ぱちんこ遊技機10の内部には様々なエラー検知のためのセンサが設けられる。例えば、上球皿15や下球皿16において遊技球が溜まりすぎか否かを検知するセンサが上球皿15や下球皿16に設けられ、遊技球が溜まりすぎたときに球詰まりエラーを示すエラー信号を発する。ぱちんこ遊技機10の内部には振動センサが設けられ、例えば遊技者によって故意にぱちんこ遊技機10に振動が加えられたような場合に振動エラーを示すエラー信号を発する。各入球口やアウト口58に設置されるセンサによって計数される遊技球の排出数が入球数や打球数に満たない場合には排出エラーを示すエラー信号を発する。このように、ぱちんこ遊技機10の内部の各所には、図示しないセンサ等の複数種類のエラー検知手段が設けられる。エラー検知手段が発するエラー信号は、ぱちんこ遊技機10の外部装置としてぱちんこホールに設置されるホールコンピュータに送信される他、内部の制御装置へ送信される。
【0036】
エラー信号を受け取った内部の制御装置は、エラーに対処するための種々の制御を実行する。例えば、遊技球の発射を一時的に停止させたり、各入球口の開閉や賞球を停止させたりといった制御である。また、演出表示装置60の画面にエラーが発生した旨を示す文字列や絵などを用いてエラー報知するとともに、エラーの発生を示す音声によるエラー報知や、遊技効果ランプ90などの電飾品を点灯させることによるエラー報知を実行する。このとき、演出表示装置60の画面表示や音声出力、遊技効果ランプ90の点灯を用いた演出が通常どおり実行されているが、そうした演出に優先してエラー報知がなされる。そのため、一部の演出がエラー報知によって妨げられたり、遊技者による視聴が困難となったりし得る。そこで、前提技術においては、エラー報知により妨げられた演出が相対的に重要度を持つ演出であった場合に、その演出の趣旨を補完するために、妨げられた演出の種類に対応する新たな演出を実行する。これにより、エラー報知によって遊技者が重要な演出を視聴できなかった場合の不快感を緩和できる。また、エラー報知によって遊技者が視聴できなかった演出の目的を新たな演出によって果たすことで、その演出による情報性の損失を低減できる。
【0037】
図2は、ぱちんこ遊技機の背面側における基本的な構造を示す。電源スイッチ40はぱちんこ遊技機10の電源をオンオフするスイッチである。メイン基板102は、ぱちんこ遊技機10の全体動作を制御し、特に始動口62へ入賞したときの抽選等、遊技動作全般を処理する。サブ基板104は、液晶ユニット42を備え、演出表示装置60における表示内容や複数の可動役物140の動作、遊技効果ランプ90の点灯を制御し、特にメイン基板102による抽選結果に応じて表示内容を変動させ、その演出の進行に沿って可動役物140や遊技効果ランプ90の点灯を作動させる。メイン基板102およびサブ基板104は、遊技制御装置100を構成する。裏セット機構39は、賞球タンク44や賞球の流路、賞球を払い出す払出ユニット43等を含む。払出ユニット43は、各入賞口への入賞に応じて賞球タンク44から供給される遊技球を上球皿15へ払い出す。払出制御基板45は、払出ユニット43による払出動作を制御する。発射装置46は、上球皿15の貯留球を遊技領域52へ1球ずつ発射する。発射制御基板47は、発射装置46の発射動作を制御する。電源ユニット48は、ぱちんこ遊技機10の各部へ電力を供給する。
【0038】
図3は、前提技術におけるぱちんこ遊技機10の機能ブロックを示す。ぱちんこ遊技機10において、遊技制御装置100は、始動口62、大入賞口66、一般入賞口72、作動口68、特別図柄表示装置61、演出表示装置60、普通図柄表示装置59、操作ボタン82、スピーカ18、遊技効果ランプ90、可動役物140、エラー検知手段84のそれぞれと電気的に接続されており、各種制御信号の送受信を可能とする。遊技制御装置100は、遊技の基本動作だけでなく、図柄変動表示や可動役物140、電飾等の演出的動作も制御する。遊技制御装置100は、遊技の基本動作を含むぱちんこ遊技機10の全体動作を制御するメイン基板102と、図柄の演出等を制御するサブ基板104とに機能を分担させた形態で構成される。遊技制御装置100は、ハードウエア的にはデータやプログラムを格納するROMやRAM、演算処理に用いるCPU等の素子を含んで構成される。
【0039】
前提技術におけるメイン基板102は、入球判定手段110、当否抽選手段112、図柄決定手段114、変動パターン決定手段115、保留制御手段116、メイン表示制御手段118、特別遊技制御手段120、特定遊技実行手段122、開閉制御手段124、エラー制御手段126を備える。前提技術におけるサブ基板104は、パターン記憶手段130、図柄態様決定手段131、演出決定手段132、演出表示制御手段134、役物制御手段136、エラー受信手段137、エラー報知手段138、補完処理手段139を備える。なお、メイン基板102に含まれる各機能ブロックは、いずれかがメイン基板102ではなくサブ基板104に搭載されるかたちで構成されてもよい。同様に、サブ基板104に含まれる各機能ブロックは、いずれかがサブ基板104ではなくメイン基板102に搭載されるかたちで構成されてもよい。
【0040】
ただし、メイン基板102とサブ基板104の間におけるデータの送受信はメイン基板102からサブ基板104への一方向であるため、そのような一方向でのデータ送受信にて全体動作が実現されるよう各構成がメイン基板102とサブ基板104に配置される。このようにメイン基板102からサブ基板104へのデータ送信の一方向性が保たれるため、サブ基板104に含まれる構成からメイン基板102に含まれる構成へはデータを送信することができず、データ送信の要求もできない。したがって、メイン基板102で生成された情報は、メイン基板102がサブ基板104へ一方的に送信しない限りサブ基板104から参照することはできない。
【0041】
入球判定手段110は、各入賞口への遊技球の入球を判定する。入球判定手段110は、始動入賞情報を受け取ると遊技球が始動口62に入賞したと判断し、大入賞口入賞情報を受け取ると遊技球が大入賞口66に入賞したと判断し、一般入賞情報を受け取ると遊技球が一般入賞口72に入賞したと判断する。入球判定手段110は、通過情報を受け取ると遊技球が作動口68を通過したと判断する。
【0042】
当否抽選手段112は、始動口62への入球を契機に、通常遊技より遊技者に有利な状態である特別遊技へ移行するか否かを判定するための乱数の値を当否抽選値として取得する。たとえば、当否抽選値は「0」から「65535」までの値範囲から取得される。なお、本願にいう「乱数」は、数学的に発生させる乱数でなくてもよく、ハードウエア乱数やソフトウエア乱数などにより発生させる疑似乱数でもよい。当否抽選手段112が当否抽選値として取得する値は、保留制御手段116により一時的に保留される。ただし、所定の保留上限数を超えない範囲で当否抽選値が保留される。
【0043】
当否抽選手段112は、当否判定で参照する当否テーブルを複数保持する。複数の当否テーブルには、大当り、小当り、外れの判定結果と当否抽選値とが対応付けられており、対応付けられた大当りの範囲設定に応じて当否確率が定まる。当否抽選手段112は、通常時には通常確率による当否テーブルを参照し、確率変動時には通常確率より当りの確率が高くなる当否テーブルを参照する。当否抽選手段112は、複数の当否テーブルのうちいずれかを参照し、当否抽選値が当りであるか否かを判定する。
【0044】
当否抽選手段112は、遊技球が作動口68を通過した場合に、普通図柄を決定するための開放抽選として抽選値を取得する。当否抽選手段112は、開放抽選の抽選値と当否結果の対応関係が定められた当否テーブルを保持し、その当否テーブルを参照して開放抽選の当否結果を決定する。通常状態においては1/256の確率で当りとなる当否テーブルを参照し、入球容易状態においては250/256の確率で当りとなる当否テーブルを参照する。普通図柄の抽選値は、保留制御手段116により一時的に保留される。ただし、保留制御手段116により保留される所定の保留上限数を超えない場合にだけ抽選値が保留される。
【0045】
図4は、当否判定テーブルを模式的に示す図である。本図の当否判定テーブルには、大当り、小当り、外れの判定結果と当否抽選値とが対応付けられており、対応付けられたそれぞれの範囲設定に応じて大当り当否確率や小当りの当否確率が定まる。当否抽選手段112は、当否判定において本図の当否判定テーブルを参照する。当否抽選手段112による当否抽選においては、通常時には図4(a)の通り、当否抽選値が0〜399の範囲に該当したときのみ大当りとなる。確変時には図4(b)の通り、大当りの範囲が拡大され、当否抽選値が0〜399の範囲に該当する場合だけでなく、400〜2999の範囲に該当する場合にも大当りとなる。このように、大当りに該当する範囲は遊技状態に応じて変化する。大当りに該当した場合、15R大当りと2R大当りのいずれとなるか、および、確変を伴うか否かは、特別図柄の停止図柄に応じて別途決定される。なお、本図では単一の当否判定テーブルによって通常時と確変時の双方の大当り範囲を示したが、当否判定テーブルは通常時用と確変時用とで別個に用意してもよい。
【0046】
前提技術においては、当否抽選値が大当り範囲に該当しない、いわゆる外れとなった場合であっても、所定の範囲に該当した場合には小当りとなる。本図の例では、当否抽選手段112が取得する当否抽選値が65000〜65535の範囲に該当した場合に小当りとなる。このように、大当りに該当しなかった場合、本来はすべて「外れ」であるが、本図の例では大当りに該当しなかった場合のうち小当りにも該当しなかった場合の当否抽選値範囲を特に「外れ」と表現している。なお、本図では大当りか否かの判定テーブルと小当りか否かの判定テーブルとを単一の当否判定テーブルの形で実現する例を示したが、それぞれを別個のテーブルとして実現してもよい。
【0047】
図3に戻り、当否抽選手段112による判定結果は、特別図柄表示装置61において特別図柄のかたちで変動表示される。また、当否抽選手段112による判定結果を演出的に示す装飾図柄が演出表示装置60において変動表示される。当否抽選手段112は、図柄変動を開始するタイミングにおいて、その図柄変動に対応する抽選の結果を図柄変動の制御コマンドとともに図柄態様決定手段131および演出決定手段132へ送信する。
【0048】
図柄決定手段114は、特別図柄表示装置61に表示させる特別図柄の停止図柄を、当否抽選手段112による抽選の結果に応じて決定する。図柄決定手段114は、特別図柄の停止図柄を決定するために参照すべき図柄範囲テーブルを保持する。図柄決定手段114は、特別図柄を決定するための図柄決定抽選値を取得し、当否抽選手段112による当否判定結果と図柄決定抽選値とに応じて特別図柄の停止図柄を決定する。
【0049】
図柄決定手段114は、普通図柄表示装置59に表示させる普通図柄の停止図柄を、当否抽選手段112による開放抽選の結果に応じて決定する。図柄決定手段114は、開放抽選の結果を普通図柄のかたちで普通図柄表示装置59に変動表示させるために、開放抽選の結果に応じて普通図柄の停止図柄を決定する。決定された停止図柄が所定の図柄となった場合に普通図柄が当りに該当したと判定され、その停止図柄にて普通図柄の変動表示が停止された後に開閉制御手段124が始動口62の拡開機構63を所定時間拡開する。
【0050】
図柄決定手段114は、決定した停止図柄を示すデータをメイン表示制御手段118、図柄態様決定手段131、演出決定手段132へ送出する。
【0051】
図5は、図柄判定テーブルを模式的に示す図である。図5(a)は当否判定結果が大当りであった場合に参照するテーブルであり、図5(b)は当否判定結果が外れであった場合に参照するテーブルであり、図5(c)は当否判定結果が小当りであった場合に参照するテーブルである。図柄決定手段114は、図柄判定において本図の図柄判定テーブルを参照する。各図柄判定テーブルには、「0」〜「9」の数字および「−」の記号で表される特別図柄と図柄抽選値との対応関係が定められている。特別図柄の種類はそれぞれ大当り、小当り、外れの当否判定結果と対応付けられており、奇数の数字が大当りに対応し、偶数の数字が小当りに対応し、「−」の記号が外れに対応する。
【0052】
図5(a)に示す通り、特別図柄「0」〜「9」のうち奇数の数字である特別図柄「1」「3」「5」「7」「9」が大当りに対応付けられている。そのうち、特別図柄「7」は確変を伴う15R大当りを示し、図柄抽選値の範囲「0〜99」に対応付けられる。特別図柄「3」は確変を伴う2R大当りを示し、図柄抽選値の範囲「100〜149」に対応付けられる。特別図柄「1」「5」「9」は確変を伴わない15R大当りを示し、図柄抽選値の範囲「150〜189」に特別図柄「1」が対応付けられ、「190〜229」に特別図柄「5」が対応付けられ、「230〜255」に特別図柄「9」が対応付けられる。
【0053】
図5(b)に示す通り、特別図柄「−」は当否判定結果が外れの場合における全範囲の図柄抽選値に対応付けられている。
【0054】
図5(c)に示す通り、特別図柄「0」〜「9」のうち偶数の数字である特別図柄「0」「2」「4」「6」「8」が小当りに対応付けられている。特別図柄「0」は図柄抽選値の範囲「0〜49」に対応付けられ、特別図柄「2」は図柄抽選値の範囲「50〜99」に対応付けられる。特別図柄「4」は図柄抽選値の範囲「100〜149」に対応付けられ、特別図柄「6」は図柄抽選値の範囲「150〜199」に対応付けられ、特別図柄「8」は図柄抽選値の範囲「200〜255」に対応付けられる。
【0055】
図3に戻り、変動パターン決定手段115は、当否抽選の結果に応じて複数種の変動パターンからいずれかの変動パターンを選択する。変動パターン決定手段115は、変動パターンを決定するために参照すべき変動パターンテーブルを保持する。変動パターン決定手段115は、決定した変動パターンを示すデータをメイン表示制御手段118、図柄態様決定手段131、演出決定手段132へ送出する。変動パターン決定手段115は、複数種の変動パターンを記憶する。複数種の変動パターンは、長短様々な変動時間をもつとともに、その変動時間にて複数の図柄で構成される装飾図柄による図柄変動も実行されることを前提として規定される。各変動パターンには、その図柄変動の終了条件としてパターンごとに変動表示時間が定められており、その変動表示時間の経過時に特別図柄および装飾図柄の変動が停止される。
【0056】
図6は、変動パターンテーブルを模式的に示す図である。変動パターン決定手段115は、当否判定結果が外れのときは図6(a)に示される外れ用の変動パターンテーブルを参照する。当否判定結果が15R大当りのときは図6(b)に示される15R大当り用の変動パターンテーブルを参照する。当否判定結果が2R大当りまたは小当りのときは図6(c)に示される2R大当りおよび小当り用の変動パターンテーブルを参照する。
【0057】
図6(a)においては、パターン抽選値0〜10には「スーパー1」というスーパーリーチが対応付けられ、パターン抽選値11〜20には「スーパー2」というスーパーリーチが対応付けられている。パターン抽選値21〜255には「ノーマル1」「ノーマル2」「リーチなし」のいずれかの変動パターンが対応付けられている。このように、当否判定結果が外れの場合、スーパーリーチ、ノーマルリーチ、リーチなしのいずれも選択される可能性がある。なお、外れ用の変動パターンテーブルにおいて、特に「リーチなし」の変動パターンを選択するとき、時短状態においては通常状態よりもさらに変動時間が概ね短い変動パターンが選択されるよう異なるテーブルを参照する。また、外れ用の変動パターンテーブルは保留数ごとに参照すべき欄が異なるように規定されるが、通常状態を例とするその詳細は後述する図7において説明する。
【0058】
図6(b)においては、パターン抽選値0〜120には「スーパー1」のスーパーリーチが対応付けられ、パターン抽選値121〜240には「スーパー2」のスーパーリーチが対応付けられている。パターン抽選値241〜250には「ノーマル1」のリーチが対応付けられ、パターン抽選値251〜255には「ノーマル2」のリーチが対応付けられている。このように、当否判定結果が15R大当りの場合はリーチ付きの変動パターンが選択される。
【0059】
図6(c)においては、パターン抽選値0〜122には「スーパー3」というスーパーリーチが対応付けられ、パターン抽選値123〜255には「ノーマル3」というノーマルリーチが対応付けられている。このように当否判定結果が2R大当りまたは小当りの場合は「スーパー3」または「ノーマル3」がそれぞれ約50%の確率で選択される。
【0060】
図7は、外れ用の変動パターンテーブルを詳細に示す図である。本図の変動パターンテーブル210においては、保留数ごとにそれぞれ変動パターンに対応付けられたパターン抽選値の範囲が異なる。具体的には、保留数が少ないほど変動時間が相対的に長い変動パターンに割り当てられたパターン抽選値の範囲が広くされており、それら変動時間の長い変動パターンが選択される確率を高めている。そのため、保留制御手段116による保留数が少ないほど平均的な変動時間が長くなる。したがって、保留制御手段116による保留数が所定数、例えば1〜2個より少なくなった場合に、変動時間の長い変動パターンの選択確率が通常より高くなり、変動時間が比較的長くなりやすい。
【0061】
第1欄212には、保留制御手段116による当否抽選の結果保留数が1の場合のパターン抽選値範囲と変動パターンとの対応関係が示される。同様に、第2欄214、第3欄216、第4欄218に、保留制御手段116による当否抽選の結果保留数がそれぞれ2、3、4の場合のパターン抽選値範囲と変動パターンとの対応関係が示される。すなわち、第1欄212、第2欄214、第3欄216、第4欄218が保留数ごとの変動パターンテーブルを示すと考えることができる。本図では、外れのときに選択され得る複数の変動パターンを変動時間別に5種類に分類した例を説明するが、実際にはそれらの分類ごとに複数の変動演出パターンが用意されており、全体で数十種類の変動演出パターンがその分類ごとの抽選値範囲に対応付けられていることに等しい。なお、本図の第2欄214、第3欄216、第4欄218の各パターン抽選値範囲の割合と第1欄212におけるパターン抽選値範囲の割合を比較するために、第1欄212のパターン抽選値範囲の割合を示す破線を第2欄214、第3欄216、第4欄218に描いている。
【0062】
第1範囲222には、抽選値が0から10までのパターン抽選値に該当する場合の変動パターンとして、第1欄212、第2欄214、第3欄216、第4欄218のいずれにも「スーパー1」というスーパーリーチの変動パターンが対応付けられる。第2範囲224には、抽選値が11から20までのパターン抽選値に該当する場合の変動パターンとして、第1欄212、第2欄214、第3欄216、第4欄218のいずれにも「スーパー2」というスーパーリーチの変動パターンが対応付けられる。このように、抽選値が0から10までのパターン抽選値と抽選値が11から20までのパターン抽選値の場合には、保留数にかかわらず同じ変動時間の変動パターンが選択される。
【0063】
第3範囲226には、抽選値が21から255までのパターン抽選値に該当する場合の変動パターンとして、第1欄212、第2欄214、第3欄216、第4欄218にはそれぞれノーマルリーチである「ノーマル1」「ノーマル2」と「リーチなし外れ」の3種類の変動パターンが対応付けられる。ただし、それぞれの変動パターンが対応付けられるパターン抽選値の範囲は保留数によって異なる。第1欄212では、「ノーマル1」「ノーマル2」「リーチなし」のそれぞれが対応付けられる抽選値範囲の大きさがそれぞれほぼ等しく、21から255をほぼ3等分した範囲が対応付けられている。これに対し、第2欄214では、「ノーマル1」「ノーマル2」のそれぞれに対応付けられる抽選値範囲の大きさが「リーチなし」に対応付けられる抽選値範囲より小さい。また、第3欄216および第4欄218では「ノーマル1」「ノーマル2」のそれぞれに対応付けられる抽選値範囲の大きさがさらに小さくなっている。
【0064】
「ノーマル1」「ノーマル2」の変動時間は「リーチなし外れ」の変動時間より長くてもよく、また「リーチなし外れ」のときは時短状態のように変動時間が短縮される場合もあるため、上記の第3範囲226の設定内容に応じて平均的な変動時間が異なることとなる。保留数が0から1、2、3、4と多くなるにつれて「ノーマル1」および「ノーマル2」のパターン抽選値範囲は小さくなり、逆に「リーチなし外れ」のパターン抽選値範囲が大きくなる。したがって、保留数が多いほど平均的な変動時間は短くなり、逆に保留数が少ないほど平均的な変動時間は長くなる。このように保留数ごとにパターン抽選値範囲と変動パターンの対応関係が異なる変動パターンテーブルを用いることにより、保留数が少なくなったときに変動時間の長い変動パターンが選択されやすくなる制御を実現することができる。
【0065】
第3欄216に対応付けられた「リーチなし外れ」の変動パターンは、第1欄212、第2欄214に対応付けられた「リーチなし外れ」よりも変動時間が短い、いわゆる「短縮変動」の変動パターンである。また、第4欄218に対応付けられた「リーチなし外れ」の変動パターンは、第1欄212、第2欄214に対応付けられた「リーチなし外れ」よりも変動時間が短く、第3欄216の「短縮変動」よりもさらに変動時間が短い、いわゆる「超短縮変動」の変動パターンである。
【0066】
図3に戻り、変動パターン決定手段115は、普通図柄の変動表示時間を決定する。通常状態においては変動表示時間を60秒に決定し、入球容易状態においては変動表示時間を6秒に決定する。
【0067】
保留制御手段116は、始動口62へ新たな入球があって新たに当否抽選が実行されるときにそれ以前の入球ないし抽選に対応する図柄変動が表示されている場合、新たな入球に基づく当否抽選の結果をその抽選に対応する図柄の変動表示開始まで保留する。前提技術では当否抽選の結果として4個を上限として当否抽選値を保留球として保持する。ここでいう当否抽選値は、当否抽選値、図柄抽選値、変動パターン抽選値を含む。保留制御手段116はさらに、当否抽選手段112により取得された普図抽選値を保留球として保持する。これらの保留数がそれぞれ特別図柄保留表示装置20、普通図柄保留表示装置22の点灯数または点滅数により表される。
【0068】
メイン表示制御手段118は、当否抽選手段112による抽選の結果を、変動パターン決定手段115により決定された変動パターンにしたがって特別図柄192の変動表示として特別図柄表示装置61に表示させる。メイン表示制御手段118は、それ以前になされた当否抽選に対応する図柄の変動表示が終了していることを新たな図柄変動の開始条件とする。メイン表示制御手段118は、特別図柄192の変動表示を開始するタイミングと停止するタイミングにて、変動開始コマンドと変動停止コマンドを演出表示制御手段134へ送信する。変動開始コマンドを送信するとき、判定された当否判定結果、停止図柄、変動パターンのそれぞれを示す値を変動開始コマンドとともに演出表示制御手段134へ送信する。変動停止コマンドを送信するとき、あらためて停止図柄を示す値を変動停止コマンドとともに演出表示制御手段134へ送信する。これにより、メイン表示制御手段118および演出表示制御手段134による変動表示が同期し、連動が保たれる。メイン表示制御手段118は、普通図柄抽選の結果を普通図柄の変動表示として普通図柄表示装置59に表示させる。
【0069】
特別遊技制御手段120は、当否抽選手段112による当否抽選が特別遊技への移行を示す結果となった場合、特別図柄192が所定の大当り態様で停止されたときに特別遊技作動条件が成立したと判定し、大入賞口66を開放させることにより特別遊技を実行する。特別遊技は、大入賞口66の開閉動作を複数回数連続して継続する遊技であり、1回の開閉を単位とした複数回の単位遊技で構成される。特別遊技には、単位遊技を15回繰り返す15R大当りと、15R大当りより開放時間が短い単位遊技を2回だけ繰り返す2R大当りがある。15R大当りにおいては、1回の単位遊技において大入賞口66を原則として約30秒間開放させる。2R大当りにおいては、1回の単位遊技において大入賞口66を約0.5秒間だけ開放させる。特別遊技制御手段120は、単位遊技の設定ラウンド数を消化したときに特別遊技を終了させる。なお、2R大当りとなった場合においても、所定の条件を満たした場合には、15R大当りと同様の開放態様で大入賞口66を開放させてもよい。
【0070】
特定遊技実行手段122は、確変状態、時短状態、および入球容易状態における通常遊技を制御する。特定遊技実行手段122は、特別遊技の終了後に遊技状態を時短状態および入球容易状態へ移行させる。一方、特別遊技の終了後に確変状態へ移行させるのは、図柄決定手段114により決定された図柄が確変への移行を伴う大当り図柄であった場合に限られる。時短状態および入球容易状態は、特別図柄192の変動表示回数が特別遊技の終了時点から数えて所定の終了条件回数、例えば100回に達するまで継続される。ただし、同時に確変状態へ移行した場合は確変状態が続く限り時短状態および入球容易状態も継続される。すなわち、次の大当りが発生するまで継続される。このように時短状態および入球容易状態の終期は遊技状態に応じて定まる。時短状態においては、特別図柄192の変動表示時間が概ね短くなるよう、変動パターン決定手段115が変動時間の短い変動パターンを選択する。ただし、通常状態においては、保留制御手段116による当否抽選結果の保留数に応じた変動パターンテーブルを参照し、保留制御手段116による保留数が少なくなるほど変動時間の長い変動パターンが出現しやすくなる。入球容易状態においては、普通図柄の時短、普通図柄の確変、拡開機構63の開放延長が実施される。一方、確変状態は、次の大当りによる特別遊技が実行されるまで継続される。確変状態の間は当否抽選手段112による当否判定結果が大当りとなる確率が高い値のまま維持される。
【0071】
開閉制御手段124は、始動口62の普通電動役物や大入賞口66の開閉を制御する。開閉制御手段124は、普通図柄が特定の図柄で停止されると、普通電動役物ソレノイド76に開放指示を送り、始動口62を開放させる。また、開閉制御手段124は、特別遊技中、大入賞口ソレノイド80に開放指示を送り、大入賞口66を開放させる。
【0072】
エラー制御手段126は、ぱちんこ遊技機10において遊技に支障を及ぼす可能性のある不具合が発生した場合にその不具合を検知したエラー検知手段84からエラー信号を受信する。エラー信号には、エラー内容、すなわち不具合が生じた旨とその不具合の種類が示される。エラー制御手段126は、エラー信号を受信した場 合に、エラー信号に示される不具合の種類に応じて開閉制御手段124による各入賞口の開閉制御を停止させたり、遊技球の発射を停止させたりといった一時的な遊技停止を図るための制御をする。エラー制御手段126は、エラー信号を受信した場合、そのエラー信号をサブ基板104のエラー受信手段137へ送信する。
【0073】
パターン記憶手段130は、装飾図柄190の変動において演出表示装置60に表示させる演出的な画像内容とその表示過程、音声出力、遊技効果ランプ90の点滅パターンなどの演出内容が定められた複数の演出パターンを保持する。演出パターンには、変動演出パターンと予告演出パターンと特別遊技演出パターンとが含まれる。変動演出パターンは、装飾図柄190の変動表示における変動開始から停止までの変動過程と演出過程が定められた演出パターンである。予告演出パターンは、装飾図柄の変動表示とは別に表示されて大当りへの期待度の高さを変動表示の停止前に予告的に示唆する演出パターンである。特別遊技演出パターンは、特別遊技における演出内容として特別遊技後に確変や時短へ移行するか否かを演出的に示唆する演出パターンである。
【0074】
演出決定手段132は、当否抽選手段112から受け取る当否抽選の結果に応じて、演出表示制御手段134によって演出表示装置60へ表示させる演出内容を決定する。演出決定手段132は、変動パターン決定手段115により決定された特別図柄の変動パターンに対応する複数の変動演出パターンデータからいずれかを選択してパターン記憶手段130から読み出し、その変動演出パターンの情報を演出表示制御手段134へ送る。演出決定手段132は、変動演出パターンを選択するために参照すべきパターンテーブルを保持する。
【0075】
各変動演出パターンには、その図柄変動の終了条件としてパターンごとに変動時間が定められており、その変動時間の経過時に図柄変動が停止される。演出決定手段132は、特別図柄の変動パターンに応じて、変動時間が等しい演出画像の変動演出パターンを選択する。一つの変動パターンに対して複数種類の変動演出パターンが対応し、いずれかの変動演出パターンが選択される。例えば、「スーパー1」の変動パターンに対して、変動演出パターンは「a1」〜「a5」までの5種類が対応し、いずれも大当り時の選択確率や外れ時の選択確率は図6に示すように同じとなるため、大当りが出る可能性ないし期待度が同等である変動演出パターンとして分類される。同様に、「スーパー2」の変動パターンに対応する複数種類の変動演出パターンも、大当りが出る可能性ないし期待度が同等である変動演出パターンとして分類される。
【0076】
図柄態様決定手段131は、装飾図柄190の停止図柄の組合せとその配置を、当否抽選手段112による抽選の結果、特別図柄の停止図柄、特別図柄の変動パターン、装飾図柄の変動演出パターンに応じて決定する。図柄態様決定手段131は、決定した停止図柄の組合せを示す情報を演出表示制御手段134へ送信する。図柄態様決定手段131は、装飾図柄の停止図柄を決定するために参照すべき図柄範囲テーブルを保持する。
【0077】
装飾図柄190の停止図柄は、3つの図柄の組合せとして形成され、例えば当否抽選手段112による当否判定結果が15R大当りの特別遊技への移行を示す場合には特定の組合せ、例えば「777」や「111」のように3つの図柄が揃った組合せが選択される。この場合、装飾図柄190として揃える数字には、特別図柄192と同じ数字が選ばれるのが好ましいが、必ずしも同じ数字でなくともよい。例えば、特別図柄192が「7」の場合は装飾図柄190が「777」となる。当否判定結果が2R大当りの場合や小当りの場合もまた特定の組合せ、例えば「357」のような所定の組合せが選択されるが、それらの特定の組合せは必ずしも3つの図柄が揃った組合せでなくてもよい。当否判定結果が大当りでも小当りでもない場合は、「312」や「946」のように3つの図柄が揃っていない組合せであって、2R大当りや小当りのときに選択される特定の組合せに該当しない組合せが選択される。当否判定結果が15R大当りではない場合であって、リーチ付きの外れを示す変動パターンが選択された場合は、「191」や「727」のように一つだけ図柄が揃っていない組合せを選択する。
【0078】
予告演出パターンは、特定のキャラクタやモチーフの画像、アニメーション、映像などを一時的に画面表示させる演出パターンや、特定の音声を出力する演出パターン、遊技効果ランプ90を点滅させる演出パターン、可動役物140を動作させる演出パターンである。予告演出パターンによる演出は、図柄変動と並行して実行され、その図柄変動が大当り態様にて停止する期待度が高いことを予告的に示唆する。例えば、キャラクタの画像を一つだけ画面に表示させるだけの通常予告演出や、キャラクタのセリフを文字列で示すセリフ予告演出、多数のキャラクタの群れを画面の一端から他端へ通過させるように表示させる群予告演出などがある。また、予告演出の表示過程を複数段階に分け、表示させる段階数を可変にして段階数が多いほど大当りへの期待度が高くなるように設定されるステップアップ予告演出がさらに含まれる。
【0079】
予告演出パターンには、装飾図柄190の表示態様がリーチ状態となった後のタイミングで演出が実行されて図柄の最終的な停止態様を予告するパターンと、装飾図柄190が一つも停止していないタイミングで演出が実行されてリーチ状態となることを同時に予告するパターンとがある。
【0080】
演出決定手段132は、当否抽選の結果に応じて演出表示装置60に予告演出を表示させるか否かを所定の予告抽選により決定するとともに、表示させるべき予告演出パターンを決定する。演出決定手段132は、予告演出を表示させるか否かを決定するために参照すべき予告決定テーブルと、予告演出パターンの種類を選択するときに参照すべき予告種類テーブルとを保持する。予告決定テーブルは、当否抽選の結果に応じて異なる欄が参照されるように設定されており、例えば当否抽選が当りの場合は外れの場合よりも高い確率で予告演出を表示させるよう、当否抽選の結果と予告演出を表示するか否かの対応関係が定められる。これにより、予告演出が表示されること自体で大当りへの期待度の高さを示唆することができる。
【0081】
図8は、予告種類テーブルを模式的に示す図である。予告種類テーブル240において、第1欄242には、第1の種類の予告演出パターンである「予告A」が定められ、第2欄244には、第2の種類の予告演出パターンである「予告B」が定められる。例えば「予告A」は通常予告演出であり、「予告B」はセリフ予告演出である。このように、「予告A」と「予告B」とでは、予告の手法が異なる。第3欄246には、第3の種類の予告演出パターンである「予告C」が定められ、第4欄248には、第4の種類の予告演出パターンである「予告D」が定められる。これら「予告A」〜「予告D」の予告演出パターンは、さらにそれぞれ種類が細分化される。例えば「予告A」は「A1」〜「A5」に細分化され、「予告B」は「B1」〜「B5」に細分化され、「予告C」は「C1」〜「C5」に細分化され、「予告D」は「D1」〜「D5」に細分化される。細分化された予告演出パターンは、出現するキャラクタや文字などの内容が異なり、それぞれ大当りおよび小当りの場合における選択確率と、外れの場合における選択確率が定められている。
【0082】
ここで、すべての予告演出パターンのそれぞれについて異なる選択確率を定めてもよいが、前提技術では便宜上、「A1」〜「D1」を同じ選択確率とし、同様に「A2」〜「D2」を同じ選択確率とし、「A3」〜「D3」を同じ選択確率とし、「A4」〜「D4」を同じ選択確率としている。例えば、「A1」〜「D1」は大当りおよび小当りの場合に「10%」の選択確率にて選択し、外れの場合に「0.2%」の選択確率にて選択する。「A2」〜「D2」は大当りおよび小当りの場合に「7%」の選択確率にて選択し、外れの場合に「0.3%」の選択確率にて選択する。「A3」〜「D3」は大当りおよび小当りの場合に「5%」の選択確率にて選択し、外れの場合に「0.5%」の選択確率にて選択する。「A4」〜「D4」は大当りおよび小当りの場合に「2%」の選択確率にて選択し、外れの場合に「1%」の選択確率にて選択する。「A5」〜「D5」は大当りおよび小当りの場合に「1%」の選択確率にて選択し、外れの場合に「2%」の選択確率にて選択する。これにより、大当りおよび小当りの場合に最も選択確率が高く、外れの場合に最も選択確率の低い「A1」〜「D1」は、複数種類の予告演出パターンの中で最も大当りの可能性ないし期待度が高い予告演出の分類となる。「A2」〜「D2」が次に大当りの可能性ないし期待度が高く、「A3」〜「D3」、「A4」〜「D4」、「A5」〜「D5」の順に大当りの可能性ないし期待度が低い分類となる。
【0083】
演出表示制御手段134は、当否抽選手段112による当否抽選の結果として、選択された変動演出パターンデータにしたがって演出表示装置60へ装飾図柄を含む演出画像を変動表示させ、スピーカ18から音声を出力させ、遊技効果ランプ90を点滅させる。演出表示制御手段134は、装飾図柄190の変動開始コマンドを受け取ったときに新たな図柄変動を開始させる。
【0084】
演出表示制御手段134は、予告演出を表示させる旨が演出決定手段132により決定された場合、選択された予告演出パターンにしたがった予告演出を図柄変動の演出に重畳させる形で演出表示装置60へ表示させ、スピーカ18から音声を出力させる。予告演出パターンによっては、可動役物140を動作させたり、遊技効果ランプ90を点滅させたりする。
【0085】
役物制御手段136は、演出表示制御手段134から受け取る指示にしたがい、演出表示装置60における演出内容や遊技効果ランプ90の点滅過程に沿って、可動役物140を演出的に動作させる。
【0086】
エラー受信手段137は、ぱちんこ遊技機10において遊技に支障を及ぼす可能性のある不具合が発生した場合のエラー信号をエラー制御手段126から受信して、エラー報知手段138へ転送する。なお、変形例においては、エラー受信手段137をサブ基板104ではなくメイン基板102に設け、エラー検知手段84から受信するエラー信号をエラー報知手段138へ転送することとしてもよい。また、エラー検知手段84からメイン基板102のエラー制御手段126へエラー信号が送信されて、エラー制御手段126がエラー受信手段137へエラー信号を転送する例を示した。変形例としては、サブ基板104に対してもエラー検知手段84からエラー信号が直接的に送信される構成としてもよい。
【0087】
エラー報知手段138は、エラー受信手段137からエラー信号を受け取った場合に不具合が発生した旨を、演出表示装置60への画面表示、スピーカ18からの音声出力、遊技効果ランプ90の点灯のうち少なくともいずれかによりエラー報知として出力する。このとき、演出表示装置60への画面表示、スピーカ18からの音声出力、遊技効果ランプ90の点灯のうち少なくともいずれかを用いた演出が実行されていたとしても、その演出に優先してエラー報知を実行する。前提技術においては、演出表示装置60への画面表示、スピーカ18からの音声出力、遊技効果ランプ90の点灯をすべて用いた演出とするが、変形例においては、これらの手法のうちいずれか一つまたは二つを用いたエラー報知としてもよい。
【0088】
エラー報知の方法は、エラー信号に示されるエラーの種類によって異なる。例えば、球詰まりエラーの場合、遊技者が上球皿15または下球皿16から遊技球を除去して所定量未満へ減らすまではエラーを解除できないため、エラー解除までに要する時間も推測できず、実際に不具合が解消されるまではエラー報知を継続する必要がある。一方、振動エラーのように、発生した不具合自体はごく短時間であるため、エラー報知の時間は例えば「40秒間」のようにあらかじめ定められる。このように、エラー報知の時間が定められているエラーと、定められていないエラーとに分けられ、報知時間が定められているエラーについてもエラーの種類ごとにその重要性に沿って異なる報知時間が定められていてもよい。エラー報知手段138は、エラー信号に示されるエラーの種類に対応する報知時間および報知方法を用いてエラー報知を実行する。
【0089】
図9は、演出表示装置60の画面に表示させるエラー報知の例を模式的に示す図である。演出表示装置60の画面表示を用いたエラー報知としては、本図のエラー表示260のように「!!球詰まりエラー!! 球皿を確認してください。」といった文字列を画面に表示するとともに、エラーを示す警告音をスピーカ18から出力し、遊技効果ランプ90を点灯させる。このとき、画面では装飾図柄190が右下に小さく変動表示されているとともに、画面中央に予告表示262として「敵は○○○○○だ」といったセリフ予告演出が表示されていた場合を想定する。エラー表示260は、予告表示262より優先して表示されるため、予告表示262より上位のレイヤーに表示されて予告表示262の一部がエラー表示260に覆われて隠れる形となる。したがって、予告表示262のセリフ予告に示される文字列のうち、肝心なキャラクタ名である「○○○○○」がエラー表示260に覆われて遊技者から視認できなくなっている。このセリフ予告が図8にいう「予告B」に相当するとして、文字列に含まれるキャラクタ名が「B1」〜「B5」のそれぞれで異なる場合、遊技者はキャラクタ名を視認することでそのセリフ予告による大当りの期待度を推測することとなる。しかし、エラー表示260に妨げられることで、大当りの期待度を推測できなくなる。
【0090】
そこで、図3の補完処理手段139は、エラー報知が演出より優先して出力された場合にそのエラー報知と重なった演出パターンの種類を判定する。図9の場合、エラー表示260によって視認を妨げられた予告表示262の演出パターンの種類は「B1」であると判定する。エラー報知が実行される間に複数の演出と重なった場合、補完処理手段139はそれら複数の演出パターンの種類すべてを特定してもよいし、一つのみを特定してもよい。一つのみを特定する場合、例えば演出パターンのうち最初に判定される予告演出パターンのみを特定し、残りは特定しない手法としてもよいし、いったん複数の演出パターンのすべての種類を判定した上で、最も大当りの可能性ないし期待度の高い種類のみを特定し、その他を破棄することとしてもよい。
【0091】
補完処理手段139は、あらかじめ大当りの可能性ないし期待度の違いで分類された複数種類の予告演出パターンのうち、相対的に可能性ないし期待度の高い予告演出パターンを補完の対象とする。例えば予告種類テーブル240において、相対的に大当りの可能性ないし期待度の高い「A1」〜「A3」、「B1」〜「B3」、「C1」〜「C3」、「D1」〜「D3」、「E1」〜「E3」を補完の対象とする。一方、相対的に大当りの可能性ないし期待度の低い「A4」、「A5」、「B4」、「B5」、「C4」、「C5」、「D4」、「D5」、「E4」、「E5」は補完の対象としない。
【0092】
補完処理手段139は、エラー報知とタイミングが重なった演出として判定された予告演出パターンの種類が補完対象である特定種類の予告演出パターンであった場合、その予告演出パターンの演出目的を補完するための新たな予告演出パターンを選択する。すなわち、補完処理手段139は、判定された予告演出パターンと同じ選択確率の予告演出パターン、または同じ予告演出パターンを新たな予告演出パターンとして選択する。補完処理手段139は、選択した新たな予告演出パターンによる予告演出のタイミングとして、エラー報知の終了後に所定の実行条件を満たすタイミングで予告演出を実行する。実行条件として、例えば選択した予告演出パターンによる予告演出の所要時間が、現在表示中の図柄変動の残り表示時間に収まるか否かを基準として実行タイミングを決定する。また、図柄変動の演出過程において予告演出を実行可能な時間ポイントが時間軸上で複数箇所用意されてもよい。その場合、変動演出パターンごとに複数箇所に時間ポイントがあらかじめ定められるとともに、それら時間ポイントごとに実行可能な予告演出パターンの種類が定められていてもよい。エラー報知の終了後の残り表示時間内にその変動演出パターンに定められた予告演出の時間ポイントが残されているか否かにより、新たな予告演出パターンの実行タイミングを決定してもよい。
【0093】
一方、残り表示時間に新たな予告演出パターンの表示が収まらない場合、次以降の図柄変動の予定表示時間に収まるか否かを判定し、収まる図柄変動において実行する。収まるか否かの基準として、リーチ変動パターンだけを実行タイミングの対象とすることを基準としてもよい。また、補完として選択された新たな予告演出パターンは、次の図柄変動以降において、大当りの可能性ないし期待度の高い「A1」〜「A3」、「B1」〜「B3」、「C1」〜「C3」、「D1」〜「D3」、「E1」〜「E3」による予告演出が決定されたときを実行タイミングとしてもよい。その場合、演出決定手段132によって選択された予告演出パターンを、補完処理手段139が選択した補完としての予告演出パターンで差し替える。ここでは、大当りの可能性ないし期待度の高い「A1」〜「A3」、「B1」〜「B3」、「C1」〜「C3」、「D1」〜「D3」、「E1」〜「E3」のいずれが選択された場合であっても補完としての予告演出パターンに差し替える構成としている。ただし、変形例においては、補完としての予告演出パターンと大当りの可能性ないし期待度が同じ予告演出パターンが演出決定手段132に選択された場合に差し替える構成としてもよい。
【0094】
なお、上記の例において補完処理手段139は、エラー報知と予告演出が重なった場合に補完する新たな予告演出パターンを選択して実行する構成とした。変形例としては、補完処理手段139は、エラー報知と特定種類の変動演出パターンが重なった場合にその変動演出パターンの演出目的を補完するための新たな変動演出パターンを選択することとしてもよい。すなわち、補完処理手段139は、判定された変動演出パターンと同じ選択確率の変動演出パターン、または同じ変動演出パターンを新たな変動演出パターンとして選択する。
【0095】
図10は、ぱちんこ遊技機における基本的な動作過程を示すフローチャートである。まず、ぱちんこ遊技機10の各構成に不具合が生じた場合のエラー処理を実行し(S10)、遊技球が始動口62、一般入賞口72、大入賞口66などへ入球した場合の処理を実行する(S11)。通常遊技中であれば(S12のY)、当否抽選などの通常遊技の制御処理を実行し(S14)、通常遊技中でなければ(S12のN)、特別遊技の制御処理(S16)や、小当り遊技の制御処理を実行し(S17)、S11の入賞処理においてセットされた賞球数により各種の入賞に応じた賞球払出を処理する(S18)。
【0096】
図11は、図10におけるS10のエラー処理を詳細に示すフローチャートである。エラー受信手段137がエラー信号を受信した場合(S200のY)、すでにエラー報知が開始済みでなければ(S202のN)、エラー報知手段138はエラー報知を開始し(S204)、エラー報知が開始済みであれば(S202のY)、S204をスキップする。エラー受信手段137がエラー信号を受信していない場合(S200のN)、もしエラー報知が停止済みでなかった場合またはエラー報知開始から所定時間を経過していた場合は(S206のN)、エラー報知手段138はエラー報知を停止させ(S208)、補完処理手段139がエラー報知と重なった演出パターンを特定し(S210)、特定した演出パターンが特定種類の演出パターンであれば対応する新たな演出パターンを選択してその再実行を設定する(S212)。エラー報知が停止済みであった場合は(S206のY)、S208からS212までの処理をスキップする。
【0097】
図12は、図10におけるS14の通常遊技制御処理を詳細に示すフローチャートである。通常遊技制御処理において、当否抽選値の保留がなされている場合であって(S30のY)、図柄変動が表示中でなければ(S32のN)、当否抽選手段112が当否判定処理を実行する(S34)。その判定結果に応じてメイン表示制御手段118が変動表示を開始するとともに、変動開始コマンドを演出表示制御手段134へ送信し、これを受信した演出表示制御手段134が変動演出パターンにしたがって演出画像の変動表示を開始する(S36)。S30において当否抽選値が保留されていなかった場合は(S30のN)、S32からS36までの処理がスキップされ、S32において図柄変動が表示中であった場合は(S32のY)、S34およびS36の処理がスキップされる。続いて、図柄変動表示がすでに開始されていれば(S38のY)、図柄変動表示処理を実行し(S40)、予告演出の実行決定有無に応じて予告演出表示処理を実行し(S41)、図柄変動表示が開始されていないときは(S38のN)、S40とS41をスキップする。
【0098】
図13は、図11におけるS34の当否判定処理を詳細に示すフローチャートである。まず、当否抽選手段112が当否抽選値を読み出して(S42)、その当否抽選値に基づいて当否を判定する(S44)。図柄決定手段114は、当否判定結果に基づいて特別図柄の停止図柄を決定し(S46)、変動パターン決定手段115が特別図柄の変動パターンを選択する(S48)。演出決定手段132は、当否判定結果および特別図柄に基づいて装飾図柄の停止図柄組合せを決定し(S50)、特別図柄の変動パターンに応じて装飾図柄の変動演出パターンを選択し(S52)、予告演出の実行有無と予告演出パターンを決定する(S54)。ここで、演出の再実行設定がなされていた場合であって(S55のY)、再実行のための実行条件を満たす場合には(S56のY)、S212で再実行のために選択された演出パターンを設定する(S58)。演出の再実行設定がなされていない場合や(S55のN)、実行条件を満たさない場合は(S56のN)、S58をスキップする。
【0099】
図14は、図10におけるS16の特別遊技制御処理を詳細に示すフローチャートである。当否抽選の結果が大当りであった場合(S90のY)、すでに特別遊技が開始済みであって(S92のY)、大入賞口66が開放済でなければ(S98のN)、大入賞口66の開放処理を実行する(S100)。このとき、設定された大当り演出の表示も開始する。大入賞口66が開放済みであれば(S98のY)、大入賞口66の閉鎖処理を実行する(S102)。その結果、大入賞口66が閉鎖状態になっていれば(S104のY)、S106へ移行する。閉鎖状態でなければ(S104のN)、S106以降の処理をスキップして本処理を一旦終了する。一方、S92において特別遊技が開始済みでない場合は(S92のN)、特別遊技の演出パターンを選択して(S93)、特別遊技を開始し(S94)、その開始デモ演出の表示を開始し(S96)、本処理を一旦終了する。
【0100】
S106においては、特別遊技中の演出であるデモ演出中であるか否かを判定する。なお、ここでいう「デモ演出」は、開始デモ演出および終了デモ演出を含む。デモ演出中でなければ(S106のN)、後述する終了フラグを参照して特別遊技終了条件が満たされるか否かを判定し(S110)、特別遊技終了条件が満たされていれば(S110のY)、その終了フラグをオフにしたうえで(S112)、終了デモ演出の表示を開始する(S114)。特別遊技終了条件が満たされていなければ(S110のN)、本処理を一旦終了する。S106にてデモ演出中であると判定され(S106のY)、終了デモ演出が終了した場合(S116のY)、特別遊技を終了し(S118)、特定遊技、すなわち確変、時短、および入球容易状態を開始する(S120)。終了デモ演出が終了していない場合は(S116のN)、S118およびS120の処理をスキップする。大当りでない場合は(S90のN)、本図のS92以降のフローをスキップする。
【0101】
図15は、図14におけるS100の開放処理を詳細に示すフローチャートである。設定された開閉パターンに基づく大入賞口66の開放タイミングとなったとき(S122のY)、開閉制御手段124は、通過フラグを一律にオフにするとともに開閉パターンの動作を設定し(S124)、大入賞口66を開放させる(S126)。また、現在の単位遊技の繰り返し回数に対応した大当り演出、または繰り返し回数が異なる回数になることに対応した大当り演出を設定して開始する。開放タイミングでないときは(S122のN)、S124およびS126の処理をスキップする。
【0102】
図16は、図14におけるS102の閉鎖処理を詳細に示すフローチャートである。設定された開閉パターンに基づく大入賞口66の閉鎖タイミングとなったとき、開閉制御手段124は大入賞口66を閉鎖させる。すなわち、特別遊技中において、入球数による終了条件が満たされるか(S130のY)、入球数による終了条件が満たされなくとも(S130のN)、開放時間による終了条件が満たされれば(S132のY)、大入賞口66を閉鎖する(S134)。開放時間による終了条件も満たされなければ(S132のN)、S134以降のフローをスキップする。
【0103】
なお、15R大当りにおける入球数による終了条件は大入賞口66への10球以上の入球であり、開放時間による終了条件は、大入賞口66の開放開始から開閉パターンに沿った設定時間の経過である。15R大当りの場合は、その開放開始から30秒の経過であり、2R大当りの場合は、その開放開始から0.5秒の経過である。ただし、0.5秒の開放は極めて短いため、10球以上の入球はもちろん、入球そのものが困難である。その大入賞口の開放と同時に遊技球を打ち出したとしても入球困難であるため、大入賞口66の極短開放が行われる2R大当りについては、大入賞口66の開放前にその開放を予測して遊技球を打ち出す必要がある。一方、15R大当りにおける入球数による終了条件は大入賞口への10球以上の入球であり、開放時間による終了条件は、大入賞口66の開放開始から30秒の経過である。このとき、継続上限回数に達していれば(S136のY)、終了フラグをオンにする(S138)。継続上限回数に達していなければ(S136のN)、S138の処理をスキップする。前提技術においてこの継続上限回数は15回である。入球数による終了条件および開放時間による終了条件のいずれも満たされていなければ(S130のN,S132のN)、S134以降の処理をスキップする。
【0104】
図17は、図10におけるS17の小当り遊技制御処理を詳細に示すフローチャートである。当否抽選の結果が小当りであった場合(S150のY)、既に小当り遊技が開始済みであって(S152のY)、大入賞口66が開放済でなければ(S158のN)、大入賞口66の開放処理を実行し(S160)、開放済みであれば(S158のY)、大入賞口66の閉鎖処理を実行する(S162)。その結果、大入賞口66が閉鎖状態になっていれば(S164のY)、S166へ移行する。閉鎖状態でなければ(S164のN)、S166以降の処理をスキップして本処理を一旦終了する。一方、S152において小当り遊技が開始済みでない場合は(S152のN)、小当り遊技を開始して(S154)、2R大当りと同様の開始デモ演出の表示を開始し(S156)、本処理を一旦終了する。
【0105】
S166においては、小当り遊技中の演出であるデモ演出中であるか否かを判定する。デモ演出中でなければ(S166のN)、小当り遊技終了条件が満たされたか否かを判定する。ここでは、後述する終了フラグがオンになっていれば、小当り遊技終了条件が満たされることになる。小当り遊技終了条件が満たされていれば(S170のY)、その終了フラグをオフにしたうえで(S172)、終了デモ演出の表示を開始する(S174)。小当り遊技終了条件が満たされていなければ(S170のN)、本処理を一旦終了する。S166にてデモ演出中であると判定され(S166のY)、終了デモ演出が終了した場合(S176のY)、小当り遊技を終了する(S178)。終了デモ演出が終了していない場合は(S176のN)、S178の処理をスキップする。小当りでない場合は(S150のN)、本図のS152以降のフローをスキップする。
【0106】
図18は、図17におけるS160の開放処理を詳細に示すフローチャートである。設定された開閉パターンに基づく大入賞口66の開放タイミングとなったとき(S180のY)、開閉制御手段124は、開閉パターンの動作を設定し(S182)、大入賞口66の開放を開始する(S184)。開放タイミングでないときは(S180のN)、S182およびS184の処理をスキップする。
【0107】
図19は、図17におけるS162の閉鎖処理を詳細に示すフローチャートである。設定された開閉パターンに基づく大入賞口66の終了タイミングとなったとき(S190のY)、終了フラグをオンにし(S192)、大入賞口66を閉鎖する(S194)。なお、この閉鎖タイミングは、大入賞口66の開放開始から0.5秒の経過したタイミングである。閉鎖タイミングでなければ(S190のN)、S192およびS194の処理をスキップする。
【0108】
前提技術においては、エラー報知により妨げられた演出が相対的に重要度を持つ演出であった場合に、その演出の趣旨を補完するために、妨げられた演出の種類に対応する新たな演出を実行する。これにより、エラー報知によって遊技者が重要な演出を視聴できなかった場合の不快感を緩和できる。また、エラー報知によって遊技者が視聴できなかった演出の目的を新たな演出によって果たすことで、その演出による情報性の損失を低減できる。
【0109】
(第1実施例)
本実施例では、特別遊技中において、その特別遊技終了後に確変への移行を伴うか否かを示唆する特別遊技演出がエラー報知により妨げられた場合に、その後の特定のタイミングで補完する演出を実行する。本実施例は上述した前提技術の構成を基本的に含むため、以下、本実施例に特有な事項ないし前提技術と相違する事項を中心に説明し、共通事項の説明を省略する。
【0110】
図20は、特別遊技における単位遊技ごとの演出進行を模式的に示す図である。特別遊技においては、単位遊技ごとに演出パターンにしたがって特別遊技演出が実行される。特別遊技演出として、特別遊技後に特定遊技の一つである確変の実行を伴うか否かを、味方と敵の二種類のキャラクター同士が戦う勝敗結果で表現する演出であるバトル演出の過程が表示される。本図において、各マスはデモ表示期間または単位遊技を示し、左端のマスから特別遊技が開始され、右端のマスに向けて右方向へ進行する。左端の開始デモ時間300には所定の開始デモ演出が実行され、第1ラウンド301から第16ラウンド316または第16短縮ラウンド416まで複数の単位遊技が実行され、右端の終了デモ時間320において終了デモ演出が実行されて特別遊技が終了する。
【0111】
第1ラウンド301から第16ラウンド316または第16短縮ラウンド416までの各ラウンドにはそれぞれに対して選択された演出パターンによる特別遊技演出が実行される。第1ラウンド301から第16ラウンド316までの各ラウンドは、単位遊技の時間、すなわち大入賞口66の開放時間が最長約30秒間である。これに対し、第9短縮ラウンド409から第16短縮ラウンド416までの各ラウンドは、単位遊技の時間、すなわち大入賞口66の開放時間が約0.5秒間である。第9ラウンド以降に第9ラウンド309から第16ラウンド316の通常ラウンドが実行されるか、第9短縮ラウンド409から第16短縮ラウンド416の短縮ラウンドが実行されるかは、特別遊技後に確変の実行を伴うか否かによって決定される。第9ラウンド以降に通常ラウンドと短縮ラウンドのいずれが実行されるかは、第8ラウンドの最後にバトル演出における勝敗の形で表示される。短縮ラウンドでは十分に大入賞口66へ入球しないため、遊技者の利益としては実質的に8ラウンド分の特別遊技に抑えられることとなるため、遊技者の利益が相対的に大きくなるか小さくなるかがバトル演出の勝敗の結果により示される。
【0112】
バトル演出では、第1ラウンド301、第3ラウンド303、第5ラウンド305、第7ラウンド307において味方キャラクターまたは敵キャラクターのいずれかが相手に攻撃する内容の勝敗予告演出が表示される。勝敗予告演出は、どちらのキャラクターが攻撃するか、およびその攻撃方法の種類によって、第8ラウンド308に表示される勝敗の動向を示唆する予告演出である。したがって、第1ラウンド301、第3ラウンド303、第5ラウンド305、第7ラウンド307のいずれかで勝敗予告演出に優先してエラー報知されると、遊技者は勝敗の動向に関する示唆を得られなくなるおそれがある。また、バトル演出自体が勝敗予告演出による示唆内容を分岐点としてストーリー展開する演出内容を有するため、勝敗予告演出以降の展開に一貫性を持たせるためにも勝敗予告演出は重要な示唆を含むといえる。したがって、勝敗予告演出の可視性や可聴性が妨げられると全体的にも演出の一貫性を保ちにくい。
【0113】
そこで、第1ラウンド301、第3ラウンド303、第5ラウンド305のいずれかの勝敗予告演出に優先してエラー報知がなされた場合、後続のラウンドである第3ラウンド303、第5ラウンド305、第7ラウンド307のいずれかで補完的な演出を実行する。例えば、第1ラウンド301の勝敗予告演出に優先してエラー報知がなされた場合、後続のラウンドである第3ラウンド303、第5ラウンド305、第7ラウンド307のいずれかで補完的な演出を実行する。例えば、第3ラウンド303の勝敗予告演出に優先してエラー報知がなされた場合、後続のラウンドである第5ラウンド305または第7ラウンド307で補完的な演出を実行する。例えば、第5ラウンド305の勝敗予告演出に優先してエラー報知がなされた場合、後続のラウンドである第7ラウンド307で補完的な演出を実行する。
【0114】
図21は、ラウンドごとの勝敗予告演出のパターン種類と勝利期待度の関係を示すテーブルの図である。勝敗予告演出テーブル500において、第1欄501には第1ラウンド301での勝敗予告演出として表示させる予告演出パターンA1からA5の5種類が示される。図示する通り、各予告演出パターンが示唆する勝利の期待度は、予告演出パターンA1が最も高く、勝利が確定したことを示唆し、次いでA2、A3、A4の順に期待度が低くなり、A5が最も低い。すなわち、数字の1〜5が期待度のランクの高さを示す。例えば、A1は味方キャラクターが敵キャラクターに大きな攻撃を加えるシーンであり、A2は味方キャラクターが敵キャラクターに小さな攻撃を加えるシーンである。A3は味方キャラクターの攻撃と敵キャラクターの攻撃が拮抗するシーンである。A4は敵キャラクターが味方キャラクターに小さな攻撃を加えるシーンであり、A5は敵キャラクターが味方キャラクターに大きな攻撃を加えるシーンである。B1は敵キャラクターの攻撃を味方キャラクターが完全にかわすシーンであり、B2は敵キャラクターの攻撃を味方キャラクターが防御するシーンである。B3は味方キャラクターの攻撃と敵キャラクターの攻撃が拮抗するシーンである。B4は味方キャラクターの攻撃を敵キャラクターが防御するシーンであり、B5は味方キャラクターの攻撃を敵キャラクターが完全にかわすシーンである。C1〜C5、D1〜D5もまた、A1〜A5、B1〜B5と同様に、確変の期待度が異なって表現されるような戦闘シーンの予告演出パターンであり、それぞれ味方キャラクターと敵キャラクターのどちらが攻撃したかとその攻撃方法が異なる。
【0115】
第1欄501と同様に、第2欄503には第3ラウンド303での勝敗予告演出として表示させる予告演出パターンB1からB5の5種類が示される。勝利の期待度が最も高い予告演出パターンB1は勝利が確定したことを示唆し、次いでB2、B3、B4、B5の順に期待度が低くなる。第3欄505には第5ラウンド305での勝敗予告演出として表示させる予告演出パターンC1からC5の5種類が示される。勝利の期待度が最も高い予告演出パターンC1もまた勝利が確定したことを示唆し、次いでC2、C3、C4、C5の順に期待度が低くなる。第4欄507には第7ラウンド307での勝敗予告演出として表示させる予告演出パターンD1からD5の5種類が示される。勝利の期待度が最も高い予告演出パターンD1もまた勝利が確定したことを示唆し、次いでD2、D3、D4、D5の順に期待度が低くなる。
【0116】
各予告演出パターンは、A〜Dの分類それぞれが戦闘場面を表し、例えばA1〜A5であれば戦闘場面は同じで戦闘内容がそれぞれ異なる。また、A〜Dの種類に分かれた複数種類の予告演出パターンは、勝利の期待度の高さに応じてあらかじめ1〜5のランクに分類されており、確変を伴う大当りか否かに応じたそれぞれの選択確率によって本図のような分類が実現される。また、A1〜C1の演出中にエラー報知があった場合に後続のラウンドで補完的な演出を実行する。
【0117】
図22は、勝敗予告演出として選択する予告演出パターンの組合せとそれぞれの選択確率の関係を示すテーブルの図である。予告演出パターン選択テーブル520において、第1欄522には予告演出パターンの組合せが示され、第2欄524には予告演出パターンの組合せごとの選択確率が示される。
【0118】
例えば、第1欄522の最上段に示される「A1」「B2」「C2」「D2」の組合せでは、第1ラウンド301において勝利の確定を示唆する予告を表示する。したがって、確変を伴う大当りの場合にのみ選択され、確変を伴わない大当りの場合には選択されないため、第2欄524には確変ありの場合の選択確率として6%、確変なしの場合の選択確率として0%が設定されている。
【0119】
2段目に示される「A2」「B1」「C2」「D2」の組合せでは、第3ラウンド303で「B1」の予告演出パターンが表示され、その時点で確変の確定が示されることとなる。この場合も確変を伴う大当りの場合にのみ選択され、確変を伴わない大当りの場合には選択されないため、第2欄524には確変ありの場合の選択確率として6%、確変なしの場合の選択確率として0%が示される。このように、「A1」「B1」「C1」「D1」のうち少なくともいずれかが一つでも含まれる組合せは、第2欄524には確変ありの場合の選択確率として6%、確変なしの場合の選択確率として0%が設定されている。
【0120】
例えば最下段に示される「A5」「B5」「C5」「D5」の組合せでは、第1ラウンド301、第3ラウンド303、第5ラウンド305、第7ラウンド307のいずれにおいても期待度が最も低い予告を表示する。したがって、確変を伴う大当りの場合より確変を伴わない大当りの場合に高い確率で選択されるよう、第2欄524には確変ありの場合の選択確率として相対的に低い2%、確変なしの場合の選択確率として相対的に高い8%が設定されている。
【0121】
このように、図3の演出決定手段132は、確変を伴う大当りであったか否かに応じた選択確率により複数種類の予告演出パターンの組合せからいずれかを選択する。演出決定手段132は、図22のような予告演出パターンの組合せごとの選択確率となるよう、確変を伴う大当りであるか否かに応じた対応関係に基づき組合せを選択し、その結果、それぞれの組合せに含まれる予告演出パターンの期待度に関する図20の分類が実現される。演出表示制御手段134は、演出決定手段132により選択された予告演出パターンの組合せにしたがって、特別遊技における演出表示装置60の画面への表示および音声出力のうち少なくともいずれかにより勝敗予告演出を実行する。エラー報知手段138は、特別遊技中においてエラー信号を受信した場合に、不具合が発生した旨を勝利予告演出を含む特別遊技演出より優先して画面表示および音声出力のうち少なくともいずれかによりエラー報知として出力する。
【0122】
図23は、演出表示装置60の画面に表示させるエラー報知の例を模式的に示す図である。図9の例と同様、「!!球詰まりエラー!! 球皿を確認してください。」の文字列を画面中央に大きく表示するとともに、エラーを示す警告音をスピーカ18から出力し、遊技効果ランプ90を点灯させる。このとき、特別遊技演出画面600には勝敗予告演出として味方キャラクター602と敵キャラクター604の戦闘シーンが表示されるとともに、現在の単位遊技数であるラウンド数606が画面右下に小さく表示される。しかし、勝敗予告演出に優先してエラー表示260が前面のレイヤーに表示される結果、味方キャラクター602と敵キャラクター604の戦闘シーンにおいてどちらが攻撃し、あるいは優勢なのかがエラー表示260に隠れて視認できない。この勝敗予告演出が、味方キャラクター602が攻撃して敵キャラクター604に大きなダメージを与える演出であるA1、B1、C1、D1のいずれかである場合、遊技者はその攻撃態様を視認することで勝利ないし確変の確定を把握することとなる。しかし、エラー表示260に妨げられることで、勝利ないし確変の確定を把握できなくなる。
【0123】
そこで、補完処理手段139は、勝利の期待度が相対的に高い予告演出に優先してエラー報知がなされた場合、これを補完するために、エラー報知で妨げられた予告演出の期待度と同程度の予告演出を後続のラウンドにおいて表示させる。この場合、補完処理手段139は、後続のラウンドに表示させるものとしてあらかじめ選択されていた予告演出パターンを、補完のための予告演出パターンに差し替える。
【0124】
補完処理手段139は、エラー報知が勝利予告演出より優先して出力された場合にそのエラー報知と重なった予告演出パターンの種類を判定する。補完処理手段139は、判定された予告演出パターンが特定種類の演出、例えば1〜5のランクのうち1に該当する「A1」「B1」「C1」「D1」であった場合にその演出パターンの演出目的を補完するための新たな予告演出パターンを選択する。補完処理手段139は、補完のための新たな予告演出パターンを、あらかじめ定められた予告演出パターン同士の演出目的に関する対応関係、すなわち図21に示す予告演出パターンのランクにしたがい、同じランクの予告演出パターンを選択する。例えば、A1のときにエラー報知があれば、B1、C1、D1のいずれかを補完のために選択し、B1のときにエラー報知があれば、C1またはD1を補完のために選択し、C1のときにエラー報知があればD1を補完のために選択する。このとき、補完のために予告演出パターンが差し替えられても、特別遊技演出全体としての演出のストーリーが矛盾することのないよう各予告演出パターンの内容が定められている。
【0125】
補完処理手段139は、エラー報知の終了後に所定の実行条件を満たすタイミングで補完されるよう、あらかじめ選択されていた予告演出パターンを補完のための新たな予告演出パターンに差し替える。補完のための演出実行条件は、予告演出のためにあらかじめ指定されたラウンドのうち、エラー報知停止後に続く最初のラウンドに至ることである。また、後続の最初のラウンドで補完のための演出が実行されたとしても、そのラウンドでも再び演出に優先してエラー報知がなされた場合には、さらに後続のラウンドで補完の演出がなされることとなる。
【0126】
補完処理手段139は、例えば、予告演出パターン選択テーブル520の2段目に示される「A2」「B1」「C2」「D2」の組合せのうち、「B1」が表示される第3ラウンド303においてエラー報知がなされた場合に補完演出を図る。補完処理手段139は、後続の「C2」が表示される予定の第5ラウンド305において「C2」に差し替えて「C1」を表示させることで補完を図る。ただし、第5ラウンド305においてもエラー報知が継続されていた場合、さらに後続の「D2」が表示される予定の第7ラウンド307において「D2」に差し替えて「D1」を表示させることで補完演出を図る。
【0127】
図11のフローでは、S210において補完処理手段139がエラー報知と重なった予告演出パターンを特定する(S210)。特定した予告演出パターンが特定種類の演出パターン、すなわちA1、B1、C1のうち少なくともいずれかであれば、エラー報知停止後に続くラウンドのうち最初の指定ラウンドの予告演出パターンを同じランクの予告演出パターンで差し替える(S212)。
【0128】
以上のように、第1実施例においては、エラー報知により妨げられた特別遊技演出が相対的に重要度を持つ演出であった場合に、その演出の趣旨を補完するために、妨げられた演出の種類に対応する新たな特別遊技演出を実行する。これにより、エラー報知によって遊技者が重要な演出を視聴できなかった場合の不快感を緩和できる。また、エラー報知によって遊技者が視聴できなかった演出の目的を新たな演出によって果たすことで、その演出による情報性の損失を低減できる。
【0129】
(第2実施例)
本実施例では、特別遊技中の予告演出パターンとして、ランク別に複数のパターンが用意され、特定の演出に優先してエラー報知がなされた場合には後続のラウンドで同じランク内の別のパターンを新たな予告演出パターンとして実行する。この点、各ラウンドにおけるランクごとに一つずつの予告演出パターンが用意されている第1実施例と異なる。以下、本実施例に特有な事項ないし前提技術や第1実施例と相違する事項を中心に説明し、共通事項の説明を省略する。
【0130】
本実施例では、図21におけるA1〜A5、B1〜B5、C1〜C5、D1〜D5は、予告演出パターンそのものを表すのではなく、予告演出パターンのグループを表し、各グループにはそれぞれ異なる複数の予告演出パターンが属する。例えば、A1には「A1−01」から「A1−10」までの10種類の予告演出パターンが属し、ハイフンの後の数字が大きいパターンほど選択確率ないし出現頻度が低い分、出現の希少性が高い。エラー報知がなされたときの予告演出パターンが「A1−05」であった場合、例えば後続の第3ラウンド303において「B2−05」が表示される予定であったところを「A1−05」と同じランクのグループであって希少性がより高い「B1−10」に差し替える。ただし、変形例としては、「B2−05」が表示される予定であったところを「B2−05」と同じランクのグループであって希少性がより高い「B2−10」に差し替えてもよい。別の変形例としては、「B2−05」が表示される予定であったところを「A1−05」と同じグループであって希少性がより高い「A1−10」に差し替えてもよい。
【0131】
以上のように、本実施例ではエラー報知により妨げられた特別遊技演出が相対的に重要度を持つ演出であった場合に、その演出の趣旨を補完するだけでなく、より希少性が高い演出に差し替える。これにより、エラー報知によって遊技者が重要な演出を視聴できなかった場合の不快感を緩和し、情報性の損失を低減できるだけでなく、エラーのようなトラブルの発生を遊技者の利益となる付加価値の付与に転じさせることができる。
【0132】
尚、本願発明は上記実施形態に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜組合せにより種々の発明を形成しても良いし、上記実施形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除しても良い。更に、複数の実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせることも可能である。
【0133】
上記の各実施例においては、特別遊技後に特定遊技として確変の実行を伴うか否かを特別遊技中の演出で表現する構成を説明した。変形例においては、特別遊技後に特定遊技として時短ないし入球容易状態への移行を伴うか否かを特別遊技中の演出で表現する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0134】
10 ぱちんこ遊技機、 15 上球皿、 16 下球皿、 50 遊技盤、 52 遊技領域、 60 演出表示装置、 84 エラー検知手段、 100 遊技制御装置、 102 メイン基板、 104 サブ基板、 112 当否抽選手段、 120 特別遊技制御手段、 126 エラー制御手段、 132 演出決定手段、 134 演出表示制御手段、 137 エラー受信手段、 138 エラー報知手段、 139 補完処理手段。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技領域が形成された遊技盤と、
前記遊技領域の所定位置に設けられ、遊技球の入球が抽選の契機となる始動入賞口と、
前記始動入賞口への入球を契機として、通常遊技より遊技者に有利な状態である特別遊技へ移行するか否かを判定するための当否抽選を実行する当否抽選手段と、
前記当否抽選の結果が前記特別遊技へ移行する旨を示す結果であった場合に前記特別遊技を実行する特別遊技制御手段と、
所定の表示装置の画面への演出的な表示および演出的な音声出力のうち少なくともいずれかを演出内容とする複数種類の演出パターンからいずれかを前記特別遊技における演出内容として選択する演出決定手段と、
前記選択された演出パターンにしたがった内容の演出を前記特別遊技における前記表示装置の画面への表示および音声出力のうち少なくともいずれかにより実行する演出表示制御手段と、
当該弾球遊技機内で遊技に支障を及ぼす不具合が発生した場合に前記不具合を検知する手段からエラー信号を受信するエラー受信手段と、
前記エラー信号を受信した場合に前記不具合が発生した旨を前記演出より優先して画面表示および音声出力のうち少なくともいずれかによりエラー報知として出力するエラー報知手段と、
前記エラー報知が前記演出より優先して出力された場合にそのエラー報知と重なった演出パターンの種類を判定し、判定された演出パターンが特定種類の演出であった場合にその演出パターンの演出目的を補完するための新たな演出パターンを、あらかじめ定められた演出パターン同士の演出目的に関する対応関係にしたがって決定し、前記エラー報知の終了後に所定の実行条件を満たすタイミングで、前記決定された演出パターンを実行する補完処理手段と、
を備えることを特徴とする弾球遊技機。
【請求項2】
前記当否抽選の結果が所定種類の当りであった場合、その特別遊技終了後にあらたに当りを獲得する容易性が通常状態より有利となる状態である特定遊技状態に移行させる特定遊技実行手段をさらに備え、
前記演出決定手段は、前記所定種類の当りであったか否かに応じた選択確率により前記複数種類の演出パターンのうちいずれかを選択するとともに、前記複数種類の演出パターンが前記選択確率の高さであらかじめ分類されることにより前記対応関係が定められ、
前記補完処理手段は、前記エラー報知と重なった演出パターンと前記選択確率の高さが同分類である演出パターンを前記補完のための新たな演出パターンとして選択する請求項1に記載の弾球遊技機。
【請求項3】
前記演出パターンには、当該演出パターンにしたがった演出より優先して前記エラー報知が出力された場合の補完のために選択すべき新たな演出パターンとの対応関係があらかじめ定められており、
前記補完処理手段は、前記演出パターンに定められた対応関係にしたがって前記新たな演出パターンを決定して実行する請求項1または2に記載の弾球遊技機。
【請求項1】
遊技領域が形成された遊技盤と、
前記遊技領域の所定位置に設けられ、遊技球の入球が抽選の契機となる始動入賞口と、
前記始動入賞口への入球を契機として、通常遊技より遊技者に有利な状態である特別遊技へ移行するか否かを判定するための当否抽選を実行する当否抽選手段と、
前記当否抽選の結果が前記特別遊技へ移行する旨を示す結果であった場合に前記特別遊技を実行する特別遊技制御手段と、
所定の表示装置の画面への演出的な表示および演出的な音声出力のうち少なくともいずれかを演出内容とする複数種類の演出パターンからいずれかを前記特別遊技における演出内容として選択する演出決定手段と、
前記選択された演出パターンにしたがった内容の演出を前記特別遊技における前記表示装置の画面への表示および音声出力のうち少なくともいずれかにより実行する演出表示制御手段と、
当該弾球遊技機内で遊技に支障を及ぼす不具合が発生した場合に前記不具合を検知する手段からエラー信号を受信するエラー受信手段と、
前記エラー信号を受信した場合に前記不具合が発生した旨を前記演出より優先して画面表示および音声出力のうち少なくともいずれかによりエラー報知として出力するエラー報知手段と、
前記エラー報知が前記演出より優先して出力された場合にそのエラー報知と重なった演出パターンの種類を判定し、判定された演出パターンが特定種類の演出であった場合にその演出パターンの演出目的を補完するための新たな演出パターンを、あらかじめ定められた演出パターン同士の演出目的に関する対応関係にしたがって決定し、前記エラー報知の終了後に所定の実行条件を満たすタイミングで、前記決定された演出パターンを実行する補完処理手段と、
を備えることを特徴とする弾球遊技機。
【請求項2】
前記当否抽選の結果が所定種類の当りであった場合、その特別遊技終了後にあらたに当りを獲得する容易性が通常状態より有利となる状態である特定遊技状態に移行させる特定遊技実行手段をさらに備え、
前記演出決定手段は、前記所定種類の当りであったか否かに応じた選択確率により前記複数種類の演出パターンのうちいずれかを選択するとともに、前記複数種類の演出パターンが前記選択確率の高さであらかじめ分類されることにより前記対応関係が定められ、
前記補完処理手段は、前記エラー報知と重なった演出パターンと前記選択確率の高さが同分類である演出パターンを前記補完のための新たな演出パターンとして選択する請求項1に記載の弾球遊技機。
【請求項3】
前記演出パターンには、当該演出パターンにしたがった演出より優先して前記エラー報知が出力された場合の補完のために選択すべき新たな演出パターンとの対応関係があらかじめ定められており、
前記補完処理手段は、前記演出パターンに定められた対応関係にしたがって前記新たな演出パターンを決定して実行する請求項1または2に記載の弾球遊技機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2013−343(P2013−343A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−134417(P2011−134417)
【出願日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(390031783)サミー株式会社 (5,279)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(390031783)サミー株式会社 (5,279)
【Fターム(参考)】
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