説明

弾球遊技機

【課題】機枠側の演出装置と本体枠側の制御基板ユニットとを接続するワイヤーハーネスの垂れを簡単な構成で確実に防止することができる弾球遊技機の提供。
【解決手段】機枠1に対して本体枠2が開閉可能に支持されているパチンコ機Pにおいて、機枠1の下側隅部にスピーカ6が配設されており、このスピーカ6と本体枠2側の中継基板23とを接続するワイヤーハーネス24の両端近傍が、それぞれ留め具25とフック状保持部26を用いて機枠1と本体枠2の背面側に固定されると共に、これら留め具25とフック状保持部26間に引き回されたワイヤーハーネス24にコーションシール28を貼り付けることにより、当該箇所のワイヤーハーネス24がコーションシール28によって直線状に姿勢補正されるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技盤を目視可能な前面枠が本体枠に対して開閉可能に支持されていると共に、この本体枠が機枠に対して開閉可能に支持されている弾球遊技機に係り、特に、機枠にスピーカ等の演出装置が配設されている弾球遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パチンコ機に代表される弾球遊技機は、遊技店の島設備に設置される縦長方形状の機枠と、この機枠にヒンジ部を介して扉状に開閉可能に取り付けられた本体枠と、この本体枠の内側に収容された遊技盤と、本体枠の前面に別のヒンジ部を介して開閉可能に取り付けられた前面枠とを備えており、前面枠の中央部に形成された開口部には遊技盤を目視可能な透明板が取り付けられている。本体枠の背面側には、電装部品の一つである液晶表示装置が取り付けられる他、それ以外の電装部品として制御基板ユニットが取り付けられている。この制御基板ユニットには、遊技に関する主要な処理を行う主制御基板や、主制御基板からの指令を受けて液晶表示装置を含む各種演出装置を制御する副制御基板や、賞球の払い出しを制御する払出基板等の複数の基板が設けられている。また、前面枠には電飾部品やスピーカ等の演出装置が取り付けられており、この演出装置はワイヤーハーネスを介して制御基板ユニットにコネクタ接続されている。
【0003】
このように概略構成されたパチンコ機では、通常、本体枠が機枠に対して閉じられていると共に、前面枠も本体枠に対して閉じられているが、例えば、遊技盤に発生した球詰まりを解消するために、前面枠を本体枠に対して開放する場合がある。この場合、本体枠側の制御基板ユニットと前面枠側の演出装置とを接続するワイヤーハーネスの長さは、前面枠の開放動作を許容できる程度に余裕を持たせておく必要があるが、余剰分の長さによってワイヤーハーネスの姿勢が不安定になるため、ワイヤーハーネスの一部が開放した前面枠と本体枠との間に挟み込まれてしまう等の不具合が発生しやすくなる。
【0004】
そこで、従来より、ワイヤーハーネスの両端部近傍をそれぞれ本体枠と前面枠に固定すると共に、本体枠と前面枠の対向面間にハーネス収納部を形成しておき、前面枠が本体枠に対して閉じられているとき、ワイヤーハーネスの中間部分をU字状または逆U字状に湾曲させた状態でハーネス収納部内に収容するようにしたパチンコ機が提案されている(例えば、特許文献1参照)。かかる従来技術では、本体枠側の固定部と前面枠側の固定部がワイヤーハーネスの両端部近傍を前面枠の回転軸と同じ上下方向に保持しているため、ワイヤーハーネスの中間部分は前面枠の回転軸と略平行な面内で湾曲変形し、その湾曲変形の繰り返し動作が一定になる。すなわち、前面枠が本体枠に対して開かれると、ワイヤーハーネスは両端部近傍を上方に向けたまま中間部分が水平方向に拡がるように変形し、前面枠が本体枠に対して閉じられると、ワイヤーハーネスは中間部分を湾曲させながらハーネス収納部内にスムーズに収容されるため、ワイヤーハーネスの挙動が安定して挟み込み等の事故を防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−50422号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、近年、液晶表示装置やスピーカ等の演出装置が大型化される傾向にあり、例えば、大型のスピーカを機枠側に配設して音響効果を高めるようにしたパチンコ機が提案されている。この場合、本体枠の背面側に露出する制御基板ユニットと機枠の背面側に露出するスピーカとをワイヤーハーネスで接続する必要があるが、機枠は遊技店の島設備に設けられた箱状の収納部に対して前方から挿入して収容固定されるため、本体枠と機枠の背面側に引き回されたワイヤーハーネスが島設備側の装置に引っ掛かりやすくなる。すなわち、機枠の背面側には特許文献1に開示されたようなハーネス収納部を形成することができないため、本体枠が機枠に対して閉じられているとき、本体枠側の制御基板ユニットと機枠側のスピーカとを接続するワイヤーハーネスの中間部分が不所望な方向に垂れ下がってしまい、本体枠を開放動作したときにワイヤーハーネスが島設備に設置された遊技球の回収レール等に引っ掛かるという事態が発生する。なお、剛性が高く変形しにくいワイヤーハーネスを使用すれば垂れをある程度防止できるが、その場合、本体枠の開閉動作に伴ってワイヤーハーネスが無理に撓められるため、ワイヤーハーネスの両端のコネクタ部に大きなストレスが掛かって好ましくない。
【0007】
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、その目的は、機枠側の演出装置と本体枠側の制御基板ユニットとを接続するワイヤーハーネスの垂れを簡単な構成で確実に防止することができる弾球遊技機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明は、遊技店の箱状の収納部に前後方向に出し入れ可能に収容固定される機枠と、この機枠に配設された演出装置と、前記機枠に対して第1ヒンジ機構を介して開閉可能に軸支された本体枠と、この本体枠に配設された遊技盤および制御基板ユニットと、前記本体枠に対して第2ヒンジ機構を介して開閉可能に軸支された前面枠とを備え、前記遊技盤が前記前面枠に設けられた透明板を透して目視可能であると共に、前記演出装置と前記制御基板ユニットとがワイヤーハーネスを介してコネクタ接続されている弾球遊技機において、前記ワイヤーハーネスの一端部近傍が第1固定部によって前記機枠の背面側に保持されると共に、該ワイヤーハーネスの他端部近傍が第2固定部によって前記本体枠の背面側に保持されており、かつ、これら第1および第2固定部間に引き回された前記ワイヤーハーネスの一部がコーションシールを貼り付けることによって直線状に姿勢補正されるようにした。
【0009】
このように構成された弾球遊技機では、演出装置と制御基板ユニットとを接続するワイヤーハーネスの両端近傍が機枠と本体枠の背面側にそれぞれ固定されると共に、これら両固定部間に引き回されたワイヤーハーネスの一部にコーションシールが貼り付けられており、当該箇所のワイヤーハーネスがコーションシールによって直線状に姿勢補正されているため、剛性が低く撓みやすいワイヤーハーネスを使用したのにも拘わらず、そのワイヤーハーネスが垂れて島設備の装置に引っ掛かるという事態を確実に防止することができるだけでなく、本体枠を機枠に対して開放動作するとき、コーションシールによってワイヤーハーネスの取り扱い注意を作業者に視覚的に喚起することができる。
【0010】
上記の構成において、第2固定部が、本体枠に設けられたフック状保持部と、ワイヤーハーネスに取り付けられたストッパバンドとからなり、ワイヤーハーネスをフック状保持部の側方から挿入することにより、ワイヤーハーネスの他端部近傍が上下方向に姿勢補正されると共に、フック状保持部の下端にストッパバンドを当接させることにより、制御基板ユニットからフック状保持部に至る間のワイヤーハーネスの上動が規制されるようにすると、ワイヤーハーネスを制御基板ユニット側のコネクタ部に対して簡単に接続できるだけでなく、その接続状態を確実に維持することができて好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の弾球遊技機では、遊技店の箱状の収納部に収容固定される機枠にスピーカ等の演出装置が配設されており、この演出装置と制御基板ユニットとを接続するワイヤーハーネスの両端近傍が機枠と本体枠の背面側にそれぞれ固定されると共に、これら両固定部間に引き回されたワイヤーハーネスの一部がコーションシールの貼り付けによって直線状に姿勢補正されているため、剛性が低く撓みやすいワイヤーハーネスを使用したのにも拘わらず、そのワイヤーハーネスが垂れて島設備の装置に引っ掛かるという事態を確実に防止することができるだけでなく、本体枠を機枠に対して開放動作するとき、コーションシールによってワイヤーハーネスの取り扱い注意を作業者に視覚的に喚起することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態例に係るパチンコ機の外観斜視図である。
【図2】図1に示すパチンコ機の前面枠を開けた状態の斜視図である。
【図3】図1に示すパチンコ機の前面枠と本体枠を開けた状態の斜視図である。
【図4】図1に示すパチンコ機の背面図である。
【図5】図4のA部詳細図である。
【図6】本体枠の開放時における図5に対応する詳細図である。
【図7】図4に示すワイヤーハーネスを制御基板ユニット側に接続する作業手順の説明図である。
【図8】該ワイヤーハーネスに貼り付けられるコーションシールの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
発明の実施の形態について図面を参照して説明すると、図1に示すように、本実施形態例に係るパチンコ機(弾球遊技機)Pは、遊技店の島設備に設置される縦長方形状の機枠1と、機枠1に扉状に開閉自在に取り付けられた本体枠2と、本体枠2の前面に扉状に開閉自在に取り付けられた前面枠3等を備えている。なお、遊技店の島設備には、横並びに配列された複数の箱状の収納部や、パチンコ機Pに遊技球を供給するための供給レールや、パチンコ機Pから排出された遊技球を回収するための回収レール等(いずれも図示せず)が設置されており、前記収納部に対して機枠1を前方から挿入して収容固定するようになっている。
【0014】
図2と図3に示すように、機枠1の左側枠部には上側軸受け体5と下側軸受け体(図示省略)が固着されており、この下側軸受け体よりも下方の左下隅部には大型のスピーカ6が配設されている。一方、本体枠2の左側枠部の上下両端には第1ピン(図示省略)が設けられており、これら両第1ピンを上側軸受け体5と下側軸受け体に軸支することによって、本体枠2を機枠1に対して開閉自在に支持する第1ヒンジ機構が構成されている。
【0015】
本体枠2の上部内側には遊技盤7が収納されており、この遊技盤7の盤面(前面)は前面枠3に装着された後述する透明板4を透して目視可能となっている。遊技盤7はガイドレール8等によって区画形成された遊技領域9を有しており、詳細な説明は省略するが、遊技領域9には可変表示装置や始動入賞口、一般入賞口、アタッカー装置、遊技釘、風車、アウト口等が設けられている。遊技盤7よりも下方の本体枠2は前面枠3によって覆い隠される設置部2bとなっており、この設置部2b内の下部中央には遊技球を遊技領域9に向けて発射する発射装置10が配設されている。
【0016】
本体枠2の右側枠部は第1ヒンジ機構と反対側の自由端側であり、この右側枠部にはシリンダ錠11aを有する施錠装置11が設置されている。図示せぬが、この施錠装置11は本体枠2の裏面に配置された後部施錠杆と本体枠2の前面に配置された前部施錠杆とを備えており、常態では、施錠装置11の後部施錠杆により本体枠2が機枠1に対して施錠されると共に、前部施錠杆により前面枠3が本体枠2に対して施錠されている。そして、シリンダ錠11aの鍵穴に図示せぬ鍵を差し込み、この鍵を一方向(例えば時計回り)へ回動すると、後部施錠杆が上動して本体枠2が開錠されるようになっている。また、シリンダ錠11aの鍵穴に差し込んだ鍵を他方向(反時計回り)へ回動すると、前部施錠杆が上動して前面枠3が開錠されるようになっている。さらに、本体枠2の自由端側の右下隅部には扉開閉検出装置30が組み込まれており、この扉開閉検出装置30によって本体枠2の機枠1に対する開閉状態と前面枠3の本体枠2に対する開閉状態とを個別に検知可能となっている。
【0017】
前面枠3の左側枠部の上下両端には第2ピン(図示省略)が設けられており、これら両第2ピンを本体枠2の左側枠部に突設した上下の支持板2aに軸支することによって、前面枠3を本体枠2に対して開閉自在に支持する第2ヒンジ機構が構成されている。
【0018】
図1に戻り、前面枠3には遊技盤7の盤面に対向する大きな開口3aが開設されており、この開口3aはガラスやプラスチックからなる透明板4によって塞がれている。前面枠3の前面上部には比較的小型のスピーカ12が左右に1個ずつ配設されており、これらスピーカ12と前述した大型のスピーカ6とによって遊技に関する様々な効果音を発するようになっている。また、前面枠3の前面下部には、遊技盤7の裏面に配設された賞球払出装置(後述する)から払い出された遊技球を収容する上段受皿13と、上段受皿13から排出された遊技球を収容する下段受皿14と、遊技者による押下操作が可能なプッシュ釦15とが設けられており、上段受皿13の右側方には発射装置10の発射強度を調整するための操作ハンドル16が配設されている。
【0019】
図4に示すように、このパチンコ機Pを背面側から見ると、本体枠2には、遊技に関する主要な処理を行う主制御基板17と、主制御基板17からの指令を受けて可変表示装置やスピーカ6,12等の演出装置を含む各種装置を制御する副制御基板18と、前述した賞球払出装置19と、主制御基板17からの指令を受けて賞球払出装置19を制御する払出制御基板20と、操作ハンドル16の回動量に応じて発射装置10の作動を制御する発射制御基板21と、扉開閉検出装置30の検知信号や大当たり回数等の各種情報を遊技店のホールコンピュータに出力する外部端子基板22と、各種装置が接続されるコネクタ部を有する中継基板23等が設けられており、これら各基板17〜23によって制御基板ユニットが構成されている。さらに、本体枠2の上端部には島設備の前記供給レールから供給された遊技球を貯留するための貯留タンク31が設けられ、発射制御基板21の下方の本体枠2には遊技盤7のアウト口を通って裏面側に向かう遊技球を島設備の前記回収レールに排出するための排出口(図示せず)が設けられている。また、機枠1の右下隅部に前述したスピーカ6の裏面が露出しており、このスピーカ6はワイヤーハーネス24を介して制御基板ユニットの一部である中継基板23にコネクタ接続されている。
【0020】
図5と図6に示すように、ワイヤーハーネス24の両端にはオスコネクタ24a,24bが取り付けられており、一方のオスコネクタ24aはスピーカ6の裏面に設けられたメスコネクタ6aに接続され、他方のオスコネクタ24bは中継基板23上に実装されたメスコネクタ23aに接続されている。また、一方のオスコネクタ24aの近傍に位置するワイヤーハーネス24は第1固定部である留め具25を用いて機枠1の背面に固定されており、他方のオスコネクタ24bの近傍に位置するワイヤーハーネス24は第2固定部であるフック状保持部26とストッパバンド27を用いて本体枠2の背面に保持されている。このフック状保持部26は一側面と上下両面を開放した成形部品(横断面視が略コ字状の部材)であり、その一側面に弾性を有する返し片部26aが形成されている。そして、図7(a)に示すように、予めワイヤーハーネス24の所定箇所にストッパバンド27を巻き付け固定した状態で、ワイヤーハーネス24をフック状保持部26に対して一側面(矢印X方向)から内部に挿入すると、ワイヤーハーネス24は返し片部26aを弾性変形させながら断面視略コ字状の空間内に嵌め込まれる。その結果、図7(b)に示すように、ストッパバンド27がフック状保持部26の下端26bに当接してワイヤーハーネス24の上動が規制されると共に、フック状保持部26に係止された部分を含めた近傍のワイヤーハーネス24が上下方向に姿勢補正され、かつ、返し片部26aによってワイヤーハーネス24の左右方向の移動が規制された状態となる。
【0021】
ワイヤーハーネス24は比較的剛性の低く撓みやすいものを使用しており、その全長は前面枠3の開閉動作に伴って変化する両メスコネクタ6a,23a間の距離を考慮して設定されている。すなわち、図6に示すように、本体枠2が機枠1に対して最大角度まで開かれたとき、留め具25とフック状保持部26間に位置するワイヤーハーネス24の長さに余裕を持たせた所定長さを確保した全長とすることにより、ワイヤーハーネス24の両端のコネクタ接続部分に無理な引っ張り力が掛からないようになっている。また、留め具25のやや上方に位置する部分からフック状保持部26へ向かうワイヤーハーネス24の区間領域部分には、フック状保持部26よりも留め具25側寄りに偏って位置するようにコーションシール28が貼り付けられており、このコーションシール28には所定の注意喚起(例えば「下スピーカのハーネス注意!」等の印刷)が施された表示部28aが尾びれ状に形成されている。
【0022】
図8(a)に示すように、コーションシール28は、片側(裏)全面を粘着層とし他側(表)を印刷層とした矩形状のベースフィルム28Aと、このベースフィルム28Aの印刷層側にラミネートされた保護フィルム28Bとの積層体からなり、これら両フィルム28A,28BにはPET(ポリエチレンテレフタレート)やPP(ポリプロピレン)等の熱可塑性樹脂フィルムが用いられている。このようにベースフィルム28Aと保護フィルム28Bのラミネート構造とすることにより、ベースフィルム28Aの印刷層に施された注意喚起の印刷表示が保護されると共に、コーションシール28全体の剛性向上の調整が可能となっている。ここで、ベースフィルム28Aの一方の辺L1の長さは、留め具25とフック状保持部26の間の区間領域部分となるワイヤーハーネス24の外周表面全体を所定長さに亘って覆う長さとなるように定められている。また、ベースフィルム28Aの他方の辺L2の長さは、注意喚起表示の印刷スペース領域(表示部28a)を確保できる長さとなるように定められている。
【0023】
そして、図8(b)に示すように、ワイヤーハーネス24の外周表面全体を挟んで包み込むようにコーションシール28を2つ折りにして互いの粘着層を貼り合わせることにより、ワイヤーハーネス24がベースフィルム28Aの一方の辺L1の長さに亘って貼り付けられる。また、表示部28aが、ワイヤーハーネス24とコーションシール28の包み込み貼付部Tからベースフィルム28Aの他方の辺L2の長さに亘って尾びれ状となるように形成される。その結果、コーションシール28を貼り付けた箇所のワイヤーハーネス24の剛性が部分的に高められ、当該箇所におけるワイヤーハーネス24が重力に逆らって直線状に姿勢補正される。なお、尾びれ状の表示部28aは、粘着層の貼り合わせにより適度な強度を有することとなり、直線状の姿勢補正の補助(例えば、捻れ抑制等)を担うようになる。したがって、図5に示すように、本体枠2が閉じられてフック状保持部26(第2固定部)が留め具25(第1固定部)に接近した状態にあるとき、留め具25の部分からフック状保持部26の係止に基づいて上下方向に屈曲変位するワイヤーハーネス24が撓み、その重さに起因して留め具25の高さ位置よりも下方に垂れ下がることを抑制できる。すなわち、コーションシール28を貼り付けたワイヤーハーネス24の部位が斜め上方へ直線状に延びるようになる。
【0024】
以上説明したように、本実施形態例に係るパチンコ機Pでは、遊技店の箱状の収納部に収容固定される機枠1の下側隅部にスピーカ6が配設されており、このスピーカ6と本体枠2側の中継基板23とを接続するワイヤーハーネス24の両端近傍が、それぞれ留め具25とフック状保持部26を用いて機枠1と本体枠2の背面側に固定されると共に、これら留め具25とフック状保持部26間に引き回されたワイヤーハーネス24にコーションシール28を貼り付けることにより、当該箇所のワイヤーハーネス24がコーションシール28によって直線状に姿勢補正されている。このため、図4と図5に示すように、前面枠3が本体枠2に対して閉じられている場合でも、留め具25とフック状保持部26間に引き回されたワイヤーハーネス24は重力に逆らって斜め上方へ姿勢補正されており、余剰分のワイヤーハーネス24が垂れて島設備の回収レール等に引っ掛かることを確実に防止できる。
【0025】
また、遊技店等の作業員が機枠1に対して本体枠2を開放動作すると、図6に示すように、ワイヤーハーネス24はU字状反転部の曲率を拡げるように変形していくが、その間もコーションシール28を貼り付けた箇所のワイヤーハーネス24の直線性は維持されるため、本体枠2の開放動作中にワイヤーハーネス24が回収レール等に引っ掛かることもない。しかも、かかる本体枠2の開放動作時に、コーションシール28の表示部28aに付された注意書きにより、作業員に対してワイヤーハーネス24の取り扱い注意を視覚的に喚起することができる。
【0026】
さらに、本体枠2に設けられたフック状保持部26とワイヤーハーネス24に取り付けられたストッパバンド27とによって第2固定部を構成し、ストッパバンド27を取り付けた状態のワイヤーハーネス24をフック状保持部26の一側面から挿入して内部に嵌め込むことにより、フック状保持部26の近傍のワイヤーハーネス24が上下方向に姿勢補正されるようにしたので、ワイヤーハーネス24のオスコネクタ24bを中継基板23のメスコネクタ23aに対して簡単に接続することができる。しかも、本体枠を開放したときにワイヤーハーネス24に万が一大きな引っ張り力が作用した場合でも、ストッパバンド27がフック状保持部26の下端に当接してワイヤーハーネス24の上動が規制されるため、ワイヤーハーネス24と中継基板(制御基板ユニット)23との接続状態を確実に維持することができる。
【0027】
なお、上記の実施形態例では、機枠1に対して本体枠2が閉じられているときに、コーションシール28を貼り付けた箇所のワイヤーハーネス24が留め具25から斜め上方へ直線状に延びるようにしているが、コーションシール28はワイヤーハーネス24の垂れを防止できれば姿勢方向は斜め上方に限定されず、例えば、コーションシール28を貼り付けた箇所のワイヤーハーネス24が略水平方向へ直線状に姿勢補正されるようにしても良い。
【0028】
また、上記の実施形態例では、機枠1に配設された演出装置としてスピーカ6を例示して説明したが、タッチ釦やランプ等の他の演出装置をスピーカ6の代わりに機枠1に配設したり、これらタッチ釦やランプ等をスピーカ6と一緒に機枠1に配設することも可能である。
【符号の説明】
【0029】
1 機枠
2 本体枠
3 前面枠
4 透明板
5 上側軸受け体
6 スピーカ(演出装置)
6a メスコネクタ
7 遊技盤
9 遊技領域
10 発射装置
11 施錠装置
16 操作ハンドル
17 主制御基板
18 副制御基板
19 賞球払出装置
20 払出制御基板
21 発射制御基板
22 外部端子基板
23 中継基板
23a メスコネクタ
24 ワイヤーハーネス
24a,24b オスコネクタ
25 留め具(第1固定部)
26 フック状保持部(第2固定部)
27 ストッパバンド(第2固定部)
28 コーションシール
28a 表示部
P パチンコ機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技店の箱状の収納部に前後方向に出し入れ可能に収容固定される機枠と、この機枠に配設された演出装置と、前記機枠に対して第1ヒンジ機構を介して開閉可能に軸支された本体枠と、この本体枠に配設された遊技盤および制御基板ユニットと、前記本体枠に対して第2ヒンジ機構を介して開閉可能に軸支された前面枠とを備え、前記遊技盤が前記前面枠に設けられた透明板を透して目視可能であると共に、前記演出装置と前記制御基板ユニットとがワイヤーハーネスを介してコネクタ接続されている弾球遊技機において、
前記ワイヤーハーネスの一端部近傍が第1固定部によって前記機枠の背面側に保持されると共に、該ワイヤーハーネスの他端部近傍が第2固定部によって前記本体枠の背面側に保持されており、かつ、これら第1および第2固定部間に引き回された前記ワイヤーハーネスの一部がコーションシールを貼り付けることによって直線状に姿勢補正されていることを特徴とする弾球遊技機。
【請求項2】
請求項1の記載において、前記第2固定部が、前記本体枠に設けられたフック状保持部と、前記ワイヤーハーネスに取り付けられたストッパバンドとからなり、前記ワイヤーハーネスを前記フック状保持部の側方から挿入することにより、前記ワイヤーハーネスの他端部近傍が上下方向に姿勢補正されると共に、前記フック状保持部の下端に前記ストッパバンドを当接させることにより、前記制御基板ユニットから前記フック状保持部に至る間の前記ワイヤーハーネスの上動が規制されるようにしたことを特徴とする弾球遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−39233(P2013−39233A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−178063(P2011−178063)
【出願日】平成23年8月16日(2011.8.16)
【出願人】(000154679)株式会社平和 (1,976)
【Fターム(参考)】