説明

弾球遊技機

【課題】本体枠に設けた開閉検出手段によって前面扉と本体枠の開閉状態を個別に検出することができる弾球遊技機を提供する。
【解決手段】機枠1に対する本体枠2の開放動作と本体枠2に対する前面扉3の開放動作とを検出可能な扉開閉検出装置30が、本体枠2に配設された光透過型のフォトセンサ36と、フォトセンサ36の光路を横切るように移動可能に配設された一対の回転レバー33,34と、両回転レバー33,34を機枠1と前面扉3に向けて互いに逆向きに付勢する捩りコイルばね35とを有すると共に、本体枠2または前面扉3の開放動作に伴っていずれか一方の回転レバー33,34が移動したとき、スリット34fの有無に応じて各回転レバー33,34がフォトセンサ36の光路を互いに異なる回数だけ遮断するように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技盤を目視可能な前面扉が本体枠に対して開閉可能に支持されていると共に、この本体枠が機枠に対して開閉可能に支持されている弾球遊技機に係り、特に、機枠に対する本体枠の開放動作と本体枠に対する前面扉の開放動作とを検出可能な開閉検出手段の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
弾球遊技機の代表例として知られているパチンコ機は、遊技場の島設備に設置される縦長方形状の機枠(外枠)と、この機枠にヒンジ機構を介して扉状に開閉可能に取り付けられた本体枠と、この本体枠の内側に収容された遊技盤と、本体枠の前面に別のヒンジ機構を介して開閉可能に取り付けられた前面扉とを備えており、前面扉の中央部に形成された開口部には遊技盤を目視可能な透明板が取り付けられている。本体枠の背面側には、電装部品の一つである液晶表示装置が取り付けられる他、それ以外の電装部品として遊技に関する制御を行う制御処理装置(制御基板)や、賞球払出装置による賞球の払い出しを制御する払出基板、各部に電力を供給する電源基板、賞球数や扉開閉状態等のパチンコ機に関する各種情報を遊技場のホールコンピュータに出力する外部端子基板等が取り付けられている。
【0003】
このように概略構成されたパチンコ機において、遊技者が前面扉や本体枠を無断で開放して不正行為をするのを防止するために、通常は本体枠の背面側と前面側にそれぞれ検知スイッチを設け、これら2つの検知スイッチの出力信号に基づいて機枠に対する本体枠の開閉状態と本体枠に対する前面扉の開閉状態とを個別に検知するようにしている。しかしながら、前面扉と本体枠の開閉状態を別々の検知スイッチを用いて検出しなければならないため、これら各検知スイッチの設置スペースが大きくなったり、各検知スイッチを払出基板や制御基板と電気的に接続するワイヤーハーネス類の引き回しが煩雑になり、コスト高や信頼性の低下を招来するという問題があった。
【0004】
そこで、従来より、前面扉の背面に突設した駆動棒を本体枠に設けた貫通孔に対して出入可能とし、この駆動棒が機枠の前面側に設けた検知スイッチの接点を切換動作することにより、前面扉の開閉状態と本体枠の開閉状態とを1つの検知スイッチを用いて検出できるようにしたパチンコ機が提案されている(例えば、特許文献1参照)。ここで、検知スイッチはヒンジレバーを有する常閉接点タイプのマイクロスイッチであり、駆動棒がヒンジレバーを押圧することによって検知スイッチはオフ状態に維持され、駆動棒によるヒンジレバーの押圧が解除されると検知スイッチはオフからオン状態へ切り換わるようになっている。
【0005】
このような開閉検出手段を用いたパチンコ機においては、前面扉と本体枠の双方が閉鎖されているとき、駆動棒が本体枠の貫通孔を挿通して検知スイッチのヒンジレバーを押圧しているため、検知スイッチはオフ状態に維持されている。一方、機枠に対して本体枠が開放されると、前面扉が本体枠と一体に回動することで駆動棒が検知スイッチから離反するため、ヒンジレバーの押圧が解除されて検知スイッチはオフ状態からオン状態へと切り換わる。また、閉じられた本体枠に対して前面扉が開放されると、前面扉の回動に伴って駆動棒が本体枠の貫通孔から抜け出るため、この場合も駆動棒によるヒンジレバーの押圧が解除されて検知スイッチはオフ状態からオン状態へと切り換わる。したがって、検知スイッチから出力されるオン信号に基づいて、本体枠の開放動作と前面扉の開放動作とをそれぞれ検出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−52144号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示された従来のパチンコ機では、本体枠が機枠に対して開放された時も前面扉が本体枠に対して開放された時も、検知スイッチは同じようにオン動作するため、本体枠と前面扉のどちらが開放されたのか区別できないという難点があった。また、前面扉の背面に突設した駆動棒が本体枠の貫通孔を挿通して検知スイッチをオン/オフ動作する構成のため、検知スイッチは必然的に機枠の前面側に設けなければならず、その場合、検知スイッチに接続したワイヤーハーネス類をヒンジ部を経由して本体枠の払出基板や制御基板等まで引き回す必要があり、ワイヤーハーネス類の引き回し経路が著しく複雑になってしまうという問題もあった。
【0008】
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、その目的は、本体枠に設けた開閉検出手段によって前面扉と本体枠の開閉状態を個別に検出することができる弾球遊技機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明は、機枠と、この機枠に対してヒンジ機構を介して開閉可能に軸支された本体枠と、この本体枠に対して別のヒンジ機構を介して開閉可能に軸支された前面扉と、前記機枠に対する前記本体枠の開放動作と前記本体枠に対する前記前面扉の開放動作とを検出可能な開閉検出手段とを備えた弾球遊技機において、前記開閉検出手段が、前記本体枠に配設された光透過型のフォトセンサと、このフォトセンサの光路を横切るように移動可能に配設された一対の検知体と、これら両検知体を前記機枠と前記前面扉に向けて互いに逆向きに付勢するばね部材とを有しており、前記本体枠と前記前面扉がいずれも閉鎖状態にあるとき、前記両検知体は前記フォトセンサの光路から外れた非検知位置に保持されており、前記本体枠が前記機枠に対して開放動作されたとき、前記両検知体のいずれか一方が前記非検知位置から移動して前記フォトセンサの光路をN回(Nは自然数)だけ遮断すると共に、前記前面扉が前記本体枠に対して開放動作されたとき、前記両検知体のいずれか他方が前記非検知位置から移動して前記フォトセンサの光路を前記Nと異なる回数だけ遮断するようにした。
【0010】
このように構成された弾球遊技機では、前面扉と本体枠の双方が閉じているとき、一対の検知体は共にフォトセンサの光路から外れた非検知位置に保持されているため、フォトセンサから扉閉鎖状態を示す信号が出力される。そして、機枠に対して本体枠が開放動作されると、それまで機枠に当接していた一方の検知体がばね部材の付勢力を受けて非検知位置からフォトセンサに向かって移動し、該検知体の移動中にフォトセンサの光路がN回(例えば1回)だけ遮断されるため、フォトセンサから本体枠の開放状態を示す所定の波形信号が出力される。また、本体枠に対して前面扉が開放動作されると、それまで前面扉に当接していた他方の検知体がばね部材の付勢力を受けて非検知位置からフォトセンサに向かって移動し、該検知体の移動中にフォトセンサの光路が上記Nと異なる回数(例えば2回)だけ遮断されるため、フォトセンサから前面扉の開放状態を示す別の波形信号が出力される。ここで、開閉検出手段を構成する一対の検知体とばね部材およびフォトセンサは全て本体枠に集約的に配置されるため、本体枠に設けた開閉検出手段によって前面扉と本体枠の開閉状態を個別に検出することができ、フォトセンサに接続されるワイヤーハーネス類の引き回しを本体枠側のみで簡単に行うことができる。
【0011】
上記の構成において、両検知体はフォトセンサの光路を直線的に横切るスライドタイプであっても良いが、支軸が立設されたベース部材を備えると共に、両検知体が支軸に回転可能に支持された回転レバーであり、これら両回転レバーの少なくとも一方にフォトセンサの光路を通過させるスリットが形成されていることが好ましい。このように回転タイプの検知体を用いると、平面形状の異なる一対の回転レバーがベース部材の支軸を中心に回転することにより、スリットの有無あるいはスリット数の違いに応じてフォトセンサから異なる出力波形が得られるため、これら出力波形に基づいて本体枠と前面扉のいずれが開放されたのか容易に判定することができる。しかも、開閉検出手段の構成部品をベース部材に組み込んで1つのユニット品として取り扱うことが可能になるため、開閉検出手段の本体枠に対する組立作業性を著しく高めることができる。
【0012】
この場合において、両回転レバーに対するばね部材の付勢力を大小で異ならせると共に、いずれか一方の回転レバーに他方の回転レバーと当接可能な係合突起を形成すると、例えば本体枠の開放動作に引き続いて前面扉を開放動作したとき、大きな付勢力を受けて回転する回転レバーが相手方の回転レバーを押し退けながらフォトセンサの光路内に侵入可能となるため、本体枠と前面扉のいずれか一方の開放動作だけでなく、本体枠と前面扉の両方が開放されたことも検出することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の弾球遊技機は、機枠に対する本体枠の開放動作と本体枠に対する前面扉の開放動作とを検出可能な開閉検出手段が、本体枠に配設された光透過型のフォトセンサと、このフォトセンサの光路を横切るように移動可能に配設された一対の検知体と、これら両検知体を機枠と前面扉に向けて互いに逆向きに付勢するばね部材とを有すると共に、本体枠または前面扉の開放動作に伴っていずれか一方の検知体が移動するとき、各検知体がフォトセンサの光路を互いに異なる回数だけ遮断するように構成したので、1つのフォトセンサの出力波形に基づいて前面扉と本体枠の開閉状態を個別に検出することができると共に、フォトセンサに接続されるワイヤーハーネス類の引き回しを本体枠側のみで簡単に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態例に係るパチンコ機の斜視図である。
【図2】図1に示すパチンコ機の前面扉を開放した状態の斜視図である。
【図3】図1に示すパチンコ機の前面扉と本体枠を共に開放した状態の斜視図である。
【図4】図1に示すパチンコ機の背面図である。
【図5】図1のパチンコ機に備えられる扉開閉検出装置の斜視図である。
【図6】該扉開閉検出装置の主要部を示す斜視図である。
【図7】該扉開閉検出装置に備えられる第1および第2回転レバーの裏面図である。
【図8】該扉開閉検出装置の分解斜視図である。
【図9】本体枠と前面扉の双方が閉じられた状態における該扉開閉検出装置の説明図である。
【図10】機枠に対して本体枠が開放されたときの該扉開閉検出装置の動作説明図である。
【図11】本体枠に対して前面扉が開放されたときの該扉開閉検出装置の動作説明図である。
【図12】本体枠と前面扉の双方が開放されたときの該扉開閉検出装置の動作説明図である。
【図13】該扉開閉検出装置に備えられるフォトセンサの出力波形を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
発明の実施の形態について図面を参照して説明すると、図1に示すように、本発明の実施形態例に係るパチンコ機(弾球遊技機)Pは、遊技場の島設備に設置される縦長方形状の機枠1と、機枠1に扉状に開閉自在に取り付けられた本体枠2と、本体枠2の前面に扉状に開閉自在に取り付けられた前面扉3等を備えており、前面扉3にはガラスやプラスチック等からなる透明板4が取り付けられている。
【0016】
図2と図3に示すように、機枠1の左側枠部には上側軸受け体5と下側軸受け体(図示省略)が固着されており、この下側軸受け体よりも下方の左下隅部には大型のスピーカ6が配設されている。一方、本体枠2の左側枠部の上下両端には第1ピン(図示省略)が設けられており、これら両第1ピンを上側軸受け体5と下側軸受け体に軸支することによって、本体枠2を機枠1に対して開閉自在に支持する第1ヒンジ機構が構成されている。
【0017】
本体枠2の上部内側には遊技盤7が収納されており、この遊技盤7の盤面(前面)は透明板4を透して目視可能となっている。遊技盤7はガイドレール8等によって区画形成された遊技領域9を有しており、詳細な説明は省略するが、遊技領域9には可変表示装置や始動入賞口、一般入賞口、アタッカー装置、遊技釘、風車、アウト口等が設けられている。遊技盤7よりも下方の本体枠2は前面扉3によって覆い隠される設置部2bとなっており、この設置部2b内の下部中央には遊技球を遊技領域9に向けて発射する発射装置10が配設されている。
【0018】
本体枠2の右側枠部は第1ヒンジ機構と反対側の自由端側であり、この右側枠部にはシリンダ錠11aを有する施錠装置11が設置されている。図示省略されているが、この施錠装置11は本体枠2の裏面に配置された後部施錠杆と本体枠2の前面に配置された前部施錠杆とを備えており、常態では、施錠装置11の後部施錠杆により本体枠2が機枠1に対して施錠されると共に、前部施錠杆により前面扉3が本体枠2に対して施錠されている。そして、シリンダ錠11aの鍵穴に図示せぬ鍵を差し込み、この鍵を一方向(例えば時計回り)へ回動すると、後部施錠杆が上動して本体枠2が開錠されるようになっている。また、シリンダ錠11aの鍵穴に差し込んだ鍵を他方向(反時計回り)へ回動すると、前部施錠杆が上動して前面扉3が開錠されるようになっている。さらに、本体枠2の自由端側の右下隅部には後述する扉開閉検出装置30が組み込まれており、この扉開閉検出装置30によって本体枠2の機枠1に対する開閉状態と前面扉3の本体枠2に対する開閉状態とを個別に検出できるようになっている。
【0019】
前面扉3の左側枠部の上下両端には第2ピン(図示省略)が設けられており、これら両第2ピンを本体枠2の左側枠部に突設した上下の支持板2aに軸支することによって、前面扉3を本体枠2に対して開閉自在に支持する第2ヒンジ機構が構成されている。
【0020】
図1に戻り、前面扉3には遊技盤7の盤面に対向する大きな開口3aが開設されており、この開口3aは透明板4によって塞がれている。前面扉3の前面上部には比較的小型のスピーカ12が左右に1個ずつ配設されており、これらスピーカ12と前述した大型のスピーカ6とによって遊技に関する様々な効果音を発するようになっている。また、前面扉3の前面下部には、遊技盤7の裏面に配設された賞球払出装置(後述する)から払い出された遊技球を収容する上段受皿13と、上段受皿13から排出された遊技球を収容する下段受皿14と、遊技者による押下操作が可能なプッシュ釦15とが設けられており、上段受皿13の右側方には発射装置10の発射強度を調整するための操作ハンドル16が配設されている。
【0021】
図4に示すように、このパチンコ機Pの背面側には、遊技に関する主要な処理を行う主制御基板17と、主制御基板17からの指令を受けて可変表示装置やスピーカ等の各種装置を制御する副制御基板18と、前述した賞球払出装置19と、主制御基板17からの指令を受けて賞球払出装置19を制御する払出制御基板20と、操作ハンドル16の回動量に応じて発射装置10の作動を制御する発射制御基板21と、大当たり回数等の各種情報を遊技場のホールコンピュータに出力する外部端子基板22等が設けられている。
【0022】
図5〜図8に示すように、前記扉開閉検出装置30は、上下方向へ延びる支軸31を有するベース部材32と、支軸31に回転可能に支持された第1回転レバー33および第2回転レバー34と、これら両回転レバー33,34を機枠1と前面扉3に向けて互いに逆向きに回動付勢する捩りコイルばね(ばね部材)35と、両回転レバー33,34の回転を検出する光透過型のフォトセンサ36とによって構成されており、両回転レバー33,34と捩りコイルばね35およびフォトセンサ36はベース部材32に組み込まれて1つのユニット部品として構成されている。
【0023】
ベース部材32は上面を開放した箱状体であって、ネジ止め等の適宜固定手段を用いて本体枠2の右下隅部に取り付けられるようになっている。支軸31はベース部材32の内底面の略中央部に立設されており、フォトセンサ36はベース部材32の短辺側壁に取り付けられている。また、ベース部材32の相対向する長辺側壁には切り欠き32a,32bが形成されており、一方の切り欠き32aは本体枠2の裏面側に露出し、他方の切り欠き32bは本体枠2の前面側に露出している。
【0024】
第1回転レバー33には、軸孔33aを有する円筒部33bと、円筒部33bの外周面から径方向外側へ突出する第1検知アーム33cと、円筒部33bの外周面から検知アーム33cと逆向きに突出する第1作動翼片33dとが形成されており、作動翼片33dは下方へ垂下する第1受部33eを有している。第1検知アーム33cはスリットのない単純形状に形成されており、図7に示すように、この第1検知アーム33cの下面には係合突起33fが形成されている。
【0025】
第2回転レバー34には、軸孔34aを有する円筒部34bと、円筒部34bの外周面から径方向外側へ突出する第2検知アーム34cと、円筒部34bの外周面から第2検知アーム34cと逆向きに突出する第2作動翼片34dとが形成されており、第2作動翼片34dは上方へ起立する第2受部34eを有している。第2検知アーム34cは平面的に見て二股形状に形成されており、その先端部にスリット34fを有している。
【0026】
そして、支軸31に対して第2回転レバー34の軸孔34aと第1回転レバー33の軸孔33aとを捩りコイルばね35を挟んで順次挿入した後、支軸31の上端面に鍔付きネジ37を螺入することにより、両回転レバー33,34は脱落が防止された状態で支軸31に回転可能に支持される。その結果、第1回転レバー33の第1受部33eがベース部材32の一方の切り欠き32aから外方に突出すると共に、第2回転レバー34の第2受部34eがベース部材32の他方の切り欠き32bから外方に突出し、また、第1検知アーム33cと第2検知アーム34cが支軸31を中心として上下方向に異なる平面内を回動可能となる。
【0027】
捩りコイルばね35は、両円筒部33b,34bの周囲に巻回された巻回部35aと、巻回部35aの両端から外方へ突出する第1腕部35bおよび第2腕部35cとを有しており、第1腕部35bは第1回転レバー33の第1作動翼片33dに掛止され、第2腕部35cは第2回転レバー34の第2作動翼片34dに掛止されている。ここで、第1腕部35bの長さは第2腕部35cに比べてかなり短寸に設定されており、これによって捩りコイルばね35から両回転レバー33,34に対して大きさの異なる弾発力が付与されるようになっている。具体的には、第1回転レバー33は短寸側の第1腕部35bから比較的小さな弾発力を受けて一方向(図6の矢印A方向)に回動付勢され、第2回転レバー34は長寸側の第2腕部35cから大きな弾発力を受けて他方向(図6の矢印B方向)に回動付勢されている。
【0028】
フォトセンサ36は透過光の遮光の有無を検出するフォトインタラプタと呼ばれる光センサであり、このフォトセンサ36は凹溝36aを挟んで上下方向に対向配置された発光素子38と受光素子39とを有している(図8参照)。発光素子38は例えば赤外発光ダイオードからなり、この発光素子38は凹溝36aの天井面に配置されて下方へ赤外光を発光する発光部である。受光素子39は例えばフォトトランジスタからなり、この受光素子39は凹溝36aの内底面に配置されて発光素子38から発光される赤外光を受光する受光部である。発光素子38から発光されて発光素子38に至る赤外光の経路がフォトセンサ36の光路であり、受光素子39が発光素子38からの赤外光を受光すると、その受光量に比例したコレクタ電流が流れ、フォトセンサ36からLow信号が出力される。一方、フォトセンサ36の光路が遮断されて受光素子39の受光量がゼロになると、コレクタ電流は流れなくなり、フォトセンサ36からHigh信号が出力される。なお、これとは逆に、受光素子39が発光素子38からの赤外光を受光するとHigh信号を出力し、発光素子38から受光素子39に至る光路が遮断されるとLow信号を出力するタイプのフォトセンサ36を用いることも可能である。
【0029】
図5や図8に示すように、フォトセンサ36は凹溝36aを支軸31に対向させた状態でベース部材32の短辺側壁に取り付けられており、第1回転レバー33の第1検知アーム33cと第2回転レバー34の第2検知アーム34cとがフォトセンサ36の凹溝36aに対して出入可能となっている。ここで、第1検知アーム33cと第2検知アーム34cは先端部の平面形状を互いに異にしており、両検知アーム33c,34cが凹溝36a内に侵入したとき、第1検知アーム33cはフォトセンサ36の光路を1回だけ遮断し、第2検知アーム34cはフォトセンサ36の光路を2回遮断するようになっている。すなわち、第1検知アーム33cと第2検知アーム34cが共にフォトセンサ36の光路から外れた非検知位置にある場合、発光素子38から発光される赤外光が受光素子39で受光されるため、前述したようにフォトセンサ36からLow信号が出力される。これに対し、第1検知アーム33cがフォトセンサ36の凹溝36a内に侵入すると、発光素子38から受光素子39に至る光路が第1検知アーム33cによって遮断されるため、そのタイミングでフォトセンサ36の出力信号がLowからHighへと切り換わる。また、スリット34fを有する二股形状の第2検知アーム34cがフォトセンサ36の凹溝36a内に侵入すると、発光素子38から受光素子39に至る光路が第2検知アーム34cで一旦遮断された後、スリット34fを透過して再び遮断されるため、フォトセンサ36の出力信号がLow−High−Low−Highと連続的に切り換わる。したがって、かかるフォトセンサ36の出力波形に基づいて、第1検知アーム33cと第2検知アーム34cのいずれがフォトセンサ36の凹溝36a内に侵入したかを判定することができる。
【0030】
このように構成された扉開閉検出装置30は、図5に示すように、ベース部材32に両回転レバー33,34と捩りコイルばね35およびフォトセンサ36等を組み込んでユニット化することができるため、パチンコ機Pに取り付ける前の部品管理や搬送時等において1つのユニット部品として取り扱うことができる。しかも、かかるユニット品の状態で両回転レバー33,34は一定の開き角度で安定的に保持されるため、扉開閉検出装置30を本体枠2に対して簡単に組み付けることができる。以下、かかる扉開閉検出装置30の動作を主として図9〜図13に基づいて説明する。
【0031】
本実施形態例に係るパチンコ機Pにおいて、常態では、本体枠2が機枠1に対して閉じられていると共に、前面扉3が本体枠2に対して閉じられているため、図9に示すように、扉開閉検出装置30の第1回転レバー33と第2回転レバー34の各受部33e,34eはそれぞれ機枠1の前面と前面扉3の背面に当接し、第1検知アーム33cと第2検知アーム34cは共にフォトセンサ36の光路から外れた非検知位置に保持されている。この場合、フォトセンサ36の発光素子38から発光された赤外光が受光素子39で受光されることにより、受光素子39に所定のコレクタ電流が流れるため、図13(a)に示すように、フォトセンサ36から本体枠2と前面扉3が共に閉鎖状態であることを示す所定の波形(連続的なLow信号)が出力される。
【0032】
図10に示すように、本体枠2が第1ヒンジ機構を中心に回転しながら機枠1に対して開放動作されると、それまで第1受部33eを機枠1の前面に当接させていた第1回転レバー33が捩りコイルばね35の付勢力によって同図の反時計方向に回転し、第1作動翼片33dがベース部材32の切り欠き32aの一端部に当接した時点で第1回転レバー33は停止する。このようにして第1回転レバー33が非検知位置から所定角度だけ回転すると、第1検知アーム33cがフォトセンサ36の凹溝36a内に侵入するため、発光素子38から受光素子39に向かう赤外光の光路が第1検知アーム33cによって遮断される。その結果、受光素子39にコレクタ電流が流れなくなるため、図13(b)に示すように、フォトセンサ36から本体枠2が開放状態であることを示す所定の波形(LowからHighに変化する信号)が出力される。
【0033】
また、図11に示すように、前面扉3が第2ヒンジ機構を中心に回転しながら本体枠2に対して開放動作されると、それまで第2受部34eを前面扉3の背面に当接させていた第2回転レバー34が捩りコイルばね35の付勢力によって同図の時計方向に回転し、それに伴って第2検知アーム34cが非検知位置からフォトセンサ36の凹溝36aに向かって回転する。その際、第2検知アーム34cは第1回転レバー33の第1検知アーム33cの下面側を回転するが、第2検知アーム34cが第1検知アーム33cの下面に形成された係合突起33fに当接した時点で第2回転レバー34は停止する。このようにして第2回転レバー34が非検知位置から所定角度だけ回転すると、スリット34fを有する第2検知アーム34cがフォトセンサ36の凹溝36a内に侵入するため、発光素子38から受光素子39に至る光路が第2検知アーム34cで一旦遮断された後、スリット34fを透過して再び遮断される。その結果、図13(c)に示すように、フォトセンサ36から前面扉3が開放状態であることを示す所定の波形(Low−High−Low−Highに変化する信号)が出力される。
【0034】
また、図12に示すように、本体枠2が機枠1に対して開放動作された後、引き続いて前面扉3が本体枠2に対して開放動作された場合は、まず、第1回転レバー33の第1検知アーム33cがフォトセンサ36の凹溝36a内に侵入することで、発光素子38から受光素子39に向かう赤外光の光路が第1検知アーム33cによって遮断される。この状態で前面扉3が本体枠2に対して開放動作されると、第2検知アーム34cがフォトセンサ36の凹溝36a内で停止している第1検知アーム33cの係合突起33fに当接するが、その際、第1回転レバー33に比べて第2回転レバー34の方が捩りコイルばね35から大きな回動付勢力を受けているため、第2検知アーム34cが第1検知アーム33cを押し退けながらフォトセンサ36の光路を横切ることになる。その結果、第1検知アーム33cで遮断されていた光路がスリット34fを一旦透過した後、再び第2検知アーム34cで遮断されるため、図13(d)に示すように、フォトセンサ36から本体枠2と前面扉3の両方が開放状態であることを示す所定の波形(Low−High−Low−Highに変化する信号)が出力される。
【0035】
なお、フォトセンサ36には図示せぬワイヤーハーネス類が接続されており、このワイヤーハーネス類を本体枠2の背面側の払出制御基板20や主制御基板17等を介して外部端子基板22に接続することにより、フォトセンサ36から図13(a)〜(d)に示すような種々の波形信号が出力されたときに、その出力波形に基づいて本体枠2や前面扉3が開放動作されたことをスピーカ6,12からの警報音で外部に報知したり、遊技場のホールコンピュータに扉開放信号を送信することができるようになっている。
【0036】
以上説明したように、本実施形態例に係るパチンコ機Pでは、機枠1に対する本体枠2の開放動作と本体枠2に対する前面扉3の開放動作とを検出可能な扉開閉検出装置30が本体枠2に設置され、この扉開閉検出装置30が、本体枠2に配設された光透過型のフォトセンサ36と、このフォトセンサ36の光路を横切るように移動可能に配設された一対の回転レバー(検知体)33,34と、これら両回転レバー33,34を機枠1と前面扉3に向けて互いに逆向きに付勢する捩りコイルばね(ばね部材)35とを有すると共に、本体枠2または前面扉3の開放動作に伴っていずれか一方の回転レバー33,34が移動したとき、各回転レバー33,34がフォトセンサ36の光路を互いに異なる回数だけ遮断するように構成されているため、1つのフォトセンサ36の出力波形に基づいて本体枠2と前面扉3の開閉状態を個別に検出することができると共に、フォトセンサ36に接続されるワイヤーハーネス類の引き回しを本体枠2側のみで簡単に行うことができる。
【0037】
また、支軸31が立設されたベース部材32を備え、この支軸31に回転可能に支持された回転レバー33,34を検知体として用いると共に、これら両回転レバー33,34の一方にフォトセンサ36の光路を通過させるスリット34fを形成したので、平面形状の異なる一対の回転レバー33,34がベース部材32の支軸31を中心に回転することで、スリット34fの有無に応じてフォトセンサ36から異種の出力波形が得られ、これら出力波形に基づいて本体枠2と前面扉3のいずれが開放されたかを容易に判定することができる。しかも、扉開閉検出装置30の構成部品をベース部材32に組み込んで1つのユニット品として取り扱うことが可能になるため、扉開閉検出装置30の本体枠2に対する組立作業性を著しく高めることができる。
【0038】
さらに、両回転レバー33,34に対する捩りコイルばね35の付勢力を大小で異ならせると共に、一方の回転レバー33に他方の回転レバー34と当接可能な係合突起33fを形成してあり、本体枠2の開放動作に引き続いて前面扉3を開放動作したとき、大きな付勢力を受けて回転する回転レバー34がもう一つの回転レバー33を押し退けながらフォトセンサ36の光路内に侵入するように構成されているため、本体枠2と前面扉3のいずれか一方の開放動作のみならず、本体枠2と前面扉3の両方が開放されたことも検出できる。
【0039】
なお、上記実施形態例では、扉開閉検出装置30を本体枠2の右下隅部に取り付けた場合について説明したが、扉開閉検出装置30の取付位置は本体枠2の自由端側であればどこでも良く、例えば、扉開閉検出装置30を本体枠2の右上隅部に取り付けることも可能である。
【0040】
また、上記実施形態例では、透明板4や操作ハンドル16等が設けられた一体型の前面扉3を本体枠2に開閉可能に軸支したパチンコ機Pについて説明したが、透明板等が設けられた上扉と操作ハンドル等が設けられた下扉とからなる分離タイプの前面扉にも本発明は適用可能であり、その場合、上扉を開放しない限り下扉を開放できないようになっていれば、一方の回転レバー34を上扉の背面に当接させることにより、本体枠2に対する上扉の開閉状態を扉開閉検出装置30を用いて検出することができる。
【0041】
また、上記実施形態例では、両回転レバー33,34に対する捩りコイルばね35の付勢力を大小で異ならせ、大きな付勢力を受けて回転する一方の回転レバー34を係合突起33fに当接させて他方の回転レバー33と共回りさせるようにしたので、本体枠2と前面扉3のいずれか一方の開放動作のみならず、本体枠2と前面扉3の両方が開放されたことも検出できるが、係合突起33fを省略して両回転レバー33,34が同等の付勢力で独立して回転するようにしても良い。その場合、本体枠2と前面扉3が連続して開放動作されたとき、先に動作された方の開放状態しか検出できないが、上記実施形態例と同様に、1つのフォトセンサ36の出力波形に基づいて本体枠2と前面扉3の開閉状態を個別に検出することはできる。
【0042】
また、上記実施形態例では、両回転レバー33,34の回動付勢力を異ならせる手段として、捩りコイルばね35の巻回部35aから突出する一対の腕部35b,35cの長さ寸法を異ならせ、これら両腕部35b,35cを対応する回転レバー33,34にそれぞれ掛止するようにしたが、両回転レバー33,34をばね常数の異なる2種類の捩りコイルばねを用いて個別に付勢するようにしても良い。
【0043】
また、上記実施形態例では、スリットを持たない一方の回転レバー33の回転によってフォトセンサ36の光路を1回遮断させ、1つのスリット34fを有する他方の回転レバー34の回転によってフォトセンサ36の光路を2回遮断させる場合について説明したが、両回転レバー33,34によるフォトセンサ36の光路の遮断回数はこれに限定されるものではない。例えば、一方の回転レバーに1つのスリットを形成すると共に、他方の回転レバーに2つのスリットを形成することにより、一方の回転レバーの回転によってフォトセンサの光路を2回遮断させ、他方の回転レバーの回転によってフォトセンサの光路を3回遮断させるように構成することも可能であり、要は、一方の回転レバーがフォトセンサの光路をN回(Nは自然数)だけ遮断すると共に、他方の回転レバーがフォトセンサの光路をNと異なる回数だけ遮断するようになっていれば良い。
【符号の説明】
【0044】
1 機枠
2 本体枠
3 前面扉
7 遊技盤
11 施錠装置
17 主制御基板
18 副制御基板
22 外部端子基板
30 扉開閉検出装置
31 支軸
32 ベース部材
32a,32b 切り欠き
33 第1回転レバー(検知体)
33a 軸孔
33b 円筒部
33c 第1検知アーム
33d 第1作動翼片
33e 第1受部
33f 係合突起
34 第2回転レバー(検知体)
34a 軸孔
34b 円筒部
34c 第2検知アーム
34d 第2作動翼片
34e 第2受部
34f スリット
35 捩りコイルばね(ばね部材)
35a 巻回部
35b 第1腕部
35c 第2腕部
36 フォトセンサ
36a 凹溝
38 発光素子
39 受光素子
P パチンコ機(弾球遊技機)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機枠と、この機枠に対してヒンジ機構を介して開閉可能に軸支された本体枠と、この本体枠に対して別のヒンジ機構を介して開閉可能に軸支された前面扉と、前記機枠に対する前記本体枠の開放動作と前記本体枠に対する前記前面扉の開放動作とを検出可能な開閉検出手段とを備えた弾球遊技機において、
前記開閉検出手段が、前記本体枠に配設された光透過型のフォトセンサと、このフォトセンサの光路を横切るように移動可能に配設された一対の検知体と、これら両検知体を前記機枠と前記前面扉に向けて互いに逆向きに付勢するばね部材とを有しており、
前記本体枠と前記前面扉がいずれも閉鎖状態にあるとき、前記両検知体は前記フォトセンサの光路から外れた非検知位置に保持されており、前記本体枠が前記機枠に対して開放動作されたとき、前記両検知体のいずれか一方が前記非検知位置から移動して前記フォトセンサの光路をN回(Nは自然数)だけ遮断すると共に、前記前面扉が前記本体枠に対して開放動作されたとき、前記両検知体のいずれか他方が前記非検知位置から移動して前記フォトセンサの光路を前記Nと異なる回数だけ遮断することを特徴とする弾球遊技機。
【請求項2】
請求項1の記載において、支軸が立設されたベース部材を備えると共に、前記両検知体が前記支軸に回転可能に支持された回転レバーであり、これら両回転レバーの少なくとも一方に前記フォトセンサの光路を通過させるスリットが形成されていることを特徴とする弾球遊技機。
【請求項3】
請求項2の記載において、前記両回転レバーに対する前記ばね部材の付勢力を大小で異ならせると共に、いずれか一方の前記回転レバーに他方の前記回転レバーと当接可能な係合突起を形成したことを特徴とする弾球遊技機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate