説明

弾球遊技機

【課題】演出モードをスムーズに切り換える。
【解決手段】ぱちんこ遊技機10は、始動口への入球を契機として、当否抽選を実行する。当否抽選の結果を示す特別図柄を変動表示させたあと、当否抽選が当たりであれば、大入賞口を開放させることにより特別遊技を実行する。当否抽選の結果が特定外れであれば、限定モードに移行する。限定モードにおいては、図柄演出のバリエーションが通常モードに比べて縮小される。限定モードは、図柄変動が所定回数に到達するか、大当たりが発生するまで継続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ぱちんこ遊技機等の弾球遊技機に関し、特に、ぱちんこ遊技機における演出制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
弾球遊技機として様々な機種のぱちんこ遊技機が親しまれている。従来のぱちんこ遊技機の中には、遊技盤上に形成された始動口へ遊技球が落入すると、その結果としてランダムに当否抽選値が取得されるものがある。取得された当否抽選値は保留球として、たとえば最大4個まで一時記憶される。保留球は順次1つずつ読み出される。読み出された当否抽選値は当否判定され、特別図柄とよばれる図柄が変動表示され、特別図柄の停止表示態様により当否判定の結果が遊技者に報知される。
【0003】
当たり態様にて特別図柄が停止表示されると、いわゆる「大当たり」として特別遊技に遊技状態が移行する。特別遊技は、複数回の単位遊技で構成される。遊技盤上に形成される大入賞口は単位遊技の開始時に開放される。単位遊技はその開始から、所定期間、たとえば30秒間経過するか、あるいは単位遊技中において遊技球が大入賞口へ9球以上入賞したときに終了する。このとき大入賞口もいったん閉鎖される。単位遊技中において、大入賞口内に設けられたVゾーンとよばれる特定領域を遊技球が通過していれば、単位遊技は次の単位遊技へと継続される。このとき再び大入賞口は開放される。単位遊技は所定回数、たとえば、15回を限度として継続され得る。遊技球が大入賞口に落入すると、通常よりも多くの遊技球が賞球として払い出される。
一般的な遊技者は多くの賞球を獲得するために大入賞口を開放させる、すなわち、特別遊技に遊技状態を移行させることを目的として遊技を行う(たとえば、特許文献1参照)。
【0004】
上述したように当否判定の実行タイミングと報知タイミングの間には特別図柄の変動表示期間という「ずれ」がある。特別図柄の変動表示が開始されると、遊技者は特別図柄が当たり態様にて停止することを期待する。そこで、特別図柄の変動表示期間中に装飾図柄や演出図柄などとよばれる演出目的の図柄も変動表示させることにより、遊技者の大当たりに対する期待感を更に高めるような演出を実行することも多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−230714号公報
【特許文献2】特開2004−230017号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年の弾球遊技機は、演出バリエーションをますます拡大させつつある。その中には、所定の遊技状態に移行したことを契機として演出バリエーションを変化させる弾球遊技機もある。特許文献2に開示されるぱちんこ遊技機は、当たりが発生したときに、特別演出モードとよばれる通常とは異なる演出モードに移行させる。そこで、本発明は、演出モードを変化させるにあたり、図柄変動が所定回数に到達するまで継続して特定の変動パターン群を選択させることにより、特有の演出効果を発揮可能な弾球遊技機を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある態様は、弾球遊技機に関する。
この弾球遊技機は、遊技領域が形成された遊技盤と、遊技領域の所定位置に設けられ、遊技球が入球可能な始動入賞口と、遊技領域の所定位置に設けられ、遊技球が入球可能な状態に開放可能な大入賞口と、始動入賞口へ遊技球が入球したことを契機として、当否について判定するための当否抽選を実行する当否抽選手段と、当否抽選の結果が当たりであるときに、大入賞口を開放させることにより遊技者に有利な遊技状態である特別遊技を実行する特別遊技制御手段と、当否抽選の結果を示すための図柄が変動表示される図柄表示装置と、図柄の変動過程が定められた複数の変動パターンを保持するパターン記憶手段と、複数の変動パターンからいずれかの変動パターンを選択するパターン決定手段と、選択された変動パターンにしたがって図柄を変動表示させる表示制御手段と、を備える。
パターン決定手段は、当否抽選の結果を示すための図柄が特定の態様にて停止表示されたときには、複数の変動パターンよりも図柄変動の種類が減少された特定の変動パターン群のみから変動パターンを選択し、以降に実行される当否判定においても特定の変動パターン群に属する変動パターンを選択する。
【0008】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、演出モードを変化させるにあたり、図柄変動が所定回数に到達するまで継続して特定の変動パターン群を選択させることにより、特有の演出効果を発揮可能な弾球遊技機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】ぱちんこ遊技機の前面側における基本的な構造を示す図である。
【図2】ぱちんこ遊技機の背面側における基本的な構造を示す図である。
【図3】本実施例におけるぱちんこ遊技機の機能ブロックを示す図である。
【図4(a)】通常パターン決定テーブルのデータ構造図である。
【図4(b)】限定パターン決定テーブルのデータ構造図である。
【図5】事前判定に基づく限定モード移行を説明するための模式図である。
【図6】ぱちんこ遊技機における基本的な動作過程を示すフローチャートである。
【図7】図6におけるS14の通常遊技制御処理を詳細に示すフローチャートである。
【図8】図7におけるS34の当否判定処理を詳細に示すフローチャートである。
【図9】図8の当否判定処理の続きを詳細に示すフローチャートである。
【図10】図6のS16における特別遊技制御処理を詳細に示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[概要]
本実施例に示すぱちんこ遊技機は、いわゆる第1種ぱちんこ遊技機に相当する遊技性を備える。始動口に遊技球が入球すると当否抽選が実行され、当否抽選の結果を示すための特別図柄が変動表示される。所定時間経過後に、特別図柄が当たり態様にて停止表示されると「大当たり」となり、大入賞口が開放され、特別遊技が開始される。
【0012】
当否抽選の外れの中には「特定外れ」とよばれる特殊な外れが含まれている。特定外れが発生したときには、以降において、特別図柄の変動回数が所定の上限回数(以下、「限定回数」とよぶ)に達するか、大当たりが発生するまで「限定モード」とよばれる演出モードに移行する。限定モードが終了する条件のことを「限定終了条件」とよぶ。また、限定モードではない通常の演出モードのことを、以下においては「通常モード」とよぶ。限定モードは特定外れを契機として開始され、限定終了条件が成立したときに終了する。
【0013】
限定モードに移行すると、通常モードに比べて演出のバリエーション、いいかえれば、図柄変動の種類が縮小される。また、限定モードにおいては特別図柄の変動時間は一律に所定時間、たとえば、10秒間に固定される。外れを契機として限定モードに移行するため、大入賞口等の機構を制御する必要がなく、通常モードから限定モードにスムーズに移行させることができる。また、この限定モード中においては図柄の変動時間が固定されるため、遊技の進行ペースが一定となり、通常モードとは異なる遊技感覚を遊技者は喚起させることができる。
【0014】
[実施例]
図1は、ぱちんこ遊技機10の前面側における基本的な構造を示す。
以下、弾球遊技機として従来にいういわゆる第1種ぱちんこ遊技機を例に説明する。ぱちんこ遊技機10は、主に遊技機枠と遊技盤で構成される。ぱちんこ遊技機10の遊技機枠は、外枠11、前枠12、透明板13、扉14、上球皿15、下球皿16、および発射ハンドル17を含む。外枠11は、開口部分を有し、ぱちんこ遊技機10を設置すべき位置に固定するための枠体である。前枠12は、外枠11の開口部分に整合する枠体であり、図示しないヒンジ機構により外枠11へ開閉可能に取り付けられる。前枠12は、遊技球を発射する機構や、遊技盤を着脱可能に収容させるための機構、遊技球を誘導または回収するための機構等を含む。
【0015】
透明板13は、ガラスなどにより形成され、扉14により支持される。扉14は、図示しないヒンジ機構により前枠12へ開閉可能に取り付けられる。上球皿15は、遊技球の貯留、発射レールへの遊技球の送り出し、下球皿16への遊技球の抜き取り等の機構を有する。下球皿16は、遊技球の貯留、抜き取り等の機構を有する。上球皿15と下球皿16の間にはスピーカ18が設けられており、遊技状態などに応じた効果音が出力される。
【0016】
遊技盤50は、外レール54と内レール56により区画された遊技領域52上に、アウト口58、特別図柄表示装置61、演出表示装置60、始動入賞口(以下、「始動口」という)62、センター飾り64、大入賞口66、作動口68、一般入賞口72を含む。さらに遊技領域52には、図示しない複数の遊技釘や風車などの機構が設置される。始動口62は、遊技球の入球を検出するための始動入賞検出装置74と、始動口62の拡開機構を拡開させるための普通電動役物ソレノイド76を備える。始動口62の拡開機構が拡開されたとき、始動口62の開口幅が拡がって入球容易性が向上する。始動入賞検出装置74は、始動口62への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す始動入賞情報を生成する。一般入賞口72は、遊技球の入球を検出するための一般入賞検出装置73を備える。一般入賞検出装置73は、一般入賞口72への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す一般入賞情報を生成する。大入賞口66は、遊技球の入球を検出するための入賞検出装置78と、大入賞口66を拡開させるための大入賞口ソレノイド80を備える。入賞検出装置78は、大入賞口66への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す大入賞口入賞情報を生成する。
【0017】
大入賞口66は、特別図柄192が所定の態様にて停止したときに「大当たり」として開放状態となる横長方形状の入賞口である。大入賞口66はアウト口58の上方等の位置に設けられる。大入賞口66の入賞検出装置78は、遊技球の通過を検出するセンサを備えて構成される。
【0018】
遊技領域52の左方に設けられた特別図柄表示装置61および遊技領域52の略中央に設けられた演出表示装置60は、それぞれの画面に特別図柄192の変動と、特別図柄192に連動する装飾図柄190を含む演出画像の変動を表示する(以下、そうした表示を「図柄変動」または「変動表示」等とよぶ)。ここで、特別図柄192は、始動口62への遊技球の落入を契機として行われる抽選(以下、「当否抽選」とよぶ)の結果に対応した図柄であり、その変動表示が停止されたときの図柄態様が当たりと定められた図柄であった場合、その停止図柄が表示されたタイミングが大当たり発生タイミングとなる。特別図柄表示装置61は、例えば7セグメントLEDで構成される表示手段である。
【0019】
演出表示装置60は、特別図柄192の変動表示と連動する形で装飾図柄190を変動表示する液晶ディスプレイである。装飾図柄190は、特別図柄192で示される抽選の結果表示を視覚的に演出するための図柄である。演出表示装置60は、装飾図柄190として、例えばスロットマシンのゲームを模した複数列の図柄変動の動画像を画面の中央領域に表示する。演出表示装置60は、この実施例では液晶ディスプレイで構成されるが、ドラムなどの機械式回転装置やLEDなどの他の表示手段で構成されてもよい。なお、特別図柄192は必ずしも演出的な役割をもつことを要しないため、本実施例では演出表示装置60の左下方の特別図柄表示装置61にて目立たない大きさで表示させるが、特別図柄自体に演出的な役割をもたせて装飾図柄を表示させないような手法を採用する場合には、特別図柄を演出表示装置60のような液晶ディスプレイに表示させてもよい。
【0020】
作動口68は、遊技盤50の左側方位置に設けられる。作動口68は、通過検出装置69を含む。通過検出装置69は、作動口68への遊技球の通過を検出するセンサであり、通過時にその通過を示す通過情報を生成する。作動口68への遊技球の通過は始動口62の拡開機構を拡開させるか否かを決定する開放抽選の契機となる。作動口68を遊技球が通過すると、開放抽選の結果を示す図柄である普通図柄が普通図柄表示装置59に変動表示される。普通図柄表示装置59は演出表示装置60の右下方に設けられる。所定時間の経過後に普通図柄の変動表示が停止すると、通常時に5%、時短時に95%の確率で始動口62が所定時間拡開する。
【0021】
演出表示装置60の周囲には、センター飾り64が設けられる。センター飾り64は、遊技球の流路、特別図柄表示装置61および演出表示装置60の保護、装飾等の機能を有する。演出表示装置60の下方には、抽選保留ランプ20が設けられ、その対称的な位置である遊技領域52の右下部には、普通図柄表示装置59の下に作動保留ランプ22が設けられている。抽選保留ランプ20は、4個のランプからなり、その点灯個数によって当否抽選の保留数を表示する。当否抽選の保留数は、図柄変動中または特別遊技中に始動口62へ入賞した抽選結果の個数であり、図柄変動がまだ実行されていない入賞球の数を示す。作動保留ランプ22もまた4個のランプからなり、その点灯個数によって普通図柄変動の保留数を表示する。普通図柄の変動がまだ実行されていない開放抽選の結果の数を示す。さらに演出表示装置60の上方および下方には、それぞれ遊技効果ランプ90が設けられている。操作ボタン82は、遊技者が遊技機へ所定の指示を入力するために操作するボタンである。操作ボタン82は、上球皿15近傍の外壁面に設けられる。
【0022】
遊技者が発射ハンドル17を手で回動させると、その回動角度に応じた強度で上球皿15に貯留された遊技球が1球ずつ内レール56と外レール54に案内されて遊技領域52へ発射される。遊技者が発射ハンドル17の回動位置を手で固定させると一定の時間間隔で遊技球の発射が繰り返される。遊技領域52の上部へ発射された遊技球は、複数の遊技釘や風車に当たりながらその当たり方に応じた方向へ落下する。遊技球が一般入賞口72や始動口62、大入賞口66の各入賞口へ落入すると、その入賞口の種類に応じた賞球が上球皿15または下球皿16に払い出される。一般入賞口72等の各入賞口に落入した遊技球はセーフ球として処理され、アウト口58に落入した遊技球はアウト球として処理される。なお、各入賞口は遊技球が通過するゲートタイプのものを含み、本願において「落入」「入球」「入賞」というときは「通過」を含むものとする。
【0023】
遊技球が始動口62に落入すると、特別図柄表示装置61および演出表示装置60において特別図柄192および装飾図柄190が変動表示される。特別図柄192および装飾図柄190の変動表示は、表示に先だって決定された表示時間の経過後に停止される。停止時の特別図柄192および装飾図柄190が大当たりを示す図柄である場合、通常遊技よりも遊技者に有利な遊技状態である特別遊技に移行し、大入賞口66の開閉動作が開始される。このときスロットマシンのゲームを模した装飾図柄190は、3つの図柄を一致させるような表示態様をとる。特別遊技において、大入賞口66は、約30秒間開放された後、または9球以上の遊技球が落入した後で一旦閉鎖される。このような大入賞口66の開閉が所定回数、例えば15回繰り返される。
【0024】
特別遊技が終了した後の通常遊技においては特定遊技の一つである変動時間短縮遊技(以下、適宜「時短」という)が開始される。変動時間短縮遊技においては、特別図柄および装飾図柄の変動時間が通常より短縮される。特別図柄および装飾図柄の変動時間は、所定の変動回数の変動表示がなされた後で元の変動時間に戻される。特別遊技が発生した場合であってそのときの当たり停止図柄が特定の態様であった場合、特別遊技の終了後に特定遊技の一つである確率変動遊技(以下、適宜「確変」という)が開始される。確率変動遊技においては、通常の確率状態より当たりの確率が高い抽選が行われ、比較的早期に新たな特別遊技が発生する。
【0025】
図2は、ぱちんこ遊技機10の背面側における基本的な構造を示す。
電源スイッチ40はぱちんこ遊技機10の電源をオンオフするスイッチである。メイン基板102は、ぱちんこ遊技機10の全体動作を制御し、特に始動口62へ入賞したときの抽選等、遊技動作全般を処理する。サブ基板104は、液晶ユニット42を備え、演出表示装置60における表示内容や複数の可動役物140の動作、遊技効果ランプ90の点灯を制御し、特にメイン基板102による抽選結果に応じて表示内容を変動させ、その演出の進行に沿って可動役物140や遊技効果ランプ90の点灯を作動させる。メイン基板102およびサブ基板104は、遊技制御装置100を構成する。セット基盤39は、賞球タンク44や賞球の流路、賞球を払い出す払出ユニット43等を含む。払出ユニット43は、各入賞口への入賞に応じて賞球タンク44から供給される遊技球を上球皿15へ払い出す。払出制御基板45は、払出ユニット43による払出動作を制御する。発射装置46は、上球皿15の貯留球を遊技領域52へ1球ずつ発射する。発射制御基板47は、発射装置46の発射動作を制御する。電源ユニット48は、ぱちんこ遊技機10の各部へ電力を供給する。
【0026】
図3は、本実施例におけるぱちんこ遊技機10の機能ブロックを示す。
ぱちんこ遊技機10において、遊技制御装置100は、始動口62、大入賞口66、一般入賞口72、作動口68、特別図柄表示装置61、演出表示装置60、普通図柄表示装置59、操作ボタン82、スピーカ18、遊技効果ランプ90、可動役物140のそれぞれと電気的に接続されており、各種制御信号の送受信を可能とする。遊技制御装置100は、遊技の基本動作だけでなく、図柄変動表示や可動役物140、電飾等の演出的動作も制御する。遊技制御装置100は、遊技の基本動作を含むぱちんこ遊技機10の全体動作を制御するメイン基板102と、図柄の演出等を制御するサブ基板104とに機能を分担させた形態で構成される。遊技制御装置100は、ハードウエア的にはデータやプログラムを格納するROMやRAM、演算処理に用いるCPU等の素子を含んで構成される。
【0027】
メイン基板102は、入球判定手段110、当否抽選手段112、図柄決定手段114、保留制御手段116、メイン表示制御手段118、特別遊技制御手段120、特定遊技実行手段122、開閉制御手段124を備える。サブ基板104は、パターン記憶手段130、演出決定手段132、演出表示制御手段134、役物制御手段136を備える。なお、メイン基板102に含まれる各機能ブロックは、いずれかがメイン基板102ではなくサブ基板104に搭載されるかたちで構成されてもよい。同様に、サブ基板104に含まれる各機能ブロックは、いずれかがサブ基板104ではなくメイン基板102に搭載されるかたちで構成されてもよい。
【0028】
メイン基板:
入球判定手段110は、各入賞口への遊技球の入球を判定する。入球判定手段110は、始動入賞情報を受け取ると遊技球が始動口62に入賞したと判断し、大入賞口入賞情報を受け取ると遊技球が大入賞口66に入賞したと判断し、一般入賞情報を受け取ると遊技球が一般入賞口72に入賞したと判断する。入球判定手段110は、通過情報を受け取ると遊技球が作動口68を通過したと判断する。
【0029】
当否抽選手段112は、始動口62への遊技球の入球を契機として、通常遊技より遊技者に有利な状態である特別遊技へ移行するか否かを判定するために乱数の値を当否抽選値として取得する。たとえば、当否抽選値は「0」から「65535」までの値範囲から取得される。なお、本願にいう「乱数」は、数学的に発生させる乱数でなくてもよく、ハードウエア乱数やソフトウエア乱数などにより発生させる疑似乱数でもよい。当否抽選手段112は、当否判定で参照する当否テーブルを複数保持する。複数の当否テーブルには、当たりまたは外れの判定結果と当否抽選値とが対応付けられており、対応付けられた当たりの範囲設定に応じて当否確率が定まる。当否抽選手段112は、通常時には通常確率による当否判定のための当否テーブルを参照し、確率変動時には通常確率より当たりの確率が高くなる当否テーブルを参照する。当否抽選手段112は、複数の当否テーブルのうちいずれかを参照し、当否抽選値が当たりであるか否かを判定する。当否抽選手段112による判定結果は、特別図柄表示装置61において特別図柄の形で変動表示される。また、当否抽選手段112による判定結果を演出的に示す装飾図柄が演出表示装置60において変動表示される。
また、当否抽選手段112は、後述する事前判定処理も実行する。事前判定の結果によっては、特定外れが発生していなくても、限定モードに移行する。事前判定と限定モードの関係については、図5や図8に関連して詳述する。
【0030】
図柄決定手段114は、特別図柄表示装置61に表示させる特別図柄の停止図柄と変動パターンを、当否抽選手段112による抽選の結果に応じて決定する。また、図柄決定手段114は、普通図柄表示装置59に表示させる普通図柄の停止図柄を抽選により決定する。停止図柄は、図柄変動の終了時に表示すべき図柄である。図柄決定手段114は、特別図柄や普通図柄の停止図柄を決定するために参照すべき図柄範囲テーブルや、変動パターンを決定するために参照すべきパターン決定テーブルを保持する。
【0031】
図柄決定手段114は、特別図柄を決定するための図柄決定抽選値を取得し、当否抽選手段112による当否判定結果と図柄決定抽選値とに応じて特別図柄の停止図柄を決定する。当否判定結果に基づいて当否および時短や確変への移行可否が決定される。その決定結果が停止図柄として示される。図柄決定手段114は、また、パターン決定抽選値を取得する。図柄決定手段114は、パターン決定抽選値により、複数の変動パターンからいずれかのパターンを選択する。図柄決定手段114は、決定した停止図柄および変動パターンを示すデータをメイン表示制御手段118および演出決定手段132へ送出する。
パターン決定テーブルは、通常パターン決定テーブル150と限定パターン決定テーブル160の2種類がある。それぞれについては、図4(a)および図4(b)に関連して詳述する。図柄決定手段114は、通常モードのときには通常パターン決定テーブル150に基づいて変動パターンを選択し、限定モードのときには限定パターン決定テーブル160に基づいて変動パターンを選択する。
【0032】
図柄決定手段114は、特別図柄を変動表示させるときの変動開始から停止までの変動態様が定められた複数種の変動パターンを記憶する。複数種の変動パターンは、長短様々な変動時間をもつ。すなわち、各変動パターンには、その図柄変動の終了条件としてパターンごとに変動表示時間が定められており、その変動表示時間の経過時に特別図柄の変動が停止される。
【0033】
図柄決定手段114は、遊技球が作動口68を通過した場合に、普通図柄を決定するための抽選乱数を取得し、その抽選乱数に応じて普通図柄の停止図柄を決定する。普通図柄の停止図柄が特定の図柄であった場合、開閉制御手段124が始動口62の普通電動役物を所定時間拡開する。
【0034】
保留制御手段116は、当否抽選手段112により取得された当否抽選値を保留球として保持する。当否抽選値は、その保留数が所定の上限に達するまで蓄積される。保留数の上限は4である。
【0035】
メイン表示制御手段118は、当否抽選手段112による抽選の結果を、図柄決定手段114により決定された変動パターンにしたがって特別図柄の変動表示として特別図柄表示装置61に表示させる。メイン表示制御手段118は、特別図柄の変動表示を開始するタイミングと停止するタイミングにて、変動開始コマンドと変動停止コマンドを演出表示制御手段134へ送信することにより、メイン表示制御手段118および演出表示制御手段134による変動表示が同期し、連動が保たれる。メイン表示制御手段118は、普通図柄の変動を普通図柄表示装置59に表示させる。
【0036】
特別遊技制御手段120は、当否抽選手段112による当否抽選結果が当たりであった場合に、特別遊技の実行処理を制御する。特別遊技は、大入賞口66の開閉動作を複数回数連続して継続する遊技であり、1回の開閉を単位とした1回または複数回の単位遊技で構成される。単位遊技は例えば15回を上限として繰り返され、1回の単位遊技において大入賞口66を約30秒間開放させる。特別遊技制御手段120は、単位遊技の継続回数が上限回数に達していなければ、現在の単位遊技の終了後に次の単位遊技を開始させる。単位遊技の上限回数を消化した場合には、特別遊技を終了させる。
【0037】
特定遊技実行手段122は、遊技状態を通常状態から特定遊技状態へ移行させる制御と、特定遊技状態から通常状態へ戻す制御を実行する。本実施例における特定遊技には、当否抽選の当選確率を通常確率の状態から高確率の状態へ切り替える確変と、図柄変動時間を通常時間より短時間へ切り替える時短とがある。
【0038】
特定遊技実行手段122は、当否抽選値が確変状態へ移行すべき値であった場合に、特別遊技後の遊技状態を確変状態へ移行させる。確変状態は原則として次の大当たりが発生するまで続行され、その間は当否抽選手段112による当たり判定の確率が高い値のまま維持される。また、特定遊技実行手段122は、確変に移行しないときには、特別遊技後に遊技状態を時短の状態へ移行させる。時短は、特別遊技後の特別図柄の変動回数が所定回数、たとえば100回に至るまで継続される。
【0039】
開閉制御手段124は、始動口62の普通電動役物や大入賞口66の開閉を制御する。開閉制御手段124は、普通図柄が特定の図柄で停止されると、普通電動役物ソレノイド76に開放指示を送り、始動口62を開放させる。また、開閉制御手段124は、特別遊技中、大入賞口ソレノイド80に開放指示を送り、大入賞口66を開放させる。
【0040】
サブ基板104:
パターン記憶手段130は、装飾図柄190の変動において演出表示装置60に表示させる演出的な画像内容とその表示過程が定められた複数の演出パターンを保持する。演出パターンには、装飾図柄190の変動表示における変動開始から停止までの変動過程と演出過程が定められた複数の変動パターンと、装飾図柄の変動表示とは別に表示されて大当たりへの期待度の高さを予告的に示唆する複数の予告演出パターンとが含まれる。
【0041】
変動パターンには、通常の外れ図柄を表示するときのパターンと、あと一つ図柄が揃えば大当たりとなるリーチ状態を経て外れ図柄を表示するときのパターンと、リーチ状態を経て大当たり図柄を表示するときのパターンが含まれる。特に、リーチ状態を経るときのパターンとしては、長短様々な変動時間をもつパターンが含まれる。各変動パターンには、その図柄変動の終了条件としてパターンごとに変動時間が定められており、その変動時間の経過時に図柄変動が停止される。演出決定手段132は、特別図柄の変動パターンに応じて、特別図柄と変動時間が等しい演出画像の変動パターンを選択する。
【0042】
演出決定手段132は、装飾図柄の停止図柄の組合せとその配置および変動パターンを、当否抽選手段112による抽選の結果、特別図柄の停止図柄、特別図柄の変動パターンに応じて決定する。演出決定手段132は、装飾図柄の停止図柄を決定するために参照すべき図柄範囲テーブルや、変動パターンを決定するために参照すべきパターン決定テーブルを保持する。
【0043】
装飾図柄の停止図柄は、3つの図柄の組合せとして形成され、たとえば当否抽選手段112による判定結果が特別遊技への移行を示す場合は「777」や「111」のように3つの図柄が揃った組合せが選択される。この場合、装飾図柄として揃える数字には、特別図柄と同じ数字が選ばれるのが好ましい。たとえば、特別図柄が「3」の場合は装飾図柄が「333」となる。当否抽選手段112による判定結果が特別遊技へ移行しない旨を示す場合は、「312」や「946」のように3つの図柄が揃っていない組合せが選択される。ただし、当否判定結果が特別遊技へ移行しない旨を示す場合であって、リーチ付きの外れを示す特別図柄の変動パターンが選択された場合は、「191」や「727」のように一つだけ図柄が揃っていない組合せを選択する。演出決定手段132は、装飾図柄の停止図柄と演出画像の変動パターンの情報を演出表示制御手段134へ送る。
【0044】
予告演出パターンは、特定のキャラクタやモチーフの画像、アニメーション、映像などを一時的に画面表示させる演出パターンや、特定の音声を出力する演出パターンである。予告演出パターンによる演出は、図柄変動と並行して実行され、その図柄変動が大当たり態様にて停止する期待度が高いことを予告的に示唆する。例えば、キャラクタの画像を一つだけ画面に表示させるだけの通常予告演出や、多数のキャラクタの群れを画面の一端から他端へ通過させるように表示させる群予告演出がある。また、予告演出の表示過程を複数段階に分け、表示させる段階数を可変にして段階数が多いほど大当たりへの期待度が高くなるように設定されるステップアップ予告演出がさらに含まれる。
【0045】
予告演出パターンには、装飾図柄190の表示態様がリーチ状態となった後のタイミングで演出が実行されて図柄の最終的な停止態様を予告するパターンと、装飾図柄190が一つも停止していないタイミングで演出が実行されてリーチ状態となることを同時に予告するパターンとがある。
【0046】
演出決定手段132は、当否判定の結果に応じて演出表示装置60に予告演出を表示させるか否かを所定の予告抽選により決定するとともに、表示させるべき予告演出パターンを決定する。演出決定手段132は、予告演出を表示させるか否かを決定するために参照すべき予告決定テーブルと、予告演出パターンの種類を選択するときに参照すべき予告種類テーブルとを保持する。予告決定テーブルは、当否判定の結果に応じて異なる欄が参照されるように設定されており、当否抽選が当たりの場合は外れの場合よりも高い確率で予告演出を表示させるよう、当否判定の結果と予告演出を表示するか否かの対応関係が定められる。これにより、予告演出が表示されること自体で大当たりへの期待度の高さを示唆することができる。
【0047】
演出表示制御手段134は、当否抽選手段112による当否抽選の結果として、選択された変動パターンデータにしたがって演出表示装置60へ演出画像を変動表示させる。演出表示制御手段134は、予告演出を表示させる旨が演出決定手段132により決定された場合、選択された予告演出パターンにしたがった予告演出を演出表示装置60へ表示させる。演出表示制御手段134は、遊技効果ランプ90の点灯および消灯や、スピーカ18からの音声出力などの演出処理をさらに制御する。
【0048】
役物制御手段136は、演出表示制御手段134から受け取る指示にしたがい、演出表示装置60における演出内容や遊技効果ランプ90の点滅過程に沿って、可動役物140を演出的に動作させる。
【0049】
図4(a)は、通常パターン決定テーブル150のデータ構造図である。
当否抽選手段112は、当否抽選値を取得し、当否を判定する。図柄決定手段114は、パターン決定抽選値を取得し、当否を示すための特別図柄の変動パターンを決定する。パターン決定抽選値は、0〜255の範囲でランダムに取得されるものとする。また、図柄決定手段114は、図柄決定抽選値により停止図柄を決定する。図柄決定抽選値も、0〜255の範囲でランダムに取得される。当否欄152は、当否を示す。パターン決定抽選値欄154は、パターン決定抽選値を示す。変動パターン欄156は、変動パターンを示す。図柄決定手段114は、通常モードにおいては、通常パターン決定テーブル150に基づいて、変動パターンを決定する。
【0050】
たとえば、大当たり時に取得されたパターン決定抽選値が171〜220の範囲にあれば、「リーチ当たりパターンB」という名前の変動パターンが選択される。サブ基板104においても、演出決定手段132はこの「リーチ当たりパターンB」に対応する装飾図柄の変動パターンを選択する。
【0051】
外れ時に取得されたパターン決定抽選値が11〜20の範囲にあれば、「通常外れパターンB」が選択され、100〜110の範囲にあれば「リーチ外れパターンY」が選択される。このように、当否抽選値およびパターン抽選値の組合せにより、さまざまな変動パターンがさまざまな選択確率にて選択されることになる。
【0052】
外れ時において、図柄決定抽選値が0〜10の範囲にあるときには、特定外れを示す停止図柄が決定される。たとえば、通常外れパターンAが選択されるときに特定外れを示す停止図柄が選ばれたときには、図柄変動停止時に「特定外れ」が示される。特定外れが発生すると、通常モードから限定モードに移行する。特定外れを示す停止図柄が選択されるときの変動パターンのことを特に「特定外れパターン」とよぶ。通常外れパターンA以外の外れパターンも、図柄決定抽選値によってはいずれも「特定外れパターン」となり得る。
【0053】
図4(b)は、限定パターン決定テーブル160のデータ構造図である。
当否欄162は、当否を示す。パターン決定抽選値欄164は、パターン決定抽選値を示す。変動パターン欄166は、変動パターンを示す。図柄決定手段114は、限定モードにおいては、限定パターン決定テーブル160に基づいて、変動パターンを決定する。限定パターン決定テーブル160には、「通常外れパターンB」と「リーチ外れパターンY」のみが含まれる。このため、限定モードにおいては、通常モードに比べて演出のバリエーションが縮小されることになる。限定モードにおいては、大当たり時には「通常外れパターンB」、外れ時には「リーチ外れパターンY」が選択される。本実施例においては、限定モードのときには、パターン決定抽選値に関わらず、当否に応じてこれらいずれかの変動パターンのみが選択対象となる。「通常外れパターンB」と「リーチ外れパターンY」の変動時間は、共に、10秒間であり同一である。
【0054】
詳しくは後述するが、特定外れが発生すると、図柄決定手段114は限定回数を決定するための抽選(以下、「限定回数抽選」とよぶ)を行う。限定回数は、3〜15回の範囲でランダムに選択される。たとえば、限定回数が7回と決定されたとき、図柄決定手段114は演出表示制御手段134に限定モードへ移行する旨と、限定回数7回を通知する。演出表示制御手段134は、「7回転以内にリーチをかけろ!」というミッションを演出表示装置60に表示させる。限定回数7回の限定モードの限定終了条件は、図柄変動が7回に到達するか、大当たりが発生することである。限定モード中に大当たりが発生したときには、「リーチ外れパターンY」が必ず選択されるので、ミッションも成立することになる。
【0055】
「7回転以内にリーチをかけろ!」といったミッション演出自体は一般的である。従来、このようなミッションが示されると、7回転以内に外れが発生したときには、ミッションが成立しないように、リーチが不成立の変動パターンを選ぶように制御する必要があった。同様に、7回転以内に大当たりが発生したときには、ミッションが成立するように、リーチが成立する変動パターンを選ぶように制御する必要があった。すなわち、ミッションの成否と当否判定結果が整合するように、変動パターンの選択方法を制御する必要があった。これに対して、本実施例における限定モードにおいては、もともと、外れなら非リーチパターン、当たりならリーチパターンが選択されるように設定されているため、「7回転以内にリーチをかけろ!」といったミッションの内容に合わせて変動パターンの選択方法を制御する必要がない。
【0056】
限定モードにおいては、リーチが成立すれば当たり、成立しなければ外れのように演出内容が単純化される。また、限定モードにおいては、図柄の変動時間は一律10秒間に固定されることになる。このため、限定モードにおいては、図柄変動の進行ペース自体も一定となる。通常モードでは演出の趣向を凝らしつつも、限定モードではシンプルな演出を実行することにより、遊技全体における演出の抑揚感を実現できる。また、詳しくは次の図5に関連して説明するが、限定モードにおいては遊技者の大当たりに対する期待感が通常モードのときよりも高まるように制御している。
以下においては、通常パターン決定テーブル150に基づいて選択される変動パターンのことを「通常パターン」、限定パターン決定テーブル160に基づいて選択される変動パターンを「限定パターン」とよぶ。
【0057】
図5は、事前判定に基づく限定モード移行を説明するための模式図である。
保留制御手段116は、FIFO(First-In First-Out)方式にて、最高4つまで当否抽選値を保留球として保持する。既に保留球が4つあるときに遊技球が始動口62に入球しても、当否抽選値は保留されない。同図は、当否抽選値R1、R2、R3が保留されているときに、新たな当否抽選値R4が取得された状態を示している。新たに図柄変動開始タイミングに至ると、当否抽選手段112は先頭の当否抽選値R1を取り出し、当否判定を行う。このとき、停止図柄や変動パターン等も決定され、図柄変動が開始される。当否抽選値R1が特定外れであれば、限定モードに移行する。
【0058】
当否抽選値R1が特定外れでなくても、例外的に、限定モードに移行する場合がある。当否抽選値R1の取り出し時において保留されている当否抽選値R2〜R4のいずれかに大当たりとなる当否抽選値が含まれている場合である。このために、当否抽選値が保留されるときにも、当否抽選手段112は事前にその当否を判定しておく(以下、このような判定を「事前判定」とよぶ)。たとえば、当否抽選値R4が事前判定の結果、大当たりであったとする。この場合、当否抽選手段112は、所定の確率、たとえば、20%の確率にて、大当たり予告フラグをオンしておく。その後、当否抽選値R1を取り出したとき、外れ、かつ、大当たり予告フラグがオンとなっていれば、いいかえれば、将来的な大当たりの発生が確定している状況にあれば、当否抽選値R1の停止図柄が特定外れでなくても、限定モードに移行させる。当否抽選値R1についての図柄決定抽選値を特定外れに対応する図柄決定抽選値に書き換えてもよい。
まとめると、限定モードに移行する条件は、
C1.特定外れが発生すること
C2.将来的に大当たりが発生することが確定していること
のいずれかである。したがって、限定モードに移行したときには、遊技者は、C2を契機として限定モードに移行している可能性を期待することになる。いいかえれば、将来的な大当たりに対する期待感を喚起されることになる。
なお、大当たりを示す当否抽選値が保留されていたとしても、必ず、大当たり予告フラグがオンとなるわけではない。限定モード中に限らず、通常モード中であっても大当たりは発生可能である。
【0059】
図6は、ぱちんこ遊技機における基本的な動作過程を示すフローチャートである。
まず、遊技球が始動口62、一般入賞口72、大入賞口66などへ入賞した場合や、遊技球が作動口68を通過した場合の処理を実行する(S10)。始動口62への入賞が発生し、当否抽選値が取得されるときには、当否抽選手段112は更に事前判定を実行しておく。大当たりの場合には、20%の確率にて大当たり予告フラグをオンする。
なお、大当たり予告フラグをオンする確率は当たり図柄や変動パターンによって決定されてもよい。たとえば、事前判定によって、複数種類の当たり図柄のうちの20%の当たり図柄が選択される大当たりの場合には、大当たり予告フラグをオンするとしてもよい。同様に、事前判定によって、複数種類の当たり変動パターンのうちの20%の当たり変動パターンが選択される大当たりの場合には、大当たり予告フラグをオンするとしてもよい。
次に、特別遊技中でなければ(S12のN)、当否抽選などの通常遊技の制御処理を実行し(S14)、特別遊技中であれば(S12のY)、特別遊技の制御処理を実行し(S16)、S10からS16までの処理における各種入賞に応じた賞球払出を処理する(S18)。
【0060】
図7は、図6におけるS14の通常遊技制御処理を詳細に示すフローチャートである。
通常遊技制御処理において、当否抽選値の保留がなされている場合であって(S30のY)、図柄変動が表示中でなければ(S32のN)、当否抽選手段112が当否判定処理を実行する(S34)。当否判定処理の詳細については、次の図8に関連して詳述する。その判定結果に応じてメイン表示制御手段118が変動表示を開始するとともに、変動開始コマンドを演出表示制御手段134へ送信し、これを受信した演出表示制御手段134が変動パターンデータにしたがって演出画像の変動表示を開始する(S36)。S30において当否抽選値が保留されていなかった場合は(S30のN)、S32からS36までの処理がスキップされ、S32において図柄変動が表示中であった場合は(S32のY)、S34およびS36の処理がスキップされる。続いて、図柄変動表示がすでに開始されていれば(S38のY)、図柄変動表示処理を実行し(S40)、図柄変動表示が開始されていないときは(S38のN)、S40をスキップする。
【0061】
図8は、図7におけるS34の当否判定処理を詳細に示すフローチャートである。
当否抽選手段112は、まず、保留されている当否抽選値を取り出し、当否判定を実行する(S100)。確変中であれば高確率で大当たりとなる当否テーブル、確変中でなければ低確率で大当たりとなる当否テーブルにより当否判定がなされる。限定モード中であれば(S102のY)、既に設定されている限定回数をデクリメントする(S104)。当否抽選の結果が大当たりの場合には(S110のY)、限定終了条件が成立となるため、限定回数をゼロにリセットすることにより限定モードを終了させる(S112)。図柄決定手段114は、当該図柄変動については限定パターン決定テーブル160を参照して限定パターンを選択する(S116)。当否抽選の結果が特定外れの場合には(S110のN、S113のY)、限定回数を再設定した上で(S115)、限定パターンを選択する(S116)。限定モード中に特定外れ以外の通常の外れが発生した場合には(S110のN、S113のN)、S115はスキップされる。ただし、S104においてデクリメント後の限定回数がゼロに到達しているときには、次回図柄変動からは通常モードとなる。
【0062】
限定モードでないとき、いいかえれば、通常モード中において(S102のN)、特定外れが発生していれば(S106のY)、図柄決定手段114は限定回数抽選により限定回数の初期値を設定する(S114)。図柄決定手段114は、当該図柄変動については通常パターン決定テーブル150を参照して通常パターンを選択する(S118)。限定回数が非負値となるため、次回図柄変動からは限定モードとなる。
【0063】
通常モード中において(S102のN)、外れが発生し、かつ、大当たり予告フラグがオンのとき、いいかえれば、大当たりを示す当否抽選値が保留されているときには(S108のY)、限定回数抽選により限定回数の初期値が設定される(S114)。図柄決定手段114は、当該図柄変動については通常パターン決定テーブル150を参照して通常パターンを選択する(S118)。このときには、特定外れ時と同じく「特定外れパターン」を選択してもよい。「特定外れパターン」を選択すれば、遊技者は特定外れによる限定モード移行か、大当たり確定に基づく限定モード移行かを図柄の変動態様から認識できなくなる。限定回数が非負値となるため、次回変動からは限定モードとなる。
【0064】
通常モード中において(S102のN)、「特定外れ」や「外れ、かつ、大当たり予告フラグオン」以外の状況にあるとき(S106のN、S108のN)、通常モードがそのまま継続する。図柄決定手段114は、通常パターン決定テーブル150を参照して通常パターンを選択する(S118)。
【0065】
図9は、図8の当否判定処理の続きを詳細に示すフローチャートである。
当否抽選の結果が大当たりであれば(S52のY)、特別遊技制御手段120は特別遊技フラグをオンする(S54)。特別遊技フラグがオンのときには、当該変動の終了後に特別遊技が実行される。
【0066】
確変当たりでれば(S58のY)、特定遊技実行手段122は、確変フラグをオンする(S60)。確変フラグがオンのときには、当該図柄変動の次に実行される当否抽選は高確率の当否テーブルにより実行されることになる。S54の特別遊技フラグのオンにより特別遊技が実行された後、S60の確変フラグオンにより確変遊技が実行されることになる。通常当たりであれば(S58のN)、特定遊技実行手段122は、確変フラグをオフする(S62)。確変フラグがオフのときには、当該図柄変動の次に実行される当否抽選は低確率の当否テーブルにより実行されることになる。S54の特別遊技フラグのオンにより特別遊技が実行された後、S60の確変フラグオフにより変動短縮遊技が実行されることになる。
当否抽選が外れであれば(S52のN)、特別遊技制御手段120は特別遊技フラグをオフする(S56)。
【0067】
図10は、図6のS16における特別遊技制御処理を詳細に示すフローチャートである。
まず、大入賞口66が開放済でなければ(S70のN)、演出表示制御手段134が特別遊技の演出処理を開始し(S72)、開閉制御手段124が大入賞口66を開放する(S74)。大入賞口66が開放済であればS72およびS74をスキップする(S70のY)。大入賞口66が開放されてから所定の開放時間が経過した場合(S76のY)、または、開放時間が経過していないものの(S76のN)、大入賞口66へ遊技球が9球以上入球した場合(S78のY)、開閉制御手段124が大入賞口66を閉鎖させる(S80)。開放時間が経過しておらず(S76のN)、大入賞口66への入球数も9球以上に達していない場合は(S78のN)、S80以降の処理をスキップしてS16のフローを終了する。
【0068】
S80における大入賞口66の閉鎖後、単位遊技のラウンド数が15に達していた場合(S82のY)、演出表示制御手段134は特別遊技の演出処理を終了させ(S84)、特別遊技制御手段120は特別遊技を終了させる(S86)。なお、確変当たりであったときには、特定遊技実行手段122は当否抽選のための当否テーブルとして高確率の当否テーブルを設定し、通常当たりであったときには、低確率の当否テーブルを設定する。通常当たりの場合、特定遊技実行手段122は変動短縮遊技を開始する。
ラウンド数が15に達していなければ(S82のN)、ラウンド数に1を加算してS16のフローを終了する(S90)。
【0069】
以上、本実施例に示したぱちんこ遊技機10は、複数種類の外れのうち、「特定外れ」が発生したことを契機として限定モードに移行する。限定モードに移行すると演出バリエーションが通常モードに比べて縮小する。遊技進行に応じて演出バリエーションの広狭を変化させることにより、通常パターンの演出価値を高めることができる。限定モードにおいては、演出バリエーションが縮小され変動時間も固定されるため、スピーディーでわかりやすい演出内容となる。特に、外れを契機として限定モードに移行するため、開閉制御手段124による機構制御のための時間を確保する必要がなく、通常モードから限定モードへのスムーズな切り換えを実現できる。
また、限定パターン群は通常パターン群の一部すれば、限定モード用の変動パターンを別途用意しなくてもよい。
【0070】
本実施例におけるぱちんこ遊技機10は、特定外れでなくても、当たりを示す当否抽選値が保留されているときには、所定の確率で限定モードに移行させている。このような態様によれば、限定モードに移行したとき、遊技者は当たりを示す当否抽選値が保留されていることを期待することになり、限定モードにおける遊技者の期待感を喚起しやすくなる。ここでいう所定の確率は100%であってもよい。この場合には、大当たりは必ず限定モード中にしか発生しなくなるため、限定モードにおける遊技者の期待感をいっそう喚起しやすくなる。
【0071】
本実施例においては、限定回数がゼロとなると、限定モードが終了するとして説明したが、限定モード中に大当たりが発生するまで限定モードを継続させるとしてもよい。本実施例においては、限定モード移行時においてミッションを示すとして説明したが、変形例として、限定モードへの移行を遊技者に報知しない構成であってもよい。このような態様によれば、限定モードに移行しているのかもしれないという遊技者の期待感を喚起することができる。本実施例においては、限定パターンは2種類であり、当否のみに基づいて決定されるとして説明したが、限定パターンの種類は通常パターンの種類より少なければよく、その場合にはパターン決定抽選値等に基づいて限定パターンを選択すればよい。また、本実施例においては、限定モードにおいては「リーチ外れパターンY」が当たりパターンであるとして説明したが、「リーチ当たりパターンA」など、通常モードにおける当たり変動パターンを限定モードにおける当たり変動パターンとして採用してもよい。特定外れは複数種類あってもよい。たとえば、特定外れAのときには、限定パターン決定テーブルAによる限定モード、特定外れBのときには、別の限定パターン決定テーブルBによる限定モードに移行してもよい。
【0072】
本実施例においては、限定モードにおいて大当たりが発生するとリーチパターンが選択されるとして説明した。いいかえれば、限定モードにおいてリーチパターンが選択されると、遊技者は大当たりを認識できる。ただし、このような限定モードにおいて遊技者に当たりを報知する変動パターンは、「リーチパターン」でなくてもよい。たとえば、限定モードにおいて大当たりが発生すると、所定のキャラクタが登場する変動パターンが選択されるとしてもよい。
【0073】
限定モードにおいては、変動時間が所定時間以上の変動パターンを選択対象外としてもよい。たとえば、スーパーリーチパターンを限定パターンから除外してもよい。この場合には、限定モード中における図柄変動の進行ペースが上がるため、遊技のスピード感を向上させることができる。
【0074】
限定回数は、ランダムに選択するのではなく、固定値であってもよい。図5に関連して説明したように、限定モードに移行する条件は、
C1.特定外れが発生すること
C2.将来的に大当たりが発生することが確定していること
のいずれかである。ここで、条件C1に基づく限定モードの限定回数と条件C2に基づく限定モードの限定回数とは異なる値であってもよい。
【0075】
以上、本発明について、実施例をもとに説明した。この実施例はあくまで例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0076】
なお、請求項に記載の各構成要件が果たすべき機能は、本実施例において示された各機能ブロックの単体もしくはそれらの連係によって実現されることも当業者には理解されるところである。
【符号の説明】
【0077】
10 ぱちんこ遊技機、 11 外枠、 12 前枠、 13 透明板、 14 扉、 15 上球皿、 16 下球皿、 17 発射ハンドル、 18 スピーカ、 20 抽選保留ランプ、 22 作動保留ランプ、 39 セット基盤、 40 電源スイッチ、 42 液晶ユニット、 43 払出ユニット、 44 賞球タンク、 45 払出制御基板、 46 発射装置、 47 発射制御基板、 48 電源ユニット、 50 遊技盤、 52 遊技領域、 54 外レール、 56 内レール、 58 アウト口、 59 普通図柄表示装置、 60 演出表示装置、 61 特別図柄表示装置、 62 始動口、 64 センター飾り、 68 作動口、 69 通過検出装置、 72 一般入賞口、 74 始動入賞検出装置、 73 一般入賞検出装置、 76 普通電動役物ソレノイド、 78 入賞検出装置、 80 大入賞口ソレノイド、 82 操作ボタン、 90 遊技効果ランプ、 100 遊技制御装置、 102 メイン基板、 104 サブ基板、 110 入球判定手段、 112 当否抽選手段、 114 図柄決定手段、 116 保留制御手段、 118 メイン表示制御手段、 120 特別遊技制御手段、 122 特定遊技実行手段、 124 開閉制御手段、 130 パターン記憶手段、 132 演出決定手段、 134 演出表示制御手段、 136 役物制御手段、 140 可動役物、 150 通常パターン決定テーブル、 152 当否欄、 154 パターン決定抽選値欄、 156 変動パターン欄、 160 限定パターン決定テーブル、 162 当否欄、 164 パターン決定抽選値欄、 166 変動パター
ン欄、 190 装飾図柄、 192 特別図柄。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技領域が形成された遊技盤と、
前記遊技領域の所定位置に設けられ、遊技球が入球可能な始動入賞口と、
前記遊技領域の所定位置に設けられ、遊技球が入球可能な状態に開放可能な大入賞口と、
前記始動入賞口へ遊技球が入球したことを契機として、当否について判定するための当否抽選を実行する当否抽選手段と、
前記当否抽選の結果が当たりであるときに、前記大入賞口を開放させることにより遊技者に有利な遊技状態である特別遊技を実行する特別遊技制御手段と、
前記当否抽選の結果を示すための図柄が変動表示される図柄表示装置と、
前記図柄の変動過程が定められた複数の変動パターンを保持するパターン記憶手段と、
前記複数の変動パターンからいずれかの変動パターンを選択するパターン決定手段と、
前記選択された変動パターンにしたがって図柄を変動表示させる表示制御手段と、を備え、
前記パターン決定手段は、前記当否抽選の結果を示すための図柄が特定の態様にて停止表示されたときには、前記複数の変動パターンよりも図柄変動の種類が減少された特定の変動パターン群のみから変動パターンを選択し、以降に実行される当否判定においても前記特定の変動パターン群に属する変動パターンを選択することを特徴とする弾球遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4(a)】
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【図4(b)】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−81867(P2013−81867A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−27586(P2013−27586)
【出願日】平成25年2月15日(2013.2.15)
【分割の表示】特願2008−231809(P2008−231809)の分割
【原出願日】平成20年9月10日(2008.9.10)
【出願人】(390031783)サミー株式会社 (5,279)
【Fターム(参考)】