説明

弾球遊技機

【課題】発射ユニットに保持された基板に対する不正行為を防止できる弾球遊技機を提供する。
【解決手段】発射制御基板には払出制御基板に電気的に繋がるハーネス173の先端に設けられたハーネス側コネクタ163と接続する基板側コネクタ163Cが設けられており、前枠2には発射ユニット100が当該前枠2に取り付けられたときに、上球皿30を開いた状態で前方から見て発射ユニット100によって隠蔽される位置にハーネス173を通過させるハーネス通過口252が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、球皿に貯留された遊技球を遊技領域へ向けて発射する発射ユニットを備えた弾球遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
弾球遊技機の代表例であるパチンコ機には、遊技盤の前面側に形成された遊技領域に向かって発射ハンドルの回動操作量に応じた発射強度で遊技球を発射する発射機構、球皿に貯留された遊技球を1球ずつ発射機構へ送出する球送り機構、払出制御基板等の他の基板に電気接続されて発射機構および球送り機構の作動を制御する発射制御基板、などが設けられている。一般的に、発射機構は遊技盤を立設姿勢で収容保持する前枠の前面側に設けられ、球送り機構は前枠の前面側に横開き開閉可能に設けられたガラス枠等の球皿の背面側に設けられ、発射制御基板は前枠の背後に位置して裏セット盤を称される機構セット盤に設けられている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−95131号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年では、発射機構、球送り機構および発射制御基板を1つのケース部材内に集約配置して1個の単体(アッセンブリ)として前枠の前面側に着脱可能に構成される発射ユニットの開発が望まれている。このように発射ユニットをアッセンブリとして前枠の前面側に取り付けた場合、パチンコ機正面から発射制御基板に対してアクセスし易くなり、発射制御基板と裏セット盤に設けられた払出制御基板とを電気接続するハーネスのコネクタが不正に抜脱されるおそれがある。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、発射ユニットに保持された基板に対する不正行為を防止できる弾球遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的達成のために、本発明に係る弾球遊技機は、前面側に所定の遊技領域が形成された遊技盤を保持する枠部材(例えば、実施形態における前枠2)と、枠部材の前面側に開閉自在に設けられ、枠部材の少なくとも一部を覆う閉止位置と、当該一部を開放する開放位置との間で揺動する開閉部材(例えば、実施形態における上球皿30)と、枠部材の後面側に設けられた第1基板(例えば、実施形態における払出制御基板47)と、枠部材の前面側に設けられて遊技球を遊技領域に向けて打ち出す発射ユニットと、を備える弾球遊技機であって、発射ユニットは、発射口が形成されたケース部材(例えば、実施形態におけるユニットケース110)と、ケース部材に設けられ遊技球を送出する球送り機構と、ケース部材に球送り機構と対向して設けられ、球送り機構から送出された遊技球を発射口を通して遊技領域へ向けて打ち出す発射機構と、ケース部材に設けられ第1基板と電気接続される第2基板(例えば、実施形態における発射制御基板160)と、を備えて構成され、第2基板には、第1基板に電気的に繋がるハーネスの先端に設けられたハーネス側コネクタと接続する基板側コネクタが設けられており、枠部材には発射ユニットが当該枠部材に取り付けられたときに、開閉部材を開いた状態で前方から見て発射ユニットによって隠蔽される位置にハーネスを通過させるハーネス通過口が形成されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る弾球遊技機によれば、発射ユニットに保持された基板に対する不正行為を防止することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明を適用した弾球遊技機の一例として示すパチンコ機を前方から見た斜視図である。
【図2】ガラス枠及び上球皿を横開き開放した状態のパチンコ機の斜視図である。
【図3】パチンコ機を後方から見た斜視図である。
【図4】発射ユニットを前方から見た斜視図である。
【図5】発射ユニットの正面図である。
【図6】発射ユニット平面図である。
【図7】発射ユニット側面図である。
【図8】発射ユニットの発射機構を示す斜視図である。
【図9】発射ユニットの内部構造を示す斜視図である。
【図10】発射機構の球送り弁が球出口閉止位置である状態を示す正面図である。
【図11】図10の矢印XI−XIに沿って示す断面図である。
【図12】発射機構の球送り弁が球出口開放位置にある状態を示す正面図である。
【図13】図12の矢印XIII−XIIIに沿って示す断面図である。
【図14】発射ユニットの電気的構成の概要を示すブロック図である。
【図15】発射ユニットの取付構造の概要を示す正面図である。
【図16】発射ユニットの取付構造の概要を示す平面図である。
【図17】発射制御基板に対する防振構造を示す断面図である。
【図18】切断部材の側面図である。
【図19】切断部材の作用を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の好ましい実施形態について説明する。まず、本発明に係る弾球遊技機を適用したパチンコ機PMの全体構成を図1〜図3の各図を参照しながら概要説明する。ここで、図1はパチンコ機PMを前方から見た斜視図、図2は前面のガラス枠及び上球皿を横開き開放した状態のパチンコ機PMの斜視図、図3はパチンコ機PMを後方から見た斜視図である。
【0010】
[パチンコ機の全体構成]
パチンコ機PMは、図1に示すように、外郭方形枠サイズに構成された縦向きの固定保持枠をなす外枠1の開口前面に、これに合わせた方形枠サイズに構成されて開閉搭載枠をなす前枠2が互いの正面左側縁部に配設された上下のヒンジ機構3a,3bにより横開き開閉および着脱が可能に取り付けられ、正面右側縁部に設けられたダブル錠と称される施錠装置4を利用して常には外枠1と係合連結された閉鎖状態に保持される。
【0011】
前枠2の前面上部側には、複層ガラスを有して略方形状をなすガラス枠5が上下のヒンジ機構3を利用して横開き開閉および着脱可能に組み付けられ、施錠装置4を利用して常には前枠2の前面を覆う閉鎖状態に保持される。ガラス枠5の背後に位置する前枠2の前面側には、遊技盤10を着脱可能に収容する収容枠が設けられており、この収容枠の上部領域に遊技盤10が着脱可能にセット保持され、常には閉鎖保持されるガラス枠5の複層ガラスを通して遊技盤10の正面の遊技領域PAを視認可能に臨ませるようになっている。また、前枠2の前面上部における左右には、遊技の展開状態に応じて効果音を発生させるスピーカ21が配設されている。
【0012】
遊技盤10は、所定板厚の積層合板の表面にセルを貼り付けてルーター加工した化粧板を基板とし、円弧状の案内レール11等に囲まれて遊技球が転動可能な略円形状の遊技領域PAが区画形成されている。遊技領域PAには、詳細図示を省略するが、多数本の遊技釘や風車とともに各種入賞装置(例えば、一般入賞装置、始動入賞装置、大入賞装置)等の遊技構成部品が取り付けられている。また、遊技領域PAの下端には、各入賞装置に入賞せずに落下した遊技球を遊技盤10の裏面側へ排出させるアウト口12が前後に貫通して形成されている。なお、各入賞装置の入賞口に落入した遊技球は遊技盤10の裏面側に排出され、該裏面側に設けられた入賞球検出器を通過することによって入賞が検出されるようになっている。この入賞球検出器は、遊技球の通過を検出可能な通過型センサである限り特に限定されず、例えば、近接センサ、磁気センサ、光センサ等の非接触動作型でも、マイクロスイッチのような接触動作型でもよい。
【0013】
前枠2の前面側におけるガラス枠5の下側には、上球皿30が正面左側に設けられたヒンジ機構22により横開きおよび着脱可能に取り付けられ、常には正面右側に設けられたロック機構23を利用してガラス枠5の下側において前枠2の前面下部を覆った状態で係止保持されている。また、前枠2の前面下部にはガラス枠5の背後に位置して遊技盤10と上下に整合し得る遊技補助盤と称される補助機構部が形成されており、この遊技補助盤25の各部に、遊技盤10の遊技領域PAに向けて遊技球を発射する発射ユニット100、発射ユニット100から発射された遊技球を遊技盤10の案内レール11に案内するレール体28、後述する賞球払出装置42から払い出された遊技球(賞球)を通過させる賞球連絡通路27、遊技の展開状態に応じて効果音を発生させるスピーカ26等が設けられている。
【0014】
上球皿30は、遊技補助板25の前面を覆うように形成された当て板31と、当て板31の前方に突出して設けられ、遊技中に払い出された遊技球(賞球)を受容して貯留する球皿部32とを有して形成され、さらに球皿部32の右側(下流部)には球抜きレバー33が取り付けられている。当て板31の背面側には、上球皿30を前枠2に閉止した閉鎖状態(以下「球皿閉鎖状態」と称する)で後方の賞球連絡通路27と連絡し、賞球連絡通路27から流入する遊技球を球皿部32に流下させる上球皿連絡ダクト34が後方に突出して形成されている。さらに、当て板31の背面側には、球皿部32に貯留された遊技球を発射ユニット100に供給する球送りダクト35が後方に突出して形成されている。なお、図1に示すように、球皿部32の底部は右方に向かうにつれて下方へ傾斜するように形成されており、球皿部32に貯留された遊技球が重力の作用により球送りダクト35を通って発射ユニット100へ導かれるようになっている。
【0015】
前枠2における上球皿30の下側には、上面開放形態の下球皿7が取り付けられている。この下球皿7は、上球皿30の球皿部32に貯留された遊技球がオーバーフロしたとき(すなわち、満タン状態になったとき)や、遊技者が上球皿30の球抜きレバー33を操作して上球皿30から遊技球を抜いたときに、前枠2側に形成された溢れ球通路28および下球皿出口29を介して送られてくる遊技球を受容して貯留するようになっている。また、下球皿7の右側には、遊技球の発射操作を行う発射ハンドル8が取り付けられている。
【0016】
前枠2の背面上部には、図3に示すように、外枠1の背面側における右上部内側の形状に合わせて逆L字形に形成された第1裏セット盤40がヒンジ機構(図示せず)により横開き開閉および着脱可能に取り付けられており、この第1裏セット盤40の各部に、遊技球を貯留するとともに貯留した遊技球を整列させて流下させる球貯留タンク41、入賞状態等に基づいて遊技球を払い出す賞球払出装置42、賞球払出装置42から払い出された遊技球を上球皿30へ導く球払出通路43等の遊技球の処理機構が設けられている。
【0017】
前枠2の背面下部には、第2裏セット盤45がヒンジ機構(図示せず)により横開き開閉および着脱可能に取り付けられており、この第2裏セット盤45の各部に、遊技施設側から受電して各制御基板および電気・電子部品等に電力を供給する電源基板46、遊技球の払出動作を制御する払出制御基板47が取り付けられている。一方、上下の裏セット40,45に囲まれて遊技盤10の背面側には、パチンコ機PMの作動を統括的に制御するメイン制御基板18、パチンコ機PMの機種(バージョンを含む)および遊技展開に応じた演出の制御を行うサブ制御基板19などが設けられており、これらが図示しないハーネス(コネクタ付ハーネス)で接続されてパチンコ機PMが作動可能に構成される。
【0018】
以上のように構成されるパチンコ機PMは、外枠1が遊技施設の遊技島(設置枠台)に固定設置され、前枠2、ガラス枠5、上球皿30等が閉鎖施錠された状態で遊技に供され、上球皿30に遊技球を貯留させて発射ハンドル8を回動操作することにより遊技が開始される。発射ハンドル8が回動操作されると、上球皿30に貯留された遊技球が、ガラス枠5の裏面側に形成された球送りダクト35を通って1球ずつ発射ユニット100に送り出され、発射ハンドル8の回動操作量に応じた発射強度で発射ユニット100によって遊技領域PAに打ち出されて、以降パチンコゲームが展開される。
【0019】
[発射ユニットの基本構成]
次に、前枠2の前面側に着脱自在に取り付けられる発射ユニット100の基本的な構成について、図4〜図14を追加参照しながら説明する。ここで、図4は発射ユニット100を前方から見た斜視図、図5は発射ユニット100の正面図、図6は発射ユニット100の平面図、図7は発射ユニット100の側面図、図8は発射ユニット100の発射機構を示す斜視図、図9は発射ユニット100の内部構造を示す斜視図、図10は発射機構100の球送り弁が球出口閉止位置である状態を示す正面図、図11は図10の矢印XI−XIに沿って示す断面図、図12は発射機構100の球送り弁が球出口開放位置にある状態を示す正面図、図13は図12の矢印XIII−XIIIに沿って示す断面図、図14は発射ユニット100の電気的構成の概要を示すブロック図である。なお、以下の説明においては、説明の便宜上、前後左右および上下の方向は、パチンコ機PMへの取付状態での方向として、図4の状態を基準として定義しており、図4に示す矢印の方向をそれぞれ前後、左右、上下と称して説明する。
【0020】
発射ユニット100は、前枠2の前面側においてスピーカ26に隣接した配設姿勢で4本の固定ネジ101(図15を参照)を用いて遊技補助盤25に着脱自在に取り付けられる。発射ユニット100は、ユニットケース110、球送り機構140、発射機構150、及び発射制御基板160を主体として構成されている。
【0021】
ユニットケース110は、遊技補助盤25の前面側に設けられ発射機構150の取り付けベースとなるケース本体部材120と、ケース本体部材120の前面側に取り付けられて球送り機構140および発射制御基板160の取り付けベースとなるケース蓋部材130とを備えている。ユニットケース110には、発射機構150の作動によって打ち出された遊技球を通過させるための略矩形状の発射口111が開口形成されている。
【0022】
ケース本体部材120は、ポリカーボネート(PC)やポリアセタール樹脂(POM)等の樹脂材料を用いて、射出成形等の成形手段により矩形板状に形成されており、その左右および上下の四隅には固定ネジを挿通可能な本体側挿入孔121が前後貫通して形成されている。
【0023】
ケース蓋部材130は、横長に形成されたケース基壁131aと、このケース基壁131を囲んで後方に延びる左右および上下の側壁131bとを有し、ABS樹脂等の透明樹脂材料を用いて射出成形等の成形手段により、全体としてケース本体部材120と対向する方の側面が開放された後面開放の箱型に形成されている。ケース基壁131aの左右および上下の四隅には、段付き孔状の蓋側挿入孔132が前後貫通して形成されている。ケース蓋部材130の左右の側壁131bには、係止片131cが形成されており、この係止片131cがケース本体部材120の側面に係止されることで、ケース蓋部材130がケース本体部材120に一体的に結合して施蓋されるようになっている。
【0024】
ケース蓋部材130には、球送り機構140を収容するための第1収容室133aと、発射制御基板160を収容するための第2収容室133bが形成されている。また、ケース蓋部材130には、発射制御基板160上に実装された4つの基板側コネクタ163C〜166Cをケース外方へ露出させるためのケース開口134がケース基壁131aを表裏貫通して形成されている。このケース開口134は基板側コネクタ163C〜166Cの実装位置と対応した位置に開口されている。
【0025】
ケース蓋部材130には、上球皿30の球送りダクト35と連絡して球送りダクト35から送出される遊技球を受け入れる球入口135が形成されており、この球入口135からケース蓋部材130の内部に延びて、上球皿30から発射機構150へ遊技球を流下させる球供給通路136が形成されている。球供給通路136は、球入口135に繋がって後方に延びる球導入路137と、この球導入路137に繋がって球導入路137の終端に達した遊技球を発射機構150に送り出す球導出路138とから形成されている。
【0026】
球導入路137は、球入口135から後方(ケース本体部材120側)へ向けて延びその後端で閉鎖されており、前後に延びる底面137aは左方の球導出路138に向けて下り傾斜している。そのため、球入口135から球導入路137に導入された遊技球は球導出路138に向けて流下する。一方、球導出路138の終端には球出口139が形成されており、この球導出路138に達した遊技球がこの球出口139を通過して発射機構150へ流下するようになっている。
【0027】
球送り機構140には、球供給通路136内に整列された遊技球をこの整列順に従って1球ずつ受容して発射機構150に送り出す球送り弁141が揺動可能に設けられるとともに、この球送り弁141の上方には球送り弁141を揺動させる駆動源としての球送りソレノイド145が配設されている。
【0028】
球送り弁141は、球導入路137と対向して凹状に窪んで球導入路137に待機する遊技球を1球ずつ受け入れ可能な球受け凹部142と、球受け凹部142の底面を形成する球誘導片143と、球導入路137内で待機する遊技球を堰き止めるための球止め片144とを備えている。球受け凹部142の底面141a(球誘導片143の上面)は後方に配設される発射機構150に向けて下り傾斜して形成される。球送り弁141は、ユニットケース110に支持される揺動ピン141cを中心として、球止め片144が球導入路137を開放して球誘導片143が球出口139を閉止する球出口閉止位置(図10および図11を参照)と、球止め片144が球導入路137を閉止して球誘導片143が球出口139を開放する球出口開放位置(図12および図13を参照)と、の間で揺動可能に構成される。
【0029】
このように球送り弁141は揺動ピン141cを中心として上下に(図10の紙面面内まわりに)揺動可能に構成されており、球送りソレノイド145に電流が供給されてこれが磁化されたときに、その吸引力により球送り弁141の上端に設けられた鉄板部146が吸引されて、上方の球出口閉止位置に揺動するようになっている。一方、球送りソレノイド145が非通電状態となると、球送り弁141が重力の作用により降下して球受け凹部142が球出口139と合致する球出口開放位置に揺動変位する。球送り弁141が球出口開放位置に変位すると、球受け凹部142に受容された遊技球は球出口139を通過して発射機構150における打球位置へ流下するようになっている。すなわち、球受け凹部142が球供給通路136の球導出路138を形成している。
【0030】
この球送り機構140の球送り作動、すなわち、球送り弁141を揺動させる球送りソレノイド145のON/OFF制御は、発射制御基板160によって、後述する発射機構150のハンマー151を揺動させる発射ソレノイド154の作動と同期制御されており、発射ハンドル8の回動操作に基づいて発射機構150から遊技球が発射されるごとに、遊技球を1球ずつ発射機構150における打球位置へ送り出すようになっている。
【0031】
発射機構150は、ケース本体部材120の前面側に位置して遊技盤10の盤面とほぼ平行な面内で揺動可能に設けられたハンマー151と、ケース本体部材120の後面側に設けられハンマー151を揺動作動させる発射ソレノイド154と、発射された遊技球を案内レール11に案内する発射レール部156とを備えている。発射ソレノイド154は、例えばロータリソレノイドであり、複数本のビス154bを用いてネジ止め固定されることでケース本体部材120の後面側に取り付けられている。発射ソレノイド154の駆動軸154aは、ケース本体部材120に表裏貫通して形成された駆動軸挿通孔(図示せず)を通過してケース本体部材120の前面側に突出しており、この駆動軸154aをハンマー151の軸孔(図示せず)に挿通させて駆動軸154aの先端のネジ部を固定ナット155で螺着することにより、この駆動軸154aにハンマー151が一体的に連結されるようになっている。このようにして、ハンマー151はケース本体部材120の前面側に取り付けられ、発射制御基板160からの指令信号に基づいて発射ソレノイド154が駆動することにより、ケース本体部材120の前面側で駆動軸154aを中心として上下に揺動変位するようになっている。
【0032】
ハンマー151は、金属製の薄板からなるハンマーアーム151aと、例えばインサート成形によりハンマーアーム151aの左方の周部を覆って形成された合成樹脂製の被覆部151bとを有しており、その先端部には遊技球を叩打するためのハンマーヘッド151cが形成されている。このハンマーヘッド151cの近傍にはハンマーヘッド151c(合成樹脂)の弾発力を高めて遊技球を高弾発で発射するための空部151dが形成されている。ハンマーヘッド151cの上方にはハンマー151の上方への揺動を制止するための段差151eが形成されている。
【0033】
また、ハンマー151に隣接してケース本体部材120の前面側には、ハンマーヘッド151cの打球位置から下方に退避させた揺動位置で被覆部151bを弾性的に受け止める下側ストッパ152や、ハンマーヘッド151cの打球位置をわずかに越えた揺動位置で被覆部151bを弾性的に受け止める上側ストッパ153が設けられている。そのため、ハンマー151は発射ソレノイド154の駆動軸154aを中心として、被覆部151bが下側ストッパ152に当接して下方への揺動が規制された下方限界位置(これを「発射待機位置」と称す)と、被覆部151bが上側ストッパ153に当接して上方への揺動が規制された上方限界位置(これを「発射完了位置」と称する)との間で揺動可能である。なお、下側ストッパ152は基部152aとクッション体152bとから形成され、上側ストッパ153は基部153aとクッション体153bとから形成されている。ここで、ハンマー151が上側ストッパ153に当接したのち段差151eが後述するガイドホルダ157の下端に当接するように構成しているため、上側ストッパ153のクッション体153bに過度の衝撃が作用するのを防止できる。
【0034】
発射レール部156は、ケース本体部材120の前面側に設けられて球送り機構140から供給された遊技球をハンマーヘッド151cの打球位置に合わせて一時保持するガイドホルダ157と、ケース本体部材120と一体に形成された取付基台122に螺着された側断面視V字状の発射レール158と、発射レール158の近傍に設けられファール球が発射レール158に衝突するのを防止するためのガイド部材159とを備えている。発射レール158は、ケース本体部材120と一体的に形成された基台122に螺着されて、ガイドホルダ157による遊技球の保持位置から右斜め上方に延びており、その延長線上にはユニットケース110に開口された発射口111が位置している。
【0035】
発射制御基板160は、主として遊技球の発射(発射強度や発射タイミング等)の制御を司るための基板であり、矩形板状のプリント配線板161を基板とし、このプリント配線板161に制御モジュール162やコネクタ163C〜166C等の電気・電子部品が実装されて発射制御回路が形成されている。この発射制御基板160には、図14に示すように、払出制御基板47、発射ハンドル8(これに内蔵された発射ボリューム8a及びタッチセンサ8b)、球送りソレノイド145、発射ソレノイド154などがハーネス173〜176(図15を参照)を介して電気的に接続されている。ここで、発射ボリューム8aは、例えばポテンショメータ等の角度検出器からなり、発射ハンドル8の回動操作量を検出する。また、タッチセンサ8bは、遊技者が発射ハンドル8に接触しているか否かを検出する。
【0036】
第1の基板側コネクタ163C(入力端子)は、払出制御基板47と電気接続するためのコネクタであり、払出制御基板47に電気的に繋がったハーネス173の端部に形成されたハーネス側コネクタ173Cと嵌合・抜脱可能に接続されるようになっており、これにより発射制御基板160は払出制御基板47と双方向又は一方向に通信可能になっている。
【0037】
第2の基板側コネクタ164C(入力端子)は、発射ハンドル8の発射ボリューム8a及びタッチセンサ8b等と電気接続するためのコネクタであり、発射ハンドル8に電気的に繋がったハーネス174の端部に形成されたハーネス側コネクタ174Cと嵌合・抜脱可能に接続されるようになっている。発射制御基板160は、タッチセンサ8bからの検出信号に基づいて遊技者が発射ハンドル8に接触しているか否かを判定し、発射ボリューム8aからの検出信号に基づいて発射ハンドル8の回動操作量を検出し、これら検出信号に従って球送りソレノイド145および発射ソレノイド154の駆動を同期的に制御する。
【0038】
第3の基板側コネクタ165C(出力端子)は、球送りソレノイド145と電気接続するためのコネクタであり、球送りソレノイド145に電気的に繋がったハーネス175の端部に形成されたハーネス側コネクタ175Cと嵌合・抜脱可能に接続されるようになっており、これにより発射制御基板160は球送りソレノイド145に一定の周期で駆動信号を出力する。
【0039】
第4の基板側コネクタ166C(出力端子)は、発射ソレノイド154と電気接続するためのコネクタであり、発射ソレノイド154に電気的に繋がったハーネス176の端部に形成されたハーネス側コネクタ176Cと嵌合・抜脱可能に接続されるようになっており、これにより発射制御基板160は球送りソレノイド145の駆動と同期をとって発射ソレノイド154に駆動信号を出力する。
【0040】
なお、基板側コネクタ163C〜166Cとハーネス側コネクタ173C〜176Cとの各組で雌雄嵌合型のコネクタを形成しており、これらコネクタの嵌合及び抜脱方向は基板の面内に沿った左右方向に設定されている(つまり、両コネクタにおける接続ピンの配列方向は基板直交方向に設定されている)。
【0041】
このように概要構成される発射ユニット100において、遊技者が発射ハンドル8を操作していない非操作時においては、タッチセンサ8bの出力信号は遊技者の接触が検出されていない非接触状態であり、発射制御基板160は遊技者が遊技を行っていない待機状態であると判断し、球送り機構140および発射機構150の作動をオフする。つまり、発射制御基板160からの指令によって、発射機構150の発射ソレノイド154は非通電状態となっているため、ハンマー151は自重により降下して発射待機位置で停止している。
【0042】
一方、遊技者が発射ハンドル8を把持し回動操作すると、タッチセンサ8bの出力信号は遊技者の接触が検出された接触状態となり、上球皿30に貯留された遊技球が球送り機構140により1球ずつ発射レール158の打球位置に留置されるとともに、球送り機構140の球送りソレノイド145と同期制御される発射ソレノイド154が励磁されて上方へ揺動作動され、発射ハンドル8の回動操作量(発射ボリューム8aの検出値)に応じた発射強度で遊技球が遊技領域PAに向けて打ち出される。
【0043】
次に、以上のように概要構成される発射ユニット100の特徴構成について適宜図面を参照しながら説明する。ここで、図15は遊技補助盤25に取り付けられた発射ユニット100の取付構造の概要を示す正面図、図16は遊技補助盤25に取り付けられた発射ユニット100の取付構造の概要を示す平面図、図17は発射制御基板160に対する防振構造を示す断面図、図18は切断部材の側面図、図19は切断部材の作用を説明するための模式図である。
【0044】
[発射ユニットの取付構造I]
既述したように、発射ユニット100において、ケース本体部材120には発射機構150が取り付けられ、ケース蓋部材130には球送り機構140および発射制御基板160が取り付けられている。この発射ユニット100を組み立てるには、これらの機構部品および制御基板を両ケース部材120,130によって覆うようにしてケース本体部材120の前面側からケース蓋部材130を重ね合わせることで、ケース蓋部材130の係止片131cがケース本体部材120の側面に係止されて、ケース本体部材120とケース蓋部材130とが連結し、これにより一体化した単体としての発射ユニット100が得られる。
【0045】
この発射ユニット100は、4本の固定ネジ101を用いて前枠2の遊技補助盤25にネジ止め固定される。前述したように、ケース本体部材120には左右および上下の4箇所に本体側挿入孔121が形成されており、ケース蓋部材130には本体側挿入孔121に位置整合して左右および上下の4箇所に蓋側挿入孔132が形成されている。これに対して遊技補助盤25の前面側には、本体側および蓋側挿入孔121,132に位置整合する4箇所の各位置にネジ孔(図示せず)を有するネジボス251が前方に向けて突出形成されるとともに、4本のネジボス251を結ぶ対角線の交点近傍には前枠2(遊技補助盤25)を前後貫通してハーネス173の通過路となるハーネス通過口252が形成されている。
【0046】
発射ユニット100を遊技補助盤25に取り付けるためには、発射ユニット100の後面側(ケース本体部材120側)を各ネジボス251の頂部に対向させた状態で、発射ユニット100の前面側(ケース蓋部材130側)から4本の固定ネジ101を本体側および蓋側挿入孔121,132に挿入してネジボス251のネジ孔に螺合させることで、発射ユニット100がネジボス251の頂部に当接された立設姿勢で遊技補助盤25にネジ止め固定される。発射ユニット100はネジボス251の頂部に当接して遊技補助盤25に対してネジボス251の高さ分の間隔をあけて固定されているので、この間隔内にケース本体部材120から後方に突出する発射ソレノイド154を収めることができる。
【0047】
このとき、前枠2の正面側に配設された発射制御基板160と前枠2の背面側(すなわち、裏セット盤40)に配設された払出制御基板47とは、払出制御基板47に電気的に繋がるハーネス173のハーネス側コネクタ173Cが発射制御基板160上に実装された基板側コネクタ163Cに結合されることで電気接続されるようになっており、これにより両制御基板47,160間の信号伝送が可能となる。
【0048】
このように基板側コネクタ163Cとハーネス側コネクタ173Cとが結合状態において、これに繋がるハーネス173は、発射ユニット100の左側の側面に沿って後方に向けて延びてからL字状に内側に屈曲して発射ユニット100の後面に沿って引き回され、遊技補助盤25に開口されたハーネス通過口252を通って前枠2の背面側に(すなわち、第2裏セット盤45に配設された払出制御基板側47へ向けて)引き出されている。
【0049】
従って、発射ユニット100の正面側から見てハーネス173をほとんど露出させずにハーネス通過口252から前枠2の裏面側に引き回すことができるため、パチンコ機PMの正面側からハーネス173に対してアクセスすることは非常に困難となる。そのため、ハーネス173を引張ることで基板側コネクタ163Cからハーネス側コネクタ173Cを引き抜くのを困難にでき、発射制御基板160に対する不正行為を効果的に防止することが可能である。
【0050】
[発射ユニットの取付構造II]
発射ユニット100が遊技補助盤25の前面側に取り付けられた状態において、発射ユニット100とスピーカ26とは互いに近接して配置されている。より具体的には、ケース蓋部材130の左側の側壁131bとスピーカ26の右側の側壁26aとの間には、ハーネス173を通すだけの間隔しか形成されておらず、基板側コネクタ163Cからハーネス側コネクタ173Cを引き抜こうとしても、発射ユニット100とスピーカ26との間には基板側コネクタ163Cに対してハーネス側コネクタ173Cを抜去方向(左方向)に移動させるだけの十分なスペースがないため、両コネクタ163C,173Cの電気接続を解除することが規制される。
【0051】
従って、発射ユニット100を前枠2の遊技補助盤25から取り外すことなく基板側コネクタ163Cからハーネス側コネクタ173Cを引き抜くことを困難にでき、発射制御基板160に対する不正行為を効果的に防止することが可能である。
【0052】
[発射ユニットの取付構造III]
既述したように、発射ユニット100が取り付けられた遊技補助盤25の前方には、上球皿30がヒンジ機構22により横開き開閉可能に取り付けられており、パチンコ機PMが遊技に供されている状態では、球皿施錠装置23を利用して遊技補助盤25の前面を覆う球皿閉止状態に保持される。この球皿閉止状態では、発射ユニット100と上球皿30の当て板31とは前後方向に対向しており、発射ユニット100の前端部と当て板31の後端部との間には、発射ユニット100と上球皿6との相互間における振動の伝達を抑止するための所定の間隔があくように構成されている。すなわち、球皿閉止状態において、発射ユニット100と当て板31とは接触していない。
【0053】
ここで、発射ユニット100と上球皿30との間に形成される間隔の大きさは、発射ユニット100を開放するためにケース本体部材120からケース蓋部材130を前後方向に相対的に移動させる(離間させる)ための相対移動量よりも小さく形成されている。例えば、上球皿6と発射ユニット100との間の最短距離となる間隔C1、すなわち、上球皿6の後面側に形成された球送りダクト35と発射ユニット100におけるケース蓋部材130との間の前後距離C1は、ユニットケース110を開放させるために十分な大きさの間隔ではない。
【0054】
従って、発射ユニット100のユニットケース110を開放させようとしても、ケース本体部材120に対するケース蓋部材130の相対移動は上球皿30の背面(球送りダクト35)によって規制されるので、上球皿6を遊技補助盤25(前枠2)に対して開放させることなく、発射ユニット100のユニットケース110を開放させることを困難にでき、発射ユニット100(主として、発射制御基板160)に対する不正行為を効果的に防止することが可能である。
【0055】
また、上球皿30の当て板31と発射ユニット100のケース基壁131aとの間隔C2の大きさを、発射ユニット100を固定するための固定ネジ(雄ネジ)101と遊技補助盤25のネジボス251のネジ孔(雌ネジ)との螺合長さよりも小さく形成して、球皿閉止状態において固定ネジ101を外せないようにすることで、上球皿30を開放することなく発射ユニット100を遊技補助盤25から取り外すことを困難にでき、発射ユニット100に対する不正行為をより確実に防止することが可能となる。
【0056】
[発射制御基板に対する防振構造]
発射ユニット100に内蔵される発射制御基板160は振動を嫌う構成であるため、本実施形態では、発射機構150が作動した際の振動が発射制御基板160に伝達するのを防止するために、防振部材180による取り付け構造を採用している。発射制御基板160は、発射機構150からの振動が伝達され難いように、発射機構150が取り付けられるケース本体部材120ではなく、相手方のケース蓋部材130に取り付けられるようになっている。
【0057】
発射制御基板160のプリント配線板161には、この発射制御基板160をケース蓋部材130にビス止め固定するための基板取付孔168が表裏貫通して4箇所だけ形成されている。これに対して、ケース蓋部材130には制御モジュール162を収容するための第2収容室133bを区画形成するホルダ部131dが後方に突出形成されており、このホルダ部131dに発射制御基板160を防振部材180(詳細後述)を介在させてビス止めするためのネジ孔(図示せず)が基板取付孔168と同一のピッチで4箇所だけ形成されている。
【0058】
ホルダ部131dには、発射制御基板160のプリント配線板161の外縁部よりも幾分大きめの内縁寸法を有してホルダ部131dの側方から後方に突出して延びる囲壁部131eが一体的に形成されている。この囲壁部131eは、発射制御基板160をケース蓋部材130に取り付ける際の位置決め基準として機能し、発射制御基板160の外縁部を囲壁部131eの内縁部に合わせて挿入したときに、プリント配線板161の基板取付孔168とホルダ部131のネジ孔(図示せず)とが位置整合するため、基板取り付け用のビス169を容易に挿入し得るようなっている。また、このとき、プリント配線板161に実装された4箇所の基板側コネクタ163C〜166Cがケース蓋部材130のケース開口134と位置整合してケース外方へ露出されるようになっている。
【0059】
防振部材180は、外部からの振動を減殺可能な程度の弾性材料(例えば、ゴムや軟質合成樹脂など)を用いて中空円筒状に形成されたワッシャーであり、その中心に基板取付用のビス169を挿入可能なビス挿入孔(図示せず)を有して構成されている。
【0060】
発射制御基板160を組み付けるには、発射制御基板160を4箇所の防振部材180上に載置した状態で、この払出制御基板160の裏面側からビス169をプリント配線板161の基板取付孔168および防振部材180のビス挿入孔に挿入したのちホルダ部131dのネジ孔に螺合させることでケース蓋部材130の内面側に取り付けられる。
【0061】
従って、発射制御基板160は防振部材180を介してケース蓋部材130に取り付けられることになり、ケース本体部材120とケース蓋部材130とが結合状態において発射機構150の作動時に発生する振動が防振部材180により吸収されて発射制御基板160に伝達するのが防止される。
【0062】
[糸つりゴト対策]
パチンコ機PMにおいて正常な遊技では原則として遊技球1球につき1回のみ入賞検出器への通過が検出されるものであるが、近年においては、入賞装置に落入した1個の遊技球を不正な操作によって入賞検出器の検出口に連続して通過させて、多数の賞球を払い出させる不正入賞行為(いわゆる「糸つりゴト」と称されるゴト行為)が頻発している。
【0063】
この代表的な手口を概要説明すると、まず、所定長さを有する釣糸等の糸状体の一端側を遊技球に固着させ、この糸状体の他端側を不正行為者自身が掌で掴み、このような細工を施した遊技球(以下において「糸付球」と称する)を球皿部32に貯留された他の遊技球の間に忍ばせて、他の遊技球とともに球皿部32から1球ずつ順番に発射ユニットへ供給させ、発射機構により打ち出して遊技盤10の遊技領域PA内へ送り込む。糸付球が遊技領域PAまで達すると、ガラス枠5の外側から強力な磁石を用いてこの糸付球を入賞装置(1回の賞球数が最も多い一般入賞装置が狙われ易い傾向にある)まで誘導して当該入賞装置の入賞口へ落入させる。糸付球が入賞口から流下して入賞球検出器の検出口を通過すると、この検出信号に基づいてメイン制御基板18により遊技球の入賞が検出されて、払出制御基板47により入賞条件に応じた個数の賞球が賞球払出装置42から上球皿30へ払い出されることになる。不正行為者は、このように賞球が払い出されたことをもって、糸付球がターゲットである入賞球検出器へ到達したことを認識し、自身の掌に掴んでいる糸状体の他端側を手前に引っ張ったり奥側へ送り込んだりする操作をして、糸状体を入賞球検出器の検出口に何度も繰り返し通過させることで、遊技球の連続入賞を不正に検出させて多数の賞球を獲得している。これが最近になって頻発している糸付球を用いた不正入賞行為の全貌である。
【0064】
そこで、このような不正入賞行為を防止すべく、発射ユニット100には球送り機構140に不正防止具(詳細は後述する切断部材190)が設けられている。
【0065】
ユニットケース110のケース蓋部材130に形成される球供給通路136は、上流側の球導入路137から下流側の球導出路138に向けて概ね左右方向に延びているが、球導出路138における球出口139の部分では延伸方向が直角に(前後方向)に折れ曲がる。したがって、球送り機構140による発射機構150への球送り方向は実質的にみて前後方向とみなすことができる。一方、球出口139の下流側にある発射レール158はハンマー151の打球位置から発射口111へ向けて左斜め上方に延びているため、発射機構150による遊技球の発射方向は左斜め上方向とみなすことができる。このように、発射ユニット100内の球通路において、球送り機構140の球通路(球導出路138)と発射機構150の球通路(発射レール158)とにおける当該通路方向が切り替わる方向転換部に、より具体的には、球送り機構140における球出口139の近傍に、球供給通路136に通された糸状体Iを受容してこれを切断可能な切断部材190が設けられている。
【0066】
切断部材190は、炭素鋼やステンレス鋼等の金属材料を用いて薄板状に形成されており、本体部191と、この本体部191の開放端192に形成された谷部193と、この谷部193の底部193aから連続して細溝状に形成されたV字溝195と、を備えている。本体部191には、一対の開放端192,192から内側に向けて傾斜形成された斜辺192a,192aが形成され、これら斜辺192a,192aによって漸次幅が狭くなるような谷部193が形成されている。V字溝195には、互いに対向する板片191a,191aに沿って刃先線が延びる刃部195a,195aが形成されており、この対向する刃部195a,195aはV字溝195に受容された糸状体を切断し得るように構成されている。この切断部材190は、基端側の取付部191bをスポット溶接等の手段により球供給通路136の奥壁136aに固着して取り付けられている(図11および図13を参照)。
【0067】
続いて、切断部材190の作用について概要説明する。上球皿30に貯留された遊技球の中に糸付球Bが存在すると、当該糸付球Bは他の遊技球(正当な遊技球)とともに上球皿30から球送りダクト35を通って球供給通路136を流下し、球送り機構140により1球ずつ発射レール158の発射位置に送出され、発射機構150のハンマー151により遊技領域PAに向けて打ち出される。このとき、糸付球Bに固着された糸状体Iは、球供給通路136から発射レール158に通された状態で、不正行為者によって引っ張れると、発射機構150のハンマー151による打撃の勢いにより真っ直ぐ伸びようとする張力が生じる。このとき、発射ユニット100内の球通路において、球送り機構140の球通路(球導出路138)と発射機構150の球通路(発射レール158)とにおける当該通路方向が切り替わる方向転換部に、すなわち、球出口139の近傍に開放端192を打球位置側に向けて切断部材190が設けられているため、発射機構150により打ち出された糸付球Bに繋がる糸状体Iは、切断部材190の開放端192から進入し、谷部193を形成する斜辺192aのいずれかに当接して谷部193の底部193aに導かれる。そして、糸状体Iは、この谷部193から連続して形成されたV字溝195内に入り込み、その動作を規制されつつ刃部195aに接触して切断される。
【0068】
従って、不正行為者が操作する糸状体Iを容易に切断部材190に接触させて切断することができるため、糸付球Bを不正に操作して遊技球の入賞を検出させる不正入賞行為を効果的に抑止することが可能である。
【0069】
以上説明した本実施形態において達成される主要な効果を整理すれば、下記のようになる。
【0070】
第1に、前枠2の遊技補助盤25には、発射ユニット100が当該遊技補助盤25に固定ネジ101によってネジ止め固定されたときに、パチンコ機PM正面(前方)から見て発射ユニット100によって隠蔽される位置に発射制御基板160と払出制御基板47とを電気接続するハーネス173を通過させるハーネス通過口252が形成されている。従って、発射ユニット100の正面側から見てハーネス173をほとんど露出させずにハーネス通過口252から前枠2の裏面側に引き回すことができるため、パチンコ機PMの正面側からハーネス173に対してアクセスすることは非常に困難となる。そのため、ハーネス173を引張ることで基板側コネクタ163Cからハーネス側コネクタ173Cを引き抜くのを困難にでき、発射制御基板160およびハーネス173に対する不正行為を効果的に防止することが可能である。
【0071】
第2に、前枠2の前面側において発射ユニット100の近傍には、基板側コネクタ163Cに対するハーネス側コネクタ173Cの抜脱を規制するスピーカ26が近接して配置されているため、発射ユニット100を前枠2の遊技補助盤25から取り外すことなく基板側コネクタ163Cからハーネス側コネクタ173Cを引き抜くことを困難にでき、発射制御基板160に対する不正行為を効果的に防止することが可能である。
【0072】
第3に、ユニットケース110の前面と上球皿30(球送りダクト35)の後面とは所定の間隔C1を有して離間しており、この間隔C1は上球皿6が前枠2の遊技補助盤25を閉止する閉止位置にあるとき、ケース本体部材120に対するケース蓋部材130の開放を阻止する大きさ(ここでの大きさは「距離」である)に形成されている。従って、発射ユニット100のユニットケース110を開放させようとしても、ケース本体部材120に対するケース蓋部材130の相対移動は上球皿30の背面(球送りダクト35)によって規制されるので、上球皿6を遊技補助盤25(前枠2)に対して開放させることなく、発射ユニット100のユニットケース110を開放させることを困難にでき、発射ユニット100(主として、発射制御基板160)に対する不正行為を効果的に防止することが可能である。また、外的要因による発射ユニット100の破損を防止することができる。
【0073】
第4に、発射機構150はケース本体部材120に取り付けられ、払出制御基板160は相手方のケース蓋部材130に発射機構150の作動により発生する振動を吸収可能な防振部材180を介在させて取り付けられている。従って、発射制御基板160は防振部材180を介してケース蓋部材130に取り付けられることになり、ケース本体部材120とケース蓋部材130とが結合状態において発射機構150の作動時に発生する振動が防振部材180により吸収されて発射制御基板160に伝達するのが防止される。
【0074】
第5に、球送り機構140に形成されて当該球送り機構140から発射機構150へ遊技球を送出する球導出路(第1球通路)138と、発射機構150に形成されて発射口111に向かって延出する発射レール(第2球通路)158と、における当該通路方向が切り替わる方向転換部の近傍に、すなわち、球出口139の近傍に球通路138,158に通された糸状体を受容して切断可能な切断部材190が設けられているため、不正行為者により引っ張られて、あるいは発射機構150のハンマーによる打撃の勢いにより真っ直ぐ伸びようとする(張力が生じる)糸状体Iを、容易に切断部材190に接触させて切断することができる。従って、釣糸等の糸状体Iを付けた遊技球を不正に操作して遊技球の入賞を検出させる不正入賞行為を効果的に抑止することが可能である。
【0075】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば適宜改良可能である。
【0076】
上述の実施形態では、前枠2の前面側において発射ユニット100の近傍に、基板側コネクタ163Cに対するハーネス側コネクタ173Cの抜脱を規制するための規制手段として、スピーカ26の側壁26aを適用した場合を例示して説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、発射ハンドルから空気を送り出すための送風機などの他のユニットの側壁を適用したり、前枠2に一体形成された壁部を規制手段として適用してもよい。
【0077】
上述の実施形態では、ケース本体部材120に対するケース蓋部材130の開放を阻止するように、ケース蓋部材130の前面側に当接する上球皿30の阻止部材として、上球皿30に貯留する遊技球を発射ユニット100に導く球送りダクト35に適用した場合を説明したが、これに限定されるものではなく、上球皿30の背面から後方に突出する突起部を形成してもよい。また、上球皿30の当て板31自体、すなわち当て板31の背面(フラット面)をケース蓋部材130の開放を阻止する阻止部材として適用してもよい。また、当て板31の背面はフラット面である必要はなく、発射ユニットの前端形状に合わせて所定の間隔が形成されるような凹凸形状にしてもよい。
【0078】
また、上述の実施形態では、発射制御基板160を発射ユニット100内に収容保持される基板として構成した場合を例示して説明したが、これに限定されるものではなく、発射制御基板を第2裏セット盤45に配設して、この発射制御基板と発射ソレノイド等との間で電気接続される中継基板を発射ユニット内に収容保持される基板として構成してもよい。
【0079】
また、上述の実施形態では、ケース本体部材120に発射機構150を備え、ケース蓋部材130に球送り機構140および発射制御基板160を備えた構成を例示して説明したが、これに限定されるものではなく、発射機構、球送り機構および発射制御基板を適宜に配置してよい。
【0080】
また、上述の実施形態では、発射制御基板160に実装された基板側コネクタ163c〜166cはユニットケース110のケース開口134から外方に露出しているが、これに限定されるものではなく、基板側コネクタをユニットケース内に収容された状態で取り付けて、相手方のハーネス側コネクタをユニットケースのケース開口からケース内に挿入して基板側コネクタと嵌合および抜去可能に構成してもよい。
【0081】
また、上述の実施形態では、発射制御基板160はケース蓋部材130に固定されてユニットケース110内に収容されているが、これに限定されるものではなく、例えば、発射制御基板全体をユニットケースの外面に露出した状態で取り付けて構成してもよい。
【0082】
また、上述の実施形態では、発射ユニット100は4本のネジボス251を介して前枠2から前方に浮いた状態で取り付けられ、ユニットケース110の後面と前枠2の前面との間の空いたスペースに発射ソレノイド154を収容するように構成されているが、これに限定されるものではなく、前枠に発射ソレノイドを収容可能な収容空間(例えば、貫通孔又は凹部)を形成して、ユニットケースの後面と前枠の前面とがほぼ面一の状態で、発射ユニットを前枠に取り付け可能に構成してもよい。なお、このときハーネスを前枠に挿通させるハーネス通過口は、上記収容空間と一体的に形成してもよいし、上記収容空間とは独立して形成してもよく、例えば、ハーネス通過口をユニットケースの後面の周縁部と前枠2の前面とが当接しない部分に形成することで、ハーネスをユニットケースの後面側に引き回してハーネス通過口を通すことができる。
【0083】
また、上述の実施形態では、ガラス枠5と上球皿30とが別体として構成され、それぞれが前枠2に対して独立して横開き開閉可能な構成を例示して説明したが、これに限定されるものではなく、ガラス枠に球皿(上球皿および下球皿又は一体皿)を一体的に形成して構成してもよく、この場合にはガラス枠が請求の範囲に規定する開閉部材に相当することになる。
【0084】
また、上述の実施形態では、発射制御基板160とケース蓋部材130との取付部に防振部材180を装着しているが、これに限定されるものではなく、ケース本体部材120とケース蓋部材130との取付部に防振部材を装着する構成であっても、発射機構作動時の振動が発射制御基板に伝達されるのを抑止することができる。
【0085】
また、糸状体を切断する切断部材としては本実施形態で例示した切断部材180の形状に限定されず、釣り糸等の糸状体を切断し得るものであれば、切れ刃を有するカッターや、ヤスリ等の研磨具などの一般的な工具を利用してもよい。
【0086】
また、上述の実施形態では、発射機構150のハンマー作動手段としてロータリソレノイド154が適用されているが、これに限定されるものではなく、パルスモータやサーボモータ、ACモータ、DCモータ等の電動アクチュエータを利用するものであってもよい。
【0087】
また、上述の実施形態では、本発明を上球皿30と下球皿7とを有する球皿別体型のパチンコ機PMに適用した場合を例示して説明したが、これに限定されるものではなく、単一の球皿のみを有する球皿一体型のパチンコ機に適用してもよい。
【0088】
なお、上述の実施形態では、本発明をパチンコ機に適用した事例について説明したが、アレンジボール機や雀球遊技機などの他の遊技機に適用することができ、同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0089】
PM パチンコ機(弾球遊技機)
PA 遊技領域
I 糸状体
1 外枠
2 前枠(枠部材)
5 ガラス枠
8 発射ハンドル
10 遊技盤
18 メイン制御基板
19 サブ制御基板
25 遊技補助盤
26 スピーカ
30 上球皿(開閉部材)
32 球皿部
35 球送りダクト
47 払出制御基板(第1基板)
100 発射ユニット
110 ユニットケース(ケース部材)
111 発射口
120 ケース本体部材
130 ケース蓋部材
134 ケース開口
138 球導出路
140 球送り機構
145 球送りソレノイド
150 発射機構
154 発射ソレノイド
158 発射レール
160 発射制御基板(第2基板)
163C 基板側コネクタ
173 ハーネス
173C ハーネス側コネクタ
180 防振部材
190 切断部材
252 ハーネス通過口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面側に所定の遊技領域が形成された遊技盤を保持する枠部材と、
前記枠部材の前面側に開閉自在に設けられ、前記枠部材の少なくとも一部を覆う閉止位置と、当該一部を開放する開放位置との間で揺動する開閉部材と、
前記枠部材の後面側に設けられた第1基板と、
前記枠部材の前面側に設けられて、遊技球を前記遊技領域に向けて打ち出す発射ユニットと、を備える弾球遊技機であって、
前記発射ユニットは、
発射口が形成されたケース部材と、
前記ケース部材に設けられ、遊技球を送出する球送り機構と、
前記ケース部材に前記球送り機構と対向して設けられ、前記球送り機構から送出された遊技球を前記発射口を通して前記遊技領域へ向けて打ち出す発射機構と、
前記ケース部材に設けられ、前記第1基板と電気接続される第2基板と、を備えて構成され、
前記第2基板には、前記第1基板に電気的に繋がるハーネスの先端に設けられたハーネス側コネクタと接続する基板側コネクタが設けられており、
前記枠部材には、前記発射ユニットが当該枠部材に取り付けられたときに、前記開閉部材を開いた状態で前方から見て前記発射ユニットによって隠蔽される位置に前記ハーネスを通過させるハーネス通過口が形成されていることを特徴とする弾球遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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