弾球遊技機
【課題】遊技者による操作入力に応じて遊技者の利益状態を示す演出を効果的に提示する。
【解決手段】ぱちんこ遊技機10の演出決定手段132は、特別遊技終了後の通常遊技において図柄変動回数が保留上限数以内に大当りとなるか否かに応じて、複数の選択肢を遊技者へ提示する選択演出における正否条件を決定し、選択演出を遊技者へ提示する。演出決定手段132は、選択演出に対する遊技者の選択結果が正解である場合に、図柄変動回数が保留上限数以内のうちに大当りとなることを遊技者へ報知する一方、遊技者の選択結果が不正解の場合は、図柄変動回数が保留上限数以内に大当りとなる場合であっても、その事実を遊技者へ報知することを抑制する。
【解決手段】ぱちんこ遊技機10の演出決定手段132は、特別遊技終了後の通常遊技において図柄変動回数が保留上限数以内に大当りとなるか否かに応じて、複数の選択肢を遊技者へ提示する選択演出における正否条件を決定し、選択演出を遊技者へ提示する。演出決定手段132は、選択演出に対する遊技者の選択結果が正解である場合に、図柄変動回数が保留上限数以内のうちに大当りとなることを遊技者へ報知する一方、遊技者の選択結果が不正解の場合は、図柄変動回数が保留上限数以内に大当りとなる場合であっても、その事実を遊技者へ報知することを抑制する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種の弾球遊技機のうち、いわゆる第1種ぱちんこ遊技機と呼ばれていた遊技機は、遊技盤の略中央に設けられた液晶ディスプレイなどの表示領域に複数の図柄を変動させながら表示する(以下、そうした表示を「図柄変動」または「変動表示」等という)。この遊技機は、複数列の図柄変動を停止させたときの図柄の組合せが特定の態様となった場合に、通常遊技より多くの賞球が得られる、いわゆる大当りと呼ばれる特別遊技へと移行するものとして知られている(例えば特許文献1参照)。表示領域における図柄の変動表示は、単に複数の図柄が変動表示されるだけでなく、いわゆるリーチ画面と呼ばれる状態のように、あと一つ図柄が揃えば大当りとなる状態で変動表示の時間を通常よりも長くする等、遊技者の期待感を高めるための演出が図られている。また、キャラクタ画像や背景画像等を用いて図柄の変動表示にストーリーを持たせる演出を施したり、大当りの獲得容易性を高める特定遊技として、確率変動(以下「確変」ともいう)および変動時間短縮(以下「時短」ともいう)、始動入賞口への入球容易性を高める入球容易状態へ移行したりする制御によっても遊技者の期待感を高めている。
【0003】
また以下の特許文献2では、あたかも確変を自らの操作で獲得したような感覚を遊技者に感じさせるために、遊技者に操作レバーを操作することを促す演出を表示させ、遊技者による操作レバーの操作タイミングにもとづいて確変の獲得有無を遊技者へ報知する表示パターンを設定することを提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−230714号公報
【特許文献2】特開2003−325868号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、これまでの遊技機は、遊技機の内部状態が確変状態であれば、遊技者の操作内容にかかわらず確変を報知するものであり、遊技者の操作入力内容は確変の報知有無に影響を与えるものではなかった(例えば特許文献2の段落0198参照)。したがってこれまでの遊技機の演出は、操作入力内容を決定することに対する遊技者の緊張感や期待感を煽るには不十分なものであったと本発明者は考えた。
【0006】
本発明はこうした課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、弾球遊技機において遊技者による操作入力に応じて遊技者の利益状態を示す演出を効果的に提示することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の弾球遊技機は、遊技領域が形成された遊技盤と、遊技領域の所定位置に設けられた始動口と、遊技領域の所定位置において開放可能に設けられた大入賞口と、始動口への入球を契機として、通常遊技より遊技者に有利な状態である特別遊技へ移行するか否かを判定するための当否抽選を実行する当否抽選手段と、当否抽選の結果が大当りとなった場合、大入賞口を開放する特別遊技を実行する特別遊技制御手段と、当否抽選の結果を示すための図柄が変動表示される図柄表示装置と、当否抽選の結果を所定の保留個数を上限にその当否抽選に対応する図柄変動の表示開始まで保留する保留制御手段と、演出内容を定めた演出パターンを保持する演出記憶手段と、当否抽選の結果に応じて演出内容を決定し、その演出内容を所定の演出出力装置を介して遊技者へ提示する演出決定手段と、遊技者による操作入力を受け付ける操作入力手段と、を備える。演出記憶手段が保持する演出パターンには、複数の選択肢を遊技者へ提示して操作入力手段を介した特定の選択肢の選択を促す演出であって遊技者の選択結果が正解の場合に遊技者へ利益がもたらされることを示唆する選択演出と、特別遊技終了後の通常遊技において図柄変動回数が所定の保留個数以内に大当りとなることを遊技者へ報知する報知演出とが含まれ、当否抽選手段は、始動口への入球があったときに、その入球に対応する図柄変動の表示が直ちに開始されるか否かにかかわらず、その入球に対応する当否抽選の結果を演出決定手段へ通知し、演出決定手段は、特別遊技の実行中に、特別遊技終了後の通常遊技において図柄変動回数が所定の保留個数以内に大当りとなるか否かに応じて選択演出における正否条件を決定して選択演出を遊技者へ提示し、選択演出に対する遊技者の選択結果が正否条件にもとづき正解である場合に報知演出を遊技者へ提示する一方、遊技者の選択結果が不正解の場合は、特別遊技終了後の通常遊技において図柄変動回数が所定の保留個数以内に大当りとなる場合であっても報知演出の提示を抑制する。
【0008】
なお、以上の構成要素に関する任意の組合せや、本発明の構成要素や表現を方法、装置、システム、コンピュータプログラム、コンピュータプログラムを格納した記録媒体、データ構造などの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の弾球遊技機によれば、遊技者による操作入力に応じて遊技者の利益状態を示す演出を効果的に提示できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】ぱちんこ遊技機の前面側における基本的な構造を示す図である。
【図2】ぱちんこ遊技機の背面側における基本的な構造を示す図である。
【図3】第1実施例におけるぱちんこ遊技機の機能ブロックを示す図である。
【図4】当否判定テーブルを模式的に示す図である。
【図5】図柄判定テーブルを模式的に示す図である。
【図6】通常の変動パターンテーブルを模式的に示す図である。
【図7】図6(a)の変動パターンテーブルを詳細に示す図である。
【図8】演出図柄表示装置における選択演出の表示例を示す図である。
【図9】正解条件テーブルを模式的に示す図である。
【図10】ぱちんこ遊技機における基本的な動作過程を示すフローチャートである。
【図11】図10におけるS10の入賞処理を詳細に示すフローチャートである。
【図12】図11におけるS28の事前判定処理を詳細に示すフローチャートである。
【図13】、図10におけるS14の通常遊技制御処理の全体的な過程を示すフローチャートである。
【図14】図13におけるS152の特別図柄変動処理の実行処理を詳細に示すフローチャートである。
【図15】図13におけるS154の装飾図柄変動処理の実行処理を詳細に示すフローチャートである。
【図16】図10におけるS16の特別遊技処理を詳細に示すフローチャートである。
【図17】図16のS116の選択演出処理を詳細に示すフローチャートである。
【図18】図10におけるS17の小当り遊技を詳細に示すフローチャートである。
【図19】第2実施例におけるぱちんこ遊技機10の機能ブロックを示す図である。
【図20】演出図柄表示装置60における選択演出の表示例を示す図である。
【図21】正解条件テーブルを模式的に示す図である。
【図22】図10のS16の特別遊技制御処理を詳細に示すフローチャートである。
【図23】図22のS121の演出テーブル選択処理を詳細に示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1実施例)
本実施例のぱちんこ遊技機においては、従来にいう第1種ぱちんこ遊技機に相当する遊技が複数混在する。その複数の遊技としての第1の遊技と第2の遊技とが、同時に実行されないよう第2の遊技が優先的に実行される。またこれらの遊技性を両立させるために、本実施例のぱちんこ遊技機は、複数の始動入賞口、複数の特別図柄表示装置、複数の保留ランプ、複数の大入賞口を備える。
【0012】
特別遊技の実行中に遊技球が始動口へ入球すると、その入球に伴う当否抽選結果は所定の保留個数(以下、「保留上限数」とも呼ぶ。)を上限として保留状態となる。本実施例における保留上限数は、第1の遊技において4個、第2の遊技において4個の合計8個である。ここで特別遊技終了後の通常遊技における図柄変動回数が保留上限数以内、すなわち図柄変動回数が8回転となるまでに新たな大当りが発生することを、以下では「保留内連荘」とも呼ぶ。
【0013】
本実施例のぱちんこ遊技機は、特別遊技の実行中の演出として、複数の選択肢を遊技者へ提示する演出であり、特定の選択肢を選択するよう遊技者を促す演出(以下、「選択演出」とも呼ぶ。)を表示させる。そして、選択演出に対して遊技者が正解の選択肢を選択した場合、特別遊技終了後に保留内連荘が発生することを遊技者へ報知する演出、言い換えると、保留内連荘の発生を約束する演出(以下「保留内連荘報知演出」とも呼ぶ。)を表示させる。その一方、遊技者が不正解の選択肢を選択した場合は、保留内連荘が発生するか否かにかかわらず保留内連荘報知演出の表示を抑制する。これにより、遊技者の選択結果が保留内連荘報知演出の実行有無を決定するため、遊技者は自力で保留内連荘報知演出を獲得することとなり、遊技者の達成感を高めて遊技の興趣を高める。
【0014】
図1は、ぱちんこ遊技機の前面側における基本的な構造を示す。ぱちんこ遊技機10は、主に遊技機枠と遊技盤で構成される。ぱちんこ遊技機10の遊技機枠は、外枠11、前枠12、透明板13、扉14、上球皿15、下球皿16、および発射ハンドル17を含む。外枠11は、開口部分を有し、ぱちんこ遊技機10を設置すべき位置に固定するための枠体である。前枠12は、外枠11の開口部分に整合する枠体であり、図示しないヒンジ機構により外枠11へ開閉可能に取り付けられる。前枠12は、遊技球を発射する機構や、遊技盤を着脱可能に収容させるための機構、遊技球を誘導または回収するための機構等を含む。
【0015】
透明板13は、ガラスなどにより形成され、扉14により支持される。扉14は、図示しないヒンジ機構により前枠12へ開閉可能に取り付けられる。上球皿15は、遊技球の貯留、発射レールへの遊技球の送り出し、下球皿16への遊技球の抜き取り等の機構を有する。下球皿16は、遊技球の貯留、抜き取り等の機構を有する。上球皿15と下球皿16の間にはスピーカ18が設けられており、遊技状態などに応じた効果音が出力される。
【0016】
遊技盤50は、外レール54と内レール56により区画された遊技領域52上に、アウト口58、第1特別図柄表示装置70、第2特別図柄表示装置71、演出図柄表示装置60、第1始動入賞口62、第2始動入賞口63、センター飾り64、第1大入賞口91、第2大入賞口92、作動口68、一般入賞口72を含む。さらに遊技領域52には、図示しない多数の遊技釘や風車などの機構が設置される。
【0017】
第1始動入賞口62は第1の遊技に対応する始動入賞口として設けられ、第2始動入賞口63は第2の遊技に対応する始動入賞口として設けられる。第1始動入賞口62および第2始動入賞口63は、遊技球の発射強弱によっていずれかを目標にした打ち分けが可能な程度に互いに離れた位置に設けられる。第1始動入賞口62と第2始動入賞口63は、遊技者の意思にしたがった遊技球の発射強弱によっていずれか一方への入球を狙うことが可能となるよう、それぞれ遊技領域52の左側と右側に離れて設置され、一方を狙った遊技球が他方へ入球しがたい構成となっている。たとえば、第1始動入賞口62は遊技領域52の左側を狙って比較的弱めに発射したときに入球しやすくなるような位置に設けられ、第2始動入賞口63は遊技領域52の右側を狙って比較的強めに発射したときに入球しやすくなるような位置に設けられる。
【0018】
第1始動入賞口62は、始動入賞検出装置74を備える。始動入賞検出装置74は、第1始動入賞口62への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す第1始動入賞情報を生成する。第2始動入賞口63は、始動入賞検出装置75と、普通電動役物65と、普通電動役物65を開閉させるための普通電動役物ソレノイド76を備える。始動入賞検出装置75は、第2始動入賞口63への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す第2始動入賞情報を生成する。普通電動役物ソレノイド76の駆動力により普通電動役物65が拡開されると、第2始動入賞口63への入球容易性が高まる。また、第2始動入賞口63は図示するとおり遊技領域52の右側における狭い通路に設けられているので、右側を狙って強めに打球した遊技球の多くが少なくとも第2始動入賞口63の近傍に集まり、第2始動入賞口63の入球可能性は高い。これに対して第1始動入賞口62には普通電動役物が設置されておらず、しかも狭い通路から離れた位置に設けられている。したがって、普通電動役物65が拡開されれば第1始動入賞口62よりも第2始動入賞口63の方が入球可能性が相対的に高くなるような配置または構成の関係となっている。
【0019】
一般入賞口72は、遊技球の入球を検出するための一般入賞検出装置73を複数備える。一般入賞検出装置73は、一般入賞口72への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す一般入賞情報を生成する。
【0020】
第1大入賞口91は第1の遊技に対応する大入賞口として設けられ、第2大入賞口92は第2の遊技に対応する大入賞口として設けられる。第1大入賞口91は、遊技球の入球を検出するための入賞検出装置78と、第1大入賞口91を開閉させるための大入賞口ソレノイド80を備える。入賞検出装置78は、第1大入賞口91への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す第1大入賞口入賞情報を生成する。第2大入賞口92は、遊技球の入球を検出するための入賞検出装置79と、第2大入賞口92を開閉させるための大入賞口ソレノイド81を備える。入賞検出装置79は、第2大入賞口92への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す第2大入賞口入賞情報を生成する。第1大入賞口91は、第1特別図柄192が所定の態様にて停止したときに「大当り」として開放状態となる横長方形状の入賞口である。第1大入賞口91はアウト口58の上方の位置に設けられる。第2大入賞口92は、第2特別図柄193が所定の態様にて停止したときに「大当り」として開放状態となる横長方形状の入賞口である。第2大入賞口92はアウト口58の右上方の位置に設けられる。なお、変形例として、第1の遊技と第2の遊技で単一の大入賞口を共用する形でもよい。
【0021】
遊技領域52の略中央に演出図柄表示装置60が設けられ、その左下方に第1の遊技に対応する第1特別図柄表示装置70と第2の遊技に対応する第2特別図柄表示装置71とが互いに左右に隣接するように設けられる。第1特別図柄表示装置70には第1の遊技に対応する第1特別図柄192の変動が表示され、第2特別図柄表示装置71には第2の遊技に対応する第2特別図柄193の変動が表示される。第1特別図柄192は、第1始動入賞口62への遊技球の入球を契機として行われる第1の抽選の結果に対応した図柄であり、その変動表示が所定の当り態様にて停止されたときに特別遊技としての大当りが発生する。第2特別図柄193は、第2始動入賞口63への遊技球の入球を契機として行われる第2の抽選の結果に対応した図柄であり、その変動表示が所定の当り態様にて停止されたときに特別遊技としての大当りが発生する。第1特別図柄表示装置70および第2特別図柄表示装置71は、例えば7セグメントLEDで構成される表示手段であり、第1特別図柄192および第2特別図柄193はそれぞれ「0」〜「9」の10種類の数字と記号「−」で表される。
【0022】
演出図柄表示装置60の表示領域194には第1特別図柄192に連動する装飾図柄190または第2特別図柄193に連動する装飾図柄190の変動が表示される。演出図柄表示装置60は、たとえば液晶ディスプレイである。装飾図柄190は、第1特別図柄192で示される第1の抽選の結果表示または第2特別図柄193で示される第2の抽選の結果表示を視覚的に演出するための図柄である。演出図柄表示装置60は、装飾図柄190として、例えばスロットマシンのゲームを模した複数列の図柄変動の動画像を表示領域194に表示する。演出図柄表示装置60は、この実施例では液晶ディスプレイで構成されるが、機械式のドラムやLEDなどの他の表示手段で構成されてもよい。なお、第1特別図柄192および第2特別図柄193は必ずしも演出的な役割をもつことを要しないため、本実施例では演出図柄表示装置60の左下方の第1特別図柄表示装置70および第2特別図柄表示装置71にて目立たない大きさで表示させるが、特別図柄自体に演出的な役割をもたせて装飾図柄を表示させないような手法を採用する場合には、特別図柄を演出図柄表示装置60のような液晶ディスプレイに表示させてもよい。
【0023】
作動口68は、遊技盤50の右側方位置に設けられる。作動口68は、通過検出装置69を含む。通過検出装置69は、作動口68への遊技球の通過を検出するセンサであり、通過時にその通過を示す通過情報を生成する。作動口68への遊技球の通過は第2始動入賞口63の普通電動役物65を拡開させるための開放抽選の契機となる。
【0024】
遊技者が発射ハンドル17を手で回動させると、その回動角度に応じた強度で上球皿15に貯留された遊技球が1球ずつ内レール56と外レール54に案内されて遊技領域52へ発射される。遊技者が発射ハンドル17の回動位置を手で固定させると一定の時間間隔で遊技球の発射が繰り返される。遊技領域52の上部へ発射された遊技球は、複数の遊技釘や風車に当りながらその当り方に応じた方向へ落下する。遊技球が一般入賞口72、第1始動入賞口62、第2始動入賞口63、第1大入賞口91、第2大入賞口92の各入賞口へ落入すると、その入賞口の種類に応じた賞球が上球皿15または下球皿16に払い出される。一般入賞口72等の各入賞口に落入した遊技球はセーフ球として処理され、アウト口58に落入した遊技球はアウト球として処理される。なお、各入賞口は遊技球が通過するゲートタイプのものを含み、本願において「落入」「入球」「入賞」というときは「通過」を含むものとする。
【0025】
遊技球が第1始動入賞口62に入球すると、第1特別図柄表示装置70において第1特別図柄192が変動表示され、演出図柄表示装置60の表示領域194において装飾図柄190が変動表示される。遊技球が第2始動入賞口63に入球すると、第2特別図柄表示装置71において第2特別図柄193が変動表示され、演出図柄表示装置60の表示領域194において装飾図柄190が変動表示される。第1特別図柄192、第2特別図柄193、装飾図柄190の変動表示は、表示に先だって決定された変動時間の経過後に停止される。停止時の第1特別図柄192および装飾図柄190が大当り態様であった場合、通常遊技よりも遊技者に有利な遊技状態である特別遊技に移行し、第1大入賞口91の開閉動作が開始される。このときスロットマシンのゲームを模した装飾図柄190は、3つの図柄を一致させるような表示態様をとる。停止時の第2特別図柄193および装飾図柄190が大当り態様であった場合、通常遊技よりも遊技者に有利な遊技状態である特別遊技に移行し、第2大入賞口92の開閉動作が開始される。
【0026】
特別遊技は、第1大入賞口91または第2大入賞口92が開放される単位遊技が複数回繰り返される遊技であり、単位遊技が15回繰り返されて多くの出玉を獲得できる第1特別遊技と、短い単位遊技が2回だけ繰り返されてほぼ出玉のない第2特別遊技とがある。15回の単位遊技が繰り返される第1特別遊技(以下、適宜「15R大当り」「15R特別遊技」とも称する)の場合、第1大入賞口91または第2大入賞口92は約30秒間開放されたとき、または9球以上の遊技球が落入したときに一旦閉鎖されることで1回の単位遊技が終了する。2回の単位遊技が繰り返される第2特別遊技(以下、適宜「2R大当り」「2R特別遊技」とも称する)の場合、第1大入賞口91または第2大入賞口92は約0.2秒間開放されたときに一旦閉鎖されることで1回の単位遊技が終了する。
【0027】
停止時の第1特別図柄192および装飾図柄190が所定の小当り態様であった場合、1回の単位遊技で構成される小当り遊技に移行し、第1大入賞口91の開閉動作が実行される。停止時の第2特別図柄193および装飾図柄190が小当り態様であった場合もまた小当り遊技に移行し、第2大入賞口92の開閉動作が実行される。小当り遊技を構成する1回の単位遊技においては、第1大入賞口91または第2大入賞口92が約0.2秒間の開放を2回繰り返すので、外観上は2R大当りと同様の動作態様となる。
【0028】
特別遊技が発生した場合であって抽選などの所定の条件が満たされた場合、特別遊技の終了後に特定遊技として確率変動遊技(以下、「確変」という)や変動時間短縮(以下、「時短」という)が開始される。確変中は、通常の確率状態より大当りの確率が高い抽選が行われ、比較的早期に新たな特別遊技が発生する。本実施例において、確変状態は、第1特別図柄192または第2特別図柄193が大当りとなるまで継続される。また確変は、特別遊技が発生した場合であってそのときの当り停止図柄が特定の態様であった場合に、その特別遊技の終了後に開始される。時短も確変と同様に、第1特別図柄192または第2特別図柄193が大当りとなるまで継続される。時短中は、第1特別図柄192または第2特別図柄193の変動時間が概ね短縮される。時短は、15R大当りの場合にだけ特別遊技終了後に開始される。
【0029】
作動口68を遊技球が通過すると、所定時間、普通図柄と呼ばれる図柄が普通図柄表示装置59に変動表示される。普通図柄表示装置59は第1大入賞口91の右方に設けられ、本実施例では二つのランプが交互に点灯と消灯を繰り返す形で普通図柄の変動表示を表現し、どちらのランプが最終的に点灯したまま停止するかによって普通図柄の抽選結果を表す。所定時間の経過後に普通図柄の変動表示が所定の当り態様にて停止すると、第2始動入賞口63の普通電動役物65が所定時間拡開する。このとき、通常状態では例えば1/256程度の低確率にて普通図柄が当り態様で停止し、後述する入球容易状態では例えば250/256程度の高確率にて普通図柄が当り態様で停止する。普通図柄が当り態様で停止すると、普通電動役物65が所定時間拡開される。普通電動役物65の開放時間は、例えば通常状態では0.1秒間であり、入球容易状態では6秒間である。
【0030】
演出図柄表示装置60の周囲には、センター飾り64が設けられる。センター飾り64は、遊技球の流路、演出図柄表示装置60の保護、装飾等の機能を有する。遊技効果ランプ90がセンター飾り64の上部および下部に設けられ、点滅等することで演出の役割を果たす。第1の遊技に対応する第1特図保留ランプ20は第1特別図柄表示装置70の上方に設けられ、第2の遊技に対応する第2特図保留ランプ21は第2特別図柄表示装置71の上方に設けられ、普通図柄変動に対応する普図保留ランプ22は普通図柄表示装置59の下方に設けられる。第1特図保留ランプ20および第2特図保留ランプ21は、それぞれ2個のランプからなり、それぞれの点灯個数または点滅個数によって第1の遊技および第2の遊技のそれぞれにおける当否抽選値の保留数を表示する。第1特図保留ランプ20における当否抽選値の保留数は、第1特別図柄192の変動中または特別遊技の実行中に第1始動入賞口62へ入賞した抽選結果の個数であり、図柄変動がまだ実行されていない入賞球の数を示す。第2特図保留ランプ21における当否抽選値の保留数は、第2特別図柄193の変動中または特別遊技の実行中に第2始動入賞口63へ入賞した抽選結果の個数であり、図柄変動がまだ実行されていない入賞球の数を示す。普図保留ランプ22もまた2個のランプからなり、その点灯個数または点滅個数によって普通図柄変動の保留数を表示する。普通図柄変動の保留数は、普通図柄の変動中に作動口68を通過した遊技球の個数であり、普通図柄の変動がまだ実行されていない普通図柄抽選の数を示す。
【0031】
操作ボタン82は、遊技者が遊技機に対して所定の指示を入力するために操作するボタンである。操作ボタン82は、上球皿15近傍の外壁面に設けられる。本実施例では3つの操作ボタン82が設けられており、最も左に位置する左ボタンと、中央に位置する中ボタンと、最も右に位置する右ボタンを含む。
【0032】
図2は、ぱちんこ遊技機の背面側における基本的な構造を示す。電源スイッチ40はぱちんこ遊技機10の電源をオンオフするスイッチである。メイン基板102は、ぱちんこ遊技機10の全体動作を制御し、とくに第1始動入賞口62、第2始動入賞口63へ入賞したときの抽選等、遊技動作全般を処理する。サブ基板104は、液晶ユニット42を備え、演出図柄表示装置60における表示内容を制御し、特にメイン基板102による抽選結果に応じて表示内容を変動させる。メイン基板102およびサブ基板104は、遊技制御装置100を構成する。裏セット機構39は、賞球タンク44や賞球の流路、賞球を払い出す払出ユニット43等を含む。払出ユニット43は、各入賞口への入賞に応じて賞球タンク44から供給される遊技球を上球皿15へ払い出す。払出制御基板45は、払出ユニット43による払出動作を制御する。発射装置46は、上球皿15の貯留球を遊技領域52へ1球ずつ発射する。発射制御基板47は、発射装置46の発射動作を制御する。電源ユニット48は、ぱちんこ遊技機10の各部へ電力を供給する。
【0033】
図3は、第1実施例におけるぱちんこ遊技機10の機能ブロックを示す。ぱちんこ遊技機10において、遊技制御装置100は、第1始動入賞口62、第2始動入賞口63、第1大入賞口91、第2大入賞口92、一般入賞口72、作動口68、第1特別図柄表示装置70、第2特別図柄表示装置71、演出図柄表示装置60、普通図柄表示装置59、操作ボタン82、スピーカ18、遊技効果ランプ90のそれぞれと電気的に接続されており、各種制御信号の送受信を可能とする。遊技制御装置100は、遊技の基本動作だけでなく、図柄変動表示や電飾等の演出的動作も制御する。遊技制御装置100は、遊技の基本動作や遊技の進行を含むぱちんこ遊技機10の全体動作を制御する主制御装置としてのメイン基板102と、図柄の演出等を制御する副制御装置としてのサブ基板104とに機能を分担させた形態で構成される。遊技制御装置100は、ハードウエア的にはデータやプログラムを格納するROMやRAM、演算処理に用いるCPU等の素子を含んで構成される。
【0034】
本実施例におけるメイン基板102は、入球判定手段110、第1抽選手段126、第2抽選手段128、普図抽選手段136、保留制御手段116、メイン表示制御手段118、特別遊技制御手段120、小当り遊技制御手段330、特定遊技実行手段122、開閉制御手段124、条件保持手段176を備える。本実施例におけるサブ基板104は、演出記憶手段130、演出決定手段132、演出表示制御手段134を備える。なお、メイン基板102に含まれる各機能ブロックは、いずれかがメイン基板102ではなくサブ基板104に搭載されるかたちで構成されてもよい。同様に、サブ基板104に含まれる各機能ブロックは、いずれかがサブ基板104ではなくメイン基板102に搭載されるかたちで構成されてもよい。
【0035】
ただし、メイン基板102とサブ基板104の間におけるデータの送受信はメイン基板102からサブ基板104への一方向であるため、そのような一方向でのデータ送受信にて全体動作が実現されるよう各構成がメイン基板102とサブ基板104に配置される。このようにメイン基板102からサブ基板104へのデータ送信の一方向性が保たれるため、サブ基板104に含まれる構成からメイン基板102に含まれる構成へはデータを送信することができず、データ送信の要求もできない。したがって、メイン基板102で生成された情報は、メイン基板102がサブ基板104へ一方的に送信しない限りサブ基板104から参照することはできない。
【0036】
入球判定手段110は、各入賞口への遊技球の入球を判定する。入球判定手段110は、第1始動入賞情報を受け取ると遊技球が第1始動入賞口62に入賞したと判断し、第2始動入賞情報を受け取ると遊技球が第2始動入賞口63に入賞したと判断する。入球判定手段110は、第1大入賞口入賞情報を受け取ると遊技球が第1大入賞口91に入賞したと判断し、第2大入賞口入賞情報を受け取ると遊技球が第2大入賞口92に入賞したと判断し、一般入賞情報を受け取ると遊技球が一般入賞口72に入賞したと判断する。入球判定手段110は、通過情報を受け取ると遊技球が作動口68を通過したと判断する。
【0037】
第1始動入賞口62への入球に対応する第1の抽選を実行する第1抽選手段126は、第1抽選値取得手段112、第1当否判定手段113、第1パターン決定手段114、第1図柄決定手段320を含む。第2始動入賞口63への入球に対応する第2の抽選を実行する第2抽選手段128は、第2抽選値取得手段115、第2当否判定手段117、第2パターン決定手段119、第2図柄決定手段322を含む。第1の抽選の結果は、第1特別図柄表示装置70において第1特別図柄192の変動表示の形で示され、演出図柄表示装置60の表示領域194において装飾図柄190の変動表示の形で示される。第2の抽選の結果は、第2特別図柄表示装置71において第2特別図柄193の変動表示の形で示され、演出図柄表示装置60の表示領域194において装飾図柄190の変動表示の形で示される。
【0038】
第1抽選手段126および第2抽選手段128は、図柄変動を開始するにあたり、その図柄変動に対応する抽選の結果を図柄変動の制御コマンドとともに演出決定手段132へ送信する。
【0039】
第1抽選値取得手段112は、第1始動入賞口62への入球を契機に、第1の抽選のために乱数の値を第1当否抽選値として取得する。第2抽選値取得手段115は、第2始動入賞口63への入球を契機に、第2の抽選のために乱数の値を第2当否抽選値として取得する。たとえば、当否抽選のために第1当否抽選値および第2当否抽選値として取得する値は「0」から「65535」までの値範囲から取得される。なお、本願にいう「乱数」は、数学的に発生させる乱数でなくてもよく、ハードウエア乱数やソフトウエア乱数などにより発生させる疑似乱数でもよい。第1抽選値取得手段112および第2抽選値取得手段115が第1当否抽選値または第2当否抽選値として取得する値は、保留制御手段116により一時的に保留される。ただし、保留制御手段116により保留される所定の保留上限数を超えない範囲で第1当否抽選値と第2当否抽選値が保留される。
【0040】
第1当否判定手段113は、第1当否抽選値に基づき、特別遊技または小当り遊技へ移行するか否かを判定する当否判定を実行する。第2当否判定手段117は、第2当否抽選値に基づき、特別遊技または小当り遊技へ移行するか否かを判定する当否判定を実行する。第1当否判定手段113および第2当否判定手段117は、当否判定で参照する当否判定テーブルを保持する。
【0041】
図4は、当否判定テーブルを模式的に示す図である。本図の当否判定テーブルには、大当り、小当り、外れの判定結果と当否抽選値とが対応付けられており、対応付けられたそれぞれの範囲設定に応じて大当り当否確率や小当りの当否確率が定まる。第1当否判定手段113および第2当否判定手段117は、当否判定において本図の当否判定テーブルを参照する。第1当否判定手段113による第1の抽選と第2当否判定手段117による第2の抽選のいずれにおいても、通常時には当否抽選値が0〜299の範囲に該当したときのみ大当りとなる。確変時には大当りの範囲が拡大され、当否抽選値が0〜299の範囲に該当する場合だけでなく、300〜6549の範囲に該当する場合にも大当りとなる。このように、大当りに該当する範囲は遊技状態に応じて変化する。なお、本図では単一の当否判定テーブルによって通常時と確変時の双方の大当り範囲を示したが、当否判定テーブルは通常時用と確変時用とで別個に用意してもよいし、第1の抽選用と第2の抽選用とで別個に用意してもよい。
【0042】
本実施例においては、当否抽選値が大当り範囲に該当しない場合であっても、所定の範囲に該当した場合には小当りとなる。本図の例では、第1当否判定手段113が取得する当否抽選値が56500〜65535の範囲に該当した場合に小当りとなり、第2当否判定手段117が取得する当否抽選値が64000〜65535の範囲に該当した場合に小当りとなる。すなわち、第2の抽選よりも第1の抽選の方が小当りに該当する範囲が広く、小当りが発生しやすい。このように、大当りに該当しなかった場合、本来はすべて「外れ」であるが、本図の例では大当りに該当しなかった場合のうち小当りにも該当しなかった場合の当否抽選値範囲を特に「外れ」と表現している。なお、本図では大当りか否かの判定テーブルと小当りか否かの判定テーブルとを単一の当否判定テーブルの形で実現する例を示したが、それぞれを別個のテーブルとして実現してもよい。
【0043】
なお、第1当否判定手段113および第2当否判定手段117は、第1始動入賞口62または第2始動入賞口63への入球時に、事前判定処理として、抽選値が当否判定におけるいずれの抽選値範囲に該当するかの事前当否判定をさらに実行する。そして、その判定結果をサブ基板104(例えば演出決定手段132)へ送信する。事前当否判定の結果は、送信バッファに一時保存された後、事前当否判定の対象とした抽選値に対応する図柄変動表示が直ちに開始されるか否かにかかわらずサブ基板104へ送信される。そして、送信バッファから消去され、または後に上書きされる。そのため、サブ基板104側にとっては図柄変動開始の順番が巡ってくる前にあらかじめ当否結果を推測的に認識できる、いわゆる「先読み」と呼ばれる処理が実現される。なお、図柄変動を開始するにあたって実行する当否判定を、特に事前当否判定と区別するために、「本判定としての当否判定」とも呼ぶ。
【0044】
図3に戻り、第1図柄決定手段320および第2図柄決定手段322は、別途取得する図柄抽選値と当否判定の結果に基づいて、図柄の変動開始にあたってその停止図柄を決定する。第1図柄決定手段320および第2図柄決定手段322は、特別図柄の停止図柄を決定するために参照する複数の図柄判定テーブルを保持する。第1図柄決定手段320および第2図柄決定手段322は、当否判定結果に応じて異なる図柄判定テーブルを参照する。
【0045】
図5は、図柄判定テーブルを模式的に示す図である。図5(a)は当否判定結果が大当りであった場合に参照するテーブルであり、図5(b)は当否判定結果が外れであった場合に参照するテーブルであり、図5(c)は当否判定結果が小当りであった場合に参照するテーブルである。第1図柄決定手段320および第2図柄決定手段322は、図柄判定において本図の図柄判定テーブルを参照する。各図柄判定テーブルには、「0」〜「9」の数字および文字以外の記号「−」で表される特別図柄と第1図柄抽選値または第2図柄抽選値との対応関係が定められている。特別図柄の種類はそれぞれ大当り、小当り、外れの当否判定結果と対応付けられており、奇数の数字が大当りに対応し、偶数の数字が小当りに対応し、記号「−」が外れに対応する。
【0046】
図5(a)に示す通り、特別図柄「0」〜「9」のうち奇数の数字である特別図柄「1」「3」「5」「7」「9」が大当りに対応づけられている。そのうち、特別図柄「7」は確変状態への移行を伴う15R大当りを示し、第1図柄抽選値の場合は「0〜99」に対応づけられ、第2図柄抽選値の場合は「0〜149」に対応づけられる。特別図柄「3」は確変状態への移行を伴う2R大当りを示し、第1図柄抽選値の場合は「100〜149」に対応づけられるが、第2図柄抽選値の場合には対応づけられていない。特別図柄「1」「5」は確変状態への移行を伴わない15R大当りを示し、第1図柄抽選値の場合は「130〜229」に対応づけられ、第2図柄抽選値の場合は「150〜255」が対応づけられている。特別図柄「9」は確変状態への移行を伴わない2R大当りを示し、第1図柄抽選値の場合は「230〜255」に対応づけられるが、第2図柄抽選値の場合には対応づけられていない。このように、第2図柄抽選値は2R大当りを示す特別図柄「3」「9」と対応づけられていないため、第2始動入賞口63に入球させる限りは2R大当りは発生しない。
【0047】
図5(b)に示す通り、記号「−」は全範囲である図柄抽選値の範囲「0〜255」に対応づけられる。
【0048】
図5(c)に示す通り、特別図柄「0」〜「9」のうち偶数の数字である特別図柄「0」「2」「4」「6」「8」が小当りに対応づけられている。特別図柄「0」は図柄抽選値の範囲「0〜49」に対応づけられ、特別図柄「2」は図柄抽選値の範囲「50〜99」に対応づけられ、特別図柄「4」は図柄抽選値の範囲「100〜149」に対応づけられ、特別図柄「6」は図柄抽選値の範囲「150〜199」に対応づけられ、特別図柄「8」は図柄抽選値の範囲「200〜255」に対応づけられる。
【0049】
なお、第1図柄決定手段320および第2図柄決定手段322は、第1始動入賞口62または第2始動入賞口63への入球時に、事前判定処理として、図柄抽選値がいずれの図柄範囲に該当するかの事前図柄判定をさらに実行する。そして、その判定結果を、事前図柄判定の対象とした抽選値に対応する図柄変動表示が直ちに開始されるか否かにかかわらずサブ基板104(例えば演出決定手段132)へ送信する。
【0050】
第1図柄決定手段320および第2図柄決定手段322は、事前図柄判定において、特別図柄の停止図柄の範囲を決定するために参照する複数の事前図柄判定テーブルを保持する。第1図柄決定手段320および第2図柄決定手段322は、事前当否判定の結果が大当りの場合は、大当り用の事前図柄判定テーブルを参照して、図柄抽選値が属する図柄範囲を判定する。この大当り用の事前図柄判定テーブルは、複数種類の大当りと、各大当りに対応する図柄抽選値の範囲とを対応づけて定める。すなわち、事前当否判定の結果が大当りの場合、事前図柄判定の結果は大当りの種類(確変状態への移行を伴う15R大当り、確変状態への移行を伴わない15R大当り、確変状態への移行を伴う2R大当り、確変状態への移行を伴わない2R大当りのいずれか)を示す。したがって、上述の事前当否判定の結果および事前図柄判定の結果により、サブ基板104(例えば演出決定手段132)は、将来時点での大当りの発生有無と、発生する大当りの種類を予め判定できる。
【0051】
このように、本実施例の第1抽選手段126は、第1始動入賞口62への入球時に、事前判定処理として、事前当否判定および事前図柄判定を実行する。同様に、本実施例の第2抽選手段128は、第2始動入賞口63への入球時に、事前判定処理として、事前当否判定および事前図柄判定を実行する。そして、事前判定処理の結果データ(以下、「事前判定結果」とも呼ぶ。)として、当否範囲、図柄範囲のそれぞれを示すデータを設定してサブ基板104へ送信する。
【0052】
図3に戻り、第1パターン決定手段114は、第1特別図柄表示装置70および演出図柄表示装置60に表示させる図柄変動の表示過程が定められた変動パターンを、別途取得する第1パターン抽選値に基づいて複数の変動パターンの中から決定する。第2パターン決定手段119は、第2特別図柄表示装置71および演出図柄表示装置60に表示させる図柄変動の表示過程が定められた変動パターンを、別途取得する第2パターン抽選値に基づいて複数の変動パターンの中から決定する。第1パターン決定手段114および第2パターン決定手段119は、それぞれ図柄変動を開始する際に変動パターンテーブルを参照してその図柄変動の変動パターンを決定する。第1パターン決定手段114および第2パターン決定手段119は、変動パターンを決定するために参照する変動パターン選択基準として複数の変動パターンテーブルをそれぞれ保持または共有する。変動パターンには、特別図柄を変動表示させるときの変動開始から停止までの変動時間が定められており、その種類によって長短様々な変動時間をもつ。すなわち、各変動パターンには、その図柄変動の終了条件としてパターンごとに変動表示時間が定められており、その変動表示時間の経過時に特別図柄の変動が停止される。複数の変動パターンテーブルは、変動パターンと抽選値との対応関係としてそれぞれ変動時間の選択傾向が異なるように定められている。
【0053】
図6は、通常の変動パターンテーブルを模式的に示す図である。第1パターン決定手段114および第2パターン決定手段119は、通常状態での変動パターン判定において本図の変動パターンテーブルを参照する。特定遊技状態での変動パターン判定においては、後述する図8の特定遊技用変動パターンテーブルを参照する。通常状態において、第1パターン決定手段114または第2パターン決定手段119は、当否判定結果が外れのときは図6(a)に示される外れ用の変動パターンを参照する。当否判定結果が15R大当りのときは図6(b)に示される15R大当り用の変動パターンテーブルを参照する。当否判定結果が2R大当りまたは小当りのときは図6(c)に示される2R大当りおよび小当り用の変動パターンテーブルを参照する。
【0054】
図6(a)においては、パターン抽選値0〜10には「スーパー1」というスーパーリーチが対応付けられ、パターン抽選値11〜20には「スーパー2」というスーパーリーチが対応付けられている。パターン抽選値21〜255には「ノーマル1」「ノーマル2」「リーチなし」のいずれかの変動パターンが対応付けられている。このように、当否判定結果が外れの場合、スーパーリーチ、ノーマルリーチ、リーチなしのいずれも選択される可能性がある。なお、図6(a)の変動パターンテーブルは、厳密には保留数ごとに参照すべき欄が異なるように規定されるが、その詳細は後述する図7において説明する。
【0055】
図6(b)においては、パターン抽選値0〜120には「スーパー1」のスーパーリーチが対応付けられ、パターン抽選値121〜240には「スーパー2」のスーパーリーチが対応付けられている。パターン抽選値241〜250には「ノーマル1」のリーチが対応付けられ、パターン抽選値251〜255には「ノーマル2」のリーチが対応付けられている。
【0056】
図6(c)においては、パターン抽選値0〜122には「スーパー3」というスーパーリーチが対応付けられ、パターン抽選値123〜255には「ノーマル3」というノーマルリーチが対応付けられている。このように当否判定結果が2R大当りまたは小当りの場合は「スーパー3」または「ノーマル3」がそれぞれ約50%の確率で選択される。
【0057】
図7は、図6(a)の変動パターンテーブルを詳細に示す図である。本図の変動パターンテーブル210においては、保留数ごとにそれぞれ変動パターンに対応付けられたパターン抽選値の範囲が異なる。具体的には、保留数が少ないほど変動時間が相対的に長い変動パターンに割り当てられたパターン抽選値の範囲が広くされており、それら変動時間の長い変動パターンが選択される確率を高めている。そのため、第1保留手段144または第2保留手段146による保留数が少ないほど平均的な変動時間が長くなる。したがって、第1保留手段144または第2保留手段146による保留数が所定数、例えば1〜2個より少なくなった場合に、変動時間の長い変動パターンの選択確率が通常より高くなり、変動時間が比較的長くなりやすい。
【0058】
第1欄212には、第1保留手段144による第1の抽選の結果保留数または第2保留手段146による第2の抽選の結果保留数が1の場合のパターン抽選値範囲と変動パターンとの対応関係が示される。同様に、第2欄214、第3欄216、第4欄218に、第1保留手段144による第1の抽選の結果保留数または第2保留手段146による第2の抽選の結果保留数がそれぞれ2、3、4の場合のパターン抽選値範囲と変動パターンとの対応関係が示される。すなわち、第1欄212、第2欄214、第3欄216、第4欄218が保留数ごとの変動パターンテーブルを示すと考えることができる。本図では、外れのときに選択され得る複数の変動パターンを変動時間別に5種類に分類した例を説明するが、実際にはそれらの分類ごとに複数の変動演出パターンが用意されており、全体で数十種類の変動演出パターンがそれぞれの分類ごとの抽選値範囲に対応付けられていることに等しい。
【0059】
第1範囲222には、抽選値が0から10までのパターン抽選値に該当する場合の変動パターンとして、第1欄212、第2欄214、第3欄216、第4欄218のいずれにも「スーパー1」というスーパーリーチの変動パターンが対応付けられる。第2範囲224には、抽選値が11から20までのパターン抽選値に該当する場合の変動パターンとして、第1欄212、第2欄214、第3欄216、第4欄218のいずれにも「スーパー2」というスーパーリーチの変動パターンが対応付けられる。このように、抽選値が0から10までのパターン抽選値と抽選値が11から20までのパターン抽選値の場合には、保留数にかかわらず同じ変動時間の変動パターンが選択される。
【0060】
第3範囲226には、抽選値が21から255までのパターン抽選値に該当する場合の変動パターンとして、第1欄212、第2欄214、第3欄216、第4欄218にはそれぞれノーマルリーチである「ノーマル1」「ノーマル2」と「リーチなし」の3種類の変動パターンが対応付けられる。ただし、それぞれの変動パターンが対応付けられるパターン抽選値の範囲は保留数によって異なる。第1欄212では、「ノーマル1」「ノーマル2」「リーチなし」のそれぞれが対応付けられる抽選値範囲の大きさがそれぞれほぼ等しく、21から255をほぼ3等分した範囲が対応付けられている。これに対し、第2欄214では、「ノーマル1」「ノーマル2」のそれぞれに対応付けられる抽選値範囲の大きさが「リーチなし」に対応付けられる抽選値範囲よりやや小さい。また、第3欄216では「ノーマル1」「ノーマル2」のそれぞれに対応付けられる抽選値範囲の大きさがさらに小さくなり、第4欄218にて「ノーマル1」「ノーマル2」のそれぞれに対応付けられる抽選値範囲の大きさはまたさらに小さくなっている。
【0061】
「ノーマル1」「ノーマル2」の変動時間は「リーチなし」の変動時間より長くてもよく、また「リーチなし」のときは時短状態のように変動時間が短縮される場合もあるため、上記の第3範囲226の設定内容に応じて平均的な変動時間が異なることとなる。保留数が1から2、3、4と多くなるにつれて「ノーマル1」および「ノーマル2」のパターン抽選値範囲は小さくなり、逆に「リーチなし外れ」のパターン抽選値範囲が大きくなる。したがって、保留数が多いほど平均的な変動時間は短くなり、逆に保留数が少ないほど平均的な変動時間は長くなる。このように保留数ごとにパターン抽選値範囲と変動パターンの対応関係が異なる変動パターンテーブルを用いることにより、保留数が少なくなったときに変動時間の長い変動パターンが選択されやすくなる制御を実現することができる。
【0062】
図3に戻り、普図抽選手段136は、作動口68を遊技球が通過したときに抽選値を取得することにより抽選を実行する。普図抽選手段136による抽選の結果は、普通図柄表示装置59において普通図柄の形で変動表示される。普図抽選手段136は、普通図柄表示装置59に表示させる普通図柄の停止図柄を決定するために参照すべき図柄判定テーブルを保持する。その図柄判定テーブルには抽選値と普通図柄の対応関係が定められており、普図抽選手段136は普通図柄の停止図柄を図柄判定テーブルを参照して決定する。決定された停止図柄が所定の図柄となった場合に普通図柄が当りに該当したと判定され、その停止図柄にて普通図柄の変動表示が停止された後に開閉制御手段124が第2始動入賞口63の普通電動役物65を所定時間拡開する。普通図柄の抽選値は、保留制御手段116により一時的に保留される。ただし、保留制御手段116により保留される所定の保留上限数を超えない場合にだけ抽選値が保留される。
【0063】
保留制御手段116は、第1保留手段144、第2保留手段146、普図保留手段147を含む。第1保留手段144は、新たに第1の抽選が実行されるときにそれ以前の抽選に対応する図柄変動が表示されている場合、新たな第1の抽選の結果をその抽選に対応する図柄の変動表示開始まで保留する。本実施例では第1の抽選の結果として4個を上限として当否抽選値を保持する。第2保留手段146は、新たに第2の抽選が実行されるときにそれ以前の抽選に対応する図柄変動が表示されている場合、新たな第2の抽選の結果をその抽選に対応する図柄の変動表示開始まで保留する。本実施例では第2の抽選の結果として4個を上限として当否抽選値を保持する。普図保留手段147は、普図抽選手段136により取得された普図抽選値を保留球として保持する。これらの保留数がそれぞれ第1特図保留ランプ20、第2特図保留ランプ21、普図保留ランプ22の点灯数または点滅数により表される。第1保留手段144および第2保留手段146による保留の数は表示領域194にも表示される。
【0064】
第2保留手段146に保留された抽選値は第1保留手段144に保留された抽選値より優先的に消化されて図柄変動が表示される。そのため、第1保留手段144に大当りの抽選値が保留されていても第2保留手段146に保留がある限りは第1保留手段144の大当り抽選値に対応する図柄変動は表示されない。したがって、第1保留手段144に大当りの保留があっても、さらに第2保留手段146へ大当りの保留が入るまで打ち続けることで、複数回の連続的な大当りを獲得できる可能性がある。
【0065】
メイン表示制御手段118は、第1特図制御手段148、第2特図制御手段150、普図制御手段153を含む。第1特図制御手段148は、第1抽選手段126による第1の抽選の結果として決定された変動パターンにしたがい第1特別図柄192の変動を第1特別図柄表示装置70に表示させる。第1特図制御手段148は、それ以前になされた第1の抽選または第2の抽選に対応する図柄の変動表示が終了していることを新たな図柄変動の開始条件とする。第2特図制御手段150は、第2抽選手段128による第2の抽選の結果として決定された変動パターンにしたがい第2特別図柄193の変動を第2特別図柄表示装置71に表示させる。第2特図制御手段150もまた、それ以前になされた第1の抽選または第2の抽選に対応する図柄の変動表示が終了していることを新たな図柄変動の開始条件とする。
【0066】
第1特図制御手段148は、第2保留手段146により第2の抽選の結果が保留されている場合は第1の抽選に対応する図柄変動表示の開始を留保する。一方、第2特図制御手段150は、第1保留手段144により第1の抽選の結果が保留されているか否かにかかわらず第2の抽選に対応する図柄変動表示を開始する。これにより、第1保留手段144と第2保留手段146の双方によって抽選値が保留されていた場合、第2保留手段146によって保留された抽選値が優先的に読み出されて図柄変動が表示される。そのような場合、第2保留手段146の保留数が0になるまでは第1保留手段144に保留された抽選値は読み出されずその図柄変動も開始しない。
【0067】
第1特図制御手段148および第2特図制御手段150は、第1特別図柄192および第2特別図柄193の変動表示を開始するタイミングと停止するタイミングにて、変動開始コマンドと変動停止コマンドを演出表示制御手段134へ送信する。変動開始コマンドを送信するとき、決定された当否判定結果、停止図柄、変動パターンのそれぞれを示す値と第1の抽選と第2の抽選のいずれであるかを示す値とを変動開始コマンドとともに演出表示制御手段134へ送信する。変動停止コマンドを送信するとき、あらためて停止図柄を示す値を変動停止コマンドとともに演出表示制御手段134へ送信する。これにより、メイン表示制御手段118および演出表示制御手段134による変動表示が同期し、連動が保たれる。普図制御手段153は、普図抽選手段136による抽選の結果を普通図柄の変動表示として普通図柄表示装置59に表示させる。
【0068】
条件保持手段176は、大入賞口の開放を伴う単位遊技を複数回含む特別遊技へ移行するための条件として特別遊技作動条件を保持する。特別遊技作動条件は、第1の抽選または第2の抽選で特別遊技へ移行する旨を示す結果となり、その抽選に対応する図柄変動が停止したことを条件の内容とする。
【0069】
特別遊技制御手段120は、第1抽選手段126による第1の抽選が特別遊技への移行を示す結果となった場合、第1特別図柄192が所定の大当り態様で停止されたときに特別遊技作動条件が成立したと判定し、第1大入賞口91を開放させることにより特別遊技を実行する。同様に、特別遊技制御手段120は、第2抽選手段128による第2の抽選が特別遊技への移行を示す結果となった場合、第2特別図柄193が所定の大当り態様で停止されたときに特別遊技作動条件が成立したと判定し、第2大入賞口92を開放させることにより特別遊技を実行する。特別遊技は、第1大入賞口91または第2大入賞口92の開閉動作を複数回数連続して継続する遊技であり、1回の開閉を単位とした複数回の単位遊技で構成される。
【0070】
特別遊技には、相対的に出玉の多くなる態様で第1大入賞口91または第2大入賞口92を開閉させる第1の特別遊技と、相対的に出玉の少なくなる態様で第1大入賞口91または第2大入賞口92を開閉させる第2の特別遊技と、が含まれる。第1の特別遊技は、単位遊技を15回繰り返す15R大当りに伴う特別遊技である。第2の特別遊技は、短い単位遊技を2回だけ繰り返す2R大当りに伴う特別遊技である。特別遊技制御手段120は、15R大当りにおいては、1回の単位遊技において第1大入賞口91または第2大入賞口92を原則として約30秒間開放させる。特別遊技制御手段120は、単位遊技の設定ラウンド数を消化したときに特別遊技を終了させる。
【0071】
小当り遊技制御手段330は、第1抽選手段126による第1の抽選が小当り遊技への移行を示す結果となった場合、第1特別図柄192が所定の小当り態様で停止されたときに小当り遊技作動条件が成立したと判定し、第1大入賞口91を開放させることにより小当り遊技を実行する。同様に、小当り遊技制御手段330は、第2抽選手段128による第2の抽選が小当り遊技への移行を示す結果となった場合、第2特別図柄193が所定の小当り態様で停止されたときに小当り遊技作動条件が成立したと判定し、第2大入賞口92を開放させることにより小当り遊技を実行する。小当り遊技は、第1大入賞口91または第2大入賞口92の開閉動作を複数回行う遊技であり、2回の開閉を単位とした1回の単位遊技で構成される。小当り遊技においては、第1大入賞口91または第2大入賞口92を2R大当りと同様に短時間だけ開放させる。小当り遊技制御手段330は、単位遊技を1回実行した後に小当り遊技を終了させる。
【0072】
特定遊技実行手段122は、特別遊技の終了後から次の大当りが発生するまでの期間、あらたに大当りを獲得する容易性が通常状態より有利となる特定遊技の状態に移行させる。特定遊技には、確変と時短が含まれる。特定遊技実行手段122は、第1の抽選と第2の抽選のいずれの結果に起因する特別遊技であったかにかかわらずその特別遊技の終了後に必ず第1特別図柄192および第2特別図柄193の時短状態へ移行させる。一方、特別遊技の終了後に確変状態へ移行させるのは、第1図柄決定手段320または第2図柄決定手段322により決定された図柄が、確変状態への移行を伴う15R大当り図柄もしくは確変状態への移行を伴う2R大当り図柄であった場合に限られる。
【0073】
確変状態の間は第1当否判定手段113または第2当否判定手段117による当否判定結果が大当りとなる確率が通常状態より高められる。第1特別図柄192、第2特別図柄193の時短状態は、次の大当りが発生するまで継続される。
【0074】
第1特別図柄192および第2特別図柄193の時短中は、特定遊技の一つである入球容易状態が実施される。入球容易状態は、普通図柄の時短、開放抽選の確率変動、普通電動役物65の開放延長が実施されることにより第2始動入賞口63への入球容易性が高められる状態である。普通図柄の時短は、普通図柄の変動時間が通常状態より短縮される状態である。開放抽選の確率変動は、開放抽選の当り確率を通常状態より高める状態である。普通電動役物65の開放延長は、普通電動役物65の開放時間を通常状態よりも長くする状態である。
【0075】
このように、入球容易状態においては、一定時間あたりの普通図柄の変動回数が通常状態よりも増加する可能性が高まる上、第2始動入賞口63への入球容易性も増すため、第2始動入賞口63への入球数が増加する可能性も高い。したがって、第1特別図柄192、第2特別図柄193の時短および入球容易状態により、その期間中は第2始動入賞口63への入球による賞球を得られる機会が増加する結果、持ち玉をほとんど減らさずに遊技し続けることが可能となる。また、時短中は第1始動入賞口62より第2始動入賞口63への入球容易性が高くなるため、遊技者はいわゆる右打ちをするために第2始動入賞口63への入球を狙った強度にて遊技球を発射することとなる。
【0076】
なお、本実施例における入球容易状態は、普通図柄の時短、開放抽選の確率変動、普通電動役物65の開放延長という3つの機能を用いて第2始動入賞口63への入球容易性を高める。ただし変形例としては、これら3つの機能のうち、1つまたは2つの機能を用いて第2始動入賞口63への入球容易性を高める構成としてもよい。このように3つの機能のうち一部だけを用いても第2始動入賞口63への入球容易性を高めることは可能である。また、3つの機能のうち少なくともいずれかを、実施する期間と実施しない期間とで遊技状態に応じて切り替える構成としてもよい。
【0077】
図3に戻り、開閉制御手段124は、第2始動入賞口63の普通電動役物65や第1大入賞口91、第2大入賞口92の開閉を制御する。開閉制御手段124は、普通図柄が特定の態様で停止されると、普通電動役物ソレノイド76に開放指示を送り、第2始動入賞口63の普通電動役物65を開放させる。開閉制御手段124は、特別遊技において、大入賞口ソレノイド80または大入賞口ソレノイド81に開放指示を送り、第1大入賞口91または第2大入賞口92を開放させる。
【0078】
操作検出手段133は、操作ボタン82に対する遊技者の操作入力の内容を取得する。具体的には、操作ボタン82における左ボタンが押下された場合、中ボタンが押下された場合、右ボタンが押下された場合のそれぞれにおいて、押下されたボタンの種類を示す情報を取得する。
【0079】
演出記憶手段130は、装飾図柄の変動演出パターンとして複数の変動演出パターンデータを保持する。演出決定手段132は、第1抽選手段126から受け取る第1の抽選の結果または第2抽選手段128から受け取る第2の抽選の結果に応じて、演出表示制御手段134によって演出図柄表示装置60へ表示させる演出内容を決定する。演出決定手段132は、第1パターン決定手段114または第2パターン決定手段119により決定された特別図柄の変動パターンに対応する複数の変動演出パターンデータの中からいずれかを選択して演出記憶手段130から読み出す。演出決定手段132は、装飾図柄190の停止図柄の組合せを第1抽選手段126または第2抽選手段128が決定する特別図柄の停止図柄や変動パターンに基づいて決定する。
【0080】
装飾図柄190の停止図柄は、3つの図柄の組合せとして形成され、たとえば第1抽選手段126または第2抽選手段128による当否判定結果が15R大当りの特別遊技への移行を示す場合には特定の組合せ、例えば「777」や「111」のように3つの図柄が揃った組合せが選択される。この場合、装飾図柄190として揃える数字には、第1特別図柄192や第2特別図柄193と同じ数字が選ばれるのが好ましい。たとえば、第1特別図柄192または第2特別図柄193が「7」の場合は装飾図柄190が「777」となる。あるいは、3つの図柄の少なくとも一つに当りであることを示す特定の図柄が含まれる図柄の組み合わせによっても、その大当りを示すようにしてもよい。当否判定結果が2R大当りの場合や小当りの場合もまた特定の組合せ、例えば「357」のような所定の組合せが選択されるが、それらの特定の組合せは必ずしも3つの図柄が揃った組合せでなくてもよい。当否判定結果が大当りでも小当りでもない場合は、「312」や「946」のように3つの図柄が揃っていない組合せであって、2R大当りや小当りのときに選択される特定の組合せに該当しない組合せが選択される。当否判定結果が15R大当りではない場合であって、リーチ付きの外れを示す変動パターンが選択された場合は、「191」や「727」のように一つだけ図柄が揃っていない組合せを選択する。演出決定手段132は、装飾図柄190の停止図柄組合せと装飾図柄の変動演出パターンデータを演出表示制御手段134へ送る。
【0081】
装飾図柄の変動演出パターンデータには、装飾図柄の変動表示態様、すなわち装飾図柄の変動開始から変動停止までの変動過程と演出過程が定義される。変動演出パターンには、あと一つ図柄が揃えば大当りとなるリーチ状態を経てから当り態様または外れ態様である停止図柄組合せを表示するリーチパターンと、リーチ状態を経ずに外れ態様である停止図柄組合せを表示するリーチなしパターンが含まれる。特に、リーチ状態を経るときのパターンとしては、長短様々な変動時間をもつパターンが含まれ、相対的に変動時間の短いリーチパターンを「ノーマルリーチ」と称し、変動時間の長いリーチパターンを「スーパーリーチ」と称する。各変動演出パターンには、その図柄変動の終了条件としてパターンごとに変動時間が定められており、その変動時間の経過時に図柄変動が停止される。演出決定手段132は、特別図柄の変動パターンに応じて、特別図柄と変動時間が等しい装飾図柄の変動演出パターンを選択する。
【0082】
なお演出記憶手段130は、装飾図柄の変動表示とは別に表示されて大当りへの期待度の高さを予告的に示唆する複数の予告演出パターンをさらに保持する。予告演出パターンは、特定のキャラクタやモチーフの画像、アニメーション、映像などを一時的に画面表示させる演出パターンや、特定の音声を出力する演出パターンである。予告演出パターンによる演出は、図柄変動と並行して実行され、その図柄変動が大当り態様にて停止する期待度が高いことを予告的に示唆する。演出決定手段132は、メイン基板102における当否抽選の結果、特別図柄の停止図柄、特別図柄の変動パターン、装飾図柄の変動演出パターンに応じて予告演出パターンを決定する。そして、決定した予告演出パターンのデータを演出表示制御手段134へ送る。
【0083】
演出表示制御手段134は、第1演出制御手段168、第2演出制御手段170および特別遊技演出制御手段171を含む。演出表示制御手段134は、遊技効果ランプ90の点灯および消灯や、スピーカ18からの音声出力などの演出処理をさらに制御する。
【0084】
第1演出制御手段168および第2演出制御手段170は、第1抽選手段126による第1の抽選の結果または第2抽選手段128による第2の抽選の結果を、選択された変動演出パターンデータにしたがって装飾図柄190として演出図柄表示装置60の表示領域194に変動表示させる。第1演出制御手段168および第2演出制御手段170は、それ以前の第1の抽選または第2の抽選に対応する装飾図柄190の変動表示が終了していることを新たな図柄変動の開始条件とする。特別遊技演出制御手段171は、特別遊技制御手段120により特別遊技が実行される場合、特別遊技における演出内容を定めた演出データにしたがって演出図柄表示装置60の表示領域194に特別遊技の演出を表示させる。
【0085】
第1演出制御手段168は、第2保留手段146により第2の抽選の結果が保留されている場合は第1の抽選に対応する図柄変動表示の開始を留保する。第2演出制御手段170は、第1保留手段144により第1の抽選の結果が保留されているか否かにかかわらず第2の抽選に対応する図柄変動表示を開始する。これにより、第1保留手段144と第2保留手段146の双方によって抽選値が保留されていた場合は第2保留手段146により保留された抽選値が優先的に読み出されて装飾図柄の変動が表示される。そのような場合、第2保留手段146の保留数が0になるまでは第1保留手段144に保留された抽選値は読み出されずその装飾図柄の変動も開始しない。このように演出表示制御手段134は、装飾図柄190の変動表示を含む図柄変動演出を演出図柄表示装置60に表示させる。
【0086】
次に、本実施例における特徴的な演出制御について説明する。
演出記憶手段130は、特別遊技の実行中の演出内容、例えば演出図柄表示装置60に表示させるべきアニメーションの内容や、スピーカ18から出力させるべき音声の内容を定めた特別遊技演出のデータを保持する。15R特別遊技における特別遊技演出は、特別遊技の1ラウンド開始前の演出内容を定めた開始デモと、最終ラウンド終了後の演出内容を定めた終了デモを含む。また演出記憶手段130は、3種の操作ボタン82のいずれかを押すよう遊技者を促し、その三択に正解することで連荘となることを遊技者へ示唆するための演出内容を定めた選択演出のデータ(画像データ等)を保持する。
【0087】
図8は、演出図柄表示装置60における選択演出の表示例を示す。同図で示すように、選択演出では多肢択一式問題を模した画像を表示し、操作ボタン82の左ボタン・中ボタン・右ボタンのそれぞれを示すボタンオブジェクト230を、遊技者が選択可能な選択肢として提示する。また、3つの操作ボタン82の中からいずれかを押すよう遊技者を促すメッセージであり、正解した場合には連荘が発生することを示唆するメッセージを表示する。また選択演出では、操作ボタン82の選択入力に対する制限時間(例えば4秒)が設けられており、遊技者はその制限時間内に操作ボタン82のいずれかのボタンを押下する必要がある。なお、演出図柄表示装置60の表示領域194にはタッチパネルが設けられてもよく、この場合、遊技者はボタンオブジェクト230が示すいずれかのボタン画像をタップすることにより特定のボタンを選択してもよい。
【0088】
また演出記憶手段130は、選択演出に対する遊技者の選択結果が正解である旨、および、保留内連荘が発生する旨を遊技者へ報知するための演出内容を定めた保留内連荘報知演出のデータ(画像データ等)を保持する。保留内連荘報知演出は、例えば、「正解!連荘確定!!」等のメッセージを表示する演出であってもよい。また保留内連荘報知演出は、遊技盤の所定箇所に設けられた役物が、予め定められた態様で動作する演出でもよく、例えば所定のキャラクタを模した役物が初期位置から落下する演出であってもよい。
【0089】
また演出記憶手段130は、保留内連荘報知演出の後に実行される演出であり、次の特別遊技における特別遊技演出に対して継続性のある内容の演出(以下、「継続演出」とも呼ぶ。)のデータを保持する。継続演出は、特別遊技の開始デモと外観上の共通性を有する演出であってもよく、例えば開始デモの演出内容と一貫性のある連続演出(連続するストーリのアニメーション等)を定めたものであってもよい。また継続演出は、特別遊技演出と同じ背景画像を表示するものであってもよく、特別遊技演出での音声と同一もしくは関連する音声を出力するものであってもよく、1回以上の図柄変動に亘り連続して大当りの発生を予告するものであってもよい。なお演出記憶手段130は、大当りが保留された位置、言い換えれば、特別遊技終了後、次の大当りが発生するまでの図柄変動回数に応じた複数種類の継続演出を保持してもよい。例えば、特別遊技終了後、3回目の図柄変動で大当りとなる場合の、1回目の図柄変動用の継続演出のデータ、2回目の図柄変動用の継続演出のデータ等を保持してもよい。
【0090】
演出決定手段132は、選択演出全体において遊技者の選択結果が正解となる確率(以下、「全体正解確率」とも呼ぶ。)が、選択肢の数により期待される正解確率の近傍値となるよう制御する。この全体正解確率は、選択演出が多くの回数実行された場合の正解確率であるとも言え、また、選択演出において遊技者が特定のボタンを選択入力した場合に保留内連荘報知演出が表示される確率であるとも言える。本実施例では三肢択一の選択演出を提示し、この選択演出に回答する遊技者は期待される正解確率を3分の1と直感すると想定されるため、全体正解確率が3分の1の近似値となるよう制御する。言い換えると、遊技者は複数の選択肢のそれぞれを選択した場合の正解確率が同等となることを期待すると考えられる。したがって、演出決定手段132は、それぞれの選択肢の正解確率が3分の1の近似値となるよう、すなわち全体正解確率が3分の1と同等の値となるよう制御する。例えば、全体正解確率が30%〜35%の範囲の値になるよう制御してもよい。
【0091】
また選択演出において遊技者の選択結果が正解であった場合はその後に保留内連荘を報知するため、保留内連荘が発生する場合に限り遊技者の選択結果を正解とすることができる。言い換えると、保留内連荘が発生しない場合は遊技者の選択結果にかかわらず常に不正解とする必要があり、保留内連荘が発生しない場合に遊技者の選択結果を正解とする確率は0である。しかし、選択演出の実行が即保留内連荘確定となっては選択演出の意義を損なうため、保留内連荘が発生しない場合にもある程度は選択演出を実行する必要がある。したがって、保留内連荘が発生する場合に遊技者の選択結果を正解とする確率(以下、「連荘時正解確率」とも呼ぶ。)は、全体正解確率より大きい値に設定する必要がある。本実施例では3分の2に設定される。
【0092】
変形例として、選択演出で提示する選択肢の数は3以外であってもよい。例えば、5つの選択肢を提示し、そのうちの2つが正解であることを遊技者に示唆してもよい。この場合、全体正解確率は5分の2とすべき一方、保留内連荘が発生しない場合に遊技者の選択結果を正解とする確率は0であるため、連荘時正解確率は5分の2よりも大きな値に設定される。
【0093】
本実施例では15R特別遊技中に選択演出を所定確率で実行する。具体的には、15R特別遊技中に選択演出を実行する確率として、保留内連荘が発生するときに選択演出を実行する確率(以下、「保留内連荘時演出確率」とも呼ぶ。)と、保留内連荘が発生しないときに選択演出を実行する確率(以下、「保留内非連荘時演出確率」)とが予め設定される。ぱちんこ遊技機10では、特別遊技の最終ラウンドまでの通常の(平均的な)保留個数(例えば7個)が統計的に想定され、その保留個数と予め定められた大当り確率により、保留内連荘が発生する確率(例えば25%)が求まる。本実施例では、保留内連荘の発生確率にもとづき、選択演出を実行した場合に保留内連荘である確率が50%となるように、保留内連荘時演出確率と保留内非連荘時演出確率とを定める。例えば、保留内連荘の発生確率が25%である場合、保留内連荘時演出確率と保留内非連荘時演出確率とが3:1となるよう、保留内連荘時演出確率を75%とし、保留内非連荘時演出確率を25%としてもよい。選択演出を実行した場合に保留内連荘となる確率が50%であれば、保留内連荘時には3分の2(連荘時正解確率)で正解となり、保留内非連荘時には常に不正解となるため、選択演出における全体正解確率は3分の1となる。
【0094】
演出決定手段132は、第1抽選手段126から送信された事前判定結果のデータと、第2抽選手段128から送信された事前判定結果のデータをそれぞれ所定のメモリに格納する。演出決定手段132は、15R特別遊技における15回目の大入賞口(第1大入賞口91または第2大入賞口92)の開放が終了したことを検出すると、それまでに受け付けられた事前判定結果を参照して大当りの保留有無を判定する。言い換えると、15R特別遊技終了後の通常遊技における図柄変動回数が保留の上限個数に達するまでの間に次の大当りが発生するか否かを判定する。判定の結果、大当りが保留されていた場合、保留内連荘時演出確率にしたがって選択演出の有無を決定する。また大当りが保留されていなかった場合、保留内非連荘時演出確率にしたがって選択演出の有無を決定する。
【0095】
なお大当りが保留されていた場合、保留内連荘時演出確率に応じて抽選値範囲と選択演出の実行有無との対応関係を定めたテーブルを参照し、抽選値(乱数値)を取得して、その抽選値が属する抽選値範囲にしたがって選択演出の実行有無を決定してもよい。大当りが保留されていない場合も同様に、保留内非連荘時演出確率に応じて抽選値範囲と選択演出の実行有無との対応関係を定めたテーブルを参照し、抽選により選択演出の実行有無を決定してもよい。
【0096】
また本実施例では保留内連荘の対象とする大当りを制限しないが、変形例として、遊技者へ提供する利益が相対的に小さい大当りは保留内連荘の対象から除外してもよい。例えば、15R特別遊技中に、次の15R大当りが保留されている場合に保留内連荘が発生すると判定する一方、2R大当りが保留されていても保留内連荘は発生しないと判定してもよい。また確変状態への移行を伴う大当りが保留されている場合に保留内連荘が発生すると判定する一方、確変状態への移行を伴わない大当りが保留されていても保留内連荘は発生しないと判定してもよい。またこれらの組み合わせとして、確変状態への移行を伴わない2R大当りについては保留内連荘の対象とする大当りから除外してもよい。この変形例によると、遊技者へ提供する利益が相対的に小さい大当りは保留内連荘報知演出の対象から除外することで、遊技者の期待感を無駄に煽ってしまうことを回避できる。
【0097】
演出決定手段132は、選択演出の実行を決定すると、選択演出における正解条件を定めた正解条件テーブルを参照して、今回実行する選択演出の正解条件を決定する。図9は、正解条件テーブルを模式的に示す。演出決定手段132は、「0〜255」の範囲の乱数値を抽選値として取得し、大当りが保留されている場合、すなわち保留内連荘が発生する場合は、その抽選値が属する抽選値範囲と対応づけられた選択肢(図9の正解肢)を正解とする正解条件を決定する。例えば抽選値が「100」の場合、正解の選択肢を中ボタンおよび右ボタンとする正解条件を決定する。その一方、保留内連荘が発生しない場合は抽選値にかかわらず、正解の選択肢がないことを示す正解条件、言い換えると、いずれのボタンも不正解であることを示す正解条件を決定する。なお変形例として演出決定手段132は選択演出における不正解の条件を定めたテーブルを参照して、今回実行する選択演出において不正解とする条件を決定してもよいことはもちろんである。
【0098】
また演出決定手段132は、選択演出の実行を決定すると、選択演出の実行を演出表示制御手段134へ指示する。演出表示制御手段134の特別遊技演出制御手段171は、選択演出の実行が指示されると、特別遊技演出の出力を一旦停止する。そして、演出記憶手段130に保持された選択演出のデータにしたがって選択演出を所定の制限時間(例えば4秒間)表示させる。操作検出手段133は、制限時間内に操作ボタン82の選択入力を検出すると、遊技者により選択入力された操作ボタン82の種類(すなわち左ボタン・中ボタン・右ボタンのいずれか)を示す情報を演出決定手段132へ通知する。
【0099】
演出決定手段132は、選択演出において遊技者が選択したボタンが正解条件と整合する場合、保留内連荘報知演出の実行を特別遊技演出制御手段171へ指示する。そして保留内連荘報知演出の終了後、特別遊技演出の再開(復帰)を特別遊技演出制御手段171へ指示する。その一方、演出決定手段132は選択演出において遊技者が選択したボタンが正解条件と不整合の場合は、保留内連荘報知演出の実行を指示することなく、特別遊技演出の再開を特別遊技演出制御手段171へ指示する。また制限時間内に操作ボタン82の選択入力が未検出の場合も、保留内連荘報知演出の実行を指示することなく、特別遊技演出の再開を特別遊技演出制御手段171へ指示する。
【0100】
演出決定手段132は、保留内連荘報知演出の実行を指示した場合、特別遊技終了後であり、次の特別遊技開始前の通常遊技の演出として、継続演出の実行を演出表示制御手段134へ指示する。演出表示制御手段134は、特別遊技の終了デモを表示後、通常遊技においては継続演出を表示させ、そして次の特別遊技の開始デモを表示させる。
【0101】
以上の構成による動作および制御の過程を以下説明する。
図10は、ぱちんこ遊技機における基本的な動作過程を示すフローチャートである。まず、遊技球が第1始動入賞口62、第2始動入賞口63、一般入賞口72、第1大入賞口91、第2大入賞口92などへ入賞した場合の処理を実行し(S10)、通常遊技中であれば(S12のY)、図柄変動などの通常遊技の制御処理を実行し(S14)、通常遊技中でなければ(S12のN)、特別遊技の制御処理を実行し(S16)、小当り遊技の制御処理を実行する(S17)。その後、S10の入賞処理においてセットされた賞球数にて各種入賞に応じた賞球払出を処理する(S18)。
【0102】
図11は、図10におけるS10の入賞処理を詳細に示すフローチャートである。第1始動入賞口62または第2始動入賞口63に入球があった場合(S20のY)、始動入賞口に対応する賞球数をセットする(S22)。第1始動入賞口62への入球であれば第1保留手段144による保留数が4未満であるか否かを参照し、第2始動入賞口63への入球であれば第2保留手段146による保留数が4未満であるか否かを参照し、それぞれにさらなる保留が可能な状態であれば(S24のY)、当否抽選値を取得する(S26)。そして、その当否抽選値に基づいて当否を判定する事前判定処理を実行し(S28)、当否抽選値を第1保留手段144または第2保留手段146に保留する(S30)。S20において第1始動入賞口62または第2始動入賞口63への入球がない場合はS22からS30までの処理をスキップする(S20のN)。S24において保留数が上限に達していてさらなる保留が不可能な場合はS26からS30までの処理をスキップする(S24のN)。以上のS20からS30までの処理が始動入賞口への入球に対する入賞処理である。
【0103】
なお、本実施例では第1の遊技(第1当否判定手段113と第1図柄決定手段320)と第2の遊技(第2当否判定手段117と第2図柄決定手段322)の双方において事前判定として当否判定を実行する例としているが、変形例としては第1の遊技における事前判定と第2の遊技における事前判定とを異なる態様としてもよい。例えば、当否判定、図柄決定、パターン決定のうちいずれを事前判定として実行するかについての態様を第1の遊技と第2の遊技とで相違させてもよい。または、いずれか一方のみが事前判定を実行してその判定結果を送信する態様としてもよいし、確変中か否かといった遊技状態に応じていずれが事前判定を実行するかを切り替えてもよい。あるいは、第1の遊技と第2の遊技の双方において遊技状態に応じて事前判定を実行するか否かを決定する態様としてもよい。また、メイン基板102が事前判定結果をサブ基板104に送信しつつ、サブ基板104側で遊技状態に応じてその判定結果を利用するか否かを切り替えてもよい。
【0104】
一般入賞口72に入球があった場合は(S32のY)、一般入賞口72に対応する賞球数をセットし(S34)、一般入賞口72への入球がないときはS34をスキップする(S32のN)。第1大入賞口91または第2大入賞口92に入球があった場合は(S36のY)、第1大入賞口91または第2大入賞口92に対応する賞球数をセットする(S38)。また、演出決定手段132は、演出表示装置60に表示中の獲得賞球数を更新する(S39)。第1大入賞口91および第2大入賞口92への入球がないときはS38およびS39をスキップする(S36のN)。
【0105】
図12は、図11におけるS28の事前判定処理を詳細に示すフローチャートである。まず、事前当否判定テーブルを参照して事前当否判定を実行し(S40)、その判定結果として当否範囲を示す値を設定し(S42)、事前図柄判定テーブルを参照して事前図柄判定を実行し(S44)、その判定結果として図柄範囲を示す値を設定する(S46)。メイン基板102の第1抽選手段126および第2抽選手段128は、以上のように事前判定結果の値を設定すると、保留される当否抽選値の種別(第1当否抽選値であるか第2当否抽選値か)を示す情報や、保留の個数を示す入賞情報とともに事前判定結果をサブ基板104(例えば演出決定手段132)へ送信する。具体的には、送信バッファに一時保存されて、サブ基板104側へ送信される(S52)。
【0106】
図13は、図10におけるS14の通常遊技制御処理の全体的な過程を示すフローチャートである。この通常遊技制御処理は、メイン基板102における特別図柄変動処理の実行と(S152)、サブ基板104における装飾図柄変動処理の実行とが(S154)、繰り返し処理されることとなる。
【0107】
図14は、図13におけるS152の特別図柄変動処理の実行処理を詳細に示すフローチャートである。まだ図柄変動表示が開始されていない場合(S60のN)、第2保留手段146により抽選値の保留がなされている場合(S62のY)、第2当否判定手段117が第2保留手段146から抽選値を読み出して第2特別図柄193の当否を判定し(S64)、第2図柄決定手段322が第2特別図柄193を決定し(S66)、第2パターン決定手段119が第2特別図柄193の変動パターンを決定し(S68)、決定した結果とともに変動開始コマンドをサブ基板104へ送信して第2特別図柄193の図柄変動を開始する(S77)。
【0108】
第2保留手段146により抽選値の保留がなされていない場合であって(S62のN)、第1保留手段144により抽選値の保留がなされている場合(S70のY)、第1当否判定手段113が第1保留手段144から抽選値を読み出してあらためて第1特別図柄192の当否を判定し(S72)、第1図柄決定手段320が第1特別図柄192を決定し(S74)、第1パターン決定手段114が第1特別図柄192の変動パターンを決定する(S75)。決定した結果とともに変動開始コマンドをサブ基板104へ送信して第1特別図柄192の図柄変動を開始する(S77)。第1保留手段144により抽選値の保留がなされていない場合はS72からS77までの処理をスキップする(S70のN)。すでに図柄変動表示が開始されている場合(S60のY)、特別図柄の図柄変動表示を処理し(S78)、所定の変動時間が経過して図柄表示の停止タイミングに達したときは(S80のY)、変動停止コマンドをサブ基板104へ送信して表示中の図柄変動を予め決定された停止図柄にて停止する(S82)。図柄表示の停止タイミングに達していない場合はS82の処理をスキップして本図のフローを終了する(S80のN)。
【0109】
図15は、図13におけるS154の装飾図柄変動処理の実行処理を詳細に示すフローチャートである。サブ基板104の演出決定手段132がメイン基板102から変動開始コマンドを受信した場合(S180のY)、受信した特別図柄の停止図柄、変動パターン、当否判定結果に応じて装飾図柄の停止態様を決定する(S182)。先の特別遊技において保留内連荘報知演出を実行済であれば(S184のY)、予告演出パターンとして、次の特別遊技時の演出内容と継続性を有する内容の継続演出を選択する(S186)。先の特別遊技において保留内連荘報知演出を未実行であれば(S184のN)、S186をスキップするが、継続演出以外の予告演出パターンを選択してもよい。そして、演出決定手段132は装飾図柄の変動演出パターンを決定する(S188)。演出表示制御手段134は、演出決定手段132で決定された変動演出パターンにしたがって装飾図柄の変動表示を開始し、適宜演出決定手段132で決定された予告演出パターンにしたがって予告演出の表示を開始する(S196)。メイン基板102から変動開始コマンドを受信しなかった場合はS182からS196をスキップする(S180のN)。
【0110】
すでに装飾図柄の変動表示が開始済みであれば(S198のY)、その図柄変動の表示処理を実行し(S200)、メイン基板102から変動停止コマンドを受信したときは(S202のY)、S182で決定された停止態様にて装飾図柄を停止表示させることで図柄変動表示を停止する(S204)。変動停止コマンドをメイン基板102から受信していないときはS204をスキップし(S202のN)、変動表示が開始済みでないときはS200からS204をスキップする(S198のN)。
【0111】
図16は、図10におけるS16の特別遊技処理を詳細に示すフローチャートである。まず初回ラウンドの開始前、すなわち第1大入賞口91または第2大入賞口92の1回目の開放がなされる前(S100のY)、演出表示制御手段134は特別遊技の開始デモを表示させて、特別遊技の演出処理を開始する(S101)。初回ラウンドの開始後は(S100のN)、S101をスキップする。第1大入賞口91または第2大入賞口92がまだ開放済でない場合(S102のN)、開閉制御手段124が第1大入賞口91または第2大入賞口92を開放する(S104)。第1大入賞口91または第2大入賞口92が開放済であればS104をスキップする(S100のY)。第1大入賞口91または第2大入賞口92が開放されてから、所定の開放時間が経過した場合(S106のY)、または、開放時間が経過していないものの(S106のN)、第1大入賞口91または第2大入賞口92への入球数が9球以上に達した場合(S108のY)、開閉制御手段124が第1大入賞口91または第2大入賞口92を閉鎖させる(S110)。開放時間が経過しておらず(S106のN)、第1大入賞口91または第2大入賞口92への入球数も9球以上に達していない場合は(S108のN)、S110以降の処理をスキップしてS16のフローを終了する。
【0112】
S110における第1大入賞口91または第2大入賞口92の閉鎖後、単位遊技が最終ラウンドに達していた場合(S112のY)、演出決定手段132は、保留内連荘の発生有無、保留内連荘時演出確率、および保留内非連荘時演出確率にしたがって選択演出の実行有無を決定する。選択演出の実行が決定された場合(S114のY)、後述の選択演出処理を実行する(S116)。選択演出を実行しないことが決定された場合(S114のN)、S116はスキップされる。演出表示制御手段134は特別遊技の終了デモを表示させた後、特別遊技の演出処理を終了させ(S118)、特別遊技制御手段120は特別遊技を終了させ(S120)、特定遊技を開始する(S122)。S112において単位遊技が最終ラウンドに達していなければ(S112のN)、ラウンド数に1を加算してS16のフローを終了する(S124)。なお、選択演出の実行タイミングは最終ラウンドの終了後以外であってもよい。例えば、演出決定手段132は、特別遊技におけるラウンドのいずれか(もしくは所定のラウンド間)において、選択演出およびその続きの保留内連荘報知演出を実行してもよい。また、最終ラウンド終了後の終了デモの時間に、選択演出およびその続きの保留内連荘報知演出を実行してもよい。後述の第2実施例についても同様である。
【0113】
図17は、図16のS116の選択演出処理を詳細に示すフローチャートである。演出決定手段132は選択演出における正解条件を決定し(S130)、演出表示制御手段134は演出図柄表示装置60において特別遊技演出の表示を一旦停止するとともに(S132)、選択演出を表示させる(S134)。所定の制限時間内に(S136のY)、遊技者による操作ボタン82の選択入力を検出すると(S138のY)、演出決定手段132は遊技者の選択結果が正解か不正解かを判定する。遊技者の選択結果を未検出であれば(S138のN)、S136へ戻る。遊技者の選択結果が正解であれば(S140のY)、演出表示制御手段134は保留内連荘報知演出を実行する(S142)。そして演出表示制御手段134は、特別遊技演出を復帰させる(S144)。遊技者の選択結果が不正解であれば(S140のN)、S142をスキップする。また制限時間内に操作ボタン82の選択入力を未検出であれば(S136のN)、S138〜S142をスキップする。
【0114】
図18は、図10におけるS17の小当り遊技を詳細に示すフローチャートである。第1大入賞口91または第2大入賞口92が開放済でなければ(S220のN)、第1大入賞口91または第2大入賞口92の開放処理を実行し(S222)、開放済みであれば(S220のY)、S222をスキップする。所定の開放時間を経過した場合(S224のY)、第1大入賞口91または第2大入賞口92を閉鎖し(S226)、所定の開放時間を経過していなければ(S224のN)、S226以降をスキップする。S226における第1大入賞口91または第2大入賞口92の閉鎖後、設定回数分の開閉が終了していれば(S228のY)、小当り遊技を終了する(S230)。設定回数分の開閉が終了していなければ(S228のN)、開閉回数に1を加算してS17のフローを終了する(S232)。
【0115】
第1実施例のぱちんこ遊技機10によれば、選択演出に対する遊技者による操作入力の内容に応じて、実際に保留内連荘の報知演出の有無が切り替わる。したがって、遊技者は自力で報知演出を獲得することとなり、また、自力で保留内連荘を獲得したような感覚を遊技者に効果的に抱かせることができ、遊技者の達成感を高めることができる。また遊技者が選択演出に不正解となって保留内連荘が非報知となっても、その後、保留内連荘が発生することがあり、遊技者にとって意外性のある遊技性も実現できる。
【0116】
またぱちんこ遊技機10によれば、遊技者が選択演出に正解すると必ず保留内連荘となるべき制約の下で、選択演出における全体正解確率を、選択肢の数により期待される正解確率、言い換えれば、選択演出において遊技者が直感しやすい正解確率と同等のものにできる。これにより、選択演出は一般的な多肢択一問題と同等の正解確率となるため、選択演出へ回答することへのインセンティブを遊技者へ提供することができる。
【0117】
また保留内連荘報知演出後、次の大当り演出に対して継続性のある内容の演出(継続演出)を表示させることにより、先の特別遊技と後の特別遊技との一体感を醸成でき、遊技の興趣を一層高めることができる。また選択演出を特別遊技の最終ラウンド後に実行することで、先の特別遊技と後の特別遊技との一貫性を遊技者に提示しやすくなる。また継続演出による先の特別遊技と後の特別遊技との一体感を醸成しやすくなる。
【0118】
(第2実施例)
第2実施例の概要をまず説明する。従来技術として既述したように、これまでの遊技機においても、遊技者による操作ボタンの操作を契機として、確変の獲得有無を遊技者へ提示することがあった。しかし、これまでの遊技機では確変の報知有無を予め遊技機内部で決定しており、遊技者の操作内容は確変の報知有無に影響を与えるものではなかった。したがって、これまでの遊技機の演出は、遊技者に自力で利益状態を獲得したような感覚を抱かせるには不十分であり、必ずしも遊技の興趣を高めるものではなかった。
【0119】
これに対し、本実施例のぱちんこ遊技機は、15R特別遊技実行中の演出として、第1実施例と同様の選択演出を表示させる。そして、選択演出に対して遊技者が正解の選択肢を選択した場合、特別遊技終了後の通常遊技が確変状態であることを遊技者へ報知する演出を表示させる。その一方、遊技者が不正解の選択肢を選択した場合は、特別遊技終了後の通常状態が確変状態であるか否かにかかわらず、確変状態であるか否かを遊技者から秘匿する。すなわち、遊技状態が確変状態であるか否かを演出上、遊技者に明示せず、確変状態であるか否かを遊技者が判別することが困難な演出(以下、「潜伏演出」とも呼ぶ。)を表示させる。これにより、選択演出に対する遊技者の選択結果が確変移行の報知有無を決定するため、遊技者は自力で確変移行の報知演出を獲得することとなり、遊技者の達成感を高めて遊技の興趣を高める。
【0120】
本実施例のぱちんこ遊技機においても、第1実施例のぱちんこ遊技機と同様に、従来にいう第1種ぱちんこ遊技機に相当する遊技が複数混在する。その複数の遊技としての第1の遊技と第2の遊技とが、同時に実行されないよう第2の遊技が優先的に実行される。具体的には、本実施例のぱちんこ遊技機の外観およびメイン基板102の構成は、第1実施例のぱちんこ遊技機の構成(主に図1〜図7に関連して既述した内容)と共通であり、演出制御の態様が異なる。以下、相違点を中心に説明し、共通点の説明は適宜省略する。
【0121】
図19は、第2実施例におけるぱちんこ遊技機10の機能ブロックを示す。本実施例のぱちんこ遊技機10のサブ基板104は、演出テーブル記憶手段131をさらに含む。
【0122】
演出記憶手段130は、3種の操作ボタン82のいずれかを押すよう遊技者を促し、その三択に正解することで確変に移行されることを遊技者へ示唆するための演出内容を定めた選択演出のデータ(画像データ等)を保持する。図20は、演出図柄表示装置60における選択演出の表示例を示す。本実施例の選択演出の外観および制限時間の設定は第1実施例の選択演出と同様である。本実施例の選択演出では、3つの操作ボタン82の中からいずれかを押すよう遊技者を促すメッセージであり、正解した場合には確変に移行することを示唆するメッセージを表示する。
【0123】
また演出記憶手段130は、選択演出に対する遊技者の選択結果が正解である旨、および、確変移行が発生する旨を遊技者へ報知するための演出内容を定めた確変報知演出のデータ(画像データ等)を保持する。確変報知演出は、例えば、「正解!確変獲得!!」等のメッセージを表示する演出であってもよい。また確変報知演出は、遊技盤の所定箇所に設けられた役物が予め定められた態様で動作する演出でもよく、例えば所定のキャラクタを模した役物が初期位置から落下する演出であってもよい。
【0124】
また演出記憶手段130は、特別遊技終了後の通常遊技が確変状態であることを遊技者へ報知する場合、言い換えれば、確変状態であることを明示する場合の演出パターン(以下、「確変演出パターン」とも呼ぶ。)のデータを保持する。確変演出パターンは、例えば、確変状態であることを遊技者に明示する態様で装飾図柄を変動表示させる変動演出パターンや、確変状態であることを遊技者に明示するアニメーションやメッセージを表示させる予告演出パターンであってもよく、これらの組み合わせでもよい。
【0125】
また演出記憶手段130は、特別遊技終了後の通常遊技が確変状態であることを遊技者から秘匿する場合であり、かつ、特別遊技終了後の通常遊技が確変状態でないことを遊技者から秘匿する場合の演出パターン(以下、「潜伏演出パターン」とも呼ぶ。)のデータを保持する。潜伏演出パターンは、遊技状態が確変状態であるか否かを遊技者に明示しないことにより、現在の遊技状態が確変状態であるか否かの遊技者による判別を困難にする演出パターンであると言える。潜伏演出パターンは、例えば、確変状態であるか否かにかかわらない共通の態様で装飾図柄を変動表示させる変動演出パターンや、確変状態と非確変状態の両方の可能性があることを遊技者に示唆するアニメーションやメッセージを表示させる予告演出パターンであってもよく、これらの組み合わせでもよい。
【0126】
演出テーブル記憶手段131は、複数種類の演出内容を定めた複数種類の演出テーブルを保持する。複数種類の演出テーブルのそれぞれは、所定の乱数発生器が出力する乱数値としての抽選値(以下、「演出用抽選値」とも呼ぶ。)と、演出パターン(変動演出パターンおよび予告演出パターン)との対応関係を定めたものである。またテーブル毎に演出パターンの選択傾向が異なるよう対応関係が定められている。
【0127】
演出テーブル記憶手段131により保持される複数種類の演出テーブルには、特別図柄の複数種類の変動パターンに対応する複数種類の確変演出パターンと、演出用抽選値との対応関係を定めた確変演出テーブルが含まれる。また、特別図柄の複数種類の変動パターンに対応する複数種類の潜伏演出パターンと、演出用抽選値との対応関係を定めた潜伏演出テーブルが含まれる。また、確変状態でない通常状態における演出パターンと、演出用抽選値との対応関係を定めた演出テーブル(以下、「通常状態演出テーブル」とも呼ぶ。)が含まれる。通常状態演出テーブルは、遊技状態が確変状態でないことを遊技者に明示する態様の演出パターンを含むものであってよい。
【0128】
演出決定手段132は、選択演出全体において遊技者の選択結果が正解となる確率(以下、「全体正解確率」とも呼ぶ。)が、選択肢の数により期待される正解確率の近傍値となるよう制御する。この全体正解確率は、選択演出が多くの回数実行された場合の正解確率であるとも言え、また、選択演出において遊技者が特定のボタンを選択入力した場合に確変報知演出が表示される確率であるとも言える。本実施例では三肢択一の選択演出を提示し、この選択演出に回答する遊技者は期待される正解確率を3分の1と直感すると想定されるため、全体正解確率が3分の1の近似値となるよう制御する。言い換えると、遊技者は複数の選択肢のそれぞれを選択した場合の正解確率が同等となることを期待すると考えられる。したがって、演出決定手段132は、それぞれの選択肢の正解確率が3分の1の近似値となるよう、すなわち全体正解確率が3分の1と同等の値となるよう制御する。例えば、全体正解確率が30%〜35%の範囲の値になるよう制御してもよい。
【0129】
また選択演出において遊技者の選択結果が正解であった場合はその後に遊技者へ確変移行を明示するため、確変移行が発生する場合に限り遊技者の選択結果を正解とすることができる。言い換えると、確変移行が発生しない場合は遊技者の選択結果にかかわらず常に不正解とする必要があり、確変移行が発生しない場合に遊技者の選択結果を正解とする確率は0である。しかし、選択演出の実行が即確変確定となっては選択演出の意義を損なうため、確変移行が発生しない場合にもある程度は選択演出を実行する必要がある。したがって、確変移行が発生する場合に遊技者の選択結果を正解とする確率(以下、「確変時正解確率」とも呼ぶ。)は、全体正解確率より大きい値に設定する必要がある。本実施例では3分の2に設定される。
【0130】
変形例として、選択演出で提示する選択肢の数は3以外であってもよい。例えば、5つの選択肢を提示し、そのうちの2つが正解であることを遊技者に示唆してもよい。この場合、全体正解確率は5分の2とすべき一方、確変移行が発生しない場合に遊技者の選択結果を正解とする確率は0であるため、確変時正解確率は5分の2よりも大きな値に設定される。
【0131】
ここで、15R特別遊技中に選択演出を実行する確率として、確変移行が発生するときに選択演出を実行する確率(以下、「確変時演出確率」とも呼ぶ。)と、確変移行が発生しないときに選択演出を実行する確率(以下、「非確変時演出確率」)とが予め設定される。ぱちんこ遊技機10では、図柄抽選値と大当り種類との対応関係の設定により、15R大当りにおいて確変移行を伴う確率が定まる。図5の例では、第1の抽選における15R特別遊技後の確変:非確変の割合は1:1であり、第2の抽選における15R特別遊技後の同割合は約3:2である。本実施例では、確変移行確率にもとづき、選択演出を実行した場合に確変移行の発生確率が50%となるように、確変時演出確率と非確変時演出確率とを定める。例えば第1の抽選の15R特別遊技においては、確変時演出確率と非確変時演出確率が1:1となるよう、確変時演出確率を50%とし、非確変時演出確率を50%としてもよい。また第2の抽選の15R特別遊技においては、確変時演出確率と非確変時演出確率が2:3となるよう、確変時演出確率を40%とし、非確変時演出確率を60%としてもよい。選択演出を実行した場合に確変移行の発生確率が50%であれば、確変移行時には3分の2(確変時正解確率)で正解となり、非確変時には常に不正解となるため、選択演出における全体正解確率は3分の1となる。
【0132】
演出決定手段132は、第1図柄決定手段320または第2図柄決定手段322により決定された図柄が、確変状態への移行を伴う15R大当り図柄であった場合、15R特別遊技終了後に確変移行が発生すると判定する。その一方、第1図柄決定手段320または第2図柄決定手段322により決定された図柄が、確変状態への移行を伴わない15R大当り図柄であった場合、15R特別遊技終了後に確変移行が発生しないと判定する。演出決定手段132は、15R特別遊技終了後に確変移行が発生する場合、確変時演出確率にしたがって選択演出の実行有無を決定し、15R特別遊技終了後に確変移行が発生しない場合、非確変時演出確率にしたがって選択演出の実行有無を決定する。
【0133】
なお、確変移行が発生する場合、確変時演出確率に応じて抽選値範囲と選択演出の実行有無との対応関係を定めたテーブルを参照し、抽選値(乱数値)を取得して、その抽選値が属する抽選値範囲にしたがって選択演出の実行有無を決定してもよい。確変移行が発生しない場合も同様に、非確変時演出確率に応じて抽選値範囲と選択演出の実行有無との対応関係を定めたテーブルを参照し、抽選により選択演出の実行有無を決定してもよい。
【0134】
演出決定手段132は、選択演出の実行を決定すると、選択演出における正解条件を定めた正解条件テーブルを参照して、今回実行する選択演出の正解条件を決定する。図21は、正解条件テーブルを模式的に示す。演出決定手段132は、「0〜255」の範囲の乱数値を抽選値として取得し、特別遊技終了後に確変移行が発生する場合は、その抽選値が属する抽選値範囲と対応づけられた選択肢(図21の正解肢)を正解とする正解条件を決定する。例えば抽選値が「100」の場合、正解の選択肢を中ボタンおよび右ボタンとする正解条件を決定する。その一方、確変移行が発生しない場合は抽選値にかかわらず、正解の選択肢がないことを示す正解条件、言い換えると、いずれのボタンも不正解であることを示す正解条件を決定する。なお変形例として演出決定手段132は選択演出における不正解の条件を定めたテーブルを参照して、今回実行する選択演出において不正解とする条件を決定してもよいことはもちろんである。
【0135】
また演出決定手段132は、選択演出の実行を決定すると、選択演出の実行を演出表示制御手段134へ指示する。演出表示制御手段134の特別遊技演出制御手段171は、選択演出の実行が指示されると、特別遊技演出の出力を一旦停止する。そして、演出記憶手段130に保持された選択演出のデータにしたがって選択演出を所定の制限時間(例えば4秒間)表示させる。操作検出手段133は、制限時間内に操作ボタン82の選択入力を検出すると、遊技者により選択入力された操作ボタン82の種類(すなわち左ボタン・中ボタン・右ボタンのいずれか)を示す情報を演出決定手段132へ通知する。
【0136】
演出決定手段132は、選択演出において遊技者が選択したボタンが正解条件と整合する場合、確変報知演出の実行を特別遊技演出制御手段171へ指示する。そして確変報知演出の終了後、特別遊技演出の再開(復帰)を特別遊技演出制御手段171へ指示する。その一方、演出決定手段132は選択演出において遊技者が選択したボタンが正解条件と不整合の場合は、確変報知演出の実行を指示することなく、特別遊技演出の再開を特別遊技演出制御手段171へ指示する。また制限時間内に操作ボタン82の選択入力が未検出の場合も、確変報知演出の実行を指示することなく、特別遊技演出の再開を特別遊技演出制御手段171へ指示する。
【0137】
演出決定手段132は、確変報知演出の実行を指示した場合、すなわち選択演出に対する遊技者の選択結果が正解であった場合、特別遊技終了後の通常遊技において確変演出テーブルを選択して演出内容を決定する。具体的には、演出抽選値を取得して、その抽選値と対応づけられた確変演出パターンを演出記憶手段130から取得して演出表示制御手段134へ渡す。また演出決定手段132は、選択演出に対する遊技者の選択結果が不正解もしくは選択演出に対して遊技者が未回答であった場合、特別遊技終了後の通常遊技において潜伏演出テーブルを選択して演出内容を決定する。具体的には、演出抽選値を取得して、その抽選値と対応づけられた潜伏演出パターンを演出記憶手段130から取得して演出表示制御手段134へ渡す。
【0138】
なお本実施例では、演出決定手段132は選択演出そのものを未実行であった場合、15R特別遊技終了後に確変移行が発生するときには確変演出パターンを選択して演出内容を決定することとする。その一方、15R特別遊技終了後に確変移行が発生しないときには通常状態演出テーブルを選択して演出内容を決定することとする。したがって、選択演出が実行され、かつ、その選択演出に対する遊技者の回答が不正解であった場合に、いわゆる潜伏状態(確変と非確変の両方の可能性を示す潜伏演出を表示する状態)となる。
【0139】
以上の構成による動作および制御の過程を以下説明する。
図10〜図14、図18の動作は第1実施例と同じである。図15においては、S184およびS186を実行しない。ただし、15R特別遊技終了後の通常遊技におけるS184として、通常状態演出テーブル・確変演出テーブル・確変演出テーブルのいずれかを参照して変動演出パターンおよび予告演出パターンを決定する。また図17においては、S142として、確変報知演出を実行する。
【0140】
図22は、図10のS16の特別遊技制御処理を詳細に示すフローチャートであり、第1実施例の図16に対応する。第2実施例では、特別遊技制御手段120が特別遊技を終了した後、演出決定手段132は演出テーブル選択処理をさらに実行する(S121)。
【0141】
図23は、図22のS121の演出テーブル選択処理を詳細に示すフローチャートである。選択演出を未実行で(S150のN)、かつ、確変移行が発生しない場合(S152のN)、演出決定手段132は、特別遊技終了後の通常遊技で参照すべき演出テーブルとして通常状態演出テーブルを選択する(S154)。確変移行が発生する場合は(S152のY)、演出決定手段132は確変演出テーブルを選択する(S156)。また選択演出を実行し(S150のY)、遊技者の選択結果が正解であった場合(S158のY)、演出決定手段132は確変演出テーブルを選択する(S156)。遊技者の選択結果が不正解であった場合は(S158のN)、演出決定手段132は潜伏演出テーブルを選択する(S160)。
【0142】
第2実施例のぱちんこ遊技機10によれば、選択演出に対する遊技者による操作入力の内容に応じて、実際に確変報知演出の有無が切り替わる。したがって、遊技者は自力で確変報知演出を獲得することとなり、自力で確変を獲得したような感覚を遊技者に効果的に抱かせることができ、遊技者の達成感を高めることができる。
【0143】
なお、特別遊技中の確変報知演出は必須ではなく、選択演出に対する遊技者の選択結果が正解の場合に、以後の通常遊技における演出内容を確変演出テーブルを参照して決定する一方、不正解の場合は、以後の通常遊技における演出内容を確変演出テーブル以外の演出テーブルを参照して決定してもよい。確変演出テーブル以外の演出テーブルは、遊技状態が確変状態であるか否かを明示しない演出パターンを含むテーブルであり、その一方、遊技状態が確変状態であるか否かを明示する演出パターンが排除されたテーブルであってもよい。また例えば、通常状態演出テーブルであってもよい。ぱちんこ遊技機10では、選択演出に対する遊技者による選択結果が正解であったことを条件として実際に確変演出テーブルを選択し、確変演出パターンによる演出を表示させる。これにより、確変移行の事実を遊技者が自力で表示させることとなり、自力で確変を獲得したような感覚を遊技者に効果的に抱かせることができる。
【0144】
また、選択演出は正解により潜伏状態を回避できるものであるため遊技者にとって利益となるものであり、遊技者の積極的な参加が期待できる。このようにぱちんこ遊技機10によれば、参加することにより遊技者に実質的な利益がもたらされる遊技者参加型の演出を実現できる。
【0145】
また、これまで非確変状態での潜伏演出は遊技者の不満を高めることがあったが、ぱちんこ遊技機10では選択演出に対する遊技者の回答が不正解の場合に潜伏演出を表示する。したがって仮に潜伏状態となっても、その原因は選択演出に対する遊技者の選択が悪かったためであると遊技者に感得させやすくなり、遊技者の不満が高まることを抑制しやすくなる。
【0146】
またぱちんこ遊技機10によれば、遊技者が選択演出に正解すると必ず確変移行が発生すべき制約の下で、選択演出における全体正解確率を、選択肢の数により期待される正解確率、言い換えれば、選択演出において遊技者が直感しやすい正解確率と同等のものにできる。これにより、選択演出は一般的な多肢択一問題と同等の正解確率となるため、選択演出へ回答することへのインセンティブを遊技者へ提供することができる。
【0147】
以上、本発明を実施例をもとに説明した。この実施例はあくまで例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。以下、変形例について述べる。
【0148】
第1の変形例を説明する。
上記の第1実施例における演出決定手段132は、特別遊技終了後に保留内連荘が発生し、かつ、所定の加重条件を充足する場合に、選択演出において正解の選択肢を遊技者へ提示してもよい。また上記の第2実施例における演出決定手段132は、特別遊技終了後に確変移行が発生し、かつ、所定の加重条件を充足する場合に、選択演出において正解の選択肢を遊技者へ提示するナビゲーション演出をさらに実行してもよい。ナビゲーション演出としては、例えば、選択演出において正解の選択肢を示すメッセージを付加的に表示させてもよい。また、正解の選択肢を不正解の選択肢より強調した態様で示すボタンオブジェクト230を含む選択演出のデータを表示させてもよい。加重条件は、所定確率で当選となる抽選を実行して、当該抽選に当選したことであってもよい。また、先に実行した選択演出に対して遊技者が制限時間内に回答し(すなわち未回答でなく)、かつ、遊技者の回答が不正解となったことでもよい。この態様によると、選択演出において遊技者が正解のボタンを選択入力できるよう支援できる。また、遊技者の回答が不正解となったことをナビゲーション演出の条件とすることで、遊技者が選択演出に回答したことへの特典としてナビゲーション演出を提供でき、また遊技者の回答が不正解であった場合の救済措置を提供できる。
【0149】
第2の変形例を説明する。
上記の第1実施例における演出決定手段132は、特別遊技終了後に保留内連荘が発生する場合に、先に実行した選択演出に対する遊技者の正否状況に応じて、今回の選択演出における正解確率を、通常の正解確率(連荘時正解確率)とは異なる値に調整してもよい。同様に第2実施例における演出決定手段132は、特別遊技終了後の通常遊技が確変状態となる場合に、先に実行した選択演出に対する遊技者の正否状況に応じて、今回の選択演出における正解確率を、通常の正解確率(確変時正解確率)とは異なる値に調整してもよい。例えば、通常の連荘時正解確率および確変時正解確率が3分の2である場合、今回の選択演出における正解確率を3分の3としてもよい。また、通常の連荘時正解確率および確変時正解確率が4分の2である場合、今回の選択演出における正解確率を4分の3としてもよい。この変形例によると、遊技者の回答が不正解であった場合の救済措置を提供でき、また不正解となることにより選択演出に対する遊技者の期待感が低下してしまうことを防止しやすくなる。
【0150】
また、先に実行した選択演出に対して制限時間内に未回答であった場合は、今回の選択演出における正解確率として、通常の連荘時正解確率および確変時正解確率を使用してもよい。すなわち、選択演出に未回答の場合は救済措置を提供しないこととしてもよい。さらにまた、先に実行した選択演出に対して制限時間内に未回答であった場合は、今回の選択演出における正解確率として、通常の連荘時正解確率および確変時正解確率(例えば3分の2)より低い値(例えば3分の1)を設定してもよい。すなわち、選択演出に未回答の場合は遊技者にペナルティを課してもよい。この態様によると、選択演出に未回答の場合は結果として遊技者の利益が損なわれることとなるため、選択演出に対する回答を促進することができる。
【0151】
第3の変形例を説明する。
上記の各実施例では15R特別遊技の実行中に所定確率で選択演出を行うこととした。変形例では、2R特別遊技終了後の通常遊技実行中にも所定確率で選択演出を行ってもよい。具体的には、2R特別遊技が終了した場合、第1パターン決定手段114および第2パターン決定手段119は、所定回数(例えば1回)の図柄変動において参照すべき特殊変動パターンテーブルを参照して特別図柄の変動パターンを決定してもよい。
【0152】
第1実施例に対応する特殊変動パターンテーブルは、選択演出および保留内連荘報知演出の実行に要する時間以上の変動時間を有する特殊変動パターンを定める。第1実施例の演出決定手段132は、メイン基板102において特殊変動パターンが選択された場合に、現在時点での大当りの保留状況に応じて選択演出の正解条件を決定し、選択演出を表示させる。そして、遊技者の回答が正解であった場合には保留内連荘報知演出を表示させ、以降の図柄変動では継続演出を表示させる。遊技者の回答が不正解であった場合も第1実施例と同様である。
【0153】
第2の実施例に対応する特殊変動パターンテーブルは、選択演出および確変報知演出の実行に要する時間以上の変動時間を有する特殊変動パターンを定める。第2実施例の演出決定手段132は、メイン基板102において特殊変動パターンが選択された場合に、現在の遊技状態が確変状態か否かに応じて選択演出の正解条件を決定し、選択演出を表示させる。そして、遊技者の回答が正解であった場合には確変報知演出を表示させ、以降の図柄変動では確変演出テーブルを参照して演出内容を決定する。遊技者の回答が不正解であった場合も第2実施例と同様である。
【0154】
第3の変形例において2R特別遊技終了後の通常遊技実行中に所定確率で選択演出を行う場合、小当り遊技終了後の通常遊技実行中にも所定確率で選択演出を行うことが好ましい。2R特別遊技終了後と同様に、小当り遊技終了後、第1パターン決定手段114および第2パターン決定手段119は、所定回数(例えば1回)の図柄変動において参照すべき特殊変動パターンテーブルを参照して、選択演出および報知演出(保留内連荘報知演出もしくは確変報知演出)の時間を確保するための図柄変動時間を定めた特別図柄の変動パターンを決定してもよい。小当り時の選択演出に対して、演出決定手段132は、遊技者の選択結果にかかわらず、遊技者の回答を不正解とする正解条件を定めてもよい。この態様によると、小当りの場合にも選択演出を行うことで、2R大当りと小当りとの外観上の識別を困難なものにして遊技者の緊張感や期待感を一層煽ることができる。
【0155】
第4の変形例を説明する。
上記の各実施例においては、第1種ぱちんこ遊技機に相当する遊技が複数混在する構成を例にして説明した。変形例においては、第1種ぱちんこ遊技機の構成、すなわち複数を混在させていない構成にて実現してもよい。
【0156】
第5の変形例を説明する。
上記の各実施例においては、第2特別図柄193に対して保留する当否抽選を優先的に消化する例を説明した。変形例においては、第1特別図柄192に対して保留する当否抽選を優先的に消化する構成としてもよい。この場合、第2特別図柄193より第1特別図柄192が優先的に図柄変動が実行され、第1特別図柄192の保留抽選値がなくならない限り第2特別図柄193の図柄変動が止まったままとなる。また、第1特別図柄192に対して保留する当否抽選と、第2特別図柄193に対して保留する当否抽選を、それぞれが第1始動入賞口62または第2始動入賞口63へ入球した順に消化する構成としてもよい。入球順に消化する構成の場合、第1実施例においては、保留内連荘報知演出後、図柄変動回数が保留上限数に到達するまでに大当りが発生することを保証できる。
【0157】
第6の変形例を説明する。
上記の各実施例においては、第1始動入賞口62を遊技領域52の略中央近辺に設け、第2始動入賞口63を遊技領域52の右方に設け、互いに距離を離して設置する構成を例示した。変形例においては、第2始動入賞口63を第1始動入賞口62の直下に配置し、普通電動役物65が拡開されず閉鎖されているときは第1始動入賞口62によりの存在により第2始動入賞口63へ遊技球が入球困難な構成としてもよい。その場合、普通電動役物65が拡開されてはじめて第2始動入賞口63へ入球可能となってもよい。
【0158】
第7の変形例を説明する。
上記の各実施例においては、特別遊技の終了後、次の大当りが発生するまで確変状態が継続する例を説明した。変形例においては、特別遊技終了後の通常遊技において、図柄変動回数が所定回数(50回等)に到達するまでに次の大当りが発生しない場合、言い換えれば、次の大当りが発生することなく所定回数の図柄変動が終了した場合に、確変状態を終了させる構成であってもよい。すなわち、いわゆるST機とも呼ばれる、回数打ち切り式の確率変動を実行する構成であってもよい。
【0159】
また上記の各実施例においては、特別図柄によってラウンド数、確変・非確変、時短回数が定められることとした。しかしこの態様に限られるものではない。例えば、共通の第1特別図柄192(もしくは第2特別図柄193)が確変移行を伴う15R大当りと確変移行を伴わない15R大当りの両方を示すものであってもよい。この場合、メイン基板102からサブ基板104へ送信される情報には、当否抽選結果・図柄抽選結果に加えて、確変状態への移行有無を示す情報が含まれてもよい。図柄抽選結果として、確変移行を伴う15R大当りと確変移行を伴わない15R大当りの両方に共通の特別図柄を示す情報を受け付けた場合、演出表示制御手段134は、確変移行が発生するか否かを遊技者に明示しない態様の特別遊技演出を実行してもよい。演出決定手段132は、選択演出の実行を決定した場合、メイン基板102から通知された確変状態への移行有無を示す情報にしたがって、その選択演出の正解条件を決定してもよい。
【符号の説明】
【0160】
50 遊技盤、 52 遊技領域、 62 第1始動入賞口、 63 第2始動入賞口、 82 操作ボタン、 114 第1パターン決定手段、 119 第2パターン決定手段、 120 特別遊技制御手段、 122 特定遊技実行手段、 130 演出記憶手段、 131 演出テーブル記憶手段、 132 演出決定手段、 133 操作検出手段、 134 演出表示制御手段、 171 特別遊技演出制御手段。
【技術分野】
【0001】
遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種の弾球遊技機のうち、いわゆる第1種ぱちんこ遊技機と呼ばれていた遊技機は、遊技盤の略中央に設けられた液晶ディスプレイなどの表示領域に複数の図柄を変動させながら表示する(以下、そうした表示を「図柄変動」または「変動表示」等という)。この遊技機は、複数列の図柄変動を停止させたときの図柄の組合せが特定の態様となった場合に、通常遊技より多くの賞球が得られる、いわゆる大当りと呼ばれる特別遊技へと移行するものとして知られている(例えば特許文献1参照)。表示領域における図柄の変動表示は、単に複数の図柄が変動表示されるだけでなく、いわゆるリーチ画面と呼ばれる状態のように、あと一つ図柄が揃えば大当りとなる状態で変動表示の時間を通常よりも長くする等、遊技者の期待感を高めるための演出が図られている。また、キャラクタ画像や背景画像等を用いて図柄の変動表示にストーリーを持たせる演出を施したり、大当りの獲得容易性を高める特定遊技として、確率変動(以下「確変」ともいう)および変動時間短縮(以下「時短」ともいう)、始動入賞口への入球容易性を高める入球容易状態へ移行したりする制御によっても遊技者の期待感を高めている。
【0003】
また以下の特許文献2では、あたかも確変を自らの操作で獲得したような感覚を遊技者に感じさせるために、遊技者に操作レバーを操作することを促す演出を表示させ、遊技者による操作レバーの操作タイミングにもとづいて確変の獲得有無を遊技者へ報知する表示パターンを設定することを提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−230714号公報
【特許文献2】特開2003−325868号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、これまでの遊技機は、遊技機の内部状態が確変状態であれば、遊技者の操作内容にかかわらず確変を報知するものであり、遊技者の操作入力内容は確変の報知有無に影響を与えるものではなかった(例えば特許文献2の段落0198参照)。したがってこれまでの遊技機の演出は、操作入力内容を決定することに対する遊技者の緊張感や期待感を煽るには不十分なものであったと本発明者は考えた。
【0006】
本発明はこうした課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、弾球遊技機において遊技者による操作入力に応じて遊技者の利益状態を示す演出を効果的に提示することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の弾球遊技機は、遊技領域が形成された遊技盤と、遊技領域の所定位置に設けられた始動口と、遊技領域の所定位置において開放可能に設けられた大入賞口と、始動口への入球を契機として、通常遊技より遊技者に有利な状態である特別遊技へ移行するか否かを判定するための当否抽選を実行する当否抽選手段と、当否抽選の結果が大当りとなった場合、大入賞口を開放する特別遊技を実行する特別遊技制御手段と、当否抽選の結果を示すための図柄が変動表示される図柄表示装置と、当否抽選の結果を所定の保留個数を上限にその当否抽選に対応する図柄変動の表示開始まで保留する保留制御手段と、演出内容を定めた演出パターンを保持する演出記憶手段と、当否抽選の結果に応じて演出内容を決定し、その演出内容を所定の演出出力装置を介して遊技者へ提示する演出決定手段と、遊技者による操作入力を受け付ける操作入力手段と、を備える。演出記憶手段が保持する演出パターンには、複数の選択肢を遊技者へ提示して操作入力手段を介した特定の選択肢の選択を促す演出であって遊技者の選択結果が正解の場合に遊技者へ利益がもたらされることを示唆する選択演出と、特別遊技終了後の通常遊技において図柄変動回数が所定の保留個数以内に大当りとなることを遊技者へ報知する報知演出とが含まれ、当否抽選手段は、始動口への入球があったときに、その入球に対応する図柄変動の表示が直ちに開始されるか否かにかかわらず、その入球に対応する当否抽選の結果を演出決定手段へ通知し、演出決定手段は、特別遊技の実行中に、特別遊技終了後の通常遊技において図柄変動回数が所定の保留個数以内に大当りとなるか否かに応じて選択演出における正否条件を決定して選択演出を遊技者へ提示し、選択演出に対する遊技者の選択結果が正否条件にもとづき正解である場合に報知演出を遊技者へ提示する一方、遊技者の選択結果が不正解の場合は、特別遊技終了後の通常遊技において図柄変動回数が所定の保留個数以内に大当りとなる場合であっても報知演出の提示を抑制する。
【0008】
なお、以上の構成要素に関する任意の組合せや、本発明の構成要素や表現を方法、装置、システム、コンピュータプログラム、コンピュータプログラムを格納した記録媒体、データ構造などの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の弾球遊技機によれば、遊技者による操作入力に応じて遊技者の利益状態を示す演出を効果的に提示できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】ぱちんこ遊技機の前面側における基本的な構造を示す図である。
【図2】ぱちんこ遊技機の背面側における基本的な構造を示す図である。
【図3】第1実施例におけるぱちんこ遊技機の機能ブロックを示す図である。
【図4】当否判定テーブルを模式的に示す図である。
【図5】図柄判定テーブルを模式的に示す図である。
【図6】通常の変動パターンテーブルを模式的に示す図である。
【図7】図6(a)の変動パターンテーブルを詳細に示す図である。
【図8】演出図柄表示装置における選択演出の表示例を示す図である。
【図9】正解条件テーブルを模式的に示す図である。
【図10】ぱちんこ遊技機における基本的な動作過程を示すフローチャートである。
【図11】図10におけるS10の入賞処理を詳細に示すフローチャートである。
【図12】図11におけるS28の事前判定処理を詳細に示すフローチャートである。
【図13】、図10におけるS14の通常遊技制御処理の全体的な過程を示すフローチャートである。
【図14】図13におけるS152の特別図柄変動処理の実行処理を詳細に示すフローチャートである。
【図15】図13におけるS154の装飾図柄変動処理の実行処理を詳細に示すフローチャートである。
【図16】図10におけるS16の特別遊技処理を詳細に示すフローチャートである。
【図17】図16のS116の選択演出処理を詳細に示すフローチャートである。
【図18】図10におけるS17の小当り遊技を詳細に示すフローチャートである。
【図19】第2実施例におけるぱちんこ遊技機10の機能ブロックを示す図である。
【図20】演出図柄表示装置60における選択演出の表示例を示す図である。
【図21】正解条件テーブルを模式的に示す図である。
【図22】図10のS16の特別遊技制御処理を詳細に示すフローチャートである。
【図23】図22のS121の演出テーブル選択処理を詳細に示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1実施例)
本実施例のぱちんこ遊技機においては、従来にいう第1種ぱちんこ遊技機に相当する遊技が複数混在する。その複数の遊技としての第1の遊技と第2の遊技とが、同時に実行されないよう第2の遊技が優先的に実行される。またこれらの遊技性を両立させるために、本実施例のぱちんこ遊技機は、複数の始動入賞口、複数の特別図柄表示装置、複数の保留ランプ、複数の大入賞口を備える。
【0012】
特別遊技の実行中に遊技球が始動口へ入球すると、その入球に伴う当否抽選結果は所定の保留個数(以下、「保留上限数」とも呼ぶ。)を上限として保留状態となる。本実施例における保留上限数は、第1の遊技において4個、第2の遊技において4個の合計8個である。ここで特別遊技終了後の通常遊技における図柄変動回数が保留上限数以内、すなわち図柄変動回数が8回転となるまでに新たな大当りが発生することを、以下では「保留内連荘」とも呼ぶ。
【0013】
本実施例のぱちんこ遊技機は、特別遊技の実行中の演出として、複数の選択肢を遊技者へ提示する演出であり、特定の選択肢を選択するよう遊技者を促す演出(以下、「選択演出」とも呼ぶ。)を表示させる。そして、選択演出に対して遊技者が正解の選択肢を選択した場合、特別遊技終了後に保留内連荘が発生することを遊技者へ報知する演出、言い換えると、保留内連荘の発生を約束する演出(以下「保留内連荘報知演出」とも呼ぶ。)を表示させる。その一方、遊技者が不正解の選択肢を選択した場合は、保留内連荘が発生するか否かにかかわらず保留内連荘報知演出の表示を抑制する。これにより、遊技者の選択結果が保留内連荘報知演出の実行有無を決定するため、遊技者は自力で保留内連荘報知演出を獲得することとなり、遊技者の達成感を高めて遊技の興趣を高める。
【0014】
図1は、ぱちんこ遊技機の前面側における基本的な構造を示す。ぱちんこ遊技機10は、主に遊技機枠と遊技盤で構成される。ぱちんこ遊技機10の遊技機枠は、外枠11、前枠12、透明板13、扉14、上球皿15、下球皿16、および発射ハンドル17を含む。外枠11は、開口部分を有し、ぱちんこ遊技機10を設置すべき位置に固定するための枠体である。前枠12は、外枠11の開口部分に整合する枠体であり、図示しないヒンジ機構により外枠11へ開閉可能に取り付けられる。前枠12は、遊技球を発射する機構や、遊技盤を着脱可能に収容させるための機構、遊技球を誘導または回収するための機構等を含む。
【0015】
透明板13は、ガラスなどにより形成され、扉14により支持される。扉14は、図示しないヒンジ機構により前枠12へ開閉可能に取り付けられる。上球皿15は、遊技球の貯留、発射レールへの遊技球の送り出し、下球皿16への遊技球の抜き取り等の機構を有する。下球皿16は、遊技球の貯留、抜き取り等の機構を有する。上球皿15と下球皿16の間にはスピーカ18が設けられており、遊技状態などに応じた効果音が出力される。
【0016】
遊技盤50は、外レール54と内レール56により区画された遊技領域52上に、アウト口58、第1特別図柄表示装置70、第2特別図柄表示装置71、演出図柄表示装置60、第1始動入賞口62、第2始動入賞口63、センター飾り64、第1大入賞口91、第2大入賞口92、作動口68、一般入賞口72を含む。さらに遊技領域52には、図示しない多数の遊技釘や風車などの機構が設置される。
【0017】
第1始動入賞口62は第1の遊技に対応する始動入賞口として設けられ、第2始動入賞口63は第2の遊技に対応する始動入賞口として設けられる。第1始動入賞口62および第2始動入賞口63は、遊技球の発射強弱によっていずれかを目標にした打ち分けが可能な程度に互いに離れた位置に設けられる。第1始動入賞口62と第2始動入賞口63は、遊技者の意思にしたがった遊技球の発射強弱によっていずれか一方への入球を狙うことが可能となるよう、それぞれ遊技領域52の左側と右側に離れて設置され、一方を狙った遊技球が他方へ入球しがたい構成となっている。たとえば、第1始動入賞口62は遊技領域52の左側を狙って比較的弱めに発射したときに入球しやすくなるような位置に設けられ、第2始動入賞口63は遊技領域52の右側を狙って比較的強めに発射したときに入球しやすくなるような位置に設けられる。
【0018】
第1始動入賞口62は、始動入賞検出装置74を備える。始動入賞検出装置74は、第1始動入賞口62への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す第1始動入賞情報を生成する。第2始動入賞口63は、始動入賞検出装置75と、普通電動役物65と、普通電動役物65を開閉させるための普通電動役物ソレノイド76を備える。始動入賞検出装置75は、第2始動入賞口63への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す第2始動入賞情報を生成する。普通電動役物ソレノイド76の駆動力により普通電動役物65が拡開されると、第2始動入賞口63への入球容易性が高まる。また、第2始動入賞口63は図示するとおり遊技領域52の右側における狭い通路に設けられているので、右側を狙って強めに打球した遊技球の多くが少なくとも第2始動入賞口63の近傍に集まり、第2始動入賞口63の入球可能性は高い。これに対して第1始動入賞口62には普通電動役物が設置されておらず、しかも狭い通路から離れた位置に設けられている。したがって、普通電動役物65が拡開されれば第1始動入賞口62よりも第2始動入賞口63の方が入球可能性が相対的に高くなるような配置または構成の関係となっている。
【0019】
一般入賞口72は、遊技球の入球を検出するための一般入賞検出装置73を複数備える。一般入賞検出装置73は、一般入賞口72への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す一般入賞情報を生成する。
【0020】
第1大入賞口91は第1の遊技に対応する大入賞口として設けられ、第2大入賞口92は第2の遊技に対応する大入賞口として設けられる。第1大入賞口91は、遊技球の入球を検出するための入賞検出装置78と、第1大入賞口91を開閉させるための大入賞口ソレノイド80を備える。入賞検出装置78は、第1大入賞口91への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す第1大入賞口入賞情報を生成する。第2大入賞口92は、遊技球の入球を検出するための入賞検出装置79と、第2大入賞口92を開閉させるための大入賞口ソレノイド81を備える。入賞検出装置79は、第2大入賞口92への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す第2大入賞口入賞情報を生成する。第1大入賞口91は、第1特別図柄192が所定の態様にて停止したときに「大当り」として開放状態となる横長方形状の入賞口である。第1大入賞口91はアウト口58の上方の位置に設けられる。第2大入賞口92は、第2特別図柄193が所定の態様にて停止したときに「大当り」として開放状態となる横長方形状の入賞口である。第2大入賞口92はアウト口58の右上方の位置に設けられる。なお、変形例として、第1の遊技と第2の遊技で単一の大入賞口を共用する形でもよい。
【0021】
遊技領域52の略中央に演出図柄表示装置60が設けられ、その左下方に第1の遊技に対応する第1特別図柄表示装置70と第2の遊技に対応する第2特別図柄表示装置71とが互いに左右に隣接するように設けられる。第1特別図柄表示装置70には第1の遊技に対応する第1特別図柄192の変動が表示され、第2特別図柄表示装置71には第2の遊技に対応する第2特別図柄193の変動が表示される。第1特別図柄192は、第1始動入賞口62への遊技球の入球を契機として行われる第1の抽選の結果に対応した図柄であり、その変動表示が所定の当り態様にて停止されたときに特別遊技としての大当りが発生する。第2特別図柄193は、第2始動入賞口63への遊技球の入球を契機として行われる第2の抽選の結果に対応した図柄であり、その変動表示が所定の当り態様にて停止されたときに特別遊技としての大当りが発生する。第1特別図柄表示装置70および第2特別図柄表示装置71は、例えば7セグメントLEDで構成される表示手段であり、第1特別図柄192および第2特別図柄193はそれぞれ「0」〜「9」の10種類の数字と記号「−」で表される。
【0022】
演出図柄表示装置60の表示領域194には第1特別図柄192に連動する装飾図柄190または第2特別図柄193に連動する装飾図柄190の変動が表示される。演出図柄表示装置60は、たとえば液晶ディスプレイである。装飾図柄190は、第1特別図柄192で示される第1の抽選の結果表示または第2特別図柄193で示される第2の抽選の結果表示を視覚的に演出するための図柄である。演出図柄表示装置60は、装飾図柄190として、例えばスロットマシンのゲームを模した複数列の図柄変動の動画像を表示領域194に表示する。演出図柄表示装置60は、この実施例では液晶ディスプレイで構成されるが、機械式のドラムやLEDなどの他の表示手段で構成されてもよい。なお、第1特別図柄192および第2特別図柄193は必ずしも演出的な役割をもつことを要しないため、本実施例では演出図柄表示装置60の左下方の第1特別図柄表示装置70および第2特別図柄表示装置71にて目立たない大きさで表示させるが、特別図柄自体に演出的な役割をもたせて装飾図柄を表示させないような手法を採用する場合には、特別図柄を演出図柄表示装置60のような液晶ディスプレイに表示させてもよい。
【0023】
作動口68は、遊技盤50の右側方位置に設けられる。作動口68は、通過検出装置69を含む。通過検出装置69は、作動口68への遊技球の通過を検出するセンサであり、通過時にその通過を示す通過情報を生成する。作動口68への遊技球の通過は第2始動入賞口63の普通電動役物65を拡開させるための開放抽選の契機となる。
【0024】
遊技者が発射ハンドル17を手で回動させると、その回動角度に応じた強度で上球皿15に貯留された遊技球が1球ずつ内レール56と外レール54に案内されて遊技領域52へ発射される。遊技者が発射ハンドル17の回動位置を手で固定させると一定の時間間隔で遊技球の発射が繰り返される。遊技領域52の上部へ発射された遊技球は、複数の遊技釘や風車に当りながらその当り方に応じた方向へ落下する。遊技球が一般入賞口72、第1始動入賞口62、第2始動入賞口63、第1大入賞口91、第2大入賞口92の各入賞口へ落入すると、その入賞口の種類に応じた賞球が上球皿15または下球皿16に払い出される。一般入賞口72等の各入賞口に落入した遊技球はセーフ球として処理され、アウト口58に落入した遊技球はアウト球として処理される。なお、各入賞口は遊技球が通過するゲートタイプのものを含み、本願において「落入」「入球」「入賞」というときは「通過」を含むものとする。
【0025】
遊技球が第1始動入賞口62に入球すると、第1特別図柄表示装置70において第1特別図柄192が変動表示され、演出図柄表示装置60の表示領域194において装飾図柄190が変動表示される。遊技球が第2始動入賞口63に入球すると、第2特別図柄表示装置71において第2特別図柄193が変動表示され、演出図柄表示装置60の表示領域194において装飾図柄190が変動表示される。第1特別図柄192、第2特別図柄193、装飾図柄190の変動表示は、表示に先だって決定された変動時間の経過後に停止される。停止時の第1特別図柄192および装飾図柄190が大当り態様であった場合、通常遊技よりも遊技者に有利な遊技状態である特別遊技に移行し、第1大入賞口91の開閉動作が開始される。このときスロットマシンのゲームを模した装飾図柄190は、3つの図柄を一致させるような表示態様をとる。停止時の第2特別図柄193および装飾図柄190が大当り態様であった場合、通常遊技よりも遊技者に有利な遊技状態である特別遊技に移行し、第2大入賞口92の開閉動作が開始される。
【0026】
特別遊技は、第1大入賞口91または第2大入賞口92が開放される単位遊技が複数回繰り返される遊技であり、単位遊技が15回繰り返されて多くの出玉を獲得できる第1特別遊技と、短い単位遊技が2回だけ繰り返されてほぼ出玉のない第2特別遊技とがある。15回の単位遊技が繰り返される第1特別遊技(以下、適宜「15R大当り」「15R特別遊技」とも称する)の場合、第1大入賞口91または第2大入賞口92は約30秒間開放されたとき、または9球以上の遊技球が落入したときに一旦閉鎖されることで1回の単位遊技が終了する。2回の単位遊技が繰り返される第2特別遊技(以下、適宜「2R大当り」「2R特別遊技」とも称する)の場合、第1大入賞口91または第2大入賞口92は約0.2秒間開放されたときに一旦閉鎖されることで1回の単位遊技が終了する。
【0027】
停止時の第1特別図柄192および装飾図柄190が所定の小当り態様であった場合、1回の単位遊技で構成される小当り遊技に移行し、第1大入賞口91の開閉動作が実行される。停止時の第2特別図柄193および装飾図柄190が小当り態様であった場合もまた小当り遊技に移行し、第2大入賞口92の開閉動作が実行される。小当り遊技を構成する1回の単位遊技においては、第1大入賞口91または第2大入賞口92が約0.2秒間の開放を2回繰り返すので、外観上は2R大当りと同様の動作態様となる。
【0028】
特別遊技が発生した場合であって抽選などの所定の条件が満たされた場合、特別遊技の終了後に特定遊技として確率変動遊技(以下、「確変」という)や変動時間短縮(以下、「時短」という)が開始される。確変中は、通常の確率状態より大当りの確率が高い抽選が行われ、比較的早期に新たな特別遊技が発生する。本実施例において、確変状態は、第1特別図柄192または第2特別図柄193が大当りとなるまで継続される。また確変は、特別遊技が発生した場合であってそのときの当り停止図柄が特定の態様であった場合に、その特別遊技の終了後に開始される。時短も確変と同様に、第1特別図柄192または第2特別図柄193が大当りとなるまで継続される。時短中は、第1特別図柄192または第2特別図柄193の変動時間が概ね短縮される。時短は、15R大当りの場合にだけ特別遊技終了後に開始される。
【0029】
作動口68を遊技球が通過すると、所定時間、普通図柄と呼ばれる図柄が普通図柄表示装置59に変動表示される。普通図柄表示装置59は第1大入賞口91の右方に設けられ、本実施例では二つのランプが交互に点灯と消灯を繰り返す形で普通図柄の変動表示を表現し、どちらのランプが最終的に点灯したまま停止するかによって普通図柄の抽選結果を表す。所定時間の経過後に普通図柄の変動表示が所定の当り態様にて停止すると、第2始動入賞口63の普通電動役物65が所定時間拡開する。このとき、通常状態では例えば1/256程度の低確率にて普通図柄が当り態様で停止し、後述する入球容易状態では例えば250/256程度の高確率にて普通図柄が当り態様で停止する。普通図柄が当り態様で停止すると、普通電動役物65が所定時間拡開される。普通電動役物65の開放時間は、例えば通常状態では0.1秒間であり、入球容易状態では6秒間である。
【0030】
演出図柄表示装置60の周囲には、センター飾り64が設けられる。センター飾り64は、遊技球の流路、演出図柄表示装置60の保護、装飾等の機能を有する。遊技効果ランプ90がセンター飾り64の上部および下部に設けられ、点滅等することで演出の役割を果たす。第1の遊技に対応する第1特図保留ランプ20は第1特別図柄表示装置70の上方に設けられ、第2の遊技に対応する第2特図保留ランプ21は第2特別図柄表示装置71の上方に設けられ、普通図柄変動に対応する普図保留ランプ22は普通図柄表示装置59の下方に設けられる。第1特図保留ランプ20および第2特図保留ランプ21は、それぞれ2個のランプからなり、それぞれの点灯個数または点滅個数によって第1の遊技および第2の遊技のそれぞれにおける当否抽選値の保留数を表示する。第1特図保留ランプ20における当否抽選値の保留数は、第1特別図柄192の変動中または特別遊技の実行中に第1始動入賞口62へ入賞した抽選結果の個数であり、図柄変動がまだ実行されていない入賞球の数を示す。第2特図保留ランプ21における当否抽選値の保留数は、第2特別図柄193の変動中または特別遊技の実行中に第2始動入賞口63へ入賞した抽選結果の個数であり、図柄変動がまだ実行されていない入賞球の数を示す。普図保留ランプ22もまた2個のランプからなり、その点灯個数または点滅個数によって普通図柄変動の保留数を表示する。普通図柄変動の保留数は、普通図柄の変動中に作動口68を通過した遊技球の個数であり、普通図柄の変動がまだ実行されていない普通図柄抽選の数を示す。
【0031】
操作ボタン82は、遊技者が遊技機に対して所定の指示を入力するために操作するボタンである。操作ボタン82は、上球皿15近傍の外壁面に設けられる。本実施例では3つの操作ボタン82が設けられており、最も左に位置する左ボタンと、中央に位置する中ボタンと、最も右に位置する右ボタンを含む。
【0032】
図2は、ぱちんこ遊技機の背面側における基本的な構造を示す。電源スイッチ40はぱちんこ遊技機10の電源をオンオフするスイッチである。メイン基板102は、ぱちんこ遊技機10の全体動作を制御し、とくに第1始動入賞口62、第2始動入賞口63へ入賞したときの抽選等、遊技動作全般を処理する。サブ基板104は、液晶ユニット42を備え、演出図柄表示装置60における表示内容を制御し、特にメイン基板102による抽選結果に応じて表示内容を変動させる。メイン基板102およびサブ基板104は、遊技制御装置100を構成する。裏セット機構39は、賞球タンク44や賞球の流路、賞球を払い出す払出ユニット43等を含む。払出ユニット43は、各入賞口への入賞に応じて賞球タンク44から供給される遊技球を上球皿15へ払い出す。払出制御基板45は、払出ユニット43による払出動作を制御する。発射装置46は、上球皿15の貯留球を遊技領域52へ1球ずつ発射する。発射制御基板47は、発射装置46の発射動作を制御する。電源ユニット48は、ぱちんこ遊技機10の各部へ電力を供給する。
【0033】
図3は、第1実施例におけるぱちんこ遊技機10の機能ブロックを示す。ぱちんこ遊技機10において、遊技制御装置100は、第1始動入賞口62、第2始動入賞口63、第1大入賞口91、第2大入賞口92、一般入賞口72、作動口68、第1特別図柄表示装置70、第2特別図柄表示装置71、演出図柄表示装置60、普通図柄表示装置59、操作ボタン82、スピーカ18、遊技効果ランプ90のそれぞれと電気的に接続されており、各種制御信号の送受信を可能とする。遊技制御装置100は、遊技の基本動作だけでなく、図柄変動表示や電飾等の演出的動作も制御する。遊技制御装置100は、遊技の基本動作や遊技の進行を含むぱちんこ遊技機10の全体動作を制御する主制御装置としてのメイン基板102と、図柄の演出等を制御する副制御装置としてのサブ基板104とに機能を分担させた形態で構成される。遊技制御装置100は、ハードウエア的にはデータやプログラムを格納するROMやRAM、演算処理に用いるCPU等の素子を含んで構成される。
【0034】
本実施例におけるメイン基板102は、入球判定手段110、第1抽選手段126、第2抽選手段128、普図抽選手段136、保留制御手段116、メイン表示制御手段118、特別遊技制御手段120、小当り遊技制御手段330、特定遊技実行手段122、開閉制御手段124、条件保持手段176を備える。本実施例におけるサブ基板104は、演出記憶手段130、演出決定手段132、演出表示制御手段134を備える。なお、メイン基板102に含まれる各機能ブロックは、いずれかがメイン基板102ではなくサブ基板104に搭載されるかたちで構成されてもよい。同様に、サブ基板104に含まれる各機能ブロックは、いずれかがサブ基板104ではなくメイン基板102に搭載されるかたちで構成されてもよい。
【0035】
ただし、メイン基板102とサブ基板104の間におけるデータの送受信はメイン基板102からサブ基板104への一方向であるため、そのような一方向でのデータ送受信にて全体動作が実現されるよう各構成がメイン基板102とサブ基板104に配置される。このようにメイン基板102からサブ基板104へのデータ送信の一方向性が保たれるため、サブ基板104に含まれる構成からメイン基板102に含まれる構成へはデータを送信することができず、データ送信の要求もできない。したがって、メイン基板102で生成された情報は、メイン基板102がサブ基板104へ一方的に送信しない限りサブ基板104から参照することはできない。
【0036】
入球判定手段110は、各入賞口への遊技球の入球を判定する。入球判定手段110は、第1始動入賞情報を受け取ると遊技球が第1始動入賞口62に入賞したと判断し、第2始動入賞情報を受け取ると遊技球が第2始動入賞口63に入賞したと判断する。入球判定手段110は、第1大入賞口入賞情報を受け取ると遊技球が第1大入賞口91に入賞したと判断し、第2大入賞口入賞情報を受け取ると遊技球が第2大入賞口92に入賞したと判断し、一般入賞情報を受け取ると遊技球が一般入賞口72に入賞したと判断する。入球判定手段110は、通過情報を受け取ると遊技球が作動口68を通過したと判断する。
【0037】
第1始動入賞口62への入球に対応する第1の抽選を実行する第1抽選手段126は、第1抽選値取得手段112、第1当否判定手段113、第1パターン決定手段114、第1図柄決定手段320を含む。第2始動入賞口63への入球に対応する第2の抽選を実行する第2抽選手段128は、第2抽選値取得手段115、第2当否判定手段117、第2パターン決定手段119、第2図柄決定手段322を含む。第1の抽選の結果は、第1特別図柄表示装置70において第1特別図柄192の変動表示の形で示され、演出図柄表示装置60の表示領域194において装飾図柄190の変動表示の形で示される。第2の抽選の結果は、第2特別図柄表示装置71において第2特別図柄193の変動表示の形で示され、演出図柄表示装置60の表示領域194において装飾図柄190の変動表示の形で示される。
【0038】
第1抽選手段126および第2抽選手段128は、図柄変動を開始するにあたり、その図柄変動に対応する抽選の結果を図柄変動の制御コマンドとともに演出決定手段132へ送信する。
【0039】
第1抽選値取得手段112は、第1始動入賞口62への入球を契機に、第1の抽選のために乱数の値を第1当否抽選値として取得する。第2抽選値取得手段115は、第2始動入賞口63への入球を契機に、第2の抽選のために乱数の値を第2当否抽選値として取得する。たとえば、当否抽選のために第1当否抽選値および第2当否抽選値として取得する値は「0」から「65535」までの値範囲から取得される。なお、本願にいう「乱数」は、数学的に発生させる乱数でなくてもよく、ハードウエア乱数やソフトウエア乱数などにより発生させる疑似乱数でもよい。第1抽選値取得手段112および第2抽選値取得手段115が第1当否抽選値または第2当否抽選値として取得する値は、保留制御手段116により一時的に保留される。ただし、保留制御手段116により保留される所定の保留上限数を超えない範囲で第1当否抽選値と第2当否抽選値が保留される。
【0040】
第1当否判定手段113は、第1当否抽選値に基づき、特別遊技または小当り遊技へ移行するか否かを判定する当否判定を実行する。第2当否判定手段117は、第2当否抽選値に基づき、特別遊技または小当り遊技へ移行するか否かを判定する当否判定を実行する。第1当否判定手段113および第2当否判定手段117は、当否判定で参照する当否判定テーブルを保持する。
【0041】
図4は、当否判定テーブルを模式的に示す図である。本図の当否判定テーブルには、大当り、小当り、外れの判定結果と当否抽選値とが対応付けられており、対応付けられたそれぞれの範囲設定に応じて大当り当否確率や小当りの当否確率が定まる。第1当否判定手段113および第2当否判定手段117は、当否判定において本図の当否判定テーブルを参照する。第1当否判定手段113による第1の抽選と第2当否判定手段117による第2の抽選のいずれにおいても、通常時には当否抽選値が0〜299の範囲に該当したときのみ大当りとなる。確変時には大当りの範囲が拡大され、当否抽選値が0〜299の範囲に該当する場合だけでなく、300〜6549の範囲に該当する場合にも大当りとなる。このように、大当りに該当する範囲は遊技状態に応じて変化する。なお、本図では単一の当否判定テーブルによって通常時と確変時の双方の大当り範囲を示したが、当否判定テーブルは通常時用と確変時用とで別個に用意してもよいし、第1の抽選用と第2の抽選用とで別個に用意してもよい。
【0042】
本実施例においては、当否抽選値が大当り範囲に該当しない場合であっても、所定の範囲に該当した場合には小当りとなる。本図の例では、第1当否判定手段113が取得する当否抽選値が56500〜65535の範囲に該当した場合に小当りとなり、第2当否判定手段117が取得する当否抽選値が64000〜65535の範囲に該当した場合に小当りとなる。すなわち、第2の抽選よりも第1の抽選の方が小当りに該当する範囲が広く、小当りが発生しやすい。このように、大当りに該当しなかった場合、本来はすべて「外れ」であるが、本図の例では大当りに該当しなかった場合のうち小当りにも該当しなかった場合の当否抽選値範囲を特に「外れ」と表現している。なお、本図では大当りか否かの判定テーブルと小当りか否かの判定テーブルとを単一の当否判定テーブルの形で実現する例を示したが、それぞれを別個のテーブルとして実現してもよい。
【0043】
なお、第1当否判定手段113および第2当否判定手段117は、第1始動入賞口62または第2始動入賞口63への入球時に、事前判定処理として、抽選値が当否判定におけるいずれの抽選値範囲に該当するかの事前当否判定をさらに実行する。そして、その判定結果をサブ基板104(例えば演出決定手段132)へ送信する。事前当否判定の結果は、送信バッファに一時保存された後、事前当否判定の対象とした抽選値に対応する図柄変動表示が直ちに開始されるか否かにかかわらずサブ基板104へ送信される。そして、送信バッファから消去され、または後に上書きされる。そのため、サブ基板104側にとっては図柄変動開始の順番が巡ってくる前にあらかじめ当否結果を推測的に認識できる、いわゆる「先読み」と呼ばれる処理が実現される。なお、図柄変動を開始するにあたって実行する当否判定を、特に事前当否判定と区別するために、「本判定としての当否判定」とも呼ぶ。
【0044】
図3に戻り、第1図柄決定手段320および第2図柄決定手段322は、別途取得する図柄抽選値と当否判定の結果に基づいて、図柄の変動開始にあたってその停止図柄を決定する。第1図柄決定手段320および第2図柄決定手段322は、特別図柄の停止図柄を決定するために参照する複数の図柄判定テーブルを保持する。第1図柄決定手段320および第2図柄決定手段322は、当否判定結果に応じて異なる図柄判定テーブルを参照する。
【0045】
図5は、図柄判定テーブルを模式的に示す図である。図5(a)は当否判定結果が大当りであった場合に参照するテーブルであり、図5(b)は当否判定結果が外れであった場合に参照するテーブルであり、図5(c)は当否判定結果が小当りであった場合に参照するテーブルである。第1図柄決定手段320および第2図柄決定手段322は、図柄判定において本図の図柄判定テーブルを参照する。各図柄判定テーブルには、「0」〜「9」の数字および文字以外の記号「−」で表される特別図柄と第1図柄抽選値または第2図柄抽選値との対応関係が定められている。特別図柄の種類はそれぞれ大当り、小当り、外れの当否判定結果と対応付けられており、奇数の数字が大当りに対応し、偶数の数字が小当りに対応し、記号「−」が外れに対応する。
【0046】
図5(a)に示す通り、特別図柄「0」〜「9」のうち奇数の数字である特別図柄「1」「3」「5」「7」「9」が大当りに対応づけられている。そのうち、特別図柄「7」は確変状態への移行を伴う15R大当りを示し、第1図柄抽選値の場合は「0〜99」に対応づけられ、第2図柄抽選値の場合は「0〜149」に対応づけられる。特別図柄「3」は確変状態への移行を伴う2R大当りを示し、第1図柄抽選値の場合は「100〜149」に対応づけられるが、第2図柄抽選値の場合には対応づけられていない。特別図柄「1」「5」は確変状態への移行を伴わない15R大当りを示し、第1図柄抽選値の場合は「130〜229」に対応づけられ、第2図柄抽選値の場合は「150〜255」が対応づけられている。特別図柄「9」は確変状態への移行を伴わない2R大当りを示し、第1図柄抽選値の場合は「230〜255」に対応づけられるが、第2図柄抽選値の場合には対応づけられていない。このように、第2図柄抽選値は2R大当りを示す特別図柄「3」「9」と対応づけられていないため、第2始動入賞口63に入球させる限りは2R大当りは発生しない。
【0047】
図5(b)に示す通り、記号「−」は全範囲である図柄抽選値の範囲「0〜255」に対応づけられる。
【0048】
図5(c)に示す通り、特別図柄「0」〜「9」のうち偶数の数字である特別図柄「0」「2」「4」「6」「8」が小当りに対応づけられている。特別図柄「0」は図柄抽選値の範囲「0〜49」に対応づけられ、特別図柄「2」は図柄抽選値の範囲「50〜99」に対応づけられ、特別図柄「4」は図柄抽選値の範囲「100〜149」に対応づけられ、特別図柄「6」は図柄抽選値の範囲「150〜199」に対応づけられ、特別図柄「8」は図柄抽選値の範囲「200〜255」に対応づけられる。
【0049】
なお、第1図柄決定手段320および第2図柄決定手段322は、第1始動入賞口62または第2始動入賞口63への入球時に、事前判定処理として、図柄抽選値がいずれの図柄範囲に該当するかの事前図柄判定をさらに実行する。そして、その判定結果を、事前図柄判定の対象とした抽選値に対応する図柄変動表示が直ちに開始されるか否かにかかわらずサブ基板104(例えば演出決定手段132)へ送信する。
【0050】
第1図柄決定手段320および第2図柄決定手段322は、事前図柄判定において、特別図柄の停止図柄の範囲を決定するために参照する複数の事前図柄判定テーブルを保持する。第1図柄決定手段320および第2図柄決定手段322は、事前当否判定の結果が大当りの場合は、大当り用の事前図柄判定テーブルを参照して、図柄抽選値が属する図柄範囲を判定する。この大当り用の事前図柄判定テーブルは、複数種類の大当りと、各大当りに対応する図柄抽選値の範囲とを対応づけて定める。すなわち、事前当否判定の結果が大当りの場合、事前図柄判定の結果は大当りの種類(確変状態への移行を伴う15R大当り、確変状態への移行を伴わない15R大当り、確変状態への移行を伴う2R大当り、確変状態への移行を伴わない2R大当りのいずれか)を示す。したがって、上述の事前当否判定の結果および事前図柄判定の結果により、サブ基板104(例えば演出決定手段132)は、将来時点での大当りの発生有無と、発生する大当りの種類を予め判定できる。
【0051】
このように、本実施例の第1抽選手段126は、第1始動入賞口62への入球時に、事前判定処理として、事前当否判定および事前図柄判定を実行する。同様に、本実施例の第2抽選手段128は、第2始動入賞口63への入球時に、事前判定処理として、事前当否判定および事前図柄判定を実行する。そして、事前判定処理の結果データ(以下、「事前判定結果」とも呼ぶ。)として、当否範囲、図柄範囲のそれぞれを示すデータを設定してサブ基板104へ送信する。
【0052】
図3に戻り、第1パターン決定手段114は、第1特別図柄表示装置70および演出図柄表示装置60に表示させる図柄変動の表示過程が定められた変動パターンを、別途取得する第1パターン抽選値に基づいて複数の変動パターンの中から決定する。第2パターン決定手段119は、第2特別図柄表示装置71および演出図柄表示装置60に表示させる図柄変動の表示過程が定められた変動パターンを、別途取得する第2パターン抽選値に基づいて複数の変動パターンの中から決定する。第1パターン決定手段114および第2パターン決定手段119は、それぞれ図柄変動を開始する際に変動パターンテーブルを参照してその図柄変動の変動パターンを決定する。第1パターン決定手段114および第2パターン決定手段119は、変動パターンを決定するために参照する変動パターン選択基準として複数の変動パターンテーブルをそれぞれ保持または共有する。変動パターンには、特別図柄を変動表示させるときの変動開始から停止までの変動時間が定められており、その種類によって長短様々な変動時間をもつ。すなわち、各変動パターンには、その図柄変動の終了条件としてパターンごとに変動表示時間が定められており、その変動表示時間の経過時に特別図柄の変動が停止される。複数の変動パターンテーブルは、変動パターンと抽選値との対応関係としてそれぞれ変動時間の選択傾向が異なるように定められている。
【0053】
図6は、通常の変動パターンテーブルを模式的に示す図である。第1パターン決定手段114および第2パターン決定手段119は、通常状態での変動パターン判定において本図の変動パターンテーブルを参照する。特定遊技状態での変動パターン判定においては、後述する図8の特定遊技用変動パターンテーブルを参照する。通常状態において、第1パターン決定手段114または第2パターン決定手段119は、当否判定結果が外れのときは図6(a)に示される外れ用の変動パターンを参照する。当否判定結果が15R大当りのときは図6(b)に示される15R大当り用の変動パターンテーブルを参照する。当否判定結果が2R大当りまたは小当りのときは図6(c)に示される2R大当りおよび小当り用の変動パターンテーブルを参照する。
【0054】
図6(a)においては、パターン抽選値0〜10には「スーパー1」というスーパーリーチが対応付けられ、パターン抽選値11〜20には「スーパー2」というスーパーリーチが対応付けられている。パターン抽選値21〜255には「ノーマル1」「ノーマル2」「リーチなし」のいずれかの変動パターンが対応付けられている。このように、当否判定結果が外れの場合、スーパーリーチ、ノーマルリーチ、リーチなしのいずれも選択される可能性がある。なお、図6(a)の変動パターンテーブルは、厳密には保留数ごとに参照すべき欄が異なるように規定されるが、その詳細は後述する図7において説明する。
【0055】
図6(b)においては、パターン抽選値0〜120には「スーパー1」のスーパーリーチが対応付けられ、パターン抽選値121〜240には「スーパー2」のスーパーリーチが対応付けられている。パターン抽選値241〜250には「ノーマル1」のリーチが対応付けられ、パターン抽選値251〜255には「ノーマル2」のリーチが対応付けられている。
【0056】
図6(c)においては、パターン抽選値0〜122には「スーパー3」というスーパーリーチが対応付けられ、パターン抽選値123〜255には「ノーマル3」というノーマルリーチが対応付けられている。このように当否判定結果が2R大当りまたは小当りの場合は「スーパー3」または「ノーマル3」がそれぞれ約50%の確率で選択される。
【0057】
図7は、図6(a)の変動パターンテーブルを詳細に示す図である。本図の変動パターンテーブル210においては、保留数ごとにそれぞれ変動パターンに対応付けられたパターン抽選値の範囲が異なる。具体的には、保留数が少ないほど変動時間が相対的に長い変動パターンに割り当てられたパターン抽選値の範囲が広くされており、それら変動時間の長い変動パターンが選択される確率を高めている。そのため、第1保留手段144または第2保留手段146による保留数が少ないほど平均的な変動時間が長くなる。したがって、第1保留手段144または第2保留手段146による保留数が所定数、例えば1〜2個より少なくなった場合に、変動時間の長い変動パターンの選択確率が通常より高くなり、変動時間が比較的長くなりやすい。
【0058】
第1欄212には、第1保留手段144による第1の抽選の結果保留数または第2保留手段146による第2の抽選の結果保留数が1の場合のパターン抽選値範囲と変動パターンとの対応関係が示される。同様に、第2欄214、第3欄216、第4欄218に、第1保留手段144による第1の抽選の結果保留数または第2保留手段146による第2の抽選の結果保留数がそれぞれ2、3、4の場合のパターン抽選値範囲と変動パターンとの対応関係が示される。すなわち、第1欄212、第2欄214、第3欄216、第4欄218が保留数ごとの変動パターンテーブルを示すと考えることができる。本図では、外れのときに選択され得る複数の変動パターンを変動時間別に5種類に分類した例を説明するが、実際にはそれらの分類ごとに複数の変動演出パターンが用意されており、全体で数十種類の変動演出パターンがそれぞれの分類ごとの抽選値範囲に対応付けられていることに等しい。
【0059】
第1範囲222には、抽選値が0から10までのパターン抽選値に該当する場合の変動パターンとして、第1欄212、第2欄214、第3欄216、第4欄218のいずれにも「スーパー1」というスーパーリーチの変動パターンが対応付けられる。第2範囲224には、抽選値が11から20までのパターン抽選値に該当する場合の変動パターンとして、第1欄212、第2欄214、第3欄216、第4欄218のいずれにも「スーパー2」というスーパーリーチの変動パターンが対応付けられる。このように、抽選値が0から10までのパターン抽選値と抽選値が11から20までのパターン抽選値の場合には、保留数にかかわらず同じ変動時間の変動パターンが選択される。
【0060】
第3範囲226には、抽選値が21から255までのパターン抽選値に該当する場合の変動パターンとして、第1欄212、第2欄214、第3欄216、第4欄218にはそれぞれノーマルリーチである「ノーマル1」「ノーマル2」と「リーチなし」の3種類の変動パターンが対応付けられる。ただし、それぞれの変動パターンが対応付けられるパターン抽選値の範囲は保留数によって異なる。第1欄212では、「ノーマル1」「ノーマル2」「リーチなし」のそれぞれが対応付けられる抽選値範囲の大きさがそれぞれほぼ等しく、21から255をほぼ3等分した範囲が対応付けられている。これに対し、第2欄214では、「ノーマル1」「ノーマル2」のそれぞれに対応付けられる抽選値範囲の大きさが「リーチなし」に対応付けられる抽選値範囲よりやや小さい。また、第3欄216では「ノーマル1」「ノーマル2」のそれぞれに対応付けられる抽選値範囲の大きさがさらに小さくなり、第4欄218にて「ノーマル1」「ノーマル2」のそれぞれに対応付けられる抽選値範囲の大きさはまたさらに小さくなっている。
【0061】
「ノーマル1」「ノーマル2」の変動時間は「リーチなし」の変動時間より長くてもよく、また「リーチなし」のときは時短状態のように変動時間が短縮される場合もあるため、上記の第3範囲226の設定内容に応じて平均的な変動時間が異なることとなる。保留数が1から2、3、4と多くなるにつれて「ノーマル1」および「ノーマル2」のパターン抽選値範囲は小さくなり、逆に「リーチなし外れ」のパターン抽選値範囲が大きくなる。したがって、保留数が多いほど平均的な変動時間は短くなり、逆に保留数が少ないほど平均的な変動時間は長くなる。このように保留数ごとにパターン抽選値範囲と変動パターンの対応関係が異なる変動パターンテーブルを用いることにより、保留数が少なくなったときに変動時間の長い変動パターンが選択されやすくなる制御を実現することができる。
【0062】
図3に戻り、普図抽選手段136は、作動口68を遊技球が通過したときに抽選値を取得することにより抽選を実行する。普図抽選手段136による抽選の結果は、普通図柄表示装置59において普通図柄の形で変動表示される。普図抽選手段136は、普通図柄表示装置59に表示させる普通図柄の停止図柄を決定するために参照すべき図柄判定テーブルを保持する。その図柄判定テーブルには抽選値と普通図柄の対応関係が定められており、普図抽選手段136は普通図柄の停止図柄を図柄判定テーブルを参照して決定する。決定された停止図柄が所定の図柄となった場合に普通図柄が当りに該当したと判定され、その停止図柄にて普通図柄の変動表示が停止された後に開閉制御手段124が第2始動入賞口63の普通電動役物65を所定時間拡開する。普通図柄の抽選値は、保留制御手段116により一時的に保留される。ただし、保留制御手段116により保留される所定の保留上限数を超えない場合にだけ抽選値が保留される。
【0063】
保留制御手段116は、第1保留手段144、第2保留手段146、普図保留手段147を含む。第1保留手段144は、新たに第1の抽選が実行されるときにそれ以前の抽選に対応する図柄変動が表示されている場合、新たな第1の抽選の結果をその抽選に対応する図柄の変動表示開始まで保留する。本実施例では第1の抽選の結果として4個を上限として当否抽選値を保持する。第2保留手段146は、新たに第2の抽選が実行されるときにそれ以前の抽選に対応する図柄変動が表示されている場合、新たな第2の抽選の結果をその抽選に対応する図柄の変動表示開始まで保留する。本実施例では第2の抽選の結果として4個を上限として当否抽選値を保持する。普図保留手段147は、普図抽選手段136により取得された普図抽選値を保留球として保持する。これらの保留数がそれぞれ第1特図保留ランプ20、第2特図保留ランプ21、普図保留ランプ22の点灯数または点滅数により表される。第1保留手段144および第2保留手段146による保留の数は表示領域194にも表示される。
【0064】
第2保留手段146に保留された抽選値は第1保留手段144に保留された抽選値より優先的に消化されて図柄変動が表示される。そのため、第1保留手段144に大当りの抽選値が保留されていても第2保留手段146に保留がある限りは第1保留手段144の大当り抽選値に対応する図柄変動は表示されない。したがって、第1保留手段144に大当りの保留があっても、さらに第2保留手段146へ大当りの保留が入るまで打ち続けることで、複数回の連続的な大当りを獲得できる可能性がある。
【0065】
メイン表示制御手段118は、第1特図制御手段148、第2特図制御手段150、普図制御手段153を含む。第1特図制御手段148は、第1抽選手段126による第1の抽選の結果として決定された変動パターンにしたがい第1特別図柄192の変動を第1特別図柄表示装置70に表示させる。第1特図制御手段148は、それ以前になされた第1の抽選または第2の抽選に対応する図柄の変動表示が終了していることを新たな図柄変動の開始条件とする。第2特図制御手段150は、第2抽選手段128による第2の抽選の結果として決定された変動パターンにしたがい第2特別図柄193の変動を第2特別図柄表示装置71に表示させる。第2特図制御手段150もまた、それ以前になされた第1の抽選または第2の抽選に対応する図柄の変動表示が終了していることを新たな図柄変動の開始条件とする。
【0066】
第1特図制御手段148は、第2保留手段146により第2の抽選の結果が保留されている場合は第1の抽選に対応する図柄変動表示の開始を留保する。一方、第2特図制御手段150は、第1保留手段144により第1の抽選の結果が保留されているか否かにかかわらず第2の抽選に対応する図柄変動表示を開始する。これにより、第1保留手段144と第2保留手段146の双方によって抽選値が保留されていた場合、第2保留手段146によって保留された抽選値が優先的に読み出されて図柄変動が表示される。そのような場合、第2保留手段146の保留数が0になるまでは第1保留手段144に保留された抽選値は読み出されずその図柄変動も開始しない。
【0067】
第1特図制御手段148および第2特図制御手段150は、第1特別図柄192および第2特別図柄193の変動表示を開始するタイミングと停止するタイミングにて、変動開始コマンドと変動停止コマンドを演出表示制御手段134へ送信する。変動開始コマンドを送信するとき、決定された当否判定結果、停止図柄、変動パターンのそれぞれを示す値と第1の抽選と第2の抽選のいずれであるかを示す値とを変動開始コマンドとともに演出表示制御手段134へ送信する。変動停止コマンドを送信するとき、あらためて停止図柄を示す値を変動停止コマンドとともに演出表示制御手段134へ送信する。これにより、メイン表示制御手段118および演出表示制御手段134による変動表示が同期し、連動が保たれる。普図制御手段153は、普図抽選手段136による抽選の結果を普通図柄の変動表示として普通図柄表示装置59に表示させる。
【0068】
条件保持手段176は、大入賞口の開放を伴う単位遊技を複数回含む特別遊技へ移行するための条件として特別遊技作動条件を保持する。特別遊技作動条件は、第1の抽選または第2の抽選で特別遊技へ移行する旨を示す結果となり、その抽選に対応する図柄変動が停止したことを条件の内容とする。
【0069】
特別遊技制御手段120は、第1抽選手段126による第1の抽選が特別遊技への移行を示す結果となった場合、第1特別図柄192が所定の大当り態様で停止されたときに特別遊技作動条件が成立したと判定し、第1大入賞口91を開放させることにより特別遊技を実行する。同様に、特別遊技制御手段120は、第2抽選手段128による第2の抽選が特別遊技への移行を示す結果となった場合、第2特別図柄193が所定の大当り態様で停止されたときに特別遊技作動条件が成立したと判定し、第2大入賞口92を開放させることにより特別遊技を実行する。特別遊技は、第1大入賞口91または第2大入賞口92の開閉動作を複数回数連続して継続する遊技であり、1回の開閉を単位とした複数回の単位遊技で構成される。
【0070】
特別遊技には、相対的に出玉の多くなる態様で第1大入賞口91または第2大入賞口92を開閉させる第1の特別遊技と、相対的に出玉の少なくなる態様で第1大入賞口91または第2大入賞口92を開閉させる第2の特別遊技と、が含まれる。第1の特別遊技は、単位遊技を15回繰り返す15R大当りに伴う特別遊技である。第2の特別遊技は、短い単位遊技を2回だけ繰り返す2R大当りに伴う特別遊技である。特別遊技制御手段120は、15R大当りにおいては、1回の単位遊技において第1大入賞口91または第2大入賞口92を原則として約30秒間開放させる。特別遊技制御手段120は、単位遊技の設定ラウンド数を消化したときに特別遊技を終了させる。
【0071】
小当り遊技制御手段330は、第1抽選手段126による第1の抽選が小当り遊技への移行を示す結果となった場合、第1特別図柄192が所定の小当り態様で停止されたときに小当り遊技作動条件が成立したと判定し、第1大入賞口91を開放させることにより小当り遊技を実行する。同様に、小当り遊技制御手段330は、第2抽選手段128による第2の抽選が小当り遊技への移行を示す結果となった場合、第2特別図柄193が所定の小当り態様で停止されたときに小当り遊技作動条件が成立したと判定し、第2大入賞口92を開放させることにより小当り遊技を実行する。小当り遊技は、第1大入賞口91または第2大入賞口92の開閉動作を複数回行う遊技であり、2回の開閉を単位とした1回の単位遊技で構成される。小当り遊技においては、第1大入賞口91または第2大入賞口92を2R大当りと同様に短時間だけ開放させる。小当り遊技制御手段330は、単位遊技を1回実行した後に小当り遊技を終了させる。
【0072】
特定遊技実行手段122は、特別遊技の終了後から次の大当りが発生するまでの期間、あらたに大当りを獲得する容易性が通常状態より有利となる特定遊技の状態に移行させる。特定遊技には、確変と時短が含まれる。特定遊技実行手段122は、第1の抽選と第2の抽選のいずれの結果に起因する特別遊技であったかにかかわらずその特別遊技の終了後に必ず第1特別図柄192および第2特別図柄193の時短状態へ移行させる。一方、特別遊技の終了後に確変状態へ移行させるのは、第1図柄決定手段320または第2図柄決定手段322により決定された図柄が、確変状態への移行を伴う15R大当り図柄もしくは確変状態への移行を伴う2R大当り図柄であった場合に限られる。
【0073】
確変状態の間は第1当否判定手段113または第2当否判定手段117による当否判定結果が大当りとなる確率が通常状態より高められる。第1特別図柄192、第2特別図柄193の時短状態は、次の大当りが発生するまで継続される。
【0074】
第1特別図柄192および第2特別図柄193の時短中は、特定遊技の一つである入球容易状態が実施される。入球容易状態は、普通図柄の時短、開放抽選の確率変動、普通電動役物65の開放延長が実施されることにより第2始動入賞口63への入球容易性が高められる状態である。普通図柄の時短は、普通図柄の変動時間が通常状態より短縮される状態である。開放抽選の確率変動は、開放抽選の当り確率を通常状態より高める状態である。普通電動役物65の開放延長は、普通電動役物65の開放時間を通常状態よりも長くする状態である。
【0075】
このように、入球容易状態においては、一定時間あたりの普通図柄の変動回数が通常状態よりも増加する可能性が高まる上、第2始動入賞口63への入球容易性も増すため、第2始動入賞口63への入球数が増加する可能性も高い。したがって、第1特別図柄192、第2特別図柄193の時短および入球容易状態により、その期間中は第2始動入賞口63への入球による賞球を得られる機会が増加する結果、持ち玉をほとんど減らさずに遊技し続けることが可能となる。また、時短中は第1始動入賞口62より第2始動入賞口63への入球容易性が高くなるため、遊技者はいわゆる右打ちをするために第2始動入賞口63への入球を狙った強度にて遊技球を発射することとなる。
【0076】
なお、本実施例における入球容易状態は、普通図柄の時短、開放抽選の確率変動、普通電動役物65の開放延長という3つの機能を用いて第2始動入賞口63への入球容易性を高める。ただし変形例としては、これら3つの機能のうち、1つまたは2つの機能を用いて第2始動入賞口63への入球容易性を高める構成としてもよい。このように3つの機能のうち一部だけを用いても第2始動入賞口63への入球容易性を高めることは可能である。また、3つの機能のうち少なくともいずれかを、実施する期間と実施しない期間とで遊技状態に応じて切り替える構成としてもよい。
【0077】
図3に戻り、開閉制御手段124は、第2始動入賞口63の普通電動役物65や第1大入賞口91、第2大入賞口92の開閉を制御する。開閉制御手段124は、普通図柄が特定の態様で停止されると、普通電動役物ソレノイド76に開放指示を送り、第2始動入賞口63の普通電動役物65を開放させる。開閉制御手段124は、特別遊技において、大入賞口ソレノイド80または大入賞口ソレノイド81に開放指示を送り、第1大入賞口91または第2大入賞口92を開放させる。
【0078】
操作検出手段133は、操作ボタン82に対する遊技者の操作入力の内容を取得する。具体的には、操作ボタン82における左ボタンが押下された場合、中ボタンが押下された場合、右ボタンが押下された場合のそれぞれにおいて、押下されたボタンの種類を示す情報を取得する。
【0079】
演出記憶手段130は、装飾図柄の変動演出パターンとして複数の変動演出パターンデータを保持する。演出決定手段132は、第1抽選手段126から受け取る第1の抽選の結果または第2抽選手段128から受け取る第2の抽選の結果に応じて、演出表示制御手段134によって演出図柄表示装置60へ表示させる演出内容を決定する。演出決定手段132は、第1パターン決定手段114または第2パターン決定手段119により決定された特別図柄の変動パターンに対応する複数の変動演出パターンデータの中からいずれかを選択して演出記憶手段130から読み出す。演出決定手段132は、装飾図柄190の停止図柄の組合せを第1抽選手段126または第2抽選手段128が決定する特別図柄の停止図柄や変動パターンに基づいて決定する。
【0080】
装飾図柄190の停止図柄は、3つの図柄の組合せとして形成され、たとえば第1抽選手段126または第2抽選手段128による当否判定結果が15R大当りの特別遊技への移行を示す場合には特定の組合せ、例えば「777」や「111」のように3つの図柄が揃った組合せが選択される。この場合、装飾図柄190として揃える数字には、第1特別図柄192や第2特別図柄193と同じ数字が選ばれるのが好ましい。たとえば、第1特別図柄192または第2特別図柄193が「7」の場合は装飾図柄190が「777」となる。あるいは、3つの図柄の少なくとも一つに当りであることを示す特定の図柄が含まれる図柄の組み合わせによっても、その大当りを示すようにしてもよい。当否判定結果が2R大当りの場合や小当りの場合もまた特定の組合せ、例えば「357」のような所定の組合せが選択されるが、それらの特定の組合せは必ずしも3つの図柄が揃った組合せでなくてもよい。当否判定結果が大当りでも小当りでもない場合は、「312」や「946」のように3つの図柄が揃っていない組合せであって、2R大当りや小当りのときに選択される特定の組合せに該当しない組合せが選択される。当否判定結果が15R大当りではない場合であって、リーチ付きの外れを示す変動パターンが選択された場合は、「191」や「727」のように一つだけ図柄が揃っていない組合せを選択する。演出決定手段132は、装飾図柄190の停止図柄組合せと装飾図柄の変動演出パターンデータを演出表示制御手段134へ送る。
【0081】
装飾図柄の変動演出パターンデータには、装飾図柄の変動表示態様、すなわち装飾図柄の変動開始から変動停止までの変動過程と演出過程が定義される。変動演出パターンには、あと一つ図柄が揃えば大当りとなるリーチ状態を経てから当り態様または外れ態様である停止図柄組合せを表示するリーチパターンと、リーチ状態を経ずに外れ態様である停止図柄組合せを表示するリーチなしパターンが含まれる。特に、リーチ状態を経るときのパターンとしては、長短様々な変動時間をもつパターンが含まれ、相対的に変動時間の短いリーチパターンを「ノーマルリーチ」と称し、変動時間の長いリーチパターンを「スーパーリーチ」と称する。各変動演出パターンには、その図柄変動の終了条件としてパターンごとに変動時間が定められており、その変動時間の経過時に図柄変動が停止される。演出決定手段132は、特別図柄の変動パターンに応じて、特別図柄と変動時間が等しい装飾図柄の変動演出パターンを選択する。
【0082】
なお演出記憶手段130は、装飾図柄の変動表示とは別に表示されて大当りへの期待度の高さを予告的に示唆する複数の予告演出パターンをさらに保持する。予告演出パターンは、特定のキャラクタやモチーフの画像、アニメーション、映像などを一時的に画面表示させる演出パターンや、特定の音声を出力する演出パターンである。予告演出パターンによる演出は、図柄変動と並行して実行され、その図柄変動が大当り態様にて停止する期待度が高いことを予告的に示唆する。演出決定手段132は、メイン基板102における当否抽選の結果、特別図柄の停止図柄、特別図柄の変動パターン、装飾図柄の変動演出パターンに応じて予告演出パターンを決定する。そして、決定した予告演出パターンのデータを演出表示制御手段134へ送る。
【0083】
演出表示制御手段134は、第1演出制御手段168、第2演出制御手段170および特別遊技演出制御手段171を含む。演出表示制御手段134は、遊技効果ランプ90の点灯および消灯や、スピーカ18からの音声出力などの演出処理をさらに制御する。
【0084】
第1演出制御手段168および第2演出制御手段170は、第1抽選手段126による第1の抽選の結果または第2抽選手段128による第2の抽選の結果を、選択された変動演出パターンデータにしたがって装飾図柄190として演出図柄表示装置60の表示領域194に変動表示させる。第1演出制御手段168および第2演出制御手段170は、それ以前の第1の抽選または第2の抽選に対応する装飾図柄190の変動表示が終了していることを新たな図柄変動の開始条件とする。特別遊技演出制御手段171は、特別遊技制御手段120により特別遊技が実行される場合、特別遊技における演出内容を定めた演出データにしたがって演出図柄表示装置60の表示領域194に特別遊技の演出を表示させる。
【0085】
第1演出制御手段168は、第2保留手段146により第2の抽選の結果が保留されている場合は第1の抽選に対応する図柄変動表示の開始を留保する。第2演出制御手段170は、第1保留手段144により第1の抽選の結果が保留されているか否かにかかわらず第2の抽選に対応する図柄変動表示を開始する。これにより、第1保留手段144と第2保留手段146の双方によって抽選値が保留されていた場合は第2保留手段146により保留された抽選値が優先的に読み出されて装飾図柄の変動が表示される。そのような場合、第2保留手段146の保留数が0になるまでは第1保留手段144に保留された抽選値は読み出されずその装飾図柄の変動も開始しない。このように演出表示制御手段134は、装飾図柄190の変動表示を含む図柄変動演出を演出図柄表示装置60に表示させる。
【0086】
次に、本実施例における特徴的な演出制御について説明する。
演出記憶手段130は、特別遊技の実行中の演出内容、例えば演出図柄表示装置60に表示させるべきアニメーションの内容や、スピーカ18から出力させるべき音声の内容を定めた特別遊技演出のデータを保持する。15R特別遊技における特別遊技演出は、特別遊技の1ラウンド開始前の演出内容を定めた開始デモと、最終ラウンド終了後の演出内容を定めた終了デモを含む。また演出記憶手段130は、3種の操作ボタン82のいずれかを押すよう遊技者を促し、その三択に正解することで連荘となることを遊技者へ示唆するための演出内容を定めた選択演出のデータ(画像データ等)を保持する。
【0087】
図8は、演出図柄表示装置60における選択演出の表示例を示す。同図で示すように、選択演出では多肢択一式問題を模した画像を表示し、操作ボタン82の左ボタン・中ボタン・右ボタンのそれぞれを示すボタンオブジェクト230を、遊技者が選択可能な選択肢として提示する。また、3つの操作ボタン82の中からいずれかを押すよう遊技者を促すメッセージであり、正解した場合には連荘が発生することを示唆するメッセージを表示する。また選択演出では、操作ボタン82の選択入力に対する制限時間(例えば4秒)が設けられており、遊技者はその制限時間内に操作ボタン82のいずれかのボタンを押下する必要がある。なお、演出図柄表示装置60の表示領域194にはタッチパネルが設けられてもよく、この場合、遊技者はボタンオブジェクト230が示すいずれかのボタン画像をタップすることにより特定のボタンを選択してもよい。
【0088】
また演出記憶手段130は、選択演出に対する遊技者の選択結果が正解である旨、および、保留内連荘が発生する旨を遊技者へ報知するための演出内容を定めた保留内連荘報知演出のデータ(画像データ等)を保持する。保留内連荘報知演出は、例えば、「正解!連荘確定!!」等のメッセージを表示する演出であってもよい。また保留内連荘報知演出は、遊技盤の所定箇所に設けられた役物が、予め定められた態様で動作する演出でもよく、例えば所定のキャラクタを模した役物が初期位置から落下する演出であってもよい。
【0089】
また演出記憶手段130は、保留内連荘報知演出の後に実行される演出であり、次の特別遊技における特別遊技演出に対して継続性のある内容の演出(以下、「継続演出」とも呼ぶ。)のデータを保持する。継続演出は、特別遊技の開始デモと外観上の共通性を有する演出であってもよく、例えば開始デモの演出内容と一貫性のある連続演出(連続するストーリのアニメーション等)を定めたものであってもよい。また継続演出は、特別遊技演出と同じ背景画像を表示するものであってもよく、特別遊技演出での音声と同一もしくは関連する音声を出力するものであってもよく、1回以上の図柄変動に亘り連続して大当りの発生を予告するものであってもよい。なお演出記憶手段130は、大当りが保留された位置、言い換えれば、特別遊技終了後、次の大当りが発生するまでの図柄変動回数に応じた複数種類の継続演出を保持してもよい。例えば、特別遊技終了後、3回目の図柄変動で大当りとなる場合の、1回目の図柄変動用の継続演出のデータ、2回目の図柄変動用の継続演出のデータ等を保持してもよい。
【0090】
演出決定手段132は、選択演出全体において遊技者の選択結果が正解となる確率(以下、「全体正解確率」とも呼ぶ。)が、選択肢の数により期待される正解確率の近傍値となるよう制御する。この全体正解確率は、選択演出が多くの回数実行された場合の正解確率であるとも言え、また、選択演出において遊技者が特定のボタンを選択入力した場合に保留内連荘報知演出が表示される確率であるとも言える。本実施例では三肢択一の選択演出を提示し、この選択演出に回答する遊技者は期待される正解確率を3分の1と直感すると想定されるため、全体正解確率が3分の1の近似値となるよう制御する。言い換えると、遊技者は複数の選択肢のそれぞれを選択した場合の正解確率が同等となることを期待すると考えられる。したがって、演出決定手段132は、それぞれの選択肢の正解確率が3分の1の近似値となるよう、すなわち全体正解確率が3分の1と同等の値となるよう制御する。例えば、全体正解確率が30%〜35%の範囲の値になるよう制御してもよい。
【0091】
また選択演出において遊技者の選択結果が正解であった場合はその後に保留内連荘を報知するため、保留内連荘が発生する場合に限り遊技者の選択結果を正解とすることができる。言い換えると、保留内連荘が発生しない場合は遊技者の選択結果にかかわらず常に不正解とする必要があり、保留内連荘が発生しない場合に遊技者の選択結果を正解とする確率は0である。しかし、選択演出の実行が即保留内連荘確定となっては選択演出の意義を損なうため、保留内連荘が発生しない場合にもある程度は選択演出を実行する必要がある。したがって、保留内連荘が発生する場合に遊技者の選択結果を正解とする確率(以下、「連荘時正解確率」とも呼ぶ。)は、全体正解確率より大きい値に設定する必要がある。本実施例では3分の2に設定される。
【0092】
変形例として、選択演出で提示する選択肢の数は3以外であってもよい。例えば、5つの選択肢を提示し、そのうちの2つが正解であることを遊技者に示唆してもよい。この場合、全体正解確率は5分の2とすべき一方、保留内連荘が発生しない場合に遊技者の選択結果を正解とする確率は0であるため、連荘時正解確率は5分の2よりも大きな値に設定される。
【0093】
本実施例では15R特別遊技中に選択演出を所定確率で実行する。具体的には、15R特別遊技中に選択演出を実行する確率として、保留内連荘が発生するときに選択演出を実行する確率(以下、「保留内連荘時演出確率」とも呼ぶ。)と、保留内連荘が発生しないときに選択演出を実行する確率(以下、「保留内非連荘時演出確率」)とが予め設定される。ぱちんこ遊技機10では、特別遊技の最終ラウンドまでの通常の(平均的な)保留個数(例えば7個)が統計的に想定され、その保留個数と予め定められた大当り確率により、保留内連荘が発生する確率(例えば25%)が求まる。本実施例では、保留内連荘の発生確率にもとづき、選択演出を実行した場合に保留内連荘である確率が50%となるように、保留内連荘時演出確率と保留内非連荘時演出確率とを定める。例えば、保留内連荘の発生確率が25%である場合、保留内連荘時演出確率と保留内非連荘時演出確率とが3:1となるよう、保留内連荘時演出確率を75%とし、保留内非連荘時演出確率を25%としてもよい。選択演出を実行した場合に保留内連荘となる確率が50%であれば、保留内連荘時には3分の2(連荘時正解確率)で正解となり、保留内非連荘時には常に不正解となるため、選択演出における全体正解確率は3分の1となる。
【0094】
演出決定手段132は、第1抽選手段126から送信された事前判定結果のデータと、第2抽選手段128から送信された事前判定結果のデータをそれぞれ所定のメモリに格納する。演出決定手段132は、15R特別遊技における15回目の大入賞口(第1大入賞口91または第2大入賞口92)の開放が終了したことを検出すると、それまでに受け付けられた事前判定結果を参照して大当りの保留有無を判定する。言い換えると、15R特別遊技終了後の通常遊技における図柄変動回数が保留の上限個数に達するまでの間に次の大当りが発生するか否かを判定する。判定の結果、大当りが保留されていた場合、保留内連荘時演出確率にしたがって選択演出の有無を決定する。また大当りが保留されていなかった場合、保留内非連荘時演出確率にしたがって選択演出の有無を決定する。
【0095】
なお大当りが保留されていた場合、保留内連荘時演出確率に応じて抽選値範囲と選択演出の実行有無との対応関係を定めたテーブルを参照し、抽選値(乱数値)を取得して、その抽選値が属する抽選値範囲にしたがって選択演出の実行有無を決定してもよい。大当りが保留されていない場合も同様に、保留内非連荘時演出確率に応じて抽選値範囲と選択演出の実行有無との対応関係を定めたテーブルを参照し、抽選により選択演出の実行有無を決定してもよい。
【0096】
また本実施例では保留内連荘の対象とする大当りを制限しないが、変形例として、遊技者へ提供する利益が相対的に小さい大当りは保留内連荘の対象から除外してもよい。例えば、15R特別遊技中に、次の15R大当りが保留されている場合に保留内連荘が発生すると判定する一方、2R大当りが保留されていても保留内連荘は発生しないと判定してもよい。また確変状態への移行を伴う大当りが保留されている場合に保留内連荘が発生すると判定する一方、確変状態への移行を伴わない大当りが保留されていても保留内連荘は発生しないと判定してもよい。またこれらの組み合わせとして、確変状態への移行を伴わない2R大当りについては保留内連荘の対象とする大当りから除外してもよい。この変形例によると、遊技者へ提供する利益が相対的に小さい大当りは保留内連荘報知演出の対象から除外することで、遊技者の期待感を無駄に煽ってしまうことを回避できる。
【0097】
演出決定手段132は、選択演出の実行を決定すると、選択演出における正解条件を定めた正解条件テーブルを参照して、今回実行する選択演出の正解条件を決定する。図9は、正解条件テーブルを模式的に示す。演出決定手段132は、「0〜255」の範囲の乱数値を抽選値として取得し、大当りが保留されている場合、すなわち保留内連荘が発生する場合は、その抽選値が属する抽選値範囲と対応づけられた選択肢(図9の正解肢)を正解とする正解条件を決定する。例えば抽選値が「100」の場合、正解の選択肢を中ボタンおよび右ボタンとする正解条件を決定する。その一方、保留内連荘が発生しない場合は抽選値にかかわらず、正解の選択肢がないことを示す正解条件、言い換えると、いずれのボタンも不正解であることを示す正解条件を決定する。なお変形例として演出決定手段132は選択演出における不正解の条件を定めたテーブルを参照して、今回実行する選択演出において不正解とする条件を決定してもよいことはもちろんである。
【0098】
また演出決定手段132は、選択演出の実行を決定すると、選択演出の実行を演出表示制御手段134へ指示する。演出表示制御手段134の特別遊技演出制御手段171は、選択演出の実行が指示されると、特別遊技演出の出力を一旦停止する。そして、演出記憶手段130に保持された選択演出のデータにしたがって選択演出を所定の制限時間(例えば4秒間)表示させる。操作検出手段133は、制限時間内に操作ボタン82の選択入力を検出すると、遊技者により選択入力された操作ボタン82の種類(すなわち左ボタン・中ボタン・右ボタンのいずれか)を示す情報を演出決定手段132へ通知する。
【0099】
演出決定手段132は、選択演出において遊技者が選択したボタンが正解条件と整合する場合、保留内連荘報知演出の実行を特別遊技演出制御手段171へ指示する。そして保留内連荘報知演出の終了後、特別遊技演出の再開(復帰)を特別遊技演出制御手段171へ指示する。その一方、演出決定手段132は選択演出において遊技者が選択したボタンが正解条件と不整合の場合は、保留内連荘報知演出の実行を指示することなく、特別遊技演出の再開を特別遊技演出制御手段171へ指示する。また制限時間内に操作ボタン82の選択入力が未検出の場合も、保留内連荘報知演出の実行を指示することなく、特別遊技演出の再開を特別遊技演出制御手段171へ指示する。
【0100】
演出決定手段132は、保留内連荘報知演出の実行を指示した場合、特別遊技終了後であり、次の特別遊技開始前の通常遊技の演出として、継続演出の実行を演出表示制御手段134へ指示する。演出表示制御手段134は、特別遊技の終了デモを表示後、通常遊技においては継続演出を表示させ、そして次の特別遊技の開始デモを表示させる。
【0101】
以上の構成による動作および制御の過程を以下説明する。
図10は、ぱちんこ遊技機における基本的な動作過程を示すフローチャートである。まず、遊技球が第1始動入賞口62、第2始動入賞口63、一般入賞口72、第1大入賞口91、第2大入賞口92などへ入賞した場合の処理を実行し(S10)、通常遊技中であれば(S12のY)、図柄変動などの通常遊技の制御処理を実行し(S14)、通常遊技中でなければ(S12のN)、特別遊技の制御処理を実行し(S16)、小当り遊技の制御処理を実行する(S17)。その後、S10の入賞処理においてセットされた賞球数にて各種入賞に応じた賞球払出を処理する(S18)。
【0102】
図11は、図10におけるS10の入賞処理を詳細に示すフローチャートである。第1始動入賞口62または第2始動入賞口63に入球があった場合(S20のY)、始動入賞口に対応する賞球数をセットする(S22)。第1始動入賞口62への入球であれば第1保留手段144による保留数が4未満であるか否かを参照し、第2始動入賞口63への入球であれば第2保留手段146による保留数が4未満であるか否かを参照し、それぞれにさらなる保留が可能な状態であれば(S24のY)、当否抽選値を取得する(S26)。そして、その当否抽選値に基づいて当否を判定する事前判定処理を実行し(S28)、当否抽選値を第1保留手段144または第2保留手段146に保留する(S30)。S20において第1始動入賞口62または第2始動入賞口63への入球がない場合はS22からS30までの処理をスキップする(S20のN)。S24において保留数が上限に達していてさらなる保留が不可能な場合はS26からS30までの処理をスキップする(S24のN)。以上のS20からS30までの処理が始動入賞口への入球に対する入賞処理である。
【0103】
なお、本実施例では第1の遊技(第1当否判定手段113と第1図柄決定手段320)と第2の遊技(第2当否判定手段117と第2図柄決定手段322)の双方において事前判定として当否判定を実行する例としているが、変形例としては第1の遊技における事前判定と第2の遊技における事前判定とを異なる態様としてもよい。例えば、当否判定、図柄決定、パターン決定のうちいずれを事前判定として実行するかについての態様を第1の遊技と第2の遊技とで相違させてもよい。または、いずれか一方のみが事前判定を実行してその判定結果を送信する態様としてもよいし、確変中か否かといった遊技状態に応じていずれが事前判定を実行するかを切り替えてもよい。あるいは、第1の遊技と第2の遊技の双方において遊技状態に応じて事前判定を実行するか否かを決定する態様としてもよい。また、メイン基板102が事前判定結果をサブ基板104に送信しつつ、サブ基板104側で遊技状態に応じてその判定結果を利用するか否かを切り替えてもよい。
【0104】
一般入賞口72に入球があった場合は(S32のY)、一般入賞口72に対応する賞球数をセットし(S34)、一般入賞口72への入球がないときはS34をスキップする(S32のN)。第1大入賞口91または第2大入賞口92に入球があった場合は(S36のY)、第1大入賞口91または第2大入賞口92に対応する賞球数をセットする(S38)。また、演出決定手段132は、演出表示装置60に表示中の獲得賞球数を更新する(S39)。第1大入賞口91および第2大入賞口92への入球がないときはS38およびS39をスキップする(S36のN)。
【0105】
図12は、図11におけるS28の事前判定処理を詳細に示すフローチャートである。まず、事前当否判定テーブルを参照して事前当否判定を実行し(S40)、その判定結果として当否範囲を示す値を設定し(S42)、事前図柄判定テーブルを参照して事前図柄判定を実行し(S44)、その判定結果として図柄範囲を示す値を設定する(S46)。メイン基板102の第1抽選手段126および第2抽選手段128は、以上のように事前判定結果の値を設定すると、保留される当否抽選値の種別(第1当否抽選値であるか第2当否抽選値か)を示す情報や、保留の個数を示す入賞情報とともに事前判定結果をサブ基板104(例えば演出決定手段132)へ送信する。具体的には、送信バッファに一時保存されて、サブ基板104側へ送信される(S52)。
【0106】
図13は、図10におけるS14の通常遊技制御処理の全体的な過程を示すフローチャートである。この通常遊技制御処理は、メイン基板102における特別図柄変動処理の実行と(S152)、サブ基板104における装飾図柄変動処理の実行とが(S154)、繰り返し処理されることとなる。
【0107】
図14は、図13におけるS152の特別図柄変動処理の実行処理を詳細に示すフローチャートである。まだ図柄変動表示が開始されていない場合(S60のN)、第2保留手段146により抽選値の保留がなされている場合(S62のY)、第2当否判定手段117が第2保留手段146から抽選値を読み出して第2特別図柄193の当否を判定し(S64)、第2図柄決定手段322が第2特別図柄193を決定し(S66)、第2パターン決定手段119が第2特別図柄193の変動パターンを決定し(S68)、決定した結果とともに変動開始コマンドをサブ基板104へ送信して第2特別図柄193の図柄変動を開始する(S77)。
【0108】
第2保留手段146により抽選値の保留がなされていない場合であって(S62のN)、第1保留手段144により抽選値の保留がなされている場合(S70のY)、第1当否判定手段113が第1保留手段144から抽選値を読み出してあらためて第1特別図柄192の当否を判定し(S72)、第1図柄決定手段320が第1特別図柄192を決定し(S74)、第1パターン決定手段114が第1特別図柄192の変動パターンを決定する(S75)。決定した結果とともに変動開始コマンドをサブ基板104へ送信して第1特別図柄192の図柄変動を開始する(S77)。第1保留手段144により抽選値の保留がなされていない場合はS72からS77までの処理をスキップする(S70のN)。すでに図柄変動表示が開始されている場合(S60のY)、特別図柄の図柄変動表示を処理し(S78)、所定の変動時間が経過して図柄表示の停止タイミングに達したときは(S80のY)、変動停止コマンドをサブ基板104へ送信して表示中の図柄変動を予め決定された停止図柄にて停止する(S82)。図柄表示の停止タイミングに達していない場合はS82の処理をスキップして本図のフローを終了する(S80のN)。
【0109】
図15は、図13におけるS154の装飾図柄変動処理の実行処理を詳細に示すフローチャートである。サブ基板104の演出決定手段132がメイン基板102から変動開始コマンドを受信した場合(S180のY)、受信した特別図柄の停止図柄、変動パターン、当否判定結果に応じて装飾図柄の停止態様を決定する(S182)。先の特別遊技において保留内連荘報知演出を実行済であれば(S184のY)、予告演出パターンとして、次の特別遊技時の演出内容と継続性を有する内容の継続演出を選択する(S186)。先の特別遊技において保留内連荘報知演出を未実行であれば(S184のN)、S186をスキップするが、継続演出以外の予告演出パターンを選択してもよい。そして、演出決定手段132は装飾図柄の変動演出パターンを決定する(S188)。演出表示制御手段134は、演出決定手段132で決定された変動演出パターンにしたがって装飾図柄の変動表示を開始し、適宜演出決定手段132で決定された予告演出パターンにしたがって予告演出の表示を開始する(S196)。メイン基板102から変動開始コマンドを受信しなかった場合はS182からS196をスキップする(S180のN)。
【0110】
すでに装飾図柄の変動表示が開始済みであれば(S198のY)、その図柄変動の表示処理を実行し(S200)、メイン基板102から変動停止コマンドを受信したときは(S202のY)、S182で決定された停止態様にて装飾図柄を停止表示させることで図柄変動表示を停止する(S204)。変動停止コマンドをメイン基板102から受信していないときはS204をスキップし(S202のN)、変動表示が開始済みでないときはS200からS204をスキップする(S198のN)。
【0111】
図16は、図10におけるS16の特別遊技処理を詳細に示すフローチャートである。まず初回ラウンドの開始前、すなわち第1大入賞口91または第2大入賞口92の1回目の開放がなされる前(S100のY)、演出表示制御手段134は特別遊技の開始デモを表示させて、特別遊技の演出処理を開始する(S101)。初回ラウンドの開始後は(S100のN)、S101をスキップする。第1大入賞口91または第2大入賞口92がまだ開放済でない場合(S102のN)、開閉制御手段124が第1大入賞口91または第2大入賞口92を開放する(S104)。第1大入賞口91または第2大入賞口92が開放済であればS104をスキップする(S100のY)。第1大入賞口91または第2大入賞口92が開放されてから、所定の開放時間が経過した場合(S106のY)、または、開放時間が経過していないものの(S106のN)、第1大入賞口91または第2大入賞口92への入球数が9球以上に達した場合(S108のY)、開閉制御手段124が第1大入賞口91または第2大入賞口92を閉鎖させる(S110)。開放時間が経過しておらず(S106のN)、第1大入賞口91または第2大入賞口92への入球数も9球以上に達していない場合は(S108のN)、S110以降の処理をスキップしてS16のフローを終了する。
【0112】
S110における第1大入賞口91または第2大入賞口92の閉鎖後、単位遊技が最終ラウンドに達していた場合(S112のY)、演出決定手段132は、保留内連荘の発生有無、保留内連荘時演出確率、および保留内非連荘時演出確率にしたがって選択演出の実行有無を決定する。選択演出の実行が決定された場合(S114のY)、後述の選択演出処理を実行する(S116)。選択演出を実行しないことが決定された場合(S114のN)、S116はスキップされる。演出表示制御手段134は特別遊技の終了デモを表示させた後、特別遊技の演出処理を終了させ(S118)、特別遊技制御手段120は特別遊技を終了させ(S120)、特定遊技を開始する(S122)。S112において単位遊技が最終ラウンドに達していなければ(S112のN)、ラウンド数に1を加算してS16のフローを終了する(S124)。なお、選択演出の実行タイミングは最終ラウンドの終了後以外であってもよい。例えば、演出決定手段132は、特別遊技におけるラウンドのいずれか(もしくは所定のラウンド間)において、選択演出およびその続きの保留内連荘報知演出を実行してもよい。また、最終ラウンド終了後の終了デモの時間に、選択演出およびその続きの保留内連荘報知演出を実行してもよい。後述の第2実施例についても同様である。
【0113】
図17は、図16のS116の選択演出処理を詳細に示すフローチャートである。演出決定手段132は選択演出における正解条件を決定し(S130)、演出表示制御手段134は演出図柄表示装置60において特別遊技演出の表示を一旦停止するとともに(S132)、選択演出を表示させる(S134)。所定の制限時間内に(S136のY)、遊技者による操作ボタン82の選択入力を検出すると(S138のY)、演出決定手段132は遊技者の選択結果が正解か不正解かを判定する。遊技者の選択結果を未検出であれば(S138のN)、S136へ戻る。遊技者の選択結果が正解であれば(S140のY)、演出表示制御手段134は保留内連荘報知演出を実行する(S142)。そして演出表示制御手段134は、特別遊技演出を復帰させる(S144)。遊技者の選択結果が不正解であれば(S140のN)、S142をスキップする。また制限時間内に操作ボタン82の選択入力を未検出であれば(S136のN)、S138〜S142をスキップする。
【0114】
図18は、図10におけるS17の小当り遊技を詳細に示すフローチャートである。第1大入賞口91または第2大入賞口92が開放済でなければ(S220のN)、第1大入賞口91または第2大入賞口92の開放処理を実行し(S222)、開放済みであれば(S220のY)、S222をスキップする。所定の開放時間を経過した場合(S224のY)、第1大入賞口91または第2大入賞口92を閉鎖し(S226)、所定の開放時間を経過していなければ(S224のN)、S226以降をスキップする。S226における第1大入賞口91または第2大入賞口92の閉鎖後、設定回数分の開閉が終了していれば(S228のY)、小当り遊技を終了する(S230)。設定回数分の開閉が終了していなければ(S228のN)、開閉回数に1を加算してS17のフローを終了する(S232)。
【0115】
第1実施例のぱちんこ遊技機10によれば、選択演出に対する遊技者による操作入力の内容に応じて、実際に保留内連荘の報知演出の有無が切り替わる。したがって、遊技者は自力で報知演出を獲得することとなり、また、自力で保留内連荘を獲得したような感覚を遊技者に効果的に抱かせることができ、遊技者の達成感を高めることができる。また遊技者が選択演出に不正解となって保留内連荘が非報知となっても、その後、保留内連荘が発生することがあり、遊技者にとって意外性のある遊技性も実現できる。
【0116】
またぱちんこ遊技機10によれば、遊技者が選択演出に正解すると必ず保留内連荘となるべき制約の下で、選択演出における全体正解確率を、選択肢の数により期待される正解確率、言い換えれば、選択演出において遊技者が直感しやすい正解確率と同等のものにできる。これにより、選択演出は一般的な多肢択一問題と同等の正解確率となるため、選択演出へ回答することへのインセンティブを遊技者へ提供することができる。
【0117】
また保留内連荘報知演出後、次の大当り演出に対して継続性のある内容の演出(継続演出)を表示させることにより、先の特別遊技と後の特別遊技との一体感を醸成でき、遊技の興趣を一層高めることができる。また選択演出を特別遊技の最終ラウンド後に実行することで、先の特別遊技と後の特別遊技との一貫性を遊技者に提示しやすくなる。また継続演出による先の特別遊技と後の特別遊技との一体感を醸成しやすくなる。
【0118】
(第2実施例)
第2実施例の概要をまず説明する。従来技術として既述したように、これまでの遊技機においても、遊技者による操作ボタンの操作を契機として、確変の獲得有無を遊技者へ提示することがあった。しかし、これまでの遊技機では確変の報知有無を予め遊技機内部で決定しており、遊技者の操作内容は確変の報知有無に影響を与えるものではなかった。したがって、これまでの遊技機の演出は、遊技者に自力で利益状態を獲得したような感覚を抱かせるには不十分であり、必ずしも遊技の興趣を高めるものではなかった。
【0119】
これに対し、本実施例のぱちんこ遊技機は、15R特別遊技実行中の演出として、第1実施例と同様の選択演出を表示させる。そして、選択演出に対して遊技者が正解の選択肢を選択した場合、特別遊技終了後の通常遊技が確変状態であることを遊技者へ報知する演出を表示させる。その一方、遊技者が不正解の選択肢を選択した場合は、特別遊技終了後の通常状態が確変状態であるか否かにかかわらず、確変状態であるか否かを遊技者から秘匿する。すなわち、遊技状態が確変状態であるか否かを演出上、遊技者に明示せず、確変状態であるか否かを遊技者が判別することが困難な演出(以下、「潜伏演出」とも呼ぶ。)を表示させる。これにより、選択演出に対する遊技者の選択結果が確変移行の報知有無を決定するため、遊技者は自力で確変移行の報知演出を獲得することとなり、遊技者の達成感を高めて遊技の興趣を高める。
【0120】
本実施例のぱちんこ遊技機においても、第1実施例のぱちんこ遊技機と同様に、従来にいう第1種ぱちんこ遊技機に相当する遊技が複数混在する。その複数の遊技としての第1の遊技と第2の遊技とが、同時に実行されないよう第2の遊技が優先的に実行される。具体的には、本実施例のぱちんこ遊技機の外観およびメイン基板102の構成は、第1実施例のぱちんこ遊技機の構成(主に図1〜図7に関連して既述した内容)と共通であり、演出制御の態様が異なる。以下、相違点を中心に説明し、共通点の説明は適宜省略する。
【0121】
図19は、第2実施例におけるぱちんこ遊技機10の機能ブロックを示す。本実施例のぱちんこ遊技機10のサブ基板104は、演出テーブル記憶手段131をさらに含む。
【0122】
演出記憶手段130は、3種の操作ボタン82のいずれかを押すよう遊技者を促し、その三択に正解することで確変に移行されることを遊技者へ示唆するための演出内容を定めた選択演出のデータ(画像データ等)を保持する。図20は、演出図柄表示装置60における選択演出の表示例を示す。本実施例の選択演出の外観および制限時間の設定は第1実施例の選択演出と同様である。本実施例の選択演出では、3つの操作ボタン82の中からいずれかを押すよう遊技者を促すメッセージであり、正解した場合には確変に移行することを示唆するメッセージを表示する。
【0123】
また演出記憶手段130は、選択演出に対する遊技者の選択結果が正解である旨、および、確変移行が発生する旨を遊技者へ報知するための演出内容を定めた確変報知演出のデータ(画像データ等)を保持する。確変報知演出は、例えば、「正解!確変獲得!!」等のメッセージを表示する演出であってもよい。また確変報知演出は、遊技盤の所定箇所に設けられた役物が予め定められた態様で動作する演出でもよく、例えば所定のキャラクタを模した役物が初期位置から落下する演出であってもよい。
【0124】
また演出記憶手段130は、特別遊技終了後の通常遊技が確変状態であることを遊技者へ報知する場合、言い換えれば、確変状態であることを明示する場合の演出パターン(以下、「確変演出パターン」とも呼ぶ。)のデータを保持する。確変演出パターンは、例えば、確変状態であることを遊技者に明示する態様で装飾図柄を変動表示させる変動演出パターンや、確変状態であることを遊技者に明示するアニメーションやメッセージを表示させる予告演出パターンであってもよく、これらの組み合わせでもよい。
【0125】
また演出記憶手段130は、特別遊技終了後の通常遊技が確変状態であることを遊技者から秘匿する場合であり、かつ、特別遊技終了後の通常遊技が確変状態でないことを遊技者から秘匿する場合の演出パターン(以下、「潜伏演出パターン」とも呼ぶ。)のデータを保持する。潜伏演出パターンは、遊技状態が確変状態であるか否かを遊技者に明示しないことにより、現在の遊技状態が確変状態であるか否かの遊技者による判別を困難にする演出パターンであると言える。潜伏演出パターンは、例えば、確変状態であるか否かにかかわらない共通の態様で装飾図柄を変動表示させる変動演出パターンや、確変状態と非確変状態の両方の可能性があることを遊技者に示唆するアニメーションやメッセージを表示させる予告演出パターンであってもよく、これらの組み合わせでもよい。
【0126】
演出テーブル記憶手段131は、複数種類の演出内容を定めた複数種類の演出テーブルを保持する。複数種類の演出テーブルのそれぞれは、所定の乱数発生器が出力する乱数値としての抽選値(以下、「演出用抽選値」とも呼ぶ。)と、演出パターン(変動演出パターンおよび予告演出パターン)との対応関係を定めたものである。またテーブル毎に演出パターンの選択傾向が異なるよう対応関係が定められている。
【0127】
演出テーブル記憶手段131により保持される複数種類の演出テーブルには、特別図柄の複数種類の変動パターンに対応する複数種類の確変演出パターンと、演出用抽選値との対応関係を定めた確変演出テーブルが含まれる。また、特別図柄の複数種類の変動パターンに対応する複数種類の潜伏演出パターンと、演出用抽選値との対応関係を定めた潜伏演出テーブルが含まれる。また、確変状態でない通常状態における演出パターンと、演出用抽選値との対応関係を定めた演出テーブル(以下、「通常状態演出テーブル」とも呼ぶ。)が含まれる。通常状態演出テーブルは、遊技状態が確変状態でないことを遊技者に明示する態様の演出パターンを含むものであってよい。
【0128】
演出決定手段132は、選択演出全体において遊技者の選択結果が正解となる確率(以下、「全体正解確率」とも呼ぶ。)が、選択肢の数により期待される正解確率の近傍値となるよう制御する。この全体正解確率は、選択演出が多くの回数実行された場合の正解確率であるとも言え、また、選択演出において遊技者が特定のボタンを選択入力した場合に確変報知演出が表示される確率であるとも言える。本実施例では三肢択一の選択演出を提示し、この選択演出に回答する遊技者は期待される正解確率を3分の1と直感すると想定されるため、全体正解確率が3分の1の近似値となるよう制御する。言い換えると、遊技者は複数の選択肢のそれぞれを選択した場合の正解確率が同等となることを期待すると考えられる。したがって、演出決定手段132は、それぞれの選択肢の正解確率が3分の1の近似値となるよう、すなわち全体正解確率が3分の1と同等の値となるよう制御する。例えば、全体正解確率が30%〜35%の範囲の値になるよう制御してもよい。
【0129】
また選択演出において遊技者の選択結果が正解であった場合はその後に遊技者へ確変移行を明示するため、確変移行が発生する場合に限り遊技者の選択結果を正解とすることができる。言い換えると、確変移行が発生しない場合は遊技者の選択結果にかかわらず常に不正解とする必要があり、確変移行が発生しない場合に遊技者の選択結果を正解とする確率は0である。しかし、選択演出の実行が即確変確定となっては選択演出の意義を損なうため、確変移行が発生しない場合にもある程度は選択演出を実行する必要がある。したがって、確変移行が発生する場合に遊技者の選択結果を正解とする確率(以下、「確変時正解確率」とも呼ぶ。)は、全体正解確率より大きい値に設定する必要がある。本実施例では3分の2に設定される。
【0130】
変形例として、選択演出で提示する選択肢の数は3以外であってもよい。例えば、5つの選択肢を提示し、そのうちの2つが正解であることを遊技者に示唆してもよい。この場合、全体正解確率は5分の2とすべき一方、確変移行が発生しない場合に遊技者の選択結果を正解とする確率は0であるため、確変時正解確率は5分の2よりも大きな値に設定される。
【0131】
ここで、15R特別遊技中に選択演出を実行する確率として、確変移行が発生するときに選択演出を実行する確率(以下、「確変時演出確率」とも呼ぶ。)と、確変移行が発生しないときに選択演出を実行する確率(以下、「非確変時演出確率」)とが予め設定される。ぱちんこ遊技機10では、図柄抽選値と大当り種類との対応関係の設定により、15R大当りにおいて確変移行を伴う確率が定まる。図5の例では、第1の抽選における15R特別遊技後の確変:非確変の割合は1:1であり、第2の抽選における15R特別遊技後の同割合は約3:2である。本実施例では、確変移行確率にもとづき、選択演出を実行した場合に確変移行の発生確率が50%となるように、確変時演出確率と非確変時演出確率とを定める。例えば第1の抽選の15R特別遊技においては、確変時演出確率と非確変時演出確率が1:1となるよう、確変時演出確率を50%とし、非確変時演出確率を50%としてもよい。また第2の抽選の15R特別遊技においては、確変時演出確率と非確変時演出確率が2:3となるよう、確変時演出確率を40%とし、非確変時演出確率を60%としてもよい。選択演出を実行した場合に確変移行の発生確率が50%であれば、確変移行時には3分の2(確変時正解確率)で正解となり、非確変時には常に不正解となるため、選択演出における全体正解確率は3分の1となる。
【0132】
演出決定手段132は、第1図柄決定手段320または第2図柄決定手段322により決定された図柄が、確変状態への移行を伴う15R大当り図柄であった場合、15R特別遊技終了後に確変移行が発生すると判定する。その一方、第1図柄決定手段320または第2図柄決定手段322により決定された図柄が、確変状態への移行を伴わない15R大当り図柄であった場合、15R特別遊技終了後に確変移行が発生しないと判定する。演出決定手段132は、15R特別遊技終了後に確変移行が発生する場合、確変時演出確率にしたがって選択演出の実行有無を決定し、15R特別遊技終了後に確変移行が発生しない場合、非確変時演出確率にしたがって選択演出の実行有無を決定する。
【0133】
なお、確変移行が発生する場合、確変時演出確率に応じて抽選値範囲と選択演出の実行有無との対応関係を定めたテーブルを参照し、抽選値(乱数値)を取得して、その抽選値が属する抽選値範囲にしたがって選択演出の実行有無を決定してもよい。確変移行が発生しない場合も同様に、非確変時演出確率に応じて抽選値範囲と選択演出の実行有無との対応関係を定めたテーブルを参照し、抽選により選択演出の実行有無を決定してもよい。
【0134】
演出決定手段132は、選択演出の実行を決定すると、選択演出における正解条件を定めた正解条件テーブルを参照して、今回実行する選択演出の正解条件を決定する。図21は、正解条件テーブルを模式的に示す。演出決定手段132は、「0〜255」の範囲の乱数値を抽選値として取得し、特別遊技終了後に確変移行が発生する場合は、その抽選値が属する抽選値範囲と対応づけられた選択肢(図21の正解肢)を正解とする正解条件を決定する。例えば抽選値が「100」の場合、正解の選択肢を中ボタンおよび右ボタンとする正解条件を決定する。その一方、確変移行が発生しない場合は抽選値にかかわらず、正解の選択肢がないことを示す正解条件、言い換えると、いずれのボタンも不正解であることを示す正解条件を決定する。なお変形例として演出決定手段132は選択演出における不正解の条件を定めたテーブルを参照して、今回実行する選択演出において不正解とする条件を決定してもよいことはもちろんである。
【0135】
また演出決定手段132は、選択演出の実行を決定すると、選択演出の実行を演出表示制御手段134へ指示する。演出表示制御手段134の特別遊技演出制御手段171は、選択演出の実行が指示されると、特別遊技演出の出力を一旦停止する。そして、演出記憶手段130に保持された選択演出のデータにしたがって選択演出を所定の制限時間(例えば4秒間)表示させる。操作検出手段133は、制限時間内に操作ボタン82の選択入力を検出すると、遊技者により選択入力された操作ボタン82の種類(すなわち左ボタン・中ボタン・右ボタンのいずれか)を示す情報を演出決定手段132へ通知する。
【0136】
演出決定手段132は、選択演出において遊技者が選択したボタンが正解条件と整合する場合、確変報知演出の実行を特別遊技演出制御手段171へ指示する。そして確変報知演出の終了後、特別遊技演出の再開(復帰)を特別遊技演出制御手段171へ指示する。その一方、演出決定手段132は選択演出において遊技者が選択したボタンが正解条件と不整合の場合は、確変報知演出の実行を指示することなく、特別遊技演出の再開を特別遊技演出制御手段171へ指示する。また制限時間内に操作ボタン82の選択入力が未検出の場合も、確変報知演出の実行を指示することなく、特別遊技演出の再開を特別遊技演出制御手段171へ指示する。
【0137】
演出決定手段132は、確変報知演出の実行を指示した場合、すなわち選択演出に対する遊技者の選択結果が正解であった場合、特別遊技終了後の通常遊技において確変演出テーブルを選択して演出内容を決定する。具体的には、演出抽選値を取得して、その抽選値と対応づけられた確変演出パターンを演出記憶手段130から取得して演出表示制御手段134へ渡す。また演出決定手段132は、選択演出に対する遊技者の選択結果が不正解もしくは選択演出に対して遊技者が未回答であった場合、特別遊技終了後の通常遊技において潜伏演出テーブルを選択して演出内容を決定する。具体的には、演出抽選値を取得して、その抽選値と対応づけられた潜伏演出パターンを演出記憶手段130から取得して演出表示制御手段134へ渡す。
【0138】
なお本実施例では、演出決定手段132は選択演出そのものを未実行であった場合、15R特別遊技終了後に確変移行が発生するときには確変演出パターンを選択して演出内容を決定することとする。その一方、15R特別遊技終了後に確変移行が発生しないときには通常状態演出テーブルを選択して演出内容を決定することとする。したがって、選択演出が実行され、かつ、その選択演出に対する遊技者の回答が不正解であった場合に、いわゆる潜伏状態(確変と非確変の両方の可能性を示す潜伏演出を表示する状態)となる。
【0139】
以上の構成による動作および制御の過程を以下説明する。
図10〜図14、図18の動作は第1実施例と同じである。図15においては、S184およびS186を実行しない。ただし、15R特別遊技終了後の通常遊技におけるS184として、通常状態演出テーブル・確変演出テーブル・確変演出テーブルのいずれかを参照して変動演出パターンおよび予告演出パターンを決定する。また図17においては、S142として、確変報知演出を実行する。
【0140】
図22は、図10のS16の特別遊技制御処理を詳細に示すフローチャートであり、第1実施例の図16に対応する。第2実施例では、特別遊技制御手段120が特別遊技を終了した後、演出決定手段132は演出テーブル選択処理をさらに実行する(S121)。
【0141】
図23は、図22のS121の演出テーブル選択処理を詳細に示すフローチャートである。選択演出を未実行で(S150のN)、かつ、確変移行が発生しない場合(S152のN)、演出決定手段132は、特別遊技終了後の通常遊技で参照すべき演出テーブルとして通常状態演出テーブルを選択する(S154)。確変移行が発生する場合は(S152のY)、演出決定手段132は確変演出テーブルを選択する(S156)。また選択演出を実行し(S150のY)、遊技者の選択結果が正解であった場合(S158のY)、演出決定手段132は確変演出テーブルを選択する(S156)。遊技者の選択結果が不正解であった場合は(S158のN)、演出決定手段132は潜伏演出テーブルを選択する(S160)。
【0142】
第2実施例のぱちんこ遊技機10によれば、選択演出に対する遊技者による操作入力の内容に応じて、実際に確変報知演出の有無が切り替わる。したがって、遊技者は自力で確変報知演出を獲得することとなり、自力で確変を獲得したような感覚を遊技者に効果的に抱かせることができ、遊技者の達成感を高めることができる。
【0143】
なお、特別遊技中の確変報知演出は必須ではなく、選択演出に対する遊技者の選択結果が正解の場合に、以後の通常遊技における演出内容を確変演出テーブルを参照して決定する一方、不正解の場合は、以後の通常遊技における演出内容を確変演出テーブル以外の演出テーブルを参照して決定してもよい。確変演出テーブル以外の演出テーブルは、遊技状態が確変状態であるか否かを明示しない演出パターンを含むテーブルであり、その一方、遊技状態が確変状態であるか否かを明示する演出パターンが排除されたテーブルであってもよい。また例えば、通常状態演出テーブルであってもよい。ぱちんこ遊技機10では、選択演出に対する遊技者による選択結果が正解であったことを条件として実際に確変演出テーブルを選択し、確変演出パターンによる演出を表示させる。これにより、確変移行の事実を遊技者が自力で表示させることとなり、自力で確変を獲得したような感覚を遊技者に効果的に抱かせることができる。
【0144】
また、選択演出は正解により潜伏状態を回避できるものであるため遊技者にとって利益となるものであり、遊技者の積極的な参加が期待できる。このようにぱちんこ遊技機10によれば、参加することにより遊技者に実質的な利益がもたらされる遊技者参加型の演出を実現できる。
【0145】
また、これまで非確変状態での潜伏演出は遊技者の不満を高めることがあったが、ぱちんこ遊技機10では選択演出に対する遊技者の回答が不正解の場合に潜伏演出を表示する。したがって仮に潜伏状態となっても、その原因は選択演出に対する遊技者の選択が悪かったためであると遊技者に感得させやすくなり、遊技者の不満が高まることを抑制しやすくなる。
【0146】
またぱちんこ遊技機10によれば、遊技者が選択演出に正解すると必ず確変移行が発生すべき制約の下で、選択演出における全体正解確率を、選択肢の数により期待される正解確率、言い換えれば、選択演出において遊技者が直感しやすい正解確率と同等のものにできる。これにより、選択演出は一般的な多肢択一問題と同等の正解確率となるため、選択演出へ回答することへのインセンティブを遊技者へ提供することができる。
【0147】
以上、本発明を実施例をもとに説明した。この実施例はあくまで例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。以下、変形例について述べる。
【0148】
第1の変形例を説明する。
上記の第1実施例における演出決定手段132は、特別遊技終了後に保留内連荘が発生し、かつ、所定の加重条件を充足する場合に、選択演出において正解の選択肢を遊技者へ提示してもよい。また上記の第2実施例における演出決定手段132は、特別遊技終了後に確変移行が発生し、かつ、所定の加重条件を充足する場合に、選択演出において正解の選択肢を遊技者へ提示するナビゲーション演出をさらに実行してもよい。ナビゲーション演出としては、例えば、選択演出において正解の選択肢を示すメッセージを付加的に表示させてもよい。また、正解の選択肢を不正解の選択肢より強調した態様で示すボタンオブジェクト230を含む選択演出のデータを表示させてもよい。加重条件は、所定確率で当選となる抽選を実行して、当該抽選に当選したことであってもよい。また、先に実行した選択演出に対して遊技者が制限時間内に回答し(すなわち未回答でなく)、かつ、遊技者の回答が不正解となったことでもよい。この態様によると、選択演出において遊技者が正解のボタンを選択入力できるよう支援できる。また、遊技者の回答が不正解となったことをナビゲーション演出の条件とすることで、遊技者が選択演出に回答したことへの特典としてナビゲーション演出を提供でき、また遊技者の回答が不正解であった場合の救済措置を提供できる。
【0149】
第2の変形例を説明する。
上記の第1実施例における演出決定手段132は、特別遊技終了後に保留内連荘が発生する場合に、先に実行した選択演出に対する遊技者の正否状況に応じて、今回の選択演出における正解確率を、通常の正解確率(連荘時正解確率)とは異なる値に調整してもよい。同様に第2実施例における演出決定手段132は、特別遊技終了後の通常遊技が確変状態となる場合に、先に実行した選択演出に対する遊技者の正否状況に応じて、今回の選択演出における正解確率を、通常の正解確率(確変時正解確率)とは異なる値に調整してもよい。例えば、通常の連荘時正解確率および確変時正解確率が3分の2である場合、今回の選択演出における正解確率を3分の3としてもよい。また、通常の連荘時正解確率および確変時正解確率が4分の2である場合、今回の選択演出における正解確率を4分の3としてもよい。この変形例によると、遊技者の回答が不正解であった場合の救済措置を提供でき、また不正解となることにより選択演出に対する遊技者の期待感が低下してしまうことを防止しやすくなる。
【0150】
また、先に実行した選択演出に対して制限時間内に未回答であった場合は、今回の選択演出における正解確率として、通常の連荘時正解確率および確変時正解確率を使用してもよい。すなわち、選択演出に未回答の場合は救済措置を提供しないこととしてもよい。さらにまた、先に実行した選択演出に対して制限時間内に未回答であった場合は、今回の選択演出における正解確率として、通常の連荘時正解確率および確変時正解確率(例えば3分の2)より低い値(例えば3分の1)を設定してもよい。すなわち、選択演出に未回答の場合は遊技者にペナルティを課してもよい。この態様によると、選択演出に未回答の場合は結果として遊技者の利益が損なわれることとなるため、選択演出に対する回答を促進することができる。
【0151】
第3の変形例を説明する。
上記の各実施例では15R特別遊技の実行中に所定確率で選択演出を行うこととした。変形例では、2R特別遊技終了後の通常遊技実行中にも所定確率で選択演出を行ってもよい。具体的には、2R特別遊技が終了した場合、第1パターン決定手段114および第2パターン決定手段119は、所定回数(例えば1回)の図柄変動において参照すべき特殊変動パターンテーブルを参照して特別図柄の変動パターンを決定してもよい。
【0152】
第1実施例に対応する特殊変動パターンテーブルは、選択演出および保留内連荘報知演出の実行に要する時間以上の変動時間を有する特殊変動パターンを定める。第1実施例の演出決定手段132は、メイン基板102において特殊変動パターンが選択された場合に、現在時点での大当りの保留状況に応じて選択演出の正解条件を決定し、選択演出を表示させる。そして、遊技者の回答が正解であった場合には保留内連荘報知演出を表示させ、以降の図柄変動では継続演出を表示させる。遊技者の回答が不正解であった場合も第1実施例と同様である。
【0153】
第2の実施例に対応する特殊変動パターンテーブルは、選択演出および確変報知演出の実行に要する時間以上の変動時間を有する特殊変動パターンを定める。第2実施例の演出決定手段132は、メイン基板102において特殊変動パターンが選択された場合に、現在の遊技状態が確変状態か否かに応じて選択演出の正解条件を決定し、選択演出を表示させる。そして、遊技者の回答が正解であった場合には確変報知演出を表示させ、以降の図柄変動では確変演出テーブルを参照して演出内容を決定する。遊技者の回答が不正解であった場合も第2実施例と同様である。
【0154】
第3の変形例において2R特別遊技終了後の通常遊技実行中に所定確率で選択演出を行う場合、小当り遊技終了後の通常遊技実行中にも所定確率で選択演出を行うことが好ましい。2R特別遊技終了後と同様に、小当り遊技終了後、第1パターン決定手段114および第2パターン決定手段119は、所定回数(例えば1回)の図柄変動において参照すべき特殊変動パターンテーブルを参照して、選択演出および報知演出(保留内連荘報知演出もしくは確変報知演出)の時間を確保するための図柄変動時間を定めた特別図柄の変動パターンを決定してもよい。小当り時の選択演出に対して、演出決定手段132は、遊技者の選択結果にかかわらず、遊技者の回答を不正解とする正解条件を定めてもよい。この態様によると、小当りの場合にも選択演出を行うことで、2R大当りと小当りとの外観上の識別を困難なものにして遊技者の緊張感や期待感を一層煽ることができる。
【0155】
第4の変形例を説明する。
上記の各実施例においては、第1種ぱちんこ遊技機に相当する遊技が複数混在する構成を例にして説明した。変形例においては、第1種ぱちんこ遊技機の構成、すなわち複数を混在させていない構成にて実現してもよい。
【0156】
第5の変形例を説明する。
上記の各実施例においては、第2特別図柄193に対して保留する当否抽選を優先的に消化する例を説明した。変形例においては、第1特別図柄192に対して保留する当否抽選を優先的に消化する構成としてもよい。この場合、第2特別図柄193より第1特別図柄192が優先的に図柄変動が実行され、第1特別図柄192の保留抽選値がなくならない限り第2特別図柄193の図柄変動が止まったままとなる。また、第1特別図柄192に対して保留する当否抽選と、第2特別図柄193に対して保留する当否抽選を、それぞれが第1始動入賞口62または第2始動入賞口63へ入球した順に消化する構成としてもよい。入球順に消化する構成の場合、第1実施例においては、保留内連荘報知演出後、図柄変動回数が保留上限数に到達するまでに大当りが発生することを保証できる。
【0157】
第6の変形例を説明する。
上記の各実施例においては、第1始動入賞口62を遊技領域52の略中央近辺に設け、第2始動入賞口63を遊技領域52の右方に設け、互いに距離を離して設置する構成を例示した。変形例においては、第2始動入賞口63を第1始動入賞口62の直下に配置し、普通電動役物65が拡開されず閉鎖されているときは第1始動入賞口62によりの存在により第2始動入賞口63へ遊技球が入球困難な構成としてもよい。その場合、普通電動役物65が拡開されてはじめて第2始動入賞口63へ入球可能となってもよい。
【0158】
第7の変形例を説明する。
上記の各実施例においては、特別遊技の終了後、次の大当りが発生するまで確変状態が継続する例を説明した。変形例においては、特別遊技終了後の通常遊技において、図柄変動回数が所定回数(50回等)に到達するまでに次の大当りが発生しない場合、言い換えれば、次の大当りが発生することなく所定回数の図柄変動が終了した場合に、確変状態を終了させる構成であってもよい。すなわち、いわゆるST機とも呼ばれる、回数打ち切り式の確率変動を実行する構成であってもよい。
【0159】
また上記の各実施例においては、特別図柄によってラウンド数、確変・非確変、時短回数が定められることとした。しかしこの態様に限られるものではない。例えば、共通の第1特別図柄192(もしくは第2特別図柄193)が確変移行を伴う15R大当りと確変移行を伴わない15R大当りの両方を示すものであってもよい。この場合、メイン基板102からサブ基板104へ送信される情報には、当否抽選結果・図柄抽選結果に加えて、確変状態への移行有無を示す情報が含まれてもよい。図柄抽選結果として、確変移行を伴う15R大当りと確変移行を伴わない15R大当りの両方に共通の特別図柄を示す情報を受け付けた場合、演出表示制御手段134は、確変移行が発生するか否かを遊技者に明示しない態様の特別遊技演出を実行してもよい。演出決定手段132は、選択演出の実行を決定した場合、メイン基板102から通知された確変状態への移行有無を示す情報にしたがって、その選択演出の正解条件を決定してもよい。
【符号の説明】
【0160】
50 遊技盤、 52 遊技領域、 62 第1始動入賞口、 63 第2始動入賞口、 82 操作ボタン、 114 第1パターン決定手段、 119 第2パターン決定手段、 120 特別遊技制御手段、 122 特定遊技実行手段、 130 演出記憶手段、 131 演出テーブル記憶手段、 132 演出決定手段、 133 操作検出手段、 134 演出表示制御手段、 171 特別遊技演出制御手段。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技領域が形成された遊技盤と、
前記遊技領域の所定位置に設けられた始動口と、
前記遊技領域の所定位置において開放可能に設けられた大入賞口と、
前記始動口への入球を契機として、通常遊技より遊技者に有利な状態である特別遊技へ移行するか否かを判定するための当否抽選を実行する当否抽選手段と、
前記当否抽選の結果が大当りとなった場合、前記大入賞口を開放する前記特別遊技を実行する特別遊技制御手段と、
前記当否抽選の結果を示すための図柄が変動表示される図柄表示装置と、
前記当否抽選の結果を所定の保留個数を上限にその当否抽選に対応する図柄変動の表示開始まで保留する保留制御手段と、
演出内容を定めた演出パターンを保持する演出記憶手段と、
前記当否抽選の結果に応じて演出内容を決定し、その演出内容を所定の演出出力装置を介して遊技者へ提示する演出決定手段と、
遊技者による操作入力を受け付ける操作入力手段と、
を備え、
前記演出記憶手段が保持する演出パターンには、複数の選択肢を遊技者へ提示して前記操作入力手段を介した特定の選択肢の選択を促す演出であって遊技者の選択結果が正解の場合に遊技者へ利益がもたらされることを示唆する選択演出と、前記特別遊技終了後の通常遊技において図柄変動回数が前記所定の保留個数以内に大当りとなることを遊技者へ報知する報知演出とが含まれ、
前記当否抽選手段は、前記始動口への入球があったときに、その入球に対応する図柄変動の表示が直ちに開始されるか否かにかかわらず、その入球に対応する当否抽選の結果を前記演出決定手段へ通知し、
前記演出決定手段は、
前記特別遊技の実行中に、前記特別遊技終了後の通常遊技において図柄変動回数が前記所定の保留個数以内に大当りとなるか否かに応じて前記選択演出における正否条件を決定して前記選択演出を遊技者へ提示し、
前記選択演出に対する遊技者の選択結果が前記正否条件にもとづき正解である場合に前記報知演出を遊技者へ提示する一方、前記遊技者の選択結果が不正解の場合は、前記特別遊技終了後の通常遊技において図柄変動回数が前記所定の保留個数以内に大当りとなる場合であっても前記報知演出の提示を抑制することを特徴とする弾球遊技機。
【請求項2】
前記演出決定手段は、前記特別遊技終了後の通常遊技において図柄変動回数が前記所定の保留個数以内に大当りとならない場合に、前記選択演出に対する遊技者の選択結果に関わらず不正解とする一方、大当りとなる場合は、選択演出全体としての正解確率を選択肢の数により期待される正解確率に近づけるよう定められた基準であって、前記期待される正解確率より高い確率で遊技者の選択結果を正解とする基準にしたがって前記正否条件を決定することを特徴とする請求項1に記載の弾球遊技機。
【請求項3】
前記演出決定手段は、前記報知演出を遊技者へ提示後、次の特別遊技における演出に対して継続性のある内容の演出を遊技者へ提示することを特徴とする請求項1または2に記載の弾球遊技機。
【請求項1】
遊技領域が形成された遊技盤と、
前記遊技領域の所定位置に設けられた始動口と、
前記遊技領域の所定位置において開放可能に設けられた大入賞口と、
前記始動口への入球を契機として、通常遊技より遊技者に有利な状態である特別遊技へ移行するか否かを判定するための当否抽選を実行する当否抽選手段と、
前記当否抽選の結果が大当りとなった場合、前記大入賞口を開放する前記特別遊技を実行する特別遊技制御手段と、
前記当否抽選の結果を示すための図柄が変動表示される図柄表示装置と、
前記当否抽選の結果を所定の保留個数を上限にその当否抽選に対応する図柄変動の表示開始まで保留する保留制御手段と、
演出内容を定めた演出パターンを保持する演出記憶手段と、
前記当否抽選の結果に応じて演出内容を決定し、その演出内容を所定の演出出力装置を介して遊技者へ提示する演出決定手段と、
遊技者による操作入力を受け付ける操作入力手段と、
を備え、
前記演出記憶手段が保持する演出パターンには、複数の選択肢を遊技者へ提示して前記操作入力手段を介した特定の選択肢の選択を促す演出であって遊技者の選択結果が正解の場合に遊技者へ利益がもたらされることを示唆する選択演出と、前記特別遊技終了後の通常遊技において図柄変動回数が前記所定の保留個数以内に大当りとなることを遊技者へ報知する報知演出とが含まれ、
前記当否抽選手段は、前記始動口への入球があったときに、その入球に対応する図柄変動の表示が直ちに開始されるか否かにかかわらず、その入球に対応する当否抽選の結果を前記演出決定手段へ通知し、
前記演出決定手段は、
前記特別遊技の実行中に、前記特別遊技終了後の通常遊技において図柄変動回数が前記所定の保留個数以内に大当りとなるか否かに応じて前記選択演出における正否条件を決定して前記選択演出を遊技者へ提示し、
前記選択演出に対する遊技者の選択結果が前記正否条件にもとづき正解である場合に前記報知演出を遊技者へ提示する一方、前記遊技者の選択結果が不正解の場合は、前記特別遊技終了後の通常遊技において図柄変動回数が前記所定の保留個数以内に大当りとなる場合であっても前記報知演出の提示を抑制することを特徴とする弾球遊技機。
【請求項2】
前記演出決定手段は、前記特別遊技終了後の通常遊技において図柄変動回数が前記所定の保留個数以内に大当りとならない場合に、前記選択演出に対する遊技者の選択結果に関わらず不正解とする一方、大当りとなる場合は、選択演出全体としての正解確率を選択肢の数により期待される正解確率に近づけるよう定められた基準であって、前記期待される正解確率より高い確率で遊技者の選択結果を正解とする基準にしたがって前記正否条件を決定することを特徴とする請求項1に記載の弾球遊技機。
【請求項3】
前記演出決定手段は、前記報知演出を遊技者へ提示後、次の特別遊技における演出に対して継続性のある内容の演出を遊技者へ提示することを特徴とする請求項1または2に記載の弾球遊技機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2013−94379(P2013−94379A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−239207(P2011−239207)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(390031783)サミー株式会社 (5,279)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(390031783)サミー株式会社 (5,279)
【Fターム(参考)】
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